パシオのバディーズのちょっとした日常SS【短い】

・短いの色々書く
・キャラ偏りがち
・捏造設定とかあるかもしれない
・基本ポケマス時空だから本編で絡みのないキャラが喋る
・見ようによってはカップリングに見えるかもしれないがイッチはそういうつもりで書いている訳じゃないのであしからず

「どうしたんだ、こんな夜に」

パシオの海岸にて。美しい夜景を相棒のハガネールとぼんやり眺めていた時、後ろから声をかけられた。

「あら、タケシさん……」

糸目の青年は私の隣へ歩いてきた。彼の相棒であるイワークも、砂浜を進みにくそうにしながらタケシさんの背中にぴたりと寄り添っている。

「夜中に女性がこんなところで、危ないだろう」

「大丈夫ですよ、すぐに帰るつもりだったので……」

少し、潮風に当たりたかっただけ。
でももう帰ります、と笑いかけて、ホテルへ戻ろうと背を向けた時にタケシさんに声をかけられた。

「故郷のこと、思い出していたのか」

「……」

振り返ると、タケシさんが心配そうに私を見ていた。

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しばし沈黙が流れ、しんとした中にさざなみの音が響く。

「……ほんの少し、淋しくなってしまって」

穏やかなさざ波と、冷たい潮風に後押しされて、押し込めていた弱音が零れた。

「……大切なポケモンを、アサギに残してきたんです。その子、一度病気になってしまって……その時からずっと」

頭の片隅には、いつか来てしまう永遠の別れが貼り付いている。シンオウにいた時も、こうしてパシオに来ていても、ふとした瞬間に思い出して、いてもたってもいられなくなってしまう。でも、誰にも相談出来なくて、どうしようもなくなって、何かしなくちゃと思うけれど、私には海を見て思いを馳せることしか出来ない……

ゆっくりゆっくり、話す内に、涙まで溢れそうになる。タケシさんはそんな私にそっと寄り添って、背中をさすってくれた。

「……ミカンさん、あなたは強い。色々な土地へ踏み出し、様々なものを目にしてきた」

タケシさんが、話し始めた。

「俺はどうにも融通が効かないし、こういう時どうしたらいいか分からないけど……」

一旦、言葉を切った。口を少しもぐもぐさせて、次の言葉を探している。

「……ミカンさん。君は常に『てっぺきガードのおんなのこ』である必要はないと思う。たまにはガードを緩めて……吐き出した方がいい」

そういって、少し照れ臭そうにタケシさんは笑った。らしくないことを言ってしまったな、という言葉も続けた。

「常に『てっぺきガードのおんなのこ』である必要はない」……その言葉が優しく心に染みる。
堪えていた涙が、ぽろっと溢れた。

「！？泣いて……！？す、すまない」

「いえ……ちがうんです」

タケシさんがあわてて謝った。普段はとても頼もしく、『つよくてかたいいしのおとこ』の肩書き通りだけど、こういう時のタケシさんは不器用で、笑ってしまうくらい優しい。

「……ありがとうございます、タケシさん……」

「えっと……」

もう、大丈夫なのか？と心配そうな顔をしているタケシさん。私はにこっと笑って涙を拭った。

「……もう少しだけ、話を聞いてくれませんか？」

あとほんの少しだけ、私は『てっぺきガード』を緩めていたい。タケシさんの前なら……同じ『堅さ』を持つ彼になら……ガードを緩めていい気がした。

「俺でよければ、いくらでも」

しんと静かな夜の海岸。普段より少しだけ、お互いにガードをゆるめて、お話ししてみよう。
丸い月の明かりが、2人の未来を照らすように水平線に反射した。



タケシとミカンの話 おわり

こんな感じで気まぐれに短いSS書くので
飽きたら失踪するかもしれんです

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「もー！信じらんない！」

先に約束してたのはあたしだったのに！
パシオの森の中をちょっと怒り気味に歩きながら、あたし、コトネは独り言を呟く。

一緒にバトルしようとヒビキくんと約束したのが一週間前。
で、いざ行ってみたら「ごめん、シルバーと約束しちゃった」と言われて折角開けておいた予定がパーになったのがほんの10分前。
いくらなんでも酷すぎると思わない？だってあたし、一週間も前から約束してたのに……！

ボールの中には、ヒビキくんとのバトルのために特訓していたメガニウムが収まっている。
がっかりしてなんにもする気が起きない。もう帰ろうかな……と思ったその時だった。

「〜〜♪」

「……！あ、この曲……」

ポケモンマーチだ！

ジョウトのラジオで聴いた懐かしいメロディ。どこからともなく聴こえてくる歌声に誘われて、ふらふらと森の奥へ歩いていく。

木々の隙間を縫い、草むらを掻き分けて見つけた声の主は、見たところあたしと同じくらいの歳の女の子だった。
特徴的な緑色の二つ結びを揺らして、ポケモンマーチを歌っている。傍らには大きなオーダイル……ジョウト地方のトレーナーかな？

ぼーっと聞き惚れていると、その子がこちらを振り向いた。
目があった、と思った瞬間、女の子はマーチを歌うのをやめた。

「こんにちは」

「あっ、こんにちは！」

慌てて挨拶を返す。緑髪の女の子はにこっと笑った。初めて会うのに、初めてじゃないような、どこか懐かしい感覚に包まれる。

「……さっきのポケモンマーチって……」

「あ、聴かれてた？下手くそだったよね……私の故郷のラジオでよくかかってた曲なんだけど」

下手くそなんてとんでもない。聴いた瞬間、脳裏に懐かしい旅の思い出が甦った。

今度は女の子があたしを見て質問する。

「あなた、ジョウト地方のトレーナー？」

「えっ、どうして……」

「だってポケモンマーチのこと話してたんだもの」

ふふ、よく見てるでしょ？と笑う女の子。つられてあたしも笑ってしまう。

「この曲を聴いたらジョウトを旅してた時の色んなこと思い出しちゃって」

「あなたも？実は……私もなんだ！昔ジョウトを旅しててね」

ぴょこんと飛び上がり女の子は私の手を取った。近くで見ると私より背が低く、緑色の縦長の瞳が宝石のようだ。

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姿形は私とは全然違うのに、まるで同一人物のような親しみを感じて、もう少しこの子と話していたくなる。そんな不思議な魅力がこの子にはあった。

「……ねえ、もう少しあなたの歌を聴かせてほしいな」

「え……えぇ？でも私そんな上手くないよ……」

「上手いよ！自信持ちなよ！」

「ええー？」

女の子は困ったように笑った。私も彼女の手をとり、歌ってみる。

……ポケモンマーチは、ポケモンを呼び寄せる効果がある。
もしかしたら、あたしはこの子の歌に呼び寄せられて、運命的に出会ったのかもしれないな。

「……あなた、お名前なんていうの？」

「え？……クリス、だよ」

クリス。ちょっと変わってるけど、水晶のように純粋なこの子にぴったりの名前。
あたしはクリスに向かって笑いかけた。

「クリス！あたしコトネっていうの！ねえ、あたしと友達になろうよ！」

ポケモンマーチに引き寄せられたこの出会い。このマーチのように、クリスと素敵なリズムを奏でられるといいな、という心を込めてあたしは歌う。クリスも歌う。
初々しい友情の歌が、その日1日森に響いていた。



クリスとコトネの話 おわり

いいねぇ...！

こんな素敵なファンの為にもはやくEX解放して？

ひさしぶりに書きたいのでキャラ募集
>>17と>>18のキャラでなんか1本

ヨウ

ロイヤルマスク