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影すら見えないほどの暗い教室で、セイジ先生と居残りえっちをしている。
先生が2度目の射精をしたあと、下を向いた性器を自らの意思で口に含んだ。
根元まで唾液で濡らし、先生が弱々しい息を吐いたら、性器から顔を離す。
先生の手が頭に置かれ、荒々しい礼を受け取ると、机の上のコーヒーカップが目に入った。
カップの底に張り付いていたコーヒーを飲み干す。
冷めた甘すぎる液体が喉を通っていくのが分かる。少し遅れて、生臭いミルクの香りが鼻腔を突きぬけ脳と頭蓋骨に挟まれた空間を占拠した。
初めては、先生からだった。今日と同じ、輪郭が曖昧に写る教室。
制服の上から、僕の下腹に先生の乾いた大きな手が触れ、形を記憶するために動く。動く。
最中、不快感を覚えた。この後起こるであろう終局に軽く絶望すら感じた。
しかし、先生の優しく温かい手が僕の肉体を直接包み込んだとき、それらは次第に解け消え去った。
初めて服を着せられた新生児のようだった。綿のみで出来た真っ白な服を着る。
不快な汗を吸い取るだけではない。これからの人生に希望すら持たせてくれる魔法の服。
あの日、僕はそれを初めて着用し、漸くこの世に生まれた証を授与されたのだと思った。
ある日のこと。放課後に校内放送で呼び出された僕は、校長室の重い扉を開けた。
室内に居た3人の視線が、一斉に僕の方に向く。
セイジ先生と、クラベル校長と、何度か写真でその姿を見たことのある女性。
セイジ先生の、妻だった。
交わされた会話の内容はあまり耳に入ってこなかった。
入ってこない、というより、脳で咀嚼することを忘れていた。
目の前の女が感情を露わにし身を乗り出したときに、香水が薫った。
これに似た、近世ヨーロッパの絵画を思い起こすような牧歌的な匂いを知っている。それはスイートピーの香り。
赤や青か、どんな色かもわからない何かが輝いているように見える。
それに疲れて僕はふと、視界の焦点を校長と女の後ろ、上部がアーチ状になった窓に合わせ、目を休ませた。
数日に及びこの街を濡らし続けた雨が止み、雲の切れ間から光の粒子が漏れ出していた。
祝福だ。神様が僕達を祝福している。
そう思った僕は振り向いて、先生の右肩を押し扉を指差した。
僕の手を取って。物語はこれから始まるんだ。