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SS

【SS】あの夏、僕はポケモンを殺した

 ▼ 1 77uL6pC9U2 23/07/16 17:03:45 ID:FErk8kME NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……どうして」

 その日、少年は困惑に声を漏らす。

 自分が数分前に預けていたモンスターボールには、回復された相棒のアチゲータが入っている。はずだった。

 しかしその手に握られていたのは、天体のような深い青と黄色のボール。中にいた存在を少年はもっと知らない。

「君は誰」

 紫と白のアカデミーの学生服。日よけの白帽子。なんてことのない少年の前には、折り紙で作ったような奇妙な生物が佇んでいる。
 彼は未知のポケモンと――自分の相棒を取り換えられてしまった。
 ▼ 131 77uL6pC9U2 23/08/20 23:57:15 ID:sGrQ18cc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そこに居た者。まるで鉄の武人は――静かにカミツルギを確認する。
 
 重心が僅かに右に移動すると、つられてパキキと足元の残骸には深い裂傷が入った。

 何も映していないその瞳が恐ろしくて、いや人間だろうと手にかける冷徹な所作が信じられなくて。少年はまるで動けなかった。何度も息を吸うが酸素が薄い。肩で息をするように、少年は戦慄いた。いくら瞬きしたところで、目の前の悪夢は何も変わらなかった。

「――すらっ!」

 直後、ソウタが薄い光を目視できないくらいの素早さで、彼は後方に突き飛ばされた。
 開いていた基地内に転がり、白くまだ成長しきってない腕には切り傷。つうっと血が垂れていた。

 背負っていたリュックが転がり、中身もコレクレーも瓦礫の山に埋まる。だが安否を確かめる暇もなく、ソウタは起き上がった。

「カミツルギ!」

 渦中にいたもう一匹の相棒に声を振り絞る。
 ▼ 132 77uL6pC9U2 23/08/20 23:57:46 ID:sGrQ18cc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






 #8 狂奔




 
 ▼ 133 77uL6pC9U2 23/08/20 23:58:30 ID:sGrQ18cc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 そこは既に戦場。
 ブレードと刀、両者がかち合っては火花を散らす。一瞬の隙から開始した剣戟が、因縁でもって本格的に着火した瞬間だった。

「フォウワ」

 鮮やかなピンクの刀身がカミツルギに迫る。まるでトーチを振り回すかのような弧を描いた。リーチ差は、直接両手の真剣を使用するカミツルギよりも、相手に数段軍配が上がる。

 だがカミツルギは素早い。神速のように迫り、紙の如き身軽さを見せる。左から抜いた『リーフブレード』は、鉄の武人の脇を狙う。

 しかし空を掠ってしまう。相手は『マジカルシャイン』を発動させ、一瞬の目くらましを作って来た。

「……!」

 一手、遅れをとったカミツルギ。
 すかさず戦闘経験での勘を頼りに、牽制の一刀を放つ。
 ▼ 134 77uL6pC9U2 23/08/20 23:59:37 ID:sGrQ18cc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 『スマートホーン』。『リーフブレード』とは違う、第二の刀が、この時カミツルギを救う。この鋼の一撃が鉄の武人の肘を砕いていた。完全な直感。しかしだからこそ相手は被弾した。

「フォ!」
 
 負けじとカミツルギの右手を掴むと、ぎちぎちと力でねじ伏せんとする。

 刀一辺倒で戦うカミツルギに対し、この鉄の武人はそうではない。内部エンジンを駆動させ、拳や足先すら器用に使い分けてくる。『サイコカッター』をかわす際には、自身の一部を自在に引っ込めてみせた。どこまでも生物らしさなどなく、ただ勝利に対して最速の戦いを組み立てる。

 少年の前にいたのは、あまりに冷徹。そして恐ろしく合理的な未来の生き物だった。

「……カミツルギ、そんな。君は」

 カミツルギは自分の命を散らしたとしても、今ここで、あの鉄の武人を斬り捨てる気だ。

 それほどの覚悟を持ち、鬼気迫る太刀筋だった。遠目からでも、それだけははっきりとわかる。だからこそ少年は、悲壮に満ちた声を漏らしてしまった。
 ▼ 135 77uL6pC9U2 23/08/21 00:00:36 ID:xlFQH3x. [1/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「しゅたた!」

 それでも、カミツルギと武人の鍔迫り合いは続く。

 遠隔の攻撃手段、『サイコカッター』が複数枚顕現した。刃は扇状に刺さりゆくが、鉄の武人はあの長剣にて数枚弾いた。

 だがそれでは終わらない。刺さったはずの『サイコカッター』が、再び攻撃主――カミツルギに向かって戻るような面妖な動きを見せる。被弾覚悟の時間差攻撃だった。

「フォウアッ」

 これは予想出来なかったらしい。鉄の武人は甘んじて刃を受ける。

 しかし立ち直りは異常に素早い。崩した体勢が一気に反対側へ向く。体の軸ごと半回転以上していた。そしてその予想だにしない角度から、カミツルギは反撃を喰らう。『インファイト』。シンプルな拳での打撃は、“鉄の頭”との戦いの傷を容赦なく開かせた。紙のような薄い体には、幾つもの傷が滲んでいく。

「……!」

 あのカミツルギが初めて膝をつく。
 ▼ 136 77uL6pC9U2 23/08/21 00:01:30 ID:xlFQH3x. [2/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 ジムバトルでのカラミンゴでも、カミツルギはここまで追い詰められなかった。
 それはひとえに連戦の蓄積だけではない。相手の技量、そして破れかぶれに近い今の精神性での攻撃。

 相手はただの有象無象ではない。未知の原動力と古きの体術を併せ持つ鉄の武人だ。カミツルギの全身全霊をかけようとも、未だ相手は肘を砕かれたのみだった。

 そんな現状に水を打つかのように、とあるポケモンが出てきた。

「……ぼう! かっぼう!」

 ソウタのカルボウだ。

 大穴突入後、彼女はこれまでボール内で様子を見てきた。アチゲータもカミツルギも、このカルボウにとっては大事な存在で、だからこそ黙ってなんていられない。
 ▼ 137 77uL6pC9U2 23/08/21 00:02:13 ID:xlFQH3x. [3/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 
「ぼ!」

 早く指示をくれ。

 そんな逸った目でトレーナーを見つめる。だが少年は何も言えなかった。

 目の前で、カミツルギと鉄の武人の戦いは続いている。カミツルギは丹念な攻撃準備、『つるぎのまい』の構え見せると、すかさず相手からは牽制の先制攻撃。『フェイント』が飛んできて完遂を阻む。

 この武人と剣士の戦いは、瞬きをする間にもすぐさま場面と形勢が変わっていく。ソウタの肉眼では追いきれない。ここから上手く援護射撃なんて、出来る気がしない。
 
「るーぼう!」
「無理だ。指示なんて出せない……それに」

 カミツルギが少年たちに手出ししてもらって喜ぶとは、到底思えなかった。寧ろ拒む様子すら見える。だがカミツルギが劣勢なのは事実だった。
 ▼ 138 77uL6pC9U2 23/08/21 00:03:15 ID:xlFQH3x. [4/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……っぼう!」

 煮え切らない主に対して嫌気が差したらしい。
 ソウタを無視して、単身カルボウは突っ込んでいく。炎を拳に纏い、鉄の武人目掛けて飛びついた。

 その時の武人は、一瞬の後退を見せたカミツルギを追うか逡巡していた。

 しかし攻撃を構えた瞬間、小さな火の戦士が現れた。思考する間もなく、照準を兼ねた瞳は動く。その攻撃はカルボウへと向かった。
 
「カルボウ、待っ――」

 鉄でできた拳が眼前に迫る。
 流石にこの瞬間、カルボウは自身の蛮勇を理解した。思い知らされた。一寸の狂いもない正確な無比な急所への一撃が刺さると――誰もが固唾を飲んだ。
 ▼ 139 77uL6pC9U2 23/08/21 00:04:32 ID:xlFQH3x. [5/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「――届いて!」
 
 しかしそんなことはさせない。

 少年が、ソウタが全力で駆け出す。カルボウの元へと飛び出す。

 あのビビットな瞳と目が合った。手を前に差し出し、武人がカルボウに切り替えた瞬間を目にする。
 届いて。届いて。届け。
 
 その場は、願いを聞き入れたように静かだった。

 向こう見ずに戦場へ押し入ったカルボウは無傷で、だがこれは奇跡でも、武人の攻撃が明後日にいったでもない。答えはひどく単純なものだった。



「か、かみ」

 カルボウと少年を庇い、拳を使った鋭利な一撃を喰らったのは、カミツルギだった。
 

 ごしゃっ。
 体の芯まで届くかのような、重たい打撃音。それは瞬きするよりも一瞬の致命傷。
 この予期せぬ、敵への攻撃成功に対し――鉄の武人は手を緩めたりは、一切しなかった。

「フォウ」

 鉄の武人は弓に似た長剣を持ち――紙剣を胸まで突き通す。
 ▼ 140 77uL6pC9U2 23/08/21 00:06:18 ID:xlFQH3x. [6/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 
 誇り高き神の剣は、そこからもう二度と。刀を抜かなかった。

 武人が長剣を抜き去っていく。その姿を薄べったい身体は、僅かに風に揺れるのみ。神は紙に堕ちたままであった。

「かみ、つるぎ……? そんな」

 何度も少年は呼びかけた。うわ言のように繰り返していた。

 鉄の武人は次に、その場で膝をついていた少年に向く。一歩、また一歩と近づいたが、少年は乱れた茶髪を揺らし、動かなくなった熨斗紙を見つめていた。

「僕が、あの時」
 
 もはや彼には、初めて対面したような恐怖の陰がない。

 ただだらりと伸びた両手を広げ、自分の無力感に打ちひしがれているようだった。武人が目の前に闊歩していっても、彼は何の反応も見せない。

「僕のせいで」
 
 しかし相手がどうであれ、武人は隙を見せない。容赦をしない。
 カミツルギを葬り去った時と同じ。胸のエンジン部と同じ色の長剣を、ひらりと頭上に翳す。

 あとはこのまま降ろすのみ――だったが。余裕をひけらした殺意は、討ち取られた。
 ▼ 141 77uL6pC9U2 23/08/21 00:07:15 ID:xlFQH3x. [7/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……フォア!」

 鉄の装甲に押し入るようにその時、黒い双剣が胸部を突き刺す。

 周到に、胸の急所を抉ってきた。たまらず『インファイト』を反射的に繰り出すも、相手は構わずに武人ごと双剣の片側を壁に押し当てる。鉄の装甲に亀裂が走る。相手からは小さな悲鳴が漏れ出た。

 それは青く蒼く。死なば諸共の深い執念が燃えていた。
 
 無念なる魂を直接発火させたような、悍ましく蒼い炎。それでいてあのカミツルギを思わせる、歴戦の太刀筋。突如現れた強敵に、武人は混乱する。

「君は」
 
 蒼炎の騎士は厳しく鉄の武人を見ると、少年の前へと立つ。右手の剣を静かに彼の前で構えた。

「……ソウブレイズ」
 
 この時、鉄の武人を追い詰めていた一体のソウブレイズ。

 友の仇を討つため、主を助けるため。また師の無念を晴らすために。彼女は悲劇的な進化を遂げた。悲壮と呪いに濡れ、祝福を忘れた青紫の甲冑。今ここに無念を燃やした剣を持ち、立ち上がっていたのだ。
 ▼ 142 77uL6pC9U2 23/08/21 00:09:13 ID:xlFQH3x. [8/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



◆◇


 カミツルギと鉄の武人。そしてソウブレイズ。

 彼らの熾烈な戦いの横脇で、ひとり瓦礫の山に投げ出されていたコレクレー。

 いつものようにソウタが拾いに来てくれる様子もなく、ただ周りで起きている恐るべき惨状を見ていた。いや見ていることしかできなかった。

「レー、コレレ……」

 旅の仲間の中で最もひ弱なコレクレーには、とてもあれを助けられそうにない。

 だがソウタやカルボウ、彼らに情がないわけでもない。
 むしろここまで生意気言っても、コレクレーと共に歩んできた彼らは、決して口には出さないが大事な仲間だった。このまま楽しい冒険が続くと思っていた。それだけでいいと、そう思っていたのに。

「コレ……」
 
 だが現実は違った。
 少年は決死の覚悟で大穴に飛び込んだ。カミツルギは因縁に破れ、見知ったカルボウはソウブレイズへと悲劇の変貌を遂げる。
 ▼ 143 77uL6pC9U2 23/08/21 00:10:34 ID:xlFQH3x. [9/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 コレクレーはようやく重たい“箱フォルム”を解除する。とぼとぼとひとり歩き出した。この大穴脱出の手がかりを探そうと動いたのである。

「クレ」

 コレクレーは、これでも一応自分は卑しくてちっぽけな存在とは知っている。だからカルボウやカミツルギのように、少年の為に戦うにはあまりに微力過ぎた。

 なのでせめてと自分に出来ることをする。探知だ。ダウジングツールにも似た触覚で辺りを探る。これまではコインを見つける為に使ってきたが、今日この瞬間だけは違う。自分以外のために初めて能力を使う。

 神さま、これまでは確かにダメでした。でもどうかいるなら、今日の勇気に慈悲を。

 そんな切なる祈りで、未知の洞窟を探索していた。貝の真珠層のように輝く結晶に、奇妙な花のポケモン。野生に見つからぬよう、恐る恐るコレクレーは歩いていく。



「コレ?」
 
 ふと触角は大きな反応を察知し、金の亡者は立ち止まる。
 そこでは、コレクレーの願いを聞いたかのように――運命の女神が微笑んでいた。
 ▼ 144 77uL6pC9U2 23/08/21 00:11:31 ID:xlFQH3x. [10/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 




 #9 ゴールドラッシュ




 ▼ 145 77uL6pC9U2 23/08/21 00:12:37 ID:xlFQH3x. [11/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ソウブレイズは騎士のように自分の主の前に立つ。

 長剣から発生した攻撃、相手の『サイコカッター』。蒼い炎を纏った騎士はまず右で受け流す。次いで追撃を左で弾くと、空いていた右で燃え滾る炎を脇下から差し込んだ。

 無念の剣は相手を燃やし、更なる業火を見せる。

 後ろで項垂れていたソウタに、ちりちりと淡い燐光が目に付いた。大きく変わった後ろ姿。だがどこか懐かしくて寂しい、あの剣の構え方。

 その正体に心当たりがあった少年は尋ねる。

「ソウブレイズ。君の中には、いるんだね」

 静かに瞳だけを動かし、ソウブレイズは肯定した。

 カルボウだった彼女は、元のせっかちな性格を半分失くしていた。落ち着き払い、進化したばかりの体で、鉄の武人と渡り合う。
 ▼ 146 77uL6pC9U2 23/08/21 00:13:54 ID:xlFQH3x. [12/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「ギギ、フォウ、ア……」

 武人は半壊してはいるものの未だ器用に半身を動かし、目の前のソウブレイズを狙っていた。

 しかし断念した。度重なる連戦、そして恐るべき敵の執念に。鋼鉄の武人は初めて後退を見せていたのだ。

「フォ、フィ!」

 照準を失くしてカラカラと無意味に回るビビットピンクが、この時後ろに向かって叫んでいた。

 すると呼応したように、何者かの影。

 武人やここに来るまでにいた鉄の首、彼らに似たハリテヤマモドキやデリバードロボットが多数。続々と、研究基地からこちらにやってきている。

「……まずいよ、増援だ!」

 はっとしてから、少しだけ平静を取り戻したソウタは、彼を庇っていたソウブレイズに言う。
 いくら武人を追い込んだとはいえ、このままでは絶対に勝ち目なんてない。

 その時だった。
 ▼ 147 77uL6pC9U2 23/08/21 00:14:48 ID:xlFQH3x. [13/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 少年にソウブレイズ、そして未来パラドックスの集団。彼らを全て覆い尽くすような金色の波が出現する。確かな地響きと物量に、後方にいた鉄の包み達は皆フリーズした。この異質な大波への警戒態勢に切り替わる。

「次は何!?」

 突如現れた荒々しく輝く黄金の波。それはよく見てみると、どれもが小さな金貨でできている――黄金の波であった。

 
「ヒアウィ……」

 巨大な波を手繰る乗り手が、掛け声でもって迫る。
 その瞬間、波打っていた金塊は全て機械じみた集団に向く。そして数秒後――。



「――ゴー!」

 それは掛け声と共に弾丸のように発射された。その数、数千枚を優に超える。
 あまねく金の硬貨が、高速で回転し、鉄のポケモン達に襲いかかる。辺りに弾け、穴を開け、凹ましては、その場にいる全員の目を覆った。
 ▼ 148 77uL6pC9U2 23/08/21 00:15:59 ID:xlFQH3x. [14/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「うわっ!?」
 
 すかさず波乗りの使い手――サーフゴーは、目的である茶髪の少年を抱きかかえて波に乗る。

 残った金貨を総動員し、大穴の上層へと無理やり自分達を押し上げていく。すんでのところで、サーフゴーの板を掴んだソウブレイズも続く。

「……誰!?」
「コレムリ! ハヤクニゲル!」

 それは人型をした黄金のポケモンだった。無理矢理抱きかかえられて、ソウタはあの武人からは遠ざかっていく。

 後ろには何度も金貨が自分達を押し流しては、またサーフゴーに回収され、器用に操られていた。

 洞窟いっぱいに広がる黄金、その狭間。白く動かなくなった紙の剣士もまた、次第に見えなくなっていく。せめぎあった金に埋もれていく。
 
「カミツルギ……」

 少年はサーフゴーに抱えられたまま、その姿に呟いた。
 ▼ 149 77uL6pC9U2 23/08/21 00:17:02 ID:xlFQH3x. [15/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 サーフゴー手繰るこの逃走、後方には早くも飛翔する追手が迫っていた。焦って少量の金貨で狙撃してみるが、先ほどの『ゴールドラッシュ』が響いており中々落とせない。

 高速で迫るは鉄の毒蛾に、鉄の頭。

 楽園防衛プログラムの寄越した追っ手達が、先頭を行くサーフゴーを狙い澄ます。

「ヤッベーコレ!?」
「どおー!」
 
 しかしここで、自分の意志で出たドオー。
 ドオーは黄金のサーフボードを根性で咥えると、掴まりっぱなしであったソウブレイズを、背中に乗せることに成功する。

 自身の役目を察した双剣が跳び上がる。
 そして瞬く間もなく、空中で接近する相手を十字に切り裂いた。鉄の頭が青い炎に燃やされ沈んでいく。
 ▼ 150 77uL6pC9U2 23/08/21 00:18:22 ID:xlFQH3x. [16/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「イケルゾコレー!」

 サーフゴーが勢いづいて高らかに鳴く。

 目指していたのは、カミツルギと共にワープしてきたあの研究所基地だ。

 最奥からは『ゴールドラッシュ』にて抜け出せている。漏れた追手はドオーに乗るソウブレイズが対処し、ドオーも『アシッドボム』で援護をする。次々に墜落する鉄の毒蛾。金貨を操る波は辺りに散っては補充されていく。

 トレーナーが心ここにあらずであっても、黄金に乗ってひたすら上へと昇っていく。彼らはソウタを生かすため。そしてカミツルギの死を無駄にしないため、全力で基地を目指していた。
 ▼ 151 77uL6pC9U2 23/08/21 00:18:58 ID:xlFQH3x. [17/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「コレ! コレダコレ!」

 遂にサーフゴー達は、始めにワープしてきた基地ユニットに流れ込む。

 このまま中央のワープパネルを操作し、一番上層の基地に行く。そうすれば救援も望めるかもしれない。

 彼らは滑り込むように基地内に侵入し、少年やドオーは金塊の波に押しやられて転がっていく。すぐさま入口を金塊で強引に塞ぐ。
 
 それから少年に代わり、サーフゴーが見よう見まねでパネルを操作しようとした、その瞬間。
 
 あの乗ろうとしていた中央の床が、独りでに光っていた。転送されたモノを見て、輝く黄金の体は一気に蒼白してしまう。



「……フォア、ギ、ギギ」

 最後の最後で少年たちに立ちはだかったのは――カミツルギを葬り、アチゲータを踏みつぶし、ソウブレイズにした張本人。
 執念のみでそこに立つ鉄の武人だった。
 ▼ 152 77uL6pC9U2 23/08/21 00:20:28 ID:xlFQH3x. [18/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ◆◆






 僕は昔から、優柔不断と呼ばれるような子供だった。

 だから校長先生に会った時も、僕はニャオハが好きだったけど。でも確かにずっと悩んでしまう気がしたから、ママに従った。本当に自分で決めたら、違っていたのかな。今となってはよく分からない。

『やあねぇ、アンタはドンくさいから宝探しでジムはやめときなさい』
『うん』
『そうそう。それがいいわぁ。可愛いホゲータちゃんと観光しなさいね』
『わかったよ。ママ』

 ママは確かに賢くて、僕よりずっと人に好かれる人なんだろう。そんなママの言うことにずっと従ってきた。

 引っ越して、パルデアの名門アカデミーに入学するのも、このちょっと女の子みたいなボブカットにしたのも。全部ママが決めてきた。何か言うと、「子どもは大人の言うことを聞きなさい」とよく返されていた。僕は自分に自信がなくて、それでいいと思っていた。
 ▼ 153 77uL6pC9U2 23/08/21 00:21:35 ID:xlFQH3x. [19/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 いつだったかな。

 アカデミーの授業中にも、こういうことがあった。

 今年は先生がほとんど一新されて、ただでさえ人見知り気味だからドキドキしていた。  

 そしたら、美術で「好きなモチーフを自分で決めましょう」と言われた回があった。ほとんどの子がテーブルシティ周りの好きな風景を描きに行った中で、僕はひとり教室にいたんだ。

 金髪の先生に「大丈夫ですか」と優しく尋ねられて、その時初めて気づいた。僕はすごく申し訳なくなったのを、よく覚えている。
 ▼ 154 77uL6pC9U2 23/08/21 00:22:37 ID:xlFQH3x. [20/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 今だってそうだ。

 僕を助けているこの金色のポケモン。多分だけどあのコレクレーだ。それからドオーと、ソウブレイズ。彼らは皆みんな自分の意志で立ち上がって、自分の意志で戦っている。

 確かにトレーナーとして、いっちょ前に指示をすることもある。それでも常に戦っているのは彼らで、傷だらけになるのもこうして命を張るのも……全部彼らポケモンがやってくれてしまう。

 じゃあ僕って何なんだろう。本当に僕って必要なのかな。
 
 僕はお膳立てされて、後ろで見ていたら終わり。ママと一緒だ。勝手にホゲータを選ばれた――あの時と全く変わらない。
 
 そうだ。僕は昔から選べなかった。

 だからチャンプルジムでは、判断が遅れてカルボウにテラスタルできなかった。オトシドリと戦ったときも、あっという間にウパーを連れ去られた。そして探してたアチゲータは、戦っていたカミツルギは……。

 



 
「僕が選べなかったから、死んだんだ」
 ▼ 155 77uL6pC9U2 23/08/21 00:23:28 ID:xlFQH3x. [21/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告






 #10 決断






 
 ▼ 156 77uL6pC9U2 23/08/21 00:24:31 ID:xlFQH3x. [22/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 半ば狂気じみた執念で、鉄の武人はそこに立っていた。

 もう相手も虫の息で、右腕から硝煙が漏れ出て、首の部分に至っては完全に明後日を向いている。それでもなお、ソウブレイズに対し剣を突き立てようと、先が欠けた長剣を握ろうとするが、落としてしまった。

 完全に固まっていたサーフゴーに対し、毅然とした騎士が前に踊り出る。

「ゴ、ガガ……」

 ソウブレイズは、燃ゆる双剣の片方を突き刺す。蒼き瞳は氷海のように冷たい。容赦などまるでなく、青く燃えた刀身が胸部に沈みゆく。

 あと一撃入れれば、相手は仕留めきれるだろう。

 もはや相手にかける情もない。このまま介錯を図ろうと、空いた蒼剣を振るおうとした。

「待って」

 ソウブレイズは振り返る。
 それは彼女が言うことを聞く、ただ一人の声だったからだ。


「僕がやる」
 ▼ 157 77uL6pC9U2 23/08/21 00:25:27 ID:xlFQH3x. [23/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 そのひどく落ち着いていて、決死に満ちた声色に。そしてその返答に。

 ソウブレイズは戦慄していた。これまで共に旅をして来たが、そんな声は聞いたことがない。少年の覚悟が滲む。

「ごめんね。みんな……ここまでさ、何も言ってないのに。だからこそ」

 ソウタはゆっくりと歩いていくと、あの武人が持っていたブレードを手にした。
 自分の背と同じくらいある、ピンクの刀身を拾い上げる。


「君たちだけになんて、背負わせたくない」
 ▼ 158 77uL6pC9U2 23/08/21 00:26:29 ID:xlFQH3x. [24/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 少年が倒れていた鉄の武人に剣を翳すと、初めて相手は恐怖に身体を動かした。動揺し、少年からじりじりと後退しようと、身を懸命に捩る。

 思わず「えっ」という困惑の声が漏れる。少年のものだった。

「生き、ているの……?」
 
 ここで初めて気が付いた。相手もまた、ただの生物なのである。

 ソウタが憎み、カミツルギが悲願を成就できなかったこの鉄塊もまた――ただそこに生きていただけの、ポケモンに他ならなかったのだ。

「フォ、ワァ」

 赦してくれと微弱にも手足を動かす。苦しみ、もがいては、まだ生きようとしていた。照準と思い込んでいた瞳が懇願する。ドットにも似た粗い瞳だが、確かにソウタを見ていた。
 ▼ 159 77uL6pC9U2 23/08/21 00:28:07 ID:xlFQH3x. [25/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「そっか。そう……なんだ」


 薄く泣くようにして少年は微笑んでいた。

 生きたいという最も強い執着。

 彼らはその本能に忠実で、きっと相手の立場でも同じ顔をしていただろう。それが普通だから。それがあるべき姿だから。考えては思い至って、少年は鉄でできた武闘家を見つめていた。

「でも、ごめんね」



 それから少年は手にした剣を――テツノブジン目掛けて、真っ直ぐ振り下ろした。


 頭部に差し込み、破片が散り、その形が無くなるまで。少年は鉄塊を砕き続けていた。

 自分のこの手で、自分の意志で選んだ選択。それがこのポケモンを殺すということ。ただそれだけだったから。

 ソウブレイズは自分の守りたかった少年の選択を、その場でただただ目に焼き付ける。再び静寂が訪れるその時まで。彼の行いをしんとした青い瞳で見つめていた。
 ▼ 160 77uL6pC9U2 23/08/21 00:30:03 ID:xlFQH3x. [26/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ◆◇




 大穴上層部には、既に何人かのトレーナーがいた。

 警備員から“人を連れたオトシドリ”の通報を聞いて真っ先に来ていたのは、チャンプルのジムリーダー・アオキ。彼はムクホークとトロピウスに乗り、ここに降り立っていた。

 やがて甲高い鳴き声が男に報せる。ムクホークのものだった。

「ソウタ君!」

 慣れない大声すら出して、黒スーツの男は捜索していた少年に駆け寄った。

 そこには少年を黙って見つめるばかりのソウブレイズに、足元には大きな鉄の破片。折れた蛍光色のブレードを持つ彼は、穏やかにこちらを振り向いていた。

「無事、でしたか……怪我は!?」

 青くて透明だった瞳が揺れる。
 切りそろえられていた茶髪はすっかり乱れていて、白いスクールハットはもう被っていなかった。よく見ると腕を怪我していたが、少年はまるで気にしていなかった。
 ▼ 161 77uL6pC9U2 23/08/21 00:31:04 ID:xlFQH3x. [27/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「アオキさん……?」
 
 アオキはそのしんとした眼差しに凍り付いていた。

 ここで一体何があったのか。
 彼のソウブレイズを見れば、すぐにわかってしまった。それでもアオキは少年を軽く抱き寄せると、自身の着ていたジャケットと肩にかける。

「すみませんでした。これはエリアゲートを管轄する、自分の責任です」
「違うんですアオキさん。僕は」

 それからアオキは、彼の足元に目を向ける。

 先日会った時とは、また違った強い覚悟。それが少年を動かしてしまった。グレンアルマとなるはずのカルボウが――ソウブレイズになっていた。

 その咎まで背負おうとした彼を、止めずにはいられない。
 
「君のような若い学生が、そんなものを背負う必要はな……」
「それは違う!」

 これまで常に大人に従ってきた大人しい少年は、いつしかアオキの言葉を遮っていた。それには男も驚いたのだろう、何度か瞬きしている。


「だって僕も貴方と同じ。ポケモントレーナーだから」
 ▼ 162 77uL6pC9U2 23/08/21 00:31:57 ID:xlFQH3x. [28/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 
 この言葉に、アオキは何も言えなくなってしまう。

 自分がこの少年にチャンプルのジムバッジを与えた。それが何よりの証拠であったから。

「僕が決めたことなんです」

 少年の青く澄んだ瞳。いつしかそこにはアオキの顔が映っていて、彼が薄く微笑んだまま止まっている。それが涙を堪えてると知るまで、さほど掛からなかった。

 それからややあって、ソウタはあの時の決断を。告白を。「アオキさん」と改めて口にしていた。

 少年の手には、既に空っぽになってしまったボール。青く美しい天体が小さくなって、そのまま握られていた。


 
 

「僕は、ポケモンを殺しました」
 ▼ 163 77uL6pC9U2 23/08/21 00:33:27 ID:xlFQH3x. [29/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告





 #11 ひと夏の結末
 

 

 ▼ 164 77uL6pC9U2 23/08/21 00:34:28 ID:xlFQH3x. [30/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 

 

「それで、その学生をそそのかしたのがアナタだと?」

 長く金を宿した黒髪はたなびいた。黒と青のスーツの女性は振り向く。トップチャンピオンに相応しい輝かしい金の瞳が、射貫くように謝罪する男を見ていた。

 アカデミー学園長を兼任するオモダカは、今回起こった異例の事態を重く捉えていた。だからこそ、そうは考えられない理由を提示してきたアオキを、何度もなじるように見ては問い詰める。

「はい。申し訳ありません」
「当事者の学生は自分で全部やったと言ってます。計画や手順も全部話してました。それに――」
「いえ。全ては、ジム戦時に止めなかった自分の過失です。はい」

 アオキはそれからも、当の学生に対する自分からの過失をいくつか並べていった。

 それらを聞いてもなお、アオキが全面的に悪いという人間は少ないだろう。しかしどうにも今回、この男の意志は固かった。
 ▼ 165 77uL6pC9U2 23/08/21 00:35:31 ID:xlFQH3x. [31/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「アオキ。本当にアナタのせいなのですね」
「間違いないです」
「そうですか。確かに例のポケモン、チリにも隠してたみたいですね。ならばそうなんでしょう」

 彼女から見た男は不思議であり、やや不快だった。

 今回の学生大穴侵入の件は、どう見ても学生個人の責任だ。アオキは以前から、実力に見合わない上昇志向のなさだが、今回は自分がジムで相手した男子学生をとことん庇っていた。

「代わりに聞かせてください。アオキ、なぜそこまで彼に肩入れを?」
 
 オモダカから見たあの男子学生は、自ら校則を破って命の危機に瀕した、自業自得の人物でしかない。大穴突入作戦のしたたかさには驚いたが、アオキがここまで肩入れする理由は分からない。

 アオキはここに来てから常に下げていた目線を戻した。「はい」と消え入るように返事をする。



「彼がポケモンを殺した理由が…………自分にも、共感できてしまったからです」
 ▼ 166 77uL6pC9U2 23/08/21 00:37:17 ID:xlFQH3x. [32/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 それからも、男は真一文字の太眉をしていた。

 オモダカも負けじとアオキを厳しく見てはいたが、やがてため息が漏れる。これ以上は動かないと、彼女は察したらしい。

「アナタには始末書のほかに、これまで非番時のみだった四天王の空席にも、正式に入ってもらいます。それ以外の異論や処分は認めません」
「……はい」
「解ったら速やかに退室して下さい」
「はい」
 
 オモダカは不満そうに腰を曲げたままの男を見る。

 退室の際に小さな声で、アオキが「ありがとうございます。トップ」と消え入るように呟くのが聞こえた気がする。

 彼女はそれを遮るように力強く、持っていた紫の学生証を閉じていた。
 ▼ 167 77uL6pC9U2 23/08/21 00:38:16 ID:xlFQH3x. [33/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ◆◆

 


 それから季節は巡り、再び春がやってきた。
 屋根でとまるイキリンコたちに、ふわふわと風に乗っているハネッコ。潮風穏やかなコサジの町並みは変わらない。
 
「すごーい! 服装自由だって!」

 パルデアの名門、グレープアカデミーの入学式前日。

 黒いみつあみをした少女・アオイは、改めて入学パンフレット片手に母親と喜びあっていた。昨日に選んだニャオハが可愛くて、すぐにでもコサジの家を飛び出したい気分だった。

「でもねアオイ、確か校則は一つだけあったでしょ」
「え、なんかあったの?」
「ほら大穴よ。去年……」

 母親は何かを言いかけたが、娘の入学祝いに水を差すを思い、それからは口を噤んでしまう。

 アオイの手には昨年からまた新しくなった学生証。服装自由と刻まれた次のページには、真新しいフォントにて『大穴への立ち入りは禁ずる』と、特別に大きく記載されている。

「ママ、出かけてくるね」

 アオイはニャオハを連れて、コサジの小道から海岸沿いに向かって走っていった。
 ▼ 168 77uL6pC9U2 23/08/21 00:39:11 ID:xlFQH3x. [34/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 
 アオイがモンスターボールを持って、南パルデアの海に着くと。

 既に先客がいたようだ。見ると同じグレープアカデミーの制服を着ていた。同級生だろうか。短髪の少年に、思わず「おーい!」と声をかける。

「ねえねえ、あなたも学生でしょ。わたしもなの! あ、名前はアオイ。よろしくね」
「……そうだね。よろしく」
「もしかして2年生? そのポケモンすごくカッコいい!」

 彼は振り向くと「そうだよ」と肯定してから、穏やかに微笑んだ。

 隣には青い甲冑を着た立派な剣士が立っている。剣士は静かに海を見ていた。

 その上級生は浜辺に座っていたようで、立ち上がると海で遊んでいたポケモンを呼び寄せる。すると金色のポケモンが、サーフィンをして帰ってきた。二匹をしまった彼は、特にアオイを気にせず歩き出す。
 ▼ 169 77uL6pC9U2 23/08/21 00:40:21 ID:xlFQH3x. [35/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「えっと……ごめん先輩。もしかして邪魔だった?」
「ううん。気にしないで」
「良かった」
 
 アオイは彼の後をゆっくり追った。
 すると彼のとあるものが目についたので、聞いてみる。

「その青いボールは?」

 サーフゴーやソウブレイズに使わなかった、天体のような美しい球体。

 すべてのきっかけとなった、あの夏の思い出。それを聞かれると、振り返るように深々と見つめてから。

 少年――ソウタは薄く微笑んでいた。やがてアオイに答える。

「宝物、だよ」

 その手には空っぽのウルトラボール。
 あの日に受け取った時と同じく、日差しを浴びて、きらりと神秘の青が輝いていた。

 


 


 ──END──
 ▼ 170 ノクラゲ@はっかのみ 23/09/10 13:53:52 ID:C7/6PQek NGネーム登録 NGID登録 報告
乙でした!
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