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SS

【戦争SS】タツベイ「俺は……飛べるっ!」

 ▼ 1 1◆FvXQeTACDA 16/01/22 23:18:03 ID:VSHMJE5M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タツベイ「うー……とりゃああああっ!」


タツベイ「いっててて……ちっ、また失敗かよ」

あーもう、なんかバカバカしくなって来た。

こうやって頭ぶつけるだけだしさ……おかげでなんだよ! この石頭! 俺はただ、空を飛びたいだけなのによ。

はあ……ん? あそこに人影?
 ▼ 79 1◆FvXQeTACDA 16/01/23 22:16:50 ID:NahXFsGY [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コデマ「ねえベイ! 一緒に行こう! ここにいたら、死んじゃうよ……」

コデマ「お願いだから、一緒に来て……うっ、うわあああああん!」


自分よりまず先に他人の心配するような、そんなバカ。


コデマ「……大丈夫だよね? また、みんな、人間とポケモンで仲良く出来るよね?」


コデマ「だって……あっち行ったら、ベイが、ベイが……」

タツベイ「……」

コデマ「もう僕には……ベイしかいないんだ。これでベイまでいなくなっちゃったら……」

……
 ▼ 80 1◆FvXQeTACDA 16/01/23 22:17:10 ID:NahXFsGY [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コモルー「俺は……コデマを守る。そう決めたんだ」

長老「そうか……」

コモルー「ってな訳で、じゃあな! コデマ! ついて来い! 逃げるぞ!」

コデマ「え、あっ! 待ってよ!」

長老「……はは。らしいと言うか、らしくないと言うか」
 ▼ 81 1◆FvXQeTACDA 16/01/23 22:18:06 ID:NahXFsGY [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コモルー「スピアー、お前が言ってたのは……」

スピアー「ああ。お前がコデマといるってんなら追い出されるのはわかってた。でも、お前とこいつ、2人なら上手くやってけるさ」

スピアー「そこに、俺の入る余地なんてねえだろうがな」

コモルー「……そうか。今までありがとな」

スピアー「ああ! お前らなら大丈夫だ! しっかり生きろよ!」

コモルー「……ファイアローと同じ事言うんだな」

スピアー「え? そうだっけか」

コモルー「ああ。ビックリしたぜ。まあ、それはいいんだ。じゃあな!」

スピアー「おうよ!」
 ▼ 82 ヤシガメ@きよめのおこう 16/01/23 22:19:04 ID:NahXFsGY [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここまでです
 ▼ 83 ューゲイザー◆T.tfzJNaEM 16/01/23 22:19:22 ID:Y2r8kgHw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
79ミスってね?
 ▼ 84 ョロモ@もえぎいろのたま 16/01/23 22:24:33 ID:4LPnATZg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 85 ガディアンシー@ともだちてちょう 16/01/23 23:32:55 ID:PjVgEKRk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コモルー来たー!
コモルー視点でやるのは結構難しそうだなw
 ▼ 86 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:35:56 ID:Mhv8cazU [1/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こうして、俺たちは、外の世界へと足を踏み出した。

コデマにとっては見慣れた町なのかもしれないが、俺からしたら全てが新鮮で、好奇心はもちろんあったが、それよりむしろ、恐怖の方が先立つ事も多かった。
 ▼ 87 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:36:46 ID:Mhv8cazU [2/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コデマ「……なんか、しばらく見ない間に、すっごい寂しくなってる」

まあ、戦争があんなにいろいろ壊すんなら、森以外が壊れてもおかしくはな……ん? あいつ誰だ?

おばさん「ああっ! コデマ! それと……コモルー?」

コデマ「おばさん! ……久しぶり……」

おいおい、何急に泣き出してんだよ。っつーかこいつ誰だ?

まあ、コデマの知り合いなら安心ではあるか。

おばさん「……取りあえず、家に来なさい! 今すぐ!」

コデマ「……うん!」

……はあ? 何でそうなんだよ。

コデマ「ほら、ベイ行くよ!」

おばさん「急いで」

コデマ「うん」

まあ、いいか。悪い奴じゃないなら。

気を休める時間が欲しいし。
 ▼ 88 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:37:09 ID:Mhv8cazU [3/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「コデマ! 今までどこ行ってたんだい!」

コデマ「ごめんなさい……」

おばさん「みんな心配してたんだよ?」

コデマ「……森に行ってた。昨日、爆発した、あの」

おばさん「……え? なんで、なんでそんな危ない事したんだい! もしそれで死んでたら、どうするつもりだったの?」

コデマ「ごめんなさい……お父さんも戦争に行っちゃって、もう僕には、ベイしかいなかったんだ……」

おばさん「ベイ? ああ、このコモルーか……コデマ。悪い事は言わない。今すぐこの子を森……じゃないのか、森があったとこに返して来るんだ」

はあ? いきなり何言いだすんだよ。俺がいなくなったら、誰がこのバカを守るんだ?

コデマ「ええっ! ヤだよそんなの! ベイは……友達だもん! 僕を守ってくれたもん!」

おばさん「はあ……そうか、コデマはまだ知らないのか……」

コデマ「え? 何を?」

おばさん「いいかい……」
 ▼ 89 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:37:35 ID:Mhv8cazU [4/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「今、戦争してる事はわかるだろ? そのためには、力が必要な事も」

コデマ「え、うん……」

おばさん「森にいたのなら、コデマもよくわかってるだろ? ポケモンの持つ力を」

コデマ「うん! みんなすごいんだよ!」

おばさん「そうかい。まあ、それはともかく、戦争のリーダーは、少しでも力を集めようと、ポケモンを捕まえたがっているんだ」

おばさん「それこそ、ポケモンを持っている人から、無理矢理奪ってでも……ね」

コデマ「え、そ、そんな……」

おばさん「逆らいなんて出来やしないよ。もう、無理矢理、だからね」

おばさん「敵国も、ポケモンの力を少しでも衰えさせようと、その住処を奪おうとしている。それほど、ポケモンに秘められた力は強大なんだよ」

コデマ「……」

……その言い方だと、ニンゲンはニンゲン同士、仲良くしてるって訳じゃねえのか。

そして、その戦いのカギを握るのは、俺たちポケモン……か。

おばさん「だから、コデマには気の毒だけど、無理矢理奪われるぐらいなら、逃がして来た方がこのコモルー……いや、ベイのためなんだ」
 ▼ 90 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:37:58 ID:Mhv8cazU [5/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コデマ「……それでも、それでも!」

おばさん「コデマ、それは、自己満足なんだよ。ベイが大切なら、なおさら……」

コデマ「ベイ! 僕たち、一緒にいてもいいよね? いいんだよね?」

コモルー「ああ。そう決めたからな」

コデマ「ほら! ベイもうんって言ってる! だから、それでいいんだよ!」

おばさん「……それなら仕方ない、か。その代わり、責任を持つんだよ! ちゃんと最後までベイの面倒見て、守ってあげるんだよ!」

コデマ「うん! もちろんだよ!」

……まあ、どうやら悪い奴じゃないってのは本当っぽいな。

だけど、ニンゲンの全員がこういう奴って訳でもないんだし、それは気を付けねえとな……

おばさん「取りあえずコデマ、風呂に入りなさい! 汚いったらありゃしないよ」

コデマ「あ……でも、いいの?」

おばさん「いいんだよ。コデマの家、どうせ誰もいないんだろ?」

コデマ「ありがとう!」

風呂? なんだそれ?
 ▼ 91 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:38:18 ID:Mhv8cazU [6/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コモルー「あっつ! なんだこれ?!」

コデマ「ああ……気持ちいい……」

コモルー「はあ?!」

これが気持ちいいとか……やっぱこいつバカだろ。ってか、ニンゲンっておかしい。

コデマ「ベイ、もう出るの?」

こんな熱いとこにずっと入ってる方がバカだっての。

コデマ「……まあいいか。ちゃんと体は拭いてね」

体拭く? どう言う事だよ。

――

コデマ「ふう、さっぱりしたぁ! あ、ベイ! ちゃんと拭いてって言ったじゃん! 仕方ないなぁ」

ん? なんだその白いもこもこしたの。

え、何すんだうわやめろっ!

……

コデマ「これでよしっ! どう? 気持ちいいでしょ?」

何がだよ……
 ▼ 92 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:38:38 ID:Mhv8cazU [7/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「さっぱりしたね。そうだ、今日はここに泊まってお行き!」

コデマ「え? いいの?」

おばさん「ああ。だけどね、これからもずっとって訳にもいかないよ。おばちゃんだって、生活結構大変なんだから」

コデマ「……ありがとう!」

へえ、よくわからんが、メシと寝る場所は確保出来たって事かな。

コデマ「よかったねベイ! 今日は久しぶりにゆっくり出来るよ」
 ▼ 93 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:39:07 ID:Mhv8cazU [8/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなこんなで夜は更けて行った。

ニンゲンの世界はやはり、コデマにとっては落ち着く物なのだろう、泥のように熟睡している。

だけど……眠れねえ。

俺にとっちゃ違和感全開なんだよ、ニンゲンの世界は。

この布団ってのが、あったかいのはわかる。それでも、なんかこれじゃない感って言うか……

……ダメだ。そんな事考えてる余裕があるなら寝ないと。

明日からどうなるかは、まだ全くわかんねえ。

それに備えて、寝とかないと……

……なんて考えてたら、眠れないんだよな。わかってんよんな事ぐらい。

だけど……あークソ。
 ▼ 94 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:39:42 ID:Mhv8cazU [9/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ちっ、結局ほっとんど寝られてねえ。

ふああ……

コデマ「……おはようベイ。なんか眠そうだよ?」

……寝てないからな。

おばさん「おはよう。どうだい? 調子は」

コデマ「全然大丈夫だよ!」

おばさん「それはよかった。……取りあえず、お前が帰って来た事を、このコモルーの存在を隠してみんなに伝えないとね」

おばさん「だから取りあえず、2人で自分の家に帰ってくれないか? ……いや、それも無理か。いつも誰かが、コデマの帰りがまだかってあの家を見張ってるからね」

コデマ「そんな……」
 ▼ 95 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:40:02 ID:Mhv8cazU [10/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「だから、取りあえずコモルーには隠れてもらって、それでおばちゃんが保護したって事にして、取りあえずコデマには帰ってもらう」

おばさん「1回帰ってから、またしばらくしたらおばちゃんが送り届けるよ、このコモルーを」

コデマ「なんで1回帰らないとダメなの?」

おばさん「変に怪しまれないようにするためさ。おばちゃんに任せな!」

コデマ「……大丈夫だよね?」

おばさん「もちろんさ! じゃあ、コモルーはこっちに来なさい」

はあ? 俺はこいつを……

コデマ「今だけだから、ね?」

……まあ、コデマがそう言うなら。こいつは悪い奴じゃないしな。

おばさん「じゃあ、コモルー」

はいはい。
 ▼ 96 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:40:25 ID:Mhv8cazU [11/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
よっと。ここ暗いな……ま、仕方ねえけど。

おばさん「ああ、うん。コデマを見かけたから、取りあえずうちで保護してるよ。風呂とか、ごはんとかは済ませた。ほら、コデマ」

コデマ「あ、もしもし。僕です。心配かけてごめんなさい」

おばさん「変わったよ。ってな訳で、今から送り届ける。……うん、わかった」

おばさん「さ、行くよ!」

コデマ「うん。ベイ、ちょっと待ってね」

いや、こっから出せよ。

……ちっ、行っちまった。

……あれ? 眠い……寝不足だし……

……
 ▼ 97 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:40:45 ID:Mhv8cazU [12/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「起きな! 何寝てるんだい!」

……ん?

おばさん「さあ行くよ! ついて来な!」

ああ、そうだ。

完全に寝てた。

おばさん「ほら、さっさとする!」

はいはい。
 ▼ 98 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:41:06 ID:Mhv8cazU [13/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「……大丈夫そうだね」

……ニンゲンは、いないな。

おばさん「こっちだよ」

おうよ。

!……なんだ? 今なんか一瞬ヤな予感がしたんだけど……

……気のせいか。
 ▼ 99 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:41:26 ID:Mhv8cazU [14/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おばさん「こっちだよ」

……えらく物々しいな。

こんなとこに住んでんのか? コデマの奴。

おばさん「さあ、入った。コデマも待ってるよ」

……まあ、そうなんだろ。

さあて、行くか。

足を門の中に踏み入れた。

背後で扉が閉ざされる音がした。

赤い光が辺りを照らし、耳障りな音が鳴りだした。

コモルー「なっ……!」

しまった……これ、ワナだ! どう考えても!

うぐっ……この煙……やべえ、また……眠い……
 ▼ 100 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:41:48 ID:Mhv8cazU [15/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ううっ……

頭いてえ……

コモルー「……うああ……」

……ああ、俺はハメられて……ここは?

コデマ「あ、ベイ! ここは?」

いや、それがわかれば苦労はしねえよ、あークソ。

コデマ「えっと……確かおばさんに連れられて、それで……『ごめんね……暮らしていくためには、どうしようもないんだ』って、それで……」

コデマ「……ここ、檻だよね。鉄格子があるし。もしかして、戦争してる人に、捕まっちゃったの?」

……はあ?

あのニンゲン、味方じゃねえのかよ!
 ▼ 101 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:42:15 ID:Mhv8cazU [16/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

アプライ「……なあ」

人間A「どうした?」

アプライ「あのコモルー、たぶんだけど、俺が捨てた奴だ」

人間A・B「はあ?!」

アプライ「……あの張り紙……見付けた奴には高額謝礼って奴の絵見た時からなんとなくそんな気はしてたんだが、やっぱりそうみたいだ」

アプライ「ファイアローも、知ってるらしいし」

人間B「そうか……」

アプライ「俺があいつを逃がさなかったら、あいつも、コデマって奴も、こんな事には……クソッ!」

人間A「なあ、アプライ、お前、あいつらを助けたいのか?」

アプライ「ああ……だが、許される事じゃない。あいつらは、1人の兵士を再起不能の重症に追い込んだんだ。わかってるよんな事ぐらい……」

アプライ「……どうすりゃいいんだよ……」

――
 ▼ 102 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:42:37 ID:Mhv8cazU [17/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コモルー「うおりゃっ! ちっ、ビクともしやがらねえ」

コデマ「この檻、硬いね……どうすればいいんだろ……って言うか、おばさん、なんで……」

そんな事気にしてる場合じゃない。

今は、目の前のこの緊急事態をとにかく脱出しないと。

じゃないと、これからどうなるかなんて、だいたい察しが付く。

コモルー「うおりゃっ! ……クッソおおおおお! 壊れろ! 壊れろっ!」

コデマ「ストップ! これ以上やったら、ベイが……」

……ならどうしろって言うんだよ。

コデマ「……僕もやるよ。ベイにばっかり無理はさせられない」

コモルー「は?」

それこそバカだろ。お前が、ニンゲンごときの虚弱な体でこれが壊れるとも思えない。

コデマ「行くよっ!」

コモルー「やめろバカ! お前がやった所で無駄なんだよ! 俺に任せてろ!」

コデマ、お前はダメだ。

コデマ「どいてよ! 僕も手伝う! ベイ1人に無理させられないよ……」
 ▼ 103 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:42:57 ID:Mhv8cazU [18/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「おい! 静かにしろっ!」

コデマ「ひっ!」

な……!

お、お前……!

アプライ「頼む。静かにしてくれ。今助けるっ!」

アプライっ! お前、なんでここに……

アプライ「……ありがとう、2人とも」

コデマ「えっ?」

アプライ「ああ、いや、こっちの話だ」

お前、今更何俺に絡もうとしてんだよ。

いや、でも助けてくれるなら誰でもいいか。例えそれが、こいつだったとしても。
 ▼ 104 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:43:37 ID:Mhv8cazU [19/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

人間A「……策、無い訳ではない」

アプライ「……え?」

人間A「だけど、お前の身の安全は保証出来ない。それでもいいのか?」

アプライ「……」

人間A「正直、俺はお前にそんな無謀な事、して欲しくない。だけど……」

人間B「え、なんだ? どんな事なんだ?」

人間A「……お前は、俺たちからトイレとかなんとか適当な理由付けて逃げる。そのまま助けるんだ。自らを犠牲にして」

人間A「手違い、って事にしても、お前にとって不利益を被るのは避けられない。危険な仕事に就かされて、たぶん、いずれにせよすぐに死ぬ」

アプライ「……」

人間A「お前は……どうしたい? お前がどうしてもってんなら、俺は止めない」

アプライ「俺は……」

――
 ▼ 105 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:44:01 ID:Mhv8cazU [20/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アプライ「今更罪滅ぼしになるだなんて思ってねえが……ほら、開いたぞ」

コデマ「おじさんありがとう!」

アプライ「おじ……まあいいか。取りあえず、逃げるんだ。あそこをああ行って、次の角右に曲がって……ると裏口がある。そこから逃げられる」

アプライ「崖筋だから、気を付けろよ」

コデマ「えっと……右、左……右だね!」

アプライ「違……ちっ、ついて来い!」

コデマ「やったねベイ! 助かった!」

……こいつはクズだ。だけど、嘘吐く奴じゃないのは俺が一番知ってる。

ついて行っても、問題はないだろう。

アプライ「……結局、どうしてもこいつは巻き込まれる運命だったんだな」

? 今なんか言ったか?
 ▼ 106 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:44:45 ID:Mhv8cazU [21/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
はあっ……はあっ……

アプライ「右だ」

コデマ「……なんで僕が前に?」

アプライ「演技だ。察してくれ」

コデマ「……わかった」

アプライ「……着いた。そこが裏口だ。誰でも出られる」

コデマ「うん! おじさんありがとう!」

アプライ「どうも」

……まあ、なんだかんだ言って、アプライのおかげで助かった訳だ。そう言う点では感謝しねえとな。

アプライ「ファイアロー。お前もついて行ってやってくれ」

……うおっ! どこにいたんだファイアロー。
 ▼ 107 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:45:31 ID:Mhv8cazU [22/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ファイアロー「……まさかまた会うとはね。アプライ、タツベイが巻き込まれないようにってあんたを逃がしたのに」

……え?

ファイアロー「行こ。逃げないとダメなんでしょ?」

コモルー「……なあ、なんでお前は残されたんだ? ファイアロー」

ファイアロー「さあ。でも、私は、残りたいから残った。それなのにたまに嫉妬しちゃうわ。なあんてね」

コモルー「……」

コデマ「……行くよ!」
 ▼ 108 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:45:56 ID:Mhv8cazU [23/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コデマ「……うわあっ!」

な……ニンゲン?!

ファイアロー「そんな……なんでいるの……」

アプライ「……俺の行動なんて、読まれてる、ってか」

武装したニンゲン共が大量にいる。

崖筋の左右から迫って来る、か。

アプライ「ちっ、後ろも……ファイアロー! こいつらをかばって戦うんだ!」

ファイアロー「了解!」

アプライ「……コモルー。いいか、飛ぶんだ」

コデマ「ええっ?! まだベイは、飛んだ事……」

アプライ「お前、散々練習してたんだろ? 何のためかは知らんが」

アプライ「俺としては……飛べないお前なんて、いらない」

……!

何か、わかった気がする。

俺が、なんのために飛びたかったのか。
 ▼ 109 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:46:20 ID:Mhv8cazU [24/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告














俺は、なんだかんだ言って、こいつに……アプライに未練があったんだ。













 ▼ 110 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:46:43 ID:Mhv8cazU [25/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アプライ「飛ぶんだ! 空は、いつでも開けてる! いつでも逃げられるんだ!」

……そうか。そうなんだ。

それを認めた瞬間、自分の中で、何かが弾けた。

コモルー「……」

アプライ「今すぐだっ!」

コデマ「……どっちみち、逃げ道なんてないよね。やらなくても、どうせ死んじゃう。なら、やってみようよ」

……当たり前だ。

行くぞコデマ。しっかり掴まってろよ!


コモルー「俺は……飛べるっ!」
 ▼ 111 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:47:03 ID:Mhv8cazU [26/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
崖から飛び降りた。

いつぞやのように。

顔を切り裂く風の中、必死にそれと戦う。

今は、落ちる訳にはいかないんだ。

コデマ「うわあああああっ!」

クソッ! あんなに練習したじゃねえか俺! 

しっかりしろ!

コデマ「ベぇぇぇぇええええええイ!」

クソッ、このままじゃ、激突する……!

コモルー「飛べる……」

飛べ。

コモルー「飛べる」

飛べっ!

コモルー「飛べるっ!」

飛べぇぇぇぇええええええっ!
 ▼ 112 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:47:25 ID:Mhv8cazU [27/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コデマ「……何これ? また光って……」

……それどころじゃねえ! もう……間に合わ……

いや、諦めちゃ駄目だ。絶対に……!

背中で、何かが動いた。

……あれ? 俺、浮いて……飛んでるっ!

コデマ「……やった! 大成功だよ!」

ボーマンダ「俺……飛べた……」

なんか、一気に力が抜けた。

コデマ「行こう! 遠くへ! 誰も追いついて来られないぐらい遠くへ!」

ああ。誰も知らないような……俺とコデマを引き剥がす奴のいないような所へ。

今の俺なら……どこまでも飛べるから!
 ▼ 113 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:47:52 ID:Mhv8cazU [28/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
――

アプライ「やった……よくやった、ボーマンダ」

アプライ「さあて、俺はもう、どうしようもねえな……ファイアロー!」

ファイアロー「ふぁろ?」

アプライ「逃げろっ! 俺の事は気にするな!」

驚いたような表情を見せるファイアロー。

いいんだ。初めから、決めていた。

こいつが危険になったら、空から逃がすって。

アプライ「いいからっ! 逃げろ! 頼むから!」

俺の声が通じたのか、ファイアローも飛び去った。
 ▼ 114 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:48:12 ID:Mhv8cazU [29/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
手を乱暴に締め付けられながら、消えゆく陰をただ眺めている。

ファイアローが無事でいるのか、それだけを心配して……

――
 ▼ 115 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:48:35 ID:Mhv8cazU [30/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後、ボーマンダたちの行方を知る物はいないと言う。
 ▼ 116 1◆FvXQeTACDA 16/01/24 20:51:24 ID:Mhv8cazU [31/31] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
当SSはこれにて完結です。
お読みくださり、ありがとうございました。

コデマリ(コデマ)の花言葉
伸びゆく姿、努力
優雅、品位
友情

リンゴの実(アップル→アプライ)の花言葉
誘惑
後悔
 ▼ 117 カ使い◆jJ19pCqLQY 16/01/24 20:56:16 ID:CB5ObyuU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 118 マワリ@オレンのみ 16/01/24 21:09:46 ID:u2sTKSeg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙 アプライめっちゃいいやつで感動した
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