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【無人島SS】無人島漂流記

 ▼ 1 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/07 13:34:06 ID:Q6pImSug NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=245182#top
↑冒頭シーン(2〜7レス)です。お読み下さい
 ▼ 52 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:14:16 ID:DK06TdTk [1/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


それから数日後。

僕達はあの遺跡へと向かった。

大人の人間でも余裕で入れるほど遺跡は大きくて、それでもって薄気味悪い所で、今にもお化けか何かが出てきそうだった。

僕は怨念や悪霊の類は得意じゃないんだ…


そんな僕に相対するように、彼女は乗り気だった。

彼女の軽い足取りを見ると、余程腕に自信があるのがわかった。

 ▼ 53 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:15:36 ID:DK06TdTk [2/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜遺跡内部〜


トゲチック「…かなり風化が進んでるわね」

ヒトカゲ「早く回収して帰ろう…?」

トゲチック「そうね。いつ崩れるかもわからないわ」


不気味な雰囲気が僕の身体にまとわりつくようだ。

朽ちている柱が僕の安心感を根こそぎ持っていく。

ここにいると、心が闇に呑み込まれそうな気がした。


「ねぇ、ここに住まない?」

ヒトカゲ「…え?」

「この島から脱出するのやめて、ここに住まない?」

ヒトカゲ「いやいや。何言ってるの?絶対イヤだよ」


不意にこの島に住むことを提案された。

僕は彼女の方に振り向くことなく、前だけを見て返事をする。
 ▼ 54 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:22:40 ID:DK06TdTk [3/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「…なんで?」

ヒトカゲ「…いや、なんでって…」

「私が醜いから?」

ヒトカゲ「…何言ってるの?トゲチック」

トゲチック「なによ、さっきから一匹でボソボソ喋って…気持ち悪いわよ?」

ヒトカゲ「え?」


途中で会話が成り立っていないような気がして、ようやく彼女の方を振り向く僕。


ヒトカゲ「ひ、酷いな。君が話しかけるから返事をしているのに…あはは…はは…」
「私が」

「醜いから?」
トゲチック「…ねぇ。」
「みニクィかラ?」
「ネぇ。ねェネぇ」

ヒトカゲ「ごめん、わかってるから。もう何も言わないで。」

この遺跡、何かがおかしい。そう思った刹那、彼女は言った。

トゲチック「あらそう。じゃあ態度で示させてもらうわ」
 ▼ 55 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:31:47 ID:DK06TdTk [4/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



トゲチック「『みやぶる』!!」


彼女がそう叫び、目を見開いた瞬間、黒い霧のようなものが目の前に密集し始めた。

それはどんどん密集していって、やがて一つの黒い塊へと具現化した。


ジュペッタ「クケケ…やるじゃないか…」


呪いのような、怨念の塊のような、そんな雰囲気の人型のポケモンが目の前に現れる。

トゲチック「…ジュペッタ、ぬいぐるみポケモン、攻撃力に特化…ゴーストタイプ。」

ジュペッタ「…クケケケケケ…」

ヒトカゲ「…ゴースト…幽霊ってこと?」


僕の問いかけを無視し、淡々と相手を分析していく彼女の姿は戦闘のプロそのものだった。
 ▼ 56 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:33:08 ID:DK06TdTk [5/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ジュペッタ「さぁ…大人しくここで私の養分となれぇぇぇ!!!」

ヒトカゲ「…っ!」


もの凄い形相で襲いかかってきたジュペッタに身構える僕。


トゲチック「…残念だけど、遠慮しておくわ…」スッ


それに対して、彼女は汗一つかかないで指を一本立てると、その指をフリフリと振った。

すると、次の瞬間彼女の前の空間がグラりと歪んだ。


トゲチック「…『シャドーボール』!」

ジュペッタ「…っ!?」ボッ


歪んだ空間から放たれたのは、紛れもなくシャドーボールだ。

どうやら、さっきのモーションは『ゆびをふる』だったらしい。

モロにシャドーボールを喰らったジュペッタは霧のように消えていった。
 ▼ 57 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:34:55 ID:DK06TdTk [6/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ヒトカゲ「…わぁ…」

トゲチック「…ま、ざっとこんなところね」

ヒトカゲ「…」


さっきのジュペッタが反応することもできずに消し飛んだのを見て、この時ほど女性の強さを感じたことは無かった。

ジュペッタを倒したからか、遺跡の不気味な雰囲気が少し薄くなった気がする。


ヒトカゲ「は、早く行こう。」

トゲチック「…なにビビってんのよ。男ならもっとシャキっとしなさい」

ヒトカゲ「なっ…!ビビってなんか…!」

トゲチック「…ならいいわ。行きましょ」スタスタ

ヒトカゲ「あっ…待ってよ!」


トゲチック「…いい?冒険で大切なのは、冷静でいること。わかった?」

ヒトカゲ「…うん。」


ジュペッタに何も出来なかった僕は、彼女に何も言い返す事ができず、黙って後を付いていった。
 ▼ 58 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:36:56 ID:DK06TdTk [7/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



その後、しばらく遺跡内部を探索した。

正直、僕が同行する必要はないと思ったけど、彼女が

「灯りがないと何も見えないでしょ」

と笑いながら言うので、仕方なく探索を続けた。


でも本当は、そんな小さな理由なんてどうでもよかった。

勇ましく笑ってそう言った彼女の身体、小刻みに震えていたんだ。

それを見たら、恐怖心とか、畏怖心とかそういったものが全て吹き飛んだ。


そして、そこからは僕が彼女の前を歩いた。

こうなったら意地でもこの無人島を脱出してやる。

そう思って探索を続けて数十分。

僕達はやっと最深部まで到達した。

 ▼ 59 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:42:01 ID:DK06TdTk [8/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

〜最深部〜


トゲチック「…着いたわね」

ヒトカゲ「…案外苦労することもなかったけど…」


苦労したことと言えば、先ほどのジュペッタのことと、お宝を守るためであろう罠がいくつか仕掛けられていた事くらいか。


ヒトカゲ「…あっ!お宝ってあれかな?」


正面には行き止まりの壁。

その壁の前に小さな宝箱が置いてあった。

それを見て気が緩んだ僕は、行き止まりの壁の前に置いてある小さな宝箱に駆け寄った。


トゲチック「あっ、待って!まだ罠があるかも…」

ヒトカゲ「…え?」プツン


彼女の呼びかけは時既に遅し。

どうやら彼女の勘は当たってしまったようだ。
 ▼ 60 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:43:45 ID:DK06TdTk [9/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

次の瞬間、"ヒュッ"と風を切る音がして矢が飛んできた。


トゲチック「危ないっ!」バッ

ヒトカゲ「…!」


"ドスッ…"



トゲチック「…っ!」

ヒトカゲ「…っ!トゲチック!」


矢は……………………………壁に突き刺さった。

矢が放たれたその瞬間、トゲチックが僕を庇ってくれたお陰で僕は無傷だった。

でも…


トゲチック「…全くもう…危ないって…言ったで…しょ…」ガクッ

ヒトカゲ「トゲチック!」


運悪く、放たれたのは毒矢であり、トゲチックの腕をかすめていた。
 ▼ 61 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:45:17 ID:DK06TdTk [10/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



トゲチック「…」

ヒトカゲ「ねぇ!トゲチック!」ユサユサ


毒で意識を失った彼女を必死に揺さぶる僕。

でも、彼女は一向に目覚める気配がない。


ヒトカゲ「どうしよう…どうしようどうしようどうしよう!!!」


こんな時に、僕はパニックに陥ってしまった。


ヒトカゲ「…毒?もしかして命に関わる…?毒抜きが必要?いや待てよ。ここは…」


動揺のせいで自分がすべきことがわからない。

こんな時、どうすればいいのか。少しも頭が回らなかった。

そんな時、僕の頭を一つの言葉がよぎった。
 ▼ 62 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:45:55 ID:DK06TdTk [11/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告









『いい?冒険で大切なのは、冷静でいること。』







 ▼ 63 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:48:32 ID:DK06TdTk [12/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ヒトカゲ「…!」ハッ


その言葉を思い出した僕は我に帰った。

そして一度だけ、深く、深〜く深呼吸をした。


ヒトカゲ「…よし。」


まず、どうすべきか。


ヒトカゲ「…ひとまず、ここじゃ手当できないから、帰るべきだ…!」


僕は頭をフル回転させて、なんとかこれからの行動を絞り出した。

でも、忘れちゃいけないのがお宝の存在。

どうせ回収したら帰るつもりだったし、もう一度ここに訪れるのはゴメンだったので、お宝を回収する事にした。


ヒトカゲ「…早くしなきゃ!」ガチャッ
 ▼ 64 クシーマフォクシー◆ZmNoEZzYKc 16/02/24 19:50:30 ID:xYYv6FZU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です。
 ▼ 65 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 19:57:25 ID:DK06TdTk [13/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ヒトカゲ「…!」


僕は急いで宝箱を開けた。

宝箱に入っていたのは、青い宝石が一つ。


ヒトカゲ「これが『わざマシン』…?」

とてもじゃないけど、そうは思えない。

ヒトカゲ「…っ!早く帰らなきゃ!」


けど、僕はすぐさまその宝石を頂いて彼女をおぶった。


ヒトカゲ「…よし、拠点に帰ろう…!」グッ


準備万端で足に力を入れようと気合いを入れる僕。

そんな僕の前に、信じられないものが立ちふさがった。




乗客A「…おお、いたいた…!」
 ▼ 66 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 20:00:42 ID:DK06TdTk [14/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ヒトカゲ「…っ!?」

乗客A「…ヒトカゲを追いかけてきたつもりだったけど、まさかトゲチックが一緒だったなんてな」


僕の前に立ちふさがったもの。

それは人間だった。

『何でこんな所に』と心の底から思ったが、もっと僕の心に負担がかかった事があった。


ヒトカゲ「…何でこんな時に…!」


そう。トゲチックが倒れて、一刻も早くこの遺跡から脱出したいこの時に…


乗客A「ま、ラッキーってことか。トゲチックってしあわせポケモンだったし♪」

ヒトカゲ「…く、来るな!」ジリジリ
 ▼ 67 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 20:06:21 ID:DK06TdTk [15/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


乗客A「そんなに怒らなくてもいいじゃん」

ヒトカゲ「…!」ジリジリ

乗客A「酷い事なんてしないしさぁ〜」


人間から少しずつ距離を取る僕。

そんなこと言ってるけど、トゲチックを捕まえて逃げようって魂胆が見え見えだ。だって…


乗客A「…!」ハァハァ


おちゃらけているように見えるけど、目が本気だもん。


乗客A「…さあ、おとなしくした方がいいんじゃな〜い?」

ヒトカゲ「…っ!」


僕だけなら逃げる事くらい造作もなかったけど、トゲチックを背負っているから素早く逃げる事なんてできそうも無かった。
 ▼ 68 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 20:19:39 ID:DK06TdTk [16/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

しかも、最悪なことに人間はポケットからボールを取り出した。

ということは…

乗客A「出てこい、ガブリアス!」ポン

ガブリアス「…!」ドン

ヒトカゲ「嘘でしょ…!」


ボールから出てきたガブリアスも加勢したことで逃げるのは絶望的になった。

でも、それがなんだ。

僕は必ず帰ると決めた。

この島を脱出すると決めたんだ。

だから…


ヒトカゲ「…!」キッ

乗客A「お?なんだよ。まさかやる気か…?」

ガブリアス「…ドラゴンタイプ俺氏。強さも相性も有利な模様」

ヒトカゲ「…『ひのこ』!」ボッ
 ▼ 69 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 20:26:16 ID:DK06TdTk [17/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


乗客A「おわっ!?熱っ!!」

ガブリアス「アツクナーイ」

ヒトカゲ「…!」ダッ

乗客A「あっ!待て…!」


僕の狙いは逃げること。決して戦いに勝つことじゃない。

こんな時も、彼女の言葉は僕の頭を冷やしてくれた。


ヒトカゲ「…逃げ切る!」タッタッタッ

トゲチック「…」グッタリ

ヒトカゲ「…絶対に…!」タッタッタッ


僕はひたすら走った。

走って、走って、逃げ続けた。

ガブリアスに追いつかれずにすんだのは、逃げる最中も『ひのこ』で牽制し続けたお陰だろう。
 ▼ 70 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/24 20:36:12 ID:DK06TdTk [18/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

・・・


乗客A「待てコラ!」



ヒトカゲ「…っ!『ひのこ』!」


乗客A「ちっ!ガブリアス、早く炎をもみ消せ!」

ガブリアス「うぃーっす」ケシケシ

乗客A「よし、早く追うぞ!」


ヒトカゲ「『ひのこ』、『ひのこ』、『ひのこ』!!」

乗客A「…っクソがぁ!」



ヒトカゲ「…ハァ、ハァ、ハァ」タッタッタッ


・・・
 ▼ 71 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:43:31 ID:rESvdi76 [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


僕は遺跡の外に出た後も走り続けた。

だってあの人間、ずっと追い続けてくるんだもん。


遺跡を抜けて、密林を抜けて、走って、走って…

トゲチックが目覚めてくれれば良かったんだけど、うなされるばかりで起きる気配はなかった。


足が疲れて、もう走れないと思った。

でも、止まったらきっとトゲチックが連れていかれる。

それだけは何としても避けたかった。

脱出手段がなくなるからじゃない。

僕は……


 ▼ 72 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:44:18 ID:rESvdi76 [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


──…やがて、僕達は逃げ場がなくなった。

進路が崖しかなくなったんだ。

進めば崖、引き返せば敵。

もう希望の光が全く見えない。


ヒトカゲ「…ハァ、ハァ、ハァ…」

トゲチック「…」

「…ヒトカゲきゅ〜ん?もう諦めた方が身のためじゃな〜い?」

ヒトカゲ「…ハァ、ハァ…くそぅ…!」


逃げても逃げても追いかけてくる鬼のような人間。

僕はトゲチックを降ろすと、覚悟を決めた。

鬼ごっこはもう終わりだ。


ヒトカゲ「…来るなら来い!僕は逃げないぞ!」

乗客A「よくぞ言ってくれました!」
 ▼ 73 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:46:15 ID:rESvdi76 [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

乗客A「じゃあ、トゲチックを渡してくれるかな?」

ヒトカゲ「…嫌だ!『ひのこ』!」ボッ

乗客A「おっと、そう何度も同じ手は喰らわないよ☆」ヒョイッ

乗客A「さぁいけ!ガブリアス」

ガブリアス「うぃーっす」

ヒトカゲ「…!」


いざ、対峙してみるとガブリアスは凄い威圧感を放っていた。

それもそのはず、1m以上も身長差があるのだから仕方が無い。

そして、その巨体は僕に現実を直視させた。


ガブリアス「…ほいっ」ヒュッ

ヒトカゲ「…っ!?」バシィ

ヒトカゲ「…いてて…」ズザザー

ガブリアス「…あ、これダブルチョップだからもう1発ね」ヒュッ

ヒトカゲ「…ぐはっ!?」バシィ
 ▼ 74 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:47:26 ID:rESvdi76 [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

二発の攻撃を受けて意識が飛びそうになった。

目が霞んで、身体中に激痛が走った。


ヒトカゲ「…ゲホッ…げほっ…」クラッ

ガブリアス「…どうした〜?もうフラフラじゃねぇかよ〜」

乗客A「大丈夫?ヒトカゲきゅん☆」

ヒトカゲ「く、くそ…」


いくら冷静になっても力の差は埋まらない。


ヒトカゲ「…『ひのこ』…!」

ガブリアス「いまひとーつ。アツクナーイ。」ゲシッ

ヒトカゲ「ぐっ…」


それは、とてつもなく残酷な仕打ちだった。


ヒトカゲ「…トゲ…チック…」
 ▼ 75 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:48:46 ID:rESvdi76 [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

後ろにいるトゲチックの方を見る。

トゲチック「…」スヤスヤ


…ああ、大丈夫だ。

奴らに君を連れていかせはしない。


ヒトカゲ「…まだだ。」

乗客A「…?」

ガブリアス「?」


絶対に。

僕は、…僕達は、この島を脱出する。

遺跡で誓ったんだ。

君の力になりたい、と。


力をくれ。

僕にコイツらを倒す力を…!
 ▼ 76 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:51:36 ID:rESvdi76 [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


"キラッ…"

ヒトカゲ「…?」

乗客A「…なんだ?」

一瞬だけ僕の持っていた青い宝石が光った。


"キラッ…キラキラ…"

たちまち青い宝石は輝いて、眩しい光を放つ。

それは、まるで希望の光。


ヒトカゲ「…温かい…」

傷が癒えていくのがわかる。

乗客A「…?…………なっ!!」

ガブリアス「……!!」

ヒトカゲ「…?」

光に包まれた僕を凝視する人間達。

それにつられて、僕も自分の身体を見た。
 ▼ 77 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:52:18 ID:rESvdi76 [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ヒトカゲ「……!」


僕は目を疑った。

自慢のオレンジ色の肌は黒みを帯び、背中からは大きな翼が生えていた。

そして、口からは溢れんばかりの青い炎が燃え盛っていたんだ。


乗客A「メ、メガ進化…だと…」

ガブリアス「…ヒトカゲから…?」

メガリザードン「…メガ…進化…?」


そう、僕はメガ進化していた。


メガリザードン「力が…溢れる…!!」
 ▼ 78 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:53:16 ID:rESvdi76 [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



メガリザードン「…喰らえ!『かえんほうしゃ』!」

乗客A「…う、うわぁぁぁっ!」

ガブリアス「…くっ!」


僕の青い火炎放射は辺り一帯を焼き払った。

ポケモンの炎はある程度燃焼すると消えるから火事にはならない。

僕は思う存分に炎を吹いた。


ガブリアス「…ま、まだだ!」


…が、ガブリアスに炎は今ひとつだった。

それでも、僕は顔色一つ変えることなく、空高く舞い上がる。


メガリザードン「…お前らにトゲチックは渡さない!」
 ▼ 79 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:54:00 ID:rESvdi76 [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


天高く舞い上がった所で、僕は急降下を始めた。


メガリザードン「…僕達は…」ヒュゥゥゥ


乗客A「…ガ、ガブリアス!『そらをとぶ』に備えろ!」

ガブリアス「わ、わかってる…!」


メガリザードン「…絶対に…」ヒュゥゥゥ


乗客A「…くるぞ!」

ガブリアス「…!違う!これは…!」


メガリザードン「…負けない!」

乗客A「…っ!」

ガブリアス「ぐっ!これは…『そらをとぶ』じゃない…!?」

メガリザードン「くらえぇぇぇぇ!!」


メガリザードン「『ドラゴンダイブ』!!」
 ▼ 80 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:55:25 ID:rESvdi76 [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

"ドカッ!"

ガブリアス「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」ヒューン

乗客A「ガブリアスーーーー!」


次の瞬間ガブリアスは空を舞い、密林まで吹っ飛んでいった。

こうかはばつぐん。僕の勝ちだ!


メガリザードン「さぁ、まだやるかい?」

乗客A「ひっ…!」

乗客A「…さ、サヨナラーーーー!」ピューッ


手持ちを失った生身の人間じゃ僕に敵うはずもない。

僕は逃げていく人間を見送った。


メガリザードン「…『ひのこ』!」

乗客A「…熱っ!尻が!熱っ!」スタコラスタコラ

最後にちょっとだけお土産を渡してね。
 ▼ 81 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:57:12 ID:rESvdi76 [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


さて、邪魔者はいなくなった。

メガリザードン「…」スタッ

僕は地面に着地して、トゲチックに駆け寄る。

トゲチック「…」スゥ…スゥ…

メガリザードン「…良かった…。」

毒が消えたのか、トゲチックは気持ち良さそうに眠っている。

全く、僕の苦労も知らないで…

いや、元々僕のせいなんだけどね。

目が覚めたら、僕の武勇伝を聞かせてあげよう。


メガリザードン「…よいしょっ」ヒョイッ


僕はトゲチックを僕の大きな背中に乗せた。

いつこのメガ進化が解けるかわからない。

でも、今の僕には翼がある。

大空を飛べる翼が。
 ▼ 82 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:58:11 ID:rESvdi76 [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



"バサッ…バサッ…"


地面から足が離れる。

崖の下に、トゲチックが作ってくれた家が見えた。

ああ、もうこの島ともお別れなんだ。

僕は下を向くのをやめて、青い空を見た。


"バサッ…バサッ……"


身体が空高くに達した時、僕は呟いた。



メガリザードン「…さよなら。僕の最初の冒険島。」

 ▼ 83 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 08:59:16 ID:rESvdi76 [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



そこからはとにかく飛び続けた。

広大な海しか見えない空を飛んで、いくつもの雲を越えて。

飛んで飛んで飛んで飛んで…


やがてあの島は見えなくなった。

ふと、僕以外の乗客達がどうなったのか気になった。

でも、きっと各自頑張っていることだろう。

振り返ることなく、僕は飛んだ。



トゲチック「…ん。」
 ▼ 84 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 09:00:26 ID:rESvdi76 [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


メガリザードン「…起きたかい?トゲチック」

トゲチック「…わわっ!?誰!?」

メガリザードン「僕だよ。ヒトカゲだよ」

トゲチック「…アナタ…」


驚いている様子のトゲチックだったが、彼女は何も聞かなかった。

ただ、水平線を見て一言…


トゲチック「…風が気持ちいいわね」


と微笑んで言った。
 ▼ 85 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 09:02:40 ID:rESvdi76 [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


さて、この後僕は数十分以上もの飛行でやっと故郷に帰ることができた。

そして、心配をかけた僕の親戚に顔を見せた後、街に向かった。

野生の僕がなんで街に向かったと思う?

それはね…



「…よし、わかった。街の規定に則って、ヒトカゲを冒険者と認めよう!」

冒険者と認めてもらうためさ。

トゲチック「…よろしくね、ヒトカゲ!」

ヒトカゲ「…うん!これからもよろしく!」


素敵だろ?僕の最初の冒険は無人島だったんだ。

これが、僕の無人島脱出記録。

『無人島漂流記』だ。

それじゃあ、ここら辺で筆を置くとしよう。

これからの楽しい生活に期待を込めて、ね…───
 ▼ 86 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 09:03:08 ID:rESvdi76 [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



〜『無人島漂流記』 完〜


 ▼ 87 シギバナ@カシブのみ 16/02/25 10:35:18 ID:/20LnyQ. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙〜
 ▼ 88 ズパス@ぎんいろのはね 16/02/25 13:02:04 ID:lz/3yzjI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 89 ルセウス@メンバーズカード 16/02/25 13:03:20 ID:WVcXorEM NGネーム登録 NGID登録 報告
おつっす
 ▼ 90 目のワニノコ◆WaitStCgv. 16/02/25 15:35:20 ID:rESvdi76 [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


当SSを読んで頂いた皆様。
ありがとうございました。

もうお気づきになられた方もいるかも知れませんが、当SSはコラボを実施していました。

初の試みでうまくコラボ出来たかわかりませんが、楽しく書けたので良かったと思います。

コラボ先のSSも是非読んでみてください。

それでは。


【コラボ協力】

ビリジオンの人


【コラボさせて頂いたSS】

カルムきゅんと9人の男たちによるドキドキ☆サバイバル!?
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=247642o&l=1-1000#resall0
 ▼ 91 オップ@リバティチケット 16/02/26 12:04:05 ID:W2Ezz.DE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙!コラボしてたから乗客にAってついてたのか
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