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SS

【SS】喪失

 ▼ 1 UVL.eKHfWI 16/09/18 21:08:07 ID:yjTBbYTA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は、普通の高校生だ

正直自分の人生に不満はない

顔も80点くらい、勉強もスポーツも他の人に比べてよくできる。友達も多いし、女子と喋れないなんてことはない

家庭の事情も同じく、父母の仲はいいし、祖父母も健康的に生きている

他の人が恋や家庭の事情、いじめなどに悩まされているのも、自分は全く共感できないほど恵まれていると言えるだろう

だが、この不自由ない生活ゆえに毎日が退屈だ

これといった趣味はなく、毎日決まったことはしていない

そんなある日、俺に彼女が出来た

顔も割といい方だと自覚しているので、不思議なことではないと思う。逆に今までできなかったことが不思議なほどだ

彼女は同じクラスだがあまり興味を持ったことが無かった。突然告白され、断る理由もないので了承した

暗そうだと思っていた彼女だが、話をしてみるとそうでもない。普通に明るい女子。平凡だが、彼女には一番の特徴があった

ポケモンが極端に好きな子だった
 ▼ 166 UVL.eKHfWI 17/12/19 22:04:32 ID:O/usgr2Q NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今の俺は、学校にいる時だけ退屈だ

彼女に出会うまでの俺はどうだったんだ…?

思い返せば、そのときは全てが退屈だったんだ

学校どころではない

放課後だってそうだったんだ

特に趣味のなかった俺は、ひたすら…ひたすら…

何をしていたんだろうな

でも、その時は全く不快ではなかった
 ▼ 167 UVL.eKHfWI 17/12/26 22:59:25 ID:Rwj4WOFA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
でも今は、退屈な学校生活が不快過ぎる

一度楽しさを覚えた俺は、昔の生活に戻れないんだ

彼女や親友が他の人と仲良くしているのを見ると、嫉妬してしまう

羨ましいと思ってしまう

俺だってみんなと仲良くなりたいのにと思ってしまう

どうして俺だけ一人なんだ

どうして俺だけ独りなんだ

どうして―――
 ▼ 168 UVL.eKHfWI 17/12/31 21:47:12 ID:Daet779A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だが正直、こんなことで悩めるなんて俺も暇になったものだなと思った

思えば俺はずっとせわしない生活をしていたのかもしれない

彼女と出会って以来、俺の生活はいろんなことが起こった

こないだのクリスマスからバレンタインにかけての騒動もそうだ

俺は今まで忙しすぎたんだ

しかもどうせ去年だって、あの三人以外と遊んでいなかった

自分が友達だと思っていた人はみんな友達じゃなかったって、今更気付けた

本当の友達を手にして、やっと気付いたんだな
 ▼ 169 UVL.eKHfWI 18/01/11 21:28:34 ID:W.8roxfc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は開き直り、ゆったりと一人の時間を楽しんだ

厳選をしたり、対戦をしたり、飽きたら図鑑を埋めたりもした

一人で映画を見に行ったし、ポケモンセンターにも行った

ちょいちょい親友と遊ぶこともあった

もちろん彼女とでかけることもあった

でも、彼らは学校行事とかで忙しいみたいで、遊ぶ頻度は格段に減っていた

俺は学校行事に積極的に参加はしていなかったので、彼らのようなせわしなさはなかった

それはそれで、今の俺にはよかったのだろう
 ▼ 170 ンバル@ゴスのみ 18/01/11 21:30:24 ID:frRyrEXM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 171 UVL.eKHfWI 18/01/26 07:49:56 ID:IH78GQ0s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうして俺たちは夏休みを迎えることとなった

天気はまだ真夏と言えるほどではなかったが、ジメジメした夏といったような感じだった

少し過ごしづらいあの時期だ

また親友や彼女とせわしない日々が始まる

…と思っていたのだが、案外そうでもなかった

学校行事の反動で彼らは疲れ切っていたみたいだ

うちに遊びに来ても寝ちゃったり、外に出かけるなんてことはまだ全然なかった

夏休みになって遊ぶのを楽しみにしていた俺は少し残念だった

その反面、また大変な出来事がすぐ起きなくてホッとしてもいる
 ▼ 172 日ゴロゴロンダ◆XTk1MeLTks 18/02/12 01:04:37 ID:/c4NTYik NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 173 ンゲラー@クリティカッター 18/02/13 20:17:59 ID:ySzUig4c NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 174 UVL.eKHfWI 18/02/17 14:09:13 ID:l9KfqrG. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなある日、彼女の家に遊びに行ったときのことだ

彼女は、今度男女二人ずつで遊びに行ってくるねと言った

何故やら許可を取るために呼んだらしい

俺は彼女を信用しているので全く問題はなく許可した

というより許可を取ってくることに驚いた

普通の恋人たちだったら当たり前なのだろうか

…まあクリスマスの件を思い出すと、こういうのがあった方が良いのだろうと思えた

しかしこれは愚かすぎる決断、許可だったのだろう
 ▼ 175 UVL.eKHfWI 18/02/25 23:18:17 ID:91ouDXM2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その日の次の日、彼女は俺の家に遊びに来た

遊園地に行ったようで、ヘンテコなキャラがいるお菓子をもらった

彼女はそのまま昨日の話を延々し続けた

自分がいないところで楽しんだ話を聞かされても正直面白くはない

でも、せわしなく喋る彼女を見ているとなんだかいつも通りで安心する

そのあとは、俺と彼女はポケモンをやっていた

なんだかんだ久しぶりに知り合いとポケモンをやれた

最近はプレイ時間に差があったこともあり、俺はこの日、彼女に初めて対戦で勝つことができた
 ▼ 176 UVL.eKHfWI 18/03/11 20:46:06 ID:lFmXOjbc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこで、彼女はあるポケモンをくれた

それは、シェイミだった

彼女は俺がシェイミ好きと知っていて、手に入れてくれたみたいだ

その時は勝ったご褒美にと言っていたが、あとで聞いたら、どっちにしても渡す予定だったらしい

それはともかく、彼女からもらった好きなポケモンということでとても嬉しかった

彼女が帰ってから、シェイミを育てる予定だったが、人と話して少し疲れてしまい、そのまま寝てしまった

そして次の日、起きてすぐにシェイミを育てるためDSを開いた
 ▼ 177 UVL.eKHfWI 18/03/26 21:48:33 ID:nqkNSTaM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「レポートが壊れています」







…え?

……え?

俺は黙って電源を切った

そしてもう一度電源を入れ直した

「レポートが壊れています」

俺の思考が、壊れた
 ▼ 178 UVL.eKHfWI 18/04/11 20:09:51 ID:6u7u2BWg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一分くらい経っただろうか、いや、もっと経ったかもしれない

そのくらいで俺は平常心を取り戻しつつあった

そこで、一つの考えが浮かんだ

あのシェイミは関係ない、レポートの劣化だろう

まあ冷静になってみればそんなはずないのだが、この時の俺を落ち着かせるのは、それしかなかった

彼女のシェイミが原因なんて、あっていいはずがないのだ

俺は、何度も打ち間違えながら彼女にメールを送った


なあ、レポート壊れたんだけど、くれたシェイミは関係ないよな…?
関係ないよな…?


添付して送った後に削除した写真は、ブレブレだった
 ▼ 179 UVL.eKHfWI 18/04/22 22:10:56 ID:b98cjgDc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
無の時間を過ごしていたら、メールが返ってきた


ちょっと待って。


俺は待った。何を待てばいいのか分からないまま、待つしかなかった

親はどちらも仕事に出ていたので、一人で遅めの朝飯を食べた

食べながら見ていたニュースで交通事故についてやっていて、怖いなあと思った

冷蔵庫のヨーグルトを食べる予定だったが、忘れていて昼食べた

部屋に戻った俺は、クーラーをつけるのも忘れてベッドにダイブした

昨日の夜は待ち遠しかった日差しは、嫌というほど照りつけていた
 ▼ 180 UVL.eKHfWI 18/05/05 23:15:26 ID:4L/x8yRo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

いまからいく


彼女から送られたメールは、こうとだけ書いてあった

今から家に来るのだろうか、正直会いたくない

そう思った俺は炎天下に繰り出した

何をするでもなく、水筒と財布を持って自転車を漕いだ

彼女の家と反対方面に行けばよかったのだが、何を思ったかすれ違えばいいという結論に至った

生暖かい風が、向かい風となって吹きつけた

この風に乗って、微かだが人のざわめきが聞こえてきた

気にしないようにしたが、いつのまにかそのざわめきの方へ吸い寄せられていた
 ▼ 181 ラーミィ@においぶくろ 18/05/06 10:32:39 ID:HIx6jYe6 NGネーム登録 NGID登録 報告
追い付いた。しえーん!
 ▼ 182 UVL.eKHfWI 18/05/20 20:25:00 ID:IFP6qxrQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し大きめの通りの横断歩道に、人だかりが出来ていた

トラックが止まっており、人々は横断歩道を取り囲むように群がっていた

その時、なぜか嫌な感じが俺の脳内をよぎった

彼女を放り出して整頓係と遊んでいたときの、あのぎこちない感じがした気がした

人を掻き分け、横断歩道の中央へ進んでいった

そこには、頭から血を流した彼女がいた

誰かも知らない正義感の強そうな男の人が、心臓マッサージをしていた

自分の足元には、ピカチュウの、赤いキーホルダーの付いた携帯が転がってきていた

自分の顔から、血が引いていくのを感じた
 ▼ 183 UVL.eKHfWI 18/05/20 20:37:30 ID:IFP6qxrQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
知り合いだ、と協力してくれている人に言いたかったが、必死そうだったのでやめた

だから、ただひたすら生きていてくれと祈っていた

いや、気が動転してそう思っていたのかも怪しい

目を開けずに心臓マッサージを受ける彼女を見ている時間は、とても長く感じた

救急車が到着し、人だかりと共に遠ざかってしまった

救急隊員は淡々と彼女を運んで行った

運ばれていくのを呆然とみていたら、救急車に同乗し損ね、取り残された

救急車が行ってからもざわめきは止まらなかったが、俺の耳には届いていなかった

しかし、蝉の声だけは、脳内で無慈悲に響き渡っていた
 ▼ 184 ザンドラ@ライブキャスター 18/05/22 00:23:49 ID:MicwiplA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 185 ーマンダ@こううんのおこう 18/05/23 22:28:04 ID:8f8qwBxM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 186 レキッド@タンガのみ 18/05/25 23:21:36 ID:ACbpt9qU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 187 オガエン@サイキックメモリ 18/06/06 22:19:41 ID:2IWOi8pU NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 188 UVL.eKHfWI 18/06/16 23:14:32 ID:eJ8kwR9c [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

―――彼女、享年17歳。











彼女を、失った
 ▼ 189 UVL.eKHfWI 18/06/16 23:15:40 ID:eJ8kwR9c [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺が愕然として家に戻ったころ、彼女の母から電話があり、伝えられた

彼女の母の声は震えに震え、聞いているだけで心が痛んだ

彼女がどんな様子だったのかは、聞かなかった

電話を切った後、部屋に戻った

ベッドに座り、心の整理を始めた

俺は今から何をすればいいのか、他の人にどんな顔を見せればいいのか、初めてのことで分からないことばかりだ

ここで俺は気付いてしまった

俺は、彼女の死を悲しむ資格なんてない
 ▼ 190 イホーン@ウブのみ 18/06/16 23:22:56 ID:9MBATTcc NGネーム登録 NGID登録 報告
久しぶり、更新がんば
 ▼ 191 UVL.eKHfWI 18/07/01 23:08:55 ID:fO5k9xH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんだか、こみあげてくるはずの悲しみがないのだ

本当に愛していたなら、ここで涙が止まらないはずなのに

涙は、一滴も流れなかった

俺は今まで、身内が亡くなったことがなかった

そのせいだろうか、全く実感がわかないのだ

明日にでも、うちに遊びに来そうで、

学校に行ったら、笑顔で挨拶をしてくれそうで、

メールで、恥ずかしくなるようなことを送ってきそうで、

街を歩いたら、その人ごみの中に、彼女がいそうな気がして…
 ▼ 192 ツロイド@きあいのタスキ 18/07/01 23:25:26 ID:LAsgo8SE NGネーム登録 NGID登録 報告
>>191
ふたたび久しぶり更新がんば
 ▼ 193 UVL.eKHfWI 18/07/16 23:11:06 ID:glekTINs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もちろんそんなはずはなかった

俺の夏休みの思い出に、これ以上彼女が写りこむことはなかった

いつの日だったか、彼女の母親から、夏休みの最終日の葬式に来てほしいと連絡があった

しかし、俺は宿題が終わっていないからと言って断った

それは建前で、こんな俺は彼女の親に顔を見せられないと思ったからだった

彼女の親は、愛を込めて彼女を育てたというのに、その彼女の人生を終わらせてしまった

彼女が轢かれたとき、俺は傍にいた

なのに、俺は一歩も動かけなかった、いや、動かなかった

愛している彼女を見殺しにした俺は、罪深い

愛していたのかどうかも分からなくなってきた
 ▼ 194 ーディ@ファイトメモリ 18/07/16 23:28:09 ID:heM6aQTc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あ、来た
 ▼ 195 ピアー@けいけんポン 18/07/17 04:13:38 ID:OmOw4mNI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 196 UVL.eKHfWI 18/08/04 23:13:25 ID:hyqsWceg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
学校がまた始まり、彼女の死が告げられた

俺は生きているのか死んでいるのか分からないような生活を送った

同情の声をかけてくる奴らはどういう神経をしているのかと思ったものだ

夏休み明けのテストは酷い成績だったし、何をしていたかも分からない

夏休み中にポケモンを始めたという人に話を振られたときはどうしようかと思った

知識でその場は乗り切ったが、適当な理由で深く関わるのを避けた

要件が何であれ、善意でしてくれていることとは分かっていた

しかし、話しかけてくる人間は全て不快しか与えてくれなかった

そんなとき、親友に話しかけられた

そういえば気付かなかったが、親友と話すのは彼女が亡くなって以来初めてだった
 ▼ 197 UVL.eKHfWI 18/08/20 23:10:17 ID:Hbx6SSMg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
普段なら家に集まるのだが、家だと思い出が蘇るのでやめた

適当な喫茶店に連れられ、美味いか美味くないか分からないコーヒーを飲んだ

学校で見たことあるような人たちが騒いだり、落ち着いて勉強したりしていた

親友はコーヒーに謎の拘りを持っていて、彼が落ち着くまで少し時間がかかった

落ち着くと、親友は話し始めた

親友も、葬式に行けなかったらしい

俺だって言いたいことはあった、何を言ったかなんて覚えていないが、思ったことをぶちまけたつもりだった

おおむね話が済んだと思ったので、また今度と腰を上げようとした瞬間、親友が呟いた


君のデータを消したシェイミは、僕のものだったんだ


時間が一瞬止まった気がした

理解が追いつかない

そのまま、親友は話し始めた
 ▼ 198 UVL.eKHfWI 18/08/28 22:48:00 ID:lOi6oCdc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕は整頓係が引っ越してしまったことにとてもショックを受けていた。

君に聞いても何も教えてくれないし、もちろん整頓係はメールをよこさなかったよ。

沈んだまま、僕は新学期を迎えたんだ。

そこで、君の彼女が同じクラスにいることに気付いた。

しかも、君は違うクラスだった。

これは好都合だと思ってしまったんだ。

君の彼女と仲が良かったとはいえ、きっと僕に心は開いていない。

だから、行事などに積極的な君の彼女と近づくため、頑張ってそういう役を引き受けまくったんだ。

そうしたら夏休みが始まる前、君の彼女と他二人で遊園地に行くことになっていた。

僕はここで、それとなく整頓係の話を聞き出そうと思ったんだ。

死んだ人のことを悪くは言いたくないが、正直僕でもびっくりしたんだ。

まさか整頓係が君と付き合っていた時期があったなんてね。

こんなことを漏らす人だとは思っていなかったよ。

私は、今何とも思ってないよ〜〜とか言っていたよ。

いや、お前だけの問題じゃねえだろ、ぶん殴ってやろうかと思ったんだけど。

君の彼女は悪くないからね、君ら二人の仲を崩してやろうと思ったんだ。
 ▼ 199 UVL.eKHfWI 18/09/06 23:13:19 ID:IMkMenQo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だから、君の彼女に改造産のシェイミを渡して、君に渡すよう言ったんだ。

男のロムで開くとデータが飛ぶように設定したシェイミをね。

その時の僕は狂っていたのかもしれないね。

整頓係の話があって、それを聞いて真っ先に思い浮かんでしまったんだ。

怒りの絶頂にあった僕はすぐにそれを実行に移した。

そうして渡したと聞いた次の日、君の彼女から電話が来た。

出なかったよ、もちろん。

そうしたらうちに押しかけてきてね。

流石に親に呼ばれて会っちゃったよ。
 ▼ 200 UVL.eKHfWI 18/09/10 23:16:29 ID:eu3.885M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
場所を移して、話をした。

計画が成功してすっきりしていた僕は、穏やかに罵倒した。

そうしたら、君の彼女は謝ったり、怒ったり、私が悪いんだと自分を責めたり、

気が動転している、という言葉が最も似合う女になっていた。

僕は君とは縁を切るから、言っても無駄だよと言ったんだけど、

聞く耳を持たずに君の彼女は駆けだして、君の元へ向かった。

まさかその後こんなことになるとはね。

取り返しのつかないことをしてしまった、と思った。

じゃあね、きっともう会うことはないだろう。


親友は立ち去った。いや、親友とはもう呼べない

俺は言葉が出なかった

途中で殴りたくなったが、それは彼女の顔に泥を塗ることになるんじゃないかと思い、やめた

ここで俺の中の何かが吹っ切れた


親友を、失った
 ▼ 201 UVL.eKHfWI 18/09/15 22:32:33 ID:v2y6wd0I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
蝉はとっくに死に絶えた秋、俺はいつぞやの大きな橋へ来ていた

決して自殺をしに来たわけではない。用があるのはこの奥だ

少し幅が狭い橋を進むと、涼しい風が吹いてきて、肌をくすぐった

元親友から話を受けて以来、俺は何もすることがなかった、はずだった

意外にも簡単にあきらめがつき、全てを失った実感が湧いてきた

むしろ元親友には感謝している

もし彼が今まで通り接していたら、あのことを言っていなければ、俺は彼にすがりつき、ずるずると思い出を引きずっていただろう

俺は、今までの淡白な人生には濃すぎた、一年半ほどの思い出を断ち切りにここに来た
 ▼ 202 UVL.eKHfWI 18/09/18 22:36:03 ID:2TMsBU62 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は懐中電灯を付けずに、彼女の墓参りを済ませた

俺はもう普通の高校生ではない、この一年ほどで天国と地獄を味わった

充実していると思っていたが、充実を知らなかっただけだ

本当の充実を知ったせいで、同時に喪失感も知ってしまった

今俺は、恋人を失って完全に生きる意味を失っている

しかし、この世界を見切るのはあまりにも早すぎる

彼女の名前が入った墓石は、情に訴えかけるものがあった。しかし、ここで涙を流す意味はもう無い

墓の前に、もう必要が無くなったキーホルダーを置き、空を見上げた

山奥の星空は綺麗で、たくさんの小粒の星たちの中で、青い一等星が過剰に輝いていた

彼女が愛したこの世界で、俺の人生の、喪失からのリスタートが始まる。
 ▼ 203 UVL.eKHfWI 18/09/18 22:38:44 ID:2TMsBU62 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
終わりです
 ▼ 204 UVL.eKHfWI 18/09/18 22:44:51 ID:2TMsBU62 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二年間たくさんのご支援ありがとうございました!
途中から更新がとても遅くなりすみませんでした…
最初から読んでた人っているんですかね…?
 ▼ 205 イチュウ@かがやくいし 18/09/18 22:54:06 ID:4GtEJ/ys NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
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