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SS

【SS】喪失

 ▼ 1 UVL.eKHfWI 16/09/18 21:08:07 ID:yjTBbYTA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は、普通の高校生だ

正直自分の人生に不満はない

顔も80点くらい、勉強もスポーツも他の人に比べてよくできる。友達も多いし、女子と喋れないなんてことはない

家庭の事情も同じく、父母の仲はいいし、祖父母も健康的に生きている

他の人が恋や家庭の事情、いじめなどに悩まされているのも、自分は全く共感できないほど恵まれていると言えるだろう

だが、この不自由ない生活ゆえに毎日が退屈だ

これといった趣味はなく、毎日決まったことはしていない

そんなある日、俺に彼女が出来た

顔も割といい方だと自覚しているので、不思議なことではないと思う。逆に今までできなかったことが不思議なほどだ

彼女は同じクラスだがあまり興味を持ったことが無かった。突然告白され、断る理由もないので了承した

暗そうだと思っていた彼女だが、話をしてみるとそうでもない。普通に明るい女子。平凡だが、彼女には一番の特徴があった

ポケモンが極端に好きな子だった
 ▼ 2 UVL.eKHfWI 16/09/19 14:29:48 ID:R8jxOG4s [1/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
初のデートは俺の誕生日に行われた

彼女の意向でポケモンセンターに行くこととなった。自分にあまり意思がないため断ることも無くその日を迎えた

ここで痛感した

友達として女と話すことは容易いことだ。だが、彼女だということを思い出すたびに気を遣ってしまいいつもと同じように話せない

だが彼女はほぼ話したことがない俺でも10年前からの親友のようにベラベラと話しかけてきた。ちょっと尊敬した

彼女は俺にポケモンをやってほしいと思ったのか、3DSとアルファサファイアを買ってくれた

ポケモンは小学4年以来全く触っていない。この女と別れるまでは退屈せずに済みそうだなと思いながら受け取る

流石に高価なものなので代わりと言っては何だが、2万円分くらいのぬいぐるみを買ってあげた

彼女はまるで子犬のようにはしゃいで喜んだ
 ▼ 3 UVL.eKHfWI 16/09/19 17:19:02 ID:R8jxOG4s [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
帰ってから、当然DSを起動する

DSに触ったこと自体が5年ほど前の話だ、さまざまな機能がついていて驚いた

アルファサファイアというのはサファイアのリメイク版だと聞いていたが、まさか最初にもらえるポケモンが知っているものだとは思わなかった

そのおかげでやる気が失せずに済んだ

あいにく他にやることがないし、プレイを妨げるものが存在しなかったのでどんどんとゲームに引き込まれていった

小学生の時にやったポケモンはこんなにも楽しかっただろうか

今の俺の退屈だという気持ちが楽しくさせているのかもしれないが、そんなことはどうでもよかった

彼女のためにやってあげようという気持ちが自分が楽しむためにやろうという気持ちに変わることは簡単だった
 ▼ 4 UVL.eKHfWI 16/09/19 21:43:28 ID:R8jxOG4s [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1週間ほどで殿堂入りまでたどり着いた

そこからは伝説のポケモンが多く捕まえられるらしいので捕まえに行こうと思っていた

クリアした次の日の朝、彼女からメールが届いた

「ポケモンやってみた?
 もしやってなければ教えるから、今日うち来れないかな?」

もちろん即答した

彼女の部屋は他の女子のより少し暗めだったがポケモン関連の物が多かった。あげたぬいぐるみが飾ってあって安心した

彼女に進み具合を確認された。驚かれた

普通の人はこんなに早くゲームを進められないらしい。俺ってすごい?

表面的には冷静にしようと思っているのだが、心の奥底はやはり隠せないようだ

彼女はうかれている俺を見てこう言った

「バトルでもしてみる?」

俺はすこし我を失っていた。浅はかという表現が似合うだろう

「受けて立つよ。負けないぞ」
 ▼ 5 マカジ@ふるびたかいず 16/09/19 21:47:39 ID:m.w52rDQ NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 6 UVL.eKHfWI 16/09/20 17:59:05 ID:V.8aF3VY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 彼女
ガルーラ
ガブリアス
ゲンガー
バシャーモ
ウォッシュロトム
ナットレイ

 俺
ジュカイン
オオスバメ
カイオーガ
レックウザ
ラティアス
マッスグマ

伝説を使っていいと言われたから存分に入れたが、彼女は使わないようだ

俺のパーティを見た瞬間、彼女がごめんと何かに気づいたように謝ってきたがなんでだろうか

とりあえず相棒のジュカイン、とにかく強いカイオーガレックウザを入れておけば大丈夫だろう

ジュカインを最初に出してバシャーモが出て来たらカイオーガに交代しよう。ナットレイにはレックウザが火炎放射を持っていたはずだ。完璧だと思っていた

処刑が始まった
 ▼ 7 ーランス@せんせいのツメ 16/09/20 18:00:19 ID:C72qBR9k NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しぇん
 ▼ 8 UVL.eKHfWI 16/09/20 20:53:32 ID:V.8aF3VY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 かのじょはガルーラをくりだした

 ゆけっ、ジュカイン!

ガルーラ?もう少しかっこよかったり可愛かったりするポケモンは使わないのか

あまり素早いポケモンじゃないからリーフブレード2回で倒せそうだ

当たり前だがメガシンカされた。こっちはレックウザをメガシンカさせたいのでメガストーンは持っていない

 ガルーラのグロウパンチ!2かいあたった

なぜ俺のジュカインよりガルーラが先に動くのか

 ジュカインのリーフブレード!

全然削れなかったが、回復できるギガドレインを選択した

 ガルーラのふいうち!ジュカインはたおれた

この辺で異変に気付き始めた。今までストーリーではやられなかったジュカインが2ターンで葬られてしまったのだ

しかし、伝説のポケモンが控えている。まだ焦ることはないと自分に言い聞かせた

 ゆけっ、レックウザ!
 ▼ 9 UVL.eKHfWI 16/09/21 22:08:05 ID:QTZ6RlQc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガルーラはリーフブレードで削られているからガリョウテンセイで倒せるだろう。メガシンカし、ここから巻き返す

 ガルーラのおんがえし!2回あたった。レックウザはたおれた

俺も馬鹿じゃない。流石に察しがついて降参を宣言した

ここで諦める初心者は珍しいのか、彼女は苦笑いしながらなんで降参するのかと聞いてきた

少し惨めな気持ちになったが、冷静でいるつもりだった。でも感情は抑えきれないようで、顔がムスッとしていると彼女に指摘された

彼女は優しく教えてくれた。3値などの隠しステータスのこと、様々なポケモンの対戦のことを教えてくれた

さっきまで浅はかや処刑など少し強い言葉を使ったが、これは単に自分の中の解釈であり、あまりに衝撃が大きかったからだ
 ▼ 10 UVL.eKHfWI 16/09/23 18:25:21 ID:XyKg2LeY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この日から俺は彼女を少し尊敬するようになった

世界を全て知った気になって退屈だと言っていた

しかしこの世界にはさまざまなジャンルのものがあり、それ一つ一つに広い世界がある

こんな身近なところにも世界が広がっている。灯台下暗しだ

彼女はそのことを気付かせてくれた。俺にポケモンという世界を教えて

このことに気付いたとき今までの自分が恥ずかしくなった

高校生の恋愛という短い期間で大事なことを知らされるとは思っていなかった。これも、世界を知った気になっていたからなのかもしれない

さっき言ったことのように、高校生という恋愛はすぐに終わりを迎える

しかし俺は直感で彼女はその期間内にたくさんのことを伝えてくれると思った

俺は、その期間内に彼女にどれだけのことを伝えられるだろうか
 ▼ 11 UVL.eKHfWI 16/09/25 20:07:58 ID:kj.ahHo2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
この日は俺にとって相当大きいものとなった

俺は彼女に少しでも何かを伝えようと必死に過ごした

とりあえず命は大切にしろと言っておいたが、悩みがあるのか心配された。理由は明白だ

他に、この日は俺がポケモンに没頭するようになる節目の日でもあった

この日からバトルに勝つため、彼女と同じ舞台に立つためにネットで情報をあさった。数日前の俺とは同じ人間とは思えないほど日常は豹変した

ポケモンに関連することは何でもやってみた

ポケモンカード、アーケードゲーム、スマホゲーム、3DSのダウンロードソフトなどはいろんなものを試した。一番好きになったのはポケモンカードだった

アニメや映画も片っ端から見た。アニメはネットで、映画は彼女のDVDを一緒に観た。

彼女は俺のハマりっぷりに少し驚いていたが、俺のためにいろんなことをしてくれた。映画を観てくれたのが良い例だ

俺はシェイミの映画を気に入り、シェイミは俺の好きなポケモンになった
 ▼ 12 テボース@ボロのつりざお 16/09/26 08:26:46 ID:VrS04T9o NGネーム登録 NGID登録 報告
いいよ支援よ
 ▼ 13 UVL.eKHfWI 16/09/26 21:00:14 ID:1qmO8txw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それからというもの、俺は彼女と過ごすことは格段に増えた。ポケモン関連ばかりではあるが

俺は彼女と同じくらいゲームをやりこみ彼女にバトルで勝つこともできた

シェイミが使えてさらに強力であるカードには二人でハマった。近所のカードショップで優勝できたときは二人で喜んだ

自分の家に招いたり、彼女の家にお邪魔することも増えた。二人でゲームやカードで白熱した

二人でポケモンセンターに行くことも多かった。ポケモンだらけの空間はまるで天国にいるようで、二人でニコニコした

二人で映画も見に行った。二人で感動した

ポケモンに関連しないこともして、遊園地に出かけることがあった。二人ではしゃぎ、笑った

二人で夜を過ごしたこともあった。二人で、抱き合った

二人でいる時間はあっという間に過ぎ去っていき、家で一人でいると寂しくなることだってあった
 ▼ 14 UVL.eKHfWI 16/09/28 22:22:47 ID:vOiz0.Y2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だが、そんな幸せな毎日はそう長くは続かなかった

彼女は、1か月間旅行だか留学だかでアメリカに行くこととなった。1か月程度なら余裕だと思っていた

無理だった。彼女を失った俺は抜け殻同然だったのかもしれない

想像を絶するほど自分の時間を過ごすことが出来ず、他の人がいることの嬉しさを改めて実感した

でも、彼女を一定期間失って得たものも少なからずあった。今まで一つのことに没頭しすぎた俺に他の人へ視線を変えることをさせた

誰かと話していないと寂しくて潰れそうだったため、誰かに話しかけてほしくてうずうずしていたらしい。ある友達が話しかけてくれた

彼は学校によくいるかっこつけたがる男子だ。流行っていることに微妙にのってくるけど、どれも本当に好きでやっているわけではないと見え見えなのだ

彼はポケモンをやっていることを聞きつけたらしく、俺にパーティのアドバイスを要求した。きっとポケモンもそんなに感情を入れてやっているわけではないだろう

とりあえず今までの経験と感覚でボルトロスを育成したらどうかと言ったら、その意見を鵜呑みにして入れると決めた。割と良い奴かもしれない
 ▼ 15 ロトーガ@マスターボール 16/09/28 22:25:51 ID:bJl0R95E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 16 イナン@ラムのみ 16/09/28 22:56:41 ID:.DzQlRZg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 17 ークライ@かいふくのくすり 16/09/28 23:08:21 ID:iVH3xSQ2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 18 UVL.eKHfWI 16/09/29 22:03:32 ID:akH0wHM. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
家に帰り、だらだらとポケモンをする。本来なら彼女と一緒にいるか彼女と通話しながら楽しくゲームをしているはずだ

こんなにも何かに依存しているとは思っていなかった。大事なものは失ってから気づく

このことも彼女に教えてあげようか。思考が全て彼女に向けたものになっているのに気づくのは難しくはなかった

そのとき急にメールが鳴った。

普段彼女からしかメールが来ないのでこの日来るとは思っていなくて変な声が出てしまった。恥ずかしい

それはかっこつけたがる彼からのものだった。何事かと思いすぐにメールを開く

それには写真も添付してあり、ボルトロスを作ってみたという旨だった。厳選相当早く終わったのかなと画像を見てみる

その瞬間俺の脳が驚きの反応を見せ、くるくると思考が回転していく。これは、めざ氷込みの理想個体だ

しかもAが0なのにも気づいてしまった。瞬時に彼に対して憐みの思いが生まれた

誰かと友達になるためには彼のような人は手段を選ばないことを思い出した。大した感情も無く流行りに乗っかっているだけだろう

一応友達としてのメールは送り返したが俺の中では彼=改造厨。できる限り関わらないようにしよう
 ▼ 19 ケニン@ドリのみ 16/09/29 22:07:02 ID:u5F.LBTs NGネーム登録 NGID登録 報告
彼改造かよ
 ▼ 20 UVL.eKHfWI 16/09/30 21:28:07 ID:S/h/.KX. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次の日、いつもと同じような一日が過ぎ去ろうとしていた

放課後は帰ってから用もないので改造厨とだべっていた。彼は俺からの目線が変わっていることに気づいていないだろう

その時整頓係が話しかけてきた。後ろからだったので俺はびっくりしたが、改造厨は女子の扱いに慣れているのか軽やかに対応した

整頓係とは、クラスの整頓係のおしとやかな女子だ。放課後はみんなが帰った後に整頓をするといういたって普通の仕事をこないしている

何の話をしているか聞かれたので改造厨がポケモンの話だと話した。高校生にもなってドヤ顔で言うようなことではないが

それには予想外の反応が返ってきた。整頓係はポケモンが好きだというのだ

どれだけ流行っているのだ。改造厨のやっていることをしておけば流行には乗れそうだと思ったが、彼のような人間になる予定はない

でもポケモンの話はやはり楽しく、3人で時を忘れて話しつくしてしまった

ぶっちゃけ改造厨は苦手だったのだが、これから改造をやめてもらってきちんとした友達として過ごしたいなと思った

彼がいなければ整頓係とも仲良くなれなかっただろうし、割といい友達になれそうだ

優しすぎるのかもしれないけど、悪いことではないから俺なりにやろうと思った
 ▼ 21 ッタ@タポルのみ 16/09/30 21:34:05 ID:ld44VoRU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 23 UVL.eKHfWI 16/10/02 20:47:31 ID:kSDLq9s6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして改造厨がポケモンに本格的にはまってきたくらいに、彼女が帰国した

彼女はなんだか綺麗になっているようだった。アメリカに行っている間に何かあったのかもしれないし、普通に久しぶりに会って彼女の顔が恋しかったのかもしれない

そして俺は彼女に2人を紹介しようとした。1人が女子だと言ったらふてくされていた

でもポケモン好きだと紹介したらすぐに仲良くなった。ポケモンが好きなのは何も変わっていなかった

彼女からお土産をもらった。勿論外国のポケモングッズだった

それはペアのセットになっていて、赤と青に別れていた

赤い方を俺が、青い方を彼女が持っていた。普通は逆なのではないかと思ったがそれの濃い青より明るい青の方が好きなので入れかえようとはしなかった

それから4人は放課後や休日によく遊ぶようになった

男女2人づつの4人というのはやはり汎用性が高く、いろんなものを体験できた

ポケモンカードの大会に行った帰り、4人で並んで帰っていた

そのとき、唐突に降り出した雪が俺たちに季節を告げる
 ▼ 24 ンガー@イアのみ 16/10/02 22:42:55 ID:NVuRjx8. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエン
 ▼ 25 UVL.eKHfWI 16/10/03 21:24:59 ID:GSeh6E32 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
雪だ雪だユキカブリだとはしゃいでいたのですっかり夜も更けてしまった

帰ってから、あまりの寒さにストーブのスイッチをおよそ1年ぶりに付けた。なぜか俺の部屋に置かれていたこいつに初めて感謝した

正直冬はあまり好きではない。夏の方が青空の日が多いので良いと思う

でも冬の星空はとてもきれいだし、夏は暑いから少し嫌だ

そんなことを言ったら夏のプールではしゃぐ女子も好きだし、冬のコートを着た女子や白い息も好きだ

彼女がコートを着て白い息を手に当てながら俺を待っていてくれたらどんなに幸せだろうか

結局どの季節も長所と短所が合って比べられないななんてことを考えながらストーブの前でうとうとしていた

そんなとき彼女から一件のメールが届いた

寝落ちしそうな俺の明日に天使が予定を作った。それは明日彼女の家にみんなで来ないかというものだった

内容を把握して返信もできないまま寝てしまった。その日は良い夢を見た気がする
 ▼ 26 UVL.eKHfWI 16/10/04 22:24:12 ID:DKihA5sw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ストーブの前で起床し、なんだかメールが来ていたなと思いだし受信ボックスを確認する

彼女から今日家でのお泊りのお誘いだった。4人で集まるらしい

午前中はテンションが上がりっぱなしだったが、昨日も確認したとふと思い出してから少し恥ずかしくなった

午後からは彼女の家に出向いた。いつもよりは暖かい日で、日が照っていた

溶け残った雪が道路のわきに積もっている

青天の下の溶けかけた黒ずんだ雪はあまり嫌いではない。雪の日にはしゃいで雪を踏んでいた子供たちが目に浮かぶ

昨日俺たちはその子供たちのようにはしゃいでいたわけだが

そんなことを考えているうちに彼女の家に着いていた

何故なのかはわからないが、最近自分の視野が広がっているような気がする。これも彼女の影響なのだろうか

その広がった視野で得たものを今日彼女に伝えよう。そう決めてピンポンを押した
 ▼ 27 UVL.eKHfWI 16/10/06 21:05:35 ID:oEkdQ.aE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
家に上がらせてもらうと、彼女の母が出迎えてくれた。そういえば彼女の親を見るのは初めてだ

今日は休みの日だが父は仕事なのだろうか。あまり深入りすることでもないだろう

彼女の家の近くに住んでいる親友と整頓係はもう来ていた。俺は家が遠いので羨ましい

彼女らはポケモンバトルやポケモンカードで遊んでいたが少し飽きかけている様子だった。予想はついていたが

俺が参加して4人になったのでマルチバトルやトーナメントなどできる幅が広がったようで、他の人もやる気が出てきたみたいだった

しかし昼からゲームばかりやっていたら夕方くらいに飽きるのは目に見えていた

なので全員がさらに他の人をよく知るために自分のことについて話そうという結論に至った。俺が提案したわけではないのだが

なぜか俺から喋ることになってしまったが、別に順番など関係ないだろう
 ▼ 28 UVL.eKHfWI 16/10/07 21:19:35 ID:VDprB8jw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺は自分について片っ端から説明した。父母は健康で兄弟はいなくそのせいで前は退屈していたということも

今は彼女の存在によって退屈なんてしていないが、そんなことは口にできない。

「前は」と言ったときに親友が横でニヤニヤしたので他の2人が気付かないのを願うばかりだ

趣味を聞かれたが、特にないと返しておいた。あるにはあるがわざわざ言いはしなかった

この後他の人の話が始まる。しかし申し訳ないのだがほとんど聞いていなかった

理由は空だ。夕陽がとても綺麗だった

言い訳にならないと自覚しているが、この日は一日中空が晴れ渡っていた

なので今夜彼女と空を見に行こうかなと考えていた。そうしていたらいつの間にか他の人の話が終わっていた

なんか一瞬彼女が話をしている時にみんなが驚いていたが、それが何か聞けないような雰囲気だった
 ▼ 29 UVL.eKHfWI 16/10/08 21:38:30 ID:20K/ze56 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
夜になり、みんなが高ぶってきたころに彼女の母が出かけていった。気を遣ってくれたようで、今日の夜は4人で過ごせるらしい

と言ったものの俺は彼女と2人が良いし、親友も整頓係といたい意志があるので彼女と一緒に外に出た

夜で想像より寒かったので彼女にコートを貸してもらった。それは女物で少し小柄な俺でもきつく感じたが、そのくらいが丁度良い

彼女はどこに行くのか聞いてきたが秘密にしておいた。とりあえず彼女の自転車の後ろに彼女を乗せ、ペダルを漕いだ

目的地は山の方にある。俺たちの家の近くには割と大きめの山があるのだが、俺はそこに向かっている

住宅街を抜け、学校を抜け、森を抜け、漆黒を駆け抜けた。言ってるこっちが恥ずかしいわ

でも後ろから彼女にしがみつかれて夜の街を走るのは悪いものではなかった

山の入り口には坂があり、それを抜けると橋がある。その橋の奥は墓地になっていて夜だと割とホラーだ

その橋はとても高いところにある大きな橋で、二つのことで有名だ
 ▼ 30 UVL.eKHfWI 16/10/09 21:09:46 ID:G14kW9dI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一つ目は自殺の名所ということ。橋の下には川があるのだがそこに飛び降りる人が多い

ここで跳び降りた人の中で生きている人はいないらしい

二つ目はものすごく絶景がみえるということだ。周りが木々で囲まれているにも関わらず空がとても広く近く見えるのだ

これを目当てに俺はここにやってきた

橋にあるベンチに二人で座る。見上げれば満天の星空だ

俺は空も見に来たかったが喜ぶ彼女を見に来たようなものでもあるので満足だ

俺は空を見るのが好きなのだが、彼女も空が好きだと言い出した。それがもし本当じゃなくてもつい言ってしまうくらい綺麗なのは確かだ

しかし彼女はこんなことを言った

「私は死んだら星になりたい。誰からも見える、一等星に」

なんだか意味深なことを言われてちょっと心配になったが、空が好きというより星が好きなんじゃないかそれは

理由を聞いてみたら案外真面目な答えが返ってきた
 ▼ 31 ゲキ@くろいてっきゅう 16/10/09 22:35:10 ID:Iz7MzXd6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 32 UVL.eKHfWI 16/10/10 21:07:10 ID:Ui9n6QiE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼女はこの世界が好きらしい。だから死んだあとでもこの世界で他の人に覚えていてもらいたいという

特に俺にと言われて少し恥ずかしかったが、俺は君を俺より早く死なせるつもりはない

こう言われてから言うのもなんだが、俺は正直この世界は好きじゃない

今は彼女がいるから楽しいものの、いなければ楽しみがポケモンくらいしかないというのが現状だ

それにしても星が綺麗だ。いつまでもみていたいがそういうわけにもいかないし朝になったらみえなくなってしまう

そう思うとはかなく感じるが、逆に今しか見られないと思うとロマンチックだ

そんなことを考えていたら横から彼女が話しかけてきた。クリスマスのデートのお誘いだ

そういえばもう12月だからそんな季節か。もう少し詳しく言うと、某D社のネズミ―ランドに行きたいらしい

そんなところへは小学校だか中学校だかの卒業の時以来行っていない。別にD社のキャラは好きではない

というより彼女がそれを好きなことに驚いた。多趣味でらっしゃる

この約束をした後、俺たちは家に帰りそのままお泊まり会は過ぎ去っていった
 ▼ 33 ジーロン@こだいのツボ 16/10/10 21:26:14 ID:NFB077wQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ぽかんむになりそう
 ▼ 34 ンリュウ@ズアのみ 16/10/10 21:43:11 ID:SONQhzz2 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
デジモンパロかよと思った
 ▼ 35 UVL.eKHfWI 16/10/10 22:03:01 ID:Ui9n6QiE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>33
ずばりこれになってしまうと思うので普通の物語の要領で読んでいただけると幸いです
完全にぽかんむではないですがぽかんむが嫌いな方はおすすめしません
 ▼ 36 ワーク@マゴのみ 16/10/10 22:09:20 ID:/5uZ4jdY NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 37 ガジュペッタ@ミミロップナイト 16/10/10 22:14:40 ID:pJS5Dsjs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 38 UVL.eKHfWI 16/10/11 21:30:27 ID:mAFgQUaE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そしてクリスマスイヴがやってきた。約束したばっかじゃんとか思うかもしれないが、12月初旬からクリスマスはすぐにきてしまう

なぜか現地集合かつ始発で行かないと間に合わない時間に招集された。こんなにも早く起きたのは久しぶりだ

それにも関わらず周りにはいちゃいちゃ軍団が大勢いた。俺はそれらを見るとニヤニヤしてしまう

今日はどんな話をしようか。レートが上がったことか、シェイミEXのSRが出たことか、こんなことを考えながら待っていた

しかしその期待は一件のメールによって潰えた。家庭の事情で来られないのだそうだ

聖夜にこんなことがあっていいのか。正確にはまだ夜ではないが

まあ考えていても仕方がないので帰ることにした。人ひとりいない電車に乗りこんだら、急に雪が降ってきた。

これはどんなことを表しているのか。天候に理由があるはずがないが、何か理由があるように思えた

今俺は相当ショックを受けている。天国から地獄に突き落とされた気分だ

人はこういう状況になると冴えるのかもしれない。謎の使命感に襲われて目的地でもないのに都会の駅で下車した
 ▼ 39 UVL.eKHfWI 16/10/12 22:08:15 ID:j7vjcIlg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
下りたはいいものの何をしようか。そんなことを考える暇もなく人ごみへ誘われていく

街は人と光と雪で埋め尽くされている。どこからか幸せそうな曲が聞こえてきたりもする

しかし俺は何かに取り憑かれたように自分の世界を歩み続ける。孤独で暗いはかない世界だが雪が降っているのは変わらない

そこから俺を現実へ連れ戻したのはポケモン関連でもなく親友でも整頓係でもない

彼女だった。俺が下りた街には彼女の後ろ姿があったのだ

俺は何が起きているのか分からず頬をつねってみたが痛かった。

しかし分かったことは少なからずある。

彼女は現実に連れ戻してくれたわけではなかった。引きずり込んだと言えるだろう

彼女は、男を連れていた
 ▼ 40 ーディン@ふしぎなアメ 16/10/13 14:19:12 ID:8D/aNYxQ NGネーム登録 NGID登録 報告
あっ...
 ▼ 41 UVL.eKHfWI 16/10/13 21:56:58 ID:ZoBYVnEc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一瞬男が振り向いた。驚いて目をそむけられなかったが、気付かれなかったようなので安心した

一瞬だったので確証は持てないが、あまり同年代のような感じはしなかった。年齢が分かりづらい顔だったので何とも言えないが

様々な可能性を考えた。父、いとこ、兄、しかし血縁関係があるというほど顔は似てなかったように思える

他にも選択肢はあるが彼女に限ってそんなことがあるはずない。ただ、確証が持てることは一つ存在する

彼女が嘘をついていることだ

もしあまり似ていない家族だったとしたら、嘘をつく必要はないはずだ。そうなると俺に悪い方向にしか考えられない

きちんと別れようと言われるのは構わないが、それもなしに裏切られるのが一番腹立たしい

こんなに冷静で悠長なことは考えられないほどに精神状態は壊滅していた

とりあえず彼女に遭遇したら大変なことになりかねないのでこの場を離れることにした
 ▼ 42 ギアナ@ほのおのいし 16/10/13 22:02:40 ID:nVhVZ8yc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 43 UVL.eKHfWI 16/10/14 22:01:46 ID:Sze5oXW. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
駅の近くでは人が賑わっていた。ここまでくれば人は来ないはずだ

しかしティッシュ配りのサンタに声をかけられて声を出して驚いてしまった。相手に申し訳なかったし、それほどに動揺していたということだ

無意識に帰るための電車に乗っていた。放心状態で一駅乗り過ごしてしまったりもした

最寄り駅に到着するととても落ち着いた。帰り途中にはこれからどうするか考えられるほどにまで回復していた

それもこの町が静かだったからだろう。賑やかな街と同じ日とは思えないほどこの町は静かだった

その間で彼女から説明されるまでは自分からは問い詰めないようにすると決めた

無理に問い詰めてもかわいそうだ

親友に相談したかったのだが、彼は整頓係と出かけている。整頓係は好きな人がいるらしいが、それが親友なのかは確かではない

遊ぶ人もいないし、家に帰った。親に不審がられたが見事にかわしておいた
 ▼ 44 チリス@きいろいバンダナ 16/10/14 22:13:37 ID:6GlRXwSY NGネーム登録 NGID登録 報告
これリアルなら悲しすぎるなあ……

支援だぜ
 ▼ 45 ザリガー@アンノーンノート 16/10/14 22:34:41 ID:pP86s6Lk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
おもしろいから続けて欲しいな
 ▼ 46 UVL.eKHfWI 16/10/15 22:05:21 ID:u0zFBky2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
結局クリスマスイヴは家族と過ごした。俺が参加するはずのなかったパーティーに参加した

その時の俺は今までで最低のクリスマスだった

昨日までは最高のクリスマスになる予定だったのだが、運命は残酷だ

食後、俺はポケモンをやっていた。とても調子が良く、レートはぐんぐん伸びていった

しかし楽しめなかった。こんなにこのゲームがつまらないと感じたのは初めてかもしれない

気付いたらクリスマス当日になっていたが、熱中していたというよりとりあえずやっていたという感じで時は過ぎていったようだ

ベッドに潜り、明日からのことを考える。ポケモンを楽しめない俺は何をしていればいいのか

一刻も早く彼女を連れ戻すか、新しい趣味を見つけなければならない
 ▼ 47 UVL.eKHfWI 16/10/16 22:07:17 ID:q/xCZzg2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クリスマスから年越しまでは想像よりも早く来る。ほぼ毎日冬休みを無駄にしながら過ごしていてもすぐに来る

久しぶりに親友と会い、初詣に出かけた。会うときに新年恒例のあいさつをしてから行くか、となってから俺たちは無言だった

少し離れた神社に着いてからもそうだった。コートを着ていても寒かったのもその要因かもしれない

無言で金を放り、手を叩いた。願い事をすることさえも忘れていて、彼もそんな様子だった

俺がもう用もないし帰るかと思った時だった。彼が何かあったのかと聞いてきた

こっちの台詞だと言ってやりたかったが、こっちに何かあったことは間違いではない

俺が何も言えずにいると、彼がお互い何かあったみたいだなと言ってきた。やはりお前も何かあったのか

俺が頷いたので、親友は語り始めた
 ▼ 48 ドシシ@モモンのみ 16/10/16 22:10:55 ID:wPZsjI7o NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
支援
 ▼ 49 ガバシャーモ@ミアレガレット 16/10/16 23:35:39 ID:wWdfvIww NGネーム登録 NGID登録 報告
これほぼぽかんむだけどアリなん?
 ▼ 50 UVL.eKHfWI 16/10/17 20:28:10 ID:XCx0y3Rg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>49
ぽかんむすぎて駄目だという声が少ないので続けさせてもらっていますが
もしそのような意見が多くて続けられないような状況になったら更新を中止する予定です
出来るだけ続けていきたいと思っているので>>35のような対応を取っていただけるとこちらとしても皆様としても良いと思います
続けてほしい続けてほしくないなどの意見はどんどん言ってもらって構いません
 ▼ 51 UVL.eKHfWI 16/10/17 21:16:09 ID:XCx0y3Rg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クリスマスにデートに誘ったはいいものの、告白をしてフラれたらしい

しかもそのフラれ方が酷いもので、ポケモンバトルで勝てたら付き合ってあげると言われ見事惨敗したというのだ

確かに彼は俺と会うまで改造に頼っていたこともあり、バトルスキルは高くない

俺はそれを聞いて吹き出しそうになったので必死にこらえた。こらえきれなかったら右頬が腫れあがったことだろう

しかも好きな人がいるというのだ。リスクがあることをするなんてそれほどバトルに自信があったのか

その話を聞いた後に俺も彼女が男を連れていた話をした。お互い大変だな、みたいな微妙な感じになってしまった

ぶっちゃけ俺の方がかわいそうだと思うのは俺目線だからだろうか

そうしたら俺の後ろの方を見て彼が急に用を思い出して帰ると言い出した。ご飯も食べる予定ではなかったか

彼を見送ってから後ろを見てみると見慣れた女が立っていた

整頓係だ
 ▼ 52 ニャット@ズアのみ 16/10/18 21:06:16 ID:AU1KGuP2 NGネーム登録 NGID登録 報告
>>50
>>49だけど了解です
いや、話自体はすごく好きだから途中でロックされたらやだなーって思っただけなので
支援してます
 ▼ 53 UVL.eKHfWI 16/10/19 22:03:09 ID:4y1Jqnkc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
道理で彼が慌てて逃げ出したわけだ。俺は全く気付いていなかった

なぜこんな場所にいるんだ?と思ったが、ここは神社だったか。そういえば彼女は比較的ここの近くに住んでいる

彼女は少し嬉しそうな眼をしていた。俺はさっきの話で新年早々気分が落ちているというのに呑気な奴だ

しかも親友の話の元凶は整頓係じゃないか。俺の元凶は彼女だから、仲の良かった4人の中の男子が女子に苦しめられているわけか

悲しい話だ。このことを目の前の女に伝えてはならない

ここで俺は違和感を覚えた。彼女は俺の顔を見て頷いた。

俺の顔がまさか聞いてた?と尋ねているようだったと言う。この顔にでやすい癖は直さないといけない

しかしまだ疑問は残っている。さっきの話を聞いていたのならその顔は何だ

まるで人の不幸をあざ笑うかのような笑顔をしている。そうしたら彼女はこんなことを言い出した

俺が好きだ、と

衝撃が走った
 ▼ 54 UVL.eKHfWI 16/10/20 22:11:10 ID:4YJZRXmE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんなことを言われるとは全く想定していなかった

だが不思議なことに今までは恋愛対象に入れたことが無かったのに、見れば見るほど整頓係が可愛く見えてしまう

この後どうすればいいのかと考えていたら、彼女が付き合わないかと続けた

これで返答を迫られたわけだ。彼女にフラれかけている俺にとっては天使の囁きでもあるが、悪魔の囁きとも取れてしまう

しかしここで即ОKをすると親友に対しても彼女に対しても最低な奴に成り下がってしまう

ポケモンバトルで勝てればOKという粋な返答はできなかった

バトルは俺の方が強いからそれでよかったと思うのだが、そんなに冷静にはいられない

彼女は非常に話を自分の方に持って行くのがうまい。いつまで?と少し怒ったふうに問いかけてきた

俺は、バレンタインまでに結論を出すと言った。やらかした
 ▼ 55 UVL.eKHfWI 16/10/21 21:56:05 ID:TSotBeZQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう言ってその場を離れた。家で温まりながら考えることにした

とりあえず親友に話をしないということはすぐに決まった。彼に相談したら友達が一人以上いなくなる自信がある

彼女には相談しないといけないが、期限をバレンタインに設定したのは失敗だった

俺の誕生日はホワイトデーなので、その日に彼女からなにも無いはずがない

しかもフラれるとしてもその日に合わせてくるだろう。

彼女はキリの良い数字や期間が好きなのでぴったり1年のところに合わせてくると考えた

昼飯を食べることすらも忘れて考えていたので、これらのことに気づくまでに時間はあまり要さなかった

俺はとりあえず彼女にバレンタインまでに会えないかとメールをすることにした

その返信に応じてこれからどうするか決めようと思うので、とりあえず寝た。親に元旦から寝てる奴は初めて見たと驚かれた
 ▼ 56 UVL.eKHfWI 16/10/23 22:06:47 ID:Ub9Af6eU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺を起こしたのは親ではなくバイブ音だった

彼女は俺の癖まで作ってしまうから恐ろしい。すぐに内容を確認しようとする

この時ふと思ったのだが、俺のこの癖のせいでずっとメールを見張ってるみたいに思われているのではないか

これが原因で嫌われたのかもしれないと思い確認を後回しにした。すぐ寝た

その後に俺は謎の二回目のメールで起こされた

一度に二回もメールをされることは珍しいのですぐに見てしまった。寝たら全部忘れるタイプの人間だ

一件目は普通の返答。内容は普通ではなく、バイトで会える時間を取れないという

少し不思議に思ったのは二つ。

彼女は今までバイトをしていなかったのにバイトを急に始めていること。そして普通に返信してくることだ
 ▼ 57 ロンダ@ノメルのみ 16/10/24 07:32:58 ID:EjckYvZU NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 58 UVL.eKHfWI 16/10/24 21:43:32 ID:dZuY/chk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんなことを気にしていても仕方ないので二件目を見ることにした

もしかしたらバレンタインの日は会えるかもということだ

そういうことは他に日には絶対に会えないということなのか。なぜこんなに忙しいのだ

しかしもし会えなければ話をすることすらできない

色々と試行錯誤しているものの、良い案は出ないまま日々が過ぎていった。いつもより空が曇って見えた

冬休みが終わり、学校に行かないといけなくなる。彼女もいつも通り学校に来ていた

しかしいつもと違うのは俺の周りに人が一人しか集まらないことだ。親友だけだ

彼は事情を知っているし、俺は自ら話しかけようとはしないので彼女と整頓係は近くに来ない

俺が課題をサボって放課後残されていたら、後ろから整頓係が話しかけてきた
 ▼ 59 UVL.eKHfWI 16/10/25 21:50:22 ID:/sjUwgaQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼女と話す時間を作れた?と聞かれたので事情を話した。

そうしたら俺は怖い取引を持ちかけられた

もし彼女がバレンタインの日に会ってくれたら整頓係は俺を諦めるが、もし会ってくれないなら付き合ってくれということだった

もし彼女に会えなかったら、そんなことは考えたくもない

しかしこの条件をのんでこちらに不利益は少ない。というわけでそれに応じた

ちなみにその後にバレンタインは二人で彼女を待つという頭おかしい約束をしてしまった

整頓係がその場で俺が好きだと彼女に言うのだろうか。そして彼女は俺はもう好きじゃないというのだろうか

それとも彼女は来ないのだろうか

そんなことを考えながらボーっとしていたら通りすがった先生に叱られた

整頓係にあとで謝られた。ボーっとしていたのは俺のほうなのに、謙虚だ
 ▼ 60 UVL.eKHfWI 16/10/26 22:14:03 ID:u0yR1.wY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バレンタインの日に整頓係、そして彼女と会う場所は三人の家から割と近い公園に決まった

それを彼女に連絡したが、夜に行けたら行くと曖昧な表現で返された

もう少し来てほしいという思いを伝えようかと思ったがそんなことをしてもしつこいだけだろうと思いやめた

その後は彼女もいないし淡々と日々は過ぎていた。

彼女がいてもいなくてもすぐに時間は過ぎていくのだから関係ないのかもしれない

しかしその過ぎる楽しさが段違いだ。もし彼女と前のような関係に戻れたらいいのだが、それは確証を持てない

しかし整頓係は彼女の代わりになってくれるのだろうか

そうなってもらわないと困るのだが、それもまた確証が持てない

そんなこんなでバレンタインが来てしまった
 ▼ 61 UVL.eKHfWI 16/10/27 21:47:28 ID:RLZPxWbY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昼過ぎから整頓係と一緒にいた

彼女が来るとすれば夜なので俺たちは公園を離れ街に出た

俺は整頓係の買い物に付き合っている間、不安に気持ちでいっぱいだった

彼女が来ないかもと弱気になったり、絶対来ると強気になったり色々な考えが頭を巡った

ぶっちゃけ俺は整頓係より彼女の方が好きなのだ

初めて付き合ったという思い出補正も少なからずあるが、それを除いたとしても彼女の方が過ごしていて得るものが多い気がする

しかしそれも俺の偏見にすぎない

整頓係は自分の買い物をしている時も俺に退屈していないか気を遣ってくれる。彼女じゃそうはいかない

彼女は自分の世界に入ったら抜け出せなくなるのでこちらから彼女を引っぱり出してあげないといけないのだ

そういう意味でいうと整頓係は気がきく人だと言える

こんなことを考えている時もどうしたの?と心配してくれた。大丈夫と答えたが、どう考えても大丈夫ではない

いつの間にか夕方になっていて俺たちは公園に戻った
 ▼ 62 UVL.eKHfWI 16/10/28 22:02:15 ID:fanpMxJQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
俺たちはバトルなんかをして時間を潰していた

普段は俺の方が強いのだが、俺がバトルにきちんと頭が回らず全然勝てなかった

ゲームは負けていても楽しくない。それが顔に出てしまい整頓係は少し申し訳なさそうにしていた

結構夜も更けてきて、寒くなってきた。隣で白い息を吐く整頓係は結構良かった

空は少し曇っていて、雨が降ってきそうな感じだった。

こういう時はもっと時間が遅く過ぎてもいいと思う

それまでに彼女から連絡は全く来ていない。もうほとんど諦めていた

俺は整頓係と一緒に過ごしていく。そう思わせたのの一つに整頓係からのプレゼントもあった

それはもちろんチョコが入っていて、俺の好きなビターなチョコが入っていた。俺をよく観察しているのだろう

もう一つは、時間。左腕を見るともうリミットは30分も無かった
 ▼ 63 ルー@こだいのうでわ 16/10/28 22:28:09 ID:cruMwyW6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 64 UVL.eKHfWI 16/10/29 22:01:20 ID:j/ji1/KM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
心臓がバクバクしてきた。しかし目の前の彼女は緊張が感じられなかった

もう勝利を確信したと言わんばかりにポケモンの交換を提案してきた

大切なポケモンを渡し合ってずっと一緒にいようというのだ。

それに快く承諾し、シェイミを渡した。彼女からは好きだというラブカスをもらった

もう時間はない。二人で針が回るのを見ていた。深夜なこともあり、その世界に音は針の音しか存在していなかった

残り10分、5分、1分。そして―――――――――――――

長針と短針が重なり、それは12に先を向けている

整頓係がそれを待ちわびたかのように抱きついてきて、唇を重ねてきた

それと同時に雪が降り出した。俺たちの始まりを祝福しているのか
 ▼ 65 UVL.eKHfWI 16/10/31 21:41:57 ID:90r6O5oY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
整頓係の鼻息が聞こえる。それ以外の音は、もう聞こえない

この状態でしばらく時間が経った。どちらも離れる気配がない

そうしたら、俺たち二人の世界に違う音が紛れ込んできた

それは非常に荒い息だったが、決して汚くないものだった

整頓係はそれを気にしていない様子だったが、俺はなんだか気になって顔を上げた

整頓係は物足りないような顔をしていたが、それはもう仕方ない

息のする方を見ると見覚えのあるどころではない顔があった。この前日にここに到着するはずだった人物

彼女は持っている袋を地面に落とした

雪の降る公園で抱き合う男女を見て、ただ茫然と雪の降る夜に突っ立っていた
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