シンジ「俺はあなたを越えていく！」

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ここは……宙に浮かぶ天空の要塞。

その名はバトルピラミッド。

俺は今その頂点にいる。

眼前に広がるのは真っさらなバトルフィールド。

ようやく、ここまで辿りついた。

そして目の前に立ち塞がる
フロンティアブレーンはさしずめ
玉座を奪取せんとする侵入者を阻む
絶対君主といったところか。


ジンダイ「そうか……
全てのフロンティアブレーンに打ち勝ち、
そしてこのバトルピラミッドの頂点まで
登りつめてきたというのか……少年よ」


ここまで来たらもう迷いなどひとかけらもない。


「はい。必ず……あなたに勝つ！」

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どうせ耐えられると見込んでの
壁貼りで来ると見た、というかそれに賭ける！


ジンダイ「ソルロック、ーーー」

「エレキブル！ ーーー」

ジンダイ「ーーー 光の壁！」

「ーーー気合、パンチィィイ！！」


気合パンチ。

それは極限まで闘気を高めた拳を
迷いなく振り抜くことで最強クラスの
パワーを叩き出す、まさに必殺のパンチ。

しかし極限まで闘気を高める必要があるという
その性質故に相手の技によって
妨害されたが最後、
集中が切れて不発に終わってしまう。

だが……この局面を打破するには
これしかないんだ！！

瓦割りかとおもたら違った

ジンダイ「……！！」

光の壁をかいくぐったエレキブルが雄叫びと
共に放った気合パンチがソルロックを壁に叩きつける！

「やったか？！」

しかしソルロックを倒すには至らなかった。
が、そのダメージはかなり大きい。

エレキブルの残りHP、70%。
ソルロックの残りHP、14%。


ジンダイ「ストーンエッジで近づかせるな！」

「そこだ、ボルトチェンジ！」


すれ違った岩の刃と電波。

しかしエレキブルのボルトチェンジの方が
一足速く決まり、エレキブルは戻っていく。

その瞬間、制御を失ったストーンエッジが
失速して力なくフィールドに転がった。

ソルロック、戦闘不能。3ー4。
エレキブルの残りHP、60%。

支援
夢中になって読んでしまった

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ジンダイ視点

ほほう、ここで気合パンチを狙ってきたとは！

面白い、実に面白い！

こんなに強い挑戦者と戦うのは、
いつ以来であろうな！


「ゆけいっ、レジアイス！」

シンジ「テッカニン……バトルスタンバイ！」


勇壮なる蝉の前に氷山がどっしりと立ち塞がる。

しかしそこにステルスロックの
洗礼が待ち受けていた。


テッカニンの残りHP、満タン。
レジアイスの残りHP、40%。

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もう俺に迷いはない、
勝利への最短ルートを貫くだけだ！ ーーー


「守る！」

ジンダイ「ど忘れ！」


ーーー 読まれようと、もはや関係ない！


互いに補助技を使ったため
このターンに戦況はほとんど変化していない。


テッカニンの残りHP、満タン。
レジアイスの残りHP、34%。

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ジンダイ視点


なるほど……
先程やたらと鉄火バトンを気にしていたのは
少年自身もまた鉄火バトンを使っていたから、
ということか。

ならば守る、剣の舞、バトンタッチまで
確定で見てよかろう。

残り一つは燕返しかシザークロスか。


どちらにせよレジアイスに致命的なダメージは入らない。

ならばここは！


「レジアイス、ーーー」

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レイジ視点


このまま毒守で時間をかけたら
起点を失ってしまうのは
シンジが一番よくわかっているはずだ……
というかそれよりも。

今のシンジのあの目……。

昔の俺……いや、違う。

サトシ君が乗り移ったような目をしてるじゃないか！


ジンダイ「レジアイス、電磁砲で足を奪え！」

シンジ「身代わり！」


よし、いい判断だ！

だが流石にフロンティアブレーンのポケモン。
命中率の低い電磁砲でもバシバシ当ててくるな。
だけどここはシンジの的確な判断が光った！

……まだまだわからない！

テッカニンの残りHP、75%。
レジアイスの残りHP、22%。

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ジンダイ視点


ふん……残りHPが減ってきたか。

しかしここで慌ててはいけない。

向こうがこの場面で狙ってくるのはただ一つ！

毒々+身代わり+守るによるレジアイスのHP切れだ。

したがってここでは守る読み積み！


「レジアイス、ド忘れ！」

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よし、ここまでは順調。

あの余裕の表情を見るに、
全くわからなかったレジアイスの最後の技は眠る！

眠るがあるからこそ残りHP22%、
ギリギリの状況でも
あの余裕を保っていられるのだろう。

したがって向こうの守る読み積みor眠るとここは見た！


ジンダイ「レジアイス、ド忘れ！」


よし！

「テッカニン、剣の舞！」


またしても互いに補助技を使って
次に繋ごうと狙うシチュエーション。

しかし毒は着実にレジアイスを追い詰めていく！


テッカニンの残りHP、75%。
レジアイスの残りHP、4%。


ここは眠る読み一択！


「テッカニン、身代わり！」

ジンダイ「眠る！」


よしっ、読み勝った！

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ジンダイ視点


むむ…このまま積んで全抜きを狙いに来るのか？

しかし…向こうもこちらの残りがレジアイス、
レジスチル、そしてレジロックということは
百も承知だろう。

………一体何を考えている？！


シンジ「テッカニン、身代わり！」

「眠る！」


テッカニンは体力を削って身代わりを作り出す。

しかしその間にレジアイスは眠るで全て回復。

さらにあらかじめ飲ませておいたカゴの実の
粉末によってレジアイスはすぐさま目覚めた。

カゴの実。

それは戦闘前に摂取させておくことで
眠り状態に対する免疫を作る木の実だ。

しかしその免疫の効果は一度きりのため
カゴの実+眠るのコンボを決めるのは
思いの外難しいものだ。

テッカニンの残りHP、50%。
レジアイスの残りHP、満タン。
テッカニンは身代わりを貼っている。

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レイジ視点

落ち着いて考えてみると……不自然だ。

てっかり俺はシンジの狙いが
鉄火バトンだとばかり思っていたんだけど……。

シンジのテッカニンがここまでに使った技は
守る、身代わり、剣の舞。

じゃあ全抜き型？
真っ先に思い浮かぶのはそれだ。

いや、向こうの残りが全てテッカニンに対して
相性有利なのにそれはない、と思うけど。
………何か違和感がある。

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これで完成だ！！


「テッカニン、ーーー」

ジンダイ「レジアイス、ーーー」

「ーーー "バトンタッチ"！！！」

ジンダイ「ーーー 全抜きなどさせぬ！
電磁砲で足を奪え！ ………なっ？！」

来たっ………！

「エレキブル……バトルスタンバイ！」

テッカニンの繋いだバトンを受けた
エレキブルがフィールドに降り立ち、
レジアイスの放った電磁砲を自らのパワーへと
変換してさらに加速し、雄叫びをあげた！！

「ジンダイさん……」

凄まじいオーラを放つエレキブルを目前にしても
ジンダイさんとレジアイスは全く動じるところがない。


「俺はあなたを越えていく！」

↓タイプ:ワイルド

https://www.youtube.com/watch?v=4oKn0Vv6_mQ

このSS内では

替え歌「タイプ:ヌル」でお送りします。

エレキブル。

お前が今受けたのはテッカニンが繋いだバトンだけじゃない！

ドダイトスのステルスロック……

ドラピオンの毒菱……

リングマとブーバーンの削り……

そして今ここにはいないメンバーの思い！

それら全てをお前は今一身に背負っているんだ！


(♪ トバリシティにサヨナラしてから)

ジンダイ「ふん……まさかテッカニンの技を
全て補助技で固めていたとはな。

完全に意表を突かれたが……

安心しろ、勝つのはこちらだ！」


「エレキブル、気合パンチ！」

ジンダイ「HPは満タン！
相手に取って不足なし！ レジアイス、吹雪！！」


(♪ どれだけの時間、経っただろう？)

エレキブルが受け取ったのは4段階上昇した素早さ、2段階上昇した攻撃力、そして……身代わり。


エレキブルは身代わりに吹雪のダメージを全て負わせることで自らを守り、再び気合パンチを突き刺した！


(♪ 厳選 孵化数 理想個体)


ジンダイ「何？！」

「ふっ……よし！」


レジアイス、戦闘不能。4ー4。

エレキブルの残りHP、50%。


(♪ それはちょっと自慢かな？)

ジンダイ「ゆけいっ、レジスチル！」

もう気合パンチは使えないーーー

ジンダイ「気合パンチはもう出させんぞ。レジスチル、ーーー」

ーーーだが、まだエレキブルは地震が使える！

「地震！」

「ーーーアイアンヘッド！
………な、なんだとぉ？！」


(♪あの頃すっごく強かったから)

加速しきったエレキブルが起こした地震はレジスチルの受けを許さない。

レジスチルはまともに動き出すことさえ
できずに地震の衝撃波で吹っ飛ばされた。


レジスチル、戦闘不能。5ー4。
エレキブルの残りHP、40%。


(♪ 捕まえに走ったこのエレキブルも)

「まだ、いけるな？ エレキブル」

ジンダイ「ほほう、大したものだ！」

「その言葉、俺が勝ってからにしていただきたい！」

ジンダイ「ふっ……言いよるわ！
ならば倒してみよ、ゆけいっ、レジロック！」


(♪ いまでは 世界中 誰も使っていない)

レジロック。

「彼の時」は兄貴を6タテし……
「あの時」は俺のハリテヤマ、エレブー、
ブーバーを薙ぎ倒した、まごうかたなき強敵。

その磨き抜かれた岩の体は生半可な
物理攻撃なら一切通さない。

現にステルスロックと毒菱の洗礼を受けても
顔色一つ変えずに泰然と構えている。

エレキブルにとっては、まさに天敵。

だが……今のエレキブルならば！


(♪ 最高の相棒ポケさ！)

ジンダイ「このレジロックが出てきた…
少年ら兄弟にはこの意味がよくわかっておろう」


「はい。この壁、必ず越えてみせる！

もう一度……いや何度でもいう！

俺はあなたを越えていく！

勝ってもっと上に行く！」


(♪ いつの間にか、タイプ:ヌル！)

ジンダイさんはこの追い詰められた
局面にあっても普段通りだ。


ジンダイ「エレキブルは命の珠のダメージで
大分消耗しているようだ。

……しかしこちらとてその状態の
エレキブルの攻撃を食らえばまず持たんだろうな。

また攻撃技を持たぬテッカニンが
出てきたところで少年にできることはない。

……これで決着をつける！

ここを制したものが、

このバトルピラミッドの覇者となるのだ！」


(♪ 少しずつだけど、タイプ:ヌル！)

守るもの、奪いに行くもの、
そして戦いの行方を静観するもの……。


三つの思いは重なり、
ピラミッドの頂点でアツく燃え上がる！


(♪ もっともっと、タイプ:ヌル！)


「「これで決めるぞ！！」」

「ワイルド、ボルトォォオ！！」

ジンダイ「ストーンエッジ！！」


ワイルドボルト。

全身の筋肉を収縮させて電気を起こし、
それを纏って突撃する電気物理の最強奥義。


迎え撃つは岩の雄、ストーンエッジ。


(♪ 強くなるよ……タイプ:ヌル！)

レジロックはギリギリでストーンエッジを
間に合わせ、ワイルドボルトにぶつけて
エレキブルを止めんとする。

しかしエレキブルの勢いは衰えることなく、
電気と岩のぶつかり合いが
激しい爆発を巻き起こしたーーー


「エレキブル！！」

「レジロック！！」


ーーー もうもうと立ち昇る煙。

決戦の結末はそこに全てある。


ジンダイ「決まったな……」


煙の向こうから聞こえるジンダイさんの声は
勝ちを確信したものではない。

ただ、決着がついたこと。

確かなのはそれだけだった。

爆発と煙はその強さを増し続けるばかり。

(♪ 弱いやつも 性格不一致も

ジャッジも いらない旅だけど

出会ったみんなの 強い型

それはちゃんと 覚えて帰るよ

なんだかとっても 辛い感じの

トラウマも あったんだけど

今のバトルの中で 思い出の綻びから

消え去って しまったようさ！


いつの間にか、タイプ:ヌル！

少しずつだけど、タイプ:ヌル！

もっともっと、タイプ:ヌル！

強くなるよ……タイプ:ヌル！)


俺にあと出来るのは一つ。
結果を受け入れること、それだけだ。

例えそこに惨めな結果が待ち受けていたとしても！

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煙が、晴れていく。
立っていたのはーーー


「エレキブル！！」

ジンダイ「……終わったか」


(そして……いつか言うんだ……

Hello,my dream………)



ーーーどちらでもなかった。

エレキブルはワイルドボルトの反動、
命の珠の反動、ストーンエッジで戦闘不能に。

レジロックはエレキブルの攻撃を
急所に喰らいつつも反撃のストーンエッジで
倒したが毒が回って体力が限界を迎え、倒された。


エレキブル、レジロック、共に戦闘不能。
6ー5。

よって勝者……トバリシティのシンジ！

シュカは…あっても無理かな？
支援！

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………勝った、勝ったんだ！


「いいバトルだった、エレキブル」

ジンダイ「よおしっ、がんばった、
よく頑張ったぞ、レジロック！」


俺とジンダイさんはフィールドに駆け入って
それぞれのポケモンをボールに戻しまた向き合う。

しばしの沈黙が訪れた。


ジンダイ「はっはっは……」

「…………」

ジンダイ「いやぁー実に素晴らしい！
いいぞ！ 君を認めようじゃないか。

その証として……この、ブレイブシンボルを
……君に渡す！」

ブレイブシンボル。

それはバトルピラミッド、ひいては
バトルフロンティアを制覇したことを示す、
確かな証。


「兄さん、やったぞ！」


兄貴は黙ったまま頷いて微笑んだだけだった。


ジンダイ「君のその強さ、手放すには惜しい。

どうだ、フロンティアブレーンとして、
ここに残るつもりはないか？」


フロンティア、ブレーン……。

一流のポケモントレーナーばかりが
訪れる一流のバトル施設。

その頂点に立つ者の仲間入りをする
チャンスを今俺は持っている。

だが……ーーー


「すみません、お誘い頂き嬉しいのですが、
俺にはまだ倒すべき相手がいる！」


ーーーフロンティアブレーンになるとしても、
それは「あいつ」を倒してからだ！


ジンダイさんは残念そうにそうか、
といった刹那ーーー


「はっはっは！ はーっはっはっはっは！
これは愉快だ……」


ーーー突如笑い出した。

「………？」

何がおかしいのかさっぱりだ。

ジンダイ「だっはっはっは……」

ひとしきり笑い尽くし、
再びジンダイさんは話し始めた。

ジンダイ「いや……あの少年も……
同じことを言っていたので、ついな。

全く違うようでいて似た部分があると思うと
……くっくっ……」

あの少年……「あいつ」か！！

「はい。必ずそいつに勝って、またここに来ます！
……なんでもあいつは今、
どこか遠くの地方にいるそうなので」

ジンダイ「うむ、待っておるぞ！」

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こうして、シンジとジンダイの死闘は
シンジの勝利で幕を閉じた。

すべてのきっかけとなった男を倒した今、
シンジが次に挑まんとするのは
最大のライバル、サトシ。

彼らは次に相見えた時に果たして
どのようなバトルを見せるのだろうか？


To be continued…… 〜完〜

ここまでお付き合いくださった方々、
ありがとうございました。

心よりお礼申し上げます。


最後に決め手となったのはステロと毒菱……

我ながらうまいことダメージ計算しながら
落とし込めたかな、と。

「チームで勝つ」というシンジの理念にも
合ってますし。


感想、質問、アドバイス等常時お待ちしております。

挿入歌で草
その長編とアカギのやつ楽しみにしてるよ

そうだ、宣伝しておこう。


次回作の主人公はオーキド博士！

タイトルは

「151+100+135+107+156+72=？」

で行く予定です。

今までで一番気合入れて書いていくつもりなので
見かけたらよろしくお願いします。

忘れてた、型晒し