【SS】 夢に向かうサトシへ


1 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/16 23:45:23 ID:lxSuDMO6 名前× NGID× 報告

アニポケXY&Z編の最終回、感動しました。
これまで描かれてきたストーリーを考えると、サトシとセレナにとっての、最高の別れ描写だったのではないでしょうか。

このSSは、そんなアニポケ最終回で描かれていなかった部分にスポットを当てた、“半”オリジナルのストーリーです。
最終回のサイドストーリー的なものとして見て頂ければと思います。



毎日更新は出来ませんが、よろしければお付き合いください。




245 : フォクシー@チャーレムナイト 17/04/20 13:52:28 ID:.71RCjNM 名前× NGID× 報告
しえーん!!
246 : ャワーズ@こううんのおこう 17/04/20 17:53:19 ID:Rk0XIfdI 名前× NGID× m 報告
支援

伸びを見るとセレナ視点のほうが人気なのかな?
247 : ンテイ@せいしんのハネ 17/04/21 11:58:08 ID:JoeQ4svU 名前× NGID× 報告
支援!!
248 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:47:20 ID:SQbGv.ms [1/14] 名前× NGID× 報告


【 1-10 】





   ―  ……なっ!





   ―  …れなっ!





   ―  セレナっ!



249 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:48:00 ID:SQbGv.ms [2/14] 名前× NGID× 報告


私……、呼ばれてる?

寝ちゃってたのかな?

寝ちゃった記憶は無いけど……、でもなんだろう。すっごく頼もしい声。


それに、背中と肩が、なんだか暖かい。

しっかり抱きかかえられてるような、なんだか安心できる感じ。


 セレナ 「……んっ」

 サトシ 「セレナっ……良かった!」

 セレナ 「ぁっ……サトシ……」


目を開くと、サトシの顔が飛び込んで来た。

とっても心配そうな顔……からの、安堵の顔。

憧れの人は、私の無事を喜んでくれている。


 サトシ 「大丈夫か? すげぇボロボロだけど……、どっか傷んだりしないか?」

 セレナ 「ぁのっ……ぇっ……んっ……///」
250 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:48:30 ID:SQbGv.ms [3/14] 名前× NGID× 報告
少し遅れて、私は現状を理解する。

私は今……、サトシに抱き上げられている……って言うのかな。

お尻から下は地面に付いたままだけど、サトシが私の肩と背中に手を回して、抱き上げてくれている。

さっきまで冷たく濡れた地面に浸ってた私の上半身は、それで幾分、楽になっていた。

……と同時に、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

だって私、サトシに抱かれるような体勢で……///


 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「サトシっ……、無事、なんだよね?」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「私っ、サトシのこと、心配でっ……。でもっ、助け、行けなくて……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。それはオレの台詞だよ。ルイナの相手、セレナに任せっぱなしになっちゃって。それで、こんなボロボロにさせちまって……。ごめんな」

 セレナ 「んっ……そんなっ、サトシのせいじゃ、無いよ」

 サトシ 「……って言うかセレナ、具合、悪いのか!?」
251 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:49:00 ID:SQbGv.ms [4/14] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「えっ……なんで?」

 サトシ 「なんか息が切れ切れだし、それに、動こうとしないって言うか……」

 セレナ 「んっ……あのっ、ルイナに……“しびれごな”、受けちゃって……」

 サトシ 「“しびれごな”!? 大丈夫なのか!?」

 セレナ 「ちょっと、息苦しっ、けどっ……大丈夫っ、かな……」

 サトシ 「“痛めつける”ってそう言うことだったのか」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「とにかくマヒを取らないと! ポケモンセンター……までは遠いし、木の実か何か……!?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「ピカチュウ……、探してきてくれるのか?」

 ピカチュウ 「ぴっかちゅ!」

 サトシ 「そっか、助かるぜピカチュウ。マヒに効く……クラボだっけ? 分かるか?」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 サトシ 「じゃあ頼んだぜ!」
252 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:49:30 ID:SQbGv.ms [5/14] 名前× NGID× 報告
私はサトシに抱きかかえられながら、森の奥へ走っていくピカチュウを見送った。

ピカチュウに“ごめんね、お願い”って言おうとしたけど、それを言う暇が無いほど、サトシとピカチュウはスピーディーに対応してくれた。

そして残されたのは、私とサトシだけ。


 サトシ 「ごめんな。もっと早く駆けつけたかったんだけど……」

 セレナ 「んっ……そんなことっ」


サトシは優しく、私に語り掛けてくれた。

早さ なんて関係ないよ。私は、サトシが助けに来てくれたこと自体が、とっても嬉しいんだから。


 サトシ 「雨、止まないな」

 セレナ 「あっ、うん……」

 サトシ 「濡れるから移動しようぜ。立てるか?」

 セレナ 「立つのはっ、ちょっと……ダメ、かな……」

 サトシ 「そんなに痺れるのか?」

 セレナ 「うん……。ニンフィア、ボールに戻すのも、ちょっと厳しかったし……、立てない……あっ」

 サトシ 「どうした?」
253 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:50:00 ID:SQbGv.ms [6/14] 名前× NGID× 報告
なんだか……、懐かしい感じ。

そうだよ。あの時に似てるんだよ。

サマーキャンプで、サトシと初めて会った時と。

サトシが私の怪我を手当てしてくれて、私を立ち上がらせてくれた、あの時と――。


 サトシ 「……そっか」

 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「最後まで諦めちゃダメだ」

 セレナ 「ぁっ……///」


その台詞……、あの時の。

サトシ、貴方も あの時のこと、思いだしてくれたんだね。


 サトシ 「……って、マヒしてるのに“諦めるな”は酷か」

 セレナ 「ふふっ」


私は思わず、笑ってしまった。

体は痛いし、マヒで息苦しいけど、何故だか自然と、笑みがこぼれてしまった。
254 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:50:30 ID:SQbGv.ms [7/14] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「立って……みるか?」

 セレナ 「うん」


私が答えると、サトシは大きく頷いた。

そして、私の背中に手を あてがいながら、私の右手をギュッと掴む。

膝立ち状態のサトシが、眩しい笑顔で私の顔を覗きこむ。そんなサトシの笑顔を見上げながら、私は足に力を込める。



サトシが、私の腕を優しく引っ張った。


つられて私は、体が起き上がる。


お尻が浮いて、膝が伸びて、視線が高くなって。



 セレナ 「あっ……?」


でも、やっぱり私の体は言うことを聞いてくれない。

痺れているせいで、立った状態で制止することが出来ず、そのまま私は――。
255 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:51:00 ID:SQbGv.ms [8/14] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「へへっ。立てたじゃん」

 セレナ 「んっ、ふふっ……///」


私の体は、サトシによって、抱きとめられていた。

私の右手を握ったまま、サトシは私のことを、しっかりと抱きとめてくれた。


 セレナ 「あの時と……、同じだね」

 サトシ 「そうだな」


私が小さく呟くと、サトシは応えてくれた。

サトシの肩に、顔を埋めたまま。

普通なら恥ずかしくて こんなこと出来ないけど、これは体が痺れているせい。

だから良いんだ、今日くらい……。

256 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:52:00 ID:SQbGv.ms [9/14] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「ほら、そっちの木の影に行こうぜ。濡れすぎるのも良くないし」

 セレナ 「うん。でも私、歩くのダメかも……」

 サトシ 「分かってる。だから……ほら」 グイッ

 セレナ 「ふぁっ……えぇぇっ!?」


私の体が、ふわりと浮いた。

それは、サトシが私を抱き上げてくれたから。

サトシは私の背中と膝下に手をまわして、軽々と私を持ち上げた。……それはつまり、お姫様抱っこ。


 セレナ 「さっ……サトシっ……///」

 サトシ 「苦しくないか?」

 セレナ 「大丈夫っ……だけどっ。そっ……良いよサトシそんなっ……重いでしょ……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。セレナくらい軽い軽い」


そう言ってサトシは移動を始める。

さっきのニンフィアの“星”の破裂で、まわりの木々は枝が落ちちゃってるから、雨を凌げる木陰まで、ほんの少し、距離がある。


 セレナ (ぁっ……ぁぅぅ……///) ドキドキ
257 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:52:30 ID:SQbGv.ms [10/14] 名前× NGID× 報告
私、いまサトシに、お姫様抱っこされちゃってる……。

サトシの体と密着して……、サトシの顔が近くて……。

こんなの、恋人みたいだよ……///


恥ずかしくて、ついつい私は目を逸らしてしまう。

けど、恐る恐る、私はサトシの顔を覗き込む。

見上げたサトシの顔は、とっても凛々しくて、頼もしくて……。


辛いはずなんだけど、それを喜ぶ自分が居る。

体が痺れて動けないことに、私は感謝した。

だってサトシに お姫様抱っこなんて、私っ、恥ずかしくて嬉しくて、心臓破裂しそうだよぉ……。
258 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:53:00 ID:SQbGv.ms [11/14] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「……よし。ここなら雨に当たらないな。下ろすぞ?」

 セレナ 「ぁっ、うん……///」


大きな木の下に入って、サトシは私を そっと地面に下ろしてくれた。木の幹に もたれ掛け、座った状態になるように。

サトシは私の正面に胡坐をかく。そして、私の体を、まじまじと見つめる。


 セレナ 「サトシ……ありがとう ///」

 サトシ 「あぁ。……でもセレナ、マヒの ほか、本当に大丈夫か?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「泥だらけだし……、擦り傷とか けっこうあるぞ。痛くないか?」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「そっか。良かった」


サトシ、私のこと心配してくれている。

とっても嬉しいけど、でも反面、こうやって落ち着いてみると、サトシに会いたくなかったって気持ちが、心の何処かで生まれてくる。
259 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:53:30 ID:SQbGv.ms [12/14] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「……なかったな」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「こんな格好……、サトシには、見られたくっ、なかったな……」


鏡を見た訳じゃないけど、ルイナが言うには、私、酷い格好みたい。

水溜りだらけの地面に倒れて、滑って、ワンピースはボロボロ、体は泥だらけ、髪も乱れてると思う。

こんな格好、大好きな人に――、サトシにだけは、見られたくなかった。


 サトシ 「なに言ってんだよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「セレナ、ルイナに勝ったんだろ?」

 セレナ 「あっ……うん。ヤンチャムと、テールナーと、ニンフィア……。みんな、頑張ってくれて」

 サトシ 「セレナ、ルイナのポケモンから直接攻撃を受けてさ。それでも勝ったんだろ?」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「だったら、セレナの その格好は、勲章みたいなもんじゃん。テールナーたちと一緒に戦ったさ」
260 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:54:00 ID:SQbGv.ms [13/14] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「勲章……」

 サトシ 「セレナはさ、バトルが苦手なのに、ルイナに勝ったんだよ。直接攻撃を受けたのに勝ったんだよ。それってオレ、凄ぇことだと思う!」

 セレナ 「サトシ……」

 サトシ 「確かに……ワンピースとか、綺麗なピンクが台無しだけどさ。でもそれは、全力で戦った証じゃん」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「セレナは見られるのが嫌かもしれなけど、恥ずかしがることなんて無いよ。むしろオレ、そういう頑張った姿って好きだぜ?」

 セレナ 「ふぇっ……!?」 ドキッ


サトシ……いま私のこと“好き”って……!?


 セレナ 「ぁっ……サトシっ……///」


勿論、意味が違うってことは分かってる。

でもサトシは、ボロボロな私のこと、ちっとも変な目で見ないで、頑張った姿だって、褒めてくれて……。
261 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/21 23:54:30 ID:SQbGv.ms [14/14] 名前× NGID× 報告
こんな姿をサトシに見せたくないって思った私が、なんだか馬鹿らしく思えてくる。

だって、ほら。サトシは全然気にしてないじゃない。

サトシに限って、真っ直ぐで純粋で、優しいサトシに限って、私の この格好を悪く言うはずなんて、最初から無かったのに。

それどころか、こんな私の姿を、“好き”ってまで言ってくれて……。


 セレナ 「さっ……サトシっ……」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「そのっ、ありがとっ……///」

 サトシ 「ん? あぁ」

 セレナ 「私っ、私もっ、そのっ……サトシのことっ……!」









 ピカチュウ 「ぴかぴ〜!」

262 : クノシタ@でんきのジュエル 17/04/21 23:57:21 ID:6KY5JFQ. 名前× NGID× 報告
支援
263 : ルヴァディ@エスパージュエル 17/04/22 00:17:04 ID:WpieEA8. 名前× NGID× 報告
支援
264 : ウカザル@ふたのカセキ 17/04/22 13:56:59 ID:hHbM17Hc 名前× NGID× 報告
支援!!
265 : ガサーナイト@はっかのみ 17/04/23 16:51:18 ID:M2U5Xhrk 名前× NGID× 報告
しえん
266 : ウカザル@きんのおうかん 17/04/23 20:04:30 ID:zI6BjH/s 名前× NGID× 報告
支援
267 : ザード@メンタルハーブ 17/04/24 17:09:13 ID:I4uDI6mY 名前× NGID× 報告
支援です!
268 : ポエラー@ドクZ 17/04/26 15:10:52 ID:OyfRbnlc 名前× NGID× 報告
がんばれー!
269 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:06:20 ID:cWJBCVpo [1/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「ピカチュウ!」

 セレナ 「ぁっ……」


ピカチュウが戻って来た。こんなタイミングで。

……ううん。ピカチュウは私のためにクラボの実を探しに行ってくれたんだから、感謝しないと。

感謝しないとだけど……、うぅ……なんでこんなタイミングで……。


 サトシ 「サンキュー、ピカチュウ!」

 セレナ 「んっ、ありがとっ……ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ〜」


クラボの実は、真っ赤な小さな木の実だ。

ポフレの材料にしたことがあるから、私にとっては見慣れた木の実。まさかそれを直接食べる時が来るなんて、思ってもみなかったな。


 サトシ 「ほらセレナ、口、開けろよ」

 セレナ 「えっ……?」
270 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:07:00 ID:cWJBCVpo [2/12] 名前× NGID× 報告
サトシはクラボを摘まむと、私の顔の前に持ってきた。

それって……、サトシが食べさせてくれるってこと!?

確かに私、体が痺れてるから自分で食べるのは難しいけど、でもでもっ、そんなっ、サトシに……///


 サトシ 「ほら!」

 セレナ 「んっ、あーん……///」


うわぁ〜恥ずかしいっ……。

サトシに“あ〜ん”して貰うなんてっ、こんな……、恋人みたいなことっ……///


 セレナ 「っ……辛ぃっ」

 サトシ 「ははっ。でもマトマよりマシだろ?」

 セレナ 「うん。うぅ……」

 サトシ 「これでマヒは大丈夫だな。雨宿りも兼ねて、ちょっと休もうぜ」

 セレナ 「うん、ありがとっ……サトシ」


271 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:07:30 ID:cWJBCVpo [3/12] 名前× NGID× 報告
雨は なかなか止まない。

でもそのお陰で、こうやってサトシと一緒に居れるって思うと、止んで欲しく無いって思っちゃう自分が居る。

だって今、私とサトシの距離、すっごく近いんだもん。

木陰の雨宿り、濡れない範囲は狭いから。


 サトシ 「……でさ、最後はピカチュウの“10万ボルト”を、氷柱に落としたんだ。避雷針みたいにな」

 ピカチュウ 「ぴっか」

 サトシ 「氷のフィールド、雨で水の幕が張ってたから、逃げ回るツンベアーにも電気が流れて、それでバトル終了さ」

 セレナ 「そうだったんだ。やっぱりサトシは凄いね。フィールドを味方にしちゃうバトル」


雨宿りの間、サトシはハルキとのバトルを語ってくれた。

けっこう苦戦したみたいだけど、サトシ持ち前の判断力と奇抜な発想で、無事に勝利を おさめたみたい。

やっぱり凄いな、サトシって。
272 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:08:00 ID:cWJBCVpo [4/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「……セレナ、普通に喋れるようになってきたな」

 セレナ 「うん。息苦しさも無いし、体は まだちょっとピリピリするけど、だいぶ楽になったよ」

 サトシ 「良かった。じゃあ完全回復まで もう少しだな。聞かせてくれよ、セレナのバトルも」

 セレナ 「えぇ。サトシみたいにバトル慣れしてないから、あんまり面白くないかもしれないけど……」

 サトシ 「そんなの関係ないぜ。オレ、セレナがバトルしてるところって、あんまり見てこなかったし、セレナの素のバトルが知りたいんだ」

 セレナ 「ふふっ。最初はね、ドンカラスが相手だったんだけど……」


今度は私の番。

私はサトシに、出来るだけ詳しく、ルイナとのバトルの流れを話してあげた。

ヤンチャム、テールナー、ニンフィア。

みんなバトルに慣れてないのに、ルイナのポケモンと戦ってくれて。

私の未熟さのせいで、ぎこちない、隙だらけのバトルになっちゃったけど、それでも精一杯頑張って、持てる力を振り絞って、なんとかルイナに喰い付いて……。
273 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:08:31 ID:cWJBCVpo [5/12] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「……そのタイミングで、私、“しびれごな”を吸っちゃったんだ」

 サトシ 「どうかしてるぜルイナの奴!」

 セレナ 「ニンフィアすっごく心配してくれたんだけど、そのせいで、“ヘドロばくだん”を受けちゃって……」

 サトシ 「あぁ……、フェアリーに毒は効果抜群だからなぁ」

 セレナ 「ニンフィアが倒れちゃってね、ホントなら私、そこで負けてたんだ」

 サトシ 「“ホントなら”?」

 セレナ 「うん。ルイナはね、サトシとハルキのバトルが有利になるように、私を人質にしようとしたの」

 サトシ 「オレもそれ、ハルキから聞かされたよ」

 セレナ 「それでね――、ルイナは私を大人しくさせようとしたのかな。私、“エナジーボール”も喰らっちゃったんだ……」

 サトシ 「“エナジーボール”って……そんなことまでされたのかよセレナ!?」

 セレナ 「うん。それに吹き飛ばされて、こんな……泥だらけになっちゃったんだ」

 サトシ 「……クソッ! そんなことまでされて……、ごめんな。ハルキとルイナに逃げられちまって」

 セレナ 「ううん! そんなの大丈夫だよ」

 サトシ 「でもオレ……やっぱり許せない。ポケモンをネットで売り捌くのも そうだけど、セレナが直接攻撃を受けて、あいつら何も咎められないってのが、どうしても許せないんだ」

 セレナ 「優しいね、サトシ」

 サトシ 「セレナは大切な仲間なんだ。当たり前だろ?」
274 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:09:06 ID:cWJBCVpo [6/12] 名前× NGID× 報告
仲間――か。

サトシにしてみれば、私は旅仲間の1人に過ぎないかもしれない。

でもね、私にとって、サトシは単なる旅仲間じゃないんだよ?

私にとって、貴方は特別な存在……、憧れであって、人生を変えてくれた、掛け替えのない存在、大好きな人――。

サトシ、私の気持ち、なかなか気付いてくれないな……。


 サトシ 「……どうした? 大丈夫か?」

 セレナ 「うん。……それでね、ルイナが私にトドメを刺そうって時に、ニンフィアが、立ち上がったんだ」


もう体力の限界だったはずのニンフィアは、雄叫びと共に立ち上がって、大きな“星”を打ち出した。

その一撃で、ルイナのロズレイドが戦闘不能になるくらいの、信じられないくらい力強い“星”――。


 サトシ 「“星”って……、“スピードスター”か?」

 セレナ 「ううん。絶対に違う。なんて言うんだろう……、もっと、ニンフィアの気持ちの結晶って言うか、とにかく凄かったの」

 サトシ 「そっか。オレも見てみたかったな」

 セレナ 「うん。凄かったんだから、ニンフィア。とっても格好良かった。あれ、何だったんだろうな……」

 サトシ 「調べてみるか?」
275 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:10:20 ID:cWJBCVpo [7/12] 名前× NGID× 報告
そう言うと、サトシはポケモン図鑑を取り出す。そして、慣れた手つきで操作すると、目当てのページが見つかったのか、私の隣に座り直した。


 セレナ 「ぁっ」 ドキッ

 サトシ 「これがニンフィアのワザ一覧のページだけど、見えるか?」

 セレナ 「うん……///」


いま、私とサトシは一緒に図鑑を見ている。

一つの図鑑を一緒に見るってことは、当然、お互いが近寄らないといけないから、私とサトシは、自然と距離が縮まった。


 サトシ 「この中で、その“星”っぽいワザは……」

 セレナ (ぁぅぅ……///) ドキドキ


肩が触れ合うくらい、私はサトシと密着している。

抱きとめられたり、お姫様抱っこされたりで、今さら恥ずかしがるようなことじゃないかもしれないけど、それでも私は、ドキドキせずには いられない。

だって……こういうシチュエーションって、恋人みたいなんだもん。

さっきの一連のことは、私の体が痺れてたから――、言ってみれば、私はサトシに気遣って貰っていたに過ぎない。

でも今は違う。

この距離の近さは、正しく、恋人みたいなシチュエーション。私が本当に望んでいたシチュエーションだった。
276 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:10:55 ID:cWJBCVpo [8/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「……これか?」

 セレナ 「“とっておき”?」


“とっておき”――。

大切なものを守るため、全力で相手に攻撃する、とっておきのワザ。覚えている他のワザを全て使っていないと失敗する――。

図鑑には、そう書かれていた。


 【注】 実際とは異なります。


 サトシ 「“星”がどうとは書いてないけど、これで間違いないと思うぜ」

 セレナ 「“とっておき”……」

 サトシ 「“大切なものを守るため”――、セレナとニンフィアが信頼し合ってたから、出せたワザなんじゃないかな?」

 セレナ 「ニンフィア……」


ニンフィアは、私がルイナに殴られそうになった時、立ち上がって、“とっておき”を出してくれた。

“とっておき”なんてニンフィアは覚えてなかったから、その場で習得したんだと思う。

私を助けるために……。
277 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:11:31 ID:cWJBCVpo [9/12] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「ありがとう、ニンフィア。私、嬉しいよ……」

 サトシ 「へへっ、やっぱり良いコンビだな、セレナとニンフィア」

 セレナ 「ありがとうサトシ。でも、テールナーとヤンチャムだって、私の大切なパートナーよ」

 サトシ 「あぁ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか」




今回のことで、私は まだまだ未熟だって、思い知らされた。

パフォーマンスは それなりに自信があったけど、バトルは本当にダメ。

私が もっと ちゃんと指示を出してれば、みんなが ここまでダメージを受けること、なかったと思う。


でも……、そんな私でも、みんなは私を信頼してくれている。

テールナー、ヤンチャム、ニンフィアは、私のことを、信じてくれている。

それがどれくらい嬉しいことか。みんなとの信頼を再確認できたって意味では、ルイナとのバトルは、無駄じゃなかったんだな。


……ふふっ。

“無駄なことなんて一つもない”――、そうだよね、サトシ?
278 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:12:06 ID:cWJBCVpo [10/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「……ちょっと小降りになってきたな」

 セレナ 「あ、うん。この様子だと、雨、なかなか止みそうにないね」

 サトシ 「どうする? 小降りのうちに帰った方が良いか?」

 セレナ 「う〜ん……、そうだね。待ってても止む保証は無いし」

 サトシ 「じゃあ帰るか。みんなをポケモンセンターに連れて行かないとな」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「じゃあ……ほら」

 セレナ 「ぁっ……///」


そう言うと、サトシは立ち上がって、私に手を差し出してくれた。

こんなにスマートに私の手助けしてくれるなんて……、サトシ、本当は女の子が喜ぶこと、知ってるんじゃないの?


 セレナ 「ありがとう」

 サトシ 「体、大丈夫か?」

 セレナ 「うん。ほとんど痺れは取れたし、これもピカチュウのお陰よ?」

 ピカチュウ 「ぴぃか」
279 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:12:40 ID:cWJBCVpo [11/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「でも無理しちゃダメだぜ?」

 セレナ 「えっ?」


サトシは私を立ち上がらせると、手は握ったまま下ろし、少しだけ、強く握りしめてくれた。


 サトシ 「このまま行こうぜ。辛くなったら、いつでもオレに体重かけて良いからな」

 セレナ 「ぁっ……うん!」


素敵だな、サトシ。嬉しいよ、サトシの そういう気遣い。

ねぇ、本当に私の気持ちに気付いてないの? ワザと鈍感なフリしてるんじゃないの?


 サトシ 「あっ……とそうだ! セレナごめん! 自転車、壊しちまったんだ」

 ピカチュウ 「ぴか……」

 セレナ 「自転車……いいのいいの。ずっと乗ってなかった古いやつだし、気にしないで」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。それに……」
280 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:13:30 ID:cWJBCVpo [12/12] 名前× NGID× 報告
自転車の2人乗りも良かったけど、こうやって、サトシと手を繋いで歩くのも良いかなって。

サトシの優しさを いっぱいに感じながら一緒に歩くのも、なかなか良いかなって。

たったそれだけのことだけど、私にとっては、とってもドキドキして、ワクワクして、暖かな気持ちになれるんだもん。


 サトシ 「それに?」

 セレナ 「ううん、なんでもない」 ギュッ


私はサトシの手を握りしめて、少しだけ、ほんの少しだけ、サトシの近くに寄り添った。

こんなデートでも、私、すっごく楽しいんだから!


 セレナ 「行こ、ポケモンセンター」

 サトシ 「あぁ!」


私とサトシは、小雨の降る しっとりとした森の中を歩き出した。

ポケモンセンターに着くまでも、私にとって、最高の思いでになるんだろうな。





281 : ャワーズ@ピーピーエイダー 17/04/29 00:15:46 ID:/FdWYotU [1/2] 名前× NGID× 報告
支援ですわ
282 : ニリッチ@どくけし 17/04/29 15:13:41 ID:YB5z4zjM 名前× NGID× 報告
待ってました
やっぱり面白いな〜!
283 : ミラミ@けむりだま 17/04/29 15:19:58 ID:P.nNYuLk 名前× NGID× 報告
これは・・・
284 : ガオニゴーリ@ムシZ 17/04/29 19:47:02 ID:/FdWYotU [2/2] 名前× NGID× 報告

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その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。


一部のホストからの違反報告を制限させてもらっています。


文字サイズ設定・投稿設定・NG設定▼(クリックで開閉。動作にはJavaScriptを有効にして下さい。)
    文字サイズ

    自分の投稿を分かりやすくする
    投稿フォームの「履歴に記録する」にチェック時、この設定が有効の場合に、投稿した書き込みの名前が黄色く表示されます。(動作には要履歴ID発行
    現在の設定は「有効」です。
      

    NG設定
    各NG設定は、履歴IDを発行することで、PCとiPhoneなど複数端末で共有化することが出来ます。

    ・連鎖NG設定
    NG機能で見えなくなったレスにアンカーが向けられていた場合、そのレスも連鎖して見えなくなります。
    現在の設定は「」です。
      

    ・NGワード設定
    入力した単語を含むレスが見えなくなります。(改行区切りで入力後、「設定する」ボタンをクリック)
    NGされたレス内容は「元レス」をクリックすると確認できます。

    ・NGネーム・NGID一括削除


    NGワード機能について詳しくはこちら

(画面No:2a)

(連投制限などに引っかかった時用)