【SS】 夢に向かうセレナへ


1 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/01/17 00:52:52 ID:f7kwrx9E 名前× NGID× 報告

アニポケXY&Z編の最終回、感動しました。
これまで描かれてきたストーリーを考えると、サトシとセレナにとっての、最高の別れ描写だったのではないでしょうか。

このSSは、そんなアニポケ最終回で描かれていなかった部分にスポットを当てた、“半”オリジナルのストーリーです。
最終回のサイドストーリー的なものとして見て頂ければと思います。



毎日更新は出来ませんが、よろしければお付き合いください。




222 : マルス@かみなりのいし 17/04/20 13:53:16 ID:.71RCjNM 名前× NGID× 報告
こっちもしえーん!!
223 : ルガモス@つきのいし 17/04/21 11:58:42 ID:JoeQ4svU 名前× NGID× 報告
支援
224 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:17:31 ID:gJPN3aOk [1/15] 名前× NGID× 報告


【 2-10 】



 サトシ 「はぁっ……はぁっ……はぁっ……セレナっ! どこだセレナぁ!?」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁー!?」


オレとピカチュウは、セレナとルイナが向かったと思われる方向を、全力で探している。

林道を入口まで戻って見つからなかったから、そこから逸れた、森の中を。


 サトシ 「セレナ! 返事してくれセレナっ! セレナぁ!?」

 ピカチュウ 「ぴかぁー!? ぴかぴかぁー!?」

 サトシ 「くそっ! どこだよセレナぁー!?」


この雨でセレナの匂いも消えちまったから、ピカチュウの鼻に頼るのも無理だった。

しらみつぶしで探すしかない。でも、この広い森で、そんな気が遠くなるようなこと……。


 サトシ 「……ん?」
225 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:18:20 ID:gJPN3aOk [2/15] 名前× NGID× 報告
ふと、視界に目に入った光景に、オレは違和感を覚えた。

森の中の一部分だけ、妙に視界が開けている。そこだけ木々が無いような感じ。


 サトシ 「……あそこだ!」

 ピカチュウ 「ぴか!」


オレの直感が、そう言った。

森の中でピンポイントで木々が無い……、それは、そこで“何か”があったってこと。

木々を薙ぎ倒すほどの“何か”なんて、ポケモンバトルしかない。

セレナとルイナのバトルは、あそこで行われたに違いない!


 サトシ 「セレナっ……セレナっ!」


あんなに木々が薙ぎ倒されるほど、セレナは激しいバトルを繰り広げたってことなのか。

それに、ルイナが言ってた“セレナを痛めつける”って言葉も気になる。

まさかセレナ、そんな激しいバトルに巻き込まれたんじゃ……!?
226 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:19:00 ID:gJPN3aOk [3/15] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「セレナっ!?」


森の中の空間。

一点を中心に何かが破裂したかのように、まわりの木々は薙ぎ倒され、枝が落ちている。

かと言って、地面は黒ずんだりしてないし、焦げ臭い匂いも無いから、爆発では無いと分かる。


その、まさしく中心に、セレナは倒れていた。


 サトシ 「おいセレナしっかりしろ! セレナっ!」


慌ててオレは、セレナに駆け寄った。

体中 泥だらけのセレナ。綺麗なピンク色のワンピースもボロボロになっていた。


 サトシ 「セレナ! セレナっ!」


セレナの上半身を抱き上げて、オレは必死で呼びかける。

呼吸は……ある。気を失ってるだけか。


 サトシ 「セレナ! セレナ起きろっ! セレナっ!」
227 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:19:30 ID:gJPN3aOk [4/15] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「……んっ」


何度か呼びかけると、セレナから反応が返って来た。


 サトシ 「セレナっ……良かった!」

 セレナ 「ぁっ……サトシ……」

 サトシ 「大丈夫か? すげぇボロボロだけど……、どっか傷んだりしないか?」

 セレナ 「ぁのっ……ぇっ……んっ……///」


ゆっくり目を見開いたセレナは、辺りをゆっくり見回すような仕草を取る。

仕草を取る――って言うのは、実際に体は動かしていないから。セレナ、体が痛むのか?

そしてセレナは、黙りこくってしまった。


 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「サトシっ……、無事、なんだよね?」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「私っ、サトシのこと、心配でっ……。でもっ、助け、行けなくて……」
228 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:20:00 ID:gJPN3aOk [5/15] 名前× NGID× 報告
セレナは必死に訴えているようだった。

逆だよセレナ。

オレもセレナのこと心配で、でもハルキとバトルが終わるまで、助けに行けなくて……。


 サトシ 「なに言ってんだよ。それはオレの台詞だよ。ルイナの相手、セレナに任せっぱなしになっちゃって。それで、こんなボロボロにさせちまって……。ごめんな」

 セレナ 「んっ……そんなっ、サトシのせいじゃ、無いよ」

 サトシ 「……って言うかセレナ、具合、悪いのか!?」

 セレナ 「えっ……なんで?」

 サトシ 「なんか息が切れ切れだし、それに、動こうとしないって言うか……」


オレの腕の中で、セレナは相変わらず動こうとしない。

それに、さっきから会話が ぎこちないって言うか、途切れ途切れで息苦しそうにしている。


 セレナ 「んっ……あのっ、ルイナに……“しびれごな”、受けちゃって……」

 サトシ 「“しびれごな”!? 大丈夫なのか!?」

 セレナ 「ちょっと、息苦しっ、けどっ……大丈夫っ、かな……」
229 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:20:30 ID:gJPN3aOk [6/15] 名前× NGID× 報告
“しびれごな”を直接浴びせるなんて、ルイナの奴、いったいどんな神経してるんだよ!?

“しびれごな”を浴びたことがあるオレだから分かる。この辛さ、息苦しさを。

……まぁ、あの時はラフレシアの花の中に顔から突っ込んでゼロ距離で浴びたから、今のセレナの状況とは違うか。


 サトシ 「“痛めつける”ってそう言うことだったのか」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「とにかくマヒを取らないと! ポケモンセンター……までは遠いし、木の実か何か……!?」

 ピカチュウ 「ぴか!」

 サトシ 「ピカチュウ……、探してきてくれるのか?」

 ピカチュウ 「ぴっかちゅ!」

 サトシ 「そっか、助かるぜピカチュウ。マヒに効く……クラボだっけ? 分かるか?」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 サトシ 「じゃあ頼んだぜ!」


ありがとなピカチュウ。

さっきのバトルで疲れてるはずなのに……、本当、ピカチュウは頼りになるぜ。

230 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:21:00 ID:gJPN3aOk [7/15] 名前× NGID× 報告
さて。

オレは少しでも、セレナを楽な状態に してあげないと。


 サトシ 「ごめんな。もっと早く駆けつけたかったんだけど……」

 セレナ 「んっ……そんなことっ」


セレナは そう言ってくれるけど、ハルキとのバトルで苦戦しちまったのは事実だ。

オレ、もっと強くならないとな。大切な仲間を守れるように、もっと、強く……。


 サトシ 「雨、止まないな」

 セレナ 「あっ、うん……」

 サトシ 「濡れるから移動しようぜ。立てるか?」

 セレナ 「立つのはっ、ちょっと……ダメ、かな……」

 サトシ 「そんなに痺れるのか?」

 セレナ 「うん……。ニンフィア、ボールに戻すのも、ちょっと厳しかったし……、立てない……あっ」

 サトシ 「どうした?」
231 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:21:30 ID:gJPN3aOk [8/15] 名前× NGID× 報告
あっ……。

尋ねたと同時に、オレはセレナの言いたいことが、分かってしまった。


 サトシ 「……そっか」


懐かしい感じ。

そう、あの時と同じだ。

サマーキャンプで、セレナと初めて会った時と。

オレがセレナの足にハンカチを巻いて、立てないセレナを立ち上がらせた、あの時と――。


 セレナ 「サトシ……?」

 サトシ 「最後まで諦めちゃダメだ」

 セレナ 「ぁっ……///」

 サトシ 「……って、マヒしてるのに“諦めるな”は酷か」

 セレナ 「ふふっ」


セレナは笑ってくれた。

なら大丈夫だ。笑えるだけの力があるんなら、きっとセレナは大丈夫だ。
232 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:22:00 ID:gJPN3aOk [9/15] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「立って……みるか?」

 セレナ 「うん」


セレナは即答した。良かった、大丈夫なんだな。


オレは大きく頷いて応えて、セレナが立ち上がりやすい体制を作る。

セレナの右手を握って、背中を支えて……、あの時と同じように。



オレは、セレナの腕を そっと引っ張った。


つられてセレナの体が起き上がる。


ゆっくりとセレナの膝が伸びきって、セレナの顔が、オレの目線の位置まで来て――。



 セレナ 「あっ……?」


けど、麻痺してるセレナの体は、そこで制止できなかったみたいだ。
233 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:22:31 ID:gJPN3aOk [10/15] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「へへっ。立てたじゃん」

 セレナ 「んっ、ふふっ……///」


オレは しっかりと、セレナの体を抱きとめてあげた。

右手を握ったまま。背中に手をまわしたまま。


 セレナ 「あの時と……、同じだね」

 サトシ 「そうだな」


オレの肩に顔を埋めたまま、セレナは小さく呟いた。

本当に、あの時と同じだ。

けど違うのは、セレナがオレに抱きとめられたままだってこと。

あの時のセレナは、ちょっと驚いた感じで すぐにオレの体から離れちゃったから……、今のオレは、セレナに信頼されてるってことだよな?
234 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:23:20 ID:gJPN3aOk [11/15] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「ほら、そっちの木の影に行こうぜ。濡れすぎるのも良くないし」


けど、いつまでも この状態で居る訳にはいかない。

オレはセレナを促す。雨に濡れない場所に、セレナを運んであげないと。


 セレナ 「うん。でも私、歩くのダメかも……」

 サトシ 「分かってる。だから……ほら」 グイッ

 セレナ 「ふぁっ……えぇぇっ!?」


オレはセレナの背中に手をまわしたまま、もう片方は膝の下に入れで、ひょいとセレナを持ち上げた。

普通なら“おんぶ”するんだろうけど、息苦しそうなセレナの胸を圧迫しかねないし、こっちの体勢の方が正解だろう。


 セレナ 「さっ……サトシっ……///」

 サトシ 「苦しくないか?」

 セレナ 「大丈夫っ……だけどっ。そっ……良いよサトシそんなっ……重いでしょ……」

 サトシ 「なに言ってんだよ。セレナくらい軽い軽い」
235 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:25:00 ID:gJPN3aOk [12/15] 名前× NGID× 報告


 サトシ 「……よし。ここなら雨に当たらないな。下ろすぞ?」

 セレナ 「ぁっ、うん……///」


大きな木の下に入って、オレはセレナを地面に下ろす。

そして、苦しくないように、木の幹に もたれ掛かるように座らせた。

オレはセレナの正面に腰を下ろす。改めて見ると、セレナ、さっきからずっと顔が赤い。もしかして、何か辛いのを我慢してるんじゃ……。


 セレナ 「サトシ……ありがとう ///」

 サトシ 「あぁ。……でもセレナ、マヒの ほか、本当に大丈夫か?」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「泥だらけだし……、擦り傷とか けっこうあるぞ。痛くないか?」

 セレナ 「……うん」

 サトシ 「そっか。良かった」


それを聞いて安心した。

……けどその直後、なんとなく、セレナの表情が曇った気がした。
236 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:25:30 ID:gJPN3aOk [13/15] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「……なかったな」

 サトシ 「ん?」

 セレナ 「こんな格好……、サトシには、見られたくっ、なかったな……」


セレナは弱々しく言った。

こんな格好って……、泥だらけなことか? 服がボロボロなことか?


 サトシ 「なに言ってんだよ」

 セレナ 「えっ?」

 サトシ 「セレナ、ルイナに勝ったんだろ?」

 セレナ 「あっ……うん。ヤンチャムと、テールナーと、ニンフィア……。みんな、頑張ってくれて」

 サトシ 「セレナ、ルイナのポケモンから直接攻撃を受けてさ。それでも勝ったんだろ?」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「だったら、セレナの その格好は、勲章みたいなもんじゃん。テールナーたちと一緒に戦ったさ」
237 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:26:00 ID:gJPN3aOk [14/15] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「勲章……」

 サトシ 「セレナはさ、バトルが苦手なのに、ルイナに勝ったんだよ。直接攻撃を受けたのに勝ったんだよ。それってオレ、凄ぇことだと思う!」

 セレナ 「サトシ……」

 サトシ 「確かに……ワンピースとか、綺麗なピンクが台無しだけどさ。でもそれは、全力で戦った証じゃん」

 セレナ 「うん……」

 サトシ 「セレナは見られるのが嫌かもしれなけど、恥ずかしがることなんて無いよ。むしろオレ、そういう頑張った姿って好きだぜ?」

 セレナ 「ふぇっ……!?」


オレにとって、ボロボロな容姿ってのは、関係ない。

むしろ、女の子なのに、そういうこと気にしないで、ポケモンのために動けるのって、本当に凄いと思う。

初めてポケビジョンを撮った時、セレナ、泥だらけになりながらフォッコを助けたっけ。

あの時と一緒だ。セレナはポケモンのために一生懸命になれる、本当に良い女の子だ。


 セレナ 「ぁっ……サトシっ……///」
238 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/22 00:26:30 ID:gJPN3aOk [15/15] 名前× NGID× 報告
セレナは また、顔を赤くした。

恥ずかしがることないのに。

確かに泥だらけな格好は女の子にとって恥ずかしいかもしれないけど、オレは全然気にしないんだから。

だからセレナ、安心して良いんだぜ?


 セレナ 「さっ……サトシっ……」

 サトシ 「どうした?」

 セレナ 「そのっ、ありがとっ……///」

 サトシ 「ん? あぁ」

 セレナ 「私っ、私もっ、そのっ……サトシのことっ……!」









 ピカチュウ 「ぴかぴ〜!」

239 : ルビル@きんのおうかん 17/04/22 00:28:19 ID:E1haKWNA 名前× NGID× 報告
こっちも支援だZ!
240 : ラカラ@ベリブのみ 17/04/22 14:05:08 ID:hHbM17Hc 名前× NGID× 報告
支援!!
241 : ュウ@つららのプレート 17/04/23 02:38:17 ID:A5XB.QEM 名前× NGID× 報告
シエンネ
242 : ュリネ@ミュウツナイトY 17/04/23 16:52:02 ID:M2U5Xhrk 名前× NGID× 報告
しえん
243 : ラエッテ@ありふれたいし 17/04/23 20:56:33 ID:zI6BjH/s 名前× NGID× 報告
支援
244 : ミラミ@トライパス 17/04/24 17:09:58 ID:I4uDI6mY 名前× NGID× 報告
シ〜エ〜ン
245 : ガニウム@エルレイドナイト 17/04/26 15:11:50 ID:OyfRbnlc 名前× NGID× 報告
支援センター
246 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:15:00 ID:cWJBCVpo [1/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「ピカチュウ!」

 セレナ 「ぁっ……」


ピカチュウが戻って来た。随分早かったな。

それだけピカチュウも必死にクラボを探してくれたってことか。ピカチュウも心配だもんな、セレナの体。


 サトシ 「サンキュー、ピカチュウ!」

 セレナ 「んっ、ありがとっ……ピカチュウ」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ〜」


オレはピカチュウが咥えていたクラボを受け取って、一応、服の裾で拭う。

これで……。


 サトシ 「ほらセレナ、口、開けろよ」

 セレナ 「えっ……?」
247 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:16:40 ID:cWJBCVpo [2/12] 名前× NGID× 報告
セレナ、体が痺れてるってことは、自分で食べるのは難しいはずだ。

オレはクラボを摘まんで、セレナの口元に差し出した。


 サトシ 「ほら!」

 セレナ 「んっ、あーん……///」


セレナは少し赤くなって、口を開けた。

他人から食べさせて貰うのは恥ずかしいかもしれないけど、今は そんなこと考えてる場合じゃない。

オレはセレナの口に、赤い小さな実を そっと入れた。


 セレナ 「っ……辛ぃっ」

 サトシ 「ははっ。でもマトマよりマシだろ?」

 セレナ 「うん。うぅ……」

 サトシ 「これでマヒは大丈夫だな。雨宿りも兼ねて、ちょっと休もうぜ」

 セレナ 「うん、ありがとっ……サトシ」

248 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:17:40 ID:cWJBCVpo [3/12] 名前× NGID× 報告


それから少しずつ、セレナの顔色が良くなって来た。

苦しそうな仕草も見せなくなったから、オレはセレナに、さっきのハルキとのバトルを話してあげた。


ミロカロスとツンベアーが織り成すハルキの作戦に、ちょっと苦戦しちまったこと。

ツンベアーの予想外の素早さに翻弄されたこと。

それでも自分の作戦を過信していたハルキに、オレとピカチュウは打ち勝ったこと。


自慢話に聞こえちまうかもしれないけど、それでもセレナは、オレのバトルの話を楽しそうに聞いてくれた。


 セレナ 「やっぱりサトシは凄いね。フィールドを味方にしちゃうバトル」


そしてセレナは、いつもオレを褒めてくれる。

思いついた戦略が成功するかは賭け、勝てたのは結果論のはずなのに、セレナは いつも、オレのバトルを“凄い”と言ってくれる。

慢心は いけないことだけど、セレナの言葉はオレの自信にも繋がる。あぁ、オレの戦略、間違ってないんだなって。


セレナと話してると、なんだか すげぇ楽しいんだよな、オレ。
249 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:18:00 ID:cWJBCVpo [4/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「……セレナ、普通に喋れるようになってきたな」


そしてオレは、セレナの顔色が完全に普段通りに戻ったのと同時に、会話の違和感も無くなったことに気付いた。

クラボが効いてきたってことか。

普通に喋れるんなら、オレは聞いてみたい。セレナが どんなバトルを繰り広げて、ルイナに勝利したかを。


 セレナ 「うん。息苦しさも無いし、体は まだちょっとピリピリするけど、だいぶ楽になったよ」

 サトシ 「良かった。じゃあ完全回復まで もう少しだな。聞かせてくれよ、セレナのバトルも」

 セレナ 「えぇ。サトシみたいにバトル慣れしてないから、あんまり面白くないかもしれないけど……」

 サトシ 「そんなの関係ないぜ。オレ、セレナがバトルしてるところって、あんまり見てこなかったし、セレナの素のバトルが知りたいんだ」

 セレナ 「ふふっ。最初はね、ドンカラスが相手だったんだけど……」


セレナは、とっても活き活きと、自分のバトルを語ってくれた。

バトル的な説明は所々ぎこちなかったけど、テールナー、ヤンチャム、ニンフィアが、どれだけ頑張ったかは、十分に伝わって来た。

きっとセレナも、結果は どうあれ、バトルに勝てて嬉しいんだろうな。



……そして話は、佳境に突入する。
250 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:19:30 ID:cWJBCVpo [5/12] 名前× NGID× 報告
 セレナ 「……そのタイミングで、私、“しびれごな”を吸っちゃったんだ」

 サトシ 「どうかしてるぜルイナの奴!」

 セレナ 「ニンフィアすっごく心配してくれたんだけど、そのせいで、“ヘドロばくだん”を受けちゃって……」

 サトシ 「あぁ……、フェアリーに毒は効果抜群だからなぁ」

 セレナ 「ニンフィアが倒れちゃってね、ホントなら私、そこで負けてたんだ」

 サトシ 「“ホントなら”?」

 セレナ 「うん。ルイナはね、サトシとハルキのバトルが有利になるように、私を人質にしようとしたの」

 サトシ 「オレもそれ、ハルキから聞かされたよ」

 セレナ 「それでね――、ルイナは私を大人しくさせようとしたのかな。私、“エナジーボール”も喰らっちゃったんだ……」

 サトシ 「“エナジーボール”って……そんなことまでされたのかよセレナ!?」

 セレナ 「うん。それに吹き飛ばされて、こんな……泥だらけになっちゃったんだ」

 サトシ 「……クソッ! そんなことまでされて……、ごめんな。ハルキとルイナに逃げられちまって」

 セレナ 「ううん! そんなの大丈夫だよ」

 サトシ 「でもオレ……やっぱり許せない。ポケモンをネットで売り捌くのも そうだけど、セレナが直接攻撃を受けて、あいつら何も咎められないってのが、どうしても許せないんだ」

 セレナ 「優しいね、サトシ」

 サトシ 「セレナは大切な仲間なんだ。当たり前だろ?」
251 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:20:20 ID:cWJBCVpo [6/12] 名前× NGID× 報告
セレナは“しびれごな”だけじゃなく、“エナジーボール”まで喰らっていた……。

本当に、ルイナの行動が信じられない。ハルキの計画が信じられない。

人間に直接攻撃するなんて、まったくその神経が理解できない。しかも、女の子であるセレナに向かって……。


オレはハルキとルイナを逃がしちまったことが、悔しくて仕方ない。

セレナに きちんと謝らせて、罪を償わせたかったのに。


攻撃が よほど辛かったのか、セレナは少しだけ、黙り込んでしまった。


 サトシ 「……どうした? 大丈夫か?」

 セレナ 「うん。……それでね、ルイナが私にトドメを刺そうって時に、ニンフィアが、立ち上がったんだ」


セレナは その時のことを、力を込めてと語ってくれた。

もう体力の限界だったはずのニンフィアが、雄叫びと共に立ち上がって、大きな“星”を打ち出す。

その一撃で、ルイナのロズレイドは戦闘不能になったらしい。それだけ強力な“星”……。
252 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:21:00 ID:cWJBCVpo [7/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「“星”って……、“スピードスター”か?」

 セレナ 「ううん。絶対に違う。なんて言うんだろう……、もっと、ニンフィアの気持ちの結晶って言うか、とにかく凄かったの」

 サトシ 「そっか。オレも見てみたかったな」

 セレナ 「うん。凄かったんだから、ニンフィア。とっても格好良かった。あれ、何だったんだろうな……」

 サトシ 「調べてみるか?」


オレも、ニンフィアが繰り出した“星”に興味がある。

それが強化された“スピードスター”なのか、はたまた別の違ったワザなのか。


ポケモン図鑑を取り出して、ニンフィアを検索する。

そして、ニンフィアのワザ一覧画面を呼び出して、セレナの隣に移動した。


 セレナ 「ぁっ」

 サトシ 「これがニンフィアのワザ一覧のページだけど、見えるか?」

 セレナ 「うん……///」

 サトシ 「この中で、その“星”っぽいワザは……」
253 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:21:40 ID:cWJBCVpo [8/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「……これか?」

 セレナ 「“とっておき”?」


らしきワザは、これしか考えられなかった。


“とっておき”――。

大切なものを守るため、全力で相手に攻撃する、とっておきのワザ。覚えている他のワザを全て使っていないと失敗する――。

図鑑には、そう書かれていた。


 【注】 実際とは異なります。


 サトシ 「“星”がどうとは書いてないけど、これで間違いないと思うぜ」

 セレナ 「“とっておき”……」

 サトシ 「“大切なものを守るため”――、セレナとニンフィアが信頼し合ってたから、出せたワザなんじゃないかな?」

 セレナ 「ニンフィア……」
254 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:22:23 ID:cWJBCVpo [9/12] 名前× NGID× 報告
セレナとニンフィアの信頼関係なら、超強力な“とっておき”を繰り出せたことも頷ける。

お互いを守ろうって想いが、お互いを強くしたってことなのかな。


 セレナ 「ありがとう、ニンフィア。私、嬉しいよ……」


ニンフィアのボールを撫でながら、セレナは優しく呟いた。

きっとその想い、ニンフィアに届いてると思う。セレナの優しさ、きっとみんな、噛みしめてると思う。


 サトシ 「へへっ、やっぱり良いコンビだな、セレナとニンフィア」

 セレナ 「ありがとうサトシ。でも、テールナーとヤンチャムだって、私の大切なパートナーよ」

 サトシ 「あぁ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか」



やっぱりセレナは強い。

それはバトルじゃなくて、精神面での強さ。

オレも見習わないと。オレもセレナみたいに、もっともっと、強くならないとな!

255 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:23:00 ID:cWJBCVpo [10/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「……ちょっと小降りになってきたな」

 セレナ 「あ、うん。この様子だと、雨、なかなか止みそうにないね」

 サトシ 「どうする? 小降りのうちに帰った方が良いか?」

 セレナ 「う〜ん……、そうだね。待ってても止む保証は無いし」

 サトシ 「じゃあ帰るか。みんなをポケモンセンターに連れて行かないとな」

 セレナ 「うん」

 サトシ 「じゃあ……ほら」

 セレナ 「ぁっ……///」


帰るにしても、セレナは完全に回復した訳じゃない。まだ痺れが抜け切れてないかもしれないし、オレがサポートしてあげないと。

オレは手を差し出して、セレナの手を握る。

そして、優しく引き起こした。今度は無事に立ち上がれた。


 セレナ 「ありがとう」

 サトシ 「体、大丈夫か?」

 セレナ 「うん。ほとんど痺れは取れたし、これもピカチュウのお陰よ?」

 ピカチュウ 「ぴぃか」
256 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:24:01 ID:cWJBCVpo [11/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「でも無理しちゃダメだぜ?」

 セレナ 「えっ?」


オレは、セレナの手を放さない。放しちゃ いけない気がしたから。


 サトシ 「このまま行こうぜ。辛くなったら、いつでもオレに体重かけて良いからな」

 セレナ 「ぁっ……うん!」


こうしてれば、万が一 ふらついても、セレナを支えてあげることが出来る。

本人は大丈夫って言ってるけど、オレがセレナを、最後まで守ってあげないとな!




 サトシ 「あっ……とそうだ! セレナごめん! 自転車、壊しちまったんだ」

 ピカチュウ 「ぴか……」

 セレナ 「自転車……いいのいいの。ずっと乗ってなかった古いやつだし、気にしないで」

 サトシ 「そうか?」

 セレナ 「うん。それに……」
257 : 州街道◆IVIG1YNTZ6 17/04/29 00:24:28 ID:cWJBCVpo [12/12] 名前× NGID× 報告
 サトシ 「それに?」

 セレナ 「ううん、なんでもない」 ギュッ


セレナは そう言うと、オレの手を握り返してくれた。

そして、ほんの少しだけ、オレの傍に寄り添ってくれた。


 セレナ 「行こ、ポケモンセンター」

 サトシ 「あぁ!」



果たしてセレナが何を言いかけたのか、オレには分からないし、“なんでもない”って言ってる以上、聞きだすことでもない。

でもセレナの反応を見るに、決して悪いことじゃないと思う。むしろ、何故か喜んでるような……?


まぁ、喜んでるんなら結果オーライだよなっ。


オレとセレナは、小雨の降る しっとりとした森の中を、ポケモンセンターに向けて歩き出した。





258 : ルケニオン@きれいなハネ 17/04/29 00:25:00 ID:/FdWYotU 名前× NGID× 報告
支援
259 : ンタロス@ゴッドストーン 17/04/29 00:26:13 ID:ZLo2fMvU 名前× NGID× 報告
支援
260 : ノプス@アイスメモリ 17/04/29 15:14:15 ID:YB5z4zjM 名前× NGID× 報告
こっちも支援!
261 : ォッコ@ファイヤーメモリ 17/04/29 17:44:01 ID:gl6QwbEQ 名前× NGID× m 報告
へへっ、勃てたじゃん!
支援

書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。


一部のホストからの違反報告を制限させてもらっています。


文字サイズ設定・投稿設定・NG設定▼(クリックで開閉。動作にはJavaScriptを有効にして下さい。)
    文字サイズ

    自分の投稿を分かりやすくする
    投稿フォームの「履歴に記録する」にチェック時、この設定が有効の場合に、投稿した書き込みの名前が黄色く表示されます。(動作には要履歴ID発行
    現在の設定は「有効」です。
      

    NG設定
    各NG設定は、履歴IDを発行することで、PCとiPhoneなど複数端末で共有化することが出来ます。

    ・連鎖NG設定
    NG機能で見えなくなったレスにアンカーが向けられていた場合、そのレスも連鎖して見えなくなります。
    現在の設定は「」です。
      

    ・NGワード設定
    入力した単語を含むレスが見えなくなります。(改行区切りで入力後、「設定する」ボタンをクリック)
    NGされたレス内容は「元レス」をクリックすると確認できます。

    ・NGネーム・NGID一括削除


    NGワード機能について詳しくはこちら

(画面No:2a)

(連投制限などに引っかかった時用)