【SS】ずっと一緒。（ヨウリエ）

ーキミが【parasite】か、ー

………じぇる………




ーキミって、中々強いんだね。ビックリしたよ。ー

……じぇるる………



ー良かった……研究の実験台にされなくて………ー




………じぇる………るっぷ………。



ーこれからはよろしくねー





ー【ウツロイド】ー

ー月輪の祭壇ー

リザードンが月輪の祭壇に到着した時、空は既に星空になっていた。
三人は1番上の祭壇に向かって走った。

「…………いた！！」

1番に到着したハウが指差した方向に２人の背中が見えた。それは間違いなく、探していたヨウとリーリエだった。

「探したぞリーリエ！！ヨウ！！」

「ヨウ！何で勝手に行っちゃうロトか！？」

グラジオとロトム図鑑の叫びに２人は振り返る事なく返事をした。

「兄様、ロトムさん、ここまで来たんですね。」

「………出来る事なら手間をかけずに行きたかったんだけどなぁ………」

そう言いながら、リーリエは笑顔で、ヨウは少し不機嫌な顔で振り向いた。だが………

「………っ！！」
「ヨ……ヨウ……！」
「あぁ………！」
「ひぃ………っ……！」

振り向いた２人は一目で異常だと分かった。リーリエの綺麗な翠目が、ヨウの力強い黒目が、

まるで悪魔の様に赤に染まっていた。

「………それで、グラジオ達は何しに来たの？」

「決まってる！オマエ達を治療する為だ！！」

「治療………ですか？」

「リーリエ、ヨウ、オマエ達は自覚が無いだろうが、２人の身体には以前の母さんと同じウツロイドの神経毒が侵されてるんだ！しかもその濃度は母さんの時とは比にならない程強力なんだ！今すぐ治療しないも大変な事に………」

「あっそ。」

事態の深刻さが理解出来てないのか、ヨウはあっさりと返事した。

「そうなんだって………分かってるのか！？それは………」

「どうでもいいよそんなの、それよりもリーリエの幸せの方が大切だ。」

「な………っ！！」

「………ヨウさん///」

リーリエが頬を赤らめながらヨウの手を握る。
だが、禍々しいその赤い瞳が、その表情すらも畏怖の対象にさせる。

「兄様、私も大丈夫です。私の身体に毒なんて周ってませんよ？私は至って健康です。」

「そういう問題じゃない！！」

駄目だ、全然話が通じない。
まるで以前の母親の様だ。

「ヨウ………治療を受けてよ、お母さんも、博士もじいちゃんも心配するよ。」

「チャンピオンが見本にならなくてどうするの？島巡りのみんながヨウを目指してるんだよ？」

ハウもアセロラもヨウ達を説得しようとする。

「………ゴメン、2人共、でもボクは行かなくちゃいけないんだ。」

「行く………？何処に？」

「リーリエとずっと一緒に居られて、安全で不自由無く暮らせる素敵な場所、





ウツロイドが教えてくれたんだよ？」

「！！」

やはりウツロイドか、何を企んでいるかは分からないが、
ここでヨウ達を止められなくては、
もう取り返しのつかない事になることだけはハッキリと分かった。

「そんな場所は存在しない！！リーリエも騙されるな！！戻って来い！！」

グラジオがリーリエに呼びかけるが、
リーリエは静かに首を振った。

「ごめんなさい兄様、私もヨウさんについていきます。ずっとヨウさんと居られるなんて素敵です。………それに………安全な場所なら………」

リーリエはそう言いながら視線を落とし、
自分の腹部見つめ、優しく撫でながら恍惚の表情となる。
そして、耳を疑う発言をした。

























「………私のお腹の中の赤ちゃんも安全に育てられると思うんです………。」

「………は？」

グラジオは、いや、ロトム図鑑やハウや
アセロラもその言葉を理解出来なかった。
一瞬の沈黙、それを破ったのはグラジオだ。

「ヨウ！！リーリエに一体何をしたんだ！！」

「何を怒ってるのグラジオ、ボクはリーリエが望んだからその願いを聞いてあげただけだよ？」

「ふざけるな！！こんな事が許されてたまるか！！」

「………うるさいな、もうこんな不毛な話は終わりにしよう。」

ヨウはそう言いながら、
ウルトラボールをまとめて５個放り投げた。
投げられたウルトラボールからそれぞれウツロイド、
フェローチェ、デンジュモク、テッカグヤ、アクジキングが現れる。

「「「！！！」」」

五体のUBを前に一瞬怯む三人だったが、すぐに応戦の構えに出た。

今更ながらムーンの世界観だったのね

支援

「ここでオマエ達を絶対に止める！！頼む！シルヴァディ！！」

「ヨウ達を止めなくちゃ！！ジュナイパーお願い！！」

「頑張って！シロデスナ！！」

三人のポケモンはボールから出ると同時に戦闘態勢に入っていた。

「�Wブレイククロー�W！」

「�Wリーフブレード�W！」

「�Wシャドーボール�W！」

それぞれの攻撃はUB達に直撃し、ダメージを与えたが、フェローチェだけはその素早さで回避した。

「アセロラ！シロデスナでフェローチェの足止めを頼む！ハウ！アセロラの援護を！！」

「分かった！」

「まかせて！」

「シルヴァディは対UB対策のポケモン………いけるな！シルヴァディ！！」

「続けていくぞ！�Wブレイククロー�W！！」

シルヴァディは再びUBに突撃する。

そんな接戦を、ヨウは口元に笑みを浮かべながら眺めていた。 。

「ゼェッ……ゼェッ………」

「大丈夫かシルヴァディ！！」

十数分後、激しい戦闘にシルヴァディに疲労の色が見え始めた。気づけばハウのジュナイパーや、アセロラのシロデスナもかなり追い詰められているようだった。

「くっ………！」

5対3という不利な状況の上、UBという規格外の生物との戦闘は想像以上の体力を使った。

「マズイ………このままでは………」

このままではやられてしまうのも時間の問題だろう。しかし、その戦闘の中でグラジオはある疑問を抱いていた。

（何故だ………ヨウ………何故指示をしない！？）

そう、ヨウはこの戦闘において手持ちよUB達に一切の指示を出していなかった。まるで、始めから戦う気が無いみたいに………そう考えてたその時、

「もういい、みんな戻れ！！」

突然ヨウが全てのUB達をボールに戻した。

「えっ……？」

「ど、どういう事？」

突然の戦闘終了にハウやアセロラ、ポケモン達も動揺している。

「………みんな、お疲れ様。」

「皆さんが戦ってる間、私達の準備が出来たので………」

そう話す2人はいつの間にか祭壇の端に立っていた。
その後ろは崖になっている。

（………まさか！！）

グラジオは咄嗟に指示していた。

「シルヴァディ！2人を捕まえろ！！」

シルヴァディはその指示を聞き、2人に飛びかかろうとしたが、











「それじゃあ、」

「お元気で。」

ヨウとリーリエはそう言うと、
シルヴァディが飛びかかるより早く、崖から飛び降りた。

「！！ リーリエ！！ ヨウ！！」

三人とロトム図鑑は2人が飛び降りた崖に向かっていった。
そして崖を見下ろして、最悪の光景を見た。

「！！ あ………あぁ………」

「う……そ……ロト………」

「………冗談だよ……ね………？」

「そんな………そんな………！！」


そこには、今まさに入り口が閉じるウルトラホールが見えたのだ。
後に続いて飛び込む間も無く、ウルトラホールは完全に消え去った。



消えた。
消えてしまった。
ヨウとリーリエが、
ウルトラホールの向こう側へ消えてしまった。



「………くっそおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ！！！！！！」

呆然とするハウ達の横で
グラジオが悲痛な叫び声をあげた。

〜半年後〜

「ん………」

グラジオは白いベッドの上で目を覚ました。

「オレは………一体………」

「………目が覚めた？」

声をかけられた方向を見ると、
母親のルザミーネが心配そうに見つめていた。

「母さん………オレは、一体………」

「先程医療班の人達に容態を見てもらったら、過労と判断されたわ。グラジオ、貴方は働き過ぎて倒れたのよ。」

「………そうか。」

あの日以来、エーテル財団は再びUBの研究をするようになっていた。ウルトラホールの性質、ウルトラホールが現れる条件、
特にウルトラホールについての研究が集中して取り組まれていた。グラジオはその中で一際研究熱心だった。
その所為で過労となり、倒れたらしいのだ。
グラジオはベッドから起き上がろうとしてルザミーネに止められる。

「ダメよグラジオ、貴方は暫くの間休んでいなくては………」

「………オレに休む暇なんて無い………今ここでベッドで休んでる間にも………リーリエ達はウルトラスペースにいるんだ………妹を助ける為に休んでなんかいられない。」

そう言いながら無理をして起き上がろうとするグラジオをルザミーネが抱き止める。

「か、母さん！？」

「お願い………無理をしないで……主人やリーリエまでいなくなってしまったのに………貴方まで何かあったら………私は……どうすれば………」

「………母さん。」

涙をポロポロと零しながら懇願するルザミーネに
グラジオは申し訳ない思いになる。

「……ゴメン、オレも周りが見えてなかったみたいだ………今はゆっくり休むよ。」

「グラジオ………ありがとう………」

「でも………やっぱりリーリエ達も心配なんだ、だから………」

「分かってる、今だけは私に任せて、貴方はゆっくりと休んでいて。」

「ありがとう………母さん………」

グラジオはそう言うと再び眠りについた。

まだだ！まだほしぐもちゃんがいる！

〜ポケモンリーグ〜

「ふぅ………」

「ハウ、お疲れロト、無理してないロトか？」

「うんー、おれはまだまだ平気だよー。」

チャンピオンの間で防衛戦を終えたハウが一息ついていた。
ヨウ達がウルトラホールへと消えてったあの後、
ハウは今まで出会った人達にその時の話をした。
1番ショックを受けたのは、やはりヨウの母親で、
暫く家に篭ってしまっていた。今では普通に人と接しているが、
心の傷が癒える事はなく、時々ハウが様子を見に行ったりしていた。ポケモンリーグもチャンピオンが行方不明となり
存続を危ぶまれたが、ヨウに次ぐ実力を持っていたハウが、
ヨウが戻って来るまでの代理でチャンピオンを務めることになっていた。

「………ヨウー。」

ハウは今はここには居ない親友に向けて1人で喋り始めた。

「ヨウがいなくなってからみんな悲しんでるんだよー？大好きなお母さんもヨウが帰って来るのをずっと待ってるよー？だから早く帰って来なよー。」

「ヨウが帰って来るまで、おれチャンピオンの座を守ってるから………帰って来てー。………あっ、でもみんなに色々迷惑かけたから、1発くらいぶん殴らせてよね。」

「おれも………みんなも………ずっと待ってる………だから………帰って来て………。」

ハウの切実な願いは誰の耳の届く事なく宙へと舞って消えた。

>>131
ほしぐもちゃんはヨウが連れて行きました。

〜ウルトラスペース〜

「あっ………今、ちょっと動きました。」

座りやすそうな岩に腰掛けながらリーリエがお腹をさする。ここに来た時に比べ1回りも2回りも大きくなっているその腹は、誰が見ても彼女が孕んでいるという事がハッキリと分かるようになっていた。

「えっ？どれどれ……」

ヨウはリーリエの腹に耳を当てて中に居る胎児の音を聞こうとする。

「ホントだ、何か聞こえるよ。」

「ふふっ、本当に聞こえてますか？」

「本当だってば。」

そんな他愛ない会話をしながら2人はゆっくりと時を刻んでいく。

ウルトラスペースは思っていたよりも快適だった。
一度はウツロイド達UBを全て手中に収めた事のある
ヨウは、この空間でUBの頂点として彼らから崇められた。
このウルトラスペースの中にも食料は存在していて、
ヨウが指示さえすればテッカグヤやウツロイド達が持って来てくれる。ゴミや廃棄物は全てアクジキングが食べて処理し、
フェローチェ達が紡いだ糸はとても心地の良い
衣服や寝具となり、周りの鉱石をカミツルギ達が
両断し、それらをマッシブーン達が運び、
小さな小屋等を作り、デンジュモクは辺りを照らし、
眩しい光を授けてくれる。生きていく為に必要最低限の物は、
この空間でも確保出来たのだ。

「産まれてくる子供は男の子かな〜、それとも女の子かな〜、名前考えなきゃな〜。」

「もし男の子だったら、ヨウさんみたいに優しくて素敵な男の子になってくれますよ。」

「そうかなぁ？じゃあもし女の子だったらリーリエに似てとても美人になるよ。」

「！！もう、ヨウさんったら………///」

「………まぁ、残念なのは産まれてくる子供をみんなに見せてあげられない事かなぁ………。」

「まぁ、そればっかりは仕方ないですね。ここに来る時に決めた事ですし。」

「ボクらはここに居られれば幸せだもんね。」

ヨウはそう言いながらリーリエの背後に周り、
後ろから彼女を抱きしめる。

「きゃっ………ヨウさん？どうしたんですか？」

「ん〜？別に〜、ただ何と無くリーリエに抱きつきたかっただけ。」

「………フフッ。」

2人はゆっくりと、親密に互いの愛を深めていく。

この、誰の邪魔も入らない、

この、密封された空間で、

2人は愛を育んでいく。

この状況・・・ほしぐもちゃんはどうしてるんだ・・・。

「………ねぇ、ヨウさん。」

「ん？何？」

「私達………これからも一緒ですよね？」

「………もちろんだよ、リーリエ、ボクは君から離れないよ、絶対にね。」

「ヨウさん………嬉しい………」

「ボクもだよ、リーリエ………」


そう、

これからボクらは一緒だ。

この空間で、

いつまでも、

イツマデモ、








ずーっと、












ズゥゥーーーーット、イッショダカラネ…………………。

「じぇる………るっぷ………♪」












幸せそうな2人を見ていたウツロイドは、
誰に気づかれる事なく、静かに笑うのだった。

終わり。

乙

ああ…あああああ…………
あああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！！！！！（ﾌﾞﾘﾌﾞﾘﾌﾞﾘﾌﾞﾘｭﾘｭﾘｭﾘｭﾘｭﾘｭ！！！！！！ﾌﾞﾂﾁﾁﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾁﾁﾁﾁﾌﾞﾘﾘｲﾘﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞｩｩｩｩｯｯｯ！！！！！！！ ）

乙

やっぱUBは害獣

はい、おしまいです。
如何でしたか？今回はちょっぴり変わった路線の
ヨウリエラブラブハッピーエンドでした。
（みんながハッピーとは言ってない。）

自分的にはこれもヨウリエの愛の形になり得るのじゃないかと
勝手に思ったわけなのでして………まぁ、つまりこのオチは
始めから決めていました。いやーイチャイチャ出来て
幸せだろーなー。（錯乱）
ここまで読んで頂き、真にありがとうございました。

え…？終わり…？まさかのバッドエンド！？

>>144
楳図かずお的オチなら生まれてくる子供がUB

>>145
よく見てください、ヨウリエがラブラブなハッピーエンドです。
（グラジオとかの他の面子は知らない。）

ヨウ…リーリエ…

>>136
幸せそうなヨウ君とリーリエちゃんを見て、微笑んでる。

睡眠を妨害された挙句半殺しの目に会わされたケンタロスくんがかわいそうだと思った(小並感)
とりあえず乙っす

乙
これ生まれてくる子にも毒とか入ってるのかね？

>>151
別スレでの作者によると子供はちゃんと人間として生まれたが、ウツロイドの毒の影響から依存心の強い子供が生まれたとか

なんだ、ハッピーエンドじゃん(錯乱)

メリバ最高

そうだ！カプならヨウとリーリエのカプを助けられるかも！


カプだけに

>>152
どのスレ？

>>156
ヨウリエの総合スレ