▼  |  全表示29   | <<    前    | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】光と影

 ▼ 1 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 19:54:40 ID:BYkLFmeY [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
光──それは影

影──それは光


光と影は一心同体──
 ▼ 2 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 19:55:17 ID:BYkLFmeY [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこに光はいた。

雷(いかずち)を放つ光。

彼は少年のポケットモンスター。
そして相棒。

少年と光。

彼らはずっと、いつまでも一緒。


光が駆ける。

稲妻のように駆ける。

その小さな体で。

長い耳を揺らして。

大きな尾を振りながら。

赤い頬から電気を放電し。

──駆ける。
 ▼ 3 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 19:55:56 ID:BYkLFmeY [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこに影はいた。

暗い闇を持つ影。

彼は今、光を付け狙う連中とともにいる。

復讐をする為に。


影が笑う。

光に似せたような見た目をし。

光のことを恨み。

哀しい過去を振り返り。

自分を偽り。

──笑う。
 ▼ 4 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 19:57:28 ID:BYkLFmeY [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おーい! 待ってくれよピカチュウー!」

少年は駆ける。

光を追いかけて。


光は立ち止まる。

そして振り返る。

少年は満面の笑みをしていた。

つられて光も笑う。

二人にとって、最高の時間だ──
 ▼ 5 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 19:58:06 ID:BYkLFmeY [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
影は昔の自分を思い出していた。

本来の姿。

赤と青の二色。

派手とも言えるだろう。

その色があんな悲劇を呼ぶなんて……。


自分は悪くない。

なのに自分のせいにされた。

今でも、悪口を言われる。

なのに一緒にいたアイツは今でもスター?


許せない──
 ▼ 6 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 21:13:51 ID:BYkLFmeY [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ねぇ、コジロウ。あれってジャリボーイとピカチュウよね?」

「ん? ああ。ほんとだ」

「一人でいるなんてラッキー!」

「早速捕まえるのニャー!」

「ソォォォナンッス!」

光を付け狙う連中。

彼らも、しつこい程に少年を追っている。


光はまた、駆ける。

「ピカチュウ……だからちょっと待てって……」

少年は光を追いかける。

光は少年のすぐ前にいる。

でも、その瞬間。
 ▼ 7 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 21:14:34 ID:BYkLFmeY [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ピカッ!?」

「ピカチュウっ!?」

光が捕えられた。

見上げた先には。

「何だかんだと聞かれたら」

「聞かせてあげよう我らが名を」

「花顔柳腰・羞月閉花 儚きこの世に咲く一輪の悪の華 ムサシ!」

「飛竜乗雲・英姿颯爽 切なきこの世に一矢報いる悪の使徒 コジロウ!」

「一蓮托生・連帯責任 親しき仲にも小判輝く悪の星 ニャースでニャース!」

「ロケット団 参上!」

「なのニャ!」

「ソォォォナンス!」


「ロケット団! またお前達か!」

ロケット団。
 ▼ 8 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 21:15:04 ID:BYkLFmeY [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴージャスボールから影が出る。

「キュッキュッキュ……」

影は光を見つけると、すぐさま攻撃を仕掛けた。

「ミミッキュ! もう捕まえてるんだから攻撃しなくていいわよ!」

影が取り押さえられる。

いやだ。

復讐するんだ。

自分だってお前らといたい訳じゃない。

光に近づくために、仕方なくいるだけだ。

あんな"モンスターボール"ごときには入ってやるものか。

ゴージャスボールで我慢しているんだ。
 ▼ 9 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 21:15:47 ID:BYkLFmeY [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴージャスボールから影が出る。

「キュッキュッキュ……」

影は光を見つけると、すぐさま攻撃を仕掛けた。

「ミミッキュ! もう捕まえてるんだから攻撃しなくていいわよ!」

影が取り押さえられる。

いやだ。

復讐するんだ。

自分だってお前らといたい訳じゃない。

光に近づくために、仕方なくいるだけだ。

あんな"モンスターボール"ごときには入ってやるものか。

ゴージャスボールで我慢しているんだ。
 ▼ 10 没すまぬ◆zJAZkS4Q6o 17/02/24 21:16:34 ID:BYkLFmeY [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
影は攻撃を続けた。

そのとき、一際大きい爆発が起こった。

攻撃の衝動で光と影が飛ばされる。

「ピカチュウーっ!!」

「ミミッキュ! ったく……」

「あーあ。作戦失敗だ」

「オマケにピカチュウとミミッキュがどこかへ飛ばされてしまったのニャ」

「どうしてくれるんだよ!」

「そんなの知らないわよ! ミミッキュがやったことでしょ!?」

「お前がトレーナーだろ!?」

「うっさいわね! そんなのどーでもいいでしょ!?」

「お前らにはうんざりだ!」
 ▼ 11 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 17:45:09 ID:tWW99rZY [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
光と影は一緒にいた。

光が話しかける。

「どうして……どうして僕に攻撃するの……?」

「……」

「ワカラナイノカ」

「僕、何かした……?」

「ごめんね、覚えてなかったら」

「それとも、ピカチュウ自体が嫌なの?」

「……オマエダ」

「……」
 ▼ 12 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 17:45:59 ID:tWW99rZY [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
影は、思い切った行動をした。

自らの布を。

偽りの体を。

脱ぎさった──

「コレナラワカルダロウ」

「え……え……」


ミミッキュの中身を見てしまったら呪われる……という噂がある。

それは、彼自身が、光にしか存在を知らせないため。

それ以外の者には、ショック──あの時のようなまばゆい光を見せ、存在を隠す。
 ▼ 13 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 17:46:44 ID:tWW99rZY [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーパというポケモンがいる。

以前、サトシとピカチュウも出会ったことがある。

そのポケモンは昔、人々の街を壊したことにより、戒められていた。

フーパ自身は悪さをしようとした訳では無い。

ただ、ただ褒められたかった。

すごいと言われたかった。

それだけなのに、何故自分が閉じ込められなければならないのか。

そのような気持ちが影となり、フーパとは別に現れた。


これは今の状況と同じようなものだろう。
 ▼ 14 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 17:47:29 ID:tWW99rZY [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フーパは最終的に、影とも打ち解けることが出来た。

ポリゴンも、出来る。

光はそう考えた。


ピカチュウも、おかしいとは思っていた。

何故、ポリゴンだけこんな扱いなのか。

何故、自分はここにいられるのだろうか。

でも、月日が経つにつれてそのようなことも考えなくなってしまった。
 ▼ 16 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 21:31:43 ID:tWW99rZY [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──会わなきゃ。

ポリゴンに会わなきゃ。

でも、まずは目の前のドス黒い闇に立ち向かわないと。

ポリゴンは悪くない。

そんなことずっと前からわかっているよ。

「ごめんなさい」

「……」

「僕だけ人気者になってごめんなさい」

「でも! 僕以外のピカチュウは傷つけないで!」

これだけは言いたかった。
 ▼ 17 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 21:32:44 ID:tWW99rZY [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュはサトシのピカチュウを探すため、関係の無いピカチュウまで傷つけていた。

「……」

「ほら、いいよ? 僕に攻撃して? 殺してもいいんだよ?」

「……」

「……ココロガヨメルンダ」

「?」

「ジブンハ、"ココロ"ヲヨムコトガデキル」

「心……?」
 ▼ 18 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 21:33:22 ID:tWW99rZY [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……ハンセイハシテイルヨウダナ」

「……」

「ホンタイニアワセテヤル」

「本体……!」

影はそう言うと、本体とほぼ同じの体を光らせる。

光が目を瞑ると、光と影はバーチャル空間にいた。

そして、目の前にはポリゴンがいた。

そう。本当の。

本体のポリゴンが。
 ▼ 19 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 21:34:08 ID:tWW99rZY [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ポリゴン……」

「君は……ピカチュウ。久しぶりだね」

ポリゴンは穏やかな口調で言った。

「ごめんなさい! 僕……ほんとに……」

「君は悪くない。誰も悪くない」

「そんな……」

「最初は『なんで僕が?』って思ったよ。でも、しょうがない。仕方が無いって思って……」

「でも、その結果がこの影なんだよ……」

「……」

「……」
 ▼ 20 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/25 21:34:45 ID:tWW99rZY [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「影。ポリゴンの影。君は悪くない」

「……」

「さあ、元の体に入りなさい……」

「……ダメダ」

「……なんで……?」

「イマ、ジブンハミミッキュダ」

「ソレニ、ジブンノオコナイヲツグナワナケレバナラナイ」

「……そっか」

「わかった。じゃあ、これからも僕を追いかけ続けてね」

「……?」

「ミミッキュが僕を追いかけてなかったら変でしょ?」

「あと、君はムサシの手持ちだ。トレーナーの指示には従わないとね」

「……!」
 ▼ 21 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:34:22 ID:Io6lUt5A [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「……ナゼダ……?」

「ナゼ……ジブンハオマエノテキナノニ……」

「本当のことを言っただけだよ」

「お人良し、になっちゃうかな……?」

「ごめんね」

影は泣いた。

光がこんなに優しかったなんて──

自分の犯した過ちに気が付いた。

自分は……あの連中……いや、あのトレーナーたちの元でこれからも戦いたい。

元は自分の敵だと思っていた光と──
 ▼ 22 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:34:53 ID:Io6lUt5A [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「光と影は、一心同体なんだよ」

「光が無かったら影はない」

「でも、影がなかったら光はないでしょう?」

「どちらも、必要不可欠なんだ」

「ヒツヨウ……フカケツ……」

「帰ろう。元の世界に」


「ポリゴン、本当にありがとう」

「うん……頑張って、ピカチュウ」

「全ポケモンの代表として……」

「うん……!」

光と影は、元の世界に戻っていった──
 ▼ 23 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:35:24 ID:Io6lUt5A [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「おーい! ピカチュウーっ! どこだー!!」

少年は自分の相棒を探す。

「!」

ピカチュウは少年の元へ駆けて行った。

「ピカピー!」

「! ピカチュウっ!」

サトシはピカチュウを抱きかかえる。

「大丈夫だったか?」

「ピカピーカ!」

「そうか……! 良かった……」
 ▼ 24 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:37:11 ID:Io6lUt5A [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ミミッキュー? どこ行ったのよー!」

「ムサシ、さっきまでは『あんな奴いらなーい!』とか言ってたのに」

「ムサシ、根は優しいからニャー」

「ちょっとアンタ達、聞こえてるわよー」

「おっと……? なーに話してたっけなー?」

「……」


「……キュ……!」

影が、仲間を見つける。

「! ミミッキューっ! どーこ行ってたのよ!?」
 ▼ 25 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:37:48 ID:Io6lUt5A [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「キュ……」

「ピカチュウも逃がして……! ったくもう……」

「……心配、したんだからね?」

「!」

「あーもう! また一からピカチュウ探すわよ!」

「おうっ!」

「ソォォナンス!」

影は思った。

自分の居場所はここだ。

ここでいいんだ──
 ▼ 26 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:43:58 ID:Io6lUt5A [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
光は、物を照らすためにある。

一件、それだけでいいようにも思える。

スターだけいればいいじゃないか。


──だが、違う。

影がないと照らすことが出来ない。

照らすことが出来なかったら光の意味は無い。

スターだけがいてもつまらない。

裏の存在がいなければ。
 ▼ 27 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:44:34 ID:Io6lUt5A [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
どんなものも、必要不可欠なのだ。

だから、気安く「死んでしまいたい」「消えてしまいたい」なんて思ってはいけない。

誰かは必要としてくれる。

だから、自分に自信を持って生きよう。

みんな違うのは当たり前。

だからこそ、気が合う、気が合わないがあるのも当たり前。

みんなに嫌われてしまったとしても、誰か一人くらいは、自分のことを思ってくれる人がいるはずだ。

──もしいなかったら?

自分で探せばいい。

ヒトは沢山いる。

誰か一人は、理解してくれる。


だから──
 ▼ 28 ◆zJAZkS4Q6o 17/02/26 19:45:07 ID:Io6lUt5A [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──諦めるな



















【SS】光と影──完
 ▼ 29 コガシラ@コンテストパス 17/02/26 19:46:39 ID:.8jtGs1g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
重度の厨二病ww
このページは検索エンジン向けページです。
閲覧&書き込みは下URLよりお願いします。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=539624
(ブックマークはこちらのページをお願いします)
  ▲  |  全表示29   | <<    前    | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!

(消えた画像の復旧依頼は、お問い合わせからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼