【地の文有りSS】バンギラス「俺って、怖いか?」 グレイシア「怖いと思うわよ?」


1 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/04/30 18:47:13 ID:l70cZsRY 報告
曇り空を、見上げる。

さっきからの数分で急に空は圧倒的な黒雲に支配されつつあった。

気分は――最悪だ。

俺は、バンギラス。

岩タイプを含む俺は水気になかなか敏感だ。

だから、これからすぐ雨が降る、なんて予測は体が勝手にしてくれる。

ぽつり、と前に伸ばしてあった手に水が一滴。

それらはコラッタ算式、いやそれ以上のスピードで、空間を支配する。

住居である洞窟から手を伸ばしていただけの俺は手より先が濡れることはなかった。

もともと、雨くらいなら濡れても体が重くなるだけなのだが。

ザアアアアァァァァ……、と雨が打ち付ける音は、他人事のようにBGM以上のものとして耳には入ってこない。

そんなものはどうでもいいくらい俺は憂鬱だった。
233 : グレー@ハスボーじょうろ 17/08/21 20:49:27 ID:9HK1TRIM [s] 報告
>>232
はぁ〜ありがたやありがたや
234 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:27:32 ID:KQmPugPo [1/14] 報告
おまけの後日談
はっじまっるよー!
235 : ガピジョット@くさのジュエル 17/08/27 21:28:51 ID:NqAOFF6Y [s] [1/3] 報告
いよっ!待ってました!
236 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:29:12 ID:KQmPugPo [2/14] 報告
ここ最近は朝からグレイシアと散歩のが日課となっている。

太陽が顔を出してすぐの、まだ大気が温まっていない中を毎日歩くのだ。

この時間帯は、当然俺には少し肌寒い。

しかし、グレイシアにはちょうどいいらしいし、この時間なら寝ているポケモンたちも多いので都合はいいのだ。

今日はなんとなくの気まぐれで、少し遠い所まで歩くことにした。

途中の木できのみを採って食べ、時々話しながらゆっくりと歩を進める。

食事を済ませたことで一旦戻る必要も無くなってしまった俺たちは、いつの間にかあのふっかつそうがあった山の近くまで歩いてきていた。

「そろそろ戻るか?」

「それでもいいけれど……せっかくここまで来たのだからふっかつそう採って帰らない?」

「分かった、そうしよう」

方向転換しようとしていたのをやめ、止めていた足を再び動かし始める。

「――きゃあっ!?」
237 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:31:03 ID:KQmPugPo [3/14] 報告
可愛らしい悲鳴とともに、足に冷たさが触れる。

ドスン、といかにも重そうな音が後ろで響いた。

「よっ!」

聞き覚えのある声だった。

「おう。久し振り……でもねえな」

会った時の会話は、だいたい決まりきっている。

一回体験したことがあったからか、グレイシアもすぐに体の力を抜いた。

「なんだ、あなたね……」

「なんだってなんだよ、バンギの彼女さんよー。俺なんかしたか?」

ボスゴドラは落胆したようにも聞こえるグレイシアの反応にあくまでノリよく絡む。

ほとんど初対面に近いのによくそんな態度取れるよな。

と、グレイシアが怪訝そうな表情になった。
238 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:32:01 ID:KQmPugPo [4/14] 報告
「あの、それどこで聞いたのかしら?」

「……あ?」

珍しくボスゴドラが言葉も出せずに唖然としている。

「……おい、冗談だったんだけどな。マジなのかよ」

「それは……間違いじゃないけれど」

グレイシアは少し恥ずかしそうに俯いて、控えめに肯定した。

「マジかよ……おいバンギ! てめぇ……」

「な、なんだよ……」

「マジでお幸せになってんじゃねえかよー! おいおーい!」

ボスゴドラが俺の肩に手を回して絡みついてくる。

「くっついてくんじゃねえよ、うざってえな」

「彼女以外には触られたくねえってか? こりゃ相当なカップルだな!」

「なっ、んなわけねえだろ!」
239 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:33:00 ID:KQmPugPo [5/14] 報告
ニヤニヤとイカツイ顔緩ませやがって、気持ち悪いったらありゃしない。

「おうおう、ノロケ話を聞く気はねえぜ。そんで、やっぱ一緒に暮らしてんのか? やっぱそうだよなぁ! いっつも何してんだよ?」

思いっきりノロケ話になりそうな話題を自ら振ってくるアホがここにいた。

ノロケ話聞かないんじゃなかったのかよ……。

「何でお前今日はしつこいんだよ……」

「そりゃーしつこくもなるだろ! あの天涯孤独野郎がだぞ!? 明日絶対雨だろ!」

こいつ本当、テンション高くなるとうるせえな……。

と、グレイシアが俺の足から離れた。

「……雨、降らせてあげましょうか?」

グレイシアがボスゴドラを見上げた。

それはもう、にっこりと満面の笑みで。
240 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:34:15 ID:KQmPugPo [6/14] 報告
「……はっ?」

我に返ったようにボスゴドラが間抜けな声を出した直後。

「……〜〜♪」

清らか、という表現がこの上なく似合う歌声が辺りに響く。

一瞬にして、意識の全てが持っていかれる。

吸い寄せられるように、ただただ見惚れる。

しかし、その状況は長く続かなかった。

瞬く間に空を暗雲が支配し始めたのに気づいたのがきっかけで、芋づる式にグレイシアの思惑を辿る。

「――雨降らすってそういうことかよ! おい、さっさと帰るぞ!」

「帰るってお前ら家遠いだろ!」
241 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:35:25 ID:KQmPugPo [7/14] 報告
「安心しろ、お前のとこに邪魔する」

「……俺のとこ来んの? 他にねえのかよ」

「あると思うか? 天涯孤独野郎とやらによ」

「わーったわーった、俺が悪かったよ! 来るなら勝手に来い……」

ボスゴドラはさっさと走って行ってしまった。

それを追いかける側から、ポツポツと冷たい粒が体に当たり始める。

「ちょっと、待ちなさいよ!」

後ろにその局地的大雨の元凶を引き連れ、俺は降り始める雨の中を走った。
242 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:35:52 ID:KQmPugPo [8/14] 報告
洞窟の中で、湿った体に、隣にいるグレイシア。

なんとも見覚えのある構図だ。

唯一違うのは3匹めがいることだが。

「こりゃ酷ぇ」

ボスゴドラは外を半ば唖然と見つめていた。

「なぁ、聞きたいんだがよ。雨乞いって水タイプ系統かヌメルゴンくらいしか覚えねぇんじゃないのか?」

恐らくそれは純粋な疑問だということは分かっている。

知らないのだから仕方がないのだが、やはりそれが地雷であることに変わりはない。

思い出してしまったのか、グレイシアの表情は物憂げだ。

「あまり聞かないでやってくれ」

「……あぁ。そりゃすまんかった」

それでも俺が言うとすぐに察してもらうことができた。

ボスゴドラが一応俺の境遇を知っている数少ない――というかこいつだけなのだが――ポケモンだからこそだ。
243 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:36:45 ID:KQmPugPo [9/14] 報告
場が神妙な空気になって、なんとなく居づらさを感じた俺は適当にグレイシアに話しかけた。

「それにしても、本当に雨降らすことねぇだろ」

「それは……そうなのだけれど――」



「――だって、あなたはもう1匹じゃないでしょう……?」



まさかそんな答えが返ってくるとは思ってもいなかった。

「おい、そういうのは帰ってからやれよ!」

後ろでボスゴドラが騒いでいるのも今は意識の外だ。

「……あぁ、確かにもう1匹じゃねえ」

やはり、自然と笑みが漏れる。

無性に撫でたい気持ちに駆られて、俺はグレイシアに手を伸ばした。

が、その手は途中で止まった。
244 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:37:37 ID:KQmPugPo [10/14] 報告
ドンッ、と背中に拳がぶつかって来たのだ。

「ってえな! 何のつもりだ」

「いやだからここでやるなって言ってんだろ! 帰ってからにしろよな!」

「何がダメなんだよ……」

「むしろなんでダメじゃないと思ったんだよ! 俺が1人取り残されるだろうがよ!」

「元から1人だろ」

「決めた、今から俺のバトル受けろ。孤独パワー見せてやんよ」

「あぁ、付き合ってやるよ」

「……いや、今雨降ってんの思い出した。今回は見送ることにする」

結局やんねぇのかよ、とツッコもうとすると横から声が挟まれる。

「雨ならもうそろそろ止むわよ」

自分の発動した技だけあって、終わるタイミングもしっかり把握しているらしい。
245 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:38:48 ID:KQmPugPo [11/14] 報告
その証拠に、グレイシアが空を見上げた瞬間、雨脚が一気に弱まった。

まるで魔法か何かのようだ。

「おい、雨止んでるけどどうすんだ? 別に逃げてもなにも言わねえぞ」

あえて煽るような口調でボスゴドラに問いかける。

「……いいよ、上等だ。一戦やってけや。帰れなくなっても知らねえけどな?」

満点の答えだ。もともと戦う気にさせることを狙って聞いたのだから。

「グレイシア、悪いが帰るのはもう少し後にしてもいいか?」

「えぇ。私も少し楽しみだから」

グレイシアの目線を背中に受けて、俺たちは雨上がりのぬかるみ気味の地面の上へ飛び出した。
246 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:39:21 ID:KQmPugPo [12/14] 報告
「だーーー! やっぱ無理だな……」

「んなことねえよ。俺も辛勝だ」

最近はボスゴドラの腕が上がってきたせいでかなり辛い展開になることが多い。

今のところ俺が勝つことが多いが、それももう時間の問題だ。

「で、お前はもう帰るんだろ?」

「そうだな。まだやることあったか?」

「いや、もうねぇよ。さっさと帰って2人で遊んでろ」

「あぁ。じゃあな」

我ながら別れるというのにあっさりしているとは思うが、これがいつもなので問題はない。

来ようと思えばいつでも来れるような場所だからだ。

グレイシアを引き連れて、俺は洞窟を離れた。



「……仲良いポケモンできていいよなぁ。羨ましい」

ボスゴドラが何か言った気もしたが、既に距離があったので内容までは聞き取れなかった。
247 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:40:35 ID:KQmPugPo [13/14] 報告
以上後日談でした
まだあったりします?
248 : コロモリ@しろいビードロ 17/08/27 21:44:56 ID:NqAOFF6Y [s] [2/3] 報告
>>247
ボスゴドラ版後日談含むのが見て見たいです
バンギラスサイドでもいいけどもっと見たいですね
249 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/27 21:52:16 ID:KQmPugPo [14/14] 報告
>>248
リメイクか
なら簡単
250 : ラップ@シルフスコープ 17/08/27 22:01:40 ID:NqAOFF6Y [s] [3/3] 報告
>>249
Yahoo!!ありがとうございます!!!
251 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/08/29 22:51:55 ID:z5bHn0nk 報告
書き終わったー
けど続けてきた日曜更新崩すのはなんとなく嫌なんで日曜夜をお楽しみに〜
252 : クリン@イワZ 17/08/29 22:57:18 ID:scjkblfA [s] 報告
日曜よ早く来い!
どうでもいいけど今日が日曜日の夢を見たから絶望した
253 : ガミュウツーX@ラブタのみ 17/09/03 22:17:40 ID:pKzLM7e2 報告
あげ支援
254 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 22:58:00 ID:iegHJTb. [1/15] 報告
いつの間にこんな時間か……
新しいSS書いてたら休日消し飛んだ訴訟
申し訳ないのですが忘れかけてたので>>253さんに猛烈な感謝を
とりあえず、今日落とす予定のやつ落としていきます
255 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 22:58:29 ID:iegHJTb. [2/15] 報告
まだ太陽も出ていない冷たい空気の朝。

なんとなく早起きしてしまった俺は、適当に外をふらつくことにした。

いつもなら二度寝をするところなのだが、何故か今日は眠くなかったのだ。

ドス、ドス、と俺1匹の足音を響かせて歩き回る。

すると、前方に何やら影が二つあった。

デカイのと、それの半分もないくらいの高さの細いのと、2つ。

(見覚えあんな……やっぱりか)

前を歩いているのはバンギと、もう1匹はこの前会った――グレイシアだっけ。

仲良さげに喋っているようだったので、少しばかり驚かしてやることに決定。

音を出さないように近づいていく。
256 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 22:59:09 ID:iegHJTb. [3/15] 報告
「――きゃあっ!?」

しかし、気づかれてしまった。俺が何か悪いのか、それとも勘がいいのか。

とりあえず足音はもう隠さずに近づいて、挨拶を投げる。

「よっ!」

「おう。久しぶり……でもねえな」

バンギは振り向きざまに軽く手を挙げた。

声だけで俺と分かるあたりやはりこいつは親友だ。

あ? そこの、ポッポだかコイキングだか知らんが、唯一のとか言ってんじゃねえぞ!

1人で勝手に突っ込んでいたら、下から鈴のように透き通った声がした。
257 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 22:59:32 ID:iegHJTb. [4/15] 報告
「なんだ、あなたね……」

なんだこの子。ひどくね?

初対面でこそないがそこそこ初対面の相手に普通そんな口調で喋るか?

ってか自覚ないんだろうけど、この抱きつきようがもう友達とかそういうのじゃなさげだよな。

「なんだってなんだよ、バンギの彼女さんよー。俺なんかしたか?」

途端、グレイシアが訝しむように眉をひそめた。

「あの、それどこで聞いたのかしら?」

「……あ?」

あれ、『ち、違うわよ!」的な反応じゃないのか!?

冗談なんだろ? 驚かせよう的なやつなんだろ?

「……おい、冗談だったんだけどな。マジなのかよ」

「それは……間違いじゃないけれど」

ぽっ、と一瞬で顔を赤くしてグレイシアが俯く。
258 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 22:59:52 ID:iegHJTb. [5/15] 報告
流石にこの反応でまだ嘘だとは言い張れない。

(マジだったああああああああああ!!?)

ダメだ、もうこれ叫んでないとやってられん。

信じられなさすぎてショックがとてつもなかった。

このショックを乗り越えるにはバンギを楽しくイジるしかないな!

「マジかよ……おいバンギ! てめぇ……」

「な、なんだよ……」

「マジでお幸せになってんじゃねえかよー! おいおーい!」

肩に手を回してまとわりつき、うざったい奴アピールをしてみる。
259 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:00:07 ID:iegHJTb. [6/15] 報告
「くっついてくんじゃねえよ、うざってえな」

「彼女以外には触られたくねえってか? こりゃ相当なカップルだな!」

「なっ、んなわけねえだろ!」

「おうおう、ノロケ話を聞く気はねえぜ。そんで、やっぱ一緒に暮らしてんのか? やっぱそうだよなぁ! いっつも何してんだよ?」

「何でお前今日はしつこいんだよ……」

流石のバンギもうんざりしているらしい。

もうちょっとだけやってみるか。

「そりゃーしつこくもなるだろ! あの天涯孤独野郎がだぞ!? 明日絶対雨だろ!」

自分でもうざったいくらいに絡んでいると、下でグレイシアが何やら動いた。

「……雨、降らせてあげましょうか?」

こちらを見上げる、サファイアのように透き通った目が二つ。

その形は弓形を描いている。
260 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:00:28 ID:iegHJTb. [7/15] 報告
おー、バンギには似合わん可愛さじゃねえか。

性格に難がないといいけどな。

実際他人ごとなので他人事のように考えて、ようやくさっきのグレイシアのセリフが脳にたどり着いた。

――ん? 雨を降らす?

雨を降らすってどういうことだ?

「……はっ?」

思わず喉から間抜けな声を出した直後。

「……〜〜♪」

心が浄化されていくような、純粋で綺麗な歌声が空気を揺らす。

比較対象なんて俺にはほとんどないが、少なくとも俺が聞いた中では断トツだ。

一瞬、本当に一瞬だけ、見とれてしまった。
261 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:00:54 ID:iegHJTb. [8/15] 報告
声に聞き入っていると、横から耳障りな雑音が混ざる。

「――雨降らすってそういうことかよ! おい、さっさと帰るぞ!」

「帰るってお前ら家遠いだろ!」

邪魔だったのもあって少し強めにツッコむ。

するとバンギはニッ、と笑ってサムズアップしてみせた。

「安心しろ、お前のとこに邪魔する」

「……俺のとこ来んの? 他にねえのかよ」

「あると思うか? 天涯孤独野郎とやらによ」

一瞬反論しようとしたが、少し考えて俺は口をつぐんだ。

さっきイジっていたのを逆利用されてしまったので反論ができないのだ。

「わーったわーった、俺が悪かったよ! 来るなら勝手に来い……」

案内するべく、俺は住処へ向かって走り出した。
262 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:01:16 ID:iegHJTb. [9/15] 報告
洞窟の中で雨の様子を眺めていることは今まで何度もあった。

いつもと違うのは、俺1匹ではないことだが。

それにしても、雨の強さが酷い。

ここ最近では見たことがないような勢いに、思わず呟いた。

「こりゃ酷ぇ」

そういえば、グレイシアが降らせるとか言っていた雨はこのことなのだろうか。

雨を降らせる……。雨乞いか? しかし、グレイシアが覚えるなんて聞いたことがない。

「なぁ、聞きたいんだがよ。雨乞いって水タイプ系統かヌメルゴンくらいしか覚えねぇんじゃないのか?」

ピキン、と空気が氷点下の温度まで下がって凍りついた。

グレイシアの物憂げな表情、そしてバンギの何か気を揉んだような表情。

何かまずいことを言ったらしいことは分かった。
263 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:02:06 ID:iegHJTb. [10/15] 報告
「あまり聞かないでやってくれ」

「……あぁ。そりゃすまんかった」

もちろん謝りはするものの、そんなことで簡単に場の空気が変わるわけもない。

「それにしても、本当に雨降らすことねぇだろ」

「それは……そうなのだけれど――」

バンギに気を遣わせてしまったようで、申し訳なかった。



「――だって、あなたはもう1匹じゃないでしょう……?」



やっぱ申し訳なくねえ!

俺の住処でイチャイチャ始めようとしてんじゃねえよ!

「おい、そういうのは帰ってからやれよ!」

バンギの背に叫んでみるが、反応する素振りさえない。
264 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:03:06 ID:iegHJTb. [11/15] 報告
「……あぁ、確かにもう1匹じゃねえ」

あぁ、セリフがもうイチャイチャルート確定だ……。

ついにバンギがグレイシアに手を伸ばし始めた。

こうなっては、止める手段はもう実力行使しか残っていない。

俺はバンギの背中を思いっきり殴りつけた。

ドンッ、と背中に拳がぶつかって来たのだ。

「ってえな! 何のつもりだ」

「いやだからここでやるなって言ってんだろ! 帰ってからにしろよな!」

「何がダメなんだよ……」

「むしろなんでダメじゃないと思ったんだよ! 俺が1人取り残されるだろうがよ!」

「元から1人だろ」

「決めた、今から俺のバトル受けろ。孤独パワー見せてやんよ」

「あぁ、付き合ってやるよ」

「……いや、今雨降ってんの思い出した。今回は見送ることにする」
265 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:04:31 ID:iegHJTb. [12/15] 報告
雨模様の空を見上げると、下から声が飛んできた。

「雨ならもうそろそろ止むわよ」

予言めいたことを言い始めるグレイシア。

自分の発動した技だから、終わるタイミングも分かっているということなのか。

その仮説を証明するように、雨が小降りになっていった。

事情を知らなければ、超能力か何かにしか見えないだろう。

「おい、雨止んでるけどどうすんだ? 別に逃げてもなにも言わねえぞ」

あからさまな挑発が飛んできた。

バトルやりたいなら素直に言えばいいのにな。

「……いいよ、上等だ。一戦やってけや。帰れなくなっても知らねえけどな?」

バンギラスはニヤリと好戦的な笑みを浮かべた。

「グレイシア、悪いが帰るのはもう少し後にしてもいいか?」

「えぇ。私も少し楽しみだから」

……これは全力でボコしてカッコ悪い姿見せつけてやらねえとな!

グレイシアの目線を背中に受けて、俺たちは雨上がりのぬかるみ気味の地面の上へ飛び出した。
266 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:07:24 ID:iegHJTb. [13/15] 報告
「だーーー! やっぱ無理だな……」

「んなことねえよ。俺も辛勝だ」

やはり、いつもと同じで勝てなかった。

相性的には悪くないはずだし、事実あと少しだとは思うのだが……。

とりあえず、用も終わったしさっさと帰ってもらうことにした。

「で、お前はもう帰るんだろ?」

「そうだな。まだやることあったか?」

「いや、もうねぇよ。さっさと帰って2人で遊んでろ」

「あぁ。じゃあな」

こいつあっさりしているなとは思うが、これがいつもなのは俺も承知済みだ。

ってか遊んでろってとこちゃんと否定しろよ。

グレイシアを引き連れて出て行くバンギラスを見ていると、不思議に声が漏れた。



「……仲良いポケモンできていいよなぁ。羨ましい」
267 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:07:41 ID:iegHJTb. [14/15] 報告
不意の来客も去って暇になった俺はその場に寝転んだ。

――ひらり。

背中に何かが触れる。

「……あ?」

この何もないところにこんな柔らかいものあったか?

もしかしたらあいつらの忘れ物かもしれんな。

起き上がるにが面倒で、俺は苦労してその場で寝返りを打った。

すると、目の前にいたのは――



「……ふぃ〜あっ」
268 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/03 23:10:51 ID:iegHJTb. [15/15] 報告
以上後日談その2でした
なんか最後に締まらない感じの投稿の仕方で本当にすみません(忘れかけてた件)
新しいSSも書き始めたんで今回はこの辺で終わっておこうかと思います
あ、別の書きたくはなったんですが依然シチュ不足に悩まされてるので何か思いついたら寄付してくださると嬉しいです
嬉しいといえば、後日談をって言われた時めっちゃ嬉しかったです!
今まで促してはいたけど一度も言われたことなかったので(なかったよね?)
本当にありがとうございました……!
では、次がいつになるか分かりませんが、もし見つけたらまたよろしくお願いしますね
さようなら!

次回予告っぽく入れて見たけどボスゴニンフィアは多分書かないと思います
どうせこのSSと同じような感じになるだろうし、それだと面白くないので
なんか決定的な差別化点とか思いついて面白そうだったら次作として新しくスレ立てるかもです

書くか書かないかは、あなた次第! とか言っといたら大変なことになるかもしれないからやめておこう()
269 : イリーフ@ポイズンメモリ 17/09/04 00:21:56 ID:veM/iU3g 報告
差別化点...ニンフィアがボスゴトラに勝とうとする友情努力勝利の話?
270 : タグロス@すごそうないし 17/09/04 01:55:24 ID:jCjCw.KA 報告
リーフィアかと思った
271 : ネコ@ミクルのみ 17/09/04 02:49:42 ID:MPdNYWIU 報告
それはそれで面白そうだ主のss期待してるぞ
272 : 羽真◆Ju6JKuHffQ 17/09/04 06:42:15 ID:j81EsupA 報告
>>270
そういえばふぃあふぃあ言う奴ってリーフィアもいたじゃん……
何やってんだか

>>269
なんか書きたくなった
けどやっぱりまだイメージがつかない



(2017/11/09 期間限定設置、最終書込が2017年10月までのスレに限ります。)