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【SS】ぼうけんノート 2スレ目【DPSS】

 ▼ 1 BAJE96JocU 17/05/03 23:52:23 ID:rEC8qBxU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
<あらすじ>
とある病院で目覚めた一人の少年、コウキ。コウキはとある事件により1年以上眠っていた。その事件に関与しているギンガ団を追うためにコウキは、幼馴染のジュンとヒカリと共にテンガンザンへ向かうのだった...

のんびりと書いてきたSS「ぼうけんノート」の第2章です。1スレ目...というか第1章は下のURLへどうぞ。
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=583498

次のレスから始めようかと思いますので、よければ読んでください。



 ▼ 4 ルホッグ@おおきなねっこ 17/05/08 23:14:28 ID:qJDnArxo [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お久しぶりです―。GWが死ぬほど忙しかった...今日からまったり更新していきますのでよければ読んでください
________________________________________________________________________________
 二人ともに、大勢の人に見送られながら病院の敷地を出た瞬間、

「ガァァァァァァァァァァァァァッ!」

猛々しい唸り声が響き、何者かに奇襲された。まだ踏み固められていない雪が粉のように舞う。制限され前がよく見えない。おそらくポケモンだろう。こんな状況で俺たちの目の前で、技を放ってくるということは、つまり...

「コウキ、やるぞ!」

「オッケー、ジュン!ヒカリも行けるか?」

「大丈夫。私もやるよ!」

 ポケモンバトルの開始である。何にせよ相手の姿を視認しないうちは始まらない。俺たちは後ろに飛び退きながら、モンスターボールを取り出す。

「いけ!ゴウカザル!」
「いくぞ、エンペルト!」
「お願い、ドダイトス!」

 俺たちはそれぞれポケモンを繰り出す。俺はゴウカザル。ジュンはエンペルト。ヒカリはドダイトス。旅立ちの日にもらった初めてのポケモン。

「ゴウカザル、火炎放射!」

 目の前で視界を制限する雪を処理するため、ゴウカザルに技を打たせた。

「ザァァァル!」

 雪が圧倒的な熱により溶かされる。晴れた視界の先にいたのは...
 ▼ 5 BAJE96JocU 17/05/08 23:36:55 ID:qJDnArxo [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ...5匹のポケモンだった。ドンカラス。漆塗りのような黒い翼が特徴的なポケモン。マニューラ。その鋭い瞳は狩人を思わせる。クロバット。ゆらゆらと羽ばたく4対の翼がひどく艶やかだ。ドクロッグ。血の色を思わせる爪とのどが、藍色の肌に映える。ブニャット。その四肢は強靭でしなやかな筋肉を灰色の毛皮が覆う。

 見たところトレーナーの姿は見えない。しかし、それぞれのポケモンが耳に小型のイヤホンのようなものを付けている。アレで遠くから指示を出していると思われる。

「5匹か...結構分が悪いね...」

「そうだな。正面からぶつかると負ける可能性がある」

「とりあえず、ヒカリのドダイトスは相性的につらいから一旦待機させて」

「了解。ゴウカザルとエンペルトはヒット&アウェイで相手の動き掴む感じかな?」

「そうだな。それでいこう。相手の強さを測らなきゃな。じゃあ...やりますか」

「おう!」「うん!」

 そういって俺たちはバトルを開始する。俺たちが動き出したのを見て、相手のポケモンも動き出す。まずは俺のゴウカザルが先制攻撃を仕掛ける。

「ゴウカザル、マッハパンチ!」

 目にも止まらぬ速さで、相手のマニューラの懐に潜り込む。マニューラの鳩尾にヒットする。こうかはばつぐんだ。マニューラは雪をまき散らしながら、5メートル吹っ飛んで行った。

「バァァァァァァット!」

 マッハパンチを打った隙を、クロバットが的確についてくる。紫色の体を青い光が包む。この光はブレイブバードの予兆だ。はるか上空からものすごいスピードで滑空してくる。ゴウカザルは避けられる体勢じゃないのだが...

「エンペルト、冷凍ビーム!」
 ▼ 6 BAJE96JocU 17/05/08 23:53:03 ID:qJDnArxo [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ペルゥ!」

 透き通る氷の光線が、クロバットに直撃する。クロバットはブレイブバードの勢いそのまま地面に撃墜する。どうやら瀕死になるほどのダメージを負わなかったようだが、それでもかなり堪えたはず。その上雪と氷が羽の動きを邪魔し、動けないようだ。これはもう後回しにしてよかろう。マニューラも鳩尾を殴られた衝撃で足元が覚束ないようだ。これで戦況は実質3体3、互角になったといってよいだろう。

 次は相手の番だ。ドクロッグが鋭く尖った爪を突出し、突進してくる。狙いはゴウカザルのようだ。爪が紫色に変化している。これはどくづきの予備動作だ。

「エンペルト、ゴウカザルの盾に!」
 
 ジュンがそう指示し、エンペルトはゴウカザルを庇うように前に出る。ゴウカザルの素早さならば、避けることは容易だっただろう。しかし、エンペルトを盾にしたのは...

「ゴウカザル、いまだ、インファイト!」

 エンペルトは鋼タイプのため、どくづきは効かない。エンペルトを盾にすることにより、万端の状態でカウンターができる。

「ザァァァァァァァァァァァル!」

 ゴウカザルが無数の攻撃を繰り出す。打撃、刺突、蹴り、その種類は様々だ。ドクロッグは成す術もなく攻撃を受け続け、〆の右ストレートで大きく吹っ飛ばされた。これで3体2。あっさりと逆転してしまった。

「コウキ、ジュン!あの後ろで飛んでるドンカラス、イヤホンがなんか違う!」

「...本当だ。あれは...レンズか?つまり...」

 あのドンカラスのカメラを通して指示しているのだろう。あのドンカラスのカメラを壊せば、これ以上相手のポケモンを気づ付けることなく戦闘を終えることができる。

「ヒカリ、カメラ壊す援護頼む!」
 

 

 
 ▼ 7 BAJE96JocU 17/05/09 00:04:55 ID:7iybgb4E [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「わかった!ドダイトス、前に出て!」
「ドダァァァァイ!」

 ドダイトスが見た目からは想像できないほどのスピードで、前に出てくる。それを見かねたブニャットは、ドダイトスに向かって激しい突進をかます。しかし...

「ドダァァイ!」

 ドダイトスにはまるで効かない。ドダイトスはブニャットを受け止め、上から押さえつけるようにしてブニャットの体を固定する。

「ペルゥゥ!」

 その隙を突きエンペルトが冷凍ビームでブニャットの足元を凍らせる。

「ゴウカザル、跳べ!」
 
 ゴウカザルはドダイトスとブニャットを飛び越える。おそらく2匹の数メートル先に着地するだろう。しかしこれでは、ドンカラスには届かない。

「ドダイトス、ストーンエッジ!」

 ヒカリがそう指示した。雪に覆われた地面から岩でできた柱が出現する。その柱が出現したのは...

「ゴウカザル、柱を踏み台にしてドンカラスのところまで行け!」

 そう、ゴウカザルの着地するであろう場所だ。柱はゴウカザルを突き上げ、遠くへ飛ばす。

「ゴウカザル、ドンカラスの耳のカメラを壊せ!フレアドライブ!」

「ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 燃え滾る業火が、カメラを粉々に粉砕した。
 ▼ 8 BAJE96JocU 17/05/09 17:37:44 ID:7iybgb4E [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「いやー、結構うまくいったね。ドダイトスとゴウカザルのコンビネーション」

 バトル終了後、それがヒカリの第一声だった。

「そうだな。実戦で使うのは初めてだったけど、練習したかいがあったな」

「それよりこのポケモン達って......」

「...ああ、ギンガ団のポケモンだと思う」

「コウキが今日退院することはニュースとかでも報道されていたからな」

「ギンガ団の襲撃を想定してきたけど...」

「目的がなんなのかだよな。ただ暴れたいだけなら別に今日じゃなくたっていいはず」

「まぁ、その辺のことは直接聞こうぜ」

 そういって俺は、雪の上で寝そべっているクロバットから小型のイヤホンを取った。イヤホンにはGのマークがある。これはギンガ団のマークだ。これでギンガ団が犯人という事実は確定した。イヤホンをよく観察すると、スピーカーだけではなく、マイクもついている。成功した暁には、このマイクでポケモン達に合図させるはずだったのだろう。なんにせよ好都合だ。なぜなら...

「あー、ギンガ団の方聞こえてますかー?」

 そう、ギンガ団と直接話せるからだ。イヤホンからザザッとノイズが聞こえた後、20歳くらいの男性の声が聞こえてきた。

『...聞こえている。何か用か』

「用も何も...先にふかっけてきたのはそちらでしょう?」

『まあそうだが...ようがないのなら切るぞ。こちらは忙しいのでな』
 ▼ 9 BAJE96JocU 17/05/09 18:21:40 ID:7iybgb4E [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「じゃあ本題に行きましょうか。不毛な時間は使いたくないですし」

 相手方の声はイヤホンから漏れているため、二人にも聞こえているはずだ。もちろんこちらの声も。どうやら相談している時間はなさそうだ。相手にこちらの相談が丸聞こえになってしまう。元持たしていたらすぐに通信を切られてしまうだろう。ここは俺に任せてくれ、そういうメッセージを込めてジュンとヒカリにうなずきかける。二人はすぐに察してくれた。任せたといわんばかりにうなずき返してくれる。一拍おいてから俺ははし始めた。

「こちらの話というのは、交渉です」

『交渉?どういう意味だ』

「こちらはそちらが送ってきたポケモン5匹を人質にとしてとらえています」

「人質を返してほしいのならば、そちらの居場所と目的を偽らずに教えてください」

『どこが交渉だ...ただの脅迫じゃないか...』

「いやいや違いますよ、人聞きが悪い。あくまでもこれは交渉です」

「こちらの要求を振りかざすだけではありません。お互いの利益を考慮してのことです」

『本当にそれだけなのだな。...よし分かった。交渉成立だ』

「物わかりがいい様で何よりです。それでは場所などはどうしましょうか?」


『それについては...そうだな。3時間後に207番道路側のテンガンザン入口でどうだ?』

「ちょっと相談させていただいてもよろしいですか?」

『分かった。では一旦通信を切る。10分後にまた繋ぐので、それまで持っておけ』

「分かりました。それではまた10分後に」
 ▼ 10 BAJE96JocU 17/05/09 18:41:30 ID:7iybgb4E [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「...ふう」

「というわけだけど、どうする?」

「「どうする?じゃない!」」

 二人に頭を思いっきり殴られた。グーで。痛い。

「2人ともひどいな!こっちは退院したばかりなんだぞ!」

「ひどいのはどっちだ!任せろって顔でうなずいてくるから任せてやったら、

何が人質だ!どっちが悪者だよ!」

「いやー、あれが一番いい方法だったと思うけど」

「...はぁ。もう何言っても無駄みたいだね...ジュンも落ち着いて」

「...そうだな。本当にそういうところ変わらないよな。

頭の回転の良さとクソ度胸は記憶を失った後も健在でみたいだな」

「いやぁ...それほどでも///」

「「褒めてないよ!」」

「...茶番はここまでにして、真面目にどうする?こっちから断ることも今ならできる」

「こっちが断る理由はないよな。どう考えてもこっちの方が有利だ」
 ▼ 11 BAJE96JocU 17/05/09 18:58:19 ID:7iybgb4E [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そうだね。それにポケモン達もトレーナーのそばに居たいだろうし」

 そういってヒカリは後ろを振り返る。俺のフワライドの催眠術で眠らせている。

「ヒカリは優しいな」

「そんなことないよ。私も友達のそばに入れない悲しさは分かるから」

 ヒカリはたまにこういうことを言う。正直言ってどう反応すればいいのかわからない。ヒカリを悲しませていた張本人が言えることなんてないだろう。だからいつも反応できない。ヒカリも反応してほしくて言ってるわけではないだろうが。

「...ていうか一旦移動しないか?そろそろ視線がつらいんだが...」

 ジュンにそういわれるまで忘れていた。ここは病院の目の前だということを。人の目はおろか、カメラまである。先程の騒ぎのせいもあり思いっきり注目されているではないか。

「ちょっと今のバトルについて取材い良いですか!?」

 さっそくテレビクルーが話しかけてくる。やばいやばい。結構聞かれちゃまずそうなことを話していた。ただあの様子ではバトルはカメラに抑えられても、交渉の件については
聞かれていないだろう。

「すいません。先を急ぐのでまた今度お願いします!」

 ......追いかけてくるテレビクルーなどから走って逃げること、約5分。俺たちはコトブキシティから218番道路の木陰に逃げ込んでいた。

「はぁ、はぁ、はぁ......疲れた...」

「そうだね...ってコウキ体は大丈夫?変なところない?」

「いや、大丈夫だよ。入院中にある程度体力はもどせたからな」

「そっか。ならよかった。...でどうする?交渉の件」
 ▼ 12 BAJE96JocU 17/05/09 19:12:45 ID:7iybgb4E [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「...そうだな。なんであの場所なのかはわからないがとりあえず行こう」

「了解。ただ、警戒は怠らないようにな」

「そうだね。罠かもしれないから、警戒するに越したことはないよね」

「まだ3人で行けるかはわからないからな...その辺も考えないとな」

と、そこまで話したところでイヤホンからザザッというノイズが聞こえてきた。10分経って、通信をつないだのだろう。

『先程の者だ。...どうだ。話はまとまったか?』

「ええ。そちらが指定した通りの条件で大丈夫です。ただ、

こちらが交渉の際は3人で行ってもよろしいでしょうか?」

『...分かった。3人で大丈夫だ。一応確認するが、ポケモン達は無事だろうな?』

「ええ。今はぐっすり寝ています。危害は加えていません」

 先程逃げるときに、ヒカリのドダイトスと俺のフワライドに運んできてもらった。交渉の場所に行く時もその状態で行くのはいささか目立ちそうだが、モンスターボールがないので致し方ない。

『そうか。ではまた3時間後の夜7時に207番道路で会おう。こちらも3人で向かう』

「了解です。それではまた7時に会いましょう」

ブツッと、そこで通信が途切れた。

「勝手に話しまとめちゃったけど、大丈夫だったか?」
 ▼ 13 BAJE96JocU 17/05/09 19:31:53 ID:7iybgb4E [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「いや、特に異論はないよ。3人で行けるみたいだし」

「まぁ、それはこっちに人質がいるからってのが大きいだろうね」

「でも、相手も3人で来るんでしょ?しかもこっちを待ち構えて」

「そうなんだよな...あらかじめポケモンを出しておいたほうがよさそうだな」

「俺たちの後ろに隠れさせて何かあったら合図する感じか?」

「それしかできることなさそうだね。で7時までどうする?」

「そうだな...とりあえず家戻って荷物置いてこようか」

「...あ、俺それだったらこのまま218番道路にいていいか?」

「...どうしてだ?」

「なんか...まだちょっとフタバタウンに帰るのが怖くて...」

 なんとなく帰りたくないのだ。なぜ怖いかと言われると、イマイチピンとこないのだがとにかく怖い。入院中は1日も外出許可を貰わなかった。リハビリがてらコトブキを歩いたことはあったが、わざわざ外出許可を貰ったりはしなかった。なぜなら。今の俺には帰る家も、迎えてくれる人もいないからだ。俺はその真実を目の当たりにするのが怖いのだろうか。
 
「そうか...。分かった。じゃあ一旦帰ってるな。荷物もってくぜ」

「うん。ありがとう。おばさんによろしく伝えておいてくれ」

「オッケー。荷物置いたらすぐ戻ってくるから」

「ジュンよろしく。...ヒカリはどうする?」
 ▼ 14 BAJE96JocU 17/05/09 19:56:23 ID:7iybgb4E [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「うーん、私も一旦帰ろうかな。親に夜も出かけること言わなくちゃいけないし」

「わかった。また後でな」

「私もすぐ戻ってくるよ。ドダイトスはコウキとお留守番してて。じゃあねー、コウキ」

 そう言って二人と別れた。フタバに帰るのも怖いが、眠ってるポケモン達を置いておくわけにはいかないだろう。こいつらを連れてぶらつくだけでも、ものすごく目立つだろう。二人が帰ってくるまで大人しく待っていよう。

「とはいってもヒマだな...寝るか...ドダイトスとフワライド、様子見ててくれるか?」

「どだぁい」

「フワー」

 ドダイトスとフワライドがゆっくりとうなずいた。この木陰なら他の人から見られる心配もない。それにドダイトスとフワライドがいれば万が一何かあってもある程度対応できるだろう。雪は止んだが、まだ積もっている。そのためドダイトスのの上で寝かせてもらうことにした。ドダイトスは嫌な顔一つせずに甲羅の上に載せてくれた。こいつはいいやつだ。トレーナーに似て。

「じゃあお休み―........................................」

 冬の夕方はとても寒く普通は寝れるような気温ではないが、不思議とすぐに寝れた。

数十分後...

「ぅき、うき、コウキ!起きて!風邪ひくよ?」

「うにゃ......ヒカリ..........?」

「なんで冬の日の外で寝れるの...退院したばっかりなんだから気を付けてよ」

「...ああ。ちょっとヒマだったから寝ちゃったよ。ドダイトス、ありがとう」
 
 ▼ 15 BAJE96JocU 17/05/09 20:16:53 ID:7iybgb4E [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「どだぁい」

 ドダイトスは体を傾けて、俺を気遣うように甲羅から降ろしてくれた。ふむ...今まで知らなかったが、ドダイトスの甲羅って結構あったかいんだな...

「で、今何時?もう真っ暗だけど」

「5時くらいかな。ライト持ってきてよかったよ。じゃなきゃ見つけられなかったかも」

「怖いこと言うなよ...んでジュンは?」

「ちょっと時間かかるかもしれないって言ってた」

「そうか...準備とかいろいろあるだろうからなぁ」

 俺は今日からジュンの家に居候させていただくことになっている。家がなくなった以上住む場所については仕方ないことだが、どうしても気が引ける。ジュンの両親とは以前からたまに会っている。病室に来てもらっていたのだ。
 特におばさん、ジュンの母親とは居候の件で話したり、ジュンやヒカリが病院に来れない時に着替えを持ってきてくれたりしているのだ。着替えなどはおじさんおばさんが買ってくれている。入院費も払って貰っている。頭が上がらない。

 その後ヒカリと雑談に興じること10分。さすがにここまで長時間外にいると体が冷える。その時、ジュンが戻ってきた。

「待たせてわりぃ。...寒くないか?ずっとここにいるのつらいだろう」

「うーん、そうなんだけど。ギンガ団のポケモンもいるしどうすればいいのか...」

「あ、その件なら大丈夫だ。ちょっとついて来てくれ」

「「?」」

 ヒカリと二人、首をかしげながらもジュンについていき、木陰を出る。ドダイトスとフワライドも一緒だ。ぼんやりとした街灯の光が俺たちを照らす。

 ▼ 16 BAJE96JocU 17/05/09 20:25:36 ID:7iybgb4E [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「...というわけで、ジョーイさんが預かってくれることになった」

「コウキさん、さっきぶりですね」

「ジョーイさん?なんで?」

「いやー、私こう見えても警察の方とコネクションがありまして、

コウキさんの事情についても多少聞いています」

「ジュンさんによると事情は話せないとのことですが、

困っている人を助けるのがジョーイとしての仕事ですから」

「...でも、いいんですか?仕事中なんじゃ...」

「仕事は妹に任せてきました。なので大丈夫です。

ポケモン達は私たち姉妹が移動するときの車に乗ってもらいましょう」

「...そうですか。ありがとうございます。ではお言葉に甘えさせていただきます」

「いえいえ」

「まぁそんなわけで、ポケモン達はジョーイさんに預かってもらって、

俺たちはは適当にぶらつこうぜ。207番まで送ってくれるって言うし」

「はい。ポケモン達のことは気にせず楽しんできてください!6時半になったら戻ってきてくださいね」
 ▼ 17 BAJE96JocU 17/05/09 20:27:50 ID:7iybgb4E [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
...と今日はここでいったん終わりです。もしかしたら11時くらいにまた書くかもしれませんが。
もうすぐギンガ団との交渉、そして物語はどんどん進んでいく...予定ですのでよければ見てください。

それではまた。
 ▼ 18 BAJE96JocU 17/05/10 19:21:33 ID:c.PRcqfM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ジョーイさんはギンガ団のポケモン達と共にコトブキのコインパーキングで待っているといっていた。現在時刻は5時半くらい。あと1時間くらい猶予がある。とりあえず俺はジュンとヒカリとコトブキをぶらつく。街はクリスマス一色に染まり、雪と色とりどりのイルミネーションのコントラストが美しい。

「んでこの後どうする?」

「うーん、お腹減ったしとりあえずご飯食べない?」

「そうだな。寒いし帰り何時になるか分かんないからな」

「じゃあ適当なところで飯食うか。ジョーイさんがお金くれたし」

「ホント優しいよな...入院中何度世話になったことか。後光が見える気がする」

「あの人が神だったのか...あそこのファミレスでいいか?」

「いいよー。早く入ろう。中混んでそうだし」

 そんなわけでファミレスに入店。クリスマスということもあってか店は盛況のようだ。すれ違いで店を出て行った人がいたため、すぐに席へ案内された。案内された座席は4人掛けで俺とヒカリが隣り合って、ジュンは向かいに一人で座ることにした。

「何食べる―?」

「ビーフハンバーグステーキデミグラスソースエビフライとから揚げ付とライス大盛り」

「即答!?コウキよくそんな食べられるね...」

「なんだかんだ言ってカロリー高い飯食えるの起きてから初めてだからな」

「それもそうか。病院食ってガッツリ食べられるイメージないね。ジュンは?」

「俺もコウキと同じので。あとフライドポテト」
 ▼ 19 BAJE96JocU 17/05/10 19:37:57 ID:c.PRcqfM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ジュンもどんだけ食べるの...私はオムライスとシーザーサラダにしようかな」

「あとマグロ丼とイチゴパフェとソフトドリンク」

「俺はマルゲリータとティラミス追加」

「まだ頼むの!?...じゃあそれで注文しよっか」ピンポーン

...そして完食後。時刻は6時。ソフトドリンクで粘りながら、とりとめのないことを話す。

「なんかクリスマスって実感ないなー」

「そうだな。なんかほぼ毎日コウキの病室行ってた気がする」

「図鑑はシンオウ図鑑はほぼ埋まっちゃたしね」

「全国図鑑はほかの地方行くつもりないからなー。多分埋まらないと思う」

「残ってるのもいるのかいないのかよく分からない伝説ポケモンだけだし」

「ディアルガパルキアとかは登録する余裕なかったしな...」

「そういえば今ってテンガンザンはどうなってるの?」

「立ち入り禁止になったって聞いたけど」

「警察の人は私たちなら許可を取れば事件の調査のために入れるとかなんとか」

「やっぱそんなもんかー。事件のせいで上の方にはそもそも行けないらしいな」
 ▼ 20 レブー@でんきだま 17/05/22 17:10:47 ID:coXiddrk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 21 ォーグル@ラブタのみ 17/05/23 21:45:37 ID:IN0//4PY [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テストが忙しくて書けませんでした...すみません。また少しずつ更新していきます。
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「山の中は岩の倒壊が激しくてどこからも上に行けない...とか言ってたっか?」

「というか、俺が入院してる間に見てくれば良かったじゃん。何度も言っただろ?」

「私たちだけで行っても意味がないって、何度も言ってるでしょ?」

「ホントこういうところ強情だよなぁ。まぁ、そろそろ良い時間だし行くか」

「分かった。ジュン、会計お願い」

「おう。先外行ってて」

 ジュンに背を向け、ヒカリと俺は店の外に出る。また雪が降ってきた。見事なホワイトクリスマス。雪がイルミネーションの光をきらきらと反射している。よく雪が降るシンオウではあまり珍しいものではないそうだが、目覚めてからは初めての体験だ。どうしても心が弾むものがある。

「ねぇ、コウキ」

「どうした?」

「こんなこと聞くのは野暮かもしれないけど。本当に大丈夫?

さっき交渉してた時、ずっと震えてた。...本当に覚悟は決まってる?」

「..................いや、大丈夫だよ。怖いけどもう引けないし、逃げたくない」

「......ならよかった」
 ▼ 22 ロトック@くろぼんぐり 17/05/23 22:03:47 ID:IN0//4PY [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「お待たせ。じゃあ行こうぜ」

そうして3人で連れ立って歩き出す。時刻は6時20分。ジョーイさんから指定された時間より5分くらい早くコインパーキングにつくだろう。雪を踏み抜きながら、目的地へと向かう。なんとなく、会話する気にならなくて俺たちは終始無言だった。緊張しているのだろう。誰かと話す余裕がないのだ。

 そうしている間にコインパーキングに到着してしまった。ジョーイさんの車は2回の端の方に止めてある。階段を上り車の元へ向かう。中のジョーイさんが俺たちに気づいたみたいで、小さく手を振ってくれた。

「お帰りなさい。お腹いっぱい食べましたか?」

「ええ、ありがとうございます。これお釣りです」

「いいですよ、お小遣いとして取っておいてください」

「ありがたいですが、俺だけもらうのは不公平なので」

「そうですか。じゃあ行きましょうか。207番までは20分くらいですかね」

「お願いします」

俺達は車に乗りこむ。ちなみに運転席の方から、俺、ヒカリ、ジュンの順番だ。ブロロロ...とエンジン音が鳴り、ゆっくりと発進する。街灯やイルミネーションが線となり流れていく。車内でも10分ほどは先程と同じく無言だったのだが...

「.....プッ

 
 ▼ 23 チルゼル@はつでんしょパス 17/05/23 22:22:27 ID:IN0//4PY [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「...フフフフフ。アハハハハハハハハハ!」

「...ヒカリ笑うなって。...クッククク...」

「ジュンも笑ってるじゃん。...フッ、アハハハハハ!」

 車内に3人の楽しげな笑い声が響く。ミラー越しに移るジョーイさんの顔も笑顔になっている。そのまま1分ほど笑い続けた。

「いやー、なんか私たちらしくなかったねー。緊張して黙ってるとか」

「そうだなー。いっつもぺちゃくちゃ喋ってばっかなのに」

「でも、今ので余裕出来た。これで大丈夫、かな」

「大丈夫だよ。んで、作戦は覚えてるよな?」

「とりあえず、3人でギンガ団の前に行く。あいつらのポケモンを運ぶために

ドダイトスとフワライドのほかに、ゴウカザルとエンペルトも出しておくんだよな?」

「そう。で、ジュンのグライオンと、コウキのムクホークは空から見張っておく。

私のロズレイドと、ジュンのエテボースは後ろに隠れさせるんだよね」

「大丈夫みたいだな。じゃあ...行きますか」

 作戦の確認を終えるとともに、車は207番道路の手前、クロガネシティ到着した。剥き出しの岩肌が残る歴史の深い街だ。建設業が盛んな事でも有名である。いつもはこの時間でも、作業員が頭のライトをつけながら忙しなく働いているらしいのだが、クリスマスのためか今日はその姿は見えない。ジュンから聞いた話だ。景観を見渡すのもそこそこにして、俺たちは車から降りる。時刻は6時55分手前。心の準備はできた。あとは立ち向かうだけだ。

「「「ジョーイさん、行ってきます!!!」」」
 ▼ 24 BAJE96JocU 17/05/23 22:53:31 ID:IN0//4PY [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
酉を付け忘れてのでこのレスからつけておきます。」
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「ええ、行ってらっしゃい!気を付けてくださいね。

終わったらまたここに戻ってきてください」

 そして、207番道路へと一歩踏み出す。3人なら大丈夫。その気持ちを胸に抱きながら。
2分ほど歩き、テンガンザンの目の前までたどり着く。近くで見ると迫力がすごい。1000メートルは軽く超えているであろう。天に伸びる岩山は、テンガンザンという名を冠するに相応しい。黒い空と、降りつづける雪がその荘厳さをさらに引き立てる。

 ポケモン達は車から降りるとともに出してある。フワライドの力でポケモンがどこにいるのか感知することができる。フワライドが淡く目を光らせる。全員位置についたという合図である。3人でテンガンザンの前で待機していると、中から2人の男女が出てきた。その特徴的な髪の色はギンガ団である証だ。俺はギンガ団が立ち止ったところで、一泊おいて話し出す。

「どうも、こんばんは。ギンガ団の皆さん。この度は...」

「そういうのはいい。早く個¥取引と行こうじゃないか」

「...釣れないですね。分かりました。では先に目的を話していただきましょうか」

「そうしたいのはやまやまなんだが、中で話さなくてはいけない」

「中って言うと、テンガンザンの中ですか?

一応こちらには人質があるということを分かっていますか?」

「ああ、それは分かってる。けど中で話した方が都合がいいんだ。

モンスタボールはそちらに渡すから、それで手を打っていただきたい。

そのままでは動きにくいし、早くポケモン達を休ませてあげさせたい」

 ▼ 25 BAJE96JocU 17/05/23 23:24:55 ID:IN0//4PY [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「クッソ...勝手なこと言いやがって...なんでその気持ちをほかの奴に...」

「どうかしたのか?」

「...いや、なんでもないです。それで手を打ちましょう。

ではモンスターボールを預からせていただきますね」

「...本当にポケモン達は無事なのだろうな?」

「ええ、ポケモンの力で眠らせてあるだけですよ」

「ならいいのだが。受け取ってくれ。おい、お前のモンスターボールも」

「分かったわ。...少しの間よろしく頼むわ」

「確かに5つ預からせていただきました。では、中に行けばよいのですか?」

「ああ、1時間ほど山を登るので、ついて来てくれ」

 ギンガ団は山の中に消えていく。俺達も頷きあってから、並んでテンガンザンへと踏み出した。

 テンガンザンの中は街灯も何もないため、一面闇が広がっている。女性のギンガ団からそれぞれ懐中電灯を受け取り、山の中を進む。ゴウカザルとエンペルト、ドダイトス以外はモンスターボールにしまった。ギンガ団のモンスターボールは予想外の事態が起きた時のため、3人で分配してしまってある。

 そのまま闇の中を進むこと1時間。それなりの疲労感を覚え始めたころ。ギンガ団が立ち止った。何かと思えば、道を大きな岩が塞いでいる。これが警察の人が言っていたという道を塞いでいるという岩だろう。

「...でここからどうするんですか?ここで話してくれるのですか?」

「いや、違う。もう少し進むぞ。えっとこの辺だよな......」
 ▼ 26 BAJE96JocU 17/05/23 23:49:41 ID:IN0//4PY [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ギンガ団が何かを探すように壁を触っている。10秒ほどすると、探していたものを見つけたようだ。そのまま壁を強く押した。すると壁の一部が下へ沈み、胸ほどの高さの穴が現れた。中は空洞になっており、どこかへ続いていると思われる。

「これは...?」

「ギンガ団が非常用に作っておいた通路だ」


「そんなものがあったのか...ん?ギンガ団、ちょっといいか?」

「なんだ?金髪の少年」

「なんでこの通路の存在を警察は知らないんだ?ポケモンに協力してもらえば、

これくらい見つけられるはずだろ。なぜ、お前らはこれの存在を隠して通せていた?」

「それは...ここから先には警察を入れてはならないからだ。

ポケモンに見つけられないのも、こちら側が認識阻害を仕掛けたからだ」

「認識阻害?そんなのあり得るのか?」

「普通のポケモンならまず無理だろうな。ただ俺達には普通じゃないポケモンがいる」

「...!おい、それって...」

「ああ。正確には『いた』、というのが正しいがな。

......ディアルガ、パルキア、ギラティナ。伝説のポケモンの力を使っている。

ついてこい。詳しい話は奥で話そう。......ギンガ団とシンオウの現状を」
 ▼ 27 BAJE96JocU 17/05/23 23:52:07 ID:IN0//4PY [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はここでおしまいです。前回のレスから2週間近く間が空いてるので、どれほどの方が読んでくださっているのか分かりませんが、楽しんでいただければ幸いです。
 ▼ 28 ガイドス@ゴスのみ 17/05/24 23:40:51 ID:vnJ3JWaQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 通路を進むこと数分、どこか開けた場所に出たようだ。灯りが少ないためぼんやりとしか見えないが、テーブルのようなものが見える。

「おい、電気付けてくれ」

「分かったわ」

 女性のギンガ団が、壁際にある装スイッチのようなものを押す。すると、あたりに電気がついた。ずっと暗闇の中にいたため、目が慣れるまでに時間がかかる。眩しくて細めた目を開けるとそこには、

「これは...家、か?」

「ああ。ここは俺たちが今住んでいる拠点だ」

 テーブルや椅子はもちろん、古いやかんや包丁が置いてあるキッチンや固そうなベッド、果てにはトイレが奥にあると思われる扉まで。人が生活するのにおおよそ必要となる装備をそろえた感じだ。とてもきれいとは言えないが、それなりに居心地は良さそうな部屋だ。奥にはほかに2部屋あるみたいで、それぞれにネームプレートがついている。

「どうしてこんなところに家を?」

「ギンガ団も例の事件の影響でいろいろあったんだよ。詳しくはまた後で話すが...

今の俺達にはこんなところで暮らすことしかできないんだよ」

「そうか...。電気とかはどうしているんですか?電線も何もないですよね?」

「それは俺のポケモンに協力してもらってる。水もポケモンに出してもらってる。

トイレもだな。ベトベトンに処理してもらってるんだ」

「なるほど...。それなら生活できないことはない、のか?」

 ▼ 29 BAJE96JocU 17/05/24 23:58:48 ID:vnJ3JWaQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「住めば都ってやつだよ。1年以上ここで暮らしてれば流石に慣れる」

「1年も!?って、事件後から住んでるんだったらそうなるか...」

「まぁ、ボロっちいソファだが座ってくれよ。おい、お茶の準備よろしく」

 女性のギンガ団員はキッチンでやかんのお湯を沸かす。お盆にお茶の入ったティーカップを5つ乗せ、こちらにやってくる。男性のギンガ団員に言われたとおりに、ソファに座りありがたくいただく。銘柄までは分からないが、紅茶のようだ。美味い。

「さて、まずは自己紹介と行こうか。俺の名前はルシフ。

ギンガ団古代テクノロジー研究課で活動していた者だ」

「同じく古代テクノロジー研究課の、リッチ―よ。主にくさびの研究をしたいたわ」

 そういって、名刺を差し出される。黄色と青を基調としたかっこいい名刺だ。そんなことよりもギンガ団に名刺というものが存在したことの方が驚きだが。

「ご丁寧にどうも。シンオウのチャンピオン(?)のコウキと申します」

「俺は、チャンピオン代理をしていたジュンというものだ」

「あー、ナナカマド博士の手伝いをしているヒカリというものです」

「こちらこそご丁寧にどうも」

 水色の髪の男女と、中学生くらいの男女がペコペコしあう空間。なんだこれ。

「自己紹介はこの辺にしておいて本題に入ろうか。そうだな...どこから話せば」

「俺たちは、ギンガ団の目的は新しい世界の創造ってことくらいしか

知らないんだよな...結構深く首ツッコんできたのに」
 ▼ 30 ングース@りゅうのキバ 17/05/25 10:32:53 ID:WUadW1fE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 31 BAJE96JocU 17/05/25 18:16:37 ID:TxWiONVw [1/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そんなものだったのか。ってきりアジトに侵入されたときに、色々知られたのかと」

「あの時は余裕がなかったからな。俺より詳しく知ってそうなコウキも覚えてないし」

「ではもう一度詳しく話そうか。少し長くなるがついて来てくれ」

「分かりました。ルシフ...さん。お願いします」

「なんか慣れないな。まぁいい。では始めるぞ」

「俺たちギンガ団は、人間の宇宙進出のための宇宙エネルギー開発をしていた。

まぁ恰好はこんなだが、一応しっかりとした活動をしている団体だからな、

銀行から融資だってもらえていたし、国にしっかりと認めていられている。

ボス、アカギ様が宇宙エネルギーの研究中に、シンオウの3匹の伝説のポケモン、

ディアルガ、パルキア、ギラティナとのつながりを発見した。

そこからは3匹の伝説のポケモンの封印を解くことをもう一つの目的としていた。

研究もなかなかしっかりとしたものだ、海外の研究機関からも注目され、

たくさんの投資を得た。その資金を活用し、さらに研究の規模を拡大してきた、

ってのが1年半くらいまでの評価だ。......表向きとしてはな」

「そういえば、昔ニュースでも取り上げられていた気がするね」
 ▼ 32 BAJE96JocU 17/05/25 18:31:36 ID:TxWiONVw [2/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ええ。私達も一応そこそこ偉い身分だからね。当時取材を受けたことは覚えているわ」

「へぇ、警察からちょろっと聞いたくらいだけど、大層なもんだな」

「まあな。それほどのことをしてまで達成したい目的があったからな」

「それが、新しい世界の創造ってやつか?」

「そうだ。アカギ様は人間の私利私欲のために死に逝くポケモンの存在を許せず、

今の世界を排除し新しい世界を創造することを目的としていた。

幹部や俺たちは、その思想に看過されギンガ団に入った。

俺達もいろいろ抱えているんだ。アカギ様の言葉を聞いた時にはひどく感動したな。

その真の目的を悟られてはいけない。悟られてしまっては、計画が台無しになる。

真の目的の隠れ蓑として、宇宙エネルギーを開発していたのだ。

伝説のポケモンの力が必要なのはどちらも一緒なんだ。隠れ蓑にはピッタリだった。

けど、いつからか少しずつギンガ団の計画は過激化していった。

新しい世界の創造のためには何でもする。手段は選ばない。

そんな思想に俺達も侵されていっていた。そんなあると時、事件が起こった。

お前たちも知っているはずだ。たにまの発電所の事件を」
 ▼ 33 BAJE96JocU 17/05/25 18:43:52 ID:TxWiONVw [3/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「そりゃ当事者だからな。あの時はすごい怖かった。旅に出たばっかりだったのに」

「ギンガ団の幹部、マーズ様率いるギンガ団員たちが発電所を襲ったんだ。

研究のために莫大な電気が必要だったからだ。そこでお前たちに止められて...

ってこの辺の経緯は話さなくても知ってるか。ギンガ団は重要なミスを犯した。

計画の失敗の事後処理をしなかったことだ。あのころは結構忙しくて、

そこまで気が回らなかった。そのせいで警察に仲間が数名逮捕されてしまい、

いろんな研究機関からの投資も途絶え、ギンガ団は国から解散を命じられた。

俺達だって金がなきゃ活動できない。俺たちの夢はそこで終わりだと思っていた。

しかし、そうはならなかった。アカギ様のおかげだ。

アカギ様は昔は経済界の名士だったらしくてな、お金関係は何とかなった。

それでも、警察に目を付けられたことでかなり動きづらくなってしまった。

計画は踏みとどまれる段階をとうに過ぎていた。もう進むしかなかった。

発電所の事件からさらにギンガ団は過激化し、人殺しにさえ手を染めるようになった。

それからのことお前らも知っていることだろう。暴走した伝説のポケモンのせいで

アカギ様は、死んだ」
 ▼ 34 BAJE96JocU 17/05/25 19:00:20 ID:TxWiONVw [4/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「死ん......だ?どういうことですか?」

「やはり知らないか...コウキ、でいいのか?お前は記憶喪失らしいしな」

「はい。俺の記憶喪失が何か関係しているのですか?」

「アカギ様と幹部の方々はやりのはしらで死んだんだ。そこにいたのは他にお前だけ」

「なるほど...それなら辻褄が合いますね」

「ああ。万が一のためアカギ様や幹部の方々の付けていた心拍計の電波途切れたんだ。

あの時やりのはしらから伝説のポケモンの力を使い反転世界、

新しい世界の礎となる世界へと足を延ばす計画だった。

実際それは成功したとアカギ様自身から通信があったからな。間違いない。

しかし、心拍計からの電波が途切れた。反転世界に入っても電波が途切れない設計、

そう聞かされていた。まぁ不具合という可能性もある。いつか戻ってくるだろうと。

...それから1年半経った。アカギ様や幹部の方々が戻ってくることはなかった。

...こんなものか。とりあえず予備知識としてはこれくらいあらばいいだろう」

「予備知識?まだ続くのですか?」

「それはそうだろう。ギンガ団の目的は話したが、俺たちの目的は話してないからな」
 ▼ 35 BAJE96JocU 17/05/25 19:15:28 ID:TxWiONVw [5/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「やりのはしらでの一件後、俺達も含め団員は一人残らず逮捕され、今も牢屋にいる。

俺達は研究員という立場だったことと、中で大人しくしてたから刑も軽かった。

事情聴取も正直に答えたからな。出所もその分すぐだった。半年くらいだったか。

他の団員たちは今でも牢屋の中にいるるみたいだな。

過激化した時に犯した罪がまだ残っているらしい。事情聴取でも口を割らないとか。

俺達が知る限り、他に出所した団員はいない。

他の研究員は自害したと聞いている。それくらいアカギ様を盲信していた。

俺達は牢屋にいるとき、一人の刑事に心拍計の話をした。

情報開示する代わりにアカギ様達の生死を教えてほしいという条件でな。

そこで、アカギ様が死んだということを聞いた。

反転世界にいるのは1週間ほどという話だったから、薄々気づいてはいたがな。

出所してからは、アカギ様達がどうなったかを調べようとした。

そこでとある石の存在にたどり着いた。

こんごうだま、しらたま、はっきんだま。伝説のポケモンを従えるための石だ。

俺達下っ端にはそれらの石の存在を知らされていなかったんだ」
 ▼ 36 BAJE96JocU 17/05/25 19:31:08 ID:TxWiONVw [6/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「アカギ様はそれらの石を保持していたらしい。アジトに隠されていた資料にあった。

そのが何らか影響で効果を出さなかったか、何者かの影響で奪われたのではないか。

やりのはしらで何かが起こった。そう仮定して、その原因を調べ始めたんだ」

「で、たどり着いたのが俺達ってことですか?」

「そうだ。通信から一時期は伝説のポケモンを操っていたと覗える。

ならば、やりのはしらで何者かに奪われたと考えるのが自然だろう?

通信のデータの一部が破損していて聞き取れなかったんだ。その間に何かがあった。

その現場にいたのは、お前だけだ。ならばお前から洗いざらい吐かせるしかない。

また牢屋に逆戻りするわけにはいかないので、退院直後を襲撃したってところだ。

どうだ、聞きたいことは聞けたか?」

「ええ、ちょっとまだ脳がまだ追いついてないですけど、一応は」

「そうか、ならいい」

「...で、あなたたちはこれからどうするんですか?

これ以上は見過ごせませんけど?」

「そうだな...ちょっと頼まれて欲しいことがある」
 ▼ 37 BAJE96JocU 17/05/25 19:39:00 ID:TxWiONVw [7/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「俺たちがそんなの聞くと思ってるのか?」

「ジュン、やめろ。......内容にもよりますが聞きますよ?」

「そうか、ならばついて来てくれないか。この奥へ」

「まだ奥があるんですか?」

「ああ、やりのはしらへと続く道が」

「「「!?」」」

「そう驚くことでもないでしょう。伝説のポケモンの力を作ってわざわざこんな部屋、

元仮眠室、現私たちのの家、を作ったのよ。その奥に行く通路くらいあって当然よね?」

「それはそうだけど...やりのはしらに行って何もなかったから俺たちを襲ったのか?」

「いや、やりのはしらに行けていればもう少し慎重に行動するわよ。

今は、通路はあるもののやりのはしらには行けない状態なのよ」

「「「??」」」

「実際に見てもらった方がよさそうね、ルシフ、通路開けてくれるかしら?」

「ああ、分かった」

 ルシフが壁を叩くと、先程同じように、壁に小さな通路が出現した。
 ▼ 38 BAJE96JocU 17/05/25 19:52:32 ID:TxWiONVw [8/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ではいこうか」

「「「はぁ......」」」

 下した荷物を背負い直し、帽子をかぶり、再び歩く準備を終えた俺たちは、ルシフとリッチ―についていき、通路を行く。先程の通路と基本は同じだが、一つだけ大きく違う点がある。それは、以上に明るいことだ。山の中だというのに、まるで日中のような明るさだ。光源は見当たらない。

「これも伝説のポケモンの力で明るいのですか?」

「ああ。パルキアの力だ。空間を自在に操ることができる。光さえもな」

「...と着いたわね」

「ここが?」

 今までと同じ岩でできた山の中のちょっとした通路。何ら変わり映えはない。

「そうだな...ヒカリ、と言ったか。お前落ちてる石を前に思い切り投げてみろ」

「?分かりました。それ!」

 アンダースローのそこまで勢いがあるとは言えない投球。もちろん名が\ゲラれた医師も緩やかな放物線を描いて、ゆっくり地面に落ちるはず。だったのだが。

「石が砕け散った?」

「そうだ。これも伝説のポケモンのせいだと考えられる。

触れると生物非生物問わず、内側から砕け散る。これのせいで先に行けないんだ」

 ▼ 39 BAJE96JocU 17/05/25 20:02:48 ID:TxWiONVw [9/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「これのせいで先に行けないからってのも俺たちを襲った一因ですか?」

「ああ。そうだ。それで、俺たちの頼みというのは、

アカギ様たちを救ってほしい。ただ、それだけだ」

「はぁ?聞けるわけないですよ、そんなこと」

「それは重々承知している!無理なお願いだということもわかっている!

アカギ様がどれだけの罪を犯したのかも、冷静になって身にしみて分かった!

でも!それでも!.................................

俺達を救ってくれた大切な人たちだから!だから、お願いします!」

「そっちが調査できなかったからってなんで俺たちが?

しかもアカギたちは生きていないのでしょう?どうやって救うのですか?」

「せめて遺体だけでも見つけて、埋葬してあげたい。だから...」

「私からもお願いするわ。いえ、お願いします!」

 二人の大人が子供に向けて頭を垂れながら、助けを乞う。なんと哀れな光景だろう。もう少し俺が冷静だったならば、すぐに受け入れただろう。アカギの動向を調べるという目的は一致している。断る理由がない。
 しかし、この時の俺は。ちっとも、冷静なんかじゃなかった。

「ふざけんなよ......」
 ▼ 40 BAJE96JocU 17/05/25 20:12:42 ID:TxWiONVw [10/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ふざけんじゃねえよ!なんでお前らの頼みなんか!」

「コウキ...」

「なんでお前らだけそんなことが許せられるんだよ!

お前らは何人もの人を困らせ苦しめ殺してきた!

くさびの研究をしていたって言ったよな?それっていでんしのくさびだよな!?

あのユクシ、アグノム、エムリットに拷問みたいな実験をして作ったアレだろ!?

ふざけんなよ!虫が良すぎるんだよ!お前たちのせいでどれだけ苦しんだんだよ!?

俺の帰る場所を奪ったお前たちの頼みをなんで聞かなきゃいけないんだよ!!!!」

母さんを殺したお前たちに頼みをなんで聞かなきゃいけないんだよ!!!!

母さんを!母さんを、返してくれよ!」

「本当にすまない...頼む...!」

「ずるいんだよ!なんで俺たちはお前らの勝手に苦しめられたのに、

なんでお前らだけそんなことができるんだよ!ずるすぎるんだよ!

なんで...そんな悲しそうな表情ができるんだよ...

なんでその気持ちを他に向けられなかったんだよ...ずるすぎるよ...」
 ▼ 41 BAJE96JocU 17/05/25 20:34:17 ID:TxWiONVw [11/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一人の少年が泣きじゃくりながら叫ぶその姿は、頭を垂れる二人の大人よりも、何倍も愚かで、悲壮で、哀れだった。

「本当にすまない...俺たちにできることならなんでもする...だから、頼む」

「グスッ、グスッ...」

「本当にお願いします。私たちにできることはこれしかないんです...だから...」

「もう、いいですよ。分かりました、引き受けましょう」

「本当か!?ありがとう。この借りは一生をかけてでも返すと誓おう」

「いえ、俺たちに見返りなんていらないですよ。自分で決めたことですから。ただし、

ギンガ団が今まで迷惑をかけてきた人々に謝罪してください。ただ、それだけです」

「分かった。必ず、果たそう。いくら酷いことを言われようと、必ず果たす」

「ならよかったです。ちょっと3人で話したいのでどっか行ってもらえますか?」

「ええ、分かったわ。帰るときは一声かけてちょうだい。送るから」

 そういって、二人は通路を引き返していった。

「コウキ...大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。ありがとうヒカリ。もう、大丈夫だから...」

 なぜあそこまで激昂したのか自分でもわからない。記憶が残ってるわけでもないのに。自分でもわからないまま、ただ子供みたいに感情を発散しただけだ。それでもなんかスッキリした。たまには泣くのもいいものだ。そして、決意した。絶対に諦めないと。ここで諦めてまうのは、「コウキ」ではない。
 もうそこには、子供みたいに泣きじゃくる哀れな少年の姿は見る影もない。目を赤くしながらも、揺るがぬ決意を固めた一人の強き少年の姿がそこにあった。
 ▼ 42 BAJE96JocU 17/05/25 20:40:30 ID:TxWiONVw [12/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
はいー、SS、ぼうけんノート第2章「涙のあとには」終了です。途中からノリノリ絵書いちゃったせいで、文章がおかしかったり、誤字があるかとは思いますがご容赦ください。

多分あと1、2章くらいで終わると思うので、よろしければお付き合いください。新しくスレ立てしますのでそちらの方へどうぞ。

次の章はついにやりのはしらに本格的に乗り込む3人を描ければなと思います。

それではまた。

 ▼ 43 BAJE96JocU 17/05/25 20:51:16 ID:TxWiONVw [13/13] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
http://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=602072
↑3スレ目のURLです。楽しんでくださるとうれしいです。
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https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=587014
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