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【ss】カルム「ウイスキーボンボン?」セレナ「うん」

 ▼ 1 ープルフレイム◆mL2ZRk1cK. 17/06/11 23:21:38 ID:ds/41bmc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
人は、誰もが己が内に獣を飼っているという。
例えば、他者を攻撃せんとする獣。物欲に駆られて物を買い漁る獣。食欲に支配され、ひたすら己を肥やしていく獣。
ーーそして、ひたすら本能の赴くままに、性欲に溺れて相手に迫る獣。

「カルム〜〜、大好き! 私、あなたのことが大好き!」

セレナがハイハイ歩きで俺に迫ってくる。顔は火花みたいに火照り、口角はつり上がり、目は虚ろ。
右手には、食べかけのウイスキーボンボンが握られている。

「えへへ。カルム、つかまーえた」

俺は溜め息を吐いた。

どうして、こんなことになってしまったのだろう。

 ▼ 2 ープルフレイム◆mL2ZRk1cK. 17/06/11 23:22:32 ID:ds/41bmc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜○〜


ほんの、一時間前のことである。

「ウイスキーボンボン?」

「ええ、先日トレーナープロモを撮りに行ったら、ファンだっていう人に出くわして。「応援してます」って熱い口調で言われて貰っちゃった」

俺の家に上がり込んできたセレナが、高そうな包装紙に包まれた箱を片手に、そんなことを言ってきた。
俺は目を見開いた。
セレナ、トレーナープロモ撮るんだ……。

「ちょっと、何よその信じられないモノを見たって顔は。私、これでも乙女なのよ。トレーナープロモくらい撮るわよ」

乙女とはどういうものだったか。ひたすらバトルハウスに籠ってBPを稼いだり、ポケモンのレベリングをしたり、ストイックに図鑑埋めをこなすバトル厨のことであったか。
 ▼ 3 ープルフレイム◆mL2ZRk1cK. 17/06/11 23:23:10 ID:ds/41bmc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
真剣に考え込む俺に、セレナは口唇を尖らせた。

「お隣さんだけには言われたくないわ、このバトル廃人め。何度も戦っているけれど、一度も私が勝てていないってどういうことよ」

それはやっぱり、厳選の有無じゃないだろうか。
セレナも早く、プリズムタワーの周りを自転車で嫌になるくらい周回する孵化作業をライフサイクルにした方がいいと思う。
そして頭のおかしいサイクリングマンとして、ミアレシティの都市伝説の仲間入りをするがいい。

「絶対に嫌よ。というか、頭のおかしいサイクリングマンってあなたのことだったのね……」

セレナはこめかみをひくつかせた。
何故だろう。ひょっとしてサイクリングマンと呼ばれたことが気にくわなかったのだろうか。
だとしたら申し訳ない。では改めて。

セレナも早く、プリズムタワーの周りを自転車で嫌になるくらい周回する孵化作業をライフサイクルにした方がいいと思う。
そして頭のおかしいサイクリングウーマンとして、ミアレシティの都市伝説の仲間入りをするがいい!

セレナは溜め息を吐いた。

「そういうことじゃないんだけど……。もうなんでもいいわ」

どういうことだったんだろう。俺は首を傾げた。

「もういいって言ってるじゃない。それよりも」

セレナはそこで言葉を切ると、ウイスキーボンボンが入った箱をテーブルに置き、言った。

「せっかく貰ったんだから、一人で食べるのも味気ないでしょう。……その。ふたりで、一緒に食べましょう?」

まあ、そうだね。
何故だか頬を赤く染めるセレナに、俺は笑って同意した。
 ▼ 4 ープルフレイム◆mL2ZRk1cK. 17/06/11 23:23:49 ID:ds/41bmc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告


二人とも着席したのを確認してから、セレナは包装紙を音をたてて外す。
がさごそ、がさごそ、びりびり、びりびり、ぐしゃっ。

……もう少しましな取り外し方は無かったのだろうか。
俺はやり遂げたみたいな顔をしているセレナを半目で見た。

「し、仕方無いでしょう? その、私不器用なんだから」

不器用にしたって限度があると思うが。
しかし、こんながさつな女の子が撮影したトレーナープロモか。
……興味が湧いてきた。あとで調べておこう。

「と、とにかく!」 セレナは取り繕うように言った。

「箱を開けたんだから、さっさと食べるわよ! 頂きます!」

何を急いでいるのか、セレナは箱を乱雑に開けた。
取り合えずといった感じでその辺のボンボンを無造作に選び、もしウイスキーボンボンに意志があるなら間違いなく不快に感じるだろう手付きで包んでいる銀紙を開ける。

恥ずかしいのは分かるが、そこまで動転しているのは見ていてちょっと、いやかなり面白い。
知らず、俺の口元がつり上がっていく。
そんな俺には気付かず、セレナはウイスキーボンボンを剥き出しにしてから、パクりとかじりついた。

そして、ぶっ倒れた。
 ▼ 5 ンフィア@しずくプレート 17/06/11 23:28:52 ID:oqvngNcs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
美味しいからしょうがないね、ウイスキーボンボン
 ▼ 6 るい◆pgXyVJaE5E 17/06/11 23:43:30 ID:vBktQ1w. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カルムがチャンピオンなのかな?
 ▼ 7 ープルフレイム◆mL2ZRk1cK. 17/06/28 16:59:35 ID:r0tZ8ZpE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

突然のことに俺は目を丸くして、床にペーゼしたセレナに駆け寄った。
顔を覗きこむと、目には混沌が渦巻いている。口元には茫然自失が貼りついていて、顔は林檎のように赤い。

ーーなるほど、これが所謂ひとつのアッポーセレナってやつか。どこかにペンセレナはいないのか。
現実から目を背けるように、そんな下らないことを考えていると。

セレナが瞬きした。

俺は知らず、張りつめていた息を吐いた。と、同時に。
セレナはひどく甘ったるい声で、こんなことを言った。

「あ〜〜、カルムくんだあ♪」

俺は硬直した。何だ、今のは。今、セレナは何を言ったんだ。

「うふふ。カルムくん、どうしたの? なんだか、すごく変な顔をしているよ?」

呆然とする俺に、セレナはやはり角砂糖に蜂蜜をぶちまけたような甘い声で、そんなことを……。

「えいっ」

!?

「うわぁ、カルムくんのおでこ、冷た〜い。氷みたい!」

なんの前触れもなくおでこをこつんとぶつけてきたセレナに、俺は慌てて飛び退いた。
比喩でもなんでもなく目と鼻の先にあったセレナの顔が急速に遠ざかる。
それと同様に、俺の鼓動も急速に早まっていく。

……なんというか。これは本当にセレナなのだろうか。
俺の知っているセレナは、こんな距離感なんか知ったことかとばかりに節操なく距離を縮めてくるような人物だっただろうか。
違ったと思う。サナではあるまいし、セレナはもっと身持ちが固い女の子だったはずなのだが。
 ▼ 8 ダツボミ@じてんしゃ 17/07/01 10:58:11 ID:K0grGHR2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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