【SS】ポケットホモンスターオメガルビー・アルファサファイア（略してホモビ）

　ミラクル交換というものがある。
　いつでもどこでも、職場でもスクールでもポケモンセンターでもハッテン場でも、Wi-fiとPSSさえあれば開始できるお手軽ポケモン交換のことだ。
　Wi-fiで見知らぬ誰かとボタン一つで通信交換が出来る。
　まさにお手軽としか言いようのない、文明の発展を感じさせる、失礼だとわかっていながらRTしてクソリプを寄越すくらいに便利な交換方法だと言えよう。

　だがしかし。万物は流転するとフェラクレイトスも言っていたように、あるいは野獣にレ○プされたことで同情を買っていたある空手部員が別のところでケツからスープカレーを捻り出して以降スカトロ野郎と口汚く罵られるようになったように。
　たった一つのきっかけによって便利なものは一気に不便なものに変貌する。
　簡単に交換できると喜ばれていたミラクル交換は、程なくしてマッスグマとケムッソしか流れてこないということが発見された。
　孵化余りを流しても、その辺のエピデルで捕まえたデオキシスを流しても、きんのたまを持ったカイリキーを流しても、果てはケムッソを流しても、流れ着いてくるのはケムッソかジグザグマのみ。
　来る日も来る日も、ﾌﾟﾙﾙｪとｸﾞｵｰという泣き声を聞き続けなければいけないのだ。

　端的に言って、クッキー☆を視聴するかのごとき地獄である。余りのつまらなさと下らなさに、キーボードをタピオカパンしそうになる。ゲームのカードを落としそうになる。
　そんなわけで、ポケモン廃人の方々はすぐにミラクル交換というものに見切りをつけた。

　だから、ユウキがミラクル交換をしたことに端を発するこの騒動は、ユウキがまだ廃人化していなかったことの証左である、とも言えた。

めちゃくちゃで草

　「#1　目覚めるパワー（ホモ）」


ユウキは激怒した。

｢怒らせちゃったねぇ！　俺のことね！　俺の事本気で怒らせちゃったねぇ！｣

怒り心頭に達しているユウキは、傍から見なくとも、端的に言ってその辺の少年を優しくネクタイで首を絞めて溺れる！　溺れる！（溺れない）させそうなくらいにはヤバみが深い様相をしている。
しかし、邪知暴虐の王の所業を聞いたわけでもネクタイを話した瞬間に大声で助けを呼ばれたわけでもないというのに、何が彼の怒りをそこまで駆り立てているのか。

「このBilly Herringtonとかいう糞野郎ゥゥゥゥゥゥ！　なんでよりにもよってゴーリキーなんか送ってきたんだよおおおお!!」

ユウキは地団駄を踏んだ。


ミラクル交換には、『通信進化テロ』というものが存在する。
先述した内容とは思いっきり反するのだが、ときどきたまに通信進化するポケモンが流されてくることがある。
その場合、交換が終了した瞬間に進化演出が入ることになる。そして進化演出中はまだ通信中という扱いになるため、何の操作もすることが出来ない。強いて言うなら電源を切ることくらい。
『通信進化テロ』と言われる由縁である。
そして、ユウキは今まさにこれを喰らっていたのだった。これは憤怒するのも自明の理である。当たり障りのない文章がどうあっても最終的に黒塗りの高級車にぶつかってしまうように、道理の通ったことなのだ。

閑話休題。

『おや？　ゴーリキーのようすが……？』

どうやら演出が始まったようだ。ユウキは舌打ちをした。

「演出邪魔スギィ！」

不満を押し隠そうともしないユウキ。もしここにひでがいたのなら、ひでは114514回鞭で叩かれていたことだろう。

だが、次の瞬間に響いた声で、ユウキの怒りはTNOKの命のようにあっけなく霧散した。

「ンアーッ！」

ユウキは硬直した。
なんだ今のは。野獣の咆哮と思しき声だったが、カイリキーはあんな鳴き声だっただろうか、とユウキが自問していると、進化に伴うやおら光が晴れてきた。
ユウキはそこにいるであろうカイリキーを見ようと、目をしかめた。

ユウキは目を見開いた。
口をぽかんと開け、目の前に広がった光景を呆然と咀嚼する。
そこにいたのは、腕4本のガチムチビルドアップクロスチョップ野郎ではない。

「24歳、学生です。オッスお願いしまーす」

なぜか言葉を喋る、くっそ汚い男であった。

ターミナルさん！？

元はホモビ

今は誇り

ポケモン図鑑が起動し、機械的な音声が響き渡る。

『タドコロ　やじゅうポケモン　一転攻勢を是とする迫真空手を使いこなすポケモン。追い詰められたときほど真価を発揮する』

ユウキは再び目を丸くする。続いて、タドコロというらしい眼前のポケモンの体のあちこちを眺め始めた。

筋肉質の体。焼けた肌色。臭いとしか言いようのない顔かたち。

やはりどこから見ても人間だ。本当にポケモンなのだろうかとユウキが考えていると。

「おい、俺のことチラチラ見てるだろ」

タドコロが話しかけてきた。
話しかけてきた。

やっぱり人間じゃないか（困惑）と思いながら、ユウキは口を開く。

「あなた、本当にポケモンなんですか？」

「そうだよ（正解）」

ポケモンであるらしい。

本人がそう言うんだから間違いないのだろう。
どっからどう見ても人間だが、ポケモンというからにはポケモンなのだ。

ユウキが胸のうちで火山が噴火したかのように湧き上がる疑問符を、納得という蓋で抑え込んでいると。

「――ヌッ！」

タドコロが、突然後ろを振り返った。

一体どうしたとユウキが後ろを首を傾げるより先に、タドコロの視線の先の草むらから何かが飛び出してきた。
赤と白の体毛に、人間なんて容易く裂き殺せそうな鋭い爪。その爪よりもさらに鋭い、恐ろしく尖った目つき。
ネコイタチポケモン、ザングースである。

これは草

『あ！　野生のザングースがあらわれた！』　

「下がって、タドコロ！」

ユウキは叫んだ。タドコロは自分のことをポケモンだと言ったし、ユウキも「あ、そっかあ」と納得はしたが、それでもタドコロが自分をポケモンと思い込んでいる精神異常者であるという線もある。
まあポケモン図鑑が反応した辺り現実味が薄い線ではあるのだが、それでも用心するに越したことはない。
それに、ザングースは気性の荒いポケモンだ。いくらタドコロがポケモンであるとはいえ、見た目が完全に人間のそれである以上戦わせるのは忍びない。

というような思いをこめての呼びかけだったのだが、しかしタドコロは聞き入れる様子はない。

「おう、考えてやるよ（下がってやるとは言っていない）」

タドコロはずんずんと歩を進めると。

「いきますよ〜いくいく」

拳を握り締め、ザングースを睨みつけた――！

支援

汚すぎる

先に動いたのは、果たして、ザングースの方であった。

『ザングース の きりさく ！』

ザングースのただでさえ鋭い爪が一層鋭くなる。ちょうど、大きなチ○ポが勃起するとより一層大きくなるように。
ザングースの鉤爪は、今や車を容易に寸断できそうなサイズとなっていた。

そんなザングースに、タドコロは。

「『ゲイブレード』」

一歩も引かずに手刀を作った。

それを見たザングースが、「こいつ殺されたいのか」とでも言いたげな、バカを見る目を向ける。

「いいよ！ こいよ！」

しかしタドコロがそんなことを言うものだから、ザングースは遠慮なく鉤爪を降り下ろした。

「駄目だタドコロ、避けろ！」

遠くの方でユウキが叫ぶ中、致死の威力を秘めた一撃がタドコロに向かいーー！

「ーーヌッ！」

金属音が鳴り響く。次いで、鉄が真っ二つに割れたような破砕音。

ユウキは仰天した。そして、それ以上にザングースは目を見開いた。
タドコロは手刀でザングースのきりさくを受け止め、それどころか反対にザングースの爪を叩き折ったのだ。
到底人間とは思えないその所業に、ユウキは今更ながらタドコロがポケモンなのだと実感した。

『タドコロには 効果がないみたいだ……』

お返しとばかりに、タドコロは一層剣呑な目付きでザングースを睨み付けた。
それは、サバンナからジャングルまで、この世に生息する動物の一切合切を統べる、百獣の王のーー野獣の眼光をぶつけているようでもあった。

遠目でその様子を確認したユウキが、まさか「にらみつける」でもするのかと思った矢先。

タドコロの目元に、冷たい光が溜まり始めた。触れた物全てを凍りつかせてしまいそうなその光の塊は、オナ禁中の男の股間のようにむくむくと膨らんでいく。

「光溜まってんなあ、オイ」

タドコロは呟くと、目元に溜めた光を解き放った！

「アイスティーしかなかったんだけどいいかな？」

『タドコロ の れいとうビーム！』

待って、これだけ言わせて





























お前生きてたのか

アイスティーは眠り粉だルルォ！？

あ ほ く さ

なんやこれ草

面白いゾ〜これ
支援ゾ

超至近距離だったので避けようなんてあるはずもなく、タドコロが拡散した冷凍ビーム、略してレイビはザングースに余すところなく直撃した。

「――――!!」

ザングースが悲鳴を上げる間もなく全身は凍りつき、ネコイタチポケモンは一瞬にしてただの氷像と化した。

「すごい……」

ユウキはタドコロを畏敬の目で見つめる。
何せ自分のHPバーを一ミリも減らすことなく戦闘不能にしてみせたのである。しかも、物理攻撃――タチではなく、レイビという特殊技で倒してしまった。

そう、タチを使わずにネコだけでネコイタチポケモンを圧倒したのである。これは恐るべきことだった。

「すごい……」

もう一度、ユウキは感嘆の息を吐き出した。
ホウエン地方の溌剌な太陽の光がユウキとタドコロを照らしつける。
暑い一日になりそうだった。

草

暫く企画の準備するから更新速度が一週間に一レスとかになります
展開はそこそこ決まってるので失踪することはあんまりないかと思いますがよろしくお願いします

……まあ数年前に書いてたポケテレssとかいうもはや誰も覚えてない代物も実は展開決まってて書くの放置してたら失踪扱いされてたんですけどそれはそれです。

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ホモは文豪

気長に続き待ってるゾ〜

いいゾ〜これ

あげ