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SS

【暑い日SS】ずっと一緒に……。

 ▼ 1 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/11 23:33:31 ID:hH7VeJkk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナレーション「ジョウトリーグ出場を目指し、旅を続けるサトシたち。おやおやぁ?どうやら今日は夏祭りに参加しているらしいぞ。」


ピカチュウ「ぴかぴーか!ちゃぁー!」


サトシ「はははは、お好み焼き美味いか?ピカチュウ。」


トゲピー「チョゲプリィ!」フリフリ


カスミ「はーいはい。トゲピーはこっちね。」スッ

 パクッ

トゲピー「チョゲプリィィィ!」


サトシ「お、その綿飴美味そう。俺にもくれよ。」


カスミ「だーめっ!これはトゲピーのなんだから!」


サトシ「ちぇっ、相変わらずケチだなぁ。……あれ?そういえばタケシは?」
 ▼ 37 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:03:16 ID:lMibZMis [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 それからおよそ5分後。花火を取ってきたイサオは、サトシたちのポケモンに出迎えられた。イサオは彼らと触れ合いながら(一度ワニノコがイサオに甘噛みしそうになり、サトシたちにひどく叱られた。)、花火をサトシらに順に配っていった。

 パチパチパチ……

イサオ「……そう言えばさ、みんなの将来の夢は何なの?」

 4つの花火がパチパチと爆ぜる中、イサオが突然切り出した。

サトシ「俺は世界一のポケモンマスターだ。」


タケシ「俺は世界一のポケモンブリーダーさ。」


カスミ「あたしは世界一の水ポケモン使いよ。」


イサオ「……すごいね。みんな世界一を目指しているんだ。」


サトシ「まぁな。夢はやっぱでっかく持たなきゃ。な?ピカチュウ。」ナデナデ


ピカチュウ「ピカピー……」


ベイリーフ「ベイ!ベイベイ!」ズイッ!

 サトシがピカチュウの頭を軽く撫でてやると、ベイリーフが、“ずるい!私も!”とでも言うかのようにピカチュウとサトシの間に割り込んできた。

サトシ「おいおい、ベイリーフ……ったく仕方のねえ奴だな。」ナデナデ

 困りつつ、ベイリーフの頭も同じように撫でてやると、ベイリーフは満足げに鳴き、すっかりご満悦といった表情になった。

カスミ「あはは、ベイリーフったら、また焼き餅妬いちゃって。」


タケシ「イサオくんの将来の夢は何なんだい?やっぱり花火職人かな?」


イサオ「僕は……」

 パチパチ……

イサオ「まだ……決めてない。パパの後を継いで花火職人になるのもいいんだけど……パパはこの仕事を無理に継がせる気はないみたいだし……。」
 ▼ 38 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:06:20 ID:lMibZMis [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
タケシ「そうなのか。花火職人が嫌なら、何でも好きなことをやっていいって言ってくれたのかい?」


イサオ「うん。パパがこの前言ってたんだけど……」


〜回想〜

ユウスケ『良いかイサオ!!お前の人生は一度きりだ!!いや!!ひょっとしたら生まれ変わるだなんてことがあるかもしれんが!!それはさて置いて!!

イサオよ!!父はお前に、無理矢理この仕事を継がせようとは思わん!!何故なら!!先程述べたようにお前の人生は一度きりだ!!

もしもお前が!!花火職人の仕事が嫌いなのに受け継いだら!!お前は嫌いな仕事をして一生を終えることになる!!それでいいのか!?いいのかイサオオォォッ!!』


イサオ『べ、別に花火職人の仕事は嫌いじゃないと思うけど……でも……そうだね、もしもパパが許してくれるなら、別の道を探すのもいいかも……』


ユウスケ『許すぞ!!許す故!!もしも花火職人以外の夢を見つけたなら!!真っ先に私の所へ報告しにこい!!出来る限り力になろう!!勿論その後で!!やはり花火職人の仕事を継ぎたくなったと言うのであれば!!それはそれで一行に構わぬ!!

……但し!!』


イサオ『但し?』


ユウスケ『余りにも現実離れしたものとか!!ロクでもないものの場合は却下するぞ!!』


イサオ『わかってるよ。……パパ。』


ユウスケ『うん!?』


イサオ『ありがとう。』


ユウスケ『うむ!!お前はまだ若い!!じっくり考えて決めるが良い!!!』
 ▼ 39 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:08:27 ID:lMibZMis [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カスミ「やっぱりユウスケさんって、イサオくんのことを第一に考えてくれる、とてもいいお父さんね。」


タケシ「ああ。」


タケシ(特にこういう伝統的な仕事は、継がせたいって人がほとんどだろう。そこを敢えて好きな道を歩ませてくれるっていうんだからな。)


イサオ「でもなぁ……花火結構好きだしなぁ……。やっぱり継いだ方がいいのかなぁ……。う〜ん……悩むなぁ……。」


サトシ「焦ることは無いよ。イサオくんはまだ子供なんだから。ゆっくり決めればいいさ。」


カスミ「そう言うアンタも子供でしょーが。」


サトシ「ちぇ。わかってるよ。……なあ、イサオくん。もし本当に将来について悩んでいるなら、キミも10歳になったら旅に出たらどう?」


イサオ「えっ!?僕が旅に?」


サトシ「ああ。旅はいいぜ。色んな奴に会えて、色んな経験も出来る。今の俺みたいにな。」


イサオ「旅かぁ……そう言えばパパも昔旅をしたことがあるんだった。……いいな、僕も10歳になったら旅に出ようかな……パパは多分許してくれると思うし。」
 ▼ 40 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:10:20 ID:lMibZMis [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ああ!あのお父さんならきっと許してくれると思うぜ!」


イサオ「じゃあ、今度パパに相談してみようかな。……旅かぁ。旅に出たら、博士に好きなポケモンを貰えるんだよね!」


サトシ「ああ!ジョウトならフタバタウンまで行けば、博士から、ヒノアラシ、ワニノコ、チコリータの三匹の内、好きなポケモンを1匹貰えるぜ。」

 サトシがそう言うと、ベイリーフとワニノコが、まるで自己紹介するかのようにイサオの前に進み出てきた。

ベイリーフ「ベイ!」


ワニノコ「ワニワニワーニ!」ピョコピョコ!


イサオ「わわわっ!噛みつかないで!!」ボテッ!


カスミ「あははっ!大丈夫よ。ワニノコは踊ってるだけだから。」


イサオ「なぁんだ……またさっきみたいに噛みついてくるのかと思った……。」
 ▼ 41 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:12:12 ID:lMibZMis [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「なあワニノコ、お前もう少し大人しくしてないと、イサオくんに嫌われるぞ。」


ワニノコ「ワニャ!?」ガーン!

 ショックを受けるワニノコを尻目に、ベイリーフは、“私は大人しいわよ。”とでも言いたげな顔をしてイサオに歩み寄ると、体を自由に触らせることを許した。

イサオ「わぁ……ベイリーフって大人しいポケモンなんだねぇ。僕、チコリータを選ぼうかな。」


ベイリーフ「ベイ!ベイベイ!」

 ベイリーフは、“そうよ!ぜひそうしなさい!”とでも言うかのように鳴くと、一瞬だけワニノコをチラッと見てニヤリと笑った。


ワニノコ「ワニャ!?ワニワーニ!!」ムカッ!


サトシ「おいワニノコ、いい加減にしないとお前マジで嫌われるって。」


ワニノコ「」ガーン!


ベイリーフ「ベイ。」ニヤリ


サトシ「因みに……ヒノアラシはこんな感じのポケモンさ。」

 サトシはワニノコがこれ以上暴れないよう、左手で抱っこしながら、ポケモン図鑑を取り出し、ヒノアラシのデータを見せた。
 ▼ 42 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:16:47 ID:lMibZMis [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イサオ「わぁ!ヒノアラシも可愛い!それに……ワニノコも大人しくしてたら可愛いね!」


ベイリーフ「ベイ!?」


ワニノコ「ワニャ。」ニヤリ


サトシ「ま、今焦って決めることはないさ。イサオくんはまだ7才だろ?まだまだ考える時間はたっぷりある。それこそ他の地方に行けばまた違うポケモンが貰えるしな。カントーとか。」


イサオ「確かにそうだね。考えることなんていつでも出来るもん。それより今はサトシさんたちのポケモンと沢山遊ぶ方が大事だよね!」


サトシ「ああ。みんな!今日はイサオくんが寝るまでいっぱい遊ぶぞ!」








イサオ「それじゃ、みんな、おやすみなさい。」


サトシ「おやすみ!」


ピカチュウ「ぴかぴーか。」


タケシ「おやすみ、イサオくん。」

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、時刻は夜の10時。まだ幼いイサオをあまり遅くまで起こしているわけにもいかなかったので、サトシたちは20分ほど前にお開きにし、家の中に戻ると、就寝の支度を始めたのであった。

 イサオはサトシたちにおやすみの挨拶を済ませると、襖を閉め、今度はカスミの泊まっている部屋へと向かった。
 ▼ 43 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:18:26 ID:lMibZMis [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イサオ「……カスミお姉ちゃん。ちょっといい?」


トゲピー「チョゲプリィ!」


カスミ「はーい!ちょっと待って。今開けるから。」タッタッタ

 サーッと音がして襖が開くと、寝間着姿のカスミがトゲピーを抱きながら現れた。

カスミ「どうしたの?イサオくん。何かあった?」


イサオ「ううん。おやすみって言いに来ただけ。おやすみ、カスミお姉ちゃん。」


カスミ「おやすみ、イサオくん。また明日ね。」


トゲピー「チョゲピィ!」


イサオ「うん…………。」


カスミ「?どうしたの?何か言いたいことでもあるの?」


イサオ「……えっと……その……」


カスミ「立ち話は良くないわね。入って話しましょ。さ、イサオくん。」


イサオ「う、うん……。」
 ▼ 44 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/14 22:19:42 ID:lMibZMis [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今晩はここまでで。

次回の投稿で完結する予定です。
 ▼ 45 ルネアス@ねむけざまし 17/08/14 22:24:26 ID:FGqzH/gE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何が始まるんだっ!?
ひとまず乙です
 ▼ 46 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:01:42 ID:yAcX/jig [1/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カスミ「ごめんねー、散らかしちゃって。明日の朝にはちゃっちゃと片付けるから……。」


イサオ「うん……」


カスミ「どーしたの?イサオくん。言いたいことがあるならハッキリ言わないと。男の子でしょ?」


トゲピー「チョゲチョゲ!」


イサオ「うん、あのね……お姉ちゃんたちって、明日にはもう帰っちゃうんだよね?」


カスミ「ええ。流石に2日間もお世話になるわけにはいかないものね。」


イサオ「僕は全然迷惑なんかじゃないよ!!パパだって……」


カスミ「ごめんね、イサオくん。出来たらあたしたちももっと一緒に過ごしたいけど、それは出来ないの。」


イサオ「どうして?後一日くらいいいじゃない!」
 ▼ 47 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:02:36 ID:yAcX/jig [2/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カスミ「……ねえイサオくん。あたしたちの旅はね、言わば修行みたいなものなの。自分の将来の夢に向かって突き進むためのね。毎日毎日、新しい場所で、新しい経験を積んで、どんどん自分を磨いていかなくちゃ。だからいつまでも同じところに止まってはいられないの。」


イサオ「……そっか……ごめん。僕、自分が寂しいばっかりに……お姉ちゃんたちを引き留めようとして……」


カスミ「いいのよ。あたしの方こそ、冷たいことを言ってごめんね。でも、イサオくんのことは絶対に忘れないから。」


イサオ「ほんと!?」


カスミ「ええ。あたしだけじゃないわ。サトシもタケシも、あなたのことはずっと忘れない……。だからもしまたこの町に来ることになったら、その時はまた寄らせてもらうわね。」


トゲピー「チョゲピィ!」


イサオ「待ってる!!僕ずっと待ってるよ……お姉ちゃんたちがまた遊びに来てくれる日を、楽しみに待ってる!!」


カスミ「あたしも楽しみだわ。……そうだ、イサオくんって10歳になったら旅に出るつもりなんでしょ!?」


イサオ「うん、って言ってもまだ決まったわけじゃないんだけど……。」
 ▼ 48 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:03:30 ID:yAcX/jig [3/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カスミ「いつでもいいから、カントーにも旅しにいらっしゃいよ。多分その頃には、タケシもあたしも旅を終えてカントーのジムに戻っていると思うから……。」


イサオ「ほんと!?じゃあ僕、絶対挑戦しに行くよ!!そんでもって、絶対に勝って、バッジを貰うからね!!」


カスミ「あーら、あたしたちだってジムリーダーの名に懸けて、そう簡単には負けないわよ?でも、そうね……あなたの挑戦を楽しみにしてるわ。」ニコッ


トゲピー「チョゲピィ!」


イサオ「うん、いつか、絶対に挑戦しに行くよ……だから待っててね?約束だよ?」


カスミ「ええ、約束……。そうだ、イサオくん、約束の指切りしようか?」


イサオ「うん!するする!じゃあ指を合わせて……」


イサオ&カスミ「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます!指切った!」


カスミ「はい、これでお約束よ。もし来なかったら承知しないんだからね?」


イサオ「お姉ちゃんの方こそ、僕がジムに行っても居なかった、だなんてことのないようにね!」
 ▼ 49 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:04:32 ID:yAcX/jig [4/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カスミ「フフ、言ってくれるじゃない。大丈夫、あたしは約束を破ったことなんて一度も無いんだから……。さ、もう夜も遅いわ。部屋に戻ってもう寝ないと、体に障るわよ?」


イサオ「うん、おやすみ、カスミお姉ちゃん。また明日……」


カスミ「ええ、また明日ね。おやすみなさい。」


イサオ「トゲピーもお休み……」ナデナデ


トゲピー「チョゲチョゲピィ!」

 イサオはもう一度、おやすみの挨拶をすると、静かに部屋を出ていき襖を閉めた。

イサオ(……カスミお姉ちゃんって大人だなぁ……僕も早く大人にならないと……。)

 そう考えながら部屋に戻ろうとしたイサオは、不意に用を足したくなったため、トイレへと向かった。庭に面した廊下へ出てトイレへ向かうと、一瞬、微かではあったが何やら物音が聞こえたような気がした。

イサオ「……気のせいかな……?」

 そう思いつつ足を運ぶと、今度は家の向こう側から話し声が聞こえてきた。一瞬父親たちかと思ったが、よく聞くと、明らかに聞き覚えの無い声だったので、イサオはギョッとし、危うく悲鳴を上げそうになった。……間違いない。泥棒だ。
 ▼ 50 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:05:39 ID:yAcX/jig [5/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
コジロウ「……抜き足、差し足、忍び足……」ボソボソ


ムサシ「ちょっと、無駄口叩くんじゃないわよ。ジャリボーイたちに聞かれたらどうするの。」ボソボソ


ニャース「そうニャ。今回はメカも何も無いんだから失敗するわけにはいかないのニャ。」ボソボソ


イサオ(この声……聞き覚えがあるぞ。)

 そう思ったイサオは、庭に置かれたサンダルを履き、そっと飛び出した。夏であることと、この辺りは治安がいいために、庭へと通ずる硝子張りの障子が、いくつか開け放されていたことが幸いし、イサオはほとんど物音一つ立てずに庭へ出ることが出来た。

イサオ(一体誰なんだろう。声に聞き覚えがあるってことは知ってる人ってことだ。この町の人はみんな良い人たちばかりだと思ってたのに……。)

 普段の彼であれば、真っ先に父親に報告しに向かっただろう。だがショックを受けたことにより、何としても、今すぐ泥棒の正体を確かめたい、父親に報告するのはその後でも構わない、という思いの方が勝ってしまった。

 彼は気づかれないよう、慎重に足を運びながら家の角、つまり裏手を覗ける場所へと歩み寄ると、息を殺しそっと様子を伺った。すると泥棒たちは既に仕事場に入ろうとしているところだった。

イサオ(あいつら……もしかしてパパの作った花火を狙っているのか?)


ムサシ「あら、一丁前に鍵が二つもかかってるじゃない。しかも片方は南京錠……こりゃ骨が折れそう……って普通の泥棒だったらそう考えるでしょうけど、あたしたちの前では無意味よ!

いけっ!アーボック!」ヒュン!


アーボック「シャーボック!」
 ▼ 51 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:06:54 ID:yAcX/jig [6/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「アーボック、“ようかいえき”よ!」


アーボック「シャーボック!!」ブビュッ!!

 ビチャッ! ジュウゥ……

ニャース「ニャハハ、流石の南京錠もアーボックの“ようかいえき”には敵わないニャ。」


イサオ(ヤバい……このままじゃ、泥棒に根こそぎ盗まれちゃう……と、とにかく早くパパたちに……)

 そう思って振り返ったその時、彼の足元でパキッと何かが折れるような音がした。ギョッとして見ると、それは折れた小枝であった。実はこの音はロケット団に聞こえていなかったのだが、焦った彼はつい心に想った事を口走ってしまった。

イサオ「やばっ……んぐっ!」

 自らの二度に渡る失態に気づいた時にはもう遅かった。泥棒は三人ともこちらに気づいてしまった。

ニャース「ニャ!?全員寝たんじゃなかったのニャ!?」


コジロウ「こうなったら……いけっ!マタドガス!あの少年に“えんまく”だ!」


マタドガス「マータドガース。」シュウゥウゥゥゥ


ムサシ「さあ!今の内に花火を持って退散するのよ!」
 ▼ 52 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:09:49 ID:yAcX/jig [7/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 このままでは逃げられる……父たちに助けを求めなければ!そう判断したイサオは、咄嗟に父の真似をした。大きく深呼吸すると、ロケット団が耳を塞ぐほどの大声で叫んだのだ。

イサオ「ドロボー!!!ドロボーッ!!!」


コジロウ「マズイ!!早く逃げるぞ!!」ダッ!


イサオ「ドロボー!!ドロボオォォォッ!!!」

 〜ユウスケの部屋〜

ユウスケ「む!!この声はイサオの!!イサオよっ!!何があったぁぁぁ!!!」

 〜サトシたちの部屋〜

 ピクッ

ピカチュウ「ピ?」


イサオ「ドロボォォォッ!!ドロボォォォッ!!」

 ガバッ!

タケシ「やはり空耳じゃない!ピカチュウ、お前にも聞こえたか!」


ピカチュウ「ピカピーカ、ピカチュウ!」コクッ


タケシ「サトシ起きろ!!おい!!」ユッサ ユッサ


サトシ「う〜ん、ムニャムニャ……」


ピカチュウ「ピカピ、ピカピ!」ユッサ ユッサ


サトシ「うるさいなぁ、ママ。まだ5時じゃ……」


タケシ「ピカチュウ、サトシに10万ボルトだ。」


ピカチュウ「ピカァァ〜チュウウゥッ!!」バリバリバリッ!!


サトシ「ふんぎゃああぁああああっ!!!」バリバリバリッ!!
 ▼ 53 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:11:33 ID:yAcX/jig [8/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ピカチュウとタケシに叩き起こされたサトシは、彼らを伴い急いで廊下に出た。すると丁度部屋から出てきたカスミと鉢合わせになり、間も無くユウスケとも合流を果たした。

 四人は急いで廊下を抜け、庭へと飛び出したが、そこに既にイサオの姿は無かった。

サトシ「イサオくんは!?一体どこに……」


ユウスケ「わからん!!どこだ!!イサオォォオオッ!!!」


タケシ「!!これは……ユウスケさん!!仕事場の扉が壊されています!!それに扉の近くから森に向かって、複数の足跡が!!これはもしかして……」


カスミ「まさかイサオくん、泥棒を追って森の中に入っちゃったってこと!?こんな時間に!?」

 ユウスケは、仕事場から持ってきた大きな懐中電灯を照らすと、サトシたちに

ユウスケ「こうしてはおれん!!済まんがサトシくんたち!!キミたちはジュンサーさんを呼んできてくれないか!!私はこれからイサオを探しに行く故!!」ピカッ!

 と頼んだ。

サトシ「俺も探します!!行けっ、ヨルノズク!!」ヒュン!


ヨルノズク「ホォ〜ッ!」バサッ!


サトシ「ヨルノズク!イサオくんを探すんだ!」

 ヨルノズクは頷くと、夜の森の中へ音も立てず飛んで行った。
 ▼ 54 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:12:33 ID:yAcX/jig [9/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カスミ「タケシ、悪いけどジュンサーさんはあんた一人で呼んできて!」


タケシ「わかった、しっかり頼むぞ。」


カスミ「任せて!サトシ、ユウスケさん、あたしも行きます!!」ダッ!


ユウスケ「すまない!!では二人とも!!私の傍から決して離れぬように!!」ピカッ!


サトシ「はい!」


カスミ「行きましょう!」


 


 


コジロウ「いや〜、びっくりした。まさかこんな時間に子供が外をうろついているとは……」


ムサシ「ったく、あんたがちゃんと確認しないからでしょー!?」


コジロウ「いや、俺はちゃんと……」


ニャース「まあまあ。成功したんだからガミガミ言うのはよそうニャ。」


ムサシ「まあそうね。……ふわ〜ぁ……何だか一仕事終えたら急に眠く……」
 ▼ 55 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:14:28 ID:yAcX/jig [10/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ゴチン!!

ムサシ「いだああぁあああぁぁっ!!!だ、誰よっ!!女優の頭に石を投げつけたのはっ……!!」


イサオ「僕だ!!盗んだ花火を返せっ!!」


ニャース「おみゃーはさっきの……!!どうしてここがわかったニャ!?」


イサオ「足跡を辿ってきたんだ!!僕はパパと鍛えたお陰で夜目が効くからね!!これくらい楽勝さ!!

それよりお前ら何なんだ!!」

 チャンチャンチャーン!!

ムサシ「お前ら何なんだ、と聞かれたら。」ズキズキ


コジロウ「答えてあげるが世の情け!」


ムサシ「世界の破壊を防ぐため!」ズキズキ


コジロウ「世界の平和を守るため!」


ムサシ「愛と真実の悪を貫く。」ズキズキ


コジロウ「ラブリー&チャーミーな敵役。」


ムサシ「ムサシ。」ズキズキ


コジロウ「コジロウ。」


ムサシ「銀河を翔けるロケット団の二人には。」ズキズキ


コジロウ「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」


ニャース「なーんてニャ。」


ソーナンス「ソォォーナンスッ!」
 ▼ 56 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:15:43 ID:yAcX/jig [11/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イサオ「……だっさ。何か昭和の臭いがするんだけど。」プッ


ムサシ「なぁぁんですってぇぇぇ!!!この糞ガキがぁぁっ!!女優の顔を傷つけるだけじゃ飽き足らず、あたしたちが一生懸命考えた口上を、よくも馬鹿にしてくれたわねぇぇっ!!!」


コジロウ「そうだそうだっ!!お前みたいなガキに、昭和の何がわかるってんだ!!」


ニャース「……昭和っぽいって認めてるニャ。」


ソーナンス「ソォォーナンスッ!」


イサオ「って、そんなことはどうでもいいよ!奪った花火を返せ!」


ムサシ「イ〜ヤでーす!奪ったものを素直に返す泥棒がどこの世界にいるってのよ!返して欲しけりゃ、力尽くで奪い返してみな!

いけっ!アーボック!」ヒュン!


アーボック「シャーボック!!」


ムサシ「アーボック、あの糞生意気なガキに、“どくばり”よ!」


アーボック「シャーボッ!」ヒュン! ヒュン! ヒュン!

 ドガアァン!

イサオ「うわあぁっ!」

 イサオは間一髪で避わしたものの(正確にはアーボックがワザと外したのだが)、転んで右肘と左の膝を擦り剥いてしまった。
 ▼ 57 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:17:01 ID:yAcX/jig [12/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヨルノズク「ホッ!ホォ〜ッ!」スゥゥ〜ッ!


イサオ「っっつぅ〜っ……」ズキズキ……


ムサシ「どうよガキンチョ。これで少しは人の痛みってもんが理解できた!?まあ理解したところで、もう遅いけどね!アーボック、まきつくよ!」


アーボック「シャーボッ!」ズルズル


イサオ「うああっ!来ないでっ!」

 逃げようにも足が痛くて逃げられないイサオは、右足でアーボックを蹴りつけ抵抗を示したが、それも虚しく、彼はアーボックに(かなり弱めに)締め付けられてしまった。

アーボック「シャー〜ボック。」グググ……


イサオ「このっ……!離せ……このっ!」ジタバタ!


アーボック「シャ〜ボ……」グググ


コジロウ「おいおい、そろそろ止めてやれよ……っていうか、こいつが居るってことは、ジャリボーイたちも近くに来てる可能性が高いぞ。そろそろ逃げた方がいいんじゃ……」


ソーナンス「ソォォーナンスッ!」
 ▼ 58 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:19:50 ID:yAcX/jig [13/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「それもそうね……じゃあ、後も〜う少しだけ締め付けたら逃げましょ!」


ニャース「いくら何でもやり過ぎなんじゃニャアか……?」


ムサシ「何言ってんの?女優の命である顔に傷をつけたのよ?あんたあのガキが何をしたかわかってる?ねぇ……」


ニャース「な、何でもないですニャ……」


イサオ「このっ!さっさと離すよう命令しろ!この……おばさん!!」

 ブチッ

コジロウ&ニャース「!!!」ゾクッ!!!


ムサシ「……今何て言った?もう一回言ってごらん?」


イサオ「おばさんだよ!!おばさん!!文句あるか!!」ペッ


アーボック「シャーボ……(少年……良い度胸だと言いたいところだが……)」


ムサシ「アーボック、もっときつく締め付けてやりなさい!!」


アーボック「シャボ、シャーボッ。(すまんな、主人の命令である以上、逆らうことは出来ん。安心しろ、ほんの少しきつくするだけだ。

後一応忠告しておくが、キミも男なら、自分の発言には責任を持った方が良い。持てないなら、余計な発言は控えることだ。)」グググ……


ニャース「アーボック……」


イサオ「や、やめてっ!!……ってあれ?あんまり……んぐっ!」

 突然イサオの口周りに、アーボックの尻尾が巻き付き、イサオはこれ以上の発言が出来なくなった。
 ▼ 59 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:21:25 ID:yAcX/jig [14/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「おーほっほっほ!随分苦しそうねぇ、坊や。さっきの発言が間違ってたって、大人しく認めればそれで許してあげてもいいんだけど……その口じゃあ無理ね!ナイスよ、アーボック!」グッ


アーボック「シャー……(やれやれ……)。」グググ


ニャース「……ムサシのポケモンだけあって、あいつも苦労人ニャ……。」ウルウル


コジロウ「急にどうしたんだ?ニャース。」


ニャース「ニャ……何でも……ニャッ!?」


コジロウ「ん?どうしたニャース……そっちに何か……!!あ……ぁぁぁっ……」


ムサシ「もっとよ!もっと締め付けてやんなさい!」


アーボック「シャー。」グググ


イサオ「んんんんんんっ!!……んっ!?」


アーボック「?シャボ?……シャボッ!!!(?どうした?……あ……あぁぁっ……!!!)」


ムサシ「ん?どうしたのよ、アーボック。鳩が豆鉄砲を食ったような顔して……」


コジロウ「ム、ムサシッ……う、後ろっ……!!」ガタガタ


ムサシ「ん?」クルッ
 ▼ 60 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:24:59 ID:yAcX/jig [15/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ムサシが振り返るとそこには、どこから現れたのか、白い着物を着た女が立っていた。

ムサシ「何よアンタ!アンタには関係ないのよ!引っ込んで……」


コジロウ「ム、ムサシ……そ、その人……宙に浮いてる……!!」ガチガチ


ムサシ「ん?……ほぁああっ!!??」

 コジロウに言われるまま女の足元を見ると、汚れ一つない女の素足が、宙に浮いており、地面に丸い影を作っていた。下を向いたままのムサシの顔に、いや体中から無数の汗が噴き出す。これで漸くその場に居合わせた全員が同じ結論に達した。そう、女の正体は……

コジロウ「で、で、で……」


ニャース「出たニャーッ!!」


ソーナンス「ソォォーナンスッ!!」


ムサシ「ぎゃあああああああっ!!!」


コジロウ「に、逃げろーっ!!」ダッ

 コジロウの発言が引き金となり、今まで恐怖の余り、動くことすら出来なかった彼らの、内に溜まりに溜まった恐怖が一気に噴き出し、ロケット団たちは、まるで蜘蛛の子を散らすが如く、一目散に逃げだした。

アーボック「シャーボッ!!(お、置いていかないでくれーっ!!)」
 ▼ 61 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:26:54 ID:yAcX/jig [16/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 だが逃げるも時既に遅し。彼らはヨルノズクに導かれやってきたサトシたちと、バッタリ鉢合わせになってしまった。

カスミ「!!ロケット団!!またアンタたちなの!?」


サトシ「!!あそこに散らばっている花火……そうか、盗んだのはお前たちだったのか!!」


ユウスケ「む!?あそこにいるのはイサオ!!イサオではないかっ!!」


イサオ「パ、パパ……」


ユウスケ「おのれ!!許さん!!貴様らはこの私が成敗してくれよう!!ゆけっ!!カメックス!!」ヒュン!


カメックス「ガーメーッ!!」ズシン!


サトシ「行けっ、ピカチュウ!」


ピカチュウ「ピッカ!」シュタッ!


カスミ「行くのよ、My steady!」ヒュン!


ヒトデマン「ヘアッ!」
 ▼ 62 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:27:53 ID:yAcX/jig [17/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ムサシ「どきなさいよ!!アンタたち!!アーボック!“どくばり”!」


アーボック「シャーボック!」ビュ! ビュ! ビュ! ビュ!


コジロウ「マタドガス!“ヘドロこうげき”!」


マタドガス「マータドガース!」ブビュウッ!!


カスミ「ヒトデマン!“こうそくスピン”で跳ね返して!」


ヒトデマン「ヘアッ!」ヒュルルルルルルルッ!!

 カキン! カキン! カキン! カキン!

 ブババッ!

ニャース「跳ね返されたニャ!?」


サトシ「今だピカチュウ!10万ボルト!!」


ユウスケ「カメックス!!ハイドロポンプ!!」


ピカチュウ「ピカァァァ〜チュウウゥッ!!!」バリバリバリッ!!


カメックス「ガーメエェェェッ!!」ドギュウウウウウン!!!


アーボック「シャボォォォッ!?」バリバリッ!!


マタドガス「マータドガース!!」ドブウゥ!!
 ▼ 63 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:28:58 ID:yAcX/jig [18/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「トドメだ!!ピカチュウ、“かみなり”!!」


ピカチュウ「ピカアアアァァ〜チュウウウゥゥッ!!!」バリバリバリィィッ!!!


ロケット団「あぁぁびゃびゃびゃびゃびゃびゃ……!!!」

 ドガアアアァァン!!!

ムサシ「あぁ……良かった……これで逃げられる……!」


コジロウ「今回ばかりはジャリボーイたちに礼を言わなきゃな。ありがとう!今回はいい感じかも!?」


ニャース「でも当初の目的は果たせなかったニャ……これってやっぱり……」


ロケット団「やな感じ〜!!」


ソーナンス「ソーナンスッ!」

 キラン!
 ▼ 64 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:31:36 ID:yAcX/jig [19/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「やったぜ!」


ピカチュウ「ピッ、ピカチュウ!」


ユウスケ「イサオ!イサオオォォッ!!」ダッ!


イサオ「パパーッ!!」

 ユウスケは走り寄ってきたイサオを力強く抱き止めた。

イサオ「パパ、ごめんなさい!!花火を盗まれたのは僕の責任だと思って……だから、僕がなんとかしなくちゃって……そう思ったから……ごめんなさい……。」


ユウスケ「バカもぉん!!花火なぞ!!お前に比べたらどうでも良いのだ!!仕事なんぞいくら無くそうがまた見つかる!!だが!!命は無くしたらそれで終いだ!!

わかるか!!??わかるかイサオオオオォォオォッ!!!!!」ギュウゥゥッ!!


イサオ「パ、パパ……苦しいし……後うるさ……」


ユウスケ「うおおおおおおおっ!!!!!!」ギュウゥゥッ


カスミ「あ、あの〜……イサオくん本気で苦しがってますけど……」


カメックス「ガメェ……」チョンチョン


ユウスケ「む!?どうした!!カメックス!!」


カメックス「ガーメックス……」チョイチョイ


ユウスケ「む!?イサオがどうしたと!!……!!イサオ!!イサオよ!!どうした!!しっかりしろ!!」


イサオ「パ……パパ……あ、あのね……」


ユウスケ「どうしたイサオ!!どこか痛い所でも……」


イサオ「少しは人の話を聞いてえええぇぇえぇぇぇっ!!!!!」


サトシ&カスミ&イサオ&ピカチュウ&ヒトデマン&カメックス「!!!!!」ビリビリッ!!!
 ▼ 65 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:33:18 ID:yAcX/jig [20/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 その後、サトシたちが花火を回収し、イサオを連れて家に戻ると、丁度タケシがジュンサーを連れてきたところだった。

ユウスケ「おお!!ジュンサーさん!!お疲れ様です!!折角ご足労願った所!!申し訳ございませんが!!この通り!!息子と花火は取り戻しました!!この子たちのお陰でね!!」


ジュンサー「それは……遅れたばかりに職務を果たせず申し訳ございません。それとそこのお二人、ご協力感謝致します!……ところで、犯人たちは?逃げられてしまいましたか?」


ユウスケ「ええ!!ですが!!息子や子供たちが無事だったので!!それで十分でしょう!!ついでに明日の花火も取り戻せましたしな!!」ハッハッハ!!


ジュンサー「そ、そうですか……ではユウスケさん、よろしければ犯人の特徴などをお聞かせ願えないでしょうか。」


ユウスケ「犯人はロケット団の二人組でした!!マタドガス!!アーボック!!ニャース!!そしてソーナンスを連れていました!!」


ジュンサー「ご丁寧にありがとうございます。何か他に取られた物とかはありますか?」


ユウスケ「そうですね!!ちょっと見てくるんでお待ち下さい!!」

 ユウスケは仕事場をザッとのぞくと、花火以外は何も取られていなかったとジュンサーに報告した。

ジュンサー「わかりました。また何かございましたら、遠慮なくお申し付け下さい。」


ユウスケ「お疲れ様です!!ジュンサーさん!!お仕事頑張って下さい!!」


ジュンサー「ありがとうございます。では。ガーディ、帰るわよ!」


ガーディ「ガンッ!」

 ジュンサーはガーディをボールに戻すと、バイクに乗り走り去っていった。
 ▼ 66 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:34:41 ID:yAcX/jig [21/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウスケ「……さて!!みなさん!!夜中にお騒がせして大変申し訳なかった!!これも私の管理不足が招いたこと!!どうかご容赦頂きたい!!」


カスミ「そんな……ユウスケさんが悪いんじゃありませんよ。悪いのはロケット団です。」


タケシ「そうです。お二人とも何も悪くありませんよ。」


ユウスケ「ありがとう!!皆さん!!さて!!明日は早いのでしょう!?寝付けないかもしれないが!!家に戻って早く寝ましょう!!」


サトシ「あ、そのことなんですけど……」


ユウスケ「む?どうした!?サトシくん!!」


サトシ「俺、明日……いや、もう今日か。今日もこの町に泊まろうかなって……花火見たいし……。」


カスミ「はぁ?何言ってんのアンタ!?」


タケシ「まさかもう一晩泊めて欲しいとか言い出すんじゃないだろうな!?」


サトシ「いや、違うよ。明日の朝早くポケモンセンターに行って予約を……」


カスミ「取れなかったらどーすんのよ。」


サトシ「そん時ゃ、野宿だよ。決まってんだろ。」


カスミ「なーにが決まってんだろ、よ!偉そうに……」
 ▼ 67 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:35:45 ID:yAcX/jig [22/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウスケ「ガーハッハッハッハッハッハッハ!!それなら三人とも今日も泊まっていきなさい!!」


サトシ「え……でもそれは流石に……」


イサオ「いーじゃん!いーじゃん!泊まっていきなよ!ね?ね?ね?」


タケシ「し、しかし……」


ユウスケ「さあイサオよ!!明日も祭りの準備で忙しいぞ!!早く寝るとしよう!!」


イサオ「うん!!」

 二人はサトシたちの言葉など聞こえないように歩み去ると、一足先に家の中へ姿を消してしまった。

サトシ「……どうしよう。」


カスミ「どうしようってアンタねぇ……もう一日泊めてもらうしかないでしょ。」


トゲピー「チョゲチョゲピィ!」


カスミ「あらぁ?トゲピー、何時の間に起きてたの?」


トゲピー「チョゲチョゲ!」


タケシ「ま、明日は祭りの準備があるみたいだから、その手伝いでもしよう。ここで突っ立っててもしょうがない。家に戻って休ませてもらおう。」
 ▼ 68 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:36:26 ID:yAcX/jig [23/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 


 


イサオ「……それじゃあパパ。おやすみなさい。」



ユウスケ「おやすみ!!イサオ!!」


イサオ「……あのね、パパ。」


ユウスケ「む?」


イサオ「あいつら……ロケット団に襲われた時、ママに助けてもらったんだ……。」


ユウスケ「何と!?」


イサオ「写真でしか見たことのないママだけど、多分間違いないと思う。ママの幽霊が来てくれなかったら、僕今頃どうなってたか……」
 ▼ 69 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:38:40 ID:yAcX/jig [24/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウスケ「……そうか!!お盆も近いし、きっと帰ってきてくれたのだな!!」


イサオ「……違うよ、パパ。ママはずっとこの家に居るよ。僕が産まれた時から、ずっと。そして僕たちはこれからもずっと一緒。そうでしょう?」


ユウスケ「ワハハハハハハ!!その通りだ!!イサオ!!ママは私たちとずっと一緒にいる!!そしていつも私たちを見守っていてくれる!!感謝せねばな!!

そうだ!!今度二人で久しぶりに墓参りに行くか!!」


イサオ「うん!!ママの好きな食べ物、いっぱい持っていかなくちゃね!!」


ユウスケ「うむ!!それではイサオ!!今晩はもう遅いから休みなさい!!」


イサオ「うん、お休みなさい。パパ……」

 イサオは自室に戻り布団に包ると、瞬く間に寝てしまった。その晩、イサオは夢を見た。夢の中で、彼は父と母と三人で楽しく夏祭りを過ごしていた。夢を見ながらイサオは思った。

“何だ、いつも通りか……。”

と。
 ▼ 70 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:41:49 ID:yAcX/jig [25/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 翌日。祭りは昨日以上の大盛況を見せ、サトシたちは大いに楽しんだ(タケシは相変わらずナンパをし、カスミに何度も耳を引っ張られた)。

 そしてあっという間に、待ちに待った花火の時間がやってきた。

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

女の子A「わあぁ……花火だ花火ー!」


女の子B「キレー……」キラキラ

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

カスミ「良かったわね、イサオくん。無事に花火が上げられて。」


イサオ「うん……あのね、お姉ちゃん。1ついい?」


カスミ「ん?なぁに?イサオくん。」

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

イサオ「うん。あのね、僕、初めて会った時から、カスミお姉ちゃんと一緒だとすごく安心できて、何だかとても心が安らいだんだ。

それが何でなのかはわからなかったんだけど……でも、昨日ロケット団と戦った後に気づいたんだ。カスミお姉ちゃんって……多分僕のママにすごく似てると思うんだ。どこがって言われると、ハッキリとは答えられないんだけど……でも、だから一緒に居るとすごく安心できたんだと思う……。」

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

カスミ「ほんと?ふふっ、そう言って貰えると、何だか嬉しいなー。ね、トゲピー?」


トゲピー「チョゲプリィ!」


カスミ(イサオくんはお母さんの記憶がない筈だけど、そこは突っ込んじゃダメよね。)
 ▼ 71 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:43:12 ID:yAcX/jig [26/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イサオ「だから昨日だって、あんなにお姉ちゃんたちを引き留めたんだと思う。“折角またママに会えたのに、またママが居なくなっちゃうだなんて……”って。記憶は残ってなくても、潜在的な意識がきっとそうさせたんだ。多分……」

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

カスミ「イサオくん……」


イサオ「でもね、もう大丈夫だから。だってママはいつだって僕やパパと一緒にいてくれるんだもん。ほら、今だって、姿は見えなくても、ママはきっと僕の隣にいてくれる……。

そう……僕らはずっと一緒……今までも、これからも。そう、ずっと一緒に……。」

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

イサオ「そういうわけだから。僕はお姉ちゃんが居なくなっても、もう寂しくないよ。だから立派なジムリーダーになって、僕が挑戦しに行くのを待っててね?」


カスミ「もちろん。だって指切りしたんだもの。嘘ついたら針を千本も飲まされちゃうんでしょう?そんなの絶対ごめんだもの。ね、トゲピー。」


トゲピー「チョゲ!チョゲ!」

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

イサオ「僕も針を千本飲むだなんて、絶対に嫌だから約束は絶対に守るよ。だからその日を楽しみに待っててよね……ってそうだ、忘れるところだった。……はい。これ。」スッ


カスミ「これって……手持ち用の花火?」


イサオ「うん、僕が作ったんだ。」


カスミ「イサオくんが?」
 ▼ 72 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:44:28 ID:yAcX/jig [27/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

イサオ「うん。この前パパに教えてもらいながら作ったやつなんだけど、良かったら貰ってくれる?」


カスミ「ありがとう。でもこんなの使うの勿体無いわ……。」


イサオ「あはは。使わなかったら意味がないじゃない。……でもま、それはもうお姉ちゃんにあげたものなんだから好きにして。じゃ、また後でね。サトシさんやタケシさんにこれを渡して来なくちゃ……。」ダッダッダ

 ヒュルルルルルルルッ……パァン!

カスミ「ふふっ、いつまで経っても子供みたいなやつもいれば、イサオくんみたいに、短期間で大人びちゃう子もいるのね。こりゃ、将来が楽しみだわ。ね?トゲ……」

 ポワン!

コダック「コダァ?」


カスミ「……なぁに?出番がなかったから怒ってんの?」


コダック「コダァ?」


カスミ「……ま、いいわ。あんたにも偶にはお礼しなくっちゃね。さ、あっちに面白そうなお店があったから行きましょ。あんたにはピッタリのお店よ…………。」


コダック「コダァ……?」
 ▼ 73 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:46:36 ID:yAcX/jig [28/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 そしてまたしても翌日。とうとうサトシたちとイサオたちの別れの時がやってきた。

サトシ「さようなら〜!」


ピカチュウ「ピカピ〜カ!」


タケシ「お元気でー!」


カスミ「さようならー!イサオくーん!ジムの挑戦に来るの、楽しみにしてるからねーっ!!」


イサオ「うん!!絶対に強いトレーナーになって、お姉ちゃんたちに挑戦しに行くんだからねーっ!!」


サトシ「そん時には、俺ともバトルしようぜーっ!!」


イサオ「うん!!約束だよーっ!!……見えなくなっちゃったね、パパ……。」


ユウスケ「何だイサオ!!お前!!旅に出たいのか!?」


イサオ「だ、だm」


ユウスケ「いいぞイサオ!!父は!!お前がそう言ってくる日を!!心より待っていたーっ!!!さあ、善は急げだ!!今すぐ博士にポケモンを貰いに行くぞーっ!!」


イサオ「ちょっとパパ!!博士にポケモンが貰えるのは10歳になってからだよ!!大体ジョウトで博士からポケモンが貰えるの何処か知ってる?フタバタウンだよ?こっからどれだけ離れてると思ってんの?ちょっとパパー!!聞いてよ……ねぇ……ねえったらあああぁあぁぁっ!!!!」
 ▼ 74 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/16 23:48:38 ID:yAcX/jig [29/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……今の、イサオくんの声か?」


カスミ「クスッ、そうかもね。またお父さんが話聞いてくれなかったから、つい大声でも出しちゃったんじゃないの?」


タケシ「……イサオくんも大変だな……。」


ピカチュウ「ピカピーカ。」


トゲピー「チョゲプリィ!」


サトシ「次はいよいよジム戦だな。腕が鳴るぜ。」


タケシ「頑張れよ、サトシ。」


サトシ「ああ!次のバッジも絶対にゲットしてやるぜ!!」


ピカチュウ「ピカピーカ!ピカチュウ!」


ナレーション「夏祭りを経て、新しい友人、そしてライバルを得たサトシたち。さあ、次はいよいよジム戦だ。果たしてサトシは、新しいバッジをゲットすることが出来るのか!?」


                                   TO BE CONTINUED
 ▼ 75 ルノズク@ルビー 17/08/17 17:31:26 ID:7ASkGRsg NGネーム登録 NGID登録 報告
乙ー!
 ▼ 76 マサラ人3◆etyxjFp636 17/08/17 23:40:04 ID:kOUXVatA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 後書き(のようなもの)


 ここまで読んで頂き、ありがとうございました!今回が初の企画参加だったので、少々大変でしたが(何がって締め切りがあるのが一番大変だった)、お陰様で楽しく出来ました。

 さて、物語の中に出てきた、イサオ、ユウスケ親子ですが、実は彼らの名前には由来があります。なんと、“暑い日”なだけに、名前に“夏”がつく俳優さんから名前を頂きました。


 夏八木勲→イサオ

 夏夕介 →ユウスケ

 ……といった具合です(笑)

 実は自分の作品に出てくるオリキャラは、結構有名人や小説などから名前を拝借していることが多いです。例えば、カロス地方のSSのオリキャラなんて、ほとんどアル○ーヌ・ルパンから持ってきています(オルタンス、テオドール、ガニマールetc……)。

 因みに今回、サトシサイドを無印組にした理由は、“暑い日”でSSを書くと決めた時に、夏祭り物をやりたくて、それが一番似合いそうなのが無印組だと考えたためです。

 さて、少し長くなってしまいましたが、改めてここまで読んで下さり、ありがとうございました!次回作はアメリアのSS(恋愛物)を書こうと思っておりますので、お時間があればそちらの方もよろしくお願いします。
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