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【SS】ポケットモンスター外伝V

 ▼ 1 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 00:51:06 ID:bzsWfuOI [1/43] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
皆様お久しぶりです。
数年前に没にした物が今更書き上がりましたので、ゆっくり書いていこうと思います。
よろしかったら最後までお付き合いお願いいたします。


↓多分このSSに過去作のURLまとまってます。
外伝X
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=532573
外伝0
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=633063
 ▼ 2 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 00:52:53 ID:bzsWfuOI [2/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

〜プロローグ〜



いつかの時代、どこかの場所、ポケモン達が住む小さな村があった……


そう、ここはドリ村……


平和な村の片隅に、村のポケモン達が集まる喫茶店があった……


 ▼ 3 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 00:59:59 ID:bzsWfuOI [3/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ドリ村、ニンフィアカフェ……



気持ちのよい昼下がり……つい先程まで店は混雑していたのだが、ある程度客の波も収まり始めていた……


ニンフィア「ふんふんふーん♪」


カウンターに立つニンフィアは鼻歌を歌いながらコーヒーマシンの掃除をしている……


そこにブラッキーとライチュウがやってきた。


ニンフィア「あ、二匹ともお疲れ様ー!」


二匹は息を切らせながら近くの椅子にかけた。


ライチュウ「疲れた……やっぱり俺には接客向いてねぇよ……」


ライチュウは背中にある大きな傷をさすりながら呟く……


ブラッキー「泣き言言わないの!この仕事してなきゃ父さん無職だよ!?」


ライチュウはその言葉に溜め息をつく。


ライチュウ「本当、なんで今更反抗期なんだ……?」


ブラッキー「何か言った?」


ブラッキーの鋭い視線からライチュウは目をそらした。


ライチュウ「なんでもねーよ」


 ▼ 4 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:08:53 ID:bzsWfuOI [4/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ニンフィア「そんな事よりほら、二匹とも飲んで飲んで!」


ニンフィアはライチュウにはエスプレッソを……ブラッキーにはマシュマロ入りのココアを手渡した。


ブラッキー「あ、母さんありがと!」


ライチュウ「さんきゅー」


ライチュウは一口でエスプレッソを飲み干した。


ライチュウ「あぁ……まずい……でもこれがいい……」


ブラッキー「本当、父さんって訳がわかんない……ん?」


ブラッキーはライチュウの首から下げられていた煌びやかな宝石に目を奪われた。


ブラッキー「なにそれっ!? すっごく綺麗な宝石っ!!」


ライチュウ「ん? あぁ、これか? これは電気玉って宝石だ」


ニンフィア「なんだか懐かしい物出してきたね」


ブラッキーはライチュウの首から下げられた電気玉を無理やり引っ張って、目を輝かせながら夢中で眺めている……


ブラッキー「綺麗……」


ライチュウ「いてて……さっき部屋を掃除してたら出てきたんだよ。今の俺には効果の無い代物だけど、こうしてれば何となく……おっちゃんを近くに感じれるんだ……」


ブラッキー「おっちゃん? ……っ! おっちゃんってもしかして……」


ライチュウ「そうだ、お前のもう一匹の親父だな」


ニンフィア「懐かしいね……みんな元気かな……」


ライチュウ「ま、おっちゃんの事だ! どうせ嫁さんと喧嘩でもしてんじゃねーか?」


ライチュウはけらけら笑っている……

 ▼ 5 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:14:58 ID:bzsWfuOI [5/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



カフェの外からそんな三匹を眺める二匹の命なきポケモン達がいた……



フーディン「言われてるよ? ライチュウ」


ライチュウ「……」


ライチュウはムスッとした顔でそっぽを向いた。


フーディン「あの子達、流石だね……ライチュウの事をよくわかってる」


ライチュウ「るせーっ!! だってミミロップが!!」


フーディン「はいはい、わかったから」


ライチュウは大きく溜め息をついた……


ライチュウ「はぁ……それにしてもあれ、まだ大事に持っててくれたんだな……あいつ」


ライチュウはブラッキーが引っ張っている電気玉を見た……


フーディン「電気玉……君達の種族が覚えられる最強の技、ボルテッカーを覚えるために必要とされる宝石だね……」


ライチュウ「ほーん……よく知ってるじゃねぇか……ま、当然か……」


フーディン「まぁね」


 ▼ 6 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:20:38 ID:bzsWfuOI [6/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹の間に沈黙が流れた……



フーディン「あの電気玉をみるたび、あの争いを思い出してしまうよ……」


ライチュウ「!」


フーディンは目を細め、天を仰いだ……


フーディン「……時には思い出す事も大事だ……それが僕達に課せられた使命でもある……」


ライチュウ「俺はあの事件についてよく知らない事が多い……良かったら話してくれないか? あの事件の全貌をよ……」


フーディンはしばらく黙っていたが、やがて口を開いた。


フーディン「……わかった。この際全て話そう……今から数年前、このドリ村で起きた事件の全貌……君の知らない事も全部……」



フーディンはゆっくりと語り出した……



 ▼ 7 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:23:27 ID:bzsWfuOI [7/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






いつかの時代、どこかの場所、ポケモン達が住む小さな村があった……



そう、ここはドリ村……



この村のポケモン達は、遥か昔に起きたある事件をきっかけに、信頼と言う言葉を知らないと噂される程に疑い深い性格に変わり果ててしまったと言う……



そんな村に、真っ直ぐな性格をしたポケモンがいた……




 ▼ 8 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:24:09 ID:bzsWfuOI [8/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第一話 そのポケモン、まっすぐにつき……








 ▼ 9 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:31:54 ID:bzsWfuOI [9/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


真っ青な空……輝く太陽の光がポカポカと気持ちのよい午後……



村のはずれにて……



どぉぉぉぉぉおおん!!



突然、村に爆発音が響いた。


その爆発の衝撃で風が吹き荒れ……木々が揺れ……そして、砂煙が巻き上がる……



?「けほっ! けほっ! いてて……ダメだ……やっぱりまだまだか……」


砂煙が収まると、そこにいたのは一匹のピカチュウだった。


ピカチュウ「難しいな……ボルテッカー……これじゃ、技が完成する前に俺の体が使い物にならなくなっちまう……」


ピカチュウがよろよろと立ち上がったその時、そこに一匹のポケモンがやって来た。


ニドキング「ピカチュウ、またお前か……いい加減にしてくれ……ここの村民は皆、お前のその技の練習で起こる地響きに迷惑しているんだ……」


ピカチュウ「村長! ごめんごめん! でも俺さ、ボルテッカーを完成させたいから練習を辞めるわけにはいかないんだ!」

 ▼ 10 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:41:45 ID:bzsWfuOI [10/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ニドキングは溜め息をついた。


ニドキング「そもそも、そんな物騒な技を覚えてどうするつもりだ? 悪事に使うんじゃないだろうな?」


ピカチュウ「悪事? んな訳ないじゃん! この技を使いこなせるポケモンは世界に一握りって聞いてからずっと俺、ボルテッカーに憧れてきたんだ!!」


ピカチュウの首からは黄色い宝石が下げられている……


ピカチュウ「だから貯金して、やっとこの電気玉を買って来た所なんだ! これがないとボルテッカーは覚えられないらしいから!」


ニドキングはまた、溜め息をついた……


ニドキング「覚えられないらしい……か……その情報も間違っているかもしれないのに……なぜお前はすぐに聞いた事を信じ込んでしまうのだ?」


ピカチュウ「信じるも何も……信じないと何にも始まらねーじゃん! じゃ、今からまたボルテッカーの練習するからさ! そこにいると危ないぜ! 村長!!」


ニドキング「お、おい! 聞いていたのか!? 皆が迷惑して……」


ピカチュウはどんどん走っていき……そして、大きな木に体当たりをぶちかました。


どぉぉぉぉぉおおん!!


また、爆発音が村に響き……地響きがした……


ニドキング「はぁ……本当に厄介な村民だ……」


ニドキングは諦めてその場を後にした……


 ▼ 11 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:47:59 ID:bzsWfuOI [11/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



それから数時間後……




村長の家にて……



家の扉が開き、浮かない顔のニドキングが帰ってきた。


ニドキング「はぁ……」


秘書のパチリスが駆け寄る。


パチリス「村長、お疲れ様! ところで地響きが収まってないんだけど?」


ニドキング「それはだな……」


ニドキングが話し出したその時、また、ピカチュウのボルテッカーによる地響きが村を襲った……


ずぉぉぉぉ……


ニドキング「……言わなくてもわかるだろ? 話などまともに聞いてくれんかったよ……」


パチリス「まぁ、そうでしょうね……でも、苦情がきたのなら村長である以上、あなたは村民の意見には従わなくちゃだからね! 注意したって形だけでもつけとかなきゃ!」


ニドキング「わかっている……はぁ……それにしても、なんでこの村はこんなにも住みにくい村なんだ?」


パチリス「……そんな事言わないで下さいよ、村長……」
 ▼ 12 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 01:58:38 ID:bzsWfuOI [12/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ピカチュウの家にて……



ピカチュウ「たっだいまー!」


ご機嫌なピカチュウが家の戸を開けた。


すると、息子のピチューがすっ飛んできた。


ピチュー「とーちゃんおかえり!」


ピカチュウ「おうおう! ただいま!」


キッチンからフライパン片手に妻のピカチュウもやってきた。


ピカチュウ妻「おかえり、今日はどうだった?」


ピカチュウ「完成にはまだまだだ! ま、そんなに簡単に完成する訳ないけどな!」


ピカチュウ妻「……」


無邪気に笑うピカチュウを見て、妻は心の中で呟いた……


ピカチュウ妻「(……あんな強力な技を覚えたいなんて……いったい何の為に……? もしかして、暴力でこの村を支配しようとでも……)」


ピカチュウ「なぁ、何をそんな難しい顔をしてるんだ?」


ピカチュウ妻「っ! な、なんでもない!!」


ピカチュウ「そうか? ならいいけど」


ピカチュウはピチューを担ぎ上げ、リビングへ向かった……


ピカチュウ妻「(なんで疑っちゃうのかな……うちの旦那がそんな事するポケモンじゃないって事、私が一番知ってるのに……)」


ピカチュウの妻はそんな自分にうんざりしながらも、またキッチンへと戻っていった……


 ▼ 13 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:04:29 ID:bzsWfuOI [13/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




ドリ村の外れには大きな屋敷がある……


その屋敷には一組の夫婦とその娘姉妹が住んでいた……



屋敷の外……大きな畑にて……





サンダース「よっしゃ! こんなもんかな!」


サンダースは畑に水を蒔き終えると近くの草原に寝転がった……


サンダース「あぁ……おひさんが気持ちええなぁ……」


サンダースが辺りを見渡すと、サンダースの娘である二匹のイーブイが遠くの草原で仲良くじゃれあっているのが見えた……


サンダース「イーブイら、楽しそうやなぁ……」

 ▼ 14 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:12:32 ID:bzsWfuOI [14/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サンダースがウトウトしていると……そこに、妻であるエーフィがやってきた。


エーフィ「水撒き終わったの? サンダース」


サンダース「お、エーフィか! 今終わったとこやで!」


ニコニコしているサンダースをエーフィは不思議そうに見つめた……


エーフィ「……」


サンダース「な、なんや? そんなに見つめられると照れるで……」


エーフィ「(うちはお金持ちだからわざわざ畑を耕すなんて疲れる事、しなくていいのに……なんでサンダースはこんな事してるのかしら?)」


エーフィはサンダースの心を読み取ろうと、さらにサンダースを見つめた……


サンダースの顔がどんどん赤くなっていく……


サンダース「エーフィ、照れるって……ほんま……あぁ」


どさ……


とうとうサンダースは顔を真っ赤にして倒れてしまった……


エーフィ「さ、サンダースっ!? ……もう! かわいいんだから!」



 ▼ 15 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:15:38 ID:bzsWfuOI [15/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告







互いが互いを心から信じる事が出来ない……



相手の思いがわからない……



どうしてか、疑ってしまう……



そんな複雑な気持ちや考えが渦巻くこの村……



誰一匹として、村に忍び寄る不気味な影に気づく者はいなかった……






 ▼ 16 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:18:17 ID:bzsWfuOI [16/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





それから数時間後……


日は沈み、村を闇が包む……



村のポケモン達は皆、既に眠ってしまった……



風の音だけがヒュウヒュウと……



いつも通り、何の変哲もない夜…………の、はずだった……




 ▼ 17 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:21:38 ID:bzsWfuOI [17/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ドリ村の外れにて……


夜の暗闇の中、大空に突然怪しげな光が輝いた……


その光はだんだんと強く輝き……大きく広がって……


光の真ん中に、大きく不気味な穴を開けた……




夜空を切り取ったように開いた不気味な穴……




何処からか、声が聞こえる……



?「感じるよ……様々な欲望……みなぎってくるねぇ……」



 ▼ 18 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:29:02 ID:bzsWfuOI [18/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



夜空に開いた、不気味な穴から一匹の不思議な生き物がふわふわと舞い降りた……


?「ふーん……なかなか住み心地が良さそうな世界……」


次々に不気味な穴から不気味な生き物が飛び出す……


??「確かに、住み心地は悪くないかもねぇ……だけど、美しくないわ……」


???「オデ、ハラヘッタ」


????「これからここが私達の楽園となるのか……素ん晴らしいっ!!」


?????「そんな事より早く何か切らせろよぉ!! 俺の刃がウズウズしてんだぁ!!」


??????「充電中……充電中……」




不気味な穴はどんどん広がり……そして、最後にとんでもなく大きい、まるで塔のような姿の生き物が降り立った……



ずぉぉぉぉおおん!!



その衝撃で、村を地響きが襲った……


 ▼ 19 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:30:44 ID:bzsWfuOI [19/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ピカチュウの家……




ピカチュウ「っ!?」


ピカチュウはベッドから飛び起きた。


ピカチュウ「な、なんだ!? 地震!?」


ピカチュウは不安になり、寝室を出た……


 ▼ 20 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:32:39 ID:bzsWfuOI [20/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



リビングに出ると、妻と寝ぼけ眼の息子がいた。



ピカチュウ妻「ね、ねぇ! さっきの地震は何!?」


ピカチュウは慌てる妻をなだめた。


ピカチュウ「とりあえず落ち着け、俺が外を確認してくるから待っててくれ」


妻「う、うん」


ピチュー「眠い……」
 

 ▼ 21 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:36:56 ID:bzsWfuOI [21/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



ピカチュウは玄関の戸を開けて、外にでた……


ピカチュウ「っ!? な、なんだありゃあ!?」


深夜の暗闇の中でもピカチュウには見えた……



遠くに見える、真っ暗闇の中にそびえ立つ、天を貫く塔のような何かが……


ピカチュウ「……あれは……」


ピカチュウが呆然としていると、その塔がゆっくりと動き、ピカチュウの方を向いた……


ピカチュウ「っ!」


???????「かわ……いい……」



ピカチュウはあまりの恐怖に動けずにいた……


 ▼ 22 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:37:52 ID:bzsWfuOI [22/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










そう、真夜中に村を襲ったこの地響きから全ては始まったんだ……








続く
 ▼ 23 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 02:38:31 ID:bzsWfuOI [23/43] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第一話おしまい。


こんな感じでぐだぐだ更新になりますが、よろしくお願いします。


ではでは
 ▼ 24 ェリム@あさせのしお 17/10/08 04:37:27 ID:R29RrHr2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 25 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:26:15 ID:bzsWfuOI [24/43] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告










第二話 侵略者は月に照らされ……







 ▼ 26 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:29:27 ID:bzsWfuOI [25/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ピカチュウは息を切らせながら真っ暗な村を走っていた……


ピカチュウ「はぁ……はぁ……な、なんだありゃあ!?」


思い出すだけでもぞっとする……得体の知れない謎の生き物……


ピカチュウが走りながらちらりと振り返ると……まだ、あの塔がこちらを見ていた……


ピカチュウ「ひ、ひぃっ……」


ピカチュウは得体の知れない恐怖に襲われながらも、ある一軒の家目掛けて走っていった……



 ▼ 27 ュウコン@ねむけざまし 17/10/08 19:29:41 ID:s8tVDUlE NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモン外伝シリーズにアイツらが登場…だと…
支援せざるをえない
 ▼ 28 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:36:20 ID:bzsWfuOI [26/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告




村長の家……



村長が扉を開けて、外を眺めた……


ニドキング「さっきの地響きは何だ? もしや、またあいつが技の練習を……」


寝ぼけ眼のパチリスが大きなあくびをしながら寄ってきた。


パチリス「まさか……ただの地震じゃない?」


ニドキング「……ん? 噂をすればなんとやら……」


そこにピカチュウが走ってきた。


ピカチュウ「はぁ……はぁ……そ、村長!」


ニドキングはピカチュウを見て大きな溜め息をついた。


ニドキング「おい、ピカチュウ……こんな真夜中に技の練習をするとは何事だ……昼にやっても迷惑だが……」


ピカチュウ「お、俺じゃねぇよ!! 違うんだよ!! 見てくれよ!! あの変な生き物を!!」


普段ならそんな事を言われても信用しない村長も、あまりに必死なピカチュウの弁解に少し異変を覚えた……


ニドキング「生き物だと?」


ピカチュウ「あいつだよ!」


ニドキングとパチリスは、ピカチュウの指す先を見た。


二匹「っ!!」



得体の知れない大きな塔のような姿の生き物がこちらを見ている……


 ▼ 29 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:38:53 ID:bzsWfuOI [27/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ニドキング「なんだ……あれは……」


パチリス「なんて言うか……凄く不気味……」


ニドキングは暫く驚いてはいたが、すぐにいつもの表情に戻った。


ニドキング「二匹とも、中に入れ……」


ピカチュウ「お、おう……」




三匹は家の中に入った……



 ▼ 30 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:45:47 ID:bzsWfuOI [28/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





その頃、ドリ村外れの森にて……





大きな塔のような生き物の足元に、不気味な生き物が数匹集まっていた……



その生き物達は、空に開いた不気味な穴がゆっくりと塞がるのを見届けると、顔を見合わせた。


?「さて、こっちの世界にやって来たのはいいけど……どうする?」


ふわふわと宙に浮かぶ生き物が気だるそうに言った。


??「この世界を私達の楽園にするために、まずは美しくしないとねぇ……ふふ……」


スラリとしたスタイルの美しい生き物が不気味に笑う……


???「ハラヘッタ……」


??「って! さっきからハラヘッタハラヘッタうるさいわね! アクジキング!! そこら辺の木でも食べときなさい!!」


アクジキング「キ、タベル……」


アクジキングと呼ばれた大きな生き物は、口から伸びた大きな舌で近くにはえていた木を引っこ抜くと、そのまま大きな口の中に放り込んだ。


アクジキング「キ、ウマイ……」


 ▼ 31 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:49:31 ID:bzsWfuOI [29/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

?「そんなにイライラしないでよ、フェローチェ……シワが増えるよ?」


フェローチェと呼ばれた生き物は顔をひきつらせた。


フェローチェ「ウツロイド、あんたもうるさいわね……蹴り殺すわよ……?」


ウツロイド「遠慮しとくー……ダルいし……」


ウツロイドと呼ばれた生き物はふわふわと優雅に宙を舞っている……


 ▼ 32 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:53:28 ID:bzsWfuOI [30/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フェローチェ「こんな所でうじうじしている暇は無いの。適当にこの世界の侵略を終わらせるわよ……この欲望に満ちた世界を私達の物に……」


フェローチェは歩き出そうとしたが……


????「待ってください、フェローチェ」


フェローチェ「何よ! マッシブーン!」


マッシブーン「デンジュモクの充電がまだ終わっていません!」


フェローチェ「はぁ?」


デンジュモクと呼ばれた生き物は、身体から伸びた無数の脚を地面に突き刺してじっとしている……


デンジュモク「充電中……充電中……」


フェローチェ「ああ! もう! そんな奴ほっときなさい!!」


 ▼ 33 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 19:57:45 ID:bzsWfuOI [31/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



他と比べ、一際小さな生き物がフェローチェの前に飛び出した。


?????「フェローチェイライラしすぎっしょ! 触覚ちょん切るぞ! ああん!?」


フェローチェ「あんたもチビの分際で粋がってんじゃないわよ! カミツルギ!!」


カミツルギ「チビって言うな!! ぶった切るぞ!!」


フェローチェ「私みたいに美しく高身長になってから言いなさい!」


 ▼ 34 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:03:40 ID:bzsWfuOI [32/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


二匹が揉めていると、彼らの真上から声が響いた……


???????「私から見れば……みんな……チビ……」


フェローチェ&カミツルギ「!」


見上げれば、あの大きな塔のような生き物が彼らを見下ろしていた……


マッシブーンは溜め息をついた。


マッシブーン「テッカグヤの言うとおりです。それに、今は喧嘩をしている場合じゃありませんよ?」


フェローチェ「はぁ……それもそうね……じゃ、デンジュモクは置いといて、適当に手分けしてこの辺りを散策してみましょうか」


マッシブーン「そうですね」


カミツルギ「しかたねーな! いっちょやるか!」


ウツロイド「だるー……」


アクジキング「ハラヘッタ……」





五匹はバラバラに別れて森の中に消えた……





テッカグヤ「いって……らっしゃい……」


デンジュモク「充電中……充電中……」



 ▼ 35 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:10:13 ID:bzsWfuOI [33/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、ピカチュウ達……



家に入ると、ニドキングはすぐに扉に鍵を掛けた。


ニドキング「ピカチュウ、他の村民の様子はどうだった?」


ピカチュウ「え、えっと……他の家の近くは通ったけど……特に騒ぎにはなってなかったな……家の明かりもついてなかったし、みんな寝てるんだと思う。俺の家族には隠れてるように言っといたけど……」


ニドキング「そうか……」


ニドキングはカーテンを少しめくり、窓の外を見た。


あの塔のような生き物が先程立っていた位置より少しずれた位置に立っていて、夜空に浮かんだ月と丁度重なっていた……


ニドキング「動いていると言う事は……やはり、生き物なのか……」

 ▼ 36 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:14:30 ID:bzsWfuOI [34/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ピカチュウ「村長! あれはいったい何なんだ!?」


ニドキング「私にもわからない……どうするべきか……まずは有害か無害か、それを確かめねば……」


ニドキングが扉を開けた……


パチリス「ちょっと! 村長! どこ行くの!?」


ニドキング「私が確かめに行く……」


二匹「!!」


ニドキング「私は村の代表である村長だからな……」


ピカチュウ「ま、待てよ! もし敵だとしたら……あんなでっけぇ奴に勝てるのか!?」


ニドキングは振り返らない……


ニドキング「その時はその時だ……その時に対策を練ればいい……それとも、じっとここで待っている気か?」


ピカチュウ「……」

 ▼ 37 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:22:11 ID:bzsWfuOI [35/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ニドキングが外へと一歩踏み出したその時……キラキラと月明かりを反射させながら、上空から何かが降ってきた……



ニドキング「なんだ!?」


三匹は身構えた……


すると、その生き物は三匹の前で止まった……


ウツロイド「君達がこの世界の生き物なんだねー……」


ピカチュウ「この世界……?」


ウツロイドはふわふわと宙を舞いながら、触手をぶらぶらさせている……


ウツロイド「あたしはウツロイド……よろしくねー……」


パチリス「よ、よろしく……」


ニドキングは一歩前に踏み出した。


ニドキング「ウツロイドとやら、お前はあの大きな生き物と何か関係はあるのか?」


ウツロイド「大きな生き物? あー、テッカグヤちゃんの事かー……」


ピカチュウ「テッカグヤ?」


ウツロイド「テッカグヤちゃんはあたし達の仲間だよー……」


ウツロイドはふわふわゆらゆらと宙に浮いている……


ニドキング「そうか……ところで、お前達は何者なんだ?」


ウツロイド「何者? うーん……あたし達は……侵略者……かな?」
 

三匹「!!」


 ▼ 38 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:32:29 ID:bzsWfuOI [36/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ピカチュウ「って事は!」


ウツロイド「この世界を貰いに来たんだー……めんどくさかったけど、わざわざ来てあげたんだよー……?」


ウツロイドの気だるそうなその声色にニドキングはムッとした。


ニドキング「手を引け、ウツロイドとやら……この村……いや、世界を譲る気は無い……」


ニドキングはウツロイドを睨む……


いったいどこに目があるのか……表情は一切読む事が出来ないが、ウツロイドは全く動揺はしていないようだ。


ウツロイド「とりあえず、侵略かいしー……」


ウツロイドはパチリスの頭の上にふわりと降り立った。


パチリス「えっ!? な、なんなの!? あうっ!!」


ニドキング「!?」


ピカチュウ「な、何してんだ!?」

 
パチリスは一瞬で気を失ってしまった……


ウツロイド「この子、貰ってくからねー……」


ウツロイドは触手でパチリスをしっかりと掴んだまま、ふわりと浮かび上がった……


ニドキング「待てっ! パチリスを返せ!!」


ウツロイド「やーなこったー♪ この子はデンジュモクのバッテリーになって貰うんだからー……」


ウツロイドはそう言いながら、あっと言う間に遥か上空へと飛び上がった……


二匹はウツロイドの突然の行動に何も出来なかった……


 ▼ 39 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:41:00 ID:bzsWfuOI [37/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ニドキング「……」


ピカチュウ「そ、そんな……パチリスさんが……」


ウツロイドは月明かりを反射させながら、夜空の闇に消えてしまった……


ピカチュウ「侵略者ってなんだよ……変な事が起こりすぎて……」


唐突に起こった出来事をピカチュウは受け止めきれずにいた。


ピカチュウ「俺達はどうすれば……」


その時、黙っていたニドキングが口を開いた……


ニドキング「私はパチリスを助けに行く……すまないがピカチュウ、一つ頼まれてくれないか……?」


ピカチュウ「え?」


ニドキング「こんな事になってしまった以上……あの噂に頼る他なさそうだ……」


ピカチュウ「噂……? 何の噂だ?」


ニドキング「お前だって聞いた事はあるはずだ……不死の落雷の噂を……」


ピカチュウ「不死の落雷? 聞いた事ないな……」


ニドキング「……そうか、なら教えてやろう……」






 ▼ 40 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:51:08 ID:bzsWfuOI [38/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






困っているポケモンを助ける……それを生業とするポケモンがいた……


時には遭難したポケモンを助けたり、時には村同士の揉め事を止めに行ったりと……ある種、便利屋のような職業でもある……


世間のポケモン達は、その職についているポケモン達を救助隊と呼んだ……


しかし、救助隊のポケモンにも出来ない事はある……


あまりに危険な依頼は、救助隊を総括する救助隊連盟により、受付拒否をされてしまうのだ……


そんな中、連盟に加盟せず、一匹で非公式の救助活動を続けるポケモンがいた……


奴はどんな危険な依頼も難なくこなし、依頼の報酬もまともに受け取らずに去ってしまうと言う……


数少ない目撃証言によれば、奴はどんな怪我を負おうとも、即座に立ち上がると言う話だ……


世間では、死なないのではないか? と言った噂が流れるほど……


そんな孤独な救助隊を皆はこう呼んだ……




不死の落雷……と……




 ▼ 41 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 20:58:38 ID:bzsWfuOI [39/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





ニドキング「正直、私は噂など信じない主義だ……ただ、今は……」


ピカチュウ「……」


振り返ったニドキングの頬に流れる涙を月明かりが照らした……


ニドキング「どんな手を使ってでも、パチリスを取り戻したい……この村を守りたいんだ……」


ピカチュウはニドキングの強い覚悟を感じ取った……そして……


ピカチュウ「……わかった、俺が探しに行く! その不死の落雷って奴を!」


ニドキング「信じてくれてありがとう……ピカチュウ……」


ピカチュウ「探しに行くのはいいんだけどさ……もう少しヒントって言うか……そのポケモンの特徴って言うのは無いのか……?」


ニドキング「そうだな……不死の落雷と呼ばれる程だ……電気技を得意とするのだろうな……」


ピカチュウ「電気技……か……」


ニドキング「私が知っているのはそれくらいだ……すまないが、後は頼んだ!」


ニドキングはウツロイドの消えた方角へ走り出した。


ピカチュウ「そ、村長!!」


ニドキングの姿はすぐに暗闇に見えなくなった……


ピカチュウ「……仕方ねぇな……それじゃ、俺は不死の落雷を探しに行くか!」


ピカチュウも暗い森へと駆けて行った。


 ▼ 42 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 21:05:34 ID:bzsWfuOI [40/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、村の大きな屋敷にて……



サンダースの部屋……


サンダース「ぐがぁぁ……すぴぃ……」


サンダースは外で起きている出来事には全く気付かず、ベッドでぐっすり眠っている……



その時……



メキメキ……バギっ! ボギィっ!!


サンダース「っ!? な、なんやっ!?」


突然聞こえた謎の音……サンダースは飛び起きて辺りを見渡した……


部屋には他に誰もいない……


サンダース「……気のせい……かいな……?」


しかし、また……


メキィ! ボギィ! バキィ!!


サンダース「っ! 外から聞こえる……誰かおるんか!?」



サンダースは部屋を飛び出した……


 ▼ 43 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 21:11:57 ID:bzsWfuOI [41/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


屋敷の外……



サンダースは屋敷の大きな扉を開け、外を見渡した……


真っ暗な庭が月明かりにぼんやりと照らされている……


いつも通りの庭だ……


サンダース「……」


その時、またあの謎の音が聞こえた。


メキメキィ! バギっ!


音は屋敷の裏から聞こえる……


サンダース「っ! こっちや!!」


サンダースは音を頼りに走り出した……


 ▼ 44 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 21:17:05 ID:bzsWfuOI [42/43] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



屋敷の裏……


サンダース「この辺から……っ!? なんやこれ!?」


屋敷の裏に植えられていた筈の木々が根こそぎ無くなっている……


サンダース「木が……っ!?」


サンダースは暗闇の中、大きな黒い生き物を見た……


その生き物は……大きな口から伸びた腕のような舌で近くに植えられていた木を引き抜くと、口の中にひょいと放り込んで噛み砕いた……


バギっ! メキメキっ!!


先程から聞こえていたあの音が響く……


サンダースはその生き物に駆け寄った。


サンダース「お、おい! お前なにしとんねん!!」


サンダースの存在に気づいたその生き物は……ゆっくりとサンダースの方へ体を向けた……


アクジキング「ハラヘッタ……」

 
 

続く


 ▼ 45 1◆v1GnTfaqxg 17/10/08 21:19:41 ID:bzsWfuOI [43/43] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第二話おしまい。


一応書いておくと、この話は今更ですが、外伝1と外伝2の間の話です。

細かく言うと、外伝2の十年と少し前の話になります。

最初に書いとけば良かった……


ではまた明日
 ▼ 46 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 13:19:41 ID:mImKwjcg [1/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告










第三話 様々な意志はぶつかり合い……








 ▼ 47 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 13:25:41 ID:mImKwjcg [2/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


アクジキング「ハラヘッタ……」


アクジキングがゆっくりとサンダースへと歩み寄る……


サンダース「……」


サンダースはアクジキングのその巨体を見上げた……


アクジキングはサンダースの目の前で立ち止まり、大口から伸びた二本の大きな舌をサンダースに向けて伸ばした……


アクジキング「ハラヘッタ……」


その舌がサンダースを捕らえようとした直前、サンダースの怒号が響いた。


サンダース「あほか!!」


アクジキング「!!!」


アクジキングの動きがピタリと止まった。


サンダース「腹が減って木なんか食べるあほがおるか!!
 そこでちょっと待っとき!」


サンダースはそう言って屋敷に走って行った……


アクジキング「……オデ……オコラレタ……」


アクジキングはどうしていいかわからず、ただただ立ち尽くしていた……


 ▼ 48 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 13:30:42 ID:mImKwjcg [3/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


すると、すぐにサンダースが走って帰ってきた。


その背には大きなケーキがのっている……


サンダース「おまたせやで! ほら、わいが作ったこのケーキ食べ!」


アクジキング「……ケーキ……?」


アクジキングはサンダースの背にのったケーキを舌で掴み、大きな口に放り込んだ……


アクジキング「……!」


サンダース「どや?」


アクジキング「コレ、トテモウマイ……! キヨリモウマイ……!!」


サンダース「やろ? さすがわいの腕は一流やな!」

 ▼ 49 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 14:02:33 ID:mImKwjcg [4/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

アクジキング「オマエ、イイヤツ……ナハナンテイウ……?」


サンダース「わいか? わいはサンダースや!」


アクジキング「オデ、アクジキング……」


サンダース「アクジキング? 長い名前やな……せや! キングって呼んでええか? こっちのが短くてええやろ?」


アクジキング「キング、カッコイイ……!」


サンダース「お! 気に入ってくれたか! 良かったで!」


アクジキング「サンダース……オデ、モットケーキタベタイ……」


サンダース「わかった! 今持ってきたるからそこで待っとき!」


サンダースは再び屋敷へ走っていった。


アクジキング「オデ、ケーキマツ……」


アクジキングはその場でじっとサンダースの帰りを待つのであった……



 ▼ 50 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 14:11:20 ID:mImKwjcg [5/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、ドリ村の外れの森にて……




真っ暗な森を、一匹のポケモンが歩いていた……


?「……」


そのポケモンはゆっくりと立ち止まると、前を見据えた……


風が吹き、尻尾にくくられたスカーフがなびく……


?「出てこい、ユンゲラー」


そのポケモンが小さく呟くと、彼の目の前……何も無かったはずの空間に一匹のポケモンが姿を現した。


ユンゲラー「こんな所まで追いかけてくるなんて……君も暇だね……ところで今日は何の用だい? ライチュウ」


ライチュウ「突然出てきやがったあのでかい生き物……お前の仕業か?」


ライチュウが見た先……あの大きな塔のような生き物が見えた。


ユンゲラー「なんでもかんでも僕のせいにされちゃ困るよ、ライチュウ……」


ユンゲラーは呆れた顔をした……


ライチュウ「……別にどっちだっていい……お前を葬れるなら……」


ライチュウの両腕に雷が纏い、バチバチと激しい音を立てた……


ライチュウ「今日がお前の命日だ!!」


 ▼ 51 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 14:15:22 ID:mImKwjcg [6/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ライチュウは地面を強く蹴り、ユンゲラーの懐に飛び込むと連続でパンチを繰り出した!


ユンゲラー「くく! 遅い! 遅いよライチュウ!」


ユンゲラーは余裕の表情でライチュウの拳を右に左に受け流す……


ライチュウ「くっ!」


ライチュウは一度身を引き、距離をとった。


ライチュウ「……これならどうだ!」


ライチュウの尻尾が一瞬で鋼と化した……


ライチュウ「いくぜぇぇ!!」




 ▼ 52 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 14:21:22 ID:mImKwjcg [7/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


その頃、ピカチュウは暗い森の中をさまよっていた……


ピカチュウ「探すって言ったのはいいけど……そんな簡単に見つかるもんかな……」


ピカチュウは歩き続ける……


ピカチュウ「パチリスさんがさらわれて……変な塔みたいなのが出てきて……まだ信じられねぇよ……」


ピカチュウはパチリスをさらった生き物を思い出し、ぞっとした。


ピカチュウ「っ……あ、あんな奴らにこの世界を侵略されてたまるかよ……! 探さなきゃ……不死の落雷を……!」



ピカチュウが呟いた……その時……



ガキィ! ずさぁぁあ!!



ピカチュウ「っ!? な、何の音だ!?」


ついで、話し声が聞こえた……



だから、無駄だって言ってるだろ?


ちぃ……



ピカチュウ「……誰か……いる?」


ピカチュウは声の聞こえる方へと歩き出した……


 ▼ 53 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 17:31:32 ID:mImKwjcg [8/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ピカチュウは生い茂る草を掻き分けて歩く……


ピカチュウ「こっちの方から……っ!」


そこから先は草むらが少し開けていて……そこで二匹のポケモンが争っていた。



ユンゲラーがライチュウの鋼の尻尾をスプーンで受け止めている……


ライチュウ「ぐくっ……」


ユンゲラーがニヤリと笑い、尻尾をスプーンで弾いた!


ユンゲラー「はっ!」


ライチュウ「うおっ!?」


ライチュウは弾き飛ばされて宙を舞った……


ユンゲラー「くくくっ……あまいよ! ライチュウ!!」


ユンゲラーの指先がキラリと光り、ライチュウに向けられた!


ユンゲラー「チャージビーム!!」


ユンゲラーの指先から放たれた高出力の電撃がライチュウを襲った!


ライチュウ「ぐはっ!!」


ピカチュウ「!!」


どさぁ!


ライチュウは地面に叩きつけられた。

 ▼ 54 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 17:37:31 ID:mImKwjcg [9/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ユンゲラー「くくく……君はいつもそうだ……」


ライチュウ「くそ……」


ライチュウはなんとか立ち上がった。


ユンゲラー「君は……口ではそう言う癖に、その目は全く殺意を感じさせない……そんな生半可な覚悟で僕を殺せるとでも!? はっはっはぁっ!!」


ユンゲラーの笑い声が響く……


ライチュウ「ちきしょう…………ん?」


その時、二匹の頭上をウツロイドがふわふわと飛んでいった……


ピカチュウ「ウツロイド!」


ライチュウ「(……誰かが捕まってる……ただ事じゃねぇな……)」


ウツロイドはパチリスを抱いたまま、ふわふわと夜空に消えた……


ライチュウ「ちっ! ユンゲラー、命拾いしたな!」


ライチュウはウツロイドの消えた方角へ走っていった……


 ▼ 55 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 18:27:59 ID:mImKwjcg [10/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


ユンゲラー「……くくっ! 面白かったよ……ライチュウ……」


ユンゲラーはゆっくりと歩き出した……


ユンゲラー「それにしても……あの大きな生き物は何だろうね……」


ユンゲラーが呟いたその時……



お、おい! あんた!



ユンゲラー「ん?」


振り返ると、そこにピカチュウがいた。


ピカチュウ「見たぜ! さっきの電撃! あんな威力の電気技は見たことがないぜ!」


ユンゲラー「……」


ピカチュウ「あんた、不死の落雷だろ!?」


ユンゲラーは顔をしかめた。


ユンゲラー「何を言っているんだい? 不死の落雷は僕じゃなくて……」


ピカチュウ「隠さなくてもいいって! それより助けてほしいんだ!」


ユンゲラー「話を聞きなよ……僕は不死の落雷じゃ……」


ピカチュウ「この世界が危ないんだよ! さっきから訳の分からない侵略者って名乗る生き物が悪さしてるんだよ!」


ユンゲラー「侵略者……?」


ピカチュウ「あんた強いんだろ!? あんたなら、あの不気味な生き物を倒せるって!!」


 ▼ 56 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 18:30:26 ID:mImKwjcg [11/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告

ユンゲラーはピカチュウの顔にライチュウの顔が重なって見えた……


ユンゲラー「(なんだろう……このポケモンは……どこかライチュウと似ている……)」


ピカチュウ「なあ、どうなんだ?」


ユンゲラーはピカチュウの顔をじっと見つめた……


ユンゲラー「一つ聞かせてくれ……君、どこから来たんだい?」


ピカチュウ「え? 俺はドリ村から来たピカチュウってんだ」


ユンゲラー「!!」



 ▼ 57 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 18:33:06 ID:mImKwjcg [12/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告






そうか……こいつ、ライチュウの子孫……



どうりで似ている訳だ……



どう言う訳か、こいつは僕の事を不死の落雷……ライチュウの事だと勘違いしている……



そうだ……こいつを騙してライチュウと戦わせれば……



面白いことになりそうだ……くくくっ!






 ▼ 58 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 18:37:01 ID:mImKwjcg [13/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告





ユンゲラー「やれやれ、仕方ないね……」


ピカチュウ「えっ!? って事は……」


ユンゲラー「僕の力を貸そう……」


ピカチュウ「やった!」


ユンゲラー「ただし……君自身にも強くなってもらうよ……」


ピカチュウ「!」


ユンゲラー「今から僕が君の師匠だ。厳しい修行になるけどついてきなよ」


ピカチュウ「は、はいっ! 師匠!」



二匹は森を歩き出した……



ユンゲラー「(どうせ、本物の不死の落雷が侵略者って奴を一匹で片付けるだろう……だから、その隙に……)」




ユンゲラーはニヤリと笑った……





 ▼ 59 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 18:41:25 ID:mImKwjcg [14/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告



その頃、サンダースは……




サンダース「ふんふんふーん♪」


サンダースは鼻歌を歌いながらキッチンに入り、大きな冷蔵庫から大きな作り置きのケーキを取り出した。



サンダース「キングが待っとる! はよ行かな!」


サンダースはケーキを背にのせて走り出した。



 ▼ 60 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 18:48:26 ID:mImKwjcg [15/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


屋敷の裏……




サンダース「おまたせやで! キング!」


サンダースが姿を現すと、アクジキングがドスドスと駆け寄った。


アクジキング「ケーキ……! ハヤク……!」


サンダース「そんな急がんでええって!」



サンダースがゆっくりとアクジキングに歩み寄った……



その時……



?「あら? アクジキング……何をしているのかしら?」



サンダース「ん? 誰や?」


サンダースは声の聞こえた方を見た……


サンダース「っ!」


そこにいたのはフェローチェだった。


フェローチェのあまりの美しさに、サンダースは無意識のうちに呟いた……


サンダース「なんて……なんて綺麗なんや……」


フェローチェ「あら、私の美しさがわかるなんて……この世界の生き物もなかなかわかってるじゃない……」


フェローチェはクスリと笑った……


 ▼ 61 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 19:14:03 ID:mImKwjcg [16/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


サンダース「そんで、あんたは何もんなんや?」


フェローチェ「あたしはフェローチェ。この世界を貰いに来た、美しい侵略者よ」


サンダース「侵略者? 面白い冗談やな!」


サンダースは笑った。


フェローチェ「……ま、それはそうと……アクジキング、この生き物と何をしていたのかしら?」


アクジキングはフェローチェに歩み寄る。


アクジキング「フェローチェ、サンダースハイイヤツ……コノセカイのイキモノ、キットミンナイイヤツ……」


フェローチェ「……」


アクジキングはサンダースの背にのっていたケーキを大きな舌で掴み、フェローチェに差し出した。


アクジキング「フェローチェモタベル……ケーキ、スゴクウマイ……」

 ▼ 62 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 19:18:48 ID:mImKwjcg [17/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フェローチェはケーキをしばらく見つめていたが……すぐにケーキを掴むアクジキングの舌を蹴り飛ばした。


バシィ!


サンダース「!」


ケーキは地面にたたき落とされた……


フェローチェ「誰がこんな汚らわしい物を食べなきゃいけないのよ!!」


アクジキング「……」


アクジキングは落ちたケーキを悲しげに見つめている……


それを見たサンダースの顔から笑顔が消えた……


サンダース「……」


サンダースは顔を上げ、フェローチェを見つめた……


フェローチェ「何? 文句あるの?」


サンダース「……あんた、綺麗やと思ってたけど…………撤回や……」

 ▼ 63 1◆v1GnTfaqxg 17/10/09 19:26:34 ID:mImKwjcg [18/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告


フェローチェ「!」


サンダース「あんたの心は酷く汚れとる……キングはあんたの友達なんやろ? 友達にそんな事する奴は……全然綺麗なんかやない……」


フェローチェはその言葉に顔をひきつらせた……


フェローチェ「あんた……黙って聞いてりゃムカつくわね……下等生物の分際で! あんたなんか蹴り殺してあげるわ!!」


フェローチェのしなやかな脚がサンダース目掛けて振り下ろされた……


サンダース「!!」


鞭のようなしなやかな脚がサンダースを襲おうとしたその時……アクジキングの舌ががっちりとフェローチェの脚を掴んで止めた。


フェローチェ「っ!! 何するのよ!!」


アクジキング「サンダースイイヤツ……サンダースハトモダチ……」


フェローチェはアクジキングの舌を振り払った。


フェローチェ「アクジキング! あんたはどっちの味方なのよ!!」


アクジキング「……オデハ…………オデハ…………」


アクジキングはゆっくりと歩き、サンダースの前に立った……









オデハ……サンダースヲマモル……







続く
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