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【SS】漆黒の死揮者ネクロズマ

 ▼ 1 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 18:55:14 ID:zvtL5fU2 [1/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここはシロガネ山。ジョウト地方に聳え立つ巨大な山で、中は暗い洞窟、山頂付近には雪が降り積もっている。

そんなシロガネ山の山頂付近に、1匹の黒いポケモンが佇んでいた。


ネクロズマ「……」

アッシュ「へぇ、こんなトコに居たのか」

ネクロズマ「!?」


ネクロズマが振り返ると、そこにはラティアスを連れた銀髪の少年と、スキンヘッドに上半身裸の男が立っていた。


ネクロズマ「……!!」

ブロック「ふんっ!!」


ネクロズマは得意の“プリズムレーザー”で攻撃するが、スキンヘッドの男・ブロックに片手で弾かれてしまう。


アッシュ「ラティアス“ミストボール”」

ラティアス「ファラァ!!」

ネクロズマ「ネッザァ……!!」


“プリズムレーザー”の反動で避けることが出来ず、ネクロズマは“ミストボール”を喰らう。


ネクロズマ「ズムァシュ……!!」

アッシュ「くっ……!!」


ネクロズマは地面に“プリズムレーザー”を撃ち、ジェット噴射でシロガネ山から姿を消した。


ブロック「逃したか……」

アッシュ「ブロック、彼奴らを集めろ。逃走場所を特定して、今度こそ確実に捕まえるぞ」
 ▼ 2 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 19:02:02 ID:zvtL5fU2 [2/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナレーション『ポケットモンスター、縮めてポケモン。この星の不思議な不思議な生き物。空に、山に、海に。ポケモンはいたるところで、その姿を見ることが出来る。ポケモンの数だけ出会いがあり、ポケモンの数だけの別れがある』


カキ「バクガメス“かえんほうしゃ”」

サトシ「躱せ!!」


熱いバトルを繰り広げるサトシとカキ。そこはククイの所有する船の上。課外授業の現場に行くまでの間、
バトルで暇を潰していたのである。


マオ「ちょっと!! 船の上で暴れないでよ!!」

マーマネ「沈没したらどうすんのさ!!」

サトシ「大丈夫大丈夫。カキも加減して撃ってるから」

カキ「出来るだけ船に当たらないようにしてある。間違っても、船が燃えるなんてことはない」

サトシ「隙アリ!! ピカチュウ“アイアンテール”」

ピカチュウ「ピカチュピィ!!」


隙を見たピカチュウはバクガメスに接近し、尻尾を硬質化させアッパーカットを喰らわせる。


カキ「なっ……!! 今のはズルいぞ!!」

サトシ「バトル中によそ見してるからだろ?」

カキ「はぁ……、してやられたな」

バクガメス「ガメェ……」

ククイ「その辺にしとけ。流石にこれ以上は危険だ」

サトシ「はーい」


ククイに注意され、サトシは渋々バトルを中断する。


リーリエ「皆さん、島が見えてきましたよ!!」
 ▼ 3 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 19:12:06 ID:zvtL5fU2 [3/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ホントに!?」

リーリエ「少しですが、島らしきものが」

サトシ「懐かしいなぁ。オレンジ諸島」


サトシ達が課外授業で向かうのは、オレンジ諸島。嘗てサトシが旅したことのある島であり、サトシが初めてフルバトルをした場所でもある。


カキ「サトシが話してくれるまで知らなかったな。あんな島があるなんて」

リーリエ「驚きです」

サトシ「俺だってビックリだよ。たまたま話した島が、課外授業の場所に選ばれるなんて」

ククイ「前々から異国の地で課外授業をしようと思ってたんだ。そこでサトシが話をするもんだから、採用させてもらった」

カキ「一体、どんなポケモンが居るんだろうな」

スイレン「私知ってる。カイオーガが居る」

全員「カ、カイオーガ!?」

スイレン「嘘です♪」

マオ「スイレン……」


スイレンの嘘に呆れていると、急に雨雲が空を覆い、終いには大雨が降り始める。


マオ「こんな時に雨ぇ……」

ククイ「皆、早く中に入るんだ!!」

スイレン「あっ、カイオーガ!!」

マオ「スイレン、それもういいから……」

???「グギャルオォォォォォ!!!」

マオ「え?」


マオが鳴き声が聞こえた方を見ると、青い鯱のようなポケモンが船に迫ってきていた。
 ▼ 4 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 19:21:20 ID:zvtL5fU2 [4/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「えっ、嘘でしょ? 嘘だよね? 嘘って言って……」

サトシ「スゲェ、本物だぁ!! 久々に見た!!」

マオ「久々!?」

カキ「なんでこんなトコにカイオーガが……」

マーマネ「やばいよやばいよ」

マオ「スイレン、鎮めて!!」

スイレン「カイオーガ、一緒にお話……」

カイオーガ「グビュルォォォォォ!!!」


スイレンの説得も虚しく、カイオーガは津波を起こしながら、船に突っ込んできた。


マーマネ「うわあぁぁぁぁぁ!!!」

マオ「きゃあぁぁぁぁ!!!」

ピカチュウ「ピカピ……」

サトシ「ピカチュウゥゥゥ!!!!」


カイオーガの突進により船は転覆。後の津波で、ククイや生徒達諸共海に沈んでいった。

転覆寸前にピカチュウを抱きかかえたサトシは、共に海の中を彷徨っていた。


サトシ「ピカチュウ、大丈夫か!?」

ピカチュウ「……」

サトシ「ピカ……もぐぁ……」


水中で喋ったせいか水を飲み、次第に息が出来ず気を失ってしまう。


サトシ(ピカチュウ……)
 ▼ 5 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 19:40:16 ID:zvtL5fU2 [5/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「ピカピ!! ピカァ!!」

サトシ(ん? ピカチュウの声……?)

ピカチュウ「ピィカァヂュウゥゥ!!!」

サトシ「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!」


ピカチュウの“10まんボルト”で、サトシは目を覚ます。


サトシ「よかった。無事だったんだな!!」

ピカチュウ「ピィカピ」

サトシ「あれ? ここは?」


サトシは辺りを見渡すと、そこは海ではなく薄暗い洞窟の中だった。幸い朝日が差しているため、周りの状況を確認することが出来る。


ネクロズマ「目が覚めたみたいだな」

サトシ「あぁ。ありが……とぉう!?」


サトシが見たものは人間ではなく、2m以上あろう黒いポケモンだった。さらにそのポケモンは、サトシと同じ人間の言葉を話している。


ネクロズマ「なんだ? ポケモンが喋るのが、そんなに珍しいか?」

サトシ「勿論!! 珍し……くもないかな。あはは……」


今迄何度も喋るポケモンに会ってきたサトシにとって、ネクロズマの存在は特に珍しくもなんともなかった。


サトシ「お前が助けてくれたのか?」

ネクロズマ「助けたってほどでもねぇ。海岸で寝てたから、連れてきただけだ」
 ▼ 6 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 19:48:40 ID:zvtL5fU2 [6/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「お前名前は?」

ネクロズマ「ネクロズマ」

サトシ「へぇ、聞いたことないポケモンだな」

ネクロズマ「だろうな。俺も俺以外のネクロズマには、会ったことねぇ」

サトシ「そうなのか……」

ネクロズマ「……!!」

ピカチュウ「……ピカ?」


ネクロズマは何かを察知したのか、横目で外を睨みつける。ピカチュウもそれに気づいたらしく、耳をピクピク動かす。


サトシ「ピカチュウ? どうかしたのか?」

ネクロズマ「目は覚めたんだ。とっとと出てけ」

サトシ「いや、でも……」


サトシとネクロズマが会話していると、突然爆発が起こり、洞窟は木っ端微塵に崩れ去る。


ネクロズマ「大丈夫か?」

サトシ「ありがとう」


ネクロズマはサトシとピカチュウを庇い、崩落から守った。


アッシュ「久し振りだな。ネクロズマ」

ネクロズマ「っ……!!」

サトシ「誰だ!?」

アッシュ「寧ろこっちが聞きてぇよ。お前誰?」

サトシ「俺はマサラタウンのサトシ!! こっちは相棒のピカチュウ!!」

ピカチュウ「ピカピィカ!!」

アッシュ「ピカチュウ……!!」
 ▼ 7 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 20:00:00 ID:zvtL5fU2 [7/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「いきなり洞窟を壊して、危ないだろ!?」

アッシュ「“あくうせつだん”」

パルキア「プペルギャアゥ!!」

サトシ「うあっ!!」


パルキアの斬撃を、サトシは紙一重で避ける。


サトシ「パルキア!?」

アッシュ「ネクロズマを寄越せ。そうすれば、お前らだけでも見逃してやってもいいぜ」

サトシ「ふざけるな!! 2回も助けられて、置いていくなんて出来るかよ!!」

アッシュ「だったら消えな。“はどうだん”」

サトシ「“エレキボール”」


パルキアが投げた青い球と、ピカチュウが飛ばした電気の球がぶつかり、空中で大爆発を起こす。


アッシュ「ラティアス“りゅうせいぐん”」

ラティアス「ラァウ!!」


岩陰に隠れていたラティアスの力で、大量の隕石が降り注がれる。


サトシ「ピカチュウ“10まんボルト”」

ネクロズマ「ハァ!!」


ピカチュウとネクロズマで“りゅうせいぐん”を相殺していくが、2匹だけでは手数が足らず、全体の1/10も壊せなかった。


サトシ「やばっ……」

アッシュ「あばよ」
 ▼ 8 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 20:12:48 ID:zvtL5fU2 [8/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「……!?」

グラジオ「また何か感じたのか?」

ルガルガン「ガゥ」


サトシが居るカンキツ島から少し離れた島・ネープル島。そこにはリーリエの兄であり、嘗てサトシと戦ったグラジオが来ていた。


グラジオ「それにしても、妙な諸島だな。いろいろな島を見てきたが、どの島も氷漬けか死体の山。それに聞いていたより、島の数が圧倒的に少ない。このネープル島は、なんともなかったようだが……」

???「……」

グラジオ「誰だ!!」


人の気配に気づき呼びかけると、中から一人の青年が姿を現す。


ダン「そんなに睨まないでくれ。僕はダン。このネープル島で、ジムリーダーをしている男さ」

グラジオ(ジムリーダー……島キングみたいなものか)

グラジオ「だとしたら、この島に詳しいハズだ。教えてくれ。この諸島はどうなっている?」

ダン「それが僕にもわからないんだ。知ってるのは、数々の島が津波や豪雨で沈んでしまったことと、強力な冷気で凍ってしまったことだけ。原因等は何一つわかっちゃいない」

グラジオ「そうか。わざわざすまなかったな」

ダン「いいさ。それより、この島から早く出た方がいい。いつこの島が狙われるかわからないからね」


ダンは爽やかな笑顔でそう言うと、原因調査のためにどこかへ行ってしまう。


グラジオ「この島に一体、何があるというんだ……?」
 ▼ 9 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 20:28:39 ID:zvtL5fU2 [9/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして同じくネープル島。カイオーガの津波で流された生徒の一人が、この島に流れ着いていた。


リーリエ「くしゅん!! やはり濡れた服を着ていると寒いですね……。荷物は流されてしまいましたし……」

シロン「コォン」

リーリエ「貴女はなんともないのですか?」

シロン「コンッ」

リーリエ「そうですか。それならよかっ……っしゅん!! うぅ……寒いです」


リーリエが砂浜で縮こまっていると、一人の男が火の着いた木を近づけてくる。


リーリエ「え……」

ブロック「大丈夫ですか? お嬢さん」

リーリエ「は、はい……。ありがとうございます」

ブロック「いえいえ、礼には及びませんよ。貴女のような美しい方を助けるのは、男として当然のこと。寧ろこっちが御礼したいくらいですよ」

リーリエ「は、はぁ……」


リーリエは感謝しつつも、少し変わった男の態度にやや困り顔になる。


ブロック「良ければ、この後2人でお茶でも……」

シロン「コォン!!」

リーリエ「シロン!!」


本能から主人を取られると思ったのか、シロンはブロックに“こなゆき”を浴びせる……が。


ブロック「俺を冷やしてくれてるのかい? 優しい子だね」


凍らないどころか、まともに寒さすら感じておらず、ブロックは笑顔でシロンの頭を撫でる。


リーリエ(この人、サトシを超えてるかも……)
 ▼ 10 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 20:37:20 ID:zvtL5fU2 [10/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこからさらに離れた島・ナツカン島。津波に流されて、砂浜に横たわるスイレンに、目元を前髪で隠した青髪の少女が近づく。


ミスティ「だ、大丈夫ですか……?」

スイレン「……っ、ここは……アシマリ!!」

ミスティ「ひゃっ!!」

スイレン「アシマリどこっ!?」

ミスティ「アシマリって、この子……?」

アシマリ「アォウ」


ミスティはスイレンより早く目覚めたアシマリを抱きかかえ、スイレンに確認する。


スイレン「よかった……。ありがとう」

ミスティ「い、いや……私何もしてないですし……」

スイレン「そんなことない。多分」

ミスティ「は、はぁ……。でも、どうしてこんなところで……」

スイレン「カイオーガ!!」

ミスティ「ひっ!!」

スイレン「カイオーガに会ったの!! 本物のカイオーガに!! それで津波に流されたの!! ドバーンって!!」

ミスティ「カ、カイオーガ……!!」


スイレンの話を聞いて、ミスティの顔が蒼ざめていく。


ミスティ「カイオーガに流されたんですか……?」

スイレン「うん。いきなり出てきて、私もクラスメイトも」

ミスティ「ご、ごめんなさい!!」


ミスティは両手を揃え、砂浜でスイレンに向かって土下座する。


スイレン「?」
 ▼ 11 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 20:50:43 ID:zvtL5fU2 [11/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレンはミスティに誘われ、ナツカン島の裏海岸に向かう。その道中、凄まじいほどの雨が降ってきた。


ミスティ「ここです。出てきていいよ」

スイレン「えっ……嘘……」


スイレンが目にしたのは、雨降る海の中から顔を出す、カイオーガの姿だった。


カイオーガ「ガギョルエェェェェ!!!」

ミスティ「し、静かにしないと見つかっちゃう……」

スイレン「ねぇ、これ……」

ミスティ「あの……その……怒らないって約束してくれますか……?」

スイレン「うん。なんとなく内容わかるから」

ミスティ「貴女を海に沈めたのは、この子なんです……」

スイレン「わかってた。でも、カイオーガと友達なんて凄い……!!」

ミスティ「そ、そうですか……?」

スイレン「私ずっとカイオーガに会いたかったの!!」

ミスティ「えっ……」

スイレン「嘘です♪」

ミスティ「……」

スイレン「嘘です♪」

ミスティ「あの……」

スイレン「あっ、今のは嘘の嘘……。つまり本当ってことで……」

ミスティ「そ、そうだったんですか……!? ごめんなさい、気づかなくて……」


慌てふためきながら会話をするスイレンとミスティ。そしてその姿を遠くから眺める、写真を持った女性が一人。


アツミ「あの子は……」
 ▼ 12 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 20:59:40 ID:zvtL5fU2 [12/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
所変わってユズ島。カキとマオは共に流れ着き、島の探索をしていた。


マオ「何もないわね」

カキ「その上寒いし」

マオ「服着ないからでしょ……」

カキ「いや、そうじゃないんだ。なんかこう、冷気みたいな……」

マオ「冷気? まぁ、言われてみれば……」


カキの言葉で聞き、マオも次第に肌寒さを感じるようになる。


マオ「オレンジ諸島って、温暖なんじゃなかったっけ?」

カキ「これじゃ真逆だな」

キアベ「おやおや、まだ人が居たとは……」

カキ「うっ……!!」

マオ「寒っ……!!」


一人の男が現れると同時に、とてつもない冷気がカキ達を襲う。その男は金髪に白いスーツを着た、色白の美少年で、手には氷で出来た薔薇を持っていた。


マオ「だ、誰……?」

キアベ「これはこれは、自己紹介が遅れてしまったね。僕はキアベ。ネクロズマ捕獲チーム・エデンのメンバーにして、美しき氷を司る男さ」

カキ「ネクロズマ……? エデン……?」

キアベ「ま、君達に言ってもわからないか。色黒などという、汚染された種族にはね」

マオ「ちょ、どういうことよ!!」

キアベ「そのままの意味さ。汚染されているから、肌が黒いんだろ? まったく、醜い生き物だ」

カキ「人の容姿を馬鹿にするのは、醜くないのか?」

キアベ「僕は当然のことを言ったまでさ。何故それが醜いと言われるのか、理解に苦しむね」

マオ「むっ……!!」
 ▼ 13 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 21:10:27 ID:zvtL5fU2 [13/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「言っておくが、俺達の肌はアローラの日の光を浴びてきた証。すなわち、アローラの自然で生きてきた象徴だ。それを笑うことは、断じて許さん!!」

キアベ「アローラ……ねぇ。いかにも醜い種族が集まりそうな地名だ」

カキ「貴様……!!」

キアベ「そう睨むな。虫唾が走る。それに君達も、こんな風になりたくないだろ?」


そう言うとキアベは少し横に動き、人を凍らせたような氷の彫像を見せる。


マオ「なにあれ……!?」

キアベ「ジギーとか言ったか? 見た目は悪くなかったが、バトルはてんでお粗末だったな。美しさが欠片も感じられなかった。……はぁ!!」


キアベは鮮やかなソバットで、ジギーを粉砕する。


キアベ「美しくない者に、生きる価値はない。勿論、君達もね」

カキ「どうやら、戦いは避けられないみたいだな」

キアベ「もしかして僕に挑むつもりかい? やれやれ、仕方ない」


キアベが指を鳴らすと、木陰からレジアイス、空からフリーザーが現れる。

2匹が現れた途端、さっきとは比べ物にならないほどの冷気が溢れ出し、島全体を氷漬けにしてしまう。


マオ「グァギ、やゔぁゔぃっでぇ……」

カキ(わかってる……。だが……)


マオは寒さで震え、まともに喋ることが出来なくなり、カキも手が悴んで、モンスターボールを掴めなくなっていた。


キアベ「流石は色黒種族。震える様も醜い」
 ▼ 14 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 21:22:29 ID:zvtL5fU2 [14/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして最後は、ククイ&マーマネペア。2人はオレンジ諸島の島の一つ、リュウチン島に流れ着き、ジムリーダーのルリコにもてなされていた。


マーマネ「この料理凄く美味しいよ!!」

ルリコ「あらあら、嬉しいこと言ってくれるねぇ。じゃんじゃん食べてくんな」

ククイ「すみません。街まで案内してもらったうえに、料理まで……」

ルリコ「気にしなくてもいいさ。こっちは好きでやってるんだから」

ククイ「それにしても、こんないい島なのに、外を出歩く人が全く居ない。何かあったんですか?」

ルリコ「ここ最近、オレンジ諸島では、不思議な現象が相次いでてね……。突然島が凍ったり、津波で沈んじゃったり……」

ククイ「津波……!?」

ルリコ「あんたら、津波で流されたって言ったね。もしかしたら、それかもしれないよ」

マーマネ「カキ達、大丈夫かな……?」

ククイ「マーマネ、友達の心配をするのはいいが、まずは自分の心配だ。カキ達のことは、俺に任せろ」

マーマネ「博士……」

ククイ「ルリコさん、しばらくこの子を頼みます」

ルリコ「わかった。無理するんじゃないよ」


ククイはマーマネをルリコに預け、他の生徒達を探しに行った。


マーマネ「……」

ルリコ「あんたが行っても、事態を大きくするだけだよ。今は先生を信じて待ちな」

マーマネ「……はい」


マーマネはルリコの制止に応じる。忍び寄る影に気づきもせず……。


イリス「さて、一暴れしようかね」
 ▼ 15 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/11 21:35:38 ID:zvtL5fU2 [15/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「……あれ?」


ラティアスの“りゅうせいぐん”を受けたハズのサトシだが、体に傷が無いどころか、全ての“りゅうせいぐん”が消えていた。


???「間に合ったようだな」

サトシ「貴方は……」

アッシュ「テメェ誰だ?」

ユウジ「まさか再び君に会うとは思わなかったよ。サトシくん」

サトシ「ユウジさん……!!」


サトシを助けたのは、オレンジ諸島のヘッドリーダー・ユウジと、そのパートナー・カイリューだった。


ユウジ「サトシくん、カイリューは“はかいこうせん”の反動で動けない。少しの間、君達だけで戦ってくれないか?」

サトシ「わかりました。いくぞピカチュウ」

ピカチュウ「ピカピィカァ!!」

アッシュ「さっきので、くたばってりゃよかったものを。ラティアス“はがねのつばさ”」

サトシ「“10まんボトル”で迎え撃て!!」

アッシュ「パルキア」

パルキア「ベブリュファ!!」


ピカチュウの“10まんボトル”は、パルキアが歪めた空間の中に吸い込まれる。


サトシ「……!?」


サトシが驚いている隙を突いて、ラティアスはピカチュウに鋼鉄の翼をぶつける。


サトシ「ピカチュウ!!」

ネクロズマ「下がってろ!!」

アッシュ「パルキア」


ネクロズマは自慢の“プリズムレーザー”で反撃するが、“10まんボトル”同様パルキアの空間に吸収されてしまう。


ネクロズマ「畜生……」
 ▼ 16 日はここまで◆kDdT4vyqmg 17/10/11 21:50:06 ID:zvtL5fU2 [16/16] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウジ「どうやら、遠距離技は効かないらしいな。カイリュー“こうそくいどう”」


カイリューは目にも留まらぬ速さで、アッシュ達に接近。一瞬で背後に回り込む。


ユウジ「この距離なら、防御出来ないだろ。カイリュー“はかいこうせん”」

アッシュ「やれ」

パルキア「パブリャフレェ!!」


パルキアは攻撃ではなく、カイリュー本体の空間を歪め、サトシ達の目の前に移動させる。


ユウジ「しまった……!!」


気づいた時には既に遅く、カイリューはサトシ達目掛けて“はかいこうせん”を発射。ネクロズマは反動で動くことが出来ず、揃って“はかいこうせん”の餌食となった。


サトシ「あっ……」

ユウジ「くっ……」

アッシュ「一撃でこれか。なかなかやるじゃねぇか。パルキア“あくうせつだん”」


パルキアはカイリューに空間の斬撃を浴びせ、一発でダウンさせる。


アッシュ「ラティアス“でんじは”」


ラティアスはネクロズマに“でんじは”を発動。ネクロズマは自由に動けなくなる。


アッシュ「これでもう抵抗出来ねぇだろ。パルキア、空間を開け。ラティアスは“りゅうせいぐん”でトドメだ」


アッシュはネクロズマを連れ、パルキアの異空間へと移動。サトシ達には置き土産として、大量の“りゅうせいぐん”が贈られた。
 ▼ 17 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 20:11:23 ID:M6mNHFGI [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ククイ「島全体を見てみたが、サトシ達は居なかったな……。ん? あれは……!!」


リュウチン島を1周してきたククイは、何の収穫もないまま、マーマネの待つリュウチンジムに戻ってきた。

そこでククイは、ジムが燃えているのを発見する。炎は既に、ジム全体を覆っていた。


ククイ「マーマネ!!」


ククイが大急ぎでジムの中に入ると、1人の女性と2体のドラゴンが待ち構えていた。


イリス「この炎の中入ってくるなんて、なかなか勇ましいじゃないか」


女性はククイと同年代ほどで、スタイルが良く美人。服装はどこかの民族衣装のようなものを纏っている。

そしてその両隣に佇むは、遠い地の伝説のポケモン・レシラムとゼクロム。


ククイ「マーマネは!? オレンジ髪の子供はどこだ!?」

イリス「あのデブなら、あっちで寝てるよ」


イリスは燃え盛る瓦礫指差す。


ククイ「マーマネェェ!!」


ククイは何の迷いもなく、火の着いた瓦礫を素手で掴み、1つずつ退かしていく。


イリス「嘘に決まってるだろ? レシラム“りゅうのいぶき”」

ククイ「ぐあぁぁぁぁぁ!!!!」


レシラムは背を向けるククイに、虹色の光線を放つ。攻撃は見事に命中し爆発。ククイは上から降ってきた物の下敷きになった。
 ▼ 18 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 20:23:16 ID:M6mNHFGI [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イリス「ここもそろそろヤバそうだね」

アッシュ「イリス」


イリスの後ろの空間に穴が開き、中からアッシュが顔を出す。


イリス「アッシュ、いいトコに来たね」

アッシュ「ネクロズマは捕獲した。ここから出るぞ」

イリス「ガキを1人逃しちゃったけど、どうする?」

アッシュ「気にするな。ガキ1人で何が出来る」

イリス「それもそうだね。さ、行きましょ」

アッシュ「あぁ。パルキア」

パルキア「パブリュエヒガ」


パルキアはイリスが空間に入ったのを確認して、穴を塞いだ。


ククイ「マーマ……ネ………」


一方、逃げた子供はというと……。


マーマネ「どどどどうしよう……。ルリコさん死んじゃったよ………」

トゲデマル「マチュチュ……」


ルリコはマーマネを庇って死亡。それを見たマーマネは、恐怖のあまり逃げ出してしまったのだ。


マーマネ「また彼奴が来るかもしれない……。ククイ博士に知らせなくちゃ……!!」


そのククイが現場に居るとも知らず、マーマネはリュウチン島を駆け巡る。
 ▼ 19 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 20:31:57 ID:M6mNHFGI [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「くっ……」


カキは依然、モンスターボールを掴めないでいた。


キアベ「氷はいいよね。どんなに醜いものでも、凍ってしまえば美しくなるのだから」

カキ「アローラの炎を……舐めるなぁぁぁあ!!!!」

キアベ「……!!」


カキは燃ゆる闘志で寒さを克服し、力いっぱいモンスターボールを掴んで放り投げる。


カキ「いけ、バクガメス!!」

バクガメス「ガメェス!!」

キアベ「やはり色黒種族は、使うポケモンも醜いな」

カキ「お前はアローラを馬鹿にし、俺の友達を馬鹿にし、俺のパートナーも馬鹿にした。俺はお前を、絶対に許さない!!」

キアベ「許さなくて結構さ。僕も君達の醜さを、許す気はないからね」

カキ「バクガメス“ダイナミックフルフレイム”」


カキは炎のZポーズを決め、最強の炎技“ダイナミックフルフレイム”を発動。しかし、火球はキアベに辿り着く前に消えてしまう。


カキ「なに……!?」

キアベ「炎使いとは、つくづく運がなかったね。全ての炎技を無効化する。それが僕の持つ“絶対氷域(グラースパーム)”の力さ」

カキ「“絶対氷域(グラースパーム)”……だと?」

キアベ「真に美しき者のみが、持つことを許される力だよ。さらに“絶対氷域(グラースパーム)”は、氷の力を倍以上に引き出し、氷タイプ以外のポケモンを弱体化させることが出来るのさ!!」


キアベの“絶対氷域(グラースパーム)”により、周囲はより一層寒さを増し、カキ達の足元は凍りついていく。
 ▼ 20 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 20:45:51 ID:M6mNHFGI [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「なっ……くそっ!!」

キアベ「無駄だよ。君のような醜い種族に、美麗なる氷の鉄鎚から逃れる術はない」

カキ「バ、バクガメス……“かえんほうしゃ”だ……」

キアベ「させると思うかい? フリーザー“ふぶき”」


フリーザーが翼をはためかせると、激しい吹雪が吹き荒れ、バクガメスを氷漬けにする。


カキ「バクガメス!!」

キアベ「少しは自分の心配をしたらどうだい?」

カキ「俺は……俺は決して諦めない!! たとえバクガメスが倒れようと、この身が滅びようと、絶対に勝負を投げ出したりしない!! それが、アローラで生まれ育った者の宿命だぁ!!」

キアベ「消えろ」


キアベの眼光により、カキは完全に凍結。天に向かって叫ぶ男の、光輝く氷の彫像が出来上がった。


マオ「グァギ……」

キアベ「さて、色黒種族。次は君の番だ。ん?」


マオを氷漬けにしようとするキアベだが、どこからか甘い匂いが漂っているのに気づく。


キアベ「なんだ? この匂いは……?」

アママイコ「アンマァイ!!」

キアベ「うあっ!!」


アママイコは“あまいかおり”で奇襲に成功。しかし、すぐさまレジアイスの“ぜったいれいど”で凍らされてしまう。


キアベ「おのれ……よくも………!!」


キアベはマオを凍らせようとするが、そこには凍った2足の靴しかなく、マオの姿はどこにも見当たらなかった。


キアベ「色黒種族のくせに、運のいいヤツめ……。まぁいい。こっちには、人質もポケ質も居るんだからな」
 ▼ 21 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 20:53:08 ID:M6mNHFGI [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「アシマリ、バルーン」

アシマリ「アォウ!!」

ミスティ「スゴい……」


スイレンとミスティは、ナツカン島の裏海岸で遊んでいた。


ミスティ「カイオーガも出来るかな……?」

スイレン「多分、カイオーガは無理だと思う」


そんなことを話していると、スイレン達より年上と思われる1人の女性がやってくる。


アツミ「ねぇ、そこの貴女」

ミスティ「えっ……私ですか……?」

アツミ「えぇ、そうよ。そのカイオーガ、貴女の?」

ミスティ「あっ……!! い、いや……この子は……えっと……」

アツミ「この写真に写ってるの、貴女よね?」


アツミが持ってきた一枚の写真には、ミスティとカイオーガの姿が写っていた。


ミスティ「あわわ……」

アツミ「私の独断で空から撮影したものよ。近頃、津波と豪雨で島が消える事件が起きててね。それを調べるために、特殊な機械で撮影した結果、貴女とカイオーガが写ってたってわけ。因みに、後日この島は無くなったわ」

スイレン「ちょっと待って!! ミスティが犯人なわけない!!」

ミスティ「そ、そうです……!! 私はカイオーガを遊ばせてただけで、島を消すなんて……」

アツミ「カイオーガは伝説のポケモン。そんなのが力を使えば、こんな小さな島、あっという間に海の藻屑になるわよ」

ミスティ「そ、そんな……」

アツミ「オレンジ諸島のジムリーダーとして、見逃すわけにはいかないわ。そのカイオーガを保護させてもらう」


アツミはモンスターボールを2つ投げ、カメックスとキングドラを繰り出す。
 ▼ 22 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 21:03:21 ID:M6mNHFGI [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミスティ「嫌だ……。カイオーガとお別れなんて……」

アツミ「まずは動きを封じるわよ。カメックス、キングドラ“れいとうビーム”」

ミスティ「カメックス、キングドラ……やめて!!」


ミスティが叫ぶと、カメックスとキングドラは攻撃をやめる。


アツミ「な、何やってるのよ……!! 早くカイオーガを……」

ミスティ「“れいとうビーム”」

アツミ「あっ……あうっ……」


カメックスとキングドラは、ミスティの指示に従い、自分達のトレーナーであるアツミを氷漬けにしてしまう。


スイレン「ミ、ミスティ……」

ミスティ「私……この人嫌い……。こんな人に……水ポケモンを持つ資格無い!! カメックス“ロケットずつき”」

カメックス「カンメェ!!」


カメックスは頭を甲羅に収め、氷漬けになったアツミに飛び掛かり、頭突きで粉砕する。


ミスティ「ありがとう、カメックス」

スイレン「どう…なってるの……?」

ミスティ「私が水ポケモンを想う気持ちが、この子達に届いたんです。だからこの子達は、あの人より私を選んでくれたんです」


事態を頭の中で整理出来ず、その場で立ち尽くすスイレンとは逆に、ミスティは満足そうな顔で、カメックスの甲羅を撫でる。


ミスティ「初めてです。アッシュ達以外の人に、心を許せたのは……。スイレン、私達なら絶対世界中の水ポケモンを幸せに出来ますよ」


ミスティはスイレンに手を伸ばし、仲間になるよう勧めてくる。
 ▼ 23 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 21:15:58 ID:M6mNHFGI [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「ごめん……無理……。私は貴女の行為を見過ごせない」

ミスティ「……!? なんで……? 私達友達ですよね……?」

スイレン「友達だから言ってる。人のポケモンを奪って、水ポケモンで殺人なんて……。ポケモン達が可哀想!!」

ミスティ「悪いのはあの人です!! カイオーガの件も事故ですし、私にもポケモン達にも責任はありません!!」

スイレン「お願い、目を覚まして!!」

ミスティ「黙れ!! アシマリ、バルーン」

スイレン「なっ……!! アシマリ!!」


アシマリはカメックス達同様、トレーナーではなく、赤の他人のミスティに従い、スイレンをバルーンの中に閉じ込めた。


ミスティ「スイレン、カイオーガが好きって言ってましたよね? だから最期は、カイオーガの力で沈めてあげます……!! カイオーガ“なみのり”」

カイオーガ「ギャデュブリェェェェェェ!!!!!」


ミスティはポケモン達を連れ、カイオーガの口の中に入って“なみのり”を指示。カイオーガは指示通り津波を起こし、島諸共スイレンを海に沈めてしまう。


ミスティ「楽しかったよ……スイレン」

アシマリ「アォ……」

ミスティ「アシマリ、悲しいのは私も同じ。でもスイレンは、私の誘いを断った。死んで当然だよね?」

アシマリ「アゥ!! アゥ!!」

ミスティ「だよね……。ありがとう、アシマリ!!」


ミスティは笑顔で拍手するアシマリを、力一杯抱き締めた。


ミスティ「スイレン、心配しないで。アシマリは私が責任持って育てるから。だから天国で見護っててね」
 ▼ 24 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 21:49:24 ID:M6mNHFGI [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ブロック「するとケンタロスは怒って、アッシュのケツに千年殺しをぶち込んだんですよ。アッシュのヤツ物凄く痛がって、もう顔もこんな感じに……」

リーリエ「ふふふ。なんですかそれ」


最初は少しブロックを不審がっていたリーリエだが、話すうちに心を開き、今では談笑出来るほどに仲良くなっていた。


リーリエ「ふふっ……。笑い過ぎて、お腹痛いです……」

ブロック「楽しんでもらえてなによりです。他にも、ポケモン大好きホームレスのリリーの話とかありますが……今日はここで御開きのようですね!!」


ブロックは後ろから飛んできた“シャドーボール”を片手で掴むと、軽く拳に力を入れて握り潰す。


グラジオ「“シャドーボール”を破壊するとは、本当に人間か?」

リーリエ「お兄様!? それにブラッキーも……」

ブロック「お兄様……か。悪いが、俺達の愛の巣に入ってこないでくれないか?」

リーリエ「あ、愛の巣……?」

グラジオ「リーリエ、今すぐそいつから離れろ!! 恐らくそいつは……」

ブロック「あまり余計なことは、喋らない方がいい。お前だって長生きしたいだろ?」

グラジオ「……!?」


ブロックはグラジオが瞬きした瞬間に、彼の背後に回り込み、手刀を首筋に近づけて脅す。

しかしグラジオが驚いたのはそこではなく、ブラッキーがモンスターボールに戻されていることだった。


グラジオ(瞬きは一瞬。その間にブラッキーを……)

ブロック「リーリエちゃん、ここはお兄さんに従った方がいい。この場から離れて、島の人達にでも保護してもらいなさい」

リーリエ「わ、わかりました……」


リーリエはシロンを抱え、砂浜から小走りで去る。
 ▼ 25 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/12 22:03:20 ID:M6mNHFGI [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラジオ「そのスピードとパワー、死体の山を作ったのはお前だな?」

ブロック「どうしてわかった?」

グラジオ「臭いだよ。お前の全身からは、人間の血の臭いがする」

ブロック「鼻が良いんだな。一応、海で血も臭いも落としたつもりだったんだが……」

グラジオ「まさか。気づいたのは、俺じゃない。……彼奴さ」

ブロック「……!!」


ブロックの右肩に衝撃が走る。後ろに目をやると、真夜中の姿をしたルガルガンが、彼の右肩に噛みついていた。のだが……。


ルガルガン「ガゥ……」

グラジオ「ルガルガン!?」


何故か、攻撃したハズのルガルガンがダメージを受ける。


グラジオ「貴様……!!」

ブロック「言っておくが、俺は何もしてないぞ。ただ、お前のルガルガンが噛みついてきて、勝手に歯を折っただけだ」

グラジオ「化け物め……!! だったら、これはどうだ!?」


グラジオはブロックから距離をとり、左腕に巻いたZリングを構える。


グラジオ「蒼き月のZを浴びし岩塊が今、滅び行く世界を封印する!! ワールズエンドフォール!!」

ルガルガン「グワオオォォォォォォ!!!!」


ルガルガンは天高く跳び上がり、ブロックの真上に巨大な岩塊を作り出す。


ブロック「お前、Zワザ使いだったのか」

グラジオ「ふっ、今更気づいたか。だが、もう遅い!!」


岩塊は少しずつスピードを上げ、ブロック目掛けて落ちる。しかし、ブロックは一切避けようとはせず、その場に立ち尽くしていた。
 ▼ 26 日はここまで◆kDdT4vyqmg 17/10/12 22:13:23 ID:M6mNHFGI [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グラジオ「Zワザに臆したのか、はたまた余裕を見せていたのかは知らんが、あの場から動かなかったのが、お前の運の尽きだったな」

ブロック「ふぅ、危ない危ない」

グラジオ「!!?」


岩塊に押し潰されたハズのブロックが、気絶したルガルガンを抱え歩いてくる。


グラジオ「バカな……」

ブロック「なかなかの技だったな。この俺に拳1つ使わせるとは。ほれ、お前のポケモン」


ブロックは片手で、ルガルガンをグラジオの足下に投げ捨てる。


グラジオ「岩のZワザを、片手だけで……。こいつは人間のハズ……」

ブロック「別に驚くことじゃないだろ? 俺の仲間のアッシュってヤツも、これくらい普通に出来るぞ」

グラジオ「この…………化け物めぇぇぇ!!!」


ヤケになって殴りかかるグラジオだが、あっさり手を握られ、動けなくなってしまう。


グラジオ「このっ……離せ!!」

ブロック「往生際の悪いヤツだ。ふんっ!!」

グラジオ「あっ……!!」


ブロックはグラジオの拳を、掴んだ手でバギバキに握り潰す。


グラジオ「うっ……あぅ……」

ブロック「まだ立てるか。その勇姿に免じて、命だけはとらないでやろう。はぁ!!」


ブロックは上段回し蹴りで、グラジオの顎を蹴り上げ気絶させる。


ブロック「お前はまだまだ伸び代がある。もっと強くなってから、もう一度挑みに来な」


ブロックはグラジオを置き去りにし、その場を離れた。
 ▼ 27 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/13 20:19:20 ID:BKzkXEdE [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ達が謎の集団に敗れ去る中、カンキツ島のリーグスタジアムでは、2人と2匹が観客席で暇を潰していた。


ムサシ「御煎にキャラメル〜!!」

コジロウ「ジュースにお弁当もいかがっスか〜?」

ニャース「大会限定缶バッジもあるのニャ!!」

ソーナンス「ソーナンス!!」


売り子の格好でバイトしているのは、サトシの宿敵ロケット団。いつもはサトシのピカチュウを狙って襲撃してくるのだが、今回はたまたまバイト先がオレンジ諸島だったらしい。

しかし、ロケット団がバイトする会場には、観客どころか人っ子一人居なかった。


ムサシ「んあぁぁぁ!!! どうなってんのよ!! 観客なんて、1人も居ないじゃない!!」

コジロウ「おっかしいなぁ……。日時と場所は、会ってるハズなんだが……」

ニャース「あのカイリュー使いも居ないのニャ」

ソーナンス「ソーナンス!!」

ムサシ「あ〜、もうやってらんないわ。こんなバイト辞めて、撤収よ撤収」

コジロウ「撤収って言われても、まだ帰りの船来てないぞ」

ニャース「こういう肝心な時に限って、キテルグマが居ないのニャ」

???「ここでいいだろ」

ロケット団「!?」


何者かの声を聞き、ついいつもの癖で隠れるロケット団。彼らが物陰から見たのは、異空間から出てくるアッシュとイリスの姿だった。


イリス「ブロック達は呼ばなくていいのかい?」

アッシュ「彼奴らなら、無事に帰ってくるだろ。それに今は、こいつを大人しくさせないとな」


アッシュは先程倒したネクロズマを右手で掴み、地面に叩きつけて、右足で踏みつける。
 ▼ 28 ルット@ものしりメガネ 17/10/13 20:20:10 ID:5VjlTUNM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アッシュってサトシの英語名だよね?
 ▼ 29 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/13 20:53:02 ID:BKzkXEdE [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネクロズマ「おの……れ…」

イリス「仕方ないね。ほらネクロズマ、私の眼を見てごらん」


イリスはネクロズマの顔を、両手で優しく挟んで固定し、無理矢理眼を合わせる。

眼を合わせたネクロズマは、ヤンデレヒロインのように、眼の光を失っていく。


イリス「洗脳完了」

アッシュ「お疲れさん。で、お前らは何の用だ?」

ロケット団「!!!」


バレてることに気づいたロケット団は、物陰から出て整列する。


ムサシ「わ、私達バイトの人で〜」

コジロウ「たまたまここに来てたんです。なんでも、カイリュー使いのヘッドリーダーが、ここで試合をするらしくて……」

アッシュ「カイリュー使い……?」

イリス「アッシュ、どうかしたのかい?」

アッシュ「別に。ネクロズマを捕獲する時に倒したのが、カイリュー使いだっただけだよ。マサラタウンのサトシとか言う、アホ面のガキも居たな」

ロケット団「えっ!?」

アッシュ「なんだ?」

コジロウ「い、いや……。マサラタウンのサトシって……」

ムサシ「まさかピカチュウ連れてたりなんて……」

アッシュ「そういえば居たな。あのクソザコピカチュウ。ま、トレーナーの出来が悪いし、当然と言えば当然だな」


ロケット団は、アッシュがピカチュウを倒したということを察する。


アッシュ「あっ、そうだバイトくん。こんな状態だと給料貰えないだろうし、代わりに俺の頼みを聞いてみないか?」

ロケット団「頼み……?」

アッシュ「あぁ。人を連れてくるだけの、簡単な仕事さ」
 ▼ 30 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/13 20:53:33 ID:BKzkXEdE [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>28
はい、そうです。
 ▼ 31 ンダース@ガオガエンZ 17/10/13 20:54:13 ID:A9Ol7N8A NGネーム登録 NGID登録 報告
そういえば「キアベ」はカキの…
どういう事だろく
 ▼ 32 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/13 21:08:43 ID:BKzkXEdE [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエ「あの……誰か……きゃっ!!」


島の住民を探していたリーリエは、何か柔らかいものにぶつかり、後ろに倒れる。


ウチキド「あら? 大丈夫?」


倒れたリーリエに手を差し伸べたのは、ハイレグ水着の上に白衣を着た、ナイスバディな女性だった。


リーリエ「こ、この島の人ですか……?」

ウチキド「私はダイダイ島のウチキド。ポケモンの生態を研究してるの」

リーリエ「は、はぁ……」

ウチキド「その口振りだと、オレンジ諸島の人じゃないみたいね」

リーリエ「はい。友達とここに来る途中、カイオーガに襲われて……」

ウチキド「わかってるわ。貴女に合わせたい子達が居るの。ちょっと来てくれる?」


リーリエはウチキドに誘われ、ダイダイ島にある研究所までやってくる。


ウチキド「ちょっと散らかってるけど、気にしないでね」


研究所の中は散らかっており、碌に足の踏み場も無い。お嬢様のリーリエからすれば驚くべき光景なのだが、部屋の奥にはもっと驚くべき光景が待っていた。


リーリエ「えっ……」

サトシ「おっ、リーリエじゃん。アローラ」

マオ「ふぇ〜ん!! リーリエ!!」


部屋の奥には、頬にガーゼを貼ったサトシと、泣きながら抱きついてくるマオ、ベッドで眠るスイレンの姿があった。


リーリエ「マオ、スイレン、サトシ……よかった………」


仲間の無事を確認し、リーリエも涙を流す。しかし同時に、部屋に居ない3人の存在に気づく。


リーリエ「カキは……? マーマネは? ククイ博士は?」

マオ「ごめんなさい……ごめんなさい……!!」


マオはその場で泣き崩れるが、リーリエには何が何だかさっぱりわからなかった。


ウチキド「私から説明するわ」
 ▼ 33 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/13 21:25:06 ID:BKzkXEdE [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウチキド「まず、最初に発見したのはスイレンちゃん。研究所の前まで流されてきて、既に意識は無かったわ」

リーリエ「スイレン……」

サトシ「モンスターボールを開けてみたけど、アシマリは居なかった」

ウチキド「次に発見したのがサトシくん。ユウジさんから連絡が入って、カンキツ島に行ってみたら、ボロボロになってるユウジさんと、その下敷きになってるサトシくんを見つけたのよ」

リーリエ「ユウジ……さん?」

ユウジ「私だ」

リーリエ「うわっ!!」


ユウジは包帯だらけの体で登場する。


サトシ「あの時ユウジさんが庇ってくれなかったら、俺今頃死んでましたよ」

ユウジ「あはは、大袈裟だな。流石に、“りゅうせいぐん”くらいじゃ人間死なないよ。それにしても、携帯が無事でよかった。危うく、サトシくんに運ばせるところだったよ」

ウチキド「そして最後に見つけたのが、このマオちゃん。ユズ島で走ってるところを発見したの」

マオ「カキ……アママイコ……」

ウチキド「どうやら、友達とポケモンを置いてきちゃったみたいでね。精神的に、かなり参ってるわ。それに、足にしもやけも見られるし……」

マオ「私はいいんです。もう慣れましたし……。でも、カキとアママイコは……」

リーリエ「一体、誰がこんな酷いことを……」

マオ「エデン……。カキを倒したヤツは、そう言ってた。ネクロズマ捕獲チームだって……」

サトシ「ネクロズマ!?」

リーリエ「サトシ、知ってるんですか?」

サトシ「あぁ。俺達が戦ったアッシュってヤツが、連れ去ったポケモンだよ」

リーリエ「アッシュ……」

サトシ「知ってるのか!?」

リーリエ「ここに来る前に話してた人が、口にしていた名前です……。確か、ブロックって人で……。はっ……!! お兄様!!」

サトシ「グラジオ? この島に来てるのか?」

リーリエ「大変です!! お兄様は今、ブロックさんと一緒に……」

ユウジ「だとすれば、もう手遅れだろうな。アッシュの仲間ってだけで、勝てないのが目に見えている」

リーリエ「そんな……」
 ▼ 34 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/13 21:35:27 ID:BKzkXEdE [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウチキド「なるほどね。ネクロズマが関係してるとすれば、そのエデンって人達の目的も想像がつくわね」

サトシ「え?」

ウチキド「リージョンフォームのポケモンを探してアローラに来た時、こんな話を聞いたことがあるの。ネクロズマは別世界のポケモンで、死者を蘇らせる力がある……と」

リーリエ「し、死者を……」

ユウジ「だとすれば、ヤツらの目的は死者の復活。人間かポケモンか知らないが、誰かを意図的に生き返らせようとしている」

サトシ「それでネクロズマを……」

リーリエ「で、でも……それならいいのでは? このままネクロズマが攫われても、人が生き返るだけ。寧ろ喜ばしいことじゃないですか。このまま何もせず交渉すれば、誰も傷つかずに……」

ウチキド「それが、そういうわけにはいかないのよ。ネクロズマの死者蘇生には、何十人という生贄の血が必要になるわ」

ユウジ「ここ最近起きてる連続殺人は、儀式の生贄を集めるためか」

サトシ「連続殺人……!?」

ユウジ「島が海に沈んだり、住民が全身の骨を折られて死んでいたり、不思議な事件が後を絶たなくてね」

ウチキド「それをやったのは、間違いなくエデンと考えるべきね」

マオ「そんな……カキ…」

ユウジ「そのカキという子も心配だが、問題はもう1人の……」

リーリエ「マーマネ……」

サトシ「ククイ博士が付いてればいいんだけど……」

ウチキド「場合によっては、生贄にされる可能性があるわ」

ユウジ「俺が探してきます。カイリューに乗ればすぐだ」

サトシ「俺も!! マーマネなら一目でわかるし、グラジオのことも気になるから」

ユウジ「わかった。では行くぞ」


ユウジは包帯を外し、サトシと共にマーマネの捜索に向かう。
 ▼ 35 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/13 21:50:47 ID:BKzkXEdE [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マーマネ「もうダメ……。走れないよ……」


ククイと入れ違いになったとも知らないマーマネは、トゲデマルと一緒にリュウチン島を走り回り、ヘトヘトになっていた。


マーマネ「トゲデマル、ちょっと休憩……」

???「見つけたわよ!!」

マーマネ「ひっ、またあの女が……!!」

ムサシ「ひっ、またあの女が……!! と言われたら」

コジロウ「聞かせてあげよう。我らが名を」

ムサシ「花顔柳腰、羞月閉花。儚きこの世に咲く一輪の悪の華、ムサシ」

コジロウ「飛竜乗雲、英姿颯爽。切なきこの世に一矢報いる悪の使徒、コジロウ」

ニャース「一蓮托生、連帯責任。親しき仲にも小判輝く悪の星、ニャースでニャース」

ムサシ・コジロウ「ロケット団参上!!」

ニャース「なのニャ」

ソーナンス「ソーナンス!!」

マーマネ「なんだ……。ロケット団か……」

ニャース「なんだって、なんニャ!!」

マーマネ「いや、てっきりあの女が追ってきたのかと……」

ムサシ「誰のことか知らないけど、一緒に来てもらうわよ!! いっけぇ、ミミッキュ!!」

ミミッキュ「ケケェ」


ゴージャスボールから出てきたのは、ピカチュウそっくり(?)なポケモン・ミミッキュ。サトシのピカチュウに引けを取らないバトルセンスを持っている。


マーマネ「や、やるしかないのか……。トゲデマル“びりびりちくちく”」

ミミッキュ「ケッケケェ!!」


雷を纏って特攻するトゲデマルだが、ミミッキュの“ウッドハンマー”でワンパンKOしてしまう。


マーマネ「ト、トゲデマル……!!」

ムサシ「観念するのね」

???「待てぇ!!」
 ▼ 36 日はここまで◆kDdT4vyqmg 17/10/13 22:05:26 ID:BKzkXEdE [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロケット団「ん?」

ユウジ「カイリュー“アイアンヘッド”」

ミミッキュ「クケェ……!!」


カイリューは降下しながら、ミミッキュに“アイアンヘッド”を決め、その瞬間にユウジとサトシはカイリューから飛び降りる。


マーマネ「サ、サトシ……!!」

ユウジ「おや? お前達どこかで……」

サトシ「ロケット団、またお前達か!!」

コジロウ「おい、彼奴……。カイリュー使いのヘッドリーダーじゃないか?」

ムサシ「ちょっとアンタ!! なに今日の試合放棄してんのよ!! お陰で、バイト代貰えなかったでしょ!!」

ユウジ「試合は中止すると、1週間以上前から告知されているが、聞いてないのか?」

ムサシ「んなモン、聞いてないっつーの!! えぇい、ミミッキュ!! ピカチュウ居るんだから、じゃんじゃんやっちゃいなさい!!」

ミミッキュ「クケッ……? ケケケェ!!」

ユウジ「カイリュー“かみなり”」


ピカチュウを見て本気になったミミッキュだが、カイリューの“かみなり”で返り討ちにされる。


ムサシ「ミミッキュ!?」

ユウジ「お前達と遊んでる暇は無い。カイリュー“はかいこうせん”」

カイリュー「カアァァァイリュゥゥゥウウ!!!」


カイリューは口内にエネルギーを溜め、ロケット団に向けて放つ。攻撃を受けたロケット団は、いつもの如く空に吹っ飛んでいった。


コジロウ「あれ? そういえば、キテルグマ来ないな」

ムサシ「ってことは、これってもしかして……」

ニャース「久々の〜」

ロケット団「やなかんじ〜!!」

ソーナンス「ソーナンス!!」


ロケット団は声高らかに叫び、星となって消えた。
 ▼ 37 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 20:46:24 ID:0xsSI81o [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロケット団が昼空を彷徨っている頃、エデンのメンバーはリーグスタジアムに集合していた。


イリス「おやおや、随分なモン持ち帰ったもんだね」

ミスティ「私の新しい友達。アシマリ、挨拶して」

アシマリ「アォ」

キアベ「色黒種族の彫像だ。よく出来てると思わないかい?」

アッシュ「そのアママイコは?」

キアベ「もう1匹の色黒種族が持っていたものだ。ポケ質として使えると思ってね」

アママイコ「アマイ!! アマイ!!」


キアベが頭の葉を掴んでいるため、逃げようにも逃げられない。


キアベ「チッ、色黒種族の手持ちのくせに……。暴れてんじゃねぇよ!!」


キアベはアママイコから手を離すと、つま先で思いっきり蹴りを入れる。


アママイコ「アッ……ムァ…」

アッシュ「落ち着け」

キアベ「すまない。僕としたことが……」


キアベは我に返り、両手でスーツの襟元を整える。


アッシュ「で、何も無いのはブロックだけか」

ブロック「俺が無事に生きてることが、最大のプレゼントさ」

アッシュ「24時間365日、ずっとプレゼント貰ってるわけか。幸せ者だなおい」


アッシュとブロックは、互いに笑顔を向け合う。


アッシュ「さて、時間が惜しい。儀式を始めるぞ」

キアベ「任せたまえ。世界一美しい魔法陣を描いてみせようじゃないか」

ブロック「俺は血を運んでくる」

ミスティ「私はアシマリと遊んでます」

アッシュ「おい」
 ▼ 38 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 21:00:56 ID:0xsSI81o [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロケット団の魔の手からマーマネを救ったサトシ達は、マーマネを連れてウチキド研究所に帰ってきた。


リーリエ「マーマネ、無事だったのですね!!」

マーマネ「うん。ただいマーマネ、おかえリーリエだよ」

マオ「ククイ博士は……?」

マーマネ「それが、全然見かけないんだ。もうリュウチン島を出たのかな?」

スイレン「……っ」

リーリエ「スイレン?」

スイレン「リー……リ…わぁ!!」


意識を取り戻したスイレンは、フラついてベッドから落ちる。


リーリエ「だ、大丈夫ですか?」

スイレン「う、うん……。……はっ!! アシマリ……!! アシマリは!?」

ウチキド「残念だけど、貴女を見つけた時にはもう……」

スイレン「ミスティ……なんで………」

サトシ「ミスティ……?」

スイレン「カイオーガのトレーナー。アシマリ連れてかれちゃった……」

サトシ「アシマリが!?」

リーリエ「確かブロックさんとの会話に、ミスティという名が出た気が……」

スイレン「友達だったのに……。ミスティ……アシマリ………」


スイレンはナツカン島での出来事を思い出し、俯いて涙を流す。


サトシ「大丈夫だ。アシマリは絶対取り戻す」

マーマネ「でも、どうするの? 敵がどこに居るかもわかってないのに」

リーリエ「お兄様もククイ博士も、それにカキだって居場所がわかりません」

ユウジ「こうなったら、私が空から探すしかないな。その人達の特徴を教えてくれ」

リーリエ「お兄様は私と同じ髪色で、服は黒で統一しています」

マーマネ「ククイ博士は半裸で白衣を着てます」

サトシ「カキは半裸です」

ユウジ「わかった。では、行ってくる」
 ▼ 39 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 21:19:23 ID:0xsSI81o [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アッシュ「さぁ、始めようか」


アッシュ達は魔法陣の中心に十字形の木を刺し、それにネクロズマを磔にする。


ブロック「アッシュ、血だ」

アッシュ「ご苦労さん」


ブロックが持ってきたのは、大量の血液が入った巨大なタンクだった。


ミスティ「いつ見ても大きいですね……」

イリス「ブロックの逸物より大きいんじゃない?」

ミスティ「い、逸物……///」

イリス「ふふっ、子供ね」

アッシュ「儀式を始めるぞ。ŽQÆ˜b‹IŒ³‘O617”N‘OƒuƒŠ[ƒðŽó‚¯‚ăiƒM‚½‚„†ˆŠ ԖځEƒÌƒCƒÄ―ˆ‚…………」


アッシュがネクロズマに手をかざし、不思議な言葉を唱える。ネクロズマは次第に苦しみ出し、身体から黒い気を放出する。


ネクロズマ「ぐっ……があぁぁぁぁぁ!!!」

ミスティ「だ、大丈夫なんですか……?」

イリス「危険な儀式だけど、アッシュなら大丈夫さ。彼奴の並外れた身体能力と精神力なら……」

???「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 誰か助け……」

ブロック「アッシュ!! 危な……」


何者かが空から降ってきて、儀式中のアッシュとネクロズマに激突する。


アッシュ「な、なんだ……?」

ムサシ「な、なんだ……? と言われたら」

コジロウ「聞かせてあげよう。我らが名を」

イリス「あんた達、確かバイトの……」

ムサシ「あれ? ここってスタジアム?」

コジロウ「ってことは、戻ってきたのか?」

イリス「あんた達!! あのデブはどうなったんだい!?」

コジロウ「あっ、いや……それが………」

ニャース「邪魔が入ってしまいましてニャ……」
 ▼ 40 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 21:34:18 ID:0xsSI81o [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネクロズマ「ふぅ……。危ねぇトコだったぜ」

イリス「ネクロズマ……!?」


磔にされていたネクロズマが、何食わぬ顔で起き上がる。

どうやらロケット団がぶつかった際に、磔にしていた木が折れ、同時にイリスの洗脳も解けたようだ。


ネクロズマ「たっぷり御礼させてもらうぜ。……ルァ!!」


ネクロズマは“チャージビーム”を撃ち、血液の入ったタンクを破壊する。


ブロック「しまった!! タンクが……」

ネクロズマ「あばよ」


シロガネ山の時と同様、地面に“プリズムレーザー”をジェット噴射し、ネクロズマはエデンから逃げる。


アッシュ「クソが……。逃すか……!! うっ……」


ネクロズマを追おうとしたアッシュは、激しい頭痛に襲われ地面に膝をつく。


ブロック「アッシュ!!」

アッシュ「俺の心配はいい……。それより、早くネクロズマを捕まえろ!!」

ブロック「あ、あぁ……」

アッシュ「そしてテメェら……」

ムサシ「な、なんかヤバそうじゃない……?」

ニャース「こうなったら……」

ロケット団「逃げる!!」

アッシュ「追え!! ブロックは3バカトリオ、他はネクロズマだ!!」

ブロック「おう!!」

キアベ「フリーザー、ネクロズマを追うよ」

イリス「ゼクロム、頼むわよ。ミスティ、あんたはレシラムに乗んな」

ミスティ「は、はい……!!」


ブロックは走ってロケット団を追い、キアベはフリーザー、イリスはゼクロム、ミスティはレシラムに乗ってネクロズマを捜索する。


アッシュ「パルキア、俺達も行くぞ」

パルキア「パギャリア!!」
 ▼ 41 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 21:48:27 ID:0xsSI81o [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ネクロズマ捜索班の3人は、すぐにネクロズマを見つけ出す。


ネクロズマ「チッ、しつけぇ奴らだ」

ミスティ「あれ? “プリズムレーザー”って反動付きなんじゃ……」

キアベ「恐らく、反動を克服したんだろうね」

ネクロズマ「へっ、その通りだよ!!」


ネクロズマは体の向きを逆にして、レシラムに突っ込み衝突する。


ミスティ「きゃっ!!」


レシラムはなんとか空中で体制を立て直したが、ミスティはレシラムから手を離し落ちてしまう。


イリス「ミスティ!!」

ミスティ「アシマリ、バルーン!!」


アシマリは巨大なバルーンを作り、落下速度を減速させる。


ミスティ「こっちは大丈夫です!! 先に行ってください!!」

イリス「わかった」

キアベ「気をつけなよ」


イリスとキアベは、空中にミスティを残し、ネクロズマを追いかける。


イリス「レシラム“りゅうのいぶき”」

ネクロズマ「うおりゃあぁぁぁ!!!」


“りゅうのいぶき”と“プリズムレーザー”がぶつかり合い、空の上で大爆発を起こす。


ネクロズマ「ぐおっ……!!」


ネクロズマは無理が祟り、少し離れた島に墜落する。


イリス「あそこだ。いくよ!!」

キアベ「ん? なんだいアレ……?」

イリス「アレって、どれ……」

ユウジ「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
 ▼ 42 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 21:57:05 ID:0xsSI81o [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イリス「カイリュー!? 彼奴まさか……」

ユウジ「カイリュー“ドラゴンダイブ”」

イリス「ゼクロム“クロスサンダー”」


今度はカイリューとゼクロムの技が激突。互いの力は拮抗し、遂には爆発を起こして両者揃って地に落ちる。


キアベ「仕方ない。僕達だけでもネクロズマを追おう」


唯一残されたキアベは、目的達成のためにネクロズマが落ちた島に向かう。


イリス「……っ!! ゼクロム、大丈夫かい!?」

ゼクロム「ガゥ……」

イリス「あんたはよくやってくれたよ。心置きなく休んでくんな」


イリスはゼクロムをモンスターボールに戻す。


イリス「流石はヘッドリーダーってトコかね? でも、そっちだって虫の息だろ?」

ユウジ「あぁ、そうだ。だが、こいつはカイリューじゃないぞ」

イリス「なに……!?」

ユウジ「な、メタモン」

メタモン「モンモン……」


メタモンは“へんしん”を解除し、目を回して倒れる。


ユウジ「そしてこっちが、お待ちかねのカイリューだ」

カイリュー「カイィ」

イリス「いいじゃないか。この際だから、あんたの血を儀式に使わせてもらうよ!!」

ユウジ「いいぞ。その代わり、私に勝てたらな!!」

イリス「いけ、レシラム」

ユウジ「やるぞ、カイリュー」
 ▼ 43 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 22:11:09 ID:0xsSI81o [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イリス「“クロスフレイム”」

ユウジ「“れいとうビーム”だ」


レシラムの炎はカイリューの冷気を打ち消し、辺り一面を焼け野原に変える。


ユウジ「くっ、これが伝説のポケモンの力か……」

イリス「それだけじゃないさ。“クロスフレイム”は“クロスサンダー”の後に使うと、威力が倍増するんだよ」

ユウジ「なるほど。ゼクロムの戦いを無駄にはしない……というわけか」

イリス「まぁ、そんなモンかね。レシラム“ストーンエッジ”」

ユウジ「躱せ」


地面から生え迫る槍型の岩を、カイリューは飛行して回避する。


イリス「逃すんじゃないよ。“ニトロチャージ”」

レシラム「ゥエッシャア!!」


レシラムは空を飛び、“ニトロチャージ”の追加効果でスピードを上昇させながら、カイリューを追跡する。


ユウジ「“こうそくいどう”で助走をつけて“アクアテール”だ」

イリス「焼き尽くしてやんな!!」


カイリューは水を纏った尾をレシラムに向けるが、“ニトロチャージ”の熱気で蒸発してしまう。


ユウジ「なんだと……!?」

イリス「“りゅうのいぶき”」

ユウジ「躱せぇ!!」


逃げようとするカイリューだが、“こうそくいどう”のスピードから切り替えすことが出来ず、“りゅうのいぶき”を喰らい倒れる。


ユウジ「カイリュー!!」

イリス「“ストーンエッジ”」


レシラムの容赦無い攻撃は続き、岩の槍がカイリューを宙に打ち上げる。


イリス「トドメを刺してやんな。“クロスフレイム”」

レシラム「ァァッジェルァ!!」
 ▼ 44 ルビル@かがやくいし 17/10/14 22:18:50 ID:SevaP48U NGネーム登録 NGID登録 報告
エデンのメンバーの名前って全員…
 ▼ 45 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/14 22:21:22 ID:0xsSI81o [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウジ「カイリュー“はねやすめ”だ」


“クロスフレイム”はカイリューに直撃し、爆煙を巻き起こす。


イリス「ふふふ、残念だったね」

ユウジ「あぁ、とても残念だよ。私のカイリューが、ここまで舐められていることがね」

イリス「なに……?」

ユウジ「カイリュー“あまごい”」


爆煙が消えると、カイリューは頭の触角を光らせ、雨雲を呼び起こし雨を降らせる。


イリス「それで“クロスフレイム”を対策したつもりかい? レシラムの武器は炎だけじゃないんだよ。“りゅうのいぶき”」

ユウジ「“こうそくいどう”だ。雨雲の中に隠れろ」


カイリューはマッハの速さで雨雲に隠れ、“クロスフレイム”を避ける。


イリス「雨雲を消せ!! “クロスフレイム”」

ユウジ「カイリュー“かみなり”」


レシラムが“クロスフレイム”を撃ったと同時に、カイリューは雨雲の中から“かみなり”を落とす。

技のぶつかり合いになると思われたが、“かみなり”は綺麗に“クロスフレイム”を避け、レシラムに直撃。その所為でレシラムのバランスが崩れ、“クロスフレイム”は当たらなかった。


イリス「レシラム!!」

レシラム「レッ……ジュイ!!」


レシラムは“かみなり”の追加効果で、体が痺れてしまう。


ユウジ「今がチャンスだ!! カイリュー“はかいこうせん”」

イリス「レシラム“クロスフレイム”」


痺れて動きが遅くなったレシラムとは真逆に、“こうそくいどう”の効果もあってスピードが上がったカイリュー。

どちらが技を早く撃ったかなど言うまでもなく、レシラムは“はかいこうせん”を受けて力尽きる。


イリス「レシラム……」

ユウジ「勝負ありだ。もう戦えるポケモンは居ないハズだ。大人しくこの島から出て行け」
 ▼ 46 日はここまで◆kDdT4vyqmg 17/10/14 22:32:30 ID:0xsSI81o [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イリス「……ざけんじゃないよ」

ユウジ「先に言っておく。俺はまだ、カイリュー以外に4体のポケモンを持っている。それも全快でな」

イリス「関係ないよ……。私だってエデンの……」

ユウジ「アッシュからは、人間とは思えないほどの気迫を感じたが、君からは何も感じない。つまり、君はタダの人間だ」

イリス「タダの人間……? 舐めてんじゃないよ……。私は由緒正しき竜の里の……!! うっ……」


ユウジを攻撃しようとしたイリスは、何者かに頭を殴られ、その場で気を失う。


ククイ「これでチャラだな」

ユウジ「貴方は……」

マーマネ『ククイ博士は半裸で白衣を着てます』


白衣は着ていないが、ユウジは目の前の男がククイだと確信する。


ククイ「この島の人ですね? 俺はククイと言います。会ったばかりで申し訳ないんですが……」

ユウジ「ポケモンスクールの生徒さんですよね?」

ククイ「え?」

ユウジ「ウチキド博士という人の家で保護してますよ」

ククイ「ホントですか!? マーマネも!?」

ユウジ「は、はい……。しかし、カキって子はまだ……」

ククイ「そうですか……。カキが……」

ユウジ「そう落ち込まないでください。カキくんを見つける手はあります」

ククイ「それは一体どんな……?」

ユウジ「少々荒っぽい手段ですが、彼女に聞いてみるというのはどうでしょう?」


ユウジはイリスに視線を向ける。


ユウジ「ネクロズマに関係無ければ、素直に口を割ってくれるも思いますよ」
 ▼ 47 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 20:30:20 ID:sjSKhyzs [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「ケンホロウでシールドをWブレイク。俺とゲッコウガがシンクロして最強になるから、これで俺の勝ちだ」

ピカチュウ「ピカァ!?」


サトシは待っている間暇なので、ピカチュウとオリジナルのカードゲームをしていた。


リーリエ「あれはどういうルールなのですか?」

マーマネ「さぁ? 僕カードゲームは専門外だから。でもサトシがオリジナルルールで、優位に進めてるってことだけはわかるよ」

リーリエ「確かに、ピカチュウのターンになる度に“人間の言葉で喋ってないから無効”と言ってますものね……」

マオ「スイレン……遅いね………」

マーマネ「トイレ行くって言って、30分以上戻ってないね。ウチキド博士も様子見に行ったっきりだし」

サトシ「便秘なのかな?」

マーマネ「いや、スイレンに限ってそれはないでしょ」

リーリエ「もしそうなら、戻ってこないウチキド博士は、どう説明するんですか?」

マオ「まさか……エデンに………!? スイレンもカキみたいに……!!」

リーリエ「マオ、変なことを考えるのは止しましょう。皆同じ気持ちですが、出来る限り考えないようにしているのです」

マオ「うん……。ごめん……」

マーマネ「でも、ホントに2人共どこ行っちゃったんだろ……?」


サトシの予想通り、スイレンとウチキドは便秘……ではなく、ダイダイ島の浜辺に居た。


スイレン「すみません……。お願い聞いてもらって」

ウチキド「いいのよ。彼らにはサトシくんがついてるから。それに、貴女を1人では行かせられないもの」

スイレン「どうしても、ミスティと話がしたいの。アシマリを返してもらうために、これ以上犠牲者を出さないために!!」

ウチキド「わかってるわ。だからトイレの窓から抜け出す貴女を止めずに、ここまで連れてきたんじゃない」

スイレン「それで、この船は……?」


スイレンの目の前には、1隻の船が停まっていた。


ウチキド「その船を使って、海を渡っていくの。ミスティって子は、カイオーガを連れてるんでしょ? なら、海を渡りながらカイオーガを探せば、その子が見つかるわ」

スイレン「博士……。ありがとうございます!!」

ウチキド「いいのよ。お礼はアシマリを取り返してからにしてちょうだい」
 ▼ 48 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 20:47:10 ID:sjSKhyzs [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「っしゃ!! 50連勝達成!!」

マーマネ「そりゃ、途中からワンパンで倒してたからね」

リーリエ「ピカチュウが気の毒です」

サトシ「よ〜し。このまま100連勝まで全力どぅえ!!」


突如研究所が爆発し、全員が部屋の隅に吹き飛ばされる。


サトシ「ってて……。なんだ……?」

ネクロズマ「サ、サトシ……」

サトシ「ネクロズマ!! 無事だったんだな!?」

ネクロズマ「あぁ、なんとかな……。だが……」

キアベ「逃げ切れると思ったかい? “絶対氷域(グラースパーム)”の影響で、今の君は全力を出せない。ここまで言えば、流石にわかるよね?」

マオ「彼奴……」

キアベ「ん? そこに居るのは、朝会った色黒種族じゃないか。これは傑作だ。色黒種族は仲間すらも醜いとは、まさに類は友を呼ぶとはこのことだね」

サトシ「なんだと!?」

マーマネ「サトシ、多分意味理解してないよね?」

キアベ「色黒」

マオ「……っ」

キアベ「デブ」

マーマネ「ちょっと痩せたんだぞ!!」

キアベ「不細工」

サトシ「不細工……?」

キアベ「僕が最も嫌う人種が、こんなトコに揃い踏みとはね。今日は厄日だ」

リーリエ「わ、私の友達をバカにするのはやめてください!!」

キアベ「おや? 肥溜めにも鶴は居るものだね。色白でスレンダーで美しい。今度一緒に食事でもどうだい?」


キアベは氷の薔薇を投げ、リーリエはそれを上手くキャッチする。


リーリエ「冷たっ……!! あっ、綺麗な薔薇ですね。ありがとうございます」

マーマネ「お礼言ってどうすんのさ!!」

リーリエ「はっ!! 私としたことが……」
 ▼ 49 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 20:58:31 ID:sjSKhyzs [3/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マオ「それよりも、カキとアママイコはどこ……?」

キアベ「あの野蛮な色黒種族と、生意気な葉っぱか。勿論、丁重に保管しているよ。レジアイス」

レジアイス「ジィリリィ」


レジアイスはキアベの指示で、カキとの彫像を持ってくる。


マオ「カキ……!!」

サトシ「おっ、レジアイスだ!! 俺のこと憶えてるか?」

レジアイス「ジィリィ……?」

キアベ「耳を貸すな。知能レベルが下がるぞ」

マオ「サトシ、気をつけて。彼奴、まだフリーザーも持ってるわよ」

サトシ「フリーザーも!? 見たい見たい!!」

マーマネ「なんでそんなテンション高いの……?」

マオ「お願いだから、カキとアママイコを返してよ!!」

キアベ「おいおい、口の利き方がなってないな。流石は色黒種族だ。こいつらは人質かつポケ質、僕の気分次第でどうとでも出来る」

マオ「くっ……」

キアベ「まずは、生まれたことを謝罪してもらおうか。この僕にね」

サトシ「マーマネ、謝罪ってなんだ?」

マーマネ「謝ることだよ」

キアベ「出来れば、土下座が望ましい」

サトシ「マーマネ、土下座って……」

マーマネ「っさいな!! もう黙っててよ!!」

キアベ「早くしたまえ。同族に死んでほしくは……ないだろ!!」

マオ「やめて!!」


キアベはカキの彫像を蹴り割ろうとするが、マオの叫び声を聞いて中断する。


キアベ「さっきも言ったが、口の利き方がなってない」

マオ「やめて……ください」


マオは正座の状態になり、両手と額を床につける。


マオ「う、生まれてきて……すみませんでした………」
 ▼ 50 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 21:13:22 ID:sjSKhyzs [4/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーリエ「マオ、やめてください!! そんなみっともないマネ……」

キアベ「色黒種族の肩を持つとは、正気の沙汰とは思えないな」

リーリエ「貴方っ……!!」

キアベ「では、こうしよう」


キアベはクーラーバッグの中から、凍ったアママイコを取り出し、葉っぱの部分を掴み持ち上げる。


マオ「アママイコ!!」

キアベ「ネクロズマとコレを交換だ。ネクロズマはお前達のポケモンで弱らせておけよ」

サトシ「そんなこと出来るか!!」

キアベ「好きにしたまえ。その代わり、こいつがどうなっても知らないがな」


キアベは氷柱を作り出し、アママイコの喉元に突きつける。


マオ「わ、わかったから……!! ネクロズマは譲るから……」

サトシ「おいマオ!!」

マオ「だって仕方ないでしょ!? ネクロズマ突き出さなきゃ、アママイコが死んじゃうんだよ!!」

ネクロズマ「俺のことは気にするな。またなんとかして、逃げ切ってみせるさ」

サトシ「ネクロズマ……」

キアベ「言っただろ? お前達のポケモンで弱らせろと。そこの不細工、そのピカチュウでやれ」

マオ「ごめんなさい……ごめんなさい………」


マオは下を向き、ネクロズマに必死に謝る。泣いているせいか、少し声が震えている。


サトシ「ごめん、ネクロズマ。ピカチュウ“でんこうせっか”」


ピカチュウはネクロズマの鳩尾にタックルを決める。ネクロズマはよろめき、大の字になって背中から倒れる。


サトシ「“10まんボルト”」

キアベ「少々攻撃が甘いな。もっと本気でやらないと、犠牲になったネクロズマに申し訳ないだろ?」

サトシ「ピカチュウ、もっと強くだ!!」

ピカチュウ「ピッ……!? ピィガヂュウゥゥゥ!!!」

ネクロズマ「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」


それからネクロズマは10分ほど電撃を受け、完全に気を失った。
 ▼ 51 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 21:28:59 ID:sjSKhyzs [5/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キアベ「ま、そのくらいでいいだろ。ほら、約束の葉っぱだ」


キアベは凍ったアママイコを放り投げ、マオが見事に受け止める。


マオ「アママイコ!!」

キアベ「再会を喜ぶのはいいが、もう1つ忘れてないか?」

サトシ「カキ……!!」

リーリエ「どうすれば、カキを返してくれるのですか?」

キアベ「君が一緒に食事してくれたらって言おうと思ったけど、そんなゴミ共に味方する子は要らないな」

リーリエ「ゴ、ゴミ共……っ!!」

キアベ「そうだなぁ……。その葉っぱを殺してもらおうか」

マオ「ちょっと待ってよ……。冗談やめて……」

キアベ「選ばせてやろうって言ってるんだ。葉っぱと色黒、どちらか一方をな」

マオ「そんな……」

サトシ「おいお前……!!」

キアベ「口の利き方に気をつけろと言ったハズだ。僕がその気になれば、この彫像を粉々に砕くことも出来るんだよ」

サトシ「くっ……!!」

キアベ「醜い者が醜く抗う。1周回って芸術だよ。ふっはっはっはっは……ぶふぁ!!」


サトシ達を嘲笑うキアベを、何者かが殴りつける。


キアベ「僕の美しい顔に……!! だ、誰が……」


顔を上げると、氷の彫像になっていたハズのカキが目の前に立っていた。


カキ「誰って? 世にも醜い色黒種族様だよ」

サトシ「カキ!!」

キアベ「ど、どうなって……。お前はさっきまで氷に……」

カキ「慣れれば問題ない。俺の熱さで、容易に溶かせる」

サトシ「すげぇ!! 流石カキだぜ!!」

マーマネ「よぅし、皆で彼奴を……」

カキ「待ってくれ。こいつは俺にやらせてくれないか?」

マーマネ「え……? でも、カキそいつに負けたんだよね?」

カキ「だからだよ。俺はこいつに手も足も出ずに敗北した。だからこそ、俺はこいつに勝ちたい。こいつを超えたいんだ!!」
 ▼ 52 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 21:43:34 ID:sjSKhyzs [6/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「いいぜ。お前の強さ、そいつに見せてやれ」

マオ「ちょ、サトシ正気!?」

サトシ「カキは絶対勝つさ。ヴェラ火山の時だってそうだったろ? 彼奴は同じ相手に2度も負けない」


カキの敗北を目の前で見たハズなのに、マオはサトシの言葉に反論出来なかった。


キアベ「ふっ、愚かな。薄汚れた色黒種族などに、美しき氷は壊せない。出でよ、フリーザー!!」

フリーザー「ビィエェェェェェ!!!」


空からフリーザーが舞い降り、レジアイスと共に立ちはだかる。


カキ「いけ、ガラガラ。そして、バクガメスゥゥゥゥ!!!!」


カキが隣島まで届く声で叫ぶと、ジェット機顔負けのスピードで、バクガメスが走ってくる。


マオ「あっ、バクガメス」

カキ「バクガメスは重過ぎて運べなかったみたいだな。俺の予想通り、とっくに氷から抜け出していたようだ」

キアベ「だから? あの程度、アッシュやブロックなら凍りすらしないよ。フリーザー“ふぶき”」


フリーザーの“ふぶき”により、クラスメイトやポケモンどころか、サトシまでも凍りつく。


カキ「今の俺には、夏場のクーラー並みに気持ちいいぜ。バクガメス“からをやぶる”」


バクガメスは脱皮し、スピードを上げる。


キアベ「防御が売りのポケモンから、その長所を奪うとは、なんて愚かな。レジアイス“れいとうビーム”」

カキ「躱せ」


バクガメスとガラガラは息の合った動きで、横に飛んで攻撃を回避する。


カキ「走れガラガラ“シャドーボーン”だ」

キアベ「レジアイス“まもる”」


レジアイスは周囲にバリアを張って、攻撃から身を守る。


カキ「バクガメス“ドラゴンテール”」


ガラガラと共に接近していたバクガメスが、“ドラゴンテール”を叩き込む。
 ▼ 53 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 21:54:09 ID:sjSKhyzs [7/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
レジアイス「レェズィィィ……」

カキ「よし、効いてるぞ」

キアベ「さて、どうかな?」


キアベが不敵な笑みを浮かべると、どこからともなく霰が降ってくる。


カキ「いきなり霰が……!?」


霰が降りだすと同時に、レジアイスは特性の“アイスボディ”で体力を回復し、フリーザーは特性“ゆきがくれ”で姿を消す。


カキ「回復に不可視……。厄介だな……」

キアベ「それだけじゃないさ。僕自身の力で霰を降らせることにより、ポケモンの技に1つ空きができる」

カキ「だったら、霰を消すまでだ。バクガメス“かえんほうしゃ”」

キアベ「させると思うかい?」


キアベが手をかざすと、“絶対氷域(グラースパーム)”の力で、“かえんほうしゃ”は打ち消される。


キアベ「学習しないね。フリーザー“みずのはどう”」

カキ「“シャドーボーン”で打ち返せ」


ガラガラは武器の骨をスイングさせ、フリーザーに打ち返すが、“ゆきがくれ”を発動しているため当たらない。


カキ「こうなったら、レジアイスからだ。バクガメス“ドラゴンテール”、ガラガラ“ずつき”」


“まもる”の連続使用は出来ないと考え、レジアイスに狙いを変えるが……。


キアベ「フリーザー“リフレクター”」


レジアイスの前に壁が出現し、バクガメスとガラガラの攻撃を弱める。


キアベ「美しい者の戦いには、隙が無いのさ。フリーザー“ふぶき”、レジアイス“れいとうビーム”」

カキ「か、躱せ……!!」


バクガメスとガラガラは、ギリギリのところで避ける。
 ▼ 54 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 22:05:30 ID:sjSKhyzs [8/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キアベ「隙だらけだよ。フリーザー“みずのはどう”、レジアイス“きあいだま”」


2つの球体が、バクガメスとガラガラに直撃する。


キアベ「もう一度、君を氷に変えてあげよう。フリーザー“ふぶき”、レジアイス“れいとうビーム”」


今度はカキに標準を定め、一斉に氷技を放つ。


キアベ「醜く哀れな色黒種族よ、美しき氷に生まれ変わりたまえ」

カキ「言ったハズだ。もう寒さには慣れたと!!」


カキは真顔で攻撃を耐える。


カキ「どうしたバクガメス、ガラガラ。お前達の力は、こんなもんじゃないだろ!!」

バクガメス「……ガメェ」

ガラガラ「……ガルァ」


カキに鼓舞され、バクガメスとガラガラは立ち上がる。


キアベ「しつこいな。もういいよ。面倒だから、この技で終わりにしてやる」


キアベがスーツの袖を捲り上げると、コオリZが装着されたZリングが巻かれていた。


カキ「まさか、お前もZワザを……!?」

キアベ「何よりも美しいこの技で、大陸ごと凍りつかせてあげるよ!! “レイジングジオフリーズ”」


キアベが技を口にした瞬間、オレンジ諸島は氷と化した。


キアベ「はぁ、美しい。だが、それと同時に疲れるな。しばらくは“絶対氷域(グラースパーム)”の真髄を発揮出来そうにない……」

カキ「やはりそうか」

キアベ「……!?」


凍った床に立っていたのは、30cmほどの鼻水を凍らせたカキだった。


キアベ「な、何故……。アッシュとブロック以外に、この技を受け切れる奴など……」

カキ「な〜に、簡単なことさ。……ふんっ!!」


カキは凍りついた鼻水を引っこ抜く。
 ▼ 55 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 22:18:31 ID:sjSKhyzs [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カキ「目には目を、ZワザにはZワザを」

キアベ「何の冗談だい? 君のZワザは炎だろ? “絶対氷域(グラースパーム)”の環境下では、炎技は使えないハズ……」

カキ「あのZワザに、相当力を使ったんだろうな。一瞬だが、“絶対氷域(グラースパーム)”の力が消えるのを、俺達は感じ取った。そこに“ダイナミックフルフレイム”を叩き込んだのさ」

キアベ「へぇ、Zワザを使う瞬間は“絶対氷域(グラースパーム)が消えるのか。気づかなかったなぁ。色黒種族にしては、なかなかやるじゃないか。参考にしてあげてもいいよ」

カキ「まだわからないのか? Zワザを使ったことで、“絶対氷域(グラースパーム)の力は弱まっている。霰が止んでいるのが、なによりの証拠だ」

キアベ「おい、調子に乗るなよ。そんなこと、ミジンコでもわかる」

カキ「なら、これもわかるな? この程度の寒さなら、俺達は何の制限も無く闘える!!」

キアベ「まさか……!!」

カキ「バクガメス“かえんほうしゃ”」

キアベ「消え……」


弱まった“絶対氷域(グラースパーム)では、今のカキ達を止めることは出来ず、“かえんほうしゃ”はフリーザーとレジアイスに直撃する。

そして進化した“かえんほうしゃ”の熱気により、凍っていたサトシ達が元に戻る。


サトシ「っしゃあ!! バクガメスが来たからには、勝ち確定だぜ!!」

マーマネ「あれ? 両方共、やけに疲れてない?」

マオ「た、確かに……」


バクガメスが来たあたりでサトシ達の時は止まっていたらしく、現状を理解するのに数秒掛かった。


キアベ「色黒種族のくせに生意気な……」

カキ「バクガメス“ドラゴンテール”、ガラガラ“シャドーボーン”」

キアベ「レジアイス“まもる”だ」


レジアイスはバリアを張り、バクガメスとガラガラは弾き返される。


カキ「次は遠距離だ。バクガメス“かえんほうしゃ”、ガラガラ“ホネブーメラン”」

キアベ「フリーザー“ふぶき”で防御だ」


フリーザーは“ふぶき”で攻撃の相殺を図るが、“かえんほうしゃ”は“ふぶき”を消し去り、フリーザーを炎で包む。

“ホネブーメラン”は急降下し、レジアイスにクリーンヒット。返しの攻撃も当たり、“リフレクター”の効果が切れたこともあり、相当なダメージが入る。
 ▼ 56 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/15 22:30:45 ID:sjSKhyzs [10/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キアベ「フリーザー“はねやすめ”、レジアイスはフリーザーをカバーだ」

カキ「いけぇ、バクガメス!!」


バクガメスがフリーザーに向かって走り出す。“からをやぶる”を使ったため、普段よりも動きが速い。


キアベ「レジアイス“まもる”」


レジアイスはフリーザーの前に立ち、“まもる”で攻撃に備える。


カキ「“まもる”に背中をぶつけろ」


バクガメスが背中から“まもる”にぶつかったため、いつものクセで爆発を起こし、防御壁を爆砕する。


カキ「“ドラゴンテール”」


バクガメスの尾がレジアイスの脳天をカチ割り、戦闘不能にする。


キアベ「レジアイス……!!」

カキ「まだまだいくぞ!! 次はフリーザーだ」

キアベ「飛べ!! 上空から“みずのはどう”だ」

フリーザー「フリュオォウ!!」


フリーザーは“かえんほうしゃ”の追加効果で火傷を負い、空を飛ぶことすら出来なかった。


カキ「ガラガラ、フリーザーの頭を掴め。連続で“ずつき”だ」

ガラガラ「ガァラ……ガラ!! ガラ!! ガラ!! ガラ!! ガラ!! ガラ!!」


フリーザーの頭に、何度も何度も“ずつき”を打ち込み、武器の骨を使いフリーザーを空高く吹っ飛ばす。


カキ「やるのは初めてだが、今の俺達なら出来る。2度目の“ダイナミックフルフレイム”」


バクガメスは真上のフリーザーに、渾身のZワザを叩き込む。火球は大爆発を起こし、フリーザーは墜落し倒れた。


サトシ「……やった!! カキの勝ちだ!!」

マオ「ホントに倒しちゃうなんて……!!」

カキ「ははっ……。うっ……」


2連続のZワザで体力を消耗し過ぎたのか、カキはフラつきながら腰を下ろす。
 ▼ 57 日はここまで◆kDdT4vyqmg 17/10/15 22:42:15 ID:sjSKhyzs [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サトシ「カキ……!!」

カキ「大丈夫だ……。ただの立ち眩みだよ。それよりお前達こそ、氷漬けにされて大丈夫だったのか?」

サトシ「あぁ。全然平気だぜ」

マーマネ「伊達に太ってないよ」

キアベ「そ、そんな……。この僕が、色黒種族なんかに……」

カキ「ポケモンバトルは、肌の色で競うモンじゃないだろ」

キアベ「黙れ!! 僕がアッシュ以外に負けるわけが……」

アママイコ「アマァイ!!」

キアベ「あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし!! あべし……」


アママイコは今までの恨みを晴らすように、“おうふくビンタ”を喰らわせる。


キアベ「あべ………し……」

サトシ「ポケモンバトルに肌の色なんか関係ないぜ」

マーマネ「必要なのは、知識と判断力、そしてポケモンとの絆だよ」

カキ「だが、こいつにはそれが出来ていた。ポケモン達には隙がなく、Zワザも使えていた。もし2度目のZワザが失敗していたら、俺の勝ちは無かっただろう」

リーリエ「う、運も実力の内ですよ……」

マオ「そうよ。例えマグレでも、勝ちは勝ちなんだから」

カキ「あぁ、わかってる。偶然だとしても、俺達で掴んだ1勝だ」

バクガメス「ガメス!!」

ガラガラ「ガラァ!!」

カキ「しかし……博士とスイレンが見当たらないが、まだ見つかってないのか?」

マオ「博士はまだ捜索中なの。この島で1番強い人が探してくれてるから、大丈夫だとは思うけど……」

サトシ「スイレンはトイレに行ったっきり、帰ってこないんだ」

カキ「そうか。それは心配だな。ところで、その転がってる黒いポケモンは何だ?」

サトシ「やっべ、ネクロズマ……!!」

リーリエ「私、傷薬持ってきます!!」

カキ「こいつがネクロズマか。だが、キアベは何故こいつを……」

マオ「後で話すから、カキも手伝ってよ!!」

カキ「あ、あぁ……」
 ▼ 58 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/16 20:58:24 ID:50cELVCI [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「さ、寒い……」


スイレンとウチキドは、船で海を周っていたのだが、“絶対氷域(グラースパーム)の影響で海が凍り、動けなくなっていた。


ウチキド「こうなったら、凍った海を渡るしかないわね」

スイレン「アシマリ……。ん?」


スイレンの頬に、1滴の水が当たる。空を見上げてみると、雨雲が広がり少しずつ雨が降ってきていた。


ウチキド「強くなりそうね。一旦船の中に……」

???「ギョリャリョウェェイィィィ!!!」


雨が痛みを伴うほど強くなると、氷の下から1匹のポケモンが姿を現す。


カイオーガ「ンジュギョリャンエェェェ!!!!」


カイオーガが出てきたことにより、海を覆っていた氷は粉々に砕け、海流に沿って流れていった。


スイレン「カイオーガ、ミスティはどこ……?」


カイオーガが口を開けると、中にはアシマリと遊ぶんでいるミスティが居た。


スイレン「アシマリ!!」

ミスティ「スイレン!! 生きてたんですね。心配しましたよ。てっきり死んじゃったのかと……」

スイレン「ミスティ、アシマリを返して!!」

ミスティ「そ、そんな……私が盗ったみたいな……」

スイレン「お願い!! 何でもするから!!」

ミスティ「何でもするんですか……? だったら、その人を殺してください」

スイレン「え……」

ミスティ「実は私達、死者蘇生の儀式をしようとしてるんですが、それに必要な血がダメになってしまって……。だからその人の血を、スイレンに採ってもらいたいんです」

スイレン「そんなの無理……。博士を殺すなんて……」

ミスティ「酷い……。何でもするって言ったのに……。スイレンがやらないなら、私がやります!!」


ミスティが睨むと、ウチキドを的に雷が落ち、彼女を黒焦げにする。
 ▼ 59 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/16 21:11:59 ID:50cELVCI [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「ミスティ……!!」

ミスティ「な、なんで睨むんですか……? 私別に何も……」

スイレン「なんでそんな簡単に人を殺せるの!? 何も悪いことしてないのに!!」

ミスティ「なら、逆に質問します。何故、人は蚊やゴキブリを殺すと思いますか?」

スイレン「質問してるのはこっち!!」

ミスティ「目障りだからですよ。羽音が五月蝿い、見た目が気持ち悪い。それと同じです。あの人も、目障りで吐き気を催すほどに気持ち悪いから殺したんです。何か間違ってますか?」

スイレン「もうこんなことやめて!! これ以上、貴女の手もポケモン達の手も汚さないで……!!」

ミスティ「スイレンは少し変わってますね。ナツカン島の時も、あんなのに同情して……。優し過ぎますよ。ホントに……」

スイレン「……」


もうどんな説得も通用しないことを、スイレンは悟った。


スイレン「もう…いい……。きっと貴女は、何を言っても止まらない。だから……だから私が貴女を止める!! 力尽くで!!」

ミスティ「バトルするってことですか……? ポケモンも居ないのに……」

スイレン「私には、これがある!!」


スイレンは1本の釣竿を構える。


ミスティ「なるほど、釣り勝負ですか。アシマリ、戻るよ」


ミスティとアシマリは、カイオーガの口の中に戻る。カイオーガは海に潜り、スイレンは釣り糸を垂らし意識を集中させる。


スイレン「私にはこれしかない。釣るか引き摺り込まれるか……」


数秒経ち、釣竿が引っ張られる。


スイレン「……っ!! ヨワシの時より強わぁ!!」


あまりの引きの強さに、スイレンは船から落ちる。なんとかして砕けた氷の上に着地するが、それでも釣竿の引きは治らない。

縦横無尽に暴れまわるカイオーガ。スイレンは釣竿を持つだけで精一杯である。
 ▼ 60 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/16 21:24:27 ID:50cELVCI [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン(最悪なのは、引き摺り込まれること。でも、問題はそれ以外にもある。竿と糸が保つかどうか……!!)


現状釣竿は無事だが、カイオーガの力を考えるに、いつ壊れてもおかしくはない。


スイレン「なんとかしないと……」

カイオーガ「ギャギュベリュファルァ!!!」

スイレン「……!!」


暴れた拍子に海上に跳ね上がったカイオーガを見て、スイレンは1つの策を思いつく。


スイレン「私の力じゃ、カイオーガを引き上げられない。だったら……」


スイレンは砕けた氷の上を渡り、カイオーガに向かって走り出す。


スイレン「カイオーガ、私を食べて!!」


カイオーガはスイレンを餌と認識し、大きく口を開く。カイオーガの口内に飛び込んだスイレンは、勢い余ってミスティにぶつかる。


スイレン「ミスティ……!!」

ミスティ「なんで釣り勝負なのに、口内に入ってきてるんですか……!?」

スイレン「釣り勝負はもうやめ。ここで直接、アシマリを返してもらう!!」

ミスティ「だ、ダメですよ……!! 私とアシマリは、強い絆で結ばれてるんですから」

スイレン「それは貴女の力で作った仮初めの絆。そんなの本当の絆じゃない!!」

ミスティ「勝手なこと言わないでください!! スイレンは私にアシマリを奪られて、嫉妬してるだけじゃないんですか? だから私に、こんな酷いこと……」

スイレン「してるよ。嫉妬。アシマリを奪られて、すごく悔しかった。体育座りして泣いた。ミスティのことも、ちょっと嫌いになった。だってそれだけ、アシマリが大好きなんだもん!!」

ミスティ「見苦しいですよ。アシマリは私を選んだんです。大人しく身を引いてください」

スイレン「やだ!!」

ミスティ「アシマリ“アクアジェット”」


アシマリは水を纏い、スイレンの鳩尾に突撃する。


ミスティ「これが私達の絆の力です。もう貴女はアシマリのトレーナーでも、友達でもないんです」

スイレン「……そうだよ」
 ▼ 61 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/16 21:43:05 ID:50cELVCI [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミスティ「やっとわかってくれたんですね。スイレンならわかってくれると……」

スイレン「私とアシマリは、トレーナーとポケモンなんて主従関係じゃないし、友達みたいな距離のある関係でもない。ずっと側に居て繋がってる家族!!」

ミスティ「……は?」

スイレン「私とアシマリは、ずっと一緒に居た!! だから私達には、他とは違っ……」


スイレンの言葉の途中で、カメックスが首を掴んでくる。


ミスティ「どうして……? どうして、私とアシマリの関係を否定するんですか……? 友達はそんな薄っぺらな関係じゃありません。アシマリが私を選んだのが、なによりの証拠です。アシマリは家族より、友達を選んだんですよ!!」

スイレン「ぐっ……あうっ………」

ミスティ「切り捨てられた人は黙っててください。カメックス、SET!!」


カメックスは甲羅から出ている砲筒動かし、スイレンに標準を合わせる。


ミスティ「“みずのはどう”」

スイレン「こ……のぉぉぉ!!!」


スイレンが砲筒に草履を放り込むと、“みずのはどう”の発射に失敗し、カメックスの両肩が爆発する。


ミスティ「カメックス!!」


カメックスに気を取られている隙に、スイレンはカメックスの背中を踏み台にして、ミスティにドロップキックを喰らわせる。


スイレン「アシマリ帰るよ」

ミスティ「……させません。キングドラ“どくどく”」

スイレン「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


毒を浴びたスイレンは、その場で四つん這いになる。


ミスティ「さっきの言葉を取り消すなら、解毒してあげますよ」

スイレン「誰……が…!!」

ミスティ「5分あげます。よく考えてください」

スイレン「そんな時間……要らない。貴女達の絆は偽物……。不思議な力に頼った、ペラッペラに薄い紛い物……!!」

ミスティ「言うと思いました。まぁ、どのみち解毒は無理なんですけどね。どくけし持ってないし」

スイレン「ぐっ……」

ミスティ「安心してください。スイレンも儀式で生き返らせてあげますから。それまで天国で反省しててください」
 ▼ 62 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/16 21:55:08 ID:50cELVCI [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミスティ「アシマリ、スイレンとお別れだよ。さよならしよ」

スイレン「アシ……マリ………。ぐうっ……でりゃあぁぁぁぁぁ!!!」


スイレンは残りの力を振り絞って、アシマリにダイブしキスをする。


ミスティ「な、ななななにしてるんですか……!? 私だってまだなのに……///」

スイレン「せめて………最期に、アシマリとの…思い出を……」


遂にスイレンは力尽き、息を引き取った。


ミスティ「雨で体が冷えた所為か、毒が回るのが早かったみたいですね。さようなら、スイレン。また会いましょう」

アシマリ「アォ……」

ミスティ「アシマリ、辛いのはわかるよ。でも、少しの辛抱だから。私がアッシュに頼んで、スイレンも生き返らせてもらうの」

アシマリ「ア……ウォォォォォォォウ!!!!」


アシマリは尾ヒレでミスティの頬を引っ叩く。


ミスティ「ア、アシマリ……?」

アシマリ「ォウ!! アゥアォウ!!」

ミスティ「どうしたの……? こんな怖い顔して……。折角可愛いんだから、もっと笑ってないと。天国のスイレンにも顔向け……」

???「勝手に……殺さないで………」

ミスティ「……!?」

スイレン「ハァ……ハァ……」


スイレンはゆっくり体を起こし、アシマリを抱きかかえる。


スイレン「やっと届いた……。私の………想い……」

ミスティ「あ、あれ……? なんで……?」

スイレン「さっきのは……死んだフリ………。隙を見て逃げ出して、船の解毒剤を……うっ………取ってくるつもり……だったのぉう!!」


なんとか喋れてはいるが、毒は順調にスイレンの体を侵食している。


スイレン「アシマリは………取り戻した……。あとは…………逃げるだけ……!!」

ミスティ「キングドラ、逃さないで……!!」


スイレンはカイオーガの中から出ようとするが、一瞬でキングドラに回り込まれてしまう。
 ▼ 63 グカルゴ@エレキシード 17/10/16 21:55:37 ID:bEpvNHwI NGネーム登録 NGID登録 報告
すまんキアベしでちょっと笑った
 ▼ 64 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/16 22:06:03 ID:50cELVCI [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「は、速い……!!」

ミスティ「外は雨ですから。キングドラの“すいすい”が発動するんですよ」

スイレン「“バブルこうせん”」

ミスティ「こっちも“バブルこうせん”」


大量の泡がぶつかり合い、爆発を起こす。


スイレン「今だ……!! “アクアジェット”」


アシマリはスイレンに抱かれた状態で“アクアジェット”を発動し、カイオーガの口内から脱出する。


スイレン「アシマリ……解毒剤………!!」


解毒剤を持って来させるために、アシマリを船まで投げ飛ばす。


ミスティ「逃がしません。カイオーガ“かみなり”」

スイレン「アシマリ、バルーン……!!」


スイレンはアシマリのバルーンに入って潜水。“かみなり”はスイレンに向かっていくが、海面に当たった瞬間海全体に広がり、カイオーガもダメージを受け、中に居たキングドラは戦闘不能になる。


アシマリ「アゥ!!」

スイレン「アシマリ、ありがとう……」


バルーンで攻撃を防いだスイレンは、アシマリが持ってきた解毒剤を使い解毒する。


スイレン「ミスティ……」

ミスティ「呼びましたか……?」

スイレン「ひゃっ!!」

ミスティ「友達だから加減してましたけど、そっちがその気なら……」


ミスティが前髪を上げると、左眼の瞳にαの文字が刻まれているのが見える。


スイレン「ミスティ、何を……」

ミスティ「沈めて。カイオーガ、ゲンシカイキ!!!」


ミスティの左眼が光応し、カイオーガの体が黒ずんでいく。
 ▼ 65 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/16 22:18:14 ID:50cELVCI [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレン「あっ……あ………」

ミスティ「どう? 久々に全力を出した気分は」

ゲンシカイオーガ「グギャギャオォォォォォン!!!!!」

ミスティ「そう。よかったね」


ミスティは優しくゲンシカイオーガを撫で、ゲンシカイオーガの中に入っていく。


スイレン「無理……。勝てない………」

ミスティ「カイオーガ“なみのり”」

スイレン「アシマリ逃げるよ!! “アクアジェット”」


さきほどと同じく、“アクアジェット”で逃走を図るも、ゲンシカイキしたカイオーガの“なみのり”は撒けず、波に飲まれてしまう。


ミスティ「カイオーガ“おんがえし”」


ゲンシカイオーガが跳ねると、海が割れ地響きが起きる。幸いスイレンには当たらなかったが、またもや押し寄せてきた波に飲み込まれる。


アシマリ「アォォウ」


アシマリはバルーンを作り、スイレンを中に入れる。


スイレン「ありがと、アシマリ。でも……」


スイレンの頭上には、ゲンシカイキしたカイオーガ。間違っても勝てる相手ではないうえに、逃げようとしても“なみのり”で妨害されてしまう。


スイレン「どうしよ……。“なみのり”がある以上、逃げることは……あれ?」


スイレンは数秒黙り、何かを閃いた。


スイレン「相手が“なみのり”を使ってくるなら、一か八か……」

アシマリ「アォ?」

スイレン「大丈夫。きっと勝てる」
 ▼ 66 日はここまで◆kDdT4vyqmg 17/10/16 22:31:16 ID:50cELVCI [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレンはバルーンに入ったまま海面に出る。


ゲンシカイオーガ「グギャリョォォォォォォ!!!!」

ミスティ「カイオーガ“なみのり”」

スイレン「きた……!! いくよアシマリ!!」

アシマリ「アゥオ!!」


アシマリは“アクアジェット”で、ゲンシカイオーガが引き起こした波の下に止まる。


スイレン「届け、水平線の彼方まで。“スーパーアクアトルネード”」


アシマリのZワザで、ゲンシカイオーガが起こした波は渦潮に変わり、ぐるぐる回っていく。


ミスティ「あわわわわわわわわ……」


ゲンシカイオーガの中に居るミスティも、Zワザの影響で激しく回転する。

しばらくして渦潮が止み、カイオーガの口からフラフラ状態のミスティが出てくる。


ミスティ「あうぅ〜……。もうむりぃ……」

カイオーガ「グガァ……」


力の源になっているミスティがダウンしたことで、カイオーガも本来の力を失い倒れる。

スイレン「ミスティ!!」


ミスティは目を回したまま海に落ち、スイレンが飛び込んで助け出す。


スイレン「大丈夫!?」

ミスティ「うぅ……スイレン………」

スイレン「よかった……」

ミスティ「カイオーガは……?」

スイレン「多分無事。酔ってるだけだと思う」

ミスティ「そっか……。うっ……」

スイレン「ミスティ!? どうかし……」

ミスティ「おろろろろろろろろろろろろろ……」


スイレンはキラキラに染まった。
 ▼ 67 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/17 20:21:55 ID:uEaYsSDE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
スイレンはカイオーガの雨でキラキラを洗い流し、ミスティと共に船で休んでいた。


ミスティ「ご、ごめんなさい……。我慢出来なくて……」

スイレン「いいよ。あれ安物だから」

ミスティ「でも、それじゃ寒いんじゃ……」


雨が降っているため服を乾かすことも出来ず、かといってキラキラを浴びた服を着たくはないため、ウチキドが着ていた白衣を羽織っていた。


ミスティ「代わりに私の服を……」

スイレン「そ、そこまでしなくていい……!! 一旦ウチキド研究所に戻って、服を拝借すればいいから」

ミスティ「なら、カイオーガに乗って行きませんか? 船の操縦なんか出来ないですし……」

スイレン「それはいいけど、私の友達を生贄にはしないでね」

ミスティ「大丈夫ですよ。そんなことしません」

スイレン「ミスティ……」

ミスティ「嘘です♪」

スイレン「……………。あっ、私がやったやつだね。そこから更に嘘って言って、ホントでしたっていう……」

ミスティ「いや、今のはそのままですよ。スイレンは私の友達ですけど、スイレンの友達は私の友達じゃないですから」

スイレン「………ねぇ、一発殴っていい?」

ミスティ「えっ、なんでですか……?」

スイレン「いいから。一発でいいから」

ミスティ「ちょ、やめ……」

???「おい」


ミスティに近づくスイレンの腕を、1人の男が掴む。


アッシュ「テメェ、何してんだ?」

ミスティ「アッシュ……!!」

スイレン「は、離して……」

アッシュ「どう見ても、殴ろうとしてたよな? そういう奴には……」

スイレン「がっ……だあぁぁぁぁぁぁ!!!!」


アッシュはスイレンの腕を軽く捻りへし折った。
 ▼ 68 彦◆kDdT4vyqmg 17/10/17 20:34:26 ID:uEaYsSDE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アッシュ「ミスティ、大丈夫か?」

ミスティ「は、はい……。ちょっと吐いただけですから」

アッシュ「そうか。さて、こいつは……」

ミスティ「そ、その子は友達……!! スイレンっていうんです。私達に生贄を提供してくれるみたいで……」

アッシュ「ふ〜ん」

ミスティ(よしっ!! これでスイレンの安全は保障される。あとはスイレンの友達を生贄にすれば……)

アッシュ「こいつが助かる……とでも思ったか?」

ミスティ「えっ……」

アッシュ「まぁいいぜ。こいつだけは助けてやるよ」

ミスティ「ホントですか……?」

アッシュ「あぁ。その代わり、ちゃんと生贄は提供してもらうぜ」

ミスティ「はい……!! 因みに、向こうに生贄が1人倒れてますよ。多分死んでるかも」

アッシュ「ご苦労さん。さっさと血ぃ採って、ネクロズマ探すぞ」

アシマリ「アォウ!!」


ウチキドの元に向かうアッシュを、アシマリが引き止める。


アッシュ「このアシカ、お前のだろ?」

ミスティ「今はスイレンに奪られてるんです」

スイレン「……やめて!! アシマリには手を……」

アッシュ「“でんじは”」

スイレン「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

アッシュ「ちょっと黙ってろ」

ミスティ「スイレン、生贄の場所を教えてください。貴女を助けるためなんです」

スイレン「嫌だ………。私は死んでも、友達を見捨てたりはしない……!!」

アッシュ「めんどくせぇやつ。じゃあ、こうしようぜ。5秒毎にお前の指を折っていく。全部で20本折れるまでに喋れば、1人限定で仲間を助けてやる」

スイレン「……!!」

アッシュ「もし喋らなければ、お前もまとめて生贄行きだ。んじゃ、ゲームスタート。い〜ち、に〜っ……」
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