ちょこっと安価【SS】トルネロス「子供が欲しい」


1 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/11 18:32:24 ID:Sw/XoIuE 報告
とある地方の上空


トルネロス「……」ゴゴゴゴ

ボルトロス「……」ゴゴゴゴ

ランドロス「……」ゴゴゴゴ


ボルトロス「なあ風の親父……自分が何を言っているのか分かっているのか?」


トルネロス「……雷の兄ちゃんよ、聞きかえすがワシは何かおかしな発言をしたのか?」


ボルトロス「十分におかしいだろう。子供が欲しいだと?♂の我々に向かって……気でも狂ったのか?」


トルネロス「ぬっ……何か誤解していないか?
確かに2匹とはよい遊び仲間だが、そういった感情は持ち合わせていないぞ?」


ボルトロス「何?それはざんね……いや、失礼した。では尚更聞こう、風の親父は一体誰との子を望む?」
113 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/17 17:32:38 ID:Q86jwjCc [1/3] 報告
オンバット『全く。……いつも練習に付き合ってくれるオンバーンがいてね、日が暮れるまでアタシに付き合ってくれる彼のために、アタシは早く進化したいの』


はえ〜……


オンバット『でも何でかな、進化する兆候すら見えなくて……応援してくれる皆にも、毎日練習に付き合ってくれる彼にも申し訳ないよ……』


オンバット『……ごめんね。面白くない話しちゃって』


い、いやそんなことないよ!今日の昼にちょこっとだけ練習を見たけど、オンバットちゃんすごい頑張ってたもん!

オンバット『……ありがと。でも、結果が追い付いてないのも事実なのよね……』


で、でも……


オンバット『優しいね。貴女みたいないい子は、神様も助けたくなるんでしょうね』


か、神様?何それ?


オンバット『空の上にいるらしくて、いつもアタシたちを見守ってくれているの。でも悪いことをしたポケモンには怒って、罰を与えちゃうの』


な、何か怖いね。私もうイタズラ出来ないや……


オンバット『あはは、そこまで神様は厳しくないよ。それに神様はね、誰かのために優しくなれるポケモンには幸せを与えてくれるの。勿論、貴女にも』


私?何で?


オンバット『だって私に言ってくれたじゃない。すごく練習を頑張ってるって。アタシはそう言って貰えてすごく嬉しいし、自分にその意識が無くても誰かが喜んでくれるのたのなら、それは優しさなの』


……よ、よく分かんないや。


オンバット『……でもアタシは違うの。皆の期待や優しさに全く応えられてないもん。練習する時間だって皆は忙しいのに作ってくれて、それなのにアタシは進化できない。……不純な理由で練習してるアタシを、神様も見限っちゃったのかな……』


オンバットちゃん……。明日も練習するよね?


オンバット『う、うん』


やった!それじゃまた明日ね!おやすみなさーい!


オンバット『お、おやすみなさい。行っちゃった……』
114 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/17 17:34:38 ID:Q86jwjCc [2/3] 報告
次の日


オンバット『……な、何をしてるの貴女は?』


えへへ、私もオンバットちゃんと一緒に練習するよ!


オンバット『だ、駄目よ!まだ貴女は小さいんだし、怪我でもしたら……』


オンバットちゃんとあまり変わんないし、それに言ってたよね?神様に嫌われちゃったって。


オンバット『う、うん……』


だから私は昨日、寝る前に神様にお願いしたんだ!私もオンバットちゃんと一緒にたくさん練習するから、絶対に進化させてあげてって!


オンバット『ど、どうしてそこまで……』


だっておかしいと思わない!?毎日ボロボロになって!たっくさん努力して!皆のために頑張ってるオンバットちゃんが幸せになれないなんて、不公平だよ!


オンバット『貴女……』


オンバーンA『この子もそう言ってるしいいじゃんか!競争相手がいるってのは中々、励みになるしな』


オンバーンB『どっちの競争相手か分かんないけどね〜?』ニヤニヤ
115 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/17 17:36:19 ID:Q86jwjCc [3/3] 報告
オンバット『ちょっ!ほらもう練習始めましょうよ!!』


あ、あのオンバットちゃん……


オンバット『何ぼさっとしてるの?さっさと行くよ!』グイッ


わっ、とと……一緒に練習していいの?


オンバット『……こちらこそよ。……ありがとうね』


……うん!頑張ろう!


オンバーンA『子供だからって手加減はしないからなぁ?いくぞ!』


2匹『お願いします!』


オンバーンB『どっちも頑張りなよーー!』



オンバーンC『うんうん。良かった良かった……』モノカゲカラ
116 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:33:02 ID:V5LkQbYw [1/11] 報告
オンバーン「その日から私とオンバットちゃんは一緒に練習をし始めて、徐々に練習以外でもつるむようになりました」モグモグ


霊トルネロス「随分とまあ思い切った決断をしたもんだな。練習はキツくはなかったのか?」モグモグ


オンバーン「全然です!自分のレベルが上がっていくのが楽しくて癖になりますし、オンバットちゃんも頑張るなら私もって思うと疲れなんかふっ飛んじゃいました!」モグモグ


霊トルネロス「ふむ、君はとても彼女のことを慕っているんだな」モグモグ


オンバーン「はい大好きです!オンバットちゃんは努力家なだけじゃなくて、物知りで私にも色んなことを教えてくれました」モグモグ


霊トルネロス「気になるな。ワシにも教えてくれ」モグモグ


オンバーン「そうですね……じゃあ熟したきのみの見分け方とかどうですか?」


霊トルネロス「是非ともお願いする」


オンバーン「確か……」


オンバット『ここにモモンのみが2つあるでしょ?どっちが美味しいか分かる?』


……どっちも美味しそうなんだけどなあ。分かんないから、実際に食べてみるよ!


オンバット『食べるの?片方は腐ってるやつだよ?』


ええっ!?どっちも全く同じに見える……


オンバット『きのみたちだって、食べて糞をして貰わなきゃ子孫を残せないからね。アンタもその辺のものを気にせずバクバク食べてたら、いつかお腹壊すよ?』


うぐ……オンバットちゃんどうすればいいの?
117 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:34:57 ID:V5LkQbYw [2/11] 報告
オンバット『匂いや色なんかで見分ける方法もあるんだけど、一番分かりやすいのは音波ね』


音波?


オンバット『きのみに音波を当てて、返ってきた音で判別するの。まだ新鮮なきのみは皮や中身が固いから、軽い音が返ってくるけど、腐ってるきのみは逆に鈍い音が返ってくるわ』


はえー、でもどうやって音波を出すの?


オンバット『耳に意識を集中してみて?』


うん…………


オンバット『何か聞こえてきた?』


うん。何かキーンっていう音がしてきた……


オンバット『じゃあそのまま、モモンのみを見て……いいよその調子。目の前のモモンのみに耳で息を吹き掛けるように……』


えぇ……?どうやればいいの?


オンバット『イメージよ、とにかく頑張りなさい。やれば出来る!』


うーん…………耳から、息を……だす………
118 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:35:23 ID:V5LkQbYw [3/11] 報告
オンバット『そう、耳から息を出すの……』


息を出す、息を出す、息を……むぐっ!


オンバット『息まで止めるとかどんだけ集中してんの!ほら深呼吸、深呼吸〜』


ご、ごほっ!……難しいなあこれ。


オンバット『何事も積み重ねよ。音波を出す練習も、アタシは付き合ったげるから頑張ろう?』


うん!ありがとうオンバットちゃん!大好き!

オンバット『むっ……ほ、ほらもう一回やってみなさい。いい?耳で息を出すの。分かったらすぐやる!』


はーい!
119 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:37:45 ID:V5LkQbYw [4/11] 報告
オンバーン「…………」


霊トルネロス「どうしたボーっとして?何かあったか?」


オンバーン「……あっ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしてました」


霊トルネロス「ふむ、そうか……」


オンバーン「それよりも美味しいきのみの見分け方ですよね!えーと……あの木がいいかな?」


オンバーン「きのみって熟れてきても皮の表面には変化がないんです。だけど、中身の重さは変動しているので……"エアカッター"!」スパッ


ヒュゥーーー……ポトンッ


霊トルネロス「おお、きのみが地面に落ちて跳ねたな」


オンバーン「あのきのみは、まだまだ美味しいってことですね。中身が重いと高いところから落としてもあんまり跳ねないんです」


霊トルネロス「おおっ、これは良いことを聞いたな!ありがとう!」


オンバーン「い、いやあ……そんな。オンバットちゃんが教えてくれたことを、私なりに解釈しただけですから」


霊トルネロス「これも親友のおかげなんだな。しかし、さっきまでの話を聞く限り君たちは、まるで姉妹のように仲がいい。そんな君たちの関係に一体何が?」


オンバーン「姉妹……そうかもしれません。オンバットちゃんは常に私の先を行くお姉さんみたいな存在でしたから。でも、彼女との楽しい時間も私の進化によって全て壊れてしまって…………」
120 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:40:37 ID:V5LkQbYw [5/11] 報告
3ヶ月前のこと


オンバット『……どうしたの?何かいつもより動きが鈍くない?』


う、うん……何か体が熱いの……


オンバーンA『熱い?風邪でも引いたか?』


オンバーンB『…………』


だ、大丈夫だから!はやく練習を続けよ
う?


オンバット『バカ、アンタがそんな調子じゃ出来るわけないでしょ。A、悪いんだけど……』


オンバーンA『気にすんな。今日はこのへんで切り上げて、また元気になったら再開だ』


で、でも…………


オンバット『アンタと練習出来なくなったら、アタシはその……神様に進化させて貰えなくなっちゃうからね!無理しないで今日はもう休もう?』


オンバットちゃん……うぐっ!?


オンバーンB『2匹とも離れて!』


オンバーンA『B?どうしたんだ急に?』


オンバット『それよりもあの子を……!』


オンバーンB『いいから!……始まるよ。あの子の進化が』
121 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:42:35 ID:V5LkQbYw [6/11] 報告
オンバット『なっ!?』


オンバーンA『……この光り、間違いないな。これは進化の光りだ……』


オンバット『あの子が、オンバットが大きくなっていく…………』


メキメキメキメキメキメキ……ピカッ!


オンバーン『…………あれ?何だろうこれ?私は一体……』


オンバーンA『うおおお!おめでとう!お前はオンバーンに進化したんだよ!』


オンバーン『し、進化!?オンバットちゃんじゃなくて私が!?』


オンバーンB『進化には個人差があってね、貴女は早いほうだったみたいね。ほら、オンバットも祝福してやりなよ』


オンバット『あ……うん。えーと、オンバーン!その……先を越されちゃったのは悔しいけど、でもアンタは私以上に頑張ってたもんね。し、進化おめでとう!』


オンバーン『オンバットちゃん、でも私は……』


オンバーンA『謙遜するなって!お前よりも長く練習してるオンバットを追い抜いて進化するなんて、すごいことだぜ!よく頑張ったな〜』ナデナデ


オンバーン『え、えへへ……ありがとう』


オンバット『あっ…………っ!』タッタッタッ


オンバーン『お、オンバットちゃん!どこ行くの!?』バサッバサッ


オンバーンA『なあB、あいつどうしちまったんだ?』


オンバーンB『……ふんっ!』ドゴッ


オンバーンA『うげっ!?な、何すんだよ……』


オンバーンB『バカよ。貴方も私も……オンバットも……』


オンバーンA『えぇ……どういうことだよ……?』


オンバーンC『え、えらいこっちゃ……』モノカゲカラ
122 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:45:23 ID:V5LkQbYw [7/11] 報告
湖のほとり


オンバット『…………』


オンバーン『オンバットちゃーん!……どうしたの急に?も、もしかして私が先に進化しちゃったから……』


オンバット『違うっ!……違うの。だけど今はひとりにして欲しい……』


オンバーン『そ、そんなこと出来ないよ!私、オンバットちゃんが心配だよ!』


オンバット『…………』


オンバーン『それにBさんも言ってたよ?進化には個人差があるって、たまたま私は進化が早くきたんだって。ならオンバットちゃんももうすぐに……』


オンバット『気休めはよしてよ!!』


オンバーン『ひっ……』ビクッ


オンバット『進化が遅い?個人差?そんなもん私には関係ない!だって私とアンタは3年間、常に一緒に同じ練習をしてきたし、私はそれよりもずっと前から進化のために頑張ってきた!』


オンバット『それなのに!何でアンタが先なのよ!どうして私じゃないのよ!!どうして……私を褒めてくれないのよ…………』


オンバーン『オンバットちゃん……』


オンバット『私はただ振り向いてほしいのに……褒めて欲しいのに……』


オンバーン『お、オンバットちゃんだって進化したら皆が褒めてくれるよ!Aさんだって私を撫でてくれたし……』


オンバット『ギリッ……いい加減にしてよっ!!そんなにアタシをおちょくって楽しいの!?』


オンバーン『い、一体何のこと?私はオンバットちゃんを励まそうと……』


オンバット『なあっ…………』プルプル


オンバーン『わわっ、どうして泣くの?笑ってよほら!にこー!』ニカッ
123 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:46:59 ID:V5LkQbYw [8/11] 報告
オンバット『……もういいわ。私たち絶交ね』


オンバーン『ぜ、絶交?何それ……?』


オンバット『アンタとは今後、いっさい関わらないから。近づいてきたら蹴るよ』


オンバーン『そ、そんなこと言わないでよ!ほら、貴女の大好物のモモンのみ!食べて機嫌を直してよ……』


オンバット『……ああもうっ!!』ゲシッ


オンバーン『うぐっ……げほっ……げほっ……』ドサッ


オンバット『アンタのそう言う無神経な所がイラつくの!!アタシの気持ちなんて考えないで自分勝手に振る舞って!』


オンバット『アンタなんか大っ嫌い!!!』


オンバーン『うう……けほっ……けほっ……』


オンバット『あっ…………もう近づかないでよね』バサッバサッ


オンバーン『ううっ……ぐすっ……どうしてぇ?』ボロボロ
124 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:48:45 ID:V5LkQbYw [9/11] 報告
オンバーン「彼女は私が先に進化してしまったことに怒っていたのではなくて、大好きなAさんが目の前で私を撫でるのが頭にきたんだって……気付いたのは3日もあとでした」


オンバーン「私は頭が悪いから、彼女の訴えに気付けなかったんです。その日以来、オンバットちゃんと私は会話することも無くなって……」


霊トルネロス「ふむ……確かに相手にとっては頂けない態度を取ってしまったな」


オンバーン「うう……でもその通りです。私はあの時、オンバットちゃんの腹が立つことばかりしていて……」


霊トルネロス「……君はこの一件が全て自分のせいだと思い込んでいないか?」


オンバーン「えっ?でも、誰がどう見たって……」


霊トルネロス「君のせいだが、そうじゃない。お互いが相手のことを考えず、ただ自分の気持ちを押し付けあった結果だと……ワシは思う」


オンバーン「で、でも私があの時謝れていればこんなことには……」


霊トルネロス「ならなかったという保証はないんじゃないか?むしろもっと気まずくなったかもしれない。ポケモンも休むように、喧嘩にも休む期間が必要なんだよ。それに、君はこの3ヶ月間を無駄にはしていないんだろう?」


オンバーン「えっ?な、何を言って……」
125 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:50:10 ID:V5LkQbYw [10/11] 報告
霊トルネロス「まだ子供らしい面が見えるとは言え、
言葉遣いが丁寧になっているな。練習したんじゃないのか?仲直りの時、親友を傷つけない言葉で話せるように」


オンバーン「……あ、当たってます。いつも物陰から見守っててくれたCさんにお願いしまして……」


ガサガサッ


霊トルネロス「ぬっ、もしや……」


オンバーン「し、Cさん?Cさんですか!?」


霊トルネロス「出てきてくれないか。ワシは怪しいものではない」


オンバーンC「わ、悪いね。盗み聞きするつもりは無かったんだが……」ガサガサ


オンバーン「やっぱりCさんでしたか!でもどうして……」


オンバーンC「いやーその……」


霊トルネロス「君を心配しているからだよ。ワシは自分で言うのもなんだが、そこそこ厳ついからな。こんな夜中の湖でワシと2匹だけなんて、お前さんも何事かと思ったんだろう?」


オンバーンC「し、失礼ながら……申し訳ありません」ペコッ
126 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/18 10:52:30 ID:V5LkQbYw [11/11] 報告
オンバーン「Cさん……私のことをそんなに……」


オンバーンC「僕だけじゃない。AやBも、群れのみんなも心配しているんだ。……彼の言う通りきみは3ヶ月間、寝る間も惜しんで頑張った。育てきたモモンのみも、
いい感じに熟れてきているんじゃないのかい?」


オンバーン「で、でもオンバットちゃんは……」


霊トルネロス「それなら気にする必要はない。喧嘩というのは、両者ともしばらくは引きずるものだし、相手を傷付けたのなら尚更な」


オンバーンC「2匹に聞いたんだけどね、3ヶ月前からオンバットちゃんの動きに切れがないんだって。……怖いだろうけど、仲直りのチャンスなんだ。僕も応援するからさ」


霊トルネロス「勿論、ワシもな」


オンバーン「Cさん、トルネロスさん……ありがとうございます!明日、オンバットちゃんと話してみます!」


オンバーンC「うん。絶対に君なら大丈夫だ……」


霊トルネロス(うむ。必ず上手くいくとも……)
127 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 17:54:31 ID:0cAltRKw [1/13] 報告
その頃、湖の近くにある洞窟では……


オンバットたち「zzz……」


オンバット「やっと眠ってくれたわ……おやすみ。いい夢を見てね」


オンバーンB「お疲れさま。随分と寝付きが悪かったみたいね?」


オンバット「B、お疲れさま。このところ地震が多いからね、この子たちも不安なんだと思う。寝るのが怖いって言いだす子もいたし……」


オンバーンB「可愛そうに……本当、最近どうしたのかしらね。……ところでオンバーンは今日も外で寝てるの?」


オンバット「……うん。アタシと同室だから気を遣ってくれてるのよ。……ひどいことを言ったのはアタシなのに……」


オンバーンB「その気持ちがあれば大丈夫よ。仲直りする決心はつきそう?」


オンバット「……駄目。許してもらえるわけないもの……」フルフル


オンバーンB「そっか……」


オンバット「ごめん、もう疲れたから寝るね。おやすみ」ニッ


オンバーンB「おやすみ……」


オンバーンB(無理して笑わなくてもいいのにな……)
128 : ィ@ポイントアップ 17/11/19 18:00:03 ID:0cAltRKw [2/13] 報告
オンバーンA「お疲れ。悪い、いつも任せちまって」


オンバーンB「仕方ないわ。貴方じゃ悪影響だもの」


オンバーンA「うぐ……容赦がない」


オンバーンB「うるさい。鈍感は罪なの」


オンバーンA「だ、だってよー、お前と同じ親友としか見てなかったし、俺のことを好きだなんて考えたこともなかったし……」


オンバーンB「戸惑うのも無理はないけど、オンバットはずっと貴方のことを慕ってるの。私としては出来れば貴方と結ばれて欲しいけど、でもなあなあは許さないよ」


オンバーンA「俺の本心で応えろってか?……いいやつだとは思う。努力家で、群れのチビたちの面倒もよく見てくれてる……」


オンバーンB「子供たちの寝かしつけも、練習で疲れてるのに毎日やってくれてるね」


オンバーンA「ああ、すごく助かってる。でも、群れの皆からも慕われてるオンバットと普通の俺が夫婦ねぇ……駄目だ想像つかない」


オンバーンB「誰でもそんなもんよ。いつでも相談にはのるから、オンバットの気持ちに気付かなかった罰だと思って、真剣に向き合いなよ」


オンバーンA「は、はい……」
129 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:01:04 ID:0cAltRKw [3/13] 報告
オンバーンD「おっ、2匹ともお疲れ。少しいいか?」


オンバーンA「Dさん、お疲れさまです」


オンバーンB「お疲れさまです。どうしました?」


オンバーンD「急遽、この洞窟から西の方へ出発することになった」


オンバーンA「ええっ!?そんな唐突な……」


オンバーンB「……地震ですか?」


オンバーンD「うん、この近辺に住むじめんタイプたちが相当デカイ揺れを察知した。短く見ても到来は一週間後らしい」


オンバーンA「マジですか……。チビたちはどうするんですか?何なら目的地まで俺が往復して……」


オンバーンD「気持ちは嬉しいが、お前が潰れてしまうよ。事情を聞いた他のひこうタイプたちが、渡りのついでに乗せていってくれるそうだ」


オンバーンB「それはありがたいですね。私たちは何をすればいいんですか?」


オンバーンD「他のオンバーンたちと共に食糧の運搬だ。出発は2日後、大変な引っ越しになるが頑張ってくれ」


2匹「はいっ!」


オンバーンB(明日にでも、オンバットに話しておかないとな……)
130 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:02:34 ID:0cAltRKw [4/13] 報告
次の日、といってもポケモンたちもまだ寝静まっているような時間帯に、少し大きめの地震が起きた。


最初に異変に気付いたのは、群れで一番小さなオンバットだ。未だ体験したことのない揺れに怯え、思わず大声で泣き出してしまう。


それは瞬く間に洞窟内に反響し、他のオンバットやオンバーンたちの意識を、天井から揺り落とす形で強引に目覚めさせてしまう。


オンバーンA「んげっ!?な、何だ!?」


オンバーンB「一番小さいオンバットの泣き声よ!ほら、オンバットがいつも寝かしつけている子の!」


オンバーンA「あいつが!?てことは、奥の部屋にいるのか!」


オンバーンB「そう!早くなだめてあげないと……」


ワアアァァァァァァン!!!!!


オンバーンA「ぐえぇっ!?な、何だこの馬鹿デカイ音はぁ!?」


オンバーンB「くぅ……他の子どもたちも、私たちと同じように天井から落ちて怖くて泣いてるみたい……!」


オンバーンA「み、耳が死にそうだぁ…………」
131 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:04:40 ID:0cAltRKw [5/13] 報告
まるで、耳元で油のきれた自転車のブレーキ音を聞かされているような、思わず顔をしかめてしまうような不快音が洞窟内で響き合う。


群れの小さなオンバットたちが一斉に泣きわめくという異常な事態と、周囲で木霊する子供たちの泣き声に、オンバーンたちは心から悲鳴をあげた。


しかし、この暴力的な騒音に耐えきれなくなっているのは、必ずしも生き物だけとは限らない。


オンバーンA「と、とにかくチビたちを何とか落ち着かせないと……!」


オンバーンB「だ、だけど……頭がくらくらしてきたわ……」


ふらつく2匹の耳に、オンバットたちの泣き声とは別の、聞きなれた声が聞こえてきた。


『き、聞こえるか!オンバーンたち!』


オンバーンA「この声は……Dさんか!?」


『俺は今、音波を洞窟内に反響させている!聞こえたら、俺の音波と同じ周波数の音波を出してくれ!』


オンバーンA「流石はDさんだな……よし俺たちも……」


オンバーンB「うん……」


『……よし!オンバーンとC以外は全員いるな!皆も知っての通り大変なことになった!子供たちの泣き声が洞窟を破壊しているんだ!』


オンバーンA「な、何だって!?冗談はよしてくれよ!」


オンバーンB「こんなときに言うか!あの岩を見てみなよ……」


ピシッピシッ……バキャッ!!


オンバーンA「こ、粉々だぁ……」
132 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:06:13 ID:0cAltRKw [6/13] 報告
オンバーンD『このまま放置し続ければ、この洞窟は持たない!いいか皆、オンバットたちを外へ連れ出すんだ!!なだめるのは後回しでいい!』


オンバーンA「ぐぅ……これは寝てらんないな!俺は奥の寝室のほうに行ってくる!オンバットだけじゃ大変だからな!」タッタッタッ


オンバーンB「わ、分かった!そっちは頼んだよ!」


オンバーンA「任せとけ!」



その頃、オンバーンたちは……


オンバーンC「……ん?」


オンバーン「Cさん、どうかされました?」


オンバーンC「……住み処のほうから、何だろう……泣き声のようなものが聞こえる……」


オンバーン「な、泣き声ですか!?……本当だ!もしかしてさっきの地震が原因じゃ……」


オンバーンC「良くないことが起こっているのは確かだ。泣き声もどんどん大きくなってきてるし……」


オンバーン「待っててみんな!」バサッバサッ


オンバーンC「あっ、オンバーン!えーと、トルネロスさんは……あれ?」


霊トルネロス「置いていくぞーい」バサッバサッ


オンバーンC「……ま、待ってくださいよー!」バサッバサッ
133 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:09:15 ID:0cAltRKw [7/13] 報告
同じ頃、オンバットは泣きわめく子供たちを、どうにか落ち着せようとなだめていた。


オンバット「ほら、大丈夫よ怖くない怖くない。お姉ちゃんがついてるもの」ナデナデ


オンバットA「うう……ぐす……」


オンバット(さっきのDさんの指示通りなら、今ごろAやBたちオンバーンが子供たちを連れ出してるはず。……アタシも進化していれば、すぐにこの子たちを安心させてあげられるのに……)


オンバットB「うえっ……えっ……」


オンバット「っとと、怖くないよ〜大丈夫だから!」


オンバット(無い物ねだりしても仕方ない!アタシの周りにはオンバットが3匹だけ。泣き止んでくれさえすれば、アタシだけでも連れていってあげられるわ……)


オンバットC「お、お姉ちゃん危ないよ!」


オンバット「えっ……?」


頻繁に起きていた地震に揺らされ、岩をも砕くオンバットたちの泣き声を聞き続けた洞窟がついに限界を迎えようとしていた。


崩落した天井がオンバットたちへと襲いかかる。オンバットは子供たちを抱きよせてきつく抱き締めた、その時……


「"ばくおんぱ"ぁっ!」


ドゴォォォォ!!


オンバット「…………え、A!!」


オンバーンA「すまん遅くなった!みんな無事か!?」
134 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:10:59 ID:0cAltRKw [8/13] 報告
オンバットA「兄ちゃんだー!」


オンバットB「わーい!」


オンバットC「僕たち平気だよ!だってお姉ちゃんがずっと励ましててくれたんだもん!」


オンバーンA「おう!元気そうで何よりだ!オンバットお前は?」


オンバット「だ、大丈夫。助けてくれてありがとうね」


オンバーンA「当たり前じゃねえかよ!チビたちも、オンバットもみんな大切な仲間だからな!」


オンバット「A……。そ、そうだみんなは?」


オンバーンA「音の反響具合からして、大半のチビたちは外に連れ出せたと思う。この辺のチビたちはもういないな?」


オンバット「うん。この子たちだけよ」


オンバーンA「よし、急いで出口に向かうぞ。お前ら走れる……わけねえよな。抱っこしてやるから、暴れんなよ?」


3匹「はーい!」


オンバーンA「……お前は?」
135 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:12:45 ID:0cAltRKw [9/13] 報告
オンバット「ば、馬鹿なこと言わないで!アタシは飛ぶから大丈夫よ!」


オンバーンA「あいよーそれじゃ行くぞ!」タッタッタッ


オンバット「あっ……もう、置いていかないでよっ!」


出口へと急ぐオンバットたち。しかし、崩落する洞窟は、彼女たちを簡単には逃がしてくれなかった。


またしても洞窟の天井が、音を立てて崩れだしたのだ。


しかも今度は、子供たちを抱えたAの頭上で……


オンバーンA「なっ……!?」


オンバット「Aっ!!」


絶望的な光景を目の当たりにしたオンバットは、飛び立つことをやめ、力の限り地面を踏みしめて飛び出し、Aの背中へ思いっきり体をぶつけた。


あまりの衝撃に、Aの体は尻から浮かび上がる。


オンバーンA「お、オンバットお前……!」


オンバット「……生きてよ」ニッ


オンバーンA「オンバットォーーーッッ!!!」


ドシャアァァァァァ!!!!


Aが背中から地面へ叩きつけられるのと、オンバットが瓦礫と砂の波に飲み込まれるのは、ほぼ同時だった。
136 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:14:20 ID:0cAltRKw [10/13] 報告
その頃、洞窟の入口付近では……


オンバーン「みんなー!私やこのおじさんに捕まったらこちょこちょの刑だからねー!」タッタッタッ


霊トルネロス「手加減はせんぞーい」タッタッタッ


オンバットたち「わーっ!逃げろー!!」タッタッタッ


オンバーンD「あ痛てて……参ったなこれは」


オンバーンC「大丈夫ですか?……すみません緊急事態だっていうのに、僕たちだけこんなことしか出来なくて……」


オンバーンD「何を言っているんだ。オンバーンたちはああやって子供たちと遊んで、緊張をほぐしてくれているし、Cは俺のように怪我をしたオンバーンたちの治療をしてくれているじゃないか」


オンバーンD「お前たちがすぐに駆けつけてくれなければ、今ごろここら一帯はパニックだったよ。本当に助かった」


オンバーンC「……ありがとうございます。あとはAとオンバットちゃんたちだけですね……」


オンバーンD「無事に戻ってきて欲しいものだが……」
137 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:16:31 ID:0cAltRKw [11/13] 報告
オンバーンB「Dさん!Aが戻りました!」


オンバーンD「本当か!?A、よく戻ったな!」


オンバーンA「……」フルフル


オンバーンD「ど、どうしたんだ?お前は子供たちを連れて……」


オンバーンC「ま、まさか……」


オンバーンB「……オンバットがいないわ……!」


2匹「なっ……!?」


オンバーンA「……みんな、チビたちを頼む。俺はオンバットを助けにいかないと……」


オンバットA「うう……ひぐっ……」


オンバットB「………僕だちを助けようとして……」


オンバットC「……お姉ちゃん死んじゃう……」


オンバーンA「あいつがあんなもんで死ぬかよ!お前らも泣くな。すぐに兄ちゃんが連れて帰ってくるから………」


オンバーンD「待つんだA!」ガシッ


オンバーンA「離してくださいよ!!俺は、あいつを助けにいかなきゃならないんだ!!」


オンバーンD「怪我をした俺すら振り払えないお前に、一体何が出来る!?そんな疲弊した体でオンバットが救えるわけないだろう!!」


オンバーンA「それでも俺は行かなきゃならないんです!命の恩人のあいつは、今も洞窟のなかで一人ぼっちなんですよ!?俺が行かなきゃ、一体誰があいつを救ってやれるんですか!!」
138 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:18:37 ID:0cAltRKw [12/13] 報告
オンバーン「……私がオンバットちゃんを救います。皆さんの中で、満足に動けるのは私だけですから」


オンバーンA「お、オンバーン……」


オンバーンD「お前までもそんなことを……」


オンバーンC「い、いつの間に……」


オンバーン「Bさんや他のオンバーンたちが行ってこいって、私の代わりに子供たちと遊んでくれているんです。勿論、Aくんたちも一緒に」


オンバーン「必ず、オンバットちゃんと一緒に帰ってきますから。……行ってきます!」タッタッタッ


オンバーンD「なっ!?」


オンバーンC「ああっ!?ま、待つんだ!」


霊トルネロス「おっと。お前さんたちが行っても足手まといになるだけだろう?」スタッ


オンバーンC「どいてくれよ!オンバーンを危険な目に合わせたいのか!?」


霊トルネロス「逆に聞くぞ。彼女が危険を承知せずに向かったと思うか?」


オンバーンC「そ、それは……」
139 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/19 18:20:53 ID:0cAltRKw [13/13] 報告
オンバーンD「それでも止めなくてはならない!洞窟は、もういつ崩れてもおかしくはないんだ!そんな中で、瓦礫の山から小柄なオンバットを探し出すなんて無理なんだ!不可能なんだ!!」


霊トルネロス「彼女の言葉を思い出してみろい。彼女は必ず2匹で帰ってくると言った。仲間の身を案ずるのはお前さんたちの役目だが、信じて待つのも、またお前さんたちの役目だろう?」


オンバーンD「しかしだな……!」


オンバーンA「……Cさん、俺を回復して欲しい。そろそろ限界だ……」


オンバーンC「わ、わかったよ……すぐに取りかかる」


オンバーンA「……おっちゃん、2匹が無事に帰ってこれるようサポートしてやってくれよ。今の俺たちじゃ、悔しいけど役不足だ」


霊トルネロス「うむ。任せておけい」


オンバーンD「…………音波を使うんだ。そうオンバーンに伝えてやって欲しい。2匹を頼みます……」


霊トルネロス「うむ。では行ってくるぞい」ビューン


オンバーンD「…………もしもの時は、オンバーンやあのポケモンを止められなかった俺の責任だ。決して自分を責めるなよ」


オンバーンA「Dさん……もしもなんて起こりませんよ。オンバーンは昔から約束を破ったことがないんですから……」
140 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:05:05 ID:yGG0gIdM [1/9] 報告
『オンバットちゃん!聞こえたら返事をしてください!助けにきました!!』


失っていた意識を揺り起こしたのは、土砂と瓦礫の妙な匂いと、聞き覚えのある声だった。


誰?アタシの名前を呼ぶのは…………


『私です!オンバーンです!!聞こえたら返事をしてください!』


オンバーン?ああ、アンタだったのね……声には聞き覚えがあったけど、ずいぶんしゃべり方が綺麗だったから分かんなかった……

オンバーン、アタシはここにいるよ。


『オンバットちゃん!聞こえたら返事をしてください!』


してるって……ん?もしかして、あの子は音波でアタシを呼んでいるのかしら……


『オンバットちゃんっ!聞こえたら返事はしてください!!』


ちょっと待ってね…………あれ?み、耳に力が入らない………?

141 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:06:11 ID:yGG0gIdM [2/9] 報告
オンバーン(この瓦礫の山のどこかに、彼女はいるはずなのに!どうして私の音波は届いてくれないの!?)


霊トルネロス「……まだ反応はないか?」


オンバーン「はい……」


霊トルネロス(ワシが全て吹き飛ばしてやりたいが、そんなことをすれば洞窟も崩落してしまう……。手前の瓦礫からどけていくしか手はないのか……!)


オンバーン(トルネロスさんも頑張ってくれるけど、これじゃ間に合わないよ……!お願い、オンバットちゃんに届いて……!)



『オンバットちゃん!返事をして!お願いだから!』


し、したくても出来ないのよ……!意識ははっきりしてるのに、どうして体は言うことを聞いてくれないのよ!?
142 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:07:08 ID:yGG0gIdM [3/9] 報告
『オンバットちゃんっ!!』


もううるさいっ!アンタはいつもそう!アタシの事情も考えずに……行動して………


『オンバットちゃん!!お願いだから返事をしてぇ!!』


違う……。オンバーンは、いつだってアタシの為に頑張ってくれていた……


『寝る前に神様にお願いしたんだ!私もオンバットちゃんと一緒にたくさん練習するから、絶対に進化させてあげてって!』


『そ、そんなこと出来ないよ!私、オンバットちゃんが心配だよ!』



アタシの進化の為に一緒に練習してくれた……あの日、立ち去ったアタシをすぐに追いかけて励ましてくれた……


こんなアタシと3年も一緒に……親友でいてくれたんだ……!



『お願いだよオンバットちゃん!!返事をしてよぉ!!』


今だってアタシを助けようと、必死に音波を送ってきてくれてるのに……なのにアタシが応えなくてどうするのよ……!


耳が動かないのなら、口を動かせ!アタシ!
143 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:08:38 ID:yGG0gIdM [4/9] 報告
「………ーン………オ……」


オンバーン「はっ!?オンバットちゃんの声……」


霊トルネロス「聞こえたのか!?」


オンバーン「微かにです……けれどオンバットちゃんは必死になって声を出してる!どこ!?どこにいるのオンバットちゃん!!」


霊トルネロス「オンバーン!声のするほうへ進むんだ!道はワシが作る!"エアスラッシュ"!!」ズバッズバツ


げほっ、げほっ……土砂が口に……でも、負けない……あきらめない!オンバーンに応えなきゃ!


「オン……ーン……オン……バーン……!」


オンバーン「オンバットちゃん!!聞こえる!聞こえるよオンバットちゃんの声が!!待っててすぐ助けるから!!」


霊トルネロス「絶対に諦めるなぁ2匹ともぉ!!おおおおっ!"エアスラッシュ"!!」ズバッズバッズバッ


オンバーン!!げほっ……アタジはごごよ!!ごほっ……オンバーン!!


「オン……バーン……!オンバ……ーン!!」


オンバーン「オンバットちゃん!もう少じ、もう少じだげ我慢じでで!!いま会いに行ぐがらぁっ!!」


霊トルネロス「うおおおおおおおっ!!」ズバッズバッズバッズバッズバッズバッ
144 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:10:40 ID:yGG0gIdM [5/9] 報告
オンバット「……オンバーン……!」


オンバーン「み、見つげだっ!ドルネロスざんっ!!」


霊トルネロス「任せておけぇ!!"エアァァァスラッシュ"!!!」ズバンッ


オンバット「うっ……お、オンバーン……!!」


オンバーン「あああっ……おんばっどぢゃぁん!!」ダキッ


オンバット「きゃっ……」


オンバーン「よがっだあぁぁ!!おんばっどぢゃんがいぎででよがっだよおぉぉぉ!!う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ん!!!」ギュゥゥ


オンバット「オン……ばーん……ぐずっ……ひぐぅ………ありがどう……」ギュッ


ゴゴゴゴゴゴゴ……



霊トルネロス「マズイ……!オンバーンっ!そのままじっとしていろよ!君たちを掴んだまま飛ぶぞ!!」ガシッ


オンバーン「え"え"っ!?ぎゃんっ……」


オンバット「ちょ、待ってよ……!?」


霊トルネロス「脱出するっ!!」ギューン


2匹「あにゃああああぁぁぁぁぁぁいぃ!!?」
145 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:11:44 ID:yGG0gIdM [6/9] 報告
オンバーンD「す、すごいスピードで出てくるぞ!」


オンバーンC「それは本当かい!?」


霊トルネロス「全員、入り口からどくんだあぁぁ!!!」ギューン


トルネロスたちが外へ出ると同時に、洞窟も内部から崩れていった。


オンバーンA「どわった……お、オンバットだ!オンバットもオンバーンもおっちゃんも、みんな帰ってきたんだあぁぁぁぁ!!」


オンバーンC「よっしゃあ!!」グッ


オンバーンD「ぶ、無事で何よりだあ"ぁ"ぁ"ぁ"〜……」ナミダドバー


オンバーンB「ぐすっ……信じてたよ。お帰りなさい……」


オンバットA「お姉ちゃん生きてる!みんな生きてるー!」


オンバットB「ひぐっ……よがっだあ……うう……」


オンバットC「な、泣いちゃだめだよ!ほら、僕たちもお姉ちゃんたちのとこに行こう!」


こうして群れの一大事を乗り越えたオンバーンたちは、しばしの休息をとる間もなく、数日後には西へと出発することとなった。
146 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:13:52 ID:yGG0gIdM [7/9] 報告
オンバーン「やっぱりいませんか……」


オンバーンD「うん、この近辺のポケモンたちも見ていないそうだ。一体、どこにいるのか……」


オンバーン「……出発の時間には帰ってきますから、探してきてもいいですか?」


オンバーンD「いいよ。でも、オンバットと一緒じゃなくてもいいのかい?」


オンバーン「はい。オンバットちゃんの大切な時間を邪魔できませんから。行ってきます!」バサッバサッ


オンバーンD「…………2匹とも仲直り出来て良かったなあ」





オンバーン(確かあの日の夜……ここでトルネロスさんと出会って……)


オンバーン「もう、お礼のひとつも言えないままお別れなんてあんまりじゃないですか……」


霊トルネロス「ぬっ、それは悪いことをするところだった。すまん」


オンバーン「謝るぐらいなら、突然いなくなったりしないで……えっ?」


霊トルネロス「うむ、久しぶりだな。元気か?」ニパッ
147 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 07:15:55 ID:yGG0gIdM [8/9] 報告
オンバーン「ひゃああっ!?びっくりしたぁ……心臓止まるかと思いましたよ!」


霊トルネロス「はっはっはっ!ちょいとしたイタズラよ。許してくれい」


オンバーン「全く……どうして急にいなくなったりしたんです?みんな心配していますよ?」


霊トルネロス「何、ワシはもう必要ないと思ってな。雲の上でのんびりしとったよ。皆には元気にしている……と、伝えてくれ」


オンバーン「トルネロスさんが直接会ってあげたほうが良いのでは?それとも何か急ぎの用事でもあるんですか?」


霊トルネロス「うむ……まあそれなりにな。ところで、あれから彼女とは……いや、表情を見る限りは大丈夫みたいだな」


オンバーン「はいっ!トルネロスさんのおかげで、またオンバットちゃんと一緒にいられます!それに、オンバットちゃん今……」


霊トルネロス「ほお!それはめでたいことだ。君も早く相手を見つけなくてはな?」


オンバーン「むっ、私は……もうすでにいたりして?」


霊トルネロス「はっはっはっ!そうかそうか!では、また会った時に是非とも紹介しておくれ」


オンバーン「はいっ……必ず、またお会いしましょうね?」

霊トルネロス「うむ。……またな」ビュン


オンバット「オンバーン?そろそろ出発の時間よー?」


オンバーン「あっ、うん!いま行くよー!」


オンバーン(…………ありがとう、トルネロスさん。私たちに幸せを与えてくれて……)
148 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 08:11:22 ID:yGG0gIdM [9/9] 報告
とある地方の上空


ボルトロス「……」


ランドロス「雷の字、きのみでも食わんか?我輩の仲間育てたきのみだ」


ボルトロス「……頂こう」モグモグ


ランドロス「…………」モグモグ


ボルトロス「…………」モグモグ


ランドロス「……2週間か」モグモグ


ボルトロス「むっ?ああ、風の親父が度に出てからか。そうだな、もう2週間だ」


ランドロス「心配か?」


ボルトロス「親父自身については心配していない。親父は強いからな。だが……」
149 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 10:15:49 ID:8gpvFVsY [1/3] 報告
ボルトロス「いかんせん親父は面倒見がいいからな。困っているポケモンは放っておけないだろうし、面倒ごとに巻き込まれているのではないかと思うとな……」


ランドロス「親父の良いところよ。ところでお主は感じぬか?」


ボルトロス「む……何者かが我々のいる場所へ猛スピードで近づいている……こ、この気配は……!」


ランドロス「おかえりじゃな。親父よ」ニコッ


霊トルネロス「うむ。ただいまだ」ニパッ


ボルトロス「か、風の親父!伴侶探しの旅はどうした!?」


霊トルネロス「いや実はな、いまひこうタイプたちは繁殖期の真っ最中なんだ。みんな忙しいのだよ」


ボルトロス「では、なぜ急にここへ帰ってきたんだ?」


霊トルネロス「旅先で、様々な愛を見ているうちに、何だか急に寂しくなってな。2匹に会いに戻ってきたという訳だ」


ボルトロス「相変わらず直球な物言いだな……しかし伴侶は……」


霊トルネロス「季節が変わるまで待つさ。畑のおっさん、あの鏡を出してくれ」


ランドロス「もう捨ててしまったわい」


霊トルネロス「な、何ぃ!?」
150 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 10:16:31 ID:8gpvFVsY [2/3] 報告
ランドロス「もう捨ててしまったわい」


霊トルネロス「な、何ぃ!?」


ランドロス「ほっほっほ。冗談じゃ、ほれ」


霊トルネロス「ぬっ……」ピカーッ


ボルトロス「おお、親父の体が……親父に!」


トルネロス「うむ。さて、2匹とも食っている最中に悪いが、久しぶりに技比べでもしようや」ニパッ


ボルトロス「……構わんよ。存分に楽しもうぞ」ニヤッ


ランドロス「どれ、ちょいと遊ぶかのう」ニコッ
151 : サクレ◆kEcx4uWf0w 17/11/20 10:28:25 ID:8gpvFVsY [3/3] 報告
なあ、風の親父。まだ親父は伴侶が欲しいと思っているか?


うむ。この者のためなら命もかけられる。そう思えるような伴侶がワシは欲しいが……何よりもだ。


何よりも?


ワシは子供が欲しい。今回の旅で、子供とはワシの考えていた以上に愛おしい存在だと知ったからな。


ほっほっほ。随分とよい旅をしたみたいじゃな?


我々にも聞かせてくれよ。親父の珍道中を。


うむ。存分に聞かせてやるぞい。まずはな…………




温かい家族を求める旅は、まだまだ続く。

一旦、完結です。最後まで読んでくれてありがとう!
152 : ワンテ@どくけし 17/11/20 12:30:54 ID:q108C1xw m 報告


(野暮なツッコミだけど、役不足の誤用)

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