▼  |  全表示50   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【クリスマスSS】 見習いサンタ サーナイト

 ▼ 1 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/10 00:14:32 ID:Ax5WQ8UI [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
遠い北東部にある地方に小さな村があった。

その村は一般的に誰も知られていないクリスマス村という名前である。


いま現在真冬の季節、雪が降り注ぐ村にある小さな工場の中で二人のポケモン達が話し合っていた。

デリバード「ゴホンッ!え〜…ではこれよりサンタになる為の最終試験…」


サーナイト「スーッ…スーッ…」

デリバード「ん?寝ておるのか?サーナイト!起きろー!」

サーナイト「はっ!あのえーっと…どこまで話してたんですか?」

デリバード「やれやれ。よいか?君は立派なサンタクロースになるための試験を受けているのは承知しているか?」
 ▼ 11 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/10 22:43:42 ID:Ax5WQ8UI [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「サンタクロースのお仕事って…大変なのですね」

デリバード「うむ…その通りじゃ。ってしみじみ語っている場合ではない!早くサンタ衣装に着替えんか!」


サーナイト「あっ!了解です!なんだか…ドキドキしてきました」

デリバード「おっと…後一つ言い忘れていたが」

サーナイト「はい?なんでしょうか?」

デリバード「いや実は…お前さんに大切な…事を伝えようと…」


サーナイト「大切な事?」

デリバード「いや…やっぱりなんでもない」

サーナイト「……?」
 ▼ 12 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/10 22:47:46 ID:Ax5WQ8UI [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバードは今年でサンタクロース業が廃業するのをサーナイトに伝えようとしたが中々勇気を出して言い出せず、そのまま黙ってサーナイトを見送る事になってしまった。

デリバード(あんなに気合い入ってしまって…。益々言い辛くなってしまうな)

サーナイトは白のトリミングのある赤い服と赤いナイトキャップをルンルン気分で着飾る。


一方クリスマス村から遠く離れた街にサーナイトがプレゼントを届ける予定のイーブイ家では息子のイーブイ、父親のサンダースそして母親ニンフィア。


一家団欒でどこか寂しげでご馳走も全くない雰囲気が漂うクリスマスパーティーが繰り広げられていた。

イーブイ(♂)「ねぇパパ…ママ…今年こそはサンタさん来るの?」

サンダース(♂)「いや今年も絶対来ないさ」

ニンフィア(♀)「そうよ。サンタさんは忙しいから中々来れないのよ」
 ▼ 13 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/10 22:57:37 ID:Ax5WQ8UI [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「えー!だって!毎年僕のお友達はみんなクリスマスプレゼント貰えたんだよ?でもどうして僕だけもらえないの?」

サンダース「我が家は代々貧乏な暮らしを余儀なくされているからな…」


ニンフィア「ええ。こうして家計のやりくりをしていくのにも一苦労するし」

イーブイ「ねぇどうして!?僕いい子にしてるのにサンタさんが来ないなんておかしいよ!」

イーブイは必死に両親にサンタクロースが来ることを訴えていた。


ニンフィア「…イーブイ、もう夜遅いから早く寝なさい」

サンダース「そうだぞ。いくら起きたってサンタは来ないのは来ないんだ…諦めるんだ」

イーブイ「……」
 ▼ 14 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/10 23:01:03 ID:Ax5WQ8UI [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース「いつまでも起きてるとパパの十万ボルトを受ける羽目になるぞ!」

イーブイ「はーい。パパ…ママおやすみなさい」

イーブイは切ない眼差しを両親にチラつかせながらトボトボと歩いて二階に上がり、イーブイの部屋に向かう。


ニンフィア「…あなた」

サンダース「いいんだ。もうあの年にもなってサンタを信じるのはもう止めにさせた方がいい」

ニンフィア「でも…あの子はどうしてもプレゼントが欲しいって必死に何度もおねだりしてるから買ってあげても…」

サンダース「ダメだダメだ。今時サンタがいるなんて子供…この世の中そう居ないと思うぞ」
 ▼ 15 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/10 23:09:33 ID:Ax5WQ8UI [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「でも…」

サンダース「俺も本当は買ってやりたいんだ。でも今の家の家計は…火の車だろ?プレゼントを買う予算はあるのかニンフィア?」

ニンフィア(せめてあの子の夢を叶えてあげたい。嗚呼…本当にサンタが来てくれたら…)


イーブイの儚き願いは今まさに叶えられるとはその時誰も知る由はなかった。

その頃サーナイトはどうしているかというと小屋の外へ出ると今か今かとウロウロしているメブキジカ(冬の姿)に出会う。


出会い頭に軽く挨拶を交わす二人。

サーナイト「あなたが私のお供になるメブキジカさんね?」

メブキジカ(♂)「そうだ。よろしく、天然お嬢さんサーナイト」
 ▼ 16 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/10 23:11:20 ID:qqukcHu2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です!
 ▼ 17 pope◆29thbc/0F6 17/12/11 00:35:31 ID:crJG3weI NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 18 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/11 23:21:32 ID:x6htFHkE [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「天然お嬢さん?それって私の事かしら?」

メブキジカ「他に誰がいるんだ?」


サーナイト「いないですね」

メブキジカ「あんた…きっぱり言うねぇ。よっぽど素直な性格とみた」

サーナイト「えへへ、それ程でも」


メブキジカ「別に褒めている訳ではない」

サーナイト「あの〜メブキジカさん?そろそろ出発しません?雪が降っててとっても寒です!」

メブキジカ「これしきの寒さで泣き顔を見せるのはサンタとしての恥だぞ」
 ▼ 19 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/11 23:26:33 ID:x6htFHkE [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「…すみませ〜ん」

メブキジカ「では早速プレゼントを届ける家に向かうからソリに搭乗してくれ」

サーナイト「はーい」


サーナイトは体をブルブル震えて寒さに凍えながら嬉しそうにソリに乗る。

メブキジカ「くれぐれも落ちないようにな。ちゃんと乗ってるんだぞ」

サーナイト「了解です。メブキジカさんも落ちないように気をつけて下さいね」


メブキジカ「私が落ちたらあんたも一緒に落下する羽目になるぞ。のんびりお喋りしてる暇はない。では出発」

メブキジカは勢いよく走りだし、ソリを引きながら宙に浮きだし空に向かって走り出す。

サーナイト「わああ!浮いてる!飛んでる飛んでる!すご〜い!」
 ▼ 20 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/11 23:36:19 ID:x6htFHkE [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メブキジカ「あまりはしゃがないでくれ!下手に動くと振り落とされるぞ!」

サーナイト「ごめんなさい!ついつい興奮しちゃって…」


メブキジカ「全く…これだから新米は困る」

サーナイト「それでそれでプレゼントをお届けする子のお家は何時ぐらいに着くの?」

メブキジカ「順調に進めば10分位で辿り着く」

サーナイト「結構近いわね」


メブキジカ「あんたはまだ見習いの身分だからそう何件も回ったりしないぞ」

サーナイト「そっか…確かにメブキジカさんのおっしゃる通りね」
 ▼ 21 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/11 23:56:11 ID:x6htFHkE [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メブキジカ「それよりもサーナイト、キチンと試練をやり越せるよう自信はあるか?」

サーナイト「当然です!必ず…成功させてみます!」


10分後…ようやくサーナイト達は目的地のイーブイの家に到着した。

屋根の上に居るサーナイトとメブキジカは周囲を見回す。


既に夜中を迎えている村一帯の街灯は消えている。

サーナイト「…さ〜むい!ハックシュン!今日は一段と冷え込むわね」

メブキジカ「俺なんか草タイプだから…この極寒の地は地獄のフィールドに過ぎない」

サーナイト「大丈夫ですか?」
 ▼ 22 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/12 00:04:44 ID:QOceWteo [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メブキジカ「もう5年もソリを引く仕事を続けているからこの寒冷な気候に慣れている」

サーナイト「凄いですねぇ。私…寒いなんて弱音を吐いている場合じゃありません!」


メブキジカ「あそこに見えてる煙突から中に入れば暖炉に行く事が出来るはず」

サーナイト「え?煙突から?窓から入るんじゃなかったでしたっけ?」

メブキジカ「サンタなら煙突から家の中に入るのが常識だ」


サーナイト「怖いですよ。どれだけ深いかは分からないですし」

メブキジカ「怯えてはいかんぞ。さあ煙突の中に入るんだ」

サーナイトは恐る恐る屋根の先にある古ぼけた煙突へ近づく。
 ▼ 23 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/12 00:08:41 ID:QOceWteo [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
煙突の中を覗き込むと中は真っ暗で奥深く下がどうなっているか全く把握出来ない。

サーナイト「真っ暗で何も見えない…やっぱり怖い。私、帰ろうかな」

メブキジカ「おいおい…あんたそれでもサンタになりたいって決めていたんだろ?」


サーナイト「で…でも」

メブキジカ「それだと試験を失格せざるを得ない。さあどうする?諦めて引き返すか?」

サーナイトは悩み悩んでようやく意を決して煙突に入る事を宣言した。


サーナイト「や…やります!ここで諦めては今まで頑張ってきた成果が水の泡になってしまいますからね!」

メブキジカ「よしよし。ではこのプレゼントを持ってちゃんと届けてあげるんだ」
 ▼ 24 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/12 00:20:11 ID:QOceWteo [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイトはソリに置いてある中位のサイズのプレゼント箱を持って片足を煙突の中へ引っ掛ける。

サーナイト「な…なんだが緊張してきた。足が震えて…やっぱり怖い物は怖いのよね」


メブキジカ「どうした?手伝ってやろうか?」

サーナイト「え?」

メブキジカはサーナイトの背中を足で軽く蹴りサーナイトはとっさにもう片足を差し出してすっぽりと煙突の中に入ってしまう。


サーナイト「いやああああああああああああああああ!」

メブキジカ「じゃあ後はよろしくな!…グッドラック!」

サーナイトは目を瞑り悲鳴を上げながら物凄い速さで煙突内部を落下する。
 ▼ 25 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/12 23:53:47 ID:QOceWteo [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あっという間に暖炉に到達し、ドスン!と強烈な衝撃音を立ててお尻を強打する。

サーナイト「あいたたたた…」

折角の新品のサンタクロースの衣装が暖炉に溜まった煤が付着しボロボロの古着と
化してしまった。


彼女が暖炉に落下した音に目が覚めたイーブイは一体何事かと急いで1階へ降りてリビングへ走る。


イーブイ「1階の方から音が聞こえてきたけど…何かあったのかな?」

サーナイト「はっ!誰かこっちに近づいてくる!どうしよう!…どこかに隠れないと!」
 ▼ 26 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/12 23:56:06 ID:QOceWteo [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誰かに見つかれば当然ミッション失敗、サーナイトは慌てて暖炉から直ぐに身を
隠せそうな場所を探し出す。

イーブイ「…誰かいるの?」

サーナイト「あ…」

イーブイは黒ずんでいるサーナイトを発見して不思議そうな眼でジ〜っと見つめている。

イーブイ「…サンタさん?」

サーナイト「あ…違います。私はただあなたの家に忍び込んでプレゼントを
置くような真似は…しませんよ?」

明らかにサンタの格好をしてる以上どう誤魔化しようもない状況で
サーナイトは必死に自分はサンタではない事をイーブイに説得しようとする。
 ▼ 27 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/12 23:58:33 ID:QOceWteo [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイ「やっぱりサンタさんだよね?僕にプレゼントを届けに来てくれたんだよね?」

サーナイト(あ〜…もうダメ。この子すっかり私をサンタだっていう事を信じちゃってる)

イーブイ「あれ?サンタさん腕怪我してるよ?ちょっと待ってて、僕が傷薬もってきてあげる」


イーブイは救急箱を持参して傷薬をサーナイトの腕の負傷してる部分に吹きかける。

サーナイト「ごめんなさいね。まさか私がプレゼントを渡す子に世話を焼いてしまうなんて情けないわ」

イーブイ「ねぇサンタさん、どこから来たの?」


サーナイト「何処かって…それは秘密よ♪」

イーブイ「教えてくれないの?」
 ▼ 28 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/13 23:24:51 ID:f8DbLDSo [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「うん。って言ってもそれ以前に誰にも正体を見られてはいけないっていう
暗黙のルールがあるのよね」

イーブイ「そうなんだ。あっ!僕の名前はイーブイだよ」

サーナイト「イーブイ君ね。私はサーナイト。自己紹介はこれ位して…君以外に
他に誰かこの家に住んでいる方はいるの?」

イーブイ「うん。僕のパパとママがいるよ」

サーナイト「そう。イーブイ君、私と出会った事は誰にも内緒にするって約束する?
もし守ってくれたならプレゼントを差し上げるわ」


イーブイ「え!?僕にプレゼントを?」

サーナイト「勿論。あなたは日々善い行いをした正真正銘の良い子だからね」

イーブイは嬉しそうにドタバタとはしゃぎまくる。
 ▼ 29 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/13 23:29:47 ID:f8DbLDSo [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しかしその騒ぎで両親のサンダースとニンフィアが起きてしまった。

サンダース「なあ…さっき変な物音がしなかったか?」

ニンフィア「ええ。…まさか?家に泥棒が侵入してきたのかしら?」


サンダース「いやハッキリとは分からんがでもニンフィアの言う通りかもしれんな」

ニンフィア「どどどどどどうしましょ!イーブイ大丈夫かしら?」

サンダース「落ち着けニンフィア。よし俺が1階に行ってその物音の正体を探って来る」

ニンフィア「私も一緒に行くわ」


サンダースとニンフィアのギシギシと床の鳴る足音が徐々にサーナイト達へと
近づいてくる。

イーブイ「あっ!パパとママがこっちに来る!サンタさん!あそこのクローゼットの中に隠れて!」
 ▼ 30 マズン@ちからのこな 17/12/13 23:39:30 ID:8EyIJ4Mw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 31 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/13 23:47:07 ID:f8DbLDSo [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「は…はい!」

サーナイトはいそいそとイーブイの指示通りにクローゼットの中に入り込む。

ニンフィア「イーブイ!?あんたこんな時間まで起きて何してたの?」


イーブイ「ちょっとノドが渇いたからお水飲みに来たの」

サンダース「さっき一階からドスンって何か落ちた音が聞こえたんだが…」

イーブイ「僕が転んじゃった音…だよ♪」


ニンフィア「イーブイ以外に誰かの声が聞こえてきたんだけど…女性の声が」

イーブイ「ぼ…僕以外誰も居なかったよ」

サンダース「そうか。ん?暖炉付近がやけに汚れてないか?床に煤がこびり付いてるぞ」
 ▼ 32 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/13 23:57:46 ID:f8DbLDSo [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「本当ね。イーブイあんた暖炉に何か悪戯したんでしょ?」

サンダース「プレゼントが貰えない腹いせでやったのか?ちゃんと綺麗に雑巾で拭いておけよ」

イーブイ「はーい…」

サンダースとニンフィアは再び2階に上がりイーブイは両親が
いなくなったことを確信しクローゼット内に隠れているサーナイトに小声で知らせる。


イーブイ「もう出てきても大丈夫だよ〜」

サーナイト「はあ〜危なかったです。見つかったら完全にアウトでしたので」

イーブイ「それよりも僕にプレゼントを…くれるよね?」


サーナイト「忘れてた!えへへ…まだ私サンタ見習いだから色々とミスが目立っちゃうわね」

イーブイ「見習いのサンタクロースさんなんだ。僕、プレゼントをもらえるよりも
本物のサンタさんに会えたのがとても嬉しいよ!」
 ▼ 33 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/13 23:59:52 ID:f8DbLDSo [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「あら…そうなの?そう言ってくれるとなんだか照れちゃうわね」

イーブイ「いきなりだけど質問してもいい?オトナってサンタさんがいないって
ウソ付くんだよ?どうしてなの?」


サーナイト「う〜ん…難しい質問ね。やっぱり大人になると皆サンタがいる事を忘れるのかしら」

イーブイ「じゃあ僕が大人になったらサーナイトサンタさんの事…わすれるの?」

サーナイト「たぶんね」


イーブイ「そうなんだ。なんだか悲しい…折角サンタさんと仲良くお友達になれたのに」

サーナイト「お別れは辛いものよね。あっ!こうしていられない!そろそろ戻らないと」

イーブイ「もう行っちゃうの?」
 ▼ 34 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/16 21:19:06 ID:HTA4YRVU [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「あまり遅れると試験が失格扱いになってしまうからね」

イーブイ「また来年も…くるよね?」

サーナイト「それは…分からないわ。ひょっとしたらあなたと会うのが最初で最後かも」


サーナイトは哀しそうな表情を浮かべているイーブイの頭を優しく撫でてあげる。

イーブイ「…クスン。サンタさん…さようなら…」

サーナイト「イーブイ君もお元気でね。このプレゼント…大事にしてあげてね」


イーブイ「あっ…サンタさ〜ん。帰る時は煙突からじゃなくて玄関のドアから
出たらいいよ〜」

サーナイト「そうね。私煙突を上るのは練習してなかったからそれしか出る方法は無いわ」
 ▼ 35 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/16 21:24:38 ID:HTA4YRVU [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イーブイに別れを告げたサーナイトは暗い街の中を彷徨いながら
なんとか外で待機しているメブキジカに会う事が出来た。

サーナイト「メブキジカさん、長い間お待たせしました」


メブキジカ「随分と遅かったじゃないか」

サーナイト「すみません…色々とハプニングが起こりまして」

メブキジカ「サーナイトよ、無事にプレゼントを届けれたか?」


サーナイト「はい。…一応」

メブキジカ「ではクリスマス村に戻るぞ。さあ早くソリに乗るんだ」

ソリに搭乗し真っ直ぐと進路をクリスマス村へひとっ飛びする。
 ▼ 36 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/16 21:30:07 ID:HTA4YRVU [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村に到着するとデリバードがサーナイト達の帰りを待っていた。

サーナイト「あっ!デリバードさん!ただいま戻ってきました!」


デリバード「うむ…ご苦労だった。それで…プレゼントを誰にも見られずに置いておくことは出来たか?」

サーナイト「あの〜実は…その事なんですけど…」

デリバード「嫌な予感がするがまさか…誰かに気付かれたか?正直に話してみなさい」


サーナイト「はい…プレゼントを貰う子のイーブイというポケモンに…見つかってしまいました」


デリバード「ほうほう…。頑張ったようだが…残念ながら君の試験は不合格という事になるな」

サーナイト「申し訳ございません。私がドジを踏んでしまったばっかりに…」

 ▼ 37 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/16 21:46:29 ID:HTA4YRVU [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
メブキジカ「いやいやサーナイトのせいだけではない。この責任は…私にも非があります」

デリバード「ぬ?メブキジカはサーナイトを庇っているのか?」


メブキジカ「庇ってというより足を引っ張ってしまったと言った方が正しいのかもしれない」

サーナイト「え?あなたは何も失敗していない気がするのですが…」

デリバード「それはそうとサーナイト、お前さんに大事な事を伝えたいのだが…心の準備は出来ておるか?」


サーナイト「な…なんでしょうか?」

デリバード「実は…今年を迎えてサンタクロース業を廃業する事になった」

サーナイト「ええっ!?どうして!?」
 ▼ 38 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/16 22:51:12 ID:HTA4YRVU [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバード「ここ最近改築などで煙突がある家が減少し…仕事が減ったサンタクロースは辞める者が後を絶たなくなってしまってな」

サーナイト「何故私に話さなかったのですか?」


デリバード「ヤケに張り切っているあんたの姿を見ると…中々口に出せなくてな」

サーナイト「メ…メブキジカさんはこの事をご存じで?」

メブキジカ「デリバードに口止めされていたが…すまんな」


デリバード「お前さんを悲しませたくはなくてな。でも何れかは話さねばならぬ時が来る」

サーナイト「それなら仕方ありませんね。誠に残念ですが時代が変わってきている
事なら…真に受け止めないといけません」

メブキジカ「まあそう気を落とすな。きっとプレゼントを貰ったポケモンは
大いに喜んでるからあんたの役目は無事に果たせたぞ」
 ▼ 39 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/16 22:53:40 ID:HTA4YRVU [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「そ…そうですよね!イーブイ君からの感謝の気持ちで身も心も温まったです」

恐らくもう二度とサンタクロースの仕事が出来なくなってしまうと思うとやはり
ガッカリするサーナイトであったがそれでも十分にサンタクロースを満喫し大いに
満足した。

次の日の朝…イーブイは昨日サーナイトサンタとの出会った記憶が無くなり
自分のベッドに置いてあるプレゼント箱を見つけ母親ニンフィアの元へ持って来る。


イーブイ「お母さん起きて!僕の部屋にこんな箱が置いてあったよ!」

ニンフィア「あら?変ねぇ…。イーブイの部屋にプレゼント箱は置かなかったはずなのに」

イーブイ「ひょっとしてパパかな?僕達にナイショで置いたのかも」


ニンフィア「う〜ん。でもパパが内緒で買ってくるなんて絶対ありえないと思うけど」

サンダース「なんだ?なんだ?朝っぱらからざわざわ騒ぎ出して…」
 ▼ 40 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/17 21:50:35 ID:bHKZ.G8s [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「あなた…イーブイの部屋にこんな箱が置いてあったのよ。何か知らない?」

サンダース「え?俺はそんな物置いた記憶はないぞ?」


ニンフィア「じゃあ…誰が?」

イーブイ「サンタさんかなあ」

サンダース「サンタな訳がないだろ。そんな非現実的な人物がこの世に存在すると思うか?」


イーブイ「ホントだもん!僕…サンタさんに会ったような…気がするんだもん」

ニンフィア「それより箱の中身は一体何かしら?」

イーブイ「僕に届いたんだから僕が開けるの!」
 ▼ 41 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/17 21:52:27 ID:bHKZ.G8s [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース「変な物とか危ない物とかが入ってる可能性があるから慎重に開けろよ」

サンダースは中位のサイズのプレゼント箱を開けてみる。


するとその中は…イーブイが欲しがっていたミュウのぬいぐるみが入っていた。

イーブイ「うわ〜!これ僕が欲しかったぬいぐるみ!」

ニンフィア「サンダースあなた…やっぱり私達に内緒で買ったのね?」


サンダース「だから俺じゃないって!お前こそコソコソと店にでも行って購入したんじゃ」

イーブイ「パパ!ママ!ケンカはやめて!本当にサンタさんがくれたんだよ!」

ニンフィア「イーブイの言う通り…サンタが来てくれたのかもしれないわね」
 ▼ 42 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/17 22:01:40 ID:bHKZ.G8s [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サンダース「おいおい…お前までサンタがいるなんて迷信を。でも俺もそんな気がしてきたな」

イーブイ「わーいわーい!サンタさんありがとう!」


プレゼントをもらってご満悦なイーブイ。その姿を見るサンダースとニンフィアも
喧嘩がピタリと止み、ニッコリと笑顔を見せた。


一方クリスマス村ではデリバードとメブキジカのお別れを告げるサーナイトの姿があった。

デリバード「大変短い間だったが…サーナイトよ。お前さんは見習でサンタの
使命は終わったのだがサンタとしての素質は十分にあるぞ」


サーナイト「本当ですか?私、サンタという職業がどれだけ大変なお仕事かハッキリと実感しました」

メブキジカ「実に勿体ないな。サーナイトは本格的なサンタになりたいって言ってたのに…」


 ▼ 43 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/17 22:05:00 ID:bHKZ.G8s [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
サーナイト「いえいえ私は大満足です!一時はどうなるかと思いましたが
プレゼントを貰ったイーブイ君の笑顔を私に見せてあげたのが最高の思い出になりました」


デリバード「そうか。おっとサーナイト、そろそろお別れの時間がやってきたようだな」

メブキジカ「またいつか会える日を楽しみにしているぜ、サーナイト!」

サーナイト、「はい。皆さん…お元気で!ではさようなら!」


サーナイトは色々な荷物が入ったカバンを持ち、クリスマス村を後にする。

デリバードとメブキジカに温かく見守られ彼女は他の街に向かって空を見上げながら雪道を歩いて行った。


〜 Merry Christmas 〜
 ▼ 44 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/17 22:06:20 ID:bHKZ.G8s [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
以上でクリスマスSS 見習いサンタ サーナイトのSSを終了させて頂きます

見て下さった皆さんありがとうございました!
 ▼ 45 ブルモ@マグマのしるし 17/12/18 08:21:12 ID:O5gRjwE. NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 46 イドン@かわらのかけら 17/12/18 08:31:34 ID:HAmG/X/A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙ゥ!

 ▼ 47 ジョフー@つめたいいわ 17/12/18 08:33:52 ID:TyVwyUK. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 48 ギギシリ@コイン 17/12/24 21:02:21 ID:wZnSZyRM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙乙
 ▼ 49 ◆msOh05awHs 17/12/24 21:09:28 ID:r1nmCuTA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
otu
 ▼ 50 ラージェス@しろいビードロ 17/12/26 23:01:32 ID:dVqIF1tE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このページは検索エンジン向けページです。
閲覧&書き込みは下URLよりお願いします。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=730526
(ブックマークはこちらのページをお願いします)
  ▲  |  全表示50   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!

(消えた画像の復旧依頼は、お問い合わせからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼