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SS

【SS】 あまのじゃく な カリキリ

 ▼ 1 りいろ◆oxtmyvjwlY 18/01/01 22:38:26 ID:Y04hnJmE NGネーム登録 NGID登録 報告





どうしてニンゲンは


嬉しい時にも悲しい時にも


笑顔を見せるのですか?





どうしてニンゲンは


悲しい時にも嬉しい時にも


涙を流すのですか?






 ▼ 20 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:51:17 ID:zaT0HBSU [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



『もうっ……ふふふ。』


『ハハハ……今日は、どこ行こうか?』


『ビーチでゆっくりしたい、かな。』


『じゃ、行こうか。』




森へ歩いている途中、若い男女が二人、手を繋いで歩いているのが見えた。


カリキリ「かっぷる……。」


なんだか輝いて見え、思わず視界から消えるまで見とれてしまった。


カリキリ「いいなあ……。」


カリキリ「……行かなきゃ。」


我に返って、走って森まで進んだ。


 ▼ 21 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:52:18 ID:zaT0HBSU [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


カリキリ「あれ、ねーちゃん……!」


森を走り、最後にお母さんと別れた所へ来た。

そこには切り株に腰かけたラランテスがいた。

進化して一人前になった僕のねーちゃんだ。



ラランテス「あれ?寂しくなっちゃったのかな?」


優しく、僕に微笑んだ。


カリキリ「そ、そんなんじゃないよ!!」


確かに寂しい気持ちもあったが、会いに来た理由ではない。


カリキリ「お母さんは?」

ラランテス「木の実拾いに行っちゃった。私はここでお留守番。」

カリキリ「そうなのか……。」

ラランテス「で、どうしたの?私でも良いなら聞くよ?」

カリキリ「あのさ、ねーちゃん。特性カプセルって知らない?」

ラランテス「特性カプセル?」

カリキリ「そう!それがあれば、僕はあまのじゃくじゃなくなるんだ!」

ラランテス「へえそうなの。ごめんね、分からない。」

カリキリ「そっか……。全然残念じゃないから安心してね!ねーちゃん!」

ラランテス「ふふ、分かった。」

ラランテス「でも……。」

ラランテス「あんたは、そのままでいいんじゃない?」

 ▼ 22 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:52:48 ID:zaT0HBSU [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「どうして?」

ラランテス「あんたはまだ、あまのじゃくの良いところに気づいてないだけだよ。」

ラランテス「私は、あんたのあまのじゃくが羨ましいけどなー。」

カリキリ「……どこが良いの?」

ラランテス「じきに分かるよ。」

カリキリ「本当?無い物ねだりじゃない?」

ラランテス「うーん、そうかも。」

カリキリ「ええ!?」

ラランテス「違う違う、大丈夫だって。」


またねーちゃんが微笑んだ。


優しい笑顔だ。


その顔を見てると、僕はねーちゃんと別れるのが惜しくなった。


用は済んでしまったけれど、もうしばらくここにいたい。


お母さんが帰ってくるまでは居てもいいかな……。


僕は無理矢理切り株の上にねーちゃんと並んで座った。


ラランテス「やっぱ寂しいんだ?」

カリキリ「ち、違うよ!」


しばらく、僕たちは並んで時を過ごした。

 ▼ 23 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:54:29 ID:zaT0HBSU [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「ねーちゃん……。」


お母さんまだかな、と言いかけた時、


ガサッ……


背後で草が踏まれる音がした。

慌てて振り替えると、大きな体をしたポケモンがこっちを睨んでいる。


ラランテス「離れてて!」


ねーちゃんが切り株から降りる。戦闘体制に入った。

僕は言われた通りねーちゃんから離れ、木の後ろに隠れた。


ラランテス「リングマね……!」


カリキリ(リングマ!?)


見たところ、ねーちゃんの倍ぐらいはある
 ▼ 24 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:54:57 ID:zaT0HBSU [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ラランテス「ハアッ!」


右手を振りかざす。すると、天から光が手に伸びてきた。


それを見たリングマがねーちゃん目掛けて突っ込んで来た。


ラランテス「ッ!」


間一髪それを避けたが、方向転換してきたリングマがまた向かってきた。


ラランテス「ラランッ!」


ねーちゃんも負けじと手を刃に替えて斬りかかる。リーフブレードだ。


リングマはきりさくで応戦する。


ラランテス「キャッ!」


ねーちゃんが力負けし、後方に吹っ飛んだ。

 ▼ 25 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:55:26 ID:zaT0HBSU [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「ねーちゃん!」


慌ててねーちゃんところへ走った。


ラランテス「大丈夫よ。離れてて。」


起き上がって体勢を整えると、またリングマに突っ込んでいった。


リングマが構えるが、ねーちゃんは体が小さいのを利用し、腕を上手くすり抜けお腹にリーフブレードを繰り出した。


リングマ「!?」


明らかに怯んだ。お腹はリングマの急所だったようだ。



ラランテス「カリキリ、見てなさい。」


そう言いながら、ねーちゃんは後ろに素早く下がった。

そして、目をつむり集中し始めた。体に緑の光を待とう。

それは、今まで見たことのない技だった。


ラランテス「リーフストーム!!」


ねーちゃんの体全体から渦を巻いた葉っぱがリングマ目掛けて放出された。


リングマ「ぐわっ……。」


リングマはまともにそれを食らってしまい、慌ててその場を去った。


ねーちゃんは一瞬青い光をまとったが、すぐに消えた。

 ▼ 26 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:55:53 ID:zaT0HBSU [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「ねーちゃん!今の技何?初めてみた!」


僕はねーちゃんの所に駆け寄った。


ラランテス「リーフストームだよ。」


カリキリ「リーフストーム?」


ラランテス「そう。使うと次に繰り出す時に威力が落ちちゃうから、私はあまり好きじゃないんだけどね。」

カリキリ「そうだったのかあ。」

ラランテス「うん。でも、強力な技だから、使いこなせれば強いよ。」

ラランテス「特にあんたなら、上手く使いこなせると思うけどな。」

カリキリ「えっ、どうして?」

ラランテス「ふふ、どうしてかな?」

 ▼ 27 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:56:26 ID:zaT0HBSU [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


結局ねーちゃんはそれ以上教えてくれず、帰った方が良いと言われたので、僕は森を出て仲間のところへ帰った。

起きているカリキリがちらほらいた。僕は皆にも聞いてみることにした。


カリキリ「あ、あのさあ……。」

カリキリくん「ん、ん?なんだ、どうした?」

カリキリ「特性カプセルって、知らないかな?」

カリキリくん「なんだそりゃ?聞いたこともねーな。」

カリキリ「そ、そっか。うん、全然良いんだ。別に知りたくなかったし。」

カリキリくん「はあ……ま、頑張れよ。」



カリキリ「あのお……特性カプセルって知ってる?」

カリキリちゃん「とくしぇーかぷしぇる?」

カリキリ「う、うん……!」

カリキリちゃん「んー、ごめんねー、わかんなあ〜い。」

カリキリ「あ、そ、そっか。ごめんね、ありがとう。」

 ▼ 28 oxtmyvjwlY 18/01/02 15:56:53 ID:zaT0HBSU [9/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


やはり一応群れの一員だからか、答えてはくれる。

ただ、やはり気まずいことに変わりはない。

僕はこの気まずさに耐えられず、今日も早く寝ることにした。


寝ようとした。


だけれど、ふと、ねーちゃんの言葉が頭から離れなくなった。


『あんたは、そのままでいいんじゃない?』


そのままでいい……?


あまのじゃくの良いところ……。


考えても分かるはずはないのに、


ひたすら考え続けてしまった。


おかけで寝不足だった。


こんな日が、数日続いた。


 ▼ 29 ロデスナ@ちからのねっこ 18/01/02 17:23:30 ID:oZ7j5O2c NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 30 ードリオ@ピントレンズ 18/01/02 17:29:50 ID:aBj/.WrU NGネーム登録 NGID登録 報告
文才じゃねーか!支援
 ▼ 31 けおめ! 18/01/02 17:41:08 ID:Bxeu0tuk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
最高!カリキリに視点をおくとは・・・支援
 ▼ 32 ーブシン@アイスメモリ 18/01/02 18:57:52 ID:UVggYNZA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 33 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:33:54 ID:qYDW875E [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告



そんなある日――――


カリキリ「んっ……。」


眠りが浅く、早くに目が覚める。

ここ数日間も情報など手に入らず、なかば諦めかけていた。

ずっと動かないのも暇だからと、伸びをしながら歩きだした。


カリキリ「あれ……?」


海の側にニンゲンが座っているのが見えた。若い女性らしかった。

まだ朝が早いので、ニンゲンどころかポケモンすら見かけないというのに。


カリキリ「珍しいなあ。」


興味が湧き、気付かれない所まで近づき、物陰に隠れて様子を伺った。


泣いていた。


よく見ると、ねーちゃんと会った日に見た女性に似ている気もした。


心配になり、僕は傍までゆっくり近寄った。

 ▼ 34 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:34:47 ID:qYDW875E [2/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「どうしたの……?」


声を掛ける。ニンゲンには僕の言葉が分からないということは知っていた。


女「カリ……キリ?」


僕に気付いた。

目が赤くなっている。長い時間、ここで泣いていたのかもしれない。


カリキリ「大丈夫……?」


僕は不安そうな声をだした。

ただ、顔は笑っていた。


女「慰めて……くれてるの?」


驚いたような顔で僕を見つめる。


「ありがとう。」と言って笑顔になった。


その途端、大粒の涙が目から溢れた。


カリキリ「どうして……泣くの?」




今、笑ったのに……。





女「ごめん、ね。嬉しくてまた出てきちゃった。」


女「しばらく……このまま泣かせて。」

 ▼ 35 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:35:18 ID:qYDW875E [3/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


彼女は思いっきり泣いた。


僕が泣かせてしまった。


そんなつもりじゃ、なかったのに。



女「はあ……泣いたらすっきりしちゃったな。」


女「ありがとね。」


また笑った。


泣いてしまうぐらい辛いはずなのに、どうして笑っていられるのだろう。


女「一人じゃないんだなー。あなたが来てくれて良かった。」


女「嬉しくて泣いちゃったよ。ごめんね、急に。」


女「困っちゃうよね?急に泣かれちゃ。」


彼女はもう泣かなかった。


それにしても……。


嬉しいから泣いた。


嬉しい時に涙が出るの?


彼女も、あまのじゃくなのかな。

 ▼ 36 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:35:46 ID:qYDW875E [4/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

彼女はその辺に転がっている小石を手に取った。


コロコロと手の中でもてあそびながら、何か考えているようだった。


女「私……本当何やってんだろうね。」


そう言って、八つ当たり気味に小石を海へ投げた。


小石は一度で沈むことなく、ポスッと音がして水上に跳ね、そして沈んでいった。


女「え。」


彼女の声と重なるように、水面からポコポコと音が鳴った。


女「嘘っ……当たっちゃった!?」


その声に呼ばれるように、あるポケモンが水面から飛び出した。


ドククラゲ「ゲラァアーーー!!」


ドククラゲだ。そうとう怒っている。

 ▼ 37 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:36:23 ID:qYDW875E [5/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

女「ど、どうしよう……。」

カリキリ(まずい……よね……。)


謝ったところで簡単に許してくれなさそうだ。

それぐらい、ドククラゲは怒りをあらわにしこっちを睨み付けている。


女「私、慌てて飛び出しちゃったから……。」

女「ポケモン、今家なんだよねえ……。」


そう言ってこっちを見てくる。



…………え?


正直僕はバトルなどしたことがなかった。

する機会もなかった。

そんな僕が、怒っているドククラゲの相手など不可能だ。


そもそも向こうはどくタイプも持っている。


無理だ。

 ▼ 38 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:37:17 ID:qYDW875E [6/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「に、逃げよう!」


僕はそう言って彼女のズボンを掴んで引いた。

言葉は通じなくても、動作で分かるはずだった。

ただ、僕の発した言葉は、ポケモンには理解できるものであり、


ドククラゲ「シャアーー!」


それを聞いたドククラゲが、辺りにどくびしを撒き散らした。


女「こ、これじゃまともに動けない……!」

カリキリ「……。」


やるしか……ないのか!?


 ▼ 39 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:37:45 ID:qYDW875E [7/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

下手に動けばどくびしを踏んでしまう。

立ち回りなど当然分かるはずない。

そんな僕が、今対抗できる術は……。






『カリキリ、見てなさい。』





『リーフストーム!!』






『あんたなら、上手く使いこなせると思うけどな。』






これだ!


一度使えば弱くなると言っていた。


ただ、強力な技とも。


この一発で、相手を沈めることが出来れば……!

 ▼ 40 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:38:25 ID:qYDW875E [8/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


カリキリ「思い出せ……!」


僕はねーちゃんがやっていたことを思い出す。


出来るかどうかも分からない。


ただ、今はこれに懸けるしか無かった。


目をつむり、集中する。


ざわざわ、と音がするのが聞こえ、体から風を感じる。


行ける……!


僕は目を見開き、ドククラゲを正面に見つめた。


カリキリ「リーフストーム!!!」


僕の全身から放出されたリーフストームが、ドククラゲに炸裂した。


僕の体は、ほのかにオレンジ色の光をまとった。

 ▼ 41 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:39:10 ID:qYDW875E [9/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ドククラゲ「グオッ……まさかこんな大技が飛んでくるとは思わなかったが……。」


ドククラゲ「俺の体は、まだ動けるようだぜ?」



カリキリ「!!」


終わった。


渾身の一撃が耐えられたんじゃ、これ以上なす術がない。




女「待って!」


女「あなたまさか……あまのじゃく?」



カリキリ「えっ?」


女「能力が下がるはずなのに、上がってるってことは……。」


女「間違いない!あなたあまのじゃくよ!」



確かに僕はあまのじゃくだけれど、彼女の言っていることが理解できない。

 ▼ 42 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:39:58 ID:qYDW875E [10/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

女「カリキリ、もう1度リーフストーム!」


カリキリ「ええ!?」


素の状態で耐えられたのに、弱くなったリーフストームが効くわけない。


僕は首をぶるぶると振って無理だと訴えた。


ドククラゲも「無駄な足掻きはよせ」と言わんばかりに僕らの会話を聞いている。


女「絶対絶対大丈夫だから!お願い!」


カリキリ「でも……。」


確かに、このまま抵抗しなければ、僕も彼女もドククラゲにやられてしまう。


それだけは絶対に避けなければいけない。


だとしたら、


カリキリ「やるしかない!」

 ▼ 43 oxtmyvjwlY 18/01/03 20:40:35 ID:qYDW875E [11/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

僕はもう1度目をつむった。


風を感じる。


さっきよりも、強く。


カリキリ「リーフ……ストーーム!!」



より大きな葉っぱの渦がドククラゲを飲み込み、葉っぱが消えると同時に、ドククラゲも海に消えていった。


どくびしも無くなっている。


カリキリ「勝った……勝った!?」


女「やったわ!ありがとう、カリキリ。」


彼女が僕を抱き上げた。


女「あっ、そうだ……。」


女「ドククラゲさーーーん!」


女「小石をぶつけてごめんさーーーい!」




み、耳元で叫ばないで……。

 ▼ 44 vivi◆viviattvv. 18/01/03 21:05:43 ID:7jq//B9I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援っ!!ヽ(。>▽<。)ノ
 ▼ 45 ンバット@コイン 18/01/03 21:56:47 ID:lLQSD/Qs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
可愛すぎ!支援
 ▼ 46 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:41:03 ID:jyy3/8MU [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告


僕はバトルで疲れたから、早々に仲間のところに帰った。


まだ朝も早かったので、アブリー達がたくさん集まっていた。


アブリー「あら?早いじゃないのよ。」


カリキリ「うん。バトルして疲れちゃった。」


アブリー「バトルなんてしたの!?まだ光合成のエネルギーだって充分じゃないでしょーに。」


カリキリ「忘れてた……僕、ちょっと寝るね。」


アブリー「あっそ。じゃあ私ここで香りを楽しんどくわ。」


 ▼ 47 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:45:23 ID:jyy3/8MU [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


寝る、と言っても眠りにつくことは出来なかった。


僕は横になって、バトルの後に彼女に言われたことを思い出していた。






『あまのじゃくって特性はね。』


『本当は能力が下がる所で、能力が上がっちゃうの。』


『まあ、上がる所では下がるんだけどね。』


『あまのじゃくだから反対になるの。』


『つまり、リーフストームだと攻撃するたびに特攻の能力が上がるの!』


『これって、すごいことじゃない?』





 ▼ 48 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:45:59 ID:jyy3/8MU [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


ねーちゃんが言っていたのはこのことだったのかも知れない。


あまのじゃくでしか出来ないこと。


あまのじゃくに、こんな強力な作用があったとは。


僕…………。


カリキリ「僕、あまのじゃく止めようかな?」


僕は起き上がって、アブリーにそう言った。


アブリー「ちょっと、びっくりするから急に喋らないでよ!」


アブリーの体が一瞬ビクッと震えた。かなり驚かせてしまったらしい。


落ち着いてから、少し考える素振りをした後、アブリーはまた話し始めた。



アブリー「でも……良いんじゃない?」


アブリー「止めないんでしょ、あまのじゃく。」


カリキリ「ええっ、何で分かったの?」


今度は僕は驚かされた。ガラにもなく大きな声を出してしまう。


アブリー「とーぜんでしょ!ほとんど毎朝顔付き合わせてんだから分かるわよー。」


胸を張り、少し得意気に話す。

でも、最近会ってなかった気がする。


カリキリ「そういうもん?」


アブリー「そういうもんなのよ。」

 ▼ 49 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:46:30 ID:jyy3/8MU [4/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「でも、ごめんね。」


アブリー「何が?」


カリキリ「せっかく、特性カプセルについて教えてくれたのに。」


アブリー「もーいいのよそんなこと。」


アブリー「それに、やっぱアンタはあまのじゃくが似合ってるわ。」


カリキリ「えっ?どういうこと?」


僕が聞き返すと、アブリーは突然顔を赤らめた。


アブリー「と、とにかく!アンタはこのまんまで良いの!」


アブリー「なんだかんだ分かりやすいもの、アンタ。」


カリキリ「そ、そんなこと無いと思うけど……。」


アブリー「分かりやすいの。言ったことの反対を考えれば良いんだもの。」


カリキリ「面倒じゃない?」


アブリー「別に?」

 ▼ 50 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:46:56 ID:jyy3/8MU [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


アブリーは、僕のあまのじゃくをからかっていたわけでは無かったのかもしれない。


僕の話し相手になってくれていた。


そう思うと僕は嬉しくなった。



少しの沈黙の後、アブリーが口を開いた。


アブリー「私も……あまのじゃくになろうかな?」


カリキリ「え?」







アブリー「アンタの友達になんて、絶対なってあげないんだからねっ……!」





カリキリ「……………………ええ!?」




 ▼ 51 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:47:27 ID:jyy3/8MU [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「友達に……なってくれるの?」


アブリー「そうよ!……感謝しなさい?」


カリキリ「ほんとに……?」


カリキリ「ほんと……に……?」


アブリー「そうって言ってんでしょ。」


その声を聞いたとたん、一滴のしずくが頬を伝った。


そして、今までの寂しさや大変さ、辛さ、


そしてなにより、友達が出来た嬉しさが、涙となって溢れでてきた。


アブリー「ちょっと、何で泣くのよ!?」


僕はその質問に答える余裕もなく泣いた。ひたすら哭いた。


アブリーはその間、困惑しつつも「よしよし」と頭を撫でてくれていた。少しくすぐったかった。

 ▼ 52 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:48:03 ID:jyy3/8MU [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「ありがとう……もう、大丈夫……。」


満足するまで泣き、涙も収まってきた。


カリキリ「嬉しくって泣いたんだからね?」

カリキリ「嫌なわけじゃ、無いから。」


さっきの問いに、今答える。


アブリー「分かってるわよ、そんなことぐらい。」

カリキリ「そ、そっか……。」

アブリー「そうよ。」

 ▼ 53 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:48:27 ID:jyy3/8MU [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

カリキリ「あのねアブリー。」

アブリー「あら、何かしら?」

カリキリ「さっき、あまのじゃくなニンゲンに会ったんだ。」

アブリー「あまのじゃく?」

カリキリ「そう。僕と同じで、嬉しい時に泣いたんだ。」

アブリー「ふーん。」

アブリー「珍しそうに言うけれど、ニンゲンってそんなもんなのよ。」

カリキリ「えっそうなの?」


なんでアブリーはこんなにも詳しいのだろう。ニンゲンの道具に対してもそうだ。


アブリー「この辺自然が豊かでしょ?」

アブリー「だから良いオーラを持った頭のニンゲンがたくさんいんのよ。」


前にもこんなことがあった。

アブリーは僕の心が見えているのだろうか。

 ▼ 54 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:50:10 ID:jyy3/8MU [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告

アブリー「だからね、ニンゲンにくっついてる時に特性カプセルについて知ったし、色んなニンゲンも見てきたのよ?」

カリキリ「へえ、だから詳しかったんだね。」

アブリー「そうよ。」

アブリー「ニンゲンってのは私たち以上に感情が豊かなの。」

アブリー「だからね、アンタみたいなややこしいヤツもいっぱいるいるわよ?」

カリキリ「そうなの!?」

アブリー「そうそう。だからね、アンタのあまのじゃくなんて大したことないわ。誤差よ、誤差。」

カリキリ「そっか……。」

アブリー「気にすることなんてないわ。」

カリキリ「うん……!ありがとう。」

アブリー「あら?ちょっとは素直になってきたんじゃない?」

カリキリ「へ?」

アブリー「まあいいわ。じゃ、行くわよ。」

カリキリ「え、ど、どこに?」

アブリー「まだ朝だし時間はたっぷりあるわね!」

カリキリ「えっえっ……?」

アブリー「あら?お友だちなら一緒に出かけるものでしょ?」

カリキリ「んっ……そうだけど!」

アブリー「なら決まりね。私のお気に入りの場所に連れていってあげるわ。」

カリキリ「あ、ありがとう……。」

アブリー「よし、じゃ行くわよーー!」

カリキリ「オ、オオーー!」





【SS】あまのじゃく な カリキリ 〜完〜
 ▼ 55 oxtmyvjwlY 18/01/04 20:51:39 ID:jyy3/8MU [10/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
これで完結です。

読んでくださった方、レスしてくださった方、ありがとうございました!

途中、二重投稿や誤字脱字がありました。
申し訳ありませんでした。
 ▼ 56 オル@ムーンボール 18/01/04 22:25:21 ID:HdqrQyzw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 57 ラエッテ@Zリング 18/01/04 22:31:13 ID:IK46NlDQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
素晴らしいSSでした!
 ▼ 58 ◆XSB9B4V/6I 18/01/04 22:53:16 ID:1hwEzECQ NGネーム登録 NGID登録 報告
素晴らしかったです
乙です
 ▼ 59 vivi◆viviattvv. 18/01/05 10:15:06 ID:biHYsq5w NGネーム登録 NGID登録 報告
素敵なSSをありがとう(*´∨`*)
おつかれさまです
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