ここは つりの めいしょ

ぼくはコイキング
ごく一般的にみる普通のコイキング
最近、ぼくの住み着いている湖によく人間が来るんだ
もしかしたらぼくもトレーナーに釣られて、進化してギャラドスになるのかなぁ
そう思っていた矢先、海面に人間の影らしきものが見えてきた
どうやら釣りを始めるようだ
どんなトレーナーかな？ワクワクしながら海面に泳いで近づいていった

すると人ではなくデデンネが

ルアーボール

>>1
ルアーボールすごい

しえん

僕はヒンバス
将来イケメンになると約束されたベイビーさ

海中から、竿を振り上げる影が見えた
そろそろ始めるらしい
ポチョン、という音と共にえさが降りてきた
すぐに引っ張るのもあれなので、少し待ってみた
するとそのトレーナーはえさを引き戻そうとしていた
そのタイミングでガブッと！ぼくはえさに噛み付いた

するとトレーナーは一瞬驚いたのか、竿を落としかけた
しかし、釣りには慣れているのかすぐに持ちかえて思いっきり引っ張っていた
その力に耐えきれず、ぼくは水の中から勢いよく飛び出していく
湖に架かっている橋に降り立った
水の外はものすごく眩しかった
外の世界に感動を覚えているぼくに、聴いたこともないのに何故か意味のわかる言葉でこう言われた

｢あークソが、コイキングかよ｣

眩しさに慣れない目をなんとか見開くと、そこには3人の少年がいた
おそらく12、3歳であろう
その少年達は会話を続ける

｢コイキングとかいらねーな｣

｢ほんとほんと、ゴミじゃんコイツ｣

罵声が降り注ぐ中、1人の少年がこう言った

｢いや、捕まえよう｣

支援

…ほかの2人と違い、その少年はぼくのことを｢捕まえよう｣と言ってくれたのである
その時、ぼくは嬉しさを覚えた
こんなぼくでも必要としてくれる人がいる
そう思えただけで心がいっぱいになった
そして彼はモンスターボールを投げた
初めてのモンスターボールだ
中は意外と広く、居心地も良さそうだった
ぼくは抵抗すること無く、その少年に捕まった

｢えーそんな雑魚どうするんだよ｣

｢ほんとほんと｣

雑魚、と言われるのはしょうがないことだと思ったが、やはり悔しい気持ちはあった
ただ、この少年の元で頑張って強くなり、いつか見返してやるぞ！と心に誓った


そう思っていたのもつかの間
ぼくはボールから出された

｢へへっ、どうするんだよって？こうするんだよ！｣

ドゴッ



ぼくは、初めて人間に蹴られた

｢オラっ！このっ！オラオラっ！｣

強い衝撃が連続して体に走る
痛い
痛い
その感情で頭が埋め尽くされる

｢なるほどな！サンドバッグ代わりか！そりゃいいや！｣

他の少年達も加勢して、さらに痛みが増す

やめて
やめて

その思いも虚しく、ぼくはただ少年達に蹴られ続けるしかなかった

な、なんと…子供恐ろしいな…支援しとこ…

鬱支援

マジかよ子ガルーラ最悪だな

コジロウのコイキングみたいになるんだよね？
そうだよね？

｢おら！これで…｣
｢終わりだっ！｣
ゲシッ


ぼくは空中へと舞った
その直後、いつもの世界へと戻される
水の中に落ちたのだ

｢へっ、おらよ！お前のモンスターボール！｣

朦朧とする意識の中で彼らは湖にモンスターボールを投げ捨てた
そして、そのまま釣り道具を持って帰っていった
体が動かない、ぼくはそのまま深い深い闇へと沈んでいった…

しえん

泣いていい？

ヒンバス「わたくしはエリートコースです」

｢…！｣

｢…て！｣

｢…ーい！｣

｢…じをして！｣

｢おーい！｣

どこからか聞こえてくるその声で、ぼくは目覚めた
痛みはあるが、死んではいない
その事実だけで少し安心できた
目を開くと、そこにはなにか青い生き物がいた
あれは…ポケモン？

｢よかったぁ目覚めた！相当深い傷だったから大変だったんだから！｣

｢何があったの？だれにやられたの？あっ！動かないで！まだ傷は全然塞がってないんだから｣

まるでタネマシンガンのように語りかけてくる
この子は…誰だ？

コイキング｢…き……れ…｣

？？？｢ん？どうしたの？｣

コイキング｢き…みは…だれ？｣

？？？｢…ああ！まだ自己紹介してなかったね！｣

｢私はチョンチー｣

電気びりびり

ｼｴｰﾝ

コイキング｢ちょ…チョンチー？｣

チョンチーと言えば深海に生息しているポケモンの筈だが…どうして…？
そう思った瞬間、やっと状況が理解出来た
ぼくは、相当な深いところまで沈んできていたのだ
1人で納得している中、チョンチーはぼくに話しかける

｢もしかしてその傷…人間にやられたの？｣

コイキング｢ああ…あ、うん…｣

チョンチー｢…そっかぁ…うん、人間かぁ｣

何か彼女には思うところがあるそうだった

コイキング｢あっえっと…た、助けてくれてありがとう｣

チョンチー｢あぁいえいえ！困ってる人を助けるのは当たり前ですから！｣

優しい方だなぁ
コイキング｢優しい方だなぁ…｣

チョンチー｢えっいやそんな…｣

しまった、口に出ていた
恥ずかしさに2匹は目をそらす

シエン

チョンチー｢え、え〜っと…あ、えっと！傷は！大丈夫ですか！？痛くぅ…ないですか！？｣

いきなりの大声に少しビクッとなった

コイキング｢えぇ！？あっ！えっと！は、はい！大丈夫です！｣

釣られて大声になる自分
魚だけに

チョンチー｢あっえっと…すいません…｣

コイキング｢えぇ？いや、謝るところなんてなかったじゃないですか｣

チョンチー｢あっ、えぇ…はい…｣

途端に声が小さくなる
なんだか…気まずい

支援

コイキング｢…あ、あの｣

チョンチー｢は、はい？｣

コイキング｢この傷のことなんですけど…少し聞いて貰えますかね…？｣

チョンチー｢…分かりました｣

ぼくはさっきあったことを事細かく話した
人間に蹴られた…というところを話すと少し怯えたようにも見えた

コイキング｢…という訳なんです｣

チョンチー｢……｣

チョンチー｢人間…｣

コイキング｢はい…いきなり蹴られて…｣

チョンチー｢…｣

話を終えると、彼女は黙り込んでしまった

楽しみ
支援

まさかのｓｓ

とりま支援

チョンチー｢…私の話も…聞いてもらって良いでしょうか？｣

コイキング｢えっ？あっ分かりました｣

チョンチー｢…あれは…私がもっと幼かった頃…｣

彼女はこの湖とは違い、もともと海に住んでいたそうな
深海で静かに暮らしていると、いきなり網が降ってきたらしい
一緒に住んでいた親、友達、みんな網に捕まってしまったようだ
そして引きずり上げられると、数人の男がいたらしい
その男達は、こう言った

｢へへ、こりゃ高く売れるぜ｣

彼らは、ポケモンを生き物扱いしていなかった
商売の道具としか思っていなかった
みんな売られてしまう
そう思い悲しんでいると、チョンチーの親が
｢あんただけは逃げなさい｣
と、最後の力を振り絞って網を噛みちぎったそうな
それでなんとかこの湖まで辿り着いたらしく、親の安否は分からないという

コイキング｢…ひどい｣

チョンチー｢あいつらは…人間は外道だ｣

チョンチー｢自分以外の生き物を見下し、道具として扱う｣

チョンチー｢さいっていの種族だ！｣

コイキング｢…｣

チョンチーは声を荒らげた
その後、ハッとして顔を赤らめた

チョンチー｢ご、ごめんなさい、変な話聞かせてしまって…｣

コイキング｢いえいえ、しかしながら人間という生き物は何故そんな酷いことするんだろう｣

チョンチー｢そんなの知らないし知りたくもない｣

彼女は力強い声でそう言った

支援

いいなぁ
しえんぬ

少し痛みが引いてきた
治ったらちゃんと恩返ししなきゃな

彼女が少し席を外した
座っている訳では無いけども

しばらくすると、チョンチーは何かを持ってきた

チョンチー｢これ食べてください、美味しいですよ？｣

…きのみ！？

コイキング｢これきのみですか！？｣

チョンチー｢あ、そうですよ｣

コイキング｢えぇ…どうやってそんな｣

チョンチー｢実はここから少し浮上したところに地下栽培所があるんです｣

コイキング｢えっえぇ…？｣

どうやら彼女曰く、人間が地下栽培所で育てているらしい
たまに忍び込んで勝手に取っていってるらしい

チョンチー｢人間も色々と酷いことしているので、おあいこです｣

色んな意味ですごいな、この子

きのみはとても美味しかった
甘味の中にほのかな酸味
擦ってあったので簡単に食べることが出来た

チョンチー｢ふふ…お口に合って良かったです｣

コイキング｢いや君が作ったんじゃないでしょ｣

チョンチー｢そこは言わないお約束です｣

あはは

うふふ

その時間はとても楽しかった

コイキング｢…傷が少し治って、動けるくらいになったら家に戻るよ｣

チョンチー｢えっそんな…あっ、いえ…｣

少し悲しそうだった
そりゃそうだ
こんな深海にずっと1人だったのだから

支援

まーんだ、SSか。面白いから支援。

チョンチー｢…あの！｣

コイキング｢はい？｣

チョンチー｢…もし良かったらでいいのですが…｣

チョンチー｢……｣

チョンチー｢えっと…｣

コイキング｢？｣

チョンチー｢わ、私と一緒にここで暮らしませんか！！！｣

コイキング｢…｣

コイキング｢え？｣

びっくりした
これは要するにぼくに好意があるというかそういう(ry
…いや恐らく、

チョンチー｢ずっと1人で…ずっと…寂しくて…｣

そういうこと
彼女はずっと1人だったから
友達が欲しかったんだ

コイキング｢あー…｣

返答に困った
例え寂しかったとしてもそんないきなり同居し始めたら大変なんじゃないかと
彼女に負担がかかるんじゃないかと
そう思ったからだ

迷った末、ぼくが出した答えは…

コイキング｢…分かりました｣

その瞬間、彼女の顔がパアッと明るくなった

チョンチー｢ほほほほほんとですか！？！？！？！？！？｣

コイキング｢…うん、どうせうちに帰ってもなんにもないし｣

チョンチー｢やったあ！！！！！！！｣

水中をものすごいスピードで上下している
喜びを表しているのだろう

チョンチー｢えっと！！！！！これからよろしくおねがいします！！！！！！！！！｣

コイキング｢うん、よろしくね｣

そしてぼくとチョンチーの生活が始まった…








筈だった

!？

明るくなった（物理）

支援