【小説っぽい】イーブイとブリーダー【SS】

注意。ヒトとポケモンは話せませんが、ポケモンとポケモンの会話は便宜上言葉にしています。

他のSSについては 【小説っぽ で検索していただけると出てくると思います。Urlは多いので貼りません。ご了承下さい。

短編です。本編次レス。

　比較的人の町に近い森。しばしばヒトを見かけることもあるこの森に、私イーブイは住処を構えている。

ヒトを滅多に見ない場所に住んでいるポケモンは、ヒトを『自分たちを隷属，使役し、時には売りさばく危険な生き物』と認識している者が大多数を占める様だが、実際ヒトはそこまで危険ではない。

むしろ、苛酷な野生環境に比べたら、ヒトの元で暮らすことも考えてもいいかもしれないくらいだ。

　今日もこの森には人影がある。虫捕り少年の様だ。辺りをキョロキョロと見ながら歩いている。

　それを何とは無しに見ていたら、背後からの気配に気付けなかった。

急に現れたそれに不意を突かれる。

「うわ、ん ？イーブイか。しかも♀、珍しいな」

　ブリーダーのような出で立ちのオスのヒト。

珍しい、とは野生でのイーブイが少ない上、イーブイはオスが多いからだろう。

「逃げないのか、随分人に慣れてるな。……おいお前、ポケモンフーズ、食べるかい ？」

　そう言って差し出された、人工的な臭いのする食べ物。

私がヒトの元で暮らさない理由の一つはコレだ。この臭いは好きではない。

　いらない、言葉は通じないので首を背ける。

「そうか、いらないか。ならコレはどうだい」

　彼は荷物を漁り、何か入れ物を取り出した。

開くと中には、ピンク色のお菓子のような物がある。

　甘い香り。ポケモンフーズとは違うその匂いは、あまり人工物らしさは感じない。少し囓る。

甘い、熟れたチーゴの実とヒメリの実のような味がする。

「はは、ポフレは大丈夫なのか。贅沢だな」

　彼はそう言って笑い、急にふと思い出したかのように立ち上がる。

「もうこんな時間か、コレ置いとくね」

　私の食べかけのポフレというらしい食べ物を置いて、彼は町の方へ去っていった。

　すると、隣の茂みが揺れた。ひょっこりと出てきたのはチョロネコだ。所謂友達という奴だけど、隠れていたのかな。

「今の人知り合い ？私が人の町に行った時に、何処かで顔が載った紙が張り出されてたし、ヒトの世界では有名なのかしらね」

「そうなの ？ふーん有名人なのにこんな所に居るなんて珍しいな」

　私は自分が珍しい事を自覚しているので、町へ向かう事は殆どない。

でも確かに、少し落ち着いた、優しげで取っ付き易い雰囲気は普通のヒトとは違うかもしれない。私を捕まえなかったし。

「ふーん、有名人なのか」

「あの人のポケモンになるんだったら、何か美味しい物私に持ってきなさいよ」

「なんでよ。そもそもあの人、私を捕まえようとしなかったし、たぶんそうはならないと思うよ」

明くる朝。またあの人が居た。

今度は自分から飛び出す。

「やぁ、また会ったね。……今度はコレ、チョコレートのポフレなんだけど、食べる ？」

　その黒茶色のポフレは昨日とは違い苦い、けれども濃厚な甘さも持った不思議な味だ。

　それから数日に一度、彼は森にやって来てポフレやぽけじゃらしというらしい玩具などを持ってやって来た。

　そんな事が続いて、少し経った頃、彼が提案してきた。

「君、僕の家に来ない ？あぁ僕モンスターボールは嫌いで持ってないから、君を捕まえる事は出来ないけど」

　彼は思い立った事をすぐに行動にする様な節がある。今回も唐突だ。

　モンスターボールを持ってないヒトというのも居るのか、でも確かにこの人と一緒に居るのも悪くないかもな。あの変なご飯も出さないだろうし。

そう思い、首肯する。

「決まり。じゃあ早速家に案内するよ。おいで」

　そう言って彼は町に向かって歩き始め、私はそれについて行く。

　町の入り口、ヒトがちらほらと見えるようになってきた。

普段着のヒト、スーツを着ているヒト、青味がかった制服を着ているヒト。

ポケモンは普通服を着ないから、そのバリエーションに驚く。

普段は短パン小僧や虫捕り少年位しか見ないので、少し新鮮だ。

　急に彼が歩を止める。

「あっ、今日用事があったんだ。ゴメン、また明日の朝来るから今日は森にで待っててくれる ？」

　そう言って、彼は町とは反対の方向へ走って行った。

　急な事に少し唖然とし、いつもの事か、と思い森へ戻った。

　翌朝。彼がいつも来る時間から1時間近く経つも、彼は現れなかった。

『明日の朝来る』とは町の入り口まで迎えに行く、という意味なのかな。

取り敢えず町へ行ってみる事にした。

　町の前には白と黒を基調とした、下品な赤いランプを点けている車と、昨日見た青味がかった制服を着ているヒトが数人、それとあの人が居た。

　制服を着ているヒトのズボンの端を咥えると此方に気付いたので、あの人を前脚で指す。何があったのか ？と。

「イーブイ ？えーと……彼が気になるのかい ？」

　頷くと、教えてくれた。、

「彼は有名なポケモン密売人だよ」



fin

終わりです
超短編だったので書きだめはなしで投稿してみました

乙

毎回思うけど過去作の宣伝すんのやめた方がいいだろ
何故そこまでして宣伝するのか

>>17
宣伝しているつもりはないけど
最初にウラルとかって貼るべきじゃないの？

>>18
全くもってそんな風潮はないよ

宣伝するのはそりゃあ読んでもらいたいからじゃないの

別に印象が悪くなるわけでもないし

>>18 続編とかなら貼るけどね。
普通のなら宣伝

自演の人じゃん
乙

最後の言葉で話のイメージが一気に変わるのいいね
乙