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【クリスマスSS】偽りのプレゼント

 ▼ 1 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/09 19:51:27 ID:lhs8.uIQ [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ピカチュウ、一緒に頑張ろうね!」

「ピカ……!」


彼女の夢は、ポケモンマスター。

相棒はボク。


ボクは、彼女……ユウちゃんのことが大好きだ。

ユウちゃんもボクのことを大切にしてくれている。


でも……。

ユウちゃんが見ているボクは、本当のボクじゃない……。
 ▼ 2 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/09 19:52:56 ID:lhs8.uIQ [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ボクは……ミミッキュ。

そこら辺にいる普通のミミッキュ。

今は、ユウちゃんと一緒に島巡りをしている。


ボクは、ユウちゃんにずっと隠していることがある。

それは……自分自身がミミッキュであるということ。

ピカチュウじゃないってこと。


ユウちゃんは、ボクのことをピカチュウとして見ている。

ユウちゃんに大切にされてるのは、ミミッキュとしてのボクじゃなくてピカチュウとしてのボクなんだ。


……何故こうなってしまったのか。

全てはクリスマスイヴの夜から始まった。
 ▼ 3 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/09 20:18:24 ID:lhs8.uIQ [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──
────
──────


今日はクリスマスイヴ。

子供たちが一番楽しみにしている日。

そう。今日はプレゼントがもらえる日なのだ。


このアローラ地方では独特の風習があり、プレゼントを配っているのはサンタクロースのお爺さんでも子供たちの親でもなく、デリバードだ。

アローラでは宅配もデリバードが行っているので、プレゼントも、ということなのかもしれない。


この日までに、子供たちは色々なお願いをクリスマスカードというものに書く。

クリスマスイヴの夜、それを集め、子供たちのお願いを叶えにデリバードたちは行く。
 ▼ 4 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/09 20:18:53 ID:lhs8.uIQ [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その……内気なボクだけど、クリスマスに人気者のデリバードが羨ましくて……。


ミミッキュ「あ、あの……」

デリバード「ん? キミは……ミミッキュかい?」


つい、声をかけてしまった。


ミミッキュ「あ、えっと……その……」

デリバード「ごめん、今日は忙しいんだ。用事ならまた後でにしてもらえると……」

ミミッキュ「て、手伝わせてくださいっ!」


口をついて出てしまった。

そんな気はなかったのに。


デリバード「おぉ! それは助かるよ!!」


という訳でクリスマスイヴにお手伝いをすることになった……。
 ▼ 5 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/09 21:33:15 ID:lhs8.uIQ [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……とはいっても、何を手伝えば……。


デリバード「僕に着いてきてくれるかな?」

ミミッキュ「あ、はい……」


そういってやってきたのは大きなクリスマスツリーの前。


デリバード「ここで、みんなの希望したプレゼントが作られるんだよ」

ミミッキュ「……作られる?」

デリバード「ああ。僕達にもわからないんだけど、クリスマスカードに書かれたものがクリスマスイヴの夜にここに出現するんだ」


そんな非科学的なことが本当にあるのだろうか……。


デリバード「それを僕達はみんなにプレゼントするのさ!」

ミミッキュ「えっと、そのプレゼントはどこで作られるんですか……?」

デリバード「だから、僕達にもわからないんだって」

ミミッキュ「……そうですか」
 ▼ 6 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/09 21:34:04 ID:lhs8.uIQ [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバード「……まあ、"クリスマスの奇跡"ってとこかな」

ミミッキュ「クリスマスの……奇跡……」

デリバード「多分、クリスマスの神様みたいなのがいて、クリスマスイヴにプレゼントをくれるんだよ、きっと」

ミミッキュ「凄い……ですね」


サンタの裏事情なんてそう簡単に聞けるものじゃない。

手伝いをして、良かったかなと少しだけ思った。

それでも、非科学的で信じられるものではないけれど……。


デリバード「さあさ、早くやっちゃおう。今日中にアローラの子供たちにプレゼントを全て配らなくちゃならないからね!」
 ▼ 7 タチ@フォトアルバム 17/12/09 21:34:28 ID:QIyE7.qI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドキドキわくわくすっぞ!
支援
 ▼ 8 ロトック@ダークメモリ 17/12/09 21:34:45 ID:O2S866f2 NGネーム登録 NGID登録 報告
そういやミミッキュ10万ボルト覚えるんだよね

支援
 ▼ 9 ピンロトム@おはなのおこう 17/12/09 21:42:16 ID:f6asrRpE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 10 クシーマフォクシー◆ZmNoEZzYKc 17/12/10 01:50:55 ID:pPff4ydw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 11 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/10 21:17:05 ID:MDzbuqL6 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ツリーの下にはたくさんのプレゼントが置かれてあった。

プレゼント一つ一つに付いているクリスマスカードには、子供たちが書いたほしいプレゼントとその家の住所が書かれていた。


デリバード「うーんと……じゃあキミにはプレゼントの仕分けをしてもらおうかな」

ミミッキュ「仕分け?」

デリバード「ああ。北の方に配るのはこっちに、南の方に配るのはあっちに……みたいに分けてほしいんだ」

ミミッキュ「なるほど」


確かに、配る方角がすぐにわかった方が効率がいい。
 ▼ 12 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/10 21:17:24 ID:MDzbuqL6 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバード「あ、あと中身があってるかの確認もしてくれるとありがたいな」


と言って渡されたのは、クリスマスカラーの虫眼鏡のようなもの。


デリバード「このレンズを通してプレゼントを見れば……ほら、見てごらん」


近くにあったプレゼントを、レンズを通して見てみると……。

なんと、透けて車のオモチャが見えた。


デリバード「このカードには……ミニカーが欲しいですって書いてあるね。このプレゼントは大丈夫みたいだ」

ミミッキュ「凄いですね、その道具」

デリバード「僕もどういう仕組みは分からないけどね。これもクリスマスの奇跡のおかげなんじゃないかな」


クリスマスの奇跡……か。


デリバード「……そんじゃ、頼んだよ!」


と言ってデリバードは、尻尾の袋にプレゼントを入れ、配りに行ってしまった。

デリバードたちは、住所の場所を覚え、時間内に配り終えなければならない。

普段の宅配で慣れているとはいうものの、とても大変な仕事だろう……。
 ▼ 13 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/10 21:20:25 ID:MDzbuqL6 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクは、言われたとおりに仕事をやった。

子供たちは、いろんなプレゼントを頼んでいる。


例えば、ゲームやぬいぐるみ、服……。

お金が欲しいって言う子も中にはいた。


クリスマスの人気者、デリバード。

でも、裏でこんな大変な仕事をしていたとは……。

やっぱり人気者って大変なのかな。


ボクも、一度はなってみたいなぁ……。
 ▼ 14 pope◆29thbc/0F6 17/12/11 00:36:07 ID:crJG3weI NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 15 ャラコ@ヤタピのみ 17/12/11 00:37:03 ID:x6htFHkE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 16 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/11 21:28:54 ID:VEUXh6Go [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらくすると、先程の分のプレゼントを配り終わったデリバードが帰ってきた。


デリバード「おっ! 助かるよ。ありがとね」

ミミッキュ「いえいえ。ボクにはこれくらいのことしか出来ないので……」


突然、デリバードが黙る。

そして、こう尋ねてきた。


デリバード「……えっと、ずっと気になってたんだけど……キミってメスだよね?」

ミミッキュ「はい。ボクはメスですけれど……それが何か……?」

デリバード「い、いや……自分のことをボクって言うのが珍しいな、と」


……やっぱり、珍しいことなのだろうか。

ボクはずっと自分のことをボクと言い続けてきた。

だから、ボクの中のボクはボクだ。
 ▼ 17 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/11 21:29:21 ID:VEUXh6Go [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュ「……この言い方に慣れてしまったもので」

デリバード「そうなのかい……。いやぁ、もう少し女の子らしくしたらもっと可愛くなるのかなって思って……」

ミミッキュ「……ボクは、ずっと影で生き続けていたもので……」

デリバード「……なんか、ごめんよ……」

ミミッキュ「……いえ……」


他のミミッキュは、よく"私"と言っている。

でも、ボクは……。

なんだか、"私"だと洒落てるように思えて……。

ボクに合わないというか……。
 ▼ 18 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/11 21:30:29 ID:VEUXh6Go [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ダメだダメだ。

こんなこと考えてる時間はない。

今はデリバードのお手伝い中だ。


ミミッキュ「引き続き、頑張りますね……!」

デリバード「……ああ! 頼んだよ、ミミッキュ!」


先程と同じように、プレゼントの確認、仕分けを始めた。

こっちはよし、これもよし、あっちのもよし、あれはそっちに……。

……ん?
 ▼ 19 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/12 23:02:57 ID:GrKb4mFY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……このプレゼント。

おかしい。

もう一度レンズを通して見てみる。


……!

やっぱり。


このプレゼント

中身が入っていない……!


ミミッキュ「あの、デリバードさん……!」


ボクは、尻尾の袋にプレゼントを詰めている途中のデリバードに話しかけた。


デリバード「ん、どうしたんだい?」

ミミッキュ「このプレゼント……中身が入ってません!!」

デリバード「っ!? なんだって!?」
 ▼ 20 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/12 23:04:02 ID:GrKb4mFY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバードがすぐさま飛んでくる。

プレゼントを確認し、ポツリと言った。


デリバード「これは……ユウちゃんのプレゼントか……」

ミミッキュ「……ユウちゃん?」

デリバード「強いトレーナーになるのが夢の女の子さ」

デリバード「明日、ちょうど11歳になるんだよ」


……アローラでは11歳になると、ほとんどの子供が"島巡り"に出るという風習がある。

ユウちゃんという子もその一人なのだろう。


デリバード「欲しいプレゼントは……『私のパートナー、ピカチュウがほしいです!』……か……」

ミミッキュ「ピカチュウ……ですか……」


きっと、そのピカチュウと一緒に島巡りに出ようとしているはずに違いない。
 ▼ 21 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/12 23:04:25 ID:GrKb4mFY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュ「なんで、中身が空っぽなんでしょう……?」

デリバード「わからない……けど」

デリバード「"モノ"は作れるけれど、"命"は作れない、ってことなんじゃないかなぁ」

ミミッキュ「……」


ポケモンを生み出すことは、クリスマスの奇跡でもダメだったということか。

でも、それじゃあ、このままだと……。


ミミッキュ「ユウちゃんが可哀想……!」

デリバード「……ああ」
 ▼ 22 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/12 23:04:53 ID:GrKb4mFY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバード「ユウちゃんは人一倍いい子だからね。プレゼントは絶対に渡したい」

デリバード「でも……この一晩中でピカチュウを手に入れるのは厳しいからなぁ……」

ミミッキュ「……」


アローラでは、ピカチュウは人気ポケモンだ。

それゆえ、野生のピカチュウを乱獲する人が出てきて、アローラではピカチュウは貴重なポケモンになってしまった。

一晩探し回ったとしても、多分見つからないだろう。

なら、どうすれば……。
 ▼ 23 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/12 23:06:01 ID:GrKb4mFY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……デリバードがボクのことをジロジロ見てくる。


デリバード「っ! これだ!」


デリバードがいきなり大声をあげた。


ミミッキュ「な、なんですか……?」

デリバード「キミがプレゼントになればいいんだよ、ミミッキュ!」

ミミッキュ「え、えぇっ!? ボクがですか!?」

デリバード「ああ! 見た目だってピカチュウに似ているし、大丈夫さ!」


ボクが、ピカチュウの代わりにプレゼントになる。

常識的に考えて、すぐにバレてしまうだろう。

最近は、"ミミッキュ"という種族の認知度も上がっている。

ピカチュウとして過ごすのは、やっぱり難しい……。
 ▼ 24 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/12 23:06:30 ID:GrKb4mFY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバード「大丈夫。キミには"クリスマスの奇跡"っていう味方がついてる」

ミミッキュ「……それ、大丈夫なんですか?」

デリバード「ああ! ……多分」


心配だ。

まず、ボクが届いてユウちゃんは喜んでくれるだろうか。

ピカチュウじゃない、と泣きわめくのではないか。

そう考えると不安が……。


デリバード「……キミ自身が、自分をピカチュウだと思えば、自然とピカチュウらしくなれるはずだよ」


デリバードはそう、ボクに言った。


……このままではユウちゃんにプレゼントが無いことになってしまう。

ならば、いっそのこと……。


バレるまで、ボクがユウちゃんの

『偽りのプレゼント』に……!
 ▼ 25 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/13 22:15:44 ID:Bxz2xwIg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ボクはプレゼントの中に入った。


ミミッキュ「これ、本当に大丈夫……?」

デリバード「ああ! ちゃんと運ぶよ!」

ミミッキュ「……」


不安でたまらない。


……と、そのとき、周りがなにか光った。

プレゼントの中にいるからよくわからないけど……。


デリバード「うわっ! クリスマスツリーから光が……ミミッキュに……!」

ミミッキュ「えっ……?」


その光は……ボクに降り注いでいるようだ。
 ▼ 26 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/13 22:16:25 ID:Bxz2xwIg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバード「……きっとサンタさんがミミッキュのことを応援してるんだよ」

ミミッキュ「そんなことあるんですか……?」

デリバード「……きっとあるさ。だって、クリスマスだもの!」

デリバード「もしかしたら、うまくピカチュウになりきれるような力とかもついてるかもね!」


……クリスマスの奇跡が味方してくれたということ……?


ミミッキュ「ボク……頑張ります……!」

デリバード「ああ。……巻き込んでごめんよ。頼んだよ、ミミッキュ……!」

ミミッキュ「はい……!」


こうして、ボクの偽り生活が始まった。


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──
 ▼ 27 ガバンギラス@パワーアンクル 17/12/13 23:12:01 ID:xnu2sagQ NGネーム登録 NGID登録 報告
クリスマスの奇石万能すぎて笑う

支援
 ▼ 28 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/14 21:14:23 ID:7ccMC1X2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……デリバードがボクの入ったプレゼントを運ぶ。

多少揺れるが、そこまで気にならなかった。


デリバード「……着いたよ。ここがユウちゃんの家だ」

ミミッキュ「……」


プレゼントの中にいるせいで、どんなところなのかが分からない。


デリバード「……"クリスマスの奇跡"によって、クリスマスカードをかざせば……」

デリバード「その家に入れるようになるんだ」

ミミッキュ「凄いですね……」


デリバードは、ユウちゃんの家に入っていった。
 ▼ 29 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/14 21:14:42 ID:7ccMC1X2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバードが歩いていく。

……なんだか、緊張してきた。


デリバード「……ここがユウちゃんのベッドだ」


デリバードが小声で話す。


デリバード「それじゃあ……ユウちゃんをよろしくね、ミミッキュ……!」

ミミッキュ「はい……短い間、ありがとうございました……デリバードさん……!」

デリバード「僕も、キミと居られて良かったよ。ありがとう……!!」


……デリバードの足音が聞こえる。

……もう、行ってしまったようだ。


この一晩だけだったけれど、デリバードと居て、とても楽しかった。
 ▼ 30 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/17 23:02:42 ID:aENNoa0w [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……外が見えないせいで、今どのような状況なのかわからない。

おそらく、ベッドの枕元にいるのだろう。


これから……上手くやっていけるだろうか。

"クリスマスの奇跡"はちゃんと味方してくれるのだろうか。


ボクは、不安で胸がいっぱいだった。
 ▼ 31 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/17 23:03:40 ID:aENNoa0w [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……気がついたら寝てしまっていたようだ。

今はもう朝だろうか……?


……何やら声が聞こえる。


「おーいママ、ちゃんとプレゼント届いてるよ!」

「シッ、ユウが起きちゃうでしょ」


会話しているのは、ユウちゃんのお父さんとお母さんのようだ。

ああ……。もうすぐユウちゃんが起きてしまう。

どうしよう……。どうしよう……。
 ▼ 32 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/18 23:17:40 ID:NhSs64u2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「……ん、朝ぁ〜?」


女の子の声。

この子がきっとユウちゃん……。


ユウ「あっ、今日は……クリスマス!!」

母「そうよ! ほら、枕元見てみなさい」

ユウ「やった! プレゼントだぁ!!」


ユウちゃんの弾む声が聞こえる。

それと比例するかのように、ボクの不安は高まっていく。


ユウちゃんがプレゼントに手を伸ばす。

ああ、箱が開けられる。


ボクは目を瞑って、祈った。

ユウちゃんが悲しみませんように。
 ▼ 33 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/18 23:18:21 ID:NhSs64u2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
箱の中に光が入り、明るくなる。


ユウ「……!! ピカチュウだぁ……!」

ミミッキュ「ミ……ピカ!」


……ユウちゃんは、ボクのことをピカチュウだと思ってくれたようだ。


姿がピカチュウに見える魔法でもかかってるのだろうか。

それとも、単にミミッキュを知らなかっただけか。

どちらにしろ、とりあえず一安心だ。


鳴き声もピカチュウらしい鳴き声が出せるようになっている。


"クリスマスの奇跡"様様だ。
 ▼ 34 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/18 23:18:41 ID:NhSs64u2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウちゃんがボクを取り出す。


ユウ「ママ、パパ、見て!! ピカチュウだよっ!!」

母「……え、ええ! 良かったわね、ユウ!」

父「……おー! ユウがいい子にしてるからだな」


反応がぎこちない。

……ミミッキュだとバレている。


姿は、騙せなかったようだ。

となると、ユウちゃんはミミッキュというポケモンを知らなかったのだろう。


……ユウちゃんの両親は、ユウちゃんを悲しませないようにボクをピカチュウとして扱う。


……辛い。
 ▼ 35 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/18 23:19:12 ID:NhSs64u2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ピカチュウ、これからよろしくね!」


笑顔で話しかけられる。


ミミッキュ「……ピカ!」


これからボク……ピカチュウをよろしくね、ユウちゃん。


父「ユウ、今日島巡りに出るのか?」

ユウ「うん! 朝ごはん食べたらすぐ行くよ!」

ユウ「ねぇピカチュウ。アローラには島巡りっていうものがあるの。……一緒に来てくれるかな……?」


ボクには、行かないという選択肢は残されていない。

ユウちゃんの悲しむ顔は見たくない。


ミミッキュ「……ピカキュウ!!」

ユウ「やった! ありがとう、ピカチュウ!!」


ユウちゃんがボクを抱きしめる。

とても、暖かい。
 ▼ 36 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/21 07:15:20 ID:uITr1Yio [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「それじゃ、行ってくるね」

ミミッキュ「……ピカ」

母「……行ってらっしゃいユウ。気をつけるのよ」

父「……」

ユウ「ちょっとちょっと! そんなに暗くならないでよー! ピカチュウだっているんだし!」

ミミッキュ「ピ……」


ユウちゃんは知らない。

この暗いムードが……。

ボクのせいだということを……。


ユウ「まあいいや。行ってきますっ!!」

母「……行ってらっしゃい」


ユウちゃんは勢いよく家を飛び出した。


……ユウちゃんの両親は、ボクがピカチュウだということを隠してくれたけど……。

……これからは……どうしよう……。
 ▼ 37 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/21 07:15:40 ID:uITr1Yio [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ねぇ、ピカチュウ。ここはメレメレ島っていうんだよ! 守り神はカプ・コケコっていうんだ!」

ミミッキュ「ピ……ピカ!」


ユウちゃんがボクに話しかける。

ユウちゃんはとてもいい子。


ユウ「……ピカチュウ」

ミミッキュ「……ピ?」

ユウ「ありがとね。私についてきてくれて」

ユウ「正直、断られるかもって不安だったんだ。……でも、ついてきてくれて……嬉しかった!」

ミミッキュ「……」


ユウちゃんが笑った。


……断るわけない。

だって、だってボクは……。


自分を偽ってまでユウちゃんの笑顔が見たかったから……!
 ▼ 38 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/21 07:15:55 ID:uITr1Yio [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……自分でもわからない。

何故、見ず知らずの人間にこう思うのか。

それでも……。

もう、あとには戻れない。

この事実は変わらない。

だから……。


ユウ「今ね、リリィタウンってところに向かってるの」

ミミッキュ「ピカ?」

ユウ「ハラさんに挨拶に行くの。ハラさんはね、メレメレ島の島キングなんだよ!」

ユウ「島キングってすっごくすっごく強いんだ!!」


熱烈に語るユウちゃん。

とても楽しそうでボクもうれしくなる。
 ▼ 39 ギルダー@ラムのみ 17/12/21 07:42:03 ID:/sHQep2I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 40 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/21 21:07:01 ID:uITr1Yio [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらく歩いていると……。


たんぱんこぞう「あっ! トレーナー!」

ミミッキュ「!!!」


……マズい。

トレーナーと目が合ってしまった。

それが指すことは……。


ユウ「……! 目と目があったらポケモンバトル!!」


どうしよう、どうやったらバレずに済む……?


ユウ「初バトル、頑張ろうね! ピカチュウ!」

たんぱんこぞう「ピカチュウ? ソイツは……」


ダメッ……!!
 ▼ 41 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/21 21:07:38 ID:uITr1Yio [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクは必死に叫んだ。

すると……。

ボクの体から不思議な光線が出た。

これは……技?

でもボク、こんな技覚えない……。


たんぱんこぞうはボーッとしている。


ユウ「……どうしたの? 大丈夫?」

たんぱんこぞう「ん? あれ……。ああ、大丈夫だ!」
 ▼ 42 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/21 21:19:20 ID:uITr1Yio [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「じゃあ、改めて行っくよー!」

ユウ「ピカチュウ! 君に決めた!」


やるっきゃない。

初バトル、全力で……!


ミミッキュ「ピカキュウッ!!」

たんぱんこぞう「オレも! ゆけっヤングース!!」


たんぱんこぞうがボールを投げる。


ヤングース「グゥゥゥウウ!!」
 ▼ 43 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 07:10:58 ID:pLyNmtLo [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
二人「「バトル、スタート!!」」


……バトルの最中でも、ミミッキュであることを隠し続けなければならない。

ピカチュウっぽい技を……。


ユウ「ピカチュウ、"10万ボルト"!」

ミミッキュ「ピィィィカァァァ……キュゥゥゥゥウウウッ!!」


ヤングースに向かって電撃が放たれる。

……昨日までは10万ボルトなんて覚えていなかったのに。

……クリスマスの奇跡か。
 ▼ 44 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 07:11:41 ID:pLyNmtLo [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
たんぱんこぞう「ケッ、お前のピカチュウやるな!」

ミミッキュ「……!!」


今、ピカチュウと言った……!

……なるほど。さっきの光線は洗脳光線か。

あれは便利だ……!


ユウ「ふふーん! 負けないからねっ!」

たんぱんこぞう「こっちだって! いくぞヤングース、"たいあたり"!!」

ヤングース「ヤングゥゥゥッ!!」


たいあたり。ノーマルタイプの技。

ボクには当たらな……。


ヤングース「グウッ!!」

ミミッキュ「ピッ……!?」


……ヤングースのたいあたりはボクに直撃した。

……なるほど。今はミミッキュじゃない。

ボクはピカチュウなんだ……!
 ▼ 45 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 07:12:35 ID:pLyNmtLo [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ピカチュウ、大丈夫!?」

ミミッキュ「……ピッカァ!」

ユウ「よかった……気を取り直して、いくよっ! ピカチュウ、もう一度"10万ボルト"!!」

ミミッキュ「ピカッ! ピィィィカァァァ……キュゥゥゥゥゥゥゥゥウウウッ!!」


ボクはありったけの力を出した。

……ボクはあんまりバトル経験はないのだけど……。

これも、ユウちゃんのため。


起こっていた砂煙が晴れる。

その先を見ると……。

ヤングースが倒れていた。
 ▼ 46 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 19:18:54 ID:pLyNmtLo [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「……!」


倒した……みたいだ。

ユウちゃんの表情がパアッと晴れる。

ユウちゃんが僕の元に駆け寄ってきた。


ユウ「やった! やったよピカチュウ! 初バトル、勝利だね!」

ミミッキュ「ピカァ……!」


ボクはユウちゃんにギュウッと抱きしめられる。

こうやって抱きしめられると、なんだか嬉しい。
 ▼ 47 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 19:21:19 ID:pLyNmtLo [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
たんぱんこぞう「っと……戻ってくれ、ヤングース」


たんぱんこぞうはヤングースをボールの中にしまった。


たんぱんこぞう「ふー……おめでと。お前のピカチュウめっちゃ強かったぞ!」

ユウ「ありがとう!」

ミミッキュ「ピカキュウッ!」


とりあえず……良かった。

不思議な光線を出せば、みんなにボクがピカチュウだと騙せるかもしれない。
 ▼ 48 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 23:13:26 ID:pLyNmtLo [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
たんぱんこぞうに別れを告げ、ボクたちはリリィタウンに向かって進んでいった。


ユウ「はー……バトル緊張した。でも、勝ててよかった!」

ミミッキュ「ピッカ!」


ボクも凄く緊張した。

でも、それ以上に……。


ユウ「あぁ、楽しかった!!」


そう。楽しかったんだ!

技を繰り出して、相手と全力でぶつかり合うバトル……。

こんなに楽しいものだったなんて。
 ▼ 49 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 23:42:09 ID:pLyNmtLo [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ボクは今までバトルと無縁だった。

ずっと、影の中で生きてきた。

街へ街へとさまよい続け、歩いていく……。

そんな生活をしていた。


そんな中見つけたのがサンタの村。

名前もないちっぽけな村だった。

華やかなサンタがこんなに小さい村で活動しているなんて知らなかった。


そこに来たのがきっかけで、まさかこんな生活になるとは……。
 ▼ 50 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 23:48:00 ID:pLyNmtLo [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「あのね、ピカチュウ」

ミミッキュ「ピカ?」


……ふと、立ち止まりユウちゃんがボクに言った。


ユウ「私……ポケモンマスターになるのが夢なんだ」

ミミッキュ「ピ……ピカ?」

ユウ「ポケモンマスターっていうのはね……とにかくすっごいの!」

ユウ「島キングよりもチャンピオンよりも強くて、優しいの!!」

ミミッキュ「ピ、ピーカ……?」


ポケモンマスター……?

強い、優しい……?

聞いたことがない……。


けど、すっごいことは分かった。
 ▼ 51 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/22 23:48:17 ID:pLyNmtLo [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ポケモンマスターはね、パートナーのポケモンと心を通わせていないとなれないんだって……それでね……」

ユウ「これから……一緒に頑張ってくれるかな……?」


パートナー、ピカチュウ。

ボクのことだ。


ボクが断るわけがない。

ピカチュウとしてなのが少しつらいけれど……。


ボクはユウちゃんと一緒に頑張りたい!


ミミッキュ「ピッカァッ!!」

ユウ「……! ピカチュウ……!!」
 ▼ 52 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/22 23:48:33 ID:pLyNmtLo [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ピカチュウ、一緒に頑張ろうね!」

ミミッキュ「ピカ……!」


こんなわけで、ボクとユウちゃんのポケモンマスターを目指す旅が始まった。


それがあまりに楽しく、そしてあまりに辛いものだとは、まだボクは知らなかった……。


ユウ「ほら、まずはリリィタウンに行こっ!」

ミミッキュ「ピカッ……!」


ユウちゃんが駆ける。

その後をボクも駆けていった。
 ▼ 53 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:32:33 ID:K3b.XJa6 [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウちゃんが足を止める。

ここがリリィタウンのようだ。


ユウ「ハラさん、どこかなー?」

「アローラー! きみ、どこから来たの?」


ボクたちの元に、元気な少年が話しかけてきた。


ユウ「あなたは?」

ハウ「おれねー、ハウ!」


少年はハウというらしい。


ユウ「ハウ! 私はユウっていうの。よろしくね!」

ハウ「ユウ! よろしくねー!」


お互いに挨拶を交わした後、ユウちゃんが尋ねる。


ユウ「それで……ハラさんって見てない?」

ハウ「じいちゃんならねー、こっちにいるよー! 着いてきてー!」

ユウ「ありがとう、ハウ!」


ボクたちはハウのあとを着いて行った。
 ▼ 54 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:32:55 ID:K3b.XJa6 [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハウ「ユウはなんでじいちゃんのところに来たのー?」

ユウ「新しくトレーナーになったから、挨拶をしようと思って」


ハウが足を止め、ボクたちに言った。


ハウ「それならー! ここの"試練"を受けていきなよー!」

ユウ「試練……? ここに試練なんてあったっけ……?」

ハウ「最近新しく出来たんだー! おれがキャプテンなんだよー!」


"試練"。

島巡りをする際、突破しなければならない壁。
 ▼ 55 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:33:13 ID:K3b.XJa6 [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハウ「おーい! じいちゃーん!!」


ハウが叫んだ。


ハラ「なんですかな、ハウ。おっと、後ろのトレーナーは?」

ハウ「ユウだよー! 新しくトレーナーになったんだって!」


と、ハウに指され、ユウちゃんは挨拶をした。


ユウ「新しく島巡りに出ます、ユウとピカチュウです。メレメレ島の島キングのハラさんに挨拶に参りました」

ハラ「そんなにかしこまらなくてもいいですぞ。それと……そのポケモンは……」


っ……! まずいっ!

ボクは、ハウとハラさんに光線を浴びせた。
 ▼ 56 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:33:32 ID:K3b.XJa6 [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハラ「……そのピカチュウ、いい顔をしておりますな」

ユウ「ほんとですかっ!? ありがとうございます!!」


ふぅ……。

今回も隠すことができた。


ハラ「それで……ユウは試練を受けるのですかな?」

ユウ「はいっ!」

ハウ「おれ、ユウの試練の案内してくるねー!」

ハウ「頼みましたぞ、ハウ」


ボクたちは、試練をする場所へと向かった。
 ▼ 57 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:51:40 ID:K3b.XJa6 [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハウ「ここだよー!」

ユウ「……何にもないよ……?」


着いたところは、ただの森の中。

ここでどのような試練をするのだろう……?


……と、その時。


三匹のポケモンが森の中から飛び出してきた。


ユウ「このポケモンたちは……!?」

ハウ「アシレーヌ、ジュナイパー、ガオガエンだよー!!」


アシレーヌ「レェェェエエエッヌッ!!」

ジュナイパー「ジュッパァァァァアアアッ!!」

ガオガエン「グルルゥゥゥオォオオオオッ!!」


三匹のポケモンが雄叫びをあげる。
 ▼ 58 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:51:56 ID:K3b.XJa6 [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハウ「おれ、ハウの試練は……」

ハウ「この三匹のポケモンのうちから一匹選んで力を試す試練だよー!!」

ユウ「……力を試す……」

ハウ「勝てなくてもいいんだよー! ユウと、ピカチュウの力を試すんだー!」


なるほど。

これは勝つことが目的ではなく、島巡りへの心構えがあるかを試す試練なのか。


……と、三匹のポケモンがボクの元へ歩いてきた。
 ▼ 59 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:52:20 ID:K3b.XJa6 [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシレーヌ「……ねぇ、あなた……ミミッキュよね……?」

ジュナイパー「何故、ピカチュウということになっているんですか?」

ミミッキュ「はい。ボクはミミッキュです……。色々あってピカチュウと偽っていて……」

ガオガエン「詳しく聞かせてくれないか……?」


このポケモンたちなら信頼できそうだ。

ボクは、今まであったことをすべて話した。
 ▼ 60 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:52:38 ID:K3b.XJa6 [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシレーヌ「なるほど。そんなことが……」

ジュナイパー「クリスマスの奇跡……ですか。便利ですね」

ガオガエン「これから大変なことは沢山あるだろうが、応援してるぞ」

ミミッキュ「ありがとうございます……!」


三匹は、ボクの話を聞いて、励ましてくれた。


アシレーヌ「実は、私たちも色々あって島巡りをしたんだけれど、まあ……大変だったわ」

ミミッキュ「ポケモンだけで島巡りをしたんですか!?」

ジュナイパー「はい。アローラを旅したんです。色々な"試練"は大変ですが、それ以上に様々なことを学べるんです」

ガオガエン「楽しいことばかりじゃないが、いい経験になるぞ!」


島巡りの先輩方の言葉は、とても為になった。
 ▼ 61 日はここまで◆Xq21k6pIJA 17/12/23 23:58:46 ID:K3b.XJa6 [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ピカチュウ、話は終わった?」


ユウちゃんがボクを呼んだ。


アシレーヌ「……っと、まずはこの"試練"であなた達を試さないとねっ!」

ミミッキュ「……頑張ります……っ!」


ハウ「それでー、どのポケモンを選ぶのー?」

ユウ「えーっと……」


ユウちゃんはアシレーヌたちを交互にジーッと見る。


ユウ「アシレーヌにします……!」


アシレーヌ「よろしくね、ミミッキュ」

ミミッキュ「はいっ!」


初めての"試練"。

頑張るぞ……!
 ▼ 62 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 20:25:22 ID:ZmqdjtRs [1/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウちゃんがボクの元へ歩み寄る。


ユウ「アシレーヌは確か水タイプ。ピカチュウは有利だから選んだんだ!」

ミミッキュ「ピカ……」


ユウちゃんはボクに小さい声で言った。

……ボクは、いくらピカチュウと偽っていてもミミッキュだ。

水タイプに有利かはわからない……。


あれ? でも……。

ヤングースのたいあたりが当たらなかったということは、今ボクは電気タイプ……?

もしかしたらいけるかもしれない……!
 ▼ 63 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 20:25:52 ID:ZmqdjtRs [2/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そういえば、この前のバトルのときだって"10万ボルト"を放つことができた。

クリスマスの奇跡があるなら……。

いけるっ!

ボクは、ピカチュウになれる……!


ユウ「それじゃ、やろっか。ピカチュウ!!」

ミミッキュ「ピカピィカッ!」

アシレーヌ「レェヌッ!!」

ハウ「それではー! ハウの試練、開始っ!」


……開始の合図とともに、アシレーヌが動く。

……速い。
 ▼ 64 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 20:26:20 ID:ZmqdjtRs [3/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ピカチュウ、いくよっ! "10万ボルト"!!」

ミミッキュ「ピカッ!!」


ボクは、身体中から電気を放った。

……だが。


アシレーヌ「レェッ!」

ユウ「なっ……!」


アシレーヌは高く跳び、電撃を避けた。

……やっぱり島巡りをしただけの力はある。


アシレーヌ……強いっ……!
 ▼ 65 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 20:26:41 ID:ZmqdjtRs [4/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「っ、ピカチュウ! もう一度"10万ボルト"!!」

ミミッキュ「ピ、ピカ……!」


もう一度、アシレーヌに向かって10万ボルトを放つが……。

やはり、避けられてしまう。


ユウ「うっ……。当たらない……」

ミミッキュ「ピ……」


このまま10万ボルトを打ち続けても、一方的にボクの体力が無くなるだけだ。

何か決定的な攻撃をしなければ……。
 ▼ 66 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 21:45:10 ID:ZmqdjtRs [5/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……と、その時。


アシレーヌ「アシャッ……!!」


アシレーヌがこちらを向いた。

恐らく、技の構え……!

避けないとっ……!


アシレーヌ「アシャレェェェエエヌッ!」

ユウ「避けてピカチュウっ……!」

ミミッキュ「ピッ……!!」


ボクは必死に走り、避けようとするが……。

アシレーヌの放った水の攻撃は……ボクの身体に命中した。
 ▼ 67 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 21:45:32 ID:ZmqdjtRs [6/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ピカチュウっ……!!」

ミミッキュ「キュッ……」


ボクは、正面から来た水流に耐えきれず、地面を引きずった。


ユウ「ピカチュウ、大丈夫っ……!?」

ミミッキュ「ピ、ピカ……!」


……なんとか持ちこたえた。


ハウ「今のはハイドロポンプだねー。アシレーヌ、ユウたちはまだバトル初心者なんだから、やりすぎちゃダメだよー!」

アシレーヌ「レェヌ……」
 ▼ 68 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 21:45:53 ID:ZmqdjtRs [7/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシレーヌがボクの元にやってきた。


アシレーヌ「やりすぎちゃったみたいね……ごめんなさい」

ミミッキュ「いえ、大丈夫です。これがバトルというものなんでしょうし」

アシレーヌ「これがトラウマになったら困るから、いつもは手加減してるんだけれども……」


けれども……?

なんでボクの場合は違かったのだろう……?


アシレーヌ「あなたとは……正々堂々ぶつかり合いたかった……みたいな?」

ミミッキュ「正々堂々……?」

アシレーヌ「偽りないあなたを知るためには、正々堂々ぶつかれば分かるかな……と」

アシレーヌ「でも、ちょっとハメを外しすぎちゃったみたいね……」


……なるほど。

技はクリスマスの奇跡のおかげでピカチュウのようなものになっているけど……。

ボクも、"本当のボク"で正々堂々ぶつかりたい……!!
 ▼ 69 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 21:46:13 ID:ZmqdjtRs [8/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュ「ピカ! ピカピーカッ!!」


ボクは、バトルの態勢に戻った。


ユウ「まだいけるのね、ピカチュウ……!」

ミミッキュ「ピカァッ!」

アシレーヌ「レヌ……!」


ボクの全力で……ぶつかるっ!!


ユウ「ピカチュウ! "10万ボルト"っ!!」

ミミッキュ「ピカッ……!!」


ボクは高く跳び上がる。

10万ボルトでは、すぐに避けられてしまう。

それなら……!
 ▼ 70 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 21:46:28 ID:ZmqdjtRs [9/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュ「ピカァァァァァァアアアアアアアッ!!!」


ボクは、天に向かって叫んだ。

ボクの周りに暗雲が立ち昇る。


自身の身体から電気をバチバチと放電し……。

大きな"雷"を起こすッ……!!


ミミッキュ「ピィィィカァァァァァァキュゥゥゥゥゥゥゥウウウウウッ!!」


空から、とても大きな"雷"をアシレーヌ目がけて叩き込んだ。
 ▼ 71 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:14:41 ID:ZmqdjtRs [10/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……膨大な力を放ったボクは、地面に落ちた。


ユウ「ピカチュウっ!!」


ユウちゃんが駆け寄ってくる。


ミミッキュ「ピ……カ……!」

ユウ「ピカチュウ、凄いよ! 今の技、かっこよかった……!」

ミミッキュ「ピカァ……!」


ボクは、ユウちゃんに微笑んだ。


……前を見てみると、そこにはダメージを受けたアシレーヌがいた。
 ▼ 72 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:15:06 ID:ZmqdjtRs [11/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アシレーヌ「お疲れ様、ミミッキュ。あなたの全力、見せてもらったわ……!」

ミミッキュ「アシレーヌさん……!」

アシレーヌ「これなら、島巡りも大丈夫そうね!」


と、バトルを見ていたガオガエンとジュナイパーもこっちに寄ってきた。


ガオガエン「凄かったぞ、ミミッキュ!」

ジュナイパー「島巡り……頑張ってくださいね」

ミミッキュ「ガオガエンさん……! ジュナイパーさん……! ありがとうございます!!」
 ▼ 73 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:15:26 ID:ZmqdjtRs [12/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハウもボクたちの元へ歩いてきた。


ハウ「試練、お疲れ様ー! すっごくいいバトルだったね!」

ユウ「ありがとう……!」

ハウ「このピカチュウすごいよー! "かみなり"を使えるなんてー!」

ユウ「かみなり……あぁ! あのすっごい技!!」


そうか……。

ボクは、"かみなり"を使えるようになったんだ……!


ハウ「これから、頑張ってねー! おれも、応援してるよー!!」

ユウ「ありがとう、ハウ!」
 ▼ 74 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:16:04 ID:ZmqdjtRs [13/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハラ「試練は終わりましたかな?」

ハウ「じいちゃん! うん、すっごいバトルだったよー!」


島キングのハラさんが戻って来たようだ。


ハラ「ふむ……。本来なら、ここでアシレーヌZやガオガエンZ、ジュナイパーZを渡すのですがな……」

ユウ「ぜ、Z……?」

ハウ「Zクリスタルって言うんだよー! これとZリングがあれば、Zワザを出せるんだ!」

ユウ「Z……ワザ……!」
 ▼ 75 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:17:37 ID:ZmqdjtRs [14/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ふと、ボクは地面を見た。

あれ? あそこになにか光り輝くものが……。


ハラ「……ん? そこにあるのは……輝く石……!」


ハラさんがその石を手に取る。


ハラ「ユウさん、少しばかり待っていただけますかな?」

ユウ「は、はい……」

ハウ「Zリングが作れるよー! やったねユウ!」

ユウ「そうなのっ!? やったぁーっ!!」
 ▼ 76 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:17:56 ID:ZmqdjtRs [15/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハラ「守り神、カプ・コケコがお主らを気に入ったのかもしれませんな!」


……もしかしたら、これもクリスマスの奇跡のおかげ……?

いや、これはボクとユウちゃんの"絆"のおかげかもしれない。


ハラ「明日になったらこの石をZリングにして返しますぞ」

ユウ「ありがとうございます、ハラさん……!」


これでZワザが……!

……いや、Zクリスタルがない。
 ▼ 77 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:18:42 ID:ZmqdjtRs [16/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ハウ「じいちゃん、Zクリスタルどうするー?」

ハラ「うむ……あいにくピカチュウZは持っておらぬ……」

ユウ「……大丈夫です。島巡りで集めますから」

ハウ「ごめんねー、ユウ」


Zワザを打てるようになるのはまだ先のようだ。
 ▼ 78 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:42:44 ID:ZmqdjtRs [17/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一旦ハウたちに別れを告げ、リリィタウンを後にした。

明日にならないとZリングは貰えないので、ボクたちはポケモンセンターに泊まることにした。


ユウ「初めてのポケセン! まずはあなたを回復しないとね、ピカチュウ!」

ミミッキュ「ピカー」


ボクたちは、ポケモンセンターの中へ入った。


ジョーイ「お疲れ様です、ポケモンセンターです」

ユウ「ピカチュウの回復をお願いします」


……厄介なことになる前に、ボクはジョーイさんに光線を浴びせた。
 ▼ 79 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:43:04 ID:ZmqdjtRs [18/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジョーイ「それでは、一旦ボールの中にピカチュウを入れてください」


言われたとおりに、ボクはボールに入る。

そういえば、今まで連れ歩いていたからボールに入ったのは初めてかもしれない。

ボールの中は、意外と快適だった。


ジョーイ「それでは、ピカチュウをお預かりしますね」


中からはよく見えないが、回復装置の中に入れられたようだ。

ジョーイさんがボタンを押すと……。

わぁ凄い。

疲れが一気に吹き飛んだ。


ジョーイ「お預かりしたピカチュウは元気になりましたよ!」

ユウ「ありがとうございます、ジョーイさん!」
 ▼ 80 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:43:23 ID:ZmqdjtRs [19/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクは、ボールから出た。


ユウ「やっぱりピカチュウといつでも一緒にいたい!」


……ボールに入るのは、極わずかになりそうだ。


ボクたちはジョーイさんから鍵を借り、ポケモンセンターにあるトレーナー用宿泊所に向かった。


ユウ「ポケセンって便利だよねー! 回復できるし、泊まれるし、ご飯も買えるし!」

ミミッキュ「ピッカ!」


ポケモンセンターは、トレーナーには欠かせない存在だろう。
 ▼ 81 日はクリスマス◆Xq21k6pIJA 17/12/24 23:59:03 ID:ZmqdjtRs [20/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……次の日。

ボクたちはハラさんのところへ行った。


ハラ「ユウさん、これがあなたのZリングですぞ」

ユウ「……! ありがとうございます……!」


白く輝くZリング。

早速つけてみると……ピッタリだ。


ユウ「わぁっ! すごい……!」

ハラ「……ユウ。お主はいいポケモントレーナーだ。これからも頑張るのですぞ!!」

ユウ「ありがとうございます! 頑張ります……!!」
 ▼ 82 日はクリスマス◆Xq21k6pIJA 17/12/25 00:00:28 ID:4KtVbQKw [1/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……それからはあっという間だった。

ユウちゃんとボクはどんどん進んでいった。


メレメレ島。

イリマの試練。
ハラの大試練。

ノーマルZ、カクトウZゲット。


アーカラ島。

スイレンの試練。
カキの試練。
マオの試練。
ライチの大試練。

ミズZ、ホノオZ、クサZ、イワZゲット。
 ▼ 83 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 22:19:02 ID:4KtVbQKw [2/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクとユウちゃんのコンビネーションは抜群で、野生のポケモンやトレーナーを次々倒していった。

……こうして、ウラウラ島にやってきた。


ユウ「ピカチュウ、ここはマリエシティっていうんだよ!」

ミミッキュ「ピカ?」

ユウ「……ちょっと寄りたいところがあるんだ」

ミミッキュ「ピ!」


……ここで、ボクの予期せぬことが起こった。
 ▼ 84 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 22:19:31 ID:4KtVbQKw [3/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウちゃんが向かった先は……図書館。

……嫌な予感がする。

その予感は見事に当たってしまった。


ボクたちはマリエ図書館の中に入る。


ユウ「……もっとピカチュウのこと知ろうと思って」


そう言ってユウちゃんがポケモン図鑑を手に取る。

……まずい、このままだと"ミミッキュ"の存在がバレてしまうっ……!!
 ▼ 85 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 22:23:16 ID:4KtVbQKw [4/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュ「ピカキュゥッ!」

ユウ「ピカチュウ!?」


ボクは、ユウちゃんが持っていた図鑑を叩き落とした。


ユウ「ちょっとピカチュウ……! 図書館の本なんだから大切に扱わないと……!」

ピカチュウ「ピ……」


う……。

確かにそうだ。


ユウ「図鑑が嫌なの?」


ユウちゃんがボクに訊く。

どう答えれば……。
 ▼ 86 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 22:43:04 ID:4KtVbQKw [5/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その時。


「どうしたのー? そこにいるお姉ちゃん」


誰かが声をかけてきた。


ユウ「えっと……どなたですか?」

アセロラ「アセロラー!」


彼女は、アセロラというらしい。


アセロラ「ん、お姉ちゃんが連れているのは……」


あっ……!

ボクは、すぐさま洗脳光線を浴びせた。


アセロラ「お姉ちゃんが連れてるのはピカチュウだね! かわいい!」

ユウ「ありがとう! 私はユウ。よろしくね」
 ▼ 87 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 22:43:21 ID:4KtVbQKw [6/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アセロラ「ねぇユウお姉ちゃん、アセロラ、そのピカチュウと二人でお話してもいい?」

ミミッキュ「ピッ……?」

ユウ「えっ……? まあ、いいけど……」



アセロラは一体何を考えているのだろう。

ボクとアセロラはユウちゃんから少し離れたところで話を始めた。


アセロラ「ねぇ、ピカチュウ……いや、ミミッキュ」

ミミッキュ「ピィッ……!?」


……バレた。

ミミッキュだということが、バレている……!
 ▼ 88 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 22:57:16 ID:4KtVbQKw [7/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アセロラ「えへへ、ピカチュウだと思わせるようにしたみたいだけど、アセロラちゃんそういうの効かないんだよね」

ミミッキュ「ピ……キュ……」


アセロラ……一体何者……?


アセロラ「それと、アセロラちゃんあなたの言葉わかるんだ」

ミミッキュ「キュッ!?」


ほんとに何者……?


アセロラ「今まであったこと、全部話してくれないかな……?」

ミミッキュ「……」


信頼……出来るかな。

ボクは、アセロラすべてを話すことにした。
 ▼ 89 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:05:45 ID:4KtVbQKw [8/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アセロラ「……なるほど。そんなことが」

ミミッキュ「……」

アセロラ「アセロラちゃんおくちあんぐりー!」

アセロラ「なにそれなにそれ! クリスマスの奇跡ってすごいっ!!」


アセロラがいきなり大声を出す。


ミミッキュ「大きな声で言ったらユウちゃんにバレちゃう……! ……あとここ図書館だから静かに……」

アセロラ「あっ! ごめん……」


一旦おさまった後、アセロラは言った。


アセロラ「……そろそろ本当のことを言わないとマズいよ……?」

ミミッキュ「っ……」


聞きたくない言葉だった。
 ▼ 90 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:06:08 ID:4KtVbQKw [9/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクだって心のどこかではわかっていた。

いつかは、バレてしまう。

だから、いつかは伝えないといけない日がやってくる。


でも……。でも……!


アセロラ「もう、ユウお姉ちゃん勘づいてるんじゃないかなぁ」

ミミッキュ「えっ……?」

アセロラ「だって、ここまでずっと島巡りしてきたんでしょ?」

ミミッキュ「う、うん……」

アセロラ「だったら、ユウお姉ちゃんがミミッキュという存在を知らなかったとしても……」

アセロラ「あなたが偽っているということはもう、バレていると思う」
 ▼ 91 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:06:29 ID:4KtVbQKw [10/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュ「……」

アセロラ「……やっぱり、自分の口から言った方がいいと思うよ……?」


やっぱり……。

伝えるべきか……。


ミミッキュ「……でも、どうやって……? ボク、ユウちゃんには言葉が伝わらない……」

アセロラ「言葉が通じなくたって伝えることは出来るよ」

アセロラ「自分で、本当のことを伝えてみるのが大事だと思う」


……アセロラの言葉が身に染みる。


アセロラ「頑張って、ミミッキュ! アセロラちゃん応援してる!!」

ミミッキュ「……ありがとう」
 ▼ 92 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:09:22 ID:4KtVbQKw [11/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクたちは、ユウちゃんのところへ戻った。

ユウちゃんは小説を読んで待っていた。


ユウ「遅かったね。何話してたの?」

アセロラ「んー、ちょっとまあ色々……」

ミミッキュ「ピ……」

ユウ「ふーん。まあいいけど」


ユウちゃんは椅子から立ち上がり、言った。


ユウ「調べ物しようと思ったけど、結構時間経っちゃったしいいかなぁ」

ユウ「ってことで、ポケセン行こっか、ピカチュウ」

ミミッキュ「ピカ……!」

ユウ「アセロラ、じゃあまたいつか!」

アセロラ「うん! また会おうね!」


ボクとユウちゃんはアセロラに別れを告げた。
 ▼ 93 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:21:10 ID:4KtVbQKw [12/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンターの宿泊所に着いた。

ユウちゃんがベッドに寝転ぶ。

ボクはずっと、どう伝えようか考えていた。


ユウ「ピカチュウ、どうしたの? さっきから何か考えてるみたいだけど」


ミミッキュ「ピカッ!? ピ……」


ユウちゃんに見透かされていたようだ。
 ▼ 94 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:22:25 ID:4KtVbQKw [13/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「そういえば、島巡り始めてから半年くらい経ったんだねー」

ミミッキュ「ピカ」


もう、半年もたっているのか。

アローラは年中暑いから、気づかなかった。


ユウ「本当に、あっという間だったね」

ミミッキュ「ピカ!」

ユウ「本当に、楽しかった!」


……少しの間が生まれる。

……どうしたんだろう?


ユウちゃんが口を開いた。
 ▼ 95 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:23:49 ID:4KtVbQKw [14/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ねぇ、ピカチュウ。あなた、何か私に隠してない……?」

ミミッキュ「ピカッ……!?」


アセロラの言う通り。

ユウちゃんにはとっくにお見通しだった。


……伝えるなら……今しかないだろう。


よし。

ボクは、ユウちゃんに本当のことを伝えたいっ……!
 ▼ 96 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:24:08 ID:4KtVbQKw [15/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……強く願った瞬間、ボクの体が光り始めた。


ユウ「ど、どうしたのピカチュウ!?」


しばらくすると、光は収まった。


ミミッキュ「あ……話せる……!」

ユウ「ピカチュウが喋った!?」


……クリスマスの奇跡のおかげだろうか。

ボクは人間の言葉が喋れるようになったようだ。
 ▼ 97 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:24:34 ID:4KtVbQKw [16/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ミミッキュ「っ、ユウちゃん……」

ユウ「ピカチュウ……?」

ミミッキュ「ボクはずっと……あなたに隠していたことがありました」

ユウ「……」


怖い。

言うのが怖い。


ユウちゃんの悲しむ顔は見たくない。

でも……。

いつかはバレる。バレてしまう。

だから……!
 ▼ 98 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:25:56 ID:4KtVbQKw [17/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクだって、今まで辛かった。

本当に辛かった。


とても楽しかった島巡り。

同じくらい辛かった。


だって。

ユウちゃんはボクのことを"ピカチュウ"としてしか見てくれないんだもの。

でも、ボクはそれを望んでいる……。


はずなのに辛いんだ。

わかってる。わかってる。


ボクは、ありのままの自分をユウちゃんに見てほしいんだっ……!
 ▼ 99 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:26:20 ID:4KtVbQKw [18/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ボクは、少しずつ話していった。


ミミッキュ「ユウちゃん……ごめんなさい。ボクは、ミミッキュじゃないんです」

ユウ「……」

ミミッキュ「ミミッキュっていう、ポケモンなんです……」

ユウ「……」


ユウちゃんは黙っている。


ミミッキュ「クリスマスプレゼントで……ピカチュウを頼んだと思うけど……」

ミミッキュ「ピカチュウはいなくて……だから代わりにボクが……」
 ▼ 100 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:27:58 ID:4KtVbQKw [19/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「……」


ユウちゃんは黙っている。


ミミッキュ「ずっと隠しているのは辛かった……。人を騙すのも大変だった……けど」

ミミッキュ「ユウちゃんの悲しむ顔が見たくなかったから……!」

ミミッキュ「嫌われたく……なかったから……」


ボクは、全て、包み隠さずユウちゃんに話した。

涙が溢れて止まらなかった。
 ▼ 101 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:30:16 ID:4KtVbQKw [20/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ユウちゃんは、無言でボクを抱きしめた。

なんで……?


ユウ「……っ、嫌いになるわけないじゃんっ……!」

ミミッキュ「ユウ……ちゃ……ん」


ユウちゃんの言葉が、ボクの胸に暖かく染み込んでいく。


ユウ「今まで、辛い思いさせててごめんねっ……!」

ミミッキュ「ユウちゃぁ……ん……」


ボクもユウちゃんも泣きながら抱き合っていた。
 ▼ 102 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:32:49 ID:4KtVbQKw [21/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「今まで……ありがとね、ピカチュウ」

ミミッキュ「ユウちゃ……キュ?」


あ……。

力が切れたのか、人間の言葉が喋れなくなってしまった。


ユウ「今まで、私のために、ピカチュウのフリをしてくれて、ありがとう……!」

ミミッキュ「キュ……?」


……ボク、捨てられるの……?


……嫌だっ……!

もっと、もっともっとユウちゃんと……。


一緒にいたいっ……!
 ▼ 103 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:35:40 ID:4KtVbQKw [22/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「……これからも、よろしくね……ミミッキュ……!」

ミミッキュ「……!」


ユウちゃん……!


ユウ「私は、ピカチュウが好きだよ? 好きだけど……でもね」

ユウ「私が一番好きなのは、私の相棒……あなたなの」

ユウ「それが、ピカチュウでもミミッキュでも変わらない」


ユウ「あなたは……あなただから」

ミミッキュ「……!!」


ユウちゃんは……。

ボクを嫌いになんかならなかった。


ユウちゃんは、今までも本当のボクを見ようとしてくれてたんだ……!
 ▼ 104 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:38:11 ID:4KtVbQKw [23/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「では……ピカチュウ改めミミッキュ」

ミミッキュ「キュ?」


ユウちゃんが立ち上がる。

そして、こう言った。



ユウ「ミミッキュ、一緒に頑張ろうね!」

ミミッキュ「ミキュ……!」


こうして、ユウちゃんとボクの……"ミミッキュ"の島巡りが始まった。
 ▼ 105 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:42:51 ID:4KtVbQKw [24/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……後日。

スーパーメガやす跡地にて。


ここが試練の場らしいが……。


ユウ「キャプテン、いないのかな……?」

ミミッキュ「キュー?」


アセロラ「おーい! ユウお姉ちゃーん!」


向こうの方から、アセロラが走ってきた。


ユウ「アセロラ! 久しぶり!」
 ▼ 106 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:44:49 ID:4KtVbQKw [25/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ボクはアセロラに、ユウちゃんに正体を告げたことを言った。


アセロラ「ミミッキュっ……! よくやったねっ!」

ミミッキュ「……ッキュ……!」

ユウ「それにしても本当にピカチュウに似てるよね、ミミッキュ」

ミミッキュ「キュー」

アセロラ「ミミッキュは色々あって、ピカチュウの格好してるみたいだよ」

ユウ「へー」


生まれつきこの布をかぶっていたからよくわからないけど……。

これがミミッキュという種族特有のものらしい。
 ▼ 107 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:47:42 ID:4KtVbQKw [26/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ユウちゃんがアセロラに尋ねた。


ユウ「ねぇアセロラ。ここのキャプテンって知らない?」

アセロラ「ここのキャプテンはねー、アセロラちゃんでーす!」

ミミッキュ「ミキュ!?」

ユウ「えーっ!? アセロラってキャプテンだったの!?」

アセロラ「えへへ、言ってなくてごめんねー!」


なるほど。

だからボクとも話せたのかもしれない。
 ▼ 108 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:48:51 ID:4KtVbQKw [27/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……。

時は経ちクリスマス三日前。


ボクたちはこの後も数々の試練をこなした。


ウラウラ島での試練。

マーマネの試練。
アセロラの試練。
クチナシの大試練。

デンキZ、ゴーストZ、アクZゲット。


ここでの島巡りもあっという間だった。
 ▼ 109 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:49:32 ID:4KtVbQKw [28/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そして今日、ユウちゃんからこんなことを言われた。


ユウ「近くに、サンタの町があるらしいよ」

ミミッキュ「……!」


おそらく、あの、一年前のあの村だ……!


ボクたちは、そこへ向かうことにした。
 ▼ 110 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:50:37 ID:4KtVbQKw [29/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……近くとはいうものの、島の外れの方にあるため、行くのに一日ほどかかった。


……今日は12月24日。

クリスマスイブだ。


ちょうど、去年と一緒。


……と、そこに、こちらへやってくる影が……。


デリバード「ミミッキュ! ミミッキュだよね!? 久しぶり!」


あのときのデリバードだ!


ミミッキュ「デリバード……!」
 ▼ 111 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:51:52 ID:4KtVbQKw [30/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ボクは、デリバードに今まであったことを話した。


デリバード「……本当に、君をプレゼントにして申し訳なかった」

ミミッキュ「いいえ。むしろ、ありがとうございました!」


ボクは微笑んだ。

本当にそうだ。

だって、デリバードがいなかったらユウちゃんに出会えなかったのだから!
 ▼ 112 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:52:58 ID:4KtVbQKw [31/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
デリバード「なあ、ミミッキュ」

ミミッキュ「?」

デリバード「今日はイヴだろう? だからさ……」


デリバードがボクに囁く。

……なるほど、いい考えだ!
 ▼ 113 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:53:46 ID:4KtVbQKw [32/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……夜。


ユウちゃんとボクはポケモンセンターの宿泊所にいる。

ボクはそーっと抜け出して……。
 ▼ 114 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:55:01 ID:4KtVbQKw [33/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
次の日の朝。

今日はクリスマスだ。


ユウ「おはよう、ミミッキュ……?」

ユウ「ミミッキュがいない……?」


ユウちゃんが外に出てきた。


ミミッキュ「ミキューッ!!」

ユウ「!?」


サプライズ。

ボクは、プレゼントをもっている。
 ▼ 115 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:56:54 ID:4KtVbQKw [34/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユウ「ミミッキュ……どういうこと……?」

ミミッキュ「ミキュ! ミキュ!」

ユウ「開けてってこと……?」


ユウちゃんがプレゼントを開ける。


中に入っているのは……。


ユウ「ピカチュウの……ぬいぐるみ?」

ミミッキュ「ミキュ!!」

ユウ「ミミッキュが作ったの?」

ミミッキュ「ミキュ!」

ユウ「……」

ユウ「ありがとうーっ!!」


ユウちゃんに抱きしめられる。

ボクは今……とても嬉しい!!
 ▼ 116 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/25 23:58:35 ID:4KtVbQKw [35/35] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
このプレゼントは、昨日、頑張ってボクが作ったもの。

ユウちゃんが好きなピカチュウのぬいぐるみ。


このぬいぐるみは、ボクの心。

偽りのない、本心。


ユウちゃんに喜んでもらうために、つくったもの……!
 ▼ 117 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/26 00:03:10 ID:moCuiaVY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はクリスマス。

みんなの希望が溢れる日。


……ボクとユウちゃんが出会って一周年。


ボクたちは、これからもずっと一緒だよ……!!


ユウ「ミミッキュ」

ミミッキュ「ミキュ?」

ユウ「チャンピオン……一緒に目指そうねっ!」


ボクたちの冒険は、まだ、始まったばかり。
 ▼ 118 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/26 00:04:49 ID:moCuiaVY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クリスマスの奇跡。

クリスマスという日は不思議な日だ。


色々な奇跡が起こる。

ボクたちも、この奇跡のおかげで出会うことが出来た。


……多くの人に、奇跡が起こりますように……。









【クリスマスSS】偽りのプレゼント──完
 ▼ 119 ャーレム@ハバンのみ 17/12/26 00:05:52 ID:47bJdEDI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ▼ 120 かちう◆Xq21k6pIJA 17/12/26 00:08:29 ID:moCuiaVY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これにて完結です。
本SSは下記のSSと関連しています。
http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=466706

また、クリスマスSS企画(http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=721326)に参加しています。
 ▼ 121 リジオンの人◆QhqpxfPSAI 17/12/31 22:23:14 ID:0UWQGARM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1位おめでとうございます!
 ▼ 122 タッコ@ふしぎなきのみ 17/12/31 22:24:52 ID:08m.hcsc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
1位おめでとう
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=730281
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