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【クリスマスSS】約束

 ▼ 1 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/10 22:14:20 ID:qqukcHu2 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あなたと、あの木の下で交わした約束。
ずっと、守られるはずだった約束。

少しずつ。
ゆっくりと。

──だけど、確実に。


約束は壊れていった……
 ▼ 2 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/10 22:17:29 ID:qqukcHu2 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日は、特別な夜の前日……クリスマス・イヴの前日。
明日のために、冬休みの課題は一日で終わらせた。
……だけど、明日は貴方は居ない。何故なの?

溜め息を吐き出しながら、彼女──グレイシアは考えていた。
 ▼ 3 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/10 22:18:54 ID:qqukcHu2 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

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私の彼はアブソル。
彼の心優しさと、誠実さに惹かれて去年の秋に告白した。

アブソル「……うん。僕からも、よろしくお願いします」ペコリ

グレイシア「…………!!!」

正直、こうなるとは思ってもいなかった。
自分が顔も運動も勉学も平均ぐらいで、とても彼に叶うものではなかった。

アブソル『ねえ、今日どこかに行こうか?』10:52

グレイシア『いいよ! 何処にしよう……?』10:55 既読

最初は、同情で付き合っているのかと半信半疑の状態だった。

アブソル『今日楽しかった! それじゃあ、また明日。おやすみ!』22:14

グレイシア『うん、おやすみ』22:15

だけど、段々。

アブソル「愛してるよ」

グレイシア「私もよ……」

あなたを信頼して。

アブソル『クリスマスイブ、駅前の広場で待ち合わせな』15:55

グレイシア『わかった!』16:00

連絡が来ないと落ち着かないようになって。
愛してることを確かめたくて、何度も確認した。
貴方は迷惑に思ったかもしれないけれど、それでも私は愛が足りなかった。
 ▼ 4 い糸テールナー◆r8RzcYRKik 17/12/10 22:24:12 ID:Ax5WQ8UI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 5 ンベ@ちかのカギ 17/12/11 00:08:51 ID:RLnXOFZ6 NGネーム登録 NGID登録 報告
白黒のNLだと……?!

しえん
 ▼ 6 クシーマフォクシー◆ZmNoEZzYKc 17/12/11 00:20:42 ID:DX.0ZHsk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援です
 ▼ 7 pope◆29thbc/0F6 17/12/11 00:34:52 ID:crJG3weI NGネーム登録 NGID登録 報告
お、支援
 ▼ 8 マンタ@パワーリスト 17/12/11 00:58:54 ID:VEUXh6Go NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 9 ぶヘル◆456.dDuykg 17/12/11 12:51:19 ID:puBa/Tbo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 10 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/11 19:55:34 ID:ifvmCkoU [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昨年のクリスマスイブに、駅前に飾られたクリスマスツリーの下で、私は待っていた。
白い頭と青い鎌が彼の目印。
中々そんなポケモンは居ないから判りやすい、というのが彼の自慢。

グレイシア「遅いなぁ……」

もう、かれこれ十分ぐらいは待っている気がする。
溜め息を付くと同時に、小走りで地面を走る音が聞こえた。

アブソル「ごめんごめん……!」ハァハァ

グレイシア「……なんで遅くなったの? 理由を聞かせて?」ギロッ

アブソル「今日、僕の家に泊まるだろ? 少し、準備しててさ」

グレイシア「料理なら作るっていったじゃん……」ショボン

アブソル「違う違う! 占いの準備だよ♪」

彼が占いに凝っていることは、全く知らなかった。
自分も興味がある、と言うと彼は嬉しそうに微笑んだ。
 ▼ 11 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/11 19:57:06 ID:ifvmCkoU [2/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「何を占ってくれるの?」

アブソル「まあ、大体何でも占える筈だよ」

グレイシア「……じゃあ、一年後の私たちの未来を占える?」

アブソル「なるほど、まだ僕達が付き合っているかどうかってこと?」

そう言って、彼は笑った。

アブソル「付き合ってない訳無いよ。だって……」

目を閉じながら近付いてくる彼。抱き寄せられる。顔が近付く──

大胆な彼の誘惑。

軽くキスをして、彼はさらに言った。

アブソル「こんなに、僕も君も愛し合ってるんだから」フフッ
 ▼ 12 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/11 20:00:52 ID:ifvmCkoU [3/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
周囲の人々が、こっちを見ている。
彼の突然のキスと、大胆な行動に私の頭は混乱していた。

アブソル「……ねえ」

グレイシア「どうしたの?」

アブソル「一つ、約束させてくれる?」

グレイシア「何を?」キョトン

私は相当間の抜けた顔をしていたのだろう。彼の頬が緩んだ。

アブソル「僕さ……ずっと、君を守りたいんだ」

グレイシア「……本当?」

アブソル「本当。ずっと君と一緒に居たいし、色んなことを分かち合っていたい」

グレイシア「じゃあ、このクリスマスツリーに約束しましょ?」

どうやって、といった顔で彼は私の言葉を待っている。
私も言ってはみたものの、何も考えてはいなかった。
なんとなく、そこにクリスマスツリーがあったので言ってしまったのだから。
 ▼ 13 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/11 22:20:11 ID:ifvmCkoU [4/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アブソル「……じゃあ、こうしよう」スッ

彼は自分の爪で、木の根元に小さく文字を彫りはじめた。
文字は木屑を出しながら、少しずつはっきりとした形になっていく。

アブソル「彫るの初めてでうまくないけど……読める?」

absol & glaceon

グレイシア「……ありがとう」ギュッ

私は彼との愛情を確かめ直すように、抱きしめた。


離したくない。
私の彼氏は、あなただけだもの。
 ▼ 14 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/11 22:22:28 ID:ifvmCkoU [5/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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トゥルルルルルルル……

スマートフォンが鳴る音で、私は追憶から目覚めた。
掛けてきた相手は貴方ではないだろう、と思いながら通話ボタンを押す。

グレイシア「もしもし?」

マイナン「もしもしグレイシア? 情報が仕入れられたから伝えに来たよ!」

マイナン。学校の中で、かなりの情報通である。
彼女は、友人のプラスルとライチュウと一緒に、学校では情報屋のようなことをしている。
今回私が頼んだのは──

グレイシア「……で、私の彼はどうなの? 簡潔にお願いね」

マイナン「簡潔に、なんてとてもじゃないけど言えないから……喫茶店まで来て!」

グレイシア「貴女には纏めるという脳がないのかしら?」

マイナン「だって、書類は20枚前後あるし……」

グレイシア「そんなに!?」

わかった、すぐ行く……とだけ言い残し、手早く身支度を調えて外へと出る。
胸には、何とも言えない感情が広がっていた。
 ▼ 15 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/11 22:26:00 ID:ifvmCkoU [6/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼がクリスマスにいてくれないなんて、よほどの事情があるのだろう。
だが、頑に明かしてくれないので……少しばかり強行手段に出た。

彼は、誰にも渡さない。もしかしたら、もう手渡っているのかもしれない。
まさか、彼が誘惑に負けるなんて信じられない──信じたくもないけど。
そんなことは無い、と自分に言い聞かせる。

彼のあの言葉が、私の唯一の心の支えだ──
 ▼ 16 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/11 23:12:50 ID:ifvmCkoU [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

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約束を交わしたその夜、彼は私たちの未来を占った。
興味はあるが全く知らないので、彼が何をしているのかは分からなかった。

グレイシア「どうなるのかしら……♪」

アブソル「それは勿論………………!?」

途端に彼の顔が曇った。それを見逃さなかった私は即座に聞いた。

グレイシア「……ねえ、何が見えたの?」

アブソル「………………駄目だ」

グレイシア「何が!? 一年後に、まさか……」

緊張した空気の中、彼はもう一度そのことを確認した。
 ▼ 17 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/12 19:34:28 ID:sefRyPTc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アブソル「何か、強大な運命が僕達を引き裂く…………と見えた」

強大な、運命。
自分には関わりがなさそうな言葉を突き付けられて、困惑した。
……少しの沈黙。

涙を流しながら、のどを振り絞った。

グレイシア「絶対……絶対、あなたとわ……わかれたくない」グスン

アブソル「僕もさ。だから、出来る限りのことは僕がする」

グレイシア「私にも……なにか手伝えること、ある?」

そう私が言うと、彼は今までにない真剣な表情になった。

アブソル「……僕がどんなことをしても、君は何も動かないで。約束して」

グレイシア「…………何を、しても?」

アブソル「身を挺しても……君は絶対、僕が守る」

グレイシア「…………うん。あなたに守ってもらえるなら、それで……」

私と彼は、深く約束の接吻を交わした。
 ▼ 18 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/12 19:39:27 ID:sefRyPTc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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──うわのそらって、案外恐ろしいものだ。
いつの間にか喫茶店に着き、席を取ってカフェラテをオーダーしていた。

目の前の壁には、クリスマスケーキのポスター。
去年はあなたの約束が、クリスマスプレゼントだった。

今年もケーキなんて、プレゼントなんていらない。
欲しいのは、あなただけ。

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カフェラテが少し温くなった頃、『情報屋』が喫茶店へ入ってきた。

プラスル「情報屋でーす! この季節に浮かない顔してるなんて、結構損してるよ……」

マイナン「そうだね。まあ事情が事情だもんね……」

グレイシア「お気遣い有難う。……本題をお願い」

ライチュウ「あんたの彼はね、率直に言えば浮気してるよ」

………………え?
 ▼ 19 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/12 22:50:49 ID:sefRyPTc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ライチュウ「ニンフィアとかいう微妙なやつとね」

嘘…………嘘だ。
その思いを見透かしたかのように、プラスルが言う。

プラスル「証拠写真も撮っておいたわ……尾行スキルは星三つ!」

マイナン「文章は、ニンフィアののろけlineからの転用よ。印刷もしておいたわ」

書類と写真の束が……あの約束を破棄するかのような書類が、目の前に置かれる。

ライチュウ「……ニンフィアについての話ね。一言で言えば『最低』」

纏めるとこういうことだ。
男に金を貢がせ、女には圧倒的な学力や可愛らしさや女子力で従わせる。
下手したらとんでもないことに手を染めているかもしれないらしい。

ライチュウ「そこまでは探せなかったけど……追加料金でこいつの裏も漁ろうか?」

グレイシア「結構よ……こ、これで……十分だから」

声が、無意識に震える。
彼が…………彼が…………。
 ▼ 20 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/13 22:32:42 ID:gn0GqAL6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──帰り道のことは何も覚えていない。

家のドアを閉め、鍵を掛けた。
一気に感情の波が襲ってくる。

『僕さ……ずっと、君を守りたいんだ』
『身を挺しても……君は絶対、僕が守る』

身を挺して? そんな穢れた身でなんてたかが知れてる。
君を守る? 口だけは達者だったのかしら?
ゼッタイ? 絶対なんて、ない
──信じた私が愚弄だった

弄ばれていた
口約束を信じていた
愛情なんてなかった

アイジョウなんて、ヤクソクなんて、なかった

心の中で、何かがプツンと切れる音がした。
 ▼ 21 レキッド@シルクのスカーフ 17/12/13 23:10:43 ID:xnu2sagQ NGネーム登録 NGID登録 報告
闇深……

支援
 ▼ 22 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/14 07:00:34 ID:hfNIX6Hc [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あはっ……あはははは!! ヒャッハッハッハハハハハハハ!!
約束……そんなもの……ハハハハハハハ!!
アッハッハッハッハッハ……ヒィッヒャッヒャッヒャッヒャアアアア……!!!

大きな笑い声と共に、涙が一粒、床へ零れ落ちた。

アッハッハッハッハ……! もう、何も頼りにできないじゃない!
することっていったら…………そうよ、復讐よ!!
ヒャはははハハハ!! 破られるぐらいなら……破り返してやる!



……殺してやる。

狂気の中、私は部屋でもくもくと準備を始めた。
 ▼ 23 ンデツンデ@おとしもの 17/12/14 08:10:57 ID:zK/AOlew NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 24 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/14 17:28:22 ID:hfNIX6Hc [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
========

僕のスマホが鳴り、急いで通話ボタンを押す。

ニンフィア「遅い! 通話コール三回オーバーよ!」

アブソル「ごめんって……それで、何?」

ニンフィア「明日、クリスマスイブよね!」

アブソル「それで?」

ニンフィア「察しが悪いわね! 駅前広場で待ち合わせて行くわよ!」

アブソル「……はーい」

用件を一方的にまくしたて、いきなり切れた。

……最悪だ。
噂どおりのとんでもない女。
だけど付き合わされたのは……運命?



いや……考えるのは止そう。

僕は明日の為、あたたかくなりかけた懐をまた寒くするようだ。
 ▼ 25 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/14 17:33:00 ID:hfNIX6Hc [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
本で読んだけれど、クリスマスイブには願いが叶うらしい。
僕は、これだけを祈る。

『僕がどんなことをしても、君は何も動かないで』

あの日、交わした約束が叶うように……
 ▼ 26 ミロル@ギネマのみ 17/12/14 17:40:21 ID:kzjhdees NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 27 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/14 22:44:28 ID:hfNIX6Hc [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
聖なる夜、クリスマスイブがやってきた。

去年の私は、貴方と繋がりを深めるために。
今年の私は──貴方との繋がりを断ち切るために。
この樅の木の下で、貴方を待っている。

周りで、カップルたちがはしゃぎながら過ごしている。
結ばれる確率なんて何十分の一にも満たないのに、精一杯恋愛を謳歌している。
……私も、その一匹だった。
その何十分の一に賭けて、貴方と恋をして、約束を交わして。

──また、貴方は新しい恋人と約束を交わすのでしょうね。
直ぐに破られる、脆い恋の約束を。

どこか遠くを見つめながら、私は木の下で神経を研ぎすませて待っていた。
 ▼ 28 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/15 18:03:43 ID:B/2ZOuv. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……!!

見えた。青い鎌と白い体。
その隣に見える、ひらひらしたリボン──

体はそれを見て、反射的に駆け出していた。
手に持っているのは、研澄まされた氷の刃。

彼がこっちを向いた。

刹那──


ザクッ



──貫通。

グレイシア「……私を一生守るなんて、嘘だったのね?」
 ▼ 29 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/15 18:12:53 ID:B/2ZOuv. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ニンフィア「だ、だれっ!?」

刃を、前足の辺りから抜く。
彼の血が雪を赤く染める。

アブソル「ち……ちがっ…………」ゴホッ

グレイシア「何が違うの!? こんな泥棒猫と付き合って!」

ニンフィア「え……うそ、うそでしょアブソル君!?」

もう一度、今度は彼の後ろ足へと刺す。
周りから悲鳴と携帯電話の音が聞こえる。

アブソル「…………き、きいてくれ…………」

グレイシア「浮気の言い訳!? ど……同情でつきあった挙げ句……う、うわ……き……」

視界がぼやけて、もう何も見えない。

ニンフィア「浮気……遊びだったの……?」

グレイシア「もう……もう沢山よ……早く……はやく私の所に戻って!!」
 ▼ 30 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 18:11:15 ID:Rk/PBudo [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ナイフがすかっと空を切る。

ニンフィア「アブソル君……あは……あははははははは……は……は……ぁ……あれ?」

グレイシア「強大な運命が、私たちを引き裂く…………とか言って、あなたが引き裂いたじゃない!」

ニンフィア「く……のどが……くるs……げほっ……」

グレイシア「……あなたの演技に過ぎなかったの!?」

彼の腹部の辺りに、言葉とともに鋭くナイフが刺さる。
それと共に、誰かが倒れた音がした。

グレイシア「どうなのよ……なんとか……なんとかいいなさいよ!」

彼は話すかわりに、ある一点を爪で指した。
道に倒れ込んだニンフィアだった。さっきの音はこいつの所為?
 ▼ 31 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 18:13:37 ID:Rk/PBudo [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グレイシア「?……何、彼女が倒れてるから助けようっていうの?」

鼻であしらおうとしたが、よく見ると呼吸をしていなかった。

グレイシア「……死んでる?」

軽く彼は頷き、こっちに顔を向けた。

アブソル「そいつは……ぼくが、殺したんだ」


……え? 


ニンフィアを、彼が殺した?

アブソル「きみを……君を、すべてから守るために」

彼が話し始めるとともに、雪がしゃらしゃらと降り始めた。
まるで、私たちを周りから隔絶するかのように。
 ▼ 32 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 21:33:14 ID:Rk/PBudo [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼は傷付いた体を揺らしながら、話し始めた。

========

二年前……僕は、元彼女が居た。
リーフィアっていう子で、明るい子だった。

え? まさか、別れたの? って?
まあ、そうといえばそうだけど……物理的に会えなくなっちゃったんだ。

──死んでしまったんだよ。
僕の目の前でね。

去年のクリスマス、君と約束したように。
ずっと守るよ、って約束をした後に……倒れてきたクリスマスツリーの下敷きになって。
突然のことに足が動かなくて。
救い出そうと体が動いた頃には、もう手遅れで……
 ▼ 33 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 21:34:39 ID:Rk/PBudo [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼女の最期の言葉。
『大切な人を守れなかった約束を、次は守り通してあげてね』
この言葉を心に仕舞って、僕は君を守ろうとした。

だけど、去年のこの日の占い。
あれを見た後に、僕は自分の能力で『君にとっての』災いを探した。

その災いが、あいつ……ニンフィア。

驚いた顔してるね……ごめんね、言わなくて。
あいつが君に近寄ったら、君は碌でもないことに巻き込まれて……
今日、別れてしまうという結果を知った。
あいつのジュースに毒を入れて殺した後、君にすべてを話すつもりだった。


僕は絶対に君を守って、幸せにしたかったんだ。
身を挺してでも。
 ▼ 34 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 21:37:01 ID:Rk/PBudo [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼のかすれた声に、熱いものが溢れてとまらない。

彼が、こんなに私を思ってくれていたなんて。
それを知らずに、恩を仇で返そうだなんて──私は、わたしは──

アブソル「……あの占いの結果は、結局変えられなかったみたいだね」

グレイシア「強大な運命が、私たちを引き裂く……ね」

私たちは、顔を見合わせた。

アブソル「ごめんね、役に立てなくて」

貴方が謝ることなんて何一つ無い。
私が犯した罪を思えば、私が貴方の彼女に相応しかったかどうかすらわからない。

その心を見透かしたかのように、彼は言った。

アブソル「必死に、僕との約束を守るために……頑張ったね」

優しく、弱々しい前足で私の頭をなでながら。

グレイシア「わたし……うぅっ、わたしのほうこそごめんなさぃ…………」

彼の体に顔を埋め、冷たくなりかけた彼を抱きしめて哭いた。
遠くから、二つのサイレンの音が聞こえてきた。

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 ▼ 35 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 21:38:06 ID:Rk/PBudo [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


また、今年も聖なる夜がやってきた。

彼が亡くなって、もう一年が経つ。

自分の足が向かう先は、彼のお墓。
 ▼ 36 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 21:39:17 ID:Rk/PBudo [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
彼のお墓の前には、樅の木が植えてある。

absol & glaceon
eternal promise

文字は自分で彫ったものだ。
彼との約束を、忘れないために。

破られた約束は、もう一度繋ぎ止めた。
……だが散ってしまった。

誰かともう一度繋ぎ止めて、幸せで居たい。

彼と交わした永久の約束。
私は、あの約束をずっと忘れない……
 ▼ 37 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 21:39:40 ID:Rk/PBudo [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ずっと、誰かを守ること。


fin
 ▼ 38 黒の災い◆7B7OwE3LJM 17/12/16 21:42:57 ID:Rk/PBudo [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これにてこのssは終わりです。
本来はこの企画に参加するつもりはなかったのですが……
気が付いたらプロットを作ってしまい、参加した次第です。

また、来年の春先に御会いできたら幸いです。
読んで頂き、有り難うございました。

良いクリスマスを!
 ▼ 39 ガスピアー@おおきなキノコ 17/12/16 21:44:33 ID:.Sw7vviw NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
 ▼ 40 リトドン@ウタンのみ 17/12/23 11:57:54 ID:CB/JHD.g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
不思議な感じだな
 ▼ 41 ヤップ@ひかるおまもり 17/12/23 12:06:54 ID:vhb7x7jM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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