▼  |  全表示209   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【SS】氷炎狐と昼夜狼

 ▼ 1 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/10 21:00:01 ID:V.RIn8Y6 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は、生まれたときから不思議な体質をしている。

それは──

気分次第で姿が変わってしまうこと。



僕の一族は、不思議な性質を持っている。

それは──

時間帯によって性格が変わってしまうこと。



──これは、そんなふたりの冒険を描いた物語。
 ▼ 2 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/10 21:01:26 ID:V.RIn8Y6 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


『やーい、やーい!』

『変わり者ー、変わり者ー!』


……悪い記憶が蘇る。

どうして私はこんな体質を持っているんだろう……。


私はロコン。

でも、ただのロコンじゃない。


気分が上がっている時はほのおタイプに、気分が下がっている時はこおりタイプになる。


……そのせいで、いろんなポケモンから嫌われたり、からかわれたり……。


もう、ウンザリだ。
 ▼ 3 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/10 21:01:49 ID:V.RIn8Y6 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おそらく、キュウコンの両親の片方、母親がアローラ地方の姿だったからだろう。

血の問題だかなんだか知らないけれど、私だけこんな変な力を持ってしまった。


しかも、この一族は隠れ特性を持っている。


……普通だったらバトルで有利な"ひでり"や"ゆきふらし"。

私の場合、気分が急激に上がったり下がったりすると天候を変えてしまうので、仲間から迷惑に思われていた。


そして、私は感情の起伏が激しい……。

つまり、タイプや天候がコロコロ変わる。

周りからの目は冷たい。


もう、耐えきれなかった。


……だから、ついこの前仲間が暮らしている村から逃げ出してきたのだ。
 ▼ 4 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/10 21:02:09 ID:V.RIn8Y6 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
だけど……。


ロコン「ひとりぼっちがこんなにつらいなんて……」


ひとつだけ、私は両親からは愛されていた。

でも、私がいると親にも迷惑をかけてしまうから……。


森に逃げ込んできたのはいいものの、ひとりで歩くのは心細い。

食料を探すのも一苦労。


……ひとり、夜の空を見上げる。

空に浮かんでいる満月の光が私の白い身体を照らす。


ロコン「これからどうしよう……」


ポツリと呟き、私は眠りについた。
 ▼ 5 ルディオ@りゅうのウロコ 18/09/10 21:53:03 ID:yT5Iah6E NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 6 クレオン@こだいのせきぞう 18/09/11 14:49:24 ID:eI2.Sc3k NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
支援
 ▼ 7 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 20:35:55 ID:KmD69feE [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


『俺たちは一生変わり者として生きていくんだ』

『嫌だ! 僕はこんな中途半端なポケモンに進化するのは嫌だ!!』


……嫌なものを思い出してしまった。

どうして僕はこんな身体なんだ……。


僕はイワンコ。

でも、僕の一族はかなり変わっている。


昼は正常なのに、夜になると豹変して凶暴になる。

ルガルガンになると、昼と夜とで姿も変わる。


そのせいで、僕の一族は周りから孤立していた。


僕は、ずっと嫌だった。
 ▼ 8 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 20:36:17 ID:KmD69feE [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
はるか昔のご先祖さまが、昼の力と夜の力を強く持っていたのだろうか。

かなり前から僕の一族はこの力を持っているらしい。


ほかのみんなはこの力を受け入れ、夜は早く寝るようにしていた。


でも僕は、許せなかった。

夜になって豹変するこの恐ろしい身体を。

進化して、姿が変わってしまうのことを。


……僕は僕でありたい。

姿がコロコロ変わるくらいなら、昼でもない、夜でもない姿になりたい。


僕に、ここは合わない。


だから、ついこの前に一族の群れから逃げ出してきたのだ。
 ▼ 9 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 20:37:20 ID:KmD69feE [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
でも……。


イワンコ「ひとりでいることって、こんなに大変だったなんて……」


僕の意見を理解してくれない両親から逃げてきたようなものだけど、親がご飯を用意してくれたり、世話をしてくれていたのも事実だ。

偶然見つけた森の中に駆け込んだはいいものの、食料探しでさえも大変だ。


……それと、僕はここに来てから夜の力の制御を試みている。

前までは夜の力が出ないうちに早く寝ていたのを、自分自身で制御できるように夜まで起きているようにしているのだ。

……しかし、毎回気付かぬうちに暴れてボロボロで倒れている。


イワンコ「今日は……今日こそは……」


そのとき、雲が晴れ、そこから月が見えた。


……不運にも、今日は満月だった。

満月の夜は、夜の力が強まる。


……僕の体の中の、夜の力が一気に出てくるのを感じた。
 ▼ 10 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 21:19:48 ID:KmD69feE [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


太陽の日差しが、木々の隙間から差し込んできた。


ロコン「んーっ」


私は伸びをしてその場から立ち上がる。


夏の日差しはジリジリと暑い。

その光は、こおりタイプの冷たい身体に強く刺さった。


ロコン「なにか食べ物探さなきゃ……」


と、きのみを探しに歩き出す。


途中、バキバキに折れている気を見つけた。

なにか恐ろしいポケモンでもいるのだろうか……。


いつまでも森にいるわけには行かないな……。
 ▼ 11 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 21:20:12 ID:KmD69feE [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
とは言っても。


ロコン「ここって一体どこなんだろう……」


そう。私は……迷子。

その日その日で違う場所に寝泊まりしているけれど、森の出口は一向に見つからない。

野生のポケモンはいるにはいるみたいだけれど、自分の縄張りにいるのか、あまり出てこない。


だから、私はひとり歩くしかないわけだ。

心細いし、この先がとても不安だ。


ロコン「……死んでしまったらどうしよう……」


目から涙がこぼれ落ちる。
 ▼ 12 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 21:20:27 ID:KmD69feE [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
と、その時。

空が曇り、雪がふわふわと舞い降りてきた。


……あぁ、私のせいだ。

私は、悲しみが最大になると、勝手に雪を降らせてしまう。


ロコン「もう、嫌だぁ……」


ひとり、涙を流しながら雪の降る森の中で私は佇んだ。
 ▼ 13 トラポット◆Pcf6Vw29GM 18/09/12 22:13:46 ID:F25k3Q3Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
俺のSSと同じ日に書き始めてますね
頑張りましょう
 ▼ 14 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:53:48 ID:KmD69feE [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


……差し込んだ陽の光で目が覚める。


周りを見渡すと、近くの木がバキバキに折れていた。

身体を見ると、ボロボロになっている。


イワンコ「今日もダメだったか……」


傷ついた身体を起こし、体力を回復するためと、朝ごはんも兼ねてのきのみを探しに行く。
 ▼ 15 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:54:03 ID:KmD69feE [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
食料も安定して取れないこんな森、早く抜けてしまいたいものだ。

でも……。

あいにく僕は迷子だ。


出口が見つかれば、これから先のことも色々考えられるのにな……。


……僕は歩いた先にきのみのある木を見つけ、一つ、きのみをもぎ取った。

これはオボンのみ。

回復にはうってつけだ。今日は運がいい。


僕はオボンのみをかじり、元気になったところでまた歩き出す。
 ▼ 16 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:54:26 ID:KmD69feE [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
と、その時。

空がいきなり曇り……。

なんとそこから雪が降ってきた。


イワンコ「な、なんで……今は夏なのに……」


辺りを見渡すと、少し遠くの方に雪が激しい場所があった。

あそこからこの雪が降らされているのだろうか。


僕は、行ってみることにした。
 ▼ 17 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:54:51 ID:KmD69feE [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──
────
──────


僕は、おそらく雪の発生源であろう場所に向かって駆ける。

しばらく走っていくと、辺りは吹雪が吹き荒れ、その中心に何かがいるのが見えた。


吹雪をかき分け、そこへ向かう。

そこに居たのは泣き叫ぶ一匹のロコンだった。


イワンコ「ねぇ君、大丈夫……?」


僕が話しかけると泣くのを止め、こちらを向いた。


ロコン「ぐすっ……ごめんなさい……」

イワンコ「謝らなくていいよ、どうしたの?」


泣き止むまで、僕はロコンの背中をさする。
 ▼ 18 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:55:15 ID:KmD69feE [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらくすると、ロコンは目を擦りながら、「もう大丈夫、ありがとう」と言った。


ロコン「ごめんね、迷惑かけちゃって。周り、雪まみれになっちゃったね……」

イワンコ「僕は大丈夫。まあ、しばらくしたら溶けると思うよ。……それで、君はなんでこんなところで泣いていたの?」


僕がロコンに質問すると、痛い所を突かれたように彼女は俯いてしまった。


イワンコ「あ、ごめん……言いたくなかった?」

ロコン「……ううん、大丈夫。長くなるけど話すね……」


と、ロコンはひとつひとつ、ぽつりぽつりと話してくれた。
 ▼ 19 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:55:30 ID:KmD69feE [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私はロコン。

でも、変な体質で……姿が気分によって変わっちゃうの。

そのせいで、周りのポケモン達からもからかわれて……。

だから、この前村から逃げ出してきちゃったの。

それで、勢いで森に入ったんだ。

……だけど、ひとりぼっちがつらくて……。

この先が不安で……。

とても悲しくなっちゃって……。

そしたら、気がつくとこんな猛吹雪を起こしてたんだ……。
 ▼ 20 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:55:45 ID:KmD69feE [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「感情がたかぶると、勝手に天候を変えちゃうんだ」


……話を聞いた僕は、驚いた。

僕とロコン、似ている。


イワンコ「……話してくれて、ありがとう」

ロコン「ううん。ところで、あなたこそ何でここに……?」

イワンコ「それが、僕もこの前自分の群れから逃げ出してきてさ。似てるなって」

ロコン「へぇ、そうなんだ! あなたも私と一緒なのね!」


そう言ったロコンの身体は、真っ白い毛から一気に真っ赤な毛に変わった。


イワンコ「なるほど、これが体質……」

ロコン「あっ……うん、そう。ほんと嫌になる……」


と言った途端、また元の白い毛に戻ってしまった。


イワンコ「……っと、僕の理由を話すね」


僕はロコンに向けて、事情を話しだした。
 ▼ 21 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:56:05 ID:KmD69feE [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕はイワンコ。

僕にも変な性質があって……昼と夜で性格が豹変するんだ。

今はこんな感じだけど、夜は無意識に凶暴になってて。

僕の一族みんなそうなんだけど、周りからは孤立しててね……。

でも、昔聞いた伝説を僕は信じて、反対する親を押し切って逃げてきたんだ。

で、この森に来たわけだけど、出口が見つからなくてね。

そんな時にいきなり雪が降ってくるから……。
 ▼ 22 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:56:22 ID:KmD69feE [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「……伝説って?」

イワンコ「昼でも夜でもない姿の伝説さ」


僕は伝説について語り出した。


イワンコ「群れでの長老に聞いたんだけど、この世には"真昼の姿"でも"真夜中の姿"でもない姿があるんだって」

イワンコ「それが伝説の第3の姿」


イワンコ「僕の一族は進化すると、昼と夜で姿が変わるんだ」

イワンコ「でもその伝説の姿になれば、姿が変わらないで、性格も変わらないでいられるのかなって思ってさ!」

ロコン「へぇ……そうなんだ」

イワンコ「僕はそれになりたいんだ!」
 ▼ 23 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:56:45 ID:KmD69feE [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「私も……この力を制御できるようになりたい……」

イワンコ「……それなら! どちらかに進化すればどちらかの力だけに出来るんじゃないかな?」

ロコン「あぁ! その手があったか!!」


またロコンの姿が赤くなる。


ロコン「あ、でも進化するための石がないと……」

ロコン「石の入手は難しいし……」

イワンコ「僕と一緒に探そうよ!!」


姿が変わりそうなロコンに向かって、僕は叫んだ。


ロコン「一緒に……?」

イワンコ「うん! ふたりで一緒に探せば、早く見つかるんじゃないかなって」

ロコン「……いいの?」

イワンコ「うん!」

ロコン「じゃあ私もイワンコの進化手伝うよ!」

イワンコ「……ほんと!?」

ロコン「うん! 一緒に頑張ろ!」


こうして、僕たちふたりは共に進化をするための旅をすることになった。
 ▼ 24 日はここまで◆Xq21k6pIJA 18/09/12 22:57:07 ID:KmD69feE [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「ロコンは赤と白、どっちの姿になりたいの?」

ロコン「うーん……悩むけど……やっぱり、明るくいきたいから赤……ほのおタイプの方かな」

イワンコ「じゃあ、”ほのおのいし”が必要だね」

イワンコ「たぶん、あの火山あたりにあるんじゃないかな」


僕は遠くにある火山を指さした。


ロコン「本当?」

イワンコ「うん! よし、じゃああの火山に行こう!」

ロコン「うん!!」


そうして僕らは火山に向かって歩き出した。
 ▼ 25 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:05:15 ID:2SOIlMTc [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


イワンコと進化への旅に出ることになった。

遠くに見える、火山に向かって。


私一人じゃ諦めてしまう距離だけど、ふたりだったらなんとなく大丈夫っていう気がした。


イワンコ「……まずは、森を抜ける方法を考えようか」

ロコン「うん!」


その時。
私のお腹がぐうと鳴る。


イワンコ「その前に、朝ごはん探しからだね」


彼は笑ってそう言った。
 ▼ 26 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:06:26 ID:2SOIlMTc [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「僕は向こうの方を探してみるね」

ロコン「ありがとう! 私はこっちを探すね」


ふたりで手分けしてきのみを探す。

ひとりよりも効率がいい。


イワンコ「おーい! こっちにきのみあったよー!」

ロコン「ほんと!?」


ひとりで探すよりも圧倒的な早さできのみが見つかった。

やっぱり、仲間がいると心強い。


……ん、仲間……?
 ▼ 27 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:07:19 ID:2SOIlMTc [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「はい、これ」

ロコン「ありがとう!」


イワンコからモモンのみを受け取り、微笑む。

イワンコも同じように微笑んだ。


そこら辺に座り、ふたりできのみをかじる。


ロコン「ひとりで食べるより、誰かと一緒に食べた方が美味しいね」

イワンコ「確かに……そうだね!」


イワンコ「僕、ロコンといるとなんだか安心するよ」

ロコン「私も……イワンコといると安心する」


お互い同じ気持ちで嬉しい。
 ▼ 28 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:07:52 ID:2SOIlMTc [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「ねぇ、私たちって"仲間"だよね?」

イワンコ「"仲間"? ……そうだね、仲間だ!」

イワンコ「仲間だから……お互い、助け合っていこう!」

ロコン「うん!」


私たちはきのみを食べ終わると、森の出口を探しに歩いた。

ロコン「……私たちって、迷子だよね」

イワンコ「あはは……まあね……」

ロコン「本当に抜けられるかな……」

イワンコ「……大丈夫! ふたりなら!」
 ▼ 29 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:08:45 ID:2SOIlMTc [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコが励ましてくれる。

私も、なんだかできるような気がしてきた。


イワンコ「はぐれると危ないから、できるだけ離れないように歩こう」

ロコン「うん……!」


でも……私は彼に助けられてばっかり。

これじゃ、助け合いじゃないよ……。


イワンコ「……どうしたの? 何か嫌なことでも思い出した?」

ロコン「えっ!? いや、あっ……」


気がついたら、私の身体は白くなっていたみたいだ。
 ▼ 30 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:11:57 ID:2SOIlMTc [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「……ごめん」

イワンコ「謝らなくていいよ。ほら、行こ?」


イワンコはニコッと笑い、そう言った。

イワンコは私と違って太陽みたいだ。


ロコン「イワンコって……本当に太陽みたい」

イワンコ「えっ……?」


しばしの沈黙。

どうしたのかと聞こうとした時、昼と夜で性格が変わるという話を思い出しあたふたする。


ロコン「ごめっ……」

イワンコ「あははっ、僕が君の太陽になれてるなら嬉しいや」

イワンコ「ただ……じゃあ、夜の姿は見せたくないな……」


イワンコはどこか遠くを見た様子でそう言った。
 ▼ 31 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:13:16 ID:2SOIlMTc [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「君も、太陽になれるといいね」

ロコン「えっ?」

イワンコ「赤い時の君、すっごく太陽みたいだったよ」

イワンコ「君はほのおタイプの方になりたいんでしょ? なら、太陽になれるように頑張ろうよ!」

ロコン「ふぇっ……」


私が……太陽に?

太陽みたいだった……?


イワンコ「ふたりで、月に立ち向かおう。そして、克服しよう」


月……私のこの面。

ネガティブばっかりな面。

克服……したい!
 ▼ 32 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/13 20:13:48 ID:2SOIlMTc [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「……うんっ!!」


私は精一杯の返事を返した。


ロコン「私、太陽になる!」


イワンコはにっこり微笑み、「さあ、行こう」と足を進めた。


出会って間もないのにこんなに優しくしてくれるイワンコ。

私を励ましてくれるイワンコ。


イワンコは私の憧れだ。


憧れの太陽だ。
 ▼ 33 ンキー@パワーベルト 18/09/13 20:52:43 ID:/2g2Hf8I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 34 ジョッチ@ラグラージナイト 18/09/13 23:45:49 ID:NuxILSws NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 35 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/14 20:00:55 ID:koaMpFUY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


この森の中で、ロコンのことをたくさん知ることが出来た。

どことなく似たもの同士。


ロコンとなら、僕も克服できるかもしれない。


いや、するんだ。


……ロコンと話をしながらしばらく歩いていると、道とも言えない道の先に光が見えてきた。


ロコン「あ、あれが出口じゃない!?」

イワンコ「うん、そうだ! やっと森から出られるぞ!」

ロコン「やったぁ……!」


そういうロコンの姿は、未だに白いままで、少し不安になる。

夜の姿の話をしてしまったからだろうか。

それとも単に歩き疲れか。


……考えつつも、僕たちは先へ進んだ。
 ▼ 36 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/14 20:01:17 ID:koaMpFUY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
森を抜けて、開けた道に出る。


ロコン「ふぅ……ようやく出れた」

イワンコ「もうすぐ夕方だね……」

ロコン「どこか、泊まる場所を探さないと。一本道で寝るのはアレだし」

ロコン「イワンコ、早く寝なきゃなんだよね……急がないと」

イワンコ「あ……うん」


ロコンがいれば、克服できる気がする。

でも、ロコンがいると、制御のための訓練ができない。
 ▼ 37 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/14 20:01:33 ID:koaMpFUY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あの時の、『太陽みたい』のあとの沈黙。

あの言葉を言われた時、僕は真っ先に「違う!」と叫びたかった。

でもその言葉を飲み込んで、何も言えなくなってしまった。


ロコンに申し訳ない。


僕を太陽みたいと慕ってくれるロコン。

そんなロコンに"太陽みたいな僕"ではない、もう一つの僕は、絶対に見せたくない……。

だから、早く宿泊場所を探さなくては。


イワンコ「……よし、走るよ!」

ロコン「えぇっ!?」
 ▼ 38 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/14 20:02:03 ID:koaMpFUY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「急がないと! ……ねっ?」

ロコン「あ……うん! そうだねっ!」


色々考えてもムダ。

夜の姿を見せたくなければ、早く行動しないと。


僕たちは一本道をひたすらに駆ける。


やがて、走り続けていると横に海が見えてきた。


イワンコ「海だ!」

ロコン「ほんとだ。綺麗……」


僕たちは足を止める。
 ▼ 39 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/14 20:02:43 ID:koaMpFUY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこには、真っ赤な夕日が映っていた。


僕は釘付けになる。


イワンコ「僕、夕日が大好きなんだ」

ロコン「へぇ! 綺麗だものね。私も好きだな」

イワンコ「小さい時に初めて見た、大きな夕日が忘れられなくてさ……」


ふと、叫びたくなる。


イワンコ「僕は夕日になる! 真っ赤な夕日に!」

ロコン「へっ?」

イワンコ「へへ……カッコつけちゃった」


うん。これからもがんばっていこう。

僕が目指すのはあの夕日だ。
 ▼ 40 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/14 20:03:22 ID:koaMpFUY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……僕たちはしばらく歩き、道の横にいい寝床を見つけたのでそこで一泊することになった。

道の途中だが、暗い森よりはマシだ。


森で取っておいたきのみを食べ、僕たちは寝る用意をした。


ロコン「明日も……頑張ろうね」

イワンコ「……うん! おやすみ」


ロコンが未だに白いままなのが少し気になる。

でも、早く寝ないと夜の力が出てしまって危ないので、気にせず寝ることにした。
 ▼ 41 クシー@ラティオスナイト 18/09/14 20:33:17 ID:o9/MdzNA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良い!支援!
 ▼ 42 シボン@カゴのみ 18/09/14 20:34:49 ID:NXmsBwmM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 43 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 19:03:14 ID:pF0sXI/I [1/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


……眠れない。

なかなか気分が上がらない。


やっぱり、この先のことが不安なのだろうか。

私は本当に進化できるのだろうか。


……考えてても始まらないのはわかっているんだけど……。


ふと空を見上げると、雲の切れ目に月が浮かんでいた。


月……。


克服しないといけない。

消さないと……!
 ▼ 44 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 19:04:16 ID:pF0sXI/I [2/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……朝。

陽の光で目が覚める。


イワンコはまだ寝ているみたい。

起こすのもあれだから少し歩き回る。


遠くに見える火山。

何日で着くだろうか。


いくらふたりだろうと本当にたどり着けるのだろうか。


……怖い……。
 ▼ 45 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 19:04:49 ID:pF0sXI/I [3/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「……ん……」

ロコン「あ、イワンコ。おはよう」

イワンコ「おはよう、ロコン」


軽く挨拶をし、イワンコが立ち上がる。

また火山へ向け、歩き始める。


……その前に朝ごはん。


同じきのみばっかりだと、飽きてきたなぁ。

まあ、贅沢は言ってられないね。
 ▼ 46 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 19:05:04 ID:pF0sXI/I [4/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──
────
──────


それからは、同じことの繰り返し。

ただ一本の道をひたすらに歩くだけ。

途中途中できのみを取り、食事をする。

そして寝る。


この繰り返し。


それでもまだまだ先は遠い。

私の気分は下がる一方だった。
 ▼ 47 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 19:05:32 ID:pF0sXI/I [5/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
まず、思い切って旅というのが無理だったのではないか。

というか、最初から村を飛び出してきてしまったこと自体が間違いだ。

あぁ……。勢いで飛び出してこなければよかった……。


イワンコ「っ寒い……」


……気が付いたら無意識に冷気を出していたようだ。

雪が降るまであと一歩のところだった。


ロコン「あっ……ごめんっ!」

イワンコ「大丈夫。……僕になにか出来ることあるかな?」


……ただ一つ、イワンコと出会えたのは本当に良かった。
 ▼ 48 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 19:06:49 ID:pF0sXI/I [6/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「明るい気分になりたい……」

イワンコ「明るい気分ね……わかった」


彼は少し考えて、こう言った。


イワンコ「僕の方に前足を出して」

ロコン「前足を……?」


言われたとおり、前足を出す。


イワンコ「高くあげて!」

ロコン「高く……!」

イワンコ「よーし。……えいっ!」


といってイワンコは私の前足に自身の前足をぶつける。

パチンッといい音がした。


イワンコ「ハイタッチ。なんだか元気が出てこない?」

ロコン「……うん! イワンコのパワー、もらえた気がする……!」

イワンコ「へへ、それなら良かったや!」


気が付けば毛が赤くなっていた。

ハイタッチってこんなに気分が上がるんだ……!

イワンコは凄いや。
 ▼ 49 ギアナ@きんのおうかん 18/09/15 19:32:36 ID:TTt.nzOM NGネーム登録 NGID登録 報告
イワンコとロコンが1番好きだから嬉しい
支援
 ▼ 50 クケイル@ハガネールナイト 18/09/15 19:48:26 ID:eYBQ65Bw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
かわいい。支援
 ▼ 51 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 21:51:41 ID:pF0sXI/I [7/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


ロコンが元気になってくれてよかった。

仲間といいことがあった時はハイタッチしてたからなぁ。


ロコンの足取りも軽くなって、昨日よりもペースが上がった気がする。

この調子ならすぐ着くかも?


……と思っていたのがフラグだった。

だんだんと道が険しくなり、歩くのが大変になってきた。
 ▼ 52 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 21:53:22 ID:pF0sXI/I [8/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「疲れるね……」

イワンコ「うん……がんばろ……」


険しい道はしばらく続きそうだ。

ずっとずっと歩いていると、空はもう夕焼け色になっていた。


そろそろ寝る場所を探さないと……と言っても道が険しすぎて寝られる場所なんてない。


……どうしよう……。


イワンコ「ろ、ロコン。先行ってて」

ロコン「えっ、なんで……? ひとりじゃ心細いよ」

イワンコ「このままじゃ、ロコンが危ない」


こうなったらもう夜の力が出てしまうのは避けられないだろう。

だから、ロコンには逃げてもらわないと……!
 ▼ 53 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 21:54:03 ID:pF0sXI/I [9/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「っ……、大丈夫」

イワンコ「だ、大丈夫なわけないだろ……? 怖いでしょ?」


ロコンは首を横に振る。


イワンコ「僕は、ロコンを傷つけたくないんだよっ……!」

ロコン「……私は、イワンコと離れる方が嫌」


ロコンが震えながらそう言う。


日が沈み、空が闇に覆われる。

もう、ダメだ……。
 ▼ 55 レスミスですすみません◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:54:46 ID:pF0sXI/I [10/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


イワンコの夜の面を知るのは、正直怖い。

でも、イワンコのもうひとつの面を知りたい。

いや、知らないといけない……!


イワンコ「逃げ……て……」


イワンコが倒れる。


ロコン「イワンコっ!」


私が駆け寄ろうとすると……。


イワンコ「ヴァウッ!!」


ロコン「きゃあっ!」


イワンコが私に向かって攻撃をしてきた。

彼の目は赤くなり、物凄い形相で私を睨みつけてくる。


……優しいイワンコはどこへ行ってしまったのだろう。
 ▼ 56 レスミスですすみません◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:55:13 ID:pF0sXI/I [11/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「い、イワンコ……落ち着いて……」

イワンコ「グルルルル……」


体当たりされて離れた距離を、イワンコが一歩一歩じりじりと詰めていく。


ぶつかったところが痛い。

怖くて足が震える。

怖い、怖い……!

どうしよう……!


じりじりと距離を縮めていくイワンコ。

私は恐怖で後ずさりする。

……が。


ロコン「きゃっ!」


足場の悪い地面に足を躓いてしまい、転んでしまった。

イワンコが一気に距離を縮めてくる。
 ▼ 57 し忘れ◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:55:37 ID:pF0sXI/I [12/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「い、嫌っ……来ないで……!」


叫ぶものの、イワンコには聞こえていない。


イワンコ「ヴァヴッ!!」

ロコン「ッ……!!」

尖った爪で切りつけられる。

痛い。痛い……。


何度も何度も切りつけられる。

いつの間にか変わっていた白い毛から血が出てくる。


意識が朦朧とする……。

……私の意識はここで途絶えた。
 ▼ 58 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:56:42 ID:pF0sXI/I [13/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


……ここは……?

あれ、ロコンは……?


辺りを見回す。

すると……。


そこには、傷だらけになったロコンが倒れていた。


……僕は絶句する。


あぁ、やってしまったんだ。
 ▼ 59 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:57:16 ID:pF0sXI/I [14/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「っ! ロコン!! しっかりしてっ!!」


身体を揺さぶり、生きているか確認する。


ロコン「……ぅ……」

イワンコ「!!」


何とか生きてはいたようだ。

よかった……。


いや、ちっともよくなんか無い。

……全部、僕のせいだ。
 ▼ 60 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:58:08 ID:pF0sXI/I [15/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコンの白い毛を汚してしまった。

ロコンを傷つけてしまった。


罪悪感に駆られる。

自分を殺したくなる。


あぁ……。

……前にもあった。

同じような過ちをしたことが前にもあった。

なのに僕は反省せずに……!!

また、繰り返し過ちを犯した……!!
 ▼ 61 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:58:31 ID:pF0sXI/I [16/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……僕と仲良くしてくれたイワンコがいた。

ハイタッチをしてくれたイワンコ。


そのイワンコと僕は、毎日遊んでいた。

楽しい日々だった。


でもある日、言いつけを守らずに夜まで遊んで……。

夜の力が出てしまった僕は彼のことを傷つけて……。


その日から、彼と僕は会えなくなってしまった。


……もう、思い出したくない。
 ▼ 62 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:58:47 ID:pF0sXI/I [17/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あれだけ反省したはずなのに。

なぜまた同じ過ちを繰り返してしまったんだ。


僕の夜の面。

月。


絶対に克服してみせる。

そして、二度とロコンを傷つけないように……!


……とりあえず、最優先はロコンの回復だ。

どこかできのみを取って、食べさせなければ。

そのためにらこの険しい道を抜けないといけない。
 ▼ 63 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:59:16 ID:pF0sXI/I [18/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕はロコンを背中に背負い、歩き始める。

大変だけど、ロコンの方がもっと苦しいはずだ。

僕が弱音なんて吐いていられない……!


……ロコンが目が覚めたあと、どうしよう。

僕のことは幻滅したはずだ。

僕はあこがれの太陽なんかじゃないってわかったはずだ。


僕はまた、ひとりに戻ってさまようのだろうか……。
 ▼ 64 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:59:33 ID:pF0sXI/I [19/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ただ黙々と……歩く、歩く、歩く。

休む時間も無く歩く。


険しい道なせいで足が痛い。

でもロコンの痛みに比べれば……!


……そこそこな距離を歩いた。

少し先の方には街が見える。

きのみはないけれど、おそらく回復はできる……!


ラストスパート、僕は足を早めた。
 ▼ 65 日はここまで◆Xq21k6pIJA 18/09/15 22:59:57 ID:pF0sXI/I [20/20] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
街に着く。

街ではたくさんのポケモンたちがいて、賑わっていた。

誰か回復ができるポケモンは……!

あ、あそこにラッキーが!


イワンコ「すみません!」

ラッキー「はい……って、そのロコン! どうしたんですか!?」

イワンコ「回復を頼みたくて……! 大丈夫ですか?」

ラッキー「はい! 私に任せて下さい!」


ラッキーが"いやしのはどう"を出す。

するとロコンの傷が癒え……ロコンが目を覚ました。
 ▼ 66 ジョン@くろいビードロ 18/09/16 06:20:17 ID:uT4IDtrU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 67 シラム@ゴールドスプレー 18/09/16 06:35:39 ID:PWzohipo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 68 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:30:11 ID:0Dfk40rk [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


ロコン「ここは……?」

ラッキー「街よ。あなたがボロボロだったから私が"いやしのはどう"を」

イワンコ「……」


ボロボロ……。

……あ。


あぁ……あぁぁああぁぁっ!

昨日はイワンコに襲われたんだ……。


でも、ここは街。

昨日はあの険しい道にいたはず。

……正気に戻ったイワンコが連れてきてくれたのか。
 ▼ 69 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:30:57 ID:0Dfk40rk [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン、「えぇっと、ありがとうございました!」


助けてくれたラッキーに礼を言う。


ラッキー「いえいえ。これが仕事だからね!」


と言ってラッキーはどこかへ行ってしまった。

そして残されたふたり。


しばらくの間、沈黙していた。


先に口を開いたのはイワンコだった。
 ▼ 70 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:31:19 ID:0Dfk40rk [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「……ロコン。僕は許されてはいけないことをしたと思う」

イワンコ「本っ当に……ごめんなさい!!」


イワンコが深く頭を下げる。

昨日の出来事がフラッシュバックして、イワンコに対して、一瞬"怖い"と思ってしまった。

……でも。


ロコン「……大丈夫」

ロコン「イワンコの夜の面を知られてよかった」

イワンコ「え」


確かに、昨日の夜の出来事はとても怖かった。だけれど。

それ以上に、イワンコの知らない面を知ることが出来て良かったと思っている。

ずっとモヤモヤしてたから。
立ち向かえてよかった。ボロボロになっちゃったけど。


それに、イワンコが連れてきてくれなかったら今頃私死んでたかもしれないし。

これで、私がイワンコを嫌いになんてならない。
 ▼ 71 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:31:38 ID:0Dfk40rk [4/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「な、なんで……? あんなにひどいことしたんだよ? 僕のこと嫌いになっただろ……?」

ロコン「っ……。まあ、怖かったよ。でも、あなたは私をここに連れてきてくれたでしょ?」

イワンコ「だってそれは僕が……!」

ロコン「イワンコが逃げてって言ったのに私は逃げなかった。イワンコは悪くないよ」

イワンコ「でも……でも……!」

ロコン「お互い、助け合おうって言ったじゃん。それが"仲間"なんでしょ?」

イワンコ「ろ、ロコン……」

イワンコ「っ、ありがとう……!」


涙ぐみながらイワンコは笑った。
 ▼ 72 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:31:53 ID:0Dfk40rk [5/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「私も元気になったんだし、大丈夫だって!」

イワンコ「う、うん……」


まあ、やっぱりほんの少し……いや、普通に怖かった。

だけど、それを克服するためにイワンコは頑張るんだから。

それを支えるためにはそれは知っておかなければならないから。

大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせる。


昨日のことを反省し、落ち込むイワンコ。

私が引っ張っていかないと。


大丈夫。元気が湧いてきた。

毛も赤い。


ロコン「ほら! 先に進もう! イワンコ!」

イワンコ「うん……!」
 ▼ 73 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:32:11 ID:0Dfk40rk [6/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
目的地へ向かうために、街の中をずんずん進んでいく。


私が前を歩き、イワンコが着いてくる。

……今までと立場が逆になったような感じだ。

今までは私がずっとイワンコの後ろだった。


確かに怖かったはずなのに、もう何も感じなくなった。


むしろ、ウキウキしている。

心なしかイワンコもさっきより元気になった気がする。
 ▼ 74 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:32:34 ID:0Dfk40rk [7/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
街には様々なお店がある。

……せっかく街に来たので、なにか買いたいと思った……んだけど。


ロコン「イワンコ、お金持ってる?」

イワンコ「持ってない……」

ロコン「私も。買えないね……」

イワンコ「うーん……」


何かあった時のために、色々持っておきたかったんだけどなぁ。

仕方ないか。
 ▼ 75 日はここまで◆Xq21k6pIJA 18/09/16 22:32:56 ID:0Dfk40rk [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンたちが営業する、様々なお店を横目に見ながらどんどん進んでいく。

そろそろ街を抜けられそうだ。


この先は何があるんだろう……。


この前の不安とは一転、楽しくなってきた。


歩いてる途中、イワンコが言う。


イワンコ「でも、本当に意外だったよ。僕、ひとりでさまよわなきゃいけないと思ってた」

ロコン「ひとりでって……私、ひとりの方が嫌だよ……」

イワンコ「僕も。ありがとう、ロコン」

ロコン「うん! こちらこそ、ありがとう。イワンコ!」


よし、ふたりで頑張っていこう!
 ▼ 76 ャンデラ@もりのヨウカン 18/09/17 00:42:57 ID:PoZ..9FM NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
イワンコぉ^〜(気さくな挨拶)
 ▼ 77 リヤード@こないれ 18/09/17 10:47:08 ID:dop6dbSI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いいぜ
 ▼ 78 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:12:56 ID:NcAIKZ6w [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


ロコンがあっさり許してくれた。

なんで……僕はあんなにひどいことをしてしまったのに……。


……でも、ずっとくよくよしてちゃいけないのも事実。

前に、進もう。


ポケモンたちで賑わっている街を抜け、火山へ向かう。

ただひたすらに、何も喋らずに歩く。


……かなり歩いた。

その証拠に、火山が前よりかなり近くにある。
 ▼ 79 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:13:17 ID:NcAIKZ6w [2/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
火山へはあと少しで着くのかもしれない。

そう思うとワクワクしてきた。

ロコンはそこで進化できるのだろうか。


じゃあ……僕は?

夜の力を制御できずにロコンを襲った僕は……?


ロコン「……どうしたの? 難しい顔して」

イワンコ「えっ!? いや、何でもないよ!」

ロコン「そう……?」


おっと……心配かけちゃいけないな。
 ▼ 80 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:13:33 ID:NcAIKZ6w [3/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ただひたすらに、歩く。

歩き続ける。

……だいぶ疲れてきた。


隣で歩くロコンが立ち止まった。


ロコン「つかれた……」


地面にへばりつくロコン。

……無理もない。僕が傷つけたせいで、回復してもらったとはいえ、痛みや疲労は完全には消えていないだろう。

僕なんかよりもロコンの方が大変なのに……。


……そろそろ夕方になる。

この辺りに泊まれそうな場所はない。

ロコンは歩けない。

……とすると……。


イワンコ「ロコン、僕に乗って」

ロコン「えっ!?」
 ▼ 81 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:14:06 ID:NcAIKZ6w [4/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「もうすぐ夕方になる。急がなきゃ」

ロコン「で、でも……」

イワンコ「大丈夫。僕は君を傷つけたくない。昨日みたいにしたくないんだ」

ロコン「うん……わかった」


ロコンは僕の上に躊躇いつつ乗る。


イワンコ「……よし、とばしていくよっ! 掴まって!!」

ロコン「えぇっ!? は、はいぃぃぃぃいいい!!」


僕は疲れなんて吹き飛ばし、全速力で走る。

なんだか心地がよかった。


乗っているロコンも、最初は戸惑っていたが……。


ロコン「なんか楽しー!!」


楽しんでくれている。
 ▼ 82 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:14:32 ID:NcAIKZ6w [5/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
いい感じの場所を見つけた。

ここに泊まろう。


ロコンを降ろし、その場に座る。


ロコン「ご、ごめん。重くなかった……?」

イワンコ「全然! へっちゃらだよ!」

ロコン「そう? ならいいけど……」


まあちょっと重かったけど言わない言わない。


ロコン「なんか、最初は怖かったけど、びゅーんって楽しかったよ!」

イワンコ「僕も走ってて楽しかった! ……疲れたけど」

ロコン「よし。じゃあご飯食べて寝よっか」

イワンコ「うん!」


そんなこんなで今日も終わった。
 ▼ 83 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:14:58 ID:NcAIKZ6w [6/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……朝。

雨が降っている。

雨の日は気分があまり上がらない。


何日間か旅を続けてきて、そろそろ着けるかと思ったのだけれど……。

雨だし、無理かな。


まだ寝ているロコンを起こさずに、きのみを探しに向かう。

……のだけど。


イワンコ(なんか……ムズムズするな……)


なんだろう。

まるで、夜の力が出る時みたいな。

まだ朝なのに。


でも、気にせずきのみ探しへ向かった。
 ▼ 84 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:15:22 ID:NcAIKZ6w [7/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「ん……おはよう」

イワンコ「おはよう!」


軽く挨拶を交わす。

ロコンは、しばらく白い毛になっていない。

旅にも慣れてきたんだろう。


……それに比べ僕は。

はぁ……。


またこういうことを考えてしまった。
 ▼ 85 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:15:49 ID:NcAIKZ6w [8/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「きのみとってきたよ」

ロコン「ありがとう! イワンコ!」

イワンコ「いえいえ」


大きな葉っぱの下で、雨宿りをしながらオレンのみを食べる。


ロコン「美味しいね!!」

イワンコ「うん!」

ロコン「……イワンコと一緒にご飯を食べるの、本当に楽しいよ」

イワンコ「僕もだよ」

ロコン「イワンコと出会えてよかった!」
 ▼ 86 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:16:20 ID:NcAIKZ6w [9/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコンがニコッと微笑むと、雲の間から日が差してきた。

雨が止み、雲が晴れる。


イワンコ「もしかして……ロコンの力?」

ロコン「あっ、そうだね。多分私だ」

イワンコ「すごいよ! 曇ってた気分が一気に晴れた!」

ロコン「へへ……まだコントロール出来ないけどね」

ロコン「コントロールできるようになって、いろんなポケモンのためにこの"ひでり"の力を使いたいな……」

イワンコ「……応援してるよ!」

ロコン「ありがとう!」
 ▼ 87 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/17 20:16:42 ID:NcAIKZ6w [10/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
きのみを食べ終え、先に進む。

ロコンの"ひでり"のお陰で雨が止み、進みやすくなった。


僕も、ロコンにぜひ生かしてほしいと思ってる。

だから、この旅で必ず進化するんだ!

ロコンも、僕も……。


僕も……。


……ロコンは変わってるのに、僕は変わってない。

……僕は本当に進化できるのか?


いけない。

雲は晴れても、気持ちはまだ晴れてないのかなぁ。

今日はうまくいかないや。
 ▼ 88 ャヒート@ホズのみ 18/09/17 20:36:56 ID:P/cUobz. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 89 マズン@しずくプレート 18/09/17 21:32:17 ID:dop6dbSI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 90 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:23:59 ID:I/e64laE [1/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


オレンのみを食べ終えて、先に進む。

……なんだか今日はイワンコが考え事をたくさんしてるけど、大丈夫かな……?


まあ、そこまで気にも止めず、先へ進むことにした。


昨日より火山が近い。

今日中に着けたりしないかなぁ?


はやく、この力を上手く使えるようになりたい。
 ▼ 91 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:24:19 ID:I/e64laE [2/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……火山に向かってどんどん歩いていく……のだけど。

ふと思った。

このまま行って火山に入れるのかな?


ロコン「ねぇ、とりあえず火山目指して歩いてるけど、こうやっていって火山に登れるのかな……?」

イワンコ「……わからない」

ロコン「……そっかぁ」


ははは。

もう結構近いけど、この先行き止まりだったりして……。
 ▼ 92 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:24:56 ID:I/e64laE [3/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……悪い予感的中。

かなり近づいたところで行き止まり。


イワンコ「……あちゃあ」

ロコン「ど、どうしよう……」


今までは遠かったから、火山の方角に目指していけばよかったけど……。

近くなると、火山に入れるルートを見つけなきゃいけないから難しい。


誰かここら辺のことを知っているポケモンがいればいいのだけれど……。
 ▼ 93 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:25:35 ID:I/e64laE [4/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
???「なにか困ってるのか?」


立ちすくんでいると、何者かが声をかけてきた。


イワンコ「あ、あなたは?」


ゴウカザル「俺はゴウカザル。救助隊だ」

ロコン「救助隊……!」

イワンコ「えっと……あの火山に行く方法を知りたくて……」

ゴウカザル「あぁ。あれなら氷の洞窟を通ってその先だ」
 ▼ 94 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:26:11 ID:I/e64laE [5/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「氷の洞窟?」

ゴウカザル「向こうにある洞窟だ。抜けた先を真っ直ぐ歩けばすぐ火山に着く」

ゴウカザル「ただ、洞窟は迷いやすいから気を付けろよ!」

イワンコ、ロコン「「ありがとうございます!」」

ゴウカザル「ああ! またな!」


優しい救助隊のポケモンが助けてくれた。


……よし、氷の洞窟、突破するぞ……!
 ▼ 95 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:26:33 ID:I/e64laE [6/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
来た道を一旦戻り、洞窟のほうへと向かう。

歩いていくたびに、空気が冷たくなっているような気がした。


イワンコ「やっぱり洞窟寒いのかな……」

ロコン「うん……こっちまで冷気きてるもんね……」

イワンコ「嫌だなぁ……」

ロコン「私はどっちの姿でも氷に強いから平気!」

イワンコ「いいなぁ……」
 ▼ 96 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:26:56 ID:I/e64laE [7/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「あ、あれが洞窟の入口じゃない!?」

イワンコ「ほんとだ。この先だね」

ロコン「……行こう」


洞窟は辺り一面、氷で覆われていた。

床も氷が貼ってあり、滑る。

気をつけて歩かなきゃ……!


イワンコ「うぅ……寒っ……」

ロコン「大丈夫……?」

イワンコ「うん、まぁ……」

ロコン「無理しないでね……」
 ▼ 97 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:27:19 ID:I/e64laE [8/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
辺り一面氷の世界を、私たちは進んでいく。


ただ黙々とまっすぐ進んできたけど……。


ロコン「あれ……行き止まり?」

イワンコ「そうみたいだね……」


ゴウカザルさんの言っていたように、この洞窟は迷いやすいみたいだ。

これはずっと歩き続けることを覚悟しなきゃダメだな……。


……私はまあ大丈夫だけど、イワンコが心配。


私たちは引き返し、分かれ道で今度は右に曲がる。

歩いていくと、また分かれ道が。

今度は左に行くと、行き止まり。


これじゃあ一生着かないよぉ……。
 ▼ 98 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:27:41 ID:I/e64laE [9/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
何回も何回も行き止まりにぶち当たる。


イワンコ「疲れた……寒い……」


イワンコはもう限界のようだ。

洞窟内だから時間はわからないけど、かなり歩いたから時間は経っているはず。


とりあえず取っておいたきのみでご飯にしよう。


ロコン「はい、イワンコ!」

イワンコ「ありがとう……」


イワンコにきのみを差し出すも、やっぱり元気がない。

心配だ……。
 ▼ 99 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 19:28:00 ID:I/e64laE [10/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ふたりともきのみは食べ終わったものの、寒さと疲れでイワンコは動けないようだ。

……私ができること……。

うーん……。

そうだ! この赤い身体ならイワンコを暖められるじゃないか!

よし。


ロコン「イワンコ、私にくっついて」

イワンコ「くっつく……?」

ロコン「これなら、あったかくない……?」

イワンコ「……! うん!」


これで役に立てているだろうか。

なんだか嬉しい。
 ▼ 100 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:20:46 ID:I/e64laE [11/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


ロコンとくっついていると、とても暖かい。

冷え切った体も、だんだん元気を取り戻してくる。


イワンコ「ありがとう、ロコン! 大丈夫、元気になったよ!」

ロコン「ほんと!? よかった!」


ロコンが微笑む。

……先は長いけど、頑張ろう。
 ▼ 101 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:21:05 ID:I/e64laE [12/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……冷たい洞窟の中をひたすら歩く。

やっぱり寒いが、ロコンと一緒に歩いていれば少しは寒さが和らいだ。


イワンコ「そろそろ出口かな……」

ロコン「うーん、どうだろう。あっちこっち迷ってるからわからないよ……」


気が遠くなりそうだ。


……と、その時。

ズドドドドドド、と何やら大きい音が聞こえてきた。

嫌な予感がする。
 ▼ 102 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:21:34 ID:I/e64laE [13/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「雪崩っ!?」

イワンコ「えっ!?」

ロコン「これは雪崩の音。何回も聞いたことがあるからわかるの!」

イワンコ「雪崩……? どこで……」

ロコン「洞窟内に雪はないから……出口とか……」

イワンコ「うっそでしょ……」


もしそうだったら出られないことになる。

気のせいか、さっきよりも寒くなった気が。


……運が悪い。
 ▼ 103 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:22:15 ID:I/e64laE [14/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「違うところの場合もあるし、とりあえず引き続き出口を探そう」

イワンコ「そうだね……」


迷いながらもふたりで歩いていく。

と、どこかから微かに風を感じた。


イワンコ「ねぇ! 風が吹いてる!」

ロコン「ほんとだ……あっちの方?」


風の吹いてきている方向に向かって進む。

何度も何度も行き止まりに当たりながら、僕らはとうとう出口を見つけた!


……が。
 ▼ 104 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:22:31 ID:I/e64laE [15/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「嘘だろ……!?」

ロコン「そんなっ……!」


その穴は、大量の雪によって塞がれてしまっていた。

雪崩が起きたのはやっぱり出口だったようだ。


ロコン「これじゃ出られないよ……」

イワンコ「っ、攻撃すれば……!」

ロコン「待って! 直接攻撃する技はダメ。飲み込まれる可能性がある!」

イワンコ「っと……危なかった。そうなんだ……」
 ▼ 105 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:22:49 ID:I/e64laE [16/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「よし……"かえんほうしゃ"!」


ロコンの今の姿、ほのおタイプだからできる技。

ロコンは雪に向かって炎を繰り出す。


イワンコ「僕もっ……"いわおとし"!」


僕も、雪に向かって岩で攻撃した。


……でも、雪崩はなかなか壊れる様子はない。


ロコン「……っ、もう一回、"かえんほうしゃ"! 」

イワンコ「今度は"がんせきふうじ"!」


さっきよりも大きめの岩を作り攻撃したけれど……。

……やっぱり、ビクともしない。

雪崩は意外と強い。
 ▼ 106 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:23:16 ID:I/e64laE [17/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「ほのお技も効かないなんてどうすれば……」

イワンコ「これじゃあ直接攻撃しても変わらないよなぁ……」


僕たちはあと一歩のところで止められてしまった。

途方に暮れ、その場に座り込む。


その時、ぐう、という音が。


ロコン「えへへ……お腹すいちゃった」

イワンコ「外はもうすぐ夜なのかな。ご飯にしようか」


ふたりできのみを食べる。

……でも、きのみのストックもこれで終わりだ。

もし、明日も明後日も……永遠に出られなかったらどうしよう……。
 ▼ 107 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 20:23:37 ID:I/e64laE [18/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「外の様子はわからないけど、多分そろそろ夜だから寝ないと……」


きのみを食べ終え言う。


ロコン「寝る時、動かないから冷えないか心配……」

イワンコ「できるだけくっついて寝よう」

ロコン「そうだね。……おやすみ」


ロコンと距離が近い。

……何だか、眠れないな……。
 ▼ 108 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:47:41 ID:I/e64laE [19/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


目を覚ます。

外はわからないけれど朝が来たようだ。

イワンコを起こす。


ロコン「おはよう。大丈夫? 死んでないよね……?」

イワンコ「ん……おはよう。大丈夫、死んでないよ!」


ちゃんとイワンコは生きてた。

良かったぁ。


外に出る方法を考えなきゃ。
 ▼ 109 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:48:02 ID:I/e64laE [20/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから、何度も何度も攻撃した。

直接攻撃もした。……けど。

雪崩は崩れない。


もう、体力もないし、技も繰り出せなくなってしまった。


ロコン「どうしよう……」


涙が零れる。

いつの間にか白い姿になっていた。


イワンコ「誰かが来てくれることを願うしか……」

ロコン「そうだね……」
 ▼ 110 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:48:17 ID:I/e64laE [21/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……しばらく経った。

その時。


「おーーーいっ!!」


外から声が聞こえる!!

聞いたことがある声!

それは……救助隊のゴウカザルさん!!


イワンコ「!! すみませーん!! 助けてくださーい!!!」

ロコン「あの時会ったロコンとイワンコですー!!」


私たちは必死に叫ぶ。
 ▼ 111 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:48:39 ID:I/e64laE [22/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴウカザル「遅くなって悪い! 君たちにここを教えた後、雪崩が起きたって聞いて、別ルートで助けに来たんだ!」


雪崩の壁越しに会話する。


ロコン「!! ありがとうございます!!」

ゴウカザル「今助けてやるからな……!」

ゴウカザル「攻撃するから、後ろに下がってろ!」

イワンコ「はい!」


私達は後ろに下がった。
 ▼ 112 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:49:01 ID:I/e64laE [23/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴウカザル「"マッハパンチ"!!」


壁越しに、ドンッ!と大きな音が響く。

雪崩が少し崩れる。


ゴウカザル「強いな……なら……っ」

ゴウカザル「"フレアドライブ"……ッ!!」


次の瞬間、辺りは熱気に包まれる。

ドオオオオオオン、と大きな音がした。

目を開くと、目の前にゴウカザルがいた。
 ▼ 113 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:49:27 ID:I/e64laE [24/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴウカザル「ふたりとも、無事で良かった!」

ロコン「ゴウカザルさん……! ありがとうございます!!」

イワンコ「本当に助かりました……!!」

ゴウカザル「救助隊として当然のことをしただけだ。この辺りの雪崩は硬いのが多いから、壊しにくいんだ」


だから、ふたりで攻撃してもダメだったんだ……。


ロコン「そうなんですか……」

ゴウカザル「雪崩が起きる可能性があることを言っておけばよかったな……」

ロコン「結果的に助かったので大丈夫ですよ!」

ゴウカザル「そうか……」
 ▼ 114 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:49:48 ID:I/e64laE [25/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「ゴウカザルさん、強いんですね!」

ゴウカザル「まあな」

イワンコ「僕ももっと強くなりたい……!」

ゴウカザル「おぉ! 頑張れよ!!」

イワンコ「はい!」

ゴウカザル「じゃ、俺は行くよ。この先も頑張ってな!」

イワンコ、ロコン「「ありがとうございます!!」」


ゴウカザルさんは行ってしまった。
 ▼ 115 日はここまで◆Xq21k6pIJA 18/09/18 21:50:11 ID:I/e64laE [26/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「かっこよかったな……ゴウカザルさん」

イワンコ「うん。憧れるよ」

ロコン「ようし。洞窟も抜けたし火山に向かって進もっか!」

イワンコ「……うん」


ん? イワンコの元気がない……?


ロコン「ん、どうしたの……?」

イワンコ「えっ!? ……なんでもないよ」

ロコン「……そう?」


……どうしたんだろう。

気になるけれど、先に進むことにした。
 ▼ 116 ンヤンマ@ヤタピのみ 18/09/18 23:05:34 ID:GSz244CQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援ぬ
 ▼ 117 ールル@ハバンのみ 18/09/19 06:30:18 ID:WVZU4Xg2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 118 クティニ@ボスゴドラナイト 18/09/19 13:32:40 ID:OS8I2trs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 119 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 19:54:02 ID:6IUoQhjs [1/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


救助隊のゴウカザルさん。

かっこよかった。

強かった。


……それと同時に、僕の力の弱さを感じた。

レベルが違うのはわかってる。けど……。

僕の力はこんなもんなんだって悲しくなった。


もっと強くなりたい……!

もっと、もっと……!!
 ▼ 120 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 19:54:24 ID:6IUoQhjs [2/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコンとともに火山への道を進む。

けど、何だか胸騒ぎがする。

今は午前中なのに、夜の力を出してしまいそうな……。


イライラする。

なんでだ。

無性にイライラする。


ロコン「ねぇ、イワンコ……本当に大丈夫……?」

イワンコ「大丈夫って言ってるだろ!!」


……つい強く言ってしまった。

今の僕、どうかしてる……。
 ▼ 121 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 19:54:50 ID:6IUoQhjs [3/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「う、うん……」


無言のまま歩き続ける。

イライラは治らない。

むしろ悪化している。


……ロコンなんて弱い僕のこと本当は嫌いなんじゃないか。

ふと、そう考えてしまう。


この旅に誘ったのは自分だ。

もしかしたら、嫌々着いてきてるんじゃないか……!?
 ▼ 122 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 19:55:16 ID:6IUoQhjs [4/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「なぁ」

ロコン「えっ!?」

イワンコ「……なんでもない」

ロコン「……そう……」


クソッ……。

むしゃくしゃする。

ロコンが憎い。


いつも笑顔を自分なんかに……!

でももしそれが偽りの笑顔だったら……?
 ▼ 123 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 19:55:33 ID:6IUoQhjs [5/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「……ねぇ、少し休もう? やっぱりイワンコおかし……」

イワンコ「俺に構うなっ!!」

ロコン「えっ……」


そう言うと、俺はひたすら走っていた。

わからない、わからない……!!


火山への道を外れ、ひたすらに進んでいく。

どこへ行こうとしてるかなんてわからない。

ただ、走った。
 ▼ 124 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 19:55:56 ID:6IUoQhjs [6/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……かなり離れたところに来た。

イライラが止まらない。


ガンッ! ガンッ!


近くにあった岩に攻撃する。

何度も、何度も。


イワンコ「あの笑顔を見せるなロコン……!!」


自分自身もわからない。

でも、岩に向かってひたすらに攻撃を続けた。
 ▼ 125 ゲボウズ@アクアスーツ 18/09/19 19:58:07 ID:fVh289aU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 126 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 21:49:15 ID:6IUoQhjs [7/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


イワンコが……行ってしまった。

……おかしかった。

まるで、あの夜のときみたいな……。


トラウマが蘇る。

でも、イワンコを救えるのは私だけ……。

私が、イワンコを助けないと……!


……とりあえず、イワンコが行った先を追いかけよう。


私は駆け出した。
 ▼ 127 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 21:49:54 ID:6IUoQhjs [8/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今いた道を外れ、イワンコを探す。


ロコン「覚悟しなきゃ……!」


あのイワンコを止めるのは大変だろう。

でも、やらなきゃ……!

何をしてでも……!


怖いなんて思っちゃいけない。

私はイワンコにたくさん救われてきた。


今度は私がイワンコを救う番だ……!
 ▼ 128 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 21:50:12 ID:6IUoQhjs [9/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……どこへ行ったんだろう。

遠くへ行ってしまったのだろうか。


……久しぶりのひとり。

心細い。

でも、ひとりで頑張らなきゃ……!


……ただただ、歩く。

歩いていく。


イワンコは大丈夫だろうか……。
 ▼ 129 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 21:50:37 ID:6IUoQhjs [10/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……かなり歩いたけど、見つからない。

そういえばご飯を食べていない。

ロコン「お腹すいたな……」


きのみを探す。

あ、あそこにナナシのみが!


いつものようにとる。

……あ、ふたつ取ってしまった。

今、イワンコはいないのに……。


ひとりで、ナナシのみを食べる。

イワンコ、お腹すいてないかなぁ……。
 ▼ 130 コガシラ@かいふくのくすり 18/09/19 21:50:51 ID:veUc8q6Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
頑張れー
 ▼ 131 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 21:50:56 ID:6IUoQhjs [11/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ご飯を食べたところで、また歩く。

そういえば、ゴウカザルさんに助けてもらったあと、毛が赤くなった。

……けど、あんな出来事あったからまた白に戻ってしまった。


ロコン「はぁ……」


ため息が漏れる。


……私にとって、イワンコはこんなに大切な存在だったんだと実感させられた。
 ▼ 132 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 21:51:28 ID:6IUoQhjs [12/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
休憩しながらも、ずっとずっと歩いていくと、もうお昼の時間になっていた。

またきのみをとり、食べる。

そしてまた歩く。


……もし、一生会えなかったらどうしよう……。

助ける以前に会えなきゃ意味が無い。


必死で探さないと!

私は、歩くのをやめ、走った。


イワンコ、今見つけるからね……!!
 ▼ 133 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 22:58:55 ID:6IUoQhjs [13/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


いつまでも、いつまでも岩に当たる。

流石に疲れた。

もう体力もない。


救助隊に回復してもらったのに、また使い果たしてしまった。

そういや何も食べていなかったな。


食べ物を探しにのろのろと歩く。
 ▼ 134 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 22:59:13 ID:6IUoQhjs [14/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこら辺の木にあったヒメリのみをとり、かじる。

ひとつじゃ到底足りないので何個も。

PP回復もできるし得だ。


……ふと、ロコンのことを思い出す。

駄目だ、思い出すとイライラしてくる。


そろそろ夜になる。

夜になると力が増幅する。


とことん暴れてやる……!!
 ▼ 135 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 22:59:29 ID:6IUoQhjs [15/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


どこを探しても見つからない。

もうすぐ夜になる。


……夜……。

イワンコ、暴れないかな……。

暴れたら、ボロボロになってしまう……。


とても心配だ。

早く見つけないと……。


……ひとり、きのみをかじり、イワンコのことを考えていた。
 ▼ 136 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 22:59:49 ID:6IUoQhjs [16/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ふと、空を見上げると月が浮かんでいた。


ロコン「綺麗……」


月。

消さなきゃ……と思っていたけど。

……消す?

消す以外に方法はないのかな。


だって、月はこんなに綺麗だもの……。


……やたらむやみに消そうとするのじゃ、上手くいかないんじゃないか。

ちゃんと乗り越えないと意味が無いんじゃないか。

そう思った。


……イワンコにそれを伝えなきゃ……!
 ▼ 137 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:00:12 ID:6IUoQhjs [17/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


……気がつけば朝。

体はボロボロ。

ああ。もうやけくそだ。


俺は力を制御できない!

これじゃあロコンを傷つけて……!


……え?
 ▼ 138 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:00:33 ID:6IUoQhjs [18/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんでロコンのこと考えているんだ、俺。

ダメだダメだ!


俺はあれでロコンに嫌われたんだ!!

いや、最初から?


わからない、わからない……。


月!!

ぶっ殺してやる……!!
 ▼ 139 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:00:54 ID:6IUoQhjs [19/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


……朝になる。

きのみを食べ、立つ。

そして、歩いた。


ひたすらに歩き続ける。

その足はだんだんと早くなっていく。


いつの間にか、走っていた。

イワンコのことだけを想い、駆ける。


彼に伝えなきゃ……!
 ▼ 140 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:01:59 ID:6IUoQhjs [20/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……やっと見つけた。

ちょうどきのみを食べている。


傷だらけだから、やっぱり暴れてしまったんだろう……。


食べ終えたところを見計らい、姿を現す。


ロコン「い、イワンコ……!!」

イワンコ「……っ! ロコン……!!」


彼は私を睨みつける。


イワンコ「どうしてここに来た……っ!!」
 ▼ 141 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:02:35 ID:6IUoQhjs [21/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「話が……イワンコに話があるからっ!!」

イワンコ「……話だと?」


豹変したイワンコに少し怖気付くも、私は話を続けた。


ロコン「イワンコは……自分の夜の姿が嫌?」

イワンコ「……嫌に決まってるだろ? だから克服しようとしてるんだ!!」

ロコン「イワンコはその夜の力を消したい?」

イワンコ「……何が言いたい?」
 ▼ 142 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:02:57 ID:6IUoQhjs [22/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「っ、その……消す必要は無いんじゃ……」

イワンコ「何だとっ!? お前だってその力で傷ついただろうがっ!!」

ロコン「消そう、消そうって思っていたら上手くいかないんじゃないかなって……!」

イワンコ「黙れっ!!」


そう言ってイワンコは私に飛び掛ってくる。


やるしかないのか……バトルを……!!


私は咄嗟によけ、バトルの姿勢を構えた。
 ▼ 143 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:03:15 ID:6IUoQhjs [23/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコ「……やる気か?」


私は黙って頷く。


イワンコ「っ、"かみつく"っ!!」

ロコン「"こおりのつぶて"っ!!」


イワンコが攻撃する前に先制技を決める。

今はこおりタイプなので、ほのおタイプの姿よりは技の通りがいい。

でも、どちらでもイワンコに不利なのは事実だ。


でも、このバトルは勝つのが目的じゃない……!
 ▼ 144 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:03:36 ID:6IUoQhjs [24/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「イワンコ、聞いてっ!」

イワンコ「バトル中に喋るなっ……!」


イワンコが"たいあたり"をかます。

反応が遅れ、もろに食らってしまった。


ロコン「うっ……、今のイワンコは間違ってる!!」

イワンコ「うるさい! 黙れ黙れ黙れっ!!」


イワンコが"がんせきふうじ"を繰り出す。

すかさず"こおりのつぶて"で攻撃を防いだ。
 ▼ 145 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:58:46 ID:6IUoQhjs [25/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


ロコンが来やがった。

そして、やる気だと?


何が目的だ?

俺の事は嫌いじゃないのか?


イワンコ「嫌なら離れればいいだけだろっ!!」


"いわおとし"。

するも避けられてしまう。

クソッ、ちょこまかと避けやがって……!!
 ▼ 146 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/19 23:59:52 ID:6IUoQhjs [26/26] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「嫌? 私嫌なんて一言も……!」

イワンコ「うるさいっ! こんな俺なんか、好かれるわけがない!!」


"がんせきふうじ"をくらわせる。

ロコンは避けきれずにたくさんの岩の中で動きを封じられた。

これでは何も出来まい。


ロコン「いつものイワンコに戻って!! あなたはそんなんじゃなかった!!」

イワンコ「変わったんだ!! 嫌なら離れればとさっきも言っただろっ!?」

ロコン「……違う! 違うの……!!」
 ▼ 147 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 00:00:22 ID:C6MkIlvU [1/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「イワンコ、何か勘違いしてる……!」


勘違い……?


ロコン「私は、イワンコのことが好き! 大好きっ!!」

イワンコ「え……」


俺の動きが一瞬止まる。


イワンコ「嘘言うなっ! こんな……こんな自分の力を制御できないやつ、嫌いに決まってる!!」
 ▼ 148 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 00:01:03 ID:C6MkIlvU [2/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「そんなの! 私だって一緒だよ!」

ロコン「だから、"仲間"として助け合っていこうって言ったじゃんっ!!」


顔を上げる。

……我に返ったような気がした。


なんで忘れていたんだろう。

俺……自分はなんでこんなこと……。


あ、ロコンを助けなきゃ。

ロコンの周りの岩を"たいあたり"で砕いた。
 ▼ 149 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 00:01:18 ID:C6MkIlvU [3/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「イワンコ……元に戻ったの?」

イワンコ「元に……ああ。多分戻ったと思うよ」

イワンコ「俺のせいで……ごめん」

ロコン「いいっていいって! それより、その"俺"ってのは変わらないんだね」

イワンコ「え? あぁ……無意識に」


ロコン「まあ良かった! じゃあ戻ろ、火山に行こう!」

イワンコ「あぁ!!」


ロコンの毛も赤くなり、俺も元に戻った。

いよいよ火山に向けて出発だ。
 ▼ 150 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 00:02:29 ID:C6MkIlvU [4/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
と思ったが。


ロコン「結構遠くまで来ちゃってわからない……」

イワンコ「何も考えずに来ちゃったからな……」

ロコン「とりあえず歩くか……」


元いた道を探し、ふたりで歩く。

……その時、無効になにか輝いているものが見えた。


あれは……。


ロコン「ねぇ、イワンコ! 海だよ!!」


あぁ、海だ。
 ▼ 151 オップ@メカニカルメール 18/09/20 00:44:47 ID:tBAMwRtk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イワンコメンヘラスギナイ
 ▼ 152 ンドール@オーキドのてがみ 18/09/20 06:46:38 ID:V3QMG6fo NGネーム登録 NGID登録 報告
すれ違いからもとに戻った。良かった良かった
 ▼ 153 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:04:58 ID:C6MkIlvU [5/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


イワンコが戻ってよかった。

"俺"ってのは戻らないみたいだけど。


……前よりも、絆が深まった気がする。


そして、歩いている時に海を見つけた。

その海には……。


イワンコ「夕日だ……!」


真っ赤な夕日が映っていた。


……戦ったりしている間に、いつの間にか夕方になっていたらしい。
 ▼ 154 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:05:26 ID:C6MkIlvU [6/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「綺麗……」


ふたりで、夕日が沈んでいく様子を見つめれる。


……その時。

夕日が沈みきるその瞬間。



──太陽が、緑色に光った。



それと一緒に、イワンコの体も光る──。
 ▼ 155 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:06:14 ID:C6MkIlvU [7/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


その時、辺り一面が緑色に光った。


その瞬間、俺の体に二つの力が巡る。


昼の力と夜の力。


今なら……今なら二つを……!!


一緒に出来るかもしれない……!!!



ワオォォォォォォオオオオンッ!!


……俺は必死に叫んだ。
 ▼ 156 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:06:43 ID:C6MkIlvU [8/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコンが言っていた。

消す必要は無いんじゃないかと。


そうだったんだ!

二つを一緒にすれば……!!


今、この黄昏時だから出来ること……!!


夕日に向かって吠える。



──俺は、俺は……!


進化、したいっ──!!
 ▼ 157 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:07:04 ID:C6MkIlvU [9/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


……光が収まる。

目を開くと、そこには……イワンコではなくルガルガンがいた。

その姿は、私が知っているルガルガンの姿、どちらでもなかった。


ルガルガン「……俺……進化したのか……?」

ロコン「うんっ!! 綺麗なオレンジ色のルガルガンに!」

ルガルガン「!!! やったぁぁぁぁああああっ!!」

ルガルガン「伝説の姿は本当だったんだーっ!!」

ロコン「やったねイワンコ……じゃなくてルガルガン!!」


ふたりで、進化をめちゃくちゃに喜んだ。
 ▼ 158 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:07:35 ID:C6MkIlvU [10/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「緑色の目……さっきの太陽みたいだね」

ルガルガン「俺の目……緑色なのか……!」

ロコン「あ、そっか。ルガルガン自身は見れないもんね」


……黄昏時に進化したこの姿。


ロコン「"黄昏の姿"……」

ルガルガン「えっ?」

ロコン「黄昏の姿! いいよ! この姿は黄昏の姿だ!!」

ルガルガン「黄昏の姿……いいな! かっこいい!!」

ロコン「でしょ!」
 ▼ 159 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:07:57 ID:C6MkIlvU [11/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「なぁロコン」

ロコン「……ん?」

ルガルガン「ロコンの言う通りだったよ。消す必要はなかった」

ロコン「……!」

ルガルガン「昼と夜の力を合わせたんだ。これで、姿も変わることなく性格も変わらないと思う」

ロコン「ほんとにっ!? じゃあ、ルガルガンは自分の力を克服したんだねっ!!」

ルガルガン「あぁっ!」

ルガルガン「やったぞおおおおおおお!!」


ルガルガンが叫ぶ。

私もとても嬉しい。
 ▼ 160 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:08:17 ID:C6MkIlvU [12/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「確かに、夜の力もあるんだ。ほらっ」


ルガルガンが目の色を変える。

それは、夜の姿のルガルガンのような真っ赤な目だった。


ルガルガン「大丈夫。ちゃんと制御できる。……この目の時は力が強くなった気がするな」

ロコン「すごい……すごいよ! こんなに色々出来るようになるなんて!」

ルガルガン「俺もビックリだ。めちゃくちゃ嬉しい」


ルガルガン「……次は、ロコンの番だな」

ロコン「……うんっ!!」


火山にいけば、私も進化できる!

大丈夫。頑張ろう!!
 ▼ 161 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:08:34 ID:C6MkIlvU [13/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……あちらこちら行って、やっと元の道にたどり着いた。

かなり歩いたのでもう夜だ。


とりあえず、今日はきのみを食べ、寝ることにする。

ルガルガンはもう力を制御できるようになったから早くに寝なくてもいいけれど、今日は疲れたからもう寝たい。


ルガルガン「明日は頑張ろう。おやすみロコン」

ロコン「おやすみ、ルガルガン!」


軽く挨拶をしてすぐ、私は眠りについた。
 ▼ 162 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 20:09:10 ID:C6MkIlvU [14/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……朝。

目を擦り、立ち上がる。


ふと、そこで寝ているルガルガンを見る。

おおきなたてがみが生え、顔つきも凛々しくなり、前よりもかっこよくなった。


……私も頑張らなきゃ。


ルガルガンも起き、朝ごはんにきのみを食べる。


……よし。

いよいよ出発だ。
 ▼ 163 チャブル@もうどくプレート 18/09/20 20:45:13 ID:YIo2X9uA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
良かった良かった
 ▼ 164 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:46:30 ID:C6MkIlvU [15/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


……未だに、進化した実感がない。

けどこの体が証明している。


次は、俺を救ってくれたロコンの番だ。


ルガルガン「……行こうか」

ロコン「うん……!」


火山に向かって歩く。


もうすぐ、ロコンも進化できる……!
 ▼ 165 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:46:46 ID:C6MkIlvU [16/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しばらく歩いていくと、だんだんと道がゴツゴツしてきた。

火山はもう目の前だ。


ルガルガン「そろそろ火山に登るよ……!」

ロコン「よし! 今はほのおタイプだから大丈夫!」


俺たちはどんどん進んでいく。

と、火山の中に入ったようだ。


……熱くなってきた……。


マグマの熱だろうか。

まだいわタイプだから平気だけれど……。
 ▼ 166 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:47:03 ID:C6MkIlvU [17/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
道は上り坂になってきた。

ほのおのいしがあるのは……どこら辺だろう?


ロコン「あっついねー……」

ルガルガン「あぁ……」

ロコン「でも、ここまで来たんだ! 頑張ろう!」


俺は頷いた。


暑さと坂で、疲れてきた。

でも、頑張らないと……!


ふたりでゆっくり進んでいく。
 ▼ 167 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:47:19 ID:C6MkIlvU [18/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「ほのおのいしはレアだから、かなり登らないと無いかもしれない……」

ロコン「うぅ……疲れるね」


根気強く登っていく。

ただひたすらに登っていく。


今までのロコンの旅の全てがここに……!


ムンムンとのぼる熱気に耐え、登っていく。


ロコンとふたりなら大丈夫……!
 ▼ 168 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:48:39 ID:C6MkIlvU [19/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
真ん中くらい登ったか。

かなり登ったな……。


歩く際、石が落ちてないか見ながら歩いているが、見つからない。

本当にあるのか……?

ないなんてことは無いよな……。


……とりあえず、お腹がすいたのでご飯にする。

山の中で食べるのって落ち着かないな……。
 ▼ 169 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:49:00 ID:C6MkIlvU [20/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あとはひたすら歩き続けた。


途中途中休憩も入れつつ、歩き続ける。


と、その時。


ロコン「きゃあっ!」

ルガルガン「危ないっ!」


ロコンが転びそうになる。

俺は咄嗟に反応し、ロコンを支えた。


ロコン「あ、ありがとう……!」

ルガルガン「あ、あぁ!」


危なかった……。
 ▼ 170 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:55:39 ID:C6MkIlvU [21/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


火山を登る。

転びそうなところをルガルガンが助けてくれた。


……ちょっとドキッとしてしまった。


かなり登ったのに、一向にほのおのいしは見つからない。


……大丈夫!

絶対あるって!!
 ▼ 171 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:56:03 ID:C6MkIlvU [22/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
歩く……ひたすらに歩く……。

飽きた、疲れた……色々なネガティブなことは思い浮かぶけど。

そんなこと言ってたら見つけられない!!


……けど。


ロコン「やっぱり……無理なのかな……」


私の体は白くなっていた。

白い姿じゃ、ほのおのいしで進化できないのに。
 ▼ 172 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:56:31 ID:C6MkIlvU [23/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「ロコン、大丈夫だ! きっと見つかる!」

ロコン「でも……」

ルガルガン「大丈夫だって!!」

ロコン「……私は進化しちゃいけないのかな……ダメなのかな……」


ネガティブが止まらない。

どうしよう……。


ルガルガン「ロコン!! 大丈夫だ!!」

ルガルガン「……俺が付いてる。ふたりで一緒に探そう……!」

ロコン「ルガルガン……!」

ルガルガン「ロコンは俺を進化させてくれた。そんなロコンが進化できないわけないだろ?」
 ▼ 173 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:57:26 ID:C6MkIlvU [24/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あぁ。

私には彼がいた。


ロコン「……うん! 絶対進化する!!」

ルガルガン「あぁ!!」



太陽みたいな彼が。


毛が赤色に戻る。


月は太陽に照らされた。

私も、太陽になる……!!
 ▼ 174 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:57:59 ID:C6MkIlvU [25/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ずっと歩き続けて、そろそろ頂上だ。

この火山は、山の中にとても暑いマグマがあるらしい。

ほのおタイプの姿でも、とても暑いと感じる。


ルガルガン「そろそろ頂上だな……」

ロコン「……っ」


……頂上まで一歩手前。

ご飯を食べて、ラストスパートだ。


もう夜だけど、夏真っ盛りなのと火山の熱気でまだまだ暑い。
 ▼ 175 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 21:59:23 ID:C6MkIlvU [26/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……とうとう頂上まで来た。

辺りを見渡す……と。


何やら輝くものが。

これは……。


ロコン「ほのおのいし!!」

ルガルガン「何だって!?」


キラキラと光る、その中には燃えるような赤い色。

これが……ほのおのいし。


ルガルガン「やったな……ロコン!」

ロコン「うん!!」
 ▼ 176 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:31:13 ID:C6MkIlvU [27/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「じゃあ……いくね」


ルガルガンが頷く。


……心臓が破裂しそうだ。

この日のために……私たちは頑張ってきた!!


この石に触れれば、私は……。

……進化できる!!


……よし。




ほのおのいしに、前足を伸ばし……触れる──。
 ▼ 177 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:31:35 ID:C6MkIlvU [28/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
────────が。



ロコン「……え……?」


ロコン「……進化しない……」

ルガルガン「……嘘だろ……?」


顔が真っ青になる。

なんで、なんで……どうして……っ!!


進化……しないの?


ちゃんと触れる。

石を握りしめる。


けど……私の体は光らなかった。
 ▼ 178 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:31:59 ID:C6MkIlvU [29/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一気に体が白い毛に覆われる。

私は……この言い表せない気持ちを、叫び声として出す。


ロコン「うわああああああああああああああああああああああああっ!!!」

ロコン「なんでっ……!! どうしてっ!! 嫌だっ……!!」

ルガルガン「ロコンっ……!!」


吹雪が舞い上がる。

抑えきれない悲しみが、氷へと変わっていく。


私は、ずっと泣き続ける。
 ▼ 179 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:32:15 ID:C6MkIlvU [30/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここまで来た意味は!!!

私は進化できないの!?

今までの旅は……私にとっての旅は意味の無いものだったの!?


ねえ、なんで、どうして……!!


ルガルガンに申し訳ない。

私は、克服できなかった……!!

嫌だ……!!



我を忘れ、泣き続ける。

もう、死んでしまいたい……!!
 ▼ 180 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:33:06 ID:C6MkIlvU [31/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


すごい猛吹雪だ……!

クッ、吹き飛ばされる……っ!!


ロコンは悲しみのあまり、力を大放出しているようだ。

あれをとめられるのは俺しかいない……!!


ロコンは俺を助けてくれた。

身を張ってまでも……!!


俺がやらなくてどうする!!

ロコンの悲しみを分かち合いたい!!
 ▼ 181 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:33:29 ID:C6MkIlvU [32/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
けど……近づけない……!

ロコンは、山の頂上で吹雪を起こしている。

今俺は、地面に必死にしがみついている状態だ。

吹雪はだんだん強く……。


ルガルガン「うわっ!!」


吹雪により吹き飛ばされる。

今まで登ってきた山から真っ逆さまに落ちてゆく。
 ▼ 182 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:33:50 ID:C6MkIlvU [33/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドスッ。

かなり下の方まで落ちてしまった。

幸い、当たりどころもよく、たてがみがガードしてくれたこともあり、少しの怪我で済んだ。


……上を見てみると……。

ロコンの吹雪で、火山が凍り始めていた。


これではまるで氷山だ。
 ▼ 183 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:34:14 ID:C6MkIlvU [34/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今は夏。

なのに、こんな大きな火山が凍ってしまっている。


さっきまで暑かったのに、とてつもなく寒い。


だけど、行かなきゃ。


ロコンのところに!!


ルガルガン「ロコンッ!! 今行くからなーっ!!!」
 ▼ 184 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:34:34 ID:C6MkIlvU [35/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひたすら、ただひたすらに今まで登って来た道をまた登る。

寒さと暴風に耐え、進んでいく。


ルガルガン「うおおおおおおおおおおおっ!!」


俺は走った。

ロコンをめがけ、一直線に。


ロコンは今悲しんでいる。

悲しみを癒さないと。


待っててくれ……!!
 ▼ 185 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:34:57 ID:C6MkIlvU [36/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もうすぐ頂上という所まで登ったが。


うっ……。

風のせいで進めない……!!


ここから叫ぶしかないか……。


ルガルガン「ロコン!! 聞いてくれっ!!!」


ロコンに聞こえているだろうか。


俺は、ロコンに向かって叫んだ。
 ▼ 186 クシー@ほしのすな 18/09/20 22:40:00 ID:qL8QfsTk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 187 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:57:35 ID:C6MkIlvU [37/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


……この気持ちがおさまらない。

こんなに泣いたの、イワンコの頃のルガルガンと初めて会った時以来だ。

いや、それ以上に……。


今までのが全部無駄になったのだと思うと、本当に、本当に嫌で……!!


……その時、声が聞こえた。


ロコン「……ルガルガン?」
 ▼ 188 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:57:54 ID:C6MkIlvU [38/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「ロコン! 聞こえるかーっ!?」


……ルガルガンの声がする。


やめて。もう無駄なの。

やめて……。


ルガルガン「ロコン!!」



ルガルガン「お前のことが……好きだっ!!」
 ▼ 189 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:58:30 ID:C6MkIlvU [39/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
え……?


ルガルガン「俺の事を何回も、何回も助けてくれた!!」


ルガルガン「一緒にいるだけで楽しかった!!」


ルガルガン……?


ルガルガン「だからさ……この旅に意味がないって思ってるかもしれないけど……そんなことない!!」


……!!


ルガルガン「現に、俺はこの旅で変われたんだ!! 進化できたんだ!!」
 ▼ 190 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:58:48 ID:C6MkIlvU [40/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「ほのおのいしを触ってダメなら、別の方法を探せばいい!!」

ルガルガン「こおりのいしを探すか? それとももっと他の方法があるかもしれない!!」

ルガルガン「それはわからない! ……けど!!」


ルガルガン「俺はずっと、ロコンに着いていくっ!!」


ルガルガン……っ!!
 ▼ 191 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:59:07 ID:C6MkIlvU [41/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「いいの!? もしかしたら進化出来ないかもしれないんだよっ!?」


私も叫ぶ。


ルガルガン「それなら……俺は、一生ロコンに着いていくっ!!」

ロコン「っ……!!!」


ルガルガン「俺はお前が好きなんだああああああああああっ!!!」


その時。

私の胸が、じんわりあたたかくなったような気がした。
 ▼ 192 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 22:59:25 ID:C6MkIlvU [42/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ロコン「ルガルガン……っ、私……!」


涙が溢れ出る。

でもそれは悲しみの涙ではない。


ロコン「私も……ルガルガンのことが好きっ!!!」


その瞬間。

私の胸の奥から、あたたかいものが溢れ出た。


まるで、氷が溶けていくような……そんな感覚。



そして……私は──。




──キュウコンに進化していた。
 ▼ 193 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:02:22 ID:C6MkIlvU [43/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


……吹雪が止む。

俺はすぐにロコンの元に駆けつけた。


すると……。


そこには、ロコンではなく……。


……キュウコンがいたのだ。


ルガルガン「!!! ロコン、お前……!」

キュウコン「……うん、進化したみたい……!!」


キュウコンが涙を流しながら笑った。
 ▼ 194 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:03:22 ID:C6MkIlvU [44/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルガルガン「……っ、綺麗な黄金色だ……」

キュウコン「えへへ、そうかな……。ありがとう!」


ロコンは、黄金色の毛並みが綺麗なほのおタイプのキュウコンに進化していた。


キュウコン「貴方のおかげよルガルガン。貴方が、私の凍りきった心を溶かしてくれたの」

ルガルガン「俺が……!」

キュウコン「本当に、ありがとうっ……!!」

ルガルガン「いいや、俺こそ……! キュウコンが進化してくれて嬉しいよ」
 ▼ 195 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:03:44 ID:C6MkIlvU [45/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコン「私も……克服できた」


キュウコンが嬉しそうに言う。


キュウコン「ほら……見て」


と言い、キュウコンが空に向かって叫ぶと……。


パアッと雲が晴れ、夜明けの空が見えた。


ルガルガン「凄い……!」

キュウコン「あ、太陽が昇ってくる……!」
 ▼ 196 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:04:08 ID:C6MkIlvU [46/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコンがそう言った直後。

雲が晴れた空から、太陽の光が差し込んでくる。

朝が、来た。


太陽の光は、吹雪で凍った火山を溶かしてくれる。


キュウコン「"ひでり"の力をコントロールできるようになったの……!」

ルガルガン「本当か……!?」

キュウコン「ええ。……氷の力は使えなくなってしまったけれどね」

キュウコン「でも、氷の感情は私の中に残ってる。消えたわけじゃない。……共存するの」
 ▼ 197 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:04:47 ID:C6MkIlvU [47/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


……進化、した。

進化……できた。

力を……克服できた!!


……喜びを心の底から噛み締める。


お互い、自分の力を克服できた。


この旅は大成功だ……!
 ▼ 198 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:05:04 ID:C6MkIlvU [48/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◆◆◆


ルガルガン「……朝日……綺麗だな」


ポツリと呟く。


キュウコン「ええ……そうね……!」


キュウコン「まるで、私のことを祝ってくれてるみたい」

ルガルガン「そうだな……!」


祝福の光が俺たちを照らす。



ルガルガン「キュウコン。……太陽みたいだ」

キュウコン「えっ……!」

ルガルガン「あの太陽みたいに綺麗だ……!!」
 ▼ 199 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:05:20 ID:C6MkIlvU [49/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュウコン「……嬉しい。ありがとう」


キュウコンが、嬉しそうに微笑んだ。


……キュウコンは、俺の事を太陽みたいだと言ってくれた。


これからは、お互い支え合う太陽になりたい。


キュウコン「貴方も……真っ赤な夕日のように素敵よ……!」

ルガルガン「……ありがとな……!」


ふたりで笑い合う。
 ▼ 200 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:05:46 ID:C6MkIlvU [50/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
◇◇◇


そういえば……と。


キュウコン「……ねぇ、この旅って進化するための旅……だったよね」

ルガルガン「ああ。そうだな」

キュウコン「じゃあ私たちは……」


別れなきゃいけないのか。

そう聞こうと思った時。


ルガルガン「キュウコンはどうしたい?」


ルガルガンが微笑む。



……そんなの決まっている。


キュウコン「これからも……ずっと一緒に居て下さい……!!」

ルガルガン「あぁ……喜んで……!!」
 ▼ 201 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:06:03 ID:C6MkIlvU [51/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


これからも、私たち──俺たちはずっと一緒。


どんなときも……。



だって──。




──大切な"仲間"だから……!








【SS】氷炎狐と昼夜狼──完
 ▼ 202 かちう◆Xq21k6pIJA 18/09/20 23:06:37 ID:C6MkIlvU [52/52] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これにて完結です。

本SSはこちらの企画
(http://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=860029)
に参加しています。
 ▼ 203 リーザー@すごいつりざお 18/09/20 23:07:18 ID:HrOsPmJY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙でした
 ▼ 204 しがり屋ウインディ◆JKKWLseGjM 18/09/20 23:14:25 ID:y13.gKnE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
おつ
 ▼ 205 ナップ@ダイブボール 18/09/20 23:16:18 ID:6Bc6XoDE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙乙お
 ▼ 206 ガジュカイン@ばんのうごな 18/09/21 00:13:42 ID:VHCoorMo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これは神SSだっっ
 ▼ 207 ュナイパー@オレンジメール 18/09/21 06:32:01 ID:SLl2g.YA NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!
 ▼ 208 ・フェンリル◆dJe4b/5NwE 18/09/21 08:13:48 ID:5RZ6whxU NGネーム登録 NGID登録 報告
最高だ…お疲れ様
 ▼ 209 ッキー@なぞのすいしょう 18/09/21 14:46:44 ID:kdvYwYaA NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
乙!
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=879593
  ▲  |  全表示209   | << 前100 | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。
書込エラーが毎回起きる方はこちらからID発行申請をお願いします。(リンク先は初回訪問云々ありますがこの部分は無視して下さい)

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!

(消えた画像の復旧依頼は、お問い合わせからお願いします。)
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼