【SS】 トウコ 「シングルトレインに挑戦よ!」:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】 トウコ 「シングルトレインに挑戦よ!」:ポケモンBBS

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【SS】 トウコ 「シングルトレインに挑戦よ!」

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/21 21:00:01 ID:BRovUWbk [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日の天気は晴れ。暑くもなく寒くもなく、とっても穏やかな日。

こんな日は、絶好のポケモンバトル日和だ!


……まぁ、地下鉄だから関係ないんだけどね。


 トウコ 「今日は遂に……シングルトレインの3週目! ここで7連勝できれば、ノボリさんとバトル出来るっ!」


イッシュ地方には、地下鉄の中でバトルする“バトルサブウェイ”ってのがあって、各地から挑戦者が集まってくる。

その中で、一定の連勝記録を出せば、サブウェイマスターと呼ばれるノボリさん、クダリさんとバトルすることが出来る。それはバトルサブウェイ挑戦者にとって、とても名誉なことなの。


 トウコ 「ふふ〜ん。ネット予約って便利よね。今日のバトルは……、ギアステーションを10:45に出る、シングルトレイン3号。楽しみぃ〜!」


私はテレビを見ながら、ゆっくりと朝食を取る。

今日のバトルで活躍するポケモンたち――、ランクルス、ドレディア、コジョンドも、ポケモンフーズを摘まんでいる。


 トウコ 「みんな! 今日7連勝すれば、いよいよノボリさんとバトルよ! 気を引き締めていこうね!」

 ランドレコジョン 「「「 おーーー! 」」」
 ▼ 19 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/21 23:10:00 ID:BRovUWbk [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
手持ちがリーフィアとエレキッドの2匹だけですって!?

嘘よ! いまどきそんな情けない男が居るって言うの!?


 トウコ 「ちょっとアンタ! それでも男なの!? なんなのその手持ち2匹って!? バトルする気あんの!?」

 トウヤ 「えぇぇぇぇだから僕はバトルサブウェイに挑戦しようとか考えてませんって! トウコさんが無理矢理僕を巻き込んだんじゃないですか!」

 トウコ 「はぁぁぁもぉぉぉなんでよ。男だったら普通、必要最低限のバトル要員を持ってるんじゃないの? それともこれが噂の“草食”ってやつなの!?」

 トウヤ 「……あ、僕のリーフィアは“リーフガード”で……」

 トウコ 「特性の話じゃないわよ! それにリーフィアに“そうしょく”は有り得ないでしょ!」

 トウヤ 「」 ビクッ!

 トウコ 「……もぉいいわ。登録しちゃった以上、アンタにもバトルして貰うから、絶対に私の足を引っ張らないでよ!」

 トウヤ 「はい……」
 ▼ 20 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/21 23:20:00 ID:BRovUWbk [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そのタイミングで、マルチトレインが入って来た。普段挑戦しているシングルトレインと違って、緑色では無くオレンジ色をしている。


 トウヤ 「おぉっ! マルチトレイン用G編成が、1号線ホームに!」

 トウコ 「なっ!?」

 トウヤ 「A編成が車両不足で、共通予備編成も出払ってるからこそ実現した、G編成の1号線乗り入れ……。カメラカメラ!」

 トウコ 「……アンタ、鉄道マニアなの?」

 トウヤ 「はい! トウコさんには分からないと思いますけど、この……」

 トウコ 「分からないわね」

 トウヤ 「えっ……僕まだなんにも……」

 トウコ 「はいはい写真は降りてから! 今はバトルに集中よ!」

 トウヤ 「えぇぇえぇぇぇぇっ!?」

 トウコ 「えぇぇじゃないわよ! そもそも、これのどこが珍しい訳? 普通の地下鉄じゃない」

 トウヤ 「えっとですね……、このオレンジ色の車両は、普段はサンヨウ方面へ向かう7号線車両なんです。それが今日、この1号線に入って来たんです。滅多にお目にかかれないことですよ! ……あ、ゴニョッターに呟いとこ。“シングル3号スジは、予定通りG編成で代走”……っと」

 トウコ 「……やっぱり私には分からないわ」

 トウヤ 「でも、見て下さいよ、ホームの先端」

 トウコ 「ん?」
 ▼ 21 ーピッグ@ピンクのバンダナ 15/05/21 23:26:20 ID:EtspzMGQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 22 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/21 23:30:00 ID:BRovUWbk [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤが指す方向――、ホームの端っこを見ると、そこには人だかりができていた。

みんな、地下鉄にカメラを向けてるみたいだけど……。


 デント 「んん〜! 僕らの街、サンヨウを通る7号線の、ほのかにスパイシーなフレイバー。その濃密な味わいが、1号線の流れるような淑やかさに混ざり合う……まさに、魅惑のマリアージュ……、メトロソムリエの血が騒ぐ!」


 トウヤ 「写真撮ってる人、たくさん居ますよね。それだけ珍しいんですよ」

 トウコ 「なんか1人、病気みたいな人が居るけど……」

 トウヤ 「あれは、メトロソムリエのデントさんですよ。僕らの中では有名人です。……呟いとこ。“メトロソムリエのテイスティングなう”」

 トウコ 「キモッ」 (ふ〜ん。そこまで地下鉄に熱心な人も居るのね)

 トウヤ 「……トウコさん、心の中で思うことと呟くことが逆じゃないですか?」

 トウコ 「……いいわ。さっさと乗ってバトルよ!」

 トウヤ 「うぅ……、僕もあそこで撮りたかったのに……」


かくして私は、不運にもこんな地下鉄マニアとタッグを組むことになってしまった。

バトルに興味を示さない、男としてのプライドを何処かに置き去りにしてしまったかのような草食系男子と。


……あぁ、今日の運勢が最悪なのって、このことだったのね。

せっかく楽しみにしていたバトルサブウェイだけど、今日だけは、憂鬱な気分で臨まなくちゃいけないみたいだ。
 ▼ 23 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/21 23:32:00 ID:BRovUWbk [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今日はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。
 ▼ 24 ノンド@シャラサブレ 15/05/22 15:45:12 ID:eew8EWCA NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 25 レッグル@モンスターボール 15/05/22 18:01:55 ID:eM1No97k NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援(´∀`∩)↑age↑
 ▼ 26 マズン@ちいさなキノコ 15/05/22 18:56:17 ID:deOACmSM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 27 ラードン@ひこうのジュエル 15/05/22 19:39:40 ID:FYFH36d. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげ
 ▼ 28 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 14:00:00 ID:ieoWQ6BU [1/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
マルチトレインに乗り込んだ私たちは、トレーナーブースで少し待機。

バトル開始は、係員から準備が整った旨を告げられてからとなる。


 トウヤ 「これがマルチトレインの車内……初めて乗りましたよ!」

 トウコ 「ふ〜ん。地下鉄マニアなのに、中は興味無いのね」

 トウヤ 「まぁ、バトルに興味ないので」

 トウコ 「……はぁ」


本当、なんでこんな奴とタッグを組むことになっちゃったのかしら。

手持ちがリーフィアとエレキッドだけって……、完璧に“ポケモンは友達だ〜”ってタイプの人よね。

こんな奴じゃ、7連勝はおろか、初戦突破だって怪しいかもしれない……。


 トウコ 「(もぉぉホント今日はツイてないんだから!)」


私は自分の判断を悔やんだ。
 ▼ 29 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 14:01:01 ID:ieoWQ6BU [2/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 係員 「それでは準備が出来ましたので、只今よりバトルを開始します。挑戦者の方、車端部の端末にICカードをタッチしてください」

 トウコ 「ようやくスタートね!」

 トウヤ 「地下鉄の中でバトルなんて……考えた人は何を勘違いしたんだろう……」


私とトウヤは、車内の端っこにある端末にICカードをかざした。これで、このマルチトレインでのバトルの管理が行われる。

バトルポイントの配布や、連勝記録なんかも記録され、その内容は、バトルサブウェイの会員ページから確認することができる。


 係員 「それでは、トウヤさんとトウコさんの第1戦目、対戦相手は、OLさんとお嬢様です」


 OL 「私には野望があるっ! それは会社を乗っ取ることっ!」

 お嬢様 「嘘ついててごめんなさい。お嬢様じゃないの、わたし……」


 トウコ 「行くわよランクルス!」

 トウヤ 「頼むぞリーフィア!」
 ▼ 30 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 14:02:00 ID:ieoWQ6BU [3/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
OLはストライク、お嬢様はチラチーノを繰り出した。

トウヤは戦力に考えないとして、見た感じ、相手のポケモンは、そこまで強く育てられている感じではない。ここは私一人で押し通す!


 トウコ 「いくわよランクルス! ストライクに“サイコキネシス”!」

 ランクルス 「らぁぁぁんくわぁぁぁぁぁ!」

 トウヤ 「リーフィアはチラチーノに“でんこうせっか”だ!」

 トウコ 「いい! アンタは動かないで隅寄ってなさい! ランクルス! 続いてチラチーノにも“サイコキネシス”!」

 ランクルス 「らぁぁぁんくわぁぁぁぁぁ!」

 トウヤ 「えぇぇぇ……」


ランクルスの“サイコキネシス”1発で、ストライクもチラチーノもダウン。

その後に繰り出されたオニドリルとビークインも、ランクルスの攻撃で速攻ダウンさせた。


ふふっ。“いのちのたま”持ちでHC252振りのランクルスに勝てる訳ないでしょ。

 ▼ 31 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 14:03:00 ID:ieoWQ6BU [4/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
その後、2戦目、3戦目と、ほぼ私の単独の力で勝ち進み、次は4戦目。

対戦相手の関係で少し時間が空くらしく、私たちは車内の隅にある椅子に座って、相手の登場を待っていた。 

こうやってると、普通の地下鉄に乗っている気分だ。……まぁ、それが“普通の”ことなんだけどね。



 トウヤ 「それにしてもトウコさん、ポケモンバトル強いんですね。完全に僕とリーフィア邪魔者でしたね」

 トウコ 「当たり前。私はアンタと違って、戦略を立ててバトルしてるの」

 トウヤ 「戦略? ランクルスとコジョンドで押し通してる風にしか見えませんでしたけど……」

 トウコ 「それは結果論よ。押し通して勝てる相手ならそれで押し進むだけよ」

 トウヤ 「珍しいですね、そういう女の子って」

 トウコ 「それはアンタの価値観でしょ?」

 トウヤ 「まぁそうですけど……、もっとこう、女の子って、おしとやかなポケモンを使って、可愛らしくバトルするイメージがあったので」

 トウコ 「……悪かったわね、可愛らしくなくて」

 トウヤ 「あっ……いやそう言う意味じゃ……」

 トウコ 「アンタには分からないでしょうけどねぇ……、いまどき女の子だって強くなくちゃいけないの。やれコンテスト、やれトライポカロン……。そういう着飾った祭典って嫌いなのよ。鬱陶しいったらありゃしない」

 トウヤ 「分かりますよ。トウコさん、そんなオーラ出してますもんね」
 ▼ 32 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 14:04:01 ID:ieoWQ6BU [5/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「どういうことよ?」

 トウヤ 「活発そうな格好じゃないですか。いかにもバトル一筋って言うか、こう……女の子を捨ててる、みたいな?」

 ― バキッ!

 トウヤ 「いだっ!? グーで殴ることないじゃないですか!」

 トウコ 「黙りなさい。私は、強くなることを第一に考えて生きてるの! アンタみたいな地下鉄マニアとは違うんだから!」

 トウヤ 「まぁ女の子で僕と同じくらいの地下鉄マニアが居たとしたら、さすがに引きますけどね」

 トウコ 「安心しなさい。私は既に、アンタのこと引いてるから」

 トウヤ 「酷い言われようですね、僕」

 トウコ 「バトルで私以下の男なんて屑よ」

 トウヤ 「さっきの山男さんやサイキッカーさんも?」

 トウコ 「屑よ」

 トウヤ 「容赦ないですね。そんなに男に恨みでもあるんですか?」

 トウコ 「……アンタには関係ないでしょ」

 トウヤ 「……それもそうですね」

 トウコ 「とにかく! アンタは私の足を引っ張らなきゃいいの! 次のバトルだって、せいぜい私のサポートに徹しなさい!」

 トウヤ 「これマルチトレインの精神、根本から否定してますよね」
 ▼ 33 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 14:05:00 ID:ieoWQ6BU [6/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 係員 「お待たせいたしました。トウヤさんとトウコさん。間もなく次のバトルが始まりますので、ご準備願います」


 トウコ 「ほら。4戦目よ。ここまで来たら、7連勝して帰ってやるんだから!」

 トウヤ 「影ながら応援しています」

 トウコ 「ホント他人事ね」

 トウヤ 「バトルに主だって参加できない以上、他人事ですよ」

 トウコ 「……まぁいいわ」


対戦相手が、車両の向こう側に現れた。エリートトレーナーの男女……、知り合い同士みたいだ。

余談だけど、マルチトレインの参加って、別に2人で申し込む必要無かった。1人で申し込んだ人同士で、係の人がランダムでタッグを組んでくれるみたい。

そんなことなら……、こんな奴を連れて来るんじゃなかった……。


 トウコ 「行くわよコジョンド!」

 トウヤ 「行くぞエレキッド!」

 エリコ(エリトレ♀) 「いっけぇ〜オノノクス!」

 エリオ(エリトレ♂) 「行って来いテッカニン!」
 ▼ 34 チート@かえんだま 15/05/23 14:23:45 ID:rTTrujfI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ランクルスはマジガかな?
 ▼ 35 りすがりマッスルウィザード 15/05/23 14:28:48 ID:mHSHQxtU NGネーム登録 NGID登録 報告
トウコとトウヤが電王の良太郎とはなに見えて仕方がない。
 ▼ 36 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:00:00 ID:ieoWQ6BU [7/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
オノノクスは“りゅうのまい”で攻め込むタイプ……、テッカニンは“バトンタッチ”ね。ってことは、テッカニンの後が要注意……。

……ふふっ。ようやく本気で戦える相手が出てきたみたいね!


 エリコ 「まずは“りゅうのまい”よ!」

 トウコ 「(やっぱり!) 先手必勝よ! コジョンド、オノノクスに“とびひざげり”!」

 エリコ 「お願いエリオさん!」

 エリオ 「任せてエリコちゃん! テッカニン! オノノクスの前に出て“まもる”!」


テッカニンが素早くオノノクスの前に移動して“まもる”を発動。コジョンドの攻撃は防がれる。

そしてテッカニンの“かそく”で素早さが上昇。


……ふふっ。厄介なチームワークね。でも“まもる”は普通、連続では使わない。

テッカニンの次の行動は、おそらく“つるぎのまい”。攻撃が来ないと分かれば、オノノクスを片付ける方が良いに決まってる!


 トウコ 「コジョンド! もう1回オノノクスに“とびひざげり”!」

 エリオ 「させないよ! テッカニン“つばめがえし”!」

 トウコ 「えっ!?」
 ▼ 37 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:05:01 ID:ieoWQ6BU [8/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
テッカニンは目にも止まらぬ速さで“つばめがえし”をコジョンドに当てた。

このテッカニン……、まさかのアタッカー型!?


 エリコ 「ふふっ。今よオノノクス! コジョンドに“ドラゴンクロー”!」


“つばめがえし”を受けた一瞬の隙を突かれ、オノノクスの“ドラゴンクロー”が直撃した。

“りゅうのまい”を積まれて、威力は相当なものだ。


 トウコ 「コジョンド!」


コジョンドは持ちこたえて、オボンの実を食べる。かなりのダメージを受けた証拠だ。


 トウヤ 「エレキッド! テッカニンに“でんげきは”!」


ここでトウヤが動く。素早いテッカニンに対して、必中の“でんげきは”を指示。効果は抜群、確実なダメージを与えてくれた。

悔しいけど、これを突破口にしたい。
 ▼ 38 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:15:00 ID:ieoWQ6BU [9/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「続いてコジョンド! テッカニンに“アクロバット”!」


こんなに早く“アクロバット”を指示するとは思わなかった。

オボンの実を食べたことで持ち物が無い状態になり、“アクロバット”の威力が増す。テッカニンの守りを考えれば、高い確率で落とせるはず。

“まもる”を使われるかもしれないけど、間髪入れずに突っ込めば関係ない。


 エリコ 「エレキッドに“ドラゴンクロー”よ!」

 エリオ 「“バトンタッチ”だテッカニン!」


えっ……ここで“バトンタッチ”!? アタッカーじゃなかったの!?

コジョンドの“アクロバット”が直撃する寸前で、テッカニンはボールに戻る。そして次に出てきたのは……


 エリオ 「頼むぜメタグロス!」


メタグロス……。

高い攻撃と一定の守り……。しかも、“かそく”を引き継ぐから素早さが上がってる。
 ▼ 39 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:20:00 ID:ieoWQ6BU [10/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 エリオ 「メタグロス“コメットパンチ”!」


“コメットパンチ”がコジョンドに直撃。効果抜群のワザを受け、コジョンドは無残にも、大きな活躍をせずに倒れてしまった。


 審判 「コジョンド、エレキッド、戦闘不能!」


同じタイミングで、エレキッドも倒れたようだ。流石にオノノクスとやり合って勝てるとは思っていない。

……本格的にマズいわ。実質私一人、ランクルス1匹で、相手の4体を倒さなくちゃいけないなんて。


 トウコ 「お願いランクルス!」

 トウヤ 「頼むぞリーフィア! トウコさん、この状況じゃ、僕に出来ることがあれば何でも……」

 トウコ 「私に口出ししないで!」

 トウヤ 「えぇぇぇ……」
 ▼ 40 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:25:00 ID:ieoWQ6BU [11/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……とは言ったものの、ここはトウヤも戦力に加えないと、勝てる相手では無い。

不本意だけど、協力するしかない。


 トウコ 「……まずは厄介なメタグロスから責めるわよ!」

 トウヤ 「はいっ!」


 エリコ 「私たちのコンビネーションを甘く見ないで欲しいわね! オノノクス、リーフィアに“ドラゴンクロー”よ!」

 トウヤ 「かわして“でんこうせっか”!」

 エリオ 「メタグロスはランクルスに“かみなりパンチ”!」

 トウコ 「“シャドーボール”で向かい打って!」


“かみなりパンチ”で来る当たり、あのメタグロスは物理アタッカー。だったら特殊ワザで押して接近戦にさせなければ良いだけだ。

ランクルスの“シャドーボール”で押し返せる……。私はそう思っていた。


 トウコ 「えっ!?」
 ▼ 41 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:40:00 ID:ieoWQ6BU [12/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……押し返せない。

“シャドーボール”をものともしないで、メタグロスは“かみなりパンチ”でランクルスに突っ込んで来た。


 エリオ 「どうだい、僕のメタグロスの耐久は!」


よくよく見ると、メタグロスの体に何かが装備されている。

あれは……、とつげきチョッキ。攻撃技しか出せなくなる代わりに、特防が1.5倍になるアイテムだ。

元々の固さと相まっているとは言え、効果抜群の“シャドーボール”に打ち勝つなんて……。


 トウヤ 「“リーフブレード”!」

 エリオ 「うわっ! 仕返ししてやれメタグロス! “れいとうパンチ”!」

 トウヤ 「“でんこうせっか”の勢いで避けて!」


トウヤのリーフィアが、オノノクスからの攻撃を避けながら、メタグロスに攻撃を入れた。

ダメージ自体は大きくないだろうけど、私からの指示を、一応言う通りに実行してくれているらしい。
 ▼ 42 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:45:00 ID:ieoWQ6BU [13/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「私も負けてられないわ! ランクルス、“シャドーボール”で……」


しかし、ランクルスの様子がおかしい。

これは……マヒしてる!? 今の“かみなりパンチ”で!?


 トウコ 「うそっ!? しっかりしてランクルス!」


そんな……!

“かみなりパンチ”のマヒなんて、たった10%の確率なのに!?


 エリコ 「チャンスよオノノクス! 連続“ドラゴンテール”で攻め込んじゃって!」

 エリオ 「メタグロスはそのままリーフィアを追い詰めろ! “れいとうパンチ”!」


 トウコ 「しっかりしてランクルス! こんなところで負けるアンタじゃない! “サイコキネシス”で立ち向かうのよ!」


けど、そんな私の呼びかけも、無残に散ることになる。

マヒ状態のランクルスは、目に見えて行動が鈍くなって、オノノクスの“ドラゴンテール”の直撃を受けた。動けないランクルスをあざ笑うかのような、連続の“ドラゴンテール”を。


 トウコ 「クッ……ランクルスっ!」
 ▼ 43 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:50:00 ID:ieoWQ6BU [14/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 係員 「ランクルス、戦闘不能!」


私のポケモンは、全滅した。

リーフィアは、回避主体だけど、まだ頑張っている。

あれだけトウヤを邪魔者扱いしてた私が……先に負けちゃうなんて……。


 トウヤ 「……戻れリーフィア」

 トウコ 「えっ!?」

 トウヤ 「僕たちの負けてす。これ以上戦っても、とても勝てるとは思えません」

 係員 「それでは……、降参と言うことでよろしいですか?」

 トウヤ 「はい。よく頑張ったね、リーフィア」

 リーフィア 「ふぃぃあっ」


こっ……降参?

そんな……、自分から負けを認めるっているの? 最後まで諦めないでバトルするんじゃないの!?
 ▼ 44 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 18:52:00 ID:ieoWQ6BU [15/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 エリコ 「やったぁ! やったわねエリオさん!」

 エリオ 「あぁ! これで6連勝! 次はいよいよ7戦目だね!」


あんなカップルに、私が負けたって言うの……? しかも、形式上は「降参」で……。


 係員 「トウヤさん、トウコさん、お疲れ様でした。そのまま待機して頂いて、次の駅でお降りください」


もちろん私だって、バトルで負けたことはある。

けど、「降参」なんて……。はなっからバトルを諦めるような負けなんて……。

そんな判断が出来るなんて……信じられない!


 トウヤ 「いやぁ、相手のお二人、すっごい強かったですね。トウコさん抜きじゃ、とても敵いませんよ」


なに言ってんのよコイツ。降参することが……、どんなに恥ずかしい事か分かってるの!?


 トウコ 「ふざけないでっ!」

 トウヤ 「えっ……」


私が叫ぶと同時に、マルチトレインはソウリュウシティの駅に到着した。
 ▼ 45 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 20:00:00 ID:ieoWQ6BU [16/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 アナウンス 『奏竜市、奏竜市です。4番線はポケモンバトル専用列車、臨時のマルチトレインです。予め乗車手続をされた方のみご乗車いただけます。 次の1号線内回り電車は、24分発となります』



 トウヤ 「奏竜市駅は、1号線の北のターミナル。環状線ですが、ここを起終点としているダイヤもあります。そして2号線はここで分岐して、北奏竜……ポケモンリーグ方面へ向かうんです」


得意気に喋りだす地下鉄マニア。

そんなトウヤが、余計に腹立たしい。私は極力冷静になって、口を開いた。


 トウコ 「……アンタは、それでいいわけ?」

 トウヤ 「ん?」

 トウコ 「いくら勝てそうにない相手だからって、降参なんて恥ずかしいマネ、よく出来たわね」

 トウヤ 「無意味にリーフィアを傷つけたくなかったので」

 トウコ 「それでもよ! バトルを始めたからには、最後まで戦うのが筋じゃないの!? しかもタッグバトルよ? 私や対戦相手に失礼だって思わないの!?」

 トウヤ 「それはお互いの価値観の違いです。僕は、無暗矢鱈にポケモンを傷つけたくはありません。確かに降参された相手にしてみれば、拍子抜けしてしまうでしょうけど、だからって自分の価値観を曲げる理由にはなりません」
 ▼ 46 ッコウガ@かえんだま 15/05/23 20:11:46 ID:zvUu21Fo NGネーム登録 NGID登録 報告
相性は6世代なんだ

支援
 ▼ 47 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 20:20:00 ID:ieoWQ6BU [17/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「……はぁ。じゃあ聞くけど、アンタ、悔しくないワケ? あんなウザったらしいカップルに負けて」

 トウヤ 「リーフィアとエレキッドは、十分に戦ってくれました。見るからに強そうなポケモンを相手にして。僕としては上出来ですよ」

 トウコ 「でも私は納得してないのよ! 私が降参で負けるなんて……ホント信じられない! アンタ責任感じてないの!?」

 トウヤ 「いや……もともとはトウコさんが無理矢理僕をバトルに引きずり込んだ訳ですし……、それに、降参しちゃいけないなんて聞いてませんもん」

 トウコ 「ふつう降参なんて選択肢、あると思わないでしょ!?」

 トウヤ 「だからそれは価値観の違いだって……」

 トウコ 「とにかく! 私は納得できないわ! マルチトレイン7連勝、絶対リベンジしてやるんだから!」

 トウヤ 「まぁ……頑張ってください、トウコさん」

 トウコ 「アンタもよ」

 トウヤ 「……へ?」

 トウコ 「私は降参したアンタが許せないの! マルチトレインのリベンジは、不本意だけどアンタとタッグ組まないと意味ないのよ!」

 トウヤ 「えええぇぇぇ!? 僕もう関係ないじゃないですかぁ!」

 トウコ 「うるさい! とにかく! 私はアンタのその甘ったれたバトル感を鍛え直すわ! ポケモン回復したら特訓よ!」

 トウヤ 「いいです! 遠慮します!」

 トウコ 「ムリ! リベンジ達成するまで、私のタッグ相手になって貰うんだから!」
 ▼ 48 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 20:45:00 ID:ieoWQ6BU [18/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「うぅ……なんで僕がこんな目に……。やっぱり占いの通りだ……」

 トウコ 「……それもしかして、朝のニュース? アンタ何座?」

 トウヤ 「獅子座ですけど?」

 トウコ 「……最悪よ! 運勢最悪が2人でタッグ組んだら、そりゃこうなるわよ!」

 トウヤ 「ってことは、トウコさんも獅子座なんですか。奇遇ですね。誕生日いつですか? ちなみに僕は8月8日です」

 トウコ 「……8月6日よ」

 トウヤ 「6日ですか。流石に誕生日まで同じになるような偶然は起きませんでしたね」

 トウコ 「起きてほしくも無いわよ!」

 トウヤ 「でも、占いを信じてる当たり、トウコさんも女の子らしい一面あるんですねっ」

 トウコ 「黙れ!」

 トウヤ 「」 ビクッ!


まったく、私の運勢のせいだと思ったら、トウヤまで獅子座だったなんて。そりゃ良くないこと起こるわよ、絶対に。

とにかく、このままじゃ私の気がおさまらない。リベンジするには、やっぱりマルチトレイン7連勝しかない。……条件的に、仕方なく、トウヤと一緒に。

もぉぉぉバトルに無様な負け方したのも、こんなにムシャクシャスするのも、全部シングルトレインが動かなかったせいよ!
 ▼ 49 ッシード@マスターボール 15/05/23 20:54:44 ID:ijwoVq7M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウコ脳筋過ぎわろた
 ▼ 50 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 21:40:00 ID:ieoWQ6BU [19/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケモンセンターにランクルスたちを預けて、回復が終わるのを待つことに。

土曜日だからか、街の中は人出が多く、このポケモンセンターも、トレーナー同士の情報交換で賑わっている。


 トウヤ 「……本当に僕も特訓に付き合わなくちゃいけないんですか?」

 トウコ 「当たり前。逃げたら張り倒すわよ」

 トウヤ 「……もう諦めましたよ。それより、回復が終わるまで暇ですよね」

 トウコ 「あーはいはい。地下鉄でも見てくれば?」

 トウヤ 「あっ……いや。いい時間なので、一緒にお昼でもどうですか?」

 トウコ 「……あのねぇ。私は地下鉄マニアなんかにエスコートされる軽い女じゃないの。私に失礼よ」

 トウヤ 「いや……単純にバトル仲間としてお昼に誘っただけなんですけど」

 トウコ 「それに、アンタみたいなモヤシと一緒にランチだなんて、恥ずかしったらありゃしないわ」

 トウヤ 「本当に酷い言われようですね」

 トウコ 「勘違いしないで欲しいんだけど……、私はリベンジのためにアンタとタッグを組むだけであって、ホントは不本意なのよ。なんで降参した相手とタッグ組まなきゃいけないのよ。腹立たしい」
 ▼ 51 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 21:51:00 ID:ieoWQ6BU [20/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「だったら、別の強い男の人を探した方が、お互いのためだと思うんですけど……」

 トウコ 「それじゃ私のプライドが許さないの! アンタは素直に私に従ってればいいの! 分かった!?」

 トウヤ 「……こんなこと言うのもアレですけど、トウコさんって、我儘に育てられたんですね」

 トウコ 「はぁ!?」

 トウヤ 「そもそも、僕はバトルを好みません。男としてどうなのかってトウコさんは言いますけど、人にはちゃんとした理由があるんです。それも考えもしないで強制するなんて、僕から見たら、トウコさんの方が失礼ですよ」

 トウコ 「だったら言ってみなさいよ。その“ちゃんとした理由”っでやつを」

 トウヤ 「それはお断わりします」

 トウコ 「……舐めてんのアンタ? 自分から理由があるって言ったんでしょ!?」

 トウヤ 「それはお互いさまじゃないですか」

 トウコ 「お互いさま?」

 トウヤ 「トウコさんも僕に話してくれませんでしたもん。男に恨みがあるような振る舞いをする理由」

 トウコ 「……はぁ。もう怒る気も失せたわ」

 トウヤ 「怒ってたって何も始まりませんよ。一緒に特訓するんなら、お互い、腹を割って話せる関係にならないと」

 トウコ 「アンタに私の腹の内を打ち明ける気なんて皆無だわ」

 トウヤ 「そうでしょうね」
 ▼ 52 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 22:00:00 ID:ieoWQ6BU [21/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「……でもいいわ。ここに居ても暇だし、ランチくらい付き合ってあげるわよ」

 トウヤ 「おぉ……ありがとうございます」

 トウコ 「奢りなさいよ」

 トウヤ 「……言われる気はしましたよ。でもまぁ、男たるもの、お昼くらい女の子に奢らないと務まりませんよね」

 トウコ 「アンタ、変な所で男らしいのね」

 トウヤ 「たとえどんな形であろうと、トウコさんは女の子ですからね」

 トウコ 「……殴られたい?」

 トウヤ 「ごめんなさい」


ある意味自暴自棄になって、私はトウヤに案内されるがままについて行く。

男と一緒にランチなんて、私からすれば考えられない。

でも、トウヤみたいなモヤシなら危険なことも無いだろうし、奢って貰えるのなら、それに越したことは無い。


ポケモンセンターから5分くらい歩いた路地裏で、トウヤは足を止めた。
 ▼ 53 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 22:11:22 ID:ieoWQ6BU [22/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「ここです」

 トウコ 「カロス……ダイニング?」

 トウヤ 「はい。お手軽な価格でフレンチを楽しめる、ちょっとした穴場のレストランなんです」


なんでトウヤがこんな店を知ってるのかは疑問だけど、悪くない趣味だ。

流木を使ったと思われる大きな看板に、ウッドデッキ風の入口。花壇には赤と黄色の花が植えられている。


 店員 「いらっしゃいませ」

 トウヤ 「すみません。予約していないんですけど、大丈夫でしょうか?」

 店員 「えぇ、すぐにご案内できますよ」

 トウヤ 「ありがとうございます」


トウヤは店員と自然な遣り取りすると、自分の帽子を脱ぎ、入口の帽子掛けにスマートに掛けた。私も慌ててトウヤに続く。

お店の中は、……例えるなら学校の教室くらいの広さしかない。天井はダクト類が剥き出しになっていて、それがまたシックに感じる。

観葉植物が飾られた店内は、狭さを感じさせないようなテーブルの配置だ。合計……10グループくらいしか入れないんじゃないかな。

私たちは、窓際の2人掛けのテーブルに案内された。
 ▼ 54 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 22:20:00 ID:ieoWQ6BU [23/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「どうぞ、トウコさん」

 トウコ 「あっ、えぇ……」


トウヤがわざとらしく、私の椅子を引いてくれた。

他人の目があるところだから、カッコつけようって魂胆かしら。


 店員 「どうぞ、お嬢さん」


……そんなことを考えてると、さっきの店員の人が、おしぼりを手渡してくれた。


 トウコ 「あっ……ありがとうございます」


紙おしぼりが置いてあるのが普通だと思ってたのに、きちんとしたタオル素材のおしぼり、しかも手渡しで渡されるなんて。


これってもしかして……、高級店の部類じゃないの?

トウヤ、見栄張って良い店に連れて来てくれたの? 

えっ……お金とか大丈夫なの!?
 ▼ 55 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 22:30:00 ID:ieoWQ6BU [24/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 店員 「こちら、ランチメニューになります。お好きなコースをお選びいただいて、それぞれのお料理を、こちらの中からお選びください。なお、本日のスープはグリーンピースの冷静スープ、お魚料理は、タイのムニエル風となっております」

 トウヤ 「ありがとうございます。決まりましたら、またお呼びしますね」

 店員 「かしこまりました。では、どうぞごゆっくり」


トウヤは場馴れしてるような感じで、スマートの店員とやり取りする。

こんなモヤシが……、こんな きちんとしてるなんて信じられない……。
 

 トウヤ 「トウコさん、先に飲み物とか頼みますか?」

 トウコ 「えっ……と……、アンタ大丈夫なの? こんな高級なお店……。私、そんなのお金持ってないわよ」

 トウヤ 「大丈夫ですよ。別に払って貰おうなんて思ってないので。それにほら……、2,000円台で食べれるんですよ、ここ」


そう言って、トウヤはメニューを見せてくれた。

 ▼ 56 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 22:40:00 ID:ieoWQ6BU [25/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……どうしよう。どんな料理が出てくるのか、全然わからない。


 トウコ 「………」

 トウヤ 「僕は……、Cコースで、ホタルイカと、仔牛のブランケットにしますね。トウコさんは?」

 トウコ 「えっと……私は……」

 トウヤ 「3種類あるから、迷っちゃいますよね」

 トウコ 「あっ、と……」

 トウヤ 「……よかったら、僕に任せてくれませんか?」

 トウコ 「えっ?」

 トウヤ 「トウコさん、お肉とお魚、どっちが好き?」

 トウコ 「お肉……かな」

 トウヤ 「じゃあ、”あっさり”と、“こってり”は?」

 トウコ 「あっさり……」

 トウヤ 「分かりました」 スッ
 ▼ 57 デンネ@はっきんだま 15/05/23 22:47:22 ID:czHysxrQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんだこの鉄ちゃん、クソイケメンや
 ▼ 58 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 22:49:00 ID:ieoWQ6BU [26/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……と、トウヤが静かに手を上げた。

すると、さっきの店員さんがオーダーを取に来てくれた。「すいませーん」って呼ぶんじゃないんだ……。


トウヤは店員さんに、きめ細かくメニューを注文してる。

私がメニューの内容が全然分からないこと……多分トウヤは気付いてる。それで、自分に任せろ〜なんて言ったに違いない。

有難いと言えば有難いけど……、なんだか情けないよ、私。さっきまでバトルで散々文句言ってたのに……。


私は店内を見渡す。

私たちの他に、お客さんは8組。女性グループが1組いる他は、みんなカップルだ。ドレスコート……とまではいかないけど、みんな、それなりの格好をしている。

いくら上着を着てるからって、タンクトップとホットパンツの私は、明らかに場違い。なんだか周りから見られてる気もする。


 トウヤ 「トウコさん」

 トウコ 「あっ……はい?」

 トウヤ 「どう? お洒落なお店ですよね」

 トウコ 「えぇ……。トウヤ、なんでこんな店を知ってるのよ」

 トウヤ 「何度か来たことがあるんです。まさか、トウコさんみたいな女の子と一緒に来ることがあるなんて、考えてませんでした」
 ▼ 59 ジアイス@じめんのジュエル 15/05/23 22:49:06 ID:9L6NxO66 NGネーム登録 NGID登録 報告
今回画像いっぱい作ってんな小技が効いてて面白い
 ▼ 60 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 22:50:00 ID:ieoWQ6BU [27/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「そうよ……まわりカップルだらけじゃない。私たちもその……そう言う風に見られちゃうんじゃないの?」

 トウヤ 「大丈夫ですよ。みなさん思い思いのランチタイムを過ごしてるんですから、他人の関係まで意識しませんって」

 トウコ 「それもそうだけど……なんだか私、場違いみたいな感じで……」

 トウヤ 「そうですか?」

 トウコ 「だって他の女の人、みんなきちんとした格好じゃない。私だけこんな軽装で……」

 トウヤ 「カジュアルファッションって思えば、特段気にすることでもないですよ」

 トウコ 「カジュアルって……」

 トウヤ 「いいじゃないですか。健康そうな女の子って感じですよ」 ニコッ


こいつ……なによさっきから、私のこと女の子女の子って。

地下鉄マニアのクセに、なんでこんなに、私のこと女の子らしく扱うのよ。馴れ馴れしい。


……でも、こんな風に女の子扱いされたのって、いつ以来だろうな。

 ▼ 61 カマル@やわらかいすな 15/05/23 22:54:14 ID:mLP1zO4. NGネーム登録 NGID登録 報告
何気にトウコ×トウヤのカップリングって良いな
 ▼ 62 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/23 23:50:00 ID:ieoWQ6BU [28/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
運ばれてきた料理は、想像を遙かに超える美味しさだった。

トウヤが頼んでくれた料理は、サザエとアスパラがふんだんに使われた料理と、豚肉をカリっと焼き上げてゴーヤを添えた料理。

それが正確には何て言う名前かは分からないけど、とにかく美味しいし、見た目も綺麗。

こんな料理、初めて口にした。


 トウヤ 「どうですかトウコさん、お味は?」

 トウコ 「えぇ……とっても美味しい」

 トウヤ 「良かった。勝手に選んじゃったから、口に合うか、ちょっと心配してたんですよ」


笑顔で料理を口に運ぶトウヤは、テーブルマナーもしっかりしている。

一方私はと言うと、音を立てないようにナイフを使うことに精一杯。

美味しい料理を食べることに、ある程度のマナーは必要だけど、なんとなく、自分が情けなく感じた。

同い年のトウヤは、こんなにしっかりマナーを弁えてるって言うのに……。こういう場は、女の子の方がマナーに厳しいはずなのに……。


私は……、どうしてこんな、ガサツな道を歩かなきゃいけないんだろう……。
 ▼ 63 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 00:00:00 ID:Qfruk0XI [1/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 店員 「お待たせいたしました。こちら、食後のデザート、桃のクレームブリュレです。あと、お飲物、紅茶とコーヒーをお選びいただけますが……」

 トウヤ 「トウコちゃん、どっちがいいですか?」

 トウコ 「えっと……、アイスコーヒー……って、大丈夫ですか?」

 店員 「えぇ、大丈夫ですよ」

 トウヤ 「それでは、アイスコーヒーを2つ、お願いします」

 店員 「かしこまりました」


うぅ……。店員からの受け答えにいちいち緊張してしまう。

トウヤもアイスコーヒーにしたのは、私に合わせてくれたのかな。


 トウコ 「で、トウヤ。このデザートは……」

 トウヤ 「クレームブリュレだよ。食べたこと無い?」

 トウコ 「初めて……」

 トウヤ 「えっと……プリンに感じは近いかな。表面をこう……べっこう飴みたいに、軽く炙ってあるんですよ。食べれば分かりますよ」

 トウコ 「それじゃあ……」
 ▼ 64 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 00:14:59 ID:Qfruk0XI [2/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
白い小さな器に盛り付けられたそれに、私はスプーンを入れる。

表面がザクッと崩れて、中からトロリとしたクリーム状のものが顔を出した。


 トウコ 「わぁ……美味しい」

 トウヤ 「ふふっ。これ、僕の大好物なんですよ」


ほどよい甘さに、桃の風味が口いっぱいに広がる。

確かに感じはプリンに似てるけど、それとは比べ物にならないほど、甘くて、風味豊かで、美味しい。


 トウヤ 「僕の好みですけど……、気に入って貰えましたか?」

 トウコ 「うん。とっても」

 トウヤ 「良かった。実を言うと、男が一人で甘いモノ食べるのって、けっこう勇気いるんですよね。トウコさんと一緒なら、気兼ねなく食べれますよ」

 トウコ 「……ふふっ」


確かに、こんなお洒落で可愛らしいデザート、男一人で食べてるのを想像すると、何とも言えない雰囲気になる。

私は思わず、口元が緩んでしまった。

さっきまであんなにイライラしてたのに……、やっぱり美味しい料理の力って凄いんだな。
 ▼ 65 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 00:30:00 ID:Qfruk0XI [3/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ひと通りのコースを終え、私は洗面所に立った。


ふぅ……。

いくら美味しい料理を楽しんでたって、どうしても肩の力が入ってしまう。

それに、私の服装……、やっぱり他の女の人と比べたら、絶対 場違いよね。


 ― トウヤ 『いいじゃないですか。健康そうな女の子って感じですよ』 ニコッ


……って! なんでアイツの言葉が思い浮かぶのよ!?

アイツはバトルに対する気合が足りないって言うか、そもそも降参しちゃう論外だし!


でも……、別にブ男な訳じゃ無いし、このレストランの振る舞いとか食べる姿もスマートだったし。

それに……、私を女の子扱いしてくれるし……。


女の子同士での食事だって、私はこんなに良いレストラン、入ったことが無い。

ファミレスや、ちょっと奮発してもカフェでサンドウィッチとかがいいとこなのに、トウヤは、私をこんなお店に連れて来てくれて。


やっぱり、お金払うべきよね。……あ、トウヤがなにを注文したか分からない。

確かメニュー的にはだいたい2,000円台だった気がするけど……。聞くしかないか。
 ▼ 66 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 00:50:00 ID:Qfruk0XI [4/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「お待たせ」

 トウヤ 「いえ。それじゃあ、ポケモンセンターに戻りましょう。もう回復も終わってるはずですし」


トウヤは席を立つと、真っ直ぐ出口へと向かって行く。


 トウコ 「……ってトウヤ、会計は?」

 トウヤ 「トウコさんが席を立ってる間に済ませておきました。……はい、トウコさんの帽子」

 トウコ 「えぇっ……そんな悪いわよ!」

 トウヤ 「いいんです。元々そういう約束でしたからね。 ごちそうさまでした。美味しかったです」

 店員 「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

 トウコ 「あっ……ごちそうさまでした」

 店員 「どうぞお気をつけて」


私がトイレに行ってる間に、会計を済ませてたってこと?

もぉ……何でこんなにスマートなのよトウヤって!? バトルが点でダメでも、こういうことはキチンとしてるってこと?

地下鉄マニアのクセに、女の子をエスコートする術を心得てるってこと?

ってことはトウヤ……、彼女とかいるってこと? 地下鉄マニアなのに!?
 ▼ 67 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 00:58:01 ID:Qfruk0XI [5/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「美味しかったですね。トウコさんにも気に入って貰えたようで良かったです」

 トウコ 「それよりトウヤ、いくらだったの? さすがに悪いから払うわよ」

 トウヤ 「気にしないでください。誘ったのは僕ですし」

 トウコ 「でもっ! あんな美味しい料理、絶対高かったでしょ!? ちゃんと払うから教えなさいよ、いくらだったか!」

 トウヤ 「いえいえ。それに、あのお店をチョイスしたのも僕ですし、ホント、気にしないでください」

 トウコ 「私はトウヤに借りを作りたくないの! ちゃんと言ってよ払うから!」

 トウヤ 「もぉ……女の子なんですから、そこは甘えるべきですよ」

 トウコ 「あっ甘えるって……。これがその……、お互い付き合ってるとかならまだしも、初めて会った相手に奢ってもらうなんて……、なんとなく申し訳ないのよ」

 トウヤ 「……どうしたんですか? さっきまで僕、酷い言われようだったのに」

 トウコ 「関係ないでしょ! そういうことは、キッチリしておきたいの!」

 トウヤ 「そうですか。……じゃあ、1,000円でいいですよ」

 トウコ 「嘘っ! もっと高かったでしょ!」

 トウヤ 「まぁ。でも1,000円でいいです」

 トウコ 「それじゃあ私の気が……!」
 ▼ 68 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 00:59:00 ID:Qfruk0XI [6/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「……じゃあ、残りの分は、バトルの特訓の勉強料ってことでチャラにしましょうよ。これから特訓するんですよね?」

 トウコ 「えぇ、するけど……」

 トウヤ 「じゃあ、後で1,000円だけ貰いますね。それで会計は終わりです」

 トウコ 「……うん」

 トウヤ 「納得してないみたいですけど、それが女の子の武器みたいなものですよ。素直に甘えて下さい」

 トウコ 「……ありがとう。ごちそうさま。美味しかったわよ」

 トウヤ 「……ふふっ。どういたしまして」


トウヤ……、バトルは全然なのに、なんだろう、すっごく大人びてる。

こんな私を女の子扱いして……。私、エスコートされるような性格じゃないのに……。


 トウコ 「ねぇ。トウヤって、彼女とか居るの?」

 トウヤ 「……さぁ。どうでしょうね」


こいつめ……。

でも素直に、トウヤに対する私のイメージが変わりつつある。トウヤは“良い人”だ。“悪くない男の人”だ。


そんなことを考えてるうちに、私たちは、ポケモンセンターに戻って来た。
 ▼ 69 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 01:00:00 ID:Qfruk0XI [7/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。
 ▼ 70 タドガス@マグマブースター 15/05/24 12:21:56 ID:zGP1A1fk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 71 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 23:11:11 ID:Qfruk0XI [8/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
回復が終わったランクルスたちを受け取って、ポケモンセンター外の練習用フィールドに足を運ぶ。

……けど、さすが土曜日とあって、フィールドは埋まっていたし、空きを待っている人もいる。


 トウコ 「……はぁ。この分じゃ、1時間待ちは確実ね」

 トウヤ 「どうしますか?」

 トウコ 「まぁ……待つしかないんじゃないかしら? どこか広い場所があればできなくもないけど、ソウリュウシティなんて初めてだから、変に動き回るのは嫌だし」

 トウヤ 「だったら、郊外に出ましょうよ。西へ行くと川があるので、その河原なら、バトル練習できるんじゃないですか?」

 トウコ 「河原ねぇ……。ここで待つよりいいわね。そうしましょうか」

 トウヤ 「では、案内しますね。ちょっとバスに乗りますけど」

 トウコ 「バス使ってまで行くとこなの!?」

 トウヤ 「すぐですから」


トウヤに続いてバスに乗り、降り立ったのは、“R9”と言うショッピングセンターの前。

高台にあるこの店舗の向かいに、下の方へ続く階段があり、トウヤはそこを下りていく。
 ▼ 72 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 23:20:00 ID:Qfruk0XI [9/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 トウヤ 「着きましたよ。ここならバトル練習するのに広さも問題ないと思います」


階段を下りきると、視界が開け、広い河原に到達した。

緑の原っぱと、砂利の河川敷。まわりは背の高い木々に囲まれていて、ソウリュウシティ郊外とは思えないような、お手軽な自然と言った感じだ。


 トウコ 「へぇ〜。トウヤ、よくこんな場所知ってたわね」

 トウヤ 「えぇ。ちょくちょく足を運ぶもので」

 トウコ 「なんで?」

 トウヤ 「後ろ、見て下さい」

 トウコ 「後ろ?」


振り返って、あぁ、と納得した。

いま下りてきた高台の中腹にトンネルがあって、そこから出てきた地下鉄が、鉄橋を渡って行く。


 トウヤ 「ここは“シリンダーブリッジ”です。地下鉄マニアもよく訪れる、有名な撮影ポイントが近くにあるんですよ」
 ▼ 73 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 23:30:00 ID:Qfruk0XI [10/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「なるほど。道理で。……けど、地下鉄マニアっぽい人は見かけないけど?」

 トウヤ 「詳しい撮影ポイントは、内回り電車は対岸、外回り電車は鉄橋の向こう側ですから。この場所は、地下鉄マニアが来ることはほぼ無いんですよ」

 トウコ 「ふ〜ん。いろいろあるのね」

 トウヤ 「えぇ。光線状況や、架線柱の間隔、足回りを隠す手すりの有無など、撮影に拘るマニアは、とことん拘りますからね」

 トウコ 「光線状況……?」

 トウヤ 「地下鉄の全面と側面……、写真に写る部分全てに日が当たる場所が、いわゆる撮影ポイントと呼ばれるんですよ。順光だと、地下鉄を綺麗に撮影できますからね」

 トウコ 「順光ねぇ……」

 トウヤ 「ちなみに、早朝や夕方の、オレンジ色の甘〜い光線が降り注ぐ順光は、“エロ光”と呼ばれます」

 トウコ 「……地下鉄マニアがキモイ理由が分かったきがするわ」

 トウヤ 「それに関しては僕も同感ですね」

 トウコ 「トウヤも十分よ」

 トウヤ 「……否定はできないから困ります」

 トウコ 「……まぁ、いいわ。早速バトルの特訓といくわよ!」

 トウヤ 「お願いします」
 ▼ 74 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 23:40:00 ID:Qfruk0XI [11/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「そもそも……、トウヤはリーフィアとエレキッドしか持ってないんだから、まずは伸びしろのあるリーフィアから行くわよ」

 トウヤ 「分かりました。出ておいでリーフィア」

 リーフィア 「ふぃぃあ!」


元気よくボールから飛び出して来たリーフィアは、トウヤの足元に擦り寄った。そうとう愛情持って育てられてるのね。


 トウコ 「同じ草タイプで相手してあげるわ。お願いドレディア」

 ドレディア 「れでぃっ!」


 トウヤ 「うわぁぁドレディアじゃないですかぁ!」

 トウコ 「えっ?」

 トウヤ 「♀ですよねこの子? 可愛いなぁ〜。頭の花が鮮やかなほど、よく育てられてるって聞きます。君、大切に育てられてるんだねっ」 ナデナデ

 ドレディア 「れでぃ〜ぁ♪」

 リーフィア 「ふぃぃあ、ふぃぃあ?」

 ドレディア 「れっでぃれでぃぁぁ〜」

 トウヤ 「本当に可愛いなぁドレディア。トウコさん、ちゃんと女の子らしいポケモン持ってるじゃないですか」
 ▼ 75 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/24 23:50:00 ID:Qfruk0XI [12/12] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「おっ……女の子らしくなんか……」

 トウヤ 「ドレディアの花、良い香りですね。大切に育ててるんですね、トウコさん。そう言う面も、“女の子らしい”って言うんですよ」

 トウコ 「まっ……まぁ、ドレディアは美しさとバトルでの実用を兼ね備えてるし、トレーナーとして、ポケモンを大切に育てるのは当たり前だし」

 トウヤ 「……あ、そうだ! いつもリーフィアが食べてる、草タイプ用のポケモンフーズがあるんだけど、ドレディア、食べてみる?」

 ドレディア 「どれっ?」

 トウヤ 「……これだよ。僕が調合したんだ」

 トウコ 「調合って……、トウヤが作ったってこと?」

 トウヤ 「作った……まではいかないですよ。市販品をベースに、独自に調合したペーストを粉末にして まぶしてあるんです。どうかな?」

 ドレディア 「……れぇぇでぃっ♪」

 トウヤ 「美味しい? 良かった!」


ふ〜ん。あんまり他人には懐かないドレディアが、トウヤにはコロッと懐くなんて……。

それに、ポケモンフーズに独自のアレンジを加えてるんだ……。

私だって、みんなの健康や食事には気を付けてるつもりだけど、そこまで手を込んだことは出来ないなぁ。
 ▼ 76 ガルデ@ルカリオナイト 15/05/24 23:56:04 ID:tBDRvpR. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
クスノキなんでコテ変えたん?
 ▼ 77 ニョニョ@ゆきだま 15/05/24 23:58:29 ID:jY5v/EJs NGネーム登録 NGID登録 報告
>>76
文体とか文才、画像編集技術の上手さから察せてたけどやっぱりクスノキさんだったのか…
 ▼ 78 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 00:00:00 ID:LpYo1CSs [1/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……トウヤ、バトル以外は完璧なんだ。ポケモンの育て方とか、マナーとか、それに、知識も。

なんだか、ますます私が情けなく見えちゃう。裏を返せば、バトルだけじゃない、私の誇れることって……。


 トウヤ 「……あ、すみませんトウコさん。なんだか僕ひとりで盛り上がっちゃって。バトルの特訓でしたよね」

 トウコ 「あっ……えぇ。とにかく! トウヤはまず、バトルに慣れて貰わないと困るわ」

 トウヤ 「では、トウコさんのドレディアと練習試合と言うことですか?」

 トウコ 「そうね。まずは実戦でイメージを掴んで貰って、それでこう……、タイミングとかコツとかを……」


― ブォォンブォンブォンブォォォォンブワァァァァァンブォンブォン!

― ブァンブァンブァァァァァァァンブォォォンブロロロロロ……


 トウコ 「……ってうるさいわねぇ! どこのバイクよ!?」


見ると、2台のバイクが、原っぱを縦横無尽に走っている。わざとらしく吹かせるエンジン音が、バカみたいにうるさい。


 トウヤ 「……ダメですよトウコさん。あんまり見てちゃ」

 トウコ 「なんでよ? うるさい奴に変わりないでしょ!?」


そうこうしているうちに、その2台のバイクが、私たちに近付いてきた。
 ▼ 79 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 00:10:00 ID:LpYo1CSs [2/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 *** 「おいテメェら。ここはオレらのシマなんだ。余所行ってくんねぇか?」

 ※※※ 「そこに突っ立ってるとよぉ、愛車で カッ飛ばせねぇんだ」


バイクから降りるなり、スキンヘッド風の男2人は言った。


 トウコ 「なによ! ここら辺は自然じゃない! 誰のものでもないはずよ!」

 トウヤ 「ちょっとトウコさん……」

 トウコ 「それに、こんな所でバイク乗りまわされた方が危ないわよ!」

 *** 「んだとこのアマ!」

 ※※※ 「まぁ待てよサブ。お嬢ちゃんは、ここに来たの初めてかな?」

 トウコ 「だったら何よ?」

 ジム 「オレはジム。そっちはサブ。バッドチームのジムとサブって言えば、ここいら9番道路で知らねぇ奴はいねぇ。悪いことは言わねぇ。さっさと失せな」

 トウコ 「嫌。私たちは今からバトルの練習するの。アンタたちこそ、邪魔しないでくれる?」

 サブ 「んだと調子乗りやがって!」
 ▼ 80 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 00:20:00 ID:LpYo1CSs [3/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「待って待ってトウコさん! すみませんでした お二人方。僕たち、ここがお二人のホームベースとは知らずに。すぐに立ち去りますから」

 トウコ 「ちょっとトウヤ! 男ならビシッと文句の一つや二つ言ったらどうなの!?」

 トウヤ 「無暗にことを荒立てる必要ないですよ」

 トウコ 「……なによ。男らしいとこもあるって思ったけど、結局はモヤシじゃない。こういう時こそ、女の子を守るものなんじゃないの?」

 トウヤ 「だけど、反社会勢力と関わって、お互い得することなんて無いですって!」


 サブ 「ゴチャゴチャうるせぇぞガキども!」

 ジム 「へっ! そっちのお嬢ちゃんの方が、よっぽど威勢良いじゃねーか。気に入ったぜ。オレらと良い事しねぇか?」

 サブ 「おっ、いいな! お嬢ちゃん、可愛がってやるぜ? なんならベッドの上のポケモンバトルでもするか?」

 トウコ 「なっ……ふざけないでっ! 誰がアンタたちなんかと!」

 サブ 「チッ! ノリ悪ぃな」

 トウヤ 「ほらトウコさん! ……では、僕たちはこれで」

 ジム 「待てよ。オレらにナメた口きいて、そのまま帰す訳ねーだろ!」

 サブ 「ちょっくら可愛がってやるよ」

 トウコ 「なんですって……!?」
 ▼ 81 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 03:00:00 ID:LpYo1CSs [4/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「ホントいい加減にしてくださいトウコさん!」

 トウコ 「アンタそれでも男なの!?」

 サブ 「おーおー兄ちゃん、言われちゃってるねぇ」

 ジム 「情けねぇなぁ。お嬢ちゃん、そんな奴無視して、オレらと遊ぼうって!」

 トウコ 「アンタ等と遊ぶくらいなら死んだ方がマシよ!」

 サブ 「んだと!?」

 トウヤ 「だから! お二人方! これ以上僕たちに絡むのなら、不当監禁で訴えることになりますよ!」


私たちの間に割って入ったトウヤは、スマホを取り出して、警察のダイヤルに指を当てて言い放った。

警察って……。何て言うかこう、他人頼みで解決しよって魂胆丸見えじゃない。


 サブ 「ほぉ〜」


そんなトウヤに、スキンヘッドの1人が近づく。
 ▼ 82 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 03:03:00 ID:LpYo1CSs [5/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「……なんですかっ!?」

 サブ 「……ヒョロイ体してんな。 オラっ!」 ブンッ!

 トウヤ 「あっ!?」


そして、トウヤのスマホを いとも簡単に取り上げると、川の中へと放り投げた。


 ジム 「だっははははっ!」

 サブ 「お前……少しは抵抗しろよ」

 トウヤ 「川に投げ入れることないじゃないですか! “saiPhone”って防水とか点でダメなんですから!」


あちゃぁ……。

なんだか、一緒に居る私の方が恥ずかしくなってくる。脅す道具を簡単に奪われてどうすんのよ……。


 ジム 「お前ら……刃向った覚悟できてんだろーな?」

 トウコ 「そんな脅しで、私がビビるとでも思ってんの!?」

 トウヤ 「だからトウコさん……!」


スキンヘッド2人は、そんな私の姿を見て、ニヤニヤと笑い出した。なによ気持ち悪い。
 ▼ 83 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 03:06:00 ID:LpYo1CSs [6/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 ジム 「その威勢だけは褒めてやるよ。……どうだ? オレらとタッグバトルしねぇか? オレらに勝てたら帰してやるよ」

 サブ 「けどもし負けたら……お嬢ちゃん。オレらに1日付き合えな!」

 トウヤ 「そんな一方的な挑発……」

 トウコ 「いいわ。受けてやるわよ」

 トウヤ 「えぇぇぇぇ!?」

 サブ 「へへっ。聞いたかジム!」

 ジム 「おぅ。約束だからなお嬢ちゃん。負けてから泣いても関係ねーからな!」

 トウコ 「そっちこそ! 約束は守りなさいよ!」

 ジム 「ククッ。身の程知らずめ……」

 サブ 「勝つ気でいんのか? バッドチームの実力……思い知らせてやるよ!」


こんな奴らに挑発されて、黙ってる訳にはいかない。

バッドチームだかなんだか知らないけど、売られたバトル、買わない訳にはいかないのよ!
 ▼ 84 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 03:09:00 ID:LpYo1CSs [7/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「トウコさんちょっとは考えて下さいよ……」


それなのに……なによトウヤ、情けない。

ちょっとデキる男だなって思ったけど……、人間ってこういう時に、本心が出るものよね。

暴走族相手にビビって、バトルから背を向けるなんて……。やっぱりトウヤは、男としては失格だ。


 サブ 「……で、お前らはそのドレディアとリーフィアで行くんだな!」

 ジム 「だったら2対2で行こうか。出てこいワルビアル!」

 サブ 「出番だガブリアス!」


ガブリアス……また定番の強ポケが出てきたわね。それと、もう一方はワルビアル……。

対してこっちは、ドレディアとリーフィア。草単体が2匹って……あんまり良いタッグとは言えないわね。


 トウヤ 「仕方ありません。トウコさん、なんとか乗り切りましょう!」

 トウコ 「アンタに言われる筋合いは無いわよ!」

 トウヤ 「えぇぇ……」


かくして、早くもトウヤと組むタッグバトル2回目が、いま、始まった。
 ▼ 85 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 03:13:00 ID:LpYo1CSs [8/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。


>>76
深い意味はありませんが、今後のSSは、これまでのSSとは絡みの無い完全に別時空の出来事として執筆している点を、明確にするためです。
 ▼ 86 シコ@すいせいのかけら 15/05/25 10:13:51 ID:q6phW1RI NGネーム登録 NGID登録 報告
やっぱりクスノキさんだったんだ!

支援
 ▼ 87 ピアー@ズアのみ 15/05/25 16:40:15 ID:5sMNcXkU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 88 エンジシ@ナナのみ 15/05/25 16:59:57 ID:42mS26t2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 89 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 20:00:50 ID:LpYo1CSs [9/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


 ジム 「ケッ……痴話喧嘩なのか、単に仲悪いだけなのか……」

 サブ 「もしくは男が尻に引かれてるかだな」

 トウコ 「バカにしないで! 行くわよドレディア! “ちょうのまい”!」

 ジム 「“ちょうのまい”積む暇なんてねーぜ! ワルビアル“ほのおのキバ”!」

 サブ 「ガブリアスはリーフィアに“がんせきふうじ”! 動き封じてやんな!」


相手は同時に動いた。

トウヤが使えないって分からないからか、それぞれ別々に攻撃を仕掛けてくる。

それは即ちチャンスだ。受ける攻撃が1発分で済むんだから。“ほのおのキバ”を受けたとしても、“ちょうのまい”を積む価値はある。


 トウヤ 「リーフィア“でんこうせっか”で避けろ! そのままワルビアルに!」


ガブリアスからの攻撃を、“でんこうせっか”の勢いを利用して避けたリーフィアは、ドレディアに迫りくるワルビアルに突撃した。

軌道がずれた”ほのおのキバ”は不発に終わる。


 トウコ 「チャンスよ! もう1回“ちょうのまい”!」
 ▼ 90 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 20:15:00 ID:LpYo1CSs [10/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リーフィアの援護のお陰で、もう1回、“ちょうのまい”を積める。

奇跡的に役に立ったわね、トウヤ。


 ジム 「チッ……邪魔しやがって! ワルビアル! リーフィアに“ほのおのキバ”だ!」

 トウヤ 「避けろ!」

 サブ 「ガブリアスはドレディアに“ドラゴンクロー”!」

 トウコ 「こっちも回避よ!」


素早さも同時に上がっているので、ドレディアはギリギリのろころで“ドラゴンクロー”を回避。

ガブリアスの鋭い爪が、地面を抉り取る。


 トウコ 「そろそろ行くわよ! ドレディア! “はなびらのまい”!」


“ちょうのまい”からの“はなびらのまい”は、定番中の定番。

しかも特性“マイペース”のドレディアなら、混乱の心配もなく、安全に強力ワザを撃ち込める。
 ▼ 91 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 20:42:00 ID:LpYo1CSs [11/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「リーフィア! ドレディアの後ろにまわって“つるぎのまい”!」


……ふーん。コイツも一応、積みワザ覚えさせてるんだ。

私のドレディアを盾にするのは良い気はしないけど、一応、考えたワザ構成には なってるのかしら。


 サブ 「チッ! ガブリアス! “がんせきふうじ”でドレディアを抑え込め! “はなびらのまい”を出させるな!」


その瞬間、大きな岩が発生して、ドレディアを取り囲む。

“はなびらのまい”は、混乱しないとは言え、暴走ワザ。出されると厄介って踏んだのかしら。


 トウコ 「甘いわよ! ドレディア! 上に向かって“はなびらのまい”発射!」

 ドレディア 「でぃぃぃぃあぁぁぁぁぁ!」


“がんせきふうじ”は、ワザを出す相手の周囲に岩を落として身動きを取れなくするワザだけど、上は空いてる場合が多い。

……空いてる場合が多い、って言うのは、特訓すれば、上からも、それこそ、完全に相手を岩に埋めつけることだって出来る。

でもこのガブリアスは、そこまで特訓されていなかったみたいだ。
 ▼ 92 ノムー@せいしんのハネ 15/05/25 20:43:15 ID:42mS26t2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バトルの描写がポケスペっぽくて好き
 ▼ 93 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 20:50:00 ID:LpYo1CSs [12/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サブ 「なにっ!?」

 ジム 「ワルビアル! “ストーンエッジ”で向かい打て!」


無数の花びらを飛ばす“はなびらのまい”に対して、無数の尖った岩を飛ばす“ストーンエッジ”で対抗……。なかなか考えたわね。

でも、“ちょうのまい”を2回も積んでる“はなびらのまい”が打ち勝つに決まってる。何も問題は無い。


 トウヤ 「リーフィア! ワルビアルに“リーフブレード”!」

 リーフィア 「ふぃぃぃぃぁっ!」

 
 ジム 「バカなっ!?」


リーフィアがドレディアの影から飛び出して、ワルビアルに“リーフブレード”を当てた。

“つるぎのまい”で上がった攻撃力、ワルビアルに対して効果抜群。


 サブ 「おいテメェ!?」


リーフィアの攻撃、結構ダメージを与えたのか、“ストーンエッジ”が不発となる。

そしてそれによって、“はなびらのまい”がガブリアスに直撃した。
 ▼ 94 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 20:55:00 ID:LpYo1CSs [13/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「いいわよドレディア!」

 トウヤ 「リーフィア! あの岩に向かって“リーフブレード”!」

 リーフィア 「ふぃあ!」


リーフィアが、ドレディアのまわりの岩を粉砕してくれた。これで幾分、“はなびらのまい”の狙いが定まりやすくなる。


 トウコ 「モヤシのクセに良い仕事するじゃない!」

 トウヤ 「それが“タッグバトル”ってものですよ!」


 ジム 「ナメんな! ワルビアル! リーフィアに“ほのおのキバ”!」


ドレディアのまわりの岩を崩すために、一時的に的に背中を見せていたリーフィア。

その隙を逃さず、ワルビアルの“ほのおのキバ”が、リーフィアに直撃した。


 トウヤ 「リーフィア! 大丈夫か!?」

 リーフィア 「ふぃあっ……!」
 ▼ 95 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 21:00:30 ID:LpYo1CSs [14/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……ここはガブリアスを倒すことに集中よ。


 トウコ 「ドレディア! “はなびらのまい”連発!」

 ドレディア 「でぃあああぁぁぁ!」

 サブ 「クッ! “ドラゴンクロー”で押し返せ!」


雪崩のごとく押しせまる“はなびらのまい”を、ガブリアスは必死に“ドラゴンクロー”で抵抗している。

……でも、特殊ワザに物理ワザで挑もうなんて無意味。


 サブ 「クソがっッ! なに押し負かされてんだガブリアス!?」


2回目の“はなびらのまい”が、ガブリアスに直撃した。

けどまだ倒れない。ここは連続“はなびらのまい”一択よ!


 ジム 「ワルビアル“ほのおのキバ”!」

 トウヤ 「引きつけろ!」
 ▼ 96 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 21:30:00 ID:LpYo1CSs [15/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私は一瞬、トウヤの方に目をやった。

ワルビアルの“ほのおのキバ”を、ギリギリまで引きつけさせるつもりらしい。

……やめとけばいいのに。

ワザを引きつける技術は、そうそう容易いものじゃない。トレーナーとポケモンの息がぴったり合って、かつ、タイミングを図るには、ある程度のバトル経験が不可欠だ。


 トウヤ 「今だ“リーフブレード”!」

 リーフィア 「ふぃぃあっ!」


えっ……!?

私の予想に反して、トウヤは完璧なタイミングでリーフィアに指示を出した。


 ジム 「ワルビアル!?」


すくい上げるような形で直撃した“リーフブレード”は、ワルビアルの体を持ち上げ、鉛直方向へ弾き飛ばす。

その先は……。


 トウコ 「……あっ!」
 ▼ 97 ポポタス@モコシのみ 15/05/25 21:35:51 ID:TbkZ/w.U NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 98 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 21:40:00 ID:LpYo1CSs [16/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ドレディアが放っている、“はなびらのまい”の攻撃線上だった。

結果、ワルビアルが“はなびらのまい”に生身で突っ込む形となり、直撃。この連携ワザで、ワルビアルはダウンした。


 ジム 「おいワルビアル……!?」

 サム 「なにやってんだジム!?」

 ジム 「畜生!」


こいつ……。なんでこんなバトルが出来るのよ!?

さっきのマルチトレインは、いったい何だったって言うの!?


 サム 「調子乗んじゃねぇ! ガブリアス“げきりん”だ!」

 ジム 「うわぁ……またサムのガブリアス、暴れだすと手ぇつけらんねぇんだよなぁ……」

 トウコ 「あっ!?」
 ▼ 99 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 21:50:00 ID:LpYo1CSs [17/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤのバトルに気を取られたせいで、ドレディアへの指示が遅れてしまった。

ガブリアスは、これまでとは打って変わったスピードで突っ込んできて、ドレディアに“げきりん”が直撃。その鈍く光る爪が、縦横無尽に振り下ろされる。


 トウコ 「クッ! ドレディア! ここは“やどりぎのタネ”でガブリアスの動きを封じるわよ!」


手が付けられないほどに暴れるガブリアスを、“やどりぎのタネ”によるツタで抑え込もうと試みる。


 サム 「無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」


……けど、ガブリアスの鋭い爪相手じゃ、無理があった。


 トウコ 「やっぱり攻撃一直線よ! “はなびらのまい”!」

 サム 「突っ込めガブリアス! とにかく突っ込めやぁ!」

 トウコ 「うそっ!?」


ガブリアスは“はなびらのまい”を喰らいつつも、なおも“げきりん”で突っ込んで来た。

向かい風に逆らうかのごとく、捨て身の暴れ、目の前の敵を倒すことだけを考えているような、ガブリアスの赤い眼差し。
 ▼ 100 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 22:00:00 ID:LpYo1CSs [18/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
2発目の“げきりん”が直撃。思わず足を崩すドレディア。

マズいわよ……。ドレディアは、お世辞にも防御は高くない……。ガブリアスの基本とも言える“げきりん”を、これ以上喰らう訳にはいかない!


 サム 「次ぃ! リーフィアに向かって“げきりん”行ってやれぇ!」


ドレディアが体勢を崩したのを見て、ガブリアスの攻撃先は、リーフィアに変更された。

リーフィアは防御の高さに定評あるけど、だからって、連続であの威力を受けるのは厳しいはずだ。


 トウヤ 「……ここは“つるぎのまい”だ!」

 トウコ 「なっ……!?」


ここで“つるぎのまい”って……なに考えてんのアイツ!?

このままじゃ“リーフブレード”で対抗できそうにないからって、あえて攻撃を上げようってこと!?


 トウヤ 「頑張れリーフィアっ!」
 ▼ 101 ールル@するどいツメ 15/05/25 22:03:17 ID:Mkv24kmc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ガブリアスに対してドレディアの2回積んだ「はなびらのまい」は確定1発なんだよな…
 ▼ 102 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 22:10:00 ID:LpYo1CSs [19/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
“げきりん”が、リーフィアに直撃。

顔を しかめながら耐えるリーフィア。


 サブ 「オラ暴れまくれガブリアス!」


勿論、その1発で“げきりん”は終わらない。

リーフィアに容赦なく振り下ろされる、ガブリアスの鋭い爪。

これじゃリーフィアが危ないわよ! ホントどういうつもりよあのバカ!?


 トウコ 「ドレディア! “はなびらのまい”でリーフィアを……」


 トウヤ 「行くぞリーフィア! “とっておき”!」

 リーフィア 「りぃぃぃぃぃふぃあああぁぁぁっ!」



“とっておき”……ですって!?

アタッカー型でも耐久型でも、あんまりワザ構成に入れられることのない“とっておき”を、あえて使ってるって言うの……?
 ▼ 103 ろりグレー 15/05/25 22:17:45 ID:W2cPvsHQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援(´∀`∩)↑age↑
 ▼ 104 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 22:20:00 ID:LpYo1CSs [20/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 サブ 「ガブリアス!?」


“つるぎのまい”で強化された、超高威力の“とっておき”。

リーフィア持ち前の攻撃の高さと相まって、ガブリアスの足元を崩すほどの高ダメージを与えることに成功した。


 サブ 「おい! そんな小っこい相手にバカにされんじゃねぇ! 立てガブリアス!」

 トウコ 「……チャンスよ! “はなびらのまい”!」


ここは押し通す!

膝をついているガブリアス……決めるなら今しかない!


“はなびらのまい”は一直線にガブリアスに突撃し、ピンク色の花びらで、ガブリアスを包み込む。

綺麗な見た目とは裏腹に、その花びら全てがダメージ源となる、強力なワザだ。


 サブ 「クソがっ! 立てガブリアス!」
 ▼ 105 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 22:30:00 ID:LpYo1CSs [21/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
もう、ほとんど勝負は付いている。

あのガブリアスは混乱状態。ラムの実とか持たせてなかったのかしら。

しかも、“とっておき”と“はなびらのまい”の直撃を受けて、膝を付いている状況。混乱してるから倒れない、と言うのが正確かもしれない。


 ジム 「おいサム!」

 サブ 「こんな生意気なガキどもに負けられっかよ! ガブリアス“はかいこうせん”! あのガキもろとも薙ぎ払え!」


“はかいこうせん”って……。攻撃ワザ主体のガブリアスに特殊ワザ覚えさせてるワケ?

って言うか今の指示……!?


 トウヤ 「トウコさん伏せてっ!」

 トウコ 「あっ……!?」



直後、私はトウヤに押し倒された。

その瞬間、私たちの頭上を、黒い光線が突っ切った。それはまさしく、ガブリアスから発射された“はかいこうせん”。全てを薙ぎ払う、ノーマルタイプの強力ワザ。
 ▼ 106 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 22:40:00 ID:LpYo1CSs [22/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「ちょっとアンタ! トレーナーまで狙うのはポケモン取扱法違反よっ!」
 
 トウヤ 「トウコさん伏せてて! あのガブリアス混乱してます!」


トウヤは……、私を少しでも守ろうとしてくれてるのか、私の上に覆い被さったまま動かない。

トウヤの体が、顔が、近い……。こんなモヤシに押し倒されるなんて……屈辱よっ! こんな私を体を張って守るなんてバカなの!?


 トウコ 「ちょっとトウヤっ……!」

 トウヤ 「あのスキンヘッドも、何をするか分かりません! 大人しくしてた方が身のためです!」


でもっ……、何故だか悪い気はしなかった。


“はかいこうせん”は、ガブリアスを中心に180度、270度と、円弧を描くようにガブリアスの正面にある木々を、岩を粉砕していく。

混乱による暴走……しかも主体はガブリアス。これほどタチの悪い事は無い。


……と、その時。


 ▼ 107 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 22:50:10 ID:LpYo1CSs [23/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 ― ズザアアァァァァン! メキメキガラガラガラッ!!!


 ジム 「……おいサム! これはやべーぞ!」

 サブ 「……マジだな。戻れガブリアス! ガキども! 命拾いしたと思いな! 次はタダじゃ済まさねぇからな!」

 ジム 「いいからさっさと行くぞ!」


何か大きなものが崩れる音がしたかと思うと、スキンヘッドの2人はバイクに跨り、慌ててこの場を立ち去った。

これ……、崖でも崩して、環境破壊で しょっ引かれるのが怖かったのかしら。


 トウコ 「……まぁどっちにせよ、私たちの勝ちね! トウヤ、アンタ、案外やるのね」

 トウヤ 「これ……マズい!」

 トウコ 「えっ……?」


トウヤが慌てた口調で言った。

振り返ってみると、そこでようやく、私は事の重大さに気付くことになる。
 ▼ 108 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 23:00:00 ID:LpYo1CSs [24/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

 トウコ 「鉄橋がっ……!?」


鉄橋の柱が2本、“はかいこうせん”の被害を受けていたのだ。

さっきの抉るような音と崩れ去る音は、柱のコンクリート片が崩落した音。コンクリートの中に通っている鉄筋がむき出しになって、それすらも、ズタズタに引き裂かれている。


 トウヤ 「シリンダーブリッジが……!」

 トウコ 「でもっ……、かなり抉られてる割には、崩れるような雰囲気でもないけど……」


他の柱に支えられてるのか、2本がダメージを受けても、鉄橋自体が揺れてるとか、そういった、崩壊の前兆は見られない。


 トウヤ 「……いいえ。今は大丈夫でしょうけど、地下鉄が通ったら……、その振動で崩落する危険はあります!」

 トウコ 「えぇっ!?」


地下鉄が通ったら崩れるって……。

今まで何度も利用してきた地下鉄が……。今まで楽しんで来たバトルサブウェイが……。

それに、鉄橋の上から川まで、けっこうな高さがある。もし崩れたりしたら、地下鉄に乗ってるお客さんだって危ない!
 ▼ 109 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 23:50:00 ID:LpYo1CSs [25/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「早く地下鉄を止めないと! トウコさん携帯持ってませんか!? 僕のサイフォン水没させられてしまったので!」

 トウコ 「えっ……ごめん! 携帯持ってないの!」

 トウヤ 「そうですか。なら……ダメだ! こんなところに非常電話も公衆電話も無い!」

 トウコ 「……こうしちゃいられないわ!」

 トウヤ 「あっ……トウコさん!?」

 トウコ 「あそこ! 非常階段でしょアレ!? あそこ登って線路に出て、地下鉄に危ないって知らせるしかないわよ!」


鉄橋の柱に へばり付くようにに設置された、金属板で出来た非常階段。幸い、崩れた柱とは別の場所にあったので、これを登ることが出来る。


 トウコ 「ドレディア! ちょっと加減して……、あの非常階段の入口を壊して!」

 ドレディア 「でぃあ!」


ドレディアは、威力を弱めた“はなびらのまい”で、非常階段の入口を塞いでいた鉄格子を破壊した。


 トウコ 「ありがとうドレディア! 一旦戻って!」

 トウヤ 「戻れリーフィア! トウコさん、いま時間分かりますか!?」

 トウコ 「えぇ! ……16時12分よ!」
 ▼ 110 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 23:53:00 ID:LpYo1CSs [26/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
非常階段を駆け上がりながら、私は腕時計を確認した。

何か考え込むように黙ったトウヤが、少しして、口を開く。


 トウヤ 「……いまちょうど穴に入ってます!」

 トウコ 「穴?」

 トウヤ 「えぇ。地下鉄が来ない時間帯のことです!」

 トウコ 「そうなの!?」

 トウヤ 「はい。シリンダーブリッジを通る地下鉄1号線は、完全なパターンダイヤ……、あ、毎時何分に発車するかが決まってるんです。内回りだと、ソウリュウシティの駅を、00分

から12の倍数と、それ+4分の時刻に発車します」

 トウコ 「……ってことは、0分、4分、12分、それから……16分、24分……的な?」

 トウヤ 「はい! で、ソウリュウシティからシリンダーブリッジまで、約5分かかります」

 トウコ 「となると……、16時12分マイナス5分で16時07分だから……、ソウリュウシティを16時04分に出た地下鉄が、ギリギリ通過してるってことよね!?」

 トウヤ 「はい! 外回りも同じ間隔で、ソウリュウ着が毎時02分、10分、14分、22分、26分……と続きます。両方向とも、“8分間の穴”に当たるんです!」

 トウコ 「……でも、その計算だと、16時09分に両方向とも通過して、次は8分後でしょ? それだと17分に通過だから、あと5分も無いわよ!」

 トウヤ 「そうなんです! だから急がないと!」
 ▼ 111 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 23:56:00 ID:LpYo1CSs [27/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私たちは階段を上りつめて、鉄橋の内部、線路の部分に到達した。


 トウコ 「……ちょっとコレ!?」

 トウヤ 「……やっぱりマズいです!」


見ると、線路の部分、鉄橋の床……、って言うのかな? そこに亀裂が入っている。

やっぱり柱2本が崩れたせいで、全体のバランスがおかしくなっているみたいだ。




【 参考画像 】

トウヤとトウコの現在位置と周辺図


 ▼ 112 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/25 23:59:00 ID:LpYo1CSs [28/28] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「……16時13分40秒。もう時間ないわ! 私はソウリュウシティの方から来る地下鉄を止めるから! トウヤはセッカシティの方から来る地下鉄を止めて!」

 トウヤ 「あっ……待ってトウコさん!?」


もう、考えてるヒマはない。あと3分ほどで、地下鉄がここを通るんだから。

私はソウリュウシティ方向へ向かって、地下鉄の線路を走り出す。

線路はすぐにトンネルに入るので、辺りは真っ暗。等間隔で並ぶ電灯があるけど、こんな薄暗い灯り、有って無いようなものだ。


とにかく、地下鉄の運転士が私を見つけて、急ブレーキをかけて、鉄橋に出る前に止まって貰わないとマズい。要するに私は、あと3分足らずで、極力ソウリュウシティ方向へ進まなくちゃいけないんだ。


 トウコ 「……あっ!?」


 ― ズシャッ!


……と、側溝のようなものに足を取られて、私は転んでしまった。

こんな暗闇のなか走ったら、そりゃぁ足元が危ないことくらい分かってる。


でも、唯一の目撃者である私たちが、地下鉄を止めなくちゃいけないんだ!

私はすぐに起き上がって、痛む足を庇いながら、再びソウリュウ方面へ走り出した。
 ▼ 113 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 00:00:00 ID:x9cBjLc. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
今夜はこの辺で終了します。
ご支援、ご感想、ありがとうございました。


>>101
その辺りをSSに落とし込むのは案外難しいので、ここではアニメのような描写としました。
(計算方法が分からないなんて口が裂けても言えない)
 ▼ 114 オップ@バシャーモナイト 15/05/26 10:14:39 ID:nr.VBads NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 115 ルキア@かいのカセキ 15/05/26 18:28:23 ID:3s1EVjOg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 116 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 20:30:30 ID:x9cBjLc. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告



 トウヤ 「トウコさんっ!」

 トウコ 「えっ!?」


トウヤの声がした。

振り向くと、暗いトンネルの向こうから、トウヤがこちらに走ってくる。


 トウヤ 「トウコさんっ! このままじゃ危険です! 早く退避スペースに入ってください!」

 トウコ 「……トウヤ!? アンタ、逆方向の地下鉄は どうしたのよ!?」

 トウヤ 「エレキッドに任せました!」

 トウコ 「エレキッドにって……大丈夫なの!?」

 トウヤ 「大丈夫です! それより、早く退避スペースへ! こんな狭いトンネルじゃ、トウコさん地下鉄に轢かれてしまいますよ!」

 トウコ 「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!? 私たちが地下鉄を止めなきゃ、もっと大勢の人が死んじゃうかもしれないのよ! それに地下鉄が来たら、トンネルの壁に へばり付くから大丈夫よ!」

 トウヤ 「風圧でバランス崩したらどうするんですか!? とにかく危ないですから! そこの退避スペースに!」


トウヤは強い口調で、トンネルの窪みを指さした。あれが退避スペースってやつなの?
 ▼ 117 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 21:00:00 ID:x9cBjLc. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウヤ 「あそこに入って、地下鉄に合図を送りましょう!」

 トウコ 「あんなとこから手を振るだけじゃ、運転士気付くわけないでしょ!? アンタ本当に地下鉄を止める気あんの!?」

 トウヤ 「それ以前に! トウコさんが死んでしまったら意味ないじゃないですかっ!」

 トウコ 「トウヤ……?」

 トウヤ 「さっ……早く!」

 トウコ 「ぁっ……ちょっと……」


トウヤは私の手を掴むと、強引に、退避スペースに私を押し込んだ。

モヤシのクセに力強く、私はちょっとだけ圧倒された。


 トウヤ 「ここから出ないでください! 地下鉄は、僕が止めます!」

 トウコ 「……ちょっと待ってよ。それって、トウヤが線路に出て、地下鉄に合図するってこと?」

 トウヤ 「そうなります」

 トウコ 「それじゃトウヤが危ないじゃない! トウヤが私の身代わりになるってことでしょ!? そんなこと許さないわよ!」

 トウヤ 「許されなくても結構です。……考えてみれば、運命なんですよ。僕がやらなきゃいけないんです」
 ▼ 118 州街道◆IVIG1YNTZ6 15/05/26 21:10:00 ID:x9cBjLc. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
 トウコ 「運命……? トウヤ、なに言ってんの……?」

 トウヤ 「体を張って地下鉄を止める……。僕は、そういう運命にあると言うことです。でも、心配しないでください。ギリギリでトンネルに へばり付いて、風圧に耐えて見せます。

僕が死ぬって決まった訳じゃありません」

 トウコ 「でもっ! 危ないんでしょ!? もし失敗したら……」

 トウヤ 「失敗しても、それが運命です」

 トウコ 「……なによ、さっきから運命運命って。カッコつけてるつもりなの!? 言っとくけど私! トウヤのこと心配してるのよっ!?」

 トウヤ 「……ふふっ。ありがとうございます。その気持ちだけ頂きますよ。けど、運命以外に言いようがありません。これは、僕が抱えてる問題なんです。詮索しないでください」

 トウコ 「詮索って……」


いったいトウヤは何を言ってるんだろうか。

詮索されたくない運命……、体を張って地下鉄を止めるということが、どうしてトウヤの運命になるの?


……けど、トウヤの目に、迷いは無かった。


風が、強くなった。

腕時計に目をやると、時刻は16時16分20秒。時間通りなら、あと40秒足らずで地下鉄が通過する。
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