【SS】ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く:ポケモンBBS

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【SS】ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く

 ▼ 1 ルーラJr 19/07/15 18:03:01 ID:HfLwEi9I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
皆さんこんにちは。ガルーラJrと申します。

あと4ヶ月もすればポケモン剣盾が発売されるので今更感もありますが、個人的にどうしてもチャレンジしてみたかったポケモンSMのお話を書かせていただきたいと思います。

基本的にゲーム本編に準拠したお話になりますが、以下の点を予めご了承ください。

1:登場人物
 ゲーム編では例えば男主人公を選ぶと女主人公は出てきませんが、
このSSでは両方のキャラクターをヨウ、ミヅキとして登場させます。

2:登場人物の手持ち
 登場人物の手持ちは基本的にゲーム本編に準拠しますが、中には
1匹か2匹入れ替えを行ったり、また、ゲーム本編で例えば
最大5匹しか手持ちを持っていない人物には1匹追加したりします。

3:本編の補足的なストーリーの追加
 本編では語られていないストーリーを私なりに考えて追加しています。
特にグラジオ、ルザミーネについてはそれが顕著です。

4:形式
 地の文を用いた形式で書かせていただきます。

皆さんに楽しんでいただけるよう最後まで頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ▼ 35 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:26:41 ID:Bg.cayMY [1/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
日が空いてしまい申し訳ないです。
これから本編スタートです。
よろしくお願いします。
 ▼ 36 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:29:34 ID:Bg.cayMY [2/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 01 アローラ地方到着 1


「いやー、ついに着いたわねー!」

降り注ぐ太陽の下、新居のベランダで背伸びをしながら女性の明るい声が響いた。

その様子を見て、黒い長髪の少年が引っ越しの荷物の段ボールを片付けながら言った。

「ママ、新しい家に着いて嬉しいのはわかるけど、荷物の片付け手伝ってよ」

「ヨウってば真面目ねー。もう少し新天地に足を踏み入れた余韻に浸らせてくれてもいいじゃないの」

少年の名はヨウ、この日カントー地方からアローラ地方に母親とともに引っ越してきた。ヨウの母の姉、ヨウの伯母がアローラ地方に住んでおり、彼女の薦めでヨウたちもアローラ地方に引っ越して来たのだ。

「アローラ!ヨウ、久しぶりだね!」

「ミヅキ!」

赤いニット帽にボブカットの黒髪の少女がヨウ達の新居に上がって来た。伯母の娘であるミヅキ、その後にヨウの母にそっくりな人物、ヨウの伯母も現れる。

「アローラ。二人とも久しぶりね」

「伯母さん、お久しぶりです!」

「どう?アローラはいいところでしょ?」

「そうね、姉さん。こんなに暖かいなんて思わなかったわ。これなら冬も快適に過ごせそう」

「あなた、寒いの苦手だものね。結婚してから私はアローラ住まいだけど、冬でも寒かった日ってほとんど記憶にないわね」

楽しそうに話す母親たちに対し、ミヅキとヨウはヨウの荷物の段ボールをヨウの部屋に運び込んでいく。
 ▼ 37 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:35:12 ID:Bg.cayMY [3/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「手伝わせて悪いね、ミヅキ」

「いいっていいって。それよりさ、ヨウはこっちでポケモントレーナーになる気はあるの?」

「うーん、そうだなあ…。確かにポケモンと一緒に旅をするのは楽しそうだけど…。ミヅキはトレーナーにはならないの?ミヅキ、昔からポケモンによく好かれてたじゃん?僕よりもミヅキの方がトレーナーには向いてるような気がするな」

「うーん、そうかなあ?でも、ヨウは昔から勉強もできたし、記憶力もいいし、ポケモンバトルの知識もすぐに吸収しそう」

「あんまりおだてないでよ。はいお菓子」

「なんだ、何も出ないのかと思ったら、出てくるじゃん」

ミヅキはヨウからお菓子を受け取り、ムシャムシャと食べ始めた。

「トレーナーかあ…。ジムバッジを集めて、リーグに挑戦。やってみたい気もするけど、僕にもできるかな?」

「え?アローラにはジムもリーグも無いよ?」

「え?そうなの?」

アローラにはジムもリーグも無いと聞き、ヨウは驚いた。大体の地方ではその地方のポケモンリーグがあり、ジムバッジを規定数集めてから挑戦というのが通例だからだ。

「アローラにはね、島巡りっていう風習があるの。各島にいるキャプテンが課す試練を突破して、その島の長であるしまキング、しまクイーンに挑戦するんだよ」

「ふーん。ジムは無いけど、仕組みとしては似てるんだね」

ミヅキの説明を聞きながら、ヨウは自分の分のお菓子の袋を開けて食べ始めた。

 ▼ 38 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:36:11 ID:Bg.cayMY [4/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「仕組みは似てるけど、アローラ地方では島巡りはずっと昔からあって、子どもが大人になるための通過儀礼的な意味合いが強いのが違うところかな」

「ふーん…」

「…あのね、ヨウ。実は私さ…」

少しの溜めの後、ミヅキはヨウに打ち明けた。

「ポケモンをもらって、島巡りを始めるんだ。今日、しまキングのハラさんって人からポケモンをもらって、試練に挑みながらアローラを回るつもり。よかったらヨウも一緒に行かない?」

突然のことで驚いたが、悪い気はしなかった。ポケモンと冒険というのは自分も一度してみたいと思っていたことだし、自分一人だけだと不安だがミヅキが一緒なら心強いと思った。

「そうだね。ミヅキと一緒なら心強いし、僕もやってみようかな」

「そうこなくっちゃ!じゃあ、リリィタウンに行こうよ!そこでポケモンがもらえるんだよ!」

ミヅキはヨウの手を取って引っ張っていく。

「お母さん!私、ヨウと一緒にポケモンもらいに行ってくるね!」

「ちょっとミヅキ!そんなに引っ張らなくても…!ママ、僕も行ってくるね!」

飛び出していくヨウとミヅキを見ながら、母親二人は微笑み合った。

「行ってらっしゃ〜い」

「ふふ、ああやって思いついたら飛び出していくところ、まだまだ子どもね」

「そう言わないの。私達の子どもがポケモントレーナーとしての第一歩を踏み出したんだから」

ヨウとミヅキは降り注ぐ太陽の光の中を突き進んでいく。
二人はまだ知る由もなかった。二人の島巡りは普通の島巡りとは違う、波乱に満ちたものであることを。
 ▼ 39 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:39:02 ID:Bg.cayMY [5/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ここがリリィタウンだよ。この町のはずれにメレメレ島の守り神、カプ・コケコを祀る遺跡、戦の遺跡があるの」

ミヅキはヨウにリリィタウンについて説明する。町と言うよりは集落といった感じで、伝統的な民家や祭りで使うステージなどがある。

「へー、守り神なんているんだ」

「アローラの4つの島には、それぞれカプと呼ばれる土地神ポケモンがいるの。彼らはそれぞれの島の守り神として、人々に祀られているんだ」

「ミヅキは見たことあるの?」

「カプ・コケコだけは何回か見たことがあるよ。コケコは割りと人前にも出てくることが多いから。他のカプはあまり人前には出てこないみたいだけどね」

「そうなんだ。ところで、しまキングのハラさんって人はどこにいるのかな?」

ヨウは回りをキョロキョロと見ながらしまキングらしき人物を探す。
そのとき、白い服に大きなドラムバッグを持った少女が山道に入っていくのが見えた。山道を登っていくには似つかわしくない格好だ。
ヨウは興味の赴くまま少女の後を追っていった。

「ん〜、ハラさん、どこかに出かけてるのかな?ハウくんも今日ポケモンもらうって言ってたのに…。あれ?ヨウ?」

ミヅキはヨウがいつの間にかいなくなっていることに気づいた。

「遺跡に何かあるのですか?」

白い服の少女が呟いた。
ヨウは少女のあとをつけて様子を伺っていた。雪のような真っ白な肌、艶やかな金髪、スカートから伸びる細い脚、なんだか映画に出てくるお嬢様のような感じだった。しかし、その少女はおおよそお嬢様が持つには似つかわしくないドラムバッグを持ち、戦の遺跡に向かっている。
その瞬間、少女のドラムバッグがまるで意思を持っているかのように、少女をすごい力で引っ張り始めた。
 ▼ 40 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:53:33 ID:Bg.cayMY [6/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ちょっ…!!待ってください!!」

「危ない!!」

その様子を見て、ヨウは慌てて飛び出した。遺跡に続く道は吊橋一本、下には急流が流れている。
あの勢いで吊橋を渡ろうとすれば事故が起き、最悪死者が出かねない。
ヨウは少女の腰にラグビーのタックルのように飛びかかり、少女を制止した。

「きゃっ!?」

すると、ドラムバッグが開いて中からヨウが見たことのないポケモンが飛び出した。
紫の綿雲のような、その中に不思議な光をたたえたポケモン。

「なんだ?あのポケモン?」

ヨウが目を丸くしている隣で、少女が叫んだ。

「ほしぐもちゃん!戻ってください!!」

少女は気づいていた。ほしぐもちゃんと呼ばれたポケモンに、複数のオニスズメが襲いかかろうとしていることに。
しかし、その叫びは間に合わず、ほしぐもちゃんはオニスズメたちに囲まれてしまった。

「ぴゅい…」

怯えて橋板の上に伏せるほしぐもちゃんの回りをオニスズメが飛び回り、その距離をじわりじわりと詰めていく。

「待っててください!!今助けますから…」

少女は吊橋に足を踏み入れようとして、足がすくんだ。

「だ…大丈夫?怖いなら僕が行くから…」

そのとき、ヨウは初めて彼女の顔を見た。
ぱっちりとした翡翠色の目、すっと通った鼻筋に小ぶりな唇、文句のつけようがない美少女だった。
 ▼ 41 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:55:55 ID:Bg.cayMY [7/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「す…すみません…。お願いしてもいいでしょうか…?」

何かに怯えているような感じさえする少女、ヨウは彼女を助けてあげたいと思った。

「うん、任せて」

とは言え、場所は吊橋の上。飛行ポケモンでも持っていればオニスズメと戦わせることができるが、彼はまだポケモンも持っていない。
条件は最悪だったが、やるしかない。
ヨウはゆっくりと橋を渡ってほしぐもちゃんに近づき、ほしぐもちゃんの上に覆い被さって自分の体をオニスズメたちへの盾にする。

『これで諦めてくれれば…』

しかし、オニスズメたちはヨウの体にキックしたり、攻撃の手は激しさを増していった。

『くそっ!早く諦めろ!』

ヨウは腕を振ってオニスズメたちを追い払おうとするが、オニスズメたちは諦める気配がない。そのとき、不思議な光が自分の体の下の方から目に入った。
え?ほしぐもちゃんの体が光って…

ドンッ!!

強烈な衝撃波と共にオニスズメたちは吹き飛ばされ、ヨウはほしぐもちゃんを抱き抱えたまま橋から落下した。

「ほしぐもちゃん!!」

少女の叫び声が聞こえた。だが、もう橋は崩れてヨウとほしぐもちゃんは落下している。
下は急流、恐らく落ちたら助からないだろう。こんなに呆気なく命とは終わるものなのか。ヨウは初めこそ恐怖を感じていたものの、既に半ば諦めの気持ちが強くなっていた。
ああ、かわいい女の子にかっこいいとこ見せようと思ったのが間違いだったのかな…

そのときだった。
 ▼ 42 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:58:16 ID:Bg.cayMY [8/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「カプゥー、コッコ!!」

どこからともなく、黄色い鳥のようなポケモンが現れ、急流に飲まれようとしていたヨウを抱き抱えた。そして、そのまま急上昇して金髪の少女の元に彼を降ろした。

「…カプ・コケコ…」

オレンジ色の鶏冠、黄色と黒の体、少年は彼の姿を見たのは初めてだったが、彼がミヅキの言っていた守り神、カプ・コケコだと確信した。

「クェー!!」

オニスズメたちはまだほしぐもちゃんのことを諦めていないようで、ヨウに向かって突撃する体勢を見せた。

「まだ来るのか!!」

「モクロー!木の葉!!」

「ニャビー!火の粉!!」

ミヅキと、もう一人初めて聞く少年の声。

二人の指示を受けた2体のポケモンがそれぞれオニスズメたちに攻撃を開始する。
オニスズメたちも増援によって戦況が不利になったと理解したようで、その場を離れていった。

「大丈夫?ヨウ、リーリエ」

「ありがとう、助かったよ…。カプ・コケコも、本当に…あれ?」

いつの間にかカプ・コケコは姿を消していた。
 ▼ 43 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 22:59:11 ID:Bg.cayMY [9/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「おーい!大丈夫かー!?」

ミヅキともう一人の少年に続いて、今度は二人の大人の男性が現れる。

一人は裸の上半身の上に白衣を着た変わった風貌の男性、もう一人は長い白髪を頭の上で束ねた恰幅のよい老人だった。

「カプ・コケコの声も聞こえましたが、何かありましたかな?」

恰幅のよい老人が尋ねると、ミヅキと一緒現れた少年が口を開いた。

「カプ・コケコの姿を見たけど、おれたちがオニスズメと戦ってる間に姿を消しちゃったよー。ニャビー、お疲れ様ー」

のんびりとした口調の少年はニャビーをモンスターボールに戻した。

それに合わせてミヅキもモクローをモンスターボールに戻す。

「カプ・コケコが僕たちを助けてくれたんです」

「ほう?」

ヨウが口を開くと、恰幅のよい老人が興味を示した。
ヨウと金髪の少女は事の一部始終を話した。

「ほうほう、気まぐれなカプ・コケコが人助けとは珍しいですな。ただ、大事にならずに良かった」

ポンポンとヨウの肩を叩きながら、恰幅のよい老人はニカッと笑った。その様子に、不思議と先程までの張りつめた気持ちが和らいでいき、ヨウの目から涙が溢れた。

「…うぐっ…すごく、怖かったです…。もう…自分は死ぬのかなって思ってたから…」
老人はヨウの背中をさすって落ち着かせる。

「もう大丈夫ですぞ。ポケモンも持たずによく戦いましたな」

その様子を見て、金髪の少女はヨウに何と声をかけたらいいのか迷っていた。元はと言えば自分のせいで彼は危険な目に遭ったのだから。

「リーリエ、彼にちゃんとお礼を言わないとね」

白衣の男性が金髪の少女の肩を叩いた。
少女はおずおずとヨウに近づき、口を開いた。

「…ありがとうございました。ほしぐもちゃんのこと…。そして申し訳ありませんでした…。もしかしたら命を落としていたかもしれないのに…私…」

金髪の少女の目からも涙が溢れた。

「良かったです…。本当に…」

リーリエと呼ばれた金髪の少女がヨウの手を取った。震える手でヨウの手を握りしめ、謝罪の言葉を続ける。それがヨウとリーリエの出会いだった。
 ▼ 44 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 23:00:26 ID:Bg.cayMY [10/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カプ・コケコの祭壇へ続く山道、マハロ山道を下りながら、ヨウとリーリエ、そして駆けつけたメンバーはそれぞれ自己紹介をした。
まず、恰幅のよい老人がメレメレ島のしまキング、ハラ。
裸の上半身の上に白衣を着た男性がククイ。ポケモンの技について研究を行っているポケモン博士。
ミヅキと一緒に駆けつけた少年がハラの孫、ハウ。
そしてドラムバッグを持った金髪の少女がリーリエ。ククイの助手をしている。
ミヅキは皆と既に面識があり、ヨウを紹介した。

「へー、ヨウはカントーから来たんだ?かなり遠かったんじゃない?」

ハウがヨウに声をかけた。

「そうだね。だけど、今日はいろいろありすぎてそんなこと吹き飛んじゃったよ」

ハウはとても気さくな少年で、ヨウはすぐに親近感が湧いた。

「来て早々ミヅキに島巡りに誘われたしさ」

「あはは。まあいいんじゃない?仲間は多い方が楽しいよー」

「ハウはいつポケモンをもらったの?」

「ついさっき、ミヅキと一緒にもらったんだよー」

「ハウくんとは小さい頃から仲良しで、旅立つなら一緒にって約束してたんだ。私はモクロー、ハウくんはニャビーをパートナーにしたんだよ」

ここで、しまキングのハラが思い出したように声を上げた。

「おお!そう言えば、ミヅキ殿から『自分とハウの他に、もう一人島巡りに出る少年がいる』と聞かされておりましたな!もしや、君のことですかな?」

「はい、そうです」

ヨウが答えると、ハラは口髭をいじりながら言った。
 ▼ 45 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 23:01:07 ID:Bg.cayMY [11/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「おお、そうなると、申し訳ないことをしてしまったかもしれませんな。実は、ヨウ殿の姿が見当たらない間に、ミヅキ殿とハウはパートナーポケモンを選んでしまったのです」

「え?じゃあ、僕のパートナーポケモンはどうなるんですか?」

「アローラでは、島巡りに出るトレーナーのパートナーポケモンとして、基本的には3種類のポケモンを用意するのですが…。まあ、3人が3人同じポケモンを選ぶことはないだろうと、3種類のポケモンを1匹ずつしか用意していないのです」

「じゃあ、まだパートナーポケモンは残っているんですね?」

「ふむぅ…。まあ、残ってはいますが…」

そう言うと、ハラは足元に1つモンスターボールを放った。

「あしゃま?」

出てきたのは、青い体の海獣型のポケモンだった。

「アシマリ…。水タイプのポケモンですな」

「…あしゃ…」ふー

「わぁー、かわいいな…。でも、何かため息みたいなのをついたような…。機嫌があまりよくないのかな?」

ヨウはアシマリの様子がおかしいことに気づいた。
 ▼ 46 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 23:01:59 ID:Bg.cayMY [12/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「はは、アシマリはね、島巡りに出るのを楽しみにしてたみたいなの。でも、私とハウくんはモクローとニャビーをパートナーにしちゃったから、自分は選ばれなかったって落ち込んでるみたい」

ミヅキの説明を聞いて、ヨウはくすっと笑った。
なんだ、じゃあ、この子は僕が連れて行こう。

「ハラさん、この子を僕が連れて行ってもいいですか?」

「ヨウ殿がよければ構いませんが…」

ハラの答えを聞くと、ヨウはアシマリに話しかけた。

「ねえアシマリ。僕のパートナーになってくれる?」

「あしゃ?」

アシマリは振り向いてヨウの方を見つめる。ヨウもじっとアシマリの目を見つめた。
ヨウとアシマリの間に流れる沈黙、そして、アシマリはヨウの足元に近づいていった。

「よしっ、アシマリ、君は今日から僕のパートナーだ」

ヨウはアシマリを抱き上げた。

「あしゃっ!!」

「アシマリさん、嬉しそうですね」

リーリエが声を漏らすと、ククイが口を開く。

「きっと、いいトレーナーに巡り会えたと思ってるんだろう。旅立つトレーナーは意外と気づかないみたいだけど、ポケモンは人間のことをよく見てる。トレーナーがポケモンを選ぶと同時に、ポケモンもトレーナーを選んでるってことを忘れちゃいけないぜ?お互いに認め合ってこそのパートナーだからね」
 ▼ 47 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 23:03:02 ID:Bg.cayMY [13/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リーリエはヨウとアシマリの様子をじっと見つめた。

お互いに認め合う…か…

リーリエはドラムバッグの紐をぎゅっと握った。

「あ、そう言えば…」

今度はミヅキが思い出したように声を上げた。

「吊橋のところで拾ったんだけど、これ、リーリエの?」

ミヅキがリーリエに見せたのは不思議な輝きを放つ石だった。

「…いえ、私のではありません。何でしょうか、これ…?」

「おお…?これは…」

「じーちゃん、これってもしかして…」

ハラとハウにはこの石の正体に心当たりがあるらしい。

「まさか、カプ・コケコが…?いつもの気まぐれ…?それとも何か理由があってのことか…」

ハラはヨウの方を見つめる。

「ヨウ殿、この石はあなたの物である可能性が高いですな」

「え?」

ヨウは事情が飲み込めなかった。

「そんな石、僕は家を出るとき持ってませんでしたよ?」

「カプ・コケコがあなたに託したのではないかと思うのです。理由はわかりませんが…」

ハラはミヅキの手から石を受け取り、それを眺めながら続けた。

「この石を一晩預かってもよろしいですかな?なあに、明日の夕方には返しますので」

ハラはヨウを見つめながらニヤリと笑った。
 ▼ 48 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 23:03:41 ID:Bg.cayMY [14/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
結局、ヨウが自宅に戻ったのは既に日が暮れてからだった。

ヨウは一気に緊張の糸が切れ、自室のベッドに倒れ込んだ。すると、母親が心配そうに声をかけた。

「ちょっと、ヨウー、晩御飯はいらないのー?」

「…いらない…」

もうヨウの体力は限界だった。

ああ、ベッドの上はやっぱりいいなあ…。今日命の危険に晒されたのに、この上にいると何もかもを忘れられて、眠りという癒しの世界に連れていってくれる…。
この癒し、それを提供するベッドこそ、人類の叡智が産んだ最高の道具だよ…。人類は醜い争いやいさかいの中にいるべきじゃない。全ての人はベッドの上で癒しを享受し、平和の中で生きるべきなんだ。そう、ベッドイズハピネス…ベッドイズピース…

常人には理解しがたい思考がヨウの頭の中を駆け巡り、彼はそのまま癒しの世界へと落ちた。

 ▼ 49 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/19 23:08:09 ID:Bg.cayMY [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここでいったん区切らせていただきます。
続きはでき次第投稿させていただきます。
それでは、また。
 ▼ 50 ードラン@しあわせタマゴ 19/07/20 07:03:52 ID:1.12e/1o NGネーム登録 NGID登録 報告
シエンネ
 ▼ 51 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:02:03 ID:wZecHEwo [1/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こんばんは。
メレメレ島編第2話、いきます。
 ▼ 52 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:03:07 ID:wZecHEwo [2/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 02 激突!ゼンリョク祭り


「…このお家…ですよね…」

すー…ふー…

金髪の少女、リーリエはとある家の前で大きく息を吸い、そして吐き出した。

「ごめんください…」

意を決して玄関のチャイムを鳴らす。すると、焦げ茶色の髪を後ろに束ねた女性が出てきた。

「はーい、どちら様…」

「私、リーリエと申します…え?ミヅキさんのお母様?」

「あなた、ミヅキちゃんのお友達…?ああ、ミヅキちゃんのお母さんって、私の姉なの。よく似てるって言われるわ」

「あ…、じゃあ、ここはヨウさんのお宅で間違いありませんか?実は私、ヨウさんに御用があって参りました」


「あら〜!ヨウにこんな綺麗なガールフレンドができたの?上がって上がって!ちょっと待っててね〜♪」

ヨウの母は鼻歌混じりで息子を呼びに行った。

「ぴゅいっ!」

「ほしぐもちゃん、あなたはバッグの中でおとなしくしていてください」

リーリエはドラムバッグの中にいるほしぐもちゃんが出てこようとするのを察し、それを制した。
 ▼ 53 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:04:36 ID:wZecHEwo [3/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あれ?リーリエ?僕の家がよくわかったね?」

ヨウは意外な人物の訪問に目を丸くした。

「リーリエちゃんっていうのね?ヨウ、あなた、アローラに来て早々、こんな綺麗なガールフレンド作っちゃうなんて、なかなか隅に置けないわね〜?」

ニヤニヤと笑いながらからかう母親をヨウはたしなめる。

「ママ、リーリエとは昨日会ったばかりなんだから、そんな関係に発展してるわけないでしょ。リーリエだって困ってるじゃんか」

しかし、リーリエは意外な反応を見せる。

「…えっと…でも、昨日ヨウさんにはとてもお世話になってて…。正直なところ、昨日のことは一生忘れられないと思います…」

心なしかリーリエの顔が少し赤くなっているように見える。ヨウも肌の色はどちらかといえば白い方だが、それよりもまだ白いリーリエは少しの赤みでも目立ってしまう。

「…将来お嫁さんには困らないみたいで、よかったわね、ヨウ♪」

「ママ!もう、リーリエ、僕の部屋に行こうよ。ママがいたらいつまで経っても本題に入れそうにないし」

「…申し訳ありません、お母様。一旦失礼します」

リーリエは軽く頭を下げると、ヨウに案内されてヨウの部屋に入った。

「ヨウ〜、襲っちゃだめよ〜」

ヨウの母はヒラヒラと手を振りながら息子と少女を見送った。
 ▼ 54 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:06:58 ID:wZecHEwo [4/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
男子の部屋が珍しいのか、リーリエはキョロキョロと部屋の中を見回す。

「引っ越してきたばかりで片付けきれてないところもあるけど、勘弁してね」

「いえ…いいお部屋だなと思って…」

「そうかな?ありがとう」

「…なんだか、本当に自然体で…安らぐ感じがするっていうか…。あ、アシマリさん」

リーリエはヨウの部屋のクッションの上で寝ていたアシマリに気づいた。

「あしゃ?」

アシマリも自分のことを呼ばれたと気づいたようで、目を覚ましてぐぐっと背伸びをする。

「あしゃっ♪」

アシマリは機嫌がいいようで、嬉しそうにリーリエに近づいていく。リーリエはアシマリを撫で始め、アシマリも気持ち良さそうに目を閉じる。

「…そのドラムバッグ…、ほしぐもちゃんって言ってたっけ?入ってるの?」

ヨウはリーリエのドラムバッグを見ながら尋ねた。

「…はい」

「出してあげたら?僕はもう見てるし、アシマリと一緒に遊んだらいいと思うんだ」

「…わかりました…。あの、ヨウさん、ほしぐもちゃんのことはあまり他人に言わないでいただけますか?この子、珍しいポケモンで、あまり存在が知られると悪い人に狙われるかもしれないので…」

事情はわからなかったが、ヨウは二つ返事でオーケーした。
 ▼ 55 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:09:01 ID:wZecHEwo [5/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ぴゅいっ!」

ほしぐもちゃんはドラムバッグから飛び出し、アシマリとじゃれ始めた。

「ふふ…。ほしぐもちゃん、楽しそう…」

リーリエはにっこりと笑ってアシマリとほしぐもちゃんの様子を見ていた。
その顔に少し見とれていたヨウだったが、ふと素朴な疑問が浮かんだ。

「ねえ、リーリエ。ほしぐもちゃん、モンスターボールに入れてた方が安全なんじゃない?」

すると、リーリエは少し顔を曇らせて言った。

「そう…ですね。ヨウさんの言うことはもっともなのですが、私はトレーナーではありませんので…」

何やら触れない方がよさそうな雰囲気になったので、ヨウは本題に入ることにした。

「リーリエは、今日どうして僕の家に来たの?」

「あのですね、ククイ博士から、『おお!リーリエ!将来有望なトレーナーを研究所に連れて来てよ!』って頼まれたんです」

リーリエはククイの真似をしながら言った。ヨウはその様子をぽかんと見つめていた。

「…あれ?似てませんか?ミヅキさんやハウさんからは結構似てるって褒められるんですよ?」

「いや、僕は昨日ククイ博士に会ったばっかだし、似てるかどうかなんてよくわからないよ」

「…あっ、そうでしたね。えへへ…ごめんなさい」

はにかむリーリエを見て、ヨウも思わず口角が上がった。

「あははっ、リーリエってすごく真面目な子なのかなって思ってたら、そういう冗談も言うんだね」

ヨウはリーリエが昨日のことをまだ気にしていて、自分の前で硬くなっていると思っていたので、リーリエが笑顔を見せてくれることが嬉しかった。

「行こうよ、リーリエ。ククイ博士の研究所。アシマリもおいで」

「はいっ!ほしぐもちゃんも行きますよ」

ヨウはアシマリをモンスターボールに入れると、リーリエと一緒に自宅を後にした。
 ▼ 56 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:10:39 ID:wZecHEwo [6/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ククイの研究所はヨウの自宅近くのビーチに建てられていた。見た目はボロの掘っ立て小屋みたいで、とても研究所には見えない。

「…ここが研究所?なんかイメージとは異なるなあ…」

「ククイ博士はポケモンの技について研究していて、ときには自分の体でポケモンの技を受けることもあるんです…。おかげですぐに白衣はボロボロになってしまいます。私も縫おうとは思うのですが、裁縫は苦手で結局白衣を買うのです…」

リーリエはため息混じりに言った。

「助手ってそんなこともするんだね…。どうせすぐに服をダメにするなら、買わなくてもいいんじゃない?あの格好なら裸と変わらないし」

「そういうわけにはいきません。見ず知らずの私を研究所に住まわせてくれていますし、できる限りのお手伝いはしたいのです」

「え?リーリエってここに住んでるの?」

ヨウは驚いた。リーリエの着ている服はその辺で売っている安物とはわけが違う高級品だ。服に詳しくないヨウでもすぐにわかるくらいの。また、物腰も柔らかで、まさしくお嬢様といった感じだ。だから、助手をしているといっても、どこかお屋敷のような豪邸に住んでいて、ここに通っているのだと思っていた。
ヨウは、リーリエは何か訳ありな少女だと察した。理由はわからないが、家出をしている可能性が高い。

「さあ、参りましょう」

ヨウはリーリエに連れられて研究所の中に入った。
 ▼ 57 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:12:11 ID:wZecHEwo [7/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
研究所の中は所々破損、またはその修復の跡が見られる。ククイ博士が日々技の研究をしているためだろう。
屋内でやらなくてもいいだろうに。ヨウは研究所の中を見回しながら思った。

「おお、アローラ、ヨウ!よく来たな!」

「アローラ、ヨウ!」

「アローラ〜」

研究所の中にはククイの他にミヅキ、ハウもいた。

「…少し気になってたんだけど、その『アローラ』っていうのはこの地方での挨拶なの?」

ヨウの疑問にミヅキが答える。

「そっか、ヨウはアローラ地方に来たばかりだから知らないんだね。アローラ地方では、時間を問わず『アローラ』って挨拶するのが一般的なの。こうやって、両手で円を描くようにしながらね」

ミヅキがジェスチャーを交えてアローラでの挨拶の仕方を教える。

「そっか、じゃあ僕も今後は『アローラ』って言うようにするよ。アローラ、ククイ博士、ミヅキ、ハウ」

改めて挨拶をするヨウを3人は笑顔で迎える。

「さて、君たちは今日からポケモントレーナーとしての第一歩を踏み出すわけだが、それに当たって僕から渡したいものがある!」

ククイ博士はある機械を3人の新人トレーナーに見せる。
 ▼ 58 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:14:52 ID:wZecHEwo [8/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あー、ポケモン図鑑だ!」

ハウの声に、ククイはニヤリと笑う。

「そう、ポケモン図鑑だ。ただし、ただのポケモン図鑑じゃあないぜ!カモン、ロトム!」

ククイはモンスターボールからロトムを出し、ロトムは図鑑の中に入っていった。

「…ビビッ…。なかなかいい居心地だロト〜」

「図鑑がしゃべった?」

ミヅキはロトムが入った図鑑がしゃべったのを見て驚きの声を上げる。

「ロトム図鑑。ロトムというポケモンは、機械に入ってそれに応じたフォルムチェンジをする。その性質をポケモン図鑑に利用して、トレーナーのサポートをしてくれる図鑑ができないかと作られたんだ」

「機能確認ロト…。タウンマップ、ナビゲーション、通信機能、ポケファインダー…」
ロトムが自分に備わっている機能を確認する。

「うわ〜、すごーい!これ持ってる人少ないよね?おれ欲しいな〜」

「私も〜!」

ミヅキとハウはロトム図鑑にすっかり興味津々だ。ヨウも声こそ上げなかったが、興味は二人に負けていなかった。ここで、ククイは少し申し訳なさそうな顔をした。
 ▼ 59 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:17:09 ID:wZecHEwo [9/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ああ…、本当は3人分用意したかったんだが、生憎1つしか手に入れられなくてね。申し訳ないんだけど、1人はロトム図鑑、2人は普通の図鑑ってことになってしまうんだ」

「えー」

ミヅキの声に、ハウがある提案をした。

「じゃあさ、こういうのはどう?今日のお祭りで3人でバトルして、勝ち残った人がロトム図鑑をもらうっていうの。使用ポケモンは1体ね。もちろん、ロトムがそれでよければだけど」

「あー、それ面白そう。でもハウくん、ニャビーはモクローに対して有利だから言ってない?」

「ヨウもいるじゃん。アシマリはニャビーに対して有利だよ?」

「面白そうだね。ロトム、君はそれで構わないかい?3人ともいい奴だし、立派なトレーナーになると思うぜ?」

ククイの問いかけにロトムは頷くような仕草を見せる。

「ボクはそれで構わないロト」

事情がよく飲み込めていないヨウはハウに質問する。

「ハウ、さっき言ってたお祭りって何?」

「リリィタウンでは、島巡りに旅立つトレーナーのバトルをカプ・コケコに奉納するっていうお祭りがあって、それが今日の夕方なんだ。今回はおれ、ミヅキ、ヨウの3人だから、3人の変則マッチで勝負して、勝った人がロトム図鑑をもらうのがいいかな〜と思って」

「優勝賞品ってことだね。よし、受けて立とう!」

「3人とも異存はなさそうだね。じゃあ、夕方のお祭りを楽しみにしてるぜ!火炎放射のような熱いバトルを見せてくれよ!」

こうして、ヨウ、ミヅキ、ハウの3人はロトム図鑑をかけた勝負をすることになった。
 ▼ 60 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:19:01 ID:wZecHEwo [10/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「んー…」

ミヅキは家に帰ったあと、お祭りでのバトルの戦略を考えていた。

「ハウくんは炎タイプ、ヨウは水タイプ、私は草タイプとちょうど三竦みなんだよね…。そうなると、やっぱりニャビーを使うハウくんと一騎討ちになる展開は避けたいところ…」

「悩んでるわね、ミヅキ」

ミヅキの母が声をかける。

「ロトム図鑑っていうレアアイテムがかかってるからね。ヨウとハウくんと、三つ巴の変則マッチに勝ち残らないといけなくてさ」

「ぬにゃあ」

ミヅキの家のペット、ニャースが応援するように声をかける。

「応援してくれるの?ありがと、ニャース」

「ハウくんとヨウくんが使ってくるポケモンはわかってるの?」

ミヅキの母は相手の情報を聞き出そうとする。

「多分、ハウくんはニャビー、ヨウはアシマリだと思う」

「ミヅキはモクローよね?ちょうど草、水、炎の三竦みになるわけね…。うーん、難しいわね。自分の弱点をついてくる相手は早く倒してしまいたいと思うでしょうけど、都合よくはいかないでしょうね。発想を変えて、自分が弱点を突ける相手を素早く倒して、苦手とする相手に体力を残した状態で立ち向かうっていう手もありだと思うわ」

「うーん、そっか。そういう考えもあるのか…。ありがと、お母さん。もう少し考えて…」

ここでミヅキはあることを閃いた。

「…待てよ…」

ミヅキはハッとして鞄をつかみ、家を飛び出していった。
 ▼ 61 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:22:36 ID:wZecHEwo [11/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ヨウさんはお祭りまでどう過ごすのですか?」

リーリエはヨウに尋ねた。ヨウはまだ家に帰らず、ククイの研究所近くの草むらをうろうろしていた。

「アシマリに一度くらいバトルさせて、ウォーミングアップをさせようかなと思って。それに、アシマリの技とかも確認したいしね…おっ?」

そのとき、上空から1羽のポケモンが舞い降り、ヨウを威嚇してきた。それはキャモメだった。

「キャモメか…。ミヅキがモクローを使ってくると考えれば、同じ鳥ポケモンだし相手としては悪くないな…。よし、いくぞアシマリ!」

ヨウはモンスターボールを投げ、中からアシマリが出てくる。

「あしゃっ!!」

アシマリが出てきたのを見て、キャモメも戦闘体勢に入った。

「さあ、デビュー戦だ!頼むぞ!水鉄砲だ!」

アシマリが水鉄砲を放とうと構えたとき、キャモメが先制攻撃を仕掛けてくる。
水鉄砲を放ち、アシマリに直撃する。

「あしゃっ!?」

「慌てるなアシマリ!まだ大丈夫だ!」

キャモメはアシマリの背後を取ろうと旋回する。

「アシマリ!後ろからくるぞ!」

アシマリは素早く振り向き、渾身の水鉄砲を放つ。それはキャモメの左の翼に直撃し、バランスを崩したキャモメは地面に落下した。

「よし、追撃だ!はたく!」

アシマリは体勢を立て直そうとするキャモメに接近し、平手打ちを見舞った。
キャモメはアシマリに敵いそうにないと悟ったのか、飛び去っていった。
 ▼ 62 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:23:50 ID:wZecHEwo [12/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「よし、よくやったアシマリ」

ヨウはバトルで頑張ったアシマリを撫で、キャモメからくらった水鉄砲の水を拭いていく。

「あしゃっ!!」

アシマリは少し自慢するように声を上げ、ヨウに体を預けた。

「よし、こんなもんかな。ポケモンセンターで休んで、夕方に備えよう。戻れ、アシマリ」

ヨウはアシマリをモンスターボールに戻した。

「リーリエはククイ博士の助手をしてるけどさ、トレーナーになろうって思ったことはないの?」

ヨウはアシマリのモンスターボールを腰のベルトに戻しながら尋ねた。

「技の研究をしてる博士なら、リーリエがトレーナーになったら喜びそうだけどな」

「それはそうかもしれませんが、私、バトルってどうも苦手で…。競技として公認されていて、いろいろな戦術があって、人気が高いのも魅力があるのもわかっているのですが、その結果ポケモンさんたちが傷つくのはちょっと…」

リーリエは少し眉をひそめながら言った。
リーリエは何かが傷つく、あるいは何かを傷つけるということに怯えのようなものを感じているような印象をヨウは受けた。

「そっか…。まあ、僕が無理強いすることではないけど、もし今後気が変わって、トレーナーになりたいって思ったら、僕ともバトルしてよ。きっとアシマリも、ハウもミヅキも楽しみにしてると思うからさ」

「…考えておきます…」

ボールの中で、アシマリが元気に頷いたような気がした。
 ▼ 63 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:29:53 ID:wZecHEwo [13/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そして夕方、リリィタウン

お祭りの壇上でハラが大きな声でメインイベントの始まりを告げる。お祭りにはヨウの母親、ミヅキの母親も来ており、メインイベントの始まりにお祭りに来ているギャラリーの盛り上がりも最高潮に達している。

「さあさあ、今回は島巡りに旅立つトレーナーが3人もおりますぞ!カプ・コケコに捧げるゼンリョクバトル、3人とも力の限りを尽くすのですぞ!」

「よし、頼むぞアシマリ」

ヨウはアシマリに声をかけながらモンスターボールに手をかける。
ミヅキとハウを見ると、少しニヤニヤした表情でハラの話を聞いていた。何か作戦があるのだろうか?

「使用ポケモンはそれぞれ1体、3人のバトルロイヤルという変則マッチですぞ!ルールは簡単!最後まで立っていた者が勝ち!使用ポケモンは決まりましたかな?」

ハラの声に、ヨウ、ミヅキ、ハウの3人がバトルの壇上に上がり、モンスターボールを右手に掴む。

「それでは、始めぃ!!」

僕らはそれぞれ水、草、炎タイプのポケモンを使う。駆け引きや立ち回りが重要なバトルになるはずだ…。

「いけ、アシマリ!」

「あしゃっ!」

ヨウが投げたモンスターボールからアシマリが飛び出す。
その瞬間、周囲の観客から歓声が上がる。

「ヨウー!がんばれー!!」

ヨウの母親が息子に一際大きな声をかけた。

そして、ヨウがアシマリを繰り出したのを見て、ニヤリと笑ったトレーナーがいた。
 ▼ 64 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:31:55 ID:wZecHEwo [14/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
それはミヅキだった。

「…?何がおかしいんだ?ミヅキ…」

「ヨウ、ハウくんも…。恐らく、私たちはそれぞれモクロー、アシマリ、ニャビーと相性が三竦みになってるポケモンで戦うと思ってたよね?けど…!!」

まさか…
ヨウは嫌な予感がした。

「さあ、思う存分戦いなさい!」

悪役のような台詞と共にミヅキがボールを投げる。中から出てきたのはメノクラゲだった。

「メノクラゲ!?」

「この子なら、アシマリの攻撃のダメージを抑えながらニャビーに有効打を撃てる!モクローを出すと思い込んでいたのが仇になったね!」

ミヅキは勝ったも同然とばかりに勢いづく。だが…
 ▼ 65 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:36:50 ID:wZecHEwo [15/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ふふふ…、甘いねミヅキ。君と付き合いの長いおれが、それくらい読んでないとでも思ったの?」

今度はハウがニヤリと笑った。

「使用ポケモンは1体でも、それが最初にもらったポケモンでなければならないなんてルールはどこにもないよねー?さあ、出番だよ、ピチュー!!」

ハウがモンスターボールを投げ、中からピチューが飛び出す。

「ピチュー!!」

ピチューの頬袋が帯電し、青白い電光が走る。やる気満々のようだ。
この展開にククイも思わず笑い出す。

「はっはっは!確かに、お祭りまでに他のポケモンを捕まえて、それを出してはいけないなんてことはないよな!バトルが始まる前から勝負は始まっていたってことか!」

「はっはっは!確かに、戦いとは準備の段階から始まっているものですな!」

ハラもつられて笑い出した。

ヨウは思った。
確かに皆の言う通りだ。別にミヅキもハウもズルをしているわけではない。
最初にもらったポケモンたちを戦わせるなんて約束もルールもないのだから、お祭りまでに他の戦力を加えてくるなんてことは想定しておかなければならなかった。
ピチュー、メノクラゲが相手ではアシマリが一番不利な戦いを強いられる。自分も他のポケモンを捕まえて、戦わせてもよかったのだ。しかし、後悔しても仕方ない。

「アシマリ、不利な戦いだけど、頑張ろうな!」

「あしゃっ!」

ヨウはアシマリに声をかけ、アシマリも力強く頷いた。
 ▼ 66 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:38:00 ID:wZecHEwo [16/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
まずは狙うべきはピチューだけど…。
ヨウはチラリとメノクラゲを見た。

その辺の海にいくらでもいるので忘れがちだが、メノクラゲは水、毒の複合タイプで耐性が多く特防も高い。ピチューの電撃が効果はばつぐんでも一発は余裕で耐えるだろう。アシマリの水技はほぼ通らない…厄介な相手だぞ…

「メノクラゲ、毒針!狙いはピチュー!」

ミヅキの攻撃の指示でにらみ合いが終わる。

ピチューはジャンプして毒針をかわし、空中で攻撃の体勢を取る。

「お返しだ!電気ショック!!」

「ピチューに水鉄砲!」

ピチューが空中で隙を作った瞬間を見逃さず、ヨウはアシマリに攻撃を指示する。
脇からの攻撃にピチューは反応できず、アシマリの攻撃が直撃する。
攻撃は不発に終わり、ピチューは壇上に落下した。

「サンキュー、ヨウ!助かった」

「味方じゃないけどね!」

まだピチューは戦闘不能にはなっていない。濡れた体を起こし、戦闘体勢を取ろうとする。
 ▼ 67 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:39:08 ID:wZecHEwo [17/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
脇からの直撃だ。元々ピチューは打たれ強いポケモンじゃないし、結構なダメージが入ったはず…

ヨウは再びメノクラゲに目をやった。
ここらでメノクラゲにもダメージを与えておきたいところだけど…。

「さあ、メノクラゲ!ピチューにここで退場してもらうよ!」

ピチューを倒せば圧倒的に有利になるミヅキは次の攻撃でピチューを戦闘不能に追い込もうとする。だが…

「ピチュー!つぶらな瞳で見つめるんだ!」

ハウ?何を指示してるんだ?
ヨウは疑問に思ったが、その対象は…

「ミヅキを!!」

ピチューはうるうるとした瞳でミヅキを見つめた。

「うっ………かっ…、かわいぃ……」

ミヅキの攻撃の指示が止まる。
まさかのトレーナーへの精神攻撃にヨウは呆れるというか、感心するというか、複雑な気持ちになった。

「……」

メノクラゲもどうやらヨウと同じような気持ちらしい。

「今だ!電気ショック!」

ピチューの電気ショックが容赦なくメノクラゲを襲う。

「メノクラゲ!」

一発は耐えたものの、やはり効果はばつぐんなのでかなりのダメージを負ったようだ。
ヨウにとっては願ったり叶ったりな展開になった。
 ▼ 68 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:43:03 ID:wZecHEwo [18/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「よし、アシマリ!メノクラゲにはたく!」

「あっ?」

アシマリからの追撃を受け、メノクラゲは倒れた。

「よし、これで厄介なメノクラゲは倒した!」

ヨウはメノクラゲを倒しガッツポーズを取る。その様子を見て、ミヅキはヨウに猛抗議した。

「ヨウ!ずるい!」

「ずるくないよ!ためらわずにピチューを倒しておけば、ミヅキのほぼ勝ちだったのに」

バトルを見ていたギャラリーは思わず笑い出す。

「ははは!いいぞー」

「ふふふ、面白いバトルねえ」

ミヅキはメノクラゲをボールに戻し、壇上から降りた。

「あーあ、ロトム図鑑が…」

「お疲れ様ミヅキ。面白いバトルだったわ」

ミヅキの母親が娘の肩を叩いて労う。ミヅキは少しぶすっとした表情でヨウとハウのバトルを見ていた。
 ▼ 69 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:43:52 ID:wZecHEwo [19/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「電気ショック!」

ハウはピチューが次のアシマリの攻撃を耐えられないとわかっており、猛攻撃を仕掛けてきた。

「水鉄砲で迎撃しろ!」

アシマリは飛んでくる電撃を水鉄砲で相殺する。

「やるねー、アシマリ」

ハウはヨウとのバトルを楽しんでいた。
ピチューは息が上がっている。しかし、闘志は消えておらず、ハウ同様にバトルを楽しんでいるようだった。

「ピチュー!」

また電気ショックか!
アシマリとヨウが迎撃に構えると、ハウは別の指示を出した。

「天使のキッス!!」

天使のキッスを受け、アシマリは混乱した。

「アシマリ!頼む、あと一撃くらわせれば勝てる!水鉄砲!」

突然の搦め手に、ヨウはすがる思いで攻撃を指示した。
しかし、アシマリの次の攻撃は不発に終わった。

「よし、電気ショック!」

ピチューから放たれる電撃がアシマリに命中する。アシマリはまだ倒れなかったが、それでもかなりのダメージを受けた。
 ▼ 70 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:44:40 ID:wZecHEwo [20/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
お互いに後がなくなった。
次の攻撃で勝負が決まる。
ピチューももう何発も電撃を放つ体力は残っていない。
アシマリとピチューの間に緊張した空気が流れる。勝つのはどちらか…

そのとき、アシマリは大きな鳴き声を上げた。

「あしゃっ!しゃまああぁ!」

アシマリの周囲を水流のようなオーラが流れ始めた。

「…特性、激流だな…」

ククイはアシマリの様子を見ながら呟いた。アシマリの特性、激流は残り体力が少なくなると水技の威力が向上する。

「アシマリ、頑張ってくれ!水鉄砲!」

「しゃまあっ!」

ヨウが攻撃を指示すると、これまでよりも大きく、強力な水流が発生し、ピチューを飲み込もうとする。

「ピチュー!電気ショック!!」

ピチューは電気ショックで水流を相殺しようとするも、そのまま水流に飲み込まれ、壇上から弾き出された。

「ピチュー!!」

ハウの声も空しく、ピチューは水流に飲まれたまま壇の外の木にぶつかり、そのまま戦闘不能となった。
 ▼ 71 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:50:00 ID:wZecHEwo [21/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ハラがピチューの様子を見て、そのままピチューを抱き上げてハウの元に戻ってくる。

「…お疲れ様、ピチュー。よく頑張ったね」

ハウはピチューをモンスターボールに戻した。その様子を見て、ハラはハウの肩を叩いて励ます。そして、バトル終了の宣言をした。

「これにてバトル終了!勝者、ヨウ!!」

ハラがバトル終了の宣言をすると、ギャラリーから歓声が上がった。

「見ごたえのあるバトルだったぞ!」

「3人ならきっといい島巡りができるわ!!」

「今度は俺とバトルしようぜ!」

ヨウはアシマリをモンスターボールに戻し、壇上で帽子を取って観客に一礼した。
そのとき、どこからかカプ・コケコの声が聞こえた。

「カプゥー!コッコ!!」

「おやおや、カプ・コケコも面白いバトルが見れて喜んでいるようですな!はっはっは!」

ハラは笑いながら、ヨウ、ミヅキ、ハウにあるものを渡す。白い腕時計のようなもので、腕時計の時計にあたる部分には菱形の穴が空いた台座のようなものが取り付けられている。

「これは何ですか?」

ヨウは見たことがないものである。

「それは、Zリングというものですぞ」

「Zリング?」

「ヨウ殿がカプ・コケコからもらった石があったでしょう?あれを加工して作ったものです。どのようなものかは、お見せした方が早いでしょうな」
 ▼ 72 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:53:44 ID:wZecHEwo [22/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ハラはそう言うと、モンスターボールからマケンカニを出した。
そして、自身が着けているZリングに茶色っぽいクリスタルをはめ込んだ。

「はあああ…せぃっ!!」」

ハラは掛声とともに、拳を突き出すような動きをする。
すると、クリスタルからマケンカニにオーラが移り、マケンカニの目付きが力強いものに変わった。

「何だ?」

「全力無双激烈拳!!」

ハラが叫ぶと、マケンカニは一本の木に飛びかかり、無数の拳打を打ち込んだ。

「すごい!!」

だが驚くのは早かった。マケンカニは最後に巨大なオーラを纏った拳を振るい、それはエネルギー弾のように飛んで、太い木を割箸のようにへし折った。

「……」

何が起きたのかわからなかった。ヨウはただただ唖然とその様子を見ていた。

「アローラに古くから伝わる、Z技というものです。このZリングにZクリスタルをはめ、クリスタルの種類に応じた動きをすることでZ技が発動します。島巡りとは、試練に挑みZクリスタルを集める旅になりますぞ。そして全ての島の試練、大試練をクリアした暁には、全てのしまキング、しまクイーンを相手に大大試練に挑んでもらいます。それを見事突破すれば、島巡りチャンピオンの称号が与えられますな」

ハラはマケンカニをモンスターボールに戻した。
 ▼ 73 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:57:07 ID:wZecHEwo [23/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「各島にはキャプテンと呼ばれる者たちがおります。メレメレ島では、キャプテン、イリマの試練を突破し、ここリリィタウンに来てください。そこで、このハラが大試練を行わせていただきますぞ」

ヨウ、ミヅキ、ハウはZリングを受け取った。

「さあ、ポケモンたちを休ませてやりましょう。いよいよ旅立ちですから、ポケモンもトレーナーも準備はしっかりとしませんとな!」

ハラは元気のかけらと傷薬を取り出し、3人に戦わせたポケモンたちをボールから出すように促した。

「私も手伝います」

「おお、リーリエ殿。では、お願いしますかな」

リーリエとハラがポケモンたちを回復させていく。
ポケモンを治療するリーリエを見ていると、彼女は本当にポケモンが好きで、大切にしているのだとわかる。
彼女の周囲をほしぐもちゃんが嬉しそうに飛び回っている。アシマリはもちろんのこと、ピチューやメノクラゲとも仲良くなったようだった。

「僕も早いとこ他のポケモンを捕まえて、戦力アップしないとな…」

ヨウはリーリエに治療されるアシマリを見ながら心底思った。
ピチューとメノクラゲ相手によく勝てたと思う。
 ▼ 74 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 20:58:01 ID:wZecHEwo [24/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「さて、これでロトム図鑑の所有者はヨウになったわけだ」

ククイが3人を見ながら言った。
「正直、出されたポケモンを見たときは一番不利だと思ってたが、よく戦ったな!特に、最後の水鉄砲は大文字なみに熱かったぜ!」

ククイは3人のゼンリョクのバトルに感心し、満足そうな笑みを浮かべていた。

「皆の図鑑は今アップデートをしてるところだから、明日の朝取りにきてくれ。じゃあ、3人とも明日から頑張って!僕はお先に失礼させてもらうぜ!アローラ!」

ククイは手を振りながら研究所へ向かって歩いていった。

「明日から島巡り開始だねー。いろんなポケモンを捕まえて、バトルして。楽しみだなー」

「うん。皆でチャンピオン目指そう!」

「僕も楽しみだな。どんなポケモンと巡り会えるんだろう?」

既に日は落ちており、夜風が3人の頬を撫でた。それはヨウ、ミヅキ、ハウの3人の旅立ちを祝福しているようだった。
そんな中、リーリエは3人の顔をじっと見つめていた。
 ▼ 75 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/20 21:01:32 ID:wZecHEwo [25/25] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第二話はここまでです。
次はヨウの初捕獲の話にしようと思います。
それでは、また。
 ▼ 76 リボーグ@ドラゴンジュエル 19/07/22 07:21:48 ID:S8iUt5wg NGネーム登録 NGID登録 報告
シエンネ
 ▼ 77 ソハチ@グランドコート 19/07/22 07:22:59 ID:Hj2YsT8I NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 78 マンタ@ウイのみ 19/07/23 00:16:48 ID:vaXMn.Fc NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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 ▼ 79 トツキ@やまぶきのミツ 19/07/23 19:39:24 ID:J4OUIg9w NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 80 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:01:44 ID:CPmcTu0U [1/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ご支援いただきありがとうございます。
第三話の前編となりますが、投稿します。
 ▼ 81 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:03:53 ID:CPmcTu0U [2/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 03 ハウオリ霊園の怪談 前編

ヨウ、ミヅキ、ハウの門出を祝う祭りから一夜が明けた。
3人はポケモン図鑑をもらうべくククイ博士の研究所に来ていた。
が…ククイが急用で外出しており、ヨウたちは研究所のリビングでジュースを飲みながら帰りを待っていた。
ハウは研究所の中を見渡し、リビングの天井の方を見つめていた。

「ここ、ロフトがあるんだねー。いいなー。おれ、ロフトのある部屋にいつか住みたいって思ってるんだー」

「あ、ハウもそうなんだ?ロフトの上ってなんか秘密基地みたいでいいよね。僕もロフトのある部屋にいつか住みたいって思っ
てるんだ」

ヨウもハウと同様、ロフトのある部屋に憧れを持っていた。屋根裏のちょっとした小部屋に、自分の好きなものだけをおいて、存分に寛げる。また、階段ではなく梯子で上り下りするというアクセス手段も、まるで秘密基地のようでいい。

ヨウはジュースを飲み干し、リーリエに尋ねた。

「ねえ、リーリエ。少しくらいロフトに上っちゃダメかな?」

「ダメですよ。勝手に人の家を覗いて回るようなことをしては…。それに、ロフトの
上は…」

リーリエはそこで口ごもった。その様子に、ヨウはロフトはリーリエにとって何か見られたくないものがあるのかと勘繰る。

「リーリエ?ロフトの上に何かあるの?」

リーリエの代わりに答えをくれたのはミヅキだった。
「ロフトの上は実質リーリエの部屋だから、のぞかれるのが嫌なんでしょ?」

「え?リーリエの部屋ってこのロフトの上なの?」

「…そうです。ククイ博士が、空いてる部屋はないけど、ロフトなら最低限プライバシーは守れるだろうからとロフトを貸してくれたんです…。本当に感謝してもしきれないです」

ここでハウが食いついてくる。

「いいなー。おれもロフト暮らしとかしてみたいー。ねえ、リーリエ。一回だけリーリエの部屋に上がらせてもらっちゃだめー?」

「ハウくんってば…。別に普通な感じで、特別なものなんて何もないよ?」

ミヅキがハウをたしなめるが、ハウはその言葉にミヅキは少なくとも一回はリーリエの部屋に上がったことがあるのだと感づく。
 ▼ 82 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:05:59 ID:CPmcTu0U [3/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あー、ミヅキは上がったことあるのー?ずるいなー」

「リーリエと私は女の子同士だし…。もう…リーリエは男の子に部屋を除かれても平気?」

ミヅキはハウをたしなめるのを諦め、一度上がって何もなければすぐに興味を失うだろうと考えたようだ。

「…まあ…ハウさん、ヨウさんにもお世話になっていますし、一度くらいなら…」

こうして、全員でリーリエの部屋に上がることとなった。


「わー、思ってたより全然広ーい!」

「本当だ。ロフトって普通はもっとこじんまりした感じなのに、この広さなら余裕で暮らせるね」

ハウとヨウはリーリエが暮らすロフトの広さに驚いていた。
リーリエの部屋に置かれているのはほしぐもちゃんの寝床、本棚、机、小さなタンスが2つ、そして大きなソファベッド。
生活するのに必要最低限のものしか置かれていない感じだが、通常のロフト部屋と比べれば豪華の一言である。

「わー、大きなソファベッドだねー。ふかふかしてて気持ちよさそー」

「ダメだよハウくんってば。そこはリーリエの寝床なんだから」

ミヅキはハウを制する。ヨウはじっとソファベッドを見つめていた。
 ▼ 83 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:08:38 ID:CPmcTu0U [4/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
…リーリエの使っているソファベッド…

そこに、ククイが帰ってきた。

「ただいま、リーリエ。三人ももう来てるかな?」

「あ、ククイ博士が帰ってきましたね。皆さん、行きましょう」

リーリエに続いて、ミヅキ、ハウがロフトから降りていく。

「……」

ごろん…

ごめんなさいリーリエ。僕は欲望に負けました。
あなたのソファベッドは世界のどの花よりもいい香りがします。
幸せとはすぐ身近にあるのだと教えてくれる、素晴らしいソファベッドです。
ふかふかに見えて、実は柔らかすぎないところが◎。
バレたらバレたであなたが僕を蔑む顔が想像できるのも◎。
背徳感がスリルを生み出し、かつ物理的に寝心地がよいのでなかなか離れたくない。
しかもあなたの香りが引き付けて止まない。
バレたときにあなたが僕を蔑む顔も、きっと僕の目には美しく映るのでしょう。
一度寝ると四度美味しい、あなたのベッドはそんな魔性のベッドでした。
 ▼ 84 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:14:27 ID:CPmcTu0U [5/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「さあ、三人とも準備はいいね?」

ヨウ、ミヅキ、ハウの三人はそれぞれポケモン図鑑をもらった。ヨウはロトムの入ったロトム図鑑、あとの二人は普通のポケモン図鑑である。

「これからよろしくね、ロトム!」

「こちらこそよロトしく」

「あー、やっぱりいいなー」

ミヅキがロトム図鑑を見ながら、羨ましそうな声を上げる。

「本来はミヅキが勝っていたはずなのに、ピチューにとどめを刺さなかったからじゃないか」

「う〜…」

確かにあそこでピチューにとどめを刺さなかったのは悔やまれる。ヨウの言う通り、本来はミヅキが勝っていたはずの勝負だったのだ。

「はっはっは。でも、ミヅキもハウも、初めにもらったポケモンを出すような雰囲気を漂わせながら、別の戦力を用意してきたのはなかなか面白かったぜ!ヨウもこれからたくさんのポケモンをゲットして、戦力アップをしていくといいぜ!さあ、島巡り開始だ。とはいっても、そんなに緊張して挑む必要はないぜ。自分達のペースで、楽しみながら強くなっていけばいい。そうだ、危うく忘れるところだった。三人にはこの島巡りの証を渡そう。鞄につけるといい」

ククイは図鑑とともに、伝統工芸品のような飾りを三人に渡した。そして一呼吸置き、三人に念を押すように言った。

「三人ともわかってると思うけど、島巡りは人間だけでやれるもんじゃない。一緒に冒険するポケモンたちがいてこそってことを忘れちゃダメだぜ」

ヨウ、ミヅキ、ハウは大きく頷いた。
それを見たククイは笑って三人を送り出す。

「よし、じゃあ、三人とも頑張って。そうだ、リーリエもついて行きなよ。特にヨウはアローラに来たばかりだし、ハウオリシティを案内してやってくれ」

「え?…わかりました…」

ヨウ、ミヅキ、ハウ、リーリエはククイに見送られて研究所を後にした。
 ▼ 85 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:16:53 ID:CPmcTu0U [6/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「さて…キャプテンのイリマさんって人を探せばいいのか」

「ヨウは真面目だなー。いきなり試練を受けなくてもいいし、慌てず行こうよー」

島巡りを開始した三人だが、その足はのんびりとしたものだった。アローラは観光地として栄えている地方、その最大都市が今三人とリーリエがいるハウオリシティである。
ハウオリシティにはショッピング施設やレストラン、ホテルなどが立ち並ぶアローラ観光の中心地で、確かにそのド真ん中でいきなり本気モードで島巡りをしようという気分にはならない。

「リーリエも結局ついて来ちゃったね」

ミヅキがリーリエに声をかける。

「はい…。ヨウさんを案内してとのことですが、ハウオリシティの中は未だに迷うのです…」

リーリエはキョロキョロと辺りを見回し、まるで自身が初めてハウオリシティを訪れる旅行客のような状態だった。
ここで、ミヅキがヨウに声をかける。

「そうだ、旅立ちの記念撮影しようよ!ロトムに撮ってもらってさ!」

ミヅキの提案に、誰よりも早くロトム自身が答える。

「おまかせロト!ポケファインダー起動ロト!」

ロトムはヨウのリュックのポケットから飛び出し、パシャリとシャッター音が響いた。

「ちょっとロトム!ハイ、チーズくらい言ってくれてもいいでしょー?」

「ちょっと待ってミヅキ。不意討ちみたいな写真だったけど、結構よく撮れてるよ。ほら」

ヨウはロトム図鑑を手に取り、先ほど撮った写真を確認する。
写真の左から順に大きく口を開けて笑うハウ、その隣に白い歯を覗かせるミヅキ、口角を上げたヨウ、そして皆と同じく笑顔のリーリエ。

「あー本当だ。皆自然体の笑顔っていうか、そんなに悪くないね」

「ロトム、ハウとミヅキの図鑑にもこの写真のデータを送ってくれない?」

「オーケーロト!」

ロトムはミヅキとハウの図鑑に写真を送る。四人の思い出の、旅立ちの写真。
ミヅキとハウも送られた写真データを見ながら感慨に耽っている。
 ▼ 86 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:19:12 ID:CPmcTu0U [7/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「よーし、おれ、必ず島巡りチャンピオンになるぞー!」

ハウはそう言うと、一人駆け出していった。

「あっ…、ハウくんってば、自分でのんびり行こうとか言いながら行っちゃったよ。まあいいや。ねえリーリエ、ブティック行かない?新作の服がそろそろ出てる頃だと思うしさ。ヨウも来る?」

「…そうですね。ヨウさんは…」

リーリエはヨウの顔を見る。

「お邪魔じゃないなら、僕も行っていい?今は行く宛もないし」

ヨウはミヅキとリーリエについていくことにした。



「うわー、これいいなー!あっ、こっちもなかなか…」

ミヅキはブティックに入るとテンションがうなぎ登りになり、次から次へと服を物色していく。

「買い物中のミヅキっていつもこんな感じなの?」

ヨウは呆れてミヅキの様子を見ていた。

「…服を買うときは少なくともこんな感じです」

リーリエもミヅキのテンションに苦笑いを浮かべている。だがリーリエも店内の服や靴に目をチラチラ移しており、ちゃっかり自分の服も品定めしているのがヨウにもわかる。それを見て、ヨウはリーリエの服について思っていた疑問を口にした。

「リーリエの服ってさ、結構高いものだよね?生地もすごくいいし。その辺の店の、言い方は悪いけど、安物の服とかに興味って湧くの?」

すると、リーリエは少し悲しそうな顔をした。ヨウは言葉を選び損ねたと思った。
リーリエはお高くとまっているというような、非難の混じったニュアンスで伝わったのかと思ったからだ。
 ▼ 87 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:21:27 ID:CPmcTu0U [8/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「私だって、服に興味くらいありますよ。ミヅキさんみたいに自分で自分の服を選んでみたい気もありますし…。ヨウさんの服はご自分で選ばれているのですか?」

リーリエはヨウの服について尋ねる。

「一応はね。リーリエは違うの?」

「私の服は、母が選んでくれたものです。おかしいですよね?多分、ヨウさんやミヅキさんくらいの年齢なら、自分で服くらい選びますよね…」

はじめは店内でそわそわしていてそれなりにテンションが高かったリーリエだが、急にそれが落ちていった。
ヨウはそれがなぜだかわからなかった。

「これ、ください!」

ふと気がつくと、ミヅキはブティックのかごに服を詰められるだけ詰め込み、レジに向かっていた。
驚いたヨウはミヅキを制止する。

「ちょっとミヅキ!お金足りるの!?」

ミヅキは自分の財布の中を確認する。そして…

「…ねえヨウ、いとこのよしみでお金貸して?」

ヨウはミヅキの頭をはたいて店から引きずり出した。



「いったあ〜!暴力はんたーい!何よ、ヨウってば固すぎでしょ!」

「そりゃそうだよ!旅立ってすぐに旅費を使い込もうとしてたら止めるでしょ!買うとしても、買える範囲にしなきゃ!」

言い争う二人を見て、リーリエは二人の仲裁に入る。
 ▼ 88 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:22:46 ID:CPmcTu0U [9/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「そりゃそうだよ!旅立ってすぐに旅費を使い込もうとしてたら止めるでしょ!買うとしても、買える範囲にしなきゃ!」

言い争う二人を見て、リーリエは二人の仲裁に入る。

「まあまあ、ヨウさんもミヅキさんも。確かにヨウさんのしたことはやり過ぎかもしれませんが、ご意見はもっともだと思いますよ」

「むー…。わかったよ。一つだけどうしても欲しいのがあるから、それだけにする」

ミヅキはそう言うと、店の中に戻ろうとする。ヨウは心配になってついていこうとするが、ミヅキはそれを拒否した。

「ヨウはついて来ないで!」

ミヅキの姿が店の中に消えると、ヨウはリーリエに言った。

「やれやれ…。ねえリーリエ、一応心配だから、ミヅキについててくれない?」

その言葉を聞き、リーリエは首を横に振った。

「大丈夫ですよ。ヨウさんが心配することはありません。ミヅキさん、たまにあんな風に暴走することがありますけど、根は素直ですごくいい方ですよ?」

リーリエは今度はヨウをなだめるように言った。ニコッと笑う彼女を見て、ヨウは先ほどまでミヅキに抱いていた荒れた感情が収まっていく。

そのうち、ミヅキが目当ての服を買って店から出てきた。
 ▼ 89 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:24:35 ID:CPmcTu0U [10/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「お待たせ。リーリエは買わなくていいの?」

ミヅキはリーリエに尋ねた。

「…はい、私は大丈夫です」

「あれ?あそこにいるのハウじゃない?」

ヨウが指差す方を見ると、ハウは白い服を着た男女二人組と話していた。
それを見たリーリエの様子が変わる。

「あ…あの、ミヅキさん…っ、私、やっぱりほしい服があって…」

「え?そうなの?ヨウ、私、リーリエの買い物に付き合うから、もしよかったらハウくんのところに行ってきなよ」

ミヅキに促され、ヨウはハウのところに行くことにした。

「おーい、ハウ!」

「あ、ヨウ」

「お友達?」

白い服の女性がハウに尋ねた。

「おれの友達ー」

「ヨウといいます。つい最近カントー地方から来ました。あなた達は…?」

ヨウが自己紹介すると、白い服の男性が口を開いた。

「僕たちはエーテル財団でポケモン保護活動をしている者だ。君たちは島巡りをしているのかな?」

「そうです」

「ねえヨウー。今財団の人達から面白い話を教えてもらったんだー」

ハウは目を輝かせながら言った。しかし、女性職員はハウの発言に呆れたように肩をすくめた。
 ▼ 90 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:26:11 ID:CPmcTu0U [11/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「面白い話…かどうかはわからないわよ?実は、私達、あるポケモンの保護のためにここへ来てるの。ハウオリシティの北側にハウオリ霊園という墓地があるんだけど、最近そこに見たことのないポケモンが出没しているらしくてね。もし外来のポケモンが捨てられたり、主人とはぐれて野生化したとなると、いずれはその場所の生態系を壊してしまうかもしれない。それを防ぐためにも、私達エーテル財団はポケモン保護活動を行ってるの」

続いて、男性職員が口を開く。

「実は、発見者はポケモントレーナーでね。夜の霊園でゴーストポケモンを捕まえようとしていたんだ。すると見たことのないポケモンが出てきてね。捕獲しようとしたらしいんだ。すると…」

男性職員が声のトーンを落とした。

「…急に疲労感に見舞われて…彼はその場に倒れてしまった…。倒れる瞬間…青白い、やや紫がかった人魂が見えたそうだよ…。まるで魂が抜けていくような感覚…。その後彼は墓地の真ん中で仰向けに倒れているのを発見されたんだ…。結果的には一命はとりとめたけどね…」

男性職員は怪奇話をするような話し方でヨウとハウに話す。女性職員はその様子を呆れた顔で見ていた。

「こーら、ふざけすぎ。とにかく、君達もハウオリ霊園には近づかない方がいいわよ。ターゲットの能力なのかわからないけど、下手に近づくと危険な相手なのは間違いなさそう。くれぐれも自分達で捕獲してやろうなんて思っちゃダメよ?」
 ▼ 91 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:27:57 ID:CPmcTu0U [12/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
二人の財団職員と別れた後、ポケモンセンターのカフェでヨウとハウは先ほどの話を整理していた。

「ねえハウ、さっきの話、どう思う?」

「おれ、ゲットしたーい」

危険だから霊園に近づくなと釘を刺されておきながら、ハウはのんきに欲望を口にした。

「結論はそれかいっ!まあそれはともかく、ハウオリ霊園に生息してるポケモンで、そんなポケモンいるのかな?ねえロトム、ハウオリ霊園に住んでるポケモンを教えて」

ヨウがロトムに声をかけると、ロトムはハウオリ霊園に住むポケモンの名前を読み上げ始めた。

「ハウオリ霊園に生息するポケモン…。ゴース、ズバット、フワンテ、ムウマ…。こんなとこロト」

ハウも自分の図鑑を開き、先ほどロトムが読み上げたポケモンたちの情報を確認する。

「さっき読み上げたポケモンの中に、それっぽいポケモンはいないねー。そもそも発見者は見たことないポケモンって言ってたらしいし」

「僕も、この中にまるで生気を吸い取るような能力を持ったポケモンがいるとはちょっと考えられないな。それに、倒れる瞬間に人魂が見えたとか言ってたよね?一体何なんだろう?」

「ハウオリ霊園に行ってみるー?もしヨウが捕獲できれば、結構な戦力アップになるんじゃない?」

ヨウは考えた。確かに新しいポケモンを捕獲して戦力アップは図りたいが、財団職員の話を聞いているとリスクは高いように感じられた。
 ▼ 92 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:29:10 ID:CPmcTu0U [13/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「うーん…。珍しいポケモンなのかもしれないし、興味がないと言えば嘘になるけど、何か危険な気もするなあ」

そこに、ミヅキとリーリエが現れる。

「あ、ミヅキにリーリエ。目当ての服は買えた?」

ヨウが尋ねるとミヅキは首を横に振った。

「それがさー、リーリエのほしいって言った服、よく見たらサイズが合わないのしか残ってなかったの」

ミヅキはやれやれといった様子でカフェの椅子に腰かける。

「すみませんミヅキさん。何もないのに付き合わせてしまって。お詫びにカフェのドリンクを一杯奢りますよ」

「いいの?じゃあエネココアをアイスで!」

リーリエはクスッと笑うとミヅキと自分のドリンクを頼みに行った。
そして、リーリエはエネココアとモーモーミルクを持って戻ってきた。

「ありがと、リーリエ。ところで、さっき何を話してたの?なんかやけに真面目な顔で話してなかった?」

ミヅキはヨウとハウがハウオリ霊園の怪談について話していたのを見ていたらしい。
ヨウとハウは後から合流した二人にエーテル財団の職員から聞いた話を話した。
 ▼ 93 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:30:58 ID:CPmcTu0U [14/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ふーん…。そんな話がねえ…」カタカタ

「おれたち、そのポケモンを捕まえに行こうと思ってるんだけど、ミヅキも行くー?」

「え?僕も行くの?」

ヨウの言葉を無視してハウは話を進めていく。

「ミヅキも行こうよー?捕まえたらきっと戦力アップになるよー」

しかし、ミヅキはハウの誘いを断った。

「…いや、私は今夜はニャースでも捕まえに行こうかと思ってるから、ヨウとハウで行ってくるといいよ」カタカタ…

「…さっきからテーブルが震えてるんだけど…」

「…気のせいでしょ?ね?リーリエ?」カタカタカタ…

「紫がかった…青白い人魂…」

リーリエは唇に指を当てながら考え込んだ。

「…え…?もしかして、リーリエも興味あるとか…?」カタカタカタカタ…

「ヨウさん、ハウさん、行くのなら気をつけてくださいね。ゴーストポケモンの中には危険な能力を持つポケモンもいますので…」

「うん、わかってるー。じゃ、おれたち霊園に行ってくるねー」

ハウはそう言うと、ハウオリ霊園に向かって駆け出していった。

「ああ、もう、行っちゃったよ。なんか心配だし、僕も行ってこよう。行くよ、ロトム」

ヨウは宙に浮かんだままのロトムにリュックのポケットに入るよう促した。
しかし、ロトムはヨウの言うことに反発した。
 ▼ 94 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:32:55 ID:CPmcTu0U [15/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「嫌ロト」

「なんで?」

「こわ…、…いや、ゴーストポケモンの巣窟に行くなんて危険極まりないロト!」

「君もゴーストポケモンじゃないか」

「だからこそロト!もしボクがゴーストポケモンに襲われたら、効果ばつぐんの攻撃を浴びせられて痛い目に遭うロト!それは嫌ロト!」

「…怖いならそう言えばいいのに…」

ヨウがぼそっと言うと、ロトムは

「なっ?そんなことないロト!リスク管理の一環だロト!」

「…はいはい。じゃあ、ごめんミヅキ。ロトム図鑑、今日はミヅキに預けてもいい?」

「ふえ?それはいいけど…」

ミヅキはいきなりロトム図鑑を預かることになり困惑する。

「…助かっ…、ミヅキ!今夜はボクがニャースゲットの手伝いをするロト!ボクがサポートするからには、とびきりいい個体をゲットさせてあげるロト!」

「………」

ヨウはロトムの様子を見て、ふーっと深いため息をついた。
 ▼ 95 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/23 20:43:20 ID:CPmcTu0U [16/16] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第三話はここまでです。
多分、読まれてる方は今回のポケモンについて、
「ああ、あいつか」と察しがついているのでは
ないかと思います。
ヨウとミヅキのパーティーは私の独断と偏見で
選ばせてください。

次回もよろしくお願いします。
 ▼ 96 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:20:51 ID:nc32pP8Y [1/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こんにちは。第四話ができましたので
投稿します。
 ▼ 97 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:23:02 ID:nc32pP8Y [2/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 04 ハウオリ霊園の怪談 後編


ハウオリ霊園。ここは人間、ポケモン問わず亡くなった者たちの魂を慰めるための場所である。その中で、ヨウとハウはエーテル財団の職員達から聞いたポケモンを探していた。

バサバサッ

時折聞こえるズバットの羽音が夕暮れの墓地に一層不気味な空気をもたらしていた。

「財団の人達はまだ来てないみたいだねー」

ハウは周囲を見渡す。財団職員に見つかると霊園から追い出されることになるだろう。今回はターゲットの捕獲を、財団職員に見つからないように行うことが求められていた。

「ヨウ、ロトムは結局来なかったのー?」

「来なかったよ。怖いんだって。ロトムもゴーストポケモンなのにね」

「あはは、面白いねー」

「今頃ミヅキとニャースを捕まえに行ってると思うよ」

「あっ、誰か来たみたいだよ。隠れよう」

ハウは誰か来た気配を感じ、ヨウに隠れるよう促した。

ヨウとハウは墓地の影に隠れ、霊園に現れた人物の様子を伺った。

「財団の人達かな?」

「あれ?なんか服装が違わない?」

現れた人物は二人組ではあったが、エーテル財団の白い服を着てはいなかった。

「ヨヨヨー!最近霊園に珍しいポケモンが出るって話じゃねーの!俺たちが取っ捕まえてやるYO!」

「てなわけで、隠れてないで出てくるっスカ!」

柄の悪い男二人組、黒のタンクトップに髑髏を模した帽子を被っており、マスクで顔を隠していた。
 ▼ 98 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:24:41 ID:nc32pP8Y [3/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「なんだあいつら?」

ヨウは初めて見る風貌の男たちに驚く。

「あいつら、スカル団の連中だよ」

ハウが二人組の正体について話し始める。

「一言で言えばただのチンピラの集まりで、試練の邪魔をしたり、ポケモン泥棒をしたり、町の人に因縁つけたりって迷惑行為をしてる連中。…なんだけど…」

ここでハウは少し口ごもった。ヨウは違和感を覚えた。
字面だけ見れば、先ほどのハウの台詞は彼らへの軽蔑の念がこもったものと捉えられるだろう。だが、ハウの言葉にはそれだけではない何かが隠されているような気がした。このときのヨウにはそれが何かはわからなかった。

「あっ!!」

突然の女性の声に、ヨウとハウは思わずビクッとした。自分達が見つかったのかと思ったからだ。

「スカル団!あんたたち、何してるの!」

「おやー!?これはエーテル財団の方々じゃないっスカ?」

ヨウとハウは自分達が見つかったわけではないと知り、ひとまず安心した。
声の主の女性は二人にハウオリ連中に近づくなと警告した財団職員だった。
その後から男性職員も現れる。
 ▼ 99 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:26:44 ID:nc32pP8Y [4/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「お前たち、死者の魂が眠る場所で何をしてる!?」

「ヨヨヨー!あんたたちも知ってるんじゃねーの?ハウオリ霊園の怪談をYO!俺たちはその主を捕まえに来たってわけYO!きっと滅多に見ない珍しいポケモンなんだろ?あんたたちもそいつを捕まえに来たんだろ?」

それを聞いた財団職員たちはさらに声を荒げる。

「同じ捕まえるにしても、あんたたちと一緒にしないでくれる!?あんたたちはどうせ、珍しいポケモンを捕まえてどこかに売り飛ばそうって魂胆なんでしょ!?私達は生態系の保護のために来てるんだから!」

「どっちにしても、俺たちの邪魔するなら追い払うまでYO!」

スカル団員の二人はそれぞれスリープとコラッタを繰り出した。
エーテル財団職員の二人組もそれぞれヤングースとツツケラを繰り出して応戦する。

「うわ、バトルが始まったよ。こんなに騒がしくなったら、ターゲットも出てこないんじゃないの?」

スカル団とエーテル財団職員のバトルを見ていたヨウはハウに声をかけた。その言葉には今日は諦めた方がよさそうだというニュアンスが込められていた。

「そうだねー。残念だけど…。あっ、エーテル財団の二人がピンチだよー」

ヨウが再びスカル団員とエーテル財団職員のバトルに目をやると、確かにエーテル財団チームのピンチだった。スリープの催眠術をくらったのだろう。ツツケラは眠っており、そこにコラッタが渾身の必殺前歯をたたき込む。

「ツツケラ!くそっ、催眠なんてせこい真似を!」

男性職員はスカル団を非難するが、状態異常技を駆使して戦うのも立派な戦術である。
 ▼ 100 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:27:55 ID:nc32pP8Y [5/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「何を言ってるスカ!これも立派な戦術!手持ちポケモンを活かして戦ってると言ってほしいスカ!」

「ツツケラはもう立ち上がれねーだろ!あとは姉ちゃんのヤングースだけYO!」

「くっ…!」

よく見ると、ツツケラは辛うじて戦闘不能にはなっておらず、まだ立ち上がろうとしていた。だが、そのとき異変が起こった。
立ち上がろうとしていたツツケラはガクッと力を失い、倒れたのだ。

そして、ツツケラの近くの墓石の上に紫がかった青白い人魂が現れる。

「な…何?」

「おお!こいつが怪談の正体スカ!?スリープ!催眠術で眠らせるスカ!」

財団職員が突然のターゲットの出現に驚いているところに、スカル団員は構わず催眠術を仕掛ける。
しかし、人魂が一際大きく燃え上がったかと思うと、エーテル財団職員もスカル団も、彼らのポケモンたちも状態が急変した。

「なっ…何スカ!?急に目眩が…」
 ▼ 101 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:29:13 ID:nc32pP8Y [6/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その様子を見て、ヨウはハウに声をかけた。

「ハウ!あの人達を助けよう!」

「う…うん!」

隠れていた墓石の陰から飛び出し、二人はモンスターボールを投げる。

「いけ、ニャビー!ひっかく!」

ハウの投げたモンスターボールからニャビーが放たれ、人魂に向かって鉤爪を振るった。しかし、ニャビーは何の手応えも感じないまま人魂を通過した。

「ニャっ?」

「ハウ!あいつが攻撃してくる!」

人魂はニャビーに向かって火の粉を放つ。
ニャビーは間一髪でそれをかわした。

「ニャビー!こっちも火の粉!」

ハウの指示を受け、今度はニャビーが反撃する。だが…

ニャビーの放った火の粉は人魂に吸収され、人魂は反撃とばかりに強力な火炎弾をニャビーに向けて放った。
火炎弾はニャビーに直撃し、ニャビーは倒れそうになるもギリギリで踏みとどまった。

ヨウはよく人魂を観察する。大きな青白い炎の下に、小さな体らしきものが見える。
溶けた蝋燭のような体に黄色く光る目。ここに来る前にロトムから聞かされていたポケモンとは全く違うポケモンだった。
 ▼ 102 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:30:52 ID:nc32pP8Y [7/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ハウ、あのポケモン見たことある?」

「いや、ないよ」

蝋燭のようなポケモンは再び火炎弾を放ち、ニャビーにとどめを刺そうとする。

「アシマリ!火の玉に向かって水鉄砲!」

アシマリはニャビーに向かう火の玉を水鉄砲で打ち消した。

「ヨウ、ありがとう!」

だが、ニャビーの攻撃はこの怪談の主には通じない。あの強力な火炎弾はアシマリでも何度も耐えられないだろう。
ヨウとハウが怪談の主に苦戦しているところに、一人の少女が駆けつけた。

「ハウさん…っ、ニャビーさんを交代させてください!今のニャビーさんの技では、あのポケモンには通用しません…っ!」

息が上がりながらも、駆けつけた少女、リーリエは必死に声を上げた。
 ▼ 103 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:32:30 ID:nc32pP8Y [8/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あのポケモンはヒトモシ…!イッシュやカロスに生息していますが、普通ならアローラにはいません!ヒトモシの炎は人間や他のポケモンの生命力を吸って燃えています!特性は貰い火、ニャビーさんの炎技は吸収され、ヒトモシの使う炎技は強化されます!!」

ヨウはリーリエの説明を聞いて合点がいった。人間や他のポケモンの生命力を吸う…。だから発見者もエーテル財団職員もスカル団員も、体力を奪われるように倒れたのだ。

「リーリエ!ヒトモシのタイプを教えて!」

「ゴースト、炎の複合タイプです」

ヨウはリーリエの返事を聞き、アシマリなら有利に戦えると自信を持つ。

「ゴースト、炎とは面白い組み合わせだな…。いけ、アシマリ!ヒトモシに水鉄砲!」

ヒトモシに水鉄砲が直撃し、ヒトモシの頭の炎の勢いが弱まる。どうやらかなりのダメージを与えられたようだ。

「モシ…ッ!」

すると、ヒトモシは火の粉とは違う炎を周囲に撒き散らした。

「うわっ?なんだこれ?」

ヨウとアシマリが戸惑うと、リーリエは冷静に言った。

「鬼火です!これを目眩ましにして逃げるつもりです!」

「ピチュー!天使のキッス!」

ハウはニャビーを交代させ、ピチューを繰り出した。
ピチューの天使のキッスにより、ヒトモシは混乱して動きが鈍る。

「今だ!モンスターボールッ!」

ヨウはヒトモシに向かってモンスターボールを投げる。
ヒトモシはモンスターボールに吸い込まれ、地に落ちたボールはヒトモシの抵抗によって何度か揺れる。
そして数回目の揺れの後、ボールは動かなくなった。捕獲完了だ。
 ▼ 104 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:34:14 ID:nc32pP8Y [9/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…やった…」

ヨウは安心し、その場で尻餅をついた。

「…大丈夫ですか?ヨウさん」

リーリエは座り込んだヨウに手を差し出した。

「…ありがとう、リーリエ。リーリエのおかげでヒトモシを捕まえられたよ」

ヨウはお礼を言いながらリーリエの手を取った。

「そんな…。私なんて何も…」

「そんなことないよ。リーリエが、普通ならアローラにいないはずのポケモンの知識を持ってたから、ヒトモシとの戦い方がわかったんだ」

ヨウは立ち上がると、ヒトモシの入ったボールを拾った。

「そだねー。おれもヒトモシの特性が貰い火なんて知らなかった。知ってたらニャビーを戦わせるなんてしなかっただろうし。リーリエのおかげで助かったねー」

ハウもリーリエの知識に感心していた。
そこに、ある人物が現れた。

「いやいや、お見事ですね。最近噂の、ハウオリ霊園の怪奇現象の元凶を捕獲するなんて」

現れたのは中性的な顔立ちの少年だった。ハウよりもやや薄い褐色肌、ピンクブロンドの長髪を束ね、青い目をした美少年。
ヨウたちよりも3、4歳ほど年上かと思われた。
 ▼ 105 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:36:04 ID:nc32pP8Y [10/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あなたは?」

ヨウが尋ねると、少年は自己紹介をした。

「メレメレ島のキャプテン、イリマと申します。以後お見知り置きを」

やや芝居がかった仕草でイリマはヨウに右手を差し出した。

「僕はヨウと言います。よろしくお願いします」

ヨウはイリマの手を取り、握手を交わす。
ヨウとイリマの挨拶が終わると、ハウが口を開いた。

「イリマさんもヒトモシを捕まえに来たのー?」

「久しぶりですね、ハウくん。いよいよあなたも島巡り開始ですか。そうです。起こっている現象から察して、恐らくヒトモシ系列のポケモンがどこかから迷いこんだのだろうとは思っていましたが、あなた方に先を越されてしまいましたね」

イリマは周囲を見回し、倒れているエーテル財団職員、スカル団員に目をやった。
そして、口元に手をかざして彼らの呼吸を確認する。

「四人とも気を失ってますが、大丈夫そうです。あなた方のおかげでこの騒動も収まるでしょう。僕は救急車を呼びますので、あなた方はポケモンセンターで休むとよいでしょう。あとは任せてください」

「…ありがとうございます、イリマさん」

「そうだ。よろしければ、明日僕の自宅に来ていただけませんか?ヨウさんが捕まえたヒトモシをよく見せていただきたいのです」

「うわー、いいなー。ヨウ、イリマさんの家ってすごい豪邸なんだよー」

「ハウくん、それから…」

イリマはここでちらりとリーリエを見た。
リーリエは自己紹介した。

「リーリエと申します」

「リーリエさんも、よろしければどうぞ。リーリエさんもポケモンに関する多くの知識を持っているようだ。是非いろいろ語り合ってみたいです」

三人はイリマの招待を受けることにし、明日の昼にイリマの家に行くことにした。そして、三人はイリマにあとを任せてハウオリシティへの帰途についた。
 ▼ 106 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:37:19 ID:nc32pP8Y [11/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「あ、救急車」

サイレンを鳴らしながら走る救急車とすれ違い、ヨウは立ち止まって救急車を目で追った。

「イリマさんが呼んだものでしょうね」

リーリエもヨウの数歩先で立ち止まり、振り返った。
そこに、草むらから野生のポケモンがリーリエ目掛けて飛び出してきた。

「ドスコイッ!」

「きゃっ!?」

「リーリエ!」

ヨウはリーリエを庇うように立ち、飛び出してきたポケモンと目を合わせる。

「マクノシタだー!」

ハウがポケモンの名を口にする。小柄な力士のようなポケモン、マクノシタは数回四股を踏むと、戦闘体勢に入った。

「格闘タイプ…。戦力としては悪くないな」

ヨウはマクノシタを捕獲しようと決めた。

「ゴーストタイプなら格闘タイプには有利!いけ、ヒトモシ!」

「モシッ!」

ヒトモシがボールから飛び出すと、マクノシタは突っ張りで攻撃を仕掛けてくる。
しかし、マクノシタはヒトモシの体をすり抜け、勢い余って転んでしまう。

「!?」

「モシモシッ…!」

ヒトモシは転んだマクノシタを笑うように鳴き声を上げる。
 ▼ 107 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:38:48 ID:nc32pP8Y [12/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「攻撃力自慢のマクノシタなら、これは有効なはず!ヒトモシ、鬼火だ!」

ヒトモシは鬼火を放ち、それによりマクノシタは火傷を負う。

「「あっ…」」

ハウとリーリエはマクノシタか火傷したのを見て声を上げた。

「よし、ヒトモシ、あとはじわじわと弱らせてやれ!」


ヨウはマクノシタをゲットしたも同然だと確信する。それは間違いであったとすぐに知ることになるのだが。

「ドースコイッ!!」

マクノシタの様子がおかしい。
気迫が増し、まるで状態異常などものともしていないようだ。
そして、マクノシタは黒いオーラをまとった平手打ちをヒトモシに向かって振り下ろした。

「モシッ!?」

その平手はヒトモシを一撃でノックアウトした。

「え?なんで?」

「あちゃー、あのマクノシタ、悪技のはたき落とすを使えるんだ…」

「特性は根性ですね…。火傷させても攻撃力は下がらないどころか、かえって上昇するのです…」

「嘘!?」

ハウとリーリエの言葉から、ヨウは自分が一気に不利な状況に置かれたと知る。

「…逃げた方がいいかな?」

「…多分…」

「よし、じゃあ…」

三人はマクノシタと目を合わせたままジリジリと距離をとる。そして、ある程度離れたところで一目散に逃げ出した。
 ▼ 108 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:40:54 ID:nc32pP8Y [13/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ポケモンセンターに着いたヨウたちは、ポケモンを回復させるためにセンターのお姉さんに預けた。

「くそー、マクノシタ、捕まえたかったな…」

ヨウはポケモンセンターの宿泊室内で悔しそうに呟いた。

「確かに、捕まえられたらいい戦力になってくれるとはおれも思うよー。今回はマクノシタの特性を知らなかったせいでダメだったけど。おれもヒトモシの特性を知らなかったせいで今日は苦戦したし、ポケモンバトルって奥が深いよねー」

ハウは自分のベッドのシーツの皺を伸ばしながら言った。

「すみません…。マクノシタさんの特性が根性かもしれないし、悪タイプの技を使ってくる可能性があることも知っていました。そのことを先にお伝えしておけばこんなことにはならなかったかもしれないのに…」

リーリエは申し訳なさそうに口を開いた。
ヨウは彼女のせいではないと言葉を遮る。

「リーリエのせいじゃないよ。トレーナーの僕が知識不足だっただけ。ポケモンを戦わせるのは僕なんだから、相手に勝つためにどう戦うのかは僕がきちんと知っておかないといけない。ヒトモシには苦いデビュー戦をさせてしまったな…」

そこに、ミヅキとロトムが帰ってきた。
 ▼ 109 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:41:33 ID:nc32pP8Y [14/15] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「どうだった?怪談の元凶は捕まえられたの?」

ミヅキがヨウとハウに尋ねた。

「ヨウがゲットしたよー」

「明日ミヅキにも会わせてあげるよ。結構かわいい見た目してるし、意外とミヅキも気に入るかも。そっちはニャースはゲットできた?」

「できたできた。面白い技を覚えてる子をね。私も明日会わせてあげる」

「そうだ。ハウオリ霊園でキャプテンのイリマさんに会ったよ。明日自宅に来てって言ってた」

「えー!?イリマさんのお家?すッッごい豪邸だよ!」

「ハウも同じこと言ってた」

「私も行きたいなー」

「一人増えても大丈夫でしょうか…」

「多分大丈夫じゃない?一人くらい増えても」

四人が他愛のない会話をする間、旅立ち日の夜は更けていく。
ヨウは宿泊室のベッドに寝転がると、すぐに睡魔に襲われた。
可能ならマクノシタもゲットしたかったが、ヨウはハウオリ霊園の怪談の元凶を捕獲できたことで気分よく眠りについた。
 ▼ 110 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/07/27 18:46:31 ID:nc32pP8Y [15/15] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第四話はここまでです。
ポケモンSMを始めた当時、島スキャンというものを知りませんでした。
後で私の大好きなシャンデラを仲間にできると知ってすごく喜びました。
ヒトモシもかわいくて好きです。

次は多くの人が苦戦を強いられたであろうあの人を出したいなと
思っています。
次回もよろしくお願いします。
 ▼ 111 テボース@ミミッキュZ 19/07/27 19:29:11 ID:Tpp..g8g NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 112 ェリンボ@コダックじょうろ 19/07/31 20:21:19 ID:dHZ2g9zs NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 113 シレーヌ@みかづきのはね 19/08/01 14:55:44 ID:tZE6hSws NGネーム登録 NGID登録 報告
シエンネ
 ▼ 114 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:44:21 ID:HLKY7VlI [1/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>111
>>112
>>113
ご支援いただきありがとうございます。
第五話ができましたので、投下します。
 ▼ 115 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:46:45 ID:HLKY7VlI [2/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 05 トレーナーズスクールの戦い 前編


「…ん…んん?」

病院のベッドの上で、エーテル財団職員の女性職員が目を覚ました。

「目が覚めましたか?」

病院のベッドの傍らの椅子には、ピンクブロンドの長髪を束ねた少年が座っていた。女性職員は上体を起こした。

「あなたは…?」

「メレメレ島のキャプテン、イリマと申します。あなたは昨夜のことを覚えていらっしゃいますか?」

女性職員が隣のベッドにふと目をやると、相方の男性職員がベッドで寝ていた。

「…昨夜は確か…。ハウオリ霊園に行って…そこにいたスカル団とバトルになって…。それから、なんか力が抜けて目眩がして…。その後が思い出せない…」

女性職員が人差し指で頭を叩きながらそう言うと、イリマはクスリと笑った。

「あなた方は、そのハウオリ霊園の怪談の元凶の能力によって気を失ったのです」

イリマのその言葉に、財団職員はハッと思い出す。

「そうだ!人魂みたいな炎が見えて…。それから…。ターゲットはどうなったかわかりますか?」

財団職員は自分達が昨夜ターゲットの捕獲に失敗したのだと知り、ターゲットがどうなったかをイリマに尋ねる。

「大丈夫ですよ。勇気ある島巡り挑戦者が捕獲しました。もうハウオリ霊園に怪談がもたらされることはないでしょう。…とりあえずはもうお体の方も大丈夫そうですね。直にパートナーの方も目を覚ますと思います。僕はこれで失礼します」
 ▼ 116 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:48:23 ID:HLKY7VlI [3/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
イリマは財団職員が大丈夫そうだとわかると、病室を出ていった。
女性職員はポカンとした表情でイリマの背中を見送った。

「…ねえ、起きて」

女性職員は男性職員に声をかけた。

「…私たち、任務に失敗したみたいよ」

「…そう…」

いつから目を覚ましていたのか、男性職員は先程のイリマと女性職員の会話を聞いていたかのような返事をした。

「いつから起きてた?」

「君が起きた直後くらいだと思う」

女性職員は再びベッドの上に寝転がった。

「…なんかまだ体がだるいわね…。ねえ、あなたは昨夜のこと覚えてる?」

「ああ…覚えてるよ。君がさっきイリマさんに話していたことと…」

男性職員は女性職員が覚えていないことを知っているような口振りだった。

「…実は僕、君と同じタイミングで倒れはしたんだけど、完全には気を失っていなかったんだ。意識は朦朧としてたけど…。少年二人が乱入してきて、ターゲットとバトルを始めて…。その後…」

男性職員はここで大きく息を吸い、深呼吸して一息入れた。そして、もう一度息を大きく吸い、ゆっくりと息を吐き出すように言葉を発した。

「…リーリエお嬢様の声が…聞こえた気がしたんだ…」
 ▼ 117 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:50:09 ID:HLKY7VlI [4/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
そしてお昼前、ハウオリシティ イリマ邸前…

「なにこの家…」

ヨウはイリマ邸の前で、その大きさに圧倒されていた。家を囲う壁の向こうには手入れの行き届いた庭を覗くことができる。

「ねー、おれの言った通り、すごいでしょー?」

「そうそう。私も一生に一度くらい、こんな邸宅に住んでみたいなーって、向かいの自宅から何度も思ってたわけよ」

「…向かいの家、ミヅキの家なんだ…」

ヨウは背後にあるごく普通の家を見ながら言った。

「すぐご近所じゃないか。ミヅキはイリマさんの家に入ったことはないの?」

「ないよ!私みたいな庶民がこんな邸宅に足を踏み入れるなんて恐れ多い!」

「恐れ多いとか言ってる割には、僕らが招待されたと知ったらついてこようとするんだね。まあいいけど…」

「そろそろ入りましょう。イリマさんもお待ちになっていると思いますよ?」

リーリエは家の門のインターフォンを鳴らした。

「ごめんください。私、リーリエと申す者です。イリマさんと待ち合わせをしているのですが、中に入れていただけますか?」

数秒後、インターフォンから返事があった。

「ようこそいらっしゃいました。中へどうぞ」

カチッという音とともに門の扉のロックが解除され、四人は中に入っていった。
 ▼ 118 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:51:58 ID:HLKY7VlI [5/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「うわー、すごい量の本…。パソコンも複数ある…」

イリマの自室に通された四人は、その中にある大量の書物、複数台あるパソコンに目を奪われていた。

「興味があれば、自由に見ていただいて構いませんよ。いろいろなポケモンの生態を知るのはもちろん、バトルの戦術を考えるための資料もあります」

イリマは四人にロズレイティーとミアレガレットを勧めながら言った。

「すごい研究熱心なんですね。こんなにたくさんの資料、僕はあっても読むかどうか…」

ヨウが言うと、イリマは笑って答えた。

「よく言えば研究熱心ということになるのでしょうが、僕はマニア気質なところがありまして…。熱中すると、なかなかそれから抜け出せないんですよ。特にポケモンバトルについては…。僕はポケモンバトルが大好きなので、その戦術を考えるのは楽しくてやめられませんね。ポケモンにはいろいろな可能性があり、特に僕はバトルの面でそれを引き出せたら嬉しいです」

ヨウはイリマの話を聞き、もしかするとリーリエとは話が合わないのではないかと感じた。ただ、イリマもポケモンが大好きだというのは話していて強く伝わってくる。

「ヨウさん、昨日捕まえたヒトモシを見せていただけませんか?」

イリマの頼みに、ヨウは頷いてヒトモシをボールから出した。

「モシッ…?」

出されたヒトモシはイリマの部屋の中をキョロキョロと見回す。

「初めまして、ヒトモシ。イリマです」

イリマが右手を差し出すと、ヒトモシは握手をするようき自分の小さな右腕を伸ばし、イリマの人差し指の先に触れた。
 ▼ 119 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:53:32 ID:HLKY7VlI [6/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「うわーかわいい。その子がハウオリ霊園の怪談の原因だったの?そうはとても見えないねー」

ミヅキは初めて見るヒトモシを見て興奮気味に身を乗り出す。

「ヒトモシさんには、人間や他のポケモンの生命エネルギーを吸う能力があるんです。それにより、頭の炎が勢いよく燃えるんですよ」

リーリエがヒトモシの生態を解説すると、ミヅキは乗り出していた体を引っ込めた。

「えっ…?」

「大丈夫ですよ、ミヅキさん。ヨウさんがきちんと朝ポケモンフーズをあげてましたから。お腹が空いていない限りは大丈夫です」

リーリエはヒトモシを優しく撫でる。ヒトモシも目を閉じて気持ち良さそうにしていた。

「リーリエさん、よくヒトモシのことをご存じでしたね。アローラの方なら、知らない方のほうが多いと思うのですが」

「…知ってると言っても、そう大したものではありませんよ…。少なくとも、こんなにポケモンの本や資料、データを持っていて、さらにキャプテンまで務めるイリマさんとは比較にならないと思います」

「またご謙遜を。リーリエさんのアドバイスがなければ、ヨウさんとハウくんもヒトモシの能力で生命力を吸われていたかもしれません。その事態を防いだのはリーリエさんですよ。間違いなく」

イリマはいろいろとリーリエと話したいことがあったようだが、謙遜するリーリエの態度を見て話題を変えることにした。

「ヨウさん、ミヅキさん、ハウくんは島巡りをしているということは、試練に挑むんですよね?」

「そのつもりです」

「おれも初めての試練だから、すっごく楽しみー」

イリマは三人の表情を見てニコッと笑った。そして、あることを提案する。
 ▼ 120 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:55:08 ID:HLKY7VlI [7/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「わかりました…。その前に、プチ試練みたいなものを課してもよろしいでしょうか?」

「プチ試練…?」

ミヅキはイリマの言葉の意図がよくわからず、首をかしげる。

「まあ、プチ試練とか大層な名前をつけていますが、あなた方は普通にポケモンバトルをするだけです。相手はトレーナーズスクールの生徒たちです。実は、トレーナーズスクールの教員から、生徒たちに学校外のトレーナーとバトルさせたいので、相手を見つけてほしいと頼まれていまして…。僕も卒業生ですから、後輩たちに経験を積ませるのに協力しないわけにもいきません。あなた方は試練に挑む前のウォーミングアップとして、彼らとバトルしてみてはいかがでしょうか?…とはいっても、本当は僕が頼まれたことにあなた方を利用しているだけですが」

イリマは自嘲するような笑顔を見せた。確かにイリマの言う通り、イリマは自分の頼まれたことにヨウたちを利用しようとしている。だが、ヨウ、ハウ、ミヅキにとってはバトルの経験を積むのは決して悪いことではない。

「ハウとミヅキはどう?僕は引き受けても決して悪いことではないと思うけど…」

ヨウはハウとミヅキの顔を見た。

「面白そうだねー。トレーナーズスクールの人たちって、どんなポケモンを使ってくるのかなー?」

「私もいいよ。ニャースの技とかも試してみたいし」

三人の返事を聞いて、イリマはニヤリと笑った。

「ありがとうございます。では、トレーナーズスクールに電話してきますので、一旦失礼します」

イリマは部屋を出ていった。

「…アローラ、イリマです。エリコ先生をお願いできますか?…ああ、先生、先生に頼まれていた件、協力してくれる方々が見つかりました。…はい。では、すぐにでも向かいます」

四人がイリマの部屋で待っていると、イリマは電話を終えて戻ってきた。

「申し訳ありません。急なんですが、今からでも構いませんか?」

イリマの申し出に、三人の島巡り挑戦者たちは頷いた。

「では、参りましょう」

ヨウ、ミヅキ、ハウの三人はイリマに連れられ、トレーナーズスクールへと向かった。
 ▼ 121 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:56:21 ID:HLKY7VlI [8/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
トレーナーズスクール。ここはポケモントレーナーがバトルを含めポケモンに関する基礎知識を学ぶ学校である。

「トレーナーズスクールかー。初めて入ったけど、広いねー」

ハウはスクールの敷地を見回しながら言った。

「あ、誰か出てきたよ」

ミヅキがトレーナーズスクールの校舎から人が出てきたことに気づく。
人数は四人。眼鏡をかけた教師と思われる女性と、生徒と思われる少年が二人、少女が一人。

「アローラ……あら…!あなた達は…!」

眼鏡の女性がヨウ、ミヅキ、ハウの顔を見て驚いたような声を上げた。

「エリコ先生?彼らをご存じなのですか?」

イリマはエリコの反応を見て疑問の声を上げる。

「え〜と…どこかでお会いしましたっけ…?」

ミヅキ、ハウ、ヨウもエリコとどこかで会ったか思い出そうとするが、全く思い出せなかった。

「あなた達、リリィタウンのお祭りで三つ巴の変則バトルロイヤルをしてたでしょう?実は私、あのとき観客としてその場にいたのよ。あなた達は気づいてなかったと思うけど」

「あー、あのお祭りの場にいたんですか!」

「そうそう。あなた、メノクラゲを使ってたわよね? 他のお客さんが、あなた達はそれぞれモクロー、ニャビー、アシマリをもらっていて、タイプ的には三すくみの戦いになるから面白そうだと言ってたけど、実際に出てきたポケモン達が違ってて面白かったわ」

エリコはクスクスと笑った。

「申し遅れたわね。私はエリコ。このスクールで教師をしています。今回は、後ろにいる生徒たちのバトルの相手をお願いしたいの」

「アローラ、俺はジュンヤ。今日はよろしく頼む」

「アローラ、俺はゴロウ。よろしく」

「アローラ〜、私はヒロミね」

エリコに続き、生徒たちもそれぞれ挨拶をする。ヨウたちもそれぞれ自己紹介をし、さっそくバトル場へ向かった。
 ▼ 122 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:57:40 ID:HLKY7VlI [9/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「審判はこのイリマが務めさせていただきます。ルールはシングルバトル、トレーナー一人につき使用ポケモンは2体で、交代自由です」

バトル場に着くと、イリマは審判を買って出た。使用ポケモンは2体なので、ヨウとハウは実質フルに手持ちを使うことになる。

「それでは、最初のトレーナーは位置についてください!」

「よろしくー」

「よろしくね〜」

ほのぼのとした空気でハウとヒロミが対峙する。しかし、両者がモンスターボールを手に取るとその空気は一変した。

「行けっ!ピチュー!」

「頼むわよ!ツツケラ!」

ハウがピチューを繰り出し、ヒロミはツツケラを繰り出した。
タイプ相性ではピチューの方が有利だが、ピチューは打たれ弱いので、下手に打ち合いをするとツツケラに押し切られる可能性はある。

「ツツケラ、バック!行くのよ、ディグダ!」

ヒロミは相性が悪いと見るや、ツツケラを引っ込めてディグダを繰り出した。

「ディグダ!あれ?でも、なんか僕が見たことのあるディグダとは違うような…」

ヨウはカントーで見たディグダを思い浮かべながら、ヒロミが繰り出したディグダを凝視した。ヨウの記憶にはない髪の毛のようなものが三本生えている。

「リージョンフォームです」

リーリエが言った。

「アローラ地方には、リージョンフォームといって、その土地特有の姿、特徴を持ったポケモンがいるのです。タイプも違います。例えば、ディグダさんの場合は、他の地方では地面単タイプのポケモンですが、アローラ地方では鋼、地面の複合タイプになるのです」
 ▼ 123 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 04:59:31 ID:HLKY7VlI [10/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「リーリエは物知りだなあ」

ヨウが感心している間に、ハウとヒロミのバトルが始まる。

「ピチュー、天使のキッス!」

先手をとったのはハウだった。天使のキッスでディグダを混乱させる。そして、そのままハウはピチューを交代させた。

「そのまま交代!ニャビー!」

「ニャッ!…フーッッ!!」

交代したニャビーはディグダを威嚇する。
ディグダはニャビーの威嚇に一瞬怯んだが、すぐに闘志を取り戻す。

「…!?」

リーリエはニャビーとディグダの様子を見て疑問が頭をよぎる。

ニャビーとディグダはお互いに弱点を突き合うタイプである。それを知った上で、ハウはニャビーでディグダに真っ向勝負を挑むことにした。

「ディグダ!マグニチュード!」

ディクダは打たれ強いポケモンではない。ニャビーも弱点を突いてくる以上、速攻あるのみだった。混乱する頭に渇を入れ、ディグダは大地へとエネルギーを注いだ。
そして地面が揺れ、その衝撃がニャビーを襲う。しかし、ニャビーは耐えきった。

「こっちもいくよ!火の粉!」

ニャビーは火の粉を撒き散らし、炎の散弾がディグダに降り注いだ。

「ディグッ…!!」

ディグダは炎によって大ダメージを受ける。
 ▼ 124 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:00:49 ID:HLKY7VlI [11/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ディグダ…、ニャビーさえ倒せば勝てるわ!頑張って!メタルクロー!!」

「ニャビー!ひっかく!!」

ヒロミとハウは攻撃を指示し、ニャビーとディグダは正面からぶつかっていく。
そして、互いの爪の一撃により決着が着く。倒れたのはディグダだった。

「ディグダ…。お疲れ様、よく頑張ったわね」

ヒロミはディグダをモンスターボールにディグダを戻した。そのままハウはピチューでツツケラを倒し、勝利を収めた。

「お疲れ様ハウ。ディグダが出てきたときはちょっとヒヤッとしたけど、よく勝ったね」

ヨウは戻ってきたハウを労う。

「ニャビーとピチューが頑張ってくれたおかげだよー」

「…」

ハウがヨウとミヅキに迎えられる中、リーリエは無言のままハウを見つめていた。

「リーリエー?おれの顔に何かついてるー?」

リーリエはハッと我に返った。

「いえ…。すごいバトルだったので、思わずぼーっとしてしまって…」

「そうー?ならいいけど…」

ハウがベンチに座ると、次はヨウが立ち上がった。

「二番手は僕がいくよ」

ヨウは帽子を被り直し、相手と対峙する。

「俺はゴロウだ。よろしく頼むぜ」

「僕はヨウ。よろしく」
 ▼ 125 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:02:25 ID:HLKY7VlI [12/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
挨拶もそこそこに、イリマがバトル開始の宣言をする。

「バトル開始!」

「いくぜ、トランセル!」

「行け、ヒトモシ!」

多くのアローラ出身者には馴染みのないポケモンが繰り出され、ゴロウは戸惑う。

「なんだこいつ…?いや、先手必勝でいくぜ!トランセル、体当たり!」

ヨウとヒトモシはニヤリと笑った。トランセルは手応えなくヒトモシの体をすり抜けた。

「…?こいつ、ゴーストタイプなのか?」

「反撃だ!ヒトモシ、火の粉!」

ゴロウが呆気にとられている間にトランセルは炎の散弾にさらされ、倒れた。

「トランセル、戦闘不能!」

イリマはトランセルがこれ以上戦えないことを確認し、戦闘不能を告げた。

「ゴースト、炎の複合か…。イトマル!頼むぜ!」

相性不利とわかっていてまた虫タイプのポケモンでくるのか…。

ヨウは疑問に思った。ある特定のタイプのポケモンを専門に使うトレーナーは確かにいるが、ゴロウは虫タイプのポケモンに何かこだわりがあるのだろうか?

「ねえ、君、虫タイプのポケモンにこだわりがあるの?」

ヨウは思わず尋ねてしまった。ゴロウは笑って答えた。
 ▼ 126 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:04:37 ID:HLKY7VlI [13/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「五、六年くらい前かな。このメレメレ島に、すっげー強え虫タイプ使いがいたんだよ。名前は忘れたけど、そいつの試合は今でもよく覚えてる。俺も昔から虫ポケモンが好きで、そいつみたいになりたいと思ってるんだよ。そいつは多分、アローラ最強の虫タイプ使いだろうな。炎ポケモンもものともせずに、バッタバッタとなぎ倒していくんだ」

「へえー、すごい人がいるんだね」

ヨウとゴロウのやり取りの後ろで、ハウは体を震わせていた。

「ハウくん…?」

ミヅキがハウの様子がおかしいことに気づく。

「体が震えてるけど…、具合悪いの…?」

「だ…大丈夫だよ…。ちょっとイリマさんの家で、お菓子を食べ過ぎたのかも…。はは…。ちょっとトイレに行ってくるね…」

ハウはフラフラしながらバトル場を離れた。

結局、ゴロウはイトマルでかなり粘ったものの、ヒトモシとのタイプ相性をひっくり返すには至らなかった。勝利を収めたヨウは、バトル場のベンチに戻っていく。

「あれ?ハウは?」

「お腹の調子が悪いんだって、トイレに行ったよ」

「本当にそれだけなんでしょうか…。なんだかハウさん、思い詰めたような顔をしていましたけど…」

リーリエもハウが消えた方向を見ながら心配していた。

スクール内の男子トイレで、ハウは用を足してから大きなため息をついた。

「…グズマさん…。そんなに皆に認められないといけなかったの…?今でもグズマさんに憧れてる人、グズマさんの力をよくわかってる人は、確かにいるのにさ…」

その声は、普段のハウからは絶対に出ない、細く、そして弱々しい声だった。
 ▼ 127 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:06:02 ID:HLKY7VlI [14/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
バトル場では最後のバトルが行われようとしていた。ミヅキとジュンヤがバトル場で対峙する。挨拶を交わし、最後のバトルが開始された。

「行け、ゴンベ!」

「それじゃ、お披露目といきましょうか!ニャース!」

ジュンヤはゴンベを、ミヅキはニャースを繰り出した。

「あれがミヅキのニャースか…。あれもリージョンフォームってやつなの?」

ヨウはリーリエに尋ねた。ヨウが知るカントーのニャースはややくすんだ白い体毛だが、ミヅキの繰り出したニャースはやや黒みのある体毛で覆われていた。

「そうです。そして、アローラのニャースさんは、他の地方のニャースさんと違って、悪タイプです」

「あのニャース、ロトムが捕まえるのを手伝ったってヤツだよね?」

「そうロト!まあ、きっと面白いバトルが見れるロト!」

ロトムは自信満々に言った。

「ニャース!ひっかく!!」

「ゴンベ!体当たり!」

ニャースの爪の一撃がゴンベに命中するが、ゴンベはそれをものともせずに突っ込んでくる。ニャースは直撃こそ避けたものの、ゴンベの体当たりによって弾き飛ばされた。

「さすがにゴンベはタフね…」

「そりゃそうさ。そう簡単にやられてたまるかよ。ついでに言うと、俺のゴンベは特別力自慢でね…」

ジュンヤはニヤリと笑う。
 ▼ 128 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:07:06 ID:HLKY7VlI [15/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ニャース!何か来るよ!」

ミヅキの声にニャースは身構える。

「とっておき!」

ジュンヤが技を指示すると、ゴンベは強烈という言葉では足りないくらいの威力のパンチをニャースに向けて放った。
間一髪でニャースはゴンベの攻撃をかわした。

「あっぶな…。何今の…」

ミヅキが呆気にとられていると、リーリエが口を開いた。

「とっておき…。そのポケモンが使える技の中で、とっておき以外の技を全て使うことで使えるようになるのです」

「よくかわしたな。次はきっちりと当ててやるぜ」

ジュンヤのその言葉とともに、ゴンベは次の攻撃のために身構えた。

「確かにすごいパワーね」

ミヅキはゴンベを見ながら言った。ニャースもゴンベへの攻撃のために身構えた。

「力自慢のゴンベか…。その力、利用させてもらいましょうか」

「何を言ってる…?行けゴンベ!もう一発とっておきだ!」

「ゴンッ!!」

ゴンベは再び強烈なパンチを見舞おうとするが、ミヅキはそれに合わせてニャースにある技を指示した。
 ▼ 129 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:09:33 ID:HLKY7VlI [16/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「イカサマ」

ニャースから黒いオーラをまとった攻撃を打ち込まれ、ゴンベはノックアウトされた。ヨウは何が起こったのかわからなかった。普通ならニャースでゴンベを一撃でノックアウトするなんて不可能だからだ。

「イカサマか…。面白い技を覚えてるんだな。よく戦った。戻れゴンベ」

ジュンヤはモンスターボールにゴンベを戻した。

「イカサマ…?」

ヨウの疑問にリーリエが答える。

「悪タイプの攻撃技です。ただ、変わった特徴があって、相手の攻撃力に比例して威力が上がるのです。それにしても、ミヅキさん、よくあんな技を覚えてる個体を見つけましたね…」

「ボクががんばったからロト!ちなみに、驚くのはまだ早いロト!」

ロトムはニャースにまだ隠し球があるかのような言い方をする。

「さあ、勝負はこれからだぜ!ベトベター!」

ジュンヤはベトベターを繰り出した。これもヨウが知るベトベターとは体色が異なるものであった。

「捨て台詞!」

「フニャーツ!!」

ミヅキの指示とともに、ニャースは変わった鳴き声を上げた。ベトベターは一瞬怯んだ。そして、そのままニャースはボールに戻っていく。

「そんな技まで覚えてるのか…ッ!」

ジュンヤは苦虫を噛み潰したような顔をした。ヨウは何が起こったのかよくわかっていなかった。リーリエはわからないことだらけのヨウに説明する。

「すごいですね…。まさか捨て台詞まで覚えているなんて…。ヨウさん、捨て台詞は、相手の攻撃力、特殊攻撃力を下げながら交代できる技なんです。ミヅキさん、すごいニャースさんをゲットしましたね…」

「さあ、終わらせるよ、メノクラゲ!」

ミヅキはメノクラゲを繰り出した。毒タイプのメノクラゲならベトベターの毒に侵されることはない。ミヅキはそのまま水技を駆使してベトベターを倒した。
 ▼ 130 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:10:16 ID:HLKY7VlI [17/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…これは驚きましたね。皆さん、試練に挑む力は十二分に備わっているようです」

イリマはトレーナーズスクールの生徒たちが一勝もできなかったことに驚きを隠せなかった。イリマはヨウたちに、明日は自分の試練に挑戦するよう言おうと口を開きかけた。そのときだった。

「待って、イリマくん」

イリマを制したのはエリコだった。

「…私も、彼らと戦ってみたいんだけど、いいかしら?」

エリコはヨウ、ミヅキ、ハウの顔をまっすぐ見つめながら言った
 ▼ 131 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/03 05:14:32 ID:HLKY7VlI [18/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第5話はここまでです。
次はゲームで多くのプレイヤーが苦戦したであろうエリコ先生との戦いです。
それではまた。
 ▼ 132 スモウム@メカニカルメール 19/08/03 06:41:34 ID:kB3MkcFA NGネーム登録 NGID登録 報告
いいっすね〜
シエンネ
 ▼ 133 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/06 23:46:24 ID:B3xoNQhk [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
こんばんは。
第6話いきます。
 ▼ 134 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 19/08/06 23:51:10 ID:B3xoNQhk [2/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 06トレーナーズスクールの戦い 後編


「エリコ先生が…?」

イリマは目を丸くした。

「ええ。彼らのバトルを見てたら、私も戦いたくなっちゃった。ねえ、あなたたちはどうかしら?」

エリコがじっと三人を見つめる。三人はエリコと戦う決心をした。

「わかりました。よろしくお願いします」

「ありがとう」

バトル場にエリコが立つ。そして、三人に変則的なシングルバトルを申し入れた。

「使用ポケモンは三体。あなたたちのポケモンは消耗している子もいるでしょうし、三人がそれぞれ一体ずつのポケモンを使って。どちらかのポケモンが全員戦闘不能になったら試合終了よ」

「わかりました」

エリコの使用ポケモンは三体、対する島巡り挑戦者チームはヨウ、ミヅキ、ハウがそれぞれ一体ずつのポケモンを使って戦う。

「行け、アシマリ!」

「さあ、行くわよ、コイル!」

島巡り挑戦者チームの一番手はヨウとアシマリが務める。が、ヨウは自分がアシマリを出したと同時にエリコが出したポケモンを見て愕然とした。

「あれ…これヤバくない…?」

コイルは電気、鋼の複合タイプだ。弱点を突けるヒトモシとニャビーは先程のバトルで消耗している。
体力を残しているのはピチュー、モクロー、アシマリだが、この中でコイルの弱点を突けるポケモンはいない。
振り返ると、ミヅキとハウもヨウと同じような顔をしている。
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