セレナ「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」:ポケモンBBS(掲示板) セレナ「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」:ポケモンBBS

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セレナ「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」

 ▼ 1 ニョニョ@ミズZ 19/07/19 22:12:48 ID:/KdgbJS2 [1/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシたちとの旅を終えたセレナは、パフォーマーとしての技術を伸ばすべくホウエン地方に旅立っていた。
しかし、セレナたちは旅をしているはずのホウエン地方にはおらず、ほかの地方へと足を運んでいた。
その地方はと言うと…。



「ん〜、はぁ…やっと着いたぁ」
「ずーっと飛行機の中で座ってるんだもの、おしりが固くなっちゃうわ」

「え〜っと、パンフレットによればここの地方での挨拶はこう言うのよね」





「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」




 ▼ 2 ルー@カイロスナイト 19/07/19 22:13:21 ID:/KdgbJS2 [2/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
それは数日前に遡る。

ホウエン地方で開催されるポケモンコンテストに参加するべく旅を始めたセレナたちは、目的であるコンテストの参加し、今までの技術を活かし優勝を勝ち取っていた。

「優秀はセレナさんです!」

コンテストの会場にいる観客からは歓声が上がっていた。

セレナが元々参加していたトライポカロンは、パフォーマーとポケモンが一体となりパフォーマンスしていく。
パフォーマー自身も演技に参加するというものなのだが、ホウエン地方で開催されるポケモンコンテストは、純粋な指示のみでポケモンの魅力を引き出すというもの。似ているようで違うシステムに、セレナは最初の頃は苦戦をしていたが、培ってきていた技術を活かし、なんとか優勝をすることに成功した。

「ありがとうございます!」

「テナテナー!」

セレナはドレスを揺らしながら、パートナーであるテールナーは尻尾を揺らしながら観客に向かって手を振る。

「それでは、優勝の証としてこちらのコンテストバッチをお受け取り下さい」

「はい、ありがとうございます!」

元気な返事とともに、セレナの元へコンテストバッチが贈呈される。
司会者は、再度セレナに大きな拍手を促すよう観客へ喋り、観客の拍手とともにセレナの最初のコンテストは幕を閉じた。

しばらくして、セレナたちは衣装をカバンの中に丁寧に仕舞い、コンテストが終わり人通りの落ち着いた受付近くの椅子で一休みしていた。
 ▼ 3 ズゴロウ@ポケモンのふえ 19/07/19 22:13:52 ID:/KdgbJS2 [3/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「これがコンテストバッチかぁ」

「テナァ」

二人で優勝記念のコンテストバッチを見つめながら少し休んでいると、セレナたちのもとへとある人物が近づいてくる。

「すみません、先ほどコンテストに出場していたセレナさんでよろしいでしょうか?」

「へ? あ、はい。 そうですけど…どちら様でしょうか?」

「テナ?」

セレナ達に訪ねてきたのはスーツ姿の女性と男性の大人が二人。
とっさのことでセレナは言葉に詰まってしまう。

「申し遅れました、私たちはこういうものです」

渡されたのは一枚の名刺。
それは、コンテストが開催された街よりも一つ離れた場所にある街の名前が書かれていた名刺だった。
そして、その名刺には他にも書かれていたことがあった。
 ▼ 4 リル@あなぬけのヒモ 19/07/19 22:14:12 ID:/KdgbJS2 [4/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ポケモン大好きクラブ?」

「はい、我々はポケモン大好きクラブの会員であり、セレナさんへ会長からの伝言を預かっているものです」

「会長は先ほどのコンテストを拝見していました。 そして、セレナさんのパフォーマンスに感動したそうで、是非実際に演技をしているところを見たいと申し上げられました」

「ほ、本当ですか!」

パフォーマーにとって、自身のポケモンが演技したもので感動してもらえるのは嬉しいことだった。
それも、実際に演技しているところを見たいとなると、更にその嬉しさは倍増する。

セレナ達はコンテストに参加する前、コンテスト用にポケモン達と連携を取る練習をしていた。
最初は思うように行かず、試行錯誤しながら形には仕上げていくが、それでもまだまだ荒削りだった。
しかし、観客から見ればセレナ達の演技は十分な程に完成されたものだった。

元々セレナはトライポカロンによりパフォーマンスとしての実力は十分にあった。
ただ、遠くから指示に徹底するシステムに慣れていないだけで、演技としての完成度は高いものであった。
セレナはそれに気付いていないからこそ、初めてのコンテスト出場で人に声をかけられるというものが嬉しくてたまらなかった。

「勿論お礼はいたします。 お頼みをしているのはこちら側なのですから、セレナさんにご迷惑をかけるようなことはしないように配慮させていただきます」

「ご、ご丁寧にありがとうございます」

割と真面目な雰囲気に、セレナは嬉しさから一変して緊張に変わってしまう。
 ▼ 5 ンジュモク@みずのジュエル 19/07/19 22:14:28 ID:/KdgbJS2 [5/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もしご都合がよろしいのであれば、明日セレナさんをお迎えに上がります。 今日はコンテストもあり、セレナさんやポケモンに疲労がたまっていることでしょう」

「そうですね、急ぐ用事があるというわけでもないので、明日でも大丈夫です」

セレナとスーツの大人たちの会話はトントン拍子に進んでいき、明日のお昼頃にセレナが泊まっているポケモンセンターの近くに車を止めておくということで話が決まった。
その後、セレナはポケモンセンターに戻り、ポケモンたちを回復し終え自分の部屋に入る。

「(一体どんな人が会長なんだろう…も、もしかしたら怖い人だったりして)」

セレナに話しかけてきたスーツの大人たちはとても真面目で、セレナに気遣いを欠かさない人たちだった。
だからこそ、その上に立つ会長という人はとても怖い人だと想像してしまう。

「(もし、もし仮に、演技をミスでもしたら何を言われるんだろう…なんだか緊張してきちゃった)」

大きな舞台に立つセレナでも、個人の頼みごとで演技をすることは少なく、珍しいものだった。
変な緊張感が漂いながら、セレナ達は入浴し終え、体が暖まっているうちにベットに潜ったのだった。
 ▼ 6 ェリンボ@くろいてっきゅう 19/07/19 22:14:44 ID:/KdgbJS2 [6/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「いやっはっはっはっは!! 君があのセレナさんだね!?」

「は、はい…」

「私がポケモン大好きクラブの会長だよ。 会長とは言っても、他部署の会長だからほかにもいるんだがね」

「はぁ…」

翌日、セレナは指定の場所に迎えに来てもらい、そのまま会長のいる街へ出発した。
怖いイメージを浮かべながらも、実際に迎えてきた会長は非常に大らかな性格だった。

「(こ、怖いイメージをして損しちゃった…)」

「いや〜、君たちの演技を見て非常に愛がこもっているのが分かったよ! 私たちはポケモンを愛してこのポケモン大好きクラブに入会しているのだが、そんな私たちはトレーナーとポケモンの絆や愛や美しさなどが必要とされるポケモンコンテストを見るのが楽しみでね」

「様々なトレーナーが演技をするが、そんな中、君の演技は非常に素晴らしかった! 実にポケモンとの愛が現れるものだったよ」

「あ、ありがとうございます!!」

セレナはここまで感動してもらっているとは思わず、少し照れながらお礼を言う。
そして、心の中で怖いイメージをしたことをこっそり会長に謝った。
 ▼ 7 チリス@バクーダナイト 19/07/19 22:15:00 ID:/KdgbJS2 [7/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「しかし、少しばかりぎこちない様子があったねぇ。 ポケモンとの関係が良好で演技もとても完成されていて綺麗だった。 それなのに、君の指示の仕方にはまだまだ手探りの印象を受けたよ。 君がコンテストに参加したばかりだとは知っているが、なんだか違和感があってねえ」

「(す、凄い。 この人、私の演技を一回見ただけでこんなにも分かるなんて)」

「会長さん、私はカロス地方という場所から旅をしにホウエンへやってきました」

「ほう、カロス地方とはまた遠いところからやってきたんだねえ」

「カロス地方にはトライポカロンというコンテストとはまた違う演技方式のパフォーマンス大会が存在します。 私はそのトライポカロンに何回か出場したこともあるんです」

「なるほど。 初心者のはずなのに妙に場慣れしているのはそのためだったのだねえ」

「会長さんは、私の演技を実際に見てみたいということでしたが、もしよろしければトライポカロンのやり方で演技をさせていただいてもよろしいでしょうか。 私の出来る全部を、会長さんや会員の皆様に見ていただきたいです」

セレナの素直な気持ちだった。
セレナ達はホウエンに来て日はまだ浅い。
トライポカロンでカロスクイーンを決める大会で準優勝というパフォーマーとして名誉ある証を手に入れてはいるが、ホウエンではそんなことは関係ない。ホウエンとカロスでは距離が開いている。 ホウエンの人たちはそもそもトライポカロンを知っているか怪しいレベルなのだ。
それなのに、ここの会長さんはセレナの演技をコンテストで一回見ただけでここまで分かって受け入れてくれる。
だからこそ、自分ができる全力を見せて満足して欲しい。

それが、パフォーマーセレナの願いだった。
 ▼ 8 ルディオ@ものしりメガネ 19/07/19 22:15:18 ID:/KdgbJS2 [8/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「いやっはっはっはっは!! 非常に素晴らしい!!」

「セレナさん、是非こちらからもお願いしたい。セレナさんのパフォーマンスを私たちに見せていただきたい」

会長の表情が子供を見る優しい表情が消えて、セレナを真っ直ぐに見つめてお願いをする。

「はい! こちらこそありがとうございます!」
 ▼ 9 ワーク@アイスメモリ 19/07/19 22:15:34 ID:/KdgbJS2 [9/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
演技会場にセレナとポケモンたちが中央に立っている。
セレナの掛け声とともに、音楽がスタートする。
そこからはセレナとポケモンたちの独壇場であった。
完成された演技。 セレナ達はホウエンに来てからも、トライポカロンの演技は練習し続けていた。
ミスひとつない、ポケモン達との信頼が生む完璧な動き。

そこには、光が炎が愛が笑顔がキラキラと包み込む。
夢のチカラが具現化したような世界が広がっていた。
大好きという気持ちが広がっていた。
その空間には、笑顔も涙も全てが輝いていた。
ここにいる観客に大好きが広がっていた。

そして、セレナの掛け声とともに幕を閉じた。



「ありがとうございました!」

息をあげようとも、その表情には笑顔を崩さない。
無理やり作った笑顔ではなく、やりきった達成感と、楽しさで自然に作り出された笑顔だった。

セレナのお礼の声からしばらくすると、大きな拍手が会場を埋め尽くす。
力強い拍手の数々。 その人たちの表情は、みんな笑顔になっていたことだけは確かだった。
 ▼ 10 メモース@おいしいみず 19/07/19 22:15:51 ID:/KdgbJS2 [10/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナさん、ありがとう。 あなた達の演技は私たちの心を射抜くものだった。 素晴らしい演技だった。 あれほどの素晴らしい演技をこの目で実際に見れたことを、感謝させていただきたい」

会長の表情は満足感で崩れていたが、セレナたちへの配慮は欠かさずにいた。
そんな会長はセレナたちに何度もお礼を言う。

「そ、そんな、私も全力の演技を見ていただきたかったら…それに、私だけじゃなくて、テールナー達が頑張ってくれたから」

「テナ!」

「ああ…素晴らしい……おっと、感動に浸っていたいが、私からのお礼の品を渡させて欲しい」

「え、お礼ですか?」

セレナ達はすっかり忘れていたが、スーツの大人たちと話すとき、会長から演技のお礼があることを今思い出す。
あの時は話すのに精一杯だった目、お礼のことは頭から抜けていた。

「うむ、あのような演技を見せてくれたセレナさんにはそれ相応のお礼をさせていただきたいのだが…今渡せれるのはこれぐらいしかないので許して欲しい」
 ▼ 11 ュバルゴ@きのみぶくろ 19/07/19 22:16:09 ID:/KdgbJS2 [11/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
そう言って、会長がセレナのもとに渡したのは

最愛の赤いミサンガ。
アローラ地方無料旅行券。
多額の旅費。

「え、ええ!?」

「うーむ、正直これでも少ない気がするが、他の物はまた今度渡させて欲しい」

「いやいや、流石に渡しすぎですよ!」

正直気になるものがありすぎて何を喋っていいのかわからないセレナだが、一つだけ言いたいことがあった。
お金は余りにも直球過ぎると。
 ▼ 12 ビゴン@かみなりのいし 19/07/19 22:16:52 ID:/KdgbJS2 [12/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「しかし、旅にはお金が必要だからねえ…優秀なトレーナーであれば、確かに支援金は多く出るから旅には困らんだろうが、持っておいて損はないだろうねえ」

確かにその通りではあるのだが、それでもセレナはお金を受け取るのは後を引くものだった。
旅には必要ということもわかっているし、実際に支援金等で私たちの旅は支えられている。
コンテストやトライポカロンの優勝成績で賞金をある程度もらっているのも確かだが。

「(大人のおじさんから多額のお金を受け取るのは何か違うような気がする…)」

演技のお礼ということであれば、コンテストなどでもらうお金と何ら変わりはない。
そのはずなのだが、この分からない気持ちのせいでセレナは一歩引いてしまう。

「と、とにかくお金は受け取りません!」

「う、うーむ…それであれば、この地方を回る際にある程度支援を回させてもらおう。 優秀なパフォーマーを伸ばしたいという気持ちもあるからね、これはぜひ受け取って欲しい」

「わ、わかりました…」
 ▼ 13 ッコアラ@クオのみ 19/07/19 22:17:09 ID:/KdgbJS2 [13/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
直接お金を貰うことを避けたセレナは、気になっているお礼のものに目を向ける。

「この最愛のミサンガというのは?」

「うむ、このミサンガを付けておくと、想い人に、会いたい人に会えるようになるという不思議なミサンガなのだよ。 他にも、ミサンガが切れると最愛の人と恋愛が実るとも言われておる。 何を隠そう私の妻はそのミサンガを付け始めてから出会ったのだよ。 もしかしたらそのミサンガには本当にそんな力が眠っているのかもしれない。 うまく使って欲しいねえ」

「へ、へぇ…最愛の人…」

頭に思い浮かべる。
セレナがカロス地方で旅をしていた時に何度も助けてくれたあの男の子。
小さいことから思っていた、マサラタウンのサトシという勇敢な少年を。

正直お金よりも嬉しいと思ったのはここだけの話。
 ▼ 14 イパム@イワZ 19/07/19 22:17:32 ID:/KdgbJS2 [14/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アローラ地方ですか?」

「うむ。 有名なリゾート施設でね。 ポケモンと人が上手く住み合っている素晴らしい地方だよ。 ホウエンやカントー、ジョウトと、その7地方にはその地方の文化があるが、ほぼ全ての地方は近代化が進んでいる。 しかし、このアローラ地方はポケモンたちとの共存を第一に図っている地方なんだねえ。 自然が豊かで果物や料理も美味しく、様々な地方からも人気旅行先になっているんだよ。 それのチケットというわけだねえ」

「アローラ地方…」

「そのチケットがあればほぼ全ての施設が無料で使える。 勿論ホテルもスイートルームで飛行機も同じくスイート。 いたせりつくせりの旅行を楽しめるよ」

「ありがとうございます…」

「うむ、今日はありがとう。 また、君のコンテストを見れるのを楽しみにしているよ。 私はホウエンでの君のファンだからね」

「はい! こんなにお礼をいただいてありがとうございます!」

セレナは受け取ったお礼一つ一つに様々なことを思いながら、多くな声で快活に挨拶をした。
会長たちはセレナを出口まで案内し、元のポケモンセンターまで車で送っていった。
 ▼ 15 々は準備が出来ている◆R9KavHYPoY 19/07/19 22:17:36 ID:QKbgW9c. NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 16 ェリンボ@こだいのどうか 19/07/19 22:17:49 ID:/KdgbJS2 [15/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それではセレナさん、良い旅を」

「はい、こちらこそ」

セレナは扉が閉まり帰っていく車を見つめる。
車の姿が見えなくなる頃には、セレナはポケモンセンターの中に入っていった。

セレナは今日の疲れを癒すためシャワーを浴び別途に潜る。
手の中には最愛のミサンガが握られていた。
ミサンガを空に掲げる。

「今日は疲れたな…」

「最愛の人か…私はサトシに会いたい。 サトシに会いたいけど、今の私じゃサトシに追いつけない」

「だから、早くコンテストに出場して、いい成績を取って…取って…そう、アローラ地方……」

「旅行も……行く暇なんて………」

うわ言のように呟く。 大切な人の名前を言いながら、その人に追いつきたいと思いながら。
セレナはゆっくりと眠りに落ちた。
 ▼ 17 エルオー@カクトウZ 19/07/19 22:18:06 ID:/KdgbJS2 [16/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
翌日、セレナは次のコンテストに迎えて旅の準備を進める。
部屋に忘れ物がないか確認をしながら、愛用の携帯端末を開き次の街を調べる。

次のコンテストでの演技を考えながら部屋でココアを飲んでいると、扉をノックする音が聞こえる。

「はい、どちら様でしょうか?」

「セレナさん、先程ヤシオさんという人からお電話を預かっています」

「ヤシオさんですか!? すぐ行きます!」

ヤシオという言葉を聞き、急いでセレナはジョーイさんにぶつからない様に扉を開ける。
セレナはヤシオからの連絡が来ている画面の前に待機し、息を整えてから保留中の画面をオフにする。

「久しぶりね、元気にしていたかしら」

「ヤシオさん! お久しぶりです!」

ヤシオ。 カロス地方で行われるトライポカロンの元頂点であり、セレナをホウエンに行くことを助言した人物。
セレナがホウエンに行ったあともヤシオはセレナの様子をコンテストを通して見ており、コンテスト優勝の映像を見てセレナに電話してきたみたいだった。
 ▼ 18 メルゴン@あやしいおこう 19/07/19 22:18:25 ID:/KdgbJS2 [17/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「まずはコンテスト優勝おめでとう。 初めてのコンテストでまだまだ不慣れなところが多かったわね。 指示の遅れがよく出ていたわ。 だけど、それを克服できれば更に成長できるわ。 次のコンテストも頑張ってね」

「はい、ありがとうございます」

「初めてのコンテストで悩みの種があるなら聞きたいのだけれど、大丈夫かしら? 私が助言できることがあれば、是非聞きたいわ」

ヤシオは激励の言葉とともにセレナの悩みを聞いてあげたいと言った。 セレナをホウエンに行くよう助言したが、行くか行かないかはセレナ本人次第。 しかし、ヤシオはセレナのことを勧誘したことがあり、手助けできることがあれば声をかけたいと思った。

セレナはその気持ちを受け取り、今悩んでいることをヤシオに伝える。

「実は、コンテストに出場したあとほかの場所で演技のお願いをされて、そのお礼にアローラ地方へのチケットを貰ったんです」

「まあ、アローラ地方の」

「はい、ですけど、私には目標があります。ヤシオさんにも私の我侭で待ってもらっています。 このまま寄り道してもいいんでしょうか…」

セレナには追いつきたい人がいた。 その人は既に遠いところまで歩いており、少し前にポケモンを持ち始めたセレナでは追いついて肩を並べて歩くには寄り道をする暇はないと思っている。
 ▼ 19 ンノーン@エルレイドナイト 19/07/19 22:18:46 ID:/KdgbJS2 [18/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナちゃん。 あなたの言いたいことは分かったわ。 確かにあなたはゼロからマスタークラス準決勝という栄誉を手に入れる努力をし続けた。 気持ちだけではなく、何かしらの形で手に入れることが出来ているわ」

「だけど、貴方はそれを掴むことができたのは、あなた自身の力だけではないわよね? あなたは私の勧誘を断った。 その断った理由はなんだったか、覚えているかしら」

「サトシ達との旅を中途半端には終わらせたくなかった…私はそう言いました」

「ええ、そして、あなたの旅には常に仲間がいた。 悩むことだって喧嘩だって、様々なことが貴方にはあったと思う。 だけど、それがあったからこそあなたはここまで旅を続け、パフォーマーとして歩むことができたと思っているわ」

「遠回りなことでも、貴方にはそれが力となっていた。 そこには貴方が楽しいと思うことも一杯あったはずよ。 演技をする貴方自身が楽しいと思うからこそ、その気持ちが周りの人にも伝わっているの」

「ヤシオさん…」

「大丈夫。 あなたはこれからもどんどん成長し続けるわ。 アローラ地方は南国の島。 今まで旅をして見てきたもの以外がいっぱい詰まっている場所よ。 貴方の演技にとても良い刺激になると思うわ。 パフォーマーはどんどん新しいものを見て、取り入れていくことも重要よ。 安心してアローラ地方へ行ってきなさい。」

「はい! ありがとうございます!」

セレナとヤシオは挨拶を最後に通話を終了する。
悩みを伝えたセレナは、ヤシオの説得によりアローラ地方へ行くことを決心する。
 ▼ 20 リーザー@びっくりこやし 19/07/19 22:19:02 ID:/KdgbJS2 [19/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
新しい刺激。 アローラは南国の島国だとヤシオは言っていた。 
セレナはヤシオが言っていたことを思い出しながら、これからの旅行の荷物を考える。



そして、セレナ達はアローラ地方への足を進め、冒頭に戻るのであった。
 ▼ 21 ラカッチ@きゅうこん 19/07/19 23:52:17 ID:yN3.zWkQ NGネーム登録 NGID登録 報告
アローラで新ポケ捕まえるのも良さそうだな

コンテストのパフォーマンスに良さそうな

ネッコアラとかアブリボンとかズガドーンとか
 ▼ 23 イノーズ@イトケのみ 19/07/22 03:19:12 ID:ZZbQwmrk [1/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「南国の島って言ってたから涼しげな服でコーディネートしてきたけど、正解だったみたいね」

「テナテナ?」

「日焼け止め? もちろん付けてあるわよ〜」

「テナ〜!」

涼しげな衣装。 絶対領域が眩しく見える黒いタイツを愛用していたが、今回は大胆に足を出していた。
動きやすい靴に少しばかり履きなれていない短パン。 ゆったりとした白い服。 そして、会長からお礼として貰った最愛のミサンガと言われるもの。 実際に効果があるのか分からないが、女の子はこういったものには割と弱く、どうせなら付けておきたかった。

「(効果があるかわからないけど、このミサンガ可愛いから付けてても結構良い感じ)」


セレナはミサンガを少し触りながら、旅先のことを考えながらコーディネートした服装を少し整えていた。
 ▼ 24 イキング@はいぶくろ 19/07/22 03:19:45 ID:ZZbQwmrk [2/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「南国の島って言ってたから涼しげな服でコーディネートしてきたけど、正解だったみたいね」

「テナテナ?」

「日焼け止め? もちろん付けてあるわよ〜」

「テナ〜!」

涼しげな衣装。 絶対領域が眩しく見える黒いタイツを愛用していたが、今回は大胆に足を出していた。
動きやすい靴に少しばかり履きなれていない短パン。 ゆったりとした白い服。 そして、会長からお礼として貰った最愛のミサンガと言われるもの。 実際に効果があるのか分からないが、女の子はこういったものには割と弱く、どうせなら付けておきたかった。

「(効果があるかわからないけど、このミサンガ可愛いから付けてても結構良い感じ)」


セレナはミサンガを少し触りながら、旅先のことを考えながらコーディネートした服装を少し整えていた。
 ▼ 25 ンテイ@メダルボックス 19/07/22 03:20:03 ID:ZZbQwmrk [3/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「飛行機もすっごい快適だったけど、やっぱり長く座ってると体が固まっちゃうな」

「テナー…」

「アローラ地方のパンフレット見てるだけでも楽しそうな雰囲気が伝わってきたから、いっぱい楽しみましょうね」

「テナテナ!」

最初の頃からのパートナーであるテールナーと歩きながら、最初の目的地であるホテルへ向かう。
そこまで歩いているだけでも、今までに見たことのない景色が広がっている。
見たこともない新しいポケモンたち。 ポケモンと人が仲良く遊んで暮らして、協力し合っている。

新しい刺激があるといっていたが、予想以上にセレナたちの心を震わせていた。

「ヤシオさんに背中を押してもらえて良かった。 こんなにもいい地方に巡り会えたんだもの」

「いっぱい楽しまないとね」

「テナ!」

セレナ達が向かうホテルは大きな砂浜の近くに立っている観光客向けのホテル。
パンフレットに描かれている地図を頼りにしながら足を進めると、大きな海が広がっていた。
 ▼ 26 ガメタグロス@だいちのプレート 19/07/22 03:20:18 ID:ZZbQwmrk [4/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「わぁ…凄い。 とっても綺麗な海…」

「テナ…」

「そうだ! みんなも出てきて! ヤンチャム、ニンフィア!」

「ヤッチャ!」

「フィア!」

セレナは所持しているポケモンを全て外に出す。
アローラ地方の街中を少しだけしか見ていないが、分かることがあった。
街の人たちはポケモンを外に出していることが多い。 カロス地方でも外に出している人は多いが、アローラ地方は特に多いように見えた。
ポケモンと人が共存している。 その習慣が濃く出ているのか、それが浮き彫りになっていた。
 ▼ 27 タージャ@パワーアンクル 19/07/22 03:20:34 ID:ZZbQwmrk [5/31] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ここは私たちが見てきた景色とは全く違うような景色が広がっているわ! ポケモンたちも一杯いる! ヤンチャム達も外に出ていたほうが楽しいと思うわ! もし歩き疲れたりしたら言ってね? すぐにモンスターボールに戻すから!」

「ヤッチャヤッチャ!」

「フィアフィア!」

ポケモンたちが楽しそうに外で駆け回り、街と海の間にある塀を上りポケモンたちは海を眺めている。
ここまで広く、綺麗な海を見たことがなかったため少しばかり立ち止りセレナも一緒に海を眺める

海から風が流れて来る。 海に日差しが当たりキラキラと乱反射する景色は非常に良いものだった。

「凄いなあ…ふふ、この景色を見れただけでも来て良かった」

「テナ」

テールナーが笑顔でセレナに顔を向ける。 その様子に気付き、セレナも笑顔で迎える。
海を眺めながらゆっくりとホテルへ歩き進めるセレナ達は、数分後に目的地へ到着する。
 ▼ 28 コン@だっしゅつボタン 19/07/22 03:20:52 ID:ZZbQwmrk [6/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「わぁ…おっきいホテル…」

「テナァ…」

「ヤッチャ…」

「フィ…」

目的地のホテルは自分が思っている以上に綺麗に整えられていたものであった。
こんな機会がなければ一生入ることはないだろうと思える高級ホテル。
少しばかり気後れしながらも、セレナとポケモン達はホテルへ足を踏み入れる。

外と愛も変わらず内装も綺麗に整えられている。 外の強い日差しを受けた体を優しく包むような気温であり、明るい外で疲れた目を癒すような色で壁紙は塗られていた。 
周りを見ていたセレナは受付を見つけ、清潔感のあるホテルスタッフが向かえてくる
 ▼ 29 タージャ@ふうせん 19/07/22 03:21:07 ID:ZZbQwmrk [7/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「こんにちはお客様。 ホテルハワイへようこそお越しくださいました」

「このチケットで予約したものなんですけど…」

セレナはチケットを見せると、スタッフはセレナに付き添い泊まる部屋へと誘導する。
そして、手引きしてもらった部屋につき、スタッフは扉を開ける。

「わぁ!」

セレナの目の前に飛び込んできたものは、アローラの海を全貌できる大きな窓。 その近くには二人でも足りないだろうと思える大きなベッド。 大画面のテレビにソファーといった、様々な家具が揃っていた。 全ての家具に多くのお金が使われているだろう。 素人のセレナでもそれが分かるほどのものだった。

スイートルームと言われたが、まさかここまでの場所で過ごしながらこのアローラで旅行が楽しめる。 そう思うと、この旅行が一層楽しく感じてくる。

「ホテルハワイでは、お客様がこの旅行を快適に過ごせるように様々なサービスを行っています。 お客様が所持しているポケモンは、ホテル内でもお出ししていただいても構いません。 ただ、他のお客様のご迷惑になるような行為はお気を付けくださいますようお願いします。」

「わかりました、ありがとうございます」

「それでは、ごゆっくり」

ホテルのスタッフがゆっくりと扉を閉めたあと。 セレナは荷物を置き、一度ボールの中にしまっていたポケモンたちを外に出す。 
それから、三匹と一人でこれから行きたい場所を決めることにした。
 ▼ 30 インディ@どくけし 19/07/22 03:21:33 ID:ZZbQwmrk [8/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
大きな部屋にある机の上に地図と携帯端末、パンフレットを広げテールナーたちに見やすいようにする。

「みんなはどれに行きたい?」

「テーナー…」

「チャム…」

「フィー…」

それぞれに描かれている絵や表紙を見ながら、それぞれは悩みながら行きたいところを考える。 しかし、ポケモンたちは中々行きたい場所を決めかねて時間が経っていく

「ん〜、私もそうだけど行きたいところが多くて決まらないから、街中を歩いて、気になったところを入ってみる? まだまだ時間はあるものね」

「それに、折角海の近くのホテルに泊まれたんだから、海に泳ぎに行きましょう! テールナーは水が苦手だからは入れないけど、一緒に日光浴でもどうかしら?」

「テーナ!」

「ふふ、それじゃあ着替えて行きましょう!」

セレナ達は今回の旅行で行きたい場所をある程度決めてから、最初にアローラ地方の海を楽しむことにした。
 ▼ 31 ークイン@チイラのみ 19/07/22 03:22:04 ID:ZZbQwmrk [9/31] NGネーム登録 NGID登録 報告

テールナーは水が苦手な炎タイプなため、海岸近くで日光浴を楽しむことに。 セレナは日焼け止めをテールナーに手伝ってもらいながら体の隅々に塗っていき、水着の上に水に濡れてもいい上着やズボンを履き外に出る、

「やっぱり何度見ても綺麗ねー! ん〜風が気持い…私はパラソルと椅子を持ってくるから、みんなは先に泳ぎに行って大丈夫よ。 この近くにいると思うから、何かあったときは来てね」

「ヤッチャ!」

「フィア!」

セレナの声を聞き、ヤンチャムとニンフィアは一緒に一緒に砂浜へ駆け出す。 セレナもここまで綺麗な海や砂浜に心が躍っていたが、ヤンチャム達も同じようで、砂浜に駆け出すその姿にセレナは自然と笑顔になる。

テールナーは海には入れないため、セレナを手伝うため一緒に行動する。 セレナ達はパラソルと椅子を持っていこうとすると、旅行チケットのおかげか全て用意してくれるのことで、セレナとテールナーはすぐに準備を済ますことができた。

二人は長椅子に転び、日差しと一緒に心地よい風が体を撫でる。 パラソルの影が顔にかかり眩しさは感じない。
 ▼ 32 ンバル@あくのジュエル 19/07/22 03:22:25 ID:ZZbQwmrk [10/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ゆっくり日光浴ができて良かったね」

「テナ〜」

「いい日差し…。 そう言えば、ここはライドポケモンっていうのがあったっけ。 私もその時に泳ぎに行ってみようかな」

「テナ〜…」

「どうしたの?」

テールナーがセレナを見ながら甘えるような声を出す。 どうやら少しセレナの隣に座りたいようだった。

「(そっか、いつも特訓特訓で甘えられる暇なんてなかったから…)」

セレナにホウエンへ旅すると決意し、セレナは良くも悪くもパフォーマーとしての技術を伸ばすために日々特訓を重ねていた。 最初のコンテストということで体に力が入っていたセレナには、失敗するわけには行かないと強く思っていた。
 ▼ 33 ッカニン@いかずちプレート 19/07/22 03:22:41 ID:ZZbQwmrk [11/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
しかし、その結果ポケモン達とのスキンシップなどが怠ってしまった。 テールナーはセレナの思いを近くで汲み取っていたので、甘えることが邪魔になると思い上手く言い出せなかったのだろう。 

「椅子をくっ付け一緒に転びましょう?」

「テナ!」

セレナとテールナーは椅子をくっ付け二人隣同士で転び合う。 セレナはテールナーの手を握ると、テールナーは嬉しくなったのか抱きついてくる。 テールナーの体毛が肌に触れてくすぐったいが、嫌なことはなく、自分のパートナーポケモンに懐いて貰えることが嬉しかった。 今までの時間を取り戻すように、セレナとテールナーは身を寄せ合った。

「(テールナー、ずっとずっと甘えたかったのね…あはは、ヤンチャム達、ここからでも見えるぐらいはしゃいでるなあ…)」

「テナ?」

「ううん、何でもない」

セレナとポケモン達はアローラの日の光と海をゆっくりと楽しむ。 ヤンチャム達は海と砂浜を。 セレナとテールナーは日差しと風を。
 ▼ 34 ガヘルガー@アロライZ 19/07/22 03:23:18 ID:ZZbQwmrk [12/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
しばらく経つと、隣にいるテールナーから規則正しい鼻息が聞こえてくる。 どうやら寝てしまったようだった。 セレナはテールナーが起きないように体の上に乗っている手を退け、体を起こした。

セレナはアローラについてからあまり食べ物を食べてなかったことを思い出し、少しお腹が空いていることに気づく。 ヤンチャム達も戻ってくる頃にはお腹を空かせるだろうと思い、セレナは近場に売ってあるマサラダと言う人気菓子パンとスポーツドリンク等を買う。 

「パンフレットにも人気って書いてあったから買っちゃったけど、テールナー達喜ぶかな?」

セレナが買い物から戻ってくると、ヤンチャム達が遊び疲れたのかパラソルの影に帰っていた。 テールナーも起きているようで、三匹とも仲良くシートの上に座り喋っている。 セレナに気づいた三匹は、手を軽く振りながら笑顔で迎える。

「お腹すいたでしょ? おやつと飲み物買ってきたから一緒に食べましょう!」

「テーナ!」

「ヤンチャ!」

「フィア!」

セレナの予想通りポケモン達もお腹がすいていたみたいだった。 始めて買ったマサラダも好評なようで、大きな口を開けながら食べていく。
 ▼ 35 ルタンク@スピードボール 19/07/22 03:23:34 ID:ZZbQwmrk [13/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「これからライドポケモンに乗って海を泳いでみたいんだけど、みんなも一緒に来る?」

「テナ?」

「大丈夫よテールナー。 ラプラスの背中にも載せてもらえるみたいだから、海の中には入れないけど景色がよく見えると思うわ」

「テナ!」

ヤンチャム達もラプラスの背中に乗ってみたいようで、セレナに着いていくことにした。 早速ライドポケモンに乗れる場所に移動し、セレナはラプラスとサメハダーと共に海に出る。

「よろしくねサメハダー、ラプラス!」

「サメ!」

「クゥン!」

サメハダーとラプラスを撫でると元気な声で挨拶を返してくる。 セレナはポケモンたちをラプラスに乗せてあげ、セレナはサメハダーにまたがり海へと出発する。
 ▼ 36 トウモリ@プラスパワー 19/07/22 03:24:02 ID:ZZbQwmrk [14/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「気持ちいい! こんな風にポケモンに乗って海を潜れるなんて!」

ある程度の距離をゆっくり移動したあと、セレナはサメハダーに海を潜ってもらい、海底にいるポケモンたちを見たり、海の中から眺める景色を楽しんだり、水ポケモンだからこそのスピードを感じたり、セレナはライドポケモンで体験できることを存分に楽しむ。

海上にいるテールナーも、ラプラスの上から見える景色を楽しんでいる様子だった。 炎タイプのテールナーでも楽しめるか少し不安ではあったが、杞憂で済んで一安心したセレナはサメハダーにとあるお願いをする。

「サメハダー。 少しスピードを上げて泳いで貰ってもいいかな?」

「サメ!」

セレナはサメハダーにスピードアップを頼む。 子供っぽい頼みではあるが、折角なので一度だけでも水ポケモンとともに人では出来ない海の泳ぎ方を体験したかった。 サメハダーはセレナの頼みに元気よく返事をして答える。 

目の保護のためゴーグルを装着し、サメハダーは人間を乗せた状態で出せるトップスピードで、海中を、海上を、時には飛び跳ね空を舞う。 先程以上の感覚に、セレナはテンションが高くなる。
 ▼ 37 フレシア@メガリング 19/07/22 03:24:18 ID:ZZbQwmrk [15/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あはは! 凄い! 凄いよサメハダー!」

セレナの喜びようにサメハダーも嬉しくなったのか、更にスピードを上げようとしたり、複雑に動いたりをしてセレナを喜ばせようとした。 しかし、それに気を取られ、サメハダーは前にいる他のラプラスに気づかない様子だった。

「サ、サメハダー! 止まって止まって!!」

セレナは慌ててサメハダーをペチペチと叩き、前に注意を向けるように促す。 それに気づいたサメハダーは慌ててスピードを落とすが、急に落とした為、上に乗っていたセレナが宙に投げ出される。

「きゃあ!?」

「わっ」

「オシャ?」

セレナは悲鳴を上げると共に海に叩きつけられ水柱が立つ。 ぶつかりそうになっていたラプラスには、どうやら人とポケモンが乗っていたようで、驚きの声をあげる。
 ▼ 38 チュル@エレキシード 19/07/22 03:24:42 ID:ZZbQwmrk [16/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「いったたた…はっ、す、すみません驚かせて!」

「あはは」

慌てて謝るセレナとは裏腹に、ラプラスに乗っていた少女は笑い声を出す。 セレナを投げ飛ばしてしまったサメハダーは申し訳なさそうに近づくが、セレナは気にしていないというようにサメハダーを撫でる。 投げ飛ばされている様子を遠くから見ていたポケモン達は、急いでラプラスと共にセレナへ向かう。

「テナ?」

「ヤンチャ!」

「フィー」

「あはは、私は大丈夫よ」

「凄い。 見たこともないポケモンがいっぱい」

「シャマリ!」

そばに近寄ったポケモンたちはそれぞれ心配の声をかける。 セレナはそんなポケモンたちを宥め落ち着きを取り戻し、先ほどの少女に顔を向ける。

「さっきはごめんなさい。 私はセレナ。 カロス地方から旅行に来たの」

「私はスイレン。この子はオシャマリ。 そのポケモンたち。 カロス地方のポケモン?」

少女の名前はスイレンと言い、青いショートヘアにカチューシャ。 上着とズボンの隙間からは水着のようなものが見え、服は波をモチーフにした模様が描かれていた。 スイレンが言うオシャマリは、見たことのないポケモンではあるが、見た目から水タイプの印象を受けた。 スイレンは釣りもしていたので、海が好きなのだろうと思った。
 ▼ 39 ラカラ@ラブタのみ 19/07/22 03:24:58 ID:ZZbQwmrk [17/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
セレナのポケモンに興味津々なようで、目をキラキラさせながら三匹のポケモンをそれぞれに目を移していた。 見たことのないポケモンとも言っていたので、カロス地方のことはあまり知らない子なのだろう。

「ええ、この子はテールナー、ヤンチャム、ニンフィア。 私のポケモンなの」

「テナ」

「ヤンチャ」

「フィア」

「みんな可愛い。 ニンフィアってイーブイの進化系だよね」

「ええそうよ。 この子はイーブイから進化したの」

「フィ〜」

セレナはニンフィアが乗っているラプラスに近寄り、ニンフィアを撫で始める。 ニンフィアは気持ちよさそうにセレナに身を委ねる。 その様子を見ていたスイレンは、モンスターボールを手に取り出し自分が乗っているラプラスの上にかざすと、中からとあるポケモンが現れる。
 ▼ 40 レキッド@きよめのおふだ 19/07/22 03:25:41 ID:ZZbQwmrk [18/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「出てきて、ナギサ」

「イッブイ!」

「スイレンもイーブイを持っていたの?」

「うん。 進化系のニンフィアに会わせたくて」

「イブ!? ブイブイ!」

「フィ!」

スイレンのモンスターボールから現れたポケモンはイーブイだった。 セレナのイーブイは臆病で人見知りな性格だったが、スイレンのイーブイはやんちゃな性格のようで、ニンフィアを見つけた途端ラプラスの上で飛び跳ねてる。

「ねえ、もしよかったらそこでお茶でもどう?」

「うん、いいよ。 私もセレナと話したい。 さっきまで海に泳いでたけどもういいの?」

「旅行日までならいつでも泳げるから大丈夫!」

先程までアローラの海を楽しんでいたセレナではあったが、この地方に来て出会えた人と話したいとも思っていた。 アローラに来て一日も経っていないに加え、海に泳いで満足した後どこに行くか余り考えていなかったため、スイレンの提案はセレナにとって嬉しいものだった。 
 ▼ 41 ノココ@こだいのきんか 19/07/22 03:25:59 ID:ZZbQwmrk [19/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それなら友達に教えてもらったカフェがあるから、そこに行ってみない?」

「本当? 是非行ってみましょう!」

スイレンの言うカフェが気になり、セレナはポケモンたちと一緒にライドポケモンを返しに行く。 

「ありがとうございました! 海でサメハダーと泳ぐの、すっごい楽しかったです!」

「そう言ってくれて嬉しいよ。 もし良かったらまた来てね」

「はい! ラプラスとサメハダーもありがとうね」

「クゥン」

「サメ!」

セレナはお店の定員にお礼を言ったあと、サメハダーとラプラスを撫でてあげると、二匹のポケモンは嬉しそうな表情をする。 浜辺に置いてあるパラソルなども返さなくてはいけないので、セレナは貸出をしていたお店の定員に返却のお願いをすると、後で片付けてくれるようだった。
 ▼ 42 ガエルレイド@ボイスチェッカー 19/07/22 03:26:24 ID:ZZbQwmrk [20/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
それから、水着に上着だけという格好だったので、一度セレナはホテルに戻り、外出をする準備をするのであった。

「セレナ、こんなに大きいホテルに泊まってたの?」

「あはは、私も来て見てビックリしちゃった」

「スイレン、少し申し訳ないんだけど体についた海水を流したいの。 時間がかかるかもしれないから、先にカフェへ行ってもらっても良いんだけど…どうする?」

海に泳いでいたセレナの体には海水の匂いが染み付いており、このまま外に出るのは少し避けたかった。 シャワーを浴びるにしてもヤンチャム達にもシャワーを浴びさせてあげたいと思ったため、時間が思いのほか掛かるかもしれなかった。 それなら、スイレンは先にカフェでのんびり待っておいたほうがいいと判断したのだが。

「それなら、海に入ってないけど一度家に帰って私もシャワー浴びてくる。 ラプラスがいればすぐに帰れるから。 カフェの場所だけ教えるからそこで集まろう」

「ごめんね、私からお茶しましょうって言ったのに…」

「急な話だったから良い。 それに、私は気にしてない」

スイレンはセレナにカフェの場所を教えて、ホテルの入口前でセレナと別れた。 スイレンはパタパタとサンダルを鳴らしながら海の方向に走って行き、ある程度の距離までいったところでセレナはホテルに入っていった。
 ▼ 43 ュウツー@フェアリーメモリ 19/07/22 03:26:43 ID:ZZbQwmrk [21/31] NGネーム登録 NGID登録 報告

ホテルのシャワーはとても広く、ベッドと同じように三匹のポケモンが入っても余裕があった。 セレナは服を脱ぎ、ポケモン達と一緒にシャワーを浴びながら体についた海水を洗い流していく。 アローラの海水はとても気持ちよく、日差しで温まった海水にはいいものだったが、温かいシャワーを浴びるのもまた違った心地よさがあった。 

シャワーを浴び隅々まで洗い流した後、セレナ達はタオルで体を乾かしドライヤーとブラシでポケモンたちの毛並み等を最低限整える。 セレナ自身の身だしなみも整え、外出用の服に着替えスイレンに教えてもらったカフェに足を運ぶ。

「スイレンと分かれて一時間。 これでも急いだ方なんだけど、待ってるかな」

慣れていない街ではあるが、スイレンを待たせないように小走りで目的地へと向かう。 数分後、スイレンが言っていたお店らしきものが見え、テラスには椅子と机がいくつか並べられていた。 そこに座っていた人の中には、特徴的な青い髪の毛が見え、遠目でもスイレンだと分かる。

「スイレンお待たせ!」

「大丈夫。 私も来たばかりだからメニュー見てたところ」

スイレンは膝の上にオシャマリを乗せながら机にメニューを開き見ている。 スイレンが言うように、先ほど来たばかりの様子だった。
 ▼ 44 マンボウ@クリティカット 19/07/22 03:27:03 ID:ZZbQwmrk [22/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ここのお店。 友達に教えてもらったの。 私もまだ来たことがないから楽しみにしてた」

「友達から?」

「うん。 その友達がオススメしてくれるお店にはハズレは無かった。 絶対に美味しいから大丈夫」

スイレンが言うにその友達は食べ物があるお店を回るのが趣味なようで、オススメのお店を見つけると色々話してくれるみたいだった。 特に甘いものが好きで、甘いものが好きな女の子には教えてくれるのはとても嬉しいと話している。

「ここのオボンのみを使ったパフェが美味しいらしい。 私はそれを頼むけど、セレナはどうする?」

「そうね、私もその友達のことを信じて一緒にしようかな」

 そもそも、セレナはこのお店のことをよく知らなければ、この土地の名産品すらも分からない。 何が美味しくて何が不味いのかも判断がつかないので、流れに任せてスイレンと同じものを頼むのが一番安全だろうと思った。
 ▼ 45 ドラン♀@きのみ 19/07/22 03:27:57 ID:ZZbQwmrk [23/31] NGネーム登録 NGID登録 報告

「後はコーヒーも一緒にいいかしら?」

「それじゃあ私も」

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 二人の注文が決まった頃、セレナのお水を渡しに定員がやってきた。 ついでにスイレンは注文をし、丁寧な受け答えを返してもらったあと定員は厨房近くに消えていく。 セレナは注文が通った事で一息を付き、テーブルに置いてある水を口に含む。 先ほど走った事で乾いた喉が潤う。 自然に笑みがこぼれると、その表情をスイレンに見られたのか、スイレンの顔を見ると微笑み返さえれている。 

「セレナは旅行に来たんだよね、何か欲しいものとかないの?」

「欲しいもの? うーん…」

 ふと、スイレンに旅行に来たことについて質問される。 アローラに来て欲しいものとは言われたものと言われてたが、正直に言って何かを求めて旅行に来ているわけではない。 もちろん、ヤシオに言われたパフォーマンスとしての技術を伸ばすために、新しい何かを見つけれたらなとは思っているが、スイレンの求める答えとは少し違うだろう。 
 欲しいもの。 そう言われてみると分からない。 セレナはヤシオに後押ししてもらい来たが、チケットが勿体無かったからと言うのがセレナの感想だ。 セレナの意思で、何かを求めてここに来たというわけではない。
 ▼ 46 ガルカリオ@おおきなマラサダ 19/07/22 03:28:27 ID:ZZbQwmrk [24/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(だからって、来るか来ないかは私の意志だけど、自分で決めた目的を達成するために来たわけじゃないのよね…)」

 単純に、チケットが勿体無かったからアローラ地方へ旅行に来た。 ただ、旅行先は今まで見たことの無いものが多いので、パフォーマーとしての技術を伸ばす何かがあるのではないか。 そんな曖昧な考えで来てるに過ぎなかった。

「(来たからには、何かを得る時間を作らないと…そんなのんびりしていたら、次のコンテストでは足元をすくわれちゃう)」

 何気ない質問で、スイレンの目の前にいるセレナは唸りながら頭を抱えている。 そんな姿にスイレンは頭にハテナマークを浮かび上げながら声をかける。

「もしかして、あんまり欲しいものとかなかった?」

「あはは、まだ来たばっかりだから、正直何があって何がないのか分からないの。 ホテルでポケモン達と話し合ってどこに行こうか決めようとしたんだけど、結局決まらずに取り敢えず目の前にある海を満喫しようって事で落ち着いたぐらいで」

「それじゃあ、私が分かる範囲で教えてあげる」

「本当! スイレンありがとう!」

「良い。 その代わり、私もセレナの話を聞きたいから」

 セレナにとってこの土地の話を聞けるのは非常に嬉しい話だった。 カロス地方で旅をしているときは、セレナが率先してその街の名産や施設を調べて旅の仲間を引っ張っていたが、アローラ地方では知らないことが多すぎるため、中々難しいものがあった。 自分で調べることだけでは限界があるが、スイレンのように土地に詳しい人であれば、調べるだけでは分からないお店を教えてもらうことができる。
 ▼ 47 ゲボウズ@キトサン 19/07/22 03:28:42 ID:ZZbQwmrk [25/31] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ここの市場、きのみが新鮮で美味しい。 アローラの太陽の恵み、いっぱい詰まってる」

「それが使われたのがここのパフェ?」

「アローラのお店はどこも市場のきのみが使われてると思う。 その中でも、友達が教えてくれるお店は美味しい場所」

 メレメレ島には大きな市場があり、ここに住んでいる人は主にそこで買い物をしていくみたいだった。 他にもスーパーなどのお店はあるみたいだったが、市場のきのみや野菜は非常に美味しいとのこと。

 他にも、海岸近くにあるアクセサリーショップは、宝島というアクセサリーの原材料がある場所で作られた綺麗な小物が揃っていたり、ポケマメというポケモンのおやつのようなものが多く揃えられてあると言ったことも教えてくれた
 そうして話していると、どうやらスイレンとセレナに近寄ってくる足音が聞こえる。 その方向に目を向けると、二つのパフェがトレイに載せて歩いてくる定員の姿が見えた。
 ▼ 48 クリン@ねばりのかぎづめ 19/07/22 03:29:00 ID:ZZbQwmrk [26/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お待たせしました、こちら新鮮なオボンのみを使用したスペシャルパフェでございます」

 定員が机に置いたパフェは、非常に美しく美味しそうなパフェであった。 下からオボンのみをスムージーにしたものにモーモーミルクで作られたクリームが敷かれ、その上にはアローラの恵みをたっぷり浴びたコーンで作られたであろうコーンフレーク。 クリームで閉じ込め、その上には大粒のオボンのみが均等に切り分けられ乗っている。 最後に、少し色が違う濃厚そうなクリームを乗せ、その周りにはオボンのみがクリームの形を崩さないように置いてある。

「わぁ、綺麗で美味しそう…」

「本当、スイレンの友達は趣味が凄く良いわね。 こんなに美味しそうなパフェがあるカフェを紹介してくれるなんて」

「うん、その友達のことも、パフェを食べながら話したい」

「ふふ、楽しみ。 それじゃあ…」

「いただきます」
「いただきます」

 パフェをじっくりと見たあと、二人は声を揃えて挨拶をする。 形を崩さないようにスプーンを入れていく。 濃厚そうなクリームは力強く口の中に広がりミルクの味で染め上げるが、オボンの爽やかでみずみずしい果汁と風味が洗い流すように喉を通る。 思わずもう一口、もう一口と二人は手が止まらずパフェを掘り下げていき、コーンフレークのサクサク感や、オボンのスムージーのまったりとした味が、コーンフレークとよく合っていた。
 ▼ 49 リリダマ@ふたのカセキ 19/07/22 03:29:15 ID:ZZbQwmrk [27/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
 しばらくすると、いつの間にか二人は食べ終わっており、一息を着こうとパフェと一緒に渡された少し冷めたコーヒーを口に含む。 先ほどのパフェで冷やされた口には、とても暖かく、安心するような風味だった。 ただ、少しばかりセレナたちには苦かったようで、顔お見合わせベロを出す。 備え付けのミルクを入れ、再び口に含むとちょうど良い甘さになったようだった。

「こんなに美味しいパフェは食べたことがないって言えるほど美味しかったね」

「うん、まさかこんなパフェがあるなんて知らなかった」

「このカフェを教えてくれた友達はどんな人なの?」

「友達の名前はマーマネ。 電気タイプのポケモンが好きで隣にトゲデマルが一緒にいる。 機械をいじるのが好きで、頭もいい。 ポケモンのことも詳しいけど、自然や地形の方が詳しかったりする。 後は、お店を回るのが好きだから甘いものを食べるのが好き。 そのせいで体がまんまるでトゲデマルと一緒」

「トゲデマル…あ、本当にまんまる」
 
 スイレンから友達のことを聞くと、その中にトゲデマルという聞いたことのないポケモンの名前が出てきた。 調べてみると、スイレンが言うように綺麗なまるっとした形をしており、友達の容姿が何となく伝わる。
 機械いじりが趣味で電気タイプが好きとなると、カロス地方で一緒に旅をしたシトロンのことを思い出す。 彼は電気タイプのエキスパート。 いわゆるジムリーダーをしており、趣味も機械いじりだった。 彼の作る機械は良い意味でも悪い意味でも個性的で、時に失敗をして爆発するなんてことがたまにあった。
 ▼ 50 ガヘルガー@やけどなおし 19/07/22 03:29:31 ID:ZZbQwmrk [28/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(一緒に爆発を受けて髪の毛ボサボサになったりしたな〜)」

「セレナはアローラに来る前、何をしてたの?」

「そうね…マーマネと同じような仲間がいたわ。 その人はシトロンって言うんだけど…」

 二人はコーヒーを片手に会話が弾んだ。 セレナの旅の中で出会ったポケモンの話やトライポカロンやコンテストの話。 数時間だけでは全てのことを話せないので、飛ばし飛ばしで話していた。 また、アローラのお店についてセレナは聞き返したり、スイレンがアローラ地方で出会ったポケモンの話。 二人の間には多くの言葉が飛び交った。
 
 いつの間にか、周りの色がオレンジ色に色付いている。 太陽が下がり夕焼け色に光っている。 おしゃべりに夢中で、時間が過ぎていくのを忘れていたようだ。 二人はそろそろ帰らないといけないと思い、お店にお金を渡して途中まで一緒に帰ることにした。
 ▼ 51 チコール@こんごうだま 19/07/22 03:29:48 ID:ZZbQwmrk [29/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナ、今日はありがとう。 知らないこといっぱい聞けて楽しかった」

「それを言うのは私のほうよ。 スイレンがいなかったら、アローラ地方の旅行は今以上に楽しめなかったもの」

「今度また会えたら、私が通っているポケモンスクールに遊びに来て欲しい。 最近、入ってきた転校生と私たちの友達でセレナを歓迎したい」

「本当? すっごく嬉しい! またアローラ地方に遊びに来たら、必ずスイレンに会いにいくから!」

「うん! 私もセレナと一緒に遊びたい!」
 
 二人は笑い合いながら海岸沿いを歩きながら話している。 先ほどであったばかりで、ポケモンの趣味も違えば、住む地方も全く異なる。 しかし、その二人には関係なく、確かに友情が存在していた。

 セレナのホテルに近づく。 別れの時が近くなると、スイレンはセレナに声をかける。
 ▼ 52 ガバンギラス@アッキのみ 19/07/22 03:30:03 ID:ZZbQwmrk [30/31] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さっき話してた私の友達でマオっていう女の子。 マオちゃんはアイナ食堂って言う食堂でお手伝いをしていて、そこの料理もとっても美味しい。 良かったら行ってみて」

「わかった。 明日行ってみるね!」

「セレナ、今日はありがとう! また会えたら嬉しい!」

「うん! 私もよスイレン!」

 スイレンがアイナ食堂のことをセレナに伝え終わる頃には、セレナと別れなければいけない分かれ道についていた。 最後にスイレンは大きく手を振りながらセレナに別れの挨拶をする。 セレナもスイレンに返すように大きくてを振ると、スイレンは別れを惜しみながらもセレナに背を向ける。 そして、セレナはそんなスイレンの背中を見たあと、ホテルに向かうのであった。
 ▼ 53 イコグマ@ファイトメモリ 19/07/22 03:30:31 ID:ZZbQwmrk [31/31] NGネーム登録 NGID登録 報告

 部屋に付いたセレナは、ポケモン達とお風呂に入り今日の疲れを癒す。 お風呂にゆっくり浸かっていくと、口から力が抜けるような声が出てしまう。 少しばかりはしゃぎ過ぎたようで、思ったよりも体力を使ったようだった。 ポケモン達と体を洗う頃に、お風呂には入れず部屋で待機しているテールナーをお風呂に呼び、軽くお湯を浴びさせる。 水が苦手といえど、体を浴びる程度であれば問題は無いため、テールナーについている汚れを落としていく。 

 お風呂から出たあとは、お昼の時とは違い入念に体を乾かし、ブラッシングでみんなの毛並みを整え、セレナ自身も髪の毛をブラシで整えていく。 そして、身も心も綺麗にしたセレナ達はベッドにダイブするのであった。

「は〜…初日から色々あったなぁ…」

「テナ〜…」

「チャム…」

「フィ〜…」

 四人ともお疲れのようであり、このままだといつの間にか寝ていたなんてことがあるため、電気を消し布団の中に潜り込む。 体をやさしく包む布団とベッドは、すぐにセレナたちを眠りへと落としていく。
 
「おやすみなさい…」

アローラの海。 美味しい食べ物や知らないポケモン。 スイレンとの出会い。 様々なことがあったが、今はただ、静かな吐息が四つ聴こえてくるだけであった。
 ▼ 54 シボン@4ごうしつのカギ 19/07/23 22:32:56 ID:/2dMbFWE NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 55 ガメタグロス@くさのジュエル 19/07/23 23:09:12 ID:sONoq3Dw NGネーム登録 NGID登録 報告
この掲示板でまともなセレナSS本当に久々に見た気がする
頑張れ
 ▼ 56 ミカラス@サイキックメモリ 19/07/23 23:21:41 ID:OxOoUA52 NGネーム登録 NGID登録 報告
セレナ「えっえっえっ、ザドジィィィのがさんでえええええ」

サトシ「なんだアレ新種のポケモンか?」(XYの存在しない世界線)
 ▼ 58 チエナ@あおぼんぐり 19/07/23 23:31:14 ID:gUbQBhSk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
SSが少なくなってきた中でこうもいいSSがあるとは
 ▼ 59 ピンロトム@ポロックケース 19/07/24 00:35:18 ID:83m2yT6M NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
シエン
 ▼ 60 ニータ@あくのジュエル 19/07/24 07:06:28 ID:b.3Y00hw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
シエンネ
 ▼ 61 イーガ@ホエルコじょうろ 19/08/06 03:16:58 ID:7UII5bBQ [1/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

「さあ、起きてみんな。 もうおはようの時間よ」

「テナ〜…」

「チャムチャム」

「フィ…」

 カロス地方で4人で旅を。 ホウエン地方では一人で旅をしているセレナ。 これでも旅をしている月日は長いため、日差しが出る頃には目が覚める程度には体内時計は確りとしていた。 例え、初めて来たアローラ地方だとしても、早起きすることには代わりは無かった。
 ▼ 62 ュプトル@ほのおのジュエル 19/08/06 03:17:24 ID:7UII5bBQ [2/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ポケモン達よりも早く起きていたセレナは、寝癖が付いた髪の毛を整えたり、歯を磨いたりと身支度を整えていた。 朝ごはんはホテルで食べることにしているため、朝食の時間には遅れないようにしたかった。 昨日は少し慌ただしい一日だったので、今日はゆっくりと過ごしたい。 スイレンと話したショッピングモールに行こうかと考えながら、ベッドで寝ているポケモン達を起こしていた。

「テールナー達も少し毛並みが乱れちゃってるわね。 ほら、こっちに来て。 私が整えてあげるから」
 ▼ 63 リキテル@イリマのノーマルZ 19/08/06 03:17:49 ID:7UII5bBQ [3/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

 朝起きたばかりのセレナの髪型のように、ポケモン達も寝癖がついていたのでセレナがブラシを片手に手招きをする。 ポケモンたちは起きたばかりで頭がはっきりしない状態で言われるがままセレナの周りに近寄ってくる。 先にヤンチャムがセレナの膝に座ると、眠たげな細目のヤンチャム撫でながらブラシで毛並みを整え始める。 徐々に気持ちよさそうな表情が現れ、セレナに触られ安心したのかまた寝始める。

「あーもう寝ちゃダメよヤンチャム。 仕方ないから先に顔を洗いましょう」
 ▼ 64 ズレイド@スペシャルガード 19/08/06 03:18:39 ID:7UII5bBQ [4/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 このままではテールナー達も寝てしまいそうなので、初めに目を覚まさせることにした。 三匹は目をこすりながら水場に向かう。 顔を洗うとすっきりしたのか、先程までの眠たげな表情は無くなり、はっきりと目を開けてセレナに抱きついてきた。

「顔洗い終わったの? 目は覚めた?」

「テナテナ!」

「チャムチャム!」

「フィア!」
 
「慌てない慌てない! ちゃんと皆の毛並み整えてあげるからね」
 ▼ 65 コロモリ@カシブのみ 19/08/06 03:18:59 ID:7UII5bBQ [5/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

 顔を洗い終わったポケモン達は我先にとセレナにブラシをせがむ。 セレナ達はベッドに腰掛け、先ほどの続きということでヤンチャムの毛並みを整えていく。 膝の上で気持ちよさそうにしているヤンチャムを見て、セレナもなんだか嬉しくなり自然と笑顔が溢れる。
 ヤンチャムの毛並みを整えている間に、ほかのポケモン達は何をしているかと言うと、セレナの近くにただ座っていた。 座っているだけではなく、それぞれ体の一部分をセレナに引っ付けて居る。 セレナに触れていると安心感があるようで、その表情はとても落ち着いていた。 ヤンチャムの次にニンフィア。 最後にテールナーといった順にブラシをし終えた頃には、朝食を食べるには丁度いい時間になっていた。
 ▼ 66 マシュ@かくとうジュエル 19/08/06 03:19:16 ID:7UII5bBQ [6/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さ、みんな綺麗になったから、朝ごはんを食べに行きましょ!」

「チャム!」

「テナ!」

「フィア!」

 ポケモン達に朝ごはんを食べようと言うと、元気な声が帰ってきた。 セレナも起きてからコーヒーしか飲んでいないのでお腹が減っていたが、どうやらお腹が減っていたのはセレナだけではなかったらしい。 早起きしていたセレナは服も着替え終わっているのでこのまま朝食を取りに行くことにする。
 ▼ 67 ボミー@ももいろはなびら 19/08/06 03:19:33 ID:7UII5bBQ [7/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「見取り図によればこの近くだけど…わぁ、ここからでも良い匂いがする」

 セレナが利用しているホテルでご飯を食べるときは、2階にある大広間で行われるようだった。 昨日はホテルに来て何も食べずにそのまま海へ泳ぎに行ったので、ここで出される料理が少しばかり気になっていたが、大広間に近づくほど良い匂いがセレナの鼻に漂う。 それに反応し、セレナのお腹から可愛らしい音が鳴る。 どうやら思いのほかお腹が減っていたようだ。

 匂いを辿りながら、見取り図を確認し歩いていくと、セレナたちの前に大きな両開きの扉が開かれている部屋に付く。 大広間に着いたようで、多くの人の気配がしており、セレナたち以外にもホテルを利用している人達が既に集まっているみたいだった。
 ▼ 68 ングース@グラシデアのはな 19/08/06 03:20:48 ID:7UII5bBQ [8/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「凄いわ! こんなにいっぱいの料理が並んでいるなんて」

 セレナたちが入ってみると、そこには大きなテーブルとホテルの利用者が使うテーブルと椅子が並んでおり、大きなテーブルの上には数多くの料理が置かれていた。 どうやら、朝食はビュッフェの形式で取るようで、セレナ以外の利用者であろう人たちは、取り皿を片手に大きなテーブルを回っている。 ただ、シェフらしき人物もいるようで、お肉のようなものを焼く音が部屋の片隅で響いている。 焼きたての料理を食べたい場合はあのシェフに頼むのであろう。

 ともあれ、数多くの料理が並んでいることに感動しているのは良いが、このまま棒立ちしておけば時間だけが経ち、お腹は減るばかりなのでセレナたちもトレイを受け取りに行き、それぞれの食べたい料理を選ぶことにした。
 ▼ 69 ラベベ@ツメのカセキ 19/08/06 03:21:10 ID:7UII5bBQ [9/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どれにしようかな…美味しそうなのがいっぱいあって迷うなぁ」

「テナテナ! テーナ!」

「欲しいモノがあったの?」

 なにを食べようか迷っているセレナの服を引っ張るテールナー。 どうやら何かを見つけたようで、テールナーは料理が置かれてあるテーブルの指をさす。 セレナがそれに気づき、指の先を見てみると、ふわふわのパンケーキが大きなトレイの上に置かれていた。
 ▼ 70 ワーク@おこづかいポン 19/08/06 03:21:25 ID:7UII5bBQ [10/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「遠目でもふわふわそうなパンケーキがあるけど、あれが食べたいの?」

「テナ!」

 テールナーはパンケーキが食べたいようなので、セレナはテールナーが持っているトレイの上にパンケーキを乗せる。 トッピングにはちみつやチョコ等があるが、テールナーははちみつを美味しそうに見ていたので、パンケーキの上にはちみつをかけてあげると目を輝かせながらパンケーキを見つめている。
 ▼ 71 ルチャイ@やすらぎのすず 19/08/06 03:21:42 ID:7UII5bBQ [11/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ヤンチャム達は何がいいか決まった?」

「チャムー…チャム!」

 ヤンチャムが指をさした先にあるものは、果実や野菜が並べてあるテーブルだった。 野菜が置かれてあるテーブルの近くに、何か立札のようなものが置かれてある。 綺麗に色づいている野菜は、苦味も少なく野菜独特の甘みがよく出ているようで、アローラ地方の自慢の逸品だと書かれており、セレナはヤンチャムと一緒に野菜と果物をトレイに乗せることにした。 ドレッシングもあるが、ヤンチャムはそのままが良いみたいなので、セレナだけドレッシングを野菜にかける。 
 ▼ 72 カタンク@しめつけバンド 19/08/06 03:22:20 ID:7UII5bBQ [12/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィアは何が良い?」

「フィ!」

 ニンフィアはリボンを器用に使い指をさす。 その先には見たことのない料理が置いてある。 ハート型の果物のようなものだった。 どうやらポケ豆というものらしく、アローラ地方ではポケモンが好んで食べるものらしい。
 ▼ 73 ガメタグロス@エネコのしっぽ 19/08/06 03:22:40 ID:7UII5bBQ [13/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(そういえば、昨日スイレンが言ってたっけ…)」

 ポケ豆には様々な色や種類があるみたいだが、ここに置かれているものは全て虹色のポケ豆のようで、セレナはそのポケ豆を数個取りトレイに乗せるが、ニンフィアはトレイを持てないため、セレナが持つことにした。
 ▼ 74 ゲチック@ふしぎなタマゴ 19/08/06 03:22:59 ID:7UII5bBQ [14/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうね、後は少なめの量で色々とっておこうかな」

 折角ここまでいい具材を使われた料理が沢山あるので、ポケモン達が欲しいものを決めたあとに、特に美味しそうだなと思う料理をトレイに取っていく。 
 その後、セレナ達が座る席を見つけ、持っているトレイを机に並べていく。 テールナー達を少し待たせてしまうことになったが、セレナも食べたい料理も後から取りに行き、綺麗な料理が並べられたテーブルの前で朝食を取ることにした。
 ▼ 75 ルセウス@ギネマのみ 19/08/06 03:23:25 ID:7UII5bBQ [15/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

「それじゃあいただきます!」

「テナ!」

「ヤンチャ!」

「フィア!」

 自分たちが選んだ食べたい料理の他に、セレナが持ってきた料理を思い思いに食べ始める。 セレナたちは取り皿を使い料理を口に入れていく。 その料理は見た目もそうだが、味も相当なものであったらしく、セレナたちは満面の笑みを浮かべる。
 
 しばらくの間、ホテルの料理に舌鼓を打ち、セレナたちはゆっくりと時間を過ごしていた。
 ▼ 76 ベルタル@まひなおし 19/08/06 03:23:42 ID:7UII5bBQ [16/75] NGネーム登録 NGID登録 報告






「美味しかったねみんな!」

「テナテナ〜!」

「チャム〜!」

「フィ〜!」

 セレナたちが食べ終わる頃には大広間にいた人の数は少なくなっており、丁度良い時間に外に出ることができた。 先ほど食べた料理の話をしながら、セレナたちは利用している部屋に戻り、しばらくの間お腹を落ち着かせるために静かな時間を過ごす。
 その間、お昼まで何をしようかと考えていると、昨日のスイレンとの会話を思い出す。
 ▼ 77 ルフォン@とうめいなスズ 19/08/06 03:23:59 ID:7UII5bBQ [17/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうだ、ショッピングに行こうかな」

 セレナはパフォーマーであり、流行りものやおしゃれについて等は目を通すようにしている。 もちろん、自分自身の服装や、ポケモン達のコーディネートなどにもこだわりはある。 そのため、ショッピングはただの買い物でありながら、自分たちを高める仕事のようなものでもあったりはするのだが。
 ▼ 78 ズマオウ@カイロスナイト 19/08/06 03:24:18 ID:7UII5bBQ [18/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

「(自分が楽しみたいだけなんだけどね)」

 スイレンが話したアクセサリーの数々。 その中で見せてくれた、サニーゴの角で作られたネックレスは非常に綺麗なものだった。 話ではそれ以上に良いものはいっぱいあったと言っていたので、想像だけでも楽しくなってくる。
 ▼ 79 リミアン@リュガのみ 19/08/06 03:24:35 ID:7UII5bBQ [19/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アクセサリーもいいけど、やっぱり服も見てみたいな。 ねーヤンチャム?」

「ヤンチャ〜」

「フィア? フィー!」

「あはは! くすぐったいよニンフィア!」

「テナ!? テナテナー!」

 セレナはベッドで腰をかけていたヤンチャムの隣に座り、膝の上にヤンチャムを乗せて体を撫でてあげる。 すると、それを見ていたニンフィアがずるいと思ったのかセレナの体に引っ付く。 セレナはヤンチャム達とじゃれあっていると、それを見ていたテールナーもベッドの上に飛び込んできた。 セレナは甘えたがりな三匹のポケモンを腕いっぱいに広げ抱きしめる。 みんな、セレナに抱きしめられて、嬉しそうな表情を浮かべる。
 ▼ 80 ルフーン@しんかいのウロコ 19/08/06 03:24:50 ID:7UII5bBQ [20/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(そっか、やっぱりみんな、甘えたかったんだ)」

 スイレンと話しているとき、欲しものはないかと聞かれたとき何も思いつかないで唸ったことを思い出した。 アローラ地方に旅行した目的というものは非常に曖昧で、自分でこういう目的があったからアローラに来たとハッキリ言えるものはなかった。
 だけど、別にそんなものはなくて良かったんだとセレナは思った。 ホウエンに来てから特訓の繰り返し。 目標のために目的を達成してレベルアップして走り続けて。 だけど、それを意識するばかりにポケモン達に負担をかけさせてしまった。 甘えたいのに甘えさせてあげることが出来なかった。 
 だからこそ、ただ純粋に楽しめば良かった。 なにかの目的のためにアローラ地方に来たのではなく、ポケモン達と楽しむための旅行でよかった。 ヤシオも言っていた。 遠回りは決して悪いことではない。
 ▼ 81 ズレイド@そうこのカギ 19/08/06 03:25:13 ID:7UII5bBQ [21/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(ふふ、どうしてこんなにも忘れてたんだろう。 ただ、楽しめばいいんだ。 ポケモンたちと一緒に)」

「よーしよーし、いっぱい甘えてね!」

 その部屋には、一人と三匹の笑い声や、楽しそうな声が響いていた。
 ▼ 82 ルネロス@コスメポーチ 19/08/06 03:25:33 ID:7UII5bBQ [22/75] NGネーム登録 NGID登録 報告


 しばらくした後、お腹も落ち着いたのでショッピングに出かけようと準備をする。 じゃれついたときに崩れた服装、身だしなみなどを整え外に出る準備をする。 ホテルからお店までの距離は少しだけあったので、一度ポケモン達を手持ちに戻すのだが…。

「チャム」

「ヤンチャムはアクセサリーとか好きだから一緒に見てみたいの?」
 ▼ 83 タチマル@グラウンドメモリ 19/08/06 03:25:53 ID:7UII5bBQ [23/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ボールからヤンチャムが飛び出してくる。 セレナのヤンチャムはセレナから貰った赤い淵のサングラスを身につけており、小物には割と目を光らせて見てることが多い。 なので、お店の外からアクセサリーを見て回りたいのだろうと思った。 
 セレナはそんなヤンチャムと一緒にホテルを出て、スイレンが言っていたショップまで足を運ぶ。 普通の観光客であればそこまでタクシーなどで移動すればいいが、セレナは自分の足で歩いて見て回りたいと思っていた。 見慣れない景色は、旅をしていたセレナにとっては見ているだけでも楽しいので、これも旅行の醍醐味なのだろうと思いながらヤンチャムと共に歩き進める。

「なんだろうあれ、何か人が集まってるけど」

「チャム?」
 ▼ 84 ヒダルマ@エレキブースター 19/08/06 03:26:14 ID:7UII5bBQ [24/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 街の景色などを堪能しながら歩いていると、人通りの多い道に入る。 その中で、付くに人が集まっている場所が目に入った。 どうやら市場があるみたいで、朝に取れた果物などが売り出されているのか、主婦や前掛けを付けている人が具材を手に取っている姿が見える。 スイレンが言っていた市場はこのことなのだろう。 そう思いながら、セレナたちも市場に並んでいる果物などが気になり中に入っていく。 手に取らずとも分かるほどにみずみずしく、美味しそうな果物が多く並んでいる。 セレナは先ほど歩いて余裕が出来たお腹に、何か入れようと思い市場に売り出されている果物を二つ買って、ヤンチャムと共にそのままかじりついている。

「うん! 見た目通りすっごく美味しい!」

「チャムゥ…!」

「ふふ、口元が汚れてるよ? ちょっと待っててね…ほら、綺麗になった」

「チャムチャム!」
 ▼ 85 ノマダム@タブンネナイト 19/08/06 03:26:45 ID:7UII5bBQ [25/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

 果物から溢れ出した果汁がヤンチャムの口周りに付いていたので、ポケットからハンカチを取り出し拭い取る。 ヤンチャムは嬉しそうにしながら、今度は果汁が口周りに付かないように果物にがじりつく。
 折角訪れた市場なので、何か目新しいものはないか果物を片手に市場を歩いていると、少し前に、鮮やかな赤と黒色の毛で覆われた猫のようなポケモンが見える。 とあるお店の前でセレナたちと同じようにきのみを食べているようだった。 見たことのないポケモンだったので、珍しいと思いながらそのポケモンに近寄っていく。

「こんにちは!」

「おや、こんにちわ。 可愛い娘さんだこと。 でも、ここいらじゃ見ない顔だねえ」

「実は観光できているんです! 市場を歩いて見てたら、少し気になったポケモンがいたので…」

「ニャウ?」
 ▼ 86 ンボラー@ハバンのみ 19/08/06 03:27:16 ID:7UII5bBQ [26/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
見たことのないポケモンの近くにお店を構えていたおばさんに話しかける。 お店には先ほど食べていたきのみとはまた違ったきのみを売っており、そのポケモンはお店と同じ種類のきのみを食べているようで、おばさんから分けて貰っていたのだろう。
 観光で来たことを伝え、そのポケモンについて尋ねてみると、どうやらおばさんの手持ちのポケモンでは無く、ここにはいないトレーナーの手持ちにいるみたいだと教えてくれた。 ポケモンの名前はニャヒート。 アローラ地方の初心者用ポケモンであるニャビーの進化系のようで、ニャビーの頃からこのお店に立ち寄り、きのみを分けてあげているらしい。 その名残で、今でもおばさんのお店に立ち寄りきのみを分けてもらっているようで、そこにたまたまセレナが立ち寄ったみたいだった。
 セレナは初めて見るポケモンに興味津々で、おばさんからの話を聞きながらニャヒートに視線を向けている。 ニャヒートの毛並みはよく手入れされており、体つきもよく鍛えらていることが分かる。 ポケモンバトルが好きなトレーナーに出会ったのだろう。 そう思いながら、セレナはニャヒートの近くに寄り、ニャヒートに喋りかけてみる。

「こんにちはニャヒート!」

「チャム!」

「ニャァウ…」

「あれ? わ、悪いことしちゃったかな」

「大丈夫よ、ニャビちゃんは人に懐きにくいだけなの」
 ▼ 87 ウワウ@ジュナイパーZ 19/08/06 03:28:19 ID:7UII5bBQ [27/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
食事の邪魔をされていると思ったのか、少しだけ不機嫌そうな声を出す。 もしかして悪いことをしてしまったのかもしれないとセレナは苦い表情を浮かべると、おばさんから声をかけられる。 どうやら、このニャヒートは初対面の人にはあまり懐かないようで、少しばかり警戒心が強い性格のようだった。 
 ニャヒートのトレーナーはニャビーの頃から何度も何度も手持ちにならないかと勧誘して、爪で引っかかれながら火を吐かれながらも諦めずにニャビーを誘っていたと、おばさんは思い出しながら話す。 

「決して無理矢理で捕まえようとしなくて、ニャビちゃんと仲良くしようって気持ちがよーくわかる優しい子だよ」

「(凄いなそのトレーナー。 ポケモンのためにそこまで体を張れるなんて、まるでサトシみたい…)」

「そっか、ごめんね、ご飯の邪魔をしちゃって」

「チャム…」

「……」
 ▼ 88 ルトス@こおったきのみ 19/08/06 03:28:38 ID:7UII5bBQ [28/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
セレナはニャヒートの近くにいれば警戒心が出てしまい食事の邪魔をし続けてしまうだろうと思い、その場から離れようとする。 おばさんにお礼の挨拶を済ませ、ヤンチャムと共にお店から離れ市場の観光を続けようとすると。 後ろから鳴き声が聞こえる。

「…ナァウ」

「え?」
 ▼ 89 ミツルギ@こだいのおまもり 19/08/06 03:28:56 ID:7UII5bBQ [29/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 それは、場を離れようとしたセレナに向けてニャヒートが放った声だった。 ニャヒートはセレナの近くに寄り、前足を器用に使い座るようにせがむ。 戸惑いを隠せないセレナではあったが、ニャヒートの仕草通りにセレナはその場に座る。 すると、ニャヒートはセレナの手に頭を擦り付ける。

「ニャウ」

「あら。 もしかしたら、ニャビちゃんに気持ちが伝わったのかもしれないねえ」

「あっ…ふふ、ありがとう、ニャヒート」

「ニャァウ」
 ▼ 90 メイル@ブレイズカセット 19/08/06 03:29:17 ID:7UII5bBQ [30/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
セレナは手に擦り寄ってくれるニャヒートの頭を撫でる。 ニャヒートは先程までの不機嫌そうな表情無く、目を細めて気持ちよさそうにしている。 隣にいるヤンチャムも嬉しそうで、セレナと一緒に喜びを顕にしている。 
 今は、ニャヒートの気使いに甘え、新しいポケモンと触れ会えたことに喜ぶセレナ達であった。
 ▼ 91 ォレトス@ヘビーボール 19/08/06 03:29:41 ID:7UII5bBQ [31/75] NGネーム登録 NGID登録 報告





 ニャヒートと別れを済ませたセレナたちは、そのまま市場の観光を続けていた。 お店の目の前を通りがかり、新鮮な食材を直で見るだけで買うことはなかったが、セレナはそれだけでも十分楽しんでいた。 しばらく歩き続けると、市場を抜け整備された道が目の前に広がる。 携帯端末などで自分の位置を確認してみると、どうやら目的地のショップが並んである場所の近くにいるようだった。 

「あ、もしかしてここじゃない?」

「チャム!」
 ▼ 92 バルドン@ハーバーメール 19/08/06 03:29:59 ID:7UII5bBQ [32/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 道を歩いていると、どうやらショップに着いたようで多くのアクセサリーや服が並んでいる。 カロス地方では中々お目にかかれないであろう自然物を加工した独特のアクセサリーや、暑い気候が多く続く土地柄を表すような色使いの服。 セレナが着るにはまだまだ早いと思うような大人向けの服や肌を多く露出する服など。 そのお店ごとに特徴的なものが揃えられていた。
 しばらくウィンドウショッピングを楽しんでいると、ヤンチャムがとある方向に指をさしながらセレナの服を引っ張る。 

「どうしたのヤンチャム?」

「ヤッチャヤッチャ!」
 ▼ 93 ブラン@サメハダナイト 19/08/06 03:30:16 ID:7UII5bBQ [33/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナはその方向に目を運ぶと、どうやらポケモンが身に付けるアクセサリーが多数売っているお店のようだった。 ヤンチャムが気になるようなものが飾ってあるようで、遠目から見てもわかるその個性的な形と色をしているこだわりメガネを見ているらしい。

「それじゃあ、あのお店に入りましょう」

「チャム!」
 ▼ 94 イホーン@たんけんこころえ 19/08/06 03:30:38 ID:7UII5bBQ [34/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 元気よく返事をするヤンチャムと共にセレナはお店に入っていくと、セレナ以外にも多くの客が買い物をしていた。 ヤンチャムが好きそうなくろいメガネの他に青色のネクタイ。 花飾りやスカーフに真珠を使ったネックレスだろうか。 アクセサリーの種類は豊富で、数々の装飾があしらわれたものが並んでいる。 しかし、それだけに不思議に思うことがある。 アローラ地方ではそこまでポケモンの飾りを作るという事は、何かしらのパフォーマンス施設があるということなのだろうか。 セレナはカロス地方でトライポカロンという大会に出場するために、ポケモンの衣装や飾りつけなどを購入することは少なくはなかった。 そして、利用しているアクセサリーショップなどもトライポカロンを意識していることが多い。
 需要があるから供給がある。 トレーナーの趣味の範囲と言うには余りにも多彩なアクセサリーが作られているので、セレナは少しだけ疑問の念を頭に浮かべる。

 ヤンチャムはセレナの手を引っ張りながら店内を見て回る。 一緒にアクセサリーを見ながらあちらこちらに視線を向けると、とある一角の壁に様々な飾りが付けられた壁を見つける。

「これって…」
 ▼ 95 ルガルド@むしよけスプレー 19/08/06 03:30:57 ID:7UII5bBQ [35/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 そこにはトレーナーと一緒にポケモンが写っている写真が貼られてあった。 ただ写真を撮っているだけではなく、ポケモンとトレーナーは衣装を着ていたり飾りをつけていたり、写真自体に加工が施されていたりと、そんな写真が数多くフレームに入れられて飾られてある。飾られている写真からは、ポケモンと共に楽しそうに撮っているのが伝わる。 その場の気持ちを伝えようとする写真もあれば、物語のワンシーンを彷彿とさせる写真もある。 カロス地方にもポケビジョンと言ったポケモンと共に動画を撮り、ポケモンとトレーナーの魅力を伝えるといったものもあるが、それと似たようなものなのかも知れない。 

「面白いなぁ。 加工がとっても凝ってて、私も撮りたくなっちゃう」

「お客様、こちらの写真がご興味で?」

「え?」
 ▼ 96 イバニラ@しんかいのウロコ 19/08/06 03:31:34 ID:7UII5bBQ [36/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 写真に気を取られ、背後から現れたお店のスタッフに気づかず声が出てしまう。 どうやら、声をかけられてしまうほど熱心に写真を見つめてしまったのだろう。 そう思うと、セレナはほんの少しだけ恥ずかしくなり頬を赤く染めてしまう。
 話しかけてきたスタッフはそんなセレナを気にせず、写真について説明してくれる様子だった。 ここに飾ってある写真は、アローラフォトクラブというものらしく、とある施設でポケモンと共に写真を撮り、撮った写真と様々な素材をかけ合わせて世界に一枚の写真を作り上げるものだった。 フレームや背景やスタンプなどは、後から加工して付けたものであり、ここに飾ってあるものはその中で可愛いもの、カッコいいもの、面白いものを集めて飾っているらしい。 もちろん許可はとってあるとのこと。
 ▼ 97 ギアル@パワーウエイト 19/08/06 03:31:52 ID:7UII5bBQ [37/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 アクセサリーの豊富さに疑問を感じていたセレナだが、スタッフの説明で引っ掛かりは溶け、少しスッキリした表情になる。 もし、自分も立ち寄れたら利用してみようと思いながら、スタッフにお礼を言う。
 その後もしばらく店内を見て回ると、どうやらヤンチャムは水色の淵のメガネが気に入ったようで、セレナはそれを手に取りヤンチャムへのプレゼントに購入をする。 早速身につけている赤い淵のサングラスをセレナに渡し、先ほど購入したメガネを身に付ける。 ヤンチャムの黒と白の体毛に、涼しげな水色がよく映えていて似合っている。 

「かっこいいよヤンチャム!」

「チャムゥ!」
 ▼ 98 ガメタグロス@こううんのおこう 19/08/06 03:32:09 ID:7UII5bBQ [38/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナに褒められたヤンチャムは嬉しそうにセレナに抱きつく。 セレナたちはお店から出て、次に入るお店を探しながらヤンチャムと共にウィンドウショッピングをするのであった。
 ▼ 99 ョボマキ@カビゴンZ 19/08/06 03:32:27 ID:7UII5bBQ [39/75] NGネーム登録 NGID登録 報告




 女の子の買い物は時間がかかると言われている。 セレナにもそれは例外ではなく、服を買ったり見たりした後、ひと段落つきベンチに座り時間を見てみると、どうやらお昼をとうに過ぎた時間になっていた。 

「嘘! もうこんな時間なの?」

「チャムゥ!? ヤンチャ…」
 ▼ 100 ーパ@ロゼルのみ 19/08/06 03:32:46 ID:7UII5bBQ [40/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナとヤンチャムの口から驚きの声が上がる。 それもその筈で、二人は全く自覚がなかったからだ。 自覚があれば途中で買い物を切り上げお昼ご飯を食べてたであろう。 
 時間を意識しだすと、急に足に歩き疲れた感覚が襲う。 お昼を食べていないとわかると、お腹が空いたと意識し始める。 人とは困った生き物のようで、一度気になり出すとそのことで頭がいっぱいになるみたいだった。 しかし、それはポケモンも同じらしく、ヤンチャムのお腹から可愛らしい音が鳴る。 ヤンチャムもセレナと同じようにお腹がすいたらしい。 

「はぁ…お腹がすいたけど、どこでご飯を食べようかな…そうだ!」

「チャム?」
 ▼ 101 レイシア@ドラゴンのホネ 19/08/06 03:33:07 ID:7UII5bBQ [41/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
取り敢えずご飯を食べようと思ったが、ここに来たのは初めてなので、正直何があるのか想像がつかない。 ただ、セレナは昨日のことを思い出し声を上げる。

「アイナ食堂! スイレンが言っていたところに行きましょ!」

「チャム!」
 ▼ 102 ンクルス@タブンネナイト 19/08/06 03:33:23 ID:7UII5bBQ [42/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 先ほどまで長く歩き続けた足ではあるが、長旅で鍛えられたセレナの足は数時間ショップを見歩き続けただけではまだまだ元気いっぱいであった。 疲労は溜まっているものの、正直ご飯を食べたくてそんなところではないのであろう。 スイレンが紹介したカフェのパフェは絶品であった。 そのスイレンが紹介するアイナ食堂もそれと同じ、いや、もしかしたらそれ以上に美味しいのかもしれない。 想像を膨らませながらセレナはヤンチャムを抱っこしながらアイナ食堂へ向かう。 
 ▼ 103 ドリドリ@たんけんセット 19/08/06 03:33:41 ID:7UII5bBQ [43/75] NGネーム登録 NGID登録 報告



「え〜っと、この近くらしいんだけど…あ、もしかしてあれかな?」


 整備された道を歩き進む。 ショッピングモールとは少し離れた場所にあるらしいが、そこまで時間はかからなさそうなので、お腹は減っているが急がず歩き進める。 周りには家がいくつか建っているなか、先を見渡すと一際大きな建物が見える。 赤い屋根が目立ち、入口からは白い階段が伸びており、何よりも大きな看板が飾られている。 どうやらアイナ食堂に間違いないようで、迷わずに着いたようだ。
 ▼ 104 ミロル@ヒコウZ 19/08/06 03:33:59 ID:7UII5bBQ [44/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

「看板にもアイナ食堂って書かれているから、ここで間違いないみたい」

「ヤンチャ!」

「あ、もう、仕方ないなあ」


 待ちに待ったお昼ご飯を食べれると思い、ヤンチャムは勢いよくアイナ食堂へと走り出す。 幸いにも扉は開いていないので、中にいるお客さんには迷惑はかからないと思いながら、セレナはヤンチャムの元へ向かう。 セレナは扉の前にいるヤンチャムの元へ行き、扉を開ける。
 ▼ 105 ュシュプ@こころのしずく 19/08/06 03:34:18 ID:7UII5bBQ [45/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「いらっしゃ〜い! 好きな所に座ってください!」

 中に入ると、褐色の肌にピンク色の花かざりを着け、緑色の髪の毛をツインテールにしている女の子がセレナたちを笑顔で迎えてくれる。 快活な声はお店に響き、よく通っていた。 セレナたちは、言われた通りに適当な場所に座る。 中にはお客さんはいない。 お昼を過ぎてから来たからなのか、水が流れる音とお皿のようなものがカチャカチャとぶつかる音がする。 ある程度人が去った後、洗い物をしているのだろう。
 ▼ 106 レッグル@ふといホネ 19/08/06 03:34:33 ID:7UII5bBQ [46/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

「はい、お水とメニュー! 注文が決まったら声をかけてね?」

 座ってから少しした後、先ほどの女の子がお水とメニュー表を持ってきてくれた。 そこで、その女の子はスイレンが話したマオらしき人物に似ているので、メニューを頼む前に聞いてみることにした。
 ▼ 107 チュー@ていきけん 19/08/06 03:34:55 ID:7UII5bBQ [47/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あのー、少し聞きたいことがあるんですけど」

「どうしました?」

「もしかして、あなたがスイレンの友達のマオさんですか?」

「え? お客さんスイレンのことを知っているの?」

 驚きの表情を浮かべながらセレナにスイレンのことを聞き返す。 どうやら彼女がマオで間違いがないらしい。 
 ▼ 108 ードラン@もりのヨウカン 19/08/06 03:35:12 ID:7UII5bBQ [48/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私の名前はセレナ。 スイレンは先日知り合ったばっかりでここを紹介してくれたの」

「本当? あはースイレンにお礼言わないと!」

 表情がころころと変わる。 先ほどまでの驚いた表情は無くなり、笑顔で埋め尽くされる。 セレナは、そんな表情豊かな彼女を見て、思わず笑顔が漏れ出す。 スイレンの知り合いと分かったマオは嬉しくなり、セレナにとある提案を持ち出す。
 ▼ 109 イナン@ていこうのハネ 19/08/06 03:35:30 ID:7UII5bBQ [49/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ねえセレナ! もし良かったら私も一緒にお昼ご飯食べていいかな?」

「全然大丈夫よ!」

「ありがとう! ねー! お父さん! お昼ご飯食べてないから今食べてもいい?」

「おう、いいぞー! 折角だからスペシャルメニューを用意してやる!」

 セレナにお昼ご飯を一緒に食べないかと誘いを持ち出し、厨房のほうを向いて大きな声でお昼ご飯をお願いする。 どうやら厨房にはお父さんがいるようで、セレナとマオのためにメニューには載っていないご飯を作ってくれるそうだった。 セレナはポケモン達のご飯も一緒に用意してもらえるように言い、セレナとテールナー達の四人分のご飯を作ってもらう。
 ▼ 110 ャラコ@グランドコート 19/08/06 03:35:48 ID:7UII5bBQ [50/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナはスイレンとどこで会ったの? それに、セレナってこのあたりじゃ見かけない子なんだけど、どこから来たの?」

「え〜っとね」

 マオはセレナに興味があるようで、一度にいくつもの質問をする。 セレナはマオの話を整理しながら一つずつ答えていく。 アローラ地方出身ではなくカロス地方、ホウエン地方から旅行をしに来たこと。 スイレンとは旅行の途中に出会い仲良くなったこと。 セレナ自身には他愛のないことかもしれないが、表情豊かなマオはセレナの話を聞くたびに表情を変えていく。
 ▼ 111 ングース@リザードナイトX 19/08/06 03:36:07 ID:7UII5bBQ [51/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ヤンチャ。 チャムチャム」

「え? あ、そうだ、早くみんなを出しておかないと」

 セレナはヤンチャムに声を掛けられ、モンスターボールにしまっているポケモンたちを外に出す。 モンスターボールから出てきたテールナーとニンフィアは、心なしか元気がなく、テールナーは手をお腹に当てている。 モンスターボールの中におとなしく待っていてくれたが、やはりお腹がだいぶすいているようだった。
 ▼ 112 イチュウ@ちりょくのハネ 19/08/06 03:36:26 ID:7UII5bBQ [52/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ご、ごめんねみんな。 私がショッピングに時間をかけたせいで」

「テナテナ」

 謝るセレナをテールナーは大丈夫だと言わんばかりにセレナの肩をたたく。 とは言え、お腹が減っているのには変わりはないので、これ以上体力を使わないように、テールナーはセレナとマオが使っているテーブルの椅子に座り、ニンフィアは床に丸まって寝転んでいる。
 そんなセレナとテールナーの掛け合いを見ていたマオは、体を震え上がらせている。 疑問に思ったセレナはマオに声をかけてみると。
 ▼ 113 クロッグ@はかせのてがみ 19/08/06 03:36:46 ID:7UII5bBQ [53/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ど、どうしたのマオ? そんなに震えて」

「か…」

「か?」

「可愛ぃいいいい!」

「テナ!?」

 大声でマオは可愛いと言いながらテールナーをキラキラと輝く瞳で見る。 セレナとテールナーの掛け合いが可愛いと思ったらしく、テーブルに身を乗り出しテールナーの手を触っている。 テールナーはマオに少しだけ怯えながらも、困った表情でセレナのほうを向いている。
 ▼ 114 ニシズクモ@まんたんのくすり 19/08/06 03:37:04 ID:7UII5bBQ [54/75] NGネーム登録 NGID登録 報告

「あ、あはは、ちょっとだけ我慢してね?」

「テナ…」

「テールナーっていうの? 可愛いねこの子!」

「ヤ、ヤッチャ…」

 セレナに我慢してもらうように言われたテールナーは苦笑いの表情でマオを見返す。 そんなマオはテールナーの手をさすり続けながらセレナに喋りかけている。 ヤンチャムはマオの変わりように呆れた表情で座っていた。
 そうしている間に、どうやらマオのお父さんがご飯を持って来てくれたのか、厨房から足跡が近づいてくる。 いち早く足音に気づいたニンフィアは、寝転んでいた態勢を直し姿勢よく座っている。
 ▼ 115 ヤシガメ@ふしぎのプレート 19/08/06 03:37:19 ID:7UII5bBQ [55/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はい、お待たせ。 お父さん特製スペシャルメニュー!」

「すっごく美味しそう!」

「見た目だけじゃなくて味も美味しいから! 期待してていいよ〜!」

「チャム!!」

「テナ〜…」

「フィア」

 待ちに待ったお昼ご飯ということで、セレナのポケモンたちはそれぞれ別々の反応を受けながらも、その瞳はご飯に集中しているようだった。 セレナ自身も歩き回り、ショッピングに時間をかけすぎ、お昼ご飯の時間を逃していたため、やっとご飯を食べれると思い一息ついている。
 ▼ 116 ベルタル@ポイントアップ 19/08/06 03:37:40 ID:7UII5bBQ [56/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 料理が全て並べられ、揃った所でみんなは一斉に挨拶をする。 みんなは勢いよくご飯に口をつけていく。 思っていた以上にお腹が減っていたのか、ご飯を食べている最中は会話もなく、ただ目の前にあるご飯を食べていた。 マオはそんなセレナたちを笑顔で見ている。 マオはお店のお手伝いをしながら自分自身でご飯を作り、友達やお客さんに提供しているため、おいしそうにご飯を食べているセレナたちが嬉しいみたいだった。

 しばらくセレナたちは空っぽの胃に食べ物を入れていき、マオのお父さんが作ったスペシャルメニューも数分で完食してしまう。 セレナたちは満面の笑顔でごちそうさまと挨拶を済ませ、先ほどまで憂鬱な表情だったテールナー達の表情には鮮やかな表情で満ちていた。
 ▼ 117 ルタンク@たからぶくろ 19/08/06 03:38:01 ID:7UII5bBQ [57/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「美味しかった〜…ふー、やっと落ち着いたよ」

「チャム〜」

「いい食べっぷりだったよみんな」

「えへへ、マオのお父さんの料理がおいしいからだよ」

「お、そう言ってくれると作ったかいがあるもんだ」

 落ち着きを取り戻したセレナたちは、マオと会話の続きをし始める。 セレナやマオの食事風景を見ていたマオのお父さんは、綺麗に食べられ残ったお皿を厨房へ運び、後片付けや仕事の残りをするようだった。 
 お腹が一杯になったヤンチャムは、セレナの膝の上で足をパタパタとさせている。 セレナに背をもたれて、体の全身を預けている。 深く信頼を寄せているからできることだとマオは思う。
 ▼ 118 デカバシ@タラプのみ 19/08/06 03:38:16 ID:7UII5bBQ [58/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ねえ、セレナ。 ヤンチャムとはどんな風に出会ったの?」

「ヤンチャムと?」

「チャム?」

「ヤンチャムだけじゃなくて、テールナーやニンフィア。 セレナの手持ちになったポケモンたちのことを聞きたいな」

「私のポケモンたちのこと…」

 セレナのポケモン達。 最初のポケモンであるテールナーや、後から仲間になったヤンチャムとニンフィアについてのことが気になるようだった。 スイレンと話した時にはカロス地方やホウエンにいるポケモンの話。 トライポカロンやコンテストの話が多かった。 スイレンの友人の話も少しはしたが、前者のものが多い。
 ▼ 119 スキッパ@パワフルハーブ 19/08/06 03:38:39 ID:7UII5bBQ [59/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナは先ほどの質問について考える。 ヤンチャムたちとの出会いについてと言ったが、正直あまり特別なことはないだろう。 とは言うものの、スイレンとの話をした時もそうだが、セレナ自身は何気ない話と思っていることもスイレンはとても面白そうに話を聞いていた。 セレナは旅をしている途中、様々な体験や新しい発見。 自分たちの足で広く行動しているからこそ、多くの刺激が得られたり、ほかの人に与えたりと、旅をしている醍醐味でそれが当たり前だと思っていた。 ただ、スイレンたちはアローラ地方を出たことがほぼないと言っていた。 セレナたちには当たり障りないことが、マオたちにとっては面白い冒険談なのだろう。
 ▼ 120 マコブシ@ライブドレス 19/08/06 03:55:25 ID:7UII5bBQ [60/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ヤンチャムとはね、トライポカロンって言う競技大会に、ヤンチャムが乱入したのが初めての出会いだったの」

「ら、乱入? こんなにいい子そうなのに結構いたずら好きだったんだね」

「チャ、チャム」

 ヤンチャムが苦笑いをしながら頭を掻いている。 セレナ自身はそのおかげでヤンチャムと出会えて良かったと思っているが、トライポカロンに参加していたパフォーマーやスタッフ、観客には非常に迷惑な話だったろう。 
 ▼ 121 ミツルギ@ギンガだんのカギ 19/08/06 03:55:44 ID:7UII5bBQ [61/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「会場に出た私たちはヤンチャムと再開するの。 旅の仲間のポケモンがヤンチャムを追いかけて、その後を私たちが追いかけたのだけど、森の中で仲間たちの帽子やメガネが盗まれてたりで、いっぱいいたずらしてたよね」

「チャ、チャム〜」

「えぇ…いたずらの範囲で収めてもいいのかなあ」

 いたずらをしていた当の本人であるヤンチャムは、明日の方向を向いて口笛を吹いている。 表情に冷や汗をかいているようすをみると、一応悪いことだとは思っているらしい。 とは言うものの、とっくに過ぎた話ではあるので、話しているセレナは笑顔で懐かしみながらヤンチャムの頭を撫でている。 セレナたちは当たり前のように話してはいるが、聞いているマオからしたらおかしな話には変わりない。
 ▼ 122 リーパー@のろいのおふだ 19/08/06 03:56:54 ID:7UII5bBQ [62/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ヤンチャムの様子を影でこっそり見ていたのだけど、トライポカロンで見た演技の真似をしたり、盗んだアクセサリーを身につけて湖を鏡のようにして身だしなみ整えてたり…ヤンチャムはトライポカロンに出てみたいんだって、そう思ったの」

「ヤンチャムは男の子だけど、演技とかファッションとかにすっごい興味があったんだね」

「チャム!」

「そんなヤンチャムに、私はバトルを申し込んだの。 一緒にトライポカロンに出場するために、私とバトルをしてって。 そうしたら、ヤンチャムは了承してくれたんだけど…」

「したんだけど?」

「バトルの最中色々邪魔が入って、一度ヤンチャムと一緒にバトルすることがあったの」

「へー。 でもでも、一緒にバトルって言っても、そのときはまだヤンチャムを捕まえてないんだよね?」

「ヤンチャムの指示をしてたわけじゃないけどね」

「それでもまだ捕まえてないポケモンとバトルするって凄いことなんじゃないかな?」
 ▼ 123 ーブイ@しんぴのしずく 19/08/06 03:57:15 ID:7UII5bBQ [63/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 一般的に言えば、まだゲットしていないポケモンと一緒に戦うことは少ない。 ただ、セレナのいた環境が少し特殊だったので、不思議に思わなかったのだろう。 
 セレナの仲間には、ゲットしていないポケモンや、無関係なポケモンを身を挺して助けようとしたり、先ほどセレナの話に出てきた邪魔をしてきたもの___ロケット団と言うポケモンを悪さに使うために、悪質な方法でゲットするものから、自分のことのようにポケモンたちを救い出そうとする姿を見て、様々なポケモンが自ら近寄ってくることが多かった。 そんな場面が身近で数多くあったので、ゲットしているだとかしていないだとか、そのあたりの細かいところは気にならなくなっているのだろう。
 ポケモンを新しくゲットする場合は、いきなり出会って即バトル。 相手の状態などは考慮せず…とまではいかないが、基本的にポケモンの目の前に出てバトルを仕掛けるのが多い。 マオが持っているアマージョ。 進化前であるアマカジというポケモンをゲットするときはそうだった。 
 ▼ 124 ギギアル@カイスのみ 19/08/06 03:57:36 ID:7UII5bBQ [64/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「とにかく、その邪魔を取り除いてやっとバトルの再開をしたんだけどね、ヤンチャムは私の初めてゲットするポケモンで中々上手く捕まえれなかったの。 それに、ヤンチャムってすっごく強くて、仲間の助言のおかげで捕まえることができたんだ。 これがヤンチャムとの出会いかな。」

「ふふ、ヤンチャムと出会うだけでも、いっぱい冒険があったんだね。 ヤンチャムとバトルするときは何のポケモンと一緒に戦ったの?」

「ヤンチャムとバトルしたときはフォッコと一緒にバトルしたの。 今は進化してテールナーになってるんだけど、フォッコとの出会いはね、私が初めてポケモンを持ち始めるためにプラターヌ博士の研究所に行ったのが始まりなの」

 ヤンチャムを始めにテールナーやニンフィアの出会いを語り始める。 一匹のポケモンに出会うだけでも、多くの物語がある。 それは、セレナだけではなく、ほかのポケモントレーナーにも言えることだろう。 ポケモンたちの出会いの話や、そのポケモンたちの思い出をある程度語り終えるころには、外は赤く染まり始めるころだった。
 ▼ 125 ルビート@あおいかけら 19/08/06 03:57:59 ID:7UII5bBQ [65/75] NGネーム登録 NGID登録 報告






「セレナってたくさんの冒険をしたんだね! 聞いてて本当に面白かったよ〜!」

「スイレンの時もちょっと走り気味で話したけど、楽しんでもらえて良かった」

 スイレンと同じく、全てのことを話せる時間は無いので、少し端折りながら話していったが、聞いていたマオには十分楽しめてくれたようだった。 多くのことを思い出しながら語っていたので一息つき、マオのお父さんに渡されたお店自慢のパインジュースを飲み、喉を潤していく。 セレナのポケモンたちは、ご飯を食べた後落ち着いたのか、ニンフィアはセレナの足元近くで体を丸めて、テールナーはセレナの隣にあった椅子に座り、ヤンチャムはセレナの膝の上でそれぞれお昼寝をとっていた。 食堂にはお客さんが数人いるが、大声でしゃべることもなく静かに食事をとっている。 食器がぶつかり合う音がするが、ヤンチャムたちの規則正しい吐息の様子を見るに、眠りを妨げるほどではないのだろう。
 
 ▼ 126 ガヘルガー@グラスシード 19/08/06 03:58:26 ID:7UII5bBQ [66/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「スイレンとはどういう話をしてたの?」

「ん〜、ポケモンの話よりも、トライポカロンやコンテストの話が多かったかなぁ。 あとは、スイレンの友達の話で、それでマオのことを知ったの。 後は、話の流れでマーマネって人のことも教えてもらったりしたんだけど、実際に会ってないから少し気になるかな〜って感じかな」

「マーマネ? マーマネってことは、スイレンと一緒にどこかに食べに行ったりとか!」

 セレナはマオの返しに目を丸くする。 スイレンとどこに行ったなんて話してはないのだけれど、マーマネの名前を出しただけである程度どこに行ったか分かってしまうのは、ある程度長い付き合いである証拠なのかもしれない。
 ▼ 127 マナッツ@エネコのしっぽ 19/08/06 03:58:41 ID:7UII5bBQ [67/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「わ、当たり! スイレンと一緒にカフェに行ったんだけど、そこがマーマネのおすすめスポットらしくて一緒に食べに行ったんだ」

「んっふっふ〜。 スイレンとは小さい時からの付き合いだけど、マーマネとも短い付き合いってわけじゃないからね〜。 アイナ食堂を繁盛するべく、マーマネと一緒にいくつものお店を巡ってきてるからかな」

 自慢げに話すマオは、鼻の穴を大きくしながら体を大げさに仰け反らせる。 そんな様子を見たセレナは、スイレンと話していた時以上にマーマネに会ってみたくなった。 セレナは、スイレンとマオと初めて会って数時間しか話してはいないが、彼女たちがとても優しく、温かみのある気の良い人たちだと分かった。 そんな彼女たちが話すマーマネも、同じような人なのだろうと思う。 しかし、それはセレナの勝手な想像に過ぎない。 もしかしたら、斜め上を行くような性格なのかもしれない。 思った以上に普通の人で、拍子抜けしてしまうのかもしれない。 スイレンからはマーマネの性格については深く掘り下げて聞いてはいなかった。 マオに聞けば分かるだろうが、聞いて先入観がついてしまう前に実際に会ってみたいと思った。 
 ▼ 128 タング@ルナアーラZ 19/08/06 03:59:01 ID:7UII5bBQ [68/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「後はポケモンスクールの事とか、スイレンと別れる最後に転校生の話とか…それぐらいかなあ」

「ポケモンスクールの話が出てきたってことは、リーリエの話とかも出てきたりした?」

「リーリエ? どうだろう…名前が出たのはマオとマーマネだけだったから、リーリエの話は出たかもしれないけど、ちょっとわからないかも」

 マオの口から新しい固有名詞が出てくる。 リーリエという名前からして女の子らしきその人物も、スイレンたちと同じようにポケモンスクールに通っている人物なのだろう。 
 ▼ 129 ドラン♀@コンペボール 19/08/06 03:59:19 ID:7UII5bBQ [69/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「肌も服装も透き通るぐらい白くて、綺麗な髪の毛をしてる女の子なんだけど、ポケモンが大好きでポケモンの知識が豊富なお嬢様なんだよ」

「へぇ…」

 反応に困るほどの内容の濃さだと思ったセレナは、思わず返答に戸惑ってしまう。 ハッキリ言って、マーマネよりも興味が湧いてしまい頭の中で想像を膨らまさせてしまう。 セレナが出会ったお嬢様といえばあまりいい思い出は無かったが、アローラ地方のお嬢様と言われる人物は一体どのような人物なのか、非常に気になるところだった。 
 ▼ 130 ロピウス@ブーカのみ 19/08/06 03:59:38 ID:7UII5bBQ [70/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナって表情コロコロ変わるね〜」

「えぇ!?」

 思わぬ発言に体がびっくりしてしまい変な声が出てしまった。 表情がコロコロ変わるマオに同じようなことを言われてしまい、少し顔を手で覆ってしまう。 いろいろ考えていたことが表情にわかりやすく出ていたらしい。
 ▼ 131 ラマネロ@きいろのバンダナ 19/08/06 03:59:55 ID:7UII5bBQ [71/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あ、あはは、聞いてたら気になっちゃって」

「うんうん、その気持ちすっごいわかるよ。 私もセレナの話を聞いてたら色々と気になることがあったから。 そして、そんなセレナにいい事を教えてあげよう」

「いい事?」

 マオは自信満々な表情でセレナの顔を覗き込む。 急にタウンマップを開くように指示され、バッグにしまっている愛用の携帯端末を開き、メレメレ島のマップを表示させる。
 ▼ 132 イコグマ@エレキシード 19/08/06 04:00:15 ID:7UII5bBQ [72/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「街の大通りから少しだけ裏道を通った場所にマサラダが美味しいって言われてるテラスがあるんだけど…あ、えーっとね、ここなんだけど、最近できたばっかりらしいから名前はまだ載ってないみたいなんだ。 で、そこに12時頃に行けばセレナにとってとってもいいことがあるから」

「とってもいいこと?」

「そう! あとは、必ず12時頃に行かないとだめだからね。 お昼ごろにしか売り出されないマサラダがあるから、それを食べてほしいのもあるけど、本当のお目当ては周りにあるから」

「周り? とりあえずそこに行ってみればいいのね」

「うん!」

 セレナに何をしたいのかわからなかったが、とりあえずマオの言う通りにそこのテラスへ行くようにすると、マオは元気よく返事を返してきた。 マオ自身は満足げな表情でセレナを見ながら頷いているが、セレナの頭にははてなマークが飛び交っていた。 マオが変なことを企むような性格ではないというのは、この数時間で分かっていることではあるが何があるかは明日のお楽しみにとっておいたほうが良さそうだと思った。
 ▼ 133 ワパレス@パワーバンド 19/08/06 04:00:33 ID:7UII5bBQ [73/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
 外が夕日で赤く染まった後もセレナとマオは話で盛り上がり、自分たちの世界へ入っている途中、膝の上にいたヤンチャムやポケモンたちが起きていることに気づく。 それと同時に、周りの様子を見てみると、先程まで少なかったお客さんの数が増えつつあった。 どうやら夜ご飯を食べに来ている人がアイナ食堂へやってきているのだろう。 すると、厨房の方からマオのお父さんの声が聞こえてくる。
 ▼ 134 マガル@あかいくさり 19/08/06 04:00:50 ID:7UII5bBQ [74/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「マオー! そろそろ仕事を手伝ってほしいんだがー!」

「あ、分かったー! というわけで、ごめんねセレナ。 折角いっぱい喋ってたのにこんな終わり方になっちゃって!」

「そ、そんな、そもそも仕事の邪魔をしていたのは本来私の方だから…」

 一人では回せないほどの料理を頼まれているのか、マオのお父さんはマオに対して助けの声を求めている。 マオは仕事の手伝いの休憩ということでセレナと話していたが、そろそろその休憩も終わりの時が来てしまった。 それは、セレナとの別れを意味する。 名残惜しいとは思うが今日でさようならと言うわけではない。 厨房にいるお父さんに声をかけているマオを見ながら、セレナは微笑んだ。
 ▼ 135 ギギシリ@シルバースプレー 19/08/06 04:01:09 ID:7UII5bBQ [75/75] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ありがとうマオ! あなたと出会えて、私は本当に良かった」

「セレナ…うん! 私もセレナと話せて本当に良かった! 絶対にまた会おうね!」

「ええ、必ず会いましょう! それじゃあまたね!」

「バイバイセレナ! また会おうね!」

 話している途中でお金は払い終わっていたので、別れの挨拶を済ませアイナ食堂を後にするセレナ。 これが最初で最後の出会いというわけではない。 人の出会いは一期一会とは言うが、セレナはマオとの出会いをこれだけで終わるとは微塵も思っていない。 それは、マオもそうであろう。 セレナもまだメレメレ島には滞在しているし、島を観光していればマオにまた会えるだろう。 アイナ食堂の近くからは、マオの快活な声が扉の隙間から漏れていた。
 ▼ 136 ルズキン@ダウジングマシン 19/08/17 23:01:03 ID:IU/QoDWs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 137 ルトロス@フライングメモリ 19/08/18 09:47:34 ID:egzEiPrs NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 138 ルズキン@ヨロギのみ 19/08/19 22:20:00 ID:1vUkBjb2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 139 ルペコ@ライボルトナイト 19/08/20 11:28:23 ID:kqRMRcKw NGネーム登録 NGID登録 報告
>>138
地味に時間すごい
 ▼ 140 オタチ@とけないこおり 19/08/21 01:35:56 ID:XejoPwsY [1/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おはようみんな! 今日もいい天気だね!」


「テナ!」

「チャム!」

「フィア!」

 アイナ食堂を後にしたセレナたちは、ホテルで夜ご飯を済ませ、 一日の疲れを浴槽で洗い流した後、ポケモンたちと共にベッドの中に入り眠りにつき、一日の終わりを迎えていた。 やわらかいベッドっでゆっくり休んだセレナたち。 目覚めもよく、昨日の歩き回った疲れも無くなっていたので、朝から元気よくポケモンたちと喋っていた。
 セレナは起きて身だしなみを整えた後、部屋の中にある大きな鏡の前で回転したり、ポーズをとっていたりする。 昨日購入した服装を確かめているようで、パフォーマーとして活動しているからなのか、その姿は妙に型にはまっていた。
 ▼ 141 ネブー@はいぶくろ 19/08/21 01:36:14 ID:XejoPwsY [2/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
 数分後、自分の服装に問題がないことを確かめたセレナは、ポケモンたちと一緒に朝食を食べに行くことにする。 昨日と同じように、大広間の近くへ行くごとに良い香りが漂ってくる。 今日は何を食べようかなと思いながら、トレイを持ち、テールナー達が食べたい料理を手に取っていく。 料理の中にはマサラダもあるが、それを見たセレナは昨日の話を思い出す。

「今日の12時頃だったよね。 間に合わなかったら駄目だから、早めに出たほうがいいかな」

 それは、昨日マオと話していた時に言われたことだった。 12時頃にとあるお店に居ればセレナにとってとても良いことになるとわ言われたが、具体的に何があるかとまでは言われていない。印象に残っているのは、それを言っているときのマオの表情。 自信満々のその表情は見る人を笑顔にしてしまうような、そんな表情だった。 トレイに食べ物を置いているセレナも、思い出してしまいつい笑いがこみあげてしまう。 そんな様子を不思議に見ていたポケモンたちに気づき、にやけてしまっている表情を引き締め食べ物をまた取り始めた。
 ▼ 142 ャワーズ@ゴッドストーン 19/08/21 01:36:39 ID:XejoPwsY [3/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ちょっと取りすぎちゃったかなあ」

「フィ?」

 それぞれが食べたい料理を取り終えたセレナたちは、昨日と同じように空いている席に座り、机に料理を並べ始める。 今更ながら、料理を並べてみて気づいたが、育ち盛りの少女やポケモンたちが食べる量というのは結構多かったりするみたいだ。 机いっぱいにお皿が広げられてる様子を眺め、少し苦笑いをする。 取ったからには食べないといけないし、そもそも自分たちが食べれる量を取っているので残すこともないだろうが、食べた量のものは消費しなければならない。 とは言っても、セレナたちは体をほぼ毎日動かしているような生活をしているので、体に余計なものがつく心配はないだろう。 取り合えず、このまま眺めていても空腹が収まるわけではないので朝食の挨拶みんなで済ますと、それぞれの食べたい料理を手に付け始める。

「今日の朝食もおいしいね」

「テナテナ」

 セレナの向かいに座っているテールナーは頭を頷きながら同意している。 ふっくらと柔らかいパンに新鮮な野菜や卵などで作られた料理。 海が近くにあるのでお肉よりは魚の料理のほうが種類は豊富だが、様々な工夫がされたその料理はどれも目を輝かせるには十分だった。 生魚の料理もいくつか手に取ってはいるが、その色つやを見ればいかに新鮮かが素人目でも分かるほど、一つ一つに使われている料理の素材は厳選されたものだった。
 ▼ 143 ゲツケサル@メガストーン 19/08/21 01:36:55 ID:XejoPwsY [4/49] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ふ〜、もうお腹いっぱい。 なんだか食べすぎちゃったかな」

「チャム?」

「大丈夫よヤンチャム。 おなかが痛くなるまでは食べてないから」
 
 予定はあるが、時間もまだまだ先のお昼ごろからなので急ぐこともなくゆっくりと朝食を食べ進めていたセレナたちは、数十分後にはテーブルの上にあった朝食は全て食べ終わっていた。 少し食べすぎた感もあるが、ご飯がおいしいのが悪いなどと小さい子供のような言い訳をしながら大広間を出る。 
 セレナがアローラ地方に来て今までのことを思い返すと、まだ今日を抜いて二日間しか経っていないこと思い、一日にあまりにも色んなことがありすぎて感覚が少し変になってしまいそうである。 海に泳ぎに行ったりショッピングをしたり新しい友人と巡り合えたり、文字で書けば一文で済ませるようなものかもしれないが、セレナにとっては一つ一つが短編小説のように、短くとも濃い内容だと感じているし、実際にただその時間を漠然と過ぎるだけで過ごしているわけではなく、新しく何かを発見したり、体験をしたり、人と出会いか長時間会話をしているのだから、そう感じてしまうのも自然なものなのである。 
 ▼ 144 ゲデマル@ノメルのみ 19/08/21 01:37:15 ID:XejoPwsY [5/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
 部屋に戻ったセレナたちは、予定がある12時前までゆっくりすることに決めた。 一日中外に出るのもいいが時間はまだまだあるのだから、折角最高級ホテルのスイートルームに泊まったのに、部屋の細部、全ての家具が作りこまれたこの安らぎの空間を楽しまないのは損だろう。 ベッドと同じようにふわふわのソファーに座り、アローラ地方のテレビを眺める。 金髪の男性と語尾にロトと喋るポケモン? の、様なものが様々な謎を解いていくミステリードラマが放映されている。 リモコンを操作し、あらすじを見てみると再放送のようで、文章にはアローラ地方の人気ドラマのように描かれてある。 

「普通に喋っているけど、ポケモンなのかな」

「フィア〜」

「ん? よしよし、どうしたのニンフィア」
 ▼ 145 オル@グッズケース 19/08/21 01:37:41 ID:XejoPwsY [6/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ソファーでゆっくりとアローラ地方のテレビを見ていたら、ニンフィアが甘い声を出しながら膝の上に乗り、セレナの体に自分の体を擦り付けてくる。 そんなニンフィアを優しく抱きしめると、腕や体にニンフィアの特徴であるリボンのような触覚を巻き付けてくる。 首や顔に頭を擦り付けてくるので少しくすぐったいが、ニンフィアの落ち着いた表情を見るとそんなくすぐったい気持ちも可愛く思える。
 ニンフィアが甘えてきたので、他のみんなはどうしたのか気になり部屋の周りを見てみると、テールナーは外にある長椅子で日向ぼっこをしているようだった。 動いている様子はないので、どうやら少しだけ寝ているのだろうか。 ヤンチャムはポケモンやアクセサリーが多数載っている雑誌を捲っているようで、ベッドに転びながらヤンチャムの周りには数多くの雑誌が置いてある。 まだまだ読み始めたばかりなのか、雑誌は綺麗に整えられている。 全てが見終わったときには、綺麗に整えられた雑誌はベッドの周りに散乱しているだろうと、勝手に想像して少しだけ笑ってしまう。
 
「フィア〜…」

「わ、ごめんねニンフィア。 ちょっと他のみんなが気になっちゃって」
 ▼ 146 チャブル@とくせいカプセル 19/08/21 01:37:58 ID:XejoPwsY [7/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
腕の中に納まっているニンフィアが、少し寂しそうな声を出しながら頭をセレナに擦り付けてくる。 今は自分が甘える時間とばかりに、テールナーやヤンチャムを見ていたセレナに訴える。 ニンフィアがここまでセレナに甘えてくるのも、少し考えればわかることだろう。 二日間しか経っていないが長く濃い時間を過ごしていたセレナではあるが、ポケモンたちと共に過ごしていた時間ももちろん多い。 ただ、名前を挙げるとしたらテールナーとヤンチャムが多いだろう。 折角旅行に来て、他のポケモンたちはセレナに対しいっぱい甘えてられているのに、自分だけは甘えられないなんて、そんなのは悲しすぎる。 ニンフィアのそんな気持ちが、言葉では伝わらなくとも思いで伝わるような気がした。

「よーしよーし。 ふふ、今日はいーっぱいニンフィアにかまってあげるわ」

「フィア!」

「いたたた。 嬉しいのはわかるけど、もう少し優しくお願いね」

「フィアフィア!」

 セレナの言葉に思わず体に巻き付けていた触覚に力が入ってしまったようで、優しくニンフィアを撫でながらお願いをする。 声を高くし鳴くその姿は、それだけ嬉しいと思っているのだろう。 
 トライポカロンのパフォーマーは、ポケモンの毛並みやコンディションの管理。 ポケモンの技の切れを上げパフォーマンスに繋げる技術。 細かく見れば違いはあるが、一種のポケモンブリーダーのようにポケモンを育てなければトライポカロンの選手として活躍はできない。 そのおかげか、ニンフィアの体を撫でるとその毛並みの滑らかさが良く分かる。 手前味噌であるものの、よく育てられていると思えるし、これからもこの毛並みを維持、もしくはより良くしていきたいと思う。
 ▼ 147 ルケニオン@しゅんぱつのハネ 19/08/21 01:38:20 ID:XejoPwsY [8/49] NGネーム登録 NGID登録 報告

「というわけで、ニンフィア」

「フィ?」

「ブラッシングをしましょう?」

 セレナの提案に嬉々としたニンフィアは、体に巻き付けていた触覚を解き、セレナはカバンから愛用のブラシを取り出す。 再度、ソファーに座りニンフィアを膝の上に乗せると、慣れた手つきでニンフィアの体にブラシを通す。 普段からもブラッシングをしたり、毛並みを整えたりしている賜物なのか、ブラシを通しても毛の引っ掛かりなどはほとんどない。 滑らかな肌触りをしており、光をやさしく反射するその艶やかな毛並みは、トライポカロンで活躍していたことが経歴を見なくとも良く分かるほどだった。 瞳を瞑り、リラックスしているその表情は、可憐でとても美しく見るものを魅了する。 

 イーブイを始めたその進化系ポケモンは、様々な人たちに人気が高いポケモンである。 特に、お偉いさまのご令嬢。 いわゆるお嬢様といった位の高い人たちや、セレナのようなパフォーマーやコンテストに参加する人など、ポケモンを美しく見せるトレーナーにはそれが顕著に表れていた。 とあるコンテストでは、イーブンの進化をパフォーマンスとして組み込むといった、一生に一度しか見れないものを作り出したパフォーマーが存在するほどである。 
 ▼ 148 リガロン@たてのカセキ 19/08/21 01:39:00 ID:XejoPwsY [9/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
 イーブイとその進化系統は男性女性問わず愛らしく思う姿をしており、特に人気が高いといえるのがセレナが所持しているニンフィアだろう。 可愛らしい色のピンクを主に、パステルカラーの配色をした体毛や瞳。 耳にはリボンがあしらわれ、あざとさがありながらも、その可愛さに拍車をかけている姿は、一度見てしまうと目線を追いかけてしまうものがある。 更には、パフォーマーのみならずトレーナーにも人気が高く、バトルのためにニンフィアを使用するものも少なくはない。 
 ニンフィアのタイプはフェアリータイプでありドラゴンタイプの技を無効にし、代わりにドラゴンに対してフェアリータイプの技は効果抜群という特徴がある。 ドラゴンタイプは強いポケモンが多く、その対策としてフェアリータイプを使うものが多いのだが、ニンフィアにはフェアリースキンという特性により、ドラゴンにより強く出れるといった恩恵もある。 容姿、強さ、特徴、様々な要因が、ニンフィアというポケモンに兼ね備えられており、多くの人たちから注目されているのだった。
 ▼ 149 ゲデマル@じゅうでんち 19/08/21 01:39:34 ID:XejoPwsY [10/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナもニンフィアを捕まえてはいるが、そのような意図でニンフィアやイーブイを捕まえたわけではない。 元々、セレナが旅を始めるころ、セレナが小さいころに助けてくれたサトシがテレビに映り、カロス地方に来ていることを知り、もう一度サトシに会いたいと願いその足を踏み出したのだった。 そして、サトシと再開を果たしたセレナは、ただ漠然と目的もなくサトシ達と共に旅を続け、目標などがあるサトシたちを見て焦りを隠せないでいたが、旅の途中トライポカロンのパフォーマンスに心を打たれ、自身もパフォーマーになると決意をする。
 イーブイとは旅の途中に出会い、イーブイが岩場をステージのように見立て、踊っているところを陰で見ていたのが始まりだった。 セレナはそんなイーブイとともにトライポカロンに出場し、イーブイとともにパフォーマンスをしたい。 イーブイ自身も大きな舞台で輝くような演技をしたい。 いわゆる、利害の一致で二人の旅は始まったのだった。
 セレナはイーブイと共に様々な紆余曲折ありながらもトライポカロンに出場するが、初めての大舞台ということもあり失敗に終わってしまう。 しかし、イーブイはニンフィアに進化した後、ニンフィアは前回の失敗を物ともせず、セレナをマスタークラス準決勝という厚き壁を壊し、決勝戦へと導いた頼もしい存在となった。 
 セレナとイーブイは、偶然踊りが得意なイーブイと出会い、複数の進化形態の中から偶然ニンフィアに進化しただけであった。 偶然の連続ではあるものの、その偶然は多くの人を魅了するパフォーマーへと押し上げる結果をもたらしたのである。
 ▼ 150 ンブオー@ポロックキット 19/08/21 01:39:58 ID:XejoPwsY [11/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「気持ちいい?」

「フィアァ〜」

「ふふ、良かった」

 ニンフィアがバトルやコンテスト、様々な場所で活躍するポケモンであっても、それを生かすも殺すもイーブイを育てる人が決めることであろう。 仮に、ニンフィア以外の進化を望むイーブイに、無理やりニンフィアへ進化させたとしても、ニンフィアが持っている能力は十分にはいかされないだろう。 能力を生かせれず、イーブイが望んだ進化にしたほうがより多くの能力を得られたとなれば本末転倒だ。 
 セレナがニンフィアをここまで育て共に歩めれたのは、何かしらの本に載ってある育成論や、特化させた育て方だとか、型にはまったやり方ではなく、ただ、イーブイと意思の尊重し合い、自由に育ててきたことが今の結果につながったのだろう。 だが、全てが自由に育てることが良いとは勿論言えない。 セレナは生粋のポケモンブリーダーというわけではなく、ポケモンの知識に詳しいというわけでもない。 ただ、詳しくなかったことが幸いし、余計な情報に振り回されず、周りの仲間にも多く助けられただろうが、様々な偶然でここまで育てれただけなのであった。
 ▼ 151 ベノム@オボンのみ 19/08/21 01:40:14 ID:XejoPwsY [12/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィアの毛並みはいつ見ても綺麗だね…はい、ブラッシング終わり!」

「フィア〜…」

「もう、そんな甘えた声を出してもだめよニンフィア」

 セレナはニンフィアの体を撫でていると、ニンフィアはブラッシングが終わったことが名残惜しく甘えた声を出す。 これ以上ブラシを通しすぎると、体毛を痛めてしまう可能性があるので、ニンフィアには悪いかもしれないがあまりやりたくはない。 とは言っても、ブラッシングが終わってしまうことよりも、セレナが自分にかまってもらうことが終わってしまうのが嫌なのだろう。 セレナ自身もその気持ちは十分に伝わっているので、次は何をやろうかと頭を悩ませる。
 ▼ 152 ルバット@マスターボール 19/08/21 01:40:34 ID:XejoPwsY [13/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「フィア〜」

「ふふ、ニンフィアは暖かいね」

 先ほどと同じように、ニンフィアは触覚や体をセレナに巻き付かせたり引っ付けたりをして、体温の交換をしている。 ポケモンはそれぞれの環境において体温が変わるものがいたり、人よりも低い温度を維持しているポケモンが存在している。 ニンフィアは人よりもほんの少しだけ体温が高いのか、あったかく感じる程度だった。

「何かやりたいことはある?」

「フィーア」

「そっか、それじゃあこのままゆっくりしましょう」

 ニンフィアを優しく抱きしめ返し、時には体を、頭を、お腹などを撫でてあげると、気持ちがいいのか、落ち着いた表情をしながらセレナの頬に自分の頬をすり合わせるなど、まるで自分のものかのようにセレナに匂いを付けている。 ここまで激しく甘えてくることは、臆病で引っ込み思案だったイーブイのころを思い出す。 ニンフィアに進化してからはとても頼もしく、セレナたちを率先して助けることが多くなったが、今の様子を見ると根本的なところは変わっていないのかもしれない。
 ▼ 153 メモース@メンタルハーブ 19/08/21 01:40:52 ID:XejoPwsY [14/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「フィ〜…」

「よーしよーし…何だか少し眠たくなってきちゃったな…」

 部屋の中は、ヤンチャムがベッドの上で雑誌のページをめくって紙がこすれるような音が響いている。 防音もしっかりしているので、部屋の外からの音は無いに等しい。 先ほど起きたばかりで、ゆっくりしているといっても眠たくはならないと思ったが、瞼を閉じているとこのまま寝てしまいそうだった。 12時までにはまだまだ時間はある。 このまま一眠りしてしまおうかと思い、いつのまにか寝てしまい起きた時には12時過ぎているなんてことは避けたかったのでアラームだけは付けておくことにした。 アラームを付けておかなくても、ヤンチャムたちが起こしてくれるだろうが、準備するに越したことはない。

「ニンフィア、ちょっとだけ抱きしめたままお休みしてもいい?」

「フィア! フィア〜」

「ありがとう…ふぁ…ふふ、温くて落ち着く…」

 アローラ地方の気候は暖かく、部屋の中は冷房が良く行き届いている。 寒くなるほど強くはないが、部屋の温度が低いせいか、ニンフィアの体温が心地よく感じる。 セレナの吐息は、次第に一定のリズムを保ち始める。 ニンフィアがそれに気づいた時には、セレナは眠りについたようで、同じようにニンフィアも瞼を閉じ始め、セレナに寄り添い眠りにつくのであった。
 ▼ 154 ルビル@きのはこ 19/08/21 01:41:10 ID:XejoPwsY [15/49] NGネーム登録 NGID登録 報告










「はぁ…はぁ…」

 セレナは、暗い闇の中をひたすらに走っていた。 何かに追われている気がする。 周りを見渡しても、何もなく、ただ追われてくる何かから逃げている。 激しく息が上がるが、それでも何とか逃げようと走り続ける。 ポケモンたちが入ってたモンスターボールはなく、追ってくる何かに対抗することもできなかった。

「一体…何なの…」

「!? あぅっ!」

 長く走っていたせいなのか、足に力が入らなくなってしまい、何もないはずなのにつまずいて転んでしまう。 そして、セレナの周りに何かが迫り、セレナはただ目を瞑り、襲い掛かってくる恐怖から逃れることしかできなかった。
 ▼ 155 オキシス@ポケトレ 19/08/21 01:41:27 ID:XejoPwsY [16/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もう…ダメ…!」
 
 周りは十分に暗かったはずなのに、それ以上の暗い何かが形を作ってセレナの周りを取り囲む。 今まさに、セレナへと手を伸ばそうとした瞬間、それは現れた。

「ピカチュウ! 10まんボルト!!」

「ピィ…カァ…チュゥウウウウウ!!」

 少年の掛け声とともに、黄色い動物は激しい音と閃光をセレナに取り囲んでいた何かに放つ。 目を瞑っていても分かるほどに激しく光り、瞬く間にセレナを襲うものは光とともに消えていく。 恐怖に怯えていて目を瞑っていたセレナだったが、それでも分かることがあった。 少年の掛け声には聞き覚えがあった。 その動物が放った音と光には覚えがあった。 セレナには、例え見えていなくても、いったい誰が助けてくれたのか、分かってしまった。
 セレナが目を開ける前に、先ほどの少年がセレナに近づき、肩に手を置くと心配の声をかけてくれる。
 ▼ 156 プラス@かおるキノコ 19/08/21 01:41:45 ID:XejoPwsY [17/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「大丈夫か? 助けに来たぜ!」

「ピッカ!」

 彼は優しく声をかけてくれる。 そう、いつもそうだった。 何かあれば自分のこと以上に相手を心配してくれる。 周りの人を引っ張ってくれる。 落ち込んでいるときも、不安で押しつぶされそうになっても、彼はその笑顔で、行動で、取り除こうとしてくれる。 そして、今もそう。

「サトシ…?」

「あぁ! セレナ! 一緒に行こうぜ!」

「ピカチュ!」

「うん…うん!」

 顔を上げると、そこには太陽のような笑顔するサトシがいた。 肩にはいつものピカチュウがいて、セレナに手を差し伸べている。 サトシの後ろからは、出口だと言わんばかりに光が漏れ始め、サトシたちを照らしている。セレナは手を伸ばし、サトシの手を掴んだ瞬間、後ろから漏れていた光が徐々に大きくなり、眩しさのあまり目を閉じてしまう。 だが、セレナはサトシの手だけは決して離さなかった。 そして、サトシも、セレナの手を掴んて離してはいなかった。
 ▼ 157 クホーク@ギネマのみ 19/08/21 01:42:10 ID:XejoPwsY [18/49] NGネーム登録 NGID登録 報告








「フィア! フィ〜!」

「あぇ…?」

 周りにはけたたましく鳴っているアラームが響いている。 抱きしめていたニンフィアはソファーから降りており、寝ているセレナを起こすように呼んでいた。 先ほどの光がまだ目に残っているような気がして視界がぼやける。 どうやら夢を見ていたようで、先ほどまで掴んでいたサトシの手の感触は残っていなかった。 

「ゆ、夢…?」

「フィ?」

「はぁ…もう少し、見たかったなぁ…」

 まだ起きたばかりではっきりしていない頭であるが、先ほどの夢のことを思い出すと、もう少し眠りについていたかったと嘆いてため息をついてしまう。 そんな姿をニンフィアは不思議そうな表情で首をかしげる。 サトシは憧れの人であり、旅で別れた後でも会いたいと願う人物だった。 そんな人と会えるならば、夢の中と分かっていても嬉しいものは嬉しいと感じてしまう。
 腕についている赤色のミサンガを触る。 最愛のミサンガは想い人に会える効果があるとは言っていたが、夢の中だけでしか会えませんなんてことは止めてほしい。
 ▼ 158 ルバット@あかのはなびら 19/08/21 01:42:28 ID:XejoPwsY [19/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「また、会えたらいいな」

 ぼーっとした頭を切り替えるべく、まずはアラームを止めて時間を確認すると11時頃であった。 ニンフィアが起こしてくれたおかげでもあるが、どうやら時間通りに起きれたようで、お礼を言いながらニンフィアの頭を撫でると、どういたしましてと言うように鳴き声を上げる。 アラームの音に他のポケモンたちも集まってきているようで、ベッドの上にいたヤンチャムや外にいたテールナーもいつの間にか部屋に戻っていた。 ベッドの上に置かれていた雑誌もすべて読み終えたのか片付けられているみたいで、準備ができていないのは先ほど起きたばかりのセレナだけであろう。

「きっと寝ぐせが出来てるだろうし、早く準備を済ませないと。 みんなは大丈夫?」

「フィア!」

「チャム!」

「テナ!」

 ポケモンたちは元気の良い返事でセレナに答える。 12時まで時間があるとは言っても早めに行くことには越したことはないだろう。 まだまだメレメレ島に来たばかりで、街も歩きなれているわけではない。 一度迷えば時間がとられてしまい12時を超えてしまうなんてこともある。 セレナは寝癖を直すべく大きな三面鏡の元に座り、髪の毛を整えていく。 準備は済ませているので、服装や髪の毛を整えれば問題はないだろう。 そして、準備を済ませたセレナは、ポケモンたちとともにマオの指定したテラスへ向かうのであった。
 ▼ 159 ルチャイ@メンバーズカード 19/08/21 01:42:52 ID:XejoPwsY [20/49] NGネーム登録 NGID登録 報告






「え〜っと、ここだと思うんだけど」

「フィ〜」

 携帯端末を片手に歩いているセレナとニンフィア。 テールナーとヤンチャムはモンスターボールの中に入っており、何かがあれば勝手に出るそうだった。 メレメレ島は、カロス地方にあるミアレシティほど複雑な道をしている訳ではないので、余程のことがない限りは迷うことはないだろう。 

「あ、ここね」

「フィア?」

「大丈夫よニンフィア。 マオが言っていたお店で間違いないと思う」

 しばらく歩き進めると、目的地であろうテラスについたようだった。 お店の周りにあるものも確認して、位置があっているかどうかを何度も見てみるが、携帯端末が記している場所で間違いがないようで、お店の名前も一致しているので問題はないだろう。 
 時間を確認すると、まだ12時には経っていないようだった。 マオからは何も聞かされていないので、何があるか少し不安にはなりながらも、とりあえずここの一押しメニューと言っていたマサラダを頼んでみることにする。 定員を呼び、紅茶とマサラダを二つ頼む。
 ▼ 160 ストダス@ラティオスナイト 19/08/21 01:45:52 ID:XejoPwsY [21/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふ〜…いったい何があるんだろうね?」

「フィア」

 メニュー表を見ながらニンフィアと当たり障りないことを話し、マサラダが届けられるまで時間をつぶしていく。 マオが言っていたように、最近できたばかりなのか、まだ客足は少ないようだった。 最近できたお店には客足が多いようなイメージがあるのだけれど、アローラ地方ではそうもいかないのだろうか。 ただ、このお店は日当たりがよく、風通しも良い。 外装や内装は派手な色が付けられてないので、とても落ち着いた雰囲気だった。 テーブルに設置されているパラソルが日陰を作ってくれているので、熱くなることもない。 初めてきた場所ではあるが、人気になりそうだなと思う印象があった。

「おまたせしました。 こちら当店自慢のマサラダと紅茶でございます」

「ありがとうございます! わぁ、美味しそうだねニンフィア」

「フィア!」

 セレナたちが注文したマサラダが届けられる。 黄金色に焼かれたマサラダや、半分に切られたものあり、中からはクリームがあふれている。 その上にはアイスクリームなどのトッピングがされており、非常に甘いだろうと食べてなくても分かるほどだった。 ポットに入っている紅茶には、備え付けに小瓶に入っている砂糖やミルクが置いてある。 甘いマサラダにはストレートのほうがぴったりだろうと思いながら、カップに紅茶を注いでいく。
 ▼ 161 ゴジムシ@おおきなしんじゅ 19/08/21 01:46:10 ID:XejoPwsY [22/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ん〜! 美味しい! スイレンと食べたパフェに負けないぐらいおいしいなぁ」

「フィ〜!」

「ニンフィアも美味しい? 良かった!」

「あれ? …わぁ、凄い綺麗な子がいる…」

 セレナたちは時間が過ぎることを気にせず、マサラダに舌鼓を打ちながらニンフィアとお茶を楽しんでいると、セレナたちが通ってきた来た道から誰かがやってくるのが見えた。 真っ白なワンピースに汚れを知らない真っ白な靴。 同じような真っ白なつばの広い帽子 そこから見えるのはそんな白色にも負けない程にきめ細やかな白い肌。 帽子から流れる美しいという言葉が似あう髪の毛。 お嬢様という言葉が当てはまるような少女が歩いてくるの遠目からでも見えていた。 手の中には同じように綺麗な白色のポケモンを抱えている。 セレナが知らないポケモンのようで、名前がわからない。
 隣に歩いているのはまんまるとした体系をした男の子。 髪の毛は短い金髪をしており、先ほどの少女と楽しくおしゃべりをしているようだった。 肩にはスイレンの時に話したとげでトゲデマルというポケモンが引っ付いており、まんまるとしたシルエットをしている。 彼らは同じようにこのお店に向かって歩いているようで、セレナの前を通り違う席に座っていった。 そして、その二人組を見た瞬間、どこかで聞いたことがあるような二人組だと思い、その答えはすぐに出てき始める。 
 ▼ 162 ノムッチ@デボンスコープ 19/08/21 01:46:26 ID:XejoPwsY [23/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ん〜! 美味しい! スイレンと食べたパフェに負けないぐらいおいしいなぁ」

「フィ〜!」

「ニンフィアも美味しい? 良かった!」

「あれ? …わぁ、凄い綺麗な子がいる…」

 セレナたちは時間が過ぎることを気にせず、マサラダに舌鼓を打ちながらニンフィアとお茶を楽しんでいると、セレナたちが通ってきた来た道から誰かがやってくるのが見えた。 真っ白なワンピースに汚れを知らない真っ白な靴。 同じような真っ白なつばの広い帽子 そこから見えるのはそんな白色にも負けない程にきめ細やかな白い肌。 帽子から流れる美しいという言葉が似あう髪の毛。 お嬢様という言葉が当てはまるような少女が歩いてくるの遠目からでも見えていた。 手の中には同じように綺麗な白色のポケモンを抱えている。 セレナが知らないポケモンのようで、名前がわからない。
 隣に歩いているのはまんまるとした体系をした男の子。 髪の毛は短い金髪をしており、先ほどの少女と楽しくおしゃべりをしているようだった。 肩にはスイレンの時に話したとげでトゲデマルというポケモンが引っ付いており、まんまるとしたシルエットをしている。 彼らは同じようにこのお店に向かって歩いているようで、セレナの前を通り違う席に座っていった。 そして、その二人組を見た瞬間、どこかで聞いたことがあるような二人組だと思い、その答えはすぐに出てき始める。 
 ▼ 163 ルシアン@ジガルデキューブ 19/08/21 01:46:49 ID:XejoPwsY [24/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(スイレンとマオが話していた、マーマネとリーリエ!?)」

 二人の特徴は余りにも一致していた。 スイレンが言っていたトゲデマルをパートナーにしていて、同じようなまんまるとした体形のマーマネ。 マオが話していた、肌も服装も透き通るぐらい白くて、綺麗な髪の毛をしてる女の子であるリーリエ。 あの二人のことであった。 マオの言っていた良いことというのは、セレナが出会ってみたいなと思っていた二人のことであったのだ。 だとしても、彼らが本当にあの二人なのかはわからない。 もしかしたら似ているだけで、全くの別人なのかもしれない。 正直ここまで特徴が一致していると、そんな心配はないと思うが、二人の席を背にしているセレナは、注意深く会話を聞くことにしてみた。

「ここが前に話していたマサラダがおいしい場所だよ! リーリエは何がいい?」

「そうですね、マーマネと同じものを頼みたいと思います。 マーマネが選ぶものは、全て美味しいものですから」

「(マーマネとリーリエだったー!!)」

 注意深く聞き終わる前に、彼らがマーマネとリーリエだということが本人の口から出てくるので、驚きの余り口をパクパクとコイキングのようにしてしまう。 マオがセレナにここへ来るように仕向けた時、確かにセレナは二人のことが気になっており、会ってみたいなと思っていた。 口には出していなかったが、表情で読み取られていたらしく、自信たっぷりの表情で時間を細かく指定して行くように仕向けたのはこのためだったのだ。 セレナはマオのことを表情がよく変わる子を思い、マオ自身もセレナのことを同じように思っていたが、会って間もないマオにここまで表情を読み取らていたとなると、少し恥ずかしくなり顔を赤くして手で覆ってしまう。
 ▼ 164 プラス@ライドギア 19/08/21 01:47:06 ID:XejoPwsY [25/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(なんだかミルフィを思い出しちゃった)」

 カロス地方でサトシとセレナの関係を知り、旅で出会うと何度もセレナをからかってくる少女がいたが、同じように手玉に取られていたのでその少女のことを思い出してしまう。 とにかく、マオはセレナに二人と出会ってほしいという思いでここに呼んだわけなのだから、その思いを無駄にはしたくはない。 セレナは立ち上がり、二人が座っている席に歩き始める。

「あの〜」

「はい?」

「マオやスイレンの友人の、マーマネさんとリーリエさんで間違いないですか?」

「へ?」

「そうですが…二人のことをご存じなのですか?」

「私はセレナ。 アローラ地方に旅行をしているんですが、途中で二人に出会ったんです!」
 ▼ 165 ッタ@ラティオスナイト 19/08/21 01:47:25 ID:XejoPwsY [26/49] NGネーム登録 NGID登録 報告






「そんなことがあったんですか」

「はい。 みんな、個々の土地に詳しくない私に色々話してくれたり、とても良くしてくれたの」

「一日目から偶然スイレンに出会ってから僕たちとねぇ」

 セレナはマーマネたちに自分がここへ旅行へ来たことや、海に潜って遊んでいた途中にスイレンに出会ったこと。 スイレンからマーマネやマオのことを聞き、マオの食堂へ行ったこと。 マオからリーリエのことを聞き、マーマネとリーリエが向かうであろうテラスに来たこと。 今までのことを軽く説明すると、やはり驚きを隠せないようでいた。

「そういえば、セレナは自己紹介してくれたけど僕たちはまだだったよね。 もう知っているかもしれないけど、僕の名前はマーマネ。 僕が抱えているのがトゲデマルって言うんだ。 旅行で他の地方からやってきたみたいだし、あんまり馴染みはないポケモンだと思うけど、ちょっとマイペースで動きたがりだから気をつけてね」
 ▼ 166 アームド@きんのおうかん 19/08/21 01:47:40 ID:XejoPwsY [27/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「マチュチュ?」

「私はりーリエと言います。 この子はロコンのシロンといい、白い色ですが色違いではありません。 リージョンフォームといい、アローラ地方では特定のポケモンがタイプや姿が変わることがあるんです。 ロコンのリージョンフォルムは炎タイプから氷タイプになり、体毛は白くなることがあるんです。

「コォン!」

「それじゃあ私も改めて自己紹介するね。 私の名前はセレナ! ホウエン地方から旅行をしに来たのだけど、育った場所はカロス地方なの。 私の隣にいるのはニンフィアで、大切なパートナーよ! よろしくね、マーマネ、リーリエ!」

「フィア!」

 お互いに自己紹介を済ませるセレナ達。 遠目から見えた見たこともないポケモンはロコンだと聞き、セレナは内心不思議そうにロコンを伺う。 思い出してみれば、セレナが海へ遊びに行っているときや、街中に出歩いているときなど、見覚えのある面影を持っているポケモンが数匹見えた気がした。 もしかしたら、それがリーリエの言っていたリージョンフォームというものなのだろう。
 ▼ 167 ェリンボ@メガブレス 19/08/21 01:47:55 ID:XejoPwsY [28/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナはカロス地方から来たってことは、もしかしてミアレシティにいるシトロンさんを知ってたりするの?」

「シトロン? ええ、もちろん知っているけど、どうかしたの?」

「良いなあ! 僕、シトロンさんと一度会ってみたいんだ! 同じ電気タイプを使っていて、あの年でジムリーダーとしても活躍! 色んな機械を作ることも得意で、僕も同じような趣味を持っているからぜひ話をしてみたいんだよね!」

「マーマネは思いついたものや便利だと思うものを自分の手で作り上げるんです。 所持しているポケモンたちは全て電気タイプを含んでいて、確かに近いものがありますね」

「あー、私もスイレンと話しているとき、マーマネとシトロンは似ているなーって思ったんだ」

 スイレンと話が盛り上がった時に、マーマネの話が出たが、言っていた通りシトロンと同じような趣味やタイプをしているなとは思ったけど、実際に会って話してみて、まさかこんなにも似ているとは思わなかった。 リーリエがそれほど言うのであれば、マーマネの作る発明は便利なものが多くあるのだろう。
 セレナがシトロンに抱くイメージは対照的で、作った発明は失敗に終わるイメージが強い。 実際に何度も爆発に巻き込まれたりしているので、そんなイメージをしてしまうのも仕方がない。 しかし、失敗の影には隠れているが、シトロンが作る発明というものは飛び抜けているものも多くある。 シトロンが普段から使っている、大きな岩を持ち上げるほどのアームが備わっているバッグや、ジムリーダーの代わりになっている高性能ロボットのシトロイド。 ミアレジムに備わっている警備システムやその機械類。 全てはシトロンの手で作り出されたもので、彼は旅の途中発明の失敗に頭をよく抱えているが、それを吹き飛ばすほどの大発明をいくつかしている。 彼はジムリーダーということもあり、メディアに露出する場面もあったろうが、そこで紹介される発明は成功したものばかりだろうし、失敗した話をしても成功例が余りにも強すぎて印象には残らないのだろう。
 ▼ 168 イタラン@しんかいのウロコ 19/08/21 01:48:14 ID:XejoPwsY [29/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「マーマネはシトロンが作った発明って、失敗したものがいっぱいあると思う?」

「え? そうだなあ…僕は失敗したものはいっぱいあるって思うよ。 僕もそうだけど、何かを作るときは一回で成功することってないんだよね。 何回も作り直して、試してみて、考えて、それで完成したりするんだ。」

「マーマネが作ったもので失敗している様子はあまり見たことはありませんが、やはり何度も作り直したりするのですね」

「まーねぇ。 人に見せたりするんだったら、なるべくちゃんと作ったものを見せたいかなって」

「ふふ、より良くしようとする姿勢は、マーマネの良いところだと思いますよ」

「ま、まーねぇ!」

 リーリエに褒められるマーマネは、照れるように頭を掻きながら笑っていた。 マーマネはシトロンと同じ趣味やタイプだが、マーマネは根っからの職人気質。 完璧を求めるような性格をしているみたいのようで、失敗を見せるような事はしないみたいだ。 逆に、シトロンは失敗などにもへこたれず、人前で失敗しようとも何度も挑戦しては新しいものを作る性格をしている。 しかし、思い返してみれば、失敗するにしても作る時間が短すぎたり、機材環境にだって左右されるとは思う。 シトロンが爆発させずに作り出したもの。 例えば、シトロイドがジムリーダーの代わりとして機能し始めたときは、旅の途中で完成させたのではなくミアレジムの機材が整っている部屋で作られたものだった。 二人は似ているが、発明を作る考え方は違うのかもしれない。
 ▼ 169 ジアイス@ねらいのまと 19/08/21 01:48:43 ID:XejoPwsY [30/49] NGネーム登録 NGID登録 報告

「シトロンの作る発明って凄いものが多いけど、私は失敗してるイメージが付いちゃってるの」

「え、どういう事? シトロンさんがメディアに出している発明はもちろん完成されたものが多いけど、かロス地方では実際に作っているところを見れたりするの?」

「そうじゃないの。 シトロンとは私がカロス地方で旅をしている時に一緒に旅をしていた仲間の一人なの」

「え、ええええ!? なになにどういう事!?」

「セレナさんはカロス地方で旅をしていたのですか?」

「うん。 旅の仲間は4人いて、その一人がシトロンだったんだ」

 シトロンはセレナと一緒に旅をしていた一人であり、親友と言っても過言ではないだろう。 マーマネにとってはシトロンは憧れの人かもしれないが、セレナは正直身近に長く居た人なので、あまりそういうイメージは無かった。 そのため、あまり何も思わず知り合いだというと、マーマネにとってはそれが衝撃的なことらしく、驚きの声を上げる。
 ▼ 170 パー@けいけんポン 19/08/21 01:49:04 ID:XejoPwsY [31/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「その話、詳しく聞きたい!」

「私も、旅で培った経験や、お話などを聞かせてもらいたいです」

「うん、もちろんいいわよ」

 スイレンとマオに話したように、マーマネとリーリエに今までの旅のことを話していった。 自分が体験したことを説明したり伝えたりすることは、スイレンたちと話した時に難しいと思ったが、何度も話しているうちに慣れてきたのか、今までよりスムーズに話せたような気がする。 それにより、あまり時間をかけずに説明ができただろう。
 今回は、マーマネが気になっていたシトロンのことについて聞かれたことを話していった。 旅の途中何を話していたか、バトルはどのようにしていたか。 色々聞かれたが、やはり一番気になっていたのは何を作っていたかだろう。 シトロンの発明した話をしていると、マーマネは瞳を輝かせながら耳を傾けていた。 一番驚いていたのは、発明したものというよりもその行動力らしい。 考えた事を即座に発明品に取り込むことや、その機材環境で完成に至るまでにかかる時間が恐ろしく短いこと。 例え失敗しても、それは凄いことだとマーマネは言っていた。 

 リーリエが特に興味深く聞いていたのは、ジガルデのことだろうか。 セレナたちがこの事件に深く関わっていたことは話してはいないが、カロス地方全体を巻き込んだフレア団事件は、世界に大きく発信されており、そのときジガルデの姿は確認されていて、そのポケモンが引き起こしたものだと言うのは誰もが知っていた。 そのポケモンが悪いわけではないのだが、伝説のポケモンというものはそれだけの力を有する存在であることが分かる事件だろう。
 アローラ地方にも、とちがみポケモンと言われ、島の守り神として讃えられているカプ・コケコというポケモンが存在しているらしい。 カプと名のつくポケモンはカプ・コケコを含め四匹いるようで、それぞれの島を守っていると言われる。 リーリエたちは、カプ・コケコの姿を何回か見たことがあるようで、その力は想像以上のもの。 もし、カプたちと人間の関係が何かしら間違えていれば、ジガルデのように、島全体を巻き込んでしまう災害が発生したのだろうかと話していた。
 ▼ 171 カマル@コオリZ 19/08/21 01:49:29 ID:XejoPwsY [32/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ジガルデの時は大変だったけど、みんなで力を合わせて街を復興していったの。 例えアローラ地方で何かが起きても、同じように協力をし合えば大丈夫だと思うから!」

「そうですね…そもそも、伝説と言われるポケモンが、人間に対して悪意を抱いていたなら、そのことに関する記述が本などに書かれていてもおかしくありません。」

「ただ、ウルトラビーストみたいな例外があるからなあ」

「ウルトラビースト?」

「あ」

「マ、マーマネ、こういう事はあまり言わないほうが…」

 マーマネから口から飛び出してきたウルトラビーストという単語には聞き覚えがなかった。 この島に来ていくつも聞き覚えのない単語を聴いたり見たりはしてきたが、この話の流れで出てきた聞き覚えのない単語。 ウルトラビーストというものは、アローラ地方にいる人間に攻撃的なポケモンなのだろうか。 
 セレナがウルトラビーストに触れた瞬間、二人は少し慌てた表情になる。 マーマネは思わず口を手で塞ぐようにして、リーリエはマーマネを慌てながら注意する。 このことについてはあまり深く聞かないほうが良さそうかも知れない。
 ▼ 172 ンギラス@まんまるいし 19/08/21 01:49:49 ID:XejoPwsY [33/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「大丈夫よ、聞かなかったことにするから」

「すみません…私たちも、この件についてはあまり口外しないようにしたほうが良いものですから」

「ご、ごめんね二人共」

「いいからいいから。 それよりも、二人のことが聞きたいな」

 二人とは言うが、セレナはリーリエのことが特に気になっていた。 マーマネはスイレンやマオに話してもらったり、実際にこうして会ってみてどんな性格や人柄なのかがある程度わかったのだけど、リーリエについては全くと言っていいほど知らなかった。 
 テラスからリーリエを遠目から見たときは、マオの言うとおり真っ白に輝いていて、その整った顔つきは、トライポカロンにシロンと共に出場すればファンクラブなどが出来てもおかしくはない。 物腰、喋り方も落ち着いており、リーリエがお嬢様じゃなければ納得がいかないほどにその立ち姿は完成されていた。
 ▼ 173 ードラ@たんちき 19/08/21 01:50:33 ID:XejoPwsY [34/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「リーリエってお嬢様なの?」

「え? わ、私ですか? そうですね、いわゆるお嬢様ということであっていると思います」

「まあ、エーテル財団の代表の子供だからそうじゃないと逆におかしいんじゃないかな」

「そうでしょうか? あまり意識したことはありませんが…」

「(エーテル財団…?)」

 気になって聞いてみると、どうやらお嬢様の類で合っているようだが、またまた聞きなれない単語が出てくる。 財団と言うのだからある程度の大きさを持った組織なのだろうか。 ここに住んでいるマーマネが当たり前のように言っているので、想像したとおりなのだろう。
 しかし、そんなお嬢様はなぜマーマネとここへやってきたのだろうか。 マオはマーマネたちがここへ来る時間を詳しく当てていた。 そして、その時間に現れた完璧主義なマーマネ。 考え出される答えは…。
 ▼ 174 ンテール@ちからのハチマキ 19/08/21 01:50:59 ID:XejoPwsY [35/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「二人はもしかしてデートをしてたの?」

「え!?」

「デートですか?」

 驚いているマーマネと対照的に、リーリエは落ち着いてセレナの質問を聞いていた。 慌ていていて何も答えられていたいマーマネをよそに、リーリエはセレナに答えていく。

「そうですね、前々からマーマネとここへ来る約束などはしていたので、デートと言えるのではないでしょうか」

「!?」

「あー…なるほど。 そうだ、どこに行っていたのかとか聞いてもいい?」

 マーマネはリーリエの答えに不意をつかれたのか先程以上に何も答えれてはいなかった。 リーリエはデートで合っていると言うが、どうやらセレナが思っていたような意味を含んだデートではなさそうだ。 様子からするに、辞書に書いてあるようなデートという意味で受け取っているようで、ただ、指定された時間に男女が出会う。 それ以上もそれ以下も含んではいないらしい。 ただ、それはマーマネが嫌いだとか好きだとかのことではなく、そういう恋愛事情などについてはあまり詳しくないだけなのかもしれない。 
 お嬢様というものはなにか飛び抜けて変な人が多いイメージを持つセレナ。 実際に出会ったお嬢様の中には、自分と恋仲にしようと無理矢理捕まえてくる人がいたので、それとは逆にこれほど鈍感だと拍子抜けをしてしまう。取り敢えず、このままではマーマネが困って話に参加ができなさそうなので、何処に行ったか話を変えることにする。
 ▼ 175 ガハッサム@いんせき 19/08/21 01:51:20 ID:XejoPwsY [36/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私は服を見るのが好きなので、ショッピングに行きました。 後で映画を見る予定ですよね、マーマネ?」

「え、あ、ああ、うん! そうだよ! 最近出た映画なんだけど、あのゾロアが出演するんだ」

 話が変わって落ち着きを取り戻すマーマネが言うには、ここへ来たのは映画を見る前のお昼ご飯を食べに来たらしく、以前マーマネが食べ歩きをしていた時に、ここで食べたマサラダが絶品で、是非リーリエに紹介しようとということらしい。 確かに、実際にここのマサラダをセレナは食べていたが非常に美味しかった。二人と話をしている途中、マーマネとリーリエが頼んでいたマサラダが運ばれてきて、それぞれ食べていたがリーリエも美味しいと絶賛していた。 リーリエが普段食べているものは全て厳選された素材を調理したもので、高級レストランで出されるような値段が付くものを食べている。 普段からそういったものを食べていれば、舌は肥えているだろうし、そんなリーリエが言うのだから、やはりここのマサラダはそれだけ完成度が高いのだろう。
 後で映画を見ると言うことはまだまだ出かけている途中のようで、セレナはそんな二人が出かけている途中に割り込んできたお邪魔虫なのかもしれない。 とはいってもここにまさかマーマネたちが現れるなんて思いもよらなかったし、まさかデート? の途中ということも知らなかった。 二人についていくのはもちろん論外だとして、あまり長居してしまうのも失礼かもしれない。 
 ▼ 176 ンダー@ラグラージナイト 19/08/21 01:51:39 ID:XejoPwsY [37/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そっか、まだまだ二人は出かけてた途中だったんだね」

「そうですが、先ほど歩き回っていたので休憩もかねてここにきています。 まだまだ時間はありますので、もしよかったらそれまでお話をしませんか?」

「僕もそれが良いと思う。 セレナがカロス地方で何をしてたかまだまだ聞きたいし、セレナが聞きたいことがあったら僕たちも色々話すよ」

「ありがとう二人とも。 それじゃあね普段は二人共は何をしてたりする?」

 正直漠然としすぎて答えにくい質問をしたかもしれないが、具体的に聞くのもなんだか失礼なような気がして、二人にとってはこちらのほうが答えやすいだろう。

「普段かぁ…僕はやっぱり機械いじりかなぁ。 役に立ちそうな情報、今話題になっていることとかを調べたりしてるよ。 外に出ることはあんまりなくて、あるとしてもお店を探したりすることぐらいかなあ」

「そうでしょうか? マーマネは様々なことに手を付けているようなイメージもありますが…例えば、この前、ポ二島でむしのいしを取りに一人で洞窟に入っていったと聞いたり、クワガノンレースに出場したりとか」

「そ、そうかなぁ? だけど、スクールのみんなが助けてくれるからだよ」

「ほかの方がいつも外で出歩いていたりしますから、そう思ってしまうのもあるのかもしれません」

 セレナの思惑通りなのか、新しい単語や面白そうな話などが自然と二人の口からぽろぽろとこぼれてくる。 ポニ島やむしのいしの話。 クワガノンというポケモンを使ったクワガノンレース。 マーマネは自分のことをインドア派とは言っているが、思ったよりも幅広く手を伸ばしているらしい。 趣味も見た目も確かに外に出るタイプではないだろうが、セレナがカロス地方で出会ったティエルノという少年は、その体格からは想像できないような軽いフットワークを見せていた。 しかし、自分で言ってなんだが、ティエルノはあまりにも特殊で例外といえる人物なので、あまり例として出すのはよくないかもしれない。 
 久しぶりにティエルノのことを思い出し、踊っている姿を思い出すが、今は二人の話に集中しようと切り替える。 マーマネからはポニ島のことやクワガノンレースのことを掘り下げていくのが喋りやすいかもしれない。 リーリエもポニ島に行っていたのなら、それについて同じように聞くのもいいだろう。
 ▼ 177 ジギガス@ヤドランナイト 19/08/21 01:51:58 ID:XejoPwsY [38/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もし良かったらポニ島の話やクワガノンレースの話を聞かせてもらってもいいかしら?」

「もちろん良いよ! ポニ島のことはリーリエのほうが良いんじゃないかな? あの時は本当に色々あったから」

「わかりました。 私がポニ島で体験したことをお話しいたしますね」

「あれは、私とお兄様が、お父様を探すべくポニ島の守り神といわれるカプ・レヒレに出会おうとしたことが始まりでした」

「お父さん?」

「はい。 私のお父様は、小さいころから行方不明になっていました。 もう、この世には存在しないとまで言われて、それでもお母様はお父様の捜索を続けていましたが、見つけることは叶わず…」

「そうなの…それで、カプ・レヒレにはなんで?」

「はい、カプ・レヒレにはこの世には存在しない者と会うことができる不思議な力が存在するんです」

 この世には存在しないもの。 この世とあの世を繋ぎ、その人が想う人を一時的に会わせることができるらしい。 軽く言っているが、死者を条件があるとはいえ蘇らせることが出来るのは、伝説と言われるポケモンの力なのだろう。 そして、リーリエはその力を利用して、自分たちの父親に会おうとしていたらしい。
 ▼ 178 ッフロン@するどいツメ 19/08/21 01:52:23 ID:XejoPwsY [39/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「しかし、いくらお父様を呼んでも一向に姿は現れませんでした。 そして、とある仮説が生まれたんです。 お父様は生きているのでは、と」

「お父様は、この世界とはまた違う世界を繋いでしまう自然現象により行方不明になりました。 お父様は、まだその先で生きている可能性があるということです。 それ以来、私たちはお父様の捜索に力を入れているんです」

「そんなことが…」

 この世界とはまた別の世界を繋ぐ自然現象。 死者を一時的に蘇らせる守り神。 エーテル財団。 彼女たちは一体どんな世界に足を踏み入れてしまっているのだろうか。 そして、それはまだ始まりにすぎず、これから先、セレナには想像もつかないようなことが多々あるだろう。 
 ポニ島の話を聞きたいと言ったのはセレナではあったが、正直聞いても良かった話なのだろうか。 リーリエとはまだ出会ったばかりで、この話はデリケートな部分に深く入っている気がしてならない。 しかし、無理矢理話させているのではなく、リーリエ自身の気持ちで話しているのだから、セレナは何も言わず聞いていることがリーリエにとって一番良いことなのかもしれないと、勝手ながらに納得する。

「お父さん、見つかるといいね」

「はい! お父様が使用していた秘密のお部屋からは見たこともない資料がたくさんありました。 まだまだ調べれることはあります。 お父様が使っていたといわれるこのZリングと共に、これからもお兄様たちと全力で捜索を続けます」

「Zリング? って、その腕につけているアクセサリーのこと?」

「あ、そうですね、セレナはZリングについては詳しく知っていますか?」

「今日初めて聞いたかな」

「ZリングはZワザという、トレーナーが一度のバトルに一度だけ使える全力の必殺技です。 ポケモンが覚えられる技は4つまでと言われますが、このZワザはそれには含まれず、そのタイプのZクリスタルを持っていればZワザが使えます。 例えば、私であれば氷のZクリスタルを持っています。 シロンは氷タイプの粉雪を持っており、同じ氷なので氷のZワザが使用できます」

「僕のクワガノンは虫ワザを持っていて、僕も虫Zを持ってるから、虫のZワザが打てるよ」

 トレーナーとの息を合わせなければ放つことのできないZワザ。 まるでメガシンカのように、ポケモンとトレーナーの絆を試されるものなのだろう。 今までは倒せなかった状況に、その強力なzワザが使えるのなら、今までの環境はZワザが使えるかどうかでがらりと変わってしまう。 サトシならどうするのだろうか。 バトルが大好きな少年の顔を思い出しながら、Zワザにどう対応するのかを想像する。 
 ▼ 179 ルット@あおいビードロ 19/08/21 01:52:48 ID:XejoPwsY [40/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アローラ地方には不思議な技があるんだね」

「カロス地方には、確かメガシンカというものがありましたよね?」

「メガシンカを知っているの?」

「以前、私たちはカントー地方に修学旅行の一環で、ポケモンジムという場所に体験させていただきました。 その際、ジムリーダーはメガシンカを使っていたので一応はこの目で見たことがあります」

「Zワザも強力だけど、進化を更に超える進化ってのも強力だったよね」

 カロス地方ではメガシンカを使用するトレーナーが複数人存在するが、メガシンカに使用するメガストーンにも限りがあるため何か特別な理由があるトレーナーや、選ばれたトレーナー。 ある程度実力のあるトレーナーでしかそのメガシンカを扱うことはできない。 それは、カロス地方で開催された実力者のポケモントレーナーが多く集まるカロスリーグで証明されている。 準決勝に残った四人のトレーナーは、一人の例外を除いて全てメガシンカを使用するトレーナーだった。 
 メガシンカは、今までカロス地方にいるトレーナーしか扱っていなかったが、最近ではホウエン地方でもメガシンカを扱うトレーナーが増え始めている。 特に、ホウエン地方の鋼タイプスペシャリストであり、チャンピオンという栄光をその手に掴んでいるツワブキ・ダイゴは、その筆頭だろう。 
 最近まで身近に見ていたメガシンカというものが、他の地方でも普及し始めているというのを聞くと、なんだか感慨深い。 アローラ地方でもメガシンカを扱うものは存在するだろう。 旅行が終わり、ホウエン地方へ旅を続けたら、セレナが見たこともないポケモンがメガシンカしている姿を見ることもあるだろう。 しかし、ゲッコウガだけは、ゲッコウガというポケモンだけは、サトシにしかその進化を使うことはできない。 サトシとゲッコウガが使うメガシンカは、メガストーンも無しに二人のキズナのみで進化するものなのだから。 
 ▼ 180 ェリム@ふたのカセキ 19/08/21 01:53:12 ID:XejoPwsY [41/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そういえば、ZクリスタルやZリングってどんな風に手に入れるの?」

「ZリングやZクリスタルは、島巡りというアローラ地方に伝わる風習を基づいて行われる、様々な試練を突破したトレーナーが得られるものです。 私たちは正式に島巡りをして入手したわけではありませんが、島巡りの長である島キング…ジムリーダーと思っていてくれたらわかりやすいかもしれません。 その島キングに認めてもらい、一時的にこのZリングとZクリスタルの使用を許可していただいています」

「僕も同じような感じだよ。 この前Zリングとクリスタルを持ち始めたばかりで、Zワザを使ったことないんだよね」

「Zワザは何度も鍛錬を積んで、初めて使いこなせるものです。 私もZワザを初めて使用したときは失敗に終わりました」

「そうなんだ。 やっぱり何事も初めては上手くいかないね」

 自分の周りにいる人たちのことや、自分の過去のトライポカロンを思い出す。 最初は失敗ばかりで、中々上手くいかなくて、何度も練習の日々を重ねていたことがある。 それは今でもそうで、コンテストとトライポカロンの違いに慣れなかったり、トライポカロンで決勝まで行けたからと言って、今でも練習を怠ったりはしていない。 最近は練習を詰め込みすぎたのか、ポケモンたちに心配をかけたり、余裕がない姿を見せて構ってあげることができなかったり、カロス地方の旅が終わった後でも様々な失敗談がある。 

 カロス地方の旅を引っ張ってくれていたサトシも、最初のジム戦は躓いて、何度も特訓を繰り返してようやく突破を果たした。 それ以外にも、ゲッコウガとのメガシンカは非常に強力だったが、自分とゲッコウガの波長が合ってなければ、中途半端にメガシンカをしてしまいバトルの最中に気絶をしてしまうなどと、大きい欠点を抱えていて、解決に至るまで様々な紆余曲折があった。 その時のサトシはいつも以上に頭を悩ませていて、珍しく他の人に迷惑をかけてしまう行動を取ってしまったりと、普段の大人びた行動力やリーダーシップとは離れた一面を見せた時もあった。

 最初は失敗は多くある。 多く経験を積んでいる人でも、失敗はそれだけ経験しているし、これからも失敗を繰り返さないように鍛錬を積み重ねていくだろう。 セレナもリーリエもマーマネも、その途中に過ぎないのだ。
 ▼ 181 ガバクーダ@でんきだま 19/08/21 01:53:38 ID:XejoPwsY [42/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「みんな失敗ばっかりだよ。 最初に上手く行く人なんて滅多にいない。 だけど、失敗しても、ポケモンたちが、仲間が、色んな人たちが助けてくれる。 背中を押してくれたり引っ張ってくれる。 だから私たちは何度でも頑張れる。 旅をしているときそんな大切なことを、色んな人から教えてもらった。 だから、リーリエもマーマネも、スイレンやマオも、優しい友達やポケモンたちがいるんだから。 だから、大丈夫だよ」

 セレナの言葉には目には見えない重さを感じる。 それは、セレナが旅をしてきて多くの人に出会って、体験して、長い時間の中で培ってきたものだから。 

「セレナ…うん、そうだね。 僕たちはいつも助け合って頑張ってきたんだ。 いつも通りに頑張るだけだね」

「ふふ、そうですね。 私たちには、ポケモンたちもついているのですから」

「やっぱり、ポケモンを触れずにいたリーリエが言う言葉は違うなぁ」

「な、ち、違います! 論理的結論として私がその気になりさえすれば…って、もう私は触れますよ!」

「え、なになにリーリエってポケモンを触れなかったの?」

 紅茶を片手に話が盛り上がる三人は、お茶会がお開きになるまで静かなテラスで会話を楽しんでいた。 言葉を重ねていくごとに刻々と時間が進んでいく。 だからと言って、せわしなく喋ることもない。 気の向くままに、気になる話をしながら続けていた。 
 時が経ち、マーマネとリーリエが映画を見に行く時間になってしまう。 セレナも街までは同じ方向に歩くので、ついでに帰ろうと思いマーマネたちと定員にお金を払い、街までの行動を共にする。 別れるまで時間をいっぱいに使い二人と話し込んでいたが、テラスから街までの距離は近く、あっという間に別れなければいけない道に着いてしまう。
 ▼ 182 イプ:ヌル@きんのいれば 19/08/21 01:54:00 ID:XejoPwsY [43/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ここでお別れだね」

「セレナはまだアローラ地方に滞在するようなので、機会があれば会えるかもしれません。 もしよろしければ、その時またお話しできたらうれしいです」

「僕も! あと、カキに会ったらよろしくね! 僕の昔からの友達で、同じポケモンスクールに通ってる男の子なんだ! 普段は家の手伝いとか配達とかであんまり会えないけど…リザードンの背に乗ってる炎タイプのポケモンが好きな熱い友達だから、すぐわかると思うよ!」

「そうですね。 私たちのことをすぐに分かったセレナさんなら、カキのことも分かると思います」

「うん、わかったわ! もし会ったら二人のこと話しておくね」

「それじゃあ、またねセレナ!」

「また会いましょう!」

「またねマーマネ! リーリエ!」

 大きく手を振りながら、セレナがホテルへの道から違う道を二人は歩いていく。 セレナは二人の背中がある程度小さくなるまでその姿を見守っていた。 短い時間だったにもかかわらず、なんだかずいぶんと話し込んだような気がする。 時計を確認しても、二時間しか経っていないことに気づく。 日はまだ天に昇っており、街中は活気あふれている。 しかし、セレナが考えていた今日の予定はこれで終了してしまった。 これから何をしようか考えていると、隣にいるニンフィアがセレナの手を引っ張る。
 ▼ 183 ツドン@やわらかいすな 19/08/21 01:54:17 ID:XejoPwsY [44/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「フィア!」

「どうしたのニンフィア。 行きたいところがあるの?」

「フィ〜!」

 どうやら街の中を軽く探索したいのか、街の中を見ている。 セレナもまだまだメレメレ島を見終わっていないので、ニンフィアとともに見て回るのもいいかもしれない。

「そうね、行きましょう!」

「フィア!」

 街中に目を向ければ多くのお店は並んでいるし、ニンフィアが好きそうな可愛い衣装もいっぱい置いてある。 ニンフィアも新しい場所を自分の目で見たり歩いたりするのが新鮮なのか、いつもよりも明るいような気がするが、それは他でもないセレナが傍にいるからだろう。 大切な人が傍にいるから。 ポケモンも人間も、それは嬉しいことだろうし、実際にニンフィアはそう思っている。 ニンフィアはセレナの手を離さず、街中を歩き続けた。
 ▼ 184 ルキー@がんせきおこう 19/08/21 01:54:40 ID:XejoPwsY [45/49] NGネーム登録 NGID登録 報告










 街中をゆったりと歩き続けていると、いつの間にか周りは夕焼けで赤く染まり、暗くなる前にホテルに戻ったセレナたち。 お風呂に入り終わり、一日の汗を流した後ふと窓側を見てみると、まだ夕焼けは沈み切っておらず、水平線には太陽の頭が出ている。 外に出てみると、肌に心地よい風が撫でるように吹いている。 テールナーが使っていた長椅子に、同じように体を預けて寝転ぶと、体の疲れが一気に襲い掛かったような感覚が巡り、瞼を上げるのが億劫に感じてしまう。 さざ波の音が聞こえる。 テールナーは朝ご飯を食べた後、ここで仮眠をとっていたが、確かにこれは寝てしまいそうだった。 ただ、寝そうではあったが何かが足りないような気がする。手持ち無沙汰に感じてしまい、腕の中がぽっかりと空いているような。
 ▼ 185 ルネロス@こおりのいし 19/08/21 01:54:57 ID:XejoPwsY [46/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そういえば、ニンフィアを抱いて寝てたなぁ…」

 朝のことを思い出す。 あの時、ニンフィアを抱きながら寝ていたのでその名残が残っているのだろうか。 ポケモンと寝ることは何度かあったが、腕の中に抱きしめながら寝ることは殆どなかったような気がする。 あの時は思いのほかよく寝ていたし、ニンフィアの整えられた毛並みが気持ちよくて、なんだか良い匂いがして、自然と眠りに落ちて行った。 それがあったから、なんだか違和感があるのだろう。

「ニンフィア、ちょっとこっちに来てもらっていい?」

「フィ?」

 セレナは窓を少し開けて、部屋の中にいるニンフィアを長椅子の近くに呼び寄せる。 首をかしげて不思議そうにセレナを見ているが、セレナは眠たくて集中力が途切れているのかそれに気づいておらず、流れるように長椅子に寝ころび始める。 ニンフィアを招き入れるようにセレナは長椅子に空間を作り、言われるがままにニンフィアは長椅子の上に飛び乗ると、セレナは何も言わずニンフィアを抱きしめ始める。
 ▼ 186 ガラグラージ@サファリボール 19/08/21 01:55:22 ID:XejoPwsY [47/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィア…」

「フィ…フィア」

 セレナはニンフィアのお腹に鼻を擦り付けるように顔を埋める。 ニンフィアの滑らかな体毛や、柔らかい体質がより眠気を誘い始める。 腕の中にすっぽりと納まり、ニンフィアはセレナにされるがままだが、決して嫌な表情はせず、セレナに身を預けている。 風が二人を撫でる。 体温が心地よく、いつの間にかセレナは眠りについている。 それでもニンフィアは何も言わず、ただセレナとともに長椅子の上で寝ているのであった。
 ▼ 187 タチ@ハートのウロコ 19/08/21 01:55:47 ID:XejoPwsY [48/49] NGネーム登録 NGID登録 報告

 








「テナテナ」

「チャム」

「あはは、ありがとうテールナー、ヤンチャム」

 しばらくした後、セレナはテールナーたちに起こされ夜ご飯を食べに行く。 眠たそうにしていたが、ご飯を食べずに夜を明けるのも中々辛いものがあるので、テールナーに腕を引っ張られながらも大広間についていった。 余程気持ちよく寝ていたのかぼーっとしていたようで、寝ぐせなどをテールナーとヤンチャムが直してくれたので、だらしない恰好のまま人前に出ないようにしてくれたので、お礼を二人に言っていていた。

 夜ご飯は豪華なものが多く朝とはまた違う雰囲気が感じられ、お酒を飲む大人の人たちも数多く見える。 お酒に慣れていない子供が来ると場酔いをしてしまいそうな、そんな雰囲気ではあるが、お酒を出しているバーはいつも座っている窓側にはないので、いつものように窓側に座り静かにしながらご飯を食べていれば問題はないだろう。 窓側から見える海や、ぽつぽつと街灯に、月明かりに照らされている道や建物を眺めながらポケモンたちと食事を楽しんでいた。 広間にいる大人たちはスーツ姿や私服姿問わず、笑いながらワインやカクテルなどのお酒を片手に話している。 いつかあの中に自分も混ざることがあるのだろうかと思いながら、何事もなく夜ご飯を食べ終えたセレナたちは、食べた後すぐに動かないように胃が落ち着いてから部屋に戻る。 お腹がいっぱいになったので、気分が落ち着いたのか先ほどの眠気がセレナに襲ってくる。 思い返してみると、長椅子であのまま寝ていたら風邪を引きかけなかったので、夜ご飯前に寝てしまって良かったなと思う。
 ▼ 188 ンカラス@シルクのスカーフ 19/08/21 01:56:02 ID:XejoPwsY [49/49] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ…やっぱりベッドは気持ちいなあ」

 お風呂も入っていたので今日中にやることは無くなりベッドの中に入り込む。 長椅子で風を感じながら昼寝をするのも心地よかったが、やはり、柔らかいベッドの中で寝るのが気持ちがい
い。 旅をすれば野宿を何度も経験することだが、寝袋をしていても地面の硬さはどうしても感じてしまう。 旅をして世界を回る人は少なくないので、それだけ寝袋の需要は増えていき、改良を重ねてはいるそうだが、どうしても完全には消せないものだった。 朝の陽ざしを感じながら目を覚めるのは中々気分の良いものではあるが、寝方や場所を間違えてしまうと体を痛めてしまうこともある。 それに、歩き回って汗をかいた体を清潔にしようとお湯や水で体を拭うが、シャワーで全身を細かく洗い流したいのが本心だった。 だからこそ、宿泊施設でのベッドの気持ちよさは、当たり前に使っている人ほどよりも良く感じてしまうのだろうし、眠気もいつも以上に強く襲ってくるのだろう。

「テーナ」

「フィ〜」

「チャム」

「ふふ、お休みみんな…」

 セレナがベッドの中に入り、ベッドの柔らかさを感じていると、テールナーが電気を消して、ニンフィアたちもベッドの中に潜り込んでくる。 先ほどまでベッドの中はセレナの体温だけで温まっていたが、ポケモンたちの体温がベッドを通して感じてくる。 自分以外の大切なポケモンたちと寝るのはとても心地よく、ベッドやシャワーのような無機質な心地よさとは、また違った心地よさが感じられた。 先ほどの眠気はより強くなっていき。 セレナはあっという間に夢の中へと入りこむのであった。
 ▼ 189 ガカイロス@クリティカット 19/08/26 20:28:17 ID:BmfcX/sA [1/19] NGネーム登録 NGID登録 報告










「さ、準備運動を始めてから動きましょう! いーち! にーい!」

「テーナ! テーナ!」

「チャムチャム」

「フィーア!」

 セレナたちは早朝に起き始め、運動着に着替えた後ホテルの近くにある砂浜に立っていた。 アローラ地方に旅行をして、初めの三日間は休日に使っていたが、ポケモンたちと体を休ませたり、コンテストなどい向けての新しい刺激や発見の旅行といっても、実際に体を動かす練習や研究は適度にこなしておかなければ、本番の時に体が追いつかなくなってしまう。 それはポケモンたちもそうで、ゆっくり休んでショッピングや美味しいご飯を食べているときも楽しそうにしていたが、コンテストに向けて準備運動をしている姿は、遊んでいた時とはまた別のやる気に満ち溢れていた。 
 ▼ 190 ガハガネール@ニビあられ 19/08/26 20:28:51 ID:BmfcX/sA [2/19] NGネーム登録 NGID登録 報告

「準備運動が終わったら、まずは走り込みよ! 砂浜は足を取られて走りにくいから頑張っていきましょう!」

「テナ!」

「チャム!」

「フィア!」

 準備運動を済ませてあらかじめ体をほぐし終わったセレナたちは、体力トレーニングに砂浜の上でを走り込む。 硬い地面よりも踏み込みが甘くなり足を取られてしまうが、短時間で体を追い込むには良いだろう。 

「はぁ…はぁ…結構足にくるなあ」

 思ったとおりなのか、いつも以上に息が早めに上がり始める。 足が思うように動かず、まるで重りをつけているような感覚がする。 しかし、海から吹く風や、見慣れない景色は、見るだけでも楽しいと感じ、キツイとは思うものの足を動かしてくれる。
 後ろを振り返りテールナーたちを見てみるが、まだまだ走れそうだった。 人間とポケモンは体力の多さは全く違うのはわかるが、それでも足を取られてしまう砂浜を走り続けるのは辛いだろう。 とはいえ、体を追い込まなければ得られるものも少ない。 ただ、今回のトレーニングの目的は体力作りもあるが、技の練度を上げたり、コンテストでのスムーズな指示を出すことなので、極限に追い込むのは後のトレーニングに響いてしまうだろう。 では、なぜここまで走り込むかというと。
 ▼ 191 ニラン@コインケース 19/08/26 20:29:21 ID:BmfcX/sA [3/19] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ふ〜…はぁ…みんな、ここなら迷惑はかけないと思うから、ここで技の練習をしましょう」

「テナ…テナ…」

「ヤッチャム!」

「フィー…フィー…」

 技を出す特訓は思いのほか音が出てしまう。 技によっては強い光や超音波などの、周りの人に迷惑をかけてしまうため、人が集まるホテルの周りや街の近くで練習をするのは控えたほうがいいだろう。 ホテルの近くにバトルフィールドなどは用意されてはいるが、早朝から使用すれば騒音の元になってしまう。 自分の身勝手な行動で周りの人に迷惑をかけるのは極力避けておきたい。
 セレナたちは練習に入る前に、先程走った疲れをある程度抑えるように、徐々に走る速さを弱めながら深呼吸をし始める。 いきなり止まって休むのは体に負担をかけ、体調を崩してしまっては本末転倒だ。 アローラ地方の空気は美味しいので、深呼吸するたびに爽やかな空気が肺に満たされていく。 これなら、いつも以上に動けるような気がした。

「それじゃあ、一度全ての技を出してから練習に入るわ! テールナーはかえんほうしゃから! ヤンチャムはストーンエッジ! ニンフィアようせいのかぜ!」
 ▼ 192 ョロモ@ちからのハチマキ 19/08/26 20:29:51 ID:BmfcX/sA [4/19] NGネーム登録 NGID登録 報告

「それじゃあ、一度全ての技を出してから練習に入るわ! テールナーはかえんほうしゃから! ヤンチャムはストーンエッジ! ニンフィアようせいのかぜ!」

「テナー!」

「ヤン…チャ!」

「フィア!」

「(これって…うん、間違いない)」

 セレナの指示の元それぞれは技を出していく。 技を出し始めただけなのかもしれないが、ホウエン地方で見たときよりも、技の威力やキレが増している気がする。 いや、確かに増している。 セレナはテールナーたちの技を幾度となく見てきた。 そんなセレナだからこそ分かる。 テールナーたちのコンディションは最高に良い状態だと。 それは、アローラ地方で旅行をしたからかもしれないし、セレナと共に一緒にいる時間を作ったからかもしれないし、新しく見る景色に刺激を受けたかもしれないし、セレナが思っていること以外に何かがポケモン達に感じるものがあったのだろうが、とにかく、今のポケモンたちは非常に良い状態であることは変わりはない。
 ▼ 193 モネギ@ウルトラボール 19/08/26 20:30:13 ID:BmfcX/sA [5/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(後は私が指示をするだけ…私のパートナーたちが良くても、私の指示がダメなら力を引き出しきれない)」

「すぅ…はぁ…」

「(だけど、これはまだ練習。 肩の力を抜いて、ゆっくり深呼吸して、落ち着いて指示を出せば大丈夫。 私は、アローラ地方の人たちを見てきて、それを学んだから。 ポケモン達と一緒になって頑張れば…)」

「テナ!」

「チャム!」

「フィア!」

 一通り技を出し終わったテールナーたちがセレナを見つめている。 まるで、大丈夫だと言わんばかりの自信に満ち溢れていた表情は、自然とセレナに力をつけていく。 セレナは、心も体も落ち着かせ、ポケモン達を見つめ返し、その表情は、ポケモンたちと同じように自信に満ち溢れていた。
 ▼ 194 ーバー@バシャーモナイト 19/08/26 20:30:33 ID:BmfcX/sA [6/19] NGネーム登録 NGID登録 報告

「行くわよみんな!」

 セレナはポケモンたちから離れた場所で指示を促す。 何度も何度も、自分が今思い描いている演技を試していく。 テールナーたちはセレナを信じ、それに従い行動していく。 ホテルから数キロ離れた場所では、音や光や風など様々なものが混ざり合い、ポケモンバトルでは感じられない幻想的な光景が一面に映し出されていた。
 ▼ 195 ダンギル@メガペンダント 19/08/26 20:45:02 ID:BmfcX/sA [7/19] NGネーム登録 NGID登録 報告




 しばらく練習を始めてからどれぐらい時間が経ったかかわからない。 一時間か二時間か、技を出し続けてしばらく経つが、時間を確認せずに練習に打ち込んでいるので、実際に何時なのかは分かっていなかった。 ただ、今は演技を磨き続けることに没頭していた。 ポケモンたちもまだまだ疲れを見せず、セレナの指示に従い技を放っていく。 まだまだ思うようにはいかない。 確かに綺麗な演技は作れているが、それでも細部が甘かったり、まだまだ技の出し始めや出し終わり、技の威力にムラが出ていたりしていた。 問題点を直すように考えながら技を出すようにするが、考えた通りに上手くはいかない。しかし、焦る必要はないし、今日で完成できなくても今日で得られることは十分にある。 無駄なことなんて一つもない。 それは、セレナが大切にしている言葉だった。 

「あれは…」

 そんな、周りを気にせず練習をしているセレナたちを見つけたものがいた。 空を飛んでいるリザードンに乗る少年であった。 セレナが練習している姿は、地上にいる人からは見えにくい距離にいたが、空から飛んでいる者からは目立って見えていた。 
 ▼ 196 ンゲラー@おうごんのみ 19/08/26 20:45:26 ID:BmfcX/sA [8/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ…はぁ…ちょっと休憩をしましょう…」

「テ、テナ…!」

「チャム…」

「フィー…」

 セレナは体を動かすわけでもなくポケモンたちに指示を出すだけではあるが、トレーナーやパフォーマーにとって、それはポケモンの技を近くで見て判断する集中力や、技の余波を体で受ける事を意味する。 ポケモンたちにも言えることだが、技を出すだけでも体に負担がかかってしまうため、一度休憩を取ることにした。 体が温まっているうちに練習を続けたい気持ちもあったが、ここで詰め込んでも仕方ないだろう。 とにかく、休憩して一度頭を冷やし、これからどのようにして演技を完成させていくかを煮詰めなおす時間に当てようと思った。
 ▼ 197 ズマオウ@グラシデアのはな 19/08/26 20:45:56 ID:BmfcX/sA [9/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふぅ…結構いい感じだね、テールナー」

「テナ!」

 アローラ地方で三日間しか経ってはいないが、この地方に旅行をして、景色や空気や人を感じて、ふと思い描いた演技があった。 練習ではそれを意識しながら指示を出していったが、確かな手応えを感じていた。 まだまだ練習を始めたばかりで足りない部分が沢山あるのは分かっているが、それでも一歩ずつ進んでいる感覚があった。 それはセレナだけではなく、ポケモンたちも感じていた。
 砂浜の近くにあった林の木陰に座り込み、カバンに入れていたスポーツドリンクをそれぞれ飲んでいく。 セレナの演技の要になっているのはテールナーの炎。 練習を重ねるたびに、テールナーの炎でセレナの体から水分が無くなっていく。 アドレナリンが出ていて、練習の時は気付かなかったが、スポーツドリンクを飲んだとき、まるで砂漠に水を注ぐようなイメージが浮かび上がるほどには、セレナの体は水分を欲していたようだった。 
 ▼ 198 ーバーン@イーブイZ 19/08/26 20:46:11 ID:BmfcX/sA [10/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「空から見ていたんだが、さっきの炎は君たちが出していたのか?」

「だ、誰?」

「テナ!」

 しばらく休憩をしているセレナたちに声をかけてくる少年がいた。 セレナは周りには誰もいないと思っていたので、自分のポケモンたち以外に声をかけられたのに驚いてしまう。 テールナーたちはセレナを守るようにセレナの周りに集まり、声をかけてきた相手に対し警戒態勢を即座に取ると、少年は手を挙げながら声を上げた。

「わ、す、すまない。 そんなつもりじゃないんだ。 ただ、空から綺麗な炎が見えたから気になって声をかけただけで、すぐ立ち去るから心配しないでくれ。 俺の名はカキ。 ヴェラ火山のような炎タイプが好きで、さっき言った通り、綺麗な炎が見えたからであって…えーっと…」

「カキ…カキって、マーマネの友達の…?」

「マーマネ? マーマネを知っているのか?」

 どうやら声をかけていた少年はマーマネが言っていたカキで間違いないみたいだった。 取り敢えず、警戒しているポケモン達を落ち着かせて、カキを喋りやすいようにする。 まさか、こんなところで会うなんてと思っていたが、驚いていても仕方がないので、とりあえず同じように自己紹介をする。
 ▼ 199 プリン@おとしもの 19/08/26 20:46:44 ID:BmfcX/sA [11/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私の名前はセレナ。 カロス地方から来た観光旅行者よ。 さっき言ってた炎は私のテールナーたちが出したものが間違いないけど…」

 先程気になっていた炎について軽く説明をしてあげる。 ポケモンコンテストという技を美しく見せる大会に向けての練習だと言うと、すぐに納得をしてくれた。 カキはポケモンコンテストについては詳しく知らない人間ではあったが、先ほどの炎の美しさを感じているので、なるほどと関心を示していた。

「俺はヴェラ火山のように力強い炎を何度も見てきたが、あんなにも綺麗な炎を作り出せるなんて」

 ヴェラ火山というものがどんな物なのかは知らないが、ここまで褒めてくれるのは悪い気はしなかった。 人に美しく見せて楽しませることがパフォーマーであり、見られることは慣れてはいるが、こんなにも率直に言われると少し恥ずかしくなってしまう。
 カキとほんの少ししか会話をしていないセレナだが、カキが炎に対して物凄い熱意を持っていることは、その表情からも強く伺えた。 だからこそ、セレナたちに喋りかけたというのもあるだろう。 そして、そんな関心を持ってくれるかカキに、ある提案をする。
 ▼ 200 ネズミ@ちいさなキノコ 19/08/26 20:47:13 ID:BmfcX/sA [12/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ねえカキ。 もし良かったら、練習中のものだけど私の演技を見てもらっていいか?」

「ほ、本当か! 是非お願いしたい!」

 カキがセレナの演技に関心を受けていたことは分かっていたので、演技を見てもらう提案を断られることは無いとは思ったが、ここまで笑顔でお願いされると、パフォーマー魂の血が騒ぐというか、同じように熱くされるような感覚がセレナの体を駆け巡る。 練習中のものとは言え、今できる最大限の演技を魅せる。 それが、今のセレナができることだった。
 演技の準備に取り掛かり、カキはセレナから少し離れた場所に待機する。 セレナはテールナーたちと立ち位置を決めて、練習してきたことを話し合い段取りを決めていく。 準備ができると、セレナたちは深呼吸をし始める。 そして、体に力が入り、感覚が研ぎ澄まされていく。
 ▼ 201 ギアナ@おじぞうバッヂ 19/08/26 20:48:03 ID:BmfcX/sA [13/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふぅ…いくよ、みんな…テールナー空高くかえんほうしゃ!」

「テナ!!」

 テールナーはしっぽに刺している枝を手に取りその枝からかえんほうしゃを巧みに打ち出す。 炎は天高く登って行き、勢いが落ちていき拡散しようとするが、それを防ごうとセレナは次の指示を出す。

「テールナーは火炎放射を出しつつニンフィアはようせいのかぜでかえんほうしゃを操作して! 大きく円を作るように! 徐々に小さく!」

「フィア!!」

 ニンフィアはテールナーの出すかえんほうしゃをようせいのかぜで大きく包み込みながら操作をしていく。 一定量の炎が集まりテールナーはかえんほうしゃをやめるが、ようせいのかぜで炎の勢いが増していく。 しかし、炎を増やしすぎてもようせいのかぜがで操作ができないほど大きくなってはいけない。 もともと、ようせいのかぜは何かを操作することは不向きであり、エスパータイプの方が合っているだろう。 しかし、ねんりきやサイコキネシスでは不自然な光が入ってしまい、自然な光を演出できないため、ようせいのかぜであればそれを解消しつつ炎を大きくすることができる。 
 大きな球体に形作られた炎は徐々に小さくなっていき、更にはエスパータイプにはない風で炎が揺らめく演出があることで、まるでひとつの太陽のように輝き始める。
 ▼ 202 ルリル@しめったいわ 19/08/26 20:48:36 ID:BmfcX/sA [14/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「いいわよニンフィア! ラスト! タイミングを合わせて! テールナーめざめるパワー! ヤンチャムはめざめるパワーの周りにストーンエッジ!」

「テナ!」

「チャム!!」

 テールナーはめざめるパワーをかえんほうしゃとようせいのかぜで作り上げた太陽に放つ。 ヤンチャムはめざめるパワーの周りにストーンエッジを纏わせる。 ストーンエッジは自分の周りに鋭い岩の粒を纏わせ放つことが出来るが、基本的に地面を伝わせて大きく尖った岩を放つことが多い。 威力も高く、力強い演出をすることができるが、今回はめざめるパワーの周りに纏わせることが重要だった。 しかし、まとわせるだけでも気をつけなければならない。 めざめるパワーに当ててしまえば打ち消し合い、両方の技が均等でなければどちらかが一方的に主張してしまう。 テールナーとヤンチャムの息が合って、威力が均等であるからこそこの技は成り立っている。 
 ▼ 203 ンバット@バコウのみ 19/08/26 20:49:16 ID:BmfcX/sA [15/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ラスト!!」

 ストーンエッジが纏っためざめるパワーが入り込む。 鋭いストーンエッジは太陽の周りにまとっているようせいのかぜにメスを入れるかのごとく切れ込みを入れ、めざめるパワーはようせいのかぜに威力を落とされることなく太陽に入り込むと、中にある炎はめざめるパワーを取り込み激しく炎を全体に放出する。 
 そこには、まさに太陽が存在していた。 セレナとポケモンたちが作り出した、煌びやかに輝く太陽が。
 ▼ 204 ダツボミ@ちいさなキノコ 19/08/26 20:49:32 ID:BmfcX/sA [16/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ…はぁ…失敗しなくてよかった…お疲れみんな! 特にニンフィアは負担が大きかったね」

「テナ…」

「チャム!」

「フィ…フィ…フィア!」

「す…凄い…綺麗な炎だった…」

 カキはセレナたちが作り出す全力の演技に打ち震えていた。 かつてここまで綺麗に演出された炎があっただろうが。 ヴェラ火山が放つ炎も綺麗で、何度も目を奪われたことがあった。 自然に作り出される炎というものは、必ず同じものはなく、常に周りの環境に変化されながらも、その火山独自の力強さが存在していた。
 強力な炎タイプが作り出される生命の炎にも幾度となく心奪われるものはあった。 カキが所持しているリザードンやバクガメスにリージョンフォームで炎タイプになっているガラガラ。 どれもその生命の神秘に満ち溢れている炎があった。 しかし、セレナが作っている炎は全く見たことのないもの。 自然にできているものだとか、生命の神秘だとかが全て組み込まれた、まさに魅せるための炎であった。 様々な調整や研究や考えのもとに編み出された全力の合わせ技。 カキは炎の奥深さに感動するしかなかった。
 ▼ 205 プ・コケコ@ヘビーボール 19/08/26 20:49:54 ID:BmfcX/sA [17/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「見てくれてありがとう! 頑張ったねみんな!」

「テナテナ!」

「チャッ厶!」

「フィア!」

「あぁ……」

「カキ? どうかしたの?」

「いや…なんだ、凄いものを見せてもらった…本当にありがとう…」

「喜んでくれたのが嬉しいよ! 私もありがとう!」

 まだ感動に打ち震えているのか、余韻を楽しんでいるカキ。 演技を見て感動してくれたことに喜ぶセレナではあったが、先ほどの演技の完成度や、改良点などを考え始める。 先ほどの演技はとても良く出来たものだと思っているが、やはりまだまだ完成には遠く、一応成功してはいるが形になっているだけで、改良の余地はあると考えていた。 確かに綺麗だった。 だが、ただそれだけのように感じてならなかった。 綺麗なことは重要だが、綺麗なだけではこれから先のことを考えると物足りないと感じられてしまう。 綺麗だと思う以上の先があるはずと。 だけど、何が足りないのかがまだ分からないので、カキが帰ったあとも練習を続けて考えないとと思っていると、カキの体が急に震え始める。
 ▼ 206 ュプトル@かみなりのいし 19/08/26 20:50:19 ID:BmfcX/sA [18/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
「う、うおおおおお!!! 熱くなってきた!!」

 その抑えきれない震えを大声に出し、カキの背後からはまるで炎が燃えているような演出が見えるほどの熱意が感じられる。 あまりにも急なことでセレナは絶句しながらカキを見ていると、腰についてあるモンスターボールを取り出し、近くの砂浜に投げつける。

「セレナ!! お礼にこの俺の燃え上がる全力の炎を見て欲しい!!! 出てこいバクガメス!!!」

「ガメェエエス!」

 モンスターボールからはセレナが見たこともないポケモンのバクガメスが飛び出してくる。 全体的に赤いボディをしており、亀のように大きな甲羅を付けているが、その甲羅には大きな棘と小さな棘が均等に4つ付いている。 お腹には星の形を逆さまにした穴が開いており、頭には大きな傘がついて鼻先長く空洞が開いており、モンスターボールから出たときにその鼻からは力を入れるように炎を出していた。 体は大きくそれに伴うように重さもあるようで、バクガメスが足場にしている砂浜は砂ぼこりが立ち、その重みで軽く穴が開いている。 
 ▼ 207 エルコ@シャラサブレ 19/08/26 20:50:46 ID:BmfcX/sA [19/19] NGネーム登録 NGID登録 報告
 カキはセレナに全力の炎を見てほしいといいバクガメスをモンスターボールから出してきた。 全力の炎ということは、バクガメスから何かしらの炎技を繰り出すということだろうか。 一般的な炎技で強力なものといえば、だいもんじやオーバーヒートにフレアドライブといったものがあるだろう。 カキが信頼しているポケモンの磨き上げた技をセレナに見せたいということなのだろうか。 しかし、カキは技をバクガメスに指示することなく、セレナの予想外な行動をとるのだった。

「行くぞ! バクガメス! 俺たちの全力のZワザを見せるんだ!!」

「ガッメ!!」

「(Zワザ…!)」

 Zワザ。 セレナには聞きなれない技名だったが、つい昨日ほど、マーマネやリーリエと話したときに出ててきた言葉だった。 ZリングとZクリスタルを持つトレーナーと、そのポケモンとの絆と信頼と二人の息が試される非常に強力な技であり、島キングに認められなければ使うことを許されないもの。 つまり、カキは島キングに認められた実力者であることを意味する。
 ▼ 208 ニノコ@ヤミラミナイト 19/08/28 09:09:41 ID:QpowIMTg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 209 ネコ@まんまるいし 19/09/06 21:42:03 ID:dpBQt60U [1/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 カキは、バクガメスと共に両腕をクロスさせ意識を集中していると、腕に身に着けているZリングから光が輝き始める。 その光は、カキとポケモンの見えない絆を輝かせるように、二人の間には光の糸がまとい始める。 そして、何度も練習したことが分かるほど慣れた動作で、しかし、その一つの動作ごとにカキとバクガメスの全力が感じられるほどにその動作を続けていく。

「俺の全身、全霊、全力!全てのZよ、アーカラの山のごとく、熱き炎となって燃えよ!」

「ダイナミックフルフレイム!!」

 カキの口上とともにバクガメスの目の前には、炎タイプの特殊技でも強力なだいもんじよりも洗練された、激しく巨大で強い熱を放つ炎の球体が現れる。 今まで見たこともないその技は、海に放たれ、着弾と同時に巨大な炎の塊は更に大きくなり周りを巻き込みながら爆発する。 その衝撃は、着弾した場所よりも離れたセレナたちにも届き、砂ぼこりが舞い、セレナは両腕で目に砂が入らないように防ぐ。 腕に着けていたミサンガも、その衝撃作られた風で揺れており、Z技がいかに強力なのかを物語っていた。

 今まで、セレナは旅の途中にカロス地方のチャンピオンのバトルや、公式に認められた実力者であるジムリーダーを8人倒し、証としてジムバッチを集めたものが一番を決めるカロスリーグ。 はたまた伝説のポケモンのファイアーなどの、育て鍛え上げられた強力なポケモンたちや、存在自体が強力なポケモンたちから放たれる技を見てきたが、その中でも瞬間的な威力は最も強力だろうと理解した。
 ▼ 210 ィ@コスメポーチ 19/09/06 21:42:19 ID:dpBQt60U [2/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「す、凄い威力…」

「ガッメ…!」

「はぁ…はぁ…ありがとうバクガメス。 そして、これがZワザ。 今、俺たちが出来る全力の大技であり、全力のお礼だ…! 俺の尊敬するじいちゃんは、命を破壊する炎ではなく、命を育てる炎の使い手となれと言っていた。 セレナの炎からはそれを感じた。 だから、ありがとう。 セレナの演技は、素晴らしいものだった」

「私も、カキの全力を見せてくれてありがとう。 カキの全力は私たちに届いたよ」

「そう言ってくれると嬉しい。 俺は配達の途中だったから今から行かなければならないが、もし時間があったら話したかった。 それじゃあセレナ、また会えたら色々話をさせてくれ」

「うん、私も! それじゃあね!」

 カキは、バクガメスをモンスターボールに戻し、リザードンにまたがり空高く飛び上がる。 空の上からセレナに手振っており、セレナもカキに振り返す。 カキは徐々に小さくなっていき、セレナの位置からでは見えないほどに移動していった。
 ▼ 211 ンベ@ホノオZ 19/09/06 21:42:36 ID:dpBQt60U [3/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
Zワザは強力で、一度のバトルには一度しか使えないと言っていたが、Zワザを使用した後のカキとバクガメスからの疲労が目に見えて増えていた。 力強い炎は、カキたちの全力が生み出した全力の大技。 だからこそ、セレナはそのZ技を見て得るものは多かった。

「私たちの演技は確かに綺麗だったけど、何かが足りなかった。 だけど、カキとバクガメスの全力のZワザを見て、私に何が足りないのかが分かった…みんな! もう一度練習に戻りましょう! 次はもっともっと綺麗で、もっともっとすごい演技を!」

「テナテナー!」

「チャム!」

「フィア!」


 カキたちが去ったあと、セレナの練習は続いていた。 先ほどのZワザから感じたものを組み込み、更に良い演技を目指してポケモンたちに指示していく。 粘土のように、固まり形を作っていたものを解していき、更に粘土を追加して良いものを作っていく。 今のセレナは、、無意識のうちに他の人たちから得たものをどんどん吸収していた。 ポケモンたちの体も止まることを知らないほどに動いていき、確実に成長していった。 人が来ることのない砂浜で、セレナたちは技を出し続け、演技が完成に近づくまで続けていた。
 ▼ 212 ラップ@かわらのかけら 19/09/06 21:42:56 ID:dpBQt60U [4/40] NGネーム登録 NGID登録 報告







「はぁ…はぁ…い、良い感じ…はぁ…はぁ…」

「テ、テナ…」

「チャム…チャム…」

「フィ…フィ…」


 あれから数日、セレナたちは練習への熱が冷めないうちに続けていた。 しかし、長時間の練習は体に負担が思いのほかかかるようで、お昼まで練習し終わると体を引きずりながらホテルに戻り、その表情は隠せないほどに疲れており、ホテルの従業員に何度も心配されるほどだった。 だが、高級ホテルに泊まったことが幸いし、エステ施設やマッサージ、疲れを取ったりや元気が出る食事メニューなどのおかげで普段であれば明日に持ち込んでしまうほどの疲労も綺麗さっぱり取り除いていた。 
 ▼ 213 リミアン@ギネマのみ 19/09/06 21:43:20 ID:dpBQt60U [5/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 明日のことを考えることなく練習を続けれる環境は、セレナやポケモンたちにとっては水を得たコイキング。 いや、ギャラドスの状態だった。 その成果は目覚ましく、演技はほぼ完成に近いほどになっており、後は失敗をしないように反復練習のみとなった。 しかし、セレナの考えた演技はZワザを参考にして作られたもの。 それは、見た目だけではなく、Zワザを使う覚悟、精神的な面までも取り入れているため、演技をするごとにその疲労は一気に押しかかるものだった。 反復練習だけになった今だからこそ、その演技を効率化させて疲労も少なくなったものではあるが、練習し始めは特に酷いものだった。 ホテルの環境がなければ、1日以上は動けなかっただろう。

 セレナの演技はコンテストに向けられたものであり、トライポカロンのように自分を演技に組み込むことはない。 それは、結果的に人間の体に影響を及ぼさないほどの技の威力に止めておかなければならない。 コンテストはパフォーマーは指示に徹することができる。 ポケモンが放てる技の威力に制限をつけなくてもいいので、それだけ迫力のある演技構成を作ることができるが、威力が高ければ高いほど、その調整は難しく、細部まで綺麗に作ることが出来ないで終わってしまうことが多い。 セレナはそれを理解した。 理解したからこそ、アローラ地方で作り上げたこの演技には絶対の自信があった。 しかし…。
 ▼ 214 ナバァ@ヤタピのみ 19/09/06 21:43:37 ID:dpBQt60U [6/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「も、もう無理…体が動かない…」

「デナー…」

「チャァム…」

「フィ…」

 やはり、多少慣れた程度でも、この疲労はあまりにもセレナたちの体に重くのしかかってしまう。 セレナは近くに用意したレザーシートの上に倒れるように寝っ転がり、ポケモンたちも体を起こしておくのが億劫で、セレナと共に同じように倒れる。 体全体で息をしているほどに、セレナの体は酸素を求め動かしている。 汗も流れ、持ってきたスポーツドリンクは少量になっており、今飲んだとしても体の渇きを抑えるには足りないだろう。 誰がどう見ても、セレナたちに休息が必要なことは分かるほどだったが、その表情は満足げで、気持ちの良い笑顔をしているのであった。
 ▼ 215 ャオブー@あやしいおこう 19/09/06 21:43:55 ID:dpBQt60U [7/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナは寝ころびながら、視線を砂浜に移す。 練習を繰り返した砂浜は、最初に来た頃の砂浜とは大分変わり果てており、何度もポケモンの技を受けたその場所は荒れ果て、形を変えていた。 人通りも少なく、何もない場所だからこそ良かったが、ホテルの近くにあるバトルフィールドで練習していたら、大惨事になっていただろうと、セレナは苦笑いをしながら瞳を閉じ、今は体に溜まった疲労を取り除くことに集中していった。

 その後、セレナたちは数日前から同じように体を引きずるようにホテルに戻り、ホテルの従業員はセレナが帰ってくることを確認すると、スポーツドリンクとタオルを渡していた。 セレナは規則正しい生活をしており、練習を再開してから数日間は、毎日同じ時間に起きて、毎日体を引きずるように帰ってくるため顔を覚えられてしまったらしい。 名前も憶えられてしまったようで、セレナがエステやマッサージ施設に足を運ぶと、「セレナ様、今日もお疲れ様です」などと、慣れた手つきと物腰でセレナを名前付きで迎えてくれるようになってしまった。 セレナはホテルで働いたことがないため分からないが、「高級ホテルだからこれが普通なのかな」と思っていたが、実際にはそうではない。 もちろん、どこかの社長や位の高いホテルにセレナのような子供が一人で利用すること自体が目立っており、更には服に炎で焼けた跡のようなものを付けて体を引きずりながら帰ってくれば、元から少しばかり目立っていたセレナに拍車をかけているだろう。 これだけ見れば悪目立ちしているかもしれないが、それだけではなかったのだ。
 ▼ 216 ュナイパー@わざマシンケース 19/09/06 21:44:14 ID:dpBQt60U [8/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「何だか…肌が艶々してるような…気のせいかな? でも、テールナーたちの毛並みも前より良くなってるかも…やっぱり高級エステって凄いなあ」

「テナテナー」

 そう、セレナはアローラ地方で練習を始めて数日間で美しくなっていた。 ホウエン地方では、慣れないコンテストで手間取りながら、何かに追い込まれるように練習を続け、前までは、複数人で共に行動していたセレナは一人旅になり、当たり前のことではあるが、身の回りのことは全て自分でやらなければいけなった。
 今までの環境とは大きく変わっていたため、環境の変化に慣れていなかったり、多大なストレスや不安で、知らぬ間に負担がかかり、体を痛めていた。 ポケモンたちにもそれは当てはまり、セレナとの仲は良好であるがゆえに、そんなセレナのことを気遣って、自分たちは甘えられなかったり、練習でも同じように上手くいかなかったりと、毛並みは美しいほうだったので、表面に分かりやすく出ることはなかったが、徐々に荒れ始めており、見えない部分には出ていたのであった。
 ▼ 217 ウカザル@かがやくいし 19/09/06 21:44:34 ID:dpBQt60U [9/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 アローラ地方に来てからは、休息の時間を多く作ることが出来たので、ポケモンたちと遊ぶ回数も増え、新しい刺激を感じることが出来たり、それにより、頭を一度落ち着かせてコンテストに向けた演技が固まり、高級ホテルにある施設や料理のおかげで無茶がかかるような練習が出来るようになり、セレナたちが思いっきり羽を伸ばしながら練習に集中できる環境が整っていた。 そして、セレナの規則正しい生活や、毎日のように大量の汗をかきながら運動し、体に溜まったその疲れを残さないほどの施設は、セレナの体にも変化をもたらしていった。 

 セレナの母親はサイホーンレーサーで、セレナにも受け継いでもらおうと思い、日々トレーニングを重ねていた。 セレナは気乗りしていなかったが、特にやりたいこともないので、断ることもなく続けていた。 結果的には、整っている生活習慣や日々のトレーニングは、セレナの体を磨き上げ、体を動かすことに必要な体幹なども鍛えられ、トライポカロンのパフォーマーとしてのポテンシャルを、多く持つことに繋がった。 更に、10歳の子を持つとは思えないほど若々しい顔つきをした母親から、そのまま受け継いでいるようにセレナの顔も整っていた。 それは、パフォーマー本人も演技に参加するトライポカロンにとって、大きな武器であり、セレナは無意識のうちにそれを活用していた。
 ▼ 218 ゲキ@ニニクのみ 19/09/06 21:44:53 ID:dpBQt60U [10/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 日ごろから健康的な生活以上の生活をしてきたセレナの体つきや、容姿は恵まれ整っているのだが、アローラ地方はその容姿に拍車をかけていった。 日々のトレーニングに普段受けられない高級エステやマッサージは、その体を更に磨き上げ、日を跨ぐごとにセレナは美しくなっていったのだった。 
 練習を終えたセレナは砂まみれの姿で、ボロボロではあるが、疲れ切っている表情の中にも確固たる意志が垣間見える美しい少女は、自然と注目を浴びるようになり、確かに悪目立ちはするものの、完璧な美少女よりも、どこかが欠けている美少女の方が、より視線を集め、静かにホテル内でのファンを増やしていったのだった。
 ▼ 219 コリータ@のびたバネ 19/09/06 21:45:11 ID:dpBQt60U [11/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

「あぁ〜…今日も疲れたなぁ…いっぱい練習して、形も出来て、体もお腹も満たされて…いいこと尽くめだね、テールナー…」

「テナー」

「それにしても、最近は何だかホテルで優しくしてくれる人が多いよね。 私の名前を知ってる人がいたり、トライポカロンでの演技を見てくれてて、応援してくれる人がいたり、テールナーたちにもファンレターをくれたり…ここにもトライポカロンのことが伝わってるなんて、やっぱり、トライポカロンを頑張ってきて良かったね」

「テナ!」

 お風呂やエステや食事を済ませ、後は寝るだけのセレナたちは、ベッドの上でポケモンたちと寝ころんでいた。 少しばかり早い時間にベッドに入ってしまったなと思ったが、疲れた体には早い時間も関係なく休息を求めており、ヤンチャムとニンフィアは既に眠りに落ちていた。 セレナとテールナーも寝ようとは思っていたが、ほぼ完成した演技の喜びで頭に熱を帯び、興奮冷めやらぬまま、二人はその熱が冷めるまで喋っていた。
 ▼ 220 ガヤドラン@ジュナイパーZ 19/09/06 21:45:46 ID:dpBQt60U [12/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ホテルで注目を集めていたセレナたち。 トライポカロンはカロス地方で開催されるもので、ホウエン地方やシンオウ地方ではポケモンコンテストが主流だった。 カロス地方は大きな地方であり、都市としても発展は目覚ましく、都会という言葉が似合う地方だろう。 しかし、トライポカロンがそこでしか開催していないのは確かなので、ほかの地方にトライポカロンの情報が流れていないのも確かだった。 コンテストをやっているものであれば知っているものもいるだろうが、アローラ地方ではそういった部類の大会は開かれていない。 なので、セレナたちがトライポカロンの出場者であり、決勝に勝ち進んだ実力者であることが知られているのが、なんだかくすぐったいものの嬉しく感じた。

 アローラ地方でトライポカロンのことを、ましてや、その選手であるセレナのことを知っている人は少ないかもしれないが、セレナがいる場所は旅行者が集まるホテルである。 ほかの地方から来たものが集まる場所なので、自然とセレナを知っているものがいてもおかしくはない。

 セレナとテールナーは会話が弾んでしまい、頭が冷えたのはいいものの目が覚めてしまい、セレナはテールナーにとある提案をする。
 ▼ 221 ソハチ@ダウジングマシン 19/09/06 21:46:10 ID:dpBQt60U [13/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ねぇ、テールナー。 夜の海に行ってみない?」

「テナ? …テナ!」

 セレナは景色で夜の海を見ていたが実際に歩いたことはなかった。 光に反射する海はとても綺麗で、一度浜辺で歩いてみたいと思っていた。セレナの提案はテールナーを動かすものだったようで、ニンフィアとヤンチャムを起こさないようにこっそりと部屋を出ていく。 部屋の電機は消しておいたので、光で目が覚めることもないだろう。 
 

「ふふ、風が気持ちいねテールナー。 海も月明かりに照らされて輝いてて…お昼に出てくる太陽とは全然違ってて。 まるで2つの顔を持ってるみたい…」

「テナ〜…」

 夜のアローラ地方は、さんさんと輝く太陽の光とは違って、涼しげな月明かりが周りを包んでいた。 夜なのにセレナたちが歩く砂浜は確りと見えるほどで、その景色は幻想的で、さざ波の音と共に見るこの夜景は、心を切なくさせるような、そんな雰囲気を持っていた。
 ▼ 222 メックス@クサZ 19/09/06 21:46:29 ID:dpBQt60U [14/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ちょっと遠くに来ちゃったかな…さ、テールナーはここに座って」

「テ、テナ…」

 夜の景色は二人の足を進めさせ、いつの間にやらホテルよりも遠い砂浜にやってきてしまった。 歩くのをやめた二人はその場所に腰をかけ、セレナの足の間にテールナーがすっぽりと入るように座らせる。 後ろから抱きしめるようなその恰好は、テールナーは何だか恥ずかしいのかほほを染めるが、セレナの指示に従い足の間に座る。 セレナはテールナーの体に抱きつきながら、後ろから肩の上に顎を乗せるようにし、テールナーの毛並みを楽しんでいた。

「テールナーの毛並みは気持ちいいなあ」

「テ、テナ…テナテナ」

「え、恥ずかしい? そうかなぁ…」

 テールナーは恥ずかしいと言っているが、確りとセレナの腕を握っている様子を見ると、悪くはないと思っているのだろう。 そのまま頭を撫でてあげたり、テールナーが撫でられると気持ちいと思う場所を撫でてあげると、セレナの体にもたれてきて、安心している様子だった。 
 テールナーの体を撫でていると、ふと、腕についているミサンガが目に映る。 最初の時の鮮やかな赤色は、汗や砂で薄汚れ変色して、元の赤色には遠い色をしてしまった。 こまめに洗ってはいたが、それでも、あの砂浜の形が変わってしまうほどの技を毎日受けていたら、汚れてしまうのは仕方ないだろう。 
 ▼ 223 ノヤコマ@プレシャスボール 19/09/06 21:46:46 ID:dpBQt60U [15/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「大切な人…サトシに会えたら、どうしようかな…」

「テナ…」

 このミサンガを見ると、ミサンガに思いを込めた人物が頭によぎる。 懐かしむように、その薄汚れたミサンガを触っていても、ぽっかり空いた気持ちは一向に埋まることはない。 テールナーはそんなセレナを撫でて落ち着かせる。 テールナーの優しさが、セレナの心を軽くしてくれるような気がした。

 大切な最初のパートナーであり、セレナの我がままを最初から支え続けた一生一度しか作れない存在は、セレナの気持ちを理解していた。 セレナは先ほどよりもテールナーを強く抱きしめる。 顔を体毛に押しつけ、テールナーの匂いに包まれていると、何だか安心する気がした。

 ▼ 224 ャヒート@レンズケース 19/09/06 21:47:11 ID:dpBQt60U [16/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

 二人は静かで、幸せな時間を過ごしていた。 そう、その者たちが来るまでは。
 ▼ 225 タマロ@こおりのいし 19/09/06 21:47:28 ID:dpBQt60U [17/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

 




「おいおいおいおい、ここらじゃ見ないポケモン引き連れてるじゃねえか。 えぇ?」

 セレナたちの背後からねっとりと絡みつくような言葉使いで喋りかけてくる者がいた。 いきなりのことで、セレナたちは振り向いてはいなかったが、その向けられてくる感情は、背中越しでも理解した。 それは、獲物を発見した時の、自分たちが優位に立っていると思っているときの、見ず知らずの人たちに降りかかる無差別な悪意。 周りには自分以外のものはいない。 声をかけているのは、確実にセレナに対してだった。 

 セレナは、先ほど気持ちよく過ごしていた気持ちは吹き飛び、嫌な気持で埋め尽くされる。 ここで無視しても仕方がないと、静かに背後を振り向く。 そこには、黒い服黒いズボンを着て、同じく黒いスカーフを口元に巻いており、頭には白色の帽子に、黒く塗りつぶされた目のようなものが2つ描かれており、首にはドクロのようなネックレスをかけている、男の3人組が立っていた。
 ▼ 226 ルノリ@たいようのふえ 19/09/06 21:47:50 ID:dpBQt60U [18/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お!? まじかよ、こいつ滅茶苦茶可愛いじゃねえか」

「本当だなぁ…どぉよ、俺たちと遊ばねぇ?」

「おいおいこいつ、ここいらじゃ見ない顔だな。 ポケモンも見たこともないっていうと、旅行者か? え?」

「(さ、3人…どうしよう、私だけじゃ対処できない…ここにいるポケモンたちはどんな技を使ってくるかもわからないし、対策を立てて行動する前にやられちゃう…)」

 セレナの表情が見えると、その顔立ちをなめまわすように見るものや、視線も言葉遣いもねっとりしながら誘うものや、セレナを旅行者だと当てるものもいる。 非常にまずい状態だと分かったセレナは、3人からどのように逃げるかを考えていた。 
 ▼ 227 ルペコ@カプZ 19/09/06 21:48:20 ID:dpBQt60U [19/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナは旅をしているとき、様々なトラブルに巻き込まれたことがあった。 それだけ、悪い者たちとポケモンバトルをすることは多々あったが、自分たちの周りには常に仲間がいて、バトル慣れしていないセレナを庇ったり、補佐をしたりすることはあった。 確かにバトル慣れはしているかもしれない。 しかし、それはトライポカロンの選手の中ではという意味でだ。 複数人のポケモンとバトルできるほど、セレナとテールナーはバトル慣れしていない。 

 完全に油断していた。 カロス地方でも、ポケモンを使って悪さをする人物たちは多く見てきたはずなのに、何度も何度も戦ってきたはずなのに、自分のポケモンだって取られそうになったことが何度もあったのに、油断していたのだ。

 アローラ地方はカロス地方とは違う。 他所から来たセレナに対しても、優しくしてくれる人は多く、その証拠に、出会った人たちはみんないい人ばかりだった。
 ▼ 228 コッチ@やけたきのみ 19/09/06 21:48:42 ID:dpBQt60U [20/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 目を逸らしていたのだ。 こんなにいい人たちの中に、悪い人なんていないと。 思い込んでしまった。 どこの地方にも悪い人たちは必ずいる。 たとえ、そのものにとっては、それが正しいことだと思っていても、世の中に対して、それが結果的に良いことをしているつもりでも、相手の了承や有無も得ず、自分たちのエゴを押し付けているだけの人を見てきたはずなのに。
  
 後悔しても遅く、逃げる手段を考えながら後ずさりをする。 全力で走れば逃げれるだろうか。 体力には自信があるし、ポケモンの技もある程度避ける自信はあるし、受けても我慢できる。 ただ、今はタイミングが悪すぎる。 倒れるほどのハードスケジュールで練習をしているセレナには、全力で走り切れる余裕はなかった。 体の筋肉も休んでいる途中で、今、思いっきり走れば膝から崩れ落ちてしまう自信の方がある。 最悪だ。 隣にいるテールナーをちらりと見る。 いつでも動けるようにと警戒を怠っていないし、指示をすれば技が出せるように構えている。 しかし、それでも絶望的な状況は変わらない。
 ▼ 229 ンベ@きりのはこ 19/09/06 21:49:01 ID:dpBQt60U [21/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「まぁ、あれだわ…こんな夜中に出歩くのが悪いってもんだよなぁ…えぇ? 俺たち泣く子も黙るス…えーっと…あ、そうだよスカル団だよ。 そう、そのスカル団に、目を付けてくださいって言ってるようなもんだからなぁ…そうだよなぁ、オメーらよぉ?」

「あー確かになぁ! 寧ろよぉ、俺たちに見つけてくださいって言ってたんじゃねぇかぁ?」

「マジか!? やったぜおい! じゃ、お望み通り早速捕まえますか! おら、出てこいヤングースたち!」

「おいおいおい気が早すぎねえか、えぇ? 出てこいズバットども」

「ヤトウモリども、顔は傷つけんなよぉ」

「(さ、最悪…3匹ずつ出してくるなんて…!?)」

 更に絶望的状況だった。 スカル団と名乗る者たちは一人3匹ずつポケモンを繰り出してくる。 ズバットはまだわかるが、ヤングースとヤトウモリに関しては全く分からないポケモンだった。 対策の仕方がわからない。 付け加えて言えば、あのヤトウモリ見た目からして毒タイプだろうが、一回でも毒技がセレナに当たればアウトだ。 体に毒が回り切れば、完全に逃げることは出来なくなる。 6匹の毒タイプと3匹から、技を避けつつ安全な場所まで行くなんて不可能に近い。 それは、ここで強制的に応戦して勝利することが決定していた。

 覚悟を決めるしかなかった。 強く握りこぶしを作り、足に力を入れる。 深呼吸をしながら表情を変える。 目線を相手から離さないようにする。 何が来ても指示ができるように、今は、ポケモントレーナーのセレナとして、相手を倒すしかない。
 ▼ 230 トカゲ@ふしぎなおきもの 19/09/06 21:49:28 ID:dpBQt60U [22/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「行くわよテールナー…全部倒すしか、道はないわ!」

「テナッ!!」

「おいおい、やる気あんじゃねえか、えぇ? ズバット、エアスラッシュな」
「ヤングースどもはかみつく攻撃!」
「ヤトウモリ、はじけるほのおなぁ」

「だいもんじではじけるほのおを防ぎつつ、ヤングースの近くで攻撃を避けて!」

「テーッナ! テナ!」

 ヤトウモリのはじけるほのおをだいもんじで消しつつ、ヤングースの近くでエアスラッシュを同時に避ける。 味方のポケモンが近くにいれば、敵は遠距離から技を飛ばすことができないと判断した。 ヤングースの近くにいれば、もう6匹の攻撃を避ける心配はない。 しかし、それは3匹のポケモンから確実に攻撃を避けなければいけないデメリットもある。

 セレナは確かにポケモントレーナーとしては未熟かもしれない。 しかし、くくってきた修羅場の数は多い。 複数のポケモンから攻撃を受けるのには慣れていた。 そして、トライポカロンやコンテストで培ってきた体の動かしながら放つ技や、周りを見て判断する能力は長けている。 幸いにも、スカル団と名乗る3人組のポケモンはレベルが低いように感じた。 何とか、このまま敵の攻撃を避けつつ、反撃するしかないが、長時間のバトルはあまりにも不利だ。 
 ▼ 231 チュル@パワーアンクル 19/09/06 21:50:01 ID:dpBQt60U [23/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「テールナー! トライポカロンを思い出して! かえんほうしゃで地面に炎をまいて!」

「テナー!!」

「キィ」
「おいおいまじかよ結構やるなこいつ」

「ヤグァ…!」
「くっそ! ヤングースどもに火が付きやがった!」

「だっりぃなぁ…攻撃できねぇ」
「ヤトォ…」

「(良し、ヤングースたちがやけど状態になった! これで攻撃もある程度は抑えられる!)」

 テールナーが地面に付けた炎には、長期戦を考慮して、テールナーが休憩するための距離を取らせつつ、物理攻撃を仕掛けてくるヤングースにやけどを負わせることができれば、テールナーに重いダメージを負わせることができなくなる。 しかし、それをしたとしても、相手にはまだまだポケモンは数多くいる。 全てを防ぐことはできないでいた。
 ▼ 232 ゴジムシ@ネクロプラスルナ 19/09/06 21:50:19 ID:dpBQt60U [24/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

「頑張ってテールナー! 遠距離は敵にかえんほうしゃをまきつつ距離を取って!」

「ズバット、距離を取ったら空からエアスラッシュな」
「ヤングースは炎を回り込め!」

「……」

 何度も何度も相手の攻撃をかいくぐっていく。 時間はそれほど立っていないだろうが、この応戦をしているセレナからしたら、1分立つのがどれほど長く感じるだろうか。 今のところは順調に進んでいるかもしれない。 しかし、テールナーの炎技はどれも威力もレベルも高いもの。 強力な攻撃をすればそれだけ自分自身の体力を使ってしまう。 万全の状態ならまだしも、今はなおさら体力が少ない状態なのだ。 だが、相手は徐々に炎で体力を消耗していっている。 実際に、ヤングースは1匹倒しており、近距離の攻撃がなくなれば、テールナーの広範囲技で制圧していける。 このままいけば大丈夫だと確信していた。

 しかし、それが崩れるのは思いのほか早くなってしまう。
 ▼ 233 ノノクス@マックスアップ 19/09/06 21:50:37 ID:dpBQt60U [25/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だっりぃなぁ…めんどくせぇから、女に直接ベノムショックなぁ」
「ヤットォ!!」


「!!」
「テナ!?」

 ヤトウモリを扱うスカル団は、あろうことかセレナに直接ベノムショックを放ってきた。 しかし、セレナはそれを警戒していた。 今までにポケモンを奪おうとする悪い奴らや、悪質なトレーナーは、いつもトレーナーに直接攻撃を加えていた。 だからこそ、セレナはポケモンの攻撃を避けるのに自信があった。 
 ▼ 234 ャタピー@ほのおのジュエル 19/09/06 21:50:57 ID:dpBQt60U [26/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「やっぱりやってきたわね…!!」

「おいおいおいお前よ、ちょっと焦りすぎじゃねえか?」
「顔! 顔に当てんなよ!」
「あぁ…めんどくせぇからよぉ…」


 避けたのはいいが、これでテールナーの指示に集中できなくなってしまう。 セレナはヤトウモリの攻撃を避けつつ、テールナーに指示をしなければならない。 テールナーはヤングースの攻撃を避けつつ、自分の判断で攻撃を加えていかなければならない。 しかも、上からの援護射撃付きと。
 ▼ 235 ローゼル@ドラゴンのホネ 19/09/06 21:52:09 ID:dpBQt60U [27/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「やっぱりやってきたわね…!!」

「おいおいおいお前よ、ちょっと焦りすぎじゃねえか?」
「顔! 顔に当てんなよ!」
「あぁ…めんどくせぇからよぉ…」


 避けたのはいいが、これでテールナーの指示に集中できなくなってしまう。 セレナはヤトウモリの攻撃を避けつつ、テールナーに指示をしなければならない。 テールナーはヤングースの攻撃を避けつつ、自分の判断で攻撃を加えていかなければならない。 しかも、上からの援護射撃付きと。
 ▼ 236 トデマン@ゴーゴーゴーグル 19/09/06 21:52:45 ID:dpBQt60U [28/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「絶対にあきらめてたまるもんですか…!! 私のことは気にしないで! テールナーは周りに集中して!!」
「テナー!!」

「まるで俺たちが悪者みたいな感じじゃねえか、えぇ?」
「ただ誘ってるだけなのにな! 恥ずかしがり屋さんもここまでくると困っちゃうぜ!」
「あぁ…だりぃ…」


 テールナーはヤングースにまとわりつきながら炎をまいていき、ヤングースにやけどを負わせつつじわじわと体力を削っていく。 セレナはヤトウモリからの攻撃を避けつつテールナーに指示を与えるが、正直言って足が悲鳴を上げていた。 しかし、あきらめれば身も心も、テールナーも傷を負ってしまう。 そんなのは耐えられない。 ならば、セレナは明日のことは考えず、今この状況を打開するために行動する。 ベノムショックややけつくほのおが周りに飛び散る。 それでも避けることをやめない。 そんな、地獄のような時間が、相手のポケモンたちが倒れるまでに続いていった。
 ▼ 237 ーイーカ@おちゃ 19/09/06 21:53:28 ID:dpBQt60U [29/40] NGネーム登録 NGID登録 報告








「おいおいマジかよ、やられやがった」
 
「くっそ!! ふざけんなあいつ強いじゃねえか!!」

「チッ…くそだりぃな…」



「はぁ…はぁ…私たちは…まだまだ…いけるわ……」
「テナ…テナ…」

 全てのポケモンを倒し切ったセレナたち。 もう体力は残っていない。 全ての力を使い切った。 しかし、相手に油断を見せてしまえば、そこに付け込まれてしまう。 最後まで絶対に気を抜いちゃいけない。 ここから帰ることが、絶対の条件なのだから。
 ▼ 238 ジロン@カクトウZ 19/09/06 21:54:07 ID:dpBQt60U [30/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

「(もう…足も腕も声も…何もかも使えない…だけど、安心しちゃいけない…あいつらが帰るまで…絶対に…)」

「テナ…テナ!!!」

 テールナーが吠える。 その形相は、ポケモンパフォーマーとして育て上げられたものを全て捨てていた。 相手を怯えさせるための、今にも食いつかんばかりのその威嚇は、全ては、大切なセレナを守るために。 大切なセレナとの日常を守るために。 ここに自分がいることの意思表示だった。

「(テールナー……だめ、泣いちゃ…絶対に)」

「さぁ…どうするの? あなたたちは…テールナーはまだまだやる気なんだから…あなたたちを燃やすぐらいは…まだ残っているわ…」

「くっそ…仕方ねぇ…」
「あーあ!! まじかよ!!」
「仕方ねぇ…」
 ▼ 239 ルビル@あおぼんぐり 19/09/06 21:54:31 ID:dpBQt60U [31/40] NGネーム登録 NGID登録 報告










「兄貴ぃ…後は頼むわ」

「あいよ、まかせたダストダス」
「ダァスト…」
 ▼ 240 ガエルレイド@どくどくだま 19/09/06 21:54:49 ID:dpBQt60U [32/40] NGネーム登録 NGID登録 報告






「え…?」

 どこからともなくそれは現れた。 先ほどはいなかったはずのもう一人のスカル団。 人数を見間違えていた? 違う。 そんなミスはしていない。 ならなぜ? どうして? 何故? 何故? 何故? そんな考えが、頭の中をぐるぐるとめぐっていた。
 ▼ 241 サキント@カイスのみ 19/09/06 21:55:23 ID:dpBQt60U [33/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「不思議そうにしているところ悪いけどよぉ…まぁ…文明の利器ってのはぁ…活用しなくちゃよぉ…」

「携帯…」

「ま、そういうこった。 やたら強い女がいるってことで呼ばれたわけよ。 結構長期戦だったみたいだな? お前はバトルに集中して気づいてなかったみたいだけどよ。 もうとっくについてスタンバってたぜ? 呼ばれて出てきたほうが、カッコいいだろ?」

「兄貴は流石だよな!!」
「助かりましたよ兄貴、えぇ」

 単純だった。 相手は複数人。 たとえ一人がやられようが二人がやられようが、やられた部分を呼んで補充すればいい話だった。 相手はスカル団と言った。 団員は彼らだけじゃない。 複数人いたのだ。 他にも人はいたんだ。 あぁ…そうか、応戦するだけ無駄だったんだ。 最初から逃げれば良かったのだ。 今まで、何もかも、間違っていた。 やれる? 勝てそう? これならいける? はは、鼻で笑える。 この状況を打開すれば、全てが丸く収まると思っていた。 
 ▼ 242 イコウオ@べにいろのたま 19/09/06 21:55:47 ID:dpBQt60U [34/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

「(そっか……)」

 あぁ…もう、逃げる体力も、気持ちも…何も、崩れ去っていた。 
 ▼ 243 ビルドン@ぎんいろのはね 19/09/06 21:56:08 ID:dpBQt60U [35/40] NGネーム登録 NGID登録 報告





「テナァアアアアア!!!」

「テールナー…」

 テールナーが無いはずの体力をふり絞り、先ほどよりも大きな声で雄たけびを上げる。 今までに聞いたことのないような、そんな声が、静かな夜に響いていた。 体力がないはずなのに、もう、攻撃を放つこともできないのに、それでも諦めちゃいけないと、テールナーはセレナに叱りつけるように、その声は響いていた。
 ▼ 244 ゲボウズ@ポイズンメモリ 19/09/06 21:58:41 ID:dpBQt60U [36/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 この状況は絶望的だ。 相手は兄貴と言われていた。 つまりは、あの下っ端よりも位の高い人物だと。 そんな人物が出してくるポケモンは、大きく、強く、そして、体力がないテールナーはきっと、指示を出したとしても体が追い付かず、一瞬で倒されるだろう。 それでも、それでも、諦めるなと言った。 いつもセレナのパートナーとして引っ張ってきたテールナーは、トレーナーであるセレナをいつものように引っ張り上げようとしてくれる。

 頭では理解しているはずだった。 この状況は覆せない。 テールナーもそう感じているはずだった。 だけど、諦めるなと言っている。

「(そうよ……)」

 諦めてしまえば終わってしまう。 まだ生きているのだから、身も心も無地なのだから、パートナーが引っ張ってくれるのだから。
 ▼ 245 ッコウガ@うすもものミツ 19/09/06 21:59:51 ID:dpBQt60U [37/40] NGネーム登録 NGID登録 報告

「諦めちゃ…いけない!」

「テ、テナァアアアアアアア!!!!」

「ダストダス、ダストシュート」
「ダァッスト…!!」
 ▼ 246 ーボック@おかえしメール 19/09/06 22:00:06 ID:dpBQt60U [38/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
 目の前がスローモーションに見える。 疲労で頭が回っていない。 何とか精神で立っているのがやっとだった。 テールナーは勢いよく吠えるも、ダストダスの攻撃を正面から受けようとしていた。 やはり、避ける体力も残っていなかったようだった。 テールナーが倒されれば、次は自分もそうなるだろう。 諦めてたまるか。 そう思っても、体は動いてはくれなかった。

 セレナはふと、手首を触っていた。 こんな時に、何をしてるのかと言われたら、確かにそうだろう。 しかし、ふと、こんな時なら、彼ならどうするのだろうかと思い触ってしまった。 そして、ヤトウモリの攻撃を受けたからなのだろうか。 ズバットのエアスラッシュを受けたからなのだろうか。 テールナーの炎を、少しだけ受けたからなのだろうか。 分からないが…。



 セレナの腕からは、赤いミサンガか千切れていた。
 ▼ 247 ノンド@そうこのカギ 19/09/06 22:00:21 ID:dpBQt60U [39/40] NGネーム登録 NGID登録 報告













「ピカチュウ! 10万ボルト!!!!!」

「ピィカ…チュウウウウウウウウ!!!!」

 どこからともなく現れた光り輝く閃光。 アローラの月や太陽よりも、その光は輝いており、目を開けられないほどの力を持っていた閃光は、ダストダスを貫いていた。 先ほどまで何もダメージを受けていないダストダスは、その閃光に貫かれた後、悲鳴を上げる暇もなくゆっくりと地面に倒れていった。
 セレナには、その声が、その閃光が、その鳴き声が、全てが鮮明に覚えていた。 聞きなれた、何度も聞きなれたその声は。 何度も何度も、会いたいと願っていた、その声を持つものは。たった一人しかいなかった…。
 ▼ 248 ンゴロ@すいせいのかけら 19/09/06 22:01:05 ID:dpBQt60U [40/40] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もう大丈夫だ! 後は俺とピカチュウが相手をしてやる!」
「ピッカ!!」





「サ…サト、シ……!!」

「テナ…」

 彼はいつもそうだった。 ピンチの時に、彼は私を助けてくれた。 どんな時でも、勇気をくれた。 

 また、サトシに救われたんだ。
 ▼ 249 ニリュウ@かくとうジュエル 19/09/14 01:23:36 ID:XWY.jAkU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 250 ヘッド@きあいのハチマキ 19/09/15 21:58:14 ID:dm6ALc4U NGネーム登録 NGID登録 m 報告
追い付いた支援
 ▼ 251 ルトロス@クオのみ 19/09/18 02:00:58 ID:iTV2wric NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ
 ▼ 252 ーミラー@ものしりメガネ 19/09/18 19:29:09 ID:0yn2GRi2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 253 ルケニオン@タンガのみ 19/09/20 04:31:09 ID:LHXkpUtw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告



 あの後、ダストダスが最後の一匹だったようで、スカル団と名乗る者たちはその場から逃げていった。 セレナはその時、サトシが助けてくれたことと、スカル団が去ったことに安心して腰が抜けてしまい、地面に力なくぺたんと座り込んでしまう。 サトシはそんなセレナを心配して駆け寄るが、セレナはサトシに抱き着き、ただ、大声で、今まで張りつめていた空気を壊すように、泣くことしかできなかった。 サトシの服がセレナの涙や鼻水で汚れようと、セレナはお構いなしに泣いていた。
 
 その後、サトシの保護者であるククイ博士が現れ、ククイが言うには、サトシが突然何かに呼ばれるように家から飛び出し、家の近くの砂浜で何かを探すように周りを見渡していると、遠くからポケモンの鳴き声が聞こえたようだった。 テールナーの声だろう。 その声を頼りに、胸騒ぎがして、ただひたすら走っていたようで、その後をククイは追っていたようだった。 セレナがいた砂浜と、サトシがいた砂浜は遠い距離ではあるが、サトシの異常な身体能力を持ってすれば、テールナーが最後の一撃を受ける前には間に合ったようだった。 
 ▼ 254 チュール@ぎんのズリのみ 19/09/20 04:31:29 ID:LHXkpUtw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシからしたら何者かがスカル団に襲われおり、セレナだとは知らず助けたらしい。 サトシは困ってそうだったから助けただけと言い切れるかもしれないが、セレナからすると命の恩人と言っても過言ではなかった。 サトシはまさか知り合いのセレナだったとはとククイに言う。 セレナはそんな会話をお構いなしに、ただ、サトシの胸で泣いていた。 サトシも、セレナが泣き止むのが落ち着くまで、セレナの頭を撫でていたが、それが切っ掛けとなり、セレナは更に大粒の涙を流し始めた。


「だ、大丈夫かセレナ…あぁ、な、泣き止んでくれよ。 ほら、よーしよーし…大丈夫だって、な? ……あぁ! だ、大丈夫だからさぁ!…」

「ピカピ…」

「な…なんなんだこれは…うぐっ…ひどい悪臭だ…」
 ▼ 255 ベノム@ガルーラナイト 19/09/20 04:32:57 ID:LHXkpUtw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 先ほども言った通りククイ博士は後から来た人間で、サトシはセレナを落ち着かせているのに集中しており、何があったかはサトシから聞かされていないが、とりあえず、砂浜の異常に荒れ果てた惨状は酷いものだった。 毒のようなものや焼け跡。 そして、何かが大きな刃物で切りつけたような鋭い後。 毒が燃えて酷い悪臭も放っていた。

 ポケモンの技は、一度のバトルではその場に多くの後を残すようなことはない。 もちろん激しいバトルなどで長引けば、地面が割れたり跡がついたりすることはあるが、炎や毒など、その場に付いてしまうものは、ある程度は自然消滅したりするものだった。 しかし、今、この場の状況は、長い時間がなければ自然消滅しないレベルになっていた。 それはつまり、それだけ長時間のバトルが行われていたこと。 そして、その跡からするに、多くのポケモンがこの場にいたこと。 更に、その惨状の中心にいる、テールナーとセレナの疲労具合や傷を見れば、いったい何があったのかは予測が立てれた。 あまりにも酷い状況だった。 
 ▼ 256 ーマルド@モコシのみ 19/09/20 20:43:04 ID:e07E3aRQ [1/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 とにかく、早めに対処しなければならないと思い、ククイ博士は携帯を取り出し、ジュンサーへと緊急連絡を入れる。

 ククイ博士が緊急連絡を入れた数分後、その砂浜には多数の警察が集まり、ポケモンセンターからは緊急搬送用の車が到着していた。 セレナは泣き疲れたのか、サトシの服を離さずに寝ており、サトシはそんなセレナを慎重に運んで行った。 ククイ博士は、セレナと同じように疲れ果てて動けないテールナーを慎重に運んで行った。

「君はテールナーだったな。 あの惨状を見れば何があったか良く分かった…そして、君がずっと耐えてきたことも。 よく頑張った。 もう安全だ。 君はずっとセレナを守ってたんだな…大丈夫だ。 もう、大丈夫だ…もう、セレナは安全だ」

「テ…テナ………」

 ククイ博士は、何度も何度も言い聞かせるようにテールナーに言っていた。 テールナーは、緊急搬送用のベッドに乗せるころには、セレナを守れたことに安心して、気絶するように眠っていった。 先ほどのように張りつめ、険しく、まるで、獣のような、そんな表情は無く、ただ、安心した表情だった。
 ▼ 257 ンプク@こだいのおうかん 19/09/20 20:43:59 ID:e07E3aRQ [2/43] NGネーム登録 NGID登録 報告










 あれから数日が経った。

 アローラ地方にはスカル団の件で全体的にニュースが飛び交う…訳ではなかった。 それは何故か。 一つは、セレナがある程度知名度のある人物であること。 サトシはこの件に関して大ごとにしたくないと思っていた。 セレナはトライポカロンで好成績を残し、今もホウエン地方でコンテストの準備を進めていたり、自分を高めるべく頑張っている。 この事件が仮に、大々的に流れてしまっては、セレナの旅の足かせになってしまう。 ニュースに流すにしても、セレナに全てを相談して、本人の判断を任せたいと言うのが希望だった。

 二つ目は、ククイの希望で、この事件が全て片付きそうになるまでは落ち着いて行動をして欲しいというものだった。 近々アローラ地方ではポケモンリーグが開催される。 アローラ地方はアローラ地方で独自の文化を大切にしており、他の地方から何かを取り入れて新しい文化を築き上げようとするのは、非常に新しい試みであった。 他の地方から参加してくるものも多くいるだろう。 そんな状況で、セレナが危ない目にあったとなれば、大きな波が立ってしまう。 この事件をメディアに載せるのは構わないが、間違った情報を流すのは混乱の元になりかねない。 今はまだ落ち着いて、事の対処に急ぐべきだと考えていた。
 ▼ 258 レビィ@ドラゴンジュエル 19/09/20 20:49:36 ID:e07E3aRQ [3/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 三つ目は、これもククイの希望になるが、この件で調べたいことが少しあるというものだった。 セレナを襲った人物はスカル団の服装をしていたが、何かがおかしいと考えていた。 それを探し終わるまでは、時間を欲しいという願いであった。
 ククイは博士と名乗っているだけあり、島のものからは信頼され、それなりの権力を持っている。 アローラリーグ設立に大きく関わっている人物で、メディアにも多く取り上げられるほどでもあった。 警察は、そんなククイを信じ、メディアに圧力をかけたり、セレナに近づけさせないようにと配慮をしたり、犯人の逮捕に力を入れていった。

 セレナが病院で入院中、ククイが率先してホテルの荷物を病院に運んだり、ポケモン達を引き取ったりと、長期入院が予想されたのでその手続きをしたりと、あちこちに後処理を回っていた。 ククイのお嫁さんであるバーネット博士にも手伝ってもらっていたので、そう時間はかからなかった。 セレナはある程度回復したあと、ククイが見ず知らずの自分のためにここまでしてくれたことに感謝を述べていた。
 ▼ 259 レディア@グラスシード 19/09/20 20:50:02 ID:e07E3aRQ [4/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 そんなセレナはしばらくの間、セレナの傍にはサトシが離れずにいた。 それはセレナがサトシの傍から離れないというのもあったが、サトシ自身も、そんなセレナを心配し離れずにいた。 当たり前ではあるが、セレナの心に負った傷は一日だけでは取り除くことは出来なかった。 それもそのはずだろう。 セレナはサトシの傍にいるとき、時間をかけてぼそぼそと小さな声で、ククイ達に何があったのかをまるで吐くように喋っていたが、その場で聞いていたものは、苦虫を噛み潰したような表情になっていた。 そして、奇跡的にセレナはこの場にいるのだと、そう理解するのには時間がかからない。

 セレナは日を重ねるごとに回復をしていった。 最初は、セレナの近くにサトシやテールナーやヤンチャムにニンフィアがいなければ、不安で泣き叫ぶほどに心が擦り減っていたが、ポケモンの持つアロマセラピーという技の他に、心を癒す技を徐々にかけ始め、カウンセラーの元、通常の生活に戻るほどまでにはなった。

 元々、セレナは心が強いほうで、回復したらいつも通りに戻るまで遅くはなかった。 しかし、ここまで立ち直るのが早かったのは、サトシの力が大きいだろう。 先ほども言った通り、セレナの心は強いものである。 強いがゆえに、その心が折れたときの反動は大きいものだった。 
 ▼ 260 ディバ@コダックじょうろ 19/09/20 20:50:50 ID:e07E3aRQ [5/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ポケモンバトルを主体に育てていないポケモンと、たとえ質が悪い育て方をされていようとも、バトルを意識して育て上げられたポケモンでは、どうしてもバトルスタイルの差はついてしまう。 しかし、セレナとテールナーは諦めることもなく、ポケモン9匹対1匹の状況を、付け加えれば、トレーナーにすら攻撃を仕掛けてくる悪質なトレーナーに正々堂々勝つほど、セレナたちの心は非常に強いものだった。 だからこそ、心が折れた今、回復は難しいもののはずだった。

 カウンセラーや医師が、異常な程のスピードでセレナが回復していくのに驚いたのは、昔からの知り合いであり、憧れであり、心の支えになるほどの信頼を持つサトシがいなければ、この短い期間で普段の生活に戻ることは難しかっただろう。 他でもないサトシだったからこそ、セレナはここまで回復ができたのだった。
 ▼ 261 ルタンク@なぞのすいしょう 19/09/20 20:51:09 ID:e07E3aRQ [6/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ごめんねサトシ。 ずっと付いていてもらって」

「心配すんなよセレナ! もっと頼ってくれてもいいんだぜ!」

「うん…もう少しだけ、サトシと一緒に…」

 これだけ見れば、仲の良いカップルが会話しているだけにしか見えない。 しかし、その背景に、市民に紛れた格好をした警察が、セレナの近くに多数存在していなければの話だが。 
 セレナは回復が見込まれ、確かに一般的な生活に戻ることができた。 しかし、回復して外に出れるようになった今、スカル団がセレナ達に対して何かを仕掛けることがあるかもしれないと思っていた。 ククイや警官はセレナを保護対象として、言い方は悪いかもしれないが、しばらく監視していた。 

 ククイにはセレナを襲ったスカル団に知り合いがいた。 確かにスカル団は、他人のポケモンを取ろうとしたり、悪さをしたりする不良が集まった集団だが、人に対してポケモンの技を簡単に放つほどの悪質なトレーナーはいないはずだった。 
 狙うトレーナーも一応は考えている。 バトルが得意そうな人間を狙ったり、うちの生徒であれば、リザードンを持っていることが分かっていたカキが狙われたことがあった。 夜中にいる少女を集団で襲うようなことはしない奴らだったはず。 実際、スイレンやマオやリーリエがスカル団によって危険な目にあったことはない。
 ▼ 262 マガル@ハーバーメール 19/09/20 20:51:33 ID:e07E3aRQ [7/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ククイは、不良集団でアローラ中から嫌われているスカル団を徹底的に排除する考え方は持っていなかった。 スカル団に知り合いが居るからというわけではなく、スカル団が作られた理由は、アローラ地方の風習を考えれば出てきてしまうものと理解していたから。 だからといって、スカル団が悪さをしていることを許しているわけではない。 

 セレナが襲われ病院に運ばれた後、連絡を取るべきだと考えいた。 そして、何度も電話をかけるが、その人物が出ることは叶わなかった。 時間を置いて何度も何度もコールをかけるが、その相手は出ることはなかった。 しかし、それでも諦めず、日を置いて、何度も電話をかけ続けていた。
 ▼ 263 クシー@イリマのノーマルZ 19/09/20 20:51:58 ID:e07E3aRQ [8/43] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ククイは、何時も通りポケットから携帯を取り出し、何度も電話をかけているスカル団に繋がる番号を打ち込んでいく。 正直、ここまでしつこくかけている手前、本当に出るかどうかは分からない。 しかし、もしククイの考えが当たっているならば、出るはずだと思った。 何度も電話からコール音が響く。 今日も駄目だったかと思ったその時、いつもの機械的な留守番電話の案内ではなく、何者かに繋がっていた。

 このチャンスを逃すわけには行かなかった。 これが最初で最後のチャンス。 ただ電話するだけなのに、緊張してしまう。 相手を待たせる訳には行かないと思い、一度だけ深呼吸をして耳を当てる。 携帯の向こう側から何かが擦れるような音がする。 それは、向こう側の人物が耳に携帯を押し当て、擦れている音。 彼は出てくれた。
 ▼ 264 ルガレオ@ルナアーラZ 19/09/20 20:52:27 ID:e07E3aRQ [9/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「やあ…グズマ。 やっと出てくれて嬉しいよ」

「…何の用だククイ。 要件を言え」

 ククイが連絡をかけていた人物はスカル団を立ち上げた本人であり、スカル団のリーダを務めるグズマであった。 ククイはグスマとは古い知り合いであり、携帯の連絡先を残していたが、まさか本当に出てくれるとは正直思わなかったが、しつこく電話をしたおかげだろうか。

 グズマはククイのことを嫌っている。 それは、携帯越しの声を聞いたら不機嫌ということが分かるほどに苛立っていた。 ククイの声を聞くのも嫌なほどだろう。 しかし、それでも出てくれたということは、ククイから何かを求めてるのではないか。 勝手ながら、自分の都合の良い考えをしてしまう。
 ▼ 265 ンリキー@すいせいのかけら 19/09/20 20:52:44 ID:e07E3aRQ [10/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「最近、君がポケモンスクールで戦った少年…サトシのことを覚えているかい? サトシの知り合いの女の子が、夜中1人の所を君たちスカル団に襲われてね。 心に深い傷を負って、今、回復の途中なんだ。 そのスカル団について、何か知らないかい?」

「……」

「…取り敢えず、この件は君たちには関係ないと思っている。 彼女を襲ったのはスカル団だった。 だけど、僕はスカル団を装った誰かと考えている。 それだけ伝えるよ」

「……要件はそれだけか?」

「ああ…それじゃあ」
 ▼ 266 ロンダ@スーパーボール 19/09/20 20:53:01 ID:e07E3aRQ [11/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ククイはそれだけ伝えると、先程まで繋がっていた電波が途絶えた。 どうやらグズマが切ったらしく、ククイは耳に当てていた携帯を見る。 スカル団を装った誰かがセレナを襲った。 それが、ククイの考えた答えだった。 

 スカル団は島の者から嫌われる不良集団であり、このアローラ地方にも悪人は少なからずいるが、集団として目立っているのはスカル団ぐらいであった。 極悪犯罪者だろうが、若者の不良集団だろうが、襲われる一般人からしたら悪人は悪人にすぎず、その悪人がどのようにそうなったかなんてことは考えない。 それに加え、襲ってきたものが個人ではなく知名度の高い集団の者であったならば、その悪事を働く本人に指をさすのではなく集団に指をさす。

 深く考えないからこそ、他の市民は犯罪を犯したその個人ではなく、スカル団という集団が何かをやったと言われるようになり、それを利用し、スカル団を装い悪事を働けば、足がつきにくくなり警戒されなくて済むと考えたのだろう。
 セレナは順調に回復している。 だが、セレナは助かったかもしれないが、それ以外のものが、もし同じような目にあったらセレナと同じように回復できないかもしれない。 それは、アローラ地方のものとしても見逃せはしないし、ククイはポケモンスクールの教師として、子供を受け持つ先生として、自分の生徒が危険な目にあってしまわないようにと思っていた。
 ▼ 267 リーパー@ギネマのみ 19/09/20 20:53:16 ID:e07E3aRQ [12/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「後は頼んだよ、グズマ」

 ククイは周りの人に聞こえない程度の声が零れ、風となって消えていく。 その声には、グズマに対しての信頼が含まれているように見えた。 



 サトシとセレナは街中を歩き、サトシがカロス地方から旅立ち、アローラ地方のポケモンスクールで何を勉強しているかなどを、セレナに思い出を話しながら、道端にあるベンチに座っていた。 サトシはセレナの隣にぴったりとくっつき、セレナの手を握り、離さないようにしていた。 深い意味はないだろうが、それでも、セレナにはサトシに大切にしてくれている。 思ってくれてると言う気持ちが十分に伝わってくるのが嬉しくてたまらなかった。 
 ▼ 268 ーデリア@ぎんのこな 19/09/20 20:53:34 ID:e07E3aRQ [13/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナがスクールのみんなと知り合ってたなんて驚いたよ」

「私だって色んな意味で驚いたんだから。 まさか、こんなところでサトシと出会えて、それで、今まで出会ってきた人たちはそんなサトシのことを知っていて…ふふ、色々あったんだ」

「俺だってセレナに会えるなんて思ってなかったさ…それに、もっと早く、会えれば良かったって思ってた」

 サトシの手に力が入り、セレナの手を強く握り締める。 セレナが砂浜でスカル団の相手をしたときのことを言っているのだろう。 サトシはもっと早くにとは言っているが、セレナはサトシが全力で走っていたことをククイ博士から聞いていた。 確かにダストダスに襲われる寸前までは何もできずの状態まで疲労していたが、それでも、最後まで攻撃を受ける前に他でもないサトシが助けてくれたのだから、十分だと感じていた。 それに、今こうしてサトシが手を握ってくれてずっと付いてくれて、心配してくれて。 そんな状況がセレナは嬉しかった。 
 ▼ 269 ンベアー@ボロのつりざお 19/09/20 20:54:01 ID:e07E3aRQ [14/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私は嬉しかった。 サトシが助けに来てくれて…本当に、王子様みたいに見えたんだから。 それにね、私があそこまで耐えられたのは、サトシたちの旅があったから。 いつも私に勇気をくれたから。 今だってそう。 サトシがこうして私の傍に付いてくれて、ずっと笑顔で励ましてくれる。 そのおかげで、私もいっぱい元気を貰って、今のままじゃいけないって思えて…だから、サトシが悪いって思う必要なんてないんだよ? それにね。 今思えば、スカル団に襲われた時以上に怖い目にあった時がいっぱいあったんだから!」

「セレナ…」

「えへへ…だから、私はもう大丈夫! だけど、もう少し…もう少しだけでもいいから…」


「サトシと一緒にいたいな…」

 セレナはサトシの腕に自分の腕を絡めて頭を肩に乗せる。 いつもなら、こんなにも大胆なことは出来ないが、大丈夫とは言っていても、心はやはり傷ついたなのだろうか。 サトシに会いたい。 甘えていたい。 抱きしめたい。 そんな気持ちが、今まで思っていてもずっと出来なかった。 カロス地方で素敵な女性になると、サトシに言ったっきり会ってなかった。 だから、今まで溜め込んできたものが、サトシが自分を守ろうとしてくれるこの状況で、溢れ出てしまったのだろうか。 
 だけど、そんなことはもう関係ない。 ただ、今は大切なサトシと、一緒の時間を過ごしたいだけだった。
 ▼ 270 ィ@りゅうのキバ 19/09/20 20:54:23 ID:e07E3aRQ [15/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私は嬉しかった。 サトシが助けに来てくれて…本当に、王子様みたいに見えたんだから。 それにね、私があそこまで耐えられたのは、サトシたちの旅があったから。 いつも私に勇気をくれたから。 今だってそう。 サトシがこうして私の傍に付いてくれて、ずっと笑顔で励ましてくれる。 そのおかげで、私もいっぱい元気を貰って、今のままじゃいけないって思えて…だから、サトシが悪いって思う必要なんてないんだよ? それにね。 今思えば、スカル団に襲われた時以上に怖い目にあった時がいっぱいあったんだから!」

「セレナ…」

「えへへ…だから、私はもう大丈夫! だけど、もう少し…もう少しだけでもいいから…」


「サトシと一緒にいたいな…」

 セレナはサトシの腕に自分の腕を絡めて頭を肩に乗せる。 いつもなら、こんなにも大胆なことは出来ないが、大丈夫とは言っていても、心はやはり傷ついたなのだろうか。 サトシに会いたい。 甘えていたい。 抱きしめたい。 そんな気持ちが、今まで思っていてもずっと出来なかった。 カロス地方で素敵な女性になると、サトシに言ったっきり会ってなかった。 だから、今まで溜め込んできたものが、サトシが自分を守ろうとしてくれるこの状況で、溢れ出てしまったのだろうか。 
 だけど、そんなことはもう関係ない。 ただ、今は大切なサトシと、一緒の時間を過ごしたいだけだった。
 ▼ 271 ツハニー@あまいミツ 19/09/20 20:54:40 ID:e07E3aRQ [16/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 あれから更に数日が経つが、その後のセレナの回復は目覚しいもので、今ではスカル団の件が起こる前の状態には戻っている。 現在でも、サトシの手を繋いでいる状態ではあるが、それはただ単に、セレナがサトシの手を繋ぎたいとお願いをしているだけである。 手を繋いでいたサトシはいつもどおりのように見えて、心なしか少し照れているのであった。 

 サトシは異性の考え…つまり、恋愛だとか恋人だとか、そういったものには絶望するほどに詳しくはなかった。 鈍感という言葉が似合うほどだったり、ただ興味がなかったり、それは新しいポケモンか? と、聞いてしまうほどに知識が少なすぎている。 しかし、そんなサトシでも、セレナに対しては少なからず異性として意識せざる負えなかった。
 ▼ 272 ルガモス@ヨロギのみ 19/09/20 20:55:01 ID:e07E3aRQ [17/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシとセレナがカロス地方の空港で別れる際、セレナはサトシに対して口づけを交わしていた。 そして、告白まがいなことをサトシに伝え、サトシとセレナは別れていた。 鈍感なサトシでも、無理やり意識させるような行動をセレナはとっていたのが原因だった。
 
 サトシもセレナのことを大切な人物だと思っているし、危ない所を何度も助けてくれた仲間であり、信頼している女の子であった。 照れくさいと感じてはいるものの、これが異性に向ける感情なのかは細かく理解はしていないが、とにかく、セレナに対して何かしらの特別な感情を抱いていることは間違いなかった。
 ▼ 273 ケンカニ@グッズケース 19/09/20 20:55:23 ID:e07E3aRQ [18/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それにしても…ごめんねサトシ。 折角スクールに通ってたのに、私のせいで休むことになっちゃって。 ククイ博士も休んじゃうことになっちゃったし…ここに来て、いろんな人に迷惑をかけちゃった」

「俺が好きでやってるだけなんだから気にしなくていいんだぜ。 博士だってそれは同じ気持ちだからさ。 それに、セレナの具合がやっと良くなったんだ。 元気に行こうぜ。 な?」

「ピーカ、ピカチュ!」

「うん…そうだね。 やっぱりサトシとピカチュウには敵わないなぁ…」

 サトシはセレナに付きっきりで治療に手伝っており、ククイはスカル団の件を警察と一緒に調査をしたりでポケモンスクールを一時的に休んでいた。 ククイが受け持っていた生徒は他の先生に頼んでいるため問題はない。 まずはこの件を片付けてから仕事を再開しなければ、自分の生徒まで標的になってしまっては元も子もないと考えていた。 スクールの校長にも許可はもらっている。
 ▼ 274 ャオブー@まんたんのくすり 19/09/20 20:55:38 ID:e07E3aRQ [19/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 現在はある程度事件もセレナも落ち着きを取り戻しているので、今日からククイもサトシも学校に復帰するといった具合だった。 サトシのクラスメイトであるスイレンたちにはこの事は詳しく話していない。 突然なことであり、話す時間も無かったという理由もあるが、人に広めるものでもない話なので、意図的に話していなかったこともある。 

 学校側からククイとサトシが理由をぼかして一時的に休む事になるというのは伝えてあるが、今日復帰すれば問い詰めてくることは確実だろう。 その時には、何があったかある程度話しておくのが良いと思っていた。 心配もかけていただろうし、下手に嘘をつくのも良くはない。 
 ▼ 275 ケニン@ふるびたかいず 19/09/20 20:56:00 ID:e07E3aRQ [20/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 そして、サトシとセレナは一緒にポケモンスクールに向かっている。 ククイはセレナポケモンスクールに体験入学してもらい、見える範囲に保護をしておきたいと考えていた。 セレナは通常通りの生活に戻れるようにはなったが、アローラ地方にいる間だけでもいいので、なるべく安全だと思う場所にいて欲しいと思っていた。 

 サトシはセレナがスクールに来ることに喜んでおり、セレナもそんなサトシを見てポケモンスクールに遊びに行くことを決めていた。 ククイから見て、セレナは賢い子だと思っていた。 全てを伝えているわけではないが、自分がまだ保護下にいることを理解しているだろう。 それでも、セレナをこれ以上あぶない目には合わせていけないという気持ちも伝わっているはずだった。 セレナはサトシと一緒にいたい気持ちもあるだろうが、ククイ達の心配を無下にすることもしなかった。
 ▼ 276 ェイミ@たわわこやし 19/09/20 20:56:32 ID:e07E3aRQ [21/43] NGネーム登録 NGID登録 報告

「サトシはスクール楽しい?」

「ああ、スッゲー楽しいぜ! みんな全力で過ごしててさ! 今まで知らなかったことや新しい発見がいーっぱいあるんだ! セレナもきっと楽しめると思うぜ! それに、セレナのパフォーマンス、また見せてくれよ!」

「うん! 私のポケモンたちの演技、あれからすっごく良くなってるから、サトシに見て欲しいな」

 スクールに向かっている途中で、サトシはスクールのことを話し、セレナはコンテストのことを話していた。 サトシはいつも遅刻ギリギリにスクールへ登校していることが多いのだが、セレナがいるときは何故か早起きをしていたので、ククイは珍しいなと驚いていた。 セレナは逆で、サトシがいつも遅刻ギリギリということに驚いており、カロス地方とアローラ地方での生活の違いを感じていた。
 ▼ 277 イーガ@いんせき 19/09/20 20:56:52 ID:e07E3aRQ [22/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシはセレナたちと旅をする前から、ほかの地方に足を運んでいることが多々あり、そのときは、自分よりも年上で頼れる兄貴分が旅の仲間にいたり、言い方は悪いかもしれないが、自分よりも確りしている人がいるから大丈夫と甘えている気持ちがあった。

 カロス地方では、年も同じぐらいの仲間と旅をし、中にはサトシよりも年の小さい子もいた。 すると、自然に旅を続け経験が豊富なサトシが皆を引っ張っていく存在となり、仲間たちの中心として確りしないとという気持ちが付いていた。 元々、熱い気持ちやリーダーシップの素質はあったので、無事に最後まで旅を続け終えたというのが何よりの証拠だろう。

 セレナが傍にいるのでその気持ちがまた蘇ってくるように感じたのか、サトシはいつもよりも少しだけ気持ちが大人びていた。 セレナを守ってあげないとという思いもあるため、セレナがいる間は自分は確りしておかなければと切り替えたのだろう。
 ▼ 278 ブリボン@ロックメモリ 19/09/20 20:59:26 ID:e07E3aRQ [23/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ピカピ!」

「お、スクールが見えてきたぜ! 」

「あれがサトシが通ってる…」

 しばらく話していると、サトシの肩に乗っているピカチュウが目の前を指をさす。 その先の景色に大きな建物が見えており、遠目から見えるほど広い土地に作られたその建物が、サトシの言うポケモンスクールらしい。 ガラス窓のようなものは付けられてなく、非常に開放感あふれる作りになっていた。 スクールの目の前には広い海が見えており、アローラ地方の気持ちの良い海風が入ってくるのを想像する。 一度は海に面した場所で過ごしてみたいと思っていたが、アローラ地方であればそんな夢も簡単に叶ってしまうだろう。
 ▼ 279 トツキ@じゃくてんほけん 19/09/20 21:02:53 ID:e07E3aRQ [24/43] NGネーム登録 NGID登録 報告


「アローラ! みんな久しぶり!」

「サ、サトシ!? お前今まで何してたんだ!」

「本当ですよ! 何も連絡もしないで一時的にお休みをと聞かされましたから」

「サトシ。 何があったのか詳しく聞きたい」

「本当だよ〜! みんな心配したんだからね!」

「サトシのことだから何かに巻き込まれたんじゃないかと思ったんだけど…」


 サトシが突然スクールに現れ、スクールにいるカキやリーリエ、スイレンやマオにマーマネは、それぞれの反応をしている。 全てサトシを心配している声であり、何も連絡もされず突然ククイとサトシが休みを取ると聞かされたときは、何かに巻き込まれて大変な状況なのではないかと想像し、モヤモヤと心に霧がかかったままその数日を過ごしていた。 
 ▼ 280 ンテール@みどりのプレート 19/09/20 21:03:14 ID:e07E3aRQ [25/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「へへ、ごめんごめん! それは後から詳しく話すからさ! それよりも、紹介したい人がいるんだ!」

「紹介したい人ってお前なあ…ん?」

 当の本人のサトシは休みのことなど気にしていないようで、それよりも他のことに気を使っている様子だった。 紹介したい人と言っており、サトシに集中して気付かなかったが、その後ろにほかの人影が見える。 手を握っているようで、その人物を影から引っ張りサトシ前に出していく。
 ▼ 281 ゾノクサ@ゴーゴーゴーグル 19/09/20 21:03:31 ID:e07E3aRQ [26/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ど、どうも、みんな久しぶり」

「じゃじゃーん! 俺の旅の仲間だったセレナ! どう? 驚いた?」

 セレナがサトシの後ろから現れ、サトシはいたずらが成功したような笑みを浮かべていた。 それもその筈で、カキ達は空いた口がふさがらないような表情をしており、思わず口を塞いでいたり、目が飛び出しているような表情をしていたりと、様々な反応をしていた。 

 サトシが急に現れたことにも驚いたが、この場にいる全員が知り合っていたセレナが現れたことにも驚いていたし、サトシの昔の仲間だったことにも驚いていたし、もはやどうしていいか分かっていなかったりもした。 とにかく、色々情報が飛び込んで来たので、処理が追いついていない頭をグルグルと回転させ落ち着かせていく。 サトシは頭を抱えているみんなを笑いながら、セレナは照れているのか苦笑いをしてごまかしていた。
 ▼ 282 クガメス@ダークボール 19/09/20 21:03:47 ID:e07E3aRQ [27/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「とにかくだ。 お前たちに一体何があったのか説明してもらおうか」

「セレナはどうしてここにいるの?」

「うん、もちろんそれも説明するつもり」

 サトシたちは円になるように椅子を並べて座っている。 心の中に霧がかかっているカキたちにはどうしても聞きたいことはいくつもあった。 何故、急に休みを入れたのか。 休みを入れるにしても、サトシとククイが同時なのにも疑問があった。 有給を使い遊びに行ったとなれば、代わりに来た先生になぜ休んだのかを聞けば答えてもらえるようなことだった。 なのに、用事があるの一点張りで、何も教えてもらうことはできなかった。 そのせいで疑問は疑問を呼び、ずっと考えていた。

 説明を求めていたカキたちは、サトシから答えが出ると思っていたが、隣にいるセレナが教えてくれるようであった。 そういえば、どうしてセレナがこの場にいるのだろうか。 サトシと知り合いなのはわかったが、それが、サトシたちの休みにどうか変わるのだろうか。 疑問は更に疑問を呼ぶ。 とはいえ、答えを教えてくれるのであれば、静かに聞くのが吉であろう。 カキ達は自分たちの顔を見渡し頷く。
 ▼ 283 バゴーラ@グラウンドメモリ 19/09/20 21:04:03 ID:e07E3aRQ [28/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「少しだけ長い話になっちゃうかもしれないけど、出来るだけ短く話すようにするね。 結論から言えば、サトシたちが学校を休むことになったのは私のせいなの」

「セレナの?」

「うん。 私はサトシたちが休んだ日の前に、砂浜にテールナーと一緒に歩いてたの。 だけど、一人でいることが駄目だったみたい。 スカル団に襲われて、危うく誘拐されるところだったの…」

 セレナから出た言葉は衝撃的な内容だった。 スカル団に襲われ誘拐寸前になったこと。 セレナに攻撃を加えながらも、何とか撃退したこと。 撃退し、ボロボロの状態で他のスカル団が現れたこと。 そこに、サトシたちが現れ、何とか窮地を救われたこと。 そこからは病院でしばらくの間入院したことや、リハビリに時間をかけていたこと。
 ▼ 284 ルーグ@きんのたま 19/09/20 21:04:18 ID:e07E3aRQ [29/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 知らなかった。 ここまで何も知らなかったことに、カキ達は顔を覆ってしまうほどに悔しくてたまらなかった。 セレナとは短い関わりかも知れない。 しかし、ほかの地方から旅行をしてきて、偶然出会って、そこから自分の身近にいる知り合いに会っていって、少なからず友達といえる存在だと思っていた。 セレナの旅の話は面白かったし、一緒に話していてて楽しいと感じていた。 しかし、そんな友達が、数日前にこのアローラ地方で危ない目に遭って、もしかしたら二度と会えないかもしれない状況になってたなんて、思いもしなかった。

 ククイやサトシも人が悪いと思った。 そういうことならば、見舞い行きたかった。 励ましの声をかけたかったと思ったが、直ぐにそんな考えを頭から消した。 一日だけ喋った奴が何を言ったとしてもセレナには届かないだろうと。 そう思ってしまった。 
 ▼ 285 リーン@にじいろのはね 19/09/20 21:04:44 ID:e07E3aRQ [30/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だけど、私は大丈夫。 テールナーが私のために頑張ってくれて、サトシが助けてくれた。 こうしてまた会おうって言った人たちにも会えることが出来た。 アローラ地方で危ない目にあったかもしれないけど、それ以上に楽しいことだっていっぱいあったから。 それは、ここにいる皆のおかげ。 私はみんなにも救ってもらったって、そう思った」

「だから、今日は一緒によろしくね、みんな」

 セレナは暗い空気を晴らすように笑顔で、この教室に居るみんなに伝えていく。 カキたちが知りたかったことは思った以上に重く、苦いものだったかもしれない。 しかし、それはもう終わったことだと言うように、セレナは前を向いて喋っていた。 今ここにいるのは、ただのスクールに学びに来たセレナと言う女の子に過ぎない。その気持ちを感じ取ったカキたちの表情は自然と戻って行き、セレナと同じように笑顔になる。 先程まで霧がかかっていた心も、元通りに戻っていた。 
 ▼ 286 ドシシ@ネットボール 19/09/20 21:10:53 ID:e07E3aRQ [31/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それにしても、まさかセレナがサトシの知り合いだったなんてなぁ。 お前らはセレナと旅の話について聞いてたんだろう? その話にサトシが出てきてもおかしくないと思うんだが」

「そういえば、確かにサトシの話は出てきませんでした。 スイレンは何か聞きましたか?」

「私も何も聞いていない。 マオちゃんも聞いてないって言ってた」

「あー…それは、聞かれてないのもあるけど、私が喋ってなかったのもあるかなー…なんて」

 スイレンたちと出会った時に旅の話を確かにしていたが、仲間の話を積極的に聞かれてはいないし、目の前にいたセレナの話を中心に広げていくことが多かった。 それでも、サトシを含める旅の仲間の話が一度も出ないということはなく、セレナの旅の話を語る上では必要不可欠な存在であることは変わらない。 ただ単純に名前を出さなかったというのもあるが、セレナがサトシの話を出してしまうと余計なことまで言ってしまいそうで極力話さなかったというのもある。 というのも、旅の途中でセレナとサトシの関係を気にかけ、よくからかいを入れてくる友人がいたので、それをどうしても思い出してしまい、こういう話は自分から話すべきものではないと思ってしまう。
 ▼ 287 ガリザードンX@むらさきはなびら 19/09/20 21:11:12 ID:e07E3aRQ [32/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 今はセレナとサトシの関係性も話しており、そうすると、スイレンたちと話した中でサトシという人物が出なかったことに疑問が沸いてしまうの仕方ないとは思う。 となりにはそのサトシがいるから下手なことは言えないとは言え、大体のことは察してもらえるだろう。 照れながら誤魔化しているように話すセレナをスイレンとマオが見逃していないのが何よりの証拠だった。

「ふ〜ん、へ〜、ほ〜…セレナはそんな風にねえ…」

「この話は後から詳しく聞くとして、ククイ博士は今日は来るの? それに、ロトム図鑑もいない」

「あ、そういえばロトムがいない! ついに解体されちゃった?」

 事情をなんとなく理解した二人は、セレナが問い詰められるのは後回しにしてくれたようだった。 分かっていない人の方がこの教室には多いが、他人のそういった事情にあちらこちらから首を突っ込むのも野暮というものだろう。 カキ達は妙に納得しているスイレン達にハテナマークを浮かべながらも、セレナは一人ホッと息をついていた。
 ▼ 288 ガチルタリス@くさのジュエル 19/09/20 21:11:54 ID:e07E3aRQ [33/43] NGネーム登録 NGID登録 報告

 サトシとセレナの関係は一度置いとき、サトシとククイは一緒に住んでいるのに、ククイが来ていないことに気づいたスイレン。 ついでに、サトシの周りにいつも飛び回っているロトムというポケモンが図鑑に入ったロトム図鑑もいないことに気づく。 マーマネはロトムを解体しようと何度か試みていたので、冗談か本気で言っているのかわからないジョークを言っていた。 もちろん、ロトム図鑑は解体されているわけではなく、ククイ博士たちの手伝いをして一時的にサトシから離れていた。 ほかにも、サトシとピカチュウはセレナに集中して看病してあげて欲しいということもあり、ロトム図鑑のことを知らないセレナの周りに居ては、心置きなく気を休める時間が減ってしまうのではないかという配慮も加えていた。 
 サトシはそう言った説明をスイレンたち話そうとすると、サトシの肩に乗っているピカチュウが耳をピクピクと動かし、入口の方へ首を回す。 耳を澄ますと聴き慣れた足音が聞こえる。 ククイ博士が来たようだった。
 ▼ 289 ルット@しめつけバンド 19/09/20 21:13:54 ID:e07E3aRQ [34/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アローラ! お、サトシはセレナをちゃんと連れてきたようだな」

「ビビ! サトシ久しぶりロト! 会いたかったロト!」

「ロトム久しぶり! 元気してた?」

 電子音が混ざった声を出しながらサトシの周りに飛び回る見たこともないその物体。 セレナは話には聞いていたが、本当にポケモンが言葉を話すなんてと、関心をしながらその奇妙な赤い図鑑を眺めていた。
 セレナは人間の言葉を使うポケモンを見るのは初めてではないのだが、それでも珍しいことには変わりはない。 ロトム図鑑は先ほどからサトシに久しぶりに会ったことに喜んでいる様子だった。 しばらくすると落ち着きを取り戻し、セレナに気づいたようで電子音とともに急接近をしてくる。
 ▼ 290 クレー@にじいろのはね 19/09/20 21:14:26 ID:e07E3aRQ [35/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ビビ! 君がセレナロト? 会うのはこれが初めてロト! 僕の名前はロトム図鑑! それにしても大変だったロトね? サトシが飛び出して何があったかと思えばククイ博士から急に病院へ呼び出されて、事情を聞いてみればサトシの友達のセレナが大変な目にあったと聞いて。 サトシの傍にいないと精神が不安定になってしまうから、面識のない僕はサトシの傍にいたら邪魔になるって言われたあとに事件の調査のため僕の図鑑の中にあるデータを利用したいだとかでククイ博士の助手をしばらく勤めて、でもでも現場に残されている技の情報はこの島には珍しくないポケモンが使う技ばかりで事件の調査は難航を極めたり、色々していたらククイ博士がいい考えがあるとかで一時的に事件の操作を中止したりでモーびっくりロト。 撮りだめしていたアローラ探偵ラキもまだまだ見れず、だけど久しぶりにサトシにも会いたいと思っていたらサトシとセレナが学校にいると聞いてククイ博士と飛び出してきたロ…って何をするロト博士!?」

「ロトムお前なぁ!」

「あ、あはは」

 セレナが喋る暇もなく濁流のように喋り続けるロトム図鑑を、ククイは少し怒りながら無理やりロトム図鑑を捕まえ喋れないようにしていた。 あまりの出来事にセレナは苦笑いを隠せないでいたが、今まで自分のこと為に働いてくれたと思うと悪いポケモンでは決してないのだろうと、サトシとピカチュウと一緒に笑い合う姿を見てそう思った。
 
 ▼ 291 ルネアス@レンブのみ 19/09/20 21:21:19 ID:e07E3aRQ [36/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ククイはロトム図鑑をセレナから引き剥がし、頭を掻きながら申し訳そうな顔をしながらロトムの代わりにセレナへ誤っていた。 セレナは気にしてはいない様子で、両手を前に振りながら「私は大丈夫ですから」と少し焦りながら言うと、ククイはもう一度ロトムに念を押すようにデリーケートな部分はあまり口には出さないようにと念を押すように言っていた。 セレナからしてみれば、お礼を言ったり謝りたいのはセレナのほうだった。 見ず知らずの自分をこんなにも良くしてくれて、わがままも何度も聞いてもらっている。 

 アローラではサトシはククイの家に寝泊りをしており、そこから学校に登校したりなどは話には聞いている。 二人の間には、血の繋がりがないかもしれないが、家族と同じような信頼が二人からは見て取れていた。 つまり、ククイにとってサトシは今はまだいないが自分の息子と同じような意識を持っているのだろう。 そんなサトシの友人であるセレナが危ない目にあったならば、確かにセレナを全力で助けるだろうし、実際にセレナは何度も助けられてきた。 もちろん、事件を起こした場所がアローラ地方ということもあり、セレナがサトシの友人ではなくとも事件の解決に全力を尽くすだろうが、それはククイの仕事ではなく警察の仕事だ。 ククイがこの事件に関わっているのはサトシが関係しているからというのがやはり大きい。

 今まではセレナ自身の余裕がなく、お礼を言いそびれてしまっていた。 だからこそ、ちゃんとした機会を見つけてお礼を言わなくてはいけない。 そう思っていると、ククイはその大きな手の平を何度も叩き注目を集めるように促す。
 ▼ 292 ーバーン@ミミッキュZ 19/09/20 21:21:40 ID:e07E3aRQ [37/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はい注目! 久しぶりに俺が授業を始める前にだが、まずは今日一日、セレナがアローラスクールに体験入学するぞ! というわけで、セレナには一度自己紹介をしてもらって最初の授業を始めようと思う。 それじゃあ、セレナ。 全力の挨拶をおねがい…って言いたいところだけど、まずは部屋を元に戻してからだな」

 教室の中はセレナの話を聞いたりするために机や椅子を移動していたので、まずは定位置に戻してからセレナの挨拶をしてもらうことにした。 ククイはサトシたちが教室を元に戻している間に、セレナの机と椅子を新しく用意していた。 元に戻した後、ククイの指示に従いセレナは教卓の前に立つと、ここにいるサトシたちやククイを見渡す。 見られることには慣れているのだけれども、妙に緊張するのはなんだろうかと思いながら、息を大きく吸い挨拶をし始めていく。
 ▼ 293 リンリキ@ふしぎのプレート 19/09/20 21:22:05 ID:e07E3aRQ [38/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アローラ! 私の名前はセレナです! カロス地方という場所から旅行でアローラに来ました! 皆さんとは何度か話をさせてもらったりして何度も話しているけど、今日はククイ博士にお願いしてもらってポケモンスクールに体験入学させてもらいました! 今日はよろしくお願いします!」

 セレナがよろしくと言うと、教室にいる生徒からは大声で同じようによろしくと返ってくる。 

「よし、全力の良い挨拶だったぞ。 それじゃあ、セレナにはさっき持ってきた席についてもらった後、授業を始めるからな」

 ククイが始めた授業は生徒が学んだことの復習もかねて作られたもので、初めてアローラ地方に来たセレナにも分かりやすく組まれた内容だった。 アローラ独特の風習である島めぐりやZ技について。 島ごとに存在する守り神や、リージョンフォームというポケモンの姿だけではなくそのタイプまでも変化してしまう現象について。 セレナはある程度見たり聞いたりしてきたものではあるが、詳しくは知らなかったのでククイの授業内容はとても面白く感じていた。
 ▼ 294 ウマ@ちかのカギ 19/09/20 21:22:40 ID:e07E3aRQ [39/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
課外授業ということで外に出てポケモンを観察したり、野生のポケモンたちと触れ合ったりと、近くに森が存在するポケモンスクールならではの授業が行われたりした。 生徒が先生となりほかの生徒に授業をしていくといった珍しい形式がとられていたり、セレナはポケモンスクールの一日を十分に体験していった。

 楽しい時間はすぐに過ぎるようで、大きな鐘の音がスクール中に響き渡る。 ポケモンスクールの頂上にはドータクン型の鐘が設置されているようで、授業や学校の終わりなどの時間を過ぎた場合、そこにいるネッコアラというポケモンが鐘を鳴らしてくれるようだった。
 今なった音は最後の授業が終了した音。 つまり、セレナの一日体験授業が終わりを告げたということになる。 ククイは鐘の音が響き終わるのと同時に大きく手を叩き生徒たちの注目を自身に向けると、終わりのホームルームの準備を始める。
 ▼ 295 ーバー@スペシャルアップ 19/09/20 21:23:12 ID:e07E3aRQ [40/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「今日の授業はこれで終わりだ。 セレナ、授業は楽しかったか?」

「はい! 知らないことやみんなのこともいっぱい知れて、想像以上に楽しかったです! それと、ククイ博士、お願いしてもいいですか?」

「ああ、勿論大丈夫だぞ!」

「何のこと?」

 急にセレナとククイは周りの人には分からないような、口裏を合わせているような会話をし始め、サトシは頭をかしげながら疑問を感じていた。 それはサトシだけではなく、他の生徒も同じように感じているのだが、それを尻目にセレナは教卓の前に、ククイの隣に歩き進める。
 ▼ 296 ノガッサ@カシブのみ 19/09/20 21:24:09 ID:e07E3aRQ [41/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「今日はありがとう。 こんなに楽しい時間を過ごせれたのは、みんなに出会ったから。 だから、私はみんなに何かお礼をしたいと思ってたの! そして、私がみんなに出来るお礼は、私の全力の感謝を込めて、パフォーマーとしての演技を披露すること。 私がこのアローラ地方で感じたことを、見たことを、思いを、私の演技で表現したものを、みんなに見てほしいと思ったの!」

「アローラ地方に無いポケモンコンテストやトライポカロンといった、ポケモンの魅力を引き出す大会。 セレナはそのパフォーマーとして活躍している人物だ。 そんなパフォーマーの演技を見てみたくはないか?」

 ククイの発言とともに教室にいる生徒は笑顔で何度も見たいと連呼をし始める。 ここにいる生徒はセレナと出会いトライポカロンなどの演技について、話だけでしか聞いたことのないものだった。 つまり、実際の演技は見たことはなく、セレナの話を元に想像で補完するしかなかった。 そのパフォーマーであるセレナが実際に演技を披露してくれるとなれば、話でしか聞いたことのないものを見たいと思うのは当たり前のことだった。 
 ▼ 297 シラム@サファリボール 19/09/20 21:25:32 ID:e07E3aRQ [42/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナは演技を始めるためにククイたちと共にグラウンドに移動をし始める。 十分な広さがあるポケモンスクールのグラウンドなら、場所を広く使う演技をしても問題はなさそうだった。地面に何度も足を踏みつけても凹みがつく様子はない。 多くの生徒が利用するこのグラウンドは、その生徒たちの足によって良く踏み均されていた。 ポケモンたちが足を滑らせて途中で演技を失敗しる可能性は低い。 教室から覗き込むように空を見たが、美しい青色が広がっている。 天気も良好で、演技をするには素晴らしいともいえるコンディションだった。

 満を持してセレナの手持ちにいる三匹のポケモンをグラウンドへ放つ。 三匹はセレナの瞳を見ているだけのはずなのだが、その三匹と一人の間には何か見えない糸のようなもので繋がっているようにも見えた。 三匹はセレナから指示を受ける前に技を一度出して、準備運動のように自分たちの調子を確かめていく。 セレナ自身も目を瞑って体を動かしながら頭の中で演技の手順を確認していく。 セレナたちは準備運動をしているだけのはずなのに、その場には妙な緊張感が放たれていた。 セレナが今から演技を披露することはわかっているのだが、それを抜きにしてもセレナに注目が集まっていくの感じていた。
 ▼ 298 ーミラー@プテラナイト 19/09/20 21:26:32 ID:e07E3aRQ [43/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(セレナがパフォーマーというのは事前に教えてもらっているが、先ほどまでの雰囲気やセレナの表情はいつもとはまるで違う)」

 ククイは顎を摩りながらセレナを様子を見ていた。  たかが準備運動かもしれないが、その周りに纏うそのオーラと言うべきなのか、その一つ一つの動作には迷いがないように見えた。 何かしらの競技で活躍している選手は、自分が落ち着く動きや固定化された一連の動作をしているとは聞く。 セレナの動作はまさにそれであった。
 ククイは横目で自分の隣に並んでいる生徒を見てみると、ククイと同じように驚きの表情を浮かべるものや、真剣な眼差しを向けるものや、セレナが演技を見せてくれることに対して喜んでいるのかは分からないが、笑顔を浮かべる者もいた。 とにかく、ククイを含め、セレナの変わりようには少なからずとも驚いている様子だった。
 
 準備運動が終わったのか、最後に深呼吸をしているような、空気が吸い込まれる音と出させる音がセレナから聞こえてくる。 セレナは周りを見渡すと、窓がない開放感あふれるポケモンスクールからは何事かと顔を覗き込む生徒や教師たちがグラウンドにいるセレナを見ていた。 
 ここは会場だ。 セレナはククイたちへの感謝を込めて演技をする予定なのかもしれない。 しかし、ククイたち以外の人たちがセレナに注目を浴びていることが分かってしまった以上、パフォーマー魂というものが疼いてしまうというか、見ている人たちを全力で楽しませなければいけない。 そう思ってしまう。
 ▼ 300 ブト@ゴーゴーゴーグル 19/09/20 21:38:29 ID:waGMbH86 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 301 ンプク@ダイブボール 19/09/20 21:43:57 ID:dnrApHQ2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 302 デンネ@まんぷくおこう 19/09/22 00:00:36 ID:XLMw33uc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 303 クタス@クオのみ 19/09/24 10:22:58 ID:eGScrCn2 NGネーム登録 NGID登録 報告
続き楽しみすぎる 
支援
 ▼ 304 ガフーディン@ポケモンボックス 19/09/24 21:51:39 ID:fCDwYoRo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 305 リデプス@おいしいみず 19/09/26 09:41:19 ID:VY86kNtk [1/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「皆さーん! アローラ! 私の名前はセレナです! 今から私はポケモンたちの魅力を引き出すパフォーマンスをさせていただきます! 良ければ楽しんでみてください!」

 深呼吸を済ませているセレナはさらに息を吸い込み、教室から覗き込んでいる人に呼びかける。 全力の笑顔を添えて、大きく手を振りながら呼びかけるその姿は、恐る恐る見ている人や何が始まるのか分からないと疑問に感じている人たちの心を掴んでいった。 

 そして、場を整えたセレナはポケモンたちと共に動き出す。 最高の演技をこの場でするために。
 ▼ 306 ガネール@こだいのおうかん 19/09/26 09:42:30 ID:VY86kNtk [2/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「行くわよみんな! ヤンチャム、地面に向けて円状にストーンエッジ!」

「チャァ…ム!」

 ヤンチャムはセレナの掛け声と共に走り出す。グラウンドの中心で空高く飛び上がり、そのまま落下の勢いを利用しストーンエッジを放つ。そこには、技を放っているヤンチャムを中心に、二段階の円状に作られた岩のスタジアムが作られた。
 一段目は演技でもよく使われる通常のストーンエッジ。円状に広がり等間隔の隙間が空いているいるのだが、その隙間を埋めるように、外側にはもう一段のストーンエッジの壁が作られるようにしていた。
 ▼ 307 コロモリ@やすらぎのすず 19/09/26 09:43:12 ID:VY86kNtk [3/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「良いわよヤンチャム! テールナーにニンフィア!」

「テナ!」

「フィア!」

 岩のステージが完成したことを確認したセレナは、テールナーとニンフィアに指示を出し二匹は走り出す。テールナーは岩のステージの中心にいるヤンチャムに向かい、ニンフィアは外側に作られているストーンエッジに向かい走っている。
 ニンフィアはストーンエッジの先端に飛び乗り、テールナーがっやんちゃ無の元に到着した瞬間、セレナは次の指示を出し始めた。
 ▼ 308 イプ:ヌル@ウルトラボール 19/09/26 09:43:58 ID:VY86kNtk [4/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィアは影分身! ヤンチャムはテールナーの足につっぱり!」

 ニンフィアはセレナの指示通りに影分身を使い始める。ニンフィアの周りに影分身をするのではなく、事前に練習をした通りに、ニンフィアが載っていないストーンエッジの先端に影分身を乗せ始める。中心にいるヤンチャムたちを囲むように、ニンフィアは並べられている。
 その一方で、テールナーはヤンチャムの頭上に飛び上がり足を向けていた。ヤンチャムはその足に向けてつっぱりを使い、テールナーを空中高く押し上げていく。テールナーの脚力では空高くまで飛ぶことはできないが、ヤンチャム技を使えば可能になる芸当だった。
 ヤンチャムはテールナーを空高く押し上げれたことを確認すると、岩のステージの外に走り出し次の指示による技の避難をしていた。セレナもヤンチャムが避難できていることや、ニンフィアが準備を完了しているのを確認した瞬間、テールナーの高度が落ちる間もなく指示を送り出す。
 ▼ 309 イティ@くろいメガネ 19/09/26 09:44:35 ID:VY86kNtk [5/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィアは影分身! ヤンチャムはテールナーの足につっぱり!」

 ニンフィアはセレナの指示通りに影分身を使い始める。ニンフィアの周りに影分身をするのではなく、事前に練習をした通りに、ニンフィアが載っていないストーンエッジの先端に影分身を乗せ始める。中心にいるヤンチャムたちを囲むように、ニンフィアは並べられている。
 その一方で、テールナーはヤンチャムの頭上に飛び上がり足を向けていた。ヤンチャムはその足に向けてつっぱりを使い、テールナーを空中高く押し上げていく。テールナーの脚力では空高くまで飛ぶことはできないが、ヤンチャム技を使えば可能になる芸当だった。
 ヤンチャムはテールナーを空高く押し上げれたことを確認すると、岩のステージの外に走り出し次の指示による技の避難をしていた。セレナもヤンチャムが避難できていることや、ニンフィアが準備を完了しているのを確認した瞬間、テールナーの高度が落ちる間もなく指示を送り出す。
 ▼ 310 ュウ@てんかいのふえ 19/09/26 09:44:52 ID:VY86kNtk [6/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィア、ようせいのかぜ!」

「フィーア!」

 円状に作り出されたストーンエッジの上にいるニンフィアは、影分身と共に妖精の風をステージを包み込むように送り出す。それを頭上から見ていたテールナーは、妖精の風がステージを包み込んでいくのを見た瞬間に、大文字の準備に取り掛かっていた。
 セレナとテールナーの距離は大きく離れている。セレナの声ではテールナーに指示を出せる距離ではないので、状況に合わせて技を出してもらうように相談していた。ニンフィアの妖精の風がステージを包み込んだと同時に、大文字を放つようにと。

 テールナーの杖には、数多くある炎技でもより強力な大文字のエネルギーが貯められている。そして、そのエネルギーは岩のステージの中心へと放たれた。巨大な炎が空高くから放たれていく。
 ▼ 311 リン@ニニクのみ 19/09/26 09:45:12 ID:VY86kNtk [7/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「テナァアアア!」

「うん、いい感じ! ニンフィアはようせいのかぜで炎を調整!」

 勢いよく放たれた大文字は地面とぶつかり激しく拡散する。しかし、そこには均等に並べられたスーンエッジで作られた岩のステージがある。更にはようせいのかぜも組み合わさり、大きな風のクッションが作り出されている。岩のステージとようせいのかぜにより、大文字は勢いを殺したまま巨大な炎のエネルギーを作り出されていた。岩のステージの隙間を沿うように炎は移動し、その先には二段目の岩の壁があるため、そこにぶつかりながらようせいのかぜに空中へ運ばれていく。そして、その炎はようせいのかぜにより巨大な炎の塊が作り出されていく。
 ▼ 312 ンベアー@むげんのチケット 19/09/26 09:45:48 ID:VY86kNtk [8/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナが前回作り出した巨大な太陽には多くの欠点があった。一つ目は、かえんほうしゃだけでは火力に限界があり、より大きな演技ができないこと。二つ目は、勢いがあるものをようせいのかぜで操作するのは向いていないこと。三つ目は無理やり操作しようとして作り上げたものにムラが出てしまうこと。そして、四つ目はニンフィアの負担が余りにも多すぎること。
 ポケモンコンテストは一匹のポケモンだけでやるものではない。様々なポケモンの技を組み合わせ、最高の演技をしなくてはならない。しかし、前回のものはニンフィアのようせいのかぜが要になるとは言え、余りにも負担が多すぎる。そして改良したのが今の方法だった。
 ▼ 313 ッパ@ふしぎなアメ 19/09/26 09:46:11 ID:VY86kNtk [9/15] NGネーム登録 NGID登録 報告

 かえんほうしゃよりも勢いのある大文字を、ニンフィアのようせいのかぜでは操作することは不可能だ。だからこそかえんほうしゃを操作していたのだが、それでは火力に限度が出てしまい力強い演技をすることができない。ならば、大文字の勢いを殺し操作しやすい炎を作ることを考えた。そして、空高くから地面に放てば、地面が勢いを殺しそこには巨大な炎が生まれると思いつく。だが、ただ地面に打つだけでは四方八方に炎が拡散してしまい、結局操作がしにくい炎が生まれてしまう。そして、なにか受け皿がなければ炎の勢いも殺しきれずに散ってしまう。だからこそ、岩タイプの中でも強力な技を誇るストーンエッジにより、大文字の受け皿を作り出したのだった。
 ▼ 314 ガラグラージ@ハンサムチケット 19/09/26 09:46:26 ID:VY86kNtk [10/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ヤンチャムが作り出した一段目のストーンエッジは、大文字の勢いを殺しながら指向性を持たせることができる。指向性を持たせた大文字の炎を、その先にある二段目の岩の壁に炎を沿わせながら、ニンフィアのようせいのかぜで無理なく上空に炎を送ることが出来る。影分身で炎の状態を細かく見れるのもあり、ムラのない巨大な炎のエネルギーを操作することに成功していた。
 テールナーは空中から落ちながらその様子を見ており、無事に成功していたことを確認した後に次の行動に移っていた。大文字の炎だけでも巨大な炎の塊は作れるが、より大きな炎を作るためにかえんほうしゃを炎に向けて放っていく。それでは最初の頃と同じではないのかと思われるが、大文字による大きな炎の塊をより大きくするのは苦ではない。しかし、何もない状態から、受け皿もない空中に勢いのあるかえんほうしゃを打ち込み、ようせいのかぜで操作するのは先程も言ったとおり無理がある。現在は巨大な炎の塊が受け皿となり、急激に大きくするのではなく徐々に大きくしているので操作がしやすいといったところだ。
 ▼ 315 ビヨン@コダックじょうろ 19/09/26 09:46:46 ID:VY86kNtk [11/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「良いわよ。テールナーとヤンチャムは次の準備に入って! ニンフィアはようせいのかぜで炎を安定!」

 セレナは確かな手応えを感じながら指示を出していく。ニンフィアはそのまま炎を操作し続け、ムラのない塊を維持していく。ようせいのかぜで炎に風を送り込み、徐々に炎を大きく安定させていく。ニンフィアのようせいのかぜが要なのは変わらないが、負担は前よりも少ない。ニンフィアの表情がそう物語っている。
 テールナーとヤンチャムは次の技の準備に入っていた。ヤンチャムはストーンエッジを細かいつぶ状に体にまとい始め、テールナーはめざめるパワーの準備に取り掛かる。前回の練習で二匹の息は完璧にあっている。力を合わせる時間はそうかからなかった。
 ここまで来るのにどれだけの時間がかかっただろう。いや、時間よりも、どれだけの出会いでここまでに行き着くための発想をもらってきただろうか。セレナは技を放つ準備を完了しているテールナーたちを見る。二匹はセレナの方を向いており、静かに頷いていた。そして、セレナは静かに腕を上げる。
 ▼ 316 バメ@しんかいのキバ 19/09/26 09:47:10 ID:VY86kNtk [12/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「テールナー! ヤンチャム! ラスト!」

「フィア!」

「チャム!」

 めざめるパワーの周りをストーンエッジが追尾する。そして、ようせいのかぜに包まれていた炎の塊に近づいていき、ストーンエッジが切れ込みを入れ、めざめるパワーは勢いを落とすことなく炎に入っていく。めざめるパワーは炎のエネルギーにより急激に膨張をし始め、拡散する。巨大な炎の塊とともに、大きな爆発を起こしてく。それと同時に、巨大な炎の塊はようせいのかぜの指揮下から解き放たれていく。
 膨張は止まらない。その炎はどんどん大きくなり、そこには前回に作り上げた演技よりも巨大な太陽が、どんな演技にも負けない大きく力強く、Z技よりも輝く太陽が作り上げられた。このアローラ地方で巡り会えた人々の想いをのせて、その太陽はセレナの気持ちと呼応するように輝きを放ち、消えていった。
 ▼ 317 ガカメックス@ナゾのみ 19/09/26 09:47:35 ID:VY86kNtk [13/15] NGネーム登録 NGID登録 報告

「(これが私の全力……出来た……みんなの出会いと、ポケモンたちと、全ての技術を詰め込んだ……私のZ技!!)」

「はぁ…はぁ…ありがとうございました!!」

 セレナは最高の演技を作り出したことに感動をしているものの、最後まで気を抜かずに、満面の笑みでお礼を言っていた。それと同時に、セレナのポケモンたちもお辞儀をしていく。演技が最後までやり通せたことに、ポケモンたちの表情もセレナと同じように満面の笑みで終わっている。

 静けさが広まるグラウンド。しかし、徐々にだがぱちぱちと手を叩く音が大きく鳴り響いていく。その音は連鎖するように、ここにメレメレ島の人たちがいるのではないかと思うほどに、大きく鳴り響いていった。
 ▼ 318 ミロップ@ぼうごパッド 19/09/26 09:47:50 ID:VY86kNtk [14/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「すげーぜセレナ! 最高の全力だったぜ!!」

「うおおおお!! 俺は今猛烈に感動しているぞおおおおお!!!」

「本でも見たことがないような光景でした!」

「太陽みたいだった! セレナ凄い!」

「本当だよ! わたしが思っていた十倍凄かったよ!」

「パフォーマンスってこんなことができるんだ……僕、感動しちゃったよ!」

 セレナの後ろで見ていたサトシたちは、最高の笑顔でセレナに向かい拍手を惜しまなかった。そして、それはセレナにとっての、最高の演技ができたという証明であり、最高の瞬間だった。人を楽しませるパフォーマーにとって、この瞬間がセレナの大切な場所だから。
 スクールで見ている人たちも、大きな拍手でセレナを迎えている。スクールから見ている人たちは、セレナのことを知っている人は少ないだろう。だが、今この瞬間は、全ての人がセレナに向けて惜しみない拍手を送っている。全ての人が、セレナのことを最高のパフォーマーだと感じてくれている。
 ▼ 319 ネッコ@ラブラブボール 19/09/26 09:48:11 ID:VY86kNtk [15/15] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ありがとう……ありがとうございました!!」

「テナー!」

「ヤンチャ!」

「フィアー!」

 拍手は何分にも続いた。彼女たちが教室に戻ろうとグラウンドから歩いている時も、窓から拍手を送り続けていた。セレナは、そんな生徒たちに手を振りながら、感謝を伝え続けていた。
 ▼ 320 クレオン@はじめてメール 19/10/02 02:04:26 ID:/n.okKBw NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 321 ムリット@ひかりごけ 19/10/03 20:32:15 ID:VCeMZL/c NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 322 ダツボミ@そうこのカギ 19/10/06 22:30:17 ID:C2CAFBkw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 323 ーブル@ぼうけんノート 19/10/08 13:53:11 ID:O50wAk2U [1/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
 日の当たりにくい路地裏。ゴミが散らばり、湿り気でカビが生えているのか鼻につく臭いが漂っている。こんな場所で深呼吸などをしてみれば、落ち着くはずもなく気分が悪くなってしまうのは明白だろう。その路地裏に、忙しなく誰かが走る足音が響いている。一人ではない。少なくとも十人以上はいるだろうその足音は、誰かを追うように慌ただしく音を絶たせていた。

「はぁ……はぁ……」
「くっそ……なんでだよ……!」
「だっりぃ……!!」

「……っく……畜生あいつら……!」

 大勢の人数が走り回る音で、特に荒々しい足音を鳴らすものがいた。細い通り道でなりふり構わず走り回っているのか、ゴミをや空き缶を蹴飛ばし、固く軽いものがぶつかり甲高い音が路地裏に響き渡る。音を鳴らせば先ほどの追うような足音がこちらに近づいてくるが、静かに走ることもできずにいた。
 激しく呼吸をし続けているのか、長きに渡って走り続けている様子がうかがえる。
 その追われる者たちは、セレナを襲っていた青年達であった。セレナを追っていた側の者たちは、今度は追われる側に成り下がっていた。
 ▼ 324 スボー@きんのはっぱ 19/10/08 13:53:33 ID:O50wAk2U [2/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい! こっちに居るぞ!」

「ど、どうすんだよ兄貴!見つかっちまった!」
「くっそ! こっちに……あ、ああ!?」

 路地裏を縦横無尽に走り続けるのも終わりが近づいてしまったのか、兄貴と呼ばれていたその青年は声を絞り出すように嘆いていた。追ってくるものから逃げ続けた先には、巨大な壁が存在していた。つまり、逃げ場所はどこにもない、行き止まりである。咄嗟に後ろに下がり逃げようとすると、先程までの大勢の足音は消えてなくなっており、その代わり一人の足音が裏路地に響いていた。
 悪魔が近づいてくるように、その音はゆっくりと徐々に近づいてくる。路地裏は暗く、光が当たりにくいので近づいてくる者の姿は見えない。だが、その姿は見えなくても、暗闇の中から放っている体にねっとりと絡みつくような、重苦しい雰囲気は嫌になるほどに感じていた。そして、青年たちの前の正面に、路地裏に差し込まれている少ない光に、徐々にその者がこちらに近づき光を当てながら姿を表していく。
 ▼ 325 ーシィ@エフェクトガード 19/10/08 13:53:55 ID:O50wAk2U [3/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どうしたよ……もう逃げねえのか?」

「グ、グズマ……っ!!」

 一際体格が大きく、頭は白く染め上げ、黄色い淵のサングラスをかけている者がいた。首にはドクロのような巨大なネックレスを付けており、ポケットに手を入れながら背中を丸め、ゆっくりと壁にいる四人に近づいていく。
 グズマと呼ばれたその男は、背後に大きな武者のような虫ポケモンを従え徐々に迫っていた。それと同時に、迫られてきている四人は後ろへ交代するも、背中には冷たい壁が感じられてしまう。逃げ場所はない。そう言われるように。
 ▼ 326 ルネロス@エスパージュエル 19/10/08 13:54:16 ID:O50wAk2U [4/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
 
「グズマ? グズマさん……だろ? お前もスカル団の一員ならよぉ……なぁ?」

「ま、待てよ! 俺達はお前らに……ひぃ!」

 グズマとそのポケモンの背後から、薄暗い闇の中から、その暗闇と同じように黒い服を着ているスカル団であろう少年や少女が現れていく。その数は10人では済まされない量であった。その数に、静止を求める青年は悲鳴をあげてしまう。

「待て? お前、俺に待てって言ったのか? くっくく、くははは、ははははははははははははははは!!! 俺に待てって!? 傑作だな!! ええ!?」

 グズマの笑い声と同時に、背後にいたスカル団も大声を上げて笑っていた。壁に背中を向けている青年たちは、その笑い声に恐怖する。顔色は悪く、表情は歪んでいる。
 笑い声は徐々に止んでいき、グズマはゆっくりと口を開いていく。その表情は、暗い路地裏によく似合うほど歪んでおり、悪魔。いや、もはやこれから青年たちを死刑に追い込む死神のようにも思えてしまう。
 ▼ 327 ラミドロ@タウリン 19/10/08 13:54:34 ID:O50wAk2U [5/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ぶっ壊してもぶっ壊しても手を緩めなくて嫌われる、破壊という言葉が人の形をしているこの俺様に向かって……止めろだぁ?」

「お、俺たちはポケモンはもういないんだぞ! もう戦う事が出来ないんだ!」

「関係ねぇな……グソクムシャ、アクアブレイク」

「ムシャ……!」

「ァ!!」

「……ひぃ!?」

 グズマの指示により、グソクムシャと呼ばれたそのポケモンは四人の内の一人に対しアクアブレイクを放った。攻撃を受けたその人物の姿を間近で見ていた一人は、あまりの速さに何が起きたのか分からず、何かが飛んで行った方向をゆっくりと振り向き、壁にもたれかかったものを見て短く悲鳴を上げてしまう。
 攻撃を受けた一人は、叫び声も上げられず肺の中の空気を無理やり外に押し出され、壁に打ち付けられていた。その青年はぐったりと壁にもたれかかり、アクアブレイクの攻撃で肩から斜めに切り付けられた綺麗な一太刀の傷からは、どろりと血を流していた。
 ポケモンがいないから戦えない。だからと言って、グズマは攻撃を止めることはなかった。その表情はただ静かに、その四人を視線に入れていた。そして、ゆっくりと語るように喋りかける。これが、最後の会話だと言うように。
 ▼ 328 ブクロン@たつじんのおび 19/10/08 13:57:15 ID:O50wAk2U [6/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お前らはスカル団じゃねえ。それだけで十分だ。そうだろ?」

「あ、ああ、ああああ」

「おい、お前ら……やれ」






「あァァぁあぁああぁぁあああああああああああ!!!!」

 グズマはその一言とともに、後ろに振り返り歩き始めた。それと同時に、スカル団から放たれたポケモンたちが一斉に青年たちへと攻撃を仕掛け始める。薄暗く、光も通さないその裏路地で、逃げ場のない壁に囲まれた状態では、その叫びも虚しく、助けなど来るはずもなく、攻撃をその身に受け続けるだけであった。
 

 ▼ 329 イコウオ@タウリン 19/10/08 13:57:35 ID:O50wAk2U [7/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
 




 後日、体中に傷を負った四人の青年が、縄をくくりつけられた状態で交番の目の前に置かれていたことを発見された。その青年たちはセレナから聞き出した情報と同じような格好や目つきなどをしていたため、その話はククイへと渡された。ククイの操作を手伝っていたロトム図鑑を通し写真が送られ、その写真をセレナに確認してもらうと、セレナを襲った犯人ということが判断され、無事に逮捕されることとなった。

 これにより、セレナの無事が保証されたのは良いが、セレナはこの事件を解決した人にお礼を言えることはできなくなっていた。何故ならば、この青年たちを捕まえたと名乗る者は誰一人出なかったからだ。無名の人物が解決に導き、ニュースには報道できなくても、アローラ警察はこのことを不思議に思いながら感謝の念心に抱いていた。
 ▼ 330 ビシラス@ペアチケット 19/10/08 13:58:00 ID:O50wAk2U [8/21] NGネーム登録 NGID登録 報告

 しかし、ポケモンの技を研究するククイであれば、青年に受けている傷を観察し、どのポケモンがつけた傷なのかは直ぐに判断出来るほど分かりやすい傷跡だった。
 肩から斜めにかけて重く深い一太刀が入れられている。傷の周りには毒や炎で付けられたような不純物や焦げ目はなく、断面は綺麗に整えられているが、その大きな傷の周りには細かい傷も入っている。大きな一太刀と言えば、草タイプの強力な一撃を放つリーフブレードを連想させるかもしれないが、リーフブレードでは傷の周りに細かい傷を付けるような技ではない。そして、傷の付き方から、飛び散るように付けられた状態をしている。大きく深い傷を付けながら、その周りに飛び散るような傷を負わせ、なおかつその傷跡の状態から攻撃を放ったポケモンが良く育てられていることが想像でき、そして、そのような傷跡を付けられるトレーナーは少なくない。
 水分を刀状に変形させ、相手のポケモンに大きな一太刀を与える、水タイプの強力な技であるアクアブレイク。そして、それをを得意とする大きな甲冑を身に包むポケモングソクムシャ。そのグソクムシャを鍛え上げているトレーナーを、ククイはよく知っている。
 ククイは微笑みながらその場を立ち上がり、白衣のポケットに入っている携帯を誰かにかけることもなく、ただ、強く握りしめ、たったその一言を彼の名前とともに呟いた。
 ▼ 331 ラガラ@ディアンシナイト 19/10/08 13:58:22 ID:O50wAk2U [9/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「グズマ、ありがとう……」

 想いを乗せ、携帯を強く握りしめながら、ククイは小さく呟いたその言葉は、アローラのそよ風とともに消えていく。この声は決して届くことはないだろう。だが、それでもククイはこの想いを声に出すことしかできなかった。
 グズマ自身にも、スカル団を名乗る者を排除するといった利害の一致というのもあっただろう。しかし、それでもククイは感謝の念を堪えなかった。大切な家族であるサトシの、大切な友人であるセレナを守れたことを。もしかしたら、スクールの生徒たちにも被害が及ぼす可能性があった事件を、グズマは助けてくれたのだから。
 ▼ 332 ョロゾ@ドクZ 19/10/08 13:58:48 ID:O50wAk2U [10/21] NGネーム登録 NGID登録 報告

「セレナ、もう行っちゃうのか?」

「うん、気持ちの熱が冷めないうちに、ホウエンでコンテストを受けてみたいから」

 サトシとククイ、そして、セレナと出会ったポケモンスクールの生徒たちは、セレナがアローラ地方からホウエンに戻ることを知り、空港に集まっていた。セレナとは数日しか過ごしていないものの、彼女との出来事はその少ない数日で様々な思い出を作っている。短い時間の中で、多くの出来事をがあったからなのか、話した時間よりも多くの時間を一緒に過ごしたと錯覚してしまう。だからこそ、セレナとの別れが余計に寂しいものに感じてしまっていた。
 ▼ 333 ガラティアス@おきがえトランク 19/10/08 13:59:30 ID:O50wAk2U [11/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナさん、もう行ってしまうなんて、私たちももっとお話をしたかったです」

「もっと話したいことが色々あった。スクールで学んだことや、見つけたこと」

「ああ……それに、話すだけじゃなく、俺たちと一緒にそれを体験してほしかった」

「僕たちが考えた授業とかもあるから、是非体験してほしかったよね」

「そうだよ…もっともっと一緒に勉強したかったし、サトシと一緒に居ればいいのに」

「あ、あはは……」

 セレナの別れを惜しみ、アローラで出会えたスイレンたちが思い思いの言葉を残していた。その中で、セレナの想いに気付いているマオは、サトシの話題を出してきた。悪気があって言っているわけではないのだろうし、実際にサトシとはカロス地方で別れてから久しぶりに会う。なので、折角の想い人のサトシにマオは知らずとも赤いミサンガの通り運命的な出会いを果たせれたのだから、もう少し長くアローラ地方に留まっても良いのではないかと、善意で言ってくれているのだろう。
 ▼ 334 イリーフ@すくすくこやし 19/10/08 14:00:12 ID:O50wAk2U [12/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(サトシとはもっと一緒に居たい。だけど、それじゃダメ……今のままじゃ、サトシに甘えちゃう)」

 サトシとは久しぶりに会う。しかし、このままではサトシに甘えてしまう。元々、サトシとはカロス地方で別れる際に、サトシは自分の目標であり、もっともっと魅力的な女性になると強く宣言していた。しかし、今のままではセレナが思い描いている、サトシの隣に立って並んでいる自分にはなれていない。サトシはそんなセレナのことを気にするなと声をかけてくれるだろう。だが、これはセレナの問題だ。サトシに甘え、セレナも自分自身に甘え、そんな自分が憧れの大切な想い人の隣に立って、本当に納得ができる光景が見えるだろうか。セレナはそうは思えなかった。だからこそ、心に傷を追ってしまったからと言って、それを言い訳にして、沼のようにどっぷりとハマっておくわけにはいかない。

 サトシには本当に感謝している。カロス地方で何度も自分の手を引っ張り上げ、何度も窮地を助けてもらい、何度も背中を押してくれた。そして、カロス地方を分かれた後もこのアローラ地方で、サトシは絶体絶命のセレナを見つけ出し助けてくれた。
 ただの偶然なのは分かっている。それでも、そんな絶体絶命の自分をその手で助けてくれるサトシの背中は、自分が思い描いている以上に大きく見えてしまった。だからこそ、ここで立ち止まっているわけにはいかない。
 ▼ 335 クタン@ピッピにんぎょう 19/10/08 14:00:35 ID:O50wAk2U [13/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナはアローラ地方で多くのことを学んだ。自分に足りなかったものや、ポケモン達に無理をさせていたこと。ポケモン達がセレナのことを気を使って、無理を気づかせないようにしていたとはいえ、ポケモン達を細かく見てあげていれば気づける事も多くあった。無意識に、自分に着いてきてくれるポケモン達に甘えていた。アローラ地方に訪れて、そのことに気付けたのが嬉しくもあり、悔やまれることだった。
 セレナの隣に立っているテールナーに優しく頬を撫でてあげると、テールナーは目を細めながら、頬に添えられているセレナの手の上に自身の手を重ね、セレナの体温を感じるように頬擦りしていた。
 自分を信じてくれて、ここまで懐いてくれているポケモン達の為にも、このアローラ地方で培った感覚を、ホウエンで生かして行きたい。そして、二度とポケモン達に無理をさせたくはない。気持ちよさそうにしているテールナーの表情を見れば、その気持ちが強いものになっていくのが分かる。
 ▼ 336 ォーグル@おこづかいポン 19/10/08 14:00:58 ID:O50wAk2U [14/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナ……僕からは、なんて声をかけていいものか……折角、このアローラ地方に訪れてきてくれたのに」

 セレナの急な別れや、あの事件のことを申し訳そうに、ククイは頭をかきながら申し訳ない表情を浮かべセレナに話しかけていた。ククイが悪い訳ではないのに、自分のことのように悩んでいるその姿に、セレナはほんの少し微笑んでいた。

 セレナがあの事件に巻き込まれてから、率先して手を回してくれてたのはククイだ。そして、その姿はこの島の博士だからとか、そういった体制を気にして行動をしているのではなく、ククイ自身が助けたいからといった、純粋な気持ちで手を回してくれていたのは、セレナ自身が良く分かっていることだった。
 サトシがククイのことを話していた時に、居候をさせてくれていることや、自分の本当の親のように思っていると話していたが、サトシがそう思ってしまうのが良く分かる。ククイはサトシと同じように純粋なんだと。
 ▼ 337 ェリンボ@どくけし 19/10/08 14:01:20 ID:O50wAk2U [15/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふふっ、ククイ博士は私の身の回りの手助けをしてくれてたじゃないですか。 私は、ククイ博士にとっても感謝しています。だから、気に病まないでください。 それで、もし良かったら、またアローラ地方に立ち寄ることがあったとき、ククイ博士の家に尋ねさせてください。サトシと話していたときに、ククイ博士の料理が美味しいって話題が出たんです。 だから、その時にククイ博士の手料理をご馳走させてください」

「ああ……ああ! 10まんボルトに撃たれたような、美味しいご飯を作らせてくれ!」

「はい!」

 ククイのとの話が終わったと同時に、空港からはアナウンスが流れていた。どうやら、アローラ地方からホウエン地方行きの飛行機の、つまりはセレナが乗る飛行機についてのアナウンスだった。
 ▼ 338 サキント@おかえしメール 19/10/08 14:01:45 ID:O50wAk2U [16/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
このまま後ろに真っすぐ歩き始めれば、サトシ達とは暫くのお別れになってしまう。だけど、本当にこのまま別れてしまって良いのだろうか。先ほども言った通り、サトシと次に会うときは、魅力的な女性になると宣言し別れを済ませた。だからと言って、この偶然の出会いを、このまま終わらせてもいいのだろうか。具体的な理由はない。ただ、そう思うと、セレナの胸はどくどくと血を巡らせていき、心臓は強く鼓動をし始める。
                           
 そう思うのに、そう思っているはずなのに、セレナは何故か勇気が出ずに、普段であればいつも通りに声をかけられるはずなのに。サトシに喋りかける勇気が出てこない。緊張しているからなのか、宣言を思い出してしまったからのか、今更甘えてしまうのを許せれないからなのか分からない。考え込んでしまうと、急に体が熱くなり、頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。
 最後だけでも喋りかけたい。強く思い込んでいると、目の前にいるその少年はゆっくりと口を開いた。
 ▼ 339 ギルダー@マグマのしるし 19/10/08 14:03:11 ID:O50wAk2U [17/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「なあ、セレナ」

「はひ!」

「俺さ、もうすぐでアローラリーグに出場するんだ。 カロス地方では優勝できなかったけど、今度こそ優勝したいって思って、ポケモン達と一緒に全力で頑張ったんだ。 特訓して、遊んで、食べて、走って、出会って……色んなことが一杯あった。 そんなポケモン達と俺は、いつもいつも笑顔で楽しんでたんだ! そんで、セレナが演技しているときって、セレナとポケモン達は同じように滅茶苦茶良い笑顔してたんだ!」

「サトシ……」

「俺は、ずっとセレナの大切な仲間だから! 遠く離れて立って、俺たちは繋がってる……セレナは、ポケモン達と一緒に、今よりも全力のとびっきり笑顔で、楽しんで来いよな! セレナのことを、ずーっと応援してるぜ!」

「……っ!!」

「おわっ!」

 震えて熱を帯び、勇気が出ていなかったはずの体から、サトシの言葉とともに、溢れ出てくるような気がしていた。気づいた時には、サトシの胸に、体を押し付けるように強く抱きしめていた。
 自分の思いとは裏腹に、その瞳からは涙が零れていく。泣きたくないのに、笑顔でお別れを済ませたかったのに。サトシが自分のことを大切に想ってくれていることが嬉しくて、涙が出てしまう。しかし、これ以上溢れないように、気持ちを強く保ち、涙を腕で拭い取ると、サトシに顔を合わせ、徐々に顔を近づけていく。
 ▼ 340 ミツルギ@みずのジュエル 19/10/08 14:07:21 ID:O50wAk2U [18/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「え!?」

「嘘!?」

「大胆……」

「うわ!」

「おぉ!?」

 生徒たちからは驚きの声が上がる。サトシの後ろ姿しか見えて居ないが、サトシとセレナが何をしているかは分かっていた。
 たった一秒の出来事。セレナはサトシに甘い口付けをしていた。どこにしているのかは分からなかったが、ただ、セレナはその柔らかく甘美な唇をたった一秒だけ触れさせていた。短い時間ではあるものの、その二人には一秒以上の長い時間を感じられてしまうほどの感覚だった。
 ▼ 341 ザリガー@パワーアンクル 19/10/08 14:08:07 ID:O50wAk2U [19/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私頑張る! カロス地方で言った時よりも、もっともっと魅力的になるんだから! だから、サトシもアローラリーグ頑張って! 私も、サトシのことずーっと応援してるよ!」

 セレナはそう言い残し、涙で赤くはれている目元を物ともしない大きな笑顔が輝いていた。そして、挨拶とともに大きく手を振りながら受付口に走っていた。
 サトシはその場で固まっているものの、セレナの様子にハッとしながらその手をゆっくり空中に上げ、同じように大きく振りながら大声で叫んでいた。

「セレナ! また会おうなー!!」

 サトシはそう言い残し、セレナの姿は空港にいる人ごみの中に消えていった。先ほどまでのセレナの姿は見かけることはなかった。ここには、空港を歩く人足の音がサトシの周りには響いていた。
 その場に静かに立ち止まっていると、後ろからククイがサトシの頭に優しく手を置き、話しかけていた。
 ▼ 342 ビゴン@ポケモンずかん 19/10/08 14:08:36 ID:O50wAk2U [20/21] NGネーム登録 NGID登録 報告
「良い子だったな……それに、生徒たちがもえつきるほどの熱いものも見せてもらったよ」

「へへ、ククイ博士だってバーネット博士と同じことしてたじゃん」

「な!……はは、そうだな。あれはとっても大切で、愛おしいものなんだ。だから、サトシもそれがどんなことなのか、分かる時が来るよ」

「うーん? そんなものなのかなぁ……って、みんなどうしたの?」

「どうしたの? じゃ、ありませんよサトシ!」

「本当だよ! まさか空港でこんなに大胆なことするなんて……」

「顔が熱い。凄いもの見た」

「あ、あわわわわ、サトシがキ、キススススス」

「落ち着けマーマネ! いや、慌てるのも分かるが!」

「変なの? それよりも皆、早く帰ろうぜ! 何だかおなか減ってきちゃったよ! な、ピカチュウ?」

「ピーカ? ピカチュ!」

 サトシはポケモンマスターの夢を目指し、歩き続けるだろう。それと同時に、セレナはこれからホウエン地方でコンテストに向けて足を進めていくだろう。お互いに大きな壁にぶつかることもあるだろう。だけど、サトシはポケモンとお互いに信じあい、その壁を乗り越えていく。そして、セレナとポケモン達も、サトシと同じようにどんな壁であろうと乗り越えられる。夢は違えど、お互いの思いは変わらない。二人はお互いに、違うようで似ている道を歩き続けていく。
 ▼ 343 ングース@せんせいのツメ 19/10/08 14:08:55 ID:O50wAk2U [21/21] NGネーム登録 NGID登録 報告


「またね、アローラ地方……またね、サトシ……私、もっと頑張るから……だから、ずっと……」

 暫くして、セレナが乗っているホウエン行きの飛行機は、アローラ地方から徐々に遠ざかり、手の平で包み込める大きさに小さく見えてしまう。来た時に見えていた景色とはまた違う印象に見えるのは、アローラ地方で出会えた皆のおかげなのだろう。
 初めて来たときには、何があるのか楽しみで心が躍っていた。目が痛くなるほどに輝く太陽。透き通るような海。南国の大地。楽しそうにしている人々。全てが真新しく見えていた。今は、何だか物寂しく感じてしまう。今まで出会えた人々や、見ていた景色が遠ざかってしまう。カロス地方でもあったはずなのに、何だか同じようで違った気持ちが湧いてきてしまっていた。

 出会いがあれば別れもある。それは、どこに旅をしていても同じことである。だけど、そこで出会えた思い出は、いつまでもその人の中で残り続け、時には他の人へと受け継がれていく。だからこそ、これで終わりだとは思わない。たった一回の別れで全てが無くなりはしない。

 思いふけながら飛行機窓から外を眺めていると、今までの疲れが体に現れて来たのか、瞼がいつも以上に重く感じてしまう。セレナは抗うこともなくその瞼を閉じていく。目をつむれば、今までの思い出が鮮明に蘇る。海でスイレンと奇跡的に出会い、そこからマオに出会い、マーマネやリーリエ。熱い炎とともに、Z技を見せてくれたカキ。手回しをしてくれたククイ博士。そして、自分を助けてくれたサトシ。大切な思い出が、セレナの中に眠っている。
 手首につけていた赤いミサンガはもう無くなっている。だけど、赤いミサンガがなくても、サトシたちとは必ず会える。そう強く思いながら、セレナはその意識を深く深く沈めていくのであった。



 ▼ 344 イーガ@やすうりポン 19/10/09 01:16:40 ID:Q6PwlQV2 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 345 ククラゲ@まがったスプーン 19/10/16 10:21:51 ID:dCEoEmPc NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 346 ンカラス@みずのジュエル 19/11/06 21:31:04 ID:/SmwgVkw NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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 ▼ 347 ットレイ@Zパワーリング 19/11/18 10:29:48 ID:NFfYtvyg NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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 ▼ 348 ディアン@げんきのかたまり 19/11/27 21:01:23 ID:RXV6vdm2 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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 ▼ 349 ロベルト@ゴーゴーゴーグル 19/12/13 01:42:07 ID:Egw2eMQg NGネーム登録 NGID登録 報告
原作再現と地の文がすごいすき。支援
 ▼ 350 テラ@ひかりごけ 20/01/05 07:54:10 ID:C0c.gAF6 NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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 ▼ 351 キメノコ@トポのみ 20/01/30 17:22:37 ID:8QAIajfQ NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
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 ▼ 353 リン@パスタ 20/02/11 06:20:29 ID:HDCMJu1s [1/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

「テールナー! かえんほうしゃ! ニンフィア! かげぶんしんの後にようせいのかぜ!」

「テナ!」

「フィア!」

 サトシたちに別れを告げ、アローラ地方からホウエンに戻ったセレナたちは、アローラ地方でその身に宿っていた熱量を余すことなく、新たに開催されていたコンテストにつぎ込んでいた。
 アローラ地方で開発した演技をホウエンでもそのまま使えば、コンテストリボンを取得することは難しいことではない。しかしその想いとは裏腹に、ホウエンで使うことは叶わずにいた。
 ▼ 354 ゴラス@おうえんポン 20/02/11 06:20:49 ID:HDCMJu1s [2/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ホウエン問わず、シンオウ地方という場所でも同じルールのコンテストが開催されるのだが、基本的なルールでは出場するポケモンは二匹までと制限されている。しかし、セレナが開発した炎の太陽は、ポケモンを三体使用しなければ再現することは現状で不可能に近い。つまりは、その演技をホウエンで使用することができないことを意味していた。
 ▼ 355 オー@ロックカプセル 20/02/11 06:21:45 ID:HDCMJu1s [3/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ホウエン地方では使えないからと言って、開発したことが全くの無駄になったわけではない。迷っている暇があればまず行動してみる。それで失敗したとしても何かが残る。無駄なんてことは何もない。サトシはセレナにそう声をかけたことがあったが、その言葉通り、炎の太陽を再現できなくとも、開発する過程で得た技術をコンテストに組み込むことができた。
 そもそも、炎の太陽を開発に至る過程で多くの特訓時間を費やしている。トライポカロンというトレーナー自身も演技に組み込む主観的視点からではなく、コンテストという客観的視点から演技を見ることで、ポケモンたちの技の特性や癖などを事細かく見ることができた。それにより、セレナのポケモン達に対しての指示能力も向上し、ポケモン達もそれに比例するように技のキレなどを伸ばしていた。
 ▼ 356 ジョッチ@ずがいのカセキ 20/02/11 06:22:03 ID:HDCMJu1s [4/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ありがとうございました!」

「素晴らしい演技をありがとうございます。 エントリーナンバー3番。セレナさんの演技でした!」

 セレナの演技が終わり、挨拶と共に会場は拍手で包まれていた。
 コンテストの司会を務めている、縦に長い帽子をかぶる人物は、スポットライトの光を浴びながら、マイクを片手に高らかに喋っている。
 セレナは舞台裏にいるコンテストのスタッフから、退場の合図を確認したのち、大きく会場に向けて手を振りながら小走りで退場していく。
 コンテストの演技を無事に終了したことに安堵の息を付きながらも、その表情に不安げになるような面影は全くなかった。
 ▼ 357 ガジュカイン@フリーズカセット 20/02/11 06:22:30 ID:HDCMJu1s [5/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
 アローラ地方にいく前までは、慣れていないコンテストの形式に戸惑いながら、焦りにより高いクオリティを目指すよりも、無事に終わらせることに重視していた。そのため、コンテストの演技を終了した後も不安で仕方がない表情をしていた。しかし今では、その表情は自信で満ち溢れ、前回のような無事に終わらせる演技ではなく、自分の技術を全力で表現したいと言う、クオリティを高めた演技を意識していた。
 ▼ 358 オタチ@ふといホネ 20/02/11 06:22:50 ID:HDCMJu1s [6/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「みんなの演技凄かったよ!」

「テナテナー」

「フィー!」

 控室に設置されている長椅子に、一息を着くべくポケモン達とともに座りながら、先程の演技の成功を称えあっていた。しかし、自分たちの演技が完璧に終わったといえど、コンテストの演技が全て終了したわけではない。
 控室にあるモニターからは、今もなお他の参加者の演技が映し出されていた。だが、ほかの参加者の演技を見ているセレナの表情は、先ほどと同じように自信に満ち溢れている表情のままだった。
 決して慢心をしているわけではない。セレナの行った演技はセレナ自身が客観的に見てもこのコンテストで優勝を勝ち取れるものだと確信していたからだ。そして、それはセレナだけではなく、隣に座っているポケモン達も同じように思っていた。
 ▼ 359 ルマッカ@ぎんのこな 20/02/11 06:23:11 ID:HDCMJu1s [7/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナが控室に来てから暫くして、このコンテストに参加していた全ての演技が終了したのか、モニターには審査中という三文字のみが映し出されていた。
 セレナは全ての演技が終了したことを確認すると、ふと、控室にいる他の参加者の様子を見渡していた。他の参加者がセレナのように自信に満ち溢れているものではないし、完璧に演技をこなせれたわけではない。それを物語っているかのように、安心している表情のものや、不安げな表情をしている者。結果がまだ出ていないにもかかわらず、すでに涙を流している者。様々な表情をしている者がいた。
 ポケモンバトルとは形式が違えど、コンテストも勝負事の一つである。勝者が生まれる以上敗者も生まれてしまうのは仕方のないことなのは、セレナ自身も身に染みて理解している。そして、そんな彼女たちにかける言葉もないことも理解していた。

 モニターに映る審査中の表示が変わり、控室にいる参加者はコンテスト会場に集まるようにと表示されていた。それと同時に、控室のドアからは誰かがこんこんと、ノックをする音が響きドアは開かれた。
 ▼ 360 メイル@しんかいのキバ 20/02/11 06:23:28 ID:HDCMJu1s [8/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「皆様お疲れ様です。審査員の方々の結果が発表されますので、私たちスタッフがコンテストの舞台に誘導させていただきます」

「ふぅ……行きましょうみんな」

「テナ」

「フィ」

 控室にいた参加者は、そのスタッフの後に付いて行く。セレナも最後の演技に参加したテールナーとニンフィアと共に、遅れないように速足で付いて行く。最後の演技のみ参加できなかったヤンチャムを出すことは出来ないが、ヤンチャムが入っているモンスターボールから、セレナの気持ちを察したのか震えて意思表示をしていた。
 ▼ 361 ドレックス@なぞのすいしょう 20/02/11 06:23:49 ID:HDCMJu1s [9/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

 長い廊下を歩き続ける。徐々に光が入り込み、演技をするときに通る気持ちとはまた違う緊張感が漂っていた。
 舞台には1番の参加者から顔を出していくと、会場からは声援が飛び始める。その声援に応えるように、参加者は笑顔で手を振りながら、スタッフに言われた指示の通りに舞台に並び終わっていた。
 
 明るい会場は徐々に暗くなっていき、声援はそれに比例するかのように止み始める。やがて、天井に設置されていたスポットライトがコンテストの司会者に向けられ、わざとらしい大きな身振り手振りしながらその口上と共に、コンテスト会場にいる観客の注目を集めていた。
 ▼ 362 リーパー@ブレイズカセット 20/02/11 06:24:06 ID:HDCMJu1s [10/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さあ! 今回大盛り上がりを見せていただきましたこのコンテストにも、ついに終わりが近づいてまいりました。華麗な演技が多数。どれもこれも魅力的なものではありましたが、その中から特に強い魅力を感じられました演技には、このコンテストリボンが授与されます」

 右手を高らかに上げ、その先にはスポットライトの反射でキラキラと輝いている物がある。カメラがそれに注目し、会場に設置されている大きな液晶モニターが光るものを映し出していた。
 ▼ 363 クシー@タウリン 20/02/11 06:24:22 ID:HDCMJu1s [11/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(コンテストリボン…)」

 息を飲む音がする。暗闇の中に並んでいるパフォーマーは、緊張の表情で固まっていた。しかし、その表情の中にある視線は、コンテストリボンに目を奪われていた。
 
 ドラムロールが鳴り響く。今この瞬間で、自分たちが作り出した成果が問われてしまう。パフォーマー達にとってこの瞬間は、心臓は激しく鼓動を打ち、額には冷や汗が流れる状況だった。しかし、セレナは落ち着いていた。何故ならば、自分たちが作り出した演技や技術は、他の誰にも負けていないものと信じていたから。
 ▼ 364 バルドン@クリティカッター 20/02/11 06:24:40 ID:HDCMJu1s [12/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「今回のコンテストでリボンを納めたのは……エントリーナンバー3番! セレナさんです!」

 コンテストの司会者が高らかにセレナの名前を挙げ、スポットライトがセレナに向けて照らされた。観客は歓声を上げ、セレナはそれに応えるように観客に向けて、満面の笑みを浮かべながら両手を上げて振っていた。両隣にいたポケモン達も、コンテストに優勝できたことを嬉しそうにしているのか、セレナと同じように満面の笑みで答えていた。
 ▼ 365 ルジーナ@ミストシード 20/02/11 06:25:01 ID:HDCMJu1s [13/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ありがとうございます! …ふぅ、良かったね皆んな!」

「テナ!」

「フィア!」

「それでは、審査員の方々にコメントをいただきます」

 審査員として参加していたのは、この会場がある街のジョーイさん。ポケモン大好きクラブの会長。そして、ホウエン地方でポケモンコーディネーターとして最前線で活躍している人物の三人だった。
 ▼ 366 シアン@あおぼんぐり 20/02/11 06:25:23 ID:HDCMJu1s [14/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それではまず初めに、ジョーイさんからお願いします」

「皆さんの演技はどれも素晴らしいものでした。ですが、その中でも特に素晴らしいと感じたのは、セレナさんの演技でした。彼女の演技は非常に洗練されていると感じ、目を奪われました」

「ありがとうございます。それでは、ポケモン大好きクラブ会長のスキゾーさん、お願いします」

「テールナー、ニンフィア、好きですねぇ」

「ありがとうございます。それでは、ホウエン地方のポケモンコーディネーターとして最前線でご活躍しているこの方からコメントをいただきましょう」

「んん…コーディネーター、またはパフォーマーとして様々な演技を観たり、研究したり、開発したりしてきましたが、セレナさんが作り出した演技は全く観たことのない、非常に新しい演技であり、それでありながらクオリティの高いものでした。ここまでレベルの高い人物であれば、私の耳にも入ってくるはずですが、セレナさんはポケモンコーディネーターとしてまだまだ新人の域だと、ホウエン地方での大会の参加履歴を見て驚きを隠せません。今後の活躍に、非常に楽しみだと思います」
 ▼ 367 オルブ@あらびきヴルスト 20/02/11 06:25:38 ID:HDCMJu1s [15/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「審査員の皆さま、非常に素晴らしいコメントをありがとうございます。それでは、コンテストリボンの授賞式に移りたいと思います」

 審査員から様々なコメントを受け取ったセレナは、スタッフの指示に従い表彰台へと移動する。

「おめでとうございます、セレナ様。こちらが、今回お受け取りいただくコンテストリボンです」

「ありがとうございます!」

「それでは最後に、素晴らしい演技をしていただきましたセレナ様を初め、パフォーマーの皆様に大きな拍手をお願いいたします!」

 こうして、会場の大きな拍手とともに、セレナの二度目のコンテストが無事に終了した。
 ▼ 368 ャラコ@ノワキのみ 20/02/11 06:25:54 ID:HDCMJu1s [16/26] NGネーム登録 NGID登録 報告

「はー…疲れた…」

 コンテストが無事に終了した後、宿泊しているポケモンセンターへ早足に帰宅したセレナは、吸い込まれるようにベッドに飛び込んでいた。フカフカのベッドは、セレナの身体吸い込むかのように受け止めてくれるので、シャワーを浴びなくてはならないと思う反面、このまま寝てしまえばいいじゃないかと囁く声が聞こえてしまう。もちろん幻聴であり、セレナが勝手に作り出している声ではあるが、疲労で体が動いてくれないのは確かであったので、ベッドの上で唸り声を上げることしか出来ずにいた。

 アローラ地方での体験は、セレナにとって非常に良い刺激になっていたことは、大会を通して明らかになり、セレナも安堵の息を漏らさずにはいられなかった。あの数週間があったからこそ、セレナの右手にはこうしてリボンが握られている。
 ▼ 369 ドグラー@メカニカルメール 20/02/11 06:26:30 ID:HDCMJu1s [17/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
アローラ地方に行く直前であったあの時のベッドの上で、セレナが今とは真逆の意見を頭に浮かべていたことは忘れるはずもなかった。コンテスト経験の浅い自分に、旅行に行く暇なんてない。コンテストを確実に優勝するために、練習する時間を増やしていくしかないと、そう考えていた。
 もし仮に、アローラ地方に行かずに練習を続けたとしても、コンテストで優勝する景色が見られただろうか。いや、たとえ優勝できたとしても、その時の景色は今のように充実したと感じられるものになっていただろうか。ポケモン達に、自分に無理をし続けて、いずれ破綻していたのではないだろうか。そんな事を考えても無駄だと分かっていても、考えずにはいられなかった。

「私がこうしているのは、いろんな人やポケモン達が助けてくれるから……ふふ、遠く離れたって、俺たちは繋がってる、か……」
 ▼ 370 ギアナ@たいりょくのハネ 20/02/11 06:26:56 ID:HDCMJu1s [18/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
 あの空港、厳密に言えば、カロス地方でサトシが育てていたポケモンと別れる時に聞いた言葉だったが、サトシの言ったその言葉が頭の中に流れていた。様々な人がセレナと関わり、そして、その時の思いや言葉や行動が、こうして今の自分になっている。 それは、アローラ地方での体験が言葉になるならば、ピッタリなんじゃないかと思うほどに。




 ▼ 371 ニプッチ@ほしのすな 20/02/11 06:27:13 ID:HDCMJu1s [19/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
 結局あのままベッドに委ねて寝てしまったセレナは、早朝にシャワーを浴び、眠気と一緒に身体に着いていた汚れや疲れを洗い流していた。
 アローラ地方に行く前。つまり、一人で旅をし始めたときは、慣れない事が多く疲れを残したまま朝を迎えることが多かったが、最近は体の調子も良いのか、鼻歌まじりに荷物の整理をしていた。

「ふんふんふ〜ん……ん?」

 入り口からコンコンとドアを叩く音がする。何だかこの動作に既視感を感じずにはいられないが、荷物の整理を中断し、ドアノブをひねり扉を開けていた。
 ▼ 372 ーランス@ゴージャスボール 20/02/11 06:27:29 ID:HDCMJu1s [20/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おはようございますセレナさん。先程こちらのポケモンセンターにヤシオ様からお電話をいただいておりますが、いかがいたしますか?」

「ヤシオさんからですか!? 今すぐ出ますのでちょっと待ってください!」

 何となく誰から電話がかかってきたのか予想はしていたが、それでもかけてきた人物が人物なので慌ててしまい、急いで身なりを整えジョーイさんにぶつからないように扉を開ける。

 廊下などは走らないように言われているので小走りで来たが、ジョーイさんに声をかけられてからそこまで時間は経っていない。待たせた事はないだろうと思いながら息を整え、保留中になっている画面を解除する。
 ▼ 373 ロッパフ@しんちょうミント 20/02/11 06:27:50 ID:HDCMJu1s [21/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おはようセレナ、元気かしら?」

「おはようございますヤシオさん! 元気にしています!」

 画面の向こうからは、歳をとっているものの整った顔つきをしている見知った人物が現れる。数週間ぶりに連絡を取るので少し緊張してしまうのか、セレナの表情には現れなくとも、手の平にはじんわりと汗がにじみ出てくる。
 ▼ 374 ズモー@メガブレス 20/02/11 06:28:10 ID:HDCMJu1s [22/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふふ、表情を見てわかるわ。アローラ地方はいい刺激になったようね」

「はい、アローラ地方での体験は、私にとってもの凄く力になりました。ヤシオさんの後押しがなかったら行っていませんでした。感謝してもしきれません」

 アローラ地方のチケットは持っていても、行くか行かないかの最後の踏ん切りを付けてくれたのは、誰でもない目の前にいるヤシオだった。
 ヤシオが見たホウエン地方での演技からは、自分の力を出しきれていないと感じた。そして、セレナと対話し、焦りで目の前のことしか見えていないと画面越しからでも感じ取ったヤシオは、新しい刺激を与えるためにアローラ地方への旅行を強く進めた。その結果は良好のようで、セレナの表情は分かりやすいほど生き生きとしていた。
 ▼ 375 ーマーガア@おはなアメざいく 20/02/11 06:28:25 ID:HDCMJu1s [23/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「2回目のコンテスト観させてもらったわ。1回目とは全然違う、本当に同じ人が演技をしているとは思えないほどに素晴らしいものだった。本当、若い子って凄いわね……短期間でここまで成長するなんて、一体アローラ地方で何を体験してきたの?」

「本当に色んなことです。様々な人と出会い、様々なポケモンと出会い、その数だけ様々な感性を知って…アローラ地方の、他の地方以上にポケモンとの共存を意識していた環境は、私とポケモン達との関係を見直す……いえ、私が蔑ろにしてしまったことを改める機会になりました。もっといっぱい喋りたい事がありますけど、あの島で培った事を全力で表現してみました」
 ▼ 376 マケロ@するどいキバ 20/02/11 06:28:44 ID:HDCMJu1s [24/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「全力ね……確かに、あの演技にはあなたの全力が感じられた……ふふ、朝早くからありがとう。次のコンテスト、楽しみにしてるわ」

「はい! 全力で頑張ります!」

 セレンは単純に、今の自分とポケモン達で全力で演技をしたに過ぎない。ただ、その全力という言葉の中には、様々な経験と出会いと別れ、今までに起きた出来事を全て注ぎ込み作り上げていた演技だった。他の誰でも真似が出来ない、セレナとそのポケモン達でしか表現することが出来ない全力の演技だからこそ、あの会場で一番の魅力を放っていたのかもしれない。

 ヤシオの激励を受け取り、セレナは次のコンテストへ目指し街を移動する。ホウエン地方でも、アローラ地方とはまた違う出会いがあり、別れがあり、それでもその足を止めずに歩み続けるだろう。しかし、その時の思い出はいつまでもセレナの中に存在し続け、見えないはずの想いが形となり、セレナの演技へと生まれ変わる。
 ▼ 377 カチュウ@キョダイパウダー 20/02/11 06:29:02 ID:HDCMJu1s [25/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
「遠く離れていても、私たちは繋がっている……だよね、サトシ?」

 これからもセレナはコーディネーターとして、パフォーマーとして、自分の全力を表現し続けるだろう。その表現される演技の中には、どれだけの思いがつぎ込まれているのかは、セレナ自身にも想像がつかない。自分自身が想像もつかないほどの魅力的な演技を作り出すのか、それとも、数多くの想いを背負いきれずに潰れてしまうのかは分からない。ただ、不思議と最初のころに抱いていた不安や焦りはなかった。

 今の自分は自分だけの物語ではない。たった一人の旅に見えるかもしれない。しかし、少し目線を下げれば、いつも自分のそばにいてくれるポケモン達がいる。道を歩き出せば、様々な思い出が背中を押してくれるように風が吹いてくれる。遠く離れていても、私たちは繋がっている。そう、勇気づけるように。






                              終わり。
 ▼ 378 ギアナ@リンドのみ 20/02/11 06:38:39 ID:HDCMJu1s [26/26] NGネーム登録 NGID登録 報告
お疲れ様です。

これにて セレナ「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」は、終了になります。

活動サイト
Twitter   https://twitter.com/ss24sousaku
pixiv    https://www.pixiv.net/users/6189144
ハーメルン  https://syosetu.org/?mode=user_novel_list&uid=181318

長くなりましたが、最後まで見ていただいた方がいたら、本当にありがとうございました
 ▼ 379 ドリーナ@ニビあられ 20/02/11 06:44:30 ID:UZZgvOmY NGネーム登録 NGID登録 報告
お疲れ様でした
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