セレナ「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」:ポケモンBBS(掲示板) セレナ「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」:ポケモンBBS

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セレナ「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」

 ▼ 1 ニョニョ@ミズZ 19/07/19 22:12:48 ID:/KdgbJS2 NGネーム登録 NGID登録 報告
サトシたちとの旅を終えたセレナは、パフォーマーとしての技術を伸ばすべくホウエン地方に旅立っていた。
しかし、セレナたちは旅をしているはずのホウエン地方にはおらず、ほかの地方へと足を運んでいた。
その地方はと言うと…。



「ん〜、はぁ…やっと着いたぁ」
「ずーっと飛行機の中で座ってるんだもの、おしりが固くなっちゃうわ」

「え〜っと、パンフレットによればここの地方での挨拶はこう言うのよね」





「アローラ! アローラ地方にやってきたぞー!」




 ▼ 238 ジロン@カクトウZ 19/09/06 21:54:07 ID:dpBQt60U [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告

「(もう…足も腕も声も…何もかも使えない…だけど、安心しちゃいけない…あいつらが帰るまで…絶対に…)」

「テナ…テナ!!!」

 テールナーが吠える。 その形相は、ポケモンパフォーマーとして育て上げられたものを全て捨てていた。 相手を怯えさせるための、今にも食いつかんばかりのその威嚇は、全ては、大切なセレナを守るために。 大切なセレナとの日常を守るために。 ここに自分がいることの意思表示だった。

「(テールナー……だめ、泣いちゃ…絶対に)」

「さぁ…どうするの? あなたたちは…テールナーはまだまだやる気なんだから…あなたたちを燃やすぐらいは…まだ残っているわ…」

「くっそ…仕方ねぇ…」
「あーあ!! まじかよ!!」
「仕方ねぇ…」
 ▼ 239 ルビル@あおぼんぐり 19/09/06 21:54:31 ID:dpBQt60U [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告










「兄貴ぃ…後は頼むわ」

「あいよ、まかせたダストダス」
「ダァスト…」
 ▼ 240 ガエルレイド@どくどくだま 19/09/06 21:54:49 ID:dpBQt60U [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告






「え…?」

 どこからともなくそれは現れた。 先ほどはいなかったはずのもう一人のスカル団。 人数を見間違えていた? 違う。 そんなミスはしていない。 ならなぜ? どうして? 何故? 何故? 何故? そんな考えが、頭の中をぐるぐるとめぐっていた。
 ▼ 241 サキント@カイスのみ 19/09/06 21:55:23 ID:dpBQt60U [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「不思議そうにしているところ悪いけどよぉ…まぁ…文明の利器ってのはぁ…活用しなくちゃよぉ…」

「携帯…」

「ま、そういうこった。 やたら強い女がいるってことで呼ばれたわけよ。 結構長期戦だったみたいだな? お前はバトルに集中して気づいてなかったみたいだけどよ。 もうとっくについてスタンバってたぜ? 呼ばれて出てきたほうが、カッコいいだろ?」

「兄貴は流石だよな!!」
「助かりましたよ兄貴、えぇ」

 単純だった。 相手は複数人。 たとえ一人がやられようが二人がやられようが、やられた部分を呼んで補充すればいい話だった。 相手はスカル団と言った。 団員は彼らだけじゃない。 複数人いたのだ。 他にも人はいたんだ。 あぁ…そうか、応戦するだけ無駄だったんだ。 最初から逃げれば良かったのだ。 今まで、何もかも、間違っていた。 やれる? 勝てそう? これならいける? はは、鼻で笑える。 この状況を打開すれば、全てが丸く収まると思っていた。 
 ▼ 242 イコウオ@べにいろのたま 19/09/06 21:55:47 ID:dpBQt60U [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告

「(そっか……)」

 あぁ…もう、逃げる体力も、気持ちも…何も、崩れ去っていた。 
 ▼ 243 ビルドン@ぎんいろのはね 19/09/06 21:56:08 ID:dpBQt60U [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告





「テナァアアアアア!!!」

「テールナー…」

 テールナーが無いはずの体力をふり絞り、先ほどよりも大きな声で雄たけびを上げる。 今までに聞いたことのないような、そんな声が、静かな夜に響いていた。 体力がないはずなのに、もう、攻撃を放つこともできないのに、それでも諦めちゃいけないと、テールナーはセレナに叱りつけるように、その声は響いていた。
 ▼ 244 ゲボウズ@ポイズンメモリ 19/09/06 21:58:41 ID:dpBQt60U [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 この状況は絶望的だ。 相手は兄貴と言われていた。 つまりは、あの下っ端よりも位の高い人物だと。 そんな人物が出してくるポケモンは、大きく、強く、そして、体力がないテールナーはきっと、指示を出したとしても体が追い付かず、一瞬で倒されるだろう。 それでも、それでも、諦めるなと言った。 いつもセレナのパートナーとして引っ張ってきたテールナーは、トレーナーであるセレナをいつものように引っ張り上げようとしてくれる。

 頭では理解しているはずだった。 この状況は覆せない。 テールナーもそう感じているはずだった。 だけど、諦めるなと言っている。

「(そうよ……)」

 諦めてしまえば終わってしまう。 まだ生きているのだから、身も心も無地なのだから、パートナーが引っ張ってくれるのだから。
 ▼ 245 ッコウガ@うすもものミツ 19/09/06 21:59:51 ID:dpBQt60U [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告

「諦めちゃ…いけない!」

「テ、テナァアアアアアアア!!!!」

「ダストダス、ダストシュート」
「ダァッスト…!!」
 ▼ 246 ーボック@おかえしメール 19/09/06 22:00:06 ID:dpBQt60U [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 目の前がスローモーションに見える。 疲労で頭が回っていない。 何とか精神で立っているのがやっとだった。 テールナーは勢いよく吠えるも、ダストダスの攻撃を正面から受けようとしていた。 やはり、避ける体力も残っていなかったようだった。 テールナーが倒されれば、次は自分もそうなるだろう。 諦めてたまるか。 そう思っても、体は動いてはくれなかった。

 セレナはふと、手首を触っていた。 こんな時に、何をしてるのかと言われたら、確かにそうだろう。 しかし、ふと、こんな時なら、彼ならどうするのだろうかと思い触ってしまった。 そして、ヤトウモリの攻撃を受けたからなのだろうか。 ズバットのエアスラッシュを受けたからなのだろうか。 テールナーの炎を、少しだけ受けたからなのだろうか。 分からないが…。



 セレナの腕からは、赤いミサンガか千切れていた。
 ▼ 247 ノンド@そうこのカギ 19/09/06 22:00:21 ID:dpBQt60U [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告













「ピカチュウ! 10万ボルト!!!!!」

「ピィカ…チュウウウウウウウウ!!!!」

 どこからともなく現れた光り輝く閃光。 アローラの月や太陽よりも、その光は輝いており、目を開けられないほどの力を持っていた閃光は、ダストダスを貫いていた。 先ほどまで何もダメージを受けていないダストダスは、その閃光に貫かれた後、悲鳴を上げる暇もなくゆっくりと地面に倒れていった。
 セレナには、その声が、その閃光が、その鳴き声が、全てが鮮明に覚えていた。 聞きなれた、何度も聞きなれたその声は。 何度も何度も、会いたいと願っていた、その声を持つものは。たった一人しかいなかった…。
 ▼ 248 ンゴロ@すいせいのかけら 19/09/06 22:01:05 ID:dpBQt60U [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「もう大丈夫だ! 後は俺とピカチュウが相手をしてやる!」
「ピッカ!!」





「サ…サト、シ……!!」

「テナ…」

 彼はいつもそうだった。 ピンチの時に、彼は私を助けてくれた。 どんな時でも、勇気をくれた。 

 また、サトシに救われたんだ。
 ▼ 249 ニリュウ@かくとうジュエル 19/09/14 01:23:36 ID:XWY.jAkU NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 250 ヘッド@きあいのハチマキ 19/09/15 21:58:14 ID:dm6ALc4U NGネーム登録 NGID登録 m 報告
追い付いた支援
 ▼ 251 ルトロス@クオのみ 19/09/18 02:00:58 ID:iTV2wric NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ
 ▼ 252 ーミラー@ものしりメガネ 19/09/18 19:29:09 ID:0yn2GRi2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 253 ルケニオン@タンガのみ 19/09/20 04:31:09 ID:LHXkpUtw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告



 あの後、ダストダスが最後の一匹だったようで、スカル団と名乗る者たちはその場から逃げていった。 セレナはその時、サトシが助けてくれたことと、スカル団が去ったことに安心して腰が抜けてしまい、地面に力なくぺたんと座り込んでしまう。 サトシはそんなセレナを心配して駆け寄るが、セレナはサトシに抱き着き、ただ、大声で、今まで張りつめていた空気を壊すように、泣くことしかできなかった。 サトシの服がセレナの涙や鼻水で汚れようと、セレナはお構いなしに泣いていた。
 
 その後、サトシの保護者であるククイ博士が現れ、ククイが言うには、サトシが突然何かに呼ばれるように家から飛び出し、家の近くの砂浜で何かを探すように周りを見渡していると、遠くからポケモンの鳴き声が聞こえたようだった。 テールナーの声だろう。 その声を頼りに、胸騒ぎがして、ただひたすら走っていたようで、その後をククイは追っていたようだった。 セレナがいた砂浜と、サトシがいた砂浜は遠い距離ではあるが、サトシの異常な身体能力を持ってすれば、テールナーが最後の一撃を受ける前には間に合ったようだった。 
 ▼ 254 チュール@ぎんのズリのみ 19/09/20 04:31:29 ID:LHXkpUtw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシからしたら何者かがスカル団に襲われおり、セレナだとは知らず助けたらしい。 サトシは困ってそうだったから助けただけと言い切れるかもしれないが、セレナからすると命の恩人と言っても過言ではなかった。 サトシはまさか知り合いのセレナだったとはとククイに言う。 セレナはそんな会話をお構いなしに、ただ、サトシの胸で泣いていた。 サトシも、セレナが泣き止むのが落ち着くまで、セレナの頭を撫でていたが、それが切っ掛けとなり、セレナは更に大粒の涙を流し始めた。


「だ、大丈夫かセレナ…あぁ、な、泣き止んでくれよ。 ほら、よーしよーし…大丈夫だって、な? ……あぁ! だ、大丈夫だからさぁ!…」

「ピカピ…」

「な…なんなんだこれは…うぐっ…ひどい悪臭だ…」
 ▼ 255 ベノム@ガルーラナイト 19/09/20 04:32:57 ID:LHXkpUtw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告

 先ほども言った通りククイ博士は後から来た人間で、サトシはセレナを落ち着かせているのに集中しており、何があったかはサトシから聞かされていないが、とりあえず、砂浜の異常に荒れ果てた惨状は酷いものだった。 毒のようなものや焼け跡。 そして、何かが大きな刃物で切りつけたような鋭い後。 毒が燃えて酷い悪臭も放っていた。

 ポケモンの技は、一度のバトルではその場に多くの後を残すようなことはない。 もちろん激しいバトルなどで長引けば、地面が割れたり跡がついたりすることはあるが、炎や毒など、その場に付いてしまうものは、ある程度は自然消滅したりするものだった。 しかし、今、この場の状況は、長い時間がなければ自然消滅しないレベルになっていた。 それはつまり、それだけ長時間のバトルが行われていたこと。 そして、その跡からするに、多くのポケモンがこの場にいたこと。 更に、その惨状の中心にいる、テールナーとセレナの疲労具合や傷を見れば、いったい何があったのかは予測が立てれた。 あまりにも酷い状況だった。 
 ▼ 256 ーマルド@モコシのみ 19/09/20 20:43:04 ID:e07E3aRQ [1/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 とにかく、早めに対処しなければならないと思い、ククイ博士は携帯を取り出し、ジュンサーへと緊急連絡を入れる。

 ククイ博士が緊急連絡を入れた数分後、その砂浜には多数の警察が集まり、ポケモンセンターからは緊急搬送用の車が到着していた。 セレナは泣き疲れたのか、サトシの服を離さずに寝ており、サトシはそんなセレナを慎重に運んで行った。 ククイ博士は、セレナと同じように疲れ果てて動けないテールナーを慎重に運んで行った。

「君はテールナーだったな。 あの惨状を見れば何があったか良く分かった…そして、君がずっと耐えてきたことも。 よく頑張った。 もう安全だ。 君はずっとセレナを守ってたんだな…大丈夫だ。 もう、大丈夫だ…もう、セレナは安全だ」

「テ…テナ………」

 ククイ博士は、何度も何度も言い聞かせるようにテールナーに言っていた。 テールナーは、緊急搬送用のベッドに乗せるころには、セレナを守れたことに安心して、気絶するように眠っていった。 先ほどのように張りつめ、険しく、まるで、獣のような、そんな表情は無く、ただ、安心した表情だった。
 ▼ 257 ンプク@こだいのおうかん 19/09/20 20:43:59 ID:e07E3aRQ [2/43] NGネーム登録 NGID登録 報告










 あれから数日が経った。

 アローラ地方にはスカル団の件で全体的にニュースが飛び交う…訳ではなかった。 それは何故か。 一つは、セレナがある程度知名度のある人物であること。 サトシはこの件に関して大ごとにしたくないと思っていた。 セレナはトライポカロンで好成績を残し、今もホウエン地方でコンテストの準備を進めていたり、自分を高めるべく頑張っている。 この事件が仮に、大々的に流れてしまっては、セレナの旅の足かせになってしまう。 ニュースに流すにしても、セレナに全てを相談して、本人の判断を任せたいと言うのが希望だった。

 二つ目は、ククイの希望で、この事件が全て片付きそうになるまでは落ち着いて行動をして欲しいというものだった。 近々アローラ地方ではポケモンリーグが開催される。 アローラ地方はアローラ地方で独自の文化を大切にしており、他の地方から何かを取り入れて新しい文化を築き上げようとするのは、非常に新しい試みであった。 他の地方から参加してくるものも多くいるだろう。 そんな状況で、セレナが危ない目にあったとなれば、大きな波が立ってしまう。 この事件をメディアに載せるのは構わないが、間違った情報を流すのは混乱の元になりかねない。 今はまだ落ち着いて、事の対処に急ぐべきだと考えていた。
 ▼ 258 レビィ@ドラゴンジュエル 19/09/20 20:49:36 ID:e07E3aRQ [3/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 三つ目は、これもククイの希望になるが、この件で調べたいことが少しあるというものだった。 セレナを襲った人物はスカル団の服装をしていたが、何かがおかしいと考えていた。 それを探し終わるまでは、時間を欲しいという願いであった。
 ククイは博士と名乗っているだけあり、島のものからは信頼され、それなりの権力を持っている。 アローラリーグ設立に大きく関わっている人物で、メディアにも多く取り上げられるほどでもあった。 警察は、そんなククイを信じ、メディアに圧力をかけたり、セレナに近づけさせないようにと配慮をしたり、犯人の逮捕に力を入れていった。

 セレナが病院で入院中、ククイが率先してホテルの荷物を病院に運んだり、ポケモン達を引き取ったりと、長期入院が予想されたのでその手続きをしたりと、あちこちに後処理を回っていた。 ククイのお嫁さんであるバーネット博士にも手伝ってもらっていたので、そう時間はかからなかった。 セレナはある程度回復したあと、ククイが見ず知らずの自分のためにここまでしてくれたことに感謝を述べていた。
 ▼ 259 レディア@グラスシード 19/09/20 20:50:02 ID:e07E3aRQ [4/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 そんなセレナはしばらくの間、セレナの傍にはサトシが離れずにいた。 それはセレナがサトシの傍から離れないというのもあったが、サトシ自身も、そんなセレナを心配し離れずにいた。 当たり前ではあるが、セレナの心に負った傷は一日だけでは取り除くことは出来なかった。 それもそのはずだろう。 セレナはサトシの傍にいるとき、時間をかけてぼそぼそと小さな声で、ククイ達に何があったのかをまるで吐くように喋っていたが、その場で聞いていたものは、苦虫を噛み潰したような表情になっていた。 そして、奇跡的にセレナはこの場にいるのだと、そう理解するのには時間がかからない。

 セレナは日を重ねるごとに回復をしていった。 最初は、セレナの近くにサトシやテールナーやヤンチャムにニンフィアがいなければ、不安で泣き叫ぶほどに心が擦り減っていたが、ポケモンの持つアロマセラピーという技の他に、心を癒す技を徐々にかけ始め、カウンセラーの元、通常の生活に戻るほどまでにはなった。

 元々、セレナは心が強いほうで、回復したらいつも通りに戻るまで遅くはなかった。 しかし、ここまで立ち直るのが早かったのは、サトシの力が大きいだろう。 先ほども言った通り、セレナの心は強いものである。 強いがゆえに、その心が折れたときの反動は大きいものだった。 
 ▼ 260 ディバ@コダックじょうろ 19/09/20 20:50:50 ID:e07E3aRQ [5/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ポケモンバトルを主体に育てていないポケモンと、たとえ質が悪い育て方をされていようとも、バトルを意識して育て上げられたポケモンでは、どうしてもバトルスタイルの差はついてしまう。 しかし、セレナとテールナーは諦めることもなく、ポケモン9匹対1匹の状況を、付け加えれば、トレーナーにすら攻撃を仕掛けてくる悪質なトレーナーに正々堂々勝つほど、セレナたちの心は非常に強いものだった。 だからこそ、心が折れた今、回復は難しいもののはずだった。

 カウンセラーや医師が、異常な程のスピードでセレナが回復していくのに驚いたのは、昔からの知り合いであり、憧れであり、心の支えになるほどの信頼を持つサトシがいなければ、この短い期間で普段の生活に戻ることは難しかっただろう。 他でもないサトシだったからこそ、セレナはここまで回復ができたのだった。
 ▼ 261 ルタンク@なぞのすいしょう 19/09/20 20:51:09 ID:e07E3aRQ [6/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ごめんねサトシ。 ずっと付いていてもらって」

「心配すんなよセレナ! もっと頼ってくれてもいいんだぜ!」

「うん…もう少しだけ、サトシと一緒に…」

 これだけ見れば、仲の良いカップルが会話しているだけにしか見えない。 しかし、その背景に、市民に紛れた格好をした警察が、セレナの近くに多数存在していなければの話だが。 
 セレナは回復が見込まれ、確かに一般的な生活に戻ることができた。 しかし、回復して外に出れるようになった今、スカル団がセレナ達に対して何かを仕掛けることがあるかもしれないと思っていた。 ククイや警官はセレナを保護対象として、言い方は悪いかもしれないが、しばらく監視していた。 

 ククイにはセレナを襲ったスカル団に知り合いがいた。 確かにスカル団は、他人のポケモンを取ろうとしたり、悪さをしたりする不良が集まった集団だが、人に対してポケモンの技を簡単に放つほどの悪質なトレーナーはいないはずだった。 
 狙うトレーナーも一応は考えている。 バトルが得意そうな人間を狙ったり、うちの生徒であれば、リザードンを持っていることが分かっていたカキが狙われたことがあった。 夜中にいる少女を集団で襲うようなことはしない奴らだったはず。 実際、スイレンやマオやリーリエがスカル団によって危険な目にあったことはない。
 ▼ 262 マガル@ハーバーメール 19/09/20 20:51:33 ID:e07E3aRQ [7/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ククイは、不良集団でアローラ中から嫌われているスカル団を徹底的に排除する考え方は持っていなかった。 スカル団に知り合いが居るからというわけではなく、スカル団が作られた理由は、アローラ地方の風習を考えれば出てきてしまうものと理解していたから。 だからといって、スカル団が悪さをしていることを許しているわけではない。 

 セレナが襲われ病院に運ばれた後、連絡を取るべきだと考えいた。 そして、何度も電話をかけるが、その人物が出ることは叶わなかった。 時間を置いて何度も何度もコールをかけるが、その相手は出ることはなかった。 しかし、それでも諦めず、日を置いて、何度も電話をかけ続けていた。
 ▼ 263 クシー@イリマのノーマルZ 19/09/20 20:51:58 ID:e07E3aRQ [8/43] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ククイは、何時も通りポケットから携帯を取り出し、何度も電話をかけているスカル団に繋がる番号を打ち込んでいく。 正直、ここまでしつこくかけている手前、本当に出るかどうかは分からない。 しかし、もしククイの考えが当たっているならば、出るはずだと思った。 何度も電話からコール音が響く。 今日も駄目だったかと思ったその時、いつもの機械的な留守番電話の案内ではなく、何者かに繋がっていた。

 このチャンスを逃すわけには行かなかった。 これが最初で最後のチャンス。 ただ電話するだけなのに、緊張してしまう。 相手を待たせる訳には行かないと思い、一度だけ深呼吸をして耳を当てる。 携帯の向こう側から何かが擦れるような音がする。 それは、向こう側の人物が耳に携帯を押し当て、擦れている音。 彼は出てくれた。
 ▼ 264 ルガレオ@ルナアーラZ 19/09/20 20:52:27 ID:e07E3aRQ [9/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「やあ…グズマ。 やっと出てくれて嬉しいよ」

「…何の用だククイ。 要件を言え」

 ククイが連絡をかけていた人物はスカル団を立ち上げた本人であり、スカル団のリーダを務めるグズマであった。 ククイはグスマとは古い知り合いであり、携帯の連絡先を残していたが、まさか本当に出てくれるとは正直思わなかったが、しつこく電話をしたおかげだろうか。

 グズマはククイのことを嫌っている。 それは、携帯越しの声を聞いたら不機嫌ということが分かるほどに苛立っていた。 ククイの声を聞くのも嫌なほどだろう。 しかし、それでも出てくれたということは、ククイから何かを求めてるのではないか。 勝手ながら、自分の都合の良い考えをしてしまう。
 ▼ 265 ンリキー@すいせいのかけら 19/09/20 20:52:44 ID:e07E3aRQ [10/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「最近、君がポケモンスクールで戦った少年…サトシのことを覚えているかい? サトシの知り合いの女の子が、夜中1人の所を君たちスカル団に襲われてね。 心に深い傷を負って、今、回復の途中なんだ。 そのスカル団について、何か知らないかい?」

「……」

「…取り敢えず、この件は君たちには関係ないと思っている。 彼女を襲ったのはスカル団だった。 だけど、僕はスカル団を装った誰かと考えている。 それだけ伝えるよ」

「……要件はそれだけか?」

「ああ…それじゃあ」
 ▼ 266 ロンダ@スーパーボール 19/09/20 20:53:01 ID:e07E3aRQ [11/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ククイはそれだけ伝えると、先程まで繋がっていた電波が途絶えた。 どうやらグズマが切ったらしく、ククイは耳に当てていた携帯を見る。 スカル団を装った誰かがセレナを襲った。 それが、ククイの考えた答えだった。 

 スカル団は島の者から嫌われる不良集団であり、このアローラ地方にも悪人は少なからずいるが、集団として目立っているのはスカル団ぐらいであった。 極悪犯罪者だろうが、若者の不良集団だろうが、襲われる一般人からしたら悪人は悪人にすぎず、その悪人がどのようにそうなったかなんてことは考えない。 それに加え、襲ってきたものが個人ではなく知名度の高い集団の者であったならば、その悪事を働く本人に指をさすのではなく集団に指をさす。

 深く考えないからこそ、他の市民は犯罪を犯したその個人ではなく、スカル団という集団が何かをやったと言われるようになり、それを利用し、スカル団を装い悪事を働けば、足がつきにくくなり警戒されなくて済むと考えたのだろう。
 セレナは順調に回復している。 だが、セレナは助かったかもしれないが、それ以外のものが、もし同じような目にあったらセレナと同じように回復できないかもしれない。 それは、アローラ地方のものとしても見逃せはしないし、ククイはポケモンスクールの教師として、子供を受け持つ先生として、自分の生徒が危険な目にあってしまわないようにと思っていた。
 ▼ 267 リーパー@ギネマのみ 19/09/20 20:53:16 ID:e07E3aRQ [12/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「後は頼んだよ、グズマ」

 ククイは周りの人に聞こえない程度の声が零れ、風となって消えていく。 その声には、グズマに対しての信頼が含まれているように見えた。 



 サトシとセレナは街中を歩き、サトシがカロス地方から旅立ち、アローラ地方のポケモンスクールで何を勉強しているかなどを、セレナに思い出を話しながら、道端にあるベンチに座っていた。 サトシはセレナの隣にぴったりとくっつき、セレナの手を握り、離さないようにしていた。 深い意味はないだろうが、それでも、セレナにはサトシに大切にしてくれている。 思ってくれてると言う気持ちが十分に伝わってくるのが嬉しくてたまらなかった。 
 ▼ 268 ーデリア@ぎんのこな 19/09/20 20:53:34 ID:e07E3aRQ [13/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナがスクールのみんなと知り合ってたなんて驚いたよ」

「私だって色んな意味で驚いたんだから。 まさか、こんなところでサトシと出会えて、それで、今まで出会ってきた人たちはそんなサトシのことを知っていて…ふふ、色々あったんだ」

「俺だってセレナに会えるなんて思ってなかったさ…それに、もっと早く、会えれば良かったって思ってた」

 サトシの手に力が入り、セレナの手を強く握り締める。 セレナが砂浜でスカル団の相手をしたときのことを言っているのだろう。 サトシはもっと早くにとは言っているが、セレナはサトシが全力で走っていたことをククイ博士から聞いていた。 確かにダストダスに襲われる寸前までは何もできずの状態まで疲労していたが、それでも、最後まで攻撃を受ける前に他でもないサトシが助けてくれたのだから、十分だと感じていた。 それに、今こうしてサトシが手を握ってくれてずっと付いてくれて、心配してくれて。 そんな状況がセレナは嬉しかった。 
 ▼ 269 ンベアー@ボロのつりざお 19/09/20 20:54:01 ID:e07E3aRQ [14/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私は嬉しかった。 サトシが助けに来てくれて…本当に、王子様みたいに見えたんだから。 それにね、私があそこまで耐えられたのは、サトシたちの旅があったから。 いつも私に勇気をくれたから。 今だってそう。 サトシがこうして私の傍に付いてくれて、ずっと笑顔で励ましてくれる。 そのおかげで、私もいっぱい元気を貰って、今のままじゃいけないって思えて…だから、サトシが悪いって思う必要なんてないんだよ? それにね。 今思えば、スカル団に襲われた時以上に怖い目にあった時がいっぱいあったんだから!」

「セレナ…」

「えへへ…だから、私はもう大丈夫! だけど、もう少し…もう少しだけでもいいから…」


「サトシと一緒にいたいな…」

 セレナはサトシの腕に自分の腕を絡めて頭を肩に乗せる。 いつもなら、こんなにも大胆なことは出来ないが、大丈夫とは言っていても、心はやはり傷ついたなのだろうか。 サトシに会いたい。 甘えていたい。 抱きしめたい。 そんな気持ちが、今まで思っていてもずっと出来なかった。 カロス地方で素敵な女性になると、サトシに言ったっきり会ってなかった。 だから、今まで溜め込んできたものが、サトシが自分を守ろうとしてくれるこの状況で、溢れ出てしまったのだろうか。 
 だけど、そんなことはもう関係ない。 ただ、今は大切なサトシと、一緒の時間を過ごしたいだけだった。
 ▼ 270 ィ@りゅうのキバ 19/09/20 20:54:23 ID:e07E3aRQ [15/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私は嬉しかった。 サトシが助けに来てくれて…本当に、王子様みたいに見えたんだから。 それにね、私があそこまで耐えられたのは、サトシたちの旅があったから。 いつも私に勇気をくれたから。 今だってそう。 サトシがこうして私の傍に付いてくれて、ずっと笑顔で励ましてくれる。 そのおかげで、私もいっぱい元気を貰って、今のままじゃいけないって思えて…だから、サトシが悪いって思う必要なんてないんだよ? それにね。 今思えば、スカル団に襲われた時以上に怖い目にあった時がいっぱいあったんだから!」

「セレナ…」

「えへへ…だから、私はもう大丈夫! だけど、もう少し…もう少しだけでもいいから…」


「サトシと一緒にいたいな…」

 セレナはサトシの腕に自分の腕を絡めて頭を肩に乗せる。 いつもなら、こんなにも大胆なことは出来ないが、大丈夫とは言っていても、心はやはり傷ついたなのだろうか。 サトシに会いたい。 甘えていたい。 抱きしめたい。 そんな気持ちが、今まで思っていてもずっと出来なかった。 カロス地方で素敵な女性になると、サトシに言ったっきり会ってなかった。 だから、今まで溜め込んできたものが、サトシが自分を守ろうとしてくれるこの状況で、溢れ出てしまったのだろうか。 
 だけど、そんなことはもう関係ない。 ただ、今は大切なサトシと、一緒の時間を過ごしたいだけだった。
 ▼ 271 ツハニー@あまいミツ 19/09/20 20:54:40 ID:e07E3aRQ [16/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 あれから更に数日が経つが、その後のセレナの回復は目覚しいもので、今ではスカル団の件が起こる前の状態には戻っている。 現在でも、サトシの手を繋いでいる状態ではあるが、それはただ単に、セレナがサトシの手を繋ぎたいとお願いをしているだけである。 手を繋いでいたサトシはいつもどおりのように見えて、心なしか少し照れているのであった。 

 サトシは異性の考え…つまり、恋愛だとか恋人だとか、そういったものには絶望するほどに詳しくはなかった。 鈍感という言葉が似合うほどだったり、ただ興味がなかったり、それは新しいポケモンか? と、聞いてしまうほどに知識が少なすぎている。 しかし、そんなサトシでも、セレナに対しては少なからず異性として意識せざる負えなかった。
 ▼ 272 ルガモス@ヨロギのみ 19/09/20 20:55:01 ID:e07E3aRQ [17/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシとセレナがカロス地方の空港で別れる際、セレナはサトシに対して口づけを交わしていた。 そして、告白まがいなことをサトシに伝え、サトシとセレナは別れていた。 鈍感なサトシでも、無理やり意識させるような行動をセレナはとっていたのが原因だった。
 
 サトシもセレナのことを大切な人物だと思っているし、危ない所を何度も助けてくれた仲間であり、信頼している女の子であった。 照れくさいと感じてはいるものの、これが異性に向ける感情なのかは細かく理解はしていないが、とにかく、セレナに対して何かしらの特別な感情を抱いていることは間違いなかった。
 ▼ 273 ケンカニ@グッズケース 19/09/20 20:55:23 ID:e07E3aRQ [18/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それにしても…ごめんねサトシ。 折角スクールに通ってたのに、私のせいで休むことになっちゃって。 ククイ博士も休んじゃうことになっちゃったし…ここに来て、いろんな人に迷惑をかけちゃった」

「俺が好きでやってるだけなんだから気にしなくていいんだぜ。 博士だってそれは同じ気持ちだからさ。 それに、セレナの具合がやっと良くなったんだ。 元気に行こうぜ。 な?」

「ピーカ、ピカチュ!」

「うん…そうだね。 やっぱりサトシとピカチュウには敵わないなぁ…」

 サトシはセレナに付きっきりで治療に手伝っており、ククイはスカル団の件を警察と一緒に調査をしたりでポケモンスクールを一時的に休んでいた。 ククイが受け持っていた生徒は他の先生に頼んでいるため問題はない。 まずはこの件を片付けてから仕事を再開しなければ、自分の生徒まで標的になってしまっては元も子もないと考えていた。 スクールの校長にも許可はもらっている。
 ▼ 274 ャオブー@まんたんのくすり 19/09/20 20:55:38 ID:e07E3aRQ [19/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 現在はある程度事件もセレナも落ち着きを取り戻しているので、今日からククイもサトシも学校に復帰するといった具合だった。 サトシのクラスメイトであるスイレンたちにはこの事は詳しく話していない。 突然なことであり、話す時間も無かったという理由もあるが、人に広めるものでもない話なので、意図的に話していなかったこともある。 

 学校側からククイとサトシが理由をぼかして一時的に休む事になるというのは伝えてあるが、今日復帰すれば問い詰めてくることは確実だろう。 その時には、何があったかある程度話しておくのが良いと思っていた。 心配もかけていただろうし、下手に嘘をつくのも良くはない。 
 ▼ 275 ケニン@ふるびたかいず 19/09/20 20:56:00 ID:e07E3aRQ [20/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 そして、サトシとセレナは一緒にポケモンスクールに向かっている。 ククイはセレナポケモンスクールに体験入学してもらい、見える範囲に保護をしておきたいと考えていた。 セレナは通常通りの生活に戻れるようにはなったが、アローラ地方にいる間だけでもいいので、なるべく安全だと思う場所にいて欲しいと思っていた。 

 サトシはセレナがスクールに来ることに喜んでおり、セレナもそんなサトシを見てポケモンスクールに遊びに行くことを決めていた。 ククイから見て、セレナは賢い子だと思っていた。 全てを伝えているわけではないが、自分がまだ保護下にいることを理解しているだろう。 それでも、セレナをこれ以上あぶない目には合わせていけないという気持ちも伝わっているはずだった。 セレナはサトシと一緒にいたい気持ちもあるだろうが、ククイ達の心配を無下にすることもしなかった。
 ▼ 276 ェイミ@たわわこやし 19/09/20 20:56:32 ID:e07E3aRQ [21/43] NGネーム登録 NGID登録 報告

「サトシはスクール楽しい?」

「ああ、スッゲー楽しいぜ! みんな全力で過ごしててさ! 今まで知らなかったことや新しい発見がいーっぱいあるんだ! セレナもきっと楽しめると思うぜ! それに、セレナのパフォーマンス、また見せてくれよ!」

「うん! 私のポケモンたちの演技、あれからすっごく良くなってるから、サトシに見て欲しいな」

 スクールに向かっている途中で、サトシはスクールのことを話し、セレナはコンテストのことを話していた。 サトシはいつも遅刻ギリギリにスクールへ登校していることが多いのだが、セレナがいるときは何故か早起きをしていたので、ククイは珍しいなと驚いていた。 セレナは逆で、サトシがいつも遅刻ギリギリということに驚いており、カロス地方とアローラ地方での生活の違いを感じていた。
 ▼ 277 イーガ@いんせき 19/09/20 20:56:52 ID:e07E3aRQ [22/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシはセレナたちと旅をする前から、ほかの地方に足を運んでいることが多々あり、そのときは、自分よりも年上で頼れる兄貴分が旅の仲間にいたり、言い方は悪いかもしれないが、自分よりも確りしている人がいるから大丈夫と甘えている気持ちがあった。

 カロス地方では、年も同じぐらいの仲間と旅をし、中にはサトシよりも年の小さい子もいた。 すると、自然に旅を続け経験が豊富なサトシが皆を引っ張っていく存在となり、仲間たちの中心として確りしないとという気持ちが付いていた。 元々、熱い気持ちやリーダーシップの素質はあったので、無事に最後まで旅を続け終えたというのが何よりの証拠だろう。

 セレナが傍にいるのでその気持ちがまた蘇ってくるように感じたのか、サトシはいつもよりも少しだけ気持ちが大人びていた。 セレナを守ってあげないとという思いもあるため、セレナがいる間は自分は確りしておかなければと切り替えたのだろう。
 ▼ 278 ブリボン@ロックメモリ 19/09/20 20:59:26 ID:e07E3aRQ [23/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ピカピ!」

「お、スクールが見えてきたぜ! 」

「あれがサトシが通ってる…」

 しばらく話していると、サトシの肩に乗っているピカチュウが目の前を指をさす。 その先の景色に大きな建物が見えており、遠目から見えるほど広い土地に作られたその建物が、サトシの言うポケモンスクールらしい。 ガラス窓のようなものは付けられてなく、非常に開放感あふれる作りになっていた。 スクールの目の前には広い海が見えており、アローラ地方の気持ちの良い海風が入ってくるのを想像する。 一度は海に面した場所で過ごしてみたいと思っていたが、アローラ地方であればそんな夢も簡単に叶ってしまうだろう。
 ▼ 279 トツキ@じゃくてんほけん 19/09/20 21:02:53 ID:e07E3aRQ [24/43] NGネーム登録 NGID登録 報告


「アローラ! みんな久しぶり!」

「サ、サトシ!? お前今まで何してたんだ!」

「本当ですよ! 何も連絡もしないで一時的にお休みをと聞かされましたから」

「サトシ。 何があったのか詳しく聞きたい」

「本当だよ〜! みんな心配したんだからね!」

「サトシのことだから何かに巻き込まれたんじゃないかと思ったんだけど…」


 サトシが突然スクールに現れ、スクールにいるカキやリーリエ、スイレンやマオにマーマネは、それぞれの反応をしている。 全てサトシを心配している声であり、何も連絡もされず突然ククイとサトシが休みを取ると聞かされたときは、何かに巻き込まれて大変な状況なのではないかと想像し、モヤモヤと心に霧がかかったままその数日を過ごしていた。 
 ▼ 280 ンテール@みどりのプレート 19/09/20 21:03:14 ID:e07E3aRQ [25/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「へへ、ごめんごめん! それは後から詳しく話すからさ! それよりも、紹介したい人がいるんだ!」

「紹介したい人ってお前なあ…ん?」

 当の本人のサトシは休みのことなど気にしていないようで、それよりも他のことに気を使っている様子だった。 紹介したい人と言っており、サトシに集中して気付かなかったが、その後ろにほかの人影が見える。 手を握っているようで、その人物を影から引っ張りサトシ前に出していく。
 ▼ 281 ゾノクサ@ゴーゴーゴーグル 19/09/20 21:03:31 ID:e07E3aRQ [26/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ど、どうも、みんな久しぶり」

「じゃじゃーん! 俺の旅の仲間だったセレナ! どう? 驚いた?」

 セレナがサトシの後ろから現れ、サトシはいたずらが成功したような笑みを浮かべていた。 それもその筈で、カキ達は空いた口がふさがらないような表情をしており、思わず口を塞いでいたり、目が飛び出しているような表情をしていたりと、様々な反応をしていた。 

 サトシが急に現れたことにも驚いたが、この場にいる全員が知り合っていたセレナが現れたことにも驚いていたし、サトシの昔の仲間だったことにも驚いていたし、もはやどうしていいか分かっていなかったりもした。 とにかく、色々情報が飛び込んで来たので、処理が追いついていない頭をグルグルと回転させ落ち着かせていく。 サトシは頭を抱えているみんなを笑いながら、セレナは照れているのか苦笑いをしてごまかしていた。
 ▼ 282 クガメス@ダークボール 19/09/20 21:03:47 ID:e07E3aRQ [27/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「とにかくだ。 お前たちに一体何があったのか説明してもらおうか」

「セレナはどうしてここにいるの?」

「うん、もちろんそれも説明するつもり」

 サトシたちは円になるように椅子を並べて座っている。 心の中に霧がかかっているカキたちにはどうしても聞きたいことはいくつもあった。 何故、急に休みを入れたのか。 休みを入れるにしても、サトシとククイが同時なのにも疑問があった。 有給を使い遊びに行ったとなれば、代わりに来た先生になぜ休んだのかを聞けば答えてもらえるようなことだった。 なのに、用事があるの一点張りで、何も教えてもらうことはできなかった。 そのせいで疑問は疑問を呼び、ずっと考えていた。

 説明を求めていたカキたちは、サトシから答えが出ると思っていたが、隣にいるセレナが教えてくれるようであった。 そういえば、どうしてセレナがこの場にいるのだろうか。 サトシと知り合いなのはわかったが、それが、サトシたちの休みにどうか変わるのだろうか。 疑問は更に疑問を呼ぶ。 とはいえ、答えを教えてくれるのであれば、静かに聞くのが吉であろう。 カキ達は自分たちの顔を見渡し頷く。
 ▼ 283 バゴーラ@グラウンドメモリ 19/09/20 21:04:03 ID:e07E3aRQ [28/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「少しだけ長い話になっちゃうかもしれないけど、出来るだけ短く話すようにするね。 結論から言えば、サトシたちが学校を休むことになったのは私のせいなの」

「セレナの?」

「うん。 私はサトシたちが休んだ日の前に、砂浜にテールナーと一緒に歩いてたの。 だけど、一人でいることが駄目だったみたい。 スカル団に襲われて、危うく誘拐されるところだったの…」

 セレナから出た言葉は衝撃的な内容だった。 スカル団に襲われ誘拐寸前になったこと。 セレナに攻撃を加えながらも、何とか撃退したこと。 撃退し、ボロボロの状態で他のスカル団が現れたこと。 そこに、サトシたちが現れ、何とか窮地を救われたこと。 そこからは病院でしばらくの間入院したことや、リハビリに時間をかけていたこと。
 ▼ 284 ルーグ@きんのたま 19/09/20 21:04:18 ID:e07E3aRQ [29/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 知らなかった。 ここまで何も知らなかったことに、カキ達は顔を覆ってしまうほどに悔しくてたまらなかった。 セレナとは短い関わりかも知れない。 しかし、ほかの地方から旅行をしてきて、偶然出会って、そこから自分の身近にいる知り合いに会っていって、少なからず友達といえる存在だと思っていた。 セレナの旅の話は面白かったし、一緒に話していてて楽しいと感じていた。 しかし、そんな友達が、数日前にこのアローラ地方で危ない目に遭って、もしかしたら二度と会えないかもしれない状況になってたなんて、思いもしなかった。

 ククイやサトシも人が悪いと思った。 そういうことならば、見舞い行きたかった。 励ましの声をかけたかったと思ったが、直ぐにそんな考えを頭から消した。 一日だけ喋った奴が何を言ったとしてもセレナには届かないだろうと。 そう思ってしまった。 
 ▼ 285 リーン@にじいろのはね 19/09/20 21:04:44 ID:e07E3aRQ [30/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だけど、私は大丈夫。 テールナーが私のために頑張ってくれて、サトシが助けてくれた。 こうしてまた会おうって言った人たちにも会えることが出来た。 アローラ地方で危ない目にあったかもしれないけど、それ以上に楽しいことだっていっぱいあったから。 それは、ここにいる皆のおかげ。 私はみんなにも救ってもらったって、そう思った」

「だから、今日は一緒によろしくね、みんな」

 セレナは暗い空気を晴らすように笑顔で、この教室に居るみんなに伝えていく。 カキたちが知りたかったことは思った以上に重く、苦いものだったかもしれない。 しかし、それはもう終わったことだと言うように、セレナは前を向いて喋っていた。 今ここにいるのは、ただのスクールに学びに来たセレナと言う女の子に過ぎない。その気持ちを感じ取ったカキたちの表情は自然と戻って行き、セレナと同じように笑顔になる。 先程まで霧がかかっていた心も、元通りに戻っていた。 
 ▼ 286 ドシシ@ネットボール 19/09/20 21:10:53 ID:e07E3aRQ [31/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「それにしても、まさかセレナがサトシの知り合いだったなんてなぁ。 お前らはセレナと旅の話について聞いてたんだろう? その話にサトシが出てきてもおかしくないと思うんだが」

「そういえば、確かにサトシの話は出てきませんでした。 スイレンは何か聞きましたか?」

「私も何も聞いていない。 マオちゃんも聞いてないって言ってた」

「あー…それは、聞かれてないのもあるけど、私が喋ってなかったのもあるかなー…なんて」

 スイレンたちと出会った時に旅の話を確かにしていたが、仲間の話を積極的に聞かれてはいないし、目の前にいたセレナの話を中心に広げていくことが多かった。 それでも、サトシを含める旅の仲間の話が一度も出ないということはなく、セレナの旅の話を語る上では必要不可欠な存在であることは変わらない。 ただ単純に名前を出さなかったというのもあるが、セレナがサトシの話を出してしまうと余計なことまで言ってしまいそうで極力話さなかったというのもある。 というのも、旅の途中でセレナとサトシの関係を気にかけ、よくからかいを入れてくる友人がいたので、それをどうしても思い出してしまい、こういう話は自分から話すべきものではないと思ってしまう。
 ▼ 287 ガリザードンX@むらさきはなびら 19/09/20 21:11:12 ID:e07E3aRQ [32/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 今はセレナとサトシの関係性も話しており、そうすると、スイレンたちと話した中でサトシという人物が出なかったことに疑問が沸いてしまうの仕方ないとは思う。 となりにはそのサトシがいるから下手なことは言えないとは言え、大体のことは察してもらえるだろう。 照れながら誤魔化しているように話すセレナをスイレンとマオが見逃していないのが何よりの証拠だった。

「ふ〜ん、へ〜、ほ〜…セレナはそんな風にねえ…」

「この話は後から詳しく聞くとして、ククイ博士は今日は来るの? それに、ロトム図鑑もいない」

「あ、そういえばロトムがいない! ついに解体されちゃった?」

 事情をなんとなく理解した二人は、セレナが問い詰められるのは後回しにしてくれたようだった。 分かっていない人の方がこの教室には多いが、他人のそういった事情にあちらこちらから首を突っ込むのも野暮というものだろう。 カキ達は妙に納得しているスイレン達にハテナマークを浮かべながらも、セレナは一人ホッと息をついていた。
 ▼ 288 ガチルタリス@くさのジュエル 19/09/20 21:11:54 ID:e07E3aRQ [33/43] NGネーム登録 NGID登録 報告

 サトシとセレナの関係は一度置いとき、サトシとククイは一緒に住んでいるのに、ククイが来ていないことに気づいたスイレン。 ついでに、サトシの周りにいつも飛び回っているロトムというポケモンが図鑑に入ったロトム図鑑もいないことに気づく。 マーマネはロトムを解体しようと何度か試みていたので、冗談か本気で言っているのかわからないジョークを言っていた。 もちろん、ロトム図鑑は解体されているわけではなく、ククイ博士たちの手伝いをして一時的にサトシから離れていた。 ほかにも、サトシとピカチュウはセレナに集中して看病してあげて欲しいということもあり、ロトム図鑑のことを知らないセレナの周りに居ては、心置きなく気を休める時間が減ってしまうのではないかという配慮も加えていた。 
 サトシはそう言った説明をスイレンたち話そうとすると、サトシの肩に乗っているピカチュウが耳をピクピクと動かし、入口の方へ首を回す。 耳を澄ますと聴き慣れた足音が聞こえる。 ククイ博士が来たようだった。
 ▼ 289 ルット@しめつけバンド 19/09/20 21:13:54 ID:e07E3aRQ [34/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アローラ! お、サトシはセレナをちゃんと連れてきたようだな」

「ビビ! サトシ久しぶりロト! 会いたかったロト!」

「ロトム久しぶり! 元気してた?」

 電子音が混ざった声を出しながらサトシの周りに飛び回る見たこともないその物体。 セレナは話には聞いていたが、本当にポケモンが言葉を話すなんてと、関心をしながらその奇妙な赤い図鑑を眺めていた。
 セレナは人間の言葉を使うポケモンを見るのは初めてではないのだが、それでも珍しいことには変わりはない。 ロトム図鑑は先ほどからサトシに久しぶりに会ったことに喜んでいる様子だった。 しばらくすると落ち着きを取り戻し、セレナに気づいたようで電子音とともに急接近をしてくる。
 ▼ 290 クレー@にじいろのはね 19/09/20 21:14:26 ID:e07E3aRQ [35/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ビビ! 君がセレナロト? 会うのはこれが初めてロト! 僕の名前はロトム図鑑! それにしても大変だったロトね? サトシが飛び出して何があったかと思えばククイ博士から急に病院へ呼び出されて、事情を聞いてみればサトシの友達のセレナが大変な目にあったと聞いて。 サトシの傍にいないと精神が不安定になってしまうから、面識のない僕はサトシの傍にいたら邪魔になるって言われたあとに事件の調査のため僕の図鑑の中にあるデータを利用したいだとかでククイ博士の助手をしばらく勤めて、でもでも現場に残されている技の情報はこの島には珍しくないポケモンが使う技ばかりで事件の調査は難航を極めたり、色々していたらククイ博士がいい考えがあるとかで一時的に事件の操作を中止したりでモーびっくりロト。 撮りだめしていたアローラ探偵ラキもまだまだ見れず、だけど久しぶりにサトシにも会いたいと思っていたらサトシとセレナが学校にいると聞いてククイ博士と飛び出してきたロ…って何をするロト博士!?」

「ロトムお前なぁ!」

「あ、あはは」

 セレナが喋る暇もなく濁流のように喋り続けるロトム図鑑を、ククイは少し怒りながら無理やりロトム図鑑を捕まえ喋れないようにしていた。 あまりの出来事にセレナは苦笑いを隠せないでいたが、今まで自分のこと為に働いてくれたと思うと悪いポケモンでは決してないのだろうと、サトシとピカチュウと一緒に笑い合う姿を見てそう思った。
 
 ▼ 291 ルネアス@レンブのみ 19/09/20 21:21:19 ID:e07E3aRQ [36/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ククイはロトム図鑑をセレナから引き剥がし、頭を掻きながら申し訳そうな顔をしながらロトムの代わりにセレナへ誤っていた。 セレナは気にしてはいない様子で、両手を前に振りながら「私は大丈夫ですから」と少し焦りながら言うと、ククイはもう一度ロトムに念を押すようにデリーケートな部分はあまり口には出さないようにと念を押すように言っていた。 セレナからしてみれば、お礼を言ったり謝りたいのはセレナのほうだった。 見ず知らずの自分をこんなにも良くしてくれて、わがままも何度も聞いてもらっている。 

 アローラではサトシはククイの家に寝泊りをしており、そこから学校に登校したりなどは話には聞いている。 二人の間には、血の繋がりがないかもしれないが、家族と同じような信頼が二人からは見て取れていた。 つまり、ククイにとってサトシは今はまだいないが自分の息子と同じような意識を持っているのだろう。 そんなサトシの友人であるセレナが危ない目にあったならば、確かにセレナを全力で助けるだろうし、実際にセレナは何度も助けられてきた。 もちろん、事件を起こした場所がアローラ地方ということもあり、セレナがサトシの友人ではなくとも事件の解決に全力を尽くすだろうが、それはククイの仕事ではなく警察の仕事だ。 ククイがこの事件に関わっているのはサトシが関係しているからというのがやはり大きい。

 今まではセレナ自身の余裕がなく、お礼を言いそびれてしまっていた。 だからこそ、ちゃんとした機会を見つけてお礼を言わなくてはいけない。 そう思っていると、ククイはその大きな手の平を何度も叩き注目を集めるように促す。
 ▼ 292 ーバーン@ミミッキュZ 19/09/20 21:21:40 ID:e07E3aRQ [37/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はい注目! 久しぶりに俺が授業を始める前にだが、まずは今日一日、セレナがアローラスクールに体験入学するぞ! というわけで、セレナには一度自己紹介をしてもらって最初の授業を始めようと思う。 それじゃあ、セレナ。 全力の挨拶をおねがい…って言いたいところだけど、まずは部屋を元に戻してからだな」

 教室の中はセレナの話を聞いたりするために机や椅子を移動していたので、まずは定位置に戻してからセレナの挨拶をしてもらうことにした。 ククイはサトシたちが教室を元に戻している間に、セレナの机と椅子を新しく用意していた。 元に戻した後、ククイの指示に従いセレナは教卓の前に立つと、ここにいるサトシたちやククイを見渡す。 見られることには慣れているのだけれども、妙に緊張するのはなんだろうかと思いながら、息を大きく吸い挨拶をし始めていく。
 ▼ 293 リンリキ@ふしぎのプレート 19/09/20 21:22:05 ID:e07E3aRQ [38/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「アローラ! 私の名前はセレナです! カロス地方という場所から旅行でアローラに来ました! 皆さんとは何度か話をさせてもらったりして何度も話しているけど、今日はククイ博士にお願いしてもらってポケモンスクールに体験入学させてもらいました! 今日はよろしくお願いします!」

 セレナがよろしくと言うと、教室にいる生徒からは大声で同じようによろしくと返ってくる。 

「よし、全力の良い挨拶だったぞ。 それじゃあ、セレナにはさっき持ってきた席についてもらった後、授業を始めるからな」

 ククイが始めた授業は生徒が学んだことの復習もかねて作られたもので、初めてアローラ地方に来たセレナにも分かりやすく組まれた内容だった。 アローラ独特の風習である島めぐりやZ技について。 島ごとに存在する守り神や、リージョンフォームというポケモンの姿だけではなくそのタイプまでも変化してしまう現象について。 セレナはある程度見たり聞いたりしてきたものではあるが、詳しくは知らなかったのでククイの授業内容はとても面白く感じていた。
 ▼ 294 ウマ@ちかのカギ 19/09/20 21:22:40 ID:e07E3aRQ [39/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
課外授業ということで外に出てポケモンを観察したり、野生のポケモンたちと触れ合ったりと、近くに森が存在するポケモンスクールならではの授業が行われたりした。 生徒が先生となりほかの生徒に授業をしていくといった珍しい形式がとられていたり、セレナはポケモンスクールの一日を十分に体験していった。

 楽しい時間はすぐに過ぎるようで、大きな鐘の音がスクール中に響き渡る。 ポケモンスクールの頂上にはドータクン型の鐘が設置されているようで、授業や学校の終わりなどの時間を過ぎた場合、そこにいるネッコアラというポケモンが鐘を鳴らしてくれるようだった。
 今なった音は最後の授業が終了した音。 つまり、セレナの一日体験授業が終わりを告げたということになる。 ククイは鐘の音が響き終わるのと同時に大きく手を叩き生徒たちの注目を自身に向けると、終わりのホームルームの準備を始める。
 ▼ 295 ーバー@スペシャルアップ 19/09/20 21:23:12 ID:e07E3aRQ [40/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「今日の授業はこれで終わりだ。 セレナ、授業は楽しかったか?」

「はい! 知らないことやみんなのこともいっぱい知れて、想像以上に楽しかったです! それと、ククイ博士、お願いしてもいいですか?」

「ああ、勿論大丈夫だぞ!」

「何のこと?」

 急にセレナとククイは周りの人には分からないような、口裏を合わせているような会話をし始め、サトシは頭をかしげながら疑問を感じていた。 それはサトシだけではなく、他の生徒も同じように感じているのだが、それを尻目にセレナは教卓の前に、ククイの隣に歩き進める。
 ▼ 296 ノガッサ@カシブのみ 19/09/20 21:24:09 ID:e07E3aRQ [41/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「今日はありがとう。 こんなに楽しい時間を過ごせれたのは、みんなに出会ったから。 だから、私はみんなに何かお礼をしたいと思ってたの! そして、私がみんなに出来るお礼は、私の全力の感謝を込めて、パフォーマーとしての演技を披露すること。 私がこのアローラ地方で感じたことを、見たことを、思いを、私の演技で表現したものを、みんなに見てほしいと思ったの!」

「アローラ地方に無いポケモンコンテストやトライポカロンといった、ポケモンの魅力を引き出す大会。 セレナはそのパフォーマーとして活躍している人物だ。 そんなパフォーマーの演技を見てみたくはないか?」

 ククイの発言とともに教室にいる生徒は笑顔で何度も見たいと連呼をし始める。 ここにいる生徒はセレナと出会いトライポカロンなどの演技について、話だけでしか聞いたことのないものだった。 つまり、実際の演技は見たことはなく、セレナの話を元に想像で補完するしかなかった。 そのパフォーマーであるセレナが実際に演技を披露してくれるとなれば、話でしか聞いたことのないものを見たいと思うのは当たり前のことだった。 
 ▼ 297 シラム@サファリボール 19/09/20 21:25:32 ID:e07E3aRQ [42/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナは演技を始めるためにククイたちと共にグラウンドに移動をし始める。 十分な広さがあるポケモンスクールのグラウンドなら、場所を広く使う演技をしても問題はなさそうだった。地面に何度も足を踏みつけても凹みがつく様子はない。 多くの生徒が利用するこのグラウンドは、その生徒たちの足によって良く踏み均されていた。 ポケモンたちが足を滑らせて途中で演技を失敗しる可能性は低い。 教室から覗き込むように空を見たが、美しい青色が広がっている。 天気も良好で、演技をするには素晴らしいともいえるコンディションだった。

 満を持してセレナの手持ちにいる三匹のポケモンをグラウンドへ放つ。 三匹はセレナの瞳を見ているだけのはずなのだが、その三匹と一人の間には何か見えない糸のようなもので繋がっているようにも見えた。 三匹はセレナから指示を受ける前に技を一度出して、準備運動のように自分たちの調子を確かめていく。 セレナ自身も目を瞑って体を動かしながら頭の中で演技の手順を確認していく。 セレナたちは準備運動をしているだけのはずなのに、その場には妙な緊張感が放たれていた。 セレナが今から演技を披露することはわかっているのだが、それを抜きにしてもセレナに注目が集まっていくの感じていた。
 ▼ 298 ーミラー@プテラナイト 19/09/20 21:26:32 ID:e07E3aRQ [43/43] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(セレナがパフォーマーというのは事前に教えてもらっているが、先ほどまでの雰囲気やセレナの表情はいつもとはまるで違う)」

 ククイは顎を摩りながらセレナを様子を見ていた。  たかが準備運動かもしれないが、その周りに纏うそのオーラと言うべきなのか、その一つ一つの動作には迷いがないように見えた。 何かしらの競技で活躍している選手は、自分が落ち着く動きや固定化された一連の動作をしているとは聞く。 セレナの動作はまさにそれであった。
 ククイは横目で自分の隣に並んでいる生徒を見てみると、ククイと同じように驚きの表情を浮かべるものや、真剣な眼差しを向けるものや、セレナが演技を見せてくれることに対して喜んでいるのかは分からないが、笑顔を浮かべる者もいた。 とにかく、ククイを含め、セレナの変わりようには少なからずとも驚いている様子だった。
 
 準備運動が終わったのか、最後に深呼吸をしているような、空気が吸い込まれる音と出させる音がセレナから聞こえてくる。 セレナは周りを見渡すと、窓がない開放感あふれるポケモンスクールからは何事かと顔を覗き込む生徒や教師たちがグラウンドにいるセレナを見ていた。 
 ここは会場だ。 セレナはククイたちへの感謝を込めて演技をする予定なのかもしれない。 しかし、ククイたち以外の人たちがセレナに注目を浴びていることが分かってしまった以上、パフォーマー魂というものが疼いてしまうというか、見ている人たちを全力で楽しませなければいけない。 そう思ってしまう。
 ▼ 300 ブト@ゴーゴーゴーグル 19/09/20 21:38:29 ID:waGMbH86 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 301 ンプク@ダイブボール 19/09/20 21:43:57 ID:dnrApHQ2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 302 デンネ@まんぷくおこう 19/09/22 00:00:36 ID:XLMw33uc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 303 クタス@クオのみ 19/09/24 10:22:58 ID:eGScrCn2 NGネーム登録 NGID登録 報告
続き楽しみすぎる 
支援
 ▼ 304 ガフーディン@ポケモンボックス 19/09/24 21:51:39 ID:fCDwYoRo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 305 リデプス@おいしいみず 19/09/26 09:41:19 ID:VY86kNtk [1/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「皆さーん! アローラ! 私の名前はセレナです! 今から私はポケモンたちの魅力を引き出すパフォーマンスをさせていただきます! 良ければ楽しんでみてください!」

 深呼吸を済ませているセレナはさらに息を吸い込み、教室から覗き込んでいる人に呼びかける。 全力の笑顔を添えて、大きく手を振りながら呼びかけるその姿は、恐る恐る見ている人や何が始まるのか分からないと疑問に感じている人たちの心を掴んでいった。 

 そして、場を整えたセレナはポケモンたちと共に動き出す。 最高の演技をこの場でするために。
 ▼ 306 ガネール@こだいのおうかん 19/09/26 09:42:30 ID:VY86kNtk [2/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「行くわよみんな! ヤンチャム、地面に向けて円状にストーンエッジ!」

「チャァ…ム!」

 ヤンチャムはセレナの掛け声と共に走り出す。グラウンドの中心で空高く飛び上がり、そのまま落下の勢いを利用しストーンエッジを放つ。そこには、技を放っているヤンチャムを中心に、二段階の円状に作られた岩のスタジアムが作られた。
 一段目は演技でもよく使われる通常のストーンエッジ。円状に広がり等間隔の隙間が空いているいるのだが、その隙間を埋めるように、外側にはもう一段のストーンエッジの壁が作られるようにしていた。
 ▼ 307 コロモリ@やすらぎのすず 19/09/26 09:43:12 ID:VY86kNtk [3/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「良いわよヤンチャム! テールナーにニンフィア!」

「テナ!」

「フィア!」

 岩のステージが完成したことを確認したセレナは、テールナーとニンフィアに指示を出し二匹は走り出す。テールナーは岩のステージの中心にいるヤンチャムに向かい、ニンフィアは外側に作られているストーンエッジに向かい走っている。
 ニンフィアはストーンエッジの先端に飛び乗り、テールナーがっやんちゃ無の元に到着した瞬間、セレナは次の指示を出し始めた。
 ▼ 308 イプ:ヌル@ウルトラボール 19/09/26 09:43:58 ID:VY86kNtk [4/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィアは影分身! ヤンチャムはテールナーの足につっぱり!」

 ニンフィアはセレナの指示通りに影分身を使い始める。ニンフィアの周りに影分身をするのではなく、事前に練習をした通りに、ニンフィアが載っていないストーンエッジの先端に影分身を乗せ始める。中心にいるヤンチャムたちを囲むように、ニンフィアは並べられている。
 その一方で、テールナーはヤンチャムの頭上に飛び上がり足を向けていた。ヤンチャムはその足に向けてつっぱりを使い、テールナーを空中高く押し上げていく。テールナーの脚力では空高くまで飛ぶことはできないが、ヤンチャム技を使えば可能になる芸当だった。
 ヤンチャムはテールナーを空高く押し上げれたことを確認すると、岩のステージの外に走り出し次の指示による技の避難をしていた。セレナもヤンチャムが避難できていることや、ニンフィアが準備を完了しているのを確認した瞬間、テールナーの高度が落ちる間もなく指示を送り出す。
 ▼ 309 イティ@くろいメガネ 19/09/26 09:44:35 ID:VY86kNtk [5/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィアは影分身! ヤンチャムはテールナーの足につっぱり!」

 ニンフィアはセレナの指示通りに影分身を使い始める。ニンフィアの周りに影分身をするのではなく、事前に練習をした通りに、ニンフィアが載っていないストーンエッジの先端に影分身を乗せ始める。中心にいるヤンチャムたちを囲むように、ニンフィアは並べられている。
 その一方で、テールナーはヤンチャムの頭上に飛び上がり足を向けていた。ヤンチャムはその足に向けてつっぱりを使い、テールナーを空中高く押し上げていく。テールナーの脚力では空高くまで飛ぶことはできないが、ヤンチャム技を使えば可能になる芸当だった。
 ヤンチャムはテールナーを空高く押し上げれたことを確認すると、岩のステージの外に走り出し次の指示による技の避難をしていた。セレナもヤンチャムが避難できていることや、ニンフィアが準備を完了しているのを確認した瞬間、テールナーの高度が落ちる間もなく指示を送り出す。
 ▼ 310 ュウ@てんかいのふえ 19/09/26 09:44:52 ID:VY86kNtk [6/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニンフィア、ようせいのかぜ!」

「フィーア!」

 円状に作り出されたストーンエッジの上にいるニンフィアは、影分身と共に妖精の風をステージを包み込むように送り出す。それを頭上から見ていたテールナーは、妖精の風がステージを包み込んでいくのを見た瞬間に、大文字の準備に取り掛かっていた。
 セレナとテールナーの距離は大きく離れている。セレナの声ではテールナーに指示を出せる距離ではないので、状況に合わせて技を出してもらうように相談していた。ニンフィアの妖精の風がステージを包み込んだと同時に、大文字を放つようにと。

 テールナーの杖には、数多くある炎技でもより強力な大文字のエネルギーが貯められている。そして、そのエネルギーは岩のステージの中心へと放たれた。巨大な炎が空高くから放たれていく。
 ▼ 311 リン@ニニクのみ 19/09/26 09:45:12 ID:VY86kNtk [7/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「テナァアアア!」

「うん、いい感じ! ニンフィアはようせいのかぜで炎を調整!」

 勢いよく放たれた大文字は地面とぶつかり激しく拡散する。しかし、そこには均等に並べられたスーンエッジで作られた岩のステージがある。更にはようせいのかぜも組み合わさり、大きな風のクッションが作り出されている。岩のステージとようせいのかぜにより、大文字は勢いを殺したまま巨大な炎のエネルギーを作り出されていた。岩のステージの隙間を沿うように炎は移動し、その先には二段目の岩の壁があるため、そこにぶつかりながらようせいのかぜに空中へ運ばれていく。そして、その炎はようせいのかぜにより巨大な炎の塊が作り出されていく。
 ▼ 312 ンベアー@むげんのチケット 19/09/26 09:45:48 ID:VY86kNtk [8/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナが前回作り出した巨大な太陽には多くの欠点があった。一つ目は、かえんほうしゃだけでは火力に限界があり、より大きな演技ができないこと。二つ目は、勢いがあるものをようせいのかぜで操作するのは向いていないこと。三つ目は無理やり操作しようとして作り上げたものにムラが出てしまうこと。そして、四つ目はニンフィアの負担が余りにも多すぎること。
 ポケモンコンテストは一匹のポケモンだけでやるものではない。様々なポケモンの技を組み合わせ、最高の演技をしなくてはならない。しかし、前回のものはニンフィアのようせいのかぜが要になるとは言え、余りにも負担が多すぎる。そして改良したのが今の方法だった。
 ▼ 313 ッパ@ふしぎなアメ 19/09/26 09:46:11 ID:VY86kNtk [9/15] NGネーム登録 NGID登録 報告

 かえんほうしゃよりも勢いのある大文字を、ニンフィアのようせいのかぜでは操作することは不可能だ。だからこそかえんほうしゃを操作していたのだが、それでは火力に限度が出てしまい力強い演技をすることができない。ならば、大文字の勢いを殺し操作しやすい炎を作ることを考えた。そして、空高くから地面に放てば、地面が勢いを殺しそこには巨大な炎が生まれると思いつく。だが、ただ地面に打つだけでは四方八方に炎が拡散してしまい、結局操作がしにくい炎が生まれてしまう。そして、なにか受け皿がなければ炎の勢いも殺しきれずに散ってしまう。だからこそ、岩タイプの中でも強力な技を誇るストーンエッジにより、大文字の受け皿を作り出したのだった。
 ▼ 314 ガラグラージ@ハンサムチケット 19/09/26 09:46:26 ID:VY86kNtk [10/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ヤンチャムが作り出した一段目のストーンエッジは、大文字の勢いを殺しながら指向性を持たせることができる。指向性を持たせた大文字の炎を、その先にある二段目の岩の壁に炎を沿わせながら、ニンフィアのようせいのかぜで無理なく上空に炎を送ることが出来る。影分身で炎の状態を細かく見れるのもあり、ムラのない巨大な炎のエネルギーを操作することに成功していた。
 テールナーは空中から落ちながらその様子を見ており、無事に成功していたことを確認した後に次の行動に移っていた。大文字の炎だけでも巨大な炎の塊は作れるが、より大きな炎を作るためにかえんほうしゃを炎に向けて放っていく。それでは最初の頃と同じではないのかと思われるが、大文字による大きな炎の塊をより大きくするのは苦ではない。しかし、何もない状態から、受け皿もない空中に勢いのあるかえんほうしゃを打ち込み、ようせいのかぜで操作するのは先程も言ったとおり無理がある。現在は巨大な炎の塊が受け皿となり、急激に大きくするのではなく徐々に大きくしているので操作がしやすいといったところだ。
 ▼ 315 ビヨン@コダックじょうろ 19/09/26 09:46:46 ID:VY86kNtk [11/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「良いわよ。テールナーとヤンチャムは次の準備に入って! ニンフィアはようせいのかぜで炎を安定!」

 セレナは確かな手応えを感じながら指示を出していく。ニンフィアはそのまま炎を操作し続け、ムラのない塊を維持していく。ようせいのかぜで炎に風を送り込み、徐々に炎を大きく安定させていく。ニンフィアのようせいのかぜが要なのは変わらないが、負担は前よりも少ない。ニンフィアの表情がそう物語っている。
 テールナーとヤンチャムは次の技の準備に入っていた。ヤンチャムはストーンエッジを細かいつぶ状に体にまとい始め、テールナーはめざめるパワーの準備に取り掛かる。前回の練習で二匹の息は完璧にあっている。力を合わせる時間はそうかからなかった。
 ここまで来るのにどれだけの時間がかかっただろう。いや、時間よりも、どれだけの出会いでここまでに行き着くための発想をもらってきただろうか。セレナは技を放つ準備を完了しているテールナーたちを見る。二匹はセレナの方を向いており、静かに頷いていた。そして、セレナは静かに腕を上げる。
 ▼ 316 バメ@しんかいのキバ 19/09/26 09:47:10 ID:VY86kNtk [12/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「テールナー! ヤンチャム! ラスト!」

「フィア!」

「チャム!」

 めざめるパワーの周りをストーンエッジが追尾する。そして、ようせいのかぜに包まれていた炎の塊に近づいていき、ストーンエッジが切れ込みを入れ、めざめるパワーは勢いを落とすことなく炎に入っていく。めざめるパワーは炎のエネルギーにより急激に膨張をし始め、拡散する。巨大な炎の塊とともに、大きな爆発を起こしてく。それと同時に、巨大な炎の塊はようせいのかぜの指揮下から解き放たれていく。
 膨張は止まらない。その炎はどんどん大きくなり、そこには前回に作り上げた演技よりも巨大な太陽が、どんな演技にも負けない大きく力強く、Z技よりも輝く太陽が作り上げられた。このアローラ地方で巡り会えた人々の想いをのせて、その太陽はセレナの気持ちと呼応するように輝きを放ち、消えていった。
 ▼ 317 ガカメックス@ナゾのみ 19/09/26 09:47:35 ID:VY86kNtk [13/15] NGネーム登録 NGID登録 報告

「(これが私の全力……出来た……みんなの出会いと、ポケモンたちと、全ての技術を詰め込んだ……私のZ技!!)」

「はぁ…はぁ…ありがとうございました!!」

 セレナは最高の演技を作り出したことに感動をしているものの、最後まで気を抜かずに、満面の笑みでお礼を言っていた。それと同時に、セレナのポケモンたちもお辞儀をしていく。演技が最後までやり通せたことに、ポケモンたちの表情もセレナと同じように満面の笑みで終わっている。

 静けさが広まるグラウンド。しかし、徐々にだがぱちぱちと手を叩く音が大きく鳴り響いていく。その音は連鎖するように、ここにメレメレ島の人たちがいるのではないかと思うほどに、大きく鳴り響いていった。
 ▼ 318 ミロップ@ぼうごパッド 19/09/26 09:47:50 ID:VY86kNtk [14/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
「すげーぜセレナ! 最高の全力だったぜ!!」

「うおおおお!! 俺は今猛烈に感動しているぞおおおおお!!!」

「本でも見たことがないような光景でした!」

「太陽みたいだった! セレナ凄い!」

「本当だよ! わたしが思っていた十倍凄かったよ!」

「パフォーマンスってこんなことができるんだ……僕、感動しちゃったよ!」

 セレナの後ろで見ていたサトシたちは、最高の笑顔でセレナに向かい拍手を惜しまなかった。そして、それはセレナにとっての、最高の演技ができたという証明であり、最高の瞬間だった。人を楽しませるパフォーマーにとって、この瞬間がセレナの大切な場所だから。
 スクールで見ている人たちも、大きな拍手でセレナを迎えている。スクールから見ている人たちは、セレナのことを知っている人は少ないだろう。だが、今この瞬間は、全ての人がセレナに向けて惜しみない拍手を送っている。全ての人が、セレナのことを最高のパフォーマーだと感じてくれている。
 ▼ 319 ネッコ@ラブラブボール 19/09/26 09:48:11 ID:VY86kNtk [15/15] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ありがとう……ありがとうございました!!」

「テナー!」

「ヤンチャ!」

「フィアー!」

 拍手は何分にも続いた。彼女たちが教室に戻ろうとグラウンドから歩いている時も、窓から拍手を送り続けていた。セレナは、そんな生徒たちに手を振りながら、感謝を伝え続けていた。
 ▼ 320 クレオン@はじめてメール 19/10/02 02:04:26 ID:/n.okKBw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 321 ムリット@ひかりごけ 19/10/03 20:32:15 ID:VCeMZL/c NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 322 ダツボミ@そうこのカギ 19/10/06 22:30:17 ID:C2CAFBkw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 323 ーブル@ぼうけんノート 19/10/08 13:53:11 ID:O50wAk2U [1/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
 日の当たりにくい路地裏。ゴミが散らばり、湿り気でカビが生えているのか鼻につく臭いが漂っている。こんな場所で深呼吸などをしてみれば、落ち着くはずもなく気分が悪くなってしまうのは明白だろう。その路地裏に、忙しなく誰かが走る足音が響いている。一人ではない。少なくとも十人以上はいるだろうその足音は、誰かを追うように慌ただしく音を絶たせていた。

「はぁ……はぁ……」
「くっそ……なんでだよ……!」
「だっりぃ……!!」

「……っく……畜生あいつら……!」

 大勢の人数が走り回る音で、特に荒々しい足音を鳴らすものがいた。細い通り道でなりふり構わず走り回っているのか、ゴミをや空き缶を蹴飛ばし、固く軽いものがぶつかり甲高い音が路地裏に響き渡る。音を鳴らせば先ほどの追うような足音がこちらに近づいてくるが、静かに走ることもできずにいた。
 激しく呼吸をし続けているのか、長きに渡って走り続けている様子がうかがえる。
 その追われる者たちは、セレナを襲っていた青年達であった。セレナを追っていた側の者たちは、今度は追われる側に成り下がっていた。
 ▼ 324 スボー@きんのはっぱ 19/10/08 13:53:33 ID:O50wAk2U [2/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おい! こっちに居るぞ!」

「ど、どうすんだよ兄貴!見つかっちまった!」
「くっそ! こっちに……あ、ああ!?」

 路地裏を縦横無尽に走り続けるのも終わりが近づいてしまったのか、兄貴と呼ばれていたその青年は声を絞り出すように嘆いていた。追ってくるものから逃げ続けた先には、巨大な壁が存在していた。つまり、逃げ場所はどこにもない、行き止まりである。咄嗟に後ろに下がり逃げようとすると、先程までの大勢の足音は消えてなくなっており、その代わり一人の足音が裏路地に響いていた。
 悪魔が近づいてくるように、その音はゆっくりと徐々に近づいてくる。路地裏は暗く、光が当たりにくいので近づいてくる者の姿は見えない。だが、その姿は見えなくても、暗闇の中から放っている体にねっとりと絡みつくような、重苦しい雰囲気は嫌になるほどに感じていた。そして、青年たちの前の正面に、路地裏に差し込まれている少ない光に、徐々にその者がこちらに近づき光を当てながら姿を表していく。
 ▼ 325 ーシィ@エフェクトガード 19/10/08 13:53:55 ID:O50wAk2U [3/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「どうしたよ……もう逃げねえのか?」

「グ、グズマ……っ!!」

 一際体格が大きく、頭は白く染め上げ、黄色い淵のサングラスをかけている者がいた。首にはドクロのような巨大なネックレスを付けており、ポケットに手を入れながら背中を丸め、ゆっくりと壁にいる四人に近づいていく。
 グズマと呼ばれたその男は、背後に大きな武者のような虫ポケモンを従え徐々に迫っていた。それと同時に、迫られてきている四人は後ろへ交代するも、背中には冷たい壁が感じられてしまう。逃げ場所はない。そう言われるように。
 ▼ 326 ルネロス@エスパージュエル 19/10/08 13:54:16 ID:O50wAk2U [4/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
 
「グズマ? グズマさん……だろ? お前もスカル団の一員ならよぉ……なぁ?」

「ま、待てよ! 俺達はお前らに……ひぃ!」

 グズマとそのポケモンの背後から、薄暗い闇の中から、その暗闇と同じように黒い服を着ているスカル団であろう少年や少女が現れていく。その数は10人では済まされない量であった。その数に、静止を求める青年は悲鳴をあげてしまう。

「待て? お前、俺に待てって言ったのか? くっくく、くははは、ははははははははははははははは!!! 俺に待てって!? 傑作だな!! ええ!?」

 グズマの笑い声と同時に、背後にいたスカル団も大声を上げて笑っていた。壁に背中を向けている青年たちは、その笑い声に恐怖する。顔色は悪く、表情は歪んでいる。
 笑い声は徐々に止んでいき、グズマはゆっくりと口を開いていく。その表情は、暗い路地裏によく似合うほど歪んでおり、悪魔。いや、もはやこれから青年たちを死刑に追い込む死神のようにも思えてしまう。
 ▼ 327 ラミドロ@タウリン 19/10/08 13:54:34 ID:O50wAk2U [5/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ぶっ壊してもぶっ壊しても手を緩めなくて嫌われる、破壊という言葉が人の形をしているこの俺様に向かって……止めろだぁ?」

「お、俺たちはポケモンはもういないんだぞ! もう戦う事が出来ないんだ!」

「関係ねぇな……グソクムシャ、アクアブレイク」

「ムシャ……!」

「ァ!!」

「……ひぃ!?」

 グズマの指示により、グソクムシャと呼ばれたそのポケモンは四人の内の一人に対しアクアブレイクを放った。攻撃を受けたその人物の姿を間近で見ていた一人は、あまりの速さに何が起きたのか分からず、何かが飛んで行った方向をゆっくりと振り向き、壁にもたれかかったものを見て短く悲鳴を上げてしまう。
 攻撃を受けた一人は、叫び声も上げられず肺の中の空気を無理やり外に押し出され、壁に打ち付けられていた。その青年はぐったりと壁にもたれかかり、アクアブレイクの攻撃で肩から斜めに切り付けられた綺麗な一太刀の傷からは、どろりと血を流していた。
 ポケモンがいないから戦えない。だからと言って、グズマは攻撃を止めることはなかった。その表情はただ静かに、その四人を視線に入れていた。そして、ゆっくりと語るように喋りかける。これが、最後の会話だと言うように。
 ▼ 328 ブクロン@たつじんのおび 19/10/08 13:57:15 ID:O50wAk2U [6/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お前らはスカル団じゃねえ。それだけで十分だ。そうだろ?」

「あ、ああ、ああああ」

「おい、お前ら……やれ」






「あァァぁあぁああぁぁあああああああああああ!!!!」

 グズマはその一言とともに、後ろに振り返り歩き始めた。それと同時に、スカル団から放たれたポケモンたちが一斉に青年たちへと攻撃を仕掛け始める。薄暗く、光も通さないその裏路地で、逃げ場のない壁に囲まれた状態では、その叫びも虚しく、助けなど来るはずもなく、攻撃をその身に受け続けるだけであった。
 

 ▼ 329 イコウオ@タウリン 19/10/08 13:57:35 ID:O50wAk2U [7/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
 




 後日、体中に傷を負った四人の青年が、縄をくくりつけられた状態で交番の目の前に置かれていたことを発見された。その青年たちはセレナから聞き出した情報と同じような格好や目つきなどをしていたため、その話はククイへと渡された。ククイの操作を手伝っていたロトム図鑑を通し写真が送られ、その写真をセレナに確認してもらうと、セレナを襲った犯人ということが判断され、無事に逮捕されることとなった。

 これにより、セレナの無事が保証されたのは良いが、セレナはこの事件を解決した人にお礼を言えることはできなくなっていた。何故ならば、この青年たちを捕まえたと名乗る者は誰一人出なかったからだ。無名の人物が解決に導き、ニュースには報道できなくても、アローラ警察はこのことを不思議に思いながら感謝の念心に抱いていた。
 ▼ 330 ビシラス@ペアチケット 19/10/08 13:58:00 ID:O50wAk2U [8/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

 しかし、ポケモンの技を研究するククイであれば、青年に受けている傷を観察し、どのポケモンがつけた傷なのかは直ぐに判断出来るほど分かりやすい傷跡だった。
 肩から斜めにかけて重く深い一太刀が入れられている。傷の周りには毒や炎で付けられたような不純物や焦げ目はなく、断面は綺麗に整えられているが、その大きな傷の周りには細かい傷も入っている。大きな一太刀と言えば、草タイプの強力な一撃を放つリーフブレードを連想させるかもしれないが、リーフブレードでは傷の周りに細かい傷を付けるような技ではない。そして、傷の付き方から、飛び散るように付けられた状態をしている。大きく深い傷を付けながら、その周りに飛び散るような傷を負わせ、なおかつその傷跡の状態から攻撃を放ったポケモンが良く育てられていることが想像でき、そして、そのような傷跡を付けられるトレーナーは少なくない。
 水分を刀状に変形させ、相手のポケモンに大きな一太刀を与える、水タイプの強力な技であるアクアブレイク。そして、それをを得意とする大きな甲冑を身に包むポケモングソクムシャ。そのグソクムシャを鍛え上げているトレーナーを、ククイはよく知っている。
 ククイは微笑みながらその場を立ち上がり、白衣のポケットに入っている携帯を誰かにかけることもなく、ただ、強く握りしめ、たったその一言を彼の名前とともに呟いた。
 ▼ 331 ラガラ@ディアンシナイト 19/10/08 13:58:22 ID:O50wAk2U [9/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「グズマ、ありがとう……」

 想いを乗せ、携帯を強く握りしめながら、ククイは小さく呟いたその言葉は、アローラのそよ風とともに消えていく。この声は決して届くことはないだろう。だが、それでもククイはこの想いを声に出すことしかできなかった。
 グズマ自身にも、スカル団を名乗る者を排除するといった利害の一致というのもあっただろう。しかし、それでもククイは感謝の念を堪えなかった。大切な家族であるサトシの、大切な友人であるセレナを守れたことを。もしかしたら、スクールの生徒たちにも被害が及ぼす可能性があった事件を、グズマは助けてくれたのだから。
 ▼ 332 ョロゾ@ドクZ 19/10/08 13:58:48 ID:O50wAk2U [10/16] NGネーム登録 NGID登録 報告

「セレナ、もう行っちゃうのか?」

「うん、気持ちの熱が冷めないうちに、ホウエンでコンテストを受けてみたいから」

 サトシとククイ、そして、セレナと出会ったポケモンスクールの生徒たちは、セレナがアローラ地方からホウエンに戻ることを知り、空港に集まっていた。セレナとは数日しか過ごしていないものの、彼女との出来事はその少ない数日で様々な思い出を作っている。短い時間の中で、多くの出来事をがあったからなのか、話した時間よりも多くの時間を一緒に過ごしたと錯覚してしまう。だからこそ、セレナとの別れが余計に寂しいものに感じてしまっていた。
 ▼ 333 ガラティアス@おきがえトランク 19/10/08 13:59:30 ID:O50wAk2U [11/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナさん、もう行ってしまうなんて、私たちももっとお話をしたかったです」

「もっと話したいことが色々あった。スクールで学んだことや、見つけたこと」

「ああ……それに、話すだけじゃなく、俺たちと一緒にそれを体験してほしかった」

「僕たちが考えた授業とかもあるから、是非体験してほしかったよね」

「そうだよ…もっともっと一緒に勉強したかったし、サトシと一緒に居ればいいのに」

「あ、あはは……」

 セレナの別れを惜しみ、アローラで出会えたスイレンたちが思い思いの言葉を残していた。その中で、セレナの想いに気付いているマオは、サトシの話題を出してきた。悪気があって言っているわけではないのだろうし、実際にサトシとはカロス地方で別れてから久しぶりに会う。なので、折角の想い人のサトシにマオは知らずとも赤いミサンガの通り運命的な出会いを果たせれたのだから、もう少し長くアローラ地方に留まっても良いのではないかと、善意で言ってくれているのだろう。
 ▼ 334 イリーフ@すくすくこやし 19/10/08 14:00:12 ID:O50wAk2U [12/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「(サトシとはもっと一緒に居たい。だけど、それじゃダメ……今のままじゃ、サトシに甘えちゃう)」

 サトシとは久しぶりに会う。しかし、このままではサトシに甘えてしまう。元々、サトシとはカロス地方で別れる際に、サトシは自分の目標であり、もっともっと魅力的な女性になると強く宣言していた。しかし、今のままではセレナが思い描いている、サトシの隣に立って並んでいる自分にはなれていない。サトシはそんなセレナのことを気にするなと声をかけてくれるだろう。だが、これはセレナの問題だ。サトシに甘え、セレナも自分自身に甘え、そんな自分が憧れの大切な想い人の隣に立って、本当に納得ができる光景が見えるだろうか。セレナはそうは思えなかった。だからこそ、心に傷を追ってしまったからと言って、それを言い訳にして、沼のようにどっぷりとハマっておくわけにはいかない。

 サトシには本当に感謝している。カロス地方で何度も自分の手を引っ張り上げ、何度も窮地を助けてもらい、何度も背中を押してくれた。そして、カロス地方を分かれた後もこのアローラ地方で、サトシは絶体絶命のセレナを見つけ出し助けてくれた。
 ただの偶然なのは分かっている。それでも、そんな絶体絶命の自分をその手で助けてくれるサトシの背中は、自分が思い描いている以上に大きく見えてしまった。だからこそ、ここで立ち止まっているわけにはいかない。
 ▼ 335 クタン@ピッピにんぎょう 19/10/08 14:00:35 ID:O50wAk2U [13/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
 セレナはアローラ地方で多くのことを学んだ。自分に足りなかったものや、ポケモン達に無理をさせていたこと。ポケモン達がセレナのことを気を使って、無理を気づかせないようにしていたとはいえ、ポケモン達を細かく見てあげていれば気づける事も多くあった。無意識に、自分に着いてきてくれるポケモン達に甘えていた。アローラ地方に訪れて、そのことに気付けたのが嬉しくもあり、悔やまれることだった。
 セレナの隣に立っているテールナーに優しく頬を撫でてあげると、テールナーは目を細めながら、頬に添えられているセレナの手の上に自身の手を重ね、セレナの体温を感じるように頬擦りしていた。
 自分を信じてくれて、ここまで懐いてくれているポケモン達の為にも、このアローラ地方で培った感覚を、ホウエンで生かして行きたい。そして、二度とポケモン達に無理をさせたくはない。気持ちよさそうにしているテールナーの表情を見れば、その気持ちが強いものになっていくのが分かる。
 ▼ 336 ォーグル@おこづかいポン 19/10/08 14:00:58 ID:O50wAk2U [14/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「セレナ……僕からは、なんて声をかけていいものか……折角、このアローラ地方に訪れてきてくれたのに」

 セレナの急な別れや、あの事件のことを申し訳そうに、ククイは頭をかきながら申し訳ない表情を浮かべセレナに話しかけていた。ククイが悪い訳ではないのに、自分のことのように悩んでいるその姿に、セレナはほんの少し微笑んでいた。

 セレナがあの事件に巻き込まれてから、率先して手を回してくれてたのはククイだ。そして、その姿はこの島の博士だからとか、そういった体制を気にして行動をしているのではなく、ククイ自身が助けたいからといった、純粋な気持ちで手を回してくれていたのは、セレナ自身が良く分かっていることだった。
 サトシがククイのことを話していた時に、居候をさせてくれていることや、自分の本当の親のように思っていると話していたが、サトシがそう思ってしまうのが良く分かる。ククイはサトシと同じように純粋なんだと。
 ▼ 337 ェリンボ@どくけし 19/10/08 14:01:20 ID:O50wAk2U [15/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふふっ、ククイ博士は私の身の回りの手助けをしてくれてたじゃないですか。 私は、ククイ博士にとっても感謝しています。だから、気に病まないでください。 それで、もし良かったら、またアローラ地方に立ち寄ることがあったとき、ククイ博士の家に尋ねさせてください。サトシと話していたときに、ククイ博士の料理が美味しいって話題が出たんです。 だから、その時にククイ博士の手料理をご馳走させてください」

「ああ……ああ! 10まんボルトに撃たれたような、美味しいご飯を作らせてくれ!」

「はい!」

 ククイのとの話が終わったと同時に、空港からはアナウンスが流れていた。どうやら、アローラ地方からホウエン地方行きの飛行機の、つまりはセレナが乗る飛行機についてのアナウンスだった。
 ▼ 338 サキント@おかえしメール 19/10/08 14:01:45 ID:O50wAk2U [16/16] NGネーム登録 NGID登録 報告
このまま後ろに真っすぐ歩き始めれば、サトシ達とは暫くのお別れになってしまう。だけど、本当にこのまま別れてしまって良いのだろうか。先ほども言った通り、サトシと次に会うときは、魅力的な女性になると宣言し別れを済ませた。だからと言って、この偶然の出会いを、このまま終わらせてもいいのだろうか。具体的な理由はない。ただ、そう思うと、セレナの胸はどくどくと血を巡らせていき、心臓は強く鼓動をし始める。
                           
 そう思うのに、そう思っているはずなのに、セレナは何故か勇気が出ずに、普段であればいつも通りに声をかけられるはずなのに。サトシに喋りかける勇気が出てこない。緊張しているからなのか、宣言を思い出してしまったからのか、今更甘えてしまうのを許せれないからなのか分からない。考え込んでしまうと、急に体が熱くなり、頭の中がぐちゃぐちゃになってしまう。
 最後だけでも喋りかけたい。強く思い込んでいると、目の前にいるその少年はゆっくりと口を開いた。
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