【SS】私｢アシマリのいる生活｣

浜辺に青い何かが捨てられていた。弱っている様子だった。
私は弱っている生き物を拾って育てる程優しい人間じゃない。
だが、ここでこのまま乾涸びていくかもしれない生き物を放置する訳にも行かない。

青い生き物を日陰まで運び水をかけてやった。
持っていた飴を食べやすく細かく砕いて置いてみた。
鳴き声のようなものが聞こえたが声が掠れている。
何かを訴えているが私は人間だ。わからない。


きっと優しい誰かがこの生き物を拾って育てるのだろうと考えながら私は家に戻った。


家に戻ってから調べてみるとあの生き物はアシマリ、というポケモンだった。違う地方に暮らしているはずのポケモンが何故？と思ったが気にせず眠りについた。

翌日、今日も散歩に行こうと思い家のドアを開けた。
家の前に青い何か───昨日のポケモン、アシマリがいる。
昨日よりかはマシな声で何かを訴えている。何を言っているのかわからない。

家の前にいるアシマリを放置する訳にもいかず家の中に入れた。
我が家にポケモンはいない。どうすればいいのかわからない。
とりあえずポケモンセンターに連れて行ってみる。

アシマリに冷たいシャワーを浴びせ、タオルで丁寧に包み自転車のカゴに乗せた。
｢近くのポケモンセンターまであと20分我慢して｣と伝えると掠れた声で｢しゃま｣と返された。

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