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【フライゴン】バトルシーンの評価をお願いしたい【ナットレイ】

 ▼ 1 リン@スピードパウダー 19/08/08 16:38:28 ID:xGlI6Ibo [1/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
上空のフライゴンの体表では、すでに"ヤドリギの種"が萌芽を始めていた。

"タネマシンガン"に紛れて皮膚に食い込んだそれらは、身をよじるフライゴンの抵抗も虚しく彼の体力をゆっくりと貪っていく。

ぎごちなく羽ばたく竜の姿をはるか下の地上から見上げて、ナットレイはほくそ笑んだ。

"地震"のために急降下してきた奴に打ち込めたカウンターの"弾丸"は三発。
こちらが受けたダメージを補うに足る成果だ。

種が多ければ、侵食する速度はもちろん、成長するヤドリギの重量もそれだけ増大する。
 ▼ 2 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:43:01 ID:xGlI6Ibo [2/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トリップつけ忘れてた

スレタイ通り、フライゴン対ナットレイのバトルssを書きました(これ自体はただの練習用でストーリー性はゼロです)

バトルシーンとしての欠陥や改善点などあれば指摘していただきたいです
もし好意的な評価があればすごく嬉しいです()

よろしくお願いします
 ▼ 3 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:44:47 ID:xGlI6Ibo [3/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


――とはいえ、だ。

ドラゴンタイプという連中は、総じて厚い皮膚と筋肉の鎧を身にまとっている。完全な侵食にはそれなりにかかるだろう。

言い換えれば、時間さえかければフライゴンといえど力尽きる。
その時が来るまで、ナットレイはただ守りを固めて待っていればいい。

――俺のヤドリギは食らいついたら離れねえ。翼に当たらなかったのはちと残念だが、まあいいさ。

ヤドリギは成長するにつれ重量と食欲をさらに増す。フライゴンが飛べなくなるまで数分もかからないだろう。

――落っこちてきたところに"ジャイロボール"ブチ込んで終いだな。
 ▼ 4 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:47:49 ID:xGlI6Ibo [4/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ナットレイの体に走る青い紋様は"鈍い"。
ただでさえ頑強な彼の、文字通り鋼の肉体は、今やその硬度をさらに跳ね上がらせている。

フライゴンにこの鉄壁を破る手段はない。
奴が使った技は"地震"と"龍の舞"、それに"タネマシンガン"の被害を最小に抑えた"とんぼ返り"の三つ。
そして、それだけの情報があれば残るひとつも容易に想像がつく。

「――まあ、"逆鱗"くらいしか無えよなぁっ!」

叫びつつ、ナットレイは再びの"タネマシンガン"を掃射する。
流石に二度目は全てかわされたが、しかしこれでフライゴンの消耗はさらに加速する。
 ▼ 5 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:51:41 ID:xGlI6Ibo [5/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

先程からフライゴンはこちらの牽制を避けるばかりで、一向に攻撃してくる気配がない。

だが、刻一刻とヤドリギに蝕まれながら、ただ呑気に構えているわけでもないだろう。

羽の輝きを見るに、恐らく"龍の舞"を再使用しているのだ。
限界まで高まったエネルギーを用いて繰り出されるのは"地震"に違いない。

――体力的に考えて、奴にこれ以上舞う時間は残ってねぇ。すべてを賭けた最後の一撃ってわけだ。

舞を終えたらしいフライゴンの翼は鮮烈な真紅の輝きを放つ。意を決したように地表を睨むと、彼はそのままナットレイめがけて一直線に急降下した。
 ▼ 6 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:52:16 ID:xGlI6Ibo [6/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>5
羽じゃなくて翼ですね、すみません
 ▼ 7 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:53:25 ID:xGlI6Ibo [7/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「来やがれ馬鹿が――」

ナットレイもまた、三重目の"鈍い"を重ねる。

もはや一個の城壁のごとき彼の体が、さらに群青色に輝く紋様に覆われていく。
仮にフライゴンが"炎のパンチ"を使えたとしても、今のナットレイを削り切ることは不可能だろう。

「――返り討ちだ」

視界の中心を迫ってくるフライゴンの姿に、ナットレイは勝利を確信して――ひとつの違和感に気づいた。

――なぜ奴は俺を目がけてくる?
 ▼ 8 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:55:47 ID:xGlI6Ibo [8/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
予想されるフライゴンの攻撃は"地震"。
その尾を地面に叩きつけることで地盤を破壊し、敵を巻き込むことを目的とする強力な範囲攻撃。

しかし、ならばフライゴンはナットレイから少し離れた場所に着地しなければならないはずだ。

あれだけ加速した状態で、防御を完成させたナットレイと正面衝突すればどうなるか、想像に難くない――ただの自殺行為、新鮮な挽肉が出来上がるだけだ。

そして衝突の直前。彼我の距離が30メートルほどに迫った瞬間、さらなる不可解がナットレイを襲った。
 ▼ 9 tsGpSwX8mo 19/08/08 16:58:34 ID:xGlI6Ibo [9/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告








「――なっ……!?」

フライゴンがまたも"とんぼ返り"を発動したのだ。圧倒的な重力加速度に真っ向から抗って、彼の落下は急停止する。

――なんだ? あいつは一体何をやっているんだ? ただでさえズタボロのくせに、なんであんな余計な負荷を……?

混乱にたたみかけるように、ナットレイの頭上に何か、緑色の紐のようなものが降ってきた。

振り落とされたのは、バラバラに引き千切られた――

「俺のヤドリギ……? 野郎、どうやって……!」

ヤドリギの生命力と頑強性は彼自身が誰よりも熟知している。
どうやってもフライゴン如きの腕力で引きちぎれるものではない。
仮に体内の種ごと引き抜こうとすれば、それこそ戦闘どころではない激痛に苛まれるだろう。
 ▼ 10 tsGpSwX8mo 19/08/08 17:00:17 ID:xGlI6Ibo [10/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「チッ……」

理由がどうであれ、ナットレイが描いていた勝利の方程式は歪んだ。

だが、このときの彼にはまだ余裕が残っていた。

「ハッ! だから何だってんだ!? ヤドリギ払ったくらいでチョーシ乗ってんじゃねーぞ!」

ナットレイの咆哮と共に、大地に無数の亀裂が走る。
大量の土砂を巻き上げながら轟音を伴って現れたのは、直径がナットレイ自身ほどもある二対の巨大な"蔓"だ。

通常ならこれほどの大きさには育たない"パワーウィップ"の異常にして急速な成長が実現したのは、三重がけした"鈍い"のエネルギーに加え、事前にフライゴンによる"地震"で地盤の強度が落ちていたからでもある。

「わざわざ降りてきてくれてありがとよ――コイツの射程内にっ」

もはや巨木と形容できそうな外観にそぐわないしなやかさで、二本の蔓がフライゴンに襲いかかった。
 ▼ 11 tsGpSwX8mo 19/08/08 17:03:00 ID:xGlI6Ibo [11/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


一発一発が必殺の破壊力を持つ"パワーウィップ"の猛追を、フライゴンはどれも紙一重で回避している。
だが、その動きの不調にナットレイは気付いていた。

"龍の舞"を二重がけしているのだ、本来のフライゴンはもっと動けるはずだ。

――原因は、あれか。

フライゴンの翼が、その羽ばたきが、ときおり壊れたギアルのように痙攣している。
ヤドリギによって衰弱した者の典型的な症状だ。

「――ハハハハハッ! なんだ、随分と疲れてるみたいじゃねーか! まともに飛ぶことも出来ねーってか!」

また一撃がフライゴンの尾をかすめた。
今度こそ勝利を確信して、ナットレイは哄笑する。

「そんならもう、いい加減に墜ちとけやっ!」

ナットレイの興奮に呼応して二本の"パワーウィップ"はさらに荒れ狂い――――。

ばりばりっ、という乾いた音とともに根本から千切れて、あさっての方向に吹き飛んでいった。
 ▼ 12 tsGpSwX8mo 19/08/08 17:04:55 ID:xGlI6Ibo [12/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「――……えっ? ……。……はぁぁっ!?」
 
五秒前まで自らの両脇で荒れ狂っていた蔓たちの哀れな断面を交互に二度見して、ナットレイは唖然となる。

十センチほどもある強靭な外皮、成長のための栄養を運ぶ無数の管、それらの間をみっしりと埋める組織のあらゆる箇所が滅茶苦茶な方向に引き裂かれて、ボロボロになっていた。

「なっ……なっ、なんだこれっ!?」

成長しすぎて自重に耐えられなかったのかと思ったが、そんな壊れ方ではない。

まるで、内部から引き裂かれたような――。
 ▼ 13 tsGpSwX8mo 19/08/08 17:07:04 ID:xGlI6Ibo [13/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


驚愕の中で、ナットレイは自らを襲うもう一つの事実にようやく気がついた。

最初に覚えた感覚は、かすかな、それでいて腹のそこまで震えが届く、妙な振動。

「……? ――ッッ!?」

――そして続いたのが、耐え難いほどの頭痛、それに強烈な吐き気。

「……っぐ、ぁッ……?!」

「うるさいんだよ、アンタ」

いつの間にか、目の前にはフライゴンが降り立っていた。その翼は相変わらず痙攣している。

――違ぇっ……痙攣じゃねぇ……これは……?

「"虫のさざめき"――ようやくお披露目、いやお披露耳か? 俺の"四つ目"だよ」

半透明のレンズの奥からナットレイを見下ろす目には感情らしきものは伺えない。

「もっとも、技自体はけっこう前から発動してたんだがな……うるさいから聞き逃すんだ」
 ▼ 14 tsGpSwX8mo 19/08/08 17:08:44 ID:xGlI6Ibo [14/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……む、しの……?」

「"虫のさざめき"。まあ俺は虫じゃなくてドラゴンだし、さざめきっつーか超音波みたいなもんだけどな――あんたの耳じゃ聞こえねぇ爆音、っていえば伝わるか?」

伝わらない。
ナットレイはすでに気絶していた。

「……コレは無理でも、人の話くらいは最後まで聞いてくれよ」

フライゴンはため息を一つ吐き出すと、翼の振動を止めた。と同時に、翼を包んでいた紅い輝きが収まる。

「もうちょい早めに効果出てくれれば便利なんだけどな……つーか、何で俺はゼロ距離でコレ聞いて平気なんだ?」

虫だからではないだろうか。


〜完〜
 ▼ 15 tsGpSwX8mo 19/08/08 17:13:49 ID:xGlI6Ibo [15/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
すでに黒歴史になりそうな予感がすごい

短いですが以上です、よろしくお願いします
 ▼ 16 ピンロトム@こだわりハチマキ 19/08/08 17:59:44 ID:KWmk2Jjo NGネーム登録 NGID登録 報告
一気に読んでしまった
凄くかっこ良く仕上がってるしテンポも良いと思った
 ▼ 17 tsGpSwX8mo 19/08/08 18:10:07 ID:xGlI6Ibo [16/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>16
おお、そう言ってもらえると嬉しい
とてつもなく励みになります……!
 ▼ 18 ンヤンマ@だいちのプレート 19/08/08 18:29:56 ID:9NF..wNE NGネーム登録 NGID登録 報告
めっちゃ時間かけて書いてそう
この情報量の多さは好みによるけど俺は読む気がせんな
 ▼ 19 tsGpSwX8mo 19/08/08 18:36:36 ID:xGlI6Ibo [17/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>18
うーん、そうですか……やっぱり詰め込み過多なのかな
悩んだ末に描写しなかった技の設定やら含めるとさらに肥大してしまいますw
 ▼ 20 リルリ@あやしいカード 19/08/08 20:20:20 ID:xGlI6Ibo [18/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
恥を忍んでじあげ
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