【SS】ヨウ「ミヅキ、俺好きな人出来た」 ミヅキ「え？ほんとに？笑」

ここはミアレシティ、カロス地方の中心都市だ。
これはその大都市のポケモンスクールに通う男の子、
ヨウの「恋愛物語」である。


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ヨウ「だから好きな人できた……」

ミヅキ「いや、聞こえてるよ笑」


顔をマトマのみのように真っ赤にしながら同郷の幼なじみ、ミヅキにぽつぽつと告げた。

ヨウ「……ほんとに」

ミヅキは嫌いな食べ物でも見るようなしかめっ面でヨウを眺めている。

本人としては頑張って話している方だがなにせ声が小さくて聞き取りにくい。普段は明るいというかうるさいが恋愛事になるとこうなってしまうようだ。なぜなら……


ミヅキ「あんた、彼女いたことあるっけ？」

ヨウ「あはは笑 なわけないやろ！」

ミヅキ「いや急に元気だなぁ……」


という訳である。

ミヅキ「で、誰なのよ」


そんなヨウの恋愛を応援したいのかバカにしたいのかは分からないがミヅキは目の輝きを取り戻してヨウに尋ねた。だがその答えは意外なものだった。

ヨウ「さあな！」

ミヅキ「は？」

ヨウ「いや……だから……」


ヨウはまた静かになった。なったというかならざるを得なかった。なにせミヅキもアローラっ子。怒る姿はまるでヴェラ火山だ。怒らせる訳にはいかない。


ヨウ「名前も学年もクラスもスリーサイズも知らない」

ミヅキ「お、おう？」

ヨウ「一目惚れってやつ」

ミヅキ「じゃあ私たちのクラスじゃないってことね」


どうやら今日のミヅキは冷静なようだ。


ヨウは教室の教卓に頬杖ながら目の前の机に座るミヅキを見つめる。ミヅキはもうどうでも良さそうに携帯をいじっている。するといきなり


ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ!

ヨウ ミヅキ「わ！」


後ろの戸が開いてクラスメートが入ってきた。
青いジャケットがトレードマークの高身長イケメンという評判を持つ男。カルムだ。


カルム「あ、ごめん」

ヨウ「びびった〜お前かよ笑」

カルム「2人ともまだ駅行かないのかなって」


このポケモンスクールには電車で通う生徒も少なくはないのだ。駅から学校まで徒歩20分とかなり微妙なアクセスである。

ほも？

ヨウ 「あーそろそろ行かないとな」

ミヅキ 「え〜ヨウ君のお話もっと聞きたかったなぁ〜」

ヨウ 「おいばかっ！」


ミヅキはにやにやと口角が上がった状態で声を大袈裟に大きくしていった。カルムは確実に聞こえているが聞こえていないふりをしている。


カルム「汽車、早くしないとやばいよ？」

ヨウ「やべっ、」


ミヅキ「お先〜笑笑笑」

ヨウ「ちょ待てよ！笑」

ミヅキ 「いやー、なんで荷物まとめてないの？」


ミヅキは意外にしっかりした性格だ。授業が終わったら教科書やノートをすぐカバンにしまう。

それに比べてヨウは雑な性格だ。授業が終わったら教科書やノートをすぐカバンにしまう……なんてことはない。


『ｶﾞｻｺﾞｿｶﾞｻｺﾞｿ』

ミヅキ「……もぉー！早く！」


ヨウ 「よし、行くか！」