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【SS】ポケットモンスターデリートphase2

 ▼ 1 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 19/10/29 01:42:24 ID:.Y2AhOL6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
phase1:https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=797825

豊かな自然、そして高度な情報技術とが共存するタイキョク地方

多種多様なポケモンが暮らすこの地方に、あるニートがいた

ニートと同時にポケモナーでもあるその男は『サイバー団』と名乗る組織のコンピューターウィルスにより、自身のパソコンを壊された

また、暴力団『ギャラドス組』の自身の嫁ポケに対する蛮行も目にした

彼らに対する怒りに満ちたその男は旅に出た

ド底辺男の復讐劇の始まりだ
 ▼ 887 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:36:44 ID:AjV.hOpQ [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜勝点街〜

獣託街と同じく、この勝点街も忠実に実際の商店街を再現していた

八百屋、魚屋、肉屋、薬局、本屋、フレンドリィショップ……ありとあらゆる店が一堂に会している

エリートトレーナー「やぁ、ダンバロイドからの情報が来たよ。 キミがチャレンジャーだね?」

エリートトレーナーの男がこちらに話しかけてきた。 赤いマーカーは俺の目の前に位置している

セト「ああ、そうだ。 ってコトはアンタがジムトレーナー?」

ウィンダム「そう。 僕はウィンダム。 『勝点街』へようこそ」

つかコイツの髪色も赤か…コノエといい、ミログルの社員といい、エリートなヤツらの中じゃ流行りなのかよ?

セト「おう、セトって言うんだ。 よろしくな」

ウィンダム「あぁ、こちらこそよろしく。 それじゃ早速……」

ウィンダムが腰ポーチからハイパーボールを取り出そうとした時、セトの中にある不安が生まれた

セト「…あーっ! タンマタンマ! ワリィけどちょっと時間くれるか?」アッアッ

ウィンダム「どうぞご自由に、バトル以外で勝ち筋への一歩をジャマしたりはしないよ」

助かるぜ! さっそく俺はダンバロイドに向かって小声で質問する

画像…エリートトレーナー
 ▼ 888 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:37:18 ID:AjV.hOpQ [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「なぁ、確認だけどよ、ダンバロイドのマップだけじゃポケモンの位置は分かんねぇんだよな?」ヒソヒソ

カネカズ『おう、ポケモンだけは目視に頼らねぇといけねぇな』

セト「じゃあさ、バトル中にマップ確認ってできるのか?」

カネカズ『ああ、問題ねぇぞ。 ダンバロイドのカメラをタップしたらいつでも出してやる』

セト「OK、ありがとな」ヘヘ

カネカズ『良いってことよ、それじゃ二回戦頑張れよ』

セト「ああ、俺が勝つサマをしっかり見てろよ?」

マップ機能の確認とバトル中での使用……不安点はこれで解消できた

後は思うがままに戦うだけだ
 ▼ 889 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:38:31 ID:AjV.hOpQ [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「ワリィ、待たせちまったな……俺はもういいぜ」

ウィンダム「いやぁ、この広大なフィールド、それを知るのも大切な一手さ」カチャッ…

ウィンダム「なんたってツーリングは道を知ってこそだからねぇ!!」ギュン!!

パラリラー「ラッパパァ!!」ブォオォン!!

パラリラー! ミヤコも出してた暴走族ポケモン…!

五匹いる内の『ソウチョー』ってリーダーが子分に命令するんだっけ

〜図鑑〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

パラリラー ばくそうポケモン
悪・鋼タイプ
高さ3.0m
重さ62.0kg
ダンの一匹がソウチョーに進化。
子分を引き連れるパラリラーのジャマをすると リーゼントで薙ぎ払ってくるぞ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 890 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:39:28 ID:AjV.hOpQ [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「ヘッ、ワリィが暴走と違法改造はコイツがお縄にかけてやるぜ! セドゥーム!」シュッ!

セドゥーム「ドゥオォォォ!!」ギュゥゥゥ…

だからソウチョーを潰せばアイツらは大混乱に陥る! それに炎技を覚えたセドゥームなら弱点も付けるしな

けど相手もそうはさせないだろうから、分散してあちらこちらから奇襲してくる筈…だからそこをお前の…

セドゥーム『我の特性、ナイトメイカーで奴らの視界を奪い、高速での移動を封じたと』

セドゥーム『先程カネカズにマップについて訊いたのは、ナイトフィールドを展開した時の為か』

よ〜く分かってんじゃねぇか! 狙いは勿論ソウチョー。 大混乱を引き起こしてやろうぜ!

セト「まずはあそこのきのみ売り場を商品棚ブッ壊しな!」バッ

セドゥーム「ルゥン」ギュギュッ!

素早く放たれた『スピードスター』が商品棚を粉々に破壊し、色どりみどりのきのみが路上へと溢れ出し、闇へと消える
 ▼ 891 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:40:07 ID:AjV.hOpQ [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ウィンダム「この暗闇で悪路を作る気か……パラリラー、足元に注意するんだ」

パラリラー「ララリ…」ブブブ

不満げなエンジン音が耳に入ると、セトは次なる指示を下す

セト「『かえんほうしゃ』連射! こっちからオーバーヒートさせてやりな!」

暗闇&障害物でパラリラーが下手に動けねぇところを俺たちは遠距離技で攻める!

セドゥーム「ゴォォォッ!!」ボワァァァ…!!

念力の炎が暗闇を裂き、一瞬だけ相手の姿を露わにする

ウィンダム「回避して『どくづき!』

パラリラー「ラパパッ! リラリー!」ギュギギッ!

悲鳴は上がらず、急ハンドルのタイヤが地面を蹴り上げる音。 もうヤツらは近い

セト「『ジャンプしてかわせ! そして『かえんほうしゃ』でカウンターだ!」ビッ

さっきの『かえんほうしゃ』は牽制、そしてパラリラーが回避してこっちに向かってくるのも想定内だ
 ▼ 892 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:41:00 ID:AjV.hOpQ [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ウィンダム「二度も同じ手は食らわない! 『スマートホーン!』」

パラリラー「パララン!」シャキーン!

セドゥーム「ドゥッ…!」ドゴッ…!

必中技の『スマートホーン』で暗闇でも無理矢理当ててやろうってか……

セト「セドゥーム大丈夫か? 必中技とはやってくれるじゃねぇか…」

ウィンダム「フフン、この程度で音を上げるようじゃまだまだだね」

セト「ヘッ、何イキってんだよ? まだまだなのはお前らの方だぜ」ニヤリ

ウィンダム「何っ…?」ビクッ

エリートトレーナーはニートの言葉を聞き、身構える

ウィンダム「(まさか……このモヤの中に既に何かを…!)」

セドゥーム『距離は十分。 仕留めるぞ』

セト「これで終わりだ! 『ムーンフォース!!』」バッ!

途端、モヤの下を潜らせていたセドゥームの杖から光弾が放たれ、真っすぐにソウチョーを射抜いた

ソウチョー「ダラパァッ!?」ズドォン!

パラリラーたち「パパッ!? パララ… ブブッブブッ」アワアワ

よし! これで司令塔を失ったパラリラーは一気に統制が崩れる…そこを一網打尽にしてやるぜ!

セト「っしゃぁ! セドゥーム! 残ったダンどもを『かえんほうしゃ』で…「一同、右に回避!」

!?

パラリラー「!!!」ギュギュギュッ!

ウィンダムの指示に従い、ダンたちは息を合わせたかのように炎を回避した

セト「えっ…ソウチョーを倒した筈なのに!?」
 ▼ 893 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:41:49 ID:AjV.hOpQ [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セドゥーム『あのような烏合の衆をここまでまとめ上げるとは……』

ウィンダム「確かに君はまだまだのトレーナーではない……」

ウィンダム「けどそれは僕も同じ事! 自分のポケモンの弱点をカバーしているのは当然さ!」

セト「ソウチョーが倒れてもゴダゴダを起こさねぇように育ててあんのか……こりゃ一筋縄ではいかねぇな」ギリリ…

ウィンダム「一同、『アイアンローラー』発動!」バッ!

パラリラー「パパパパ…!」ブロロロロ…!

次第に大きくなるエンジン音が不安を増大させてゆく

アイアンローラー? 聞いたコトねぇ技だな……

セドゥーム『まずいな……この技は…』

セト「ああ、何かヤバそうだな…とりあえず『リフレクター』でここは耐えろ!」

セドゥーム「ムッ!」ピィィィン!

ウィンダム「発進!!」

パラリラー「パーラッパー!!!」ブォォォォォン!!!!

けたたましい鳴き声を響かせながら、鋼の車輪は路上のもの全てをなぎ倒し、破壊する
 ▼ 894 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:42:37 ID:AjV.hOpQ [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セドゥーム「グブッ…!」ベキキキ…!

セト「セドゥーム!!」

セドゥーム『案ずるな……リフレクターと先程食べておいたきのみで最悪の事態は免れたが…』ウゥ…

さっきの間にきのみ食ってたのかよ!? でもナイトフィールドがあれば急所にも……

そこでセトは思考を一時停止した。 何せ頼みとしていたナイトフィールドが、目の前で消えてゆくからだ

ウィンダム「見ないポケモンだと思ったら……やっぱりこのモヤはフィールドだったんだね」パァァ…

闇が立ち消え、日の光がウィンダムとパラリラーを照らし出す

セト「な……まだ5ターンは経ってねぇ筈だぞ!?」

ウィンダム「教えてあげるよ。 『アイアンローラー』はフィールドが展開されていなければ使えない技」

ウィンダム「しかしその威力は絶大! さらにフィールドを破壊するオマケ付きさ」フフ

だからナイトフィールドが……でももう一回はねぇってコトだよな
 ▼ 895 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/02/15 03:43:48 ID:AjV.hOpQ [9/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ウィンダム「おかげでコースが整備できた。 これで心置きなく走り回れるというもの…感謝するよ」

セト「そりゃどうも」ヘン!

ウィンダム「一同、各地に離散! 『つじぎり』の準備だ!」

パラリラーたち「ラパパッ! パラリラリ ブブッ」ブロロロ…!

ウィンダムの一声で、あっという間にパラリラーは散り散りになった

セト「ダリィことしてくれんじゃねぇか…一匹ずつ倒せって?」

ウィンダム「いや、そんな面倒な事はさせないよ。 君のポケモンを見つけ次第……壱号!」

ダン壱号「パラララァッ!!」ブォォォン!!!

セト「!?」

ウィンダム「こっちから攻め落としてあげるからねぇ!!」

タイヤに黒いオーラを纏わせたばくそうポケモンが、本屋の二階の窓を突き破り、急襲する
 ▼ 896 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/02 00:25:07 ID:Kq3APYz6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ダン壱号「ラッ!」ブンッ!

セドゥーム「ムオッ…!」スパッ!

セト「やってくれんじゃねぇか…セドゥーム、『ムゥゥ…』

セドゥーム『すばしこい奴め、もうあそこまで逃げるとは……』グゥゥ…

気付いた時には、エンジン音はポッポのさえずりへと変貌していた

ウィンダム「ほらほらァ! 今度は參号の攻撃だ!」

セト「!?」

ダン參号「ラップププゥ!!」ブロロロロ…!!

セト「ちょっ…今度は後ろかよ!? 回避に専念しな!!」クッ!

身構えるセドゥーム。 しかしダン參号は想定以上にリーゼントを荒々しく振り回し…

セドゥーム「ゴォッ!!」サッ!

セト「いっ!!!!……たくねぇ」ザクー

本来の標的ではなく、トレーナーのズボンの端をカットした

セト「…ったく! トレーナーぐらい避けて運転しろよ! ンなトコまで暴走しなくていいから!!」キーッ!!

ウィンダム「ごめんごめん! パラリラーたちも思うようにいかずにイライラしてるのさ」

セト「だからってよ…」

チッ! でもあんな感じに神出鬼没に暴れ回られちゃ埒が明かねぇ……
 ▼ 897 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/18 03:34:54 ID:.3YII8/E [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セドゥーム『ふむ、苛立ちか……訓練されようが、結局性根は荒くれ者ということか』

それで八つ当たりされてたまるかよ!

セドゥーム『では怒りの矛先を奴等自身に向けさせるのはどうだ、ソウチョーを討った方法はもう使えぬが…』

セト「まさか、他の方法が…」ヒソヒソ

セドゥーム『ある。 散り散りとなった奴等は互いの位置が分からぬ。 それを利用するのみだ』

セト「利用ね……あ! まさかお前ダ…『黙れ。 この計略が漏れようものなら、お前は勝ち筋を失う』

そこまで言わなくてもいいだろうが〜!!!

ウィンダム「???(アイツ…なんで突然悶えてるんだ?)」

セドゥーム『負けたくなければ黙って我のテレパシーに従え、お前の勘は正しい』

俺の勘が正しいって……やっぱダン同士を正面衝突させんのか?
 ▼ 898 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/18 03:35:59 ID:.3YII8/E [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セドゥーム『我等が狙うべきは、気が立っているダン同士の同士討ち。 奴等の性格上、一度でも「事故」が起これば勝手に仲違いするだろう』

やっぱりそうじゃねぇか

セドゥーム『従って、我等は多くのダンらを特定の場所に誘導せねばならぬ。 そこでだ』

セト「ん?」

セドゥームが常に浮かせている二本の杖、その内の一本がセトの目の前にやって来た

セドゥーム『お前には我が第三の眼になってもらう』

セト「は?」キョトン

いや、コイツが大分厨二っぽいコトは前々から知ってたけどよ、まさかンなワケ分かんねぇコト言い出すヤツだとは……

セドゥーム『簡単だ。 その杖に跨り、上空から計略に最適な地を選び抜き、我に伝えるのだ』

セドゥーム『短時間、テレパシーを強力なものにしよう。 これならば普段ボールに入っている時と同じ状態だ』

つまりわざわざ俺が喋らなくても、その考えがお前にも伝わるってコトか

セドゥーム『左様。 快適な空の旅をどうぞ』
 ▼ 899 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/18 03:36:44 ID:.3YII8/E [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
言ってくれるぜ…と思いながら、念力で差し出された杖を受け取る

俺はいまからコレに乗って、この空を駆け回るのか

……ヘッ、まぁなんか魔法使いみたいで面白そうじゃねぇか

そして俺は杖にまたがると、杖はセドゥームの力によりぐんぐんと上昇を始める

セト「おおぉっ!?」グララッ

一瞬ずり落ちそうになるも、なんとか体勢を立て直した。 魔法使いってよくこんなの乗りこなせるよな……

眼前の出来事に呆気に取られたウィンダムは、絶句するものの、すぐにこう言い放った

ウィンダム「ポケモンを見捨てて自分だけ逃げようなんて……それがリーグを目指すトレーナーの姿かよ!!」

セト「キレてんじゃねーよバーカ!! 俺は信じてんだよ…ポケモンも…このバトルの勝ち筋もなァ!」フワワ…

落ちても死なねぇ! だからもっと高く……この街を見下ろし、ダン同士が衝突する場所を探すためにも!
 ▼ 900 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/18 03:37:23 ID:.3YII8/E [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
どんどん小さくなってゆくセトを見上げながら、ウィンダムは呟いた

ウィンダム「なんで今さら逃げるようなマネを……トレーナーの場所はダンバロイドで分かるのに……」

眼下に広がるは仮想の都市、そして勝機潜む盤面

セト「なんかスゲェ高さにまで来たな…とりあえずダンバロイドで地図を表示して…」ピピピッ

ダンバロイドから映し出されるホログラムの地図を凝視し、作戦に最適な場所を選び出し

地上を走る黒い点……ダンの位置を目視で確認し、先程選び出した場所をさらに絞る

セト「んーと、多分アイツここ真っすぐ行くだろ? そんでコイツは…『お…い…』

セドゥームからのテレパシー。 しかし今聞こえるソレは、まるでノイズが入っているかのように聞き取りにくい

セドゥーム『テレ…シーの届……囲も限ら…ている。 道……内をたの……』

おう! っとまずはそこを右、それから直進して左だ!
 ▼ 901 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/18 03:38:23 ID:.3YII8/E [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セトが徐々に高度を下げながら、テレパシーを通した指示を送る一方、ウィンダムは再び言葉を失っていた

ウィンダム「(いったいどうなってるんだ? 指示なしだというのに、さもトレーナーがいるかのようなあのポケモンの動きは?)」

ダン弐号「ラッパパパァ!!」バルルルル!!

セト『危ねぇ! ジャンプして回避しな!』

セドゥーム「ドォム!」ヒュッ

セドゥームはジャンプし、華麗に凶暴な突進を避けた

ウィンダム「(まただ! なぜこんなことが…完全に信じ切ってるからこそできるのか!?)」

ウィンダム「このままにはしておけないな……一同!標的は5キロ先だ!!!」ダダッ

上空でも聞こえるような大声が勝点街中に響き渡った

セドゥーム『大声での指示…恐らくは声の場所から我が居場所を逆算するつもりだろう』

ならチャンスだな、俺たちはもう勝ち点に達してる!

俺たちの勝ち点と、ブレーキのブッ壊れたパラリラーの弱点

それはふたつの点から生じた線が交わる場所……道と道、交差点だ
 ▼ 902 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/18 03:39:05 ID:.3YII8/E [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ウィンダム「見つけたぞ! 一同、『つじぎり』で決めろっ!!」バッ!

交差点の中央に構えるセドゥーム。 そして4方向から迫り来る暴走車

一見窮地に立たされたかのように見えるストゥムポケモン。 しかし、上空から逆転のカードが場に出される

セト「その『つじぎり』頂いたァ!! 杖ブッ飛ばしてやりなァッ!!」ガッ!

セドゥーム「ドゥオン!!」シャッ!!

セドゥームの浮かせる杖の一つ、それがダン參号へと念力により射出された

ダン參号「ラパァ!?」ガガガッ

予想だにしなかった杖そのものでの攻撃、加速しきったダン參号は止まる事能わず、バランスを崩した

そして制御を失った『つじぎり』は……

ダン肆号「パダァッ!?」ズシャァッ!!!

ウィンダム「なっ……嘘だろ?」ゾッ…

本来当たる筈の無い対向車に激突……交通事故の発生だ

ダン壱号「パァッ!?」ギギッ

ダン弐号「ラッププ!」ギーッ!

アクシデントの発生により、他のダンもブレーキを全開にし、攻撃を中断する
 ▼ 903 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/18 03:39:53 ID:.3YII8/E [7/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「っとぉ! サンキューセドゥーム、いい空の旅だったぜ」スタッ

セドゥーム『それはどうも、それより奴等を見るがいい』

セドゥームに従い、例の事故ったダン二匹に目をやると、彼の予想通りの展開がそこにはあった

ダン肆号「ラパパーッ!!!」ガーッ!!!

ダン參号「ナバラァ!?」ブチッ!

ウィンダム「こんなところでケンカかよ……壱号、弐号! アイツらを止めてくれ!」

壱号&弐号「ナァ…? パララ…」オロオロ

セドゥーム『見ろ、トレーナーの方も余程気を取られたのか、あの有様だ』

セト「ヘッ、そんじゃ今の内に決めるとするか?」クルクルクルッ

セドゥーム『そうだな、だが杖を何故放さぬ? これから技を撃とうというのに』

セト「コレか? そりゃお前よ、杖乗って魔法使い気分味わったならさ、やっぱ杖から魔法出してみたいモンじゃね?」ブンブン

セドゥーム『フン、お前は幼子か……まぁいい、しっかりと狙うのだ』

セト「ああ、そんじゃ…」チャッ…

セト「『かえんほうしゃ!!!』」ゴオォオッ!!!!

セトが持つ杖とセドゥームが浮かせる杖、その二本から放たれし炎は混ざり合い、敵を焼き尽くした
 ▼ 904 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 02:47:26 ID:LBHMGrwQ [1/10] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウィンダム「くぅっ……こんな勝ち筋を見出した上で、ちゃんと勝つなんて凄いな君は…」シュゥゥゥン…

セト「いやいや、お前も強いじゃねぇか……マジで2人目のトレーナーかよ?」

2人目でこの実力なら、残りのジムトレーナーとかラークスはどんな強さなんだよ……

ウィンダム「まぁね、うちのギミックが肌に合わずに辞めたトレーナーもいるぐらいさ」

ウィンダム「そんなこともあって、このジムのジムトレーナーは4人。 それだけ粒ぞろいってことだね」

そりゃ強ぇワケだわ…でも4人ってコトは、今俺は折り返し地点にいるワケだ

セト「なるほどな、そんじゃここのバッジをゲットすりゃ俺は超強ぇってコトになるな」ヘヘン

ウィンダム「ふふっ、油断は禁物……なんて陳腐か。 でも君はさらに上、リーグを、チャンピオンを目指すんだろう?」

セト「まぁな」

ウィンダム「なら『カケコッコジャーナル』を読むといいさ、プロトレーナーのコラムが毎日のように掲載されているよ」

『カケコッコジャーナル?』聞いた事の無い名前に興味と胡散臭さを覚えるセト
 ▼ 905 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 02:48:06 ID:LBHMGrwQ [2/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「へぇ……そんじゃちょっと一回見てみるか…」スッ

ウィンダム「ああ、言っておいてなんだけど、次のテルさんは時間に厳しい人だから後で見た方がいいと思うよ」ゴメンゴメン

ポケフォンを取り出そうとしたところ、ウィンダムがそれを制止させる

セト「時間に厳しいって…俺チャレンジャーだぜ? ちょっと見るぐらい…」

ウィンダム「いやホントに厳しい人なんだ、今は行くことをオススメするよ」

セト「マジかよ……それじゃあな!」ダダッ!

セトはウィンダムの表情から特大の面倒臭さを感じ取ったのか、ダンバロイドのマップのマーカーに向かってすぐさま走り出した


セト「なぁギンジ! そのテルってヤツはそんなに厳しいのかよ!?」

ギンジ『ええ、元々スズイロ造船の社員だったみたいで、現役の頃は「鬼課長」とか呼ばれてたとか…』

セト「はぁっ!? 絶っっっ対ぃ俺と気が合わねぇし、面倒臭ぇヤツ確定じゃんか!!!」ダダダッ

なんでこっちが気を遣わなきゃなんねぇんだよ! テメェの仕事だろうがよ!

ギンジ『でもチャレンジャーまで強要したりはしないと思うっすけどね…ウィンダムもちょっと盛ってそうな言い方でしたし』

セト「そーいうのがいっちゃん怖ぇんだよ! 『実はあの人良い人』とおんなじレベルで信用なんねぇからな!」ダダダ

マップ上のマーカーがあるのはこの『向上街』ってエリアだな、こうじょうがい……今度は工場街か?
 ▼ 906 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 02:49:08 ID:LBHMGrwQ [3/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜向上街〜

マーカーを目指して辿り着いた工場街こと『向上街』は、その名に恥じず、街全体が工場そのものであるかのようだ

街のあちらこちらで歯車が音を立てながら回転し、張り巡らされた鉄パイプの隙間から蒸気が漏れる

スズイロ自体もスチームパンクっぽい街並みだったけど、ここはその比じゃねぇな

セト「ハァ…ハァ…仮想空間だってのに、走ったらバテるのは現実と同じかよ……」ゼェゼェ

ちらりと腕時計で時間を確認すると、さっきのバトルからは7分が過ぎていた

まさかコレにキレんのか? ンな険悪な感じで始めたくねぇよ……

セトが心中でそうつぶやくと、遠くからクレーンのアームが近づいてきた

さぎょういん「おーっ! もうチャレンジャーくん来てくれたんか!」ウィーン…

アームの先のゴンドラに乗っている作業員が声をかけてくる。 マーカーの位置も近いし…

セト「え!? もしかしてあなたがテルさんですか!?」

テル「いぇーす! オレが工場街ならぬ『向上街』のジムトレーナー、テルじゃあ!」

そう言ってテルは地面に降り立った。 なんだか聞いてたイメージとだいぶ違うぞ……
 ▼ 907 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 02:50:41 ID:LBHMGrwQ [4/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「えっと…俺もしかして遅れちゃったりしてませんかね? もしそうだったらめちゃくちゃ…「いやいや」

テル「オレもさっきVR空間の調節が終わったところじゃけん、逆に待たせてしもうとるかもしれんわ!」ガハハ

セト「いやそんな……」

いや聞いてたのと真逆じゃねぇか!? 

テル「そしたらさっさバトル始めようやぁ、『VR空間のパルキア』なんて呼ばれとるオレには簡単に勝てんぞ!」チャッ!

まぁコッチの方がやりやすいな……いつもどおり全力でいくぞ!

セト「ヘッ、何がパルキアだ、VR空間の調節やってるだけのしょぼいパルキアには負けやしねぇよ」スッ…

セト「むしろお前よりもフィールドを使いこなして、しょぼい神サマに下剋上してやるぜ」チャキッ!

さぎょういんの テルが 勝負を しかけてきた!

テル「ガハハッ! 言ってくれる! じゃが素晴らしき向上心!! 下剋上できるものならやってみぃ!!」ギュン!!

オウギガイ「ぎおぉぉ〜ん!」ポォン!

セト「ならコイツとやってやるよ、行きなオヴィナイト!!」シュッ!

オヴィナイト「ヴィヴィッ!」ポォン!

相手のポケモンはオウギガイ……一回戦ったコトあるけど、飛ぶわプロペラ飛ばしてくるわで厄介なんだよな
 ▼ 908 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 02:59:05 ID:LBHMGrwQ [5/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「まずは『がんせきふうじ!』ちったあ時間にルーズになるコトを教えてやりな!」バッ!

オヴィナイト「オヴッ!」ガララ…

空中のオウギガイに向け、咆哮を轟かせ岩石を生み出し、それを放つオヴィナイト

迫る岩石の群れがオウギガイへと迫る中、セトはさらに口を動かす

セト「今の内に『からをやぶる!』そのまま接近して『つじぎり』だ!」

『がんせきふうじ』の対処に回っているところを高パワー・高速で斬り倒す! 先制攻撃で一気に詰めるぜ!

オヴィナイト「ヴァラァッ!!!」パキャァ!!

騎士の鎧が破り捨てられ、血に潜む本性が露わとなるオヴィナイト。 その速さは降りかかる岩石を超えていたが

テル「させんわぁ! ベルトコンベア起動!」ガチャン!

セト「ベルトコンベア? …うおぉっ!?」ガタタッ

テルが近くのレバーを下げた瞬間、セトらが立っていた道は狭いベルトコンベアへと入れ替わった

更に虚空の空白を埋めるかのように、斜め左右、上下にも複数のそれが出現する

しかしその真下は暗黒の闇が広がっている。 もしコンベアを踏み外して落ちでもすれば無事では済まないだろう
 ▼ 909 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 03:05:03 ID:LBHMGrwQ [6/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「なんなんだよこのギミック……って動いてんじゃねぇか!?」

機械音と共に小さくなってゆくテルの姿。 セトはベルトコンベアがオヴィナイトの進行方向とは反対に作動している事に気付いた

どんなに早く接近しても、道そのものが逆に動いてんのならスピードが相殺されて……

オヴィナイト「ル? ヴィルゥ?」ダッダッダッ

これじゃランニングマシンの上を走ってるようなモンじゃねぇか!

テル「これが向上街の真の姿よぉ!! 『がんせきふうじ』を右風速8で回避し…」

オウギガイ「ぎおおっ」フォォッ

テル「オヴィナイトに『ぼうふう』じゃあっ!!」

オウギガイ「おががぁぁぁぁ!!!」ゴオォォォッ!!!

降りかかる岩石をひらりと躱し、その勢いのまま暴風を噴き出したオウギガイ

オヴィナイト「ヴガガッ!!」ガガガガッ!!!

オヴィナイトが悲鳴を上げる中、コンベアも悲鳴を上げていた

セト「オヴィ…おわっ!?」グラン

急な衝撃で体を揺らすセト。 それもその筈、彼の立つコンベアはオヴィナイトの目の前で折れ曲がっていたのだから
 ▼ 910 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 03:06:11 ID:LBHMGrwQ [7/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
まさかさっきの『ぼうふう』で…!

オヴィナイト「ヴヴヴ…!」ミキキ…

このままではコンベアは完全にへし折れ、俺らは真っ暗闇に真っ逆さまだ

そうなる前に別のコンベアに飛び移らねぇと!

ここからじゃボールの回収ビームは届かねぇ、コンベアが故障して動いてない今の内にアイツに駆け寄るぞ!

猶予はごくごく僅か。 セトは薄情なタイムリミットに勝負を挑む

セト「オヴィナイト! こっちだ!」ダダッ

オヴィナイト「ルグ…ヴィイッ!!」ミシッ!

ミシッ!って…もうあそこから動けないみてぇだな、待ってろよ!

テル「そうはさせん! 『エアスラッシュ』でオヴィナイトがいるコンベアを切り落としちゃれ!!」

セト「!」

やっぱり妨害してくるか……でも俺にだって妨害の手段はあるんだよ!

セト「コレでも吸ってな!!!」ブンッ!!

セトは獣託街のアパートにて拝借したカバンから何かを取り出すと、それをオウギガイに向かって思い切り投げつけた

テル「いきなり何じゃコショウ瓶を投げてきて……吸ったらダメじゃ!」ハッ!

オウギガイが『エアスラッシュ』などの風に関連した技を使う際、周囲の空気を左右の換気扇から取り込む必要がある

そこで取り込む空気に異物をバラ撒いてやれば……
 ▼ 911 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 03:07:27 ID:LBHMGrwQ [8/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オウギガイ「おおぉぉっ?」ゴオォッ

テルの警告は間に合わず、黒い粉を大量に含んだ風が換気扇へと吸い込まれてゆく

そして異物は正常な技の発動を妨げ

オウギガイ「ガッション!!!」ブワッ!!

吸引された空気は、ただのくしゃみになり果ててしまった

セト「うしっ! 今の内に戻れ!」シュゥゥゥン

救出成功! エイタのオウギガイにした花粉作戦が活きたな

セト「また頼むぜ、それと今度は俺を乗せてくれねぇか?」シュッ

オヴィナイト「ヴゥッ!」ポォン

快く主の頼みを受け入れるきしポケモン。 セトはその背中に跨った

セト「ヘッ! VR空間の調節係でも、さすがに持ち込みまでは予想できなかっただろ!」

テル「やぁってくれるのぉ……じゃけどオレの手元にこのコントロールパネルがある限りは向上街はオレの手の内!」ブゥン…

テルの手元にホログラムが現れた。 どうやらアレでこのベルトコンベアなんかを操っているようだ

テル「半端な実力じゃあオレとオウギガイには勝てんぞ!!」ガハハ
 ▼ 912 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 03:08:44 ID:LBHMGrwQ [9/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「それはまだ分かんねぇだろ? オヴィナイト、あの右上のコンベアに飛び移れ!」

オヴィナイト「ルヴィ!」ダン!

オヴィナイトは別のレーンに飛び移り、セトらは高所から相手を見下ろす形となる

しかし、テルはすぐさまその意図を読み取った

テル「(アイツらが狙っとるのは、高度を利用してオヴィナイトの力に人の重さを乗せたミサイルキックか?)」

テル「(じゃったら相手の足場を動かしてやればいいだけのことよ!)」

テル「惜しかったのぉ、これでも食らえぃ!」ピピッ

ホログラムのタッチ音が鳴り終わると、ローラーの回転音が一層大きくなり、セトの耳からテルの声が遠のいてゆく

オヴィナイト「ヴィッ!?」オォッ

セト「やっぱそうしてくるよな……でもここまで離してくれたなら安心して作戦会議ができるってモンよ!」ヘヘン
 ▼ 913 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/03/27 03:10:08 ID:LBHMGrwQ [10/10] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
『向上街』は工場街。 本当に工場を再現しているのなら、このベルトコンベアは何かの生産ラインの筈だ

今でこそ何もないけど、奥に進めばアームなりプレス機なりがあるだろう

当然テルはそれを知ってる。 機械がある所で戦うなら、それらを大なり小なり活用した戦い方をするに決まってる

ならそれを逆手に取ってやろうじゃねぇか!

セト「……いいなオヴィナイト、奥に何かが見えたら作戦開始だ」

オヴィナイト「ヴィヴィッ」ニッ!

──一方、テル

テル「結構遠くまでいったみたいだな、オレらも追いかけるで」ピピッ

オウギガイ「おががん」ブブブ…

テル「この生産ラインの最後には熱プレス機がある! ペシャンコにならん限り、オレらからは逃げ切れんぞ!」ガハハ

自称『VR空間のパルキア』は、狩場へとベルトコンベアを進めた

そこにいるのは獲物ではなく、自身を待ち構える捕食者であるとも知らずに……
 ▼ 914 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 01:57:11 ID:9a0kdBNA [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ガシャン! プシュー! ガシャン! プシュー!

両耳を塞いでも鼓膜の奥にまで届くプレス音。 そして熱風が肌を掠める感覚

セト「デケェな…」ウォ…

俺の睨んだ通り、生産ラインの奥にはプレス機があった。 それもとんでもなく巨大なヤツが

ガシャン! ガシャン! ガシャン!

機械的、規則的に響くその音は、セトとオヴィナイトの潜在的な恐怖を刺激する

オヴィナイト「ヴィ…」ゲ…

セト「あんな所に押し込まれでもしたら、どんなポケモンでもイチコロだろうな……」

でもそう考えるのはテルも同じ。 だからこそプレス機を恐れ、また自分に有利に働くよう行動する筈だ

けど俺らはそれを超える。 後ろに構える地獄の扉の鍵を握ってやるぜ!

オヴィナイト「ヴィォ!」ヴォゥ!

オヴィナイトが前方に向かって吠える。 どうやらテルも辿り着いたみてぇだな
 ▼ 915 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 01:58:14 ID:9a0kdBNA [2/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
テル「驚いたじゃろ! この巨大熱プレス機がある限り、お前に逃げ場はないで!」ガハハ

オウギガイ「おうおうっ!」ブロロ

目下に見えるレーンに立つテルがセトに言い放つ。 その顔は、もはや美しいまでに自信に満ち溢れていた

セト「ああそうだな、でも残念ながら俺らは逃げる気なんてさらさら無いぜ?」ヘヘン

不敵な笑みを浮かべながらそう返すと、セトはオヴィナイトの背中をさすり、小さな声でこう告げた

セト「狙いはオウギガイのあのプロペラだ。 アレを奪い取って……後はわかるだろ?」ヘッ

オヴィナイト「ルヴゥ」フフッ

悪童の言葉を聞き入れた騎士は、傷付いた鎧を軋ませながら、怨敵の待つコンベアへと降り立った

テル「作戦会議は終わったようじゃの、なら容赦なくいくで!『ぼうふう!』」

セト「チッ! またコンベア壊す気かよ…」

オウギガイ「ぎががががぁ!!!」ゴフゥゥン!!!

予め体内に溜め込まれていた空気が暴風となり吹き荒れるも、吹き飛ぶコンベアの残骸の群れの中に生命はいなかった

しかしオヴィナイトは確かにこの場に存在した。 だがオウギガイはそれを視認できない

オヴィナイト「ヴッ…」サッ…

答は明白である。 既にうずまきポケモンの死角に入り込んでいたのだから
 ▼ 916 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 01:59:24 ID:9a0kdBNA [3/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オヴィナイト「ラァッ!!」バスッ!!

オウギガイ「ぎぶうっ!?」ドタッ

不意を突かれ、最も下のコンベアへと落下するオウギガイ 

オヴィナイトもそれを追うように最下層のコンベアへと跳び降りた

テル「『ふいうち』か…してやられたわ……」

苦い顔を浮かべるテルだったが、すぐさま例のホログラムを起動させこう告げる

テル「じゃが落ちたのは最下レーン! 飛べんポケモンなら別のレーンに逃げるのは最早不可能の低さ!」

テル「そしてコンベアの速度調整の権限はオレにある! 最速にしてプレス地獄に直行じゃぁっ!!」ピピッ

テル「(当然回収ビームも届かん…さらにオウギガイは飛べるがオヴィナイトは飛べん! これがオレの必勝法よ!)」

キュルルルルル……!

セト「!」

遠目でも分かる程に、最下レーンの速度が急速に跳ね上がる
 ▼ 917 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:00:18 ID:9a0kdBNA [4/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
確かにこのままじゃコンベアに足付けてるオヴィナイトはペシャンコだけどよ……

セト「そういうワケにはいかないぜ、『ロックカット』でスピードアップ! コンベアに抗いな!」バッ

オヴィナイト「ルヴィル!」パァン!

オヴィナイトの装甲の一部が弾け飛び、軽量化した野生の速度で科学の速度に迫る

よし! コンベアの速度とオヴィナイトの速度が並んだ今なら、きっと…!

テル「コンベアの速度を抜こうとするたぁ大した向上心よ、じゃがそれもそこまで!左右から『きりさく!!』」

もう一押しする為に攻撃が来る! しかも願ってもないコトにプロペラを使った攻撃が!!

オウギガイ「うぎっ!」ヒュヒュン

オウギガイの両側面からプロペラが放たれる。 本来ならば避けにくい挟撃であるが…

セト「オヴィナイト! 分かってるよなぁ!!」バッ

オヴィナイト「ヴィヒッ」ヘッ

元より彼らに避けるという選択肢は存在しない。 騎士は前足の鉤爪を唸らせ、二つのプロペラを掴み取った

そして…

オヴィナイト「ヴェラァァッ!!!」ブゥオン!!

そのまま背後の巨大熱プレス機へと投げ飛ばした
 ▼ 918 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:01:24 ID:9a0kdBNA [5/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
テル「なんじゃとーっ!?」

ガシャーン!!!!

直後、プロペラは強烈な金属音を轟かせながらスクラップと化した

オウギガイ「ががっ…!」グラッ…

一方、空中での姿勢制御に必須のプロペラを失ったオウギガイは、その身を高速で動くコンベアへと落とした

テル「まずいっ!? このままでは…」ピピピピッ!!

テルは急いでコンベアを停止させようとホログラムを操作するも、それは徒労に終わった

もうオウギガイは──

セト「トドメの『もろはのずつき!』 一気に押し込んでやれ!!!」ガッ!!

オヴィナイト「ナガァーッ!!!」ギュゥッ!!

オウギガイ「おがっ…」ドガァッ!!!

ガシャンッ!!!!

──プレス機に押し潰されていたのだから
 ▼ 919 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:02:14 ID:9a0kdBNA [6/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「作戦大成功! やったなオヴィナイト!」

オヴィナイト「ヴィルヴィ!」

ようやく停止したコンベアの上で、オヴィナイトが元気よく答える

セドゥームなら『ミイラ取りがミイラになる』なんて言いそうだけど、こんなのVRじゃないと出来ねぇよな…

テル「お見事よ…さすがトップを目指すトレーナーだなぁ!」シュゥゥゥン…

テルがオウギガイをボールに戻しながらホログラムを操作すると、たちまちコンベアや熱プレス機は消え、元の道へと様変わりした

セト「一瞬で元に戻った……よくできてるモンだぜ」シュゥゥゥン…

どうやら俺の勝ちみてぇだな

テル「いやぁ久々にホネのある若い子とバトルできて嬉しかったわ!」ガハハ

テルが満足げな表情でこちらに歩み寄って来る。 ホントにこの人が「鬼課長」なのかよ?

セト「俺も楽しかったですよ、それにテルさんの雰囲気が聞いてたのと違ってやりやすかったです」

興味に従い、それとなーく匂わせる感じで返してみた
 ▼ 920 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:03:13 ID:9a0kdBNA [7/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
テル「聞いてた雰囲気と違う? どんなの聞いたんか?」

セト「いやー……なんだか凄い時間に厳しいお方だとか、「鬼課長」だとか…」

言った直後に思ったけど、コレ流石にウィンダムとかギンジが言ってたなんて言えないよな…

テル「ガハハハッ!! なんじゃその事か! それはのう、飲み会の時間には工場一うるさいから付いたあだ名なんよ!」

セト「へ?」キョトン

テル「工場の仲間みんなでワイワイやるんだから時間は長ければ長いほうがいいじゃろ? じゃけぇ……

ああ…そっち系の、飲みニケーションってヤツか……

それを大げさに盛りまくったのがウィンダムの言ってたテル像ってコトかよ!? ムダに怖がらせやがって…

過去の武勇伝を語り続けるテルにブレーキをかけるべく、セトが口を開く

セト「あぁ…すいません、聞いておいてなんですが、次のジムトレーナーってどこにいますかね?」

テル「おう! 四人目、最後のジムトレーナーは『陥落街』におるわ!」

『陥落街』。 ダンバロイドの地図で見る限り、ここからはだいぶ距離がありそうだ
 ▼ 921 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:03:51 ID:9a0kdBNA [8/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
テル「ここからだと遠いけぇ、オレがクルマ出しちゃるわ! ちょっと待っとき!」タッタッ

セト「あっ、ありがとうございます!」オォ

テルの気の利きようとフットワークの軽さに驚きつつも、セトはここまで辿り着けた事に胸を躍らせていた

少し前まで昼前に起きて、一日中部屋の中でダラダラと過ごしてた俺が

復讐に狂って旅に出て、仲間やライバルたちとも出会い

遂にはトレーナーたちにとって最上のステージの一歩前まで来ている

バカげた話だよな、ただムカつくヤツらをブッ潰せばそれで良かった俺がよ……

いつの間にかリーグで大暴れしてぇなんて思ってんだ

まるで自分でも気付かないうちに、人格がすっかり変っちまったみてぇだ

……いや、でもこうなった原因は分かる

お前だよ、リア
 ▼ 922 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:05:00 ID:9a0kdBNA [9/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
『リーグを復活させたい』っていうお前と『ギャラドス組とサイバー団を潰したい』っていう俺

交わる筈のない願いと復讐心がどこかでクロスして、気付けば俺はお前のリーグの為にサーシスにポケモンを繰り出していた

コレじゃ俺の復讐劇からお前のリーグ再興ものがたりに変わっちまったみてぇだな

ヘヘッ、でもそれじゃ俺が脇役みてぇじゃねぇかよ……そこで黙ってるセト様じゃねぇさ

『みんな一人一人が主役』って言うだろ? そんじゃ俺も主役じゃねぇとおかしい筈だ

そして主役ってのは……最後に勝つモンだ

つまりチャンピオン

少なくとも俺の脳内じゃ俺が主役だ、でもお前の脳内じゃお前自身が主役だろ?

じゃあ世間様にどっちが真の主役か決めてもらおうじゃねぇか、決勝戦でよ

リーグの最後、そこで勝った方が真の勝者であり主役

『終わり良ければ総て良し』、俺がチャンピオンになって、この旅の主人公が誰か分からせてやるぜ
 ▼ 923 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:06:09 ID:9a0kdBNA [10/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
だからこそ最後のジムトレーナー、そして最後のジムリーダー、ラークスには必ず勝たなくてはならない

セト「お前ら、最後のジム戦もいよいよラストスパートだ、このまま突っ走れるな?」ヘッ

小刻みに揺れたり、震えたり、ポケットの中で暴れまわったりと、ボールの中の各々がセトの言葉に答える

気合十分、後は俺とコイツらのフルパワーを合わせるだけだ

友の夢に心動かされ、しかし対抗心は変わらぬ男は、鼻をぬぐい、不敵な笑みを浮かべた

その眼に浮かぶは鋼城の王子と黒龍従えし好敵手の姿

そして耳は段々と近づくバンのエンジン音を捉え、次なる戦いが近い事を知らせた
 ▼ 924 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/04/09 02:06:43 ID:9a0kdBNA [11/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ポケットモンスターデリートphase2
end
 ▼ 925 エレブー@ビーだま 22/04/09 22:40:17 ID:pOuk2CfI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
乙
更新夜遅いからリアタイできないけど読んでました
次もたのしみ
 ▼ 926 アーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 22/05/06 02:50:10 ID:9UrUoySI NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
phase3

【SS】ポケットモンスターデリートphase3

https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1674136
このページは検索エンジン向けの機能制限版の旧ページです。
下URLから閲覧下さい。
https://pokemonbbs.com/post/read.cgi?no=1066821
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