【SS】ポケットモンスターデリートphase2 :ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ポケットモンスターデリートphase2 :ポケモンBBS

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【SS】ポケットモンスターデリートphase2

 ▼ 1 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 19/10/29 01:42:24 ID:.Y2AhOL6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
phase1:https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=797825

豊かな自然、そして高度な情報技術とが共存するタイキョク地方

多種多様なポケモンが暮らすこの地方に、あるニートがいた

ニートと同時にポケモナーでもあるその男は『サイバー団』と名乗る組織のコンピューターウィルスにより、自身のパソコンを壊された

また、暴力団『ギャラドス組』の自身の嫁ポケに対する蛮行も目にした

彼らに対する怒りに満ちたその男は旅に出た

ド底辺男の復讐劇の始まりだ
 ▼ 228 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/04/22 01:28:58 ID:Pm1Uj82g [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アリアドス「キャーシシ!!」ビユゥッ!

糸を地面に張った…? ンな事より!

セドゥーム「ルグム…ガァ!」ボワァァ!!

尻尾と口、そして浮遊させた二本の杖から放たれた『かえんほうしゃ』、その炎は瞬く間にアリアドスの身体を火達磨にした

っしゃあ! 決めてやったぜ! ……でも何の効果があるんだよこの糸は……

『ねばねばネット』って言ってたよな……触りたくねぇ

アリアドス「キギィギ……ィ」クシャッ

カズラ「……相変わらず飛行と水以外のタイプには慣れんのぅ…」シュゥゥン…

倒したのか? けどちょっと待てよ、弱点である毒技を使わずによく分かんねぇ補助技?

1体倒されてでもやりたかった技なのか…?

……それより!

全身の筋肉が引きつる。 残るは1体、当然アイツしかいない
 ▼ 229 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/04/22 01:30:11 ID:Pm1Uj82g [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カズラ「ここまでやってくれるたぁのぅ……」スチャッ

カズラ「薄々気付いとったがおどれのポケモンが3匹も残っとるのは想定外じゃったわ……」

セト「……ヘッ」

苦し紛れの笑いが出る

カズラ「ほいじゃが土俵は整った! ……思う存分暴れられるわ!!」ギィィィン!

ついに来たか!

ギャラドス「グゴオオォォォン!!!」バアァァン!!

ケタ違いのデカさを誇るツノ折れギャラドスが姿を現した

カズラ「もうおどれはピクシーをメガシンカさせとるよな?」

セト「……おうよ」

カズラ「そうじゃったらもう遠慮はいらんな……」スチャリ…

カズラの右手にメリケンサックが装着された、そして……

カズラ「ぬぅんっ!!」ズムッ!!!

強烈なアッパーが決まったかと思えば

カズラ「見せたれぃ…その宝玉に秘められし破壊の『力』を!!」ギン!!!

カズラのメガダスターとギャラドスのギャラドスナイトTが反応した!

カズラ「来いっ!! メガギャラドスT!!!」カッ!!

メガギャラドスT「ギャガオォォォォッ!!!!」バリィィン!!!

なんだコイツ……

セドゥーム「ルゥゥ…!」ギリリ…

前と姿が違う!?

〜図鑑〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

メガギャラドスT きょうあくポケモン
水・ドラゴンタイプ
高さ6.5m
重さ285.0kg
タイキョク地方産のギャラドスナイトを用いてメガシンカした姿。 水中戦に特化し、発達したヒゲの宝玉からの水流は装甲車をいともたやすく粉砕するぞ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ▼ 230 ェイミ@ヒコウZ 20/04/22 09:13:11 ID:uaK631Ks NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 231 ンペルト@みっけポン 20/04/26 19:05:56 ID:0Z9EkzvU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 232 タマロ@ブレイズカセット 20/04/30 15:08:26 ID:YI2.a3AM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 233 グラージ@ゴッドストーン 20/05/03 23:51:06 ID:L09g76i. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 234 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:16:45 ID:nykgsYEY [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
正体不明のメガギャラドス、その出現はセトの脳内を掻き乱した

どうなってんだよ……1匹のポケモンが2種類のメガシンカをすんのかよ!?

狂乱する脳内、だが正体不明のきょうあくポケモンは更なる混沌へと拍車をかける

ゴォォォ…

何か轟音が聞こえる、遠くから……待て

ゴォォォォ…!

ゴォォォォォ…!!

近づいて…!

気付いた時には既に全身が濡れに濡れていた

セト「雨…!? マジでどうなってんだよ!?」

しかも土砂降り……降水確率0パーだった筈だぜ!? こんな時にゲリラ豪雨って奴…『落ち着け!』

崩壊を寸前で防ぐ賢者の声が響く

セドゥーム『この豪雨は明らかに起こるべくして起こった物ではない…』

どういうことだよ!?
 ▼ 235 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:17:31 ID:nykgsYEY [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セドゥーム『恐らく奴の特性か何かによる物だ』

お前の特性みてぇなモンかよ?

セドゥーム『そうだ! 自ら雨を降らせるとなると雨の間は彼方に軍配が上がるだろう……用心しろ』

……おう

セドゥーム『だが!』

セドゥーム『晴れぬ雨など無い! 雨雲を消しとばした先にある勝機を決して逃すな!!!』

セドゥーム…お前そんなヤツだったか…?

セドゥーム『黙れ! お前が慌てていると戦う我らまで駄目になる!』

……

セドゥーム『奴を恐れるな……平静を保て! 復讐を完遂する為にも!』

ヘッ、……しゃあねぇな

セト「あーあ、傘がいるなら最初っから言っといてくれよ」

セト「お陰でお互いビショビショじゃねぇか」ヘッ

カズラ「……ほう、コイツを見てそがいな返事くれたのはおどれが二人目じゃ」

メガギャラドスT「ゴァァァ…!」ギリリ…!

もっといかつい面になりやがってよ……トレーナーにそっくりだぜ
 ▼ 236 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:18:13 ID:nykgsYEY [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セト「2番乗りって事か……で、倒した事あるヤツはいんのかよ?」

なんだか不思議だった、セドゥームに『平静を保て』と言われたのに何故か調子に乗っちまってる

カズラ「おらん、おどれみたぁなトレーナーにコイツは不敗じゃ」

どことなくあのバケモンを倒せちまいそうな感じがする

セト「なるほどな」

でもコレでボコされたら超ダセェよな……けどよ

セト「それなら……」

ビビりながら戦うよか全然マシだ

セト「俺らが1番乗りになってやるぜ!!」

イキれる内にイキリまくってやるよ!

カズラ「良え気概じゃ……それならなってみぃやぁ!!」カッ!

メガギャラドスT「ギオォォ!!!」ブワァァ!

咆哮が大気を揺るがし、降りしきる雨を一瞬のみ横殴りの雨に変えた

セト「っしゃぁ……行くぜ!!」パシッ!

セドゥーム「ドゥルゥゥン!!!」キィィン…!

確かこのギャラドスは前に『たきのぼり』でピクシーを倒した筈……それなら自慢の物理技を腐らせてやるよ!
 ▼ 237 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:18:46 ID:nykgsYEY [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セト「『おにび』だ! ヤケドさせてやりな!」

セドゥーム「ルゥン!」ボワボワン…

暗闇の中で妖しく燃える鬼火がギャラドスに放たれ……

カズラ「甘いのぉ! 『なみのり』で押し流せぇ!!」バッ!

メガギャラドスT「ドォォォ!」グワッ

それに呼応し押し寄せる大波、鬼火はたちまち波に飲まれるが

セト「『じんつうりき』で波を割りな! それから…」

セドゥーム「ルムゥ…」キィィン…

神通力により真っ二つに引き離された波、その間に現れた道は2匹を再び睨み合わせる

セト「『あくのはどう!!!』」

カズラ「『ハイドロポンプゥ!!!』」

セドゥーム「ヌァァァァ!!」ギュワァァン…!!

メガギャラドスT「ギュゴォォォ!!」バシャバシャァァァッ!!!

互いに環境によって強化された技、並ならぬ威力を誇っていたが……

キラッ…

メガギャラドスT「!!!」ギィィン!!

龍の宝珠が煌めいた時、均衡は崩れる
 ▼ 238 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:19:36 ID:nykgsYEY [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
メガギャラドスT「ギャグワァァ!!!」キィィィ…!!

水流の勢いが増してやがる……このままじゃ…!

カズラ「押し潰せぇ!!」バッ!

セドゥーム「…!」カッ!

セドゥームの眼がかっと開いた。 瞳に映る巨体への恐怖からか、それとも別の理由があったかは分からない

何故ならその直後に彼の身体は超高圧水流によりひしゃげていたからだ

セト「…セドゥーム!」

セドゥーム「……! ……」クタッ

一撃で……とんでもねぇ威力だ…イカレてやがる

……! 慌てんなよ…俺!

セト「どうも口だけじゃねぇみてぇだな…安心したぜ」

カズラ「…!」

セト「ソイツなら俺の嫁ポケの良い相手になりそうだ」ヘヘッ

強気でいけよ…

カズラ「それは嬉しいのぅ……お前もじゃろう」

メガギャラドスT「ギャァ…」ギラギラ

セト「ヘッ! お似合いのコンビだなぁ…」シュゥゥン…

ありがとよセドゥーム、お前のお陰でちったぁやりやすくなった

セト「ま、俺らの方がもっと似合ってるけどな! だよなアブリボン!」シュッ

アブリボン「ぶりぶりぃ〜♪」ポォン

『かふんだんご』と同じ性質の鱗粉のお陰でほぼ体力マックスのアブリボンだが……

アブリボン「ぶぅっ!!」ザクッ!

『ステルスロック』によるダメージを受け落下しそうになった際、翅がネットに接触してしまった

セト「大丈夫か?」

アブリボン「あぁ…ぶぅ?」バ…バババ…

ダメージは受けたけど飛ぶのに支障はねぇみてぇだな

セト「OK…イケるな……なら!」

コイツでシオンさんがしてたバトンタッチ戦法をしてやるぜ!
 ▼ 239 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:20:38 ID:nykgsYEY [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
おそらくアブリボンの火力じゃアイツには太刀打ち出来ねぇだろう……きっと対抗出来んのは同じメガシンカポケモンのピクシーだけだ

……でも並ぶだけじゃ意味がねぇ、アイツの火力を超えねぇとダメだ

直接『めいそう』を使うのもアリだけど、アブリボンの『ちょうのまい』で特攻と一緒に素早さも上げて上昇効果を引き継がせる……

そうすりゃ火力も上がるし上昇した素早さで攻撃の回避も余裕だ!

やってやるぜ!

カズラ「ほう……わしには対極に位置するように見えるがのぅ…」

カズラ「じゃが…」ニィ…

カズラ「もう待ちきれんわ!! さっさとそいつを倒してピクシーを引きずり出しちゃるわぁ!!!」クワッ

暗闇の中、降り注ぐ雨はまだ止まない。 だが今は抗い続けるしかない、暗雲に隠された陽光を信じて
 ▼ 240 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:21:33 ID:nykgsYEY [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「やっちまおうぜアブリボン!『ちょうのまい』だ!」

カズラ「『かみなり』で消し炭にしちゃれぇ!」

『かみなり?』ちっせぇアブリボンに当たるかよ!

だよなアブ…

アブリボン「ぶ…りりぃ?」バ…バ…ババ…

『ちょうのまい』を舞うその姿は普段よりぎこちなかった。 なんつーか…スタイリッシュさが足りねぇ

アブリボンの持ち味は高速飛行。 だが今のアブリボンの飛行速度はとても高速とは言える物ではなかった

セト「アブリボン?」

翅に目をやると明らかに振動数が普段より少ない……ん? なんか付いてねぇか?

アブリボンの翅には粘着性の強い液体が付着している……まさか!

『ねばねばネット!』

ヤベェ!

我に返りアブリボンの頭上を見上げると……

セト「アブリボン!! 逃げろッ!!!」

アブリボン「ぼぶっ…!」ハッ

視界が光に包まれた瞬間、轟音が響いた

当たった…? あんなに小せぇアブリボンに…?

真っ白に漂白された視界が色を取り戻す。 間違いない……『かみなり』はアブリボンを直撃していた
 ▼ 241 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:23:49 ID:nykgsYEY [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「あ…アブリボンッ!!」

アブリボン「リブラァ…りん!」ボロボロ

なんて酷ぇ有様だ……身体のあちこちが黒く焦げ、煙が上がっている

カズラ「やるのぅ…『こらえる』か何かで踏ん張ったか」

『こらえる?』…そんな技俺一度も……まさか!

アブリボン「りへへ…」ヘヘ…

……!

わかったぜアブリボン……お前が繋いでくれたそのバトン…

セト「絶対ムダにはさせねぇよ!」スチャン!

アブリボン「りぶ…」

カズラ「おどれが何をしちゃあかは判るが……」

カズラ「やれるもんならやってみぃ!! わしとギャラドスが全部ねじ伏せちゃるわぁ!!」

メガギャラドスT「グオォォッ!!!」キィィン!

カズラ「『かみなりぃ!』」バッ!

また『かみなり!』稲妻よりも早く交換しろって事かよ……いいぜやってやんよ!!
 ▼ 242 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/04 01:24:24 ID:nykgsYEY [9/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「この瞬間『バトンタッチ』発動!!」バッ!

アブリボン「りっぶぅ…!」

ビヒュッ!

アブリボンのボールから通常とは違う緑色の回収ビームが放たれる

ゴロ…

それと同時に聞こえる不吉な音、言われなくても何かは分かる

だが……今は『バトンタッチ』を信じるしかない、アブリボンの為にも

自然の怒りを体現した黄色い閃光と、生命の神秘と科学技術が融合した緑の閃光。 共に標的に向かい大気を駆ける

ピッ…

機械音。 そして右手に伝わる振動

……入ったな

バァァァン!!!

再び響き渡る轟音。 ただし今回は悲鳴を伴わない

なんでかって?

ポケットからもう一つのモンスターボールを取り出す。 緑色で微かに発光していたボールから新たなボールに光が移る

セト「……」ヒュッ!

メガピクシー「……ルピ!」シャッ

セト「さて……サドンデスといこうじゃねぇか」ビッ!

アンカーにバトンが渡ったからだよ
 ▼ 243 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/08 00:46:50 ID:vFTgcl2w [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カズラ「遂に来たのぅ……この時がぁ!」

カズラが俺とのバトルで最も望んでいたもの……それはお互いのメガシンカポケモン同士の死闘

カズラ「わしはおどれに初めて会うた時から感じとった……その瞳に混じった血を」

カズラ「そしてグロリオがおどれらを引き取りに来た時に確信に変わったわ…」

カズラ「セガヤの血は決してへこたれるようなタマじゃのぅ、寧ろ新たな『力』を携え再び現れると」フフン

カズラ「それからはいつおどれが現れるか楽しみにしとった……」

カズラ「そして今日! 確かにおどれはメガシンカを携えこの場に現れた!」

カズラ「待ちに待った大勝負じゃ、景気良く全力で行くけんのぅ…!」ニィッ…

セト「……来いよ、俺らの新たな進化の可能性、とくと味わって貰うぜ!」ヘッ

この時、カズラは極度の興奮状態にあった

心待ちにしていたセトとのメガシンカポケモン同士のバトル。 その願望が叶った事が一つの要因であったが、それだけではなかった

彼の目に映るセトはピクシーパーカーにニット帽のメガネ男ではなかった。 正確に言えばセトですらない……そこにいたのはかつての兄弟だった

決着をつけられずに渡世からも、現世からも消えていった兄弟、その姿をどこかその面影のあるセトに重ねていた

──兄弟、今こそ決着の時だ
 ▼ 244 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/08 00:47:33 ID:vFTgcl2w [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
一方セトは使命感に駆られていた

俺の愛するピッピたちにギャラドス組のヤツらが危害を加えていた。 ムカついた、許せねぇ

ただそれだけで始めたギャラドス組への復讐。 彼は良くも悪くも自己中心的な男だった

このギャラドス組へのカチコミも、サイバー団への復讐も、世の中の為なんざを思ってやっている訳ではない

ただムカついたから、一刻も早く悠々自適なニートライフを取り戻す為だけに始めたのだ

カズラに勝てば理想の生活に一歩近付ける……ただ今のセトはそれ一色ではなかった

旅に出てから出会った仲間…ライバル…思い返せばみんなギャラドス組にロクな目に遭わされてない

彼の友人は数少ない、だが数が少ないからこそ一人一人に対する信頼は厚いのだ

そんな仲間やライバルたちが手出されてほっとけるかよ!

アヤメを泣かせない、リアを絶望させない、そして俺のポケモンたちの無念を晴らす為にも!

──カズラ! テメェと決着をつけてやるよ!



気付けば既にナイトフィールドの効果は切れ、向き合う互いの姿がより鮮明に見えていた

カズラ「決着をつけるぞ!!! セガヤぁぁ!!」バッ!!

セト「終わらせてやるよ!!! カズラァァ!!」バッ!!

メガギャラドスT「ギガァァァ!!!」ブッシャァァ!!!

メガピクシー「ピラァッ!!」ギュゥン!!!

雨が降り続ける中、『ハイドロポンプ』と『ムーンフォース』が相殺し、双方の死力を尽くした決闘が始まる
 ▼ 245 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/08 00:48:32 ID:vFTgcl2w [3/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カズラ「『ねっとう』を撃ちながら距離を詰めぇ!」

メガギャラドスT「ギャゴゥ!」ビシュビシュッ!

『ねっとう』を複数回発射しながらメガピクシーへと迫り来るギャラドス。 それに対し…

セト「『シャドーボール』で撃ち落としな!」バッ!

メガピクシー「ルピィン!」ブォンブォン…!

四球の『シャドーボール』で迎撃するピクシー。 展開した暗球から放たれる光線が一発づつ『ねっとう』を打ち消す

セト「そのままぶつけてやりな!」

メガピクシー「ピア!」ブン!

杖を振るうと共にギャラドスに突撃する暗球。 このまま進めば全弾命中する!

カズラ「無駄じゃあ! ハネ返しちゃれぇ!」

メガギャラドスT「グゥン!」グルングルン…

突如として回転を始めたギャラドスの尾に暗球は吸い込まれるかのように軌道をずらし……

四つ全てが尾に命中したかに思えたが

セト「……受け止めた?」

そこには尾に沿って並んでいる四つの暗球があった

そして…

メガギャラドスT「ゴァア!」ブォゥン!!

こちらに跳ね返される暗球、このままでは当たっちまう!

セト「『マジカルシャイン!』 返品お断りだ!」

メガピクシー「ピィッ!」カァァ…!

眩い光によって跳ね返された『シャドーボール』を防ぎきったその刹那

バシュゥゥゥゥ!!!!

真正面から放たれた二本の『ハイドロポンプ』がピクシーに命中する
 ▼ 246 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/08 00:49:24 ID:vFTgcl2w [4/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
メガピクシー「ビイィイッ!!」ズザザザァ!

セト「ピクシー!」

文字の通りに押し流されたピクシーに目をやっている隙に畳み掛けるように

カズラ「『うずしお』で拘束せぇ!」

セト「ンだとォ!?」クッ

メガギャラドスT「ギォォォン!!」キィィン!!

咆哮に応じ、ピクシーの足元で発生した『うずしお』。 それは瞬く間にピクシーを取り込んだ

セト「チクショウ…!」

恐らく今のピクシーのステータスは『ちょうのまい』で特攻と素早さが上昇してる……けど『ねばねばネット』の影響で素早さはプラマイゼロの筈だ

それでいてあのギャラドスのタイプも分かんねぇ……

確か普通のメガギャラドスなら水・悪タイプだった筈、でもコイツは普通じゃねぇ

何のタイプが効くかは分かんねぇけど、とりあえず今は『うずしお』から脱出すんのが最優先だ!

メガピクシー「ズピィ!」ズドド!

『ハイパーボイス』ならワンチャンありそうだな……タイミングを見計らって仕掛けるぜ!

カズラ「さて…早いようじゃが幕引きとさせて貰おうかの」

メガギャラドスT「ゴォォォ…!」キィィン…!

どうやらこの技で決めに来るみてぇだな
 ▼ 247 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/08 00:50:00 ID:vFTgcl2w [5/5] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「落ち着きなピクシー、ひとまず『めいそう』だ」

メガピクシー「……!」ピィィン

『ちょうのまい』で特攻が一段階上がった時の『ムーンフォース』は『ハイドロポンプ』と同等の威力だった……

そこで『めいそう』で更に特攻を上げれば……後は分かるよな?

カズラ「これで白黒つくな、セガヤ。 お前とわし、どちらが強いか……」バッ

カズラ「『ハイドロポンプ』」

メガギャラドスT「ガァァァァッ!!!」ギュゴォォォォォ!!!!

発光する二つの宝玉から放たれる超高圧の『ハイドロポンプ』。 そこに込められた思いは勝利の確信か、もしくは旧友への弔いか

『うずしお』に囚われた相手をこの水流で葬り去るのはいとも容易い事だ、しかしピクシーの眼前に迫る水流を前にセトが開口する

セト「ソイツはまだ早ぇんじゃねぇか?」

カズラ「?」

ギリギリまで引き寄せて……今だッ!!

セト「『ハイパーボイス!!』ブチかましてやれ!!」カッ

メガピクシー「ビィヤァァァァァァァッッ!!!!!!」ガンガンガン!!!

『ハイドロポンプ』が『うずしお』に接触すると同時に渦の中心から響き渡る轟音

内側からの力と外側からの力に板挟みにされた『うずしお』は泡と消え…

『ハイパーボイス』は更に『ハイドロポンプ』を打ち消した

パシャァァン…

打ち消され行き場を無くした水が降り注ぐ音、しかしそれ以降は何も音はしなかった

何故なら……

セト「夜中にここに来て何時間経ったんだろうな……」

セト「見ろよ、もう陽が出てるぜ」

セドゥーム『晴れぬ雨など無い! 雨雲を消しとばした先にある勝機を決して逃すな!!!』

確かにな……

ピクシー「ピィッ…!」キィッ…!

セト「悪りぃなカズラ、こっからは……」

セト「俺たちの番だ」
 ▼ 248 ニョニョ@ていこうのハネ 20/05/08 01:18:28 ID:/hF2q1M. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 249 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:28:09 ID:XxtsBT0g [1/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セトのテーマ2
https://soundcloud.com/q5avuwfjq2pq/seto-theme-fighting

カズラ「流石じゃのぅ……雨が上がるまで凌ぎ切ったか」

カズラ「警戒はしとったが…寧ろ本望じゃわ」

カズラ「なん言うたって同じ土俵で勝ちゃあ確実におどれらより強い事が証明できるからのぅ!!」バッ!

メガギャラドスT「ギシャァァァ!!!」ビシャァビシャァッ!

セト「懲りずに『ハイドロポンプ』かよ……それなら!」

『めいそう』で特防も上がっているとは言え、ピクシーがかなりのダメージを負っているのは確かだ。 下手な攻撃は受けられねぇ…

でも全部回避しちまえばノーダメージだ!

セト「『ちいさくなる』だ!」

回避率を上げて華麗に戦うぜ!

カズラ「『ちょうはつ』で封じろ!」

遅ぇよ! 『ハイドロポンプ』なんて大技を撃った直後に即変化技を出せるかよ!

しかしセトの予想は外れる

メガギャラドスT「ギルゥゥン」ギュゥゥン

セト「速ッ!? …切り替えてけ『ムーンフォース』だ!」

メガピクシー「ピムム…ラァッ!」ボワッ!

挑発され爆発した怒りをそのまま『ムーンフォース』に乗せ放出する、至近距離での高威力技に一瞬たじろくギャラドスだったが
 ▼ 250 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:29:19 ID:XxtsBT0g [2/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カズラ「『ぼうふう』で軌道をずらせぇ! そしてそのまま『パワーウィップ』で薙ぎ払っちゃれ!!」

メガギャラドスT「ギャルゥン!」ギュルン!

巨体を高速回転し発生させた暴風で『ムーンフォース』の軌道をずらし、しならせた尾をそのまま……

メガピクシー「ギュピッ!?」メリリ…!

ピクシーに打ち付け、吹き飛ばす

セト「ピクシー! ……なんてな」ヘヘン

カズラ「何じゃ?」

セト「『じゅうりょく』発動!」

知っての通り『じゅうりょく』は辺りの重力を強める技……けど今回はそれだけじゃねぇ!

重力がかかる方向をいじってやるのさ!

メガピクシー「ピッ!」パチッ

ピクシーの辺りだけ地球中心じゃなくてギャラドス中心に! そうすりゃ……

メガギャラドスT「ギョグ!?」ビタァン!

見えざる力により地面に叩き落とされたギャラドス。 だがここに一匹、地球の法則を無視するポケモンがいた

吹き飛ぶのをやめ、ギャラドスへと引き寄せられるピクシー。 その手には月の力を湛えていた

セト「ゼロ距離射撃だ! 『ムーンフォース!!』」バッ!

メガピクシー「ッピャァァ!!」バシュゥゥ!!!

メガギャラドスT「!」ギッ!!

一瞬の隙を突き叩き込まれた『ムーンフォース』により、ギャラドスの頭が爆心点と化した

今度は月の力だけで
 ▼ 251 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:32:02 ID:XxtsBT0g [3/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「よくやったなピクシー!」

メガピクシー「…ピピン」フン

こんな時でも変わんねぇな……

でも…やったのか?

カズラ「まだじゃぁ……!!」

セト「…!」

メガピクシー「ピッ…!」スチャ

黒煙の中で横たわる巨体、その身体はセトの思いとは対極にゆっくりと起き上がる

カズラ「まだ終わっとらんわぁ…!!」ギリリ…!

メガギャラドスT「ギググゥ…!!」ギラリ…

セト「チッ! まだやんのかよ…!」

カズラ「わしは死んでも死に切れんぞ兄弟….!」

カズラ「お前とわし、ギャラドスとストリンダー……どちらが強いかケリがつくまでのう…!!」
 ▼ 252 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:32:48 ID:XxtsBT0g [4/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「……そうかよ」

カズラ「……いけるかのギャラドス」

メガギャラドスT「ギィ…!」ボロロ…

既にカズラは敗北が決まったも同然であった。 ギャラドスは弱点を突かれほぼ瀕死の状態で『じゅうりょく』により地面に押し付けられた挙句、相手はドラゴンタイプの天敵のフェアリータイプだったからだ

だがそれでもカズラとギャラドスは諦める事をよしとはしなかった

自分と兄弟の『力』の差をはっきりさせるまで戦い白黒をつける為……曖昧なままで終わらせたくなかったのだ

身体に『力』が張る限り存在する勝利を掴みとる為に最後まで抗う。 たとえそれが微々たる可能性だとしても

カズラ「いけるの ……それならあの技でシメにするでぇ」バッ…!

或いは……彼は過去に囚われた自分から抜け出したかったからなのかもしれない

カズラ「…!!」カッ!

メガギャラドスT「…!!!」ギュゴォォォォッ!!!

セト「…!」ビッ!

メガピクシー「……!!!」バシュゥゥ!!!

『ハイドロポンプ』と『ムーンフォース』、互いに最後の技が放たれ、炸裂した

メガギャラドスT「ゴガァァァ!!」シュバァ!!

メガピクシー「ビィィィ!!」ドドドド!!

二匹は共に真正面から技を受けようが、表情を崩さず雄叫びを上げ睨み合っていた

だが張り詰めた糸は突然に、しかし儚く切れる

メガギャラドスT「ギオルゥ…」ドサァ……

雌雄は決した
 ▼ 253 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:33:28 ID:XxtsBT0g [5/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カズラ「兄弟……お前の方が強いとはのぅ」フフ…

セト「やった……のか?」プルプル

メガピクシー「……ピヘヘ」コクリ

セト「マジかよ……ついに!」プルプル

なんと表現すれば良いのだろう、様々な感情が身体を逆流している

けど今いっちばん叫びてぇのは!!

セト「ありがとうよ相棒ッ!!!」ダキッ

メガピクシー「ピク……リィ…」ゲェ…

ポケモン達への感謝だ!!

カズラに勝った喜びよりも口から飛び出してきたのはポケモン達への感謝だった

勝てた事は当然嬉しいぜ? むしろ飛び跳ねてぇぐらいだ! けどよ、同時にここまで一緒に戦ってくれたポケモン達って凄ぇって思った

普通ならバトルしないようなヤツらのポケモンとも身体張って戦ってくれて……傷も沢山負ったのに、俺と一緒に戦ってくれた

そう思えば思うほどまずコイツらに感謝したくなってきてよ……

セト「ありがとうなボールの中のお前らも…!!」スチャチャ

セト「マジで…!」

ありがとう…!! お前らを信じて良かったぜ…!!

すると……

カズラ「……見事じゃわ」シュゥゥン…

セト「…!」

ピクシーを放し、カズラに向き合う。 さて、本題に入ろうじゃねぇか
 ▼ 254 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:34:05 ID:XxtsBT0g [6/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「俺の勝ちだな、やる事は分かってんだろ?」

カズラ「当然よ……わしらギャラドス組本家はタイキョクから撤退する」

撤退?

セト「待てよ! 俺は解散しろって…「分かっとる」

カズラ「別にわしは組を解散しても構わん……じゃが国内最大の極道組織が急に解散したとなったら何が起こるか分かるか?」

セト「……治安が良くなるんじゃねぇか?」

カズラ「戦争じゃ」

えっ!? 今何て…

セト「戦争!? 軍でも動くのかよ!?」

カズラ「ボケが。 カタギの戦争じゃのうて……ヤクザの抗争と言うた方が分かりやすいかの」

ビビったぜ……でもヤバくねぇか!?

カズラ「今急に解散すればこの国の裏社会の力関係は崩れる。 各地方の組織がシマを拡大しようと動き出す筈じゃ」

カズラ「そうなれば組織同士の衝突は必然……勝手にドンパチ始めてカタギにもヤクザにもようけ被害が出るわ」

セト「なるほどな……」
 ▼ 255 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:36:08 ID:XxtsBT0g [7/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カズラ「それに構成員二万の組織と言うても統率が大変での…」

セト「二万!?」ギョッ!

カズラ「ギャラドス組に所属しとる組織の構成員の総計じゃ、ここに二万人もおるわけないじゃろが」ハァ

セト「あっ…まぁそうだよな……続けろよ」

カズラ「解散となれば変な跳ねっ返りが出て来る事は目に見えとるわ」

カズラ「そがいな奴が暴れてみい、余計に力関係が崩れるわ」

セト「確かに……」

カズラ「じゃけぇわしらギャラドス組本家はタイキョクから撤退する、密かにの」

カズラ「それとギャラドス組は今後未来永劫タイキョクで活動せん。 約束しよう」

セト「……本当だよな?」

カズラ「もちろんじゃ、無関係なカタギは絶対巻き込ませたくないからのぅ……なんならわしの小指でも飛ばそうかの?」スッ…

セト「いらねぇよ! ンなモン……分かったよ、じゃあ出て行きな!!」

カズラ「……恩に着る」

セト「けどよ……もしタイキョクに戻って来た時には……」

セト「小指だけじゃ済まさねぇぞ」ギッ!

カズラ「フッ、そりゃそうじゃ」

完全にギャラドス組を潰した…って事にはならねぇけどちったぁスッキリしたぜ

すると突然カズラが口を開いた

カズラ「こがいな立場で頼み事をするのも変な話じゃが……」

セト「ん?」

カズラ「アヤメちゃんを守ってやりぃ」

セト「えっ!?」

突然カズラの口から飛び出して来た予想外の単語。 いきなり何だよ!?
 ▼ 256 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:37:22 ID:XxtsBT0g [8/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カズラ「『え』じゃないわ、おどれじゃろ、アヤメちゃんに旅立ちを決心させたのは」

セト「ななな、何で知ってんだよ!?」

アヤメとカズラには一応面識はあるけど……一度助けてもらったぐらいだろ!?

カズラ「あの子はの……亡くなった若の一人娘なんじゃ」

セト「は? 亡くなった若? どういう事だよ?」

確かに一人暮らしだったけどよ…

カズラ「わしらがかつて所属しとった組織、深緋砂豹会の会長の次男……その男がアヤメちゃんの真の父親じゃ」

死んだ親父がヤクザだったって事かよ……ん? 『真の父親』?

セト「待てよ、真の父親って事は……」

カズラ「そう。 若はアヤメちゃんが生まれてすぐに亡くなった。 その後彼女は子ども食堂を経営する夫婦に引き取られ、実子として育てられた」

カズラ「当然アヤメちゃん本人は自身の出生も知らんし、その夫婦を実の両親と思っとる」

マジかよ……アヤメにンな秘密があったなんて

セト「でも…その若ってヤツの嫁はどうしたんだよ? 母親だろ?」

カズラ「消えたわ…」

セト「え?」

カズラ「若が跡目争いに巻き込まれて殺された後にその女は金持ってどっかに消えたわ……」

セト「……ひでぇ話だな」

そんなクソ女がいんのは映画とかドラマの中だけだと思ってたぜ……
 ▼ 257 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:38:17 ID:XxtsBT0g [9/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カズラ「……それ以降はわしらギャラドス組が彼女を影ながら見守っとった。 何しろあの若の一人娘じゃ、わしも若に受けた恩を返そうと思っての」

セト「それでアイツが旅に出た事も知ってたんだな」

カズラ「その通りじゃ、わしも影ながらあの子が真っ当なトレーナーになるのを応援しとったが……それももう叶わん」

セト「え? 何でだよ?」

カズラ「おどれが言うた事じゃろうが、わしらはタイキョクから撤退せんといけんからの」

セト「あぁ……」

カズラ「だから改めておどれに頼みたい。 わしらの代わりにアヤメちゃんを守ってくれんか?」

なんかもう色々ゴチャゴチャだけど……

セト「当たり前だろ、アイツはもう俺の立派なライバルだからな!」ヘヘッ

カズラ「ほほぅ、そうならちぃと安心したが……」

カズラ「間違うても出生の真実を彼女に教えたらいけん。 あの子をこっちの世界に関わらせたくないからの」

カズラなりの配慮……ってヤツか

セト「分かった。 知らねぇ方が良い事もあるもんな」

カズラ「最後に……あのガキの事じゃ」

あのガキ…? リアの事かよ!
 ▼ 258 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:39:36 ID:XxtsBT0g [10/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「リアがどうしたんだよ」

カズラ「ミヤコの件は聞いとる……すまんかった」

セト「俺に謝られても……」

カズラ「その詫びとしちゃあなんじゃが……これを奴に渡してもらいたくての」ヒュッ

セト「うおっ…何だコレ?」パシッ

カズラから渡された紙にはどこかの住所が記されていた

セト「タイキョク地方ウノハナシティ……どこの住所だよ?」

カズラ「わしの知り合いが住んどる所のじゃ」

セト「…! リアに何かするつもりか…?」

カズラ「安心せい、そいつはカタギじゃ。 群を抜いたバトルの腕を持つの」

セト「ああ…? そんなヤツの住所渡して何になるんだよ?」

カズラ「奴はタイキョクリーグ再興を目指しとるんじゃろう?」

セト「おぅ…」

カズラ「そいつは元リーグ関係者での、少しは奴に手ェ貸すじゃろう」

カズラ「それに……」

カズラ「わしも奴にはあの時の眼を取り戻して欲しいからの」

セト「…なぁ」

カズラ「どがいした」

セト「何でテメェはリアにそんな事すんだよ、詫びにしちゃあちょっと変じゃねぇか?」

普通詫びで人を紹介するか? 俺だったらもっと金とか…

カズラ「確かにそうかも知れんの、じゃがわしは……奴のリーグ再興に興味がある」

セト「あ?」

カズラ「別に裏で提携を結ぼうなんぞ考えとらん。 ただわしはあの時の奴の眼が忘れられんくての」
 ▼ 259 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:40:32 ID:XxtsBT0g [11/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「あの時?」

カズラ「何年か前……奴に会うた事があっての。 ウチの若いもんに絡まれとったかポケモンバトルで逆にシメとった」

カズラ「その時の奴は相当荒れとったが眼だけは違ごうとった。 何かデカい事を成そうとしとったわ……」

荒れてたって……それがアイツの言ってた黒歴史かよ!?

カズラ「ほいじゃが今日画面越しに見た奴の眼にはその光は無かった。 ……わしは今の奴がリーグ再興を成せるとは思えん」

カズラ「じゃけぇその男の所であの眼を取り戻させようと思ったんじゃ」

セト「そうかよ…」

カズラ「まず開く為の金を寄越しても奴の事じゃ、受け取らんじゃろう」

確かにアイツは断るだろうな……

カズラ「何よりリーグ再興はわしらタイキョクの人間の夢じゃ。 簡単に諦められたら困るし、男として信念を貫き通してもらいたいからの」

夢ねぇ……

セト「分かった。 渡しといてやるよ、でも最後に俺から質問させてもらうぜ」

カズラ「何じゃあ?」

セト「何でテメェらはポケモンの臓器売買を一大ビジネスにしてんだ? 麻薬とかの方がもっと儲かるだろ?」

カズラ「……確かにそうじゃ。 臓器より葉っぱの方が買い手がつきやすいのは確か、ほいじゃがわしは臓器の方を優先したい理由があっての」

セト「理由…?」
 ▼ 260 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:41:27 ID:XxtsBT0g [12/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カズラ「わしにはカミさんとチビがおった」

そう言やカズラの部屋にそれっぽい写真があったな……って

セト「おった…? 何で過去形なんだよ」

カズラ「二人とももう死んだわ」

セト「……」

カズラ「先に逝ったのはカミさんじゃった、難病での……移植手術を施したんじゃが失敗して逝ってのぅ…」

カズラ「その何ヶ月か後にチビがこう言い出した…『なんでジポングではまだポケモンの臓器移植が違法なんだろ? 助かるポケモンが沢山いるのに』との」

カズラ「アイツもそん時はガキじゃったし、何か深い意味を持っとったかは分からんが……わしはどうも『臓器移植』っちゅう言葉が引っかかってのう」

カズラ「カミさんを移植手術の失敗で失うたのが一番の要因じゃろうが、チビの言葉にも一理あると思うての」

カズラ「人間とポケモンを同列に扱うのは可笑しな話じゃが……生きたいっちゅう思いを持っとるのは両者とも同じじゃろう」

カズラ「その思いを種族の壁だけで踏みにじるのはどうかと思うての」

セト「まぁな…」

カズラ「…で、チビはその後わしの反対を押し切り警察官になった。 じゃが紆余曲折あって殉職してしもうた…」

カズラ「それからは毎晩あの時のチビの夢を見る。 そしてあの言葉を決まって呟くんじゃ……」

セト「まさか臓器売買ビジネスを始めた理由って……死んだ子供の為なのか?」

カズラ「そうじゃ。 チビの父親として当然の事じゃ、わしは自分の父親みちゃあにはなりたくなかったからの…」
 ▼ 261 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:42:37 ID:XxtsBT0g [13/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「父親…か」

……気になってた事は聞けた、ワンチャンサイバー団との繋がりがあるか不安だったけど、カズラの部屋にそれっぽいモンが無かったから大丈夫だろ

それよりリアのいるポケモンに行かねぇと……アイツとスキュリークが心配だ!

そう思ってカズラに背を向けた途端…

カズラ「…ありがとうの」

セト「は?」ビクッ!

何で急にコイツ…!

カズラ「おどれとバトルして白黒ついた……お陰で随分気が楽になったわ」フフッ…

セト「…そうかよ」

〜ギャラドス組本部 廊下〜

廊下はほぼもぬけの殻に近い状態だった

組員たちは撤退の準備を始めているのか、はたまた組長を倒したセトを恐れて出てこないのかは分からなかったが、誰一人として廊下にはいなかった

しかし……この騒動に遅れて本部に駆けつけてた二人組は例外だった

カネカズ「どういう事なんだよこの一斉メール…!」

ギンジ「『本家本部をコガネシティの鳳炎会本部に移す。 来るも来ないも構わん』って……」

カネカズ「鳳炎会って……たしかここの若頭が頭張ってるとこだよな…」

ギンジ「ええ…元はエンジュがシマでしたが現在ではコガネにも影響力を持ってまっせ」

ギンジ「それに会長は若いながらも冷徹で身内にさえも容赦ないとか……怖ぇなぁ…兄貴、どうします?」ブルブル…

カネカズ「……行く訳がねぇだろ! こっちの世界は俺らにはハード過ぎたんだよ…」ブルブル…

ギンジ「そうですよね……」

カネカズ「アッ!! それじゃ俺たち無職に……」
 ▼ 262 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:43:47 ID:XxtsBT0g [14/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ギンジ「それなら安心でっせ! 何たって…「お前ッ!!」

カネカズが怒鳴る…その視線の先にはセトがいた

カネカズ「やっっっと見つけたぜぇ…! 他の奴らはビビって出て来ねぇが俺らは違え!」ポキポキ

ギンジ「鍛え直した俺らの力、見せてやるよ!」スチャ!

セト「今はテメェらに構ってる時間はねぇんだよ! さっさとどきやがれ!」

カネカズ「へへ…そうは問屋がおろさねぇなぁ…」シュッ!

ワルビアル「ワァァァ!!」ポォン!

ギンジ「それに俺らの仕事は…セト! お前を排除する事だしなぁ」ヒュッ!

クロバット「ロロロッ!」ポォン!

ギンジ「そっちからのこのこやってきて助かったぜ」ニィ…

カネカズ「ここを通りたきゃ俺たちを倒してから行きやがれ!」

ワルビアル「グワァァ!!」ガーッ!

セト「やる気かよ……なら秒殺してやるぜ!!」スチャン!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ギンジ「く、くっそ……」バタン

カネカズ「つ…強え…」ヘニャン

クロバット「ルゥウ…」グルグル…

ワルビアル「ァビィ…」グルグル…

本当にセトの言う通り一分も経たずに決着が着いた
 ▼ 263 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:44:31 ID:XxtsBT0g [15/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ギンジ「アイツもう…行っちまいましたね」

カネカズ「あぁ、よっぽどの用事があるんだろ、結局俺らはこういう時でも『ザコ』なのかねぇ……」

ギンジ「いいや、そんな事ないですよ兄貴」

カネカズ「お? お前らしくねぇなぁ、急にどうしたんだ?」

ギンジ「俺……あれからコイツを信じて特訓してたんす」

クロバット「クロロ…」

カネカズ「だから今日来るのが遅れたんだな」

ギンジ「そうです。 俺らもせっかくトレーナーなら強くなりたいんでひたすら特訓してたんです。 そしたらいつの間にか進化してて……」

ギンジ「なんで進化したのか分かんなかったから、調べてみて分かったんす」

ギンジ「コイツは俺を信用してくれてる……なのにトレーナーの俺が信用してないのはダセェってね」

ギンジ「それから色々コイツに対する考えを改めたんす。 確かに俺らはめちゃくちゃ強い奴には勝てねぇけど『ザコ』じゃねぇって」

カネカズ「……おぉ」

ギンジ「だから兄貴も決して『ザコ』じゃないですよ、丁度良いぐらいの実力の持ち主です。 強すぎる訳でも弱すぎる訳でもない」

ギンジ「実力だけが全てじゃない。 俺らは俺らなりに、トレーナーとしてやっていけばいいんです」

クロバット「バァ!」ニコ…

カネカズ「…そーだな、お前を殴ってやった甲斐があって良かったぜぇ」

ギンジ「兄貴とクロバットと……アイツらのお陰ですよ」
 ▼ 264 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:45:17 ID:XxtsBT0g [16/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
カネカズ「そうかぁ……で、明日からどうするよ? 俺ら無職だぜ?」

ギンジ「あぁ、その件ですが、いい求人を見つけたんすよ!」

カネカズ「お? どんなのだ?」

ギンジ「『タイキョクリーグスタッフ』……開催されるか分かんないすけど開催されりゃガッポリ入ってきますぜ?」

ギンジ「それに条件も二人ともクリアしてます……こんなにウマい話、乗るっきゃないでしょう!」

カネカズ「リーグスタッフか……いいじゃねぇか! どこで募集してんだ?」

ギンジ「今はスズイロビレッジのジムで募集してますねぇ」

カネカズ「よっしゃあ!! 行くぞお前ら! 金銀bros.新章の始まりだぁ!!」

ギンジ「おう!!」

ワルビアル「ビーァッ!!」イェーイ

クロバット「ルババァ!!」オウ!
 ▼ 265 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:47:19 ID:XxtsBT0g [17/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜数時間後、リンドウシティ ミロティックグループ本社ビル 最上階〜

AI『チェックメイト、私の勝ちです』

???「ほっほっほ流石だぁ、まさかこのモウセン、チェスで機械に負けてしまうとはね」ハハハ…

ミロティックグループCEOモウセン、巨大企業ミロティックグループの元締めであり、ジポングの経済はこの男の手中にあると言っても過言ではない

AI『我々人工知能も日々進化しているのです、度重なるモウセン様との対局で貴方のゲームメイクを学習させて頂きました』

白髪に赤眼の女性の姿をしたアバターのホログラムが表情を変えずに口を動かす

モウセン「成る程、それなら良い教師になれて嬉しいものだ」ガタッ

杖を右手に立ち上がるモウセン。 窓から見渡すリンドウシティは雷雨の中だ

AI『では今日はこれにて、午後4時からは主治医様のご診断が入っております』

モウセン「分かっているよ、君はもう休みたまえ、ワシの良い対局相手になってくれて嬉しい限りだ」フフ…

AI『承知いたしました』シュン…

ピシャア! ゴロゴロ…

モウセン「肺と肝臓は覚悟していたが、この歳で足も悪くするとはね」

腐る程の金を手に入れた男だったが、対してその身体は病魔に貪られている最中だった

画像…モウセン
 ▼ 266 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/11 01:48:21 ID:XxtsBT0g [18/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
♪〜♪♪〜

幾度とも聴いてきたクラシックの一節が流れる。 電話だ

モウセン「ほう、彼か」ピピッ

普段は使わないポケフォンを耳に寄せる、その相手は

カズラ『お世話になっとります、カズラでございます』

モウセン「あぁ、カズラさん。 何かご用件が? それとも例の新製品のテスターの準備が整ったのですかね?」

カズラ『今日はモウセンさん、貴方にご報告したい旨がありましての』

モウセン「はぁ、一体どのような内容で?」

カズラ『今限りで御社とわしらギャラドス組との契約……チャラにさしてもらいます』

モウセン「なっ……! 何を言っているんだ君は…!!」

カズラ『二度も三度も言わせんでください、わしらは御社と契約を切ると言っとるんです』

モウセン「契約破棄…!? そんな事して互いに何のメリットが……」

カズラ『損得勘定でわしみちゃあな極道は動きません。 約束したんですよ、ギャラドスはタイキョクから撤退すると』

モウセン「約束ッ!? …一体…誰と…!?」

カズラ『セガヤ・セトっちゅう男とです』

モウセン「セガヤッ…!?」ガタッ

カズラ『わしらが契約を切った以上、もう御社を他社やマスコミ、行政から守る事も出来ません。 それに……』

モウセン「……!」ガクガク

カズラ『セトが真実を知る時はそう遠くないでしょう。 その時が貴方の破滅かも知れませんよ、モウセンさん…いや──』

カズラ『──マルバの親父』

リンドウに雷鳴が轟いた
 ▼ 267 キジカ@コオリZ 20/05/11 02:25:46 ID:ia2YF2i. NGネーム登録 NGID登録 報告
面白くなってきた
支援
 ▼ 268 ャラドス@ハートのウロコ 20/05/11 08:59:36 ID:Me42ZR.s NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 269 ターミー@あらびきヴルスト 20/05/14 01:07:37 ID:qv3YE1rI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ついにミロ社編か…
支援
 ▼ 270 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:03:01 ID:PRZIMdFw [1/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜コキヒシティ イーストエリア ポケモンセンター〜

ウィーン

ジョーイ「いらっしゃいま…「ジョーイさん!」

ジョーイ「え? あ、はい…どうかなされました?」オドオド

セト「リアって奴はいますか? それとソイツの連れてたスキュリークは大丈夫なんすか!?」

ジョーイ「えっえあの……他の利用者の方のご利用状況は…「俺の大事なダチなんす!!」

セト「数少ねぇ…なんとかお願いできませんか!?」

ジョーイ「……そんなに詰め寄られちゃ仕方ないわね…」

セト「あっ、ありがとうございます!!」

セト「今アイツはここに……それにスキュリークの容態は!?」

食い入る様に質問するセト

ジョーイ「スキュリークは重傷でしたが、傷も完治し今では問題ありません」

セト「ハァ…良かったぜ…」

あんなにズタズタだったから凄ぇ不安だったぜ…助かって良かった

ジョーイ「リア様ですが、二時間くらい前に出ていかれましたよ」

セト「え?」

出ていった!?
 ▼ 271 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:03:56 ID:PRZIMdFw [2/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジョーイ「まだ夜も開けない時に…スキュリークを引き取って一人で出ていかれましたねぇ…」

セト「出ていったって……どこに行ったか分かりますか?」

ダメ元だけど聞いてみるぜ!

ジョーイ「まだ外も暗かったですし…それに何も話してくれなかったので分かりませんね」

セト「そうですか……」

まぁスキュリークが無事なだけでも充分有難いけどよ…

いねぇならしゃあねぇ、例の住所はチャットで送るとするか

〜数時間後、コキヒシティ ウエストエリア〜

セト「チッ、まだ既読つかねぇなぁ…」ピッ

話す時はすぐに返事してくるのによ、まさかまーた病んでんのか?

『あんな奴に負けてしまう程度でリーグは開けない…』なんて思ってんだろうな

スキュリークが無事だったならまた鍛え直せば良い話なのによ

……つか強くなくても金とからありゃリーグは開けるんじゃ…いや、アイツチャンピオンになりてぇんだろうな

セト「メシも食ったしもうポケセンに行くか」

疲れたし今日はもう寝て過ごそうぜ…

─────────────

────────

────
 ▼ 272 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:05:16 ID:PRZIMdFw [3/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜翌朝〜

TV『今回我が社の開発した……』

セト「まさか天下のミログルがギャラドス組とグルだなんてよ」

出発する準備をしながらつけていたテレビを見ていると、ミロティックグループが新製品発表の会見をしていた

この新製品もミヤコが言ってたみたいに組から送られたポケモンでテストされて作られてんだろうな

どおりで巨大企業となると黒い噂の一つや二つがあるワケだぜ

それより……

セト「『了解』だけかよ」ハァ…

夜中の間にリアから送られてきた返事はその一言だけだった

大丈夫かよ? とか送ろうと思ったけどやめといた。 だって病んでるヤツって変に刺激すると何しでかすかわかんねぇし……

それにカズラの言う事がホントなら例の住所に住んでるヤツに気合いでも入れてもらえるんじゃねぇか?

コミュ障の俺よりソイツの方がマシだろうしよ

……さて、今日はまたスズイロビレッジに向かうとするか!

前行った時はジムリーダーが留守だったけど、今回はさすがにいるだろ

で、その後はイグサシティでもう一回サイバー団の聞き込み調査だな、前はホテル探しにメガストーン探しやらでロクにできてねぇからな……

ソレが終わったらリンドウシティ、件のミログル本社のある俺の生まれた街だぜ

セト「っしゃあ! 出発だ!」





……と、意気込んだのはいいものの
 ▼ 273 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:06:24 ID:PRZIMdFw [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜スズイロジム〜

────────────────

ちょっと無期限休業

ま、どうせすぐヒマになるだろうしよろしくな!

ラークス
────────────────

セト「……ダーハイ海洋に沈めてやろうかクソリーダー!!」

ジムは相変わらず留守で……(けど俺ジムから声聞こえたぜ!? 間違いねぇ! 居留守すんじゃねぇよ!!)

〜イグサシティ〜

ゴロツキ「おうニイちゃん…金出せや」ゾロゾロ…

セト「アッヤベニゲヨッ」ダダダ!!

そもそも聞き込みなんてできねぇ街だったりで……

セト「とっととよく知ってるリンドウに行っとくべきだったぜ……」

というワケでイグサとリンドウの間の64番道路に来たんだけどよ

さぎょういん「悪いねお兄さん、ここから先は今通行止めなんだ」

セト「通行…止め?」ポカーン

さぎょういん「そう、落石があってね…しかもコイツがなかなかの曲者で全く砕けないんだ」

セト「マジすか…」

オイオイふざけんじゃねぇよ!! ここまで来たのに通行止めって……マジでついてねぇな

……しゃあねぇ、一旦イグサシティに戻ってフェリーで行くか…「危ないッ!!」

作業員のおっちゃんが叫ぶ、なにかと思い振り返ると……

ブロロロロロ!!!!!!

セト「えぇぇぇぇ!!?!??」ギャァァ!!

トラックがこっちに突っ込んで来やがった!!!?!?!
 ▼ 274 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:07:45 ID:PRZIMdFw [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
『危ない』って言われてももう遅ぇよ!!

ふざけんな!! まだ死にたくねぇぞ!!!

ブレーキを踏んでいないのか、アクセル全開で迫るトラック。 セトと作業員、二人とももう終わりだと思ったその時…

ピクシー「キュルピッ!」ポォン…

ピクシーが勝手にボールから飛び出し……

ピクシー「キィヤァッ!」ビシュウ!

『ムーンフォース』で左の前輪を撃ち抜いた

ガガガガ!!!

制御の効かなくなったトラックは二人を間一髪でそれ、横転し落石に衝突した

ガッシャァァン!!!! ……ガラガラ

衝突により落石が砕ける音、二人は九死に一生を得たが……

セト「うおォォォォォ!!……アレ?」ダキッ!

さぎょういん「フミコォォォォ!!……うん?」ダキッ!

セト「……っておっちゃん何俺に抱きついてんだよ気持ち悪りぃ!」バッ!

さぎょういん「それはこっちのセリフだっ! ……ってなんでおれたち生きてるんだ?」バッ!

ピクシー「ピヘェ…」ハァ…

セト「……あっ! …多分俺のピクシーのおかげだな、さすが俺の嫁ポケだぜ!」

さぎょういん「勝手にボールから出てきたんだな、よくできてるじゃねぇか」

さぎょういん「それより……あの岩が砕けてラッキーだ!! 今日は父ちゃん早く家に帰れるぞ!!」ヨシ!

セト「そっちじゃねぇだろ……あの運転手生きてんのか?」

ここから見た感じ運転席は潰れてねぇみたいだけど、他の部分の損傷具合を見た感じじゃ……
 ▼ 275 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:09:57 ID:PRZIMdFw [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
さぎょういん「バイトくーん! ちょっと運転手さん大丈夫か見てきてくれる?」

おっちゃんも自分で見に行けよ……わざわざ若いのに頼らなくても…

バイトくん「うぃーっす…」

ホラ、バイトくんも呆れてるぜ、片方義手なのに大変だなぁ……って義手ゥ!?

何故か既視感のあるバイトくんが横転したトラックに近寄る途中、トラックのドアが勢いよく開いた

怪しい男「誰だッ! うちのトラックボロボロにしてくれた奴は!」バン!

さぎょういん「面倒なのが来たなぁ…」

セト「あぁ…」

つかあのトラック全然ブレーキ踏んでる気がしなかったけどよ……

怪しい男「お前らだな! そのピクシーをけしかけたのは!」

セト「けしかけた? 違ぇよ! コイツはアンタのトラックから俺らを守ろうと勝手に出てきたんだ!」

ピクシー「クピッ!」

怪しい男「お前ピクシーのトレーナーか? ならトレーナーの責任だなあ!!」

怪しい男「このトラックの弁償と俺、会社、そしてお客様への慰謝料をきっちり払ってもらわないとなぁ!」

セト「お客様ァ?」

怪しい男「そうだ! 我々『引っ越しのバクーダ』に引っ越しを頼んだリンドウに引っ越す家族がいてよぉ!」

さぎょういん「ちょっと待て、この道路は終日通行止めだぞ? なのに引っ越し会社のドライバーがなんでそれを知らないんだ?」

確かに……ドライバーとかなら交通情報にはアンテナ張ってるだろ

怪しい男「…っ! く、クソ上司から知らされてなかったんだよ!」

なんだあの反応…怪しいぞ
 ▼ 276 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:11:57 ID:PRZIMdFw [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「つか…アンタブレーキ踏んでねぇだろ! あの走り方俺たちを轢こうとしてるようにしか見えなかったぜ!」

怪しい男「そんな訳ないだろう!! 俺がブレーキを踏んでないと言える証拠はあるのか証拠は!? ああ!?」

すると突然

バイトくん「それはねぇなぁ……カカカッ!」

あの笑い方……絶対ラフェルズじゃねぇか、なんで土方してんだよ?

ラフェルズ「でも別の証拠はあるんだぞ? …カカカカッ!」ニィ…

怪しい男「何だと片腕野郎…!」ギリリ…!

ラフェルズ「片腕呼ばわりすんのはマジで止めろ!!ってか? カカカカ…!」チラッ

あのヤロ…! 俺のマネしやがって…ニヤケんじゃねぇよ!!

ラフェルズ「まっ、それはさておきよ…アソコを目ん玉かっぽじって見な」ビッ!

ラフェルズが指差した先の地面にはタイヤの痕が残っていた

ラフェルズ「あんたがマジで運ちゃんならあの痕跡が何を意味してるかハズだぜぇ? え? どうなんだよ、言っちまいなって」カカカカ…

猫撫で声で笑みを浮かべつつ尋問するラフェルズに対し、男は顔色を変えた

怪しい男「ぶっ、ブレーキをかけて出来たんだろう…」

さぎょういん「嘘付け! あれはどう見ても『全力でアクセルを踏んだ痕跡』だ!」

セト「マジかよ!? テメェ…!」ギロッ!

怪しい男「うぐっ…」グサッ


画像…ラフェルズ
 ▼ 277 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/15 01:13:20 ID:PRZIMdFw [8/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラフェルズ「そうっスよねぇ監督、ブレーキとアクセルの違いも分からないような奴が運ちゃんになれるのかなぁ?」カキキ…!

怪しい男「おのれェ…!」グググ…!

セト「って事はテメェは元々俺たちを轢く為に!」

怪しい男「だまれだまれだまれェ!!」スチャン!

スーパーボール!

怪しい男「ここでお前ら全員始末してやるぅ…!!」ギョロギョロ

ラフェルズ「やっぱ運ちゃんじゃねぇよなぁ! カカッ! じゃあセト、後は頼んだぜぇ!」グッ!

セト「お前も一緒に戦えよ!」

お前強かっただろうが! 美味いとこだけ持ってくんじゃねぇよ!

怪しい男「ごちゃごちゃ五月蝿ぇ…!」

怪しい男「お前にはここで消えてもらうぞセガヤ・セトぉぉぉぉ!!!」

怪しい男が 勝負を しかけてきた!

戦闘! トレーナー
https://soundcloud.com/q5avuwfjq2pq/vs_trainer
 ▼ 278 イレーツ@アイスメモリ 20/05/15 06:44:29 ID:fE1.6ENQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やめずにSS続けてるの本当に凄い尊敬するわ
また最初から読み直してみようかな!支援!
 ▼ 279 ラスル@おさそいメール 20/05/20 19:11:44 ID:c3dYiHmo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 280 テッコツ@やけたきのみ 20/05/20 19:17:23 ID:K9XcamdE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 281 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:06:52 ID:Qnl.sbrM [1/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
なんで俺の名前知ってんだよ! それより…

セト「また頼むぜピクシー!」

ピクシー「ピクッ!」

怪しい男「うらぁっ!」シュッ!

カイロス「がしがしっ!」ポォン

虫タイプのカイロスか…なら『かえんほうしゃ』メインで戦うぜ!

怪しい男「『ハサミギロチン』で処刑しろぉ!」キーッ!

カイロス「ぎししぃ!」ブワァッ!

カイロスがハサミを開きピクシーに向かってダイブする

『ハサミギロチン?』どこかで聞いた事あるけどよ……挟まれなきゃ良い話だろ?

セト「ハサミを掴んでそのまま『かえんほうしゃ』で黒こげにして…!「待った!」

おっちゃん!?

さぎょういん「『ハサミギロチン』は一撃必殺技だ! 掴もうなんて何考えてんだ!?」

セト「えっ!?」

もう遅ぇよおっちゃん!! 今更指示を取り消せねぇよ!!
 ▼ 282 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:07:51 ID:Qnl.sbrM [2/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピクシー「ピイッ…!」スッ…

ピクシーはもう構えてるし、カイロスはもう…!

怪しい男「ひゃーっひゃっひゃっひゃぁあ!! トレーナーがFラン中退ニートで助かったもんよぉぉ!」ヒャッヒャッヒャア!



カイロス「ぎしゃあ!」ガシッ!

うっ…掴めずにカイロスが首元に……ギロチンって事はよ……あ?

ラフェルズ&さぎょういん「ん?」

ピクシー「…ピィ?」アァ?

カイロス「んきしーっ! んきしーっ!」グニグニ

一撃必殺技と聞いたのにピクシーはピンピンしている、確かに首元をカイロスに挟まれはしているが痛みは微塵も感じられない

怪しい男「あぁっ……命中しているのにぃ…! ま、まさかぁ…!」ガクガク…

怪しい男「そのピクシーの方がレベルが上だとぉ!?」ギョロォ!

はん? なんか助かったみてぇだな…なら!

セト「ちょうどいいじゃねぇか! やってやりなピクシー!」バッ!

ピクシー「クルピ!」ガシッ!

ピクシーは首元からハサミを外し、掴んだままのカイロスに『かえんほうしゃ』を浴びせつつ回転し……

よしよし…どこに投げてやろうかな〜ってガソリン臭ぇ!

横転したトラックからはガソリンが漏れ出していた

当然それはセトの目に留まり…

セト「ピクシー! トラックに向かってブン投げてやりな!!」

ピクシー「ピィィ…ヤァッ!」ブゥンッ!

怪しい男「ば、馬鹿なぁっ…!!」

カイロス「ぎががががぁ!」ボワァァ…

火達磨になったカイロスがガソリンの水溜りに投げ入れられ、瞬く間に引火しする

そして炎はくわがたポケモンごとトラックを飲み込んだ

さぎょういん「はっ、いい気味だ」

怪しい男「そんなぁ…くそぉぉ……」シュゥゥン…

どうやら後続のポケモンはいねぇみたいだな、なら
 ▼ 283 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:09:10 ID:Qnl.sbrM [3/23] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セト「オイ、テメェ俺の事知りすぎじゃねぇか?」ジリジリ…

怪しい男「は、はて何の事か……」

セト「とぼけんじゃねぇ、何で見ず知らずのテメェが俺の本名と経歴知ってんだよ!?」ガシッ!

怪しい男「は、放せぇ!! けっ、警察に通報するぞ!!」ジタバタ

セト「人殺そうとしてたヤツがポリ公の手ェ借りるってか!? ああ!?」グイッ!!

怪しい男「うぶっ…殺す気なんて…」

セト「俺を一人殺す分にはまだ良いけどよ! なんでおっちゃんまで巻き込もうとしたんだよ!!」ギィッ!

怪しい男「うぅ…」ジタバタ

セト「アイツだって家族がいんだよ、もしかしたらガキもいるかも知れねぇ…テメェは親を殺されたガキの気持ちが分かんのかよ!?」ブンッ!

怪しい男「ぐぶっ!」ズムッ!

さぎょういん「も、もうおれの事はいいから……そいつが何でお兄さんを狙ってたか聞いた方が良いと思うぞ」

怪しい男「なっ、何を言うんだ! 狙ってなんか…「うるせぇ!」ズドッ!

セト「今度は殴るだけじゃ済まさねぇからな…!」ハァハァ…!

怪しい男「うぅっ!」ビクビク

セト「正直に答えろよ、何でテメェは俺を狙ったんだ!?」

怪しい男「うぐっ……」

セト「どうした…早く答えろよ!!」ゲシッ!

怪しい男「ぎぐっ! ……ぐう!」ギロッ!

セト「なんなんだその目は…! ピクシー! 「ストーップ!」

セト「ラフェルズ?」
 ▼ 284 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:10:06 ID:Qnl.sbrM [4/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ラフェルズ「カカカッ! 吐かせんのが下手だなぁセトは!」

セト「るっせぇなぁ…今それどころじゃ…「胸元探ってみな」

怪しい男「!!」

ラフェルズ「社員手帳かなんかあるハズだぜぇ? プロのヒットマンなら無いかもしれないが……そいつはプロ意識が無さそうだからなぁ」

怪しい男「くっ…!」

ラフェルズ「拷問するなら相手がどんな奴か知らねぇとなぁ…カカカッ!」

拷問って……

セト「だってよ、それじゃあ失礼するぜ」スッ…

怪しい男「や、やめろっ!」ブンブン!

セト「チッ! 暴れんじゃねぇよ!」ゲシッ!

怪しい男「ぐああっ!」ポロッ

胸ポケットから手帳が落ちた……社員手帳だ!

でもあの距離じゃコイツに…

さぎょういん「よっとお、どれどれ…?」

セト「おっちゃん!」

さぎょういん「おれも被害者だからな、加害者がどんな奴か知る権利ぐらいあるだろ」ヘヘ

怪しい男「どいつもこいつも低学歴がぁ…!」グゥゥ…!

さぎょういん「どれどれ、殺人犯様はどんなお仕事してるんだ…?」パラパラ

さぎょういん「…!?」ビクッ!!

おっちゃんが一瞬震えた、どんな仕事してんだ殺人犯サマはよ

セト「何が書いてあったんだよ?」

怪しい男「やめろ…やめろ…」プルプル…

さぎょういん「コイツ……ミロティックグループの部長だぞ!?」

セト「ええっ!?」ギョッ!

怪しい男「クソォ……」ガクッ

全く予想だにしなかった答えだった
 ▼ 285 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:12:20 ID:Qnl.sbrM [5/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
さぎょういん「そのトシで部長なのに何将来潰すようなバカなマネしてんだ!!」

怪しい男「……!」

なんでミログルが俺なんかを? ギャラドス組を追い出したからか?

セト「オイ…! いい加減答えろ、何でミログルのテメェが俺を轢こうとしたんだ!!」

ミログル部長「……し、CEOが…」ウゥ…

セト「CEO? モウセンがどうかしたのか!?」

ミログル部長「この資料の男の口を封じれば更に昇進させてやると…」ペラッ…

セト「……なんだよこれ」ワナワナ

部長から手渡された資料には俺の顔写真、本名、生年月日、経歴などありとあらゆる個人情報が書かれていた

さぎょういん「なっ…履歴書か?」

ラフェルズ「ひでぇ身バレだな」

セト「なんでモウセンは俺を殺せと…!」

ミログル部長「お、俺は詳しい事は知らん! …ただCEOはその男がグループの存在を脅かすと…!」

俺がミログルとギャラドス組の繋がりを知ってるからか?

セト「モウセンは他の社員にもその事を?」

ミログル部長「恐らく…」

セト「クソッ!」ビリッ!

なんてこった…ミログルの社員全員が俺の命を狙ってんのかよ!?

セト「ヤクザの次は巨大企業かよ……」

……こうなりゃやられる前にやるしかねぇ!
 ▼ 286 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:13:18 ID:Qnl.sbrM [6/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「おっちゃん! コイツはポリ公に頼む!」

ミログル部長「ひぇっ!?」

さぎょういん「ああ、けど急にどうしたんだ?」

セト「リンドウに行くんだよ、せっかくここ通れるようになったんだしさっさと行かせてもらうぜ」

さぎょういん「待て! リンドウはミログルの本社があるんだぞ!? そんな所に行けば…」

セト「大丈夫だって、ポケモン達がいてくれるからよ、だよなラフェルズ……って何してんだ?」

ラフェルズは落石の破片をせっせと集めていた

ラフェルズ「あぁ? いやラハッカが『頑丈なボールの素材を探して来い』ってよ、ったく兄貴使いの荒い弟だぜぇ!」カカカッ!

ンなモンが素材になんのかよ……

さぎょういん「それならちったぁ安心だが……せめて社員どもにバレないようにしろよ」

ミログル部長「……」クッ…!

セト「……そうするぜ、じゃあなおっちゃん!ラフェルズ!」

さぎょういん「おう!」

ラフェルズ「じゃーなー」

まさかンな事になるなんてよ……ったくつくづく運のねぇヤツだなぁ……

でも親玉をブッ倒せば万事解決! ……の筈だ!

待ってろよクソ企業……このセト様を殺そうとした罪…ブッ潰して償わせてやるぜ!!
 ▼ 287 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:14:56 ID:Qnl.sbrM [7/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜リンドウシティ〜

コキヒシティに次ぐタイキョク第二の都市、リンドウシティ

人工物で溢れかえる近未来的なコキヒに対し、整備された街路樹に加え、住民の憩いの場であるリンドウ庭園があるなど、自然と調和する都市である

俺も大学に入るまではここで家族と暮らしてた、確か昼間は昼休みのミログル社員がウロついてるから避けた方いいかもな

セト「2時か……ちょっとビミョいな」チラチラ

リンドウに到着したのは2時だった、パッと見社員の姿は通りには無いが…気を付けねぇとな

セト「…にしても相変わらずどこもかしこもミログルまみれだなこの街はよ」

地方都市のリンドウシティは街おこしの為にミロティックグループと提携している

そのせいか街中の至るところでミログルのロゴを目にする。 前はなんとも思わなかったけど、今はなんか監視されてるみたいで気味悪りぃなぁ…

セト「取り敢えずポケセンに行くか…ってヤベッ!」ササッ!

社員だ! 隠れねぇと!

社員♂「ふんふふ〜ん♪」

なんだよ呑気に鼻歌なんか歌いやがって! こちとら…! 待てよ

アイツはまだ俺に気付いてねぇ、しかも一人だ……

背後から襲っていろいろ情報を吐かせてやるぜ!

画像…ミロティックグループ社員
 ▼ 288 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:16:29 ID:Qnl.sbrM [8/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
ひっそりと物陰から出て社員の背後に忍び寄るセト、社員はまだ気付いてないようだ

周りに人もいねぇな……よっしゃ今だ!

セト「オラァッ!」グワッ!

社員♂「うおっ!? は、放せよ!!」ブンブン!

セト「ヘッヘ…ヤダね、それじゃ場所移して……うおっ!」ブワッ!

待ってコイツ力強すぎんだろ!

社員♂「ハァッ! いきなりなんなんだよオマエ!」フゥフゥ

クッソ…! 背後からベッドロックすんのは失敗したけどよ! 俺にはまだコイツらがいるぜ!

セト「動くんじゃねぇぞ!」シュッ!

ピクシー「ッピイ!」ポォン!

社員♂「ぽ、ポケモン!? オマエ僕に何する気なんだ!」ハァ!?

セト「るっせぇ! 俺の言う事に正直に答えりゃ痛ぇ事しないからよ!」

社員♂「はぁっ!?」

セト「まず何でテメェらミログルは俺を狙ってんだ! 答えやがれ!」

やっぱギャラドス組との繋がりを知ってるからか?

社員♂「ね、狙う!? マジでオマエ何言ってんだよ!?」

セト「とぼけんな! テメェらのCEOが俺を殺せって言ったのは知ってるんだぜ!?」

社員♂「CEOが? 全然そんな事聞いてないぞ!」

セト「テメェ…正直に答えねぇとどうなるか分かってんだろうな!?」アァ!?

ピクシー「…ピッ」フン

社員♂「マジで何も知らねぇよ! まず僕新卒の入社一年目だからまだそんなにグループの事は分かんないって!」

セト「ウソつけ! 研修会かなんかで色々教わるだろうが!!」

なお俺は一度も就職した事がないから分かんねぇけどよ
 ▼ 289 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:17:39 ID:Qnl.sbrM [9/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「答えろ!! 俺がギャラドス組とグループの繋がりを知ってるからか!? あぁ!?」

社員♂「だがら僕は何も知らないって言ってんだろ!!」

コイツ…!!

セト「あぁそうかよ! ならちょっと痛い目に合ってもらわねぇとなァ!」

社員♂「ふざけんな!!」ガバッ!

セト「ピクシー! 『ムーンフォー…『へびにらみ』

セト「ヤベッ!」チラッ

マズイ! 誰かに見られ……

???「デュサッ!」ギィィィン

セト「うがっ!?」カチッ!

ピクシー「ピイッ!?」

社員♂「ひぇっ!?」

なんだ!? あのポケモン見たら急に身体が痺れて……

???「流石ねメデュール、馬鹿が相手で助かったわ」

メデュール「シャルル…」

〜図鑑〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

メデュール かいぶつポケモン
毒・エスパータイプ
高さ1.4m
重さ56.5kg
女性のような姿をしており、髪の毛のような触手一本一本に意思が宿っている。全ての触手と顔で妖しく光る二つの目に睨まれるとどんなに獰猛なポケモンでも動けなくなる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

画像…メデュール
 ▼ 290 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:19:59 ID:Qnl.sbrM [10/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「ぐ…ぐ…」

あの女がトレーナーか…!

社員♂「り、リリカさまぁ!」

セト「り、リリカァ?」ググ…

昔どっかで聞いた事が……あっ! 確かここのジムリーダーだった筈!

リリカ「……」スタスタ

冷然と近付いて来る女、つかなんで様付けなんだよ……コイツリリカの信者なのか?

社員♂「たっ! 助けて頂き誠に有難うございます! 僕のような…「時間の無駄よ」

リリカ「さっさと何があったか説明してちょうだい」

社員♂「アッ…そうですね…」

名前だけはリンドウに住んでた時に聞いた事あるけど、こんな毒舌女だったなんてよ

リリカ「……成る程、貴方はもう行きなさい、その社章にはうんざりなの」

社員♂「ハイッ! 失礼しますッ!」ダダダッ!

セト「オイ待てよッ! …ぐう」

身体が痺れて動けねぇ…クソッタレ!

リリカ「彼から話は聞かせて貰ったけど、人を対象にポケモンの技を使うなんてトレーナーの風上にも置けないわ」

セト「……そーかよ、でもアンタだってこの状況に置かれりゃ…ってオイ! 何しやがる!」

リリカはセトが握っていたモンスターボールを取り上げた

リリカ「戻りなさい、ピクシー」ピッ

ピクシー「ピィ?」シュゥゥン…

セト「テメ…何勝手に! …ぐぐ」

リリカ「貴方のようなクズにこき使われるピクシーも可哀想だと思わない?」フッ

セト「ソイツに手ェ出したら女だろうが容赦しねぇぞクソアマが…!」ギッ!

テメェなんかジムリーダーの風上にも置けねぇよ!

画像…リリカ
 ▼ 291 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:21:21 ID:Qnl.sbrM [11/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リリカ「ふふっ、その眼を見た限りまだまともなトレーナーみたいね」

リリカ「良いわ、この子を返して欲しければ明日私のジムに来なさい」

セト「ジムだぁ?」

リリカ「そう。 私の名前はリリカ、この街のジムリーダーを務めているの」

メデュール「デュササ…!」シュルシュル

セト「……そうかよ」

やっぱりな

リリカ「ジムで貴方とバトルして貴方がどんな人間なのか見極める……話はそこからよ」

セト「ハッ! 分かったよ、要はテメェに勝てばピクシーを返してもらえんだろ?」

リリカ「その通り、せいぜい期待しておくわ」

セト「ヘッ!」

嫌味なヤツ…

リリカ「それと一応釘を刺しておくけど…」

ん?

リリカ「私に勝利するまで貴方は危険人物扱い、社長令嬢権限でグループには入れさせないようにするわ」

なっ…ちょっと待てって!

セト「い、今……社長令嬢って…」

リリカ「あら知らなかったのね、私はモウセンの一人娘よ」

セト「ま、マジかよ……」

18年住んでたけど初耳だぜ…

リリカ「私にかかればこの街の警察を動かすのも造作も無いわ、せいぜい変な気を起こさない事ね」

セト「……そーかよ」

それだけ告げるとリリカはメデュールを連れてこの場を去った

ピクシーの為なら明日ジムに行くしかねぇけどよ……ミログルの社長令嬢だぜ? 何があるか分かんねぇよ…

でも社員の制服の社章にはうんざりだって言ってたよな

まさかリリカはグループが嫌い? …って事は社内分裂状態?

……ますます分かんねぇ、アイツは俺を嵌めようとしてんのか、それとも教師面してぇのか

今すぐにも動き出したい気分だが、身体は麻痺して石のように動かなかった
 ▼ 292 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:25:59 ID:Qnl.sbrM [12/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜数時間後、書店〜

セト「……」パラパラ…

セト「ないか…」パサッ

どの週刊誌にもミログルの内部情報は乗ってなかった、ニュースサイトはサイバー団のせいで使い物になんねぇし…

リリカが現在グループ内でどんな立場にいんのか探ろうとしても何も出てこねぇ

因みに変装して本社前に行ったら警備の警察官が立ってやがった、しかも目が合ってよ……あの感じだとバレてたよな

どうやらリリカが警察を動かせんのはマジみてぇだ

明日絶対にジムに行ってアイツに勝たなきゃなんねぇのに、それよりアイツが敵か味方なのか知りたい俺がいる

セト「…このコンタクト度が合ってねぇから記事を見逃した、なんて事ねぇよな……」ハァ…

さすがにいつもの格好じゃヤバいと思ったからメガネもニット帽も外してる。 …泣く泣くパーカーは新しく買ったシャツにした

前買ったダウンは暑いしよ…しゃあねぇよな

その時……

???「あのぅ…」

セト「あん?」クル…

少女「わわっ! す、すみません…」ビビッ!

振り向けばそこには7歳くらいの少女が……怖がらせちまったな…

セト「あぁあぁ悪りぃ悪りぃ……どうしたんだい?」

少女「わわ、わたしオウミって言います!」

セト「お、おう、オウミちゃん…だな?」

今思ったけどこの絵面普通に通報案件だよな…

画像…オウミ
 ▼ 293 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:26:47 ID:Qnl.sbrM [13/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「それで俺に…何の用かな?」

オウミ「この本の…難しい漢字の読みかたを教えてほしいんです」モジモジ

なんだガキの本の漢字だろ? さすがに俺をナメすぎ……ってオイオイ…どんな本読んでんだよ

オウミが手渡した本の題名は『プチトゲチック事件の真相に迫る!』とあった

しかもかなり分厚い……

セト「別にいいけど……この本自体難しくない?」

ネットで見た事あるけど、確かプチトゲチック事件って40年ぐらい前の超闇が深い事件だよな…

それをこんなガキが理解できんのか?

オウミ「わたし探偵小説や未解決事件が好きで……だいたいはわかったんですけど、漢字が読めなくてわからないところがあって…」カーッ!

待てよ、この子ワンチャン俺より頭いいかも……

でも22歳の脳みそがガキに負けてたまるかよ!

セト「なるほどな、いいぜ! 俺に任せな!」ヘヘッ!

いくらぶ厚かろうが俺にかかれば……

──数分後──

セト「…後、容疑者は逃走防止用の鉄亜…すず? りん? を購入し…「あ、そこ…」

オウミ「鉄亜鈴(てつアレイ)って読みます…」

セト「あっ、そ、そうだよな」アセアセ

ヤベェよこの子……
 ▼ 294 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:28:57 ID:Qnl.sbrM [14/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

オウミ「ありがとうございます! おかげでママが来るまで時間をつぶせます!」ペコペコ

セト「へへ…別にいいってモンよ」

この子が読める漢字の方が読めなかったって言ってたヤツよりムズかったってどういう事だよ…

セト「それよりオウミちゃんは偉いなぁ、まだちっせぇのに沢山本読んで」

最近のガキの本離れってのがヤベェらしいな、なんでも親のポケフォンばっか見てるとか……ゲームばっかやってた俺が言える事じゃねぇけどよ

オウミ「そんな事ないですよ!……でもスクールじゃみんな本にはあんまり興味ないなぁ…」

スクールって…トレーナーズスクールに通ってんのかな?

セト「やっぱ今の時代そうなのかね、じゃあ逆に今何が流行ってんだ?」

ガキのトレンド知ったって何にもなんねぇけどな

オウミ「動画…ですね、わたしはあんまり好きじゃないんですけど……」

オウミ「おとなりのコウジなんか『オレもおもしろどーが作りたいぜ!』とか言うぐらい人気なんです……」

時代も変わったモンだな…

オウミ「でも! 最近来た先生はわたしの趣味もわかってくれるんです!」キラキラ

セト「へぇ、良い先生じゃねぇか」

オウミ「そうなんです! モデル並にイケメンだし優しいしバトルもつよい……ファンになりそうです!」キラキラ

今の時代先公もハイスペックなんだな

画像…コウジ
 ▼ 295 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:29:33 ID:Qnl.sbrM [15/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
母親「オウミ? 迎えに来たよ〜」パッ

オウミ「ママ!」

物陰から急に……さすがにヤベェかも…!

母親「あれ? あなたは…」

はい! セト君死亡のお知らせ!

オウミ「ママ、この人はねぇ、難しい漢字の読みかた教えてくれたんだ!」

セト「……!」

ナイスゥゥゥゥ!!!

母親「あらぁ、そうなんですか?」

セト「あっ、はい、読めない漢字があるって言って来たモンで……」アセアセ

母親「ありがとうございます、この子本虫なもので…仕事でウノハナから来てるんですけど、この子も別の街の本屋さんに行きたい! ってついて来ちゃったんです」

オウミ「えへへ…」

セト「ど、どうも…」

母親「お礼と言ってはなんですが、こちらを」スッ

そう言ってオウミの母親が差し出したのはウノハナばりそばの袋麺だった

セト「えっ!? 良いんですか?」

母親「一つ余分に買ってしまって……よかったらどうぞ」ニコ

オウミ「それ、おいしいんですよ」ニコ!

セト「じゃあ有り難く…」

野菜ががっつり入ったのは好きじゃねぇけど、自分で量は調整すりゃいいよな

母親「オウミがご無沙汰しました、これにて失礼します」ニコ

オウミ「ありがとうございました!」ペコッ

そう告げるとオウミ親子は店を出て行った

親子か……
 ▼ 296 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:31:39 ID:Qnl.sbrM [16/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
〜午後7時、リンドウ庭園〜

その後俺はリンドウ庭園のベンチでうなだれていた

普段ならポケセンかどこかに泊まっているのだが、今日は泊まらない事にした

空きが無かったとかいうワケじゃねぇ、ご存知の通りミログルのメイン事業はトレーナーズグッズの開発・製造・販売

当然ポケセンにも影響力はあるワケで……

寝床がないワケじゃないけど、しばらくベンチから動けずにいた

ある疑念が鎖となって俺とベンチを繋いでいる

セト「……」

セドゥーム『…自身の親の事か』

セト「! …なんだよ急に!」

セドゥームからの突然のテレパシー、ビビるからマジでやめろって……

セドゥーム『そんなに嫌なら我をボールから出すがいい、お前とは一度面と向かって話したい』

……なんなんだよ

セト「しゃあねぇな」ヒュッ

セドゥーム「ルムム…」ポォン

改めてセドゥームの姿を目にする。 真黒い毛皮に所々金色の紋様…そして妖しくこちらを見据える赤い目

異邦感漂う神秘的な見た目とは裏腹に筆舌し難い凶暴性を持つが、自らが認めた主には忠誠を尽くすポケモンでもある

セドゥーム『こうして見ると……3年で人間という生物がどれ程様変わりするか分かる』

セト「3年…か」

今から3年前、俺の両親が死んだ
 ▼ 297 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:33:12 ID:Qnl.sbrM [17/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
交通事故だった。対向車線のダンプが突っ込んで来て……車もろとも粉々だったらしい

ダンプの運転手はその後精神鑑定に回されたけど心神喪失が認められて無罪…しかもこの事故は何故かメディアに触れられず、警察もすぐに事故と決めつけた

フリーライターだった親父のヒナゲシ、看護師だったお袋のハナニラ

この二人を同時に失ったと言う事実は19歳の俺に重く、重くのしかかった

だがその事実は受け止められなかった、当然だ。 名前を聞くだけで生き生きと生活している様子が浮かぶ二人がもう動かないのだから

俺は決して親にベタ付いていた人間じゃなかった、けれど二人が亡くなるとともに心を支えていた太い柱が倒壊した

基盤はしっかりしていた筈なのに、横から真っ二つに切断された

ぐらぐらと揺れる天井、気付けば俺はロープで作った輪に首を通していた

だがその時、異変に気付いたセドゥームがロープを灰にした

今はまだその時でない、お前は両親の名を語り、自身の内面に二人を生かす事は出来る。 だがお前が今死ねば誰がお前の名を語る? 誰がお前の実在を語れるのだ?

あの二人が自らの息子の存在が記憶から抹消される事を望む訳がなかろう

その言葉は俺の心に沁みた。 だがその身は逆にモンスターボールを起動させ、セドゥームを吸い込んだボールを部屋の隅に投げ捨てていた

……そしてそのまま蹲った
 ▼ 298 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:34:51 ID:Qnl.sbrM [18/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「……今更許してもらえるなんて思えねぇけどよ…」

セドゥーム『……何だ』

セト「3年間…3年間ずっと閉じ込めてて悪かった!」

セト「お前は俺を助けてくれたのによ……あんまりな仕打ちだよな…」

いつかは出そうと思っていた、だが機会が見つからなかった──いや、ボールから出す機会を作るのをを避けていた

ドクズ野郎が……

セドゥーム『もう良い』

セト「へ?」

セドゥーム『我が種族は主に尽くす……我が幽閉状態にある事がお前にとっての幸福なれば、我は微塵も苦と思わん』

セト「お前……」

セドゥーム『血が命ずるのだ、"この男に尽くせ"と。 理性を持ってしても抑えられぬ物だ……お前にもあるだろう』

セト「……」

セドゥーム『だが我らもただ盲目的に尽くす訳ではない、主の程度が知れればその場で自らの肉とする』

セドゥーム『それでも我がお前に尽くす理由…分かるか?』

セト「お前とピッピが…最初のポケモンだったからか」

セドゥーム『そうだ、我がまだ啓示を受けずデルビルであった頃から…お前は我らを第一に思ってくれていたな』

セト「……!」

ピッピとデルビル。 今ではお互い進化しピクシーとセドゥームだが……彼らは所謂「訳あり」のポケモンだった

俺が2匹に出会ったのは10歳の時だ。 突然親父にポケセンに連れて行かれ、トレーナーズカードを発行させられた直後に手渡された

旅にこそ出せれなかったが、コイツらと一緒に楽しい事、嬉しい事、辛い事や苦しい事も乗り越えて立派な男になってくれや

普段はチャラい親父が期待に満たした眼差しで2匹のボールを渡した事を鮮明に覚えている

あんましダチのいなかった俺はいつも2匹と一緒にいた、家の中ではボールに入れた事がないほどに

一緒にプロのパフォーマーのヘタクソな真似をしたり…ゲームのプレイヤーが人間vsポケモンだったり…

みんな純粋だったから細かい事は気にせずとにかく楽しみに楽しんだ
 ▼ 299 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:36:02 ID:Qnl.sbrM [19/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
俺が17の時、2匹とも進化した。 お袋から貰ったつきのいし、親父から貰ったふるびたアンクを使ってな

同時に親父から2匹の真実が語られた

知人から貰ったと言っていたが、実は育て屋付近に捨てられていたらしい

デルビルに至っては丁度捨てられる所だったらしく、親父がトレーナーに問い詰めた所、「こんなに言う事を聞かないポケモンだとは思っていなかった」と言う返事が返ってきたらしい

事実その頃は捨てられたポケモンが社会問題になっていた

「食費がかかる」「進化したら手に負えなくなった」「自分の言う事を聞かない」などの理由で不当に捨てられたポケモンが当時大量にいた

ポケモンを単なる愛玩動物としか思っていない無責任な人々により生態系が崩れかけていたのだ

それを許せなかった親父は元々捨てられていたピッピに加え、デルビルを引き取った

2匹とも俺に出会う前に辛い経験をしてきたのだった

セト「……当然だろ、トレーナーならよ」

セドゥーム『フフッ…当然か』

セト「そうに決まってんだろ! 逆に俺はお前の前のトレーナーが人間だと思えねぇよ」

セドゥーム『それもそうだな……お前のそういう所が我を惹きつける』

しばらくの沈黙の後、夜空の月を見上げるセドゥームからテレパシーが送られた

セドゥーム『とうの昔に我は許している……お前も気にせず我をバトルに使うが良い』

セト「お前…」

心の奥底にへばりついていたガムのような罪悪感が取れた気がした

しかしセドゥームは続ける

セドゥーム『我はお前の過去の過ちを蒸し返す為に出て来た訳では無い』

セドゥーム『お前の親について…特に父親について引っかかる節があるからだ』

罪悪感は消えた。確かに消えた、しかし疑念の鎖に繋がれていた事を同時に思い出させた
 ▼ 300 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:37:11 ID:Qnl.sbrM [20/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「ああ…俺にもある、つか俺ソレで悩んでたんだよ!」

きっかけはカズラだ

アイツはやたらと俺を苗字呼びして来た、ソレだけじゃなく

セト「なんでカズラは『お前とわし、ギャラドスとストリンダーどっちが強いかケリをつける』なんて言ってたんだよ?」

あそこにいたポケモンはメガギャラドスTにメガピクシー、どう見たってメガピクシーとストリンダーを見間違えるなんてねぇ筈だ

でも実はストリンダーと聞くと心当たりがある……

セト「親父はストリンダーのトレーナーだ、しかも苗字も当然セガヤでよ」

セト「それにカズラはよく兄弟兄弟言ってやがった、まさかよ……」

俺の親父はかつて……ンなワケねぇだろ!

セドゥーム『…セト、家族で海やプールに行った事はあるか?』

確かに家族では行った事ねぇな…

セト「ねぇな……行っててもダチと一緒に行ったぐらいで家族では行ってねぇ」

セドゥーム『温泉旅行にも行った事がないだろう、では…「ちょっと待てよ」

セト「温泉で思い出したけどよ、俺一度も親父と風呂入った事ねぇんだよ、ちっちゃい頃も!」

そう言えば着替えるところも裸も見た事ねぇんだよな……そんなに家族に恥ずかしがるモンか?

セドゥーム『ほう、ではお前は父親の背中を見た事があるか?』

セト「背中…裸も見た事がねぇからそりゃ……ってオイ! まさか背中って…」

カズラ『皆背中に四抗を背負っとった……その中でもおどれはカァン・レツ背負っとった男によう似とるわ……』

カズラの言葉が不穏さを一気に増して脳内を駆ける

カズラの四人兄弟……四抗の刺青……

セドゥーム『ここにはまだ実家があろう、その目で全てを確かめ…「あれぇ? セト君?」

セト「アヤメッ!?」ギョッ!
 ▼ 301 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:39:29 ID:Qnl.sbrM [21/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アヤメ「きっ…急に驚かないでよ…」ムッ…

セドゥーム「ムググゥ…」ハァ…

いつの間にか目の前にアヤメが立っていた

いや普通ンな時にいきなり名前呼ばれりゃ誰だってビビるわ!

しかもアヤメの本当の親は……このタイミングでかよ

アヤメ「それよりここにいるって事は…」

アヤメ「遂に倒したんだね、ギャラドス組」

セト「おう、アイツらももう変な事はしないってよ」

アヤメ「それなら良かったぁ…ポケモン達も大丈夫?」

セドゥームに物珍しい視線を向けるアヤメ、まぁコイツも有名なポケモンじゃねぇからな

セト「おう、ピンピンしてやがるぜ」

一匹絶賛没収中なんだけどよ!

アヤメ「リア君も大丈夫かな?」

うわっ…来ちまったか……リアには悪りぃがアヤメをまた心配させたくねぇしな……

セト「お、おぅ! アイツなんか勝てたのが嬉しくて飛び跳ねてやがったぜ!」

絶対アイツはそんな事しねぇよ!

アヤメ「それなら一件落着だね、それと…」

アヤメ「無事に戻って来てくれてありがとう」

セト「お、おう…」ヘヘ…

何やってんだセト! テメェはポケモナーだろうが!

……でもなんか恥ずかしいっつうか…嬉しいような…へへ

頬っぺたが真っ赤になる前に!

セト「つ、つかなんでアヤメがここにいんだよ?」

アヤメ「私? 私はジムに挑戦しに来たんだけど、やっぱりこの時間じゃ空いてないみたい」テヘヘ…

両手の紙袋が昼間何をしていたかを物語っている
 ▼ 302 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:41:39 ID:Qnl.sbrM [22/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アヤメ「それと思い切ってイメチェンしたね、似合っ…てるよ!」

セト「なんなんだよその謎の間は…」ゲェ…

さすがセト様の壊滅的ファッションセンスだな

セト「それより早くポケセン行った方が良いんじゃねぇか? 早くしねぇと予約満杯になっちまうぜ?」

つか普段この時間だともう手遅れなんだけどよ

アヤメ「もう全部屋空いてなかったよ、それだから泊まれる所探してたワケ」

セト「で、その最中に俺を見つけたと」

アヤメ「その通り! ところでセト君はどこに泊まるの? まさか…」ジィッ…

セト「公園に泊まるワケねぇだろ!」

一応寝袋はあるけどよ…

セト「俺ここの出身でさ、実家があるからソコに泊まる事にするよ」

実家つっても今は誰も住んでねぇけどな

アヤメ「へぇ〜、リンドウ出身だったんだぁ……ところでさ、コキヒで私の家に泊まった事覚えてる?」ニイッ…

確か俺が泊まる所ねぇからアヤメん家に泊めてもらって……あ!

セト「そう言う事かよ……しゃあねぇな、借りは返してやるよ」

アヤメ「やったー! セト君の実家、どんな感じか気になるな〜!」

セドゥーム『良いのか? もしも父親が本当にカズラの兄弟分だったとしたら、この娘の件にも……』

セドゥームからのテレパシー、当然今の状況で口答えなんかできねぇから「そんなのアヤメが寝た後にやるよ!」という思いを込めた視線を送った
 ▼ 303 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/05/23 01:42:24 ID:Qnl.sbrM [23/23] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「あんまし期待すんなよ……それじゃあついて来な」

アヤメ「はーい!」ワクワク

当然アヤメをこのミログル騒動に巻き込むワケにはいかねぇ、そして親父の部屋から何が出て来たとしても出生の真実を知られないようにしねぇと……

俺もハラをくくらなきゃなんねぇ……親父が何者なのか、どんな真実でも受け入れるようにな

それと一つ、親父で思い出したんだけどよ

事故の後、警察が親父のノーパソを証拠として押収していった……

確かに親父はノーパソで記事を書いてた。 でもそれがなんで事故の証拠になるんだよ?

不意にリリカの言葉が頭をよぎる

『私にかかればこの街の警察を動かすのも造作も無いわ』

事故が起きたのはリンドウシティだった
 ▼ 304 ャラコ@マグマブースター 20/05/25 22:41:57 ID:altc0boo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 305 オリッポ@マメかん 20/05/30 21:17:23 ID:aYr2uQwM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 306 ガジュペッタ@もうどくプレート 20/06/03 16:22:06 ID:0hg69ogc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 307 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/08 23:56:38 ID:RfS.mYkc [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜セガヤ邸〜

アヤメ「おじゃましまーす!」

セト「どうも…」パチパチ

この家に電気がついたのいつぶりだろうな…

アヤメ「私達の他に誰もいないみたいだけど…家族は?」キョトン

セト「交通事故で死んじまったよ」

その一言で浮かれ気味だったアヤメの表情が変わった

アヤメ「……ゴメンね、何も知らないで…「いや、大丈夫だ」

セト「ソレよりゆっくりしな、風呂とかも勝手に使っていいぜ」

アヤメ「う…うん! ありがとね」

なんつーか……複雑な気分だな

〜リビング〜

TV『…で行われたパレードで……』ピッ!

アヤメ「はぁ…物騒なニュースばっかり…やになっちゃうね」

セト「ま、まぁな…」ズズ…

アヤメ「え!? まだ食べてたの!?」

セト「な…なんか悪りぃかよ」ヘン!

今俺が食ってんのはオウミママから頂いたウノハナばりそばなんだけどよ……
 ▼ 308 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/08 23:57:43 ID:RfS.mYkc [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
──数十分前──

アヤメ「あれ? それウノハナばりそばじゃない?」

セト「ん? ああ、なんか親切な人にもらってよ」ガササ

アヤメ「良かったじゃん! それなら今日食べようよ! セト君がお風呂入ってる間私作るからさ!」

セト「別にいいけどよ……お前に任せて大丈夫だよな?」

例のパスタが頭をよぎる

アヤメ「何言ってるの! 袋麺でしょ? 大丈夫だって!」

セト「じゃあ…頼んだぜ」

まぁ袋麺なんざ誰が作っても変わらねぇ、今回は大丈夫だろ

そう思って風呂から上がった俺の目に飛び込んで来たのは…

アヤメ「ジャーン! アヤメ特製野菜メガ盛りウノハナばりそばだよ!」ドーン!

メガ盛りの名に恥じずそびえ立つ野菜の壁、最早この下に麺があるとは思えない程だ

セト「オイオイちょっと待てよ! 今度はそういう路線か!?」

アヤメ「何も変じゃないでしょ? ヘルシーで美容にも健康にも良いんだから!」エッヘン

俺そんなに野菜食えねぇよ……

────────────

───────

───

アヤメ「別にいいけど…残さないでね?」

セト「はい…」ズズ…

苦行だぜ…ホラ! アイツらよりも遅ぇしよ……

クチート「ちゃっひゃっひゃ!(アイツまだ食ってんのかよ!)」ゲラゲラ

オヴィナイト「ナヴァ…(野菜嫌いなのがアヤメさんにバレちゃいますね…)」

オヴィナイト「ルヴァルヴィ…(それよりクチートさん、アブリボンさん見てくださいよ…)」

ニューラ「にゅらぁ…(すごい傷…ワイルドね…)」サワサワ

トゲチック「ドゲゲェ(ギャップ萌えしちゃいますよぉ〜)」キャッキャ

アブリボン「りぃぶりりりぃ〜♪(いやぁ〜カワイイ娘に囲まれてボク照れちゃうよ)」デレデレ

クチート「ちちゃ…(下心丸出しじゃねぇか……なんかあのオッさんがいねぇと締まんないな)」
 ▼ 309 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/08 23:58:42 ID:RfS.mYkc [3/3] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
オヴィナイト「オヴォッ!?(オッさんって……でもピクシーさんがいないとなんだかアレですね)」

クチート「くちくりぃ…(でも俺にはベビくんが…「ムグル…(待て)」

クチート「ちやぁっ! りりぃ…!(なんだよジジイ! 良いとこに割り込みやがって…!)」

セドゥーム「ルググ…(あのモンメンは何処だ)」

オヴィナイト「ナヴァリ(確かに…前クチートさんと戦った彼女がいませんね)」キョロキョロ

クチート「ちゃーば…(あんなアバズレどうなったって構やしねぇよ)」ヘン!

一方セトは……

セト「ハァ……ホラ、食ったぜ…」ゲェ…

アヤメ「ありがとう! これでセト君もピッチピチの美肌だね!」

セト「お、おう…」

今度コイツと飯食う時は買うか俺が作らねぇとな……

アヤメ「あ! それとちょっと思ったんだけど…」

セト「どうしたんだよ?」

アヤメ「セト君がピクシーを貸した人ってどんな人なの?」

セト「あっ…」

ヤベェ…ピクシーがいない事の言い訳に「知り合いに『電球を変えるからサイコパワーが使えるポケモンを貸してくれ』って言われた」って言っちまったからな……

ウソだってバレねぇようにしねぇと…

セト「あ、ああ。 俺のダチでよ、ミリオタ野郎だぜ」

すまんダキバ!

アヤメ「へぇ〜そうなんだ、でも今時電球って…

まずい! ボロが出る前に別の話題にすり替えるぞ!
 ▼ 310 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:00:32 ID:xaawfenM [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「ああ…そ、それよりよ、その二匹もう進化したんだな」アセアセ

アヤメ「うん? そーだけど……ま、いっか! おいでマリルリ! カラカレナ!」

マリルリ「るっりり!」デンデン!

カラカレナ♀「キャララ」スタスタ

カラカレナ…あのスニャンコが進化したんだな

カラカレナ♀「カルル…」

メス特有の高貴な白い姿に魅了されちまうぜ…!

〜図鑑〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

カラカレナ さじんポケモン
♂地面・悪タイプ
♀地面・エスパータイプ
高さ1.2m
重さ34.0kg
オスは全体的に黒く、メスは白っぽい。オスは敵の周りに砂嵐を起こし、視界を奪ってから襲う戦法を好む。メスは比較的穏やかで、常に縄張りに砂嵐で結界のようなものを作っている。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

アヤメ「あの時ギャラドス組のチンピラに負けてたでしょ? あの後みんなでトレーニングしたの」

アヤメ「そしたらいつの間にか二匹とも進化してたんだよね」ナデナデ

マリルリ「りっるりぃ!」ピョコピョコ

あの時のルリリももうこんなになっちまったのか、早ぇなぁ…

セト「凄ぇな、俺らそんな真面目なトレーニングした事ねぇしよ…」

アイツらやろうつってもサボったり手抜いたりするからな……ったく誰に似たんだよ

そう思いながら視線をポケモン達に向けた時に気付いた

セト「あれ? なぁ、モンメンどうしたんだよ?」

アヤメのモンメンの姿が見当たらないんだ

アヤメ「あっ! …モンメンはね、今ちょっと預けてるんだ」

セト「なんかあったのかよ?」

アヤメ「トレーニングを手伝ってくれた人の所に……わ、私お風呂入るね!」ガタッ

セト「あっ…」

アヤメはそそくさとリビングを出て行ってしまった

まぁ…お互いサマだよな

1…カラカレナ♂
2…同種♀
 ▼ 311 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:01:34 ID:xaawfenM [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
──1:16──

アヤメ「それじゃ私もう寝るね、明日はジムいっしょにがんばろ! おやすみ!」

セト「おやすみ」

しばらくすると階段を上る足音が聞こえた。 ……やっとだな

正直怖くもある。 でもどんな事実が出て来たって俺が過去を変える事は出来ねぇ、出来んのはそれを受け入れる覚悟をする事だけだ

セト「……親父」ボソリ

親父の書斎のドアの前でつぶやく。 ……覚悟は出来てる。 真実がどうであれ、俺がアンタの息子って事は変わらねぇ

ドアノブを回した

〜書斎〜

ここに来たのはいつぶりだろう、もう忘れちまった

壁に掛けられたエレキギターも、棚に並ぶ埃を被ったプラモデルも全て初めて見たかのように感じる

セト「……まずは机の引き出しからだな」ガラッ

1段目、ニッパーにヤスリ…セメント…こりゃプラモキットだな

セドゥーム『始めたか』スタスタ

セト「おま…! 起きてたのかよ」ビクッ!

ビビらせやがって……

セドゥーム『当然だ、それより我に構わず続けるが良い』

セト「わかったよ…あ?」ガラッ

2段目、あれ? なんで辞書で万パンなんだ?

セト「しかもこの辞書……俺のじゃねぇか!」

全部俺が中学か高校の時に使ってた辞書じゃねぇか、親父はこんなモン集めて何してたんだ?
 ▼ 312 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:02:35 ID:xaawfenM [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セドゥーム『全て取り出してみろ』

セト「おう、なんか挟まってるかもな」

なんと予想は的中、薄いアルバムが辞書の隙間から出てきた

セト「なんだこのアルバム?」ペラッ

100均とかで売ってそうなクリアの薄いアルバムにはポケモンの写真が入っていた

セト「サーナイト、またサーナイトか…親父のストリンダーの写真ねぇかなって……オイオイオイオイオイ!!!」

こ、こっから先の写真がヤベェ!

セドゥーム『どうした? ……ハァ…血は受け継がれるものだな』

お、俺の好みじゃねぇけど……親父もポケモナーだったのかよ!?

セドゥーム『シンオウに伝わる伝承で人とポケモンが結婚した話を耳にした事があるが……まさかお前に完全な憑依ができるのは…』

セト「ンなワケねぇ! ……よな?」

ひとと けっこんした ポケモンがいた
ポケモンと けっこんした ひとがいた
むかしは ひとも ポケモンも
おなじだったから ふつうのことだった

──ミオとしょかん、シンオウむかしばなしより引用
 ▼ 313 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:03:57 ID:xaawfenM [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「…それより3段目開けるぞ! …日記?」ガラッ

最後の引き出しには『日記 23』と記された日記があった

セドゥーム『興味深いな、読んでみろ』

セト「おう」ペラッ

20XX年 3月12日─────────
セトが置いてったゲームをやってみたけど全然分からん……もしかしてボタンの配置変わってる?
────────────────

セト「当たりだよ、デフォじゃ押しっぱにすんのムズイからな」

しかも普通の持ち方じゃあんまり…

セドゥーム『脱線するな』

セト「お、おう、悪りぃな…」ペラ

20XX年 4月4日──────────
なんとかアポが取れた、5月の頭に取材できるみたいだな
────────────────

取材…どこに行ったんだ? 取り敢えず5月の頭を見てみるか……

前にも言ったけど親父はフリーライターをしていた。 まぁ大体家にいたけどよ……

仕事柄、恨みを買う事もあると言っていた。 もしあの事故がただの事故じゃなければ犯人の動機は……

そう思っているうちに、とあるページが目に留まった

20XX年 5月2日──────────
間違いない、モウセンとマルバの親父は同一人物だ。

どれだけ整形外科が進歩しようがあの眼だけは変えられないみたいだな
────────────────

セト「モウセン?」

そして同一人物とされる『マルバの親父』、その正体を探る為にページをめくるが……

次のページからは白紙だった
 ▼ 314 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:06:23 ID:xaawfenM [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セドゥーム『…ヒナゲシは生前ミロティックグループに取材していたようだな』

セト「って事はあの事故は……」

セドゥーム『事故を装い始末された可能性が高い。 恐らくグループにとってよっぽど知られたくない情報を掴んでしまったのだろう』

セト「クソッ!」バンッ!

胸糞悪りぃ……もう俺はミログルを潰すだけじゃ満足できねぇかもしんねぇ!

セドゥーム『気持ちは分かる……だが今はもっとすべき事があるのではないか?』

セト「すべき事…」

『マルバの親父』、謎に満ちた単語が怒りを鎮める

セドゥーム『これが23冊目なら更に古い日記もあるだろう、探すぞ』

それからが長かった。 なんせノーヒントで他人に見られたくないであろう物を探すのだから。 それに…

セト「ん? お、アンプじゃねぇか、動くかな…?」

セト「ヒィェイ! 全然使えるじゃねぇか!」ギュウゥゥン!

セドゥーム『久々に聴くな、だが今は…」

セト「あっ…」

深夜テンションで親父のギターを弾いてみたりしているうちに時間は過ぎて行ったが……

セト「ん! あったぞ!」ガラッ

22冊の日記を遂に見つけた。 鍵付きの引き出しに入れてるなんてありがちだけど厳重だなぁ…

セト「取り敢えず最初から読んでみるか」パララッ

20XX年5月10日──────────
オレもこっちの世界に入ってそろそろ数ヶ月だ、慣れてきた頃だし今日から日記をつけてみるか!
三日ボウズにならなきゃいいけどな(笑)
────────────────

年数からして親父が17ぐらいの頃に書いた日記だ、つかこっちの世界って何だよ…ヤな予感しかしねぇ
 ▼ 315 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:07:47 ID:xaawfenM [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
覚悟はしているが、こうも予想に近づかれるとやはり不安に感じる

…次のページをめくろう

20XX年5月18日──────────
8日もほったらかしてた!(笑)
流石飽き性のヒナゲシくん! 自分でも自慢したくなっちまいそうだ!
────────────────

セドゥーム『こうしてみるとやはり親子だな』

セト「るせーよ…」

変な所遺伝しちまったモンだな…

20XX年5月19日──────────
知り合いに聞いたんだけどうちの親父はとんでもなく優しいらしい。
他ン所はメチャクチャだとか……確かに誰にでも君付けだし失礼だけどあんまし上司って感じしねぇもんな
────────────────

セト「出た! 『親父』だ…」

セドゥーム『"マルバの親父"…モウセンと同一人物とされている男だが…』

セト「しかも『上司って感じじゃない』って事はよ……」

俺は少し身震いした。 上司を親父と呼ぶ仕事となると相当限られる

外れてほしい予想にますます日記が近づいていく中、とあるページで俺の指が凍った

20XX年7月7日──────────
同じ虹鱗会のカズラと兄弟の盃を…

パタン

セドゥーム『どうした? 急に閉じた所為であまり見えなかったが…「少し…」

セト「一人にさせてくんねぇか?」

セドゥーム『…ああ』シュゥゥン…

セドゥームは理解したのか何も口答えせずにボールに入った

セト「……」プルプル…

セト「チクショオォォォ!!!」

心しか介していない言葉が書斎に響く
 ▼ 316 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:08:43 ID:xaawfenM [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
こうなる事はなんとなく感じてた……でも!

カズラ『わしにはかつて盃を交わした三人の兄弟分がおった』

その中に俺の親父がいるワケねぇ!

カズラ『皆背中に四抗を背負っとった……その中でもおどれはカァン・レツ背負っとった男によう似とるわ……』

お、親父が墨なんか…!

20XX年7月7日──────────
同じ虹鱗会のカズラと兄弟の盃を交わした。 アイツはタメのクセに頑固で古臭くて流行にもノれてねぇ、けれどオレの背中を任せられる唯一無二の最高の兄弟だ!
オレの背中のレツもアイツのオウを見て生き生きしてる気がするぜ!
────────────────

セト「なんでこう…全部悪りぃ方向に行っちまうんだよ!!」

『親父はかつてヤクザだったのか?』カズラと戦った時に生まれた疑念はこうして晴れた

親父は本当にヤクザだった、その真実がどれだけ嫌でもどう足掻いたって変えられないのが腹立たしい

今楽になる方法はこの残酷な事実を受け入れる事のみだ

……今すぐ出来るワケがない。 俺のメンタルはそんなに強くできてるワケじゃねぇんだ

……でも逃げちゃダメだ

今すぐには受け入れられなくても、いつか受け入れられるようになったらいい。 けど真実から目を背けるのはダメだ

そう決心し、再び日記のページをめくる
 ▼ 317 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:10:14 ID:xaawfenM [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
内容の殆どはその日にあった事を書き連ねていたが、やはり重要な事実も書き込まれていた

20XX年12月6日──────────
どういうワケか知らないが、砂豹会本家会長の次男、シンスさんが虹鱗会に入門してきた。 親父はオレとカズラで支えなさいと言ってたけどよ……なんで虹鱗会に?
────────────────

セト「このシンスって人がアヤメの実の父親なんだな…」

俺の親父はボンボンの世話係だったのかよ…

その後はシンスの世話に奮闘する親父とカズラの姿が見受けられたが、徐々に三人の仲も良くなっていってるみたいだった

しかし突然転機が訪れた

セト「! コレって…」

そのページの内容はマルバが四人兄弟になる事を提案し、これを呑んで改めて四人兄弟になった。 と言ったものだったが、問題は挟まっていた一枚の写真だった

写真には四人の男がポケモンと共に写っている

左端には恥ずかしながらもギャラドスと共に写る若き日のカズラ

その隣でカズラと桃髪の男の肩に腕を回すノリノリの親父とストリンダー

続いて親父に肩を回されてるカラカレナ♂を連れた男

桃色のセミロングに誰かを思い出させるような水色の瞳。 童顔がコンプレックスなのか、首にはチェーンで繋がれたサングラスが

きっとこの男がシンスなんだろう、アヤメの父親と言われても違和感がない

そして右端にいるミロカロスを連れたいかにもインテリヤクザ風の男

消去法でこの男がマルバという事になるが、同時にもう一つの事が分かった

セト「モウセン…っと」ピピピッ

ポケフォンでモウセンの顔を確認し、写真のマルバと照らし合わせると……
 ▼ 318 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/09 00:11:10 ID:xaawfenM [9/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「似て……うん?」

パッと見はあまり似てはいないのだが、日記の通り眼だけは同一人物かというほど雰囲気がそっくりだ

それに紫色の髪も、本当にモウセンだとしたら娘であるリリカとおんなじだ

仮に親父がミログルに消されたのだとしたら、当然ミログルには隠蔽したい何かがあった……

日記の通りマルバ=モウセンならモウセンは絶対に過去を隠蔽したい筈、ヤクザであった証拠を消し去りたいに決まってる

当然親父はその事実を知る一人の証人。消されてもおかしくはないが……

モウセンはどうやって部下に気付かれずにヤクザからCEOに転身したんだ?

隠居して? でもなんでヤクザをやめる必要が……

それに親父を始末したのもわざわざ取材しに来てからなんだ?

普通は変な疑惑持たれないように起業前にすると思うんだけどよ……

悩みに悩みながら写真を睨みつけていると……

アヤメ「あ、セト君まだ起きてたんだ」コスコス…

アヤメが目をこすりながら入口に立っていた

セト「あっ…」ヒラッ…

カズラ『間違うても出生の真実を彼女に教えたらいけん。 あの子をこっちの世界に関わらせたくないからの』

あまりの驚きに手から写真が滑り落ちる。 そしてそのまま真実はアヤメの足元へ……

アヤメ「これ……誰?」ピラッ

アヤメの視線は間違いなくシンスに向いていた
 ▼ 319 グマラシ@びっくりこやし 20/06/14 13:18:37 ID:l1mEqA3I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 320 ノマダム@プラズマカード 20/06/20 00:14:06 ID:F/gYPSO2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シエンネ
 ▼ 321 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/20 00:23:48 ID:tbsILUxk [1/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
セト「あ、ああ……親父の遺品整理してたら出てきてよ、親父のダチらしいぜ」

アヤメ「そうなんだ……でもカズラさんがいるのはなんでなの?」

セト「そ、そりゃあ……」アセアセ…

ヤベェ……そう言やアヤメもカズラの顔は知ってるもんな…

セト「俺の親父ってなんか…若い時にヤンチャしてたみたいでさ、ホラカズラの隣の! チャラそうだろ?」

紫のジャケットに黄色と水色に染めた長髪、ヤクザっつうかただのDQNみてぇだな

アヤメ「そうだけど……私が一番気になってるのはその右の人」

シンスだ

セト「ソイツがどうかしたのか?」

単純にカッコいい! とかならどれだけ有難いことか…!
 ▼ 322 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/20 00:24:33 ID:tbsILUxk [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
アヤメ「私の両親ってね、全く私と似てないの」

アヤメ「見た目もそうだし性格や趣味も…親子って似てる所があるって言うじゃない?」

セト「おう…」

アヤメ「でも私の場合全然似てなくて……まるで赤の他人と暮らしてるみたいだったの」

アヤメ「だから何回もぶつかったりして……今じゃ同じ街に住んでるのに一人暮らしするくらいに」

セト「そうだったんだな…」

アヤメ「もうそこまで来ちゃったら自分が何者かもわかんないくらいで……」

アヤメ「私って本当にあの人達の子供なのかなって思っちゃったんだ」

アヤメ「DNA鑑定なんかすれば一発でわかっちゃうんだけど、それはなんだか……」

アヤメ「それにわかるとしても本当の生みの親に会いたいなって」

セト「まさか旅に出たのって…」

アヤメ「ちょっとはそれも…あるかな、ほんのちょっとだけど」

言えない……

いくら言いたくても言えない、お前が指差してるその男がお前の実の父親だなんてよ!

アヤメ「けどこの人にね…不思議な親近感を感じるの」

アヤメ「あはは……なんでだろね、ただ目と髪の色がおんなじだってだけなのに」

アヤメ「どこか懐かしいな」フフ…

セト「……!」クゥッ…!

その微笑は豪腕で俺の心を揺さぶる
 ▼ 323 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/20 00:25:19 ID:tbsILUxk [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
真実を追い求めるアヤメにここで全ての真実を知ってもらいたい、だが世の中には知らない方が良い事もある……究極のジレンマだ

汗がもみあげを湿らせ、頰をつたる…視線はアヤメの指から足元へと移っていた

アヤメ「……ありがとう、返すねコレ」スッ…

アヤメが写真を手渡す、もう堪え切れなかった

セト「アヤメ!」

アヤメ「ひぇっ!? …い、いきなり大声だしてどうしたの?」

本当に伝えて良いのか? 後戻りは出来ねぇぞ!

セト「今から俺が言う事を聞いちまったら後悔するかもしんねぇ……それでも良いのか?」

アヤメ「な、なんのこと──……大丈夫だよ、きっと」

途中からアヤメの表情が変わった、驚愕から覚悟へ──もう伝える他にない

もし変な事に巻き込まれたら俺が絶対守ってやる…それがカズラとの約束でもあり、俺なりの責任の取り方だ

セト「わかった、なら言うぜ…」

セト「さっき指差してた人…その人がアヤメ、お前の本当の父親…シンスだ」

アヤメ「……」

書斎が静寂に包まれる、破裂してしまいそうな俺に写真を茫然と見つめるアヤメ

沈黙を破ったのはアヤメの口だった

アヤメ「誰から…聞いたの?」

口のみを機械のように動かす、どうやら視界には自らの父親だと告げられた男しか入っていないらしい
 ▼ 324 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/20 00:26:34 ID:tbsILUxk [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「カズラから…アイツに勝った後、教えられた」

アヤメ「どんな人だったか言ってた?」

カズラ達と一緒に写っている写真でおおよそ予想できてるかもしれねぇが……

セト「…シンスさんは極道だった、しかも巨大組織の会長の次男……それでもその写真みたく下っ端たちにも優しく接してたらしいって…」

アヤメ「……やっぱりそうだったんだね」

セト「へ?」

そんな…俺だってああなったのに…アヤメはすんなり…

アヤメ「実は気付いてたんだ、ギャラドス組の人たちが影から見守ってくれてるの」

カズラの言葉が蘇る

カズラ『……それ以降はわしらギャラドス組が彼女を影ながら見守っとった。 何しろあの若の一人娘じゃ、わしも若に受けた恩を返そうと思っての』

アヤメ「だから私にはその筋の人たちと何か関係があるのかなって薄々思ってたんだ」

アヤメ「だからある程度予想はできてたの」

セト「そうだったのか……」

自分とは全く違う反応を前に少し狼狽える

アヤメ「……それでさ、今お父さんがどこにいるかとかって…カズラさん言ってたかな?」

……もうここまで話したんだ、隠し通すワケにもいかないし、ウソをついたらアヤメやシンスさんに失礼どころの話じゃねぇ

真実を教えねぇと
 ▼ 325 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/20 00:27:25 ID:tbsILUxk [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
セト「残念だけどよ……シンスさんはお前が生まれたすぐ後に跡目争いに巻き込まれて……」

セト「殺された」

アヤメ「!」

目を見開き、口を半開きにした状態でフリーズするアヤメ。 俺は見ていられなかった

セト「すまねぇ!! 誰だって知りたくねぇ事はある筈だ!! それを気にせずに俺はッ……「セト君は…」

アヤメ「セト君は…なんにも悪くない」

セト「え?」

アヤメ「セト君は本当のことを教えてくれただけ、悪いのはお父さんを殺した奴らだよ…!」

アヤメの涙袋は既にキャパオーバーだった

アヤメ「ねぇ、その持ってるの日記でしょ? 私にも見せてほしいな…」

セト「コレを…?」

まだこの先は読んでねぇけど、カズラが言ってた事が本当ならアヤメの母親についても書かれてるかもしんねぇ……

父親の死後に金を持ち逃げした母親の事なんざ知っちまったら……

アヤメ「どんなに残酷で不条理な真実が書かれてても大丈夫、覚悟は出来てるから。 それに…」

アヤメ「本当の父親の生き様を見てみたいんだ」
 ▼ 326 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/20 00:28:18 ID:tbsILUxk [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
……

俺はここまで強い女は見た事ねぇ

セト「…わかった、こっちに来てくれ」

その後は二人で日記を読んだ、アヤメは実の父親の生き様を知る為に、俺はマルバの正体を知る為に

事が動いたのは今から22年前の日記に入ってからだった

20XX年6月9日──────────
ついにオレたちの子供が生まれた!
元気な男の子だ、ハナニラも大変だったなぁ、マジでお疲れサマ! そしてありがとう!
それで赤ん坊の名前だけどやっぱし『セト』にする事にした!
瀬戸際に立たされてもロックに抗っていけるように! ってな!
今日は最高だぜ!!!
────────────────

アヤメ「6月生まれだったんだね、最初会った時10月生まれっぽいなって思ってたんだけど」

セト「顔だけで誕生日が分かるワケねぇだろ……」

初めて名前の由来知ったけど、まさかセドゥームが言ってたのと同じじゃねぇか! ……アイツ凄ぇな

そう思いながら次のページをめくると

20XX年6月10日──────────
2代目が亡くなった、もともと重病で入院してたらしいけど…病状が急変して亡くなったらしい。 若は今日いなかった、病院だろうな……オレが元気付けてあげねぇと!
────────────────

コレが跡目争いの引き金なのかな?

アヤメ「2代目って事は…お父さんのお父さん、つまり私のおじいちゃんか…」

セト「そういう事になるよな…」

隣にいんのがヤクザの親分の孫って言われるとなんかブルッちまうな…
 ▼ 327 ーケオスの羽毛◆5dlyl3s5o2 20/06/20 00:29:41 ID:tbsILUxk [7/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その後は葬儀の様子や、親父とカズラが一緒になってシンスを元気付けようとしている様子、そして砂豹会の次期会長には若頭であるシンスの兄が就任するという形で代替わりが進んでいる様子が書かれていた

『跡目争い』という単語はまだ出てこない、だがページをめくり続ける中、ついに…

20XX年6月26日─────────
カシラの死体がコキヒ港から上がった…
誰が弾いたんだ? オレみたいなバカには全然分からないけど…
穏やかに話がまとまるワケがない、それだけはわかる
────────────────

セト「ついに始まっちまっまんだな…」

その後に書いてあった事は跡目争いの惨状だった

砂豹会内部の組織同士で血みどろの抗争を続ける組、名を挙げる為に砂豹会に敵対していた組織のシマでテロまがいの暴挙に出る組……本当にジポングで起こっていたのか疑いたくなる程の内容だった

そんな中でマルバは若頭補佐として、シンスを3代目会長にする事で事態の収拾を図ろうとしていたらしい

しかしその最中…

20XX年7月28日─────────
若が亡くなった
オレらといた時に狙撃されて……
今日は最悪の日だ

最期におっしゃったお嬢の事…何があってもオレとカズラで守り抜きます
────────────────

アヤメ「……」

黙り込むアヤメ、そして

アヤメ「……ありがとうございます、セト君のお父さんにカズラさん」

アヤメ「お陰で私はこうして今でも生きていられてます……」ポタッ…ポタッ…

日記にシミが出来た、その言葉には一言一句偽りはない
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