【SS】ダイゴ『そろそろ旅立とうと思っているんだ……ミクリ。』:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】ダイゴ『そろそろ旅立とうと思っているんだ……ミクリ。』:ポケモンBBS

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【SS】ダイゴ『そろそろ旅立とうと思っているんだ……ミクリ。』

 ▼ 1 クティス・ルシス・チェラム 15/06/08 11:46:30 ID:rAcz5d3s NGネーム登録 NGID登録 報告
目覚めの祠の前にそびえる大木の下で、ミクリは突然ダイゴに告げられた。

しばらくの沈黙の後、ミクリが口を開く。
「それは……希望を叶えられる時が来たって事かい?」

ダイゴは真っ直ぐな瞳でミクリを見つめ、静かに頷いた。
「つまり……僕が何を言いたいのか、分かるよね?」

あの日、ポケモンリーグで交わした約束。来たるべき時に、ダイゴの力になるとミクリはあの時約束していた。

「あぁ……だが本当に私でいいのかい?殿堂入りしたトレーナーは何人かいるんだろう?」

ダイゴは微笑しながら首を振り、
「彼には断られてしまったからね……。僕はね、ミクリ。君にチャンピオンになってほしいんだ。」と答えた。

 ▼ 123 ーケオス@パークボール 15/08/01 12:38:23 ID:J7NT26QQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 124 ラミドロ@モンスターボール 15/08/01 16:25:28 ID:BcUzq6vo NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 125 クア◆73tB3kDfxw 15/08/01 20:35:50 ID:4cK82U52 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「変化技……!?くそッ、アブソル!」

翼を揺らしてむくりと立ち上がったメガアブソルは、眼光を鋭くし、一直線にミロカロス目掛けて疾走した。


ミロカロスは瞳を閉じ、微動だにせず集中している。

とぐろを巻く……この技は、集中力を極限まで高める事で攻撃力・防御力・命中力を一遍に引き上げるものである。

技を持続させている限り、とめどなく自身の強化を成せる強力な技である。


早急に阻止しなければ、メガアブソルでも手がつけられない域にまで達してしまう。無論、それを充分に理解しているカゲツは、一秒でも早く妨害せんとメガアブソルに攻撃技を指示する。

「サイコカッターを飛ばせ!」

研ぎ澄まされたサイコカッターが、メガアブソルの角から最速で放たれる。
 ▼ 126 ウオウ@じめんのジュエル 15/08/02 11:48:18 ID:L9MAlkmM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 127 ーランド@せんせいのツメ 15/08/02 16:54:04 ID:PN.dGIWY NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 128 ママ@ポフィンケース 15/08/02 19:55:20 ID:L9MAlkmM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 129 クア◆73tB3kDfxw 15/08/02 22:57:39 ID:53QPYFFw NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……よし、もう充分だ。」

ミロカロスが技の恩恵を授かるだけの時間を稼げたと確信したミクリは、サイコカッターを寸前まで引きつけてから指示を送る。

「………アイアンテール!」

瞼を開いたミロカロスは、とぐろを巻いていた尾をそのまま回転させる様にして、迫り来るサイコカッターを横になぎ払った。

すると、強化されたミロカロスが放ったアイアンテールはいとも容易くサイコカッターを打ち消した。


「……はっ、舐めるなよ!アブソル、辻斬りだ!」

怯むことなく、メガアブソルは果敢にミロカロスへ挑む。


ミクリは慎重だった。いくらミロカロスが能力の強化に成功したとはいえ、それだけで攻撃力に特化したメガアブソルと同等の物理攻撃を為せるとは考えなかった。

だが、攻撃を“凌ぐ”術は身についたと捉え、ミクリは次の行動を指示する。

「ミロカロス!アイアンテールで辻斬りを“受け流せ”!」
 ▼ 130 クア◆73tB3kDfxw 15/08/03 12:59:57 ID:MfYU4VQA NGネーム登録 NGID登録 報告

メガアブソルが渾身の力を込めて斬りかかる。対するミロカロスは、アイアンテールを斜めにぶつけ、受け止めるのではなく横に逸らす様にして辻斬りを受け流した。

辻斬りに力負けしないだけの攻撃力と、衝撃に耐え得る防御力が身についた事で可能となった対抗策である。


「やるじゃねえか……!アブソル、岩雪崩を当てて一旦下がれ!」

すると、メガアブソルはミロカロスの頭上に大量の岩を生成してから素早く後退した。現れた岩石は重力に従い、ミロカロスに降り注ぐ。

「ミロカロス、ハイドロポンプで吹き飛ばせ!」

上を向き、ミロカロスは勢いよく水流を放つ。とぐろを巻くの効果により命中率も高められたミロカロスが発射したハイドロポンプは、的確な精度で複数の岩を撥ね退けていく。
 ▼ 131 クア◆73tB3kDfxw 15/08/04 11:28:50 ID:b4THNoMc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ーーーミクリは、ある錯覚にとらわれていた。

ここまでカゲツは、隙あらば食らいつくような戦法をとってきた。故にミクリは一つの指示を終える度に、当然の如く次の“攻撃”に備える思考に囚われていた。


彼は、一度後退したメガアブソルへ目をやる。瞬間、彼は目を見張った。

メガアブソルを囲う様に、実体の無い数本の蒼き剣が回転している。ミクリの視線に気づいたカゲツが、ニヤリと口角を上げた。

震えた声で、ミクリはその技の名を口にする。
「………剣の……舞い。」

ミロカロスが、全ての岩を飛ばし終えるや否や、ミクリは大声で指示を送った。

「ミロカロス!吹雪ッ!!」

高い鳴き声を響かせ、ミロカロスは猛烈な勢いの吹雪を引き起こした。
 ▼ 132 トツキ@ヒレのカセキ 15/08/05 08:29:30 ID:qMa/pg42 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 133 クア◆73tB3kDfxw 15/08/05 22:59:44 ID:oaHN/cow NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
完全に無警戒だったメガアブソルの変化技。しかも剣の舞いは、使用者の攻撃力を格段に上昇させる強力な効果を有する。

一秒でも早く止めねば、取り返しがつかなくなる恐れすらあった。流石にこの時ばかりは、常時冷静な思考を保つミクリも動揺を示した。

「もう遅いぜ……!アブソル、サイコカッター!!」

周囲に舞っていた蒼い剣が光となって弾けると、メガアブソルは角に光をまとい、迫り来る吹雪に向けて振り抜く。

そして眩い光と共に、巨大なサイコカッターが放たれた。先程までとは比較にならない規模と威力を秘めたその攻撃は、ミロカロスの吹雪をあっさりと真っ二つに割いていく。

「まずい……!かわせミロカロス!」

恐らくアイアンテールで防ぎきれないと判断し、ミクリは回避を促す。

ミロカロスはすぐさま吹雪を中断し、敏速にサイコカッターの射程外へと回避する。

直後、ミロカロスのいた地点は轟音を発するサイコカッターに激しく斬り裂かれた。

 ▼ 134 クア◆73tB3kDfxw 15/08/06 20:01:14 ID:QN8epdx. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「そこだ!アブソル!」

ミロカロスが回避する先を読み、メガアブソルがすぐそこまで接近してきていた。相手は既に辻斬りの構えをとっている。

メガアブソルの攻撃力がどれほど高まったのかを、ミクリは今のサイコカッターを見て概ね察知していた。

今のメガアブソルの辻斬りは、アイアンテールで受け流すのは疎か、少しの接触も命取りになる強力さを孕んでいる。

「ミロカロス!メガアブソルの足元へハイドロポンプ!」

距離を詰めてくるメガアブソルの脚を狙い、ミロカロスが放水した。

「甘いぜ!」

カゲツの声に合わせ、メガアブソルが跳躍してそれをかわす。しかし、ミクリの狙いは反撃ではなかった。

ハイドロポンプを床にぶつける事により、ミロカロスは水圧で後方へ飛び退いた。攻撃技を他の手段に転用する、ミクリの得意戦法である。
 ▼ 135 ガリザードンX@ヘラクロスナイト 15/08/06 21:42:18 ID:tpdNhzAs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 136 クア◆73tB3kDfxw 15/08/07 13:26:10 ID:/Dcjcgbs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「ここだ!ミロカロス、そのままアブソルにぶつけろ!

「なにっ!?」

すると、ミロカロスは放水角度をそのまま上にずらし、空中のメガアブソルにハイドロポンプを食らわせた。不安定な状況下で命中率の低い大技を当てられたのも、変化技による命中率上昇のおかげである。


攻撃を食らったメガアブソルが床に着地する。その時、メガアブソルはがくりと膝を突く。

「……!?大丈夫かアブソル!」

僅かに震えつつもゆっくりと立ち上がり、メガアブソルは短く唸った。


アブソルはメガシンカと果たすと攻撃力が飛躍的に上昇する。だが、防御面に関してはメガシンカ前と変わらない。故に、ハイドロポンプを二回もまともに食らったメガアブソルの体力は、もはや限界に近かった。

「……あと一発……あと一発与えれば、私達の勝利だ!」

「へっ……!やっぱり最高だぜ、オマエら!」

限界まで相手を追い詰めたミロカロスと、絶大な力を得たメガアブソル。どちらかが先に相手に攻撃を食らわせた時、勝敗は決する。
 ▼ 137 ュレム@おはなのおこう 15/08/07 22:14:09 ID:MREEasBQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
四天王全員こんな試合濃いの?戦慄する
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 ▼ 138 ルフーン@あなぬけのヒモ 15/08/08 18:21:29 ID:V3Eykkxo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 139 クア◆73tB3kDfxw 15/08/08 20:50:52 ID:tzlYMwFA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「……アブソル!岩雪崩!」

やはり先手を打ったのはカゲツである。メガアブソルは身の丈以上もある巨大な岩石を次々に出現させ、それを斜め上空へ打ち出す。

放物線を描く様にして降りかかる岩雪崩を指差し、ミクリが声を張る。

「ハイドロポンプで全て撃ち落とせ!」

ミロカロスは口元に水流を集中させ、自身に危害を及ぼすであろう岩石を正確に見極め、ハイドロポンプを射出した。

両者のポケモンの丁度中間辺りで、岩雪崩とハイドロポンプが激突する。

ミロカロスは高い精度で、次々と岩石の勢いを殺し、手前の地点に落としていく。

だがハイドロポンプを行っている最中、当然ミロカロスは無防備な状態である。

ミクリ達の手前で積み上がっていく岩石の向こう側で、それをカゲツは察していた。

「アブソル!サイコカッターだ!」

カゲツが奇襲を仕掛けた。メガアブソルが荒々しい咆哮をあげながら角を縦に振り下ろし、天井にまで届く程の極大のサイコカッターを放つ。

サイコカッターは積み上げられた岩石を容易く吹き飛ばして、勢いを保ったままミロカロスに襲いかかる。
 ▼ 140 クア◆73tB3kDfxw 15/08/08 23:30:47 ID:zMJr2xjE NGネーム登録 NGID登録 報告

死角を利用され、ミクリの対処は遅れてしまった。相手の技との距離からして、“普通の回避”では間に合わない。

「ミロカロス!!」

ミクリが名を呼びかける。すると、ミロカロスは彼の考えを感じ取ったのか、言われずとも次の行動を取る。

ミロカロスは放水を維持したまま首の角度を変え、自身の右手前の床にハイドロポンプをぶつける。水圧によってミロカロスは急加速し、間一髪のところでサイコカッターから逃れた。

互いに深い絆で結ばれている両者だからこそ成し得た、言葉なき意思疎通である。

しかし一難去ってまた一難、ミロカロスが飛んだ先に合わせる様に、勢いを抑えきれなかった岩石の一つが落下してきていた。

「ぐっ……!ミロカロス、アイアンテールで打ち砕け!」

直撃する寸前、咄嗟にミロカロスは尾を硬化させ、先端で突き刺す様にして岩石を破壊した。なんとか凌いだとはいえ、重い衝撃がミロカロスの体を走る。

「……全く……本当に隙が無いな。」

その時、ミクリの視線の先には、辻斬りを食らわさんとミロカロスへ突進するメガアブソルの姿があった。
 ▼ 141 クア◆73tB3kDfxw 15/08/09 11:08:06 ID:M5mgtrOg NGネーム登録 NGID登録 報告

「避けろミロカロス!」

食らえば戦闘不能は確実であろう辻斬りを、ミロカロスは後ろへ下がって何とか回避する。

「ハイドロポンプで追い払え!」

続いてミロカロスは、間合いを詰めてきたメガアブソルを押し返す様に放水する。

「隙を作ろうとしてるのか?攻撃が単調になってきてるぜ……!」

メガアブソルは軽やかな身のこなしで、後退しながらハイドロポンプをかわしていく。

「そろそろケリつけようぜ……!アブソル!」

メガアブソルの額の角が光を帯びる。

「次は吹雪だ!ミロカロス!」

対するミロカロスは、極寒の風を周囲に発生させた。



 ▼ 142 ルビート@きんのいれば 15/08/10 06:07:25 ID:K/LZTcK2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 143 クア◆73tB3kDfxw 15/08/10 10:59:08 ID:kNPB.aFg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「アブソル、サイコカッター!」

両者の技が放たれた。しかし、吹雪とサイコカッターが激突した場合、どちらに軍配が上がるかは既に明確である。

サイコカッターはメガアブソルの正面の吹雪を軽々と押し退け、標的に迫る。

「……かわせ!」

ミクリが指示を出し、ミロカロスが右へ回避した。

「よし……!メガアブソルとの距離を保ったまま、右へ回り込むんだ!」

ミロカロスは、素早く移動を行う。この時、二匹の間には大きな距離があった。

この時点で、ミクリのイメージした状況はほぼ成立する。

「やれやれ、しぶといな。……アブソル!接近戦で一気に決めるぞ!」

やはり相手の苦手な間合いで戦うのが最も有効であるとカゲツは判断した。メガアブソルは力強く踏み込み、全速力で駆け出す。


 ▼ 144 スキッパ@ふしぎなタマゴ 15/08/11 01:20:55 ID:dm.TDGNI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 145 ルトス@ヨクアタール 15/08/11 21:12:59 ID:r1VzH47I NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 146 クア◆73tB3kDfxw 15/08/11 23:07:02 ID:/mEyUKYQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……来た!」

相手の接近を視認し、ミクリは集中力を研ぎ澄ませる。逃せば次は無いであろう“一瞬の隙”を突く為に。

メガアブソルが牙を剥き、辻斬りの構えに入る。


ーーー次の瞬間、メガアブソルの体勢が一気に崩れた。

「……!?」

カゲツの理解が追いつかぬ間に、ミクリは鋭い声を発する。

「ミロカロス!ハイドロポンプだッ!!」

メガアブソルが勢い良く倒れこんだ所へ、ミロカロスは全身全霊のハイドロポンプを撃ち込んだ。


刹那、カゲツはメガアブソルの足元を目にし、全てを把握する。メガアブソル付近の床一面に、薄い氷が張っていたのである。

先程、ミロカロスは相手を放水で払い退けると共に、戦場の要所を水浸しにしていた。それは、次の展開に繋げる為の布石だった。

直後にミクリは吹雪を指示し、濡れた床を凍結させる事で、その地点を滑りやすい床に作り変えたのである。
 ▼ 147 クア◆73tB3kDfxw 15/08/11 23:53:35 ID:/mEyUKYQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

そのうえでミクリは相手の戦闘スタイルを利用し、距離をとらせて接近を誘い込んだ。

完全にカゲツはミクリの作戦に嵌められてしまった。

「……ッ…!まだだ!立てアブソル!!」

カゲツは高ぶる感情を露わにしながら叫ぶ。

ハイドロポンプが直撃する間際、メガアブソルは目を見開き、凍りついた床に鋭い爪を食い込ませて素早く立ち上がる。

己の技をぶつけて防ぐのに、サイコカッターでは間に合わない。カゲツの選択肢は一つだった。

「辻斬り!!」

出の速さ・技の威力において抜群の性能を誇る辻斬りを放水に対して突き当てるメガアブソル。

満身の力がこもった辻斬りは凄まじい勢いの流水を弾き飛ばしていくが、その間とてつもない衝撃が直接的にメガアブソルの身体に加わる。
 ▼ 148 エルオー@ズアのみ 15/08/12 01:23:19 ID:EWdBVHPs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 149 クティニ@ロメのみ 15/08/12 11:17:11 ID:6Kv..xjQ NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 150 クア◆73tB3kDfxw 15/08/12 19:18:38 ID:smj3fI5M NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「………なんてポケモンだ。」

信じがたい光景に、ミクリは目を疑った。ハイドロポンプを受けながらも、メガアブソルがこちらへ詰め寄ってきていたのだ。

「最後の勝負だ……!全てを出し切れ!アブソル!!」

メガアブソルは死力を尽くし、荒々しく吠えながら凄まじい水流に逆らって突き進み始めた。


ポケモンリーグの戦いにおいて、引き分け試合は実力不足と見なされ、先に進む事が許されない。

相手は全てを投げ打って、相打ちに持ち込もうとしているのだとミクリは感じ取る。

「こんな所で……リタイアする訳にはいかないんだ!ミロカロス!!」

ミクリの声を受けた途端、ミロカロスの放つ水流の勢いが更に増した。水の音とは思えない程に重い轟音が戦場に満ちる。

流石にメガアブソルの足が止まった。しかし決して屈するでもなく、その場で踏み留まっている。

最早、意地と意地のぶつかり合いだった。最強クラスの物理攻撃と特殊攻撃のせめぎ合いである。
 ▼ 151 クーダ@きれいなウロコ 15/08/13 05:34:04 ID:CZVEUxgM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 152 クア◆73tB3kDfxw 15/08/13 13:32:46 ID:pX2.oSOM NGネーム登録 NGID登録 報告

だが、いつまでも最大出力のハイドロポンプを保てる訳でもなく、確実に放水の勢いは衰えていく。

そして再び、メガアブソルがゆっくりと前進を再開する。

「まずい……このままでは……!」

ミロカロスも必死になって放水を続けるが、ミクリの経験上、そろそろハイドロポンプの持続可能時間の限界が近い。

その時だった。滝の如く膨大なハイドロポンプが、一気に勢力を弱めた。

「しまっ……!」

「決めろォ!アブソル!!」

障害が無くなり、ぐんと速度を上げたメガアブソルがミロカロスへ襲いかかる。

「下がれミロカロス!!」

一か八かの回避指示だった。だが既にメガアブソルは、ミロカロスを射程圏内に捉えていた。
 ▼ 153 ンベアー@モコシのみ 15/08/14 05:06:28 ID:37yciTro NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 154 クア◆73tB3kDfxw 15/08/14 11:25:57 ID:2gxiOTd2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


ーーーしかし、メガアブソルは既に限界を超えていた。

「………!?」

ミロカロスの懐まで踏み込んだ所で、メガアブソルは膝からガクンと崩れ落ちる。

そしてそのまま、力無くミロカロスにもたれ込んだ。相手を仕留めるハズだった黒い角が、弱々しくミロカロスの肌に触れる。

目まぐるしく戦い続けた二匹のポケモンは、この時初めて静止して向き合う。

ミロカロスは、自身に寄りかかるメガアブソルをじっと見つめ、小さく鳴いた。


「勝った……のか。」

ようやく勝利を実感したミクリは、自分の手が震えている事に気がついた。

「ふーっ……やれやれ、ここまでか。」

天井を見上げ、ため息混じりにカゲツが呟く。

 ▼ 155 ビゴン@かおるキノコ 15/08/15 04:43:32 ID:iFSr/ZOw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 156 ャルマー@ダイブボール 15/08/15 17:27:53 ID:iFSr/ZOw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 157 クア◆73tB3kDfxw 15/08/15 22:11:09 ID:9AxS4s6M [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

決して快勝といえる結果ではなかった。僅かにでも、メガアブソルに最後の体力が残っていたら、ここで挑戦は終わっていたかもしれない。

そんな思いが拭いきれず、ミクリは曇った表情を浮かべていた。


ーーーダイゴ。君は今、どれ程の高みにいる?

ミクリの脳裏にダイゴの姿がよぎる。彼がチャンピオンになってから今に至るまで、二人は未だ戦ったことがない。


「………おいおい、四天王のオレに勝っておいて、その顔は無いだろ!」

うつむく勝者を見かね、カゲツが腰を低めて呼びかける。

ハッと我に返った様子のミクリに対し、カゲツは後頭部を掻きながらもう一度大きな溜め息を吐いた。

「やれやれ……。おっと、まずはコイツを休ませてやらないとな。」

カゲツは瀕死のメガアブソルをボールへ戻す。彼に続き、ミクリもミロカロスを手持ちへと帰してやった。
 ▼ 158 クア◆73tB3kDfxw 15/08/15 23:46:56 ID:9AxS4s6M [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

二匹がいなくなり、戦場がガラリと広く感じられた。


するとカゲツは、前傾姿勢気味にミクリの元へ歩み寄り、面前で立ち止まる。

更に下から相手を覗き込む様な体勢をとる。相変わらず自由奔放なカゲツに、ミクリは困惑する。

「負けたオレから一言!」

急に大きな声で切り出したカゲツに、ミクリは呆気にとられた。かまわずカゲツは言葉を続ける。

「勝負の内容がどうだったであれ、いちいち引きずるなよ!ただ胸を張って、次の戦いを楽しんでくれば良い!」

それは、勝ち負けに拘らないカゲツならではのエールだった。


カゲツの台詞で、ミクリは改めて気付かされる。自分は勝ち進んだのだと。

「………ああ、そうだった。今するべき事は反省じゃない。振り返らず、前へと突き進むだけだ!」

ミクリは目に輝きを宿し、顔を上げた。そして次なる壁を越える為、彼は歩み始める。


久しく自分を負かしたチャレンジャーが良い表情になったのを確認すると、カゲツは微笑みながら、すれ違い様に無言で彼の肩を叩いた。
 ▼ 159 ラガラ@ねばねばこやし 15/08/16 06:40:54 ID:eD13SJO6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 160 クア◆73tB3kDfxw 15/08/16 21:48:35 ID:SXVwdKNM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


カゲツの部屋を抜けると、幻想的な景色がミクリを迎えた。

薄暗い空間に、一本の橋が伸びている。橋の下には水面が広がっており、睡蓮の花が儚げに浮いている。ふと見上げると、美しい藤の花が枝垂れていた。

「なんてビューティフル……素直に見惚れてしまう眺めだな。」

束の間の休息に浸りつつも、ミクリは傷ついたポケモン達を完全に回復させていく。元気の欠片や回復の薬、PPエイドといった一通りの道具を彼は充分に持参していた。

「さて、次の相手は……。」

ミクリは先に佇む建屋に目をやる。軒下に連なる提灯が、時折独りでにカタカタと揺れ動く。

「ゴーストタイプの使い手、フヨウか。」

二人目の対戦相手を確認すると、ミクリは選出するポケモンを考慮しつつ、いくつかの技マシンを手に取った。
 ▼ 161 ノセクト@パワーレンズ 15/08/16 22:34:15 ID:haEHvKSc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援!
 ▼ 162 ルード@くっつきバリ 15/08/16 22:59:34 ID:frjbRcTQ NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 163 ュウツー@トライパス 15/08/17 03:11:47 ID:XMq8NQE2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 164 キワラシ@ムーンボール 15/08/17 13:10:32 ID:F2K6eZg2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 165 クア◆73tB3kDfxw 15/08/17 15:27:06 ID:iZqV6sBQ NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ーー四天王・フヨウの部屋ーー


ゆらゆらと体を左右に揺らしながら挑戦者を待ち受けているのは、まだ年端もいかない少女である。

頭にハイビスカスの髪飾りをあしらい、腰にパレオを巻いたその姿は南国的雰囲気を醸し出している。

そこへ、万全の準備を整えたミクリが入室した。


フヨウは挑戦者をにこやかに迎える。

「アハハ!待ってたよ!」

「君が四天王のフヨウ、か……。この若さで四天王とは、恐れ入ったよ。」

フヨウは、彼の想像していた人物像と大きく異なっていた。飾らぬ振る舞いで、一見すると普通の女の子に見受けられる。
 ▼ 166 レッフィ@オッカのみ 15/08/17 18:38:42 ID:LLBTvu06 NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 167 アームド@なぞのすいしょう 15/08/18 02:50:59 ID:p1.MOWLk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 168 マクロー@あやしいパッチ 15/08/18 21:33:16 ID:pkbkkuGI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 169 クア◆73tB3kDfxw 15/08/18 22:27:50 ID:0rtcqFug NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「ウン、小さい頃からおくりび山で修行をしてきたからね。今では、ゴーストタイプのポケモンと心を通わせる事も出来るようになったんだ!」

フヨウは無邪気に話すが、それを聞いたミクリの緊張感は一層高まった。

彼女の様に、ポケモンと気持ちを繋げられるタイプの人間は、ポケモン勝負において無類の強さを発揮する。

「成る程……納得したよ。でも絆の強さなら、私達も負けてはいないよ。」

ミクリは混じり気のない眼差しをフヨウに向けた。彼女は目を細めて頷く。

「アハハ!カゲツに勝った人だもん。きっとあなた達も強い絆で結ばれているんだって分かるよ。」

相変わらずフヨウは明るい笑顔を絶やさない。それは四天王故の余裕なのか、根本的な彼女の性格なのかはミクリには判断出来なかった。

 ▼ 170 クア◆73tB3kDfxw 15/08/19 00:18:52 ID:rsUjljoo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「……っと、お話はこれくらいにしないとね。ここはポケモンリーグだもの。」

慌ててフヨウはモンスターボールを取り出した。いよいよ、二人目の四天王との戦いが始まろうとしている。

その時だった。戦場の温度が低くなる感覚をミクリは覚える。

似た様な感覚を、彼は何度か今までに味わったことがある。強者と対峙する際に感じる、独特なプレッシャー。

フヨウの表情は依然と変わらないが、今生じている雰囲気は間違いなく彼女から発せられているものだとミクリは直感した。


「あなた達の絆の力が、アタシ達に通じるか……試してごらんよ!」

「……あぁ、言われずとも!」

両者は、同時にモンスターボールを戦場へ投げ込んだ。

 ▼ 171 リュウズ@ゴツゴツメット 15/08/19 01:26:09 ID:XFcMNCeE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 172 エルオー@ピーピーエイド 15/08/19 19:04:16 ID:o2KBRxpA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 173 ガデンリュウ@いでんしのくさび 15/08/19 21:12:09 ID:ppkBXHKg NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 174 クア◆73tB3kDfxw 15/08/19 23:50:33 ID:/ZS8cXRc NGネーム登録 NGID登録 報告

「出ておいで!ジュペッタ!」

「行くぞ、ナマズン!」

フヨウが投げたボールから現れたのは、純粋なゴーストタイプのジュペッタ。対するミクリは、水・地面タイプのナマズンを戦場へ送り出した。

「ナマズン、地震!」

開戦早々、ミクリが先制する。ナマズンは大地を揺るがすエネルギーの波を走らせた。

ゴーストタイプはトリッキーな技を仕掛けてくる場合が多い。下手に様子を見て相手に隙を与えれば、あっという間に敵の策略に嵌りかねないと彼は戦う前から思慮していた。

「跳んで!」

フヨウの指示を受け、ジュペッタは迫る地震を跳び上がって回避する。

「そこだ!水の波動!」

すかさずミクリは空中へ移動したジュペッタを狙う。ナマズンは振動を含んだ水流を敵目掛けて勢いよく放った。

体の自由がきかない空中では、相手の攻撃技を凌ぐ術が限られる。ミクリはひとまずジュペッタの攻撃技を一つ把握出来ると確信した。
 ▼ 175 クーン@きあいのハチマキ 15/08/20 07:16:22 ID:ngqneB.A NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 176 クア◆73tB3kDfxw 15/08/20 18:21:39 ID:r80Uw1YE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「ジュペッタ!」

ジュペッタに危機が迫るが、フヨウは慌てずに名を呼びかける。ジュペッタはチラリと彼女の顔を見た。

「……?何も言わない……!?」

水の波動が寸前まで迫っているにも関わらず、フヨウは指示を出さない。そしてそのまま、ジュペッタは水の波動に包まれた。

この瞬間、ミクリは異変に気付く。攻撃は確実にジュペッタを飲み込んだ筈だが、手応えがまるで無かった。


その感覚を裏付ける光景を、彼は目の当たりにする。

「……消えた……!?」

水の波動は飛散して消滅したが、そこにジュペッタの姿が無かった。咄嗟にミクリは辺りを見渡すが、ジュペッタはどこにもいない。

僅かに動揺を表すミクリ。一方で、フヨウは静かに微笑んでいた。
 ▼ 177 クア◆73tB3kDfxw 15/08/20 23:35:55 ID:r80Uw1YE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ナマズンも、忽然と消えた相手に戸惑っている。

「落ち着くんだ、ナマズン。これは恐らくポケモンの技………!」

ナマズンに視線を送った途端、ミクリは叫ぶ。
「ナマズン、後ろだ!」

ミクリは瞬く間の光景を確かに視認した。ナマズンの背後、何も無い空間から生じた影からジュペッタが現れる瞬間を。

主人の声に反応はしたものの、あまりに急な奇襲にナマズンは為す術もなかった。力強いジュペッタの打撃を受け、ナマズンは吹き飛ばされる。

「くっ……!そうか、分かったぞ!この技はゴーストダイブ!」

一連の流れから、ミクリはジュペッタの使用した技を見抜いた。ゴーストダイブは、一旦完全に消え去ってから、次に突然現れて攻撃を仕掛ける特殊な技である。

「彼女はあの技を……言葉使わずしてポケモンに指示したというのか?」

フヨウの平然とした面持ちから、今の展開を作り出したのは偶然ではないと窺えた。
 ▼ 178 ッタイシ@タウンマップ 15/08/21 00:45:52 ID:UcyhZeak NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 179 ボミー@まんぷくおこう 15/08/21 12:33:59 ID:Gs64ellM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 180 クア◆73tB3kDfxw 15/08/21 16:37:08 ID:Js/a2jH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告


「お願いね……ジュペッタ。」

次にフヨウは、どこか申し訳なさげにジュペッタに頼む。やはりここでも明確な指示を送らない。

それでもジュペッタは全てを承知した様で、躊躇なく次の行動に移る。


「大丈夫か、ナマズン!」

ミクリが確認をとると、ナマズンは大きな鳴き声をあげながら起き上がる。耐久力が自慢なだけあって、まだまだ余裕綽々といった雰囲気だった。

「よし、ナマズン。次は……。」


グサリ、と鈍い音が耳に届き、ミクリは言葉を中断する。嫌な予感を抱きつつ彼は振り向く。

見ると、ジュペッタが大きな釘に腹を貫かれていた。ジュペッタは不気味な声で呻きながらも、邪悪な笑みを浮かべている。

「あの技は、呪いか……!」

“呪い”は、使用するのに体力の半分を代償とするハイリスクな技だが、以降は相手に周期的な苦痛を与える恐ろしい変化技である。
 ▼ 181 ラードン@いましめのツボ 15/08/22 06:08:54 ID:9ev9QA/I [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 182 ノノクス@うしおのおこう 15/08/22 21:25:06 ID:9ev9QA/I [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 183 クア◆73tB3kDfxw 15/08/22 23:41:49 ID:wQk1hhJo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

直後、ナマズンが苦痛を露わにして鳴き声をあげた。早くも呪いの効力がナマズンに現れている。

呪いは、相手の耐久力の高さと関係無しに体力を大幅に削っていく厄介な性質を持つ。勝負が長引くだけで、呪われたポケモンは瀕死に至る。


「ジュペッタ、ゴーストダイブ!」

ようやくフヨウが技の名を口にして指示を出した。ジュペッタは一瞬でその場から消え失せる。


無言の指示で相手を惑わし、ゴーストタイプならではの特殊な技で相手を追い詰める。おくりび山での修行で極めた彼女の戦い方である。


だが、ミクリは既にゴーストダイブの弱点を見抜いていた。

「ナマズン……竜の舞!」

「!」

その技の名前に、フヨウは反応を呈する。
 ▼ 184 クア◆73tB3kDfxw 15/08/23 00:31:51 ID:M9RPL8ZY [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

ミクリは、“ゴーストダイブ”という技の性質を知っていた。

「確かにゴーストダイブは、回避にも奇襲にも使える便利な技……だけど、消えてからすぐには実体化する事が出来ない。つまり、その技を使用した直後は必ず間が生じる!」

非の打ち所がない説示だった。予想よりも早く弱みを見破られ、フヨウは少しだけ困った顔を覗かせる。


ナマズンは体をうねらせて激しく舞い踊り、身体能力を引き上げていく。

ここで相手を放置するのはあまりにも危険である。無論、フヨウは真っ先に阻止を試みた。

「ジュペッタ!」

彼女の呼び声と同時に、ジュペッタがナマズンの真上から急襲する。

「ナマズン!」

即座にミクリも声を上げると、ナマズンは彼の思いを感じ取ったのか、自主的に素早く横に滑る様に移動し、ジュペッタの攻撃を回避した。

 ▼ 185 チュール@カードキー 15/08/23 00:54:38 ID:6fqfMZ52 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 186 クタス@ザロクのみ 15/08/23 12:17:26 ID:3tkLeFvE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 187 ナギラス@どくどくだま 15/08/23 20:07:27 ID:3tkLeFvE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 188 ルネアス@ヨロギのみ 15/08/23 20:07:36 ID:6w6tTRbQ NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 189 クア◆73tB3kDfxw 15/08/23 21:08:51 ID:M9RPL8ZY [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「今だナマズン!」

ミクリの声を受け、すかさずナマズンが実体を現したジュペッタに狙いを定めた。

「水の波動!」

至近距離から放たれた水の波動。反応が間に合わず、ジュペッタはまともに食らってしまう。

激しい震動を孕んだ一撃は、ジュペッタの体を勢いよく弾き飛ばした。


「ジュペッタ……!」

フヨウはジュペッタの容体を気にかける。呪いによって体力を半分失ったせいで、早くもジュペッタの呼吸は荒くなってきていた。


状況が一転し、優位に立ったミクリが攻めに出る。

「畳み掛けるぞ!」

高い攻撃力と素早さを得たナマズンが、床に手を突くジュペッタに急接近する。
 ▼ 190 ルーグ@アッキのみ 15/08/24 01:26:26 ID:d5/2/yOI NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 191 クア◆73tB3kDfxw 15/08/24 11:02:52 ID:gXxgpw56 [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「思念の頭突きだ!」

ナマズンは頭部から不思議なオーラを迸らせて突っ込む。


ゴーストダイブを使えば回避は間に合うが、弱点を見抜かれた今あの技を使用するのは墓穴を掘るのと同じ行為であるとフヨウは考えた。

「ジュペッタ!」

例によって、彼女の考えはジュペッタに伝わっていた。ジュペッタは眼前のナマズンに両手を向ける。

衝突の直前、ジュペッタは紫色の炎をナマズンに浴びせた。謎の炎に包まれながらも、ナマズンはお構いなしにジュペッタに思念の頭突きを食らわせる。

「……あの炎は、まさか。」

怪しい色をした炎を見てミクリが呟く。ふとナマズンを見ると、何やら苦しそうに悶えている。

「やはり、鬼火か……!」
 ▼ 192 クア◆73tB3kDfxw 15/08/24 14:27:41 ID:gXxgpw56 [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

鬼火は威力こそ持たないものの、触れた相手を確実に火傷状態にさせる変化技の一つである。

火傷を負ったポケモンは体力をじわじわと削られていくうえ、攻撃力が大幅に引き下げられてしまう。

竜の舞によって上昇したナマズンの攻撃力は、鬼火を食らった瞬間に失われてしまった。


火傷の影響で威力が下がっていた為、ジュペッタは辛うじて戦闘不能には至らなかった。

「よく頑張ったね、ジュペッタ!戻って!」

ここでフヨウがモンスターボールを取り出し、深手のジュペッタを手持ちに戻す。

そして、素早く次のポケモンを繰り出した。

「行くよ!ムウマージ!」

軽やかに現れたのはムウマージ。ジュペッタと同じく純粋なゴーストタイプである。

ただし、ムウマージは特性によって浮遊している。つまり、ナマズンの攻撃技である地震を常時完全に無効化できる。
 ▼ 193 ロバレル@おはなのおこう 15/08/24 21:56:18 ID:8mENq0g. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 194 クア◆73tB3kDfxw 15/08/24 23:16:52 ID:gXxgpw56 [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

再び状況が大きく変わった。

ナマズンの覚えている技は、全てフヨウに見せてしまった。そのうえナマズンは二重の状態異常にかかっていて、特性浮遊の相手とは相性が悪い。

どう考慮しても、ナマズンを一旦戻すのが得策だった。ミクリは控えのポケモンに戦いを引き継がせようと、モンスターボールをナマズンに向ける。


「……………!?」

この時、珍しくミクリが動揺をはっきりと露わにした。

モンスターボールから放射された光がナマズンの体に触れるも、その光はナマズンを包む事なく、何かに阻まれる様に弾かれてしまったのだ。

普通では起こり得ない事態だった。決してモンスターボールの故障ではない。

「!」

ハッとして、ミクリはムウマージを凝視する。この現象を起こしうる変化技の存在を、彼は思い出した。


「………やはり、そうか……!」

ーーーミクリの予測は当たっていた。ムウマージの片目が、黒く染まっている。
 ▼ 195 ブソル@まんまるいし 15/08/25 05:33:01 ID:5qVXDE46 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 196 イゼル@じしゃく 15/08/25 16:39:01 ID:uKZb.HHY NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 197 ラエッテ@イナズマカセット 15/08/25 22:31:23 ID:Cdx6ku36 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
戦闘描写がとても丁寧で状況が分かりやすく、なおかつ内容がとても濃く、それぞれの登場人物もオリジナルを崩さずキャラが立っていて良いですね!初めて完結まで追いかけたいSSだと感じました。応援してます。
 ▼ 198 クア◆73tB3kDfxw 15/08/25 23:29:15 ID:c7l/oipk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

モンスターボールから登場した直後、ムウマージは真っ先にフヨウと心を通わせ、“黒い眼差し”を発動させていた。

黒い眼差しとは、漆黒の瞳で相手を縛り、交代を封じてしまう変化技の一種である。

これにより、ムウマージが場にいる限りナマズンは戦場から逃げられなくなった。

最悪の状況だった。火傷と呪いを抱えた状態のナマズンで、万全かつ手の内が分からないムウマージと戦うのは無謀に等しい。


しかし戦場に立った以上、弱音を吐いている暇は無かった。ミクリはすぐに気持ちを切り替え、前方の敵と向き合う。

突然、ナマズンが体をよじらせて悲鳴を上げた。ジュペッタの呪いが、着実にナマズンを蝕んでいる。

「あまり時間はかけられないな……!ナマズン!お前の根性を見せてやれ!」

ミクリが奮い立たせると、ナマズンは苦痛を振り払う様に勇ましい鳴き声をあげて立ち直った。
 ▼ 199 タチ@ちからのこな 15/08/26 06:26:42 ID:.Z37Nhyg [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 200 バイト@4ごうしつのカギ 15/08/26 06:27:15 ID:.Z37Nhyg [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 201 マルルガ@スーパーボール 15/08/26 18:22:06 ID:.Z37Nhyg [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 202 クア◆73tB3kDfxw 15/08/26 21:01:15 ID:em0PVr76 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「ナマズン、水の波動!そして……!」

中距離からの放水。更に立て続けにミクリが指示を出す。

「一気に距離を詰めるんだ!」

ナマズンは水の波動の後に続き、弾丸の如くムウマージ目掛けて突進を開始した。


先に放った攻撃は、いわば陽動である。恐らく水の波動は回避、または防がれてしまうが、いずれにせよムウマージがどれかの行為をする際に必ず僅かな隙が出来る。

その隙へ付け込み、ナマズンが直に打撃を叩き込む。それこそがミクリの本命の狙いである。


「……今だよ!ムウマージ!」

フヨウは、ナマズンの接近にも気づいていた。ムウマージは瞬時に彼女の指示を感知して、行動に出る。
 ▼ 203 テボース@エルレイドナイト 15/08/27 03:26:59 ID:3b2BvNV. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 204 クア◆73tB3kDfxw 15/08/27 09:43:59 ID:NDCRbbH6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

水の波動から素早く逃れるムウマージを、ミクリは見落とさなかった。相手は回避を選択したのだと彼は判定する。

「そこだ!思念の頭突き!」

飛び出てきたムウマージに合わせて、ナマズンが頭から突っ込む。

完璧なタイミングだった。過去に何度もナマズンと繰り返しただけあって、この戦術は高い精度を誇る。


それでも、フヨウは落ち着いていた。何故なら彼女は、ムウマージに回避と“変化技”の両方を指示していた。


思わずミクリは目を見張る。ナマズンの思念の頭突きはムウマージを確かに捉えたにも関わらず、そのまま相手の身体をすり抜けていったのだ。

「これは……またゴーストダイブか?いや……。」

今度は相手の姿を目視出来る為、ゴーストダイブを使われたのではないとすぐに察する。

戦場を見渡すと、答えはすぐに分かった。

「アハハ!これならどう?」

「……そういう事か……!」

陽気に笑う彼女の頭上に、何体ものムウマージが浮かんでいた。
 ▼ 205 ュバルゴ@イナズマカセット 15/08/27 15:29:26 ID:Ua6zeqU6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 206 テトプス@リバティチケット 15/08/27 16:41:40 ID:frKI8Dzk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 207 ドリーナ@なぞのすいしょう 15/08/27 21:29:34 ID:Ua6zeqU6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 208 メラ@デンリュウナイト 15/08/28 07:21:16 ID:6Usti3oQ NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 209 ェイミ@ひのたまプレート 15/08/28 16:01:04 ID:SOmCIJEs NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 210 ァイヤー@りゅうのプレート 15/08/28 22:33:53 ID:KGCFJFRg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 211 クア◆73tB3kDfxw 15/08/29 00:07:38 ID:sXN2/qdE NGネーム登録 NGID登録 報告

ムウマージは回避と同時に、複数の分身を生み出す技“影分身”を使用していた。

相手にとっての的を増やす事で、結果的にムウマージは回避率を高める事に成功したのである。


短期決戦を狙うミクリ側からすれば、かなり厄介な状況を作られたと言える。

再度、ナマズンは低声を上げて悶え苦しむ。呪いに加え火傷の痛みが重なり、甚大なダメージとなってナマズンを苦しめた。

「……マズイな。」

一目で分かる程、ナマズンは疲弊していた。恐らく、次に呪いと火傷による苦痛を被れば、ナマズンは戦闘不能に陥ってしまう。


ふぅっと短く息を吐き、ミクリは決心した。

「こうなれば、残された時間……相手の情報を少しでも暴いてみせる!」
 ▼ 212 プリン@ジュペッタナイト 15/08/29 06:20:58 ID:1G6E5MfI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 213 ルホッグ@ブリーのみ 15/08/29 15:10:12 ID:KjihHOBA NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 214 クア◆73tB3kDfxw 15/08/29 22:03:54 ID:42f5.8Yo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

今のナマズンに出来る最善の行動であると確信したうえで、ミクリは技の名を告げる。

「竜の舞!」

ここにきて、ミクリは更なる強化をナマズンに促した。残された気力を振り絞り、ナマズンは烈々と乱舞する。

ミクリは呪いと火傷のダメージの周期をほぼ理解していた。次に状態異常の影響を受けるギリギリまで、ナマズンに竜の舞を行わせる作戦に出たのだ。


「……影分身!」

相手の策に対して、フヨウ側は変化技で応じた。ムウマージは新たに数体の分身を作り出す。

彼女はミクリの意図に気づいていた。

「竜の舞を見せて、攻撃技を誘い出す……そうでしょ?」

不敵に笑うフヨウ。あっさり見抜かれてしまい、ミクリは静かに苦笑する。

「さすがは四天王……簡単に見抜いてくれる。ならば!」

即座にミクリは作戦を切り替えた。
 ▼ 215 クア◆73tB3kDfxw 15/08/29 23:48:50 ID:42f5.8Yo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「ナマズン、思念の頭突きだ!」

予定よりも早く、ミクリは攻撃に移行させた。ナマズンは初速からとてつもない速さを発揮し、分身の群れへと飛び込んでいく。

火傷で攻撃力は抑えられてしまっているものの、素早さに関しては支障無くナマズンに反映されている。予想を超える速度に、フヨウもムウマージも反応が間に合わなかった。


ナマズンの思念の頭突きが、複数のムウマージを突き抜ける。しかし、ナマズンの額は本体を捉えられず、空振りに終わる。

少し遅れて、ナマズンの通り抜けた軌道から逃れる様に分身が散らばりを見せた。

「そのまま水の波動だ!」

ほとんど間を置かない攻撃指示だった。ナマズンは強引に空中で振り返り、別々になった分身の一群に向けて水の波動を放出する。

「えっ……!」

ミクリの指示を耳にし、フヨウは驚いた様子を見せた。攻撃に次ぐ攻撃、それは四天王カゲツの戦法を彷彿とさせた。
 ▼ 216 デッポウ@ピーピーマックス 15/08/30 08:00:41 ID:xdoNDb9s NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 217 クア◆73tB3kDfxw 15/08/30 12:14:03 ID:U.dVYwP. NGネーム登録 NGID登録 報告

影分身は上方へ広がり、攻撃をかわす。

その時、一糸乱れぬ隊列の中に、僅かに不同な動きを見せたムウマージをミクリは見分けていた。

「ナマズン、一番上空のムウマージに思念の頭突きだ!」

ナマズンが呪いと火傷のダメージを受けるまで、最早一刻の猶予も残されていない。地上に着地すると、間髪入れずにナマズンは勢いよく跳んだ。

分身の最も上に位置していたムウマージは、慌てて回避行動に移る。ナマズンの思念の頭突きは、寸前のところでかわされてしまった。

今のムウマージの動きを見て、ミクリの予感は確信に変わった。

「ナマズン!」

ミクリとナマズンの考えは一致していた。先程と同様にナマズンは空中で向きを変え、逃げていったムウマージ目掛けて水の波動を放った。

「バレちゃったか……!」

フヨウは、やむを得ない状況に追い込まれた。
 ▼ 218 ガカイロス@ミュウツナイトY 15/08/30 16:53:02 ID:NFe/9W4k [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 219 ルミル@コダックじょうろ 15/08/30 21:19:12 ID:NFe/9W4k [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 220 ガヘルガー@ネストボール 15/08/31 03:01:08 ID:5tiAq1ds NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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 ▼ 221 クア◆73tB3kDfxw 15/08/31 12:27:56 ID:ZDZYGKh2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

「ムウマージ、マジカルリーフ!」

フヨウは3つの目の技の名を口にした。すると、虹色の光をほんのりと纏った葉っぱがムウマージの周囲に現れ、水の波動に向かって発射された。

無数の葉は水の波動をかき消し、消失させた。


「……充分だ。よく頑張った、ナマズン。」

重力に従って落下していくナマズンの健闘を、ミクリは心から讃える。

その時、鈍痛がナマズンの全身に走り、止めを刺した。状態異常によく堪えて戦ったが、とうにナマズンの体力は限界の寸前だったのだ。

「戻ってこい!」

ミクリがモンスターボールから光を照射する。瀕死となり、ようやくナマズンは黒い眼差しの呪縛から解放され、安らげる場所へと帰る事が出来た。


「さて、反撃に出ようか……!」

次に出すポケモンを、ミクリは既に決めていた。それは、彼の手持ちの中で最も凶暴なポケモンである。
 ▼ 222 クオング@こううんのおこう 15/08/31 19:34:40 ID:kVJWik7g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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