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【SS】空っぽの檻

 ▼ 1 シズマイ@ライブドレス 19/12/05 00:19:12 ID:ED3ERxiU [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ええと、どちら様だったかな?」

その言葉を聞いたとき、私は体中の温度を失ったようだった。

面会室の空調の音が遠ざかってゆく。

かすれたのどは、わずかな言葉を紡ぐことで精一杯だった。

「……オリーヴです」

「ああ!おもいだした。君にはお世話になりましたね」

懐かしげに目を細める委員長、その瞳にうつっているのは私ではない。

うつっているのはたぶん、ガラルの空、彼が愛した街並み。

そうだ、そうだった。委員長はムダなことはすべて忘れてしまうお方。

私はもう、委員長にとって不要なものになったのね。

ふと、かつてのビート選手が浮かぶ。彼も委員長を慕っていたが、委員長は彼の名前を憶えていなかった。

結局、よくわからない暴走をしてジムチャレンジの資格をはく奪された彼だけれど、いつもこんな気持ちを味わっていたのかと思うと、すこしだけ同情した。
 ▼ 2 パルダス@ヨロギのみ 19/12/05 00:20:41 ID:ED3ERxiU [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
忘れもしないあの日、ガラルの未来のエネルギーのため、ポケモンリーグ決勝を邪魔してまでムゲンダイナを目覚めさせた委員長は、その強大なるポケモンが捕獲されるのを見届け、自首した。

全てが終われば、初めからそうするつもりだったらしい。つまり委員長の計画は、完全に達成されたのだ。

ただ、当時のチャンピオン、ダンデが捕獲に失敗し、新チャンピオンの方が成功させたのは彼にとっても意外だったようだけれど。

「しかし君、こんなところで時間を潰してていいの?やることも多いだろうに」

「いえ、私も委員長の名のもとに色々勝手をいたしましたから。今は停職処分の身です」

「あ、そっか。それは……すまないね」

にわかに彼の目は深い悲しみに沈む。

委員長に労われた、そんな思いが私の体温を少し通わせるけれど、それは違う。

彼が労ったのはきっと、私ではなく、私を含んだガラルの人々すべて。

彼の計画は人々の混乱とポケモンたちの暴走も招いた。それを申し訳なく思っているのだ。

そう、これも分かっていたこと。彼にうつるのはいつも人々、街並み、未来。

個人に思いを馳せることなんて、絶対にありえない。
 ▼ 3 レビィ@ぎんいろのはね 19/12/05 00:22:58 ID:ED3ERxiU [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
かつて、マクロコスモスにいたときもそうだった。

私は秘書として委員長に尽くすことで、自分が彼の特別な存在であると思い込もうとしていた。けれど、

「あまり私にかまうのはやめなさいよ。君にはまだやれることがあるのだから」

委員長にとって、『人々』は愛すべきものであっても、『人』は目的のための手段でしかない。彼は、彼自身のことすらチェスの駒のひとつくらいに思っているのだろう。

彼が檻の中にいるのも、彼自身がそこに駒を動かしたからだ。彼自身もきっとそれで満足している。
 ▼ 4 ラッタ@ももいろはなびら 19/12/05 00:23:21 ID:ED3ERxiU [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
けれど、

けれど。

「私、納得できません」

私の言葉に、委員長の片眉が上がる。

言うつもりじゃなかった。委員長は進んで自首なさったのだから。彼の素晴らしい判断にケチをつけるつもりなんてなかった。

けれど理性より感情が先に動いていた。

「絶対、納得できない!委員長は、ローズ様は素晴らしい人です、今のガラルを作った英雄です!なのに、牢獄なんて、なんてひどいの!今の私があるのも……」

「オリーヴくん」

溢れだした私の言葉を止めるのは、彼にとってはその一言で十分だった。

見上げた彼の表情は、険しく、私を責めているようだった。

「刑務所から出たところで、人々の私を見る目は冷たいだろう」

突き刺す彼の瞳の奥には、私自身に向けられた優しさがあった。

「私はもう過去の人間なんだよ」

遠く、泣き声が聞こえる。

ぶざまな声。

それが自分自身の声であるのに気づくのに、しばらくかかった。

ああ、彼の中では自分自身すら、もはや不要なものになってしまったのだろう。

けれど、彼は私に対して、慈愛を向けてくれている……

もはや、面会室も、二人の間の鉄格子も、何も見えなかった。

ただ、蜃気楼のように遠いローズ様が、私を見つめていた。
 ▼ 5 イアント@どくのジュエル 19/12/05 00:24:05 ID:ED3ERxiU [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
零れ落ちる感情の滝がおさまるころには、すでに面会時間は終わろうとしていた。

私は涙をぬぐい、立ち上がった。

不思議と、心はすっきりとしていた。

そうだ、面会室を去る前に、ひとつだけ委員長に質問をしよう。

「委員長。委員長はこれから、どうなさるのですか」

「……これから?」

ぽかんとした表情、何も考えていなかった、ということなのだろうか。

けれど、委員長は微笑んだ。

「心配いらないよー。なにせ今のガラルには、未来を背負える若者たちがいるからね!」

屈託のない笑顔。

彼の明るい顔をようやく見れた気がして、うれしくなった。

「私の仕事もちゃんと引き継いでくれてるしね、ほら!あの、私が推薦した」

「ダンデ、です」

そうそう!と委員長は笑う。かつては最も気にかけ、自らの計画の要とするほど信頼した男も、もはや覚えていないのかと、寂しくなると同時に邪魔者の消滅に少し愉快になる。

「ご心配なく委員長、たとえ世界中の人間が敵でも、オリーヴはあなたの味方ですわ」

「そっか!」

委員長の未来にも、光があるかもしれない。その時はきっと、二人三脚で歩んでいける。

きっと。
 ▼ 6 レキブル@ずがいのカセキ 19/12/05 00:24:44 ID:ED3ERxiU [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
「そうそう、委員長のポケモンたちもあなたに会いたがっていますのよ」

「おー、それは何よりだね!」

「ダイオウドウなんか特に、ね」

「えっ?……ああ、そうだ!かつて私の相棒だったね!」

お時間です、と見張りの看守から声がかけられて、ローズ委員長は面会室のドアから出て行った。

……自分のポケモンを覚えていない?

まして、子供のころからの付き合いだったという相棒を?

ならば今、委員長の心には、いったい何が残されているのだろう……?

空っぽになった面会室には、無音の時計のほかには何もない。

空調の音が、嫌に耳に響いていた。


 ▼ 7 ガース@メタルパウダー 19/12/05 00:25:00 ID:ED3ERxiU [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
おわり
 ▼ 8 メンカ@おとどけもの 19/12/05 00:27:16 ID:ED3ERxiU [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
ハッキリ言ってローズ委員長が何をしたかったのかわからん
多分オリーヴさんもわかってない
けど彼に対して意味わからん感情が沸き起こるので書きました
以上です
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