ゾロアーク「告らせ隊」エルフーン「あなたの恋を応援します!」:ポケモンBBS(掲示板) ゾロアーク「告らせ隊」エルフーン「あなたの恋を応援します!」:ポケモンBBS

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ゾロアーク「告らせ隊」エルフーン「あなたの恋を応援します!」

 ▼ 1 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/01 21:10:10 ID:gHMsrSQo [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「俺の・・・恋人になってくれませんか」

「・・・はい、喜んで」

寒空の下、開けた公園で。

一世一代、漢の大勝負を行ったエースバーンと、彼の告白を受けたミミロップ。

お似合いの二人を祝福するのは、季節外れの桜。

ミミロップが好きだと言っていた、満開の桜であった。

「ほ、本当に!?嬉しいな、夢みたいだ!!俺、絶対に幸せにするから・・・グスッ」

「も、もう、泣かないでよ!!頼りなく見えるよ?」

「ご、ごめん・・・でも、嬉しくて」

「ふふ・・・私だって嬉しいよ。これからよろしくね?」

「うん、こちらこそ」

そうして二人は手をつなぎ、新たな生活へと舵を切っていく。

世界では今日もどこかで誰かが誰かと恋に落ち、彼らのように結ばれる者たちで溢れている。

時には恋に破れ涙を流す者もいるが、彼らもまたその悲しい経験を糧に成長し、またいつか恋をする。

この物語は、
 ▼ 2 モルー@ユキノオナイト 20/02/01 21:10:59 ID:qx6Euj3U NGネーム登録 NGID登録 m 報告
バレンタインss企画に投稿する予定のssである……!!!
 ▼ 3 ブリム@ハッサムナイト 20/02/01 21:12:04 ID:z/TUll.E NGネーム登録 NGID登録 報告
しえん
 ▼ 4 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/01 21:12:11 ID:gHMsrSQo [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「二人が公園を出たぞ。作戦完了だ!」

「ふぃーお疲れ!!もうイリュージョン解いても大丈夫だよ、たいちょー!」

「はぁ〜、疲れた・・・本当に必要だったか?この桜の演出」

「まあまあ、本人の依頼ですから。それにミミロップさんの心象も悪くはなかったみたいですよ?」

「これのあるなしで結果なんて変わらねーだろうに・・・景色一辺を化かすのは大変なんだぞ・・・」

「まあまあ、エルフーンちゃんお手製クッキーでも食べて元気回復する?」

「どうせまた悪戯だろ、遠慮する」

そんな恋するポケモンたちを応援する彼らの物語。

「それにしても、成功してよかったな!」

「当たり前だろ、俺たち『告らせ隊』が面倒みたんだからよ」


【告らせ隊「あなたの恋を応援します」】
 ▼ 5 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/01 21:15:07 ID:gHMsrSQo [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『カンパーーイ!!』

「いやぁおめでとうエースバーン君!!よっ、本日の主役!!」

「ほんとありがとうございます、皆さん。感謝しても感謝しきれません・・・!」

この日「告らせ隊」の本部でもあるカフェ「SPoooooN」では、エースバーンの祝勝会が行われていた。

「告らせ隊」とはその名の通り、恋するポケモンの背中を押して告白をさせるための組織。

恋に落ちて、それでもその先へ進む勇気を持てないポケモンは不思議とその存在を知り、彼らの依頼を受けた告らせ隊は恋愛相談、告白のプランニング、特別な衣装のコーディネート、依頼者のメンタルケア等依頼者の恋を全面的にバックアップする。

エースバーンもまた、長年募らせた片思いに決着をつけるべく、藁にもすがる思いで「SPoooooN」のドアを叩いた一人。

隊員の献身の甲斐あって恋の成就と相成ったのだ。

「それにしても、デレデレしてたよね〜。告白直後だっていうのに手なんか繋いじゃって、見てたよ〜とろけきった顔!」

「見てたんですか!?告白の現場も!?」

「だってそうじゃないと仕事にあたれないし」

エースバーンに「本日の主役」の襷をかけて弄り倒すエルフーンは隊の元気印で、カフェ「SPoooooN」のウェイターも兼ねている。

恋バナが大好きで人懐っこく、依頼者にとっても話しやすく頼もしい存在だが、それと同時に悪戯好きな面もあり仲良くなった依頼者が彼女にからかわれるのも恒例であった。

「お前当日にやる仕事なんざねーだろーが」

「そんなことないよ!ほら、イリュージョンで疲れるたいちょーのバックアップ的な?」

「サーナイトがいれば事足りるって話だったろ。てか事実お前は二人の様子見てキャーキャー言ってただけだしよ」

エルフーンを諫めるのは隊長でもあるゾロアーク、応用の利くイリュージョンの能力で担当できる仕事は非常に多い。
 ▼ 6 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/01 21:18:00 ID:gHMsrSQo [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だってー!あたしだって沢山頑張って来たのに肝心の決着に立ちあえないのは不公平だよ!!たいちょーとスバっちとサーねぇばっかりずるくない!?」

「告白ってのは見世物じゃないんだけどなぁ」

「でもエルフーンさんの気持ちも分かります。私も仕事とはいえ、思いが報われるあの瞬間はどうしても気持ちが昂りますから」

機動力を活かして情報収集や状況把握を担当するオオスバメと、テレパシー能力で告白対象者の大まかな感情を読み取ったり依頼者のメンタルケアを行ったり、依頼者の恋愛のより円滑な進行を担当するサーナイト。

「てかさー、マスターはいつもお留守番だけど不満ないの?見たくない?告白のシーン」

「私は、自身の娯楽のために皆さんのお手伝いをしている訳ではありませんので」

「ちょっと待ってよ〜!それじゃああたしが、自分が楽しみたいだけでこの仕事してるみたいじゃん!!」

そして持ち前の頭脳で作戦の立案等に協力する、カフェ「SPoooooN」のマスター、フーディン。

他にも隊員はいるものの、主にこの5匹が中心となって「告らせ隊」は組織運営されていた。

「とはいえ、離れて待つ身としては結果が分かるまで心配でしかありません。エースバーン様の告白が無事成功して、本当によかった」

「男たるもの惚れた女は必ず幸せにしてやれよ!」

「私の能力であなたの心を見ずとも、あなたが今とても満たされていることが分かります。どうか今の気持ちをずっと忘れないでくださいね?」

「なんか困ったことがあれば、また来い。一度力になったよしみだ、いつでも話くらいは聞いてやる」

「でも浮気のごたごたとかはノーサンキューだよ!!ここまで色々させといてそんな結末、ちょっと許さないかんね!」

「分かってます!本当に、本当にありがとうございました!!」

立場としては依頼を受ける側ではある隊員たち、だが勿論各々が依頼者の幸せを心から願っており、成功すれば自分の様に喜んで失敗したなら共に泣いて、依頼を完遂する頃には本当の友達と変わりないというのがいつものパターン。

故に依頼者は皆、最後は彼らに感謝して「SPoooooN」を後にする。

そういった評判が決して表立って広がるわけではないが、ふとした拍子に彼らの噂が恋に悩む者の耳へと入るので、告らせ隊に訪れる依頼者は常に絶えなかった。

 ▼ 7 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/01 21:20:09 ID:gHMsrSQo [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
とりわけこの季節はメスポケモンの依頼者が多く、より忙しくなるのだ。

「ありがとうございました!!じゃあ、また明日!」

「ええ、待っていますよ」

「バイバーイ♪それにしてもマスター、あの娘が来るとなんかご機嫌だね」

「そう見えますか?」

後日、この日に「SPoooooN」へ訪れていたのはテールナー。

告らせ隊への依頼は何も「告白をさせてほしい」というものが全てではなく、例えば話を聞いてほしい、相談に乗って欲しい程度のものの方が寧ろ多い。

テールナーの依頼は「彼氏にプレゼントする美味しい手作りチョコレート菓子を教えてほしい」。

世間は間もなくバレンタインデー、それでこの手の依頼も増えてくる。

「彼女は料理の筋がいい、私がお客様になにかメニューを教えることは多いですが、今回は二人で何か新しいスウィーツを考えるに至っていますからね。是非ともウチで雇いたいくらい・・・」

「そこまで込み入った話になってるから連日通いに来るんだ・・・気合いの入りようが凄いなぁ。まああたしもテールナーちゃんの話聞くの好きだから嬉しいんだけど」

バレンタインデー、それは2月14日のことをさし、地域によってその慣習は異なるが彼らの暮す地方では主に「メスポケモンが恋い慕うオスポケモンにチョコレートの贈り物をして思いを伝える日」であった。

既に恋人同士である二人の間で、彼女から彼氏に贈り物を贈るというパターンもあれば、勿論この日を機会に秘めたる思いを伝えようという者も沢山いる。

「バレンタインデーかあ、当日に告白すると考えるとぉ・・・そろそろビッグな案件が飛び込んできてもおかしくないよね?」

「そうですね、まだ多少早い気はしますが、おかしくはないでしょう」

エルフーンの言う「ビッグな案件」とは、すなわちエースバーンの時の様に「告白まで丸ごと協力してほしい」という類の依頼。

カレンダーを見るとまだその日まで2週間以上はあるが、隊を利用しようと考える依頼者は大抵臆病であったり用心深いので、期日まで長く日を取ろうと早めに動き出す傾向がある。

フーディンもエルフーンの意見に同意すると、その直後彼らの話を聞いていたかの様に「SPoooooN」のドアが開いた。

「あ、あの・・・」
 ▼ 8 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/01 21:24:18 ID:gHMsrSQo [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「おう、遅くなったな」

「あ、帰ってきましたよ。この人が私たちのリーダーです」

「遅いよたいちょ〜、今までどこほっつき歩いてたの!?」

「別件にあたってたんだ、お前事情知ってるはずだろ!?・・・で、その子が例の依頼者か。じゃ、話を聞いていいか?」

ゾロアークが本部に帰還し、主要隊員が5匹全員そろった。

ゾロアークは早速依頼者に話を聞こうとするが・・・

「ひっ」

「たいちょー!その子怖がってるよ!そんな怖い顔して名乗りもせずいきなり詰め寄っちゃ可哀そうでしょ!」

「なっ」

出鼻をくじかれエルフーンに抗議の声をあげようとするゾロアーク。

だが、確かに目の前の依頼者は怯えた表情で自分から目線を逸らしている。

「こればっかりはエルフーンが正論だな。コイキングにでもイリュージョンしとけばその子の緊張も和らぐんじゃねぇか?」

「はぁ!?なんでコイキング・・・」

「でも、怖がっているのは本当みたいですよ?ゾロアークさん」

「・・・しゃあねぇな」

オオスバメ、サーナイトにも諭され、ゾロアーク自身も特に反論意見を出せない。

仕方なくここは素直に従ってコイキングにイリュージョン、改めて依頼者に話を促した。
 ▼ 9 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/01 21:27:15 ID:gHMsrSQo [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私、ニャスパーって言うんです。その、私好きな人がいて・・・通ってるスクールの違うクラスの男の子なんですけど」

「違うクラスってことは、同級生だね!キャー♪スクールラブだよ、青春だね!!」

「あんまりはしゃぐなよ、エルフーン。その子が話しづらいだろ?」

「オオスバメさんの言う通りです、なるべく静かに話を聞いてあげましょう?どうぞ、続けてください」

「えっと、その子とは幼馴染で昔は仲が良かったんです、でもどんどん疎遠になってしばらく話もしてなくて・・・でも、私ずっと好きで・・・」

「ああぁぁキュンキュンします!!切ないですねその気持ち分かりますよ私もドラマで見ました!!」

「サーナイトさっき自分がなんて言ったか覚えてるか?」

「しかもドラマって!分かってたまるかってね!!」

「そ、それで・・・お力をお借りしたいなって・・・」

エルフーンやサーナイトの反応に若干引きながらもニャスパーがとりあえずの事情説明を終える。

告らせ隊にとっては定番のパターンと言ってもいい「長年拗らせた片思い」問題、だが依頼者が気弱な女の子であることもあって、皆がすぐに力になりたいと気持ちを同じくした。

「SPoooooN」の扉を開いて自身の思いを語る、それだけであまりに尊く賞賛に値する行為、彼女の勇気に敬意を表して、それまで黙って話を聞いていたゾロアークは口を開いた。

「君が真剣にその恋を叶えたいと思うなら、告らせ隊の名に懸けて・・・俺たちは全力を尽くすと約束しよう。これから頑張ろうな、ニャスパー」

「!!・・・はい!」

ゾロアークの真摯な言葉に感動するニャスパー、だがその姿はコイキングのままなので・・・

「・・・ブフッ」

「おい今なんで笑った」

「だってコイキングが真面目になんか言ってるんだも〜ん」

「なっ・・・!」

「それはコイキングに失礼ですよエルフーン」

「そういう問題じゃないだろう。いや、でも、フフッ、なんでコイキング・・・ハハッ!」

「お前がコイキングに化けろっつったんだろ!!」

エルフーンとオオスバメが笑いをこらえきれず全く締まらない。

イリュージョンを解いてオオスバメを捕まえようとするゾロアークと飛んで逃げるオオスバメ、笑い転げるエルフーンとワタワタと少しずれたことを言いながら彼らをなだめるサーナイト、離れたところでだんまりながら心なしか微笑んでいるフーディン。

「・・・ふふっ、皆さん仲がいいんですね」

そんな彼らの様子にニャスパーはしぱらくポカンとしていたが、その後彼らに釣られるように笑顔を見せた。
 ▼ 10 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/02 19:56:21 ID:tcgQU26k [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「コホンッ、それで、具体的な話に入っていくが・・・その幼馴染だった子に、告白することをゴールと考えて動いていいのか?」

「は、はいっ、できれば2月14日に・・・でも・・・」

ひとしきり笑ったあと、オオスバメが話の軌道を元に戻すようにニャスパーに尋ねた。

ニャスパーはその質問に顔を赤らめながら頷きはしたが・・・

「でも、その・・・ひとつ問題があって・・・」



「オオスバメ、目標は確認できたか?」

「ああ、確認できた。ニャスパーの話と一致するし、間違いないな」

次の日、ゾロアークとオオスバメは早速ニャスパーの通うスクールに出向き偵察を行った。

「告白対象者のニューラと・・・容疑者のルカリオ。確かに、も随分仲よさそうにしていたぞ」

「そうか・・・いや容疑者って言い方はないだろ」

空からスクール内の偵察を行い、任務の遂行対象の姿を確認したオオスバメは、スクールから離れた公園で待機するゾロアークの元へ戻り情報共有を行う。

ニャスパーの片思いの相手は、同じスクールの別のクラスに通うニューラ。

バトルの活動を行うクラブに所属しており、ニャスパーの最初の懸念は「彼がクラブの先輩であるルカリオと仲よさそうにしている姿をよく見ること」。

要するに、既に二匹は付き合っているのではないか、ということであった。

「それくらい自分で・・・聞けたら部外者である俺たちに頼るほど思いつめたりしねぇよな。少し回りくどいし若干ダーティではあるが、やるしかねぇ」

だから今日の彼らの目的は、ニューラの姿を確認しておくこと以上に「ルカリオの恋人の有無」をはっきりさせておくこと。

「・・・なんか探偵みたいなことしてるよなぁ」

「今に始まったことじゃねぇだろ、オオスバメ。同じ感覚でやるにしても、本件と浮気調査とかじゃあ心持ちがまるで違うぜ?」
 ▼ 11 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/02 19:58:10 ID:tcgQU26k [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告

「それで、どうやって恋人の有無を確認するかだが・・・」

続いて肝心の恋人の有無を確認する方法についてゾロアークが議題にあげると、オオスバメはきょとんとした顔で彼に返す。

「ん?いつも通りナンパの体で行けばいいだろ?俺がまた偵察かけてルカリオが校内から出てきたら合図するから、そこをお前が・・・」

「俺にルカリオをナンパしろっていうのか!?」

「慣れたもんだろ?」

なんらかの情報収集を行う際、ナンパを装って当人の口から直接情報を引き出すというのは彼らもよく行う手段の一つであった。

とりわけゾロアークはイリュージョンによって別の姿に化けることができる、非常に低リスクで行えるのでこういった任務は大体彼の仕事だ。

「・・・たまには、お前もやったらどうだ」

「適材適所って言葉があるだろ。目標の動向を探るのは飛べる俺の方が向いてるし、実行するのはイリュージョンのあるお前のほうがいい」

「そもそもニューラの方に探りを入れたら一発じゃ・・・ルカリオがニューラの彼女じゃなくたって別の女がいる可能性もあるだろ」

「告白対象本人に直接接触するのは不要なリスクを生むからなるべく避けるべきだ・・・お前だっていつかの時にそう言ってたろ?ニャスパーの心象的にもよくないだろうし」

「しかし・・・」

「渋る気持ちは分かるが、しっかりやってくれ。それが俺たちの仕事だろ?」

この日のゾロアークはナンパ作戦の決行に随分消極的だったが・・・

「・・・仕方ねぇ」

結局はオオスバメに諭され実行の準備を行うのだった。

 ▼ 12 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/02 20:00:28 ID:tcgQU26k [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「目標が校門を出た。まもなくここまで来るぞ」

「分かった・・・」

数時間後、クラブの活動を終えたらしいルカリオが下校するのをオオスバメが確認。

ゾロアークは、対象との容姿的、性質的相性を考慮してバシャーモの姿を選び化け、早速ルカリオに接触を試みた。

「なあそこの姉ちゃん!ちょっといいか?」

「な、なんですか・・・」

本人の性格とは大きく離れた、チャラ男風のキャラクターを演じるのも最早慣れたもの。

想像していたより少し弱気な風のルカリオに若干腰が引けながら、早速ナンパに移る。

「今から俺とお茶でもどう?丁度そこにコーヒーが上手い店が・・・」

「わ、私彼氏いるので・・・すみません!」

「!!」

想定よりかなり早い段階で彼氏の有無こそ発覚したものの、告らせ隊にとっては望まない展開になってしまった。

彼女に恋人がいなければそこで接触を打ち切ってもよかったが、彼女が「彼氏がいる」と述べた以上その正体を探らなければいけない。

「あ、待って!」

ゾロアークの元から逃げようとするルカリオ、ゾロアークは口では引き留めながらも頭の中では次の作戦を考えていた。

日をまたいでオオスバメに偵察調査をしてもらうか、それをするならニューラの方をはる方がいいか、時間はかかってしまうがその間ニャスパーの方はどうするか。

「おい・・・」

「・・・ん?」

「俺のハニーにナンパとは、ふざけた野郎だなトカサ野郎が!!」

「!?」

そのために第三者から自分に向けられた怒りへ気づくのに随分遅れてしまった。

今にも殴り掛からんとする勢いでまくし立てるのは、スクールの生徒と思わしきゴロンダ。

「あ・・・彼氏・・・さん?」

「そうだよごるぁぁぁぁぁあああ!!!」

「し、失礼したっ!!」

返答と同時にアームハンマーの構えをとったゴロンダから間一髪ゾロアークは逃げ、彼らの死角でその変身を解いた。

 ▼ 13 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/02 20:01:51 ID:tcgQU26k [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はぁ・・・あー、死ぬかと思った」

「災難だったねぇ、トカサ君!相手方は分かんなかっただろうけど、アームハンマー喰らってたら効果抜群だもんね!!」

本部に戻り死んだようにへたり込むゾロアークと、彼の話を聞いてから大笑いで彼を茶化すエルフーン。

特に「トカサ野郎」と罵られたくだりがツボに入ったらしい。

「でもよかったじゃん、その甲斐あって有益な情報ゲット!お手柄じゃん!」

「ああ、あのあとルカリオは怖かったとゴロンダに甘えていたし、彼らは恋人で間違いないだろうさ」

「よかったね、ニャスパーちゃん!」

ゾロアークの持ち帰った情報を裏付ける証言をしたのは、彼が避難した後も二人の観察を続けていたオオスバメ。

これでニャスパーの懸念は解決され、本格的に告白作戦を開始に移れる。

「本当にごめんなさい・・・私のためにそんな目に遭ってまで・・・」

「気にするな・・・」

「そーそー!たいちょーってば結構丈夫だから!さ、いよいよ告白に向けて本格始動だよ!!」

きたる2月14日へ向けて、少しでも告白の成功率を高められるように。

一同は作戦会議を始めるのだった。
 ▼ 14 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/02 20:03:58 ID:tcgQU26k [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
「まずは状況を整理しましょう。ニャスパーさんの思い人は幼馴染の同級生、ニューラさんで、同じスクールの別のクラスに通っていると。会話は久しく行っておらず、それでもニャスパーさんは昔から一途に彼を思い続けている。バレンタインデーにチョコレートと共に彼に思いを伝えて、できれば恋人になりたい・・・そんな感じでよろしいですか?」

「は、はい・・・」

「おまとめご苦労サーねぇ!それじゃあまず、Xデーまでにすべきことをまとめないとね!」

隊員5匹に依頼者であるニャスパーを加えての作戦会議、「ニャスパーちゃんドキ♡ドキ告白大作戦!!」と書かれたホワイトボードをバンバンと叩き、エルフーンが皆の意見を促す。

まずはじめに、ゾロアークが意見を述べた。

「まあ当然だが、チョコレートがいるな」

「ほんっとうに当然だね・・・ニャスパーちゃんはこんな感じのチョコレートがいい!みたいな考えはあるのかな?手作り?手作り?」

2月14日を選んでの告白なのだから、当然チョコレートありきのものになる。

言うまでもないことだろうとエルフーンは少し呆れたが、同時に外すことはできない議題でもあったので、気を取り直してニャスパーの方にイメージを問うた。

「はい、できれば少し凝ったものにしたいな・・・とは」

「それならマスターさんの出番ですね!」

「ええ、喜んで協力します」

「あ、ありがとうございます!」

「マスター、露骨に嬉しそうだな」

「まああれでかなりお人好しだからな、人に料理教えるのが生きがいの一つみたいなこと言ってたし」

ニャスパーは料理にはそれなりに自信があるらしくマスターのテンションも上がる。

 ▼ 15 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/02 20:06:48 ID:tcgQU26k [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
より詳しいメニューの内容はおいおい二人で考えてもらうこととし、続いてオオスバメが渋い顔で話す。

「もともとどれくらい親しかったかは知らないけど、せめて14日までにその頃程度・・・いや、そこまでいかずとも普通に話ができる程度にはもっていっておきたくないか?」

「あー、うーん・・・なかなかシビアなところだね・・・」

いくら昔仲が良かったとはいえ、近年絡みのない人物からのいきなりの告白となると相手が身構えるのも無理もない。

時間はそう無いとはいえ、ステップを踏んでの告白が理想なのは言うまでもないのだ。

ある意味で場数を踏んでいる告らせ隊の一同は、その辺りの事情には聡い。

「勇気を出して、まずは話しかけてみるとか。できそうですか・・・ね?」

サーナイトが優しくニャスパーに問いかけるが・・・

「は、はい・・・」

言葉とは裏腹にニャスパーの表情は随分自信がなさげ。

「真っ先に考えるべきはそこか・・・そう不安そうな顔をする必要はない、俺たちがついてる」

「ゾロアークさん・・・」

「勿論、覚悟はしてもらわないといけないがな。できるか?」

「が、頑張ります!」

「その意気だよ!!フレー!フレー!」

ゾロアークの言葉に、ニャスパーは今度こそ力強く頷く。

そんな彼女を応援しながら、エルフーンはホワイトボードに「アクセサリー等のおしゃれ」「ロケーションと告白の言葉、演出」など、定番の議題を書き連ねるのだった。
 ▼ 16 マズン@ナナシのみ 20/02/03 14:25:24 ID:ZC2U.yR6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 17 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:23:50 ID:e0YAHXaI [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
次の日。

「彼が例の・・・」

「見えたか?サーナイト」

「はい、なんとか・・・ふむふむ、なるほど、そうですかー!」

「な、何が分かったんだ・・・この段階で分かることなんてそう多くはないって話じゃなかったか?」

オオスバメは再びスクールへ偵察に訪れていた。

本日はゾロアークではなくサーナイトを伴って、寧ろサーナイトの案内としての役割がメイン。

告らせ隊におけるサーナイトの役割は「テレパシー能力による感情面のサポート」、サーナイトが定義するテレパシーとは単に思念伝達能力のみを指すのではなく、「他者の心、感情を把握する」能力も含まれる。

読み取れる感情は「楽しい、悲しい」「満ち足りている、不満に思っている」程度のものであるが、状況を整えてしまえば告白対象者が依頼者に「脈アリ」か否かを把握することまで可能になる恐ろしい能力。

サーナイトが計画におけるキーパーソンの「心を見る」ことは大きな意義を持つため、早い段階で彼女が依頼者の告白対象者、その存在を認知するのは恒例であり、この工程は「テイスティング」と呼ばれていた。
 ▼ 18 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:26:30 ID:e0YAHXaI [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「すこぶる健全な精神状態をされてるみたいです、特別気分が高まっているような様子でもないですし、普段からあまり悩みなどもないのでしょうか?」

遠くからまじまじと観察しながらサーナイトは興味深く話す。

「・・・そんなに珍しい心の持ち主なのか?そいつは」

オオスバメもサーナイトのテイスティングには何度も立ち会っているが、彼女がこの時点でこのような反応をしたことはあまり記憶にない。

「もう少し分かりやすく解説してくれるとありがたいんだけどさ」

「そうですねぇ・・・」

サーナイトは少し考えて、例えを挙げて説明した。

「こうして道行く人たちの心を覗いていくと、誰だって多かれ少なかれモヤみたいなものが見えるんです。悩みだとか、憂いだとか。きっと幸せの絶頂の中にいるんだなぁって人を見ても、そういうモヤがある人の方が多いんです。オオスバメさんだって、今そうですよ?」

「ブフッ」

「今のあなたも結構興味深い心の色してますけどね〜。なんでしょう、楽しい感じと緊張のモヤモヤみたいな・・・どういう心持なんです?あ、でもニャスパーさんや今までの依頼者に似た感じかも・・・?」

「お、俺のことはいいだろ!!」

突如名前を出され慌てるオオスバメ。
彼の心をもっと掘りたい気持ちもあったが、オオスバメが勘弁してくれと嘆くのでサーナイトは諦めて説明を再開した。

 ▼ 19 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:28:16 ID:e0YAHXaI [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「エルフーンさんだってマスターだってそうです、ゾロアークさんなんかは特に顕著。きっと私もそう・・・誰だって何かしらの悩みを抱えて生きているものですが・・・今のニューラさんにはそういったものを感じないんです」

「悩みがない?そんな奴いるのか?」

「いないことはないでしょう。珍しいとは思いますが・・・」

先程より近くなった帰宅途中のニューラの心をもう一度覗く。

より鮮明に見えるようになった彼の心の内も、やはり先ほど受けた印象からそう変わらない。

「モヤとなって現れるほどの、目立つ悩みはないのでしょう。とても安定した感情をされていますし、少なくとも恋人相手としてお勧めできないような方ではないですよ」

「そうか、まあそれに越したことはないな」



「見てきた感じ、やっぱり自作自演のナンパ大作戦が安定だと思いました!」

「はぁ・・・やっぱりそれが安パイか」

「はい!ポケモンバトルをやるようですし、あの分なら絶対助けてくれますよ!」

「え、え、自作自演の・・・なんですか?」

サーナイトの視察を終えた上での作戦会議、本日の議題は先日最優先事項として配置した「ニャスパーとニューラを再び幼馴染の頃に近い関係性へ持っていく方法について」。

サーナイトの提案したナンパ作戦は何をするにしても告らせ隊の常套手段である。

 ▼ 20 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:29:53 ID:e0YAHXaI [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ナンパ作戦応用の型、だな!隊員が依頼者にナンパをする振りをして見せて、依頼者はそれを嫌がる。そこへたーまーたーまー通りかかった告白対象者が依頼者を助ける!」

「そこから始まる二匹の恋!キャー!!って感じの鉄板作戦だよ!」

「鉄板なんですか!?」

「通称劇団告らせ隊・・・演技力にはなかなか定評があるのですよ」

若干禁じ手感のある作戦にノリノリの団員たちにまたも引き気味のニャスパー。

贅沢を言える立場ではないと思いながら、流石にこれは・・・と隊長であるゾロアークの方を見ると、彼は軽くため息をついて弁明した。

「時には全く面識のない相手に告白したい、なんて依頼人が来ることもあってな。依頼の達成のために結構強引な手段を取ることもある。君が望まないのであれば別の手立てを考えるが・・・」

全く面識ない相手、と聞くと確かにそれくらいしなければ発展しようもないのかもしれない。

今の自分も似たようなものかと内心自嘲しながら、それでもニャスパーは控えめに答える。

「・・・少し、騙してるみたいで気が引けます」

「ま、そうだよなぁ。俺もほんとはどうかと思うんだよこの作戦。何がどうかと思うって、大抵ナンパ役は俺なんだよ」

「えー、座長の名演技見れないの〜?ざんね〜ん」

 ▼ 21 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:32:57 ID:e0YAHXaI [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そうなると、別の手段を考えなきゃな」

「ごめんなさい、我儘言って・・・」

ニャスパーが自作自演の茶番に難色を示し、議題は振出しに戻る。

「・・・やっぱり、最初の一歩くらいは自分で踏み出さないとですよね。頑張って、話しかけて・・・」

「それに越したことはないが、言った傍から物凄い震えじゃないか」

「なんのきっかけもなしに話しかけるのってハードル高いもんね〜、難しいと思うよ?」

「そうですね、やはりきっかけが必要です。その部分に関しては少し作為的になってしまいますが・・・ニャスパーさん」

勇気を振り絞って動かなければならないという義務感とその行為への不安や恐れとの間で葛藤するニャスパーに、サーナイトはすかさず二の矢を放った。

「こういうのはどうでしょう?」



「こんな感で・・・うん、華やかなギャップがいい感じじゃない?」

「ほ、ほんとですか!?似合ってます?私に、こんな・・・」

翌日の放課後、早速計画を実行するために一同は本部に集合していた。

ニャスパーがニューラと再びの一歩を踏み出すことになる、作戦最初の大一番、エルフーン主導での全力ドレスアップの真っ最中であった。

「情熱の赤いリボンは女の子の勝負アクセだよ!!みんなも似合うと思うよね?」

「はい!とっても可愛いです!」

「きっとニューラも、イメージとの違いに驚いて見惚れるはずだ」

「自信を持ってくださいませ」

「あ、ありがとうございます・・・」

「そろそろスバっちも一端帰ってくるだろうし、あとは心の準備だね!」

「私がついていますから、あまり強張らずにリラックスして会いに行きましょうね!」
 ▼ 22 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:35:15 ID:e0YAHXaI [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
計画内容は至ってシンプル。

クラブ活動を終え下校中のニューラと偶然を装ってすれ違い、その際にニャスパーがニューラとの会話を試みる。

ニャスパーには「親戚のお姉さん」という設定でサーナイトが同行し、会話のきっかけとしてサーナイトがニューラとすれ違う時に肩をぶつけ、即座に彼に謝るというのが理想のムーブであった。

テレパシーの伝言能力により緊張するニャスパーのメンタルケアも問題なく行える。

サーナイトがニューラの足を止めさせたその瞬間にニャスパーが一歩踏み出すことができさえすれば成功の、抜かりのない計画。

「・・・」

「・・・無茶を言ってしまいましたか?」

「いえ、ご、ごめんなさい!!」

「別に謝ることはないさ」

その一歩が、何よりも重い。

それは何も、今回の依頼者、ニャスパーに限ったことではない。

折角「SPoooooN」の門を叩いたはいいが、様々な計画を隊員たちが練った上で終ぞ告白できずじまいで終わってしまう依頼者も複数いたほどだ。

「別に上手くいかなくたって、恥ずかしい思いをしたって、死んじゃうわけじゃないんだよ」

エルフーンがしたり顔でニャスパーを諭す。
 ▼ 23 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:37:12 ID:e0YAHXaI [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だから死んじゃうわけじゃないぞ〜!!って思いながらチャレンジしてみたらどうかな!!」

「なんだそれ!!もっといい感じのこと言うのかと身構えたら、それで終わりかよ!!」

「うるさいな〜、大事な考え方でしょ?ニャスパーちゃんもほら、一回声に出してみよう!はい、死んじゃうわけじゃないぞ〜!」

「えっ?し、死んじゃうわけじゃないぞ〜!」

「死んじゃうわけじゃないぞ〜!!」

「死んじゃうわけじゃないぞ〜!」

「君もエルフーンの悪ふざけに付き合う必要ないからな」

ずっこけるゾロアークを傍目にニャスパーに復唱を強要するエルフーン。

戸惑いながら律義に唱えるニャスパーにゾロアークは憐みの目を向けるが、そんな気の抜けたやりとりのおかげもあってか、彼女の顔に笑みが戻ってきた。

「目標の下校を確認!準備はできたか?」

「は、はい!大丈夫です!」

「偵察お疲れ様です!では早速案内お願いします!」

例の如くスクール付近で偵察を行っていたオオスバメの帰還が計画の開始を告げる。

サーナイトとニャスパーはオオスバメの案内の元、彼が目星をつけたすれ違い地点へと向かった。

「大丈夫でしょうか・・・最初で躓くと後にはつながりませんから、心配です」

「心配しないでいいよマスター!あたしのおかげで大分リラックスできてたっしょ!」

「自分で言うな自分で。まあ、声を出すと緊張がほぐれるのは理にかなっているんだが・・・」

 ▼ 24 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:39:08 ID:e0YAHXaI [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「目標、X地点到達まで約1分、総員準備せよ!」

「ふふっ、楽しそうですね、オオスバメさん」

「・・・すまん、なんかこう秘密の作戦感に男心をくすぐられて・・・。あの曲がり角から姿が見えるはずだ。注視していてくれ」

「イエッサー!」

「自分もノリノリじゃないか!」

オオスバメとサーナイトが茶番を繰り広げるそのすぐ傍で、ニャスパーはやはり緊張の色を隠せない。

この先を占う運命のファーストコンタクトの時が、目前まで迫っているのだ。

(・・・けじゃな・・・ぞ・・・死ぬわけじゃないぞ〜!)

「フフッ!!」

「その顔ですニャスパーさん。さっきまでの表情じゃあまるでお姉さんに予防接種へ連れていかれる妹ちゃんみたいですよ?今日の私たちは仲良し姉妹みたいに映画デートのノリなんですから、和やかにいきましょう!」

「は、はいっ!」

「それと、私の方に心を向けていないと、テレパシーが伝わりにくくなってしまいますから、もう一度その点も頭に入れておいてくださいね?」

「分かりました!」

サーナイトのテレパシーを使った愛のある不意打ちで笑顔をもう一度取り戻し、ニャスパーは気合いをいれてその瞬間を迎えた。
 ▼ 25 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:40:05 ID:e0YAHXaI [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「!!」

(・・・見えましたね、彼で間違いないですよね?)

曲がり角からニューラが姿を表す。

サーナイトのテレパシーによる問いかけにニャスパーは軽く頷いて答えて見せる。

(今日も・・・機嫌が悪いとか、そういうことはなさそうです。堅くなり過ぎずいきましょう)

相手に不審に思われないように軽く心を覗くと、彼の精神状態はこの日もまた安定したもの。

憂うことは何もないとサーナイトはその足を進め、ニャスパーも平常心を意識しながら彼女の隣を歩いた。

そうして、両者がまさしくすれ違う・・・

「キャッ!」

「っ!」

その瞬間、サーナイトが躓くフリをして、凡そ計画通りにニューラと交錯。

「ごめんなさい!」

「い、いえ、そちらこそ怪我はありませんか?」

ニューラの足を止めることに成功した。

(今です!)

サーナイトから合図が出される。

うまくいかなくたって死ぬわけじゃない、今一度勇気を振り絞って、

ニャスパーは彼の名を呼んだ。

「ニュ、ニューラ君!!」
 ▼ 26 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:43:20 ID:e0YAHXaI [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「うぉっ、お、ビックリした・・・って、ニャスパーじゃないか!偶然だな!」

不自然なほどに力み、彼を呼ぶ声はひどく大きくなってしまったが、それでもニャスパーはニューラの名を呼び、ニューラもまた自分の名を呼んで応えてくれた。

会話の成立、あまりに大きな一歩がその瞬間、踏み出されたのだ。

(よし、話を続けるチャンスです!ニャスパーさん頑張って!)

「う、うん・・・えっと、偶然だね・・・」

サーナイトに背中を押され、ニャスパーはさらに会話を発展させる。

「今まで、学校に?」

「ああ、クラブ入ってるからな」

「そ、そっか。えっと、バトルしてるんだっけ?」

「そーそー、結構強いんだぜ?俺」

「そうなんだ!凄いね!」

二人の会話を聞きながら、サーナイトは改めてニューラの観察を行う。

心は、「楽しい、嬉しい」といった感情を示す明るい色が急に増えたような変化が見られ、「思いがけずニャスパーに会ったこと」や「彼女との会話」を快く思っていることが伺える。

そして、以前から隊員たちの間で懸念していたもののここまで確かめる術がなかった「ニューラ側のニャスパーに対するスタンス」。

彼の話ぶりから、しばらく絡みの無かったことによる気まずさなどは感じていない様子で、今後二匹に話す機会を作っても彼はニャスパーに気楽に接してくれるだろうと推測できた。
 ▼ 27 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/03 20:44:38 ID:e0YAHXaI [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ところで、あなたは・・・」

「私はニャスパーの従妹です。今日は一緒に映画を見に行くところなの」

色々と考えていた所を不意にニューラから話を向けられるが、サーナイトは動じない。

寧ろこれを好機と、更に二匹の関係の好転を図る。

「あなたはニャスパーの友達かな?いつもこの子と仲良くしてくれてありがとう!」

「ええ、まあ、こちらこそよくしてもらってます」

「ご存じかもしれないけれど、何かと内気なところのある子ですから、今後とも気にかけてくれると嬉しいわ」

「分かりました」

ニューラに、自分とニャスパーが今でも友達であることを意識付けし、これからも仲良くありつづけるよう「お願いする」ことで今後の二匹の接触が行われやすい状況にもっていく。

そして、最後にとっておきの策を披露してサーナイトは退散するのだった。

「あら、もうこんな時間・・・少しのんびりしすぎたみたい。映画が始まってしまうわ。ニャスパー、私に捕まって?」

「え、う、うんっ!」

「疲れるからあまり使いたくはないのだけど・・・テレポートで移動しましょう!それじゃあニューラ君、失礼します」

「え、あ、はい。よい時間を・・・あれ?」

テレポートによる瞬間移動で消えたサーナイトの跡には、綺麗な薔薇の柄のハンカチが。

「ニャスパーの・・・親戚の人だっけ。あの人が落としたのか・・・?」
 ▼ 28 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:31:28 ID:2E3cdeDo [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
翌日。

「あ、ニャスパー!」

「はい!!」

スクールの休み時間、ニューラがニャスパーの元を訪れた。

「このハンカチ、多分昨日ニャスパーと一緒にいた従妹・・・?のお姉さんが落としていったやつみたいでさ。また会った時に渡しといてもらえるか?」

「う、うん!分かったよ、ありがとう」

彼から薔薇柄のハンカチを受け取りながら、内心ニャスパーは驚いていた。

(凄い、サーナイトさんの予想の通りだ・・・!)


「お帰り〜!無事お話できた?」

「はい、バッチリです。ね?ニャスパーさん?」

「お、おかげさまで・・・」

昨日のサーナイトのテレポート先は、映画館ではなく「SPoooooN」店内。

そのままの流れでその日の作戦のおさらいと今後の作戦会議が行われていた。

「久しぶりにお話してみて、どうでした?」

サーナイトの問いに答えるニャスパーはほっとしたような笑み。

「凄く緊張しました・・・でも、思ってたよりずっとずっと普通に話せた気がします!」

「ええ、私も見ていて予想以上に良好な雰囲気だったので安心していたところです!」

「その分だと、想定してた『最悪のケース』からは程遠かったみたいだね、良かった〜」

「はい、幼馴染の頃の関係はリセットされてないようです。彼もニャスパーさんのことがきっと好き・・・なんて無責任なことはまだ言えませんが、少なくともニャスパーさんと話をしている時ニューラさんは楽しいようでしたから!」

「そうなんだ!いい感じじゃん〜このこの〜!」

二人からの報告を受けてエルフーンは自分のことのように喜び、ニャスパーをウリウリと撫でまわす。

ゾロアークとフーディンもひとまず最初の山場は超えたと安堵。

勿論ここで終わりではないと、早速次の作戦を考えようと話を切り出す。
 ▼ 29 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:32:32 ID:2E3cdeDo [2/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「そんで、次どうするかだが・・・」

「ふっふっふ、私に抜かりはありませんよ!」

そんなゾロアークを制して、サーナイトはどや顔で言った。

「次の手はもう打ってあります!」

「え!?そうなんですか!?」

これには他の隊員だけでなく、先ほどまで彼女のすぐそばにいたニャスパーも驚く。

「帰ったぞ。今日はお疲れだったな、ニャスパー」

「オオスバメさんお帰りなさい!それで・・・」

「ああ、ハンカチなら確かにニューラが拾って帰っていたよ」

「確認ありがとうございます!まさに計画通りです!」

二匹の様子が想定より良好であったことを受けてサーナイトが実行に移した二の矢、それはわざとハンカチを落としニューラに拾わせることで次の二匹の接触の機会を早急に、かつ自然に作るという策であった。

ニューラは恐らくハンカチを持ち主に返す為に、サーナイトと親しい仲であるらしいニャスパーに託しにくる、これでニューラが自らニャスパーに会いに来るというシチュエーションの完成だ。

「話の流れで今日私たちが行った体になっている映画の話になるかもしれません。ニャスパーさんは今上映中の映画で見られた作品はありますか?」

「ハチクマンを見に行きました。面白かったですよ」

「あ、そういうやつ見んのか、意外だな・・・」

「それなら話を繕うのも問題ありませんね。余裕があればニューラさんの好きな映画とかも探っちゃいましょう!」
 ▼ 30 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:34:51 ID:2E3cdeDo [3/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
(サーナイトさんにハンカチ返すとき、ちゃんと感謝しなきゃ・・・)

「それで、昨日は面白かったか?そもそも何の映画見たんだっけ」

「ハチクマンを見たの、面白かったよ!もう一回みたいくらい」

「あーあれか、俺も割と気になってたんだよなぁ。そんなに面白かったか」

ニューラからサーナイトのハンカチを渡され、そのまま昨日の映画の話へ。

おまけにニューラの映画の趣味まで探ることに成功。

サーナイトから授けられた筋書き通りに進み、ニャスパーは思わず笑ってしまう。

「ん?なんかおかしいこと言ったか?俺」

「あ、ごめん、えっと・・・嬉しくて。こうしてお話しできるの」

「なんだよそれ。まあ確かに、言われてみればお前と話すのも随分久しぶりな気がするけどさ」

不審に思ったニューラの追求に思わず本音で返してしまうが、それもまたニューラにとってもあまり悪くなかったようだ。

結局その休み時間の間、彼女らの会話は続き、幼馴染だった二匹の間は更に近くなっていった。


「よーしそこまで来たらあとは映画デートに誘うだけです!!」

「デ、デートですか!?そんな・・・」

その日の放課後にサーナイトにハンカチを返し、進展を話すとサーナイトは意気揚々とデート作戦の実行を宣言。

「サーねぇノッてるねぇ、今のところサーねぇ主導でかなりいい感じだもんね!」

「でもデートに誘うって、ハードルが高くないか?」

ニャスパーの心の声を代弁する様にオオスバメが危惧を伝えると、サーナイトは笑顔でそれを否定した。

「いいえ、簡単ですよ。勿論向こうが乗ってくれない可能性はありますが、『デートに誘う』行為の心理的ハードル自体は、この作戦ならかなり下げられます!」
 ▼ 31 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:35:46 ID:2E3cdeDo [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「え、ほんとに!?なんか申し訳ないな・・・ハンカチ一枚でそこまで」

「大事なものだったみたいで・・・本当にありがとうって伝えてって言ってたよ」

「こちらこそありがとうだよ。やった、今週末に見に行くかな!」

更に翌日に、今度はニャスパーの方から話しかけ、彼女からニューラに手渡されたのは、アクション映画「ハチクマン」のチケット。

「ハンカチを返してもらったお礼」という名目でサーナイトがニャスパーの持たせたものであった。

「それで・・・」

「なんだ?」

「私がもう一回見に行きたいなって言ってたの、サ、サーねぇも覚えてて。その、一緒に見に行っておいでってもう一枚渡されてて・・・よかったら、一緒に行かない・・・かな?」

そのままの流れで映画デートを申し込むニャスパー。

彼に伝えた内容は今までのどんな言葉よりも大きな意味を持つ言葉であったはずなのに、不思議といつもより心も軽く彼に伝えることができた。

「も、勿論迷惑だったらまた一人で見に行くけど――」

「迷惑なわけないだろ、行こうぜ!」

それでもやはり返答が怖くて弱腰になってしまったニャスパーに対し、ニューラは寧ろ歓迎の様子を見せる。

「なんか懐かしいな、一緒に遊びに行くとか何年ぶりだ?楽しみだ!」

「う、うん、そうだね!」

そうして、あれよあれよとデートの約束まで取り付けることに成功したのだった。
 ▼ 32 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:37:51 ID:2E3cdeDo [5/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「凄い凄い!!想像以上にとんとん拍子だよ!!頑張ったね〜ニャスパーちゃん!!」

デート決定の報告に隊員一同は湧きたつ。

「わ、私は何も、サーナイトさんに言われた通りしただけで・・・皆さんも、本当にありがとうございます」

「いえいえ、肝心の場面で勇気をもって言葉を紡ぐ、それはとても大変なことです。御自身のことも褒めてあげてください!」

とりわけサーナイトはご機嫌だ。

ニャスパーはサーナイトに頭があがらないといった様子。

「とはいえ、本当にお手柄だな、サーナイト。今回のケースは今後の依頼者のためにも役に立つかもしれない」

「勿論告白対象者の人柄や、依頼者と対象者の関係性、環境もあってのことですけどね。私も嬉しいです!」

ゾロアークもサーナイトの手腕に関心するばかり。

祝福ムードがある程度落ち着き、そこでニャスパーは再び皆に問うた。

「でも、デートなんて私したことなくて・・・どうすればいいんでしょうか?」

「映画を見に行くんだろう?特別難しいことはないさ。その後のノリでお茶とか、飯に行けたら言うことなしだが・・・とりわけデートに関してはあまり意識しないほうがいいと思うぞ」

「意識しない・・・?」

オオスバメの助言にニャスパーが疑問を浮かべると、他の隊員もオオスバメに同意しながら彼の意見を補足する。

「ほら、ニャスパーちゃんが私たちを頼ってくれてから、どうしても作戦会議だとか計画実行だとか、『やらなくちゃいけない』みたいな事柄が多かったでしょ?それってやっぱり、ちょっと息苦しかったり心に負担がかかったりしちゃうと思うの」

「好きな相手と顔を合わせる、話をする、一緒にいる。それはとても幸せなことなのに、そういうのが積もり積もって自分が好きなはずの相手と一緒にいるのが怖いだとか、辛いだとか、そんな風に思ってしまうこともあるんです」

「相手方と共に長く時を過ごすデートなどでは、その傾向はより顕著です。緊張の時間が長くなりすぎる、あれもこれもやらねばと混乱してしまう、そういった危険性は往々にしてあります」

「いずれは告白につなぐんだ、どうせならもっと好かれたいとかそういう気持ちも分かるが・・・せめて、好きな奴とデートをしている間ぐらいは、その瞬間の楽しさだけに身を浸してほしいと思ってるんだよ」

「楽しさだけ・・・そうですね、楽しまないとですよね!」

隊員たちの言葉を胸に受け、ニャスパーは改めて誓う。

「私、ニューラ君とのデートを楽しんできます!気張らず強張らず頑張らず、その日が一生忘れられないくらいの日になるように!」

「その意気だよ!オシャレはまた見てあげるからね!」

「ありがとうございます!!」
 ▼ 33 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:39:11 ID:2E3cdeDo [6/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
告らせ隊への依頼者、その年齢層は大人から子供まで様々だ。

「いいか、ワンパチ!男ってのは度胸と根性だ!!」

「うん!!」

「度胸があれば好きだと伝えるのは全く怖くない!!」

「とかいいつつ自分はサーねぇに好きだって言えな――」

「根性があれば恋は実る!!!」

「自分の恋を実らせてから言――」

「ちょっと黙れエルフーン。さぁ、向こうで待たせているあの子に、伝えてこい!!」

「うん!いってきます!!」

この日オオスバメとエルフーンが担当していたのはジュニアスクールに入って2年経たない位の年齢のワンパチの告白であった。

最近の子どもはマセているなと驚きながら、彼らの恋模様は大人にとって微笑ましく、眩しい。

「ヨーテリーちゃん!!だいすきです!ぼくとこいびとになってください!!」

「いいよ!わたしもワンパチくんのことすき!!」

「ほんと!?じゃあいっしょにかけっこしよう!!」

「うん!!」

ワンパチの思いに、同級生のヨーテリーはイエスで答え、二匹は仲良く駆けて行った。
 ▼ 34 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:41:38 ID:2E3cdeDo [7/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「だいすきです!いいよ!だってさ〜。大人になってもこれくらい簡単に済んだらいいのにね」

依頼者の告白が成功してよかったとは思いながらも、あっさりハッピーエンドを迎えたワンパチの恋と今まで見てきて様々な恋模様とを比べてエルフーンは少し苦笑い。

「それこそ度胸と根性で全部解決できたらいいのに」

「・・・まあ、否定はしないが」

自分の発言を掘り返されてオオスバメも苦笑いして見せる。

「全ての恋がそう簡単にいくのなら、俺たちがいる意味がないし、そもそも俺たちが集まることもなかっただろう?」

恋に悩む全ての者を応援する、告らせ隊。

その発足の起源もまた、とある恋心が拗れ、燻り続けたことに由来する。

「・・・そうだったね」

エルフーンもまたその起源を思い出し、表情を曇らせる。

「まあ俺たちのやってることなんざただのお節介でしかないし、それが本当に必要なのかどうかは疑問ではあるが・・・」

「実際には恋が簡単に終わるわけないんだから、必要なんでしょ。スバっちだって、きっとそういう助けを必要とするタイプでしょ?」

「お前なぁ・・・」

再三にわたって自分の心の内を弄ってくるエルフーンにオオスバメはタジタジ。

だが、たった今のエルフーンの表情が随分アンニュイで彼女らしくないものであることに気づいて。

「・・・どうかしたか」

「ううん」

文句の代わりに気遣いの言葉をかけるオオスバメ。

「スバっちだけじゃないね。多分、あたしたちみんな・・・ニャスパーちゃんやあたしたちに頼ってくる皆に似たようなところがあって、だからほっておけないんだ」

自分の体の綿をくるくると弄りながら、やはりエルフーンの表情は明るくない。

「・・・マスターにもそういう話があったら、ちょっと面白いな」

「面白いねそれ!どうなんだろ、今度ちょっと問い詰めてみようよ!」

「真偽はどうあれ口を開くわけないと思うが、まあ付き合ってやるよ」

オオスバメがフーディンの名をあげながらおどけてみせると、そこでようやくエルフーンの機嫌は回復した。
 ▼ 35 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:43:37 ID:2E3cdeDo [8/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ただいま〜!」

「戻ったぞ」

「あ、エルフーンさん、オオスバメさん!」

エルフーンとオオスバメが戻ると、そこには創作スウィーツに挑戦中のフーディンとテールナー、そこに混ぜてもらっているニャスパー、そして・・・

「やっと帰ってきた、まったく、折角来たのにマスターしかいないってどういうことさ!」

「お、来てたか」

「ウォーグルじゃん!!久しぶり!!」


「・・・なんだい、それ」

「ぬいぐるみ。今日の報酬だな。依頼者・・・ジュニアスクールの低学年だったんだが、その子の宝物だったんだと」

「宝物寄越してくれたの?太っ腹だね」

「これ、ヨーテリーに見えなくもないだろ?依頼者が自分で作ったんだよ。この縫いぐるみをヨーテリーに見立てて大切にしてたけど、本物の彼女が恋人になったからもう必要ないらしい」

「い、色々な意味で将来有望だね・・・」

ウォーグル、その翼一つで世界を股にかけるバックパッカー。

地元に帰ってきている時は告らせ隊の計画を手伝ってくれる、協力者のうちの一匹だ。

「それで、頼んでた件に進展はあったのか?」

「うん、説得できたよ。今色々と準備をしてるから・・・」

「ほんとか!?助かる、ありがとな!!」

「ほんと、結構苦労してるんだから、もっと労っておくれよ?」

現在はオオスバメからの頼まれごとを抱えており、その経過報告もあって自国と他国を頻繁に行き来していた。
 ▼ 36 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:44:49 ID:2E3cdeDo [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「先ほどからずっといらっしゃって、誰かを待ってるみたいでしたけど・・・オオスバメさんの友達だったんですね」

二匹の会話を遠くから眺めながら、ニャスパーが言う。

「ん?ウォーグルのこと?どっちかっていうとたいちょーの友達なんだけどね」

彼女の発言の内容をエルフーンが少し訂正する。

ウォーグルはゾロアークのスクール生時代の友人で、その縁もあって告らせ隊の業務の手伝いなどを行っていた。

「でも、確かに最近たいちょーと話してるのは見ないなぁ。うちには寧ろ頻繁に顔を出してるのに、なんかいつもたいちょーはいないような・・・?」

「え?喧嘩でもされてるのでしょうか・・・」

思い返せば、最近ウォーグルと話をしているのは、オオスバメやサーナイトばかり。

エルフーンは疑問に思いフーディンに尋ねる。

「マスターは何か知ってる?」

「いえ、特に・・・それより見てくださいお二方!」

質問の答えの代わりにフーディンは、自信作とばかりにチョコレートケーキをエルフーンとニャスパーに見せた。
 ▼ 37 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/04 20:45:48 ID:2E3cdeDo [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「わぁ〜!凄いです!!」

「う〜ん、いい匂い!!食べちゃっていいの?」

「どうぞ、試作品ですから!」

フーディンと共に料理していたテールナーも自信ありげで試食を促す。

「多種多様のきのみで香りづけをしながら、主役はあくまでショコラ・・・味を邪魔してしまわない様に、かなりいい感じに仕上がったと思いますが」

「どう・・・ですか?」

「うーーーん美味しい!!たまりませんなぁ!!」

「ほんとですね!これ、私も教えてもらいたいです!!」

その味はやはり好評、フーディンはそっとやはりそうでしょうと言いながらそっと胸をなでおろす。

「それなら私が教えてあげるね!」

「ほんとに!?」

そしてテールナーも笑顔でニャスパーにそのレシピを教え始める。

「なるほど、テールナーちゃんとのスウィーツ作成にニャスパーちゃんも誘ったんだ」

「ええ、同年代の女子ですから、気が合うかもしれないと思いまして」

「流石マスター、気が利くねぇ!」

いつの間にか仲良くなっている依頼者二匹の様子を見て、エルフーンとフーディンは少し微笑ましい気分になるのだった。
 ▼ 38 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/05 20:11:04 ID:ZayYjFWY [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
日は流れ、ニャスパーとニューラのデート当日。

「こんな感じかな・・・どう思う?サーねぇ」

「そうですね〜、ちょっと分かりにくいので笑ってみてもらっていいですか?ニャスパーさん」

「は、はい!」

「笑えてないよ!!リラックスリラックス!」

待ち合わせの時間まで、ニャスパーはエルフーン達の協力の下メイクアップを行っていた。

「ほら、ニーーーって」

「に、にぃぃ・・・」

「まだまだ表情は堅いですけど、そうですね!メイクはそれぐらいナチュラルな感じのほうがいいと思います、可愛いですよ!」

「ほら男子勢も!どう思う?」

「お前の仕事なら間違いはないだろ」

「ああ、相手方も派手に遊び慣れてるタイプでもないし、それくらいが丁度いいだろうな」

「うしっ、これでオッケー!自信持っていこうニャスパーちゃん!今日は楽しむんでしょ?」

「今日は楽しむ・・・今日は楽しむ・・・」

既にバレンタインデーまでも日がなく、今日のデートが終われば後はチョコレートを作って当日に備えるくらいしかやることはない。

嫌が応にも緊張してしまうニャスパー。

だが、それ以上に、彼女はこの日を何よりも楽しみに生きてきた。

「行けそう?」

「・・・はい、行ってきます!」

「よっしゃ!頑張って!!」

パン、と頬を叩いて気持ちを入れなおし、力強く応えたニャスパーの背中をエルフーンは願をかけるように叩いてやる。

改めて隊員たちに頭を下げ、ニャスパーは待ち合わせ場所へと発っていった。
 ▼ 39 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/05 20:13:03 ID:ZayYjFWY [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「胸いっぱいに広がる緊張と、その中に暖かく漂う嬉しい、ワクワクの感情・・・まさしく恋の色です!ああ、どうかデートがうまくいきますよう・・・!」

「聞いてた時間までまだだいぶあるぞ・・・まあ無理もないか。居ても立っても居られないんだろうな」

「・・・うぅぅ大丈夫かな!?やっぱり心配だよぉ、誰もついてなくて大丈夫かな!?」

残された隊員たちは、やはりそのデートの行く末が気になって仕方がない。

「いけませんよ、エルフーンさん。今回のデートには我々は干渉しないと決めたではありませんか」

「分かってるよマスター!分かってるけど、心配なのは心配でしょ!?」

とりわけ本人のいないところで弱気な姿勢を見せるエルフーン。

一番不安なのは依頼者自身だと分かっているので彼女らの前では気丈に振舞いつづけるが、誰よりも親身となって依頼者に接する彼女はその心配も人一倍であった。

「もし最後の告白が成功したら、その瞬間告白は『最後』じゃなくなる。その後も彼女らの関係は続いていくんだ・・・とりわけこういう場面での過干渉はよくねぇ」

「うん・・・うん、依頼者のためにも、だよね」

ゾロアークがエルフーンを諭す。

隊長である彼は同時に告らせ隊の精神的支柱でもある。

他の隊員が不安に駆られた時などに、それを解消しようと真っ先に試みるのは彼であることが多く、それ故に隊員たちからも慕われているのだ。

「それに、今日は他にもやることがあるだろ」

「ああ・・・正直俺はそっちの方が気が重いよ・・・」

「そろそろいらっしゃる頃ですよね」

続くゾロアークの言葉にオオスバメが憂鬱そうに反応する。

直後、ドアが開き、告らせ隊への依頼者の一匹であるユキノオーが現れた。

「あ、噂をすれば!おっすノオーさん、いよいよ告白の日だね!」

「ほ、本日はどうぞよろしくおねがががが」

「落ち着け落ち着け、そんな調子じゃ告白のセリフまでたどり着かんだろ・・・まあ、今日は頑張ろうぜ」
 ▼ 40 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/05 20:14:46 ID:ZayYjFWY [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お邪魔しまーす!聞いてくださいみな――」

「ウォォォォォォォォォ!!ちくしょぉぉぉぉぉ!!!」

「・・・さ・・・ん・・・」

「あ、あー・・・いらっしゃい、ニャスパーちゃん。今日はお疲れ様〜」

ニューラとのデートを終え上機嫌で帰ってきたニャスパーが「SPoooooN」のドアを開くと、そこには大号泣の大男がいた。

「え、えっと・・・」

「ほら、告らせ隊への依頼者は同時に複数であることもあって、そして告白は絶対に成功するわけでもなくて・・・つまり」

「察してくれ・・・」

「ああ・・・」

エルフーンとゾロアークの言葉と顔色で状況を察知したニャスパー。

一度引き返した方がいいかなと考えていると、再び店内に轟音が響いた。

「ウォォォォォォォォォォ!!」

「どうどう、ユキノオーさん。今日は残念でしたけど、ほら、気を落とさないで。またいいご縁がありますから」

数か月に及ぶ計画の末に遂に告白へと踏み切ったユキノオー、それだけにフラれたショックは大きい。

恋に破れた依頼者のメンタルケアも告らせ隊の仕事の一つ、サーナイトが懸命に慰める。

「あんなにあがり屋で臆病だったユキノオーさんが、勇気を振り絞り告白までたどり着くことができた、それはとても素晴らしいことです。産まれて初めての告白だったのでしょう?」

「うぅ・・・ああ、そうだよ・・・」

「本当に頑張りましたね、きっと、いや絶対にこの経験はいつか活きますから!」

「うぅ、サーナイトさんは優しいなぁ・・・」

サーナイトの必死の献身もあってようやくユキノオーの涙も落ち着く。

「でも、本当においらにいいご縁なんてくるのかなぁ・・・」

「大丈夫ですよ、ユキノオーさんは優しくて大らかな、素敵な男性ですから」

「本当に?」

「嘘は言いません」

そこで少し沈黙がながれ、ユキノオーとサーナイトの目が合った。

どうかしましたか?というようにサーナイトが首をかしげる。

「・・・サーナイトさん、良ければおらと付き合――」
 ▼ 41 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/05 20:16:24 ID:ZayYjFWY [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はいはい酒なら俺が付き合うから、あんま他の隊員困らせるようなこと言うなよな〜」

とここで二匹のやり取りを眺めていたオオスバメが割って入り、ユキノオーを店の外へ連れ出してしまった。

「いたた、ちょ、冗談!冗談だよオオスバメ君離しておくれ〜!」

「冗談言える元気あんなら大丈夫だろ。ほら行くぞ」



「あはは、余裕ないね〜スバっちも。相手は失恋明けで弱ってるのに」

「オオスバメさん、外連れっちゃいましたけどいいんですか?」

「問題ねぇよ、あの二匹も随分仲いいし」

困惑するニャスパーを他所に、一連の流れを見ていたエルフーンとゾロアークは笑いあう。

「そもそもスバっちの気持ちって結局のところサーねぇにバレてるの?バレないわけがないと思うんだけど、サーねぇ心読めるんだし」

「サーナイト曰く、誰が誰を好きだとかまで見えるってわけないらしいがな」

「にしてもだよ。気づきやすいのは気づきやすいはずでしょ?」

「さぁ・・・結局のところ本人にしか分からんな」

「あれ、皆さん私の話されてます?」

「サ、サーねぇ!!」

二匹がコソコソと話しているところへ、ユキノオーが座っていた席の周りの片づけを終えたサーナイトがやってきて、エルフーンは少し慌てる。

「いやぁ、スバっちも手厳しいな〜って。強引にノオーさん連れてっちゃったでしょ?」

急いでてきとうに理由を繕い誤魔化すと、サーナイトはきょとんとした顔でそれに答える。

「あれはオオスバメさんの気遣いですよ。やっぱりお酒を入れて同性同士での方が話しやすいことも多いでしょうし・・・それにどうしても失恋したばかりの方の前ではニャスパーさんも話がしづらいでしょう?」
 ▼ 42 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/05 20:17:46 ID:ZayYjFWY [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「えっ、あ、私・・・」

言われてニャスパーは、ウキウキで今日のデートの話をしにきていたことを思い出す。

「デートは成功したのか?入ってきたときはご機嫌な風に見えたが・・・」

「そうだよ!聞かせてよ!あたしもうずっと心配だったんだから!!」

「ご、ごめんなさい・・・」

「謝らなくていいよぉ!どうだったの?ちゃんと楽しかった?」

「楽しかったです!幸せでした!!エルフーンさんにしてもらったメイクも、ニューラ君『なんか雰囲気違うな』って気づいてくれて。『いい感じだ』って褒めてくれたんですよ!!」

「くぅ〜〜〜!報われる〜!!色々と報われなかった直後だから余計報われるよ〜!!」

「観終わった後はそのまま一緒にご飯食べて、映画の感想とか言いあって盛り上がったんです!なんだか昔に戻れたみたいで・・・」

「楽しかったんなら、よかった。今日は君にとってそれ以上に大事なことは無かったからな」

その後もニャスパーは嬉しそうに今日のデートであった些細なあれこれを話してみせた。

初めて出会った時から最も活き活きしている彼女を見て、ゾロアークたちもまた満たされた気持ちになる。

彼女たちの会話は、数時間後オオスバメがべろべろに酔っ払ったユキノオーを連れ帰ってくるまで続いた。
 ▼ 43 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/05 20:19:40 ID:ZayYjFWY [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「さて、あとはバレンタインデーを待つだけですね。プレゼントするチョコレートは・・・」

「はい、テールナーちゃんから教えてもらったショコラケーキに決めました!マスターさんにも味見してもらって、合格を貰っています!」

「え、味見とか聞いてないよ!?マスター独り占めはずるくない!?」

「前エルフーンさんにも食べていただいたものと同じものですよ。来月には正式にメニューに入れようと思いますから、またいつでも食べられますよ」

「ニャスパーちゃんが作ったものはまた特別でしょ〜?」

「えっと・・・秘密だったんですけど、14日に皆さんの分も作って持ってきますから、それでお許しください・・・」

「ほんと!?やった、ニャスパーちゃん大好き!!」

そうして、いよいよ告白の瞬間が現実味を帯びてくる。

自分から頼んでおいて、「SPoooooN」の扉を開いた当初はまるで想像できなかったその情景も、ニャスパーは今容易に脳内に描くことができた。

「・・・当然ですけど、フラれる可能性もあるんですよね」

告白に失敗し、涙を流すユキノオーを見て、改めてニャスパーに強く意識付けられた、現実。

告らせ隊と出会ってから、全てがうまく行って毎日がより楽しくなったけれど、この恋の終わりがハッピーエンドの保証などどこにもないのだ。

「怖い?」

「はい・・・」

エルフーンの問いに、ニャスパーはうなずく。

「・・・こればっかりは、やっぱり絶対に大丈夫なんて言えません。私でも、心を操ることまではできませんし、そんなことができてしまったら、この世から恋が消えてしまいますから」

「必ずうまくいく恋なら、恐れも楽しみも何もない、我らも、いらない。すっかり私たち皆の口癖になってしまいましたね」

サーナイトが、フーディンが、彼女の気持ちを痛いほどに分かりながらも、その恐れに対し自分は無力だと言葉を紡ぐ。
 ▼ 44 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/05 20:21:10 ID:ZayYjFWY [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・告白の前からフラれた時のことを考えるのは、ほんとはよくなくてあたしも嫌いなんだけど」

それでもエルフーンはニャスパーを勇気づけるために、彼女の目を見て言い聞かせた。

「失恋の経験もいつか自分のために活きるっていうのは、何もサーねぇがノオーさんを元気づけるために言ったでまかせじゃないんだよ。君があたしたちと一緒に踏み出した、一歩一歩の勇気は無駄になるはずがない」

「・・・」

「そんでもって、うまくいかなくたって死ぬわけじゃない!!じゃあもう砕けるのも覚悟で当たるしかないよね!!ダメならあたしたちが一緒に泣いてあげるし、話も聞くし、成功したならみんなでパーティだよ!!」

「・・・えへへ、ありがとうございます。私、皆さんの力を借りて本当によかった。それは、告白がうまくいってもいかなくても同じですから!」

「嬉しいこと言ってくれるな〜このこの〜!たいちょーにも言ってあげてね、きっと喜ぶからさ」

「はい!!」

何度心に弱さがつけいっても、その都度エルフーン達が強い言葉でその弱さを打ち直して自信に、力に変えてくれる。

そうしてニャスパーは遂に覚悟完了し、あとは2月14日の日を待つだけ。
 ▼ 45 日ゴロゴロンダ◆XTk1MeLTks 20/02/06 15:25:15 ID:e6DUK0NY NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 46 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/06 23:34:39 ID:WZIwi3zs [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
そのはずだった。

「あれ?ニャスパーちゃん」

バレンタインデーの3日前となったこの日、隊員たちはニャスパーがこの日、本部へ姿を見せるとは聞かされていなかった。

それ故彼女の来訪にエルフーンは驚き、要件を伺おうと彼女に近づいた。

「今日はいったいなん・・・の・・・」

「・・・エルフーンさん・・・」

そこで彼女の表情を見て、更に驚く。

その瞳から、涙が流れていたから。

「・・・本当に、どうしたの?」

「・・・ニューラ君が、女性に抱き着かれているのを見たんです」

「え・・・」

「きっと、彼女です・・・」
 ▼ 47 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/06 23:35:21 ID:WZIwi3zs [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あれが、そうか?」

「間違いないだろ?告白対象のニューラと、その隣で親しそうなマニューラだ。全く我ながらよく見つけられたもんだぜ・・・」

「そもそも今日も二匹一緒にいる保証なんてなかったからな、限りなく望み薄だと思っていたが・・・」

翌日、オオスバメの必死の偵察によって告白対象のニューラと、その隣で楽し気に話すマニューラが発見された。

ニャスパーの話では昨日下校していた所、偶然ニューラを見つけ、

少し距離があったが声をかけようと駆け寄ろうとしたところ、彼の元に見知らぬマニューラが現れ出会いざまに彼に抱き着いたのだという。

昨日のニューラは珍しくクラブに参加することなく、放課後早々に急ぎ足で帰っていたとのことで、ニャスパーはそれを「彼女との待ち合わせのためではないか」と回想していた。

その現場に直面した瞬間ニャスパーは頭が真っ白になり「SPoooooN」へと駆けこんだ為、隊員一同は「まだ恋仲だと決まったわけではない」と励まし、それを証明するために今日の計画を行っているのだが・・・

「状況証拠的には限りなくクロだよな・・・そもそも、寧ろ今日も一緒にいるのが余計恋仲臭い」

「ニューラとマニューラだろ?姉弟の線もある」

「思春期の姉弟が往来で抱き合ったりするかね」

「・・・どうせ、あとではっきりさせるんだ。どうこう言う必要ねぇだろ」

オオスバメは内心諦めムード。

ゾロアークも口ではそう言うが、手でも繋がれようものなら終わりだと、祈るような思いでニューラ達の様子を見ていた。
 ▼ 48 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/06 23:35:51 ID:WZIwi3zs [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「何話してるか聞こえるか?」

「いや・・・さっぱりだ」

会話の内容までは暴くことはできないまま二匹の尾行は続き、遂にはどちらかの家と思わしき場所に到着。

「マニューラの方に中に入られたら、張り込みか?いよいよ犯罪臭いよなぁ」

「法律を守るより若人の恋を守れの精神だ。なんならお前はもう帰ってくれてもいいが?」

「お言葉に甘えたいところだが・・・いや、入るのはニューラの方だけっぽいか?」

家の扉を開けながらなにやら会話をするニューラとマニューラ。

その後マニューラをその場に残したまま扉が閉じた。

「さて、どうする?またナンパか?」

「それ以外に手はないだろ」

マニューラ相手に適した姿にイリュージョンを行おうと準備するゾロアーク。

そこへ、

「!?伏せろゾロアーク!!」

「なにっ!?」

氷の礫が飛来した。

「なんだっ、攻撃か!?」

「ああ・・・マニューラに気づかれてたらしいぞ!!」

かわしきれずダメージを負うゾロアークを庇うように前に出るオオスバメ、それを睨みつけるマニューラ。

彼女の眼光の鋭さにオオスバメは冷や汗を流す。

「さっきからコソコソコソコソつけてたみたいだけど、一体何が目的なんだい?」

臨戦態勢を維持したまま、マニューラはオオスバメに向かって吠えた。

「何者かは知らんが、あたしの息子には手を出させないよ!!」

「む、むすこぉ!?」
 ▼ 49 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/06 23:36:21 ID:WZIwi3zs [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「あははははは!まさかあたしとあの子が恋人に見えてたとは、傑作だね!」

「いや、ほんと、お騒がせしました・・・」

マニューラの正体がニューラの母親であると判明するや否や、ゾロアークとオオスバメは
自分達の正体を明かし必死で弁解、ひとまずニューラに話を聞かれぬよう場所を変えてもらった。

「それにしても、うちの息子に片思いしている女の子かぁ。あの子も角に置けないね。あたしが話を聞く限りだと、女っけなんて全くない子だったのに」

彼女はプロのポケモンバトルのファイターで、海外で単身赴任で暮らしていた。

そのためニューラは父親と二匹で暮らしており、彼女が帰ってくるのは極まれであったため、幼馴染のニャスパーも彼女の存在を知らなかったようだ。

有力なファイター故にゾロアークたちの高度な尾行にも気づいたが、彼女の暮している地域の大らかな風土に馴染んだ故にゾロアークたちの話を聞くと簡単に心を許してしまった。

息子へのハグも数年ぶりの再会の喜び余ってのことだとか、海の向こうではそういった行動も珍しいことではないと説明された。

「いやぁ、いいことじゃないか。人様の恋のために全力を尽くす!あたしはそういうの嫌いじゃないよ」

「そう言ってもらえると助かります・・・」

大っぴらには明かせない告らせ隊の行動の数々は大体が当事者にバレることなく遂行されるが、その一方でいざバレると言い訳のしようがない。

マニューラからの攻撃を受けた時は相当に焦りを覚えたゾロアークたちであったが、彼女の呆れるほどのおおらかさにひとまずは命拾いをしたとほっと息をついた。

なにはともあれ、ニャスパーにいい報告ができそうだという意味でも。
 ▼ 50 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/06 23:36:39 ID:WZIwi3zs [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
「でも、悪いね・・・その子には申し訳ないんだけどさ、その恋の行く先は苦いものかもしれないよ」

そう油断したところで、マニューラの言葉が彼らの安堵を打ち砕いた。

「4月から、あたしの家の方で家族そろって暮らすことになってんだ。今あたしがこっちに来てんのも、その手続きとか調整とかのためでさ」

「そ、それって・・・」

「ニューラ君は、4月には海外の方に行ってしまうということですか?」

「ニューラも将来、あたしみたいにプロの世界でバトルをやりたいと言っててね。あたしのコネもあって、よりレベルの高いジュニアクラブで練習を見てもらえることになって・・・そのまま、向こうでずっと暮らすことになるかもしれない」

「向こうで・・・ずっと・・・」

「前々から話は出てて、あの子も楽しみにしてたんだけど、先日ようやく話がまとまったんだ。まだ友達には、話してないって言ってたよ」
 ▼ 51 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/07 19:58:04 ID:LwxwQ1g6 [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・以上が、今回の調査で得られた結果だ・・・」

「・・・・・・」

「ニャスパーちゃん・・・」

本部へ帰還後、ゾロアークたちは誠実に、正確にマニューラの正体とニューラの海外移住の予定について話した。

ニャスパーは話を聞いて暫くは口を閉じたままであったが、

「・・・あはは、お母さんだったんですね。ごめんなさい、私ったら・・・そそっかしくて臆病で、こんな勘違いばっかり・・・」

やがて自嘲気味に笑いながら隊員たちに謝罪をした。

「でも、随分若いお母さんですよね。そう言えばお父さんも若い方だったかなぁ」

「大丈夫ですか、ニャスパーさん・・・」

「そっか、バトルのために海外に・・・凄いことですよね、夢に向かってそんな大きな決断を。スクールのクラブも頑張ってたし、応援してあげないと」

「ねぇ、ニャスパーちゃん?声も身体も震えてるよ、一回・・・」

「なんだか、幼馴染として誇らしいな。今のうちにサインとかもらっておいた方がいいのかな?」

そして気丈に振舞い続け、でも限界が近いと自分でも分かって、

「・・・今日は、ほんとご迷惑をおかけしました。私はこれで・・・」

皆の前から逃げるように帰ろうとドアに手をかけた。
 ▼ 52 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/07 19:58:43 ID:LwxwQ1g6 [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「待て、待つんだ」

そんな彼女にゾロアークが声をかける。

「・・・でも」

「一人になりたいっていうなら止めないが、君はそういうタイプの子ではないだろ?悲しくて泣きたいんなら、ここにいればいい」

「あたし、昨日も勘違いで泣いちゃったのに、皆さんに迷惑かけちゃったのに・・・」

「迷惑なわけあるか。今の君を、一人にはできないだろう。皆も同じ気持ちだ」

「今、今泣いちゃったら、ニューラ君に申し訳なくて・・・彼の夢を、応援してあげないといけないのに!!」

「ひとしきり泣いてから、応援してやればいい」

「・・・うう、うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

人前で、声をあげて泣いたのは、ニャスパーにとって初めてのことであった。

彼女が泣き止むまで幾十分の時を要したが、告らせ隊の一同は皆が温かくニャスパーをずっと見守り続けていた。


「落ち着いた?ニャスパーちゃん」

「は、はい、おかげさまで」

「そのようですね、泣くことは大事なんですよ?涙は心のストレスを流してくれるものですから」

ようやくニャスパーが泣き止んで、少しスッキリした彼女の表情に一同はひとまず安心する。

「でも、こんな形で終わっちゃうなんて、ちょっと予想してなかったから・・・やっぱりショックですね。何年も動き出さなかった私が悪いんですけど。会えなくなるってことですもんね・・・まだ彼女がいて諦めるしかないってなったほうがよかったかも」

かといって、悲しい出来事は悲しいまま変わらない。

切なさを表情に残したまま、ニャスパーは呟く。
 ▼ 53 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/07 20:00:40 ID:LwxwQ1g6 [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「遠くに離れちゃうんじゃ、告白しても意味ないですもんね」

「そんなことないだろ」

直後、ゾロアークは思わず零したように反論した。

「え・・・」

「・・・まだ君の恋は、終わっちゃいないだろ」

「お、おい、ゾロアーク」

即座にオオスバメがゾロアークを制す。

「そりゃ、遠距離恋愛だってないわけじゃないんだろうけど、それは各々の価値観によるところが多いだろ?事情が事情だし、告白を強要するのは俺たちの趣旨からは外れる」

「ニャ、ニャスパーさん自身がそれでも告白したいというのなら話は変わりますが・・・仮に告白が成功しても一月ちょっとでさよならは辛いですよ?離れ離れになっても相手に思われ続けるには、時間が少し短すぎます!」

サーナイトもオオスバメに賛同しながら、同時にニャスパーの意思を確認する。

この状態で告白するという考えが彼女には元々なかったようで、少し考えてニャスパーは自分の考えを述べた。

「・・・これから向こうにいって、本気で頑張ろうとしてる彼の負担になるようなことは避けたいって思いが強いです。私の告白が、思いが、彼にとって重荷になるのは本意じゃないですから」

「・・・お気持ちは重々理解できます。負担になってしまうと恐れるのは、当然のこと。ゾロアーク、貴方も彼女の考えは痛いほど理解できるのでは?」

「フーディン・・・」

フーディンからの鋭い指摘。

「・・・だからこそ言ってるんだ」

ゾロアークは自分の心の奥を掘り返すように、ニャスパーにそれでも思いを伝えるべきだと説く。
 ▼ 54 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/07 20:01:48 ID:LwxwQ1g6 [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
『見送りなんていらないと言ってあったのに。ほら見ろ、わざわざここまで来てくれるお人好しなんてお前だけだぞ?』

「・・・彼を応援したいという、君の気持ちは決して嘘じゃないだろうさ」

『うるせぇ、こういう時はただありがとって言っときゃいいんだよ』

「でも、俺たちの心ってのは、案外弱くできてるもんなんだ」

『ははは・・・ありがとう、ゾロアーク・・・じゃあ』

「あいつのために、これでよかった・・・そう思っても、伝えられなかったものってのはずっと、ずっと自分の心の中に居座り続ける」

『・・・っ、ルカリオ!!』

「言えなかった後悔は年を経るごとにずっとずっと大きくなっていくんだ」

『・・・なんだ?』

「俺は、君にそんな思いをしてほしくない。こんだけ頑張ってきたんだ、君の中に『せめて気持ちだけでも伝えたい』という思いが少しでもあるなら、君自身のために、君は告白をするべきだ」

『・・・なんでもない。向こうでも頑張れよ』

「君は、思いを伝えるべきなんだ」


熱のこもったゾロアークの言葉に、ニャスパーは思わず呑まれる。

オオスバメは頭を抱え呆れながら、サーナイトは困ったように笑いながら、フーディンは彼らしいと目を瞑りながら彼の話を聞いていた。
 ▼ 55 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/07 20:02:43 ID:LwxwQ1g6 [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「は〜〜言うと思った!ほんともう、たいちょーはしょうがないよね、そういうとこ」

彼が話を終えたのを確認して、エルフーンは悪態をつきながらゾロアークを小突く。

そしてニャスパーの方に向き直り、彼をフォローした。

「でもね、たいちょーがニャスパーちゃんのことを思って言ってくれたのはほんとだよ、あたしが保証する。成功のメリットも分からないような告白に意味を見いだすか見いださないかは君次第だけど、どう思うかな?」

「私は・・・そんな、私の自己満足の告白を、してもいいんでしょうか?」

許しを請うように問うニャスパーに、エルフーンは答える。

「当たり前じゃん!恋に落ちたら、それが実るまで自分のことだけ考えて動けばいいんだから。相手のことを考えるのは、実ってからでも遅くないと思わない?なんて、ほんとにそんな風に動けたら楽なんだけど」

「・・・そう、ですね。それなら、私は・・・」

エルフーンの答えを受けて、もう一度ニャスパーは考え込む。

長く、深く、自分がどうしたいか、自分に何ができるのかを考えて、そして、

「・・・ごめんなさい、ゾロアークさん」

ゾロアークの方へ向き直り言った。

「もう一個、もう一個だけ、我儘を聞いてくれませんか」
 ▼ 56 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/07 20:03:09 ID:LwxwQ1g6 [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
バレンタインデーの前日。

「おっ、ニャスパー。どうしたんだ、こんな時間まで」

クラブ活動を終え下校しようとしていたニューラは、校門の傍で誰かを待っているようなニャスパーを見つけた。

「・・・ニャスパー?」

声をかけても、ニャスパーは一切言葉を話さない。

「おっ!?」

代わりに一枚の手紙を強引に彼に手渡すと、そのまますぐに逃げてしまった。

「な、なんだったんだ?いったい・・・」

ニューラがもらった手紙を見ると、そこにはこう書かれていた。

『明日のお昼に、昔一緒によく遊んだオボンの実の成る大木の公園で待っています。渡したいものがあるので、どうか来てください』
 ▼ 57 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/07 20:04:23 ID:LwxwQ1g6 [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お疲れ、たいちょー」

「ああ・・・」

「地味に、女の子の真似しても違和感なく振舞えるの、凄いよね」

ニャスパーの姿をイリュージョンで真似たゾロアークが役目を終え校門から出ると、外で彼の帰りを待っていたエルフーンがゾロアークを労った。

『やっぱり私は、思いを伝えたい。ずっと抱えた思いだから・・・でも、今のまま彼と顔を合わせると、逃げてしまうかもしれません・・・逃げ場を無くしたくて、この手紙を私のフリして彼に渡してほしいんです』

「逃げてしまうかもしれない・・・か」

ニャスパーから頼まれる際に、彼女が発していた言葉をゾロアークは口に出す。

「俺の、エゴだっただろうか」

「エゴだよ、ほんとに!ニャスパーちゃんに過去のたいちょー自身を重ねたんでしょう?」

『私は、心理学問をもっと勉強していきたいと思っているんだ。だから卒業したら、海外のネクストスクールに通おうと思ってる』

『海外の・・・』

『心理学問の最前線を走るアカデミーなんだ。そこで私はきっと・・・』

エルフーンに鋭く指摘され、ゾロアークは何の言い訳もできない。

共にスクールに通い、共に学んだルカリオに。

長年恋をしながら、遂に伝えることができず。

今なお拗らせ続けている、そんな自分の失敗体験を、ゾロアークは確かにニャスパーに重ねていたのだ。

「でも、まあ、悪くはないんじゃない?」

複雑な心境ながらも、エルフーンはそれ以上に彼を批判しない。

「たいちょーが、そうやって拗らせてモヤモヤしてたの、あたしもずっと見てたし。そうまでして同じ子をしか思い続けられないのも、ずーっと見てたし。ニャスパーちゃんに同じ目に遭ってほしくはないし」

「・・・あとは、本人が後悔しない結末になってくれたら」

「そうだね・・・」
 ▼ 58 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/10 18:36:32 ID:LdvUuLCk [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ニャスパー、待ったか」

「ううん、ごめんね!わざわざ」

そして、2月14日当日。

約束の時間の通りにニューラはやってきた。

この日に呼ばれることの意味を、分からない男子などそうはいない。

「あの・・・これ。バレンタインだから・・・」

「ああ、ありがとな」

可愛らしい袋に入れられたとびきりのショコラケーキが、ニャスパーからニューラの手へと渡る。

その後、少しの沈黙が流れて。

いよいよ、伝えなきゃ。今言わなきゃ。

ニャスパーの様子から何かを察して、その場を去ろうとしないニューラに、長年抱えた思いを、ここで。

『言えなかった後悔は年を経るごとにずっとずっと大きくなっていくんだ』

頭の中、鮮明に流れるのはゾロアークの言葉。

『君は、思いを伝えるべきなんだ』

「あのね!!」
 ▼ 59 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/10 18:37:54 ID:LdvUuLCk [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「私、ニューラ君のことが好き、ずっと好きだったの!いつからそうだったのか、思い出せないくらい昔から・・・」

「・・・そう、だったんか。ありがとな、嬉しい」

後悔だけはしたくないと、叫ぶように語られ始めたその思いは次第にしりすぼみになっていったが、それでもニューラには確かに届いた。

告白をした、彼に好きだと言えたのだ。

目の前でニューラは少し照れたような表情をしている、自分の言葉の指すところは確実に伝わっているのだと察する。

「・・・ニューラ、君・・・」

いや、照れだけではなくて。

言いにくいことがあるとか、申し訳ないと思うとか、バツが悪い、困っている、悲しい、そんな感情を示すような淡い色の表情だからこそニャスパーはそう察することができたのだ。

「・・・悪い、ごめんな」

続いた彼の言葉は、容易に予想の出来た内容のもの。

それでも、ここまで刺さる物なのか。

驚きを伴う悲しみがニャスパーの胸を引き裂く。

「俺は、今はバトルのことしか頭に無くて。恋愛とか、そういうのはよくわかんねぇや」

「うん・・・」

「それに、4月には俺、海外のスクールに転校するんだよ。だから、思いには応えられない」

「・・・うん・・・」

本人の口から改めて告げられた、近くに居られる期限。

あれだけ散々泣き腫らしたのに、まだまだ泣けてきそうだと。

そんな姿を彼に見られたくなくて、ニャスパーは必死で耐える。

「・・・一緒に遊びに行ったりとか、久しぶりに仲良くできてさ、俺は嬉しかった。ニャスパーがよければ、残りの時間も友達としていてくれたらって、思うんだけど・・・」

「・・・うん、これからも、ニューラ君が向こうにいっても、友達でいるよ。ずっと、ずっと」

「・・・ありがと」
 ▼ 60 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/10 18:38:37 ID:LdvUuLCk [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ニューラがその場から去り、しばらくしてオオスバメが飛んできた。

それは、告白対象者が公園から出た合図。

「ニャスパーちゃん!!」

「エルフーンさん・・・あっ」

エルフーンがニャスパーの元へと駆けていき、そのまま彼女を抱きしめる。

サーナイトも、オオスバメも、ゾロアークも。

皆が彼女のことを心配するように駆けてくる。

「皆さん・・・大丈夫ですよ、分かってたことですから」

エルフーンの腕の中でニャスパーはそう強がってみるが、

「大丈夫でも、こうしてていいでしょ?」

彼女の震えをその身に感じるエルフーンはそのまま、決して暫くニャスパーの体を離さなかった。

「・・・今はもう、月並みのことしか言えねぇけど・・・きっと、これでよかった、これでよかったって思える日が来る。本当に頑張ったな、ニャスパー」

「はい・・・」

「本当に、お疲れ様でした。最後まで頑張ったあなたを、私は誇りに思いますよ」

「そんな、誇りだなんて・・・」

「マスターが、ニャスパーのために気合い入れて色々と作ってたからさ。落ち着いたら、みんなで帰ろう」

「わぁ、それは楽しみですね・・・」

「ニャスパーちゃん・・・」

「・・・もう、どうしてエルフーンさんが泣いてるんですか・・・あなたのせいで、私も、泣いちゃう・・・」

そうして、やはり数十分の間一同はそこを動かなかった。
 ▼ 61 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/10 18:39:06 ID:LdvUuLCk [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・今まで、本当にありがとうございました」

その後ニャスパーと告らせ隊は「SPoooooN」で外が暗くなるまでパーティの様に仲良く沢山の料理を囲んだ。

恋の終わりは、依頼の終わり。

ここ最近の様に彼らが頻繁に会うことはなくなるのだ。

「うう〜、やっぱり最後は寂しいよ!またおいでよ、いつでもおいでよ!普通にお茶とか飲みに来てね!」

「勿論です!!」

エルフーンにウリウリと撫でられるのにも慣れたニャスパーがそう答えると、一同も彼女に釣られて笑顔になる。

「よかったです、今この時に、そうやって笑ってくれていて」

「本当にな。笑えてさえいたら、次に向かうこともできるからな」

「次・・・ですか・・・」

オオスバメの何気ない言葉の一節に触れて、ニャスパーは少し考え込む。

「他の誰かを好きになることなんて、あるのかなぁ。想像つかないです」

「そうすぐに想像しなさいと言われても難しいでしょう。暫くは彼を思ったままでも、案外コロっと別の誰かに惚れてしまっても、そのどちらも間違いや悪ではないですから難しく考えることはありませんよ」

「マスターの言う通りだ。理屈で恋なんてできないだろう?」

「それもそうですね!」

フーディンとゾロアークの言葉を受けて、それはそうだとまた笑うニャスパー。

もう一度ゾロアークたちに深く深く頭を下げて、満足そうに「SPoooooN」を後にした。

「もう一度恋に悩むことがあったら、また皆さんのお世話になりますね」

「あはは!次は一人でも大丈夫だと思うけど〜?」

「まあ、いつでも歓迎する。俺たちはいつでも、君の幸せを願っているよ」
 ▼ 62 レビィ@ドラゴンジュエル 20/02/11 01:16:38 ID:gyWESgOU NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
これはいいss
 ▼ 63 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:06:43 ID:3DDAOAy2 [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・で、あれで本当によかったのか?」

「どういう意味だ?」

「ほぼほぼフラれると分かった上で、告白させたことだよ」

バレンタインデーが終わるまであと4時間程。

所用で席を外しているサーナイト以外の隊員たちは店内の片づけ等をしながら今年のバレンタインシーズンを回想していた。

「最後は本人の意思に任せた・・・って言っていいのか、正直微妙なところだぞ」

「まあまあ、たいちょー自身もニャスパーちゃんの考えを誘導させちゃった自覚はあるみたいだし、ニャスパーちゃんも最後笑って帰ったじゃん?あたしはあれでよかったと思うよ?」

未だにゾロアークのエゴのようなもので決行されたニャスパーの告白がしっくりきていない、といった様子を見せるオオスバメ。

エルフーンはどうどうとオオスバメをなだめるが、

「その方が彼女にとってもいいと、そう思ったのは本当だ。言えなかったことの辛さは、俺が一番知っている」

「そこがおかしいって言うんだよ」

ゾロアークの弁明に更にオオスバメは噛みついた。

「お前は、正に自分が今回みたいなケースの当事者だったって口ぶりで物を語るけどよ、お前自身は今回の依頼者のように告白を行ったほうの経験はないだろう。いったい何をもって告白をするべきだなんて言えたんだ?」

「えーーーそんな鋭利な正論ぶつけちゃうの!?」

恋をする幸せの裏には、恋に破れる悲しみ、辛さがいつだってついてくる。

思いを告げられず恋をこじらせることは辛くとも、自身の思いを拒絶される機会から逃れられるその選択は全ての恋する者にとって、時には魅力的に映るだろう。

面と向かって「NO」と告げられる、死にたくなるほどの悲哀、喪失感、虚無。

その憂き目にあって壊れてしまう者だって、時にはいる。

「それは・・・その通りかもしれんが」

いつになく厳しい口調のオオスバメにゾロアークは圧せられながらも、理屈もない反論を行う。

「それでも俺は、告白という行為は尊いものだと思いたい。失敗したなら俺たちがフォローに回る、俺たちを頼ってくれた依頼者の恋に決着をつけれやるのが俺たちの役目だ!」

「・・・ああ、俺も同じ思いだ」

「え?」
 ▼ 64 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:07:47 ID:3DDAOAy2 [2/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
オオスバメの呟きにゾロアークが呆気にとられると、次の瞬間に勢いよく「SPoooooN」のドアが開いた。

「マスター!お客様捕まえてきましたよ!」

「やぁマスター、二人なんだけど大丈夫かな?」

「ええ、大丈夫ですよ。ゆっくりしていってください」

「お帰り、サーねぇ・・・ってウォーグル!?どうしたの、こんな時間に・・・」

やたらご機嫌なサーナイトと共に入ってきたのは告らせ隊にとっても馴染みあるウォーグル。

最近来ることが多かったとはいえ、突然の来店にエルフーンは少し驚くが、その隣で比較にならない程の驚愕の表情を浮かべる者が一匹。

「・・・は?なん、で・・・」

「・・・やぁ、久しぶりだな、ゾロアーク」

ウォーグルの後ろから、少し間を取って入ってきたのは、ゾロアークが長年拗らせてきた恋の相手、ルカリオそのものであった。
 ▼ 65 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:08:38 ID:3DDAOAy2 [3/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「え、え!?彼女が例の!?」

「例のって・・・私のこと変に噂したりしてたのか?」

「し、してねぇよ、別に!ウォーグルがよくうちに来るからその流れで話題に出したりしてただけで・・・」

目に見えて慌てるゾロアークにオオスバメやウォーグルは笑いをこらえることができない。

サーナイトやフーディンは、ゾロアークにとってのキーパーソンの突然の登場にさして混乱する様子もなく、その辺りでエルフーンはようやく合点がいったとオオスバメに耳打ちする。

「もしかして最近忙しくしてたりウォーグルと会ってたのって、このため?」

「ああ、そういうことだ」

「なるほどね・・・どうりで、さっきも様子がおかしいと思ったんだ。サーねぇのテレパシーを使って店内に招く合図を出したんでしょ」

「ああ、本当に便利な能力だよな」

ルカリオを呼ぶ計画が自分にだけ伏せられていた理由も、エルフーンはなんとなく理解できる。

だから、自分が蚊帳の外であったことに対する不満も呑み込んで、エルフーンはそのままゾロアークとルカリオの再会を黙って眺めることに決めた。
 ▼ 66 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:10:37 ID:3DDAOAy2 [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「これ、今日がバレンタインだって聞いて買ってきたんだ。向こうでも人気の焼き菓子、世話になってるみんなと一緒に食べてくれ」

「ああ・・・」

「ウォーグルから聞いてるぞ。『告らせ隊』だったか、お節介なお前にピッタリの居場所だと思うよ。きっと今も昔も、ゾロアークはそう変わってないんだろうな」

数年ぶりの会話は、ルカリオを知らない隊員たちに昔の距離感そのままなのだろうと思わせるが、その実どこかぎこちないものであった。

ガチガチに緊張しているゾロアーク、どこか後ろめたさを抱いているルカリオ、その双方に原因はあると、サーナイトとウォーグルには分かっていた。

「私は・・・変わってしまったよ」

「俺も随分変わったように思えるがな」

「そうなのか?まあ、あれから何年も経つのだから無理もないか」

そこで少しの、じれったい間が空いて、我慢できずにゾロアークがルカリオへ問う。

「どうして帰ってきたんだ?今まで、たったの一度も帰ったことなかったろ」

「ああ・・・」

一呼吸置いて、ルカリオがその訳を話し始めた。

「別に、大した理由もないんだ。帰ってきた理由も、帰らなかった理由も。心理学問を極めようとしてネクストスクールに入ったはいいものの、私程度の学力や精神力じゃあてんでついていけず、スクール自体は一年ちょっとで辞めたんだよ」

「マジか!?そんなの全然聞いてなかったぞ?ウォーグルとは会ってたんだろ?」

「ああ、でもそれを知られるのが恥ずかしくて、情けなくて。最初はウォーグルにも隠していたし、それが厳しくなっても、今度は『他のやつらには言わないでくれ』って口止めしてた。おんなじ理由で帰ることもできず、そのまま何年も向こうで流されるままに生活してたんだ」

意気揚々とたった一匹で地元を出て、徐々に自分の限界を知って周りとの差に悩んで。

心が折れて、夢を諦め、それでかっこがつかなくて。

ルカリオが辿ってきた今までの道は、きっとどうしようもなく辛く、やりきれない毎日だったろう。

ゾロアークの語るキラキラしたルカリオのイメージしかなかった告らせ隊の面々は、今の等身大の彼女を見て少し意外に思っていた。
 ▼ 67 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:12:32 ID:3DDAOAy2 [5/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「・・・前から、ウォーグルには帰ってきたらどうだと説得されていたんだ。始めは私も聞く耳を持たなくて、でもある日『ゾロアークがお前に会いたがっている』とウォーグルから聞いて、次に会った時には『ゾロアークを慕う仲間達が私をゾロアークに会わせたがっている』と」

「なんだ、それ」

「私も訳が分からなくてさ。でも何年も頼り一つ寄越さない私のことをずっと覚えていてくれる君に、また会いたいと思う気持ちは日に日に増していったよ」

荷物の中から、ルカリオが一枚の手紙を取り出した。

「やっぱり君は、私の知ってるお節介で優しい君と変わらないと思った。類は友を呼ぶと言うし、だからこんな暖かい仲間達が今も君の傍にいるんだろう?」

そこにはゾロアークと共に告らせ隊の面々が写った写真と、ルカリオの帰国を願うサーナイトらのメッセージ、ゾロアークに対するサプライズの計画。

面識も何もない相手に送るにはあまりにもめちゃくちゃな内容の手紙。

なるほど、確かに、これはお節介極まりない、ゾロアークは思わず笑ってしまった。

「・・・俺は、お前に心理学問の才能なんざあるわけないとずっと思ってたぜ」

「ひどいこと言うなぁ、事実ではあると思うけども」

そうして、お節介な仲間たちの意図を重々理解してようやく、数年越しの覚悟を決める。

「ずっと近くにいた奴の気持ちにさえ、気づかないでいたんだからよ」

「えっ?」

仲間達のあたたかな視線に晒されて。

今まで自分達が出会ったいくつもの恋模様を思い出して。

あの時言えなかったその言葉を・・・

「・・・なあ、ルカリオ」

しばらくぶりに感じるその、胸を締め付けるような緊張感。

やはり応援する立場と、当事者とでは話にならないほどに別物だ。

それでも、一度燃え上がった恋の炎はいつまでもいつまでも消えることなく燻り続けたのだ。

あの時の熱量のまま、他の誰にもなびくことなく、一度失った炎の行先をまた見つけることができた。

「・・・なんだ?」

ゾロアークはルカリオの目をまっすぐと見つめる。

ルカリオもその視線に応える。

そのまま数秒の間が、まるで永遠と思われるほどのたった数秒の間が空いて、

そしてゾロアークが言葉を紡いだ。
 ▼ 68 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:12:59 ID:3DDAOAy2 [6/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「お前も、『告らせ隊』の隊員にならないか?」
 ▼ 69 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:13:59 ID:3DDAOAy2 [7/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふざっけるなよお前よくもヘタレてくれたなおい!!!」

「うるせぇ!!そもそもあれで告白出来てたらもっと前に告白してるんだよ!!余計な事すんじゃねぇバーーーーカ!!!」

「はぁ・・・まあこうなる気はしていましたが・・・」

翌日、結局のところヘタれて告白にありつけなかったゾロアークに対しオオスバメがブチ切れ、ゾロアークもゾロアークで逆切れ、フーディンはそんな様子を呆れながら眺めていた。

「なーにーがー告白できなかった辛さは云々だ!!偉そうに他人に物言える立場か!!隊長降りろコラ!!」

確かにそれまでのゾロアークの振る舞いから、散々お膳立てしてもらって結果告白できないというのはニャスパーら依頼者が知るとブチ切れ案件になり得るレベル。

これから一体どの面下げて依頼者に接するのか甚だ疑問なところである。

とはいえゾロアークとて頼んだことではないため、こうも攻め立てられるのは彼にとっても納得しがたい。

「別にいいだろ今度は会えなくなるわけでもないし、これからいくらでもチャンスは・・・」

「無理だお前みたいなやつは!!一生片思い拗らせろ!!今まで依頼者に言ったことを逐一思い出して恥ずかしくなれ!!」

「うるせぇそもそもお前だってずっと告白できずに―」

「馬鹿やろう声がでけぇ!!」

「お二方とも騒がしいですよ」
 ▼ 70 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:15:18 ID:3DDAOAy2 [8/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
男子面子がやいのやいの騒がしいところから離れて、サーナイトとエルフーンは店内の掃除に勤しんでいた。

「ごめんなさい、エルフーンさん」

「なに?ルカリオさん呼ぶ計画に混ぜてくれなかったこと?」

「それもそうですが・・・もっというと、あなたを応援できないことです」

「告らせ隊」の起源は、ゾロアークがルカリオに対する恋を拗らせたこと。

行き場を失くした恋のエネルギーが形を変えて、「恋に後悔する者が少しでも減るように」という理念を得て出来上がった。

サーナイトも、オオスバメも、彼の理念に共感して、彼と縁あって告らせ隊に参加している。

故に、ある日ゾロアークの青春の淡い1ページを知った時から「彼の恋が報われる時が来ればいい」とずっと思っていた。

それは、エルフーンもまた同じであったが・・・

「応援って、なんのこと?あたしよくわかんないんだけど、サーねぇ何か勘違いしてない?」

「勘違い・・・それならそれでいいのですけど」

エルフーンの心は、「嘘」の色を示していたが、彼女がそう言うのであればとサーナイトはそれを指摘しない。

「だって、たいちょーが幸せになるのはいいことだよ。あたしもそれを、本気で願ってる」

「それは、そうですね」

「ま、結局告白できてなかったけどさ」

「あの時のゾロアークさんの心の色からしても、嫌な予感はしてたんですけど・・・まさかほんとに告白しないとは・・・」

やはりこちらもゾロアークのヘタレには呆れ気味。

エルフーンはオオスバメとチャンバラ状態のゾロアークを一瞥して、サーナイトにこっそりと言う。

「でも、気持ちは分かるよ。やっぱりあたしたち、そういうのの集まりなんじゃないかな。あたしたちみんな臆病者で、告白が怖くて、だからこそ誰かの告白の力になりたいって思う・・・サーねぇだって、そうだったりしない?」

「さぁ、どうでしょう?」

「もー、ずるいな〜サーねぇは」
 ▼ 71 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:17:24 ID:3DDAOAy2 [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「すまない、遅くな・・・た・・・」

「ルカリオさん!おはようございます!」

「・・・あいつは何やってるんだ?」

「あはは、ちょっとしたじゃれあいみたいなものです」

数分後、ルカリオが「SPoooooN」へやってきた。

昨夜のゾロアークの勧誘を受けて、今日から晴れて彼女も告らせ隊の一員。

ゾロアーク曰く「一年ちょっとの知識でも、役立てられることもあるだろう」とのこと、帰ってきたはいいもののやはり行く当てもないルカリオにとってその誘い自体は嬉しい物だった。

「ねぇ、ルカリオさん。ちょっといい?」

「なんだ?」


「もう、告白してあげたら?たいちょーにさ」

「告白?」

「流石に気づいてるんでしょ?たいちょーの気持ち。あんなところでヘタレたのは擁護できないけどさ」

ルカリオを店の外へ連れ出して、エルフーンがルカリオにそう詰め寄る訳は、善意と嫉妬とさっさと諦めたい気持ちと、複雑な心の結露。

「それに、あなたもその気が合ったから、帰ってきたんじゃないの?」

ゾロアークと見つめあい、告白を待っていたルカリオの表情。

結局ゾロアークが告白できず、少しがっかりしたようなルカリオの表情。

たったそれだけで、彼女の気持ちを察するのには十分すぎるほどだったから。

彼女が動いてくれたなら、きっと彼も、自分も楽になる。

そんな心境の表れであった。

「私は、心理学問の才能がないから、はっきり言ってもらわないと分からないんだ」

だがルカリオの方はまだ自ら決着をつけるつもりはないらしい。

「・・・他の誰かに取られちゃってもしらないよ?」

思わず零した嫌味も、言ってて自分で虚しいとさえ思う。

出会ってから今まで彼女のことしかみてこなかった人だから、ゾロアークが他の誰かを見ることなんてきっと今後もないと、エルフーンが一番自信を持って言えたのだ。
 ▼ 72 ンドゾウ◆g6J1qUR0XI 20/02/11 21:18:30 ID:3DDAOAy2 [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ルカリオ、もう来てたのか。エルフーンも、こんな寒い中何してんだ?」

「ううん?なんでも。それよりルカリオさんも隊員になるんならあだ名考えないとね!何がいいかな?」

「好きに呼べばいいだろ、別にお前しかそういう風に呼ばないんだし」

「ああ、好きに呼んでくれ」

ゾロアークが呼びに来たのを機会に再び店内に戻ろうとするエルフーンたち。

そこへ・・・

「すみません、皆さんって・・・『告らせ隊』の方々ですか?」


世界では今日もどこかで誰かが誰かと恋に落ち、恋心を抱えて生きている。

その思いを相手に伝えることは、時に困難を極めその結果に恐れ眠れぬ日々を過ごす者もたくさんいる。

彼らは今日も、そんな者たちの助けとなるべく活動を続けている。

彼らもまた、誰かに話せぬ思いを抱えながら、複雑な事情を抱えながら。

「みんな、新しい依頼者だよ!」

この物語は、全ての恋を応援する、彼らの物語。

「今日も気合い入れていくぞ」

「「おー!!」」

恋に恋する、告らせ隊の物語である。

【END】
 ▼ 73 ロカロス@チャーレムナイト 20/02/12 03:21:31 ID:79RkuU5k NGネーム登録 NGID登録 報告
面白かった、乙
 ▼ 74 ダンギル@きんのおうかん 20/02/12 13:08:04 ID:PXKUQTv. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙!!!
 ▼ 75 ジリガメ@ハガネールナイト 20/02/12 14:11:37 ID:qPLo646I NGネーム登録 NGID登録 [s] m 報告
乙です!すき
 ▼ 76 ツケラ@しろぼんぐり 20/02/19 18:56:47 ID:GjNkerCc NGネーム登録 NGID登録 報告

このSSはいいSSだ
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