【地の文系SS】イッチがはいすいのじん【地の文苦手さん歓迎系連載】:ポケモンBBS(掲示板) 【地の文系SS】イッチがはいすいのじん【地の文苦手さん歓迎系連載】:ポケモンBBS

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【地の文系SS】イッチがはいすいのじん【地の文苦手さん歓迎系連載】

 ▼ 1 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:16:41 ID:HIR6im5c [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
衝動的に書いたものを流すだけのスレです
衝動がいつ襲うか分からないので更新は不定期となります
落とすほど放置はしません

とりあえず自分の過去作品リンクを次次レスに、その下にいくつか書いたものを置いておこうと思います
 ▼ 2 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:30:12 ID:HIR6im5c [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
置いておく前に、私事なお詫びをいたしますが
最初の3行以外は完全に読み飛ばしていただいて結構です

実はイッチ、受験生でして
2次試験がそろそろ始まるような時期です
なので向こう1ヶ月はあまり更新ができそうにありません

〜〜ここから私情〜〜

ではなぜ今立てたのかという話なのですが
勉強の合間に書く時間はないものの読む事はできるので最近は作品を見ることが多くなってしまっていました
すると色々書きたくなっては来るのですが
結局勉強後に時間ができても気力が書くにまで至らないことが多々ありました
そんな時に思い出したのがかつてリアルタイム更新をしていた時代の楽しさでした
リアルタイム更新は仕様上、文を見直して展開などを修正できないため作品としての仕上がりはイマイチ欠ける傾向のあることから本来は敬遠すべきものだと考えています
ですが反応がもらえるというのは書く上でこれ以上ない燃料で、反応がもらえる楽しさがあったからこそこうして今も書き続けているという良い面もあったのです。
また、更新しなければならないという責任に追われる事で逃げずに文に向き合う口実を作ることもできていました

このスレは自分へのムチでありアメでもあるような、そんな存在にするつもりです
ついでに、書きたい事をメモしたりとか、試験的もシチュ試ししたりとか
まぁ色々なことに使う予定です

長話してしまって申し訳ないです
以降このように作者が長文を出しゃばる事は一切ありませんのでご安心ください
 ▼ 3 ランセル@コオリZ 20/02/10 01:34:41 ID:Acs.ZYpQ NGネーム登録 NGID登録 報告
懐かしい人を見た
がんばりたまえ
 ▼ 4 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:36:31 ID:HIR6im5c [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
過去作のうち見せるに堪えるものを貼っておきます
(BBS以外では書いていないので探せば出てきますが)
こんな文を書きますという参考になれば

https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=584866&l=1-
https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=791328&l=1-
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=897244&l=1-
https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=984628&l=1-
今後も書いていくことになるであろう、野生のポケモンたちのお話
この世界観を突き詰めて世に発信して食っていくのが僕の夢です

https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=1001763&l=1-
https://pokemonbbs.com/sp/poke/read.cgi?no=855805
その他枠
 ▼ 5 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:39:47 ID:HIR6im5c [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
メイ「…………」スヤ……

アクロマ「……寝てしまいましたか」チラッ

時計「0:02」

アクロマ「……日付変わりましたね」

メイ「…………」スヤ……

アクロマ(机に突っ伏したまま寝られても体が心配……)

メイ「…………」スヤ……

アクロマ「……動かしますか。オーベム、お願いできますか」

オーベム「べむぅ」コクリ

メイ「Zzz……」フワフワフワ

アクロマ「そのまま動かさず持ち上げておいてくださいね」シタニモグリコム

アクロマ「オーベム、そのままゆっくりおろしてください」セナカヲムケル

オーベム「むべ」

メイ「Zzz……」フワフワフワ

アクロマ「手は肩に、頭は……私の頭に」

オーベム「おーむ」

アクロマ「よし……」

アクロマ(おんぶなら、まだ対応できますね。非力な私ではいわゆるお姫様抱っこは無理でしょう。落としたくもないですし)

アクロマ(……何しに来たんでしょう。本当に、よくわからないお方だ)

アクロマ(重いものなんか持ちませんからね。メイでも、少し重い)
 ▼ 6 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:41:09 ID:HIR6im5c [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アクロマ「着いた……ベッドに転がしておけばいいでしょうか」

オーベム「む……」ピカピカピカピカ?

アクロマ「いえ、下ろすくらいなら手伝わなくて大丈夫ですよ」

オーベム「べ」ピカピカピカッ

アクロマ「よい……しょと」

メイ「Zzz……」ゴロン

アクロマ「布団、2枚で寒くないでしょうか。借りてくる……? いや、大丈夫?」

アクロマ「とりあえずこれで」ハクイヌギッ

アクロマ「……流石に凌げませんかね」パサ

アクロマ(……人熱で温めることにしましょうか)

アクロマ「……失礼します」ボソッ

アクロマ(入っただけじゃ温かくはなりませんね)ダキヨセ

アクロマ(……柔らかい腕)

アクロマ(なんでしょう、この安らぐ香りは……)

アクロマ(日付が変わってすぐにしようと思って来た、だと思ったんですがね)
 ▼ 7 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:41:25 ID:HIR6im5c [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
アクロマ(……こんな私の隣を歩いてくれるだけで十分幸せ、なんでしょうけれど)

アクロマ(思考が分からないところも含めて、s……なんですけどね)ギュッ

アクロマ(あなたはどこまでも私を乱す)

アクロマ(他の人だったなら私は恐らくここまではしていない)

アクロマ(今、私の力はメイによって引き出されている……?)

アクロマ(ポケモンの力を引き出すにもまた同じものが必要なのでしょうか)

アクロマ(答えを得るまで、あなたは手放せません)

アクロマ(……いや。答えを得るのは、言い訳。口実。実際は……)

アクロマ(……なんにせよ)

アクロマ「お慕いしていますよ……メイ」ボソッ



メイ「っ……!?」///

メイ(なんでこうなっちゃったの〜〜?)///

メイ(寝てるフリして一旦ガックリさせてからお祝いする予定だったのに……『もう少し引き付けて』って思ってたら起きるタイミング逃した……)

メイ(オーベムは予想外だって……)

メイ(アクロマさん絶対私が寝てると思って言ってるよね……? 今更起きらんないよ……)

メイ(……アクロマさんの匂いする……落ち着くなぁ)



メイ(アクロマさん、誕生日おめでとうございます。大好きです)
 ▼ 8 オタチ@ハートのウロコ 20/02/10 01:41:34 ID:KK/Ey1so NGネーム登録 NGID登録 m 報告
まだBBSにいたのかよかった
支援
 ▼ 9 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:41:43 ID:HIR6im5c [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
〜サナガエン〜

サナ「なによ、ハイパーボイス打つわよ」

ガエン「メガじゃなけりゃ火力もないだろ。それに俺のチョッキをいつも信用してくれてるのはどこのどいつだ?」

サナ「信用してるのはチョッキじゃなくてあなた……よ……」

ガエン「なんだ、素直じゃねえか。ありがとよ」

サナ「///」

ガエン「恥ずかしがってまで反論しようとするなよ」

サナ「違うわよ! つい出ちゃっただけで……」

ガエン「つい出ちゃった言葉が俺への告白かよ」にやっ

サナ「違うって言ってるじゃない!」ぺち

ガエン「あいあいそうだな、かわいいかわいい」

サナ「むぅ」

ガエン「口で『むぅ』って言うの、お前以外に見たことねー」

サナ「……むぅ」くるん

ガエン「そんなそっぽ向いて拗ねんなよ」
 ▼ 10 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:42:00 ID:HIR6im5c [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
サナ「……好きよ」メロメロ〜

ガエン「…………、あ、あぁ。ありがとよ」ふいっ

サナ「今動揺したでしょ。猫騙しくらったみたいな顔してたもの」

ガエン「してねえよ」かたすくめ

サナ「今動揺したでしょ!?」

ガエン「してねえって」しかめつら

サナ「したわよ! したでしょ!?」

ガエン「……悪かったな」

サナ「その言葉じゃないわ。欲しいのは」

ガエン「わがままなやつだな」

ぎゅっ

サナ「……それ、言うより恥ずかしくない?」

ガエン「知るか」

サナ「好きって、一言だけよ?」

ガエン「うるせえな文句言うなよ」なでなで

サナ「語調は荒いくせに頭は撫でてくれるとこ、好きよ」にやっ

ガエン「知らねえよ。言っとけ」



サナ「……メロメロって、もう好きだと発動しないんだ。せっかく技変えてきたのに」ぼそっ

ガエン「なんか言ったか」

サナ「なんでもないわ」ぎゅっ

ガエン「……おい」

サナ「なによ」

ガエン「その技忘れさせとけよ」

サナ「どうしてよ。便利なのに」

ガエン「……俺以外に使うなよ」

サナ「……えぇ。当然」
 ▼ 11 羽真◆9nlytNSHx. 20/02/10 01:45:23 ID:HIR6im5c [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
今手元にあるのはこの程度です
地の文系と書きながら裏切って申し訳ない
ストックが地の文でないものしかなかったため応急処置で過去SSを貼りました
地の文がないとやはり伝えきれなさが拭えないので次回以降がんばります
 ▼ 12 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:05:12 ID:FlVAIW6A [1/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ぴーっ、と外で機械が鳴る音がした。

車が鳴った音。

あいつら帰って来たのか。遅かったな。

たまにゃ玄関まで迎えに行ってやるか。

起き上がると、首輪についた鎖がしゃらんと音を立てた。

「ただいまーサザンドラ」

最初に入って来たのはユリア――俺のトレーナーだ。

『おうおかえり』サザンザ

ユリアは俺を見るなり、すちゃ、とかけていたサングラスを外した。

「元気にしてた〜サーくん?」

『まぁボチボチな』ララ、ザンドゥ

先ほどまで真一文字に結ばれていたユリアの口はだらしなく緩み切っていた。

ベテラントレーナー、なんて周りからは呼ばれてるらしいが、こういうところはあまり強そうではない。

バトルじゃ確かにこいつに従っているだけで勝ててしまうくらいにこいつがすごいのは認めるが。

「そうかそうか〜、おとなしくしてて偉いぞ〜」

『やめろなでくり回すな!』ドゥララァウ!

「いいじゃない、けちんぼね」

「ただいまーーー!」

ボフンといきなり俺の腹にぶつかって来た奴がいた。

『ガキンチョ、それやめろっつっただろ』ランラ、ザザン

左手をガキンチョの眉間に突き合わせる。

俺の頭で直接睨みつけるとこいつが泣いちまって怒られるから仕方ねえ。

「もいっかいやっていい!?」

『話聞けよ……おいユリア』ザン……サザザ

ガキンチョから目をはなし、俺はユリアを睨んだ。

こいつ相手にゃ下手に怒れないし、ユリアに助けを求めるしかない。
 ▼ 13 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:06:13 ID:FlVAIW6A [2/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「こら、やめてあげなさい、ヨっちゃん。サザンドラ嫌がってるでしょう」

「えー、だって気持ちいいんだもん」

『ダメなもんはダメだ』ラララザ、ザ

ガキンチョが駄々をこねている間にもう1人玄関に入って来た。

「そうだぞヨヘイ。こいつの方が気持ちいいぞ」

タイガ――ユリアの旦那だ。

こいつ?

タイガが抱えているのはボッサボサのケダマ……ってわけでもないよな。

なんだこいつバタバタ暴れやがって。

「ほんとだ! トリミアンの方が柔らかそう!」

トリミアンっつーのかこいつ。

「おっと、まだやめとけ。まだこいつは人間のこと怖いんだから」

「はーい」

『おい下ろせよ! おいッ!』リミア! リリミアン!

「もう少し待っててな〜……ユリア、リビングに行こう」

「そうね。サーくん行くわよ」

『はいよ』ラン

ユリアに続いて俺も、ニンゲンたちには無駄にでかい扉をくぐった。
 ▼ 14 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:06:32 ID:FlVAIW6A [3/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「ほら、ずっと持っててごめんな。しばらくはケージの中で我慢してくれな」

タイガがゆっくりトリミアンをカゴの中に下ろした。

今朝からあった謎のカゴはこいつのためだったのか。

『テメェッ! どこだよここ!』バウア! ミィア!

「痛……っ」

いきなりトリミアンがタイガに噛み付いた。

タイガは慌ててカゴから手を引き抜く。

『おいテメェッ!! うちのやつに何してやがるッ!』ザン! ラザンラドラァッ!

『ひっ……』ミア…

「大丈夫よトリミアン。私たちは嫌なことしないわ」

『うるせえ……っ!』ミア、ガルル…

ゆっくりと近づくユリアにトリミアンは敵意剥き出しの威嚇をしている。

ユリアがカゴに手を伸ばそうとしたが、タイガに止められた。

「今はやめておこう。嫌いなニンゲンにいきなり知らない場所に連れてこられたんだ、気が昂るのも無理はない」

「そうね。……早く落ち着いてくれるといいのだけど」

なんだ? なんでユリアはこいつをここに連れて来たんだ?

いや、それよりも、こいつがうちの奴らを傷つけないように見張っといたほうがいいのか。

ユリアたちはトリミアンをおいてリビングから出て行ってしまった。
 ▼ 15 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:06:57 ID:FlVAIW6A [4/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
手でも洗って来たんだろう、ユリアたちはすぐに元の暮らしに戻った。

まるでトリミアンなど最初からいなかったように。

今は関わらないほうがいいのだろう、と俺は遠巻きにトリミアンを眺めていた。

トリミアンはひとり壁を向いて、死んでしまったように動きもしない。

いきなり連れてこられた、とタイガは言っていた。

確かに俺も聞いていないしいきなりではあったが。

「どうしたのサーくん。あの子が気になるの?」

夕飯を作り終えて運んでいるらしいユリアが話しかけてきた。

『あぁ』ラン

「あの子は人間に捨てられちゃった子でね。それもひどい捨てられ方をしたんだ。あの子、尻尾がうまく動かせないんだよ。それも捨てられた時の傷のせい。それで人間が嫌いになってしまった子なんだよ」

ニンゲンを、嫌いに……。

俺は最初からニンゲンのことが興味あったし、ユリアは優しくて嫌いになることもなかったから、気持ちはわからんが。

野生ポケモンたちの間でニンゲンは邪悪な存在だと教えるのはきっとこういうことがあるからなんだろう。

「人間は嫌いだけど、あの子は野生のうちに生きていくには体が弱すぎる。だから、人間を好きになってもらって、人間と一緒に生活できるようにしてやらなきゃいけないのさ」

『そう、か……』ラン…

「そのお手伝いができたら、と思ってね。うちでしばらく預かって、人間に慣れさせてやるんだ。そんなボランティアのお仕事だよ」

だからさっきタイガに反抗していたし、今もそっぽを向いていると。

あいつにもまた事情があったわけか。

協力してやんのもやぶさかじゃねえ。俺もなんかできそうならしてやるか。
 ▼ 16 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:07:15 ID:FlVAIW6A [5/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
『俺も手伝ってやるよ、トリミアンとやら』ラララザン

右手でユリアの右手を弱く噛んで言っておいた。

「なんだい。手伝ってくれるのかい? じゃあお願いするよ」

やっぱりユリアにだけは俺が言いたいこと伝わるな。ポケモンの言葉はわかっていないはずなのに。

「はい」

ユリアは味噌汁が3つ乗ったお盆を俺に渡してきた。

……ちげえよ手伝うのはそれじゃねえ。

まぁ運ぶのも手伝ってはやるが。

両手でお盆の端に噛み付けばお盆くらい持てないことはない。

……こんな風にポケモンと人間との間じゃ克服できねえ齟齬がある。

その齟齬があったままじゃトリミアンも人間に馴染むのは難しいだろう。

俺の出番だな。任せとけよ。

そんなことを考えながら、ニンゲン3人の食事を運んで。

「はい、サーくんの分」

『ありがとよ』サーザ

ユリアとタイガが手持ちのポケモンたちのポケモンフーズを配り終わって。
 ▼ 17 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:08:21 ID:FlVAIW6A [6/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「あとはトリミアンだな。俺があげてこよう」

「お願いね、タイガ」

トリミアンの分のポケモンフーズを皿に取り、タイガがゆっくりカゴに近づいた。

「ほら、ごはんだぞ」

『……来るな!』リミミィ……!

トリミアンはしゃがみ込んでいつでも飛び掛かれるような体勢を取っていた。

「威嚇されちゃってるわね。大丈夫かしら」

「大丈夫、嫌なことはしないぞ」

『……来るなっ!』リミミィ……!

『もう嫌なことしちまってるからな……』ララン、ザンドゥ……

タイガは警戒させないようにとゆっくり近づいていくが、トリミアンの警戒は全く解けていない。

念のため、左手の中にラスターカノンを発射準備しておく。

カゴを開け、上からポケモンフーズの皿をカゴの中に置いた。

『来るなぁッ!!』バウアッ!!

「痛っ!」

タイガの手にトリミアンが噛み付いた。
 ▼ 18 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:08:43 ID:FlVAIW6A [7/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
『てめぇっ!!』ランッ!

ダメージを負わないように最低限のパワーでラスターカノンを発射する。

銀白の光線はカゴの棒と棒の間を通ってトリミアンの背中に命中した。

ミギャッとトリミアンが素っ頓狂な声を出した。

「サーくん!!」

ユリアが俺に叫んだが、今は無視だ。

タイガの手が噛みつきから逃れ、カゴの外へ出て行く。

こちらに戻ってくるタイガと入れ違いに俺はカゴの近くに寄った。

『いきなり攻撃して悪いな。まぁ噛みつかれたタイガも同じ気持ちだ』ラランラ、ザン、サンザザン

『ふん……俺は近づくなと言ったんだ。噛みつかれて当然だろ』ミ……ミミアミアン

『今お前はニンゲンの下にいるんだ。ニンゲンの世界じゃ簡単に相手を攻撃しちゃいけねんだよ』サザンザンドゥ、ドゥラァウア

『知るか。人間なんかに管理されるのはごめんだ』トリミミアン、トリリ

『……そうかよ』ラザン

「サーくん! 喧嘩しちゃダメでしょう!? 優しくしてあげなさい!!」

ユリアが走り寄ってきた。

『ちげえよ、しつけだしつけ』サン、ラゥア

『なにがしつけだ』ミアゥ

「2匹とも何か言いたいみたいだけれど。仲良くしてね?」

『嫌いなわけじゃねーよ』ラゥゥ

トリミアンも一旦落ち着いたようだし、俺はユリアと一緒に食卓へ戻った。
 ▼ 19 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:09:04 ID:FlVAIW6A [8/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
トリミアンはユリアとタイガが起きている間、ポケモンフーズを一切口にしなかった。

腹も減ってないわけじゃないだろうに。

ユリアたちが寝室に消えると、トリミアンはカゴの中を動き始めた。

部屋は常夜灯のみの、ほとんど光のない暗闇。

トリミアンは部屋の様子でも窺っているのだろうか。夜目効くんだな。

「おい」

少し声をかけてみた。

トリミアンはびくんと背筋を硬らせた。

「……なんだ」

怒っているようで、その実怯えているような、震えた声。

「あぁいや。…………」

「…………」

お互いなにを喋ればいいのかわからなくて、暗闇に沈黙が横たわる。

「さっき。いきなり攻撃して悪かったな」

「…………」

とりあえず謝ってみたが。なにを思っているのだろうか。

「……いや。気に入らんが、手加減したのは分かってる」

なんだ、話は聞いてくれそうだな。

手加減のおかげで警戒もちっとは解けたのか?

「あ、あぁ。分かっていてくれてるなら助かった」

「なぜ話しかけた」

「別に何かあるわけじゃねえよ。やっと動き始めたからなにしてんだと思っただけだ」

もう少し話すこと決めてから話しかけたらよかったな。

ニンゲンとは既に居づらいのにポケモンとも居づらい思いをしちゃいたたまれない。

あぁ、次はなにを話そうか。
 ▼ 20 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:09:21 ID:FlVAIW6A [9/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「お前は、窮屈じゃないのか?」

「あ? なんの話だよ」

まさか話しかけられるとは思っていなかった。

「その首輪。鎖までついていてよ」

「あぁ首輪か。そりゃ最初は暴れたがな」

「ならなぜ」

「俺は拾われた身なんだよ。初めてニンゲンに会って、拾われて、そのままそのニンゲンと一緒にいる。だから俺はあいつの言うことなら聞くさ」

「……哀れだな」

「哀れじゃねえよ。お前、あのドアがニンゲンには余るくらいデカい理由分かるか?」

「…………いや」

「アレは俺が通れるようにわざわざあんなデカく作ってあるんだよ。俺が進化して体がデカくなったから、前の家にいられなくなって。わざわざ俺に合う家立てて引っ越したんだ。俺なんかモンスターボールに入れときゃいいのに」

「…………」

「だからまぁ、恩があんだよ。嫌々言うこと聞いてるわけじゃねえ」

「…………」

トリミアンの想像していたニンゲンとは違いすぎた、とかそんなところだろうか。この沈黙は。

「なんで首輪のことなんか聞くんだ?」

「俺は首輪が嫌いでしかたなかったんだ」

「それは、お前の過去と何か関係があるのか? 多少話は聞いてるがよ」

それは推測だった。

わざわざ話のきっかけに選ぶような話題が首輪なら、何かしらの強い思いがあるのではないか、と。

「あぁ」

トリミアンは首を振ってから短く答えた。
 ▼ 21 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:09:43 ID:FlVAIW6A [10/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「話せよ。別にお前に悪いようにはしねえ」

「…………」

トリミアンはまたしばらく黙っていた。

ニンゲン側である俺に事情を明かすのに、慎重になっているのだろうか。

しかし、しばらくしてトリミアンは口を開いた。

「首輪が嫌で俺は暴れたんだ。だがあいつは言うことを聞かせようと俺を散々痛めつけて、最後には放り出した。それだけさ」

あいつ、というのは前のトレーナーのことだろうか。

体が弱いといっていたし、トレーナーに抵抗しきれなかった、ということなのか。

それは、確かに辛い体験だっただろう。ニンゲン不信になろうと不思議じゃない。

説明が俺には唐突でわかりづらいようの聞こえるのも、話したくないことを濁しながら話すせいなのだろう。

「首輪なんてしてやる義理は俺にはないんだ」

トリミアンの声は震えていた。
 ▼ 22 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:10:00 ID:FlVAIW6A [11/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
だが、その言葉は間違っていると俺は思う。

「首輪は、ニンゲンを安心させてやるためにつけるもんだ。ニンゲンと暮らす以上つける理由はある」

「何を言っているんだ」

「ユリアはなぜこの首輪を俺につけたと思う?」

「そんなの、お前を無理やりコントロールするために決まっている」

「違う。ユリアは、俺を見た周りのニンゲンが俺を怖がらないようにこれをつけたんだ」

「だから何を言って……」

「ほとんどのポケモンはニンゲンよりも力が強い。だから、普通のニンゲンから見れば恐怖の対象になる。首輪はポケモンが街の中で暴れたりしないことを示して、周囲のニンゲンを安心させるためにつけるもんだ」

「…………」

「俺は最初からこれをつけていたわけじゃない。この姿に進化した時に初めて首輪っつーもんを知ったんだ。サザンドラに進化して、ニンゲンたちから怖がられるようになったから、仕方なくユリアは首輪をつけることを決めたんだよ。俺が怖がられないようにな」

「…………」

「首輪があるから俺はニンゲンの世界で暮らしていられるし、俺といるせいでユリアがニンゲンの世界で暮らせなくなることもない。……周りのニンゲンのために首輪をつけるって意味、分かったかよ」

トリミアンはまたしばらく黙っていた。

認めたくないともがいているような、苦しげな顔だった。

「……悔しいが、間違っているようには聞こえない」

どうやら白旗を振るしかなかったようだ。

この調子でニンゲンを好きになってくれるだろうか。
 ▼ 23 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:10:14 ID:FlVAIW6A [12/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「おう、そうか。そりゃよかった。少しはニンゲンのこと信じる気になったかよ」

「……まだだ。ニンゲンが信用ならないということは俺が一番よく知っているんだ……!」

「こんな状況で意地張ってっと餓死するぜ。お前だって腹減ってんだろ?」

「……ニンゲンが出すものなんて誰が食うか」

キッと俺を睨みつけてくる。

強情なやつだとは思うが、トリミアンの過去を考えると仕方ないのだろう。

「別に毒が混じってるわけでもないだろうが。なんなら俺が食ってやるよ」

カゴの隙間からそーっと右手を入れ、ポケモンフーズを数粒食べた。

俺用のじゃないからそこまで美味しくはないが、食えないなんてことはない。

「ほらな。食う気になったらでいいから食っとけよ」

「…………」

トリミアンはまだ考え込んでいるようだった。

そう簡単に警戒を解くようなやつじゃないのは分かっている。
 ▼ 24 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:10:29 ID:FlVAIW6A [13/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「まぁ飯のことはいい。少し話さないか」

「……あぁ」

つっけんどんな声。だが話は聞いてくれるらしい。

眼光の鋭さも少し和らいだ気がした。

「お前は最初ニンゲンのことをどう思っていたんだ?」

「……野生にいた頃は、ニンゲンは怖いものだと教えられてきた」

「やっぱりか。じゃあその通りだとでも思ったわけか」

「あぁ。ニンゲンはロクなヤツらじゃない」

「俺も最初野生の身だったんだよ。まぁ拾われたって言ったしな。だからニンゲンが怖いものだと教えられるのは知ってる。でもな、俺はニンゲンのこと最初から好きだったんだよ」

トリミアンが目を細めた。

「何を言っているんだ」とでも言いたげだ。

「森に住んでた頃、フーディンって言う、ニンゲンにめちゃめちゃ詳しいポケモンがいてよ。俺はフーディンに――じーちゃんによくニンゲンの話を聞いたんだよ」

「フーディン……」

「『確かに酷いニンゲンは居る。だが、ポケモンにもいいポケモンと嫌なポケモンがいるように、ニンゲンにだって優しいヒトはいる』……ってじーちゃんはよく言ってた。ニンゲンと関わる楽しい話なんかも聞いてたしな。だから俺はニンゲンが最初から好きだった」

「…………」

「実際ユリアは俺のことをよく考えてくれる。引っ越し然り、な」

「お前のトレーナーは悪いヤツだったのかも知れんが、ユリアとタイガはその限りじゃねえんだ。信じてはもらえんかも知れねえけどよ」

話すとしたら、ざっとこんなもんだ。

これがトリミアンにどう響くのかは分からない。

分からないが、ユリアが悪いヤツじゃないのは確かだ。それは伝えたい。
 ▼ 25 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:10:43 ID:FlVAIW6A [14/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
「…………考えては、おく」

トリミアンはしばらく悩んだ末に、喉から声を絞り出すように言った。

俺の考えは伝わったのだろうか。

少なくとも今は家に来たときのような険しい表情ではない気がした。

これからゆっくり、こいつが慣れていってくれたらいいのだが。

「そうか。お前からは何かあるか?」

「……ない」

その声は、考えることで手一杯だ、と言外に語っていた。

なら無理やり話し続けていてもこいつも嫌だろう。撤収だ。

「なら俺ももう寝るぞ。ここで寝るから、騒がしくしたらまたラスターカノン打つからな」

トリミアンはじっとこちらを見ていた。

「あぁ、そうそう。これだけは言っておかねえとな。ニンゲンだけがポケモンを大事にしてるわけじゃねえ。俺だってユリアのことは助けたいと思ってる。だから――



あんまりユリアとタイガに面倒をかけるようなら……容赦はしねえぞ」



さて言いたいことは言った。

トリミアンの反応も確認していないが、寝よう。

「また明日だ。お前も早めに寝とけよ」

言い残して、俺はトリミアンの前から去った。

用意してくれてある大きな毛布の中に潜り込めば、あとは寝るだけだ。
 ▼ 26 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:10:58 ID:FlVAIW6A [15/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
トリミアンはやはり終始無言だった。

圧をかけすぎただろうか。

まぁポケモンとニンゲンの、お互いに良い関係っつーもんを知ってもらいたいのだから、俺の本心を言っても構わないだろう。

しかし、森でじーちゃんにニンゲンのことを教えてもらうだけだった俺が、教える側になるとはな。

じーちゃんはどんな気分で俺に話をしていたんだろう。

森は森で楽しかった。

でもユリアと会ってからの方が記憶はたくさん残ってるな。

……………………。

………………。

…………。

昔のことに思いを馳せると、どうにも眠くなってくる。

右手と左手のまぶたはもう重くて開きそうにない。

ユリアはもう寝ているだろうな。

モノズの頃は寝る直前によく言ってくれていたっけ。

『おやすみ、モノズ』



……おやすみ、ユリア。

 ▼ 27 羽真◆9nlytNSHx. 20/03/12 00:12:49 ID:FlVAIW6A [16/16] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
以上
サザンドラ先輩とニンゲン不信トリミアンでした
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