【SS】感謝の友チョコ、今は友チョコ:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】感謝の友チョコ、今は友チョコ:ポケモンBBS

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【SS】感謝の友チョコ、今は友チョコ

 ▼ 1 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:00:30 ID:m0RMrYFg NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「うぅ……、なんでこんなに緊張するんだろう……」

 ワンパチ 「わう?」

 コハル 「おかしいよね。ゴウとは毎日 会ってるのに」


私は今、ゴウの帰りを待っている。

サトシと一緒にポケモン調査に繰り出した、ゴウの帰りを。


両手で大切に握りしめている紙袋の中には、悩んで選んだチョコが2つ入っている。

ショッピングモールで買った、バレンタインのチョコレート。本当は手作りしても良かったけど、本命って思われても困っちゃうし。


 コハル 「これは、お礼……、お礼のチョコレート。べっ別に、ゴウが好きとかじゃないんだから。友チョコってやつよ。ねっ」

 ワンパチ 「いぬわわん!」

 コハル 「それにほら、サトシの分もあるから、変な勘違いとかされないはず……!」


って、ワンパチに言ったところで関係ないけど、勝手に説明している当たり、私、やっぱり緊張してる。

考えてみると、家族以外にチョコを渡すのって、今日が初めてだっけ。


そして、こんな気持ちも、生まれて初めて。


1週間前の あの出来事は、私の心を揺れ動かす、大きなキッカケだった――。

 ▼ 2 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:00:59 ID:SIDk5Pxw [1/28] NGネーム登録 NGID登録 報告





   * * * * * 




 ▼ 3 ップリュー@いしょうトランク 20/02/11 22:01:26 ID:V.BQZvKk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 4 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:01:39 ID:SIDk5Pxw [2/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


 キーンコーン♪

   キーンコーン♪



終礼のチャイムが鳴って、今日の授業は終わり。

委員会も無いから、今日は早く帰れる日だ。


 「コハルー!」

 コハル 「あ、チアキ。お疲れさま」


HRが終わるなり、隣のクラスのチアキが やってきた。

チアキは小さい頃からの友達で、あいにく同じクラスには なれなかったけど、帰りは いつも一緒だ。


 チアキ 「いやー今日の授業も疲れたねー。ポケモン知識豊富なコハルが羨ましいよ」

 コハル 「そんなことないってば。確かにお父さんはポケモン博士だけど、私は そこまで興味ないもん」

 チアキ 「ゴウとは大違いだねー」

 コハル 「ゴウのポケモン愛はちょっと異常だけどね」

 チアキ 「ゴウも戻ってくれば良いのに。あの知識量なら成績優秀間違いなしなのにねー」

 コハル 「うん……」
 ▼ 5 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:02:30 ID:SIDk5Pxw [3/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴウがスクールに通わなくなって数か月。

新学期が始まった頃は、普通に一緒に通っていたのに。それがいつの間にか――。


 チアキ 「ゴウ元気? 相変わらず?」

 コハル 「あ、うん。最近はお父さんの研究の手伝いで忙しそうだよ」


不登校になったと言っても、ゴウとは毎日会っている。

なんたって、お父さんの研究所に居候してるんだから。



  『ねぇ、チョコ見に行こうよ』

  『もう来週だもんね! 行こ行こ!』

  『ちゃんと先輩に告るのよ〜』



そんなことを考えていると、女子たちの楽しそうな会話が耳に入って来た。


 チアキ 「そっか。もう来週バレンタインか」

 コハル 「それでみんなソワソワしてるのね」

 チアキ 「コハルはゴウにチョコあげるの?」

 コハル 「まさか。ゴウは単なる幼馴染だよ」

 チアキ 「友チョコってのもあるんだよ? ねぇ、ちょっと見に行かない?」

 コハル 「うーん……」

 チアキ 「今日は委員会もないし、暇でしょー?」

 コハル 「うん……、どのみちお父さんにはチョコあげるつもりだったし、行ってみよっか」

 チアキ 「そうこなくっちゃ!」
 ▼ 6 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:03:00 ID:SIDk5Pxw [4/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


マークイズに向かう途中、私は考える。

不登校とはいえ、最近のゴウは、とっても活き活きしている。


サトシと出会ったことが、大きいんだろうな。


ミュウをゲットすることに意気込んでいたゴウは、サトシと出会って、サクラギ研究所のリサーチフェローになって、ヒバニーをはじめ、色んなポケモンをゲットして。

今までは私とお父さんくらいしか話し相手が いなかったのに、それが嘘のように、毎日が充実しているように見える。


――そう、ゴウは確かに人付き合いが少し苦手だけど、人見知りって訳じゃない。人が嫌いって訳じゃない。


じゃあなんで、ゴウは不登校になったんだろう。

ミュウのゲットに全力を賭ける――なんて言ってたけど、それは嘘だと思う。

今でこそ活き活きしてるけど、不登校になった当時のゴウは、明らかに落ちこんでたもん。

聞いても何も答えてくれなかったし、裏があるのは明らかだった。


 ▼ 7 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:04:00 ID:SIDk5Pxw [5/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


 チアキ 「わぁ〜お、凄い種類だね」

 コハル 「本当。これだけ沢山チョコがあると選ぶのも一苦労ね」


マークイズのバレンタイン特設コーナーには、所狭しとチョコが並べられていた。

私たちくらいの女の子もいれば、女子高生や、OLさんなんかもチョコを手に取って眺めている。


 チアキ 「みてみて! このチョコ6粒で5千円!」

 コハル 「さすがゴディバね。もっと安いので」

 チアキ 「お兄ちゃんのチョコ、どれにしようかなー」

 コハル 「私もお父さんのチョコ選ばないと」

 チアキ 「弟君のも忘れずにね?」

 コハル 「ソウタはネッコアラのマーチで十分よ」

 チアキ 「あははー厳しいお姉ちゃんだこと」



それから1時間くらい2人でチョコを物色して、私たちは帰路についた。


家族用のチョコは買ったけど、ゴウへのチョコは買っていない。当然サトシのも。

だって私、そんなキャラじゃないもんね。
 ▼ 8 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:05:01 ID:SIDk5Pxw [6/28] NGネーム登録 NGID登録 報告





 ワンパチ 「わっぱ! わぱわん!」

 コハル 「ただいまワンパチ」


ワンパチに迎えられて研究所に入ると、ゴウたちは次の調査について取り込み中のようだ。


  サクラギ 「次に君たちにお願いしたいのは、海底のポケモンの生態系の調査だよ」

  サトシ 「海の中のポケモンか〜!」

  ゴウ 「でも、どうやって海の中に?」

  サクラギ 「海洋調査で有名なクスノキ氏の協力を得てね、潜水艇かいえんで、クチバ沖を調査することになったんだ。2人には、潜水艇に同乗して貰いたいんだよ」

  ゴウ 「凄いですね! 図鑑でしか見たことない潜水艇に乗れるなんて!」

  サクラギ 「調査する海域にはね、サントアンヌ号という沈没船があるんだ。もう20数年前かな。沈没船がポケモンの生態にどのように作用しているかが、今回の調査の目的なんだ」

  サトシ 「サントアンヌ号? オレたちが乗った船だ!」

  ピカチュウ 「ぴっか!」

  ゴウ 「嘘つけよー。20年も前に沈没した船だぞー」

  サトシ 「ホントだってばー!」

  ピカチュウ 「ぴかぴかー」

  ゴウ 「はははー」

  ヒバニー 「ひにゃー♪」
 ▼ 9 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:05:40 ID:SIDk5Pxw [7/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴウは相変わらず楽しそうだ。サトシと、ヒバニーと一緒に。

明日もリサーチフェローとしてサトシと お出かけか。


 サクラギ 「おや。おかえりコハル」

 コハル 「ただいま」

 ゴウ 「すげーぞコハル! あの有名な潜水艇かいえんに乗れるんだぜ!」

 ヒバニー 「ひこにゃん!」

 コハル 「海の中なんて大丈夫?」

 ゴウ 「余裕っしょ! なんたって潜水艇かいえんだからな!」


本当に、最近のゴウは楽しそうだ。

一時は心配したけど、こうやって打ち込むことが出来た今、心配いらないかな。


 コハル 「気を付けて行ってきてよね」

 ゴウ 「分かってるよ」

 サトシ 「大丈夫。オレとピカチュウがついてるからな!」

 ピカチュウ 「ぴっかぁ!」

 コハル 「はぁ。サトシとピカチュウも、あんまり無茶しないでよね」

 ▼ 10 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:06:20 ID:SIDk5Pxw [8/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


ゴウたちと別れて、お父さんの車で家に帰る。ワンパチも一緒に。


 コハル 「ポケモンの調査って楽しいのかな」

 サクラギ 「どうした急に?」

 コハル 「だってほら、ゴウもサトシも、すっごい楽しそうなんだもん」

 サクラギ 「研究者の立場から言えば、凄く楽しいことさ。ポケモンはまだ謎が多い。新たな発見があれば嬉しいからね」

 ワンパチ 「わう?」

 サクラギ 「例えば、ワンパチの知られざる生態が発見されたら、もっともっと、ワンパチと仲良くなれるかもしれない。ポケモン研究って言うのは、大元はそういうところなんだ」

 コハル 「ふーん」

 サクラギ 「興味があるんなら、コハルも一緒に調査してみたらどうだい? あ、明日の潜水調査は無理だけどね」

 コハル 「う〜ん……、考えてみるね」

 ワンパチ 「わんぱ!」


確かに、ワンパチとは もっと仲良くなりたい。

でも、私はまだ、ポケモンの調査とかは何か違う気がする。

私もポケモンをゲットすれば、もっとポケモンに対して興味が湧くのかもしれないけど……。


ある意味、ゴウは凄いな。ポケモンに対して、あんなに夢中になれるんだから。

学校の勉強なんかより、ポケモンの生態に詳しくなるってのも、一つの生き方なのかもしれないな。

 ▼ 11 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:07:00 ID:SIDk5Pxw [9/28] NGネーム登録 NGID登録 報告





翌朝、お父さんは早くに出かけて行った。

今日は久々にバスで学校に行かないと。


 コハル 「いってきまーす」

 ヨシノ 「気を付けて行くのよ」

 ワンパチ 「わわん!」

 
バスに揺られて20分。

学校の近くのバス停に着いたけど、ここから7-8分、歩かなきゃいけない。

ちなみにサクラギ研究所から学校までは、歩いて10分くらい。だったら車で一緒に研究所まで行った方が良いよねってことで、普段はお父さんと一緒に家を出ている。


今日は委員会の会議だっけ。

花壇のクロッカス、そろそろ咲く頃かな。

マーガレットは枯れた花を摘んでおかないと。





  『ねぇ、さっきゴウ見たんだけど』

  『マジかよ。ニートって出歩くんだ』

  『サクラギ博士と、もう1人、男子と一緒だったのよ』

  『はぁ? あいつ友達いるの?』


 ▼ 12 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:07:40 ID:SIDk5Pxw [10/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル (えっ……?)


委員会のことを考えながら歩いていると、そんな会話が聞こえて、私は驚いた。

後ろから聞こえた会話、私はカバンを探るフリをして歩くスピードを落とす。すると会話の主たちは、私を追い越していく。



  『まだミュウがーとか言ってんのかな』

  『ホントおこちゃまだよね。ミュウなんて本当にいるわけないのに』

  『変わり者だもんなアイツ』


 コハル (あの3人……)


ゴウのことを話していたのは、3人のクラスメイトだった。

そもそもゴウのことを知っている時点で、私のクラスメイトであることは明白だったけど。


マルコ(♀)、ヒヨシ(♂)、コスギ(♂)。


クラスで目立つタイプの3人だけど、トラブルメーカーって訳じゃない。成績が悪いって話も聞かない。

けど、目立つタイプなだけあって、中心人物って訳じゃない。要するに、誰からも頼りにされる、学級委員タイプではない面子だ。
 ▼ 13 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:08:20 ID:SIDk5Pxw [11/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


  ヒヨシ 『あんだけ馬鹿にしてやったのに、諦め悪ぃーよな』

  マルコ 『だいたい、ウチらが相手してあげてんのに、生意気だったのよね』

  コスギ 『まぁ兄貴は喜んでたけどな。ミュウのデータ』

  マルコ 『だからー、ミュウなんて居ないんだから無駄じゃん』

  コスギ 『データだけでも金になるらしいぜ。オカルト本とか』

  ヒヨシ 『ぷはっ、オカルト扱いかよ〜』


3人の後ろを歩き、聞き耳を立てる。


マルコたちはゴウを馬鹿にしていた?

ミュウのデータって? それが金になるって?

もしかして、ゴウが不登校になったことに関係してるんじゃ……。
 ▼ 14 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:09:01 ID:SIDk5Pxw [12/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 チアキ 「おはよーコハル!」

 コハル 「わっ!?」

 チアキ 「えっ? なんでそんなに驚くの?」

 コハル 「あはは……なんでもない」

 チアキ 「ふーん。それよりコハル、今日のMステの予告見た? “ゴーゴー4”が生出演だってねー!」



チアキの登場で、その後のマルコたちの会話は聞けなかったけど――、少なくとも、ゴウに関係していることは間違いない。


どうしよう。

確認したいけど、どうやって確認すればいいんだろう。

直接聞いて答えてくれそうな感じじゃないし……。





結局、私は学校でマルコたちと接触できなかった。

休み時間とか、終礼後とか、接触しようと思えばチャンスはあったけど、あと一歩が踏み出せなかった。

 ▼ 15 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:09:30 ID:SIDk5Pxw [13/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



 コハル 「はぁ……」


委員会が終わって、学校を出たのは17時半。

花壇の手入れに夢中になって、気が付いたら結構な時間が経っていた。

こんな時間まで学校に残っている生徒は少なく、私は一人、家路に着く。


 コハル (ダメだな、私……)


花壇の手入れに夢中になったのは、マルコたちに接触できなかった事実から、目を背けたかったからなのかな。

委員会が忙しいって理由を付けて、知らずのうちに、厄介ごとから逃げようとしてたのかな。

ゴウが不登校になった背景、知りたいはずなのに……。



  コスギ 『そんで! “かえんほうしゃ”でトドメ刺してやったぜ』

  マルコ 『なにそれエグ〜!』

  ヒヨシ 『コスギにバトル挑むとか命知らずだな』
 ▼ 16 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:10:00 ID:SIDk5Pxw [14/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


こんな偶然、あるんだ……。


信号待ちの交差点で、マルコたちと遭遇した。

一度家に帰ったのか、3人とも私服姿で、話に夢中なのか、私に気付いている様子は無い。


こんな偶然、あって欲しくなかったな。

だって私、正直マルコたちとは関わりたくないもん。苦手なタイプだもん。


けど、見つけてしまった以上、接触しない訳にはいかない。

学校では逃げちゃったけど、結局のところ、私はマルコたちと接触する運命だったんだと思う。

ゴウが不登校になった真実を、知りたいから。
 ▼ 17 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:10:29 ID:SIDk5Pxw [15/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「ぁっ、あのっ……!」

 コスギ 「ん? おまえ……」

 マルコ 「コハルじゃん。ほら、サクラギ研究所の」

 コスギ 「あぁ」

 ヒヨシ 「博士の娘が、何か用?」

 コハル 「ゴウのことについて、ちょっとそのっ、聞きたいんだけど」



信号が変わる。



まわりの人が歩き出す。



私たちは、睨み合う。



 ヒヨシ 「ってかここじゃ邪魔だろ」

 コスギ 「あぁ。臨港パーク行こうぜ」

 マルコ 「いいかしら?」

 コハル 「……うん」


 ▼ 18 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:10:59 ID:SIDk5Pxw [16/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


臨港パークは、クチバ港が見渡せる広い公園だ。

公園と言っても、遊具がある訳じゃ無く、ほとんど芝生広場。カフェもあるけど、この時間は閉まっている。


私は、その閉まっているカフェの裏手に誘導された。


 マルコ 「ゴウのこと、聞きたいのよね?」

 コハル 「うん」

 マルコ 「なんで?」

 コハル 「なんでって……」

 コスギ 「ゴウが不登校になった理由が知りたいのか?」

 コハル 「うん」

 ヒヨシ 「逆に、なんでそれを、オレたちに聞こうと思ったわけ?」

 コスギ 「もしかして、オレたちがゴウを不登校にしたって言いたいのか?」

 コハル 「そんなこと……」

 マルコ 「じゃあ、なんでよ?」


カフェの裏手は陰になっていて、まわりから見えにくい。

壁を背後に、私に迫るマルコたち。怖い、怖いけど、ここで逃げたらダメ。
 ▼ 19 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:11:29 ID:SIDk5Pxw [17/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「朝、聞こえたのよ。あなたたちの会話が」

 コスギ 「あぁ……」

 コハル 「馬鹿にしたって、どういうこと? それに、金になるって?」

 ヒヨシ 「聞かれてたんだ」

 コハル 「あなたたち、ゴウになにをしたの? ゴウが不登校になったのと、少なからず関係あるのよね?」

 マルコ 「……チッ!」


  ― ドンッ!


 コハル 「きゃっ!?」


次の瞬間、私はマルコに押し倒された。

そのままマルコに馬乗りされる。ヒヨシに両足を押さえつけられる。


 コハル 「ちょっ……なにするの離して!」

 マルコ 「ダメじゃない、人の話を盗み聞きなんて」

 コハル 「盗み聞きって……、あなたたち、普通に喋ってたじゃない」

 マルコ 「ゴウも馬鹿よね。ウチらが近づいて、なんも警戒しないんだから」
 ▼ 20 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:12:00 ID:SIDk5Pxw [18/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「えっ?」

 コスギ 「ゴウ、ミュウをゲットする〜ってクラスで言いふらしてただろ」

 ヒヨシ 「ついでにそのデータも調べてるって」


まだゴウが不登校になる前。

確かにゴウは、クラスメイトにミュウのことを話していた。自分の集めたデータを自慢しながら。


 コスギ 「実はさ。オレの兄貴、ポケモンで商売してんだよ」

 コハル 「えっ?」

 コスギ 「レアなポケモン捕まえて、高値で売ってるんだ」

 コハル 「それって、ポケモンハンターってこと!?」

 コスギ 「あくまでサイドビジネスだよ。そんで、ミュウのデータのこと話したら、めっちゃ喰い付いてさ」

 ヒヨシ 「幻のポケモン、ミュウのことなら、データだけでも金になるからね」

 マルコ 「それでゴウに近付いたわけよ。友達になろうよ〜って」

 コスギ 「笑えたよな。ちょっと仲良くしてやっただけで、“友達として認めてやる〜”とか言いやがって」

 マルコ 「ホント、何様よって感じ」

 ヒヨシ 「あとは今のお前と同じだよ。ここに追い込んで、ミュウのデータ奪ってやったんだ」
 ▼ 21 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:12:29 ID:SIDk5Pxw [19/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「そんなっ……」

 コスギ 「あいつヒョロイから簡単に奪えたぜ」

 マルコ 「騙したのか〜とか泣いててマジウケたわよね」

 ヒヨシ 「あんなポケモンオタク、騙す以外に近付く理由ないだろって話だ」

 コハル 「酷い……そんなの酷いよ!」


ゴウは、マルコたちに騙されたんだ。

騙された?

そんな生易しいことじゃない。裏切られたんだ。


昔からポケモンのことに一生懸命で、友達が少なかったゴウ。

そんなゴウが、せっかく友達になれたと思った相手から裏切られるなんて、ショックを受けるに決まってる。

しかも、ゴウが昔から調べてたミュウのデータを奪うなんて。


ゴウが不登校になったのも、こんな仕打ちを受けたのなら、当然だ。
 ▼ 22 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:12:59 ID:SIDk5Pxw [20/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「あなたたち、ゴウの気持ちとか考えたことあるの!? やって良いことと悪いことがあるって分からないの!?」

 マルコ 「なによ、随分とゴウを庇うじゃない。好きなの?」

 コハル 「好きとかの問題じゃないでしょ!」

 コスギ 「へへっ。まぁ、それからゴウが学校に来なくなったのは事実だ。あいつが不登校になった理由は、オレらかもしれないな」

 コハル 「かもしれない、じゃなくて100%あなたたちが原因よ!」

 ヒヨシ 「おい暴れるなよ」

 マルコ 「……アンタ、ウチらがやったってチクるつもり?」

 コハル 「当然よ。ゴウが今までどんな気持ちで……」

 コスギ 「おいおい。自分の立場ってもの分かってんのか?」

 コハル 「えっ?」


その瞬間、3人の雰囲気が変わった。

そして私は、この場に居ちゃいけない、この3人から離れなきゃいけないと直感する。
 ▼ 23 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:13:30 ID:SIDk5Pxw [21/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コスギ 「サクラギ研究所の娘だからって、いつでも守られてると思うなよ」 ガシッ!

 コハル 「ひっ……」

 マルコ 「ウチらに刃向ったらどうなるか、教えてやらないとね〜」

 コスギ 「おぅ、マルコ動画録れ。ヒヨシ押さえつけろ!」

 マルコ 「オッケー」

 コハル 「ちょっ……やだやめてっ!」

 ヒヨシ 「暴れんなよ!」

 コスギ 「オラ大人しく脱がされろ!」

 マルコ 「あははっ! 暴れると制服ダメになっちゃうわよ〜」



ヒヨシに押さえつけられて。


コスギに服を脱がされて。


それをマルコに録画されて。


私には、成す術が無かった――。




 ▼ 24 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:14:00 ID:SIDk5Pxw [22/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



 コハル 「ぅっ、グスッ……、ぅぅっ……」


 マルコ 「ウチらに刃向った罰よ」

 コスギ 「ゴウのことチクったら……分かるよな?」

 ヒヨシ 「安心しろよ。お前が何もしなければ、この動画はオレたちだけで楽しむからさ」

 マルコ 「あーでもグループに流すかも?」

 コスギ 「サクラギ研究所の娘の裸、ネットに流れたら大変だよな? そこんとこ、よく考えとけよ」

 マルコ 「じゃあね〜」



夕暮れ時の景色も美しい公園だけど、広い公園だから、人も まばら。

あれだけガサゴソやっていたのに、助けに来てくれる人は居なかった。

何も抵抗できなかった私は、裸にされて、動画に録られて、それをマルコたちの知り合いに……。


 コハル 「グスッ、ぅぐっ……、ぅぅぅっ……」


急いで服を着たは いいけど、しばらく私は、その場から動けなかった。

しばらく私は、その場で涙が止まらなかった。


 ▼ 25 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:14:30 ID:SIDk5Pxw [23/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



 ワンパチ 「わん! わんぱっ! わんぱっ! わぱわんぱっ!」

 コハル 「あっ……、ただいま、ワンパチ」


研究所に戻ると、いつものように、ワンパチが嬉しそうに出迎えてくれた。


 ワンパチ 「わぅ? わぱっ……?」


――けど、私の反応を見るなり、ワンパチは急に大人しくなった。

そして、私の足に擦り寄って来てくれた。


 コハル 「ワンパチ……」


分かるのかな、ワンパチには。私が普段と違うって。

ポケモンって凄いんだな。……ううん、私のことを想ってくれているワンパチが凄いのかもしれない。


 コハル 「ありがと、ワンパチ。心配してくれてるの?」

 ワンパチ 「くぅ〜ん……」

 コハル 「平気だよ。だからそんな悲しい顔しないで、いつもみたいに元気に、ね?」
 ▼ 26 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:14:59 ID:SIDk5Pxw [24/28] NGネーム登録 NGID登録 報告

   ゴウ 「帰ったのかコハルー?」


ゴウの声。と同時に、エントランスに駆けて来る足音。

いけない、いつも通りにしないと。いつも通り、いつも通りの私を演じないと。


 ゴウ 「おかえりコハル。聞いてくれよ! 潜水艇で凄い発見したんだぜ!」

 コハル 「凄い発見?」

 サトシ 「いや、多分それ凄くないから……」

 ゴウ 「沈没したサントアンヌ号! 20年も海底に沈んでたせいで漁礁みたいになっててさ、海のポケモンの宝庫だったんだ!」

 コハル 「ふ〜ん」

 ゴウ 「それで……なんと! サントアンヌ号の中で、黄金のモンスターボールを見つけたんだ!」

 コハル 「黄金の?」

 サトシ 「それ黄金じゃない。金メッキ……」

 ゴウ 「おう! 自然保護のために回収はしなかったけど、あんな黄金のモンスターボール見たこと無いし、それをサントアンヌ号が運んでたって記録も無いんだ。謎に包まれた財宝……凄いだろ!?」

 サトシ 「違うんだゴウ。あのモンスターボールは金メッキで、コイキング売りの……」

 ゴウ 「サトシは ず〜っと金メッキだって言うんだ。夢が無いなぁまったく」

 サトシ 「いや、ホントだから……」

 ゴウ 「沈没したサントアンヌ号には、実は5人の犠牲者が居たんだ。あの財宝は、その5人の犠牲者と関係あるんじゃないかって、オレは睨んでるぜ」

 サトシ 「犠牲になってない。その5人助かってる。って言うかその犠牲者オレだから……」

 ゴウ 「まったくサトシ、そんな冗談ちっとも面白くないぜ〜?」

 ヒバニー 「ひばひゃば〜」
 ▼ 27 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:15:30 ID:SIDk5Pxw [25/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ゴウ 「コハルも何か言ってやれよ。……あ、写真見せてやるよ。スマホロトムけっこう高機能でさ。綺麗に撮れたんだぜ」

 コハル 「あ、うん……」

 ゴウ 「……どうしたコハル? 元気ないのか?」

 サトシ 「ん? そうなのか?」

 コハル 「えっ……、ううん! なんでもないの」

 ゴウ 「そうか?」

 コハル 「ごめんねゴウ。私ちょっとそのっ、委員会で疲れちゃって……、写真は今度見せて」

 ワンパチ 「わぅ……」

 ゴウ 「そっか。じゃあ早くサクラギ所長と帰った方が良いぜ。温室で作業してるけど、もうすぐ終わると思うし」

 サトシ 「オレ呼んでくるよ」

 ゴウ 「頼んだ」


サトシとピカチュウが外の温室へと走って行き、私は改めてゴウと対面する。


……ダメ、言えないよ。


ゴウはマルコたちに裏切られて落ち込んでたのに、今は凄く元気で楽しそう。

辛いことを思いださせたくないし、なにより、誰かに話したら、私の恥ずかしい動画が……。
 ▼ 28 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:16:00 ID:SIDk5Pxw [26/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ゴウ 「なぁコハル。ホントに大丈夫か?」

 コハル 「ぇっ……うん。大丈夫だよ、私!」

 ワンパチ 「わぱ……」

 ヒバニー 「ひゃば……?」

 コハル 「っ……もぉ、ワンパチもヒバニーもどうしたの? 私なら大丈夫だよ?」

 ゴウ 「なら良いけど……」



 サクラギ 「おかえりコハル。どうした? そんなに今日の委員会は大変だったのかい?」

 コハル 「うん。ちょっとだけ疲れちゃって」

 サクラギ 「なら早く寝た方が良いな。先に車で待ってなさい。事務処理を終えたらすぐに行くよ」

 コハル 「うん。おいでワンパチ」

 ワンパチ 「わん!」

 サトシ 「じゃあなコハル。また明日」

 ゴウ 「あんま無理するなよ」

 コハル 「うん。バイバイ」

 ▼ 29 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:16:30 ID:SIDk5Pxw [27/28] NGネーム登録 NGID登録 報告

帰りの車の中、私は寝たふりをしていた。

疲れているだけだと信じ込ませるために。元気が無い理由を探られないために。

ワンパチは ずっと、私の膝の上で丸くなっていてくれた。



夜ご飯は簡単に済ませて。サッとシャワーを浴びて。

そしてまた、元気が無い理由を探られないために、私は早々にベッドに潜り込んだ。

ワンパチは、私の布団の中で丸くなってくれた。


 コハル 「ありがとね、ワンパチ」

 ワンパチ 「くぅぅ……」

 コハル 「そんな声しないで。私は大丈夫だから」

 ワンパチ 「わん……」

 コハル 「大丈夫だと……、思うから……」
 ▼ 30 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/11 22:17:00 ID:SIDk5Pxw [28/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


目を瞑る。


ゴウが不登校になった理由を思い返す。


マルコたちに制服を脱がされて、裸を見られたことを思いだす。


 コハル 「っ……グスッ」

 ワンパチ 「わんぱ……」


現実逃避の意味もあったのか、すぐに意識が遠のいて行った。


隣で暖かいワンパチの存在が、いま唯一、私の心を癒してくれた。




 ▼ 31 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:15:00 ID:9KNo.o9Q [1/15] NGネーム登録 NGID登録 報告





翌朝。

いつものように、お父さんの車で研究所に向かう。


 サクラギ 「コハル、本当に体調は大丈夫かい? 無理することないんだよ?」

 コハル 「うん、平気」

 サクラギ 「お父さん今日は出張だから、何かあったらお母さんに連絡するんだよ」

 コハル 「オーキド博士とシンオウ地方に行くんだよね」

 サクラギ 「そうさ。ナナカマド博士の論文発表会に招待されてね。光栄なことだよ」


このあとお父さんは、オーキド博士とシンオウ地方に行くらしい。

帰って来るのは明日だから、学校から家まではまたバスを使わないと。だからワンパチは家でお留守番だ。


 コハル 「シンオウ地方……、ゴウも行きたかっただろうな」

 サクラギ 「サトシ君もね。知見を深めるのは大事だけど、今回の論文発表会は子供が入る雰囲気じゃないからね。お土産買ってこないと」

 コハル 「期待してるね」
 ▼ 32 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:15:20 ID:9KNo.o9Q [2/15] NGネーム登録 NGID登録 報告


研究所に着くと、お父さんは車に荷物を積み込んだ。研究用の機材らしい。

昨日のうちに積んでおけば楽なのにって思ったけど、機材は厳重な管理が必要だから、たとえお父さんでも、家に持ち帰るのはダメみたい。


詰み終えてすぐ、お父さんは空港へと出発した。


空港でも専用の手続きが必要みたいだし、ポケモン研究者になるって、本当に大変なことだと思う。

将来お父さんの後を継ぐ道を選んだとしたら、それなりの覚悟が必要だ。

 ▼ 33 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:15:40 ID:9KNo.o9Q [3/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「学校……」


お父さんが出発して、現実が突き刺さる。

学校に、行かないと。

そう思っては いるけど、体が動こうとしない。


 コハル 「んっ……」


学校に行けば、マルコたちに会う。

会えば昨日のことを言われる。思いだす。

動画をネタに、脅される可能性だってある。


 コハル 「嫌だよ……グスッ、そんなの……」


お父さんの前では耐えてたけど、もう堪えきれない。

涙がどんどん溢れ出て来て、私を学校に行かせまいとする。

休みたいけど、休みの連絡は保護者がする必要がある。でも、お父さんとお母さんに心配かけたくない。


 コハル (嘘は嫌いだけど……)


 ▼ 34 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:16:00 ID:9KNo.o9Q [4/15] NGネーム登録 NGID登録 報告



しばらくすると、キクナさんが出勤してきた。

キクナさんは お父さんの助手で、頼り甲斐のあるお姉さんだ。


 コハル 「あのっ、キクナさん」

 キクナ 「おはようコハルちゃん。……えっ? 学校の時間大丈夫?」

 コハル 「実は、ちょっと頭が痛くて……。家を出た時は大丈夫だったんですけど……」

 キクナ 「あらあら。健康第一よ。休んだ方がいいわ。お母さんに連絡してあげるわね」

 コハル 「あっ……待って下さい」

 キクナ 「どうしたの?」

 コハル 「お母さん、今日はソウタ……弟の、授業参観なんです。お母さんに連絡しちゃったら、私を迎えに来て、そのまま病院に行って、授業参観に出れなくなると思います。弟、すっごく楽しみにしてたので、それはダメなんです」

 キクナ 「けど……」
 ▼ 35 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:16:20 ID:9KNo.o9Q [5/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
当然、ソウタの授業参観なんて嘘っぱち。

でも、お父さんにもお母さんにもバレずに学校を休む方法は、これしかない。


 コハル 「キクナさん、お願いします。お母さんのフリして、休みの連絡して貰えませんか?」

 キクナ 「えっ……、ダメよそんなの。所長に怒られちゃう」

 コハル 「私がお願いしたって言うから大丈夫です」

 キクナ 「それに、ちゃんと病院に行かなきゃダメよ」

 コハル 「そこまで凄い痛いって訳じゃないから大丈夫です。ちょっと休めば良くなると思いますし、みんなに心配かけたくないんです。お願いします……」

 キクナ 「……はぁ。分かったわ。その代わり、家に帰ったら、きちんと自分の口からお母さんに言うのよ?」

 コハル 「はい。ありがとうございます。……これ、学校の電話番号です」

 キクナ 「ここに連絡すればいいのね。じゃあ、宿直室で大人しくしてるのよ?」

 コハル 「はい」



 キクナ 「……もしもし、私、櫻木と申しますが。はい、そうです。2組の……櫻木コハルの母です。実は娘が……」


 ▼ 36 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:16:40 ID:9KNo.o9Q [6/15] NGネーム登録 NGID登録 報告


 コハル 「はぁ……」


キクナさんが学校に連絡するのを確認して、私は宿直室のベッドに寝ころんだ。

これで今日は、学校に行かなくて済む。でもそれは、今日と、明日の日曜日だけ。その場しのぎに過ぎない。


 コハル (どうしよう……)


私は、マルコたちに弱みを握られてしまった。

私はもう、マルコたちに逆らえない。漫画みたいな現実が、私に圧し掛かる。


 コハル (グスッ、どうしたらいいんだろう……)


踏みこんじゃいけない領域に、踏みこんじゃったのかな。

余計なことに、首を突っ込んじゃったのかな。

……ううん。ゴウが不登校になった理由は、私にとって余計なことじゃない。

幼馴染のゴウが また学校に通えるようになれば、私だって嬉しいもん。


私は間違ったことなんてしていない。


 コハル (なのに、どうして……)


 ▼ 37 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:17:00 ID:9KNo.o9Q [7/15] NGネーム登録 NGID登録 報告



 ゴウ 「コハルー?」



 コハル 「んっ……」

 ゴウ 「大丈夫か?」

 コハル 「ぁっ、ゴウ……」


いつの間にか眠っていたようだ。

時計を見ると、12時を過ぎたところ。けっこう寝ちゃったみたい。


 ゴウ 「心配したんだぞ。学校休むなんて、かなり具合悪いんじゃないか?」

 コハル 「ううん、大丈夫」

 ゴウ 「本当に……大丈夫なのか?」

 コハル 「えっ?」

 ゴウ 「コハル、昨日から変だぞ。なんかいつもより暗いって言うか、元気がないって言うか……」
 ▼ 38 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:17:20 ID:9KNo.o9Q [8/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
なによ。

ゴウってば、ポケモンのことばっかりかと思ったら、ちゃんと私のこと気にかけてくれてたんだ。


 コハル 「ホントに大丈夫。ごめんね心配かけて」


それはそれで嬉しいけど、この問題は、ゴウにだけは言えない。

だって、ゴウを不登校に追いやったマルコたちが絡んでるんだから。言えるわけが無い。


  ― ピコン♪


……と、私のスマホが鳴った。

この音はメールの受信。チアキあたりが心配してメールくれたのかな。


 コハル 「ヒッ……!」


そんな軽い気持ちでメールを開いた私は、衝撃を受けた。

そして、ゴウの見ている前でメールを開いたことを、後悔する。


 ゴウ 「どうした!?」

 コハル 「うっ、ううん! なんでもないの!」

 ゴウ 「なんでもなくないだろ。今のコハル、なんて言うか凄い怖がってる感じだったぞ!」 ガシッ!

 コハル 「あっ……ちょっとゴウ!」


ゴウは素早く私のスマホを奪い取り、メールを読む。

そして顔色が変わる。


 ゴウ 「……なんだよコレ!?」
 ▼ 39 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:18:00 ID:9KNo.o9Q [9/15] NGネーム登録 NGID登録 報告




知らないアドレスだと思ったでしょ

マルコよ。メアド教えて貰ったけど、いまどきLINEくらい入れときなさいよ

どうせサボりでしょ?

当然よね、昨日あんなに恥ずかしいおもいしたんだから(〃艸〃)

ウチら遊ぶ金なくてー、サクラギ研究所の娘なら金あるわよね?

動画ばら撒かれたくなかったら、分かるわよね?

4時半に山下ふ頭のフジキ第3倉庫の裏で待ってるから♡



 ▼ 40 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:18:31 ID:9KNo.o9Q [10/15] NGネーム登録 NGID登録 報告


 ゴウ 「どういうことだよコハル? あいつに……脅されてるんだな!?」

 コハル 「それはっ……」

 ゴウ 「正直に言え!」

 コハル 「っ……」 ウルッ

 ゴウ 「オレもマルコの被害者だ。コハルが一人で悩む必要なんてない!」

 コハル 「グスッ、ゴウ……」


ゴウの力強い言葉に、涙が溢れ出た。

これ以上は、隠し通せない。



私はゴウに、全てを話した。



ゴウが不登校になった理由を聞いたこと。

その理由を知ってしまったこと。

服を脱がされ動画に録られたこと。

それをネタに脅されたこと。



ゴウに涙を見せたのは、久しぶりだ。


 ▼ 41 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:19:00 ID:9KNo.o9Q [11/15] NGネーム登録 NGID登録 報告



 ゴウ 「……その通りだよ。オレはマルコたちに騙されて、ミュウの独自データを奪われちまった」

 コハル 「うん……」

 ゴウ 「ショックだったよ。友達だと思った相手に裏切られて。しかもそのデータが、金儲けに使われたなんて」

 コハル 「うん……」

 ゴウ 「クラスの奴は、誰も信用できなくなっちまった。友達になったとしても、簡単に縁を切られそうで」

 コハル 「だよね……」

 ゴウ 「だからオレ、学校に行かなくなったんだ。怖かったんだ、みんな」

 コハル 「うん……」

 ゴウ 「それからずっと、奪われたデータの取り直しに没頭したな。やっぱノートに書くデータはダメだよな。それを奪われたらゼロになっちまう」

 コハル 「そっか。今のゴウ、いろいろスマホで調べてるもんね」

 ゴウ 「ま、一日中ずっと自由なお陰で、ミュウのデータは前よりたくさん集まったけどな。あと、レアなポケモンが現れる条件とか」

 コハル 「それでルギアに会えたのね」

 ゴウ 「そうさ。サトシにも出会えたし」

 コハル 「そう言えば、サトシは大丈夫なの? ずっと気になってたんだけど」

 ゴウ 「サトシは裏切るような奴じゃない。ピカチュウを見てれば分かる」

 コハル 「ふふっ。さすがポケモン好きね」

 ゴウ 「コハル、やっと笑ってくれたな」 ニカッ

 コハル 「えっ……」 ドキッ
 ▼ 42 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:19:21 ID:9KNo.o9Q [12/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ゴウ 「それより、問題はマルコたちだ。金を要求するなんて有り得ない!」

 コハル 「うん。もう、先生に言った方が……」

 ゴウ 「なに言ってんだ! 横浜市教育委員会はクズだぞ! いじめで150万円奪われても“いじめは無かった”って発表するんだ! 先生に言ったところで無駄に決まってる!」

 コハル 「あっ……うん。確かにクチバは横浜だよね」

 ゴウ 「直接あいつらと話すしかない」

 コハル 「えっでも……」

 ゴウ 「きっちり言って、やめさせるんだ。あいつら自分より弱い人間にメッチャ強気だから、ガツンと言ってやらないと!」

 コハル 「無理よそんなの。私、そんな勇気ない……」

 ゴウ 「オレも一緒に行く。4時半に山下ふ頭だったよな」

 コハル 「そんなっ! またゴウが辛い思いしちゃう!」

 ゴウ 「オレのことは気にするな。もう立ち直ってるし、コハルへの嫌がらせを黙って見過ごすわけにはいかない!」

 コハル 「ゴウ……」

 ゴウ 「それに、オレにはヒバニーがいる。大丈夫さ」


そう言ってゴウは、再び笑った。

凄いなゴウ。自分を裏切った相手に、こうやって立ち向かおうとするなんて。しかも、私のために。
 ▼ 43 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:19:40 ID:9KNo.o9Q [13/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル (変わったね、ゴウ)

 ゴウ 「ん?」

 コハル 「ううん。ありがとう。ゴウが一緒なら心強い……かな」

 ゴウ 「あぁ! 任せとけって!」


  ― コンコン!


 ゴウ 「あっ」

 コハル 「……どうぞ」


  ― ガチャッ


ノックに続いて部屋に入って来たのは、サトシだった。

話が一段落ついた絶妙なタイミングだったけど、もしかして……。
 ▼ 44 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:20:00 ID:9KNo.o9Q [14/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシ 「おかゆ持って来たぜ。キクナさんから」

 コハル 「あっ、ありがとう」

 サトシ 「あと体温計も。一応、熱も測った方がいいって」

 コハル 「うん」

 ゴウ 「……なぁサトシ」

 サトシ 「ん?」

 ゴウ 「オレたちの話、聞いてたか?」

 サトシ 「聞いてないぜ?」

 ゴウ 「そっか。ごめん、なら大丈夫」

 サトシ 「おう。あんまり無理し過ぎるなよ。お大事にな」

 コハル 「ありがとう……」
 ▼ 45 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/13 00:20:30 ID:9KNo.o9Q [15/15] NGネーム登録 NGID登録 報告
おかゆを置いて、サトシは部屋から出て行った。

ゴウは、サトシの足音が遠ざかっていくのを確認して、口を開く。


 ゴウ 「よかったな、聞かれてなくて」

 コハル 「うん……そうだよね。服を脱がされたとか、流石にサトシには聞かれたくなかったもん」

 ゴウ 「それもそうだけど、サトシは正義感が強いから、聞いたら絶対に ついてくると思う」

 コハル 「そっか……」

 ゴウ 「サトシのことは信じてるけど、これはサトシには関係ないことだ。オレたちでなんとかしなきゃいけない問題なんだ」

 コハル 「うん」

 ゴウ 「コハル、ひとまず今は食べて休め。山下ふ頭4時半ってことは、まだ3時間くらいは余裕あるもんな」

 コハル 「ありがとう」

 ゴウ 「へへっ」


ゴウの優しさが、私を安心させる。

普段は どうしようもないって感じのゴウが、こんなに頼もしく思えるなんて――。


私も覚悟を決めないと。

ゴウみたいに、勇気を出さないと……!


 ▼ 46 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:00:00 ID:U2KgyBgs [1/45] NGネーム登録 NGID登録 報告



山下ふ頭入口でバスを降りる。

賑やかな観光地というイメージは ここまでで、ふ頭へと続く道は、土曜日ということもあって閑散としている。


山下ふ頭は これから再開発が行われるため、倉庫群を取り壊している。

半分くらいは更地になったけど、再開発に反対している業者の建物は まだ取り壊されていない。

土曜日で取り壊し作業は お休み中。ふ頭の中は人気(ひとけ)が無く、マルコたちが約束の場所に選ぶのも納得だ。


 ゴウ 「行くぞ」

 コハル 「……うん」

 ヒバニー 「ひゃばっ!」

 ゴウ 「ヒバニーが“心配するな”ってさ」

 ヒバニー 「ひばにゃっ!」

 コハル 「ふふっ。ありがとうヒバニー」


指定されたフジキ第3倉庫は、海に張り出した ふ頭の先端にある。

余計に人が居ない、人目に付かない場所だ。
 ▼ 47 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:00:22 ID:U2KgyBgs [2/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
約束の4時半。


陽は傾きはじめ、倉庫の裏は陰が落ちて薄暗い。

煩雑に置かれた木箱、錆びた雨樋から滴る水、剥がれたアスファルトから舞い上がる砂埃。ドラマで刑事と犯人が衝突するような環境だ。


 マルコ 「あら。久しぶりじゃん?」

 コハル 「っ!?」

 ゴウ 「お前らっ……!」


そこにマルコたちが居たことに、私たちは気付かなかった。

すぐ脇にあった貨物コンテナの縁に腰掛けて、私たちを見下ろしていた。


 コスギ 「ホント久しぶりだなゴウ」

 ヒヨシ 「てっきりニート生活だと思ってたけど、ちゃんと外に出れるんだな」

 マルコ 「あははっ。なによコハル? 1人じゃ不安だからゴウに来て貰ったワケ? 誰にも言うなって約束したのに?」

 ゴウ 「ふざけるな! お前らコハルにもオレと同じことするつもりかよ!?」

 コスギ 「誰もゴウの裸なんて見たくねーよ」

 ゴウ 「そっちじゃない! 人の弱みを握って、それを楽しむなんて最低だ!」

 ヒバニー 「ひばひゃばっ!」
 ▼ 48 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:00:53 ID:U2KgyBgs [3/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ヒヨシ 「へー。ポケモン捕まえたのか」

 コスギ 「お前と同じで弱そうだな」

 ゴウ 「なんだと!?」

 ヒバニー 「ひば!」

 マルコ 「今はアンタの相手してる暇ないの。コハル、金、持ってきたんでしょうね?」

 コハル 「………」

 マルコ 「あの動画ネットにアップされたいの?」

 コハル 「ちがっ……」

 ゴウ 「そんなこと、オレが許さない!」

 コスギ 「ザコになにができるんだよ」

 マルコ 「ホント。正義のヒーローごっこなんて……おこちゃまね」

 ゴウ 「ふざけるな! オレはお前らと話しつけにきたんだ。そんな動画ネットにアップしたら、コハルがどんだけ傷付くか分かるだろ!? 今すぐ削除しろ!」

 コスギ 「そう言われて削除すると思うか?」

 マルコ 「ホント馬鹿ね。また痛い目に遭いたいワケ?」

 ヒヨシ 「あん時は笑えたよな。ミュウのノート奪われて、泣きながら“かえせー”って」

 マルコ 「ホント。動画録っとけばよかったわ」

 ゴウ 「あの時のオレとは違う! 今日まで色んな経験して! オレだって強くなってるんだ!」

 ヒバニー 「ひゃばにゃん!」
 ▼ 49 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:01:17 ID:U2KgyBgs [4/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コスギ 「なら……、試してみようぜ」

 ゴウ 「なに?」

 コスギ 「ザコがザコをゲットしてもザコに変わりねーんだよ。出てこいハッサム!」

 ハッサム 「ハッサム!」

 ゴウ 「ハッサム……、ストライクの進化系!」

 コスギ 「オレたちに勝ったら動画は消してやるよ」

 ゴウ 「本当だな!?」

 コスギ 「あぁ。勝てたらな」

 ゴウ 「約束だぞ!」

 コスギ 「そのかわり。負けたらタダじゃ済まねーからな」


赤い体が鈍く光るハッサムは、ゴウとヒバニーを冷たく睨みつけている。

確か……炎タイプのヒバニーなら効果抜群だけど、あの体格差を覆すほど有利に働くのかは分からない。

それに、ゴウはヒバニーをゲットして日が浅い。ポケモンバトルの経験だって、ほとんど無い。


 コハル 「大丈夫なのゴウ? 私のために無茶しなくても……」

 ゴウ 「なに言ってるんだ。男なら、女の子を守るのは当然だろ?」

 コハル 「っ……///」 ドキッ
 ▼ 50 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:02:16 ID:U2KgyBgs [5/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ゴウ 「行くぞヒバニー! “でんこうせっか”!」

 ヒバニー 「ひゃば!」


思わぬ不意打ちを仕掛けてきたゴウは、私の反応を見ることなく、バトルに突入した。

そんなゴウを、ちょっとだけ格好良いと思ってしまった自分がいる。


 コスギ 「“こうそくいどう”で対抗しろ!」

 ゴウ 「追えヒバニー!」


幼馴染のゴウは、昔からポケモンが大好きで、ミュウをゲットするために一生懸命で。

でも、ポケモンに一直線な分、ちょっと抜けてるところがあって、危なっかしくて。


 コスギ 「“つるぎのまい”!」

 ゴウ 「舞の最中は動きが止まる……! “にどげり”だ!」


そんなゴウを格好良いと思ったことなんて、今まで一度も無かったのに。

ドジ踏んだりして、どちらかと言えば格好悪いことの方が多かったのに。


 コスギ 「そんなもん効かねーよ! “シザークロス”!」

 ゴウ 「あっ……と! ジャンプで避けろ!」


でも、私を守ろうと立ち向かってくれる姿は、純粋に、格好良い。

私のために戦ってくっる姿は、とっても逞しい。


 コスギ 「“こうそくいどう”したの忘れたのか? 捉えろハッサム!」

 ゴウ 「あっ……ヒバニー!?」
 ▼ 51 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:03:13 ID:U2KgyBgs [6/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
けど、その逞しさは、時に残酷だ。

見るからによく育てられている、コスギのハッサム。かたや、ゲットして間もないヒバニーと、トレーナー初心者のゴウ。

力の差は、私から見ても歴然だった。


 ゴウ 「大丈夫かヒバニー!?」

 ヒバニー 「ひばっ……!」


“シザークロス”が直撃したヒバニーは、コンテナに叩きつけられてしまった。

確かにヒバニーは回避行動をとったけど、ハッサムのスピードが、それを上回っていた。“こうそくいどう”って凄い。


 コスギ 「さっさと終わらせるぞ。“シザークロス”!」

 ゴウ 「落ち着けヒバニー! まわりこんで“でんこうせっか”だ!」

 ヒバニー 「ひゃばぁ!」


鎌を振りかざすハッサムに対し、ヒバニーは小柄な体を活かして すり抜け、駆けだした。

ハッサムを翻弄するかのように、素早い動きで、チャンスを伺っているように見える。
 ▼ 52 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:04:08 ID:U2KgyBgs [7/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コスギ 「チッ! ちょこまかとウザってーなぁ!」

 ゴウ 「いいぞヒバニー! 焦らなくて良い! チャンスを見極めるんだ!」

 コスギ 「気にするなハッサム! お前ならそんなザコの攻撃耐えられる! 返り討ちにするぞ!」


ハッサムも神経を集中させて、ヒバニーの出方を伺っている。

2匹とも、2人とも、真剣な表情だ。



  マルコ 「諦めなよゴウー。力の差あり過ぎだからー」

  ヒヨシ 「ヒーロ気取ったって、コスギに勝てるほど世の中あまくないぞー」



マルコとヒヨシのヤジが飛ぶ。

真剣勝負に水を差さないで欲しいと感じる一方、2人の言うことは もっともだ。

力の差、バトルの経験、ともにゴウが圧倒的に不利。ゴウには勝って欲しいけど、勝ち筋があるかどうかは……。
 ▼ 53 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:32:10 ID:U2KgyBgs [8/45] NGネーム登録 NGID登録 報告


 ヒバニー 「ひぃぃぃぃばひばひばひばぁ!」


すると、ヒバニーの足から煙が上がり、炎が巻き起こる。

暗い陰の中、ヒバニーが光り輝いているかのように、炎は大きくなっていく。


 ゴウ 「温まって来たな!」

 ヒバニー 「ひゃば!」

 コスギ 「厄介な野郎め……。接近して“つじぎり”!」


コスギが勝負を仕掛けてくる。


 ゴウ 「避けろ!」


ヒバニーは、ハッサムの攻撃をギリギリで回避。


 コスギ 「連続で“つじぎり”だ!」

 ゴウ 「ヒバニー頑張って避けてくれ!」

 ヒバニー 「ひばっ……!」


でもそれは、小柄だから避けれただけであって、スピードはハッサムの方が上だ。

素人の私から見ても、長くは続かないのは明白だ。
 ▼ 54 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:32:30 ID:U2KgyBgs [9/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「ゴウ頑張って! このままじゃヒバニーが!」

 ゴウ 「分かってる! 分かってるけど……!」


 コスギ 「オラ早く指示しないとヒバニーが可哀想だぞ?」


 ゴウ 「クソッ! こんな時、サトシなら……」


少し前、ゴウはサトシと一緒に、ホウエンのバトル大会に参加した。

ゴウは初戦敗退だったけど、サトシは優勝。フィールドとワザを巧みに使った決勝戦だったらしい。


ゴウ、サトシの戦略を参考にするつもりなの?

そんな、いきなり優勝者の戦略を真似しようなんて、無茶な気が……。


 ゴウ 「……ヒバニー! 木箱を蹴飛ばせ!」

 ヒバニー 「ひっ……ひばぁ!」

 コスギ 「何する気だ?」


多分、ゴウが考える時間は一瞬だったと思う。

その一瞬の間に導き出した答えが、いま、披露される。
 ▼ 55 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:32:48 ID:U2KgyBgs [10/45] NGネーム登録 NGID登録 報告

 ヒバニー 「ひばっ! ひばばっ! ひばぁっ!」


煩雑に置かれた空の木箱を、ヒバニーが蹴飛ばす。

いま、ヒバニーの足には炎が宿っている。この状態で、木箱を蹴飛ばせば……。


 コスギ 「なにっ!?」


蹴り上げられた木箱は、当然バラバラに砕け散るが、足の炎が燃え移り、大小の火の粉となって、舞い上がる。


 ゴウ 「全部……そこにある木箱全部だ!」

 ヒバニー 「ひばぁぁぁぁ!!!」
 

たちまち倉庫裏は、火の粉に包まれる。

燃える木箱の破片が空間を埋め尽くして、暗がりはオレンジ色に染まって、まるで打ち上げ花火のよう。


 コスギ 「なっ……ハッサム!?」


燃える破片がハッサムに降り注ぎ、ダメージを与える。
 ▼ 56 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:33:08 ID:U2KgyBgs [11/45] NGネーム登録 NGID登録 報告

 コスギ 「落ち着け! 落ちて来る破片なんて遅い! 振り払え!」

 ゴウ 「今だ“でんこうせっか”!」

 ヒバニー 「ひやばぁぁぁぁぁっ!」

 コスギ 「おいテメェ!?」


ゴツン!

と鈍い音が響いたかと思うと、ハッサムの横っ腹にヒバニーは突っ込み、そのまま弾き飛ばした。

倉庫の壁に激突したハッサムは足がふらつき、大きな鎌を地面につく。


こういうのを、“隙だらけ”って言うんだと思う。


ヒバニーはと言えば、足の炎はさらに大きく勢いを増して、駆けるスピードも格段に上がっている。


 ゴウ 「あれは……」

 コスギ 「立てハッサム! 怯むな!」

 ゴウ 「ヒバニー! “ニトロチャージ”!」

 ヒバニー 「ひば!」


炎を纏ったヒバニーが、物凄いスピードでハッサムに突撃した。

“ニトロチャージ”。確か素早さを上げつつ攻撃するワザ。ヒバニーにピッタリだ。
 ▼ 57 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:33:30 ID:U2KgyBgs [12/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
立ち上がりかけたハッサムに、“ニトロチャージ”が直撃。

その衝撃で、今度はコンテナに叩きつけられたハッサムは、そのまま崩れ落ちてしまう。


 コスギ 「しっかりしろハッサム! そんなザコに負けるなんて有り得ねーぞ!」


ハッサムは、まだダウンしていない。

目を開き、立ち上がろうとしてるけど、限界が近いようだ。


 ゴウ 「良いぞヒバニー! これで決めるぞ! もう1発“ニトロチャージ”!」

 ヒバニー 「ひばぁぁぁぁぁっ!」


ヒバニーの勢いは止まらない。

炎の鎧を身に纏ったかのように、熱く燃える体。さらに上昇するスピード。


 コハル 「すごい……!」


ゴウ、トレーナーになったばっかりなのに。

ヒバニー、バトル経験ほとんどないはずなのに。


私を守りたい一心で、ゴウは、ヒバニーは、力の差を覆した。


凄い……、本当に凄い!

ゴウ、あなたいま、とっても格好良い!

 ▼ 58 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:33:47 ID:U2KgyBgs [13/45] NGネーム登録 NGID登録 報告


 ヒヨシ 「“たきのぼり”!」



 ゴウ 「なにっ!?」

 ヒバニー 「ひゃばぁぁっ!?」


次の瞬間、青い物体がヒバニーと衝突した。

飛び散る水飛沫、消える炎、静まり返る倉庫裏。


 ヒヨシ 「コスギらしくねーな。そんなザコ相手に」

 コスギ 「チッ。油断しちまったよ」


見ると、そこにはニョロボンの姿が。

ヒヨシのニョロボンが乱入して、ヒバニーに“たきのぼり”を喰らわせたのだ。


 ゴウ 「ヒバニーっ!?」


予想外の乱入に、当然、ゴウもヒバニーも対応できるはずがない。

効果抜群の“たきのぼり”を受けたヒバニーは、壁に叩きつけられ、そのまま力なく倒れ込んでしまった。
 ▼ 59 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:34:08 ID:U2KgyBgs [14/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ゴウ 「ヒバニー!? 大丈夫かヒバニー!?」

 ヒバニー 「ひっ……ばぁ……」


 コハル 「酷い……卑怯よあなたたち! 不意打ちだなんて!」

 マルコ 「外野は黙ってなさいよ!」

 ゴウ 「クッ……! 約束が違うぞ! 負けそうだからって2人がかりは卑怯だぞ!」

 コスギ 「なに言ってんだよ。誰が1対1なんて言ったか?」

 ゴウ 「誰がって……、お前に勝ったら動画は消すって!」

 コスギ 「あぁ、“オレたちに勝ったら”とは言ったな。“オレたち”に」

 ゴウ 「まさか……」

 ヒヨシ 「オレたち3人のことだぞ。誰も1対1なんて言ってないね」

 マルコ 「そゆこと。残念だったわね」


 ゴウ 「お前らっ……お前らクズだ! トレーナーの風上にも置けない卑怯者だっ!」

 コスギ 「なんとでも言えよ」

 マルコ 「ゴウ、アンタの負けなの。作戦負け」

 ヒヨシ 「自分の甘さを後悔するんだな」

 ゴウ 「クッ……! ごめん、ヒバニー」
 ▼ 60 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:34:28 ID:U2KgyBgs [15/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴウはヒバニーを そっと抱きかかえると、そのまま私の前に立った。


 コハル 「ゴウ……!」

 ゴウ 「安心しろ。コハルはオレが守ってやる」

 コハル 「っ……///」


 マルコ 「あらあら お熱いこと」

 コスギ 「約束通り、負けたザコには痛い目 見せねーとな」

 ヒヨシ 「やれニョロボン! ゴウに“かわらわり”……ちょっと加減してな」


迫りくるニョロボン。


たちまち襲い掛かる恐怖。


加減するとは言え、生身の人間が格闘ワザを受けたら……。



 ゴウ 「クッ……!」

 コハル 「いやぁぁぁっ……!」


 ▼ 61 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:34:45 ID:U2KgyBgs [16/45] NGネーム登録 NGID登録 報告



  「ピカチュウ! “10万ボルト”!」

  「ぴかちゅぅぅぅぅ!」



 ヒヨシ 「なっ!?」

 コスギ 「誰だ!?」



響き渡る聞き慣れた声。


目を開けると、ニョロボンが膝をついている。

その傍らには、ピカチュウと――。


 ゴウ 「サトシっ!」

 コハル 「サトシ……」

 サトシ 「格好良かったぜゴウ! あとはオレたちに任せろ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 ゴウ 「どうしてここが……」
 ▼ 62 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:35:13 ID:U2KgyBgs [17/45] NGネーム登録 NGID登録 報告



どうしてここが?

そんなの、考えられる理由は一つ。


研究所での私とゴウの会話、やっぱりサトシは聞いてたんだ。


思い返せば、あの時のサトシの返答は不自然だった。


“話を聞いてたか?”と聞かれて、もし本当に聞いていなければ、“なんのこと?”とか“どんな話?”とか、そういう反応が返ってくるはず。

でもサトシの答えは“聞いてないぜ”。


これは明らかに、私たちの会話を聞いていた上で、嘘をついてたんだ。

 ▼ 63 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:35:34 ID:U2KgyBgs [18/45] NGネーム登録 NGID登録 報告

 サトシ 「お前たち! 2匹でヒバニーを攻撃するなんて恥ずかしくないのか!?」

 マルコ 「なんなのよアンタ!?」

 サトシ 「オレはゴウの友達だ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」


 ゴウ 「サトシっ……」


 マルコ 「ふーん。ゴウに友達いたんだ」

 コスギ 「引きこもりのクセにな」


 ゴウ 「サトシ! あいつらコハルの弱みを握ってるんだ! それでコハルを脅して」

 サトシ 「分かってる。最低なトレーナーだな」

 ヒヨシ 「部外者は黙ってろ!」

 サトシ 「あとはオレが相手だ」

 ヒヨシ 「は?」

 サトシ 「やるぜピカチュウ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ!」
 ▼ 64 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:35:54 ID:U2KgyBgs [19/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 マルコ 「ぷっ……それ本気? ピカチュウ1匹で?」

 コスギ 「おおかた女ウケ狙ってんだろ」

 ヒヨシ 「まだ行けるなニョロボン!」

 マルコ 「アンタも行くのよペルシアン!」

 コスギ 「出てこいギャロップ!」


ニョロボンと、ペルシアンと、ギャロップ。

3匹のポケモンが、1匹のピカチュウを睨みつける。


 コスギ 「後悔するなよ? お前が“オレたちの相手する”って言ったんだからな」


 ゴウ 「さすがに無茶だ! 確かにピカチュウは強いけど、3匹相手じゃ……」


私も同感だ。3対1なんて、不利に決まってる。

学校でポケモンバトルは同数同士って習ったし、ダブルバトル、トリプルバトルは、より高度なバトル技術が要求されるとも習ったし。


 サトシ 「良いぜ。まとめて かかってこい!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか!」


なのに、なんでサトシとピカチュウは、そんなに堂々としていられるの?

怖くないの?

3人がかりで攻撃されて、不安じゃないの?
 ▼ 65 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:36:16 ID:U2KgyBgs [20/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 マルコ 「良い度胸じゃない! ペルシアン“つじぎり”よ!」

 コスギ 「ギャロップ“ふみつけ”だ!」

 サトシ 「かわせ!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」

 ヒヨシ 「ニョロボン“たきのぼり”!」

 サトシ 「ジャンプだ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴっか!」


鋭い爪で迫りくるペルシアンをかわして、大きく飛び込んできたギャロップをかわして、水を纏って突進してくるニョロボンをかわして。

流れるような回避行動のピカチュウ、動きに全く無駄が無い。


 サトシ 「そのままニョロボンに“10万ボルト”!」

 ピカチュウ 「ぴぃかぁぁぁぁちゅぅぅぅぅぅ!」

 ヒヨシ 「なっ……!?」


大きくジャンプしたピカチュウは、ニョロボンに“10万ボルト”を撃ち落とす。

効果抜群とあって、ニョロボンはダウンした。瞬殺だった。
 ▼ 66 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:36:49 ID:U2KgyBgs [21/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシ 「よしっ!」

 コスギ 「“かえんほうしゃ”!」

 サトシ 「“10万ボルト”で向かい打て!」

 ピカチュウ 「ぴかぴかぁ!」


ニョロボンとの勝利に喜ぶ暇も無く、次の手が襲い掛かる。

ギャロップの炎とピカチュウの電撃が衝突、衝撃波が駆け抜け、砂埃が舞い上がった。


 マルコ 「今よ“ねこだまし”!」

 サトシ 「ピカチュウ!?」


背後から迫るペルシアンに、ピカチュウは反応しきれなかった。

大技同士のぶつかり合いは、やっぱり隙が生まれてしまう。


 コスギ 「“メガホーン”喰らわせてやりな!」

 ヒヨシ 「出てこいゴローニャ! “ロックカット”!」


間髪入れずに、ギャロップが動く。

角に神経を集中させて、足音響かせて、ピカチュウに突撃して行く。


そんななか、ヒヨシは2体目のゴローニャを繰り出していた。
 ▼ 67 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:37:08 ID:U2KgyBgs [22/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシ 「“エレキネット”だ! でっかく行け!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃか!」


でも、サトシは焦りを見せない。

ピカチュウが放った“エレキネット”は大きく広がって、倉庫の壁と壁、そして地面に貼り付いた。


 コスギ 「なっ……んなのアリかよ!?」


まさしくネット。ギャロップは電気の網に接触して電撃を受ける。

しかもネット状だから、動きを止めることにも成功した。


 マルコ 「ペルシアン! ネットを切り裂いて」

 コスギ 「馬鹿! 電気喰らうぞ!」

 ヒヨシ 「オレが行く! 転がれゴローニャ!」


“ロックカット”のおかげなのか、丸くなったゴローニャは予想外の素早さで転がり始めた。

そして“エレキネット”の網を突き破り、ピカチュウを弾き飛ばす。


 ピカチュウ 「ぴかっ……」

 サトシ 「クッ!」


 ヒヨシ 「良いぞゴローニャ! 転がり続けろ! ピカチュウを地面に降ろすな!」
 ▼ 68 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:37:29 ID:U2KgyBgs [23/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゴローニャは土煙を上げながら転回して、ピカチュウの落下地点に素早く移動。

再びピカチュウを弾き飛ばした。


 ヒヨシ 「電気ネズミが調子乗ってんじゃねーぞ!」

 マルコ 「良いわよヒヨシっ!」


“ころがる”攻撃は、ヒットするたびに威力が上がるワザ。

このままじゃピカチュウ、リフティングされるように連続で攻撃を受けてしまう。なんとか抜け出さないと……!


 ヒヨシ 「オラ3回目!」

 サトシ 「今だピカチュウ! “アイアンテール”!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっかぁ!」

 ヒヨシ 「はっ!?」


ピカチュウは、空中に弾き飛ばされている状態にも関わらず、体勢を整える。

そして、鈍く銀色に光る尻尾を突き出し、ゴローニャ―に振り下ろした。
 ▼ 69 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:37:47 ID:U2KgyBgs [24/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシ 「上手いぞピカチュウ!」


ゴローニャは、ピカチュウに攻撃しようと自ら落下地点に移動していた。

そしてヒヨシは、岩・地面タイプのゴローニャが不利に立たされるとは思っていなかったのか、完全に指示が飛んでいた。


 サトシ 「もう1発“アイアンテール”!」

 ピカチュウ 「ちゅぴっか!」


動きが止まったゴローニャに、“アイアンテール”が容易く直撃。

反動でゴローニャは転がり、倉庫に激突。壁の一部がバキバキと音を立てて崩れて落ちる。


 コスギ 「ヤバ避けろ!」

 マルコ 「ちょっ……!」


崩れ落ちたのは、マルコたちが立つ すぐ傍の壁。

巻き込まれないよう慌てて逃げるマルコたちを、当然サトシは見逃さない。


 サトシ 「ピカチュウ! 最大パワーで“10万ボルト”だ!」

 ピカチュウ 「ぴぃぃかぁぁぁぁちゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 ▼ 70 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:38:07 ID:U2KgyBgs [25/45] NGネーム登録 NGID登録 報告


閃光。


ピカチュウがカッと輝きだしたかと思うと、次の瞬間、轟音と共に、青白い電気が空間を駆け抜けた。

雷が落ちて爆発したかのような、大きな衝撃。

剥がれたアスファルトをさらに抉り、コンクリート片が混じった砂埃が辺り一面を覆い尽くす。


これだけの威力の電撃を、小さくて可愛いピカチュウが放ったことが、信じられない。

信じられない威力、莫大な電気エネルギーが、ギャロップとペルシアンを呑みこんだのだ。



 マルコ 「嘘……でしょ!?」

 コスギ 「一撃で……!」


この“10万ボルト”で、ギャロップとペルシアンはダウンしていた。

“アイアンテール”を受けたゴローニャも、当然、戦闘不能になっていた。


 サトシ 「よっしゃぁ!」

 ピカチュウ 「ぴかぴぃか!」
 ▼ 71 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:38:29 ID:U2KgyBgs [26/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ゴウ 「すげぇ……」


まさに、圧巻の一言。

いま私たちの目の前でガッツポーズを決めるサトシとピカチュウが、こんな凄まじいバトルをするなんて。

3対1という不利なバトルを、こんな簡単に制するなんて。


 ヒヨシ 「ピカチュウごときで……!」

 コスギ 「……いや待て。お前、サトシって言ったな?」

 サトシ 「そうだ」

 マルコ 「コスギ知ってんの?」

 コスギ 「サトシって……、あのカロスリーグ決勝戦で話題になったやつか!?」

 マルコ 「なにそれ?」

 コスギ 「バンギラスとメタグロスにピカチュウで打ち勝って、ネットが騒然としたやつだよ!」

 ヒヨシ 「ピカチュウでバンギとグロスを!?」

 コスギ 「それに確か、アローラリーグの優勝者も、サトシって名前だったような」

 マルコ 「マジなのそれ!?」
 ▼ 72 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:38:45 ID:U2KgyBgs [27/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
待って、話が急すぎて分からない。

いま私たちの目の前にいるサトシとピカチュウは、カロスリーグの決勝の舞台に立って、さらに、アローラリーグでは優勝者ってこと?


 ゴウ 「サトシ、お前って……」

 サトシ 「へへっ。カントーにも届いてるんだな、オレたちの活躍」

 ピカチュウ 「ぴぃかぁ〜」


満更でもない表情のサトシとピカチュウ。

このコンビ、そんなに強くて有名だったんだ……。



 マルコ 「化け物よコイツら」

 ヒヨシ 「オレたちじゃ勝てっこねーな」

 コスギ 「……チッ!」


それが分かった途端、マルコたちは私たちに背を向けた。

逃げる気だ。勝てる自信が無くなったから、逃げる気なんだ。
 ▼ 73 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:39:30 ID:U2KgyBgs [28/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ゴウ 「あっ……おい待て! コハルの……」

 サトシ 「逃がすか! 出てこいカイリュー!」

 カイリュー 「くぁい!」


 コスギ 「カイリューなんて持ってやがるのか!?」

 マルコ 「ちょっとヤバいわよ!」


 サトシ 「“はいかいこせん”」

 カイリュー 「ぐぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 ゴウ 「えっ?」

 コハル 「えっ?」


 コスギ 「はぁっ!?」

 マルコ 「ちょっマジ!?」

 ヒヨシ 「嘘だろ!?」
 ▼ 74 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:39:50 ID:U2KgyBgs [29/45] NGネーム登録 NGID登録 報告

カイリュー。


その優しそうな表情が一変して険しいものになったかと思うと、口を大きく開けて、鋼色の光線を放った。


爆音とともに一直線にマルコたちの方へと向かう光線は、アスファルトを抉り、巻き上げ、その風圧で倉庫の壁がさらに崩れ、重いコンテナまでもが吹き飛ばされ、凄まじい衝撃波が後方に居る私たちにも襲い掛かった。


 コハル 「きゃぁっ!?」

 ゴウ 「コハルっ……!」 ガシッ

 コハル 「ぁっ……///」 ドキッ

 ゴウ 「サトシ滅茶苦茶し過ぎだぞ!」


 ▼ 75 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:40:15 ID:U2KgyBgs [30/45] NGネーム登録 NGID登録 報告


光線が終わる。



砂埃が晴れる。



ボロボロになった倉庫の壁と、もはや砂利道と化したアスファルト。



そして、真っ直ぐ前を見つめるサトシと、精悍な顔つきのカイリュー。



 サトシ 「勿論、ワザと外したさ」



素人には とても扱えない大技を繰り出した後だと言うのに、サトシは落ち着いていた。

これが、経験者の余裕、ってものなのかな。
 ▼ 76 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:40:38 ID:U2KgyBgs [31/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
光線を放った先にある3人は、地面にしゃがみこんで、呆然としていた。

その姿は、さっきまで私たちに強気でいたとは思えない、情けないものだった。



 コスギ 「っく……、ぁっ……、てめっ……」

 ヒヨシ 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 マルコ 「ぁっ……、ぁぁぁっ……」 ジョワァァァァァァ

 ヒヨシ 「おいマルコなに漏らして!?」

 マルコ 「っ……! 見るなぁ……///」 チョロチョロチョロォォォ



  スマホロトム 『録画 ヲ 終了 シマシタ』



 コスギ 「録画!?」

 マルコ 「はっ!? うそっ!?」


合成音声の声が響く。スマホロトムだ。

サトシ、いつの間に……。
 ▼ 77 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:40:56 ID:U2KgyBgs [32/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 サトシ 「“はかいこうせん”を怖がって情けないとこ録ろうと思ったんだけど、いや……、まさか漏らすなんて……なんかごめん」

 マルコ 「消せっ! 今すぐ消してっ!」

 サトシ 「だったらお前らも! コハルの動画を消すべきなんじゃないのか!?」

 マルコ 「っ……! 消すわよ! ほらコスギとヒヨシも!」

 ヒヨシ 「おっ、おう」

 コスギ 「……クソが」


慌ててスマホを取り出すマルコたち。

弱みを握られたら、相手の弱みを握り返す――。サトシ、残酷な交換条件だけど、上手い方法だ。


 サトシ 「ホントに消したんだろうな?」

 マルコ 「当たり前でしょ!」

 サトシ 「……ロトム、頼む」

 スマホロトム 『ロトー!』


 マルコ 「えっ?」

 ヒヨシ 「うおっ!?」

 コスギ 「何だコイツ!?」
 ▼ 78 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:41:15 ID:U2KgyBgs [33/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
ロトムがサトシのスマホから分離したかと思うと、プラズマと化し、マルコのスマホに入り込む。

そうかと思えば、いつの間にかヒヨシのスマホの中に。次の瞬間にはコスギのスマホの中に入り込んで、すぐにサトシのスマホに戻って来た。


 スマホロトム 『コスギ ノ スマホニ 残ッテイタ データ ヲ 削除 シマシタ』

 サトシ 「お前! やっぱり削除してなかったじゃねーか!」

 マルコ 「ちょっとコスギ! ウチの恥ずかしい動画ばら撒かれたらどーすんのよ!?」

 コスギ 「セコイ真似しやがって」

 スマホロトム 『LINE デ 送信 サレタ データニ ツイテモ 削除 シテオキマシタ。二次 三次 送信 ハ 心配 アリマセン』

 サトシ 「さすがロトムだな!」

 スマホロトム 『ロットー』


ロトムって凄いんだな。

ちょっとの間スマホに入り込んだだけで、データを削除しちゃうなんて。


それにしても、やっぱりあの動画、グループLINEか何かで送信されてたんだ……。ってことはマルコたち以外にも、私の裸、見られちゃって……。

でも、それも含めてロトムが削除してくれたんなら、一安心……かな。
 ▼ 79 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:41:33 ID:U2KgyBgs [34/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 マルコ 「アンタもちゃんと消してよね!」

 サトシ 「もちろん。こっちの動画が削除されたんなら、こんな汚い動画、残しておく必要ないしな」

 マルコ 「汚いって……! バカ! 死ね! 消えろ!」

 コスギ 「行くぞ」

 マルコ 「最っ低! 死ね! マジで死ね! 死ねっ!」

 ヒヨシ 「お前らには、二度と関わりたくねーよ」



3人は捨て台詞を吐いて、この場から立ち去った。



終わったんだ……。



これで、一件落着なんだ……。


 ▼ 80 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:41:52 ID:U2KgyBgs [35/45] NGネーム登録 NGID登録 報告



 ゴウ 「サトシ、ありがとう。助けに来てくれて」

 コハル 「あっ……、私からも、ありがとう。本当にありがとう」

 サトシ 「気にすんなよ。それにオレ、実は最初からここに居てさ。出て行くタイミング見計らってたんだ」

 ゴウ 「えっ?」

 サトシ 「なんか雰囲気的に、勇気を出したゴウを見守るべきかなーって。でもあいつら、卑怯なことしてきたからさ、思わずあのタイミングで」

 ゴウ 「そうだったのか」

 サトシ 「ゴウ、一人で無茶することないんだぜ。もっとオレを頼ってくれよ」

 ゴウ 「けど、今回のことはさ、オレとコハルの学校のことで……、サトシには関係なかったって言うか、迷惑かける訳には……」

 サトシ 「いや、迷惑とか気にすることないんだぜ。友達なんだからさ!」

 ピカチュウ 「ぴっかぁ!」

 ゴウ 「友達……そっか、うん、友達! グスッ、ありがとっ、サトシ! なんでオレっ、涙っ……グスッ、今さら怖くなっちまったのかな?」

 サトシ 「それだけゴウが、コハルを守ろって一生懸命だったんだよ」

 ゴウ 「グスッ、ありがとな、サトシ。こんなオレと、友達で居てくれて!」

 サトシ 「へへっ」
 ▼ 81 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:42:12 ID:U2KgyBgs [36/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
もぉ、ゴウったら、今さら泣いちゃって。

裏切られた相手に立ち向かう恐怖は、やっぱりゴウにもあったんだ。

でもゴウは、そんな恐怖に打ち勝って、私のために、マルコたちに立ち向かってくれた……。



ねぇゴウ。



私、ゴウのこと見直しちゃった。



今のゴウを見てると、なんだか私、ドキドキしちゃうよ。



今のゴウ、泣いてても、とっても格好良いよ。




 ▼ 82 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:42:35 ID:U2KgyBgs [37/45] NGネーム登録 NGID登録 報告





   * * * * * 





 ▼ 83 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:42:58 ID:U2KgyBgs [38/45] NGネーム登録 NGID登録 報告





 ゴウ 「ただいまー!」

 ヒバニー 「ひばにゃー」

 サトシ 「やっぱサファリゾーンは凄いよな! 野生のポケモンたちが凄い活き活きしてて!」

 ピカチュウ 「ぴかちゅう!」



あ、やっと帰って来た。

セキチク近くののサファリゾーンで、管理下に置かれた野生ポケモンの生態調査……だったかな?

ゴウのことだから、サファリゾーンで色んなポケモンをゲットしてきたんだろうな。


 コハル 「おかえりなさい」

 ワンパチ 「わぱわぱ!」


緊張する。

チョコが入った紙袋を抱える力が、自然と強くなる。


 ゴウ 「ただいまコハル! サファリゾーン凄かったぜ! ケンタロスの群が ずっと走りまわっててさ!」

 コハル 「あのさ、ゴウ」

 ゴウ 「ん?」

 コハル 「そのっ……」
 ▼ 84 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:43:18 ID:U2KgyBgs [39/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
渡さないと。

これは感謝のチョコレート。感謝の友チョコ。

私のためにマルコたちに立ち向かってくれた、逞しいゴウのため。

私たちを影ながら見守って、最終的にマルコたちとの問題を解決してくれた、サトシのため。


でもっ、恥ずかしい……。

私ったら、変にゴウのこと、意識しちゃってる……。



 ワンパチ 「わんぱっ!」



……と、ワンパチが私の足をグイと押す。

勇気を出して、とでも言ってくれてるのかな?



そうだよね。私も勇気、出さないとね。


 ▼ 85 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:43:38 ID:U2KgyBgs [40/45] NGネーム登録 NGID登録 報告



 コハル 「ゴウ……これ、あの時のお礼。受け取って」


私は勇気を振り絞って、ゴウに伝えた。

紙袋から取り出した、赤いラッピングに黄色いリボンのチョコレート。市販品だけど、感謝の気持ちを込めて、少し高いのを選んだつもり。


 ゴウ 「あっ……おう。ありがとう」

 コハル 「サトシも……、そのっ、本当にありがとう」

 サトシ 「へへっ。サンキュー、コハル」


サトシも同じチョコだけど、リボンは青。

大丈夫、2人に同じチョコだから、変な勘違いとかは されないはずだ。


 ゴウ 「………」

 コハル 「なによ?」

 ゴウ 「コハルとは幼馴染だけど、バレンタインにチョコ貰ったの初めてだなぁって」

 コハル 「だっ……だから! お礼の気持ちのチョコだからね! 友チョコだから、そこは間違えないでよね!」

 ゴウ 「……ははっ。ありがとなコハル。大事に食べるよ」 ニカッ

 コハル 「うん……///」
 ▼ 86 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:44:05 ID:U2KgyBgs [41/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
良かった、受け取って貰えて。

いや、ただの友チョコだから、絶対に受け取って貰えるだろうけど……。

友チョコでこんなに緊張してるんじゃ、いつか本命チョコを渡す時が来たら、私のドキドキ、どうなっちゃうんだろう。



 ゴウ 「なぁサトシ」

 サトシ 「どうした?」

 ゴウ 「オレからも、サトシに。チョコじゃなくてクッキーだけど」



えっうそ!?

ゴウがサトシに!?

バレンタインのプレゼント!?



 サトシ 「えっ……良いのか?」

 ゴウ 「あぁ。オレもコハルと同じ。あの時の感謝の気持ち。せっかくだからバレンタインに渡そうと思って」

 サトシ 「そっか。サンキューな!」


 コハル 「男の子同士で……」

 ゴウ 「いや引くなよコハル! そういう趣味ないから! 友チョコだから! コハルと同じ意味合いだから! って言うかそういう反応されないようにチョコやめてクッキーにしたんだからな!」

 サトシ 「気にするなよゴウ。オレ、すっげぇ嬉しいぜ!」

 ゴウ 「お、おう。そう言って貰えると、オレも嬉しいな!」
 ▼ 87 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:44:31 ID:U2KgyBgs [42/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
まったく、ゴウとサトシは仲が良いんだから。

まだ会ってそんなに経ってないのに、幼馴染の私よりも親し気で、距離も近くて。


 コハル (あれっ?)


なんで私、こんな……嫉妬?

ゴウとサトシは いつも一緒で、ゴウが明るさを取り戻したことは嬉しいはずなのに、なんでこんな気持ちに……?



 ゴウ 「オレ、サトシとピカチュウのバトル、正直、感動した」

 サトシ 「感動?」

 ゴウ 「あぁ。たった1匹で立ち向かって、バシッと勝利してさ。その強さも本物だよな。カロスリーグ準優勝、アローラリーグ優勝だなんて、ホント凄いよ」

 サトシ 「オレだけじゃ何も出来ないよ。ピカチュウがいて、一緒に旅した仲間たちがいて。みんなのおかげで、オレは強くなれたんだ!」

 ピカチュウ 「ぴっぴかちゅぅ!」

 ゴウ 「オレもいつか……旅してみたい」

 サトシ 「すればいいじゃん! 旅は良いぞ。色んな発見や出会いがあって。世界観が変わるぜ?」

 ゴウ 「その時はオレ……、サトシと、旅……、したいな」

 サトシ 「オレは大歓迎だぜ! 旅はみんなと一緒の方が楽しいからな!」

 ゴウ 「そっか……へへっ! よっしゃ! もっともっとポケモンに詳しくなって! バトルの練習もして! ちゃんと旅できるトレーナーになってやるぜ!」

 ヒバニー 「ひばにゃん!」

 サトシ 「応援してるぜゴウ、ヒバニー!」

 ピカチュウ 「ぴっか!」
 ▼ 88 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:44:57 ID:U2KgyBgs [43/45] NGネーム登録 NGID登録 報告

旅に出る……ゴウが。

今まで引きこもりがちだったゴウが、旅に……。

サトシと出会って、ヒバニーをゲットして、変わったんだね、ゴウ。変わろうとしてるんだね、ゴウ。


でも、旅の隣にいる人物は、サトシ。

ゴウの隣を歩くのは、サトシなんだね……。



 ゴウ 「コハル?」

 コハル 「ぁっ……えっ? 呼んだ?」

 ゴウ 「オレ、いつか旅に出たいって思うんだ」

 コハル 「うん。良いと思うよ」

 ゴウ 「その時はさ、コハルも一緒に……どうかな?」

 コハル 「えっ……私も?」

 ゴウ 「オレ、コハルとも一緒に、外の世界を見てみたいんだ。それで、ミュウをゲットしたい!」

 コハル 「……ふふっ。ゴウの夢は、ミュウをゲットすることだもんね」


まったくもう、それでこそゴウだよ。

サトシと旅することよりも、私と旅することよりも、ゴウの目指すゴールは、ミュウをゲットすることだもんね。

私もゴウの夢、応援したいもん。
 ▼ 89 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:45:35 ID:U2KgyBgs [44/45] NGネーム登録 NGID登録 報告
 コハル 「もっと頼り甲斐のあるトレーナーに成長したら、一緒に行ってあげても良いわよ」

 ゴウ 「なんだよそれー」

 コハル 「……ふふっ。ゴウの成長を期待してるってことよ」


近い将来、ゴウとサトシと、3人で旅する時が訪れる――、私はそう、確信している。

ゴウほどの勇気と向上心があれば、旅の始まりは きっと、すぐに訪れるはずだ。



なぜだろう、なんだかとっても、心が温かい感じ。


この気持ちの正体は、まだハッキリとは分からないけれど――。



いつか、いつの日か。

この友チョコが、本命チョコに変わる日が、来るかもしれない。



なんてねっ。





     ――― 完 ―――


 ▼ 90 州街道◆IVIG1YNTZ6 20/02/14 01:46:02 ID:U2KgyBgs [45/45] NGネーム登録 NGID登録 報告



これにて完結です。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

当SSは「バレンタインSS企画2020」参加作品です。
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1140087


 ▼ 92 ラマネロ@ディアンシナイト 20/02/14 02:26:40 ID:qCAUmnvg NGネーム登録 NGID登録 m 報告

ぽけりんで完結したゴウコハ見たこと無かったけど最初に見たのがこんないいssで良かった。
後は前に書きかけたサトシとマリィのssの続…いやなんでもない。
 ▼ 93 イチュウ@ジュカインナイト 20/02/18 17:03:21 ID:ZS1sHLJ2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
おっつおつ〜!
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