【SS】シンジ「カロス地方か、悪くない」:ポケモンBBS(掲示板) 【SS】シンジ「カロス地方か、悪くない」:ポケモンBBS

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【SS】シンジ「カロス地方か、悪くない」

 ▼ 1 クガメス更新◆cmpL4pCqEY 20/02/25 22:53:09 ID:y4UU.Ndk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジンダイ「シャドーパンチ!」

シンジ「――! ドンカラス!?」

ソウタロウ「ドンカラス戦闘不能、サマヨールの勝ち! よって勝者、ピラミッドキング・ジンダイ!!」

ジンダイ「喝!! 挑戦者よ、バトルを堪能させてもらったぞ。だがお前のバトルは計算に頼りすぎている。勝つために敵を知り、策を立てることは悪くない。しかしそれを頼りにしすぎる故、想定外の事態に陥った際の判断が遅れる傾向が見える。臨機応変な対応もまた、バトルにおいて重要だということを忘れてはならん」

シンジ「……バトル、ありがとうございました」

ジンダイ「……以前バトルした時より、格段に強くなっていた。ポケモンだけではない、お前自身の心もだ。少年よ、また挑戦しにくる時を楽しみにしているぞ」

シンジ「……! 失礼します」

シンオウリーグでアイツに敗れた後、俺はキッサキ神殿を守護するジンダイさんのもとへ赴き、再戦を申し込んでいた。彼から課せられた“自分ならではの強さ”。その答えをアイツとのバトルの中で見つけられた気がしたからだ。だが結果は見ての通り。俺はまたジンダイさんに勝つことはできなかった。ジンダイさんの指摘はもっともだった。振り返ってみれば、アイツとのバトルの時も、それが原因でドラピオンやテッカニンを失った。そのことに気づけたことを考えれば、負けこそはしたが、今日のバトルは決して無駄ではなかったのだろう。

 ▼ 650 ガオニゴーリ@ロックメモリ 20/06/21 00:44:32 ID:YxfEeWzU NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 651 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/21 21:23:38 ID:gz..kLCo [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

シンジ「……大人しく逃がすとでも思ったか?」

ヒガナ「いや〜? 君は他の人とは違うからね」

そう返す顔は、にへらと笑ったあの時と同じもの。
だが、突然それを引っ込めたかと思えば……

ヒガナ「……んー、じゃあ、一つだけ答えたげる」

……唐突に、そんなことを言い始めた。

シンジ「……は?」

ヒガナ「さっき、面白い考えを聞かせてくれたご褒美。なんでも良いよ?」

……その余裕ぶった態度が、やはり気に食わん。
だが落ち着け、一時の感情に振り回されるな。

心を静め、ジッと相手を見据える。
奴に聞くことなんぞ、初めから決まっている。
 ▼ 652 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/21 21:24:05 ID:gz..kLCo [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「なら聞く。お前の目的は、一体何だ」

ヒガナ「……君にしてはありきたりで面白くないなぁ。それに、漠然としすぎてるよ」

シンジ「俺のニダンギルに何をした。何故キーストーンを集める。何のために行動する。答えろ」

そう問い詰めると、ヒガナは怪訝そうな顔をする。

ヒガナ「全然一つじゃないんだけど……まあ、サービスで良いよ」

ヒガナ「それで、君のニダンギル? あー、前会った時のヒトツキ、進化したんだ。それが何か?」

シンジ「恍けるな。正確には俺が捕まえる前、アレがまだヒトツキで、野生だった頃だ」

シンジ「吐け。お前は何の目的でアレに接触した」

そこまで指摘すると、大きく目を見開き――笑った。
 ▼ 653 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/21 21:24:44 ID:gz..kLCo [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「――ぷっ、くくく、あはははっ! まさかそこまで突き止めてるなんて、やっぱり君は面白い!」

それでも俺がただじっと見据えていると、奴は目尻に浮かんだ涙を拭き……

ヒガナ「……そうだね、良いよ。約束だからね」

……突然、空気が変わった。

ヒガナ「さっきも言ったけど、私の目的、“使命”は世界を救うこと」

ヒガナ「そのためには、生体エネルギーの収集が必要。あの子にはそれを代行してもらうはずだった」

シンジ「……だった、だと?」

ヒガナ「だって、君が捕まえちゃったんだもの」

シンジ「………!!」

ヒガナ「私が“石”を集めてるのは、君があの子を捕まえちゃったからっていうのも、一つあるんだよ?」

シンジ「――なっ!?」
 ▼ 654 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/21 21:25:11 ID:gz..kLCo [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「……ま、今となってはどうでも良いことだけど。私は“使命”を果たせれば、それで満足だから」

そう言うヒガナは、既にいつもの調子に戻っている。

シンジ「……その“使命”とやらと、生体エネルギーを集めることに何の関係がある」

その問いに、ヒガナは答えず……

ヒガナ「そいじゃ、また会おうね。次の用事があるから、ドロンしますよっと」

――ヒガナは、ボーマンダを繰り出した!!――

……だが、その程度は計算済みだ。

シンジ「マニューラ、ニダンギル!!」

二対の刃が閃き、ボーマンダの両翼を切り裂く。
これで奴は、飛んで逃げることが敵わなくなった。

ヒガナ「――!! これは、やられたね。予め陰に潜ませていたなんて、やっぱり君は面白いなぁ」

逃走手段を失ったはずが、何故か余裕げなヒガナ。
 ▼ 655 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/21 21:26:05 ID:gz..kLCo [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「――まさか、私と同じ事考えてたなんてね」

その途端、マニューラとニダンギルが崩れ落ちる。

シンジ「――っ!?」

ヒガナ「いやー、ドラゴン以外を捕まえるのは乗り気しなかったんだけど、やっぱり便利なんだよね……」

ヒガナ「……さいみんじゅつ、っていうのはさ」

目の前にルナトーンが現れ――目が、怪しく光った。
……やられた。気を奮わせるが、視界が歪んでいく。

倒れ込んだ俺を確認し、ヒガナは踵を返した。

シンジ「………くっ…!」

ヒガナ「……“私”がやらなきゃ、意味ないんだよ」

シンジ「………!!」

なおも抗う俺を一瞥し、ポツリとそう零すヒガナ。

薄れゆく意識の中で見た、奴の瞳に浮かんだ色。
やはりと思ったところで、俺の意識は途絶えた。
 ▼ 656 レイドル@くろいメガネ 20/06/22 10:16:30 ID:pLZcCUdA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 657 ガメタグロス@かおるキノコ 20/06/23 21:42:09 ID:q2AcuxQ. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あげとく
 ▼ 658 ティオス@ソクノのみ 20/06/24 19:13:16 ID:oKgEKXPA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 659 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:50:37 ID:j26UpEG2 [1/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
…………………

……………

………



ふっ、と意識が浮上し、瞼を上げる。
視界の端には、ポケモン達に眠気覚ましを使っている兄妹やショータの姿が映った。

状況を確認しようと身を起こすと、頭の芯が痛む。
恐らく、さいみんじゅつに無理に抵抗したからだ。

シトロン「……さいみんじゅつ、ですか。もしかして、例の?」

俺が目覚めたことに気づき、シトロンが声を掛けてくる。

シンジ「……ああ、ルナトーンだった」

シトロン「……まさか、ニダンギルの件も…?」

シンジ「……恐らくな」

催眠で錯乱させて操った、といったところだろう。
意識を完全に奪わなかったのは、一から操るよりも、ある程度は自由意志に任せた方が楽だという判断か?
 ▼ 660 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:51:30 ID:j26UpEG2 [2/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「……それで、ヒガナは逃げちゃったの?」

シンジ「……この場はな。ボーマンダの翼は潰したから、すぐには飛べん。後は……“アレ”次第だな」

応えながら、チラリとシトロンの方を見やる。

シトロン「……! そういうことであれば、シトロニックギア・オン!!」

シトロン「“見つけてバッチリ探索装置・改”!!」

取り出したのは、小型のパラボラ型受信機。
それを、PC端末へと接続すると……奴を付けているであろう反応が、しっかりと捉えられていた。

〜〜〜〜〜〜

ヒガナ『これでまた近付いた。あと、もう少し……』

そう呟きながら、ヒガナは歩き去ってゆく。

シトロン『……! シンジ…!』

シンジ『…………』

歩き出そうとする俺に、シトロンが何かを投げて寄越す。

シトロン『通信機と、念のための発信機です。何かの役に立てれば、と』

シンジ『……助かる』

手渡された機器を手に、仮設テントを後にする。
隕石のことは、博士達が何か考えるだろう。
俺は俺のやるべきことを。ここからが本番だ。
 ▼ 661 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:52:33 ID:j26UpEG2 [3/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ『……マニューラ、ニダンギル!』

二体をボールから呼び出し、指示を与える。
こいつらには、奴の逃走手段を封じる役目を。

シンジ『次は……ユキメノコ!』

三つ目のボールを放り、ユキメノコを出す。

シンジ『お前は、奴から目を離すな。当然バレることも許さない。わかったな?』

頷いたのを確認し、先の発信機を手渡す。
奴に直接付けるというのはバレる可能性が高い。
俺のポケモンで、最も隠密に適したコイツなら、と。

シンジ「……さて、行くとするか」

図鑑を取り出し、“石”のエネルギーを探知する。
……やはり、まだ探知の範囲内にいたか。
街中での飛行は目立つ。当然と言えば当然だろう。
 ▼ 662 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:53:10 ID:j26UpEG2 [4/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
* * *

街の外れ、道路への入り口付近で、奴の背を捉えた。

シンジ『奴の姿を捉えた。電源はこのまま入れておくが、返事はできん』

シトロン『わかりました。健闘を祈ります』

通信機は懐へ、ポケモン達は草木の陰へと忍ばせる。
足を更に前へと踏み出し、声を張り上げる。

シンジ『……大人しく逃がすとでも思ったか?』

ヒガナ『いや〜? 君は他の人とは違うからね』

……………

………



ヒガナ『……さいみんじゅつ、っていうのはさ』

まともに受けてしまった俺は、その場に倒れ込む。
それを確認したヒガナが、立ち去ろうと踵を返す。

ユキメノコが、思わず飛び出そうとするが……

シンジ『………くっ…!』

……視線で、奴を付けろ、と命じる。
この場で一度不意を討ったところで、俺が倒れていては意味が無い。
 ▼ 663 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:54:37 ID:j26UpEG2 [5/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ『……“私”がやらなきゃ、意味ないんだよ』

シンジ『………!!』

奴の瞳に浮かんだその色に、推測の妥当性を。
視界の端に映ったユキメノコに、計画の成功を。
ことが上手く運んだのを確認し、意識を手放した。

〜〜〜〜〜〜

シトロン「発信機は、ユキメノコに持たせたんでしたね?」

シンジ「ああ、そうだ」

シトロン「……ふむ、異常無しですね。発信機を“保護経過みるぞ〜”にも流用してたのが活きましたよ」

ショータ「それは、どういうことです?」

シトロン「あの発信機には、付けた対象の生体データを分析する機能もあるんです。だから、ユキメノコに何かあればわかるというわけですね」

ユリーカ「じゃあ、今は順調ってこと?」

シトロン「うん、少なくとも今は」

……今後も、あんな視野偏狭な奴に俺のユキメノコが捉えられるとは思えんがな。
 ▼ 664 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:55:26 ID:j26UpEG2 [6/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ショータ「ヒガナの向かった方角は……やはり、エイセツシティの方ですか」

シトロン「あの辺りは氷雪地帯ですから、雪隠れを持つユキメノコは適任でしたね」

とは言え、体力的にもユキメノコに限界はある。
当面は奴の足取りを追いやすくなったことに違いは無いが、あまり悠長にしてはいられないだろう。

シンジ「……それで、そっちはどうだ」

もう一つの気がかりだった、巨大隕石。
ダイゴさんや博士達はどうしたというのだろうか。

ショータ「ダイゴさんは一度、“流星の民”の長老さんに接触してみるようです」

つまり、奴はやはり“流星の民”で違いないのか。
これで、奴の行動目的も割れるだろうか?
 ▼ 665 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:56:08 ID:j26UpEG2 [7/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「プラターヌ博士やゴジカさんは、カルネさんと連絡を取り、最悪の場合を想定しての協議に」

シンジ「降ってくるモノにはどう対処する」

シトロン「ソライシ博士が、トクサネ宇宙センターと連携して対策を講じるようです」

つまり、現状では具体的な策は何も無い、と。
やはり俺達にできるのは、ヒガナを追うことだけか。

シトロン「……それから隕石のことについてですが、混乱を避けるため、今は無闇に口外するな、と」

それは、ただ問題を先送りにしただけだと思うが。
……まあ、俺が口出しできることでも無いのだが。

シンジ「なら、俺達は今まで通りだ。準備が整い次第、エイセツ方面に向かう」

今度こそ、このくだらない抗争を終わらせるために。
 ▼ 666 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/24 21:56:35 ID:j26UpEG2 [8/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
────────

???『この辺りは、これで終わりか?』

隣に立つ者へ問えば、肯定の返事が返ってくる。

???「…………」

???『……心配か?』

その問いにも、再びの肯定。余も、気持ちはわかる。
あの子がまた、良からぬ事に巻き込まれているから。

???『時間ガ無イ。余等ニ出来ルコトハ、活発ニナッタコノ“蔦”ヲ、少シデモ多ク刈ルコトダケダ』

???『……わかっておる。さあ、次へ参ろう』

???「────?」

???『そうだ、時が迫っている。余等も、急がねばなるまい』

あの者と彼らとの決着が着く、その時までに。

???「────!」

???『ああ、信じるのだ。“彼”の仲間たちを』

???『余等は、余等のすべきことを。そうだろう──ゲッコウガ』
 ▼ 667 ュナイパー@ドラゴンZ 20/06/24 22:00:40 ID:IwhIwkoo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 668 全に蛇足です◆cmpL4pCqEY 20/06/24 22:01:03 ID:j26UpEG2 [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
昨日、一昨日と諸事情で来られませんでした
基本は毎日少しずつ亀更新でやっていこうと思いますが、リアルが忙しいため、明日以降も度々更新できない日ができると思われます
ただでさえ遅いペースが更にスローになりますが、エタったりはしないように頑張りますのでよろしくお願いします
 ▼ 669 ブリム@よごれたハンカチ 20/06/24 23:15:39 ID:mGY61kHI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>668
ご自愛くださいな。

しかし本当に面白い。とりあえずミッキーボイスで。
 ▼ 670 チンウニ@フォトアルバム 20/06/25 00:31:06 ID:R/.odGCA NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>668
再開して本当によかった…
急かさないし、気長に待ちますから、是非とも完結させてください。あなたの創造力のままに…
 ▼ 671 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/25 22:29:31 ID:uLSU0syU [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

レイジ『――よし、送ったぞ。確認してくれ』

転送されてきたボールを手に取り、確認する。
……確かに、俺の指定したポケモンだ。

レイジ『でも、次は氷タイプのジムなんだろう? 本当にそのメンバーで良かったのか?』

シンジ「問題ない」

レイジ『……まあ、お前が良いっていうなら俺はこれ以上言わないよ。とにかく、気を付けて行くんだぞ』

シンジ「……わかってる。もう切るぞ、じゃあな」

レイジ『ああ。頑張れよ、シンジ』

シンジ「…………」

兄貴には、一連の事件のことは話していない。
黙っていることに、罪悪感が全く無いわけではない。
だが、シンオウから離れられない兄貴に話したところで、無駄に歯痒い思いをさせるだけだろう。
 ▼ 672 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/25 22:31:10 ID:uLSU0syU [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「さて、あいつらはどうしたか」

今俺がいるのは、レンリタウンのポケモンセンター。
三人は、エイセツへの行程に備えて買い出しに行ったはずだが……

ユリーカ「たっだいま〜!!」

シンジ「……戻ったか」

シトロン「すみません、お待たせしました!」

シンジ「いや、俺もついさっき終わったところだ」

そう返しながら、頼んでいた品を受け取る。
傷薬、元気の欠片、ラムの実……ん? これは……

シンジ「奇跡のタネ……?」

シトロン「ああ、木の実を買いに市場に行ったとき、お店の人がくれたんです」

ユリーカ「デデンネのこと見てね、ほっぺすりすりして〜!って。そしたらオマケで」

デデンネ「デネネ?」

ショータ「あ、あはは……あれは、何とも……」

シンジ「……まあいい」

確かに変わり者だが、貰えるものは貰っておこう。
草タイプの力を引き出す種。持っていて損は無い。
 ▼ 673 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/25 22:32:20 ID:uLSU0syU [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「では、そろそろ出発しましょうか」

シンジ「ああ、そうだな」

受け取った物を荷物に詰め、背負い直す。

シンジ「向こうの様子はどうなっている?」

シトロン「少々お待ちを。…えーと、19番道路を通り、エイセツシティに差し掛かろうという辺りですね」

シンジ「……思ったより進んでいないな」

ボーマンダは、まだ回復していないのか?
……いや、違うな。回復したところで飛べないのか。

ショータ「僕もそう思います。僕のボーマンダも、寒いところは苦手ですから」

シトロン「ドラゴンと飛行の二つのタイプを併せ持つボーマンダにとって、あの寒さは厳しいでしょうね」

そこまで計算してはいなかったが、状況も追い風か。
そう遠くないうちに追いつくことができるだろう。
 ▼ 674 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/25 22:32:58 ID:uLSU0syU [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「それじゃあ、エイセツシティへ向かってしゅっぱーつ!」

シトロン「もう、緊張感がないんだから……」

シンジ「諦めろ。いつものことだ」

そうして一歩踏み出そうとした、その時。
響く呼び出し音。これまた随分と良いタイミングだ。

シンジ「……誰だ?」

ユリーカ「お兄ちゃん、ゴジカさんからじゃない?」

シトロン「いえ、僕のホロキャスターではないです」

ショータ「……すみません、僕のポケナビですね」

ということは、恐らくはダイゴさんか。
何かしらの情報を掴んだのだろうか?

ショータ「はいショータです。……今はレンリタウンに。……そうです。……えっ、ほ、本当ですか!?」

……これは、本格的に風向きが良くなってきたな。
 ▼ 675 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/26 21:54:46 ID:/HYYFAR. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

しんしんと降る雪の中、一歩ずつ足を進めてゆく。
目的の場所まで、あともう少しのはずだ。

ヒガナ「……漸く見えてきたよ、シガナ」

シガナ「……にょ」

街の姿をその目に捉え、懐に手を入れる。
取り出すのは、ラボから失敬したホロキャスター。
メガシンカエネルギーを検知できる特別製らしい。

ヒガナ「…………」

これでフレア団がエネルギーを集めていたと考えると吐き気がするけど、“使命”のためなら仕方ない。
検知機能を起動して、今回のターゲットを探す。

ヒガナ「……どうやら、今は森にいるみたいだね」

迷いの森。エイセツシティに隣接する広大な森林。
人目に付きにくいし、今がチャンスってところかな。
 ▼ 676 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/26 21:55:35 ID:/HYYFAR. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エネルギーの反応を頼りに、森の中を進んでゆく。
暫し進むと、雪が止み、開けた場所が見えてくる。

ヒガナ「……見つけた。前知識通り」

草木の陰に身を隠し、ターゲットの様子を窺う。
タマゲタケ、ニョロモ、メタモン、その他諸々。
周りにいるのは、恐らく野生のポケモン達だろう。

ヒガナ「まだ、気づかれてないか。なら……」

奇襲を仕掛けようとボールに手をかけた、その時……

ヒガナ「――っ!?」

……ポケモン達の中の一匹、ゴチミルがこちらに振り向き、攻撃を仕掛けてきた。

ヒガナ「そうか、特性おみとおし……!」

咄嗟に横に跳び、その攻撃を躱す。
だがそれにより、こちらの存在を悟られてしまった。

???「……よせ、お前達。下がるんだ」

唸り声を上げるポケモン達を下げ、その中心にいた男――ウルップが歩み出て来た。
 ▼ 677 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/26 21:56:38 ID:/HYYFAR. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルップ「ここは、あれだよ。ナイショの村、ポケモンの村だよ」

……ポケモンの村。噂では聞いたことがあった。

ウルップ「悪い連中に酷い目に遭わされたり、心無いトレーナーから逃げ出したポケモンの集まりだよ」

ウルップ「だからこいつら、俺以外の人間を見ると、警戒心を剥き出しにしちまうんだ。すまなかったな」

ヒガナ「…………いえ」

この様子、私の事に気づいていない…?
それならば、まだチャンスは残っているかな。

ウルップ「……ほう。お前さんのポケモン、良い思い出を持っているな。だが――」

シガナ「………にょい?」

ウルップ「――だがな、歪な思い出も持っている」

ヒガナ「………!」

ウルップ「こいつはまだ幼い。トレーナーであり、親代わりのお前さんが、こんな事させちゃダメだろう」

ヒガナ「別に私は、この子の――」

――って、違う。何を言おうとした、私は。
それよりもこの男、やっぱり私の事、気づいてるね。
 ▼ 678 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/26 21:58:07 ID:/HYYFAR. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルップ「お前さんあれだろ、俺の“石”を狙ってきたんだよな」

ヒガナ「なら、話が早いね。大人しく渡してもらいます、よっと!」

言うと同時にボールを取り、放り投げる。

ヒガナ「りゅうのはどう!!」

飛び出たボーマンダが、敵目掛けて波導を発射する。
その攻撃は、無防備な敵を捉えたかに見えたが――

ウルップ「……あれだよ。びっくりしたなあ、もう」

――姿を現したユキノオーに、受け止められていた。
同時に雪降らしが発動し、霰が降り始める。

ウルップ「まあ良いさ。バトルするってんなら、相手してやるよ」

たかがジムリーダー程度、倒すのは訳が無い。
だが、時間は惜しい。出し惜しみはしない。

ヒガナ「……悪いけど、すぐに終わらせますよ」

───ボーマンダ、メガシンカ!!───

メガシンカするボーマンダを前に、その双眸が輝く。

ウルップ「……ほう、メガボーマンダか。良いねぇ、なら俺も……さあ、牙を剥け!」

───凍てつく力よ、メガシンカ!!───
 ▼ 679 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/06/27 21:22:44 ID:XZkcQMG. [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「……メガユキノオー、ね」

苦手な氷タイプではあるけど、同時に草タイプだ。
スカイスキンを持つメガボーマンダの敵じゃない。

ヒガナ「ボーマンダ、りゅうのはどう!」

ウルップ「ユキノオー、ふぶきだ!」

波導の熱が氷を溶かし、水蒸気が視界を埋める。
けど、メガユキノオーの機動力は高くないはず。

ヒガナ「正面、ハイパーボイス!」

発された音波と空圧が水蒸気を吹き飛ばし、その向こう側のユキノオーに直撃する。

ウルップ「……ほう、こりゃあ大したパワーだ」

ヒガナ「続けてすてみタックル!」

間髪入れずに空圧を纏い、ボーマンダが突撃。
その一撃は、確かにユキノオーの身体を捉えた。
 ▼ 680 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/06/27 21:23:34 ID:XZkcQMG. [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「アイアンテールで畳みかけて!!」

吹き飛んだユキノオーに、追撃をすべくボーマンダが迫る、が……

ウルップ「……! こおりのつぶて!」

ユキノオーが瞬時に氷の塊を形成し、連続で放つ。
それは、尾を振りかぶり背中を見せた一瞬の隙に、悉くボーマンダを撃ち抜く。

ウルップ「れいとうパンチ!!」

ヒガナ「…………!!」

一気に飛び上がったユキノオーが、氷の拳を振るう。
その一撃は、完璧にボーマンダの胴を捉えた。

ウルップ「ふぶきだ!!」

ヒガナ「───っな!?」

吹き飛ばされたボーマンダに、ふぶきが直撃する。
まともに喰らったボーマンダは、氷漬けになり、元の姿に戻る。

ヒガナ「─────」

……目の前が、真っ暗になった。
 ▼ 681 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/06/27 21:24:45 ID:XZkcQMG. [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルップ「ユキノオー、ご苦労だったな」

ユキノオー「……ユノ♪」

メガシンカを解き、自分の頭を撫でる主人の手に甘えるユキノオー。

ヒガナ「…………は?」

今、目の前で起こったことは、なに……?

信じがたい光景に夢と錯覚するが、凍り付いたボーマンダの冷たい身体に、現実に引き戻される。

ヒガナ「……まさか、そんなことが!?」

いくら氷タイプとはいえ、私が負けた?
たかだか、一人のジムリーダーを相手に……?

ウルップ「水のように器に合わせて形を変えても、本質は変えない。俺にはそれができないから、氷タイプを愛してるんだよ」

ウルップ「……今のお前さんは、どうだ?」

ヒガナ「は? 何を言って──」

ウルップ「──そういうところだよ」

訳の分からない事を言いながら、ウルップが近付いてくる。そして……

ウルップ「……あれだ、お前さんには聞きたいことがあるんでな。悪いが少し、大人しくして貰うぞ」
 ▼ 682 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/06/27 21:26:14 ID:XZkcQMG. [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルップ「タマゲタケ、キノコのほうし」

ヒガナ「……!?」

後ろに控えていたタマゲタケが飛び出してくる。
そうして飛ばされた胞子を、吸ってしまった。
クソッ、このままじゃ不味い。少しずつ、意識が……

ヒガナ「……しが…な……さ…わぐ……」

必死に声を絞り出し、シガナへと呼びかける。
そして、その声は……届いた。

シガナの発した音波が、タマゲタケを吹き飛ばす。
それと同時に、私を襲っていた眠気も吹き飛んだ。

ヒガナ「──貰った!!」

ウルップ「なにっ……!?」

相手がシガナに気を取られた一瞬の隙を突き、首に提げているロケットを奪い取る。

ウルップ「──ッ!! ユキノオー、れいとう──」

ヒガナ「──チルタリス、しろいきり!!」

相手が動くよりも早く、新たなボールを放る。
チルタリスの吐き出した霧に紛れ、その場を脱出したのだった。
 ▼ 683 ウオウ@ホズのみ 20/06/27 22:47:49 ID:ksak4eH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 684 ンクルス@カロスエンブレム 20/06/28 00:07:48 ID:zshgt.SA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あれだよ
この人エピデルのシナリオ考えた人よりうまくヒガナというキャラを動かせてるんじゃない?
しえん
 ▼ 685 メモース@ゴーストZ 20/06/28 12:08:52 ID:ywWIUF2A NGネーム登録 NGID登録 報告
あれだよ
支援だよ
 ▼ 686 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/28 21:40:30 ID:dhIwmqk2 [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

ユリーカ「やっと着いた〜!!」

ショータ「暗くなる前に辿り着けて良かったですね」

シンジ「……寝坊した奴がいなければ、もっと余裕があったはずだがな」

わざとらしくため息を吐けば、件の寝坊助は……

ユリーカ「だって、今日は目覚まし鳴らなかったんだもん!」

頬を膨らませ、物に責任を押し付けている。

ショータ「……あー、シトロンさんが新しく作ったやつでしたっけ?」

ユリーカ「そーそー、また失敗だったの!」

そもそも、目覚ましに頼らなければ良いだけだ。

ユリーカ「それは無理」

シンジ「努力してから言え」

トレーナーになり、旅に出てから困るのは自分だ。
 ▼ 687 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/28 21:41:16 ID:dhIwmqk2 [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「やっぱり、“ユリーカ強制目覚ましマシン”を作り直すしか……」

シンジ「ふざけるな。今度は完全に叩き壊すぞ」

ショータ「……何でシンジが怒ってるんです?」

ユリーカ「ちょー短気に見えて意外と怒らないシンジを怒らせた、お兄ちゃんの数少ない発明だから?」

ショータ「一体何したんですか……」

シトロン「えっと、まあ、そんな感じですよ」

ショータ「いや、そんな感じって……」

ユリーカ「あのね、それが───」

そんなことを言う間に、目的地へと辿り着く。
エイセツジム。俺にとっては最後のジムだ。
とは言え、今日は挑戦しに来たわけではないが。
 ▼ 688 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/28 21:42:08 ID:dhIwmqk2 [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
建物へと入り、奥に進んでゆく。
しばらくすると、大きな扉へと行き当たり、その上部にはモニターが設置されている。

シトロン「先日ご連絡した、ミアレジムのシトロンです!」

モニターに向かってシトロンが声を張り上げると……

『も、申し訳ありません。先生は只今外出中でして』

スピーカーから、寒さで震えたような声が響いた。

シトロン「外出中、ですか?」

『確か、村にポケモン達の様子を見に行くと。そう長居はしないと言っていたのですが……』

ユリーカ「むら? それってどこにあるの?」

『迷いの森を抜けた先ですよ。私は行ったことはありませんが……』

迷いの森。この街に隣接する森林だったか。
いや待て。確か、今そこには……
 ▼ 689 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/06/28 21:42:46 ID:dhIwmqk2 [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「……!今確認します!」

シトロンが受信機を取り出し、反応を確認する。

シトロン「……間違いありません。ユキメノコがいます。つまり、ヒガナも……」

ユリーカ「……! それって……」

ショータ「非常に、不味いですよね」

このままでは、鉢合わせる可能性が高い。
この状況を放っておくことはできないだろうな。

シンジ「おい、シトロン」

シトロン「ええ、ウルップさんの元へ……」

そう言いながら、振り返って歩き出そうとした時。

???「ありがたいが、その必要はねえなぁ」

前方から、男の声が響く。そしてその声の主は……

ユリーカ「あっ、ウルップさんだ!」

ウルップ「待たせて悪かった。あー、あれだ、よく来たなお前達」

エイセツジムのジムリーダー、ウルップだった。
 ▼ 690 ニョニョ@むじゃきミント 20/06/28 22:10:45 ID:zshgt.SA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
村にヒガナの反応が残ったままなのが気になる…
しえん
 ▼ 691 ンドール@シールいれ 20/06/28 22:58:11 ID:tJCoWpac NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえーん
 ▼ 692 遅ドダイトス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/29 22:37:36 ID:q6fwpgvw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

ヒガナ「……もう、追ってきてないかな?」

周囲を見回し、敵がいないかを確認する。
全く。あの男も意図してないだろうけど、まさか野生のポケモンまで追手になるとは思ってもみなかった。

ヒガナ「……この辺りで、少し休んでいこう」

適当な木に背中を預け、ホッと一息つく。
その時、風に乗って、微かに匂ってくる香り。

ヒガナ「これは、あまいかおり……いや、アロマセラピー?」

不快感の無い、荒んだ心の安らぐ香りだった。

ヒガナ「……って、気を抜いちゃ駄目だね」

何故か急に追跡が止んだけど、まだ油断はできない。
体力を回復しつつ、警戒は怠らないようにしないと。

ヒガナ「……シガナも、今の内に休んでおいて」

シガナ「……にょい」

寒さで手持ちも消耗してるし、正直これは参った。

ヒガナ「どこか、ちゃんと休める所を見つけないと」

もうじき日も沈み、暗くなってくる頃だろう。
外での野営は目立つし、何よりこの気温も辛い。
手持ちの回復もしなければだし、寒さを凌げる場所が必要だ。
 ▼ 693 遅ドダイトス更新◆cmpL4pCqEY 20/06/29 22:39:06 ID:q6fwpgvw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「……! そうだシガナ、ちょうおんぱで近くに洞穴が無いか探してくれる?」

シガナ「にょい……!」

一つ頷くと、周囲にちょうおんぱを発し、耳を澄ませるシガナ。

シガナ「………!」

ヒガナ「……どう、見つかった?」

シガナ「…………にょい」

降られた首は縦方向。見つかったみたいだね。

ヒガナ「……なに、どうしたのシガナ?」

どこか様子がおかしい。一体、何が?

シガナ「…………にょ」

ヒガナ「───えっ…!?」

嘘でしょ。これって、一体いつから?
頭の中が真っ白になり、次いで血が上ってくる。
こんな近くにいたのに、何故気が付けなかったのか。

ヒガナ「……仕方ない。出てきて、ガチゴラス!」

どこか遠くで、何かが爆発するような音が聞こえる。
甘い匂いに代わり、物騒な、物の焦げる匂いがする。

ヒガナ「悪いけど、もう少し頑張ってもらうよ」

ガチゴラス「………!」




ユキメノコ「…………!!」
 ▼ 694 レベース@つきのいし 20/07/01 00:58:30 ID:eOGo1ko2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 695 ヤシガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/01 21:45:52 ID:pkQQ/Bls [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

シンジ「ニダンギルはまもる、ボスゴドラはてっぺきだ!」

ウルップ「……よし。今だユキカブリ、くさぶえ!」

二体が攻撃を防ぎ、次いでユキカブリの奏でる音色が、ポケモン達を眠りに落としてゆく。

ユリーカ「……! 今度はこっちから来るよ!」

ショータ「ギルガルド、キングシールド!」

ウルップ「頼むぞユキカブリ、もう一度くさぶえ!」

別方向からの襲撃も、同様に眠らせてゆく。

シトロン「……これは、想像以上に酷いですね」

ウルップ「だろ? 何でかみんな、ピリピリしてんだ」

ウルップ「それでも基本的に襲っちゃ来ねえんだが、たまーに今みたいな血気盛んな奴もいてなぁ」

厳しい目つきで周囲を見回したウルップさんが零す。
 ▼ 696 ヤシガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/01 21:46:09 ID:pkQQ/Bls [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルップ「でもあれだ、こいつらを傷つける訳にもいかねえだろう?」

ショータ「なるほど。それでくさぶえを使えるユキカブリを連れに、一度ジムへ帰ってきてたんですね」

ウルップ「そういうわけだ」

俺達はウルップさんに付いて、迷いの森に来ていた。
その目的は、気の立っている野生のポケモン達を鎮めることらしい。

ユリーカ「でも、どうしてこんなことになっちゃったの?」

ウルップ「……いや、それがわからねえんだ。昼間森を通った時は、こんなんじゃなかったんだがなぁ」

首を傾げるウルップさんだが、俺からしてみれば原因など一つしか思い当たらない。

シンジ「……どう考えても、原因はヒガナしかない」
 ▼ 697 ヤシガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/01 21:46:59 ID:pkQQ/Bls [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ショータ「えっ、いや、流石に何でもかんでもヒガナのせいにするのはどうかと……」

俺の推測に、難色を見せるショータ。

シトロン「いえ、そうとも言い切れませんよ」

そこに異を唱えたのは、意外な事にシトロンだった。

シトロン「先程のウルップさんの話では、ゴチミルがヒガナの害意を見通し、攻撃を仕掛けています」

シトロン「ウルップさんに諫められてその場は抑えていますが、敵意を持っていたのは事実。そして、ウルップさんが目の前で攻撃されたとなれば……」

ショータ「……その枷が外れてもおかしくない、と」

……なるほどな。村のポケモンのヒリついた感情が、森の方にまで伝播したというわけか。

ウルップ「まああれだ。何にせよ、放って置けねえのは確かだ。早いとこ落ち着かせてやらねえとな」

シトロン「……よし、ならば僕の出番ですね!」

ウルップ「おう、どうした?」
 ▼ 698 ヤシガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/01 21:47:56 ID:pkQQ/Bls [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「サイエンスが未来を切り開くとき! シトロニックギア・オン!!」

シトロン「このような事態を想定し、作っておいたナイスなマシン! 名付けて、“どんなポケモンもリラックスさせちゃうメガアロマくん”です!」

取り出したマシンは、メガニウムの形を模したマシンだ。

ウルップ「あー、あれだ。これは何に使うんだ?」

シトロン「このマシンは、メガニウムの花びらから発される戦意を削ぐにおいの成分を分析・再現することで、どんなに凶暴なポケモンでも立ちどころに大人しくしてしまうという画期的な発明なのです!!」

ユリーカ「やっぱりそのまんまのネーミング……」

シンジ「まるで捻りが無いな」

シトロン「別にいいんですよ!!」

いや、良くは無いだろう。少しは成長しろ。

ショータ「と、とにかく試してみましょうよ」

シトロン「え、ええ。それではスイッチ・オン!!」

気を取り直し、シトロンがマシンを起動する。
すると、途端に甘い香りが発生し、風に乗って周囲へと広がっていった。
 ▼ 699 シギダネ@どくのジュエル 20/07/01 22:25:06 ID:4XCAWnfg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナが聞いた爆発音の音源がなんとなくわかった笑
しえん
 ▼ 700 ドラ@ひみつのコハク 20/07/01 23:20:44 ID:Zmhgu4io NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
しえん!
 ▼ 701 ドラン@ナナのみ 20/07/01 23:47:13 ID:o9TQKfPE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 702 エトル更新◆cmpL4pCqEY 20/07/02 22:23:56 ID:kM22pSrI [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「これで、この一帯のポケモン達は落ち着いたはずです。早速進んでみましょう!」

その言葉に従い、先へと歩を進めてゆくと……

ウルップ「……ほう、さっきまでのヒリついた空気が嘘みてえだ」

ウルップ「あれだ、科学の力はスゲーって奴だな!」

シトロン「おぅふ、その反応は久しぶりですねぇ!」

ウルップさんの言葉に、妙に上機嫌になるシトロン。
こいつ、そんなに承認欲求が強かっただろうか?

ユリーカ「……んー、でもさあ」

シトロン「ん? 何だいユリ―カ?」

ユリーカ「何かみんな、疲れちゃってない?」

その指摘に辺りを見回せば、確かに地面に伸びているポケモン達が多数見て取れる。
 ▼ 703 エトル更新◆cmpL4pCqEY 20/07/02 22:25:04 ID:kM22pSrI [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ウルップ「これはあれだ、当然ってもんだ。あれだけ気を立たせていれば、相応に消耗もするだろう」

ユリーカ「なんか、かわいそう……」

シトロン「ノープロブレム! この“どんなポケモンもリラックスさせちゃうメガアロマくん”には更なる機能があるんですよ!」

シトロン「さあ、ヒーリングシフト・オン!!」

そう言ってシトロンが新たにスイッチを押すと……

ユリーカ「ふぇ? 何か飛んだ……?」

マシンの首部分から蔓が射出され、宙で輪を形作る。
その蔓にも、花弁を模したパーツが付いており……

シトロン「行きますよ、フラワーヒールです!!」

まるでシャワーのように、辺りに何かが降り注いだ。

ユリーカ「……あ、これ気持ちいーよ!」

ショータ「……本当ですね。何だか、疲れが取れていくような気がします」

シトロン「ええ、それは当然です! 実はこのシャワー、アローラ地方で見られるポケモン、キュワワーの花に含まれる癒し成分を再現した物なんですよ!」
 ▼ 704 エトル更新◆cmpL4pCqEY 20/07/02 22:26:01 ID:kM22pSrI [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ショータ「なるほど。香りで落ち着かせて、このシャワーで回復させることも可能というわけですね!」

シトロン「そう、まさにその通りです!さあ、どんどんポケモン達を癒していきますよ!!」

上機嫌でマシンの出力を上昇させてゆくシトロン。
……何故、コイツは毎度学習をしないのだろうか。

ウルップ「……なあ、おい」

シトロン「はい、何でしょう?」

ウルップ「……あー、あれだ。何か様子がおかしくないか?」

シトロン「え、いや、そんなはずは……あれっ!?」

ユリーカ「あっ……」

ショータ「これは……」

シンジ「……ニダンギル、ボスゴドラ」

煙を噴き、妙な音を立て始めるマシン。そして……

シトロン「う、うわああああああ!!」

まるでお約束かの如く、轟音を立てて爆発した。
 ▼ 705 日更新休みます◆cmpL4pCqEY 20/07/02 22:26:54 ID:kM22pSrI [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「……………けふっ」

ウルップ「……あれだよ、びっくりしたなぁ」

ショータ「ボスゴドラ達が守ってくれなかったら、僕らも巻き込まれてましたね」

ユリーカ「二人とも、ありがと!」

ニダンギル「ギル♪」

ボスゴドラ「…………」

シトロン「何で、僕だけ……」

調子に乗るからこうなる。自業自得ってやつだ。

シンジ「遊んでいる暇はない。とっとと終わらせるぞ」

黒焦げでベソをかくシトロンを放置し、先へ進もうとした、その時だった。

ユリーカ「ほらお兄ちゃん、そんなところで泣いてるなら置いてっちゃうよ!」

シトロン「べ、別に泣いてませんから! ちょっと、ま───っ!?」

突如、けたたましく鳴り響く警告音。
その音の出処は、シトロンのリュックだ。

シンジ「チッ、今度は何だ!」

シトロン「……! これ、発信機に異常を検知した際の警報です!」

酷く焦った様子で、PC画面を覗き込むシトロン。
程なく、画面を覗いたまま、顔を青褪めて固まった。
 ▼ 706 ングース@かけたポット 20/07/03 01:27:07 ID:Hr72gu.o NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
更新乙です
明後日も待ってます
しえん
 ▼ 707 クガメス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/04 22:11:25 ID:PUysAvzs [1/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「……お兄ちゃん、どうしたの?」

シトロン「み、みんな、ちょっとこれを……!!」

そう言ってシトロンが見せてきた画面には……

シトロン「まず良いですか、これが位置情報。森に停滞中で変化はありません」

シンジ「……で、それがどうした」

シトロン「問題があるのは、こっちの生体データです」

シトロン「アドレナリンの分泌による心拍数の上昇と体温の低下。脳波も、β波の割合が高くなっている」

ユリーカ「……? べーた波って?」

シトロン「リラックス状態に出る波をα、ストレス状態に出る波をβ、傾眠状態に出る波をθと呼ぶんだ」
 ▼ 708 クガメス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/04 22:11:45 ID:PUysAvzs [2/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン「ユキメノコは隠密中で、β波が高いこと自体はおかしくない。でもこんな極端に高いのは……」

ウルップ「あれか、つまり普通じゃねえってことか」

……なるほど、極度のストレス状態というわけだな。
それに加え、アドレナリンの分泌量の増加。
何もしていないのならば、起こりえないことだ。

シンジ「……何かと、戦っているのか?」

シトロン「その可能性が高いかと」

ユリーカ「そんなっ!?」

ショータ「そ、それってまさか、ヒガナと!?」

或いは、未だ鎮め切れていない野生のポケモンか。

シンジ「どちらにせよ、放ってはおけない、か」

シトロン「はい。ですが……」

シンジ「……なんだ、どうした?」

ちら、とウルップさんの方を窺うシトロン。
……ああ、なるほどな。確かにそうなるか。

ユキメノコの元へ向かうということは、ウルップさんの手伝いを放棄することなのだ。
 ▼ 709 クガメス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/04 22:13:01 ID:PUysAvzs [3/3] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そう、野生のポケモンを一人で鎮めなければならなくなるということ。
或いは、俺一人でユキメノコの元に向かうことも……と、考えていた時。

ウルップ「ん? なんだお前達、行かねえのか?」

ショータ「でも、そうするとウルップさんが一人で──」

ウルップ「いや、俺もお前達に付いていけば良いんだろ?」

ショータ「──えっ?」

ウルップ「ほらあれだ、ユキメノコが相手してんのは、野生のポケモンの可能性もあるわけだろ?」

シトロン「………!!」

ウルップ「それにあれだよ。もし野生のポケモンじゃなくても、俺も奴さんには一杯食わされてるからな」

そう言ってウルップさんは、いたずらっぽく笑うのだった。





シンジ「……だがシトロン、お前は先に戻れ」

シトロン「…………えっ?」
 ▼ 710 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/05 20:33:32 ID:i/AsnuLM [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告

シンジ「奴と戦っているのなら、ある程度まで近づけば俺の図鑑でも探知できる。そこまで行ったら帰れ」

シトロン「…………はい?」

なんて間抜け面をしている。当然だろう。

シトロン「いやいやいや、どうしてですか!?」

ユリーカ「そーよ! 何でお兄ちゃんだけ!?」

シンジ「何を勘違いしている。お前も戻るに決まっているだろう」

ユリーカ「…………ふぇ?」

……この間抜け面は遺伝か。確実に父親の血だな。

ショータ「ち、ちょっと待ってください! どうしてシトロンさん達は駄目なんです!?」

察しが悪いな。口に出さなければわからないのか?

シンジ「足手まといになる可能性があるからだ」

シトロン「………っ!」

ユリーカ「───!!」

ウルップ「………!」

ショータ「そ、そんな言い方しなくても……!」

どんな言い方でも事実は事実だ。変わる物じゃない。
 ▼ 711 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/05 20:34:10 ID:i/AsnuLM [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「シトロンだけなら別に構わんが、ユリーカは肝は据わっていても戦力にはならん」

シンジ「アランが奴と戦った時のことを忘れたか?」

奴は、ヒガナは“使命”のためなら手段を選ばない。
アランは、マノンを狙われたことで、リザードンが傷つき敗北を喫した。

ユリーカ「……じゃあ、私が狙われるかもしれなくてジャマだから、行っちゃダメってことなの?」

シンジ「ああ、そうだ」

シトロン「……で、僕はユリーカの同伴と」

シンジ「そういうことだ」

だからこそ、ヒャッコクの対峙の際も置いていった。
ショータと二人だけだと別働での罠を勘繰られる恐れがあったため、あの時は単独ではあったが。
 ▼ 712 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/05 20:34:38 ID:i/AsnuLM [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「…………」

俺の言い分を理解したのか、それ以上の問答は無い。
……ただし、この男は別であった。

ウルップ「ははは、お前さんも素直じゃないねぇ!」

シンジ「……何がですか?」

ウルップ「だって、あれだよ。要するにお前さんは、この子が怪我をしちまわねえか心配ってわけだ」

シンジ「………!?」

ユリーカ「えっ……」

シトロン「………!!」

ショータ「へ……?」

ウルップ「ほら、アランの時ってヤツと重ねるなら、その子が狙われたら庇おうと思ってるわけだよな?」

シンジ「───っ!?」

シトロン「……言われてみれば、確かにそうですね」

ユリーカ「……へへっ。そっか、そうだったんだ」

ショータ「……ほ、本当ですか!?」
 ▼ 713 ータス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/05 20:34:53 ID:i/AsnuLM [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
……チッ、この男、余計なことを…!

シンジ「……何をニヤついている。気色悪い」

ユリーカ「んふふ、べっつに〜? でも、私にはお兄ちゃんがいるから大丈夫!」

シトロン「心配には及びません。ユリーカは兄である僕が、しっかりと守りますから!」

ウルップ「いざとなりゃ俺も守ってやる。安心しな」

……鳥肌が立ってきた。で、コイツはコイツで何だ。

ショータ「す、すすすみませんでした! 先程は失礼なことを!!」

シンジ「……もういい。とっとと先へ行くぞ」

このままでは、頭がおかしくなりそうだ。
逃げるように俺は、先へと足を進めるのだった。
 ▼ 714 ギギシリ@コイン 20/07/05 22:03:05 ID:kl8YzUqk NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 715 ラクロス@フェスチケット 20/07/05 22:19:52 ID:ubvk5cx2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
んふふ、べっつに〜? が脳内再生余裕
しえん
 ▼ 716 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/06 21:38:58 ID:CndU1t/M [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

発信機の信号を頼りに、森の中を進んでいく俺達。
日はとうに沈み、辺りは闇に包まれている。

シトロン「……そろそろ、信号の発信源に着きます」

その言葉に、今一度気を引き締め直す。

シンジ「ニダンギル、お前はユリーカに付け」

これなら、不意の攻撃にも対処できるだろう。
ニダンギルが頷いたのを確認し、先へ進む。

シンジ「あれは……」

歩を進め、見えてきたのは、岩壁にぽっかりと空いた洞窟の入り口だった。

シトロン「発信機の反応は、あの中からです」

声を潜めて様子を窺いつつ、シトロンが告げる。

ウルップ「あれだよ、やっぱり洞窟だったな。寒さを凌いで、夜を越すには持ってこいってわけだ」

図鑑を取り出し、エネルギーを探知する。
確かに、前方から複数のエネルギーが検知できる。
 ▼ 717 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/06 21:40:00 ID:CndU1t/M [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「十中八九、奴がいると見て良いな」

ショータ「シンジ、どうしますか? やっぱりここは、一気に踏み込んで──」

ウルップ「……! 上だ、躱せ!!」

ショータ「──なっ!?」

突如降ってきた攻撃を避け、その出処を探る。
だがそれは、探すまでもなく、自ら姿を晒してくる。

シンジ「……踏み込む手間が省けたな」

視線の先にあったのは、月を背にし、ボーマンダに乗って浮かぶヒガナの姿だった。

ヒガナ「人がちょっち出掛けてる間に何してるのかなあ、君達?」

シンジ「そんなことは、お前自身が一番理解しているだろう」

睨み合いの最中、後ろ手で合図を飛ばす。
シトロンが、その背にユリーカを庇う体勢に入った。
 ▼ 718 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/06 21:40:40 ID:CndU1t/M [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「第一、どうやってここを見つけたのさ。そこのジムリーダーのお陰?」

シンジ「それをお前に教える必要があるのか?」

この反応、ユキメノコには気づいていない、か?

ヒガナ「……今、君達に構ってる暇は無いんだけど」

シンジ「散々好き勝手に動いて今更言えたことか?」

言いながら、ベルトからボールを外して握り込む。

ヒガナ「だから、世界を救うためって言ったよね?」

シンジ「お前のしていることが本当に必要か、お前は何も話してはいないがな」

まだだ、もう一押し。人を煽るのは得意分野だ。

ヒガナ「……あーもう、しつこい男は嫌われるよ?」

シンジ「どうでもいい。お前に好かれる必要もない」

だいぶ、言葉にキレが無くなってきたな。
さて、そろそろアレが出て来るか……?
 ▼ 719 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/06 21:41:33 ID:CndU1t/M [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「……チッ、ルナトーン、さいみん──」

シンジ「……! エレキフィールド!!」

ヒガナ「───!?」

ボールから飛び出たエレキブルがフィールドを展開し、さいみんじゅつを防ぐ。
同じ手を二度も喰らうほど、俺は馬鹿ではない。

シンジ「そこだエレキブル、かみなり!!」

ヒガナ「───っ!!」

ルナトーンに、狙いすました様な一撃が炸裂する。
そして、増大した電撃の前に、呆気なく地に落ちた。

シンジ「随分と軟だな。どうした、もう終わりか?」

俺の言葉に合わせ、エレキブルがやってみろとばかりに相手を挑発する。

ヒガナ「……もう容赦はしない。悪く思わないでよ」

──ヒガナは、ヌメルゴンを繰り出した!!──
 ▼ 720 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/06 21:42:29 ID:CndU1t/M [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「……漸く、その気になったか」

シトロン「レントラー、やりますよ!」

ショータ「ジュカイン、僕らもです!」

ウルップ「さあ出番だ、ユキノオー!」

後ろに立っていた三人もポケモンを出し、臨戦態勢を取る。だが……

シンジ「手出しはするな。俺一人でやる」

シトロン「えっ…?」

ウルップ「……うん?」

ショータ「な、何でですか? 皆でかかれば……」

シンジ「俺一人で充分だと言っているんだ」

ショータ「で、ですが……」

シトロン「……わかりました。ここは君に任せます」

ウルップ「……そうだな、俺もこういうのは好きじゃねえ。まあ、世界を救う戦いってんなら別だけどな」

ショータ「シトロンさん、ウルップさんまで…!?」
 ▼ 721 ジリガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/06 21:43:12 ID:CndU1t/M [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ショータの言いたいことがわからないわけではない。
これは公式戦どころか野良試合ですらないのだから。

シンジ「だが、奴の下らん言い訳を聞きたくもない」

それに、この場においては俺一人の方が都合が良い。
乱戦になれば、その分注意が散漫になりやすい。

ショータ「……わかりました。僕も下がります」

三人が抑えたのを確認し、一歩前へと踏み出る。

シンジ「リングマ、バトルスタンバイ!!」

既にボールから出ていたエレキブルを戻し、リングマを投入する。

ヒガナ「一人で充分、ね。それにエレキフィールドも活用しないなんて、私のこと甘く見すぎじゃない?」

シンジ「その余裕がいつまで持つか、見物だな」

こんな“目つきの悪い奴”に、俺が負ける理由はない。
 ▼ 722 タシラガ@シーヤのみ 20/07/06 23:00:42 ID:ng1sOqUM NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 723 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/07 21:05:50 ID:SWGgN3u2 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「ヌメルゴン、りゅうのはどう!」

シンジ「リングマ、きあいだま!」

激突する二つの技。だが次の瞬間、光弾が波導を打ち破り、ヌメルゴンに直撃した。

ヒガナ「──ッ、ならかみなり!!」

フィールドの恩恵を受け、威力の増大した電撃がリングマに襲い掛かる。

シンジ「……! 受け止めろ!!」

腕を組んで構えるリングマに、かみなりが炸裂した。

シンジ「………!!」

攻撃を耐えきり、吠えるリングマだが、その動きが一瞬鈍る。

ヒガナ「追加効果だね。ツイてないんじゃない?」

シンジ「…………」

ヒガナ「畳みかける。パワーウィップ!!」

シンジ「……アームハンマー!!」
 ▼ 724 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/07 21:07:23 ID:SWGgN3u2 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
長いツノを振りかざすヌメルゴンに応じ、リングマも両腕を振り上げる。
……が、身体が痺れ、パワーウィップが直撃する。

ヒガナ「大口を叩いた割には、大したことないね」

シンジ「……さあ、どうだろうな?」

刹那、振り下ろされた両腕がヌメルゴンを叩き潰す。
目を回したヌメルゴンを見下ろし、リングマが雄たけびを上げた。

ヒガナ「───なっ!?」

シンジ「リングマの特性は根性だ。接近するならその程度は考慮しろ」

ヒガナ「………っ、戻れヌメルゴン」

シンジ「戻れリングマ。エレキブル、バトルスタンバイ!!」

ヒガナ「……あまり、調子に乗らないでよ」

──ヒガナは、ガチゴラスを繰り出した!!──
 ▼ 725 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/07 21:09:02 ID:SWGgN3u2 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「ガチゴラス、じならし!!」

シンジ「かみなり、地面に撃て!」

波打つ大地を、電撃の威力で破壊して押し留める。

シンジ「もう一度かみなりだ!」

更に電撃を加え、衝撃で破片を相手へと飛ばしてゆく。

ヒガナ「──っ!? ドラゴンテール!!」

シンジ「かみなりパンチ!」

尾で破片を凌いだガチゴラスに、今度は拳が迫る。
渾身の一撃が、ガチゴラスの顔面を撃ち抜いた。

ヒガナ「ガチゴラス、ほのおのキバ!」

痛みを堪え、技を発動するガチゴラス。
そのまま、目の前の敵に喰らい付くが……

シンジ「まもるだ!!」

エレキブルの展開したシールドに、その牙を弾かれた。

ヒガナ「もうまもるは使えない。もろはのずつき!」

シンジ「受け止めろ!!」

両腕を前へと構え、相手を待ち受ける。
そして真正面から、もろはのずつきにぶつかった。
 ▼ 726 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/07 21:09:40 ID:SWGgN3u2 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「無駄だよ。押し切って!!」

シンジ「……そのまま捕まえろ!!」

力を込めるガチゴラス、尾を伸ばすエレキブル。
長い尾は頑強な顎に巻き付き、力の伝達を阻害した。

ヒガナ「そんな馬鹿な……!?」

エレキブルは、もろはのずつきを完全に受け切った。

シンジ「逃がすな、かみなり!!」

顎を捕らえられ、ガチゴラスは逃れられない。
フィールドの恩恵を受けた電撃は、ガチゴラスがその意識を手放すまで、決して止むことは無かった。

ヒガナ「………戻って、ガチゴラス」

シンジ「どうした、容赦はしないんじゃなかったのか? 大口を叩いた割には大したことないな」

ヒガナ「……ちょっと黙ってくれるかな。君がそんなにお喋り好きだとは知らなかったよ」

……この調子なら、もう少しってところか。
 ▼ 727 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/07 21:13:51 ID:SWGgN3u2 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
────────

ユリーカ「……んー、真っ暗だね」

洞窟へ入ったは良いけど、暗くて何にも見えない。
懐中電灯、借りてくるの忘れちゃったなぁ。

ユリーカ「えーっと、こんなときは確か……ごめんデデンネ、起きて!」

ポシェットの中の小さなお友達を、申し訳ないと思いながらも揺り起こす。

デデンネ「…………ンネ?」

ユリーカ「寝てたのにごめんね。でんきショックしてくれる?」

デデンネ「デネ!」

デデンネが放電し、その明るくなった一瞬にお目当てのものを探す。そして……

ユリーカ「……あ、ラッキー! イイ感じの見っけ!」

でも洞窟の中にこんなに良いのがあるなんて、ポケモンが巣を作った余りとかなのかな?

ユリーカ「……ま、今は気にしても仕方ないよね」
 ▼ 728 ムカメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/07 21:14:46 ID:SWGgN3u2 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうだ、それでこんな感じの持ちやすい木の枝に……

ユリーカ「デデンネ、ほっぺすりすり!」

バチバチと音が鳴って、木の枝が電気の熱で燃える。

ユリーカ「やった、凄いよデデンネ!」

焚き火するとき、お兄ちゃんとかシンジが時々やってたの、ちゃんと覚えといて良かった!

ユリーカ「それで、えーっと、こっちかな?」

枝に付けた火の灯りを頼りに、洞窟の奥へ進む。

デデンネ「……? デネ、デーネネ?」

ユリーカ「どしたの、デデンネ?」

デデンネ「デネネ、デネデーネ?」

ユリーカ「あ、今何してるのかって?」

デデンネ「ンネ!!」

そう言えば、デデンネは寝てたから聞いてないんだ。

ユリーカ「それじゃあ、説明しよう!」

ふふっ、一回言ってみたかったんだよね。コレ!
 ▼ 729 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/08 22:14:15 ID:98IYwNsM [1/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
〜〜〜〜〜〜

ヒガナ『人がちょっち出掛けてる間に何してるのかなあ、君達?』

シンジ『そんなことは、お前自身が一番理解しているだろう』

睨み合う中で、シンジが密かに何かの合図する。
するとお兄ちゃんが、私の前に立って庇い始めた。
そっか、戦えない私を守るための合図だったんだ。

ヒガナ『第一、どうやってここを見つけたのさ。そこのジムリーダーのお陰?』

シンジ『それをお前に教える必要があるのか?』

ヒガナ『……今、君達に構ってる暇は無いんだけど』

シンジ『散々好き勝手に動いて今更言えたことか?』

シンジが、性格の悪さを全開にしてヒガナを挑発する。
これは私でもわかる。自分に気を引き付けてるんだ。
と、その時、お兄ちゃんがこっそり話しかけてきた。
 ▼ 730 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/08 22:14:34 ID:98IYwNsM [2/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン『ユリーカ、ちょっといいかい?』

ユリーカ『なあに、お兄ちゃん?』

シトロン『実は、シンジがヒガナの気を引いている内に、ユキメノコと合流しようと思うんだけど……』

そういえば、ユキメノコは洞窟の中にいるんだっけ。
確かに、ヒガナはもう見つけてるし、早く迎えに行ってあげた方が良いかも。

ユリーカ『じゃあ、私が行ってくる』

シトロン『……えっ!? いや、でも危険だ…!』

ユリーカ『大丈夫よ。ユリーカの方がお兄ちゃんより目立たないし、デデンネとニダンギルも付いてるし』

それに、私が戦力にならないって言ったシンジを見返したいもんね!

ヒガナ『……あーもう、しつこい男は嫌われるよ?』

シンジ『どうでもいい。お前に好かれる必要もない』

シンジ達は、まだこっちの様子に気づいてないみたい。
ここから抜け出すなら、今しかないんだ…!
 ▼ 731 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/08 22:14:53 ID:98IYwNsM [3/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン『……わかった。なら、これを持って行って』

ユリーカ『これって、あの通信機?』

シトロン『そう。何かあったら迷わず使って』

そう言ってお兄ちゃんは、ホルビーを繰り出す。

シトロン『ホルビー、あなをほるであの洞窟まで道を通してください』

頷いたホルビーが、穴を掘って地面に潜る。
ちょうど同じぐらいのタイミングで……

ヒガナ『……チッ、ルナトーン、さいみん──』

シンジ『……! エレキフィールド!!』

ヒガナ『───!?』

エレキブルがエレキフィールドを使ったらしい。
ヒガナは、さいみんじゅつを防がれ悔しそうな顔だ。
……ホルビー、痺れちゃってないかな?

シンジ『そこだエレキブル、かみなり!!』

ヒガナ『───っ!!』

その一撃で、ルナトーンが戦闘不能になる。
相変わらず、エレキブルの電撃はきょーれつだなぁ。
 ▼ 732 メックス更新◆cmpL4pCqEY 20/07/08 22:15:13 ID:98IYwNsM [4/4] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シトロン『レントラー、やりますよ!』

ショータ『ジュカイン、僕らもです!』

ウルップ『さあ出番だ、ユキノオー!』

お兄ちゃんや、私達の様子をじっと観察していたショータとウルップさんが前に出る。
ちょうど、穴に潜ろうとしていた私を隠すように。

ユリーカ『じゃあ、行ってくるね』

一瞬だけ振り返ったお兄ちゃんにニカッと笑って、ニダンギルと一緒に穴に飛び込んだ。

〜〜〜〜〜〜

ユリーカ「──と、いうわけなのであーる!」

ニダンギル「………?」

ホルビー「ホッビ……」

ユリーカ「あ、ちょっとホルビー、今溜め息吐いたでしょ!」

ホルビー「……!? ルビ、ホッビ!?」

全くもう。変な所ばっかりお兄ちゃんに似ちゃって。
折角の大役、こういうのは気分が大事なんだから!

ユリーカ「よーし、それじゃあ行くよ。デデンネ、ホルビー、ニダンギル!!」

“シンジがヒガナを引き付けてる間にユキメノコ探し隊”、レッツゴー!!
 ▼ 733 ォレトス@こだいのぎんか 20/07/08 22:45:50 ID:VQN6pqks NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
しえん
 ▼ 734 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/07/09 20:32:00 ID:PL/khElo [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
…………………

……………

………



奥へと進んで暫く。いい加減に飽きてきた頃……

ホルビー「……! ホッビ!」

前を歩いていたホルビーが、突然足を止めた。

ユリーカ「どうしたの、ホルビー?」

私が聞けば、ホルビーは振り返って奥を示す。

ユリーカ「……誰かいるの?」

ホルビー「ルビ!」

耳を動かしながら頷くホルビー。
どうやら、何かの音が聞こえた見たいだ。
もしかして、ユキメノコかな…?

ユリーカ「ホルビー、少し様子を見てこれる?」

声を潜めて、ホルビーに偵察をお願いする。
するとホルビーは、長い耳をピクピク動かしながら、慎重に奥の様子を窺って……

ホルビー「……!? ほ、ホッビ!?」

伸びてきた白い手に、岩陰へと引きずり込まれた。
 ▼ 735 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/07/09 20:32:14 ID:PL/khElo [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「…………えっ、ホルビー!?」

咄嗟に駆けだし、消えたホルビーを追いかける。
手の伸びてきた岩を曲がり、その先に進むと……

ユリーカ「──っ、うわあぁ!?」

突然、奥から攻撃が飛んできた。
ニダンギルが守ってくれたけど、危なかった…!

ユリーカ「ニダンギル、ありがと!」

ニダンギル「………!」

ニダンギルが、攻撃の飛んできた方を警戒する。
その、鋭い視線の先にいたのは……

ユリーカ「……あれって、チルタリス?」

そうだ、あの雲みたいな白い羽は間違いない。
ウルップさんの言ってた、ヒガナのチルタリスだ!

ユリーカ「…………ゴクッ」

漂う緊張感に、無意識の内に唾を飲みこむ。
こちらを睨むチルタリスと、私を守るニダンギル。
お互いに構え、今まさにぶつかろうとした時だった。
 ▼ 736 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/07/09 20:33:18 ID:PL/khElo [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チルタリス「───!?」

ニダンギル「………!!」

二人の間に現れた、見覚えのある姿。その正体は……

ユキメノコ「…………」

ヒガナを尾行していた、シンジのユキメノコだった。

ユリーカ「……! 見つけた、ユキメノコ!!」

思わず叫ぶと、ユキメノコはチラリとこちらを振り返った後、チルタリスへと向き直り……

ユキメノコ「─────!?」

ユリーカ「………へっ?」

何やら、チルタリスに向かって問い詰め始めた。

ユキメノコ「─────!!」

チルタリス「───、──!?」

言葉はわからないけど、でもこれは絶対そうだ。

ユリーカ「……ねえニダンギル、あれって怒ってるんだよね?」

隣のニダンギルに聞けば、呆気に取られながらもコクンと頷く。
やっぱり怒っているみたい。でも、なんで?
 ▼ 737 メール更新◆cmpL4pCqEY 20/07/09 20:33:42 ID:PL/khElo [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「……あ、そうだホルビーは!?」

どうしてこうなったと考えていたら、連れ去られたホルビーの存在も思い出す。
その叫びが聞こえていたのか、ユキメノコがハッとしたようにこちらを振り返り……

ユキメノコ「……メノ!」

手招きしながら、奥へと進んで行った。

ユリーカ「ねえ、ホルビーを連れて行ったのはあなたなの?」

移動しながら聞けば、コクリとユキメノコが頷く。

ユリーカ「……うーん」

ユキメノコは、どうしてホルビーを連れて行ったのか。

チルタリス「─────?」

ユキメノコ「───、──!!」

そもそもどうしてユキメノコとチルタリスが一緒に?
わからないことだらけ。この先で、何かわかるかな?

ユキメノコ「……メノ、メーノ!」

ユキメノコが立ち止まり、声を掛けてくる。
悶々と考え込んでいた私は、その声にハッとし、辺りを見回すと……

ユリーカ「これって、もしかして……」
 ▼ 738 日更新休みます◆cmpL4pCqEY 20/07/09 20:34:17 ID:PL/khElo [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そこは、狭い洞窟の中ではそれなりに開けた空間。
岩の上にはランタンが置かれ、それを囲むように荷物や道具などが置かれている。

ユリーカ「やっぱり、ヒガナのキャンプだ…!」

でも、どうしてここに連れてきたのかな?

ユリーカ「いや、まずはホルビーを探さなきゃ!」

その言葉に応じるように、ユキメノコが一点を示す。
そこは、空間の中でも特に奥まった薄暗い場所。
ランタンの灯りに僅かに照らされた、小さな影。

ユリーカ「……! ホルビー!!」

影はホルビーで、私の声に気づき、駆け寄ってくる。

ユリーカ「大丈夫? 怪我は無い?」

元気に頷いたホルビーにホッと息を吐く。
でもホルビーは、すぐにさっきの場所へと戻り……

ホルビー「ホビ、ホッビ!!」

……どうやら、そこに何かがあるみたいだ。

ユリーカ「なあに、ホルビー?」

そう返しながら、ホルビーの方へ歩み寄る。

ユリーカ「……! えっ、待って、これって……!」

大変だ。早くお兄ちゃん達に知らせないと……!!
 ▼ 739 クバード@くろいヘドロ 20/07/09 20:40:29 ID:7DW6nYPM NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒガナ弱すぎて悲しい
 ▼ 740 ルビル@あなぬけのヒモ 20/07/09 22:18:09 ID:lnVkDEH. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゲットしたてのメガレックウザ一体にボコボコにされてるのが再現されてるみたい
 ▼ 741 ブト@ちからのねっこ 20/07/10 01:07:31 ID:JA.AyWgs NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
>>732
ここ、変なところばかりお兄ちゃんに似ちゃって、と言ってるユリーカも説明好きな兄に似てるのが微笑ましい
明後日も待ってます
 ▼ 742 ルーグ@スピーダー 20/07/10 10:22:55 ID:wj.g.OKc NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>739
苦手な寒冷地にさらされて相当疲労も溜まってるだろうし仕方ない
 ▼ 743 バイト@マッハじてんしゃ 20/07/11 21:10:35 ID:CF3kIliw NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 744 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/11 21:41:58 ID:pns.xqac [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

ヒガナ「……っ、行け!!」

──ヒガナは、オンバーンを繰り出した!!──

シンジ「……なに、オンバーンだと?」

ヒガナ「……は? 今度は何なの?」

ここまではルナトーン、ヌメルゴン、ガチゴラス。
既にボーマンダも確認した。ウルップさんの話通りなら、チルタリスとゴニョニョを連れているのも確定。

ヒガナ「…………」

だというのに、何故ここでオンバーンが出てくる?
手持ちを入れ替える暇など、決して無かったはずだ。

シンジ「……! まさか、あの──」

その推測を、口に出すことは叶わなかった。
背後から響いた電子音が、場の空気を乱したためだ。
 ▼ 745 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/11 21:42:30 ID:pns.xqac [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
シンジ「……シトロン、今度は何だ」

シトロン「──!? いやその、ちょっと……」

何故かヒガナを窺い、通信機を取り出すシトロン。

シトロン「……僕だけど、どうしたかい?」

通信を入れ、呼び出しに応じると……

ユリーカ『お兄ちゃん大変! 早くこっち来て!!』

酷く焦ったようなユリーカの叫びが聞こえてきた。

シンジ「……待て、ユリーカだと?」

辺りを見回せば、確かに小さい黄色が消えている。
それと同時に、後方に掘られた地面の穴も認める。

シンジ「お前ら、また余計なことを……」

シトロン「話は後です! 僕は行きますから!!」

言うや否や、シトロンが洞窟へ向かって駆けだす。

ショータ「……! ま、待ってください!!」

ハッとしたショータが、シトロンを追いかける。
 ▼ 746 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/11 21:42:56 ID:pns.xqac [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ヒガナ「……! 大人しく行かせるとでも──」

シンジ「──かみなりだ!」

行く手を阻もうとするヒガナの足元に、エレキブルの電撃が炸裂する。
歯噛みするヒガナの脇を駆け抜け、シトロン達は洞窟の奥へと消えていった。

ヒガナ「──っ、邪魔しないでくれる?」

言葉に怒気を滲ませるヒガナだが、追わせはしない。
勝負の最中に相手に背中は見せられない。当然だ。

シンジ「エレキブル、かみな──」

ウルップ「待て。行かせてやれ」

シンジ「──は?」

行かせまいと指示する俺の腕をウルップさんが掴む。

シンジ「何故です? 奴に行かせる理由が無い」

ウルップ「いや、ほらあれだ。多分さっきの嬢ちゃんの呼び出しは──」
 ▼ 747 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/11 21:43:39 ID:pns.xqac [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
******

洞窟の奥へと消えた面々を追い、俺とウルップさんも奥へと進む。
暫く進むと、奥の方が明るくなってきた。

ウルップ「なるほどな。確かにこりゃあ良い」

俺達が出たのは、洞窟の中の開けた空間。
拠点とするには十分すぎる広さを保っている。

ニダンギル「………!」

ユキメノコ「メーノ!」

シンジ「……! お前らか」

ユリーカに付けていたニダンギルとヒガナを追っていたユキメノコが、こちらに気づいて近寄ってくる。

シンジ「ユキメノコ、これまでよくやった。ニダンギル、お前もだ」

労をねぎらってやれば、目を細めて応じる二体。
だがすぐに顔を引き締め、揃って奥を示した。

そちらを見れば、シトロン達の姿が見える。
どうやら、そこにある何かを囲んでいる様だ。
 ▼ 748 ニガメ更新◆cmpL4pCqEY 20/07/11 21:44:49 ID:pns.xqac [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ユリーカ「……シンジ」

ショータ「……ウルップさん」

ヒガナ「…………」

シンジ「どうしたシトロン。何故コイツまで……」

シトロン「……これを、見てください」

そう言って、シトロンが身体を避けたところには……

シンジ「……! これは……」

木の枝を組んで作られた、小さな簡易の寝台。
その上に横たえられた、一つの小さな影。
シガナと呼ばれたゴニョニョが、床に臥せっていた。

ウルップ「……やっぱり、そうだったか」

シトロン「やっぱり、とは?」

ウルップ「あれだよ。昼間に会った時から、見るからに様子が変だったんだ」

ユリーカ「そんな、それじゃあ……」

ショータ「具合が悪いのに、ずっと連れまわしてたってことじゃ……?」

シトロン「……とにかく、ポケモンセンターへ連れて行かないと。ここだとできることが限定的すぎる」

ヒガナを追求する流れを止め、シトロンが言う。

ウルップ「当然、お前さんも来るんだ。良いな?」

ヒガナ「……どうせ、これじゃ逃げられやしないよ」
 ▼ 749 ルメタル@ブロムヘキシン 20/07/14 02:03:55 ID:zzowHz2g NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
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