【スワップSS】俺の欺瞞と僕の代償:ポケモンBBS(掲示板) 【スワップSS】俺の欺瞞と僕の代償:ポケモンBBS

  ▼  |  全表示33   | <<    前    | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |   ▼   
                  スレ一覧                  
SS

【スワップSS】俺の欺瞞と僕の代償

 ▼ 1 ロスター倶楽部◆ePzbA6F9jQ 20/04/09 08:10:29 ID:PXywDGT6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
誰かが言っていた。
「誰かを欺くということは、いつか自分自身を滅ぼすことに他ならない」と。
勿論、そんなことはわかりきっている。

けれど、俺には……僕には、これしかできなかった。ただ君を欺き続けることしか。

ほんの少しでも、欺く心を止めて、君に真実を目の当たりにさせてしまえば……僕と彼の愛した、その笑顔が崩れていくかもしれないと思ったから。


ーーー


喧騒に包まれた表通り。
その中を進む、全身に漆黒を纏う狐。
その頂点から長く伸ばされた赤を束ねるエメラルド色の珠が、陽の光を受けて輝く。

そこに俺……ゾロアークはいた。
 ▼ 2 ロスター倶楽部◆ePzbA6F9jQ 20/04/09 08:16:14 ID:PXywDGT6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
注意)このSSは、スワップSS企画2020参加作品です。
2レス目以降は別の方が執筆します。ご了承ください。

【SS企画】スワップSS祭2020
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1189712
 ▼ 3 W5QbhxTQaw 20/04/13 20:34:01 ID:nZu.isvI NGネーム登録 NGID登録 報告
このSSの続きを書くことになりました。
よろしくお願いします。
 ▼ 4 ロスター倶楽部◆ePzbA6F9jQ 20/04/13 23:46:51 ID:pUyEW1fE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>3
よろしくお願いします!
 ▼ 5 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:54:58 ID:ICosAgMM [1/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
乗っ取ったので続きを書いていきたいと思います
 ▼ 6 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:55:19 ID:ICosAgMM [2/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
それに対峙するは、赤い瞳の黒狼。
グラエナとゾロアークは互いに、相手の出方を伺っていた。
昼下がりの路地裏にレフェリーはいない。勝負の合図は、自分で見極めるのみ。


──ふと、小石が落ちる音がした。


その瞬間飛びかかった。
グラエナが一歩ほど速い。壁を蹴ってこれを避ける。
そして、俺はグラエナの背後に回り込んだ。
 ▼ 7 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:55:36 ID:ICosAgMM [3/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……喰らうが良い」

「!」


グラエナは振り返る。が、遅い。
俺の右腕はすでに禍々しいオーラに覆われていた。

揺らめく空間の中で、俺の右腕だけが真っ直ぐな一閃を放った。
 ▼ 8 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:55:59 ID:ICosAgMM [4/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


「あくう……せつだんッッ!!」

「ぐあああああああああああああああああ!!!」


グラエナは一瞬ぴたりと止まり、そして崩折れた。


「……俺の勝ちだな、グラエナ。良い勝負だった」

「……相変わらずの良い腕だな」


グラエナはすぐに起き上がると、微妙な顔でそう言った。
 ▼ 9 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:56:34 ID:ICosAgMM [5/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ゾロ兄ちゃんスゴーイ!」

静かに健闘を称え合う二人の背後で、無邪気な声が上がる。


「ロコン」

「あくうせつだんってゾロアークがみんな使えるわけじゃないんでしょ?やっぱりゾロにいちゃんはすごいゾロアークなんだね!」

「まあな……俺は覚醒してしまったからな」

「あーそうだな……ゾロにいちゃんすごいなー……」


握手したグラエナの手には、いくつかのきのみが握らされていた。
 ▼ 10 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:57:08 ID:ICosAgMM [6/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
俺には一つ、大きな罪がある。
それは自分の妹分……ロコンを、ずっと欺き続けていることだ。
さっき使ったこの技、あくうせつだん。
本当はあくうせつだんなんて俺には使うことはできない。これはただ、イリュージョンをかけてそれらしく動いているだけで、技ですらない。
俺は……罪人だ…………


「モノローグ終わったか?」


この罪をいつか償わなければならない。
虚偽なんかでロコンを笑顔にさせ続けることなんてできないからだ。
しかし……誘惑の鎖は、俺を離してはくれないのだった…………


「ゾロアーク」

「どうした」
 ▼ 11 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:57:32 ID:ICosAgMM [7/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
「こんなんいつまで続けるつもりだ?いつかバレるぞ」

友人が──グラエナが、呆れたように口を開いた。

「わかっている……」

「わかってねえから今日も八百長したんだろーが。いいかお前、自分でちゃんと話したほうがバレるよりも全然マシだからな?」

「ああ……」

「……そのセリフの後ろにいちいち……つけるのやめたら?」

「グラエナ……あまり大きい声を出すな。ロコンに聞こえる」

「あーはいはい。近いうちにどうにかしとけよ?」
 ▼ 12 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:57:49 ID:ICosAgMM [8/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
グラエナと別れ、道を歩くのは俺とロコンだけになった。


「ゾロにいちゃん、グラエナにいちゃんと何話してたの?」

「……天気が……いや勝負が、さっきの勝負で何が良かったとかそういう……話をだな」

「そっかぁ。わたしもゾロにいちゃんとか兄ちゃんみたいに強くなりたいな」

「……そうだな」

その日の夕焼けは、妙に明るかった。
 ▼ 13 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:58:06 ID:ICosAgMM [9/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
夜の帳が落ちきった頃、俺は目を覚ました。
いつもは静かなはずの町が、やけに騒がしかったからだ。


「なんだ……?」

「うーん……?どうしたの……?」

「わからん……少し外に出てくる。待っていろ」


わかったと答えるロコンを背に、俺はねぐらを出た。

喧騒はすぐ近くで広がっていた。何事だと尋ねようとしたが、すぐ俺はねぐらに駆け込んだ。
 ▼ 14 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:58:29 ID:ICosAgMM [10/28] NGネーム登録 NGID登録 報告

「ロコン!急いで逃げるぞ!」

「どうしたの?」

「火事だ!すぐそこまで火が来ている!」


何が原因かはわからない。いや、今はどうでも良い。勢いを増す火は俺たちのねぐらのすぐ側まで来ていたのだ。
 ▼ 15 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:58:47 ID:ICosAgMM [11/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ロコンと大事なものを抱えてねぐらを飛び出す頃には、近くで騒いでいた連中はもうとっくに避難していた。


「出遅れたか……!」


気づいたのが遅かった。俺たちのいる場所はもう、かなり危険な状態だ。

──火事。そしてこのこおりタイプの冷たい躰。

脳裏に重苦しい記憶がチラついた。それが脚を鈍らせた。

倒れてくる柱に、俺は気付けなかったのだ。
 ▼ 16 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:59:09 ID:ICosAgMM [12/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーー


『ゾロア』


ーーー
 ▼ 17 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:59:31 ID:ICosAgMM [13/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
「く……ぐ……っ!」

全力で押しても、俺たちの行く手を阻む柱はビクともしなかった。

さっき倒れてきた柱は、道を塞いでしまったのだ。
火の手はもうすぐそこだった。


「柱どかせないね……どうしよう……」

「心配するな、俺がどうにかする」


どうやって?
どかせないなら壊すのがいいだろう。
柱を壊せる技は?
 ▼ 18 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 16:59:52 ID:ICosAgMM [14/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
どうしようもなかった。
成す術もなかった。
俺だけなら、やけどは負うだろうが無理やり火を突破して逃げられるかもしれない。
しかし、こおりタイプの、しかも幼いロコンに火は危険すぎる。


「ゾロにいちゃん……」


ロコンの視線を背中で感じていた。
あくうせつだんなら、この柱くらい余裕で壊せただろう。でも嘘なんだ、それは。

君を笑顔にするための、ちっぽけな欺瞞なんだ。
 ▼ 19 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:00:12 ID:ICosAgMM [15/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーー


「見てなゾロア、オレは絶対勝つぜ」

「無様に負けさせてやんよキュウコン!」


喧騒に包まれた表通り。
その中央に立つ、白い九尾の狐。
たなびく銀の毛や尾は、冷たい空気を纏っている。

そこに彼…キュウコンはいた。
 ▼ 20 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:00:34 ID:ICosAgMM [16/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
「ふぶき!」

空間を塗りつぶす雪の礫が相手を凍らせる。キュウコンの勝利だった。


「キュウコンにいちゃんすげー!」

「だろ?ロコンはどうだ?」

「ふぶきでみえなーい」

「ははは、確かにな!」


キュウコンはこの辺りのポケモンで一番強かった。
強いだけでなくて優しくて、親のいない僕を実の妹であるロコンと同じように仲間に入れてくれた。

大きくなったらいつか……彼に勝てるくらい強くなて、一緒にロコンを守るんだ。そんな未来を疑うこともなかった。
 ▼ 21 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:00:52 ID:ICosAgMM [17/28] NGネーム登録 NGID登録 報告



でも、そんな未来は来なかった。

今でも覚えている。町を覆う巨大な火。こおりタイプなのにそれを全力で抑えようとした彼の姿。


キュウコンは死んだ。


 ▼ 22 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:01:07 ID:ICosAgMM [18/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
彼は充分強かった。それは疑いようがなかった。
事実、彼の献身がなかったら、被害はもっと大きかった。

でも。

彼はもういない。
 ▼ 23 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:02:19 ID:ICosAgMM [19/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
その日から、ロコンの笑顔は消えた。
僕は……俺は兄として、どうにかロコンを笑わせてやりたくて、でも方法が思いつかなくて、そこで思いついたんだ。


「ロコン見ろ!すごい力に目覚めた!」

「……?」

「見てろよ……ホラ!この技!」

「……すごい……」

「だろう?あくうせつだんだ!」



彼くらい強いポケモンでいれば、彼以上に強いポケモンであれば、もう失うなんて思わせない。


ーーー
 ▼ 24 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:02:36 ID:ICosAgMM [20/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
その結果がこれだ。

俺が手に入れたのは嘘の力でしかない。

君を笑顔にするためと言って騙して、本当は自分が安心したいからでしかない。

大事な時に大切なものを守れない。

誰かが言っていた。
「誰かを欺くということは、いつか自分自身を滅ぼすことに他ならない」と。

滅ぶなら、せめて自分だけでよかったのに。
 ▼ 25 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:03:00 ID:ICosAgMM [21/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


「ロコン」

「?」

「ごめん……俺は……僕は本当は、あくうせつだんなんて使えない」

「ずっと騙してた。俺がキュウコンよりも強そうになれば、もう絶対死ななさそうなポケモンになれば、君を笑顔にさせられるって、思って」

「技ですらないんだ。今までグラエナや他のポケモンに勝ってたように見えてたけど、きのみを渡してわざと負けてもらってた」

「弱いにいちゃんでごめん」
 ▼ 26 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:03:26 ID:ICosAgMM [22/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
「……」

「……知ってたよ」

「え?」

今、なんて──

「ゾロにいちゃん、わたしだっていつまでも赤ちゃんじゃないよ。あくうせつだんを使えるゾロアークなんていないって、知ってたよ」


「なんで……どうして、黙ってたんだ?」

「ゾロにいちゃんがわたしを元気にするためにやってるって、わかったから」

「ゾロにいちゃん、にいちゃんは弱くないよ。兄ちゃんみたいにバトルがすごく強いわけじゃなくてもね……」

「誰かのために、嘘でも一生懸命やれるのって、弱かったらできないよ」
 ▼ 27 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:03:49 ID:ICosAgMM [23/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


バキバキと、燃える建物の崩れる音がした。
炎はすぐ後ろに迫っていた。

俺は目の前の障害物に向き直る。


本当は……今まで使ってこなかった技があった。
ゾロアークに進化したときに覚えた技だった。
これを使って負けたら、自分が弱いのをはっきり自覚してしまうから、使わなかった技だった。

何を言ってるんだ、と自嘲する。
ここで君を助けられなかったら、俺は今度こそほんとうに弱いポケモンになってしまうだろう。
 ▼ 28 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:04:19 ID:ICosAgMM [24/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
”僕”は……ゾロアはもういない。弟だった自分は捨てた。

もし”それ”を代償に、君を笑顔にする欺瞞を得たのなら────

今度はそんな欺瞞を代償に、本物の強さを、俺に!



力を貸してくれ、キュウコン……!





「つじぎり!」





 ▼ 29 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:05:15 ID:ICosAgMM [25/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ーーー
「いいなーキュウコンにいちゃんはふぶき使えて。僕もふぶき使いたいよ」

「お前はあくタイプだろ?そうだな……あくのはどうとかかっこいいと思うけど」

「うーん……」

「いや……お前にはこう……ズバッ!って斬るほうが似合ってるよ。俺には使えないんだぜ?羨ましいよ」

「そうかなぁ……」

「ああほら、この本に載ってる……パルキアって伝説のポケモンが使うあくうせつだんって技だ。こんな感じだよ。カッコイイだろ?」

ーーー
 ▼ 30 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:05:38 ID:ICosAgMM [26/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


「かみくだく!」

「うぐっ!」


とうとう耐えきれず、俺は地面に倒れた。
俺の負けだ。


「これで何連敗だ……?ゾロアーク、お前もっと特訓しないとダメだぞ」

「そうだな……良い勝負だった、グラエナ」
 ▼ 31 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:06:02 ID:ICosAgMM [27/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
町を襲った大きな火事の跡も薄れ、俺たちの暮らしには平穏が戻ってきていた。
どうやら原因は落雷らしい。幸い、大きな怪我は誰もしないで済んだのだった。




そして、俺はあくうせつだんを使うのをやめた。
嘘だけじゃない、ほんとうに強いポケモンになる。

俺と彼の愛する、その笑顔を守るために。
 ▼ 32 ンドゥトロバ◆6kED7ytO3s 20/04/26 17:07:05 ID:ICosAgMM [28/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
これで終わりです!
素敵な1レス目を書いたブロスター倶楽部さん、そして読んでくれた人、ここまでありがとうございました!
 ▼ 33 ルーラ@サファリボール 20/04/26 20:38:46 ID:ovGAFoKc NGネーム登録 NGID登録 報告
面白かったです!
  ▲  |  全表示33   | <<    前    | 次  |  履歴   |   スレを履歴ページに追加  | 個人設定 |  ▲      
                  スレ一覧                  
荒らしや削除されたレスには反応しないでください。

. 書き込み前に、利用規約を確認して下さい。
レス番のリンクをクリックで返信が出来ます。
その他にも色々な機能があるので詳しくは、掲示板の機能を確認して下さい。
荒らしや煽りはスルーして下さい。荒らしに反応している人も荒らし同様対処します。




面白いスレはネタ投稿お願いします!
スレの消えている画像復旧リクエスト
スレ名とURLをコピー(クリックした時点でコピーされます。)
新着レス▼