【夏休みSS】この町から夏休みが消えた:ポケモンBBS(掲示板) 【夏休みSS】この町から夏休みが消えた:ポケモンBBS

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【夏休みSS】この町から夏休みが消えた

 ▼ 1 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/27 20:41:00 ID:ftn2Ax8E [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
分厚い白雲が無数の綿雲を落としていく。

地面を雪が覆って一面銀世界を作り出している。


梅雨の次は雪の季節。夏の景色はそこにはない。
七年前からずっとこんな感じた。
春が終われば冬となり、秋、冬と巡り春へと戻る。そこに夏はない。原因は未だに不明だが、夏がこないに変わりない。


今年もまた夏ではなく冬の季節がやってきた。
そして、今年、最初の冬休みを迎えようとしていた。
 ▼ 2 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/27 20:50:23 ID:ftn2Ax8E [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
少年「コータス、にほんばれ」

コータス「…………」

少年「むぅ、ダメかぁ」

少女「まだ、やってんの? よく飽きないよね。もう諦めたら?」

少年「俺は夏が好きなんだ。もう七年も夏がきてない。夏にするために俺はここで諦める訳にはいかないんだぁ!」

少女「はぁ……。私は冬のままでいいや。あんたが暑苦しすぎて夏みたいだし」

少年「いや、ダメだろ。冬が二回もくるんだぞ!」
 ▼ 3 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/27 21:06:12 ID:ftn2Ax8E [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
少年「はぁ……。夏休みがないと、海で遊べない。青い空、青い海、スイカ割り、サニーゴ、ビキニのお姉さん……」

少女「最後のいらなくない?」

少年「ま、まあ、それだけ海に行きたいって訳だよ。だから、夏を取り戻したくて」

少女「それで、無駄なにほんばれを連発してたってことね」

少年「む、無駄って言うなよー」

コータス「タスタス」

少年「ほら、コータスだって、手厳しい、って言ってるぞ」
 ▼ 4 クスロー@うっかりやミント 20/07/28 20:46:00 ID:ObgsG.bU NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「そんなに海、海言って……。こうなったからには諦めて山にしか行けないのよ」

少年「だよなー」


少年「来週の合宿、急に夏に変わって海に変わらないかなー」

少女「そんな都合良く変わらないでしょ。それに、もう計画は変えられないから」

少年「はぁ。だよなー」
 ▼ 5 マゲロゲ@ながねぎ 20/07/29 18:05:24 ID:GfFYgL7Q NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 6 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 12:09:15 ID:uaXUDtbk [1/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
しんしんと降り注ぐ雪。
相変わらず夏は消え失せ、冬の世界が広がっている。

少年「ポケスロン部の合宿……。と言っても、雪だから、強化合宿的なことはできずに、ほぼ遊びだけどな」

少女「ま、まあまあ」

少年「コータスのにほんばれで雪を吹き飛ばせたらいいのになー」

ポケスロン部は合宿のために、山に建つ旅館にやってきていた。
約六名のポケスロン部の部員。二人はその部活のメンバーであった。

少年「ちょっと、試してみよっかな。ゆけっ、コータス!」

部員「おっ」

コータス「」

少年「コータス! にほんばれ!!」

しかし、何もおこらない。

部員「無理だろー。この雪はポケモンの技で変えられないって!」
 ▼ 7 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 12:15:26 ID:uaXUDtbk [2/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「はぁ。ダサッ」

少年「ダサいとは何だ。ダサいとは」

部員「」プフッ

賑やかな笑いが少年を包み込んでいた。
今はほのかに暖かく雪の冷たさを感じさせない。

そこに、旅館に泊まっている他の客がやってきた。

先客「面白いから見てたんだけど、少し思ったことを言っていいかな?」

少しの戸惑いはあったが、それ以上になんだろうという気持ちが勝っていた。

先客「ポケモンの技でこの雪を吹き飛ばすことは可能だと思うよ。なぜなら、この雪はポケモンの仕業だからね」

みんな「えっ!?」

思わぬ一言に、驚きを隠せない。
 ▼ 8 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 12:33:41 ID:uaXUDtbk [3/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
先客「これはポケモンの繰り出した雪さ。君のコータスが天候を変えられないのは、コータスのにほんばれよりもそのポケモンの雪の方が明らかに強いからなんだよ」

少年「ってことは、じゃあ、俺のコータスが弱いってことですか?」

先客「うーん、まあ、そうなるね」

少年「」ガ-ン

先客「けど、気に止めることはないよ。そのポケモンはきっとゴーストタイプのポケモンのはずだ。ゴーストタイプのポケモンは怨念や執念に強く影響して、その思いが強ければ強いほどより強力な力を引き出すからね」

少年「じゃあ、犯人はゴーストタイプのポケモンで。その怨念とかが強すぎて、雪を降らす力も強いってことですか?」

先客「まあ、そういうことだよね。犯人は多分、ゴーストタイプかつこおりタイプの複合タイプだろうね」

ゴーストとこおりの二つのタイプをもっているポケモンは……

先客「例えば、ユキメノコとかね」
 ▼ 9 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 12:40:14 ID:uaXUDtbk [4/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「ユキ、メノ、コ……」

少年はふと少女の昔の様子を思い浮かべた。
楽しく駆け回る少女とユキワラシの姿が、頭の中で思い出されていく。

少年「確か、お前の持ってたポケモンって、確かユキワラシだったよな」

少女「……うん」


浮かない表情を見せている。
その理由を探ることは、少女の一言でできなくなった。


少女「けど、きっと、この雪とは……関係ないよ」

それはどこか冷たくて小さな声だった。
 ▼ 10 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 13:43:48 ID:lyjchzwQ [1/5] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
分厚い雲が夕焼けの時を飛ばし、一気に夜に変わった。


粉雪にうたれながら、一人の男があることに気づいていた。

先客「やはり、町に雪を降らしている犯人はこの山にいる」


嵐の前の静けさ。
優しく積もる雪が不安をあおっていた。
 ▼ 11 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 13:51:23 ID:lyjchzwQ [2/5] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
一方でポケスロン部では肝試しが始まろうとしていた。

少女「私のペアはあんたとか……はぁ」

少年「いやいや、何でため息はいてるんだ? 一番安心できるんじゃねぇか?」

少女「一番安心できないからため息ついてんの」


部員の用意した肝試しコース。
真っ暗闇の中を白い蛍火が照らす。その中を二人は進んでいた。

少年「まあ、何かあれば、俺のコータスで何とかするから安心しな」

少女「雪をどうにもできないコータスのどこが安心できるのかしらね」

少年「うっ、でも、ポケモンを持ってないお前よりかはマシじゃん」

少女「ま、まあ、そうだけど」
 ▼ 12 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 13:59:24 ID:lyjchzwQ [3/5] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
手作り感満載の仕掛けが二人を襲う。

少年「いやー。クオリティ低すぎて怖がれないな」

少女「そうね」

いつの間にか、目的地まで後わずか。
順調にゴールまで進んでいた。

はずだった────


突然、猛吹雪が襲う。
視界は真っ白だ。
いつのまにか二人ははぐれていた。


荒れ狂う雪で視界が絶え絶えになる中で、少年はある影に気づいた。


少年「あれは……ユキメノ……」


そこで、目の前が真っ白になった。
 ▼ 13 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 14:03:23 ID:lyjchzwQ [4/5] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ねぇ、大丈夫────?

おーい、目を覚ませ────!

ラッキー。ラッキー。はやくラッキーを呼ばないと────



ねぇ、お願い────



起きて────!!



目を覚ますと、そこは旅館の中だった。
 ▼ 14 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 14:10:17 ID:lyjchzwQ [5/5] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
心配そうに眺める部員達。
体を起こした僕を見て、安堵の息をもらしていた。

そして、「良かった」と一斉に呟いていた。

何が起きたのか。
彼ら曰く、僕は猛吹雪にあった後、消息不明になったようだ。

同じく猛吹雪にあった少女はそのまま無事に目的地とついたが、少年を見失ったということで心は無事ではなかった。

そして、探索しながら旅館に戻っていったら、旅館前で僕が倒れていたようなのだ。
 ▼ 15 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 14:29:05 ID:ucJEZknE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
少年「じゃあ、みんなはユキメノコにはあってないんだ」

部員ら「ユキメノコ?」

少年「ああ、猛吹雪の中でうっすらと見たんだ。ユキメノコの姿を……」


少女「ほんとにユキメノコが犯人だったんだ……」

少年「幻覚かも知れないけど、なんか、頭に花をつけていた気がしたんだよな……」

少女「それって、グレイシアの髪飾りじゃない?」

少年「うーん、ちょっと、そこまでは分からないな。けど、それに似ていた気がするけど、ユキメノコ自体を、ぼんやりとしか見えてないからなー」

少女「多分、それ……」


窓ガラスにつきつける猛吹雪。
外は嵐がきたかのように雪が舞っていた。
 ▼ 16 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 14:31:10 ID:ucJEZknE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
豪雪の中を、真っ暗闇の中を、


少女は駆ける────


その影はすぐに暗闇の中に消えてしまった。
 ▼ 17 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 17:51:28 ID:uaXUDtbk [5/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
部員「どうしよう……」

少年「どうしようって、連れ戻すしかないんじゃ」

部員「けど、いったらこっちもひとたまりがないし」


ミイラ取りがミイラになるように、行っても無駄死に。
行かなきゃ、少女が無駄死にとなる。


悩ましい中で、ある男が現れた。


先客「ねぇ、雪の犯人と今出ていった女の子とは関係があったのかい。もしそうならまずいぞ……」
 ▼ 18 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:02:59 ID:uaXUDtbk [6/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
少年「けど、犯人のユキメノコと関係って……、あっ、あるかもしれない」

先客「本当かい?」

少年「俺とあいつは家が近くて幼なじみだったんです。よく遊んでたんですけど、その時の手持ちがユキワラシで。いつの日か、ユキワラシがいなくなってて」

先客「うーん、もうちょっと具体的にお願い……」

少年「えっと、多分、あいつは昔ユキメノコの進化前のユキワラシを持っていたんですけど、いつの日かユキワラシを持っていなくて、もしかしたらそのユキワラシとなんかあったんだと思います」

先客「なるほどね……。町は大きいようで狭い。身近なとこに大きな問題が潜んでいてもおかしくない。その可能性はおおいにあるよ」


電球が一瞬、うすくなってまた光る。


先客「犯人はゴーストタイプ。そのタイプは怨念や執念に囚われていることが多い。もし嫉妬や怒りなどの怨念が強ければその子を殺そうと躍起になるだろうし、逆にその子を愛する執念が強ければ一緒にいたいという執念からその子をともに霊界に引き込むかもしれない」


先客「まあ、つまるところ。今出ていった女の子にはユキメノコに殺される可能性があるってことだ」
 ▼ 19 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:10:56 ID:uaXUDtbk [7/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
少年「俺、連れ戻してきます」

部員ら「おい、危ないって!」

少年「大丈夫だ。俺にはこいつがいる。ゆけっ、コータス!」

コータス「」

少年「コータス、行くぞっ!!」


猛吹雪の中に身を投じる。
少年はコータスに向かって指示を出した。


少年「この吹雪の中で探すには……にほんばれだ!」

コータス「タスッ」


少年の周りを暖かいサークルが作り出される。
その中では雪は溶け消え、小さなサークルの中では吹雪を掻き消している。

少年「やった。成功したな。コータス!」

コータス「コタァ」
 ▼ 20 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:17:45 ID:uaXUDtbk [8/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
雪を消し去る力はない。
だが、身近な範囲で晴れにすることはできた。

少年とコータスはこの作られた晴れを利用して明るくなった夜の森を探索していった。
白い地面がにほんばれを反射していた。


少年「くそっ、どこにいるんだ」


少年「お願いだから、無事でいてくれよ────」


 ▼ 21 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:25:12 ID:uaXUDtbk [9/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


真っ暗闇の中に光る一筋の光。
ユキメノコが誘うように放った光だろう。

少女はその光を頼って進んでいく。


そして、

ついに────


少女「やっぱり、「ユキ」だよね……?」

ユキメノコ「……」コクリ

少女「あの時は……ごめん!」ナミダ


そう。あれは何年か前の話。
その時は暑い日差しが差し込み、体中に汗をかかせる真夏日だった。


──
───
────


「ねぇ、あそこにポケモンがいるよー!」
 ▼ 22 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:34:59 ID:uaXUDtbk [10/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
父「ほんとだねー。これは確かユキ……、えーっと、ユキ何だっけ」

母「ユキワラシよ」

父「あー、そうだった。そうだった」


「へぇー、ユキワラシって言うんだー!」


その子は興味本位でユキワラシに触れた。
軽くなでると笑顔で喜んでいた。

「ねぇ、この子、ペットにしたーい」

父「ペットじゃないぞ。ポケモンだぞ」

「じゃあ、私のポケモンにしたーい」

父「いいぞ。ポケモンを知ることは大切だしな……。このボールをぶつけるんだ」

「うん!」

ボールをユキワラシに近づける。
軽くボールが触れると、ユキワラシはその中へと吸い込まれていった。
 ▼ 23 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:38:54 ID:uaXUDtbk [11/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
コン、コン、コン、パチッーン

父「おっ、ユキワラシをゲットしたかー」

母「その子のニックネームはどうするの?」

「「ユキ」にするー!」

父「そ、それは俺の言い間違いからか」ニガ


こうして、少女は初めてのポケモンをゲットした。初めてのユキワラシを────


父「ボールを投げると出てくるぞ」

「うんっ!」

ボールから現れたユキワラシ。
ユキワラシは持っている技で暑さを吹き飛ばした。

父「おっ、ユキワラシの技「あられ」かー」

母「まだまだ未熟のせいで、単なる雪だけど……」

「うわー、すごーい。夏なのに雪だー!」

父「まあ、こおりタイプは暑いのが苦手だからな。あられを使って暑さしのぎでもしたんだろう」
 ▼ 24 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:43:54 ID:uaXUDtbk [12/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
女の子にとってユキワラシは大切なパートナーとなった。
寝る時も遊ぶ時もいつも一緒だった。

それは真冬の真っ暗闇のこと。
冬風が窓をガタガタとならす。

「こわいよ。オバケこわい」

女の子はものすごくオバケが嫌いだった。
さらに、幼い頃、ゴーストタイプのおどろかすで驚かされたことがトラウマにでもなっていたのだ。

それは、いつも一緒にいるユキワラシも周知の事実だった。

「強くなったら、絶対にゴーストタイプから私を守ってね」

ユキワラシ「」コクリ

静かな夜は明けていった。
 ▼ 25 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:49:01 ID:uaXUDtbk [13/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
「はい。グレイシアの花。イーブイがグレイシアに進化するようにって願いが込められた花なんだって。はやく進化するといーね」

ユキワラシにつけられる雪結晶にも似た花。
その花がユキワラシを可愛らしくする。

ユキワラシ「リャシッ」

ユキワラシは飛び跳ねて喜んでいた。


女の子はユキワラシの進化を望んでいた。
あわよくば、ゴーストタイプを倒すポケモンを。
 ▼ 26 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 18:56:37 ID:uaXUDtbk [14/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして、年月が経ち……
それは青い空から灼熱の炎を注ぐ日。

やってきていた名もなき道路の上で、見つけた石を使って、
女の子はユキワラシを進化させようとしていた。

父「ああ、これを使えば進化できる」

「ユキ……準備はいい?」

ユキワラシ「ユキッ」コクリ

「お願い。可愛いポケモン……」

ユキワラシにめざめいしが近づいていく。
そして、触れた瞬間にユキワラシが青く光る。

姿形が変わっていく。

そして、進化した先は────


ユキメノコ「メノー!!!」
 ▼ 27 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 19:04:20 ID:uaXUDtbk [15/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
衝撃的だった。
この世から消えて欲しいと思っていたゴーストタイプ。

家族だと思っていたユキワラシを……
嫌悪してしまうぐらい衝撃的だった。

まさか、進化してゴーストタイプになるなんて。


「嫌っ。ゴーストだよね。なんで。なんで、ゴーストタイプなのっ!」


思わずその場から走り去っていた。
涙を落としながら必死に走り、いつしかユキメノコのいた場所から遠く離れていた。

父と母が追いかけて、ようやく追いついた。

父「どんなに嫌いなタイプでも、ユキは大切な家族だよ」

母「そうよ」

それからも両親の説得は続いた。
ようやく、女の子はそれを受け止めて家族として受け入れようと戻った時には……


    "ユキ"はいなくなっていた────


 ▼ 28 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 19:13:23 ID:uaXUDtbk [16/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
──
───
────

そう、あの時、いなくなってから、もう会えないものだとずっと思い込んでいた。

少女「あの時は、ごめんね。私は今でも、ユキを大切な家族だと思ってる……」

ユキメノコによって作られた雪。
少女とユキメノコの周りには静かな細雪が降り注いでいた。

少女「ずっと会いたかった……」


溢れ出る涙は、無意識のうちに。
いつしか、足も手も勝手に動いていた。

そして、いつしか冷たい体を抱きしめていた。
ゴーストタイプ、こおりタイプの冷たい冷たい体。


少女「長く待たせてごめん……。今も、家族で……いいよね?」
 ▼ 29 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 19:16:26 ID:uaXUDtbk [17/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ユキメノコ「」コクリ

少女「ありがとう……」


真夜中を照らす月と月光を反射する粉雪が幻想的な風景を作り出す。


抱きしめ終えた少女に
ユキメノコは手招きをした。


二人だけの永遠の世界へ、幸せな世界へと。
愛情から人智離れた世界へと誘う────


その場所はひどく静かで無音だった。
 ▼ 30 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 19:23:45 ID:uaXUDtbk [18/28] NGネーム登録 NGID登録 報告


はやくしないと大切な友達が死ぬかもしれない。
はやる気持ちはあるものの、それに見合わず見つからない。
焦れったい気持ちでいっぱいだった。

少年「もうにほんばれのPPもきれそうだ。はやく、はやく見つけないと」

コータス「コタァ-」


数時間の葛藤。
ついに、その必死さが報われる。

少年「見つけた……」

少年は少女の名前を呼んで、体の奥底から湧き出る全力で駆け出した。
 ▼ 31 テノ@ゼニガメじょうろ 20/07/30 19:28:29 ID:zokwLyA. NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 32 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 19:28:48 ID:uaXUDtbk [19/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「ごめんね。ユキ。私には帰るべきところがあるから。一緒にそっちには行けないかな」

少年「おい、大丈夫か?」

少女「うん。ごめんね、心配かけちゃって……」

コータス「コタコタコタ」バタンキュ-


少女「ユキ。一緒に帰ろう」

ユキメノコ「メノ」フリフリ

少女「えっ?」

ユキメノコは満面の笑みを見せた。
そこに、襲う猛吹雪が二人の意識を飛ばす。


目の前が真っ白になった────
 ▼ 33 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 19:36:53 ID:uaXUDtbk [20/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
部員ら「おい、大丈夫か!?」

少年「ああ、正直、二回目だしな」

少女「うん、何とか」


外に吹いていた雪は消え、静寂な夜となっていた。
二人とコータスは何故か旅館の前に飛ばされていたみたいだった。

部員「ゆっくり、休んで……」


寝る準備をする前に、静かなこの時に、少女に聞いた。


少年「ユキメノコと、なんかあったのか」

少女「うん────。もう一度、会いにいきたい」

少年「えっ」
 ▼ 34 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 19:57:14 ID:uaXUDtbk [21/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
夜が明けた。
重い瞼を開いた。

それは、久しぶりに見た夏の日差し。

灼熱の光が地面にひかれた雪を全て溶かしていた。
久しぶりの夏風が眠気を覚ましていく。


少年「おー。嘘だろ」


大喜びで窓に向かう。
外の景色は、当たり前の夏が広がっていた。


少年「これでこそ────夏休み だ!」


 ▼ 35 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 20:10:35 ID:uaXUDtbk [22/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
少女「……やっぱり、いない」

起きてからずっと探しているが、どこを探しても探しているポケモンはいなかった。

少女「どうして、いないの。……ユキ」

もう昼頃となる。
仕方なく、旅館へと戻った。

少年「あっ。なにしてたの?」

少女「探してたの……ユキを」

少年「えっと、ユキメノコのこと? ユキメノコは多分、もう現れることはないらしいよ」

少女「えっ、どういうこと?」

少年「えーっと、詳しくは忘れたけど、あの人が」


先客「それは僕から話すよ」
 ▼ 36 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 20:42:06 ID:uaXUDtbk [23/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
先客「ゴーストタイプはね、怨念や執念で成り立っているのが多いんだ。それが強いほど、ポケモンの生命力は強くなるけど、逆に、それらが弱ければ生命力は弱く、死に近くなる」


先客「推測だけど、ユキメノコの……簡単に言うと悩みを君が解消したのかな」

少女「……」コクリ

先客「君との出会って、積年の執念も発散されたユキメノコの生命力は弱くなった。そこに真夏の日差しがトドメをさした」


先客「きっと夏に雪が降ってたのは死なないため。ずっと君と出会うために死ぬ訳にはいかなかったから」


先客「……だろ?」

少女「そうなんだ……」


少女は外の緑を見るように振り向いた。
 ▼ 37 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 20:47:59 ID:uaXUDtbk [24/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
先客「これで僕は失礼するよ。ゴーストエキスパートとしての、この町の事件を解決できたしね……」

先客も帰った。
その後も、ユキメノコを探したがやはり見つかることはなかった。



1年後、2年後────
その少女は定期的にこの山にくるようになった。
それでも、ユキメノコは見つからなかった。


けれども、それがユキと繋がれる時間と思い、苦痛には感じなかった。

少女「きっと、また会えることを信じて……」

その日もまた、山を登っていく。
 ▼ 38 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 20:53:24 ID:uaXUDtbk [25/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
そして。


幾年月────


子「ねぇ、どこいくのー?」

女「山だよ!」

子「えー。海がいいー! 山、飽きたー!!」

男「まあまあ。海もいいけど、山もいいぞ。夏の山に降る雪は……ありゃあ、良かった」

子「夏に雪なんか降らないよ!」

男「普通はそうだな」

山を登る三人の家族。
 ▼ 39 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 20:57:07 ID:uaXUDtbk [26/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
男「こいっ、相棒」

コータス「コター」

子「夏にコータス、暑苦しー!」

女「ふふっ。コータスにとっても活躍の場として思い出の地だものね」

コータス「コタッ」


その三人の前に現れた一匹のポケモン。

ユキワラシ「ワラッシ?」

子「えー、夏なのに氷タイプのポケモンがいるよー。すごーい。珍しい!」

男と女が互いに顔を見合わせた。

男「ああ。凄いな。これは、運命かもな」

子「ねぇ、ユキワラシ欲しい!」

女「ええ。このボールをぶつけて捕まえるのよ!」
 ▼ 40 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 20:58:37 ID:uaXUDtbk [27/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボールがユキワラシに当たる。
ユキワラシはその子のポケモンとなった。


薄い雲が流れていく。

今年もまた暑い暑い夏がやってきたようだ────



 ▼ 41 ナ◆3HuqJ/xx.U 20/07/30 20:58:49 ID:uaXUDtbk [28/28] NGネーム登録 NGID登録 報告
END
 ▼ 42 ーフィ@ねがいのかたまり 20/08/02 23:35:53 ID:mRecIBW6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
乙!
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