ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第4章 リーリエの物語:ポケモンBBS(掲示板) ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第4章 リーリエの物語:ポケモンBBS

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ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く 第4章 リーリエの物語

 ▼ 1 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/10/11 18:19:06 ID:pePArFdE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アローラ、皆さま。ガルーラJrと申します。
「ポケモンSMのストーリーをゼンリョクで書く」の第4章となります。この章ではリーリエのトレーナー修行のストーリーが描かれます。
また、以下の点を予めご了承ください。

1:登場人物
ゲーム編では例えば男主人公を選ぶと女主人公は出てきませんが、このSSでは両方のキャラクターをヨウ、ミヅキとして登場させます。

2:登場人物の手持ち
登場人物の手持ちは基本的にゲーム本編に準拠しますが、中には1匹か2匹入れ替えを行ったり、また、ゲーム本編で例えば最大5匹しか手持ちを持っていない人物には1匹追加をしたりしています。

3:形式
地の文を用いた形式で書かせていただきます。


第1章(SMゲーム本編に準拠したストーリー)はこちらです。

Part 1(プロローグ〜エーテルパラダイス突入)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1011593

Part 2(ポニ島〜エンディング)
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1196044

第2章(UB捕獲作戦)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1227914

第3章(戦乱のアローラ)はこちらです。
https://pokemonbbs.com/poke/read.cgi?no=1270113

それでは、第4章もよろしくお願いいたします。
 ▼ 291 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/16 20:46:23 ID:z/JgGUIg [1/2] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「クサイハナ!」

「…クサ…」

ついにクサイハナも倒れてしまう。リーリエは特性、変幻自在を操るゲッコウガに大苦戦を強いられていた。これでリーリエも残りの手持ちが2体となってしまう。

「…強い…」

リーリエはバトル開始前、アンズよりも有利に戦えると思った自分が間違いだったと思い知る。なんとかゲッコウガを麻痺させたものの、残ったキュワワーとチルットでカスミを倒せるのだろうか。そのとき、リーリエの目の前にヨウの背中が見えた気がした。

「…ここは信じるのみです…」

ヨウたちはアローラでどんな強い相手と戦っても最後まで戦い抜いた。自分だってかつての無力だった頃ならいざ知らず、今はカントーでバッジを4つ手に入れたのだ。

「キュワワー、頼みますよ!」

「キュワッ!」

リーリエはキュワワーを繰り出す。カスミのゲッコウガは物理技を使うため、物理防御に長けているわけではないキュワワーを戦わせるのはあまり有効ではないかもしれない。しかし、少なくとも今まで見た技の中でキュワワーの弱点を突いてくる技はゲッコウガは使っていなかった。

チルットだと冷凍パンチを受けたときに大ダメージを負う…。ここはキュワワーに賭けます

「なに?このポケモン…。…草タイプ…?」

カスミは少し考えていた。リーリエはカスミの攻撃の指示を待つ。

さあ、冷凍パンチを指示するんです…

だが、カスミはリーリエの思惑とは別の技を指示してきた。しかも、一番悪い方向でだった。

「…ゲッコウガ…」

来る…!

「ダストシュート!!」
 ▼ 292 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/16 20:52:01 ID:z/JgGUIg [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第30話はここまでです。
カスミは現実世界で言うところの対面構築みたいなパーティーを使い、速攻でペースを握ってそのまま逃げ切りを図るという戦い方にしてみました。
ゲッコウガを使わせるかも結構悩みましたが、折り返しの一つ壁として強力なポケモンを出しておきたいというのもありましたので、カスミに物理型ゲッコウガを使ってもらうことにしました。
次回はカスミ戦の決着にします。それではまた。
 ▼ 293 タッコ@おおきなしんじゅ 20/12/16 20:54:31 ID:BYFQAOuI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここで区切ったということは麻痺バグで突破する感じなのかな?

支援
 ▼ 294 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:42:05 ID:Spx2tedI [1/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第31話ができましたので投稿します。
 ▼ 295 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:42:54 ID:Spx2tedI [2/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 31 真っ向勝負


「ダストシュート!」

「コウガ!!」

「…!!」

リーリエはまさかの技に驚いていた。カスミの隠し玉がキュワワーに直撃し、キュワワーは崩れ落ちる。リーリエはまさかの一撃に緊張で拳を握った。ここから勝てるのか。残された手持ちはチルットのみ。対するゲッコウガはスピードこそ落ちているものの、その攻撃力はまだ健在である。

「…チルット…。ここはあなたに賭けます!」

「チルッ!」

リーリエはチルットを繰り出した。カスミはチルットを見て、ここは的確に弱点を突いていこうと考える。

「チルット…。ゲッコウガ、冷凍パンチ!」

「コウガ!」

ゲッコウガが前足に冷気をまとってチルットに迫る。リーリエはそれを見てチルットにある技を指示した。

「チルット…コットンガード!!」

「チルッ!」

チルットはコットンガードで防御力をはね上げる。ゲッコウガの一撃はチルットに直撃したが、チルットはまだ耐えていた。

「くっ…!ゲッコウガ、もう一度!」

「羽休め!」

チルットは羽休めで体力を回復し、さらに一時的に飛行タイプを打ち消すことでゲッコウガの攻撃のダメージを抑える。

「くっ…!でも守ってばかりじゃ勝てないわよ!」

カスミはなおも攻撃を続けようとする。リーリエはカスミが焦り始めたのを確認し、チルットが倒されないようにさらに防御力を上げようとした。
 ▼ 296 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:43:43 ID:Spx2tedI [3/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「コットンガード!」

「チルッ!!」

ゲッコウガは再び冷凍パンチをチルットに浴びせるが、それでもチルットは耐えていた。

「燕返し!」

「チルッ!」

チルットは燕返しをゲッコウガに叩き込み、ゲッコウガは水中に落下した。

「コウガ…!」

ゲッコウガは陸地に這い上がり、チルットと再び対峙する。ここでカスミはゲッコウガに話しかけた。

「…ゲッコウガ…。行ける限り行くわよ。冷凍パンチ!」

「コウガ!」

ゲッコウガは目を光らせ、チルット目掛けて襲いかかる。その一撃にチルットは思わず身の危険を感じ、翼で防御しようとした。

「チルッ…!」

「チルット!」

チルットの翼が凍りつき、チルットは陸地に降りた。カスミとゲッコウガはこれはチャンスと畳み掛けてくる。

「ゲッコウガ!今よ!行きなさい!」

ここで、リーリエは迫り来るゲッコウガに手痛い一撃を与えようとチルットに指示を出した。

「チルット、燕返し!凍った翼でゲッコウガを攻撃です!」

「チルッ!」

チルットは凍った翼でゲッコウガの顔面を殴り付ける。ゲッコウガは真正面から手痛いカウンターを浴び、プールに落下して動かなくなった。

「…やった…」

「チル…」

チルットはプールの水に翼をつけて氷を溶かそうとする。そして、チルットの体に変化が訪れる。チルットの体は大きくなり、綿雲のような翼もよりボリュームの増したものに変わる。

「…チルタリス…」

リーリエは進化したチルットの姿を見て感嘆の声を上げる。だが、ここでカスミはチャンスとばかりに最後のポケモンを繰り出した。
 ▼ 297 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:44:46 ID:Spx2tedI [4/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「フローゼル、頼むわよ!」

「フローゼ!」

カスミの最後のポケモンはフローゼル。このポケモンも速攻を得意とするポケモンだ。

「氷の牙!」

フローゼルが冷気を帯びた牙でチルタリスに襲いかかる。リーリエはしまったと思った。チルタリスは進化するとドラゴン、飛行タイプとなる。氷技を受けるとチルット以上のダメージを負ってしまうのだ。チルタリスはフローゼルの一撃で大ダメージを受ける。

「チルタリス!」

「チル…!」

リーリエの声にチルタリスは翼を広げて空を舞う。リーリエはここは打って出ようと考えた。コットンガードで引き上げた防御力を盾に真っ向勝負を挑む。

「チルタリス、ここは打って出ますよ!竜の舞!」

「チルっ!!」

チルタリスは竜の舞を踊り、真っ向勝負の体勢に入る。それを見たカスミも燃えてきたようで、フローゼルに攻撃を指示した。

「真っ向勝負ってわけ…。フローゼル、頼むわよ!氷の牙!」

「チルタリス、燕返し!」

フローゼルの牙の一撃が再びチルタリスを捉える。しかし、チルタリスは反撃にフローゼルを思いっきり翼で叩く。フローゼルはバトル場の陸地に落下し、チルタリスは追撃を仕掛けようとする。

「アクアジェットで避けて!」

フローゼルはアクアジェットの高速移動でチルタリスの追撃を避ける。そして、そのまま水中に身を潜めた。

「潜りましたか…」

リーリエはフローゼルをどうにか仕留められないかと考える。進化して能力が上がっているとはいえ、チルタリスもそう長くは戦えそうになかった。
 ▼ 298 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:45:46 ID:Spx2tedI [5/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「そう心配しなくていいわよ。フローゼル、氷の牙!!」

カスミの指示でフローゼルが水中から飛び出す。フローゼルはチルタリスの翼に噛みつき、そのまま水中に引きずり込もうとした。

「チルタリス!…落下の勢いでフローゼルを陸地に叩きつけてください!」

チルタリスは落下の勢いを利用してフローゼルを陸地に叩きつけた。フローゼルの牙がはずれると、リーリエはこのチャンスを逃すまいと追撃を仕掛けた。

「チルタリス、フローゼルを足で捕まえてください!」

「チルッ!!」

チルタリスはフローゼルを足で捕まえ、空中へと舞い上がる。カスミはフローゼルの拘束を解こうと指示を出した。

「フローゼル、アクアジェットで抜けだすのよ!」

「させません!チルタリス、フローゼルをそのまま叩きつけて!」

チルタリスはフローゼルを捕まえたまま陸地に思いっきりフローゼルを叩きつける。カスミはリーリエが途端にラフな戦い方を仕掛けてきたため、驚きを隠せなかった。

「フロ…」

フローゼルはかなりのダメージを受けており、よろよろと立ち上がる。

「今です!燕返し!」

チルタリスはそこに渾身の燕返しを叩き込む。フローゼルが倒れ、カスミは3体のポケモンを倒される結果となった。

「…リーリエ…。あなた、見た目によらラフな戦い方もするのね…。驚いたわ」

カスミがそう言うと、リーリエはハッと我に返った。

「…すみません…。なにがなんでもチルタリスを勝たせたいと思って…」

「…何か目指してるものがあるの?」

カスミはリーリエに思わず尋ねてしまった。自分がかなり強いポケモンを使っていたのはリーリエにはわかっていたはずだ。チルット一体に追い込まれ、それでも降参せず、最後まで戦い抜いたリーリエ。特に最後の竜の舞から打って出てきたときは鬼気迫るようなものを感じた。
 ▼ 299 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:47:01 ID:Spx2tedI [6/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…私の憧れの人は、多分今みたいな状況になっても最後まで戦い抜こうとしたはずだから…。その人の背中はまだ遠いですけど、少しでも近づきたかったんです」

リーリエの答えに、カスミは軽く肩をすくめてため息を漏らした。

「ふーん……恋してるんだ?」

「…はい…。…というより、恋人になったんですけど、ちょっと事情があって遠距離恋愛中なんです」

リーリエはここで嬉しそうにはにかんだ。その様子を見て、カスミはリーリエがその恋人に相当入れ込んでいると悟る。

「ふーん……。その恋人のこと、相当愛してるのね。ま、いいわ。これがブルーバッジ。この先もがんばってね」

カスミはさばさばとした様子でリーリエにブルーバッジを渡す。リーリエはそれを受け取り、にこっと笑顔を見せた。

「…はい、ありがとうございます!」


その頃、セキエイ高原ポケモンリーグ。チャンピオン、ワタルはリーグ内の自室に四天王を呼び集めていた。

「…新しくできたアローラリーグをカントーへ招待し、エキシビションマッチを行おうと思う」

「マジで!?」

ワタルの一言に四天王の1人、キョウが食いついた。ワタルと他の四天王たちは驚いてキョウの顔を見つめ、キョウは慌ててこほんと咳払いをした。

「…どうしたのさ、キョウ?キャラが壊れてるよ?」

セキエイ四天王の1人で仮面を着けた男性、イツキがキョウに声をかける。

「いや…。すまなかった。拙者としたことが、久しぶりの他流試合を楽しみに思うあまりつい取り乱してしまった…」

他の四人は腑に落ちないようだったが、この場でキョウを問い詰めても仕方なかった。
 ▼ 300 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:47:47 ID:Spx2tedI [7/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…あなた、ずいぶんアローラリーグに入れ込んでるのね。あのククイって人に感化されたのかしら?」

四天王の1人、谷間ののぞくキャミソール姿の美女がワタルをからかうようにニヤリと笑う。

「からかうなよ、カリン。おまえもアローラリーグの門出のエキシビションマッチを見ていたはずだ。新進気鋭のリーグなんだ。本部としても歓迎しないわけにはいかないだろう?向こうもリーグ創設から少し時間が経って落ち着いてもきているだろうし、こここらで歓迎会を開くのも悪くないと思ってね」

シバはその言葉を聞き、ワタルの本心を言い当てる。

「…ふん…。もっともらしい理由をつけるなよ、ワタル。要はおまえが戦ってみたいだけだろう?おまえが創設に深く関わったリーグの力がどれほどのものなのか」

「…ふっ…。そう言うおまえはどうなんだ?シバ」

「…聞くまでもない」

シバはそう言ってワタルと同様に広角をつり上げた。


場所は変わってアローラリーグ。四天王たちは突然の知らせに浮き足立っていた。

「えー!?カントーに行けるの!?」

アセロラは別の地方に行けると知り、嬉しそうに笑った。ハラはセキエイリーグからのメッセージをアローラ四天王に伝えると嬉しそうに頷いた。

「まあ、セキエイリーグの四天王、チャンピオンとのエキシビションマッチを開きたいというのが向こうの希望ですな。ですから決して遊びに行くわけではないですぞ」

「でも、ちょっとくらいいいよね?ね?」

ライチも他の地方に行くことがほとんどないため、楽しみなようだ。
 ▼ 301 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:48:08 ID:Spx2tedI [8/9] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「もう…。ライチさん、そわそわして大人げないですよ」

カヒリが嗜めるが、ライチは気にも留めなかった。

「ぶーぶー。カヒリはツアーとかでいろんな地方に行ってるからずるい!」

「ずるい!」

アセロラもライチに同調する。カヒリははーっとため息をつき、チャンピオンに声をかけた。

「…チャンピオンはいかがですか?セキエイリーグとのエキシビションマッチ…。大々的に放送されるみたいですけど」

カヒリに訪ねられ、現アローラリーグチャンピオンはゆっくりと口を開いた。

「いいんじゃないですか?向こうがどう思っているかはわかりませんが、私たちの力を見せるチャンスだと思います」

答えたのは一人の少女。だが、その目にはかつて島巡りをしていたときに見せていた光は消え失せていた。

「…では、満場一致でセキエイリーグの誘いに乗る、ということでよろしいですな?ミヅキ殿」

「…はい…」

現アローラチャンピオン、ミヅキはハラの質問にゆっくりと答えた。
 ▼ 302 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/18 20:49:09 ID:Spx2tedI [9/9] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第31話はここまでです。
ここからリーリエの物語も佳境ですね。
次回のジム戦はタマムシジム、エリカを予定しています。
それではまた。
 ▼ 303 ーミラー@ガルーラナイト 20/12/18 23:10:37 ID:ShVgsy4A NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
なんかこのままじゃ初代チャンピオンのヨウなんて最初から存在しなかった扱いにされそうだ…
丁度シンオウに行ってるし、もういっそ破れた世界に渡って本当にこっち側から居なくなったら面白い展開になるかも
支援
 ▼ 304 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/19 20:14:39 ID:GKkUdNjY [1/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第32話ができましたので投稿します。
 ▼ 305 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/19 20:15:54 ID:GKkUdNjY [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 32 観戦チケット


ハナダシティの病院でリハビリを続けるルザミーネのもとに、ある人物が訪ねてきた。

「ルザミーネはん、調子はどうや?」

「マサキさん…。ええ、だいぶ良くなってきたわ。…と…そちらは…」

ルザミーネはマサキの隣にいる赤毛の女性に目をやる。赤毛の女性はルザミーネの姿を見てはーっとため息をついた。

「…はーっ…。この人がリーリエちゃんのお母ちゃんなん?」

赤毛の女性はルザミーネの美貌に思わず目が釘付けになった。その女性に代わり、マサキが彼女を紹介した。

「こいつはアカネ。ジョウト地方、コガネシティのジムリーダーや。ワイとは腐れ縁で、リーリエちゃんにとってはバトルの基礎を教えた先生みたいなもんや」

マサキがそう言うと、ルザミーネはアカネに自己紹介した。

「そうだったんですか…。リーリエの母、ルザミーネです。リーリエがお世話になりました」

ルザミーネがそう言うと、アカネは首を横に振った。

「いやいや。リーリエちゃんはウチが稽古つけんでも大丈夫やったと思います」

挨拶もそこそこに、マサキはルザミーネのもとにやって来た理由を話し始めた。

「リーリエちゃんはトレーナー修行を続けとるんやろ?」

「ええ…。バッジも4つ手に入れたわ」

「ほう!すごいやんか!まあ、ちょいとおもろいイベントのチケットを手に入れてな。…特にリーリエちゃんは喜ぶんやないかと思うて持ってきたんや。…ルザミーネはん、ちょいと抜けられる?あんまり人目につくところで見せたくないんや」

「ええ、いいけど…」

ルザミーネはそう言うとマサキとアカネについていった。
 ▼ 306 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/19 20:16:38 ID:GKkUdNjY [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…セキエイリーグVSアローラリーグのエキシビションマッチ?」

ポケモンリーグ本部、セキエイリーグのチャンピオン、四天王と新進気鋭のアローラリーグのチャンピオン、四天王の激突という一大イベントにさすがのルザミーネも驚きを隠せなかった。

「そう、しかも全員フルバトルの1日がかりの大イベントや。アローラリーグはリーリエちゃんにとっても縁の深いところやろ?観戦したがるんやないかと思うてな」

ルザミーネはそれを聞き、深く頷いた。

「そうね…。あの子にとっても。ありがとう、マサキさん。あら…?これ、ペアチケットなの?」

「そうや。あんたも見てみたらどうや?」

「…ありがとう」

ルザミーネは重ね重ねマサキにお礼を言い、チケットを受け取った。


ハナダシティのジム戦を終え、帰ってきたリーリエにルザミーネが声をかけた。

「えっ!?そんなイベントがあるんですか!?」

リーリエはルザミーネ同様に驚いていた。リーリエはチケットに書かれた日を確認する。それは今からおよそ1ヶ月後だった。

「…来月…。ヨウさんたちがセキエイリーグの皆さんに挑む…。行くに決まってます!」

リーリエは満面の笑みをルザミーネに返した。ルザミーネも体調がよく、来月には一通りリハビリを終えられそうだったので、行く気満々でいた。

「よかった。マサキさんの厚意を無駄にせずにすみそう。一緒に観戦しましょう、リーリエ」

「はい!」

こうして、リーリエとルザミーネにカントーでの楽しみが一つ増えたのだった。
 ▼ 307 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/19 20:17:05 ID:GKkUdNjY [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その夜、リーリエは夢を見た。夢の中ではヨウがセキエイリーグのチャンピオン、ワタルと対峙し、バトルしていた。

「アシレーヌ、ムーンフォース!」

「しゃるなっ!!」

アシレーヌが甲高い声を上げると、ワタルが出していたカイリューめがけてムーンフォースの光が降り注ぐ。カイリューはそれをくらってもなおアシレーヌへと闘志を燃やし、襲いかかった。

「まだ来るか!アシレーヌ、アクアジェット!」

今度はアシレーヌもアクアジェットでカイリューの懐に飛び込む。しかし、カイリューはアシレーヌを受け止めて捕まえ、そのまま地面に投げ捨てた。

「くっ…!」

「しゃる…!」

アシレーヌは水流のようなオーラを身にまといながら身を起こす。特性、激流が発動したのだ。

「アシレーヌ、泡沫のアリア!」

「しゃるな!」

アシレーヌの歌声とともに巨大な水のバルーンが形成される。これでカイリューを倒せるのか。リーリエの周囲にいる観客たちもますますヒートアップして双方に声援を送っていた。
 ▼ 308 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/19 20:17:36 ID:GKkUdNjY [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
…と、ここでリーリエは目を覚ました。目覚まし時計を見るとまだ夜中の3時である。

…私ったら、興奮のあまりあんな夢を…。でも…

リーリエはヨウたちのバトルを生で見ることができるのだと思うと、興奮を隠せなかった。そして、リーリエははやる気持ちを押さえるために一旦外に出た。外には大きな満月が浮かび、たくさんの星が夜空を明るく照らしている。

リーリエはそのイベントにヨウが来るのなら、彼と会うことはできるだろうかと考えていた。

…ヨウさんに会えるでしょうか…。もし会えるなら、一緒に過ごしたい…。ポケモンとともに強くなった私を見てもらいたいし、それに…


……ヨウさんに…たくさん愛してほしい……


リーリエの身体は満月の光を受けて熱を帯びる。旅立ちの前夜とそっくりな星空がリーリエの想いを駆り立てていた。


そして翌日、リーリエは次のジム戦のことを考えていた。ヨウが来るまでに少しでも強くなっておきたいし、一つでも多くのバッジをゲットしたい。そうしたら、彼もきっと喜んでくれるはず。リーリエは次に挑むジムを決めた。

「ここに行きましょう…。あの人が待ち受けているはず…」

リーリエが目をつけたのはタマムシジムだった。ジムリーダー、エリカを倒し、6つ目のバッジを手に入れてみせる。リーリエは気合いを静かに入れ、拳を握っていた。
 ▼ 309 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/19 20:20:39 ID:GKkUdNjY [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
少し短いですが第32話はここまでです。
予告になりますが、セキエイリーグVSアローラリーグではチャンピオンとなったミヅキとリーリエの邂逅を描きます。
それではまた。
 ▼ 310 ブカス@じしゃく 20/12/19 21:26:02 ID:/lok7S72 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
フラグ立ちすぎてあとで一気に回収される時が怖いな…
まぁいつまでも隠し通せるわけがないけどね…
しかしこの執着っぷり、リーリエがシンオウまで追っていきそうでやばいわ
支援
 ▼ 311 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:18:17 ID:eIAUrcu2 [1/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第33話ができましたので投稿します。
 ▼ 312 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:18:55 ID:eIAUrcu2 [2/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
Episode 33 タマムシジムへの挑戦


リーリエはカントー地方第二の都市、タマムシシティを訪れていた。この街にも公認ジムがある。ジムリーダーはナナシマで出会った和装の女性、エリカ。おしとやかそうに見えるが、あの雰囲気からするとただ者ではないだろう。タマムシジムは草タイプのジムだ。草ポケモンには搦め手に長けたものが多い。エリカも搦め手を使った戦いを得意としているのだろう。

「…タマムシジムは草タイプのジム…。ヌオーやサナギラスは連れて行きにくいですね…。タイプ愛称で有利なヒノヤコマ、クサイハナ、ウツドンは有利に戦えそう…」

リーリエはタマムシジムへ挑むパーティーを決める。ロコン、ヒノヤコマ、クサイハナ、ウツドン、チルタリス、イワークだ。
イワークで場作りをしてあとはタイプ相性の有利なアタッカーたちで勝負を決めに行く算段だった。

「…よし、行きましょう…」

リーリエはモンスターボールを携え、ジムへと向かった。


「あら、リーリエさん」

「…エリカさん、お久しぶりです」

タマムシジムに入ったリーリエの前にエリカが通りかかった。エリカはリーリエの目を見て、何の目的でここに現れたのかを瞬時に理解した。

「…6つ目のバッジをいただきに参りました」

リーリエは臆面もなくそう言った。ここまで勝ち抜いてきたのだ。ヨウとの約束のためにも、ここも勝ってみせる。
エリカはリーリエの言葉を聞き、ふっと笑った。

「そうですか…。もうバッジを5つ手に入れたのですね…。わかりました。お相手致しましょう」

エリカはリーリエを連れてバトル場へと向かった。エリカはバトル場へ向かう途中、リーリエに尋ねた。
 ▼ 313 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:19:53 ID:eIAUrcu2 [3/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「リーリエさんは別の地方からカントーへトレーナー修行にいらしたんですよね?どちらから?」

「…アローラからです」

リーリエはエリカにアローラからカントーへ来た経緯を話した。エリカはそれを聞き、リーリエはアローラで出会った先輩トレーナーたちに追いつきたい一心で戦ってきたことを知る。

「…憧れの人…ですか…」

「はい!」

元気よく答えるリーリエに対し、エリカは冷静にリーリエの様子を分析していた。リーリエは少しでも早くそのトレーナーたちに追いつこうと焦っているように見えた。

「………」

エリカはリーリエの様子に不安を覚えていた。5つ目のバッジを手にしたということは、ジム戦の後半戦にも自信をつけたことだろう。憧れのトレーナーの背中も見え始めたことだろう。果たしてリーリエはその状態で、冷静に戦うことができるのか。

「…リーリエさん…。いえ、なんでもありません…」

リーリエはエリカの様子に少し首をかしげていた。


タマムシジムのバトル場は周囲を草木に囲まれ、まるで森林の中にいるようである。

「使用ポケモンは互いに4体と致しましょうか。ただし、私は交代は致しましょう。リーリエさん、あなたは交代自由です」

「…わかりました」

リーリエはそれを聞き、モンスターボールを構える。エリカもモンスターボールを構え、互いに一体目のポケモンを繰り出した。

「イワーク、頼みますよ!」

「グォォ!」

「キノガッサ、出番です!」

「ガッサ!」

リーリエの先発はイワーク、エリカの先発はキノガッサだった。リーリエにとっては相手の先発に何が出てこようと関係ない。イワークの仕事は決まっていた。
 ▼ 314 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:20:30 ID:eIAUrcu2 [4/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「イワーク、ステルス…」

リーリエはいつも通りステルスロックをまこうとした。だが、エリカとキノガッサの容赦ない攻撃の前に屈することになる。

「キノガッサ、種マシンガン!」

「ガッサ!」

キノガッサは種を銃弾のように吐き出し、イワークは大ダメージを負う。

「イワーク!」

種マシンガンは連続攻撃であるため、イワークの特性、頑丈を破ることができる。イワークの巨体が無惨にも崩れ落ちる。

「油断しましたね。イワークの特性、頑丈なら一撃はもらっても大丈夫だと。6つ目のバッジですもの。そう簡単には渡せませんわ」

エリカがそう言うと、リーリエはそれならばと相性のよいポケモンを繰り出す。

「なら、このポケモンはどうですか?」

「コマっ!」

リーリエの二番手はヒノヤコマだった。炎、飛行タイプのヒノヤコマならばキノガッサには圧倒的に有利なはずだ。

「ヒノヤコマ、燕返し!」

「コマ!!」

リーリエは草タイプ、格闘タイプの共通弱点の技を使って一気にキノガッサを倒そうとする。ヒノヤコマの翼の一撃はキノガッサを捉えるが、キノガッサは踏みとどまった。
 ▼ 315 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:20:57 ID:eIAUrcu2 [5/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「!?」

「気合いの襷ですよ。効果はご存じでしょう?」

リーリエの計算は大きく狂わされる。そして、ここからがキノガッサの本領発揮だった。

「キノガッサ、きのこの胞子!」

踏みとどまったキノガッサはヒノヤコマに胞子を浴びせかける。ヒノヤコマが睡魔に襲われて隙を晒すと、エリカは打って出るためにある技を指示した。

「キノガッサ、剣の舞!」

「ガッサ!」

キノガッサの攻撃力が大きく上昇する。これはまずいと思ったリーリエはヒノヤコマに早く目を覚ますよう声をかける。

「ヒノヤコマ!早く起きてください!キノガッサが来ますよ!」

「コマ…」

キノガッサの胞子の効果は強力であり、ヒノヤコマは睡魔から抜け出せなかった。エリカはこれはチャンスとばかりにもう一度剣の舞を指示する。

「キノガッサ、もう一度剣の舞!」

「ガッサ!!」

これで攻撃の準備は整った。隙だらけのヒノヤコマにキノガッサが襲いかかる。

「キノガッサ、マッハパンチ!!」

キノガッサの拳がヒノヤコマを捉え、吹き飛ばす。ヒノヤコマはバトル場の周りの木に叩きつけられ、大ダメージを負った。

「ヒノヤコマ…!」

「コマ…!」

ヒノヤコマはなんとか反撃しようとするが、キノガッサはそれを許さなかった。

「マッハパンチ」

キノガッサの一撃がヒノヤコマを捉える。ヒノヤコマは崩れ落ち、キノガッサはふーっと大きく息を吐き出した。
 ▼ 316 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:21:50 ID:eIAUrcu2 [6/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ヒノヤコマ…。ロコン、ここは頼みます!」

「コンッ!!」

リーリエの三番手はロコン。ロコンがバトル場へと現れたその瞬間、霰が降り始める。

「霰…!」

エリカはバトル場へと降り注ぐ霰を見ながらキノガッサに攻撃を指示した。

「マッハパンチ!」

「ロコン、交代です!チルタリス!」

リーリエはエリカの攻撃を読み、クサイハナに交代する。

「チルッ…!」

チルタリスはキノガッサのパンチを受けるが、まだ耐えている。飛行タイプでもあるクサイハナに効果はいまひとつのはずだが、剣の舞2回分の攻撃力アップは伊達ではなく、ダメージは小さくなかった。

「チルタリス…」

チルタリスがかなりのダメージを受けているとリーリエもわかっていた。そして、そこに霰が二体のポケモンを襲う。

「…ガッサ…」

キノガッサが倒れ、チルタリスも倒れる寸前である。リーリエはこのままではエリカに勝てないと直感でわかっていた。しかし、ヨウがカントーへやってくると考えると、最後まで戦い抜かなければという思いに駆られた。

「…リーリエさん、もし勝てそうにないと思うのなら、出直すのも一つの手ですよ。あなたのトレーナー修行にはまだ先があるのですから」

エリカのその言葉に、リーリエは少しムッとして答えた。

「…ご心配には及びません。あの人に追いつくために、私たちは最後まで戦い抜きます」

エリカはリーリエの様子を見て思わずため息を漏らした。憧れのトレーナーに追いつきたいという思いはわからなくはないが、無策のまま感情に任せて戦っても勝てないのは明白だった。

「…チル…!」

チルタリスは荒い息をつきながらエリカの次のポケモンを待つ。エリカはここでダーテングを繰り出してきた。
 ▼ 317 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:22:29 ID:eIAUrcu2 [7/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ダーテング…。チルタリス、羽休め!」

「ダーテング、悪の波動」

「ダーグッ!」

「!チルッ…!」

ダーテングがチルタリスの羽休めよりも先に悪の波動を放つ。チルタリスは悪の波動を受けて倒れ、リーリエの残りの手持ちはロコンのみとなった。

「…チルタリス…。ロコン、頼みますよ!」

「コンッ!!」

ロコンが再び現れ、ダーテングに向かって唸り声を上げる。エリカは憐れむような目でロコンを見つめた。

「ダーテング…とどめです」

エリカはロコンを一気に倒そうと大技を仕掛けた。

「大爆発」

「!!」

ダーテングを中心に爆発が起こり、ロコンが爆風に飲まれる。ロコンは吹き飛ばされて地面に転がり、立ち上がれなくなった。

「…!ロコン!!」

「…まだ戦いますか?リーリエさん」

エリカは残り2つのモンスターボールを開き、その中からワタッコとモジャンボが姿を現す。どちらもよく鍛えられているとリーリエには一目でわかった。

「…コンッ…!」

ロコンは地面を這いずりながらもまだ戦おうとしていた。リーリエはまだロコンの闘志が消えていないことに思わず笑顔を見せた。
 ▼ 318 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:23:14 ID:eIAUrcu2 [8/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…ロコン…!まだやれるのですね…!」

その瞬間、エリカは冷たく言い放った。

「いい加減になさい」

リーリエは思わずエリカの顔を見た。エリカは氷のような目でリーリエを見つめていた。

「その状態のロコンを私のワタッコとモジャンボと戦わせるおつもりですか?」

リーリエはぐっと拳を握る。こんなとき、ヨウならどうするだろう?

「…憧れの人に追いつきたい気持ちはわかります。しかし、そのために無理を押してポケモンたちを戦わせて、その人は喜びますか?」

リーリエはそう言われ、握った右拳をほどいた。そしてモンスターボールを取り出す。そのときだった。

「…コンッ!!」

ロコンがエリカのポケモンめがけて駆け出し、襲いかかろうとする。

「ロコン!!」

リーリエは慌ててロコンを回収した。エリカはその様子を見て、ワタッコとモジャンボをボールに戻した。

「…踏みとどまったのは正しい判断です。あなたを見損なわずにすみました」

エリカは悔しさに震えるリーリエをしり目にその場から立ち去ろうとする。

「ポケモンの回復と気持ちの整理がついたらまたいらしてください。…待っています」

取り残されたリーリエは下を向き、エリカの背中を目で追うこともできなかった。エリカに対し完敗と言っていい内容に、リーリエは無言で震えることしかできなかった。
 ▼ 319 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 16:25:11 ID:eIAUrcu2 [9/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第33話はここまでです。
エリカへのリベンジの前に1話か2話挟もうと思います。
それではまた。
 ▼ 320 ガヘラクロス@ピジョットナイト 20/12/20 17:48:11 ID:s74.XpDg NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
誤植なのはわかるけど、「飛行タイプでもあるクサイハナ」というパワーワードを見て思わず吹いた
支援
 ▼ 321 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 18:05:19 ID:eIAUrcu2 [10/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
>>316
本当だ…。訂正します。

誤:チルタリスはキノガッサのパンチを受けるが、まだ耐えている。飛行タイプでもあるクサイハナに効果はいまひとつのはずだが、剣の舞2回分の攻撃力アップは伊達ではなく、ダメージは小さくなかった。

正:チルタリスはキノガッサのパンチを受けるが、まだ耐えている。飛行タイプでもあるチルタリスに効果はいまひとつのはずだが、剣の舞2回分の攻撃力アップは伊達ではなく、ダメージは小さくなかった。
 ▼ 322 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/20 18:10:01 ID:eIAUrcu2 [11/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
その前もおかしいですね。申し訳ないです。

>>316 訂正

誤:「ロコン、交代です!チルタリス!」

リーリエはエリカの攻撃を読み、クサイハナに交代する。

「チルッ…!」

チルタリスはキノガッサのパンチを受けるが、まだ耐えている。飛行タイプでもあるクサイハナに効果はいまひとつのはずだが、剣の舞2回分の攻撃力アップは伊達ではなく、ダメージは小さくなかった。


正:「ロコン、交代です!チルタリス!」

リーリエはエリカの攻撃を読み、チルタリスに交代する。

「チルッ…!」

チルタリスはキノガッサのパンチを受けるが、まだ耐えている。飛行タイプでもあるチルタリスに効果はいまひとつのはずだが、剣の舞2回分の攻撃力アップは伊達ではなく、ダメージは小さくなかった。

 ▼ 323 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/24 21:22:07 ID:IRA.n73s [1/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第34話ができましたので投稿します。
 ▼ 324 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/24 21:22:37 ID:IRA.n73s [2/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 34 氷の石


タマムシジムにてエリカに完敗を喫したリーリエはポケモンセンターの外のベンチでリュックを抱き抱え、ため息をついていた。搦め手だけでなく攻撃も非常に強力なエリカのポケモンたちを相手にどう戦えばよいのだろう。リーリエは島巡りの証をぎゅっと握りしめる。しかし、アローラの皆の、ヨウの思いが詰まったそれを握ったところでエリカに勝つための策など思い浮かぶわけでもなかった。

「…はぁ…」

リーリエは回復したポケモンたちに食事を与えていた。その中で、ロコンはあまり食が進んでいなかった。

「…ロコン…?あまり食欲がないのですか?」

「…コン…」

ロコンは小さく鳴くと、ポケモンフーズの盛られた皿から離れて座った。リーリエはロコンがエリカのポケモンたちに敗れたことを悔しがっているのだろうと悟る。

「…ロコン…。すみません。負けたのはあなたのせいじゃない…。私が短絡的な戦い方をしたのが悪いんです」

リーリエはロコンの頭を撫でる。それでもロコンは顔を上に向けなかった。しかし、リーリエも六番目のジム挑戦でわかったことがある。ここから先はジムリーダーたちも本腰を入れてバトルに臨んでくる。この敗北を糧に二度目は同じ轍を踏まぬようにしなければならない。恐らく、七番目、八番目のジムリーダーはもっと手強いポケモンを使ってくるのだろう。

「…ロコン…。エリカさんたちに勝ちたいですか?」

リーリエはロコンに尋ねた。ロコンは小さく鳴いた。ロコンもバトルをする以上は勝ちたかった。
 ▼ 325 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/24 21:24:30 ID:IRA.n73s [3/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「コンッ…」

「…進化して、今の姿と変わっても?」

「…コン…?」

ロコンはハッとしてリーリエを見つめた。自分にも進化のときが訪れようとしている。サナギラスやヒノヤコマ、ヌオーのように自分もパワーアップできる。それによってリーリエの力にもっとなれるのなら、それは喜ばしいことだった。

「…コンッ!」

ロコンは大きな声で鳴いた。リーリエはその様子を見て、ロコンの進化に必要な氷の石を入手しようと心に決める。そんなところに、ある人物が現れた。

「…リーリエ…?」

現れたのはハナダジムのリーダー、カスミだった。

「…カスミさん…?」

「六番目のジムはここにしたんだ?エリカにはもう挑戦したの?」

カスミに尋ねられ、リーリエはしゅんとした。

「…はい…。でも、負けちゃいました…」

「…そう…。でもまあ、また挑戦したらいいのよ。あんたのバトル、荒っぽいところもあるけど、筋はいいと私も思うわ」

カスミはリーリエを励ますように言った。ここで、リーリエはカスミになぜタマムシシティに来たのかを尋ねた。

「カスミさんはどうしてここに?」

「ああ、タマムシデパートで進化の石を買おうと思ってね」

リーリエはそれを聞き、自分も一緒に行きたいと申し出た。

「進化の石が買えるんですか?私も行きたいです!」

タマムシデパートにもし氷の石があるなら、それを買えばロコンを進化させることができる。カスミはリーリエの同行を承諾し、二人はタマムシデパートへ向かった。
 ▼ 326 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/24 21:25:00 ID:IRA.n73s [4/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ここが進化の石を売ってるところよ」

カスミはそう言って水の石を一つ取る。どうやらカスミの目当てのものらしい。リーリエは氷の石はないか探した。

「…ない…」

氷の石は見当たらなかった。

「目当ての石はあった?」

「…いえ…。氷の石はありませんでした…」

「あー、氷の石かぁ…。カントーじゃちょっと珍しいものだもんね…」

カスミはここで少し考えた。そして、リーリエに氷の石が手に入る可能性のある場所を教えることにした。

「…リーリエ、氷の石が手に入るかもしれない場所なら知ってるんだけど、行ってみる?」

「本当ですか?」

リーリエはパーティーの戦力アップのためには氷の石が必要と考えていたため、カスミにその場所を教えてほしいと頼んだ。

「カスミさん、お願いです。その場所を教えていただけませんか?」

「…わかった…。けど、もしかしたら危ない目に遭うかもしれないわよ?」

「…?」
 ▼ 327 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/24 21:25:20 ID:IRA.n73s [5/6] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
リーリエは一度セキチクシティを訪れ、船に乗っていた。カスミの言った氷の石が手に入るかもしれない場所へ向かうためだ。

「…見えてきた…」

リーリエの目に兄弟のように並んだ二つの島が映る。ここがカスミの言った場所、双子島である。

双子島の地下には迷路のような洞窟があり、その内部は水ポケモンたちの生息地となっている。それだけならリーリエの想定の範囲内だったが、カスミはさらに付け加えた。

「双子島の最深部は伝説の鳥ポケモン、フリーザーの縄張りになってるの。氷の石はフリーザーの縄張りの近くでよく見つかるんだけど、フリーザーは縄張りを侵すものには容赦なく攻撃してくる。フリーザーがいる場合は奥に進むほど温度が下がっていくわ。フリーザーに見つからないように慎重にいくのよ」

リーリエはカスミの言葉を思い出し、拳をぎゅっと握った。防寒装備もリュックの中に詰め込んでいる。双子島ではできる限り戦闘は避け、氷の石を手に入れたらすぐに退散するのが吉だろう。

「…頑張りましょう」

リーリエは一度目を閉じて深呼吸し、気持ちを落ち着かせる。リーリエを乗せた船は双子島へと近づいていった。
 ▼ 328 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/24 21:28:59 ID:IRA.n73s [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
短いですが第34話はここまでです。
リーリエのジム戦は、7番目がタケシ、8番目がトキワジムを予定しています。なお、トキワジムのジムリーダーはグリーンの次の人物に移っているという設定でいかせていただければと思います。
それではまた。
 ▼ 329 モリ@みどりのはなびら 20/12/24 22:49:28 ID:hGocSeAM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グリーンの次の人物って誰だろう、めっちゃ気になる
支援
 ▼ 330 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/27 13:31:07 ID:7ruU.f.E [1/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第35話ができましたので投稿します。
 ▼ 331 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/27 13:31:50 ID:7ruU.f.E [2/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 35 双子島洞窟


「ここが双子島洞窟ですか…」

リーリエは双子島の洞窟に足を踏み入れていた。双子島洞窟は中に水が流れ込み、その水辺にはクラブやパウワウが生息している。確かに洞窟の中ということもあり、中はひんやりとしていたが、洞窟内には光が差し込んでおりそんなに暗くはない。

「ところどころ滑りやすそうな所がありますね…。気をつけていきましょう」

リーリエは足下に気をつけながら慎重に奥に進んでいった。洞窟の奥に進んでいくほどに気温が下がっていくのを感じる。どうやらフリーザーの縄張りに近づいているらしい。リーリエは防寒着に着替え、奥に進み続けた。

ピシッ…

「………」

足下にたまった水が凍っている。そのまま奥へ進むと、リーリエは思わぬ光景を目にした。

「…綺麗…」

開けた場所に出たリーリエはため息を漏らす。氷に覆われたその空間は差し込む太陽の光を受けてキラキラと輝いている。だが、リーリエはすぐに気を引き締めて周囲を見回す。ここはフリーザーの縄張りにかなり近い場所なのだろう。あまり長居はしないほうがよさそうだ。

「………」

リーリエは氷の石がないか探すが、見える範囲にはなさそうだった。リーリエはため息をついてさらに奥へと進もうとした。
そのときだった。

バサッ…

羽音が耳に届き、リーリエはハッとして上を向く。一羽の鳥ポケモンがこちらを見ている。そのポケモンが羽ばたく度に空気中の水蒸気が凍てつき、まるで宝石のような輝きを放った。
 ▼ 332 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/27 13:32:45 ID:7ruU.f.E [3/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…フリーザー…!」

「クォォ!」

「きゃっ!!」

フリーザーはリーリエめがけて冷凍ビームを放つ。リーリエは洞窟の更に奥へととっさに進んで攻撃を逃れたが、退路はフリーザーが見張っており、強行突破しない限りは塞がれたも同然となった。

「……今は進むしかないですね……」

リーリエはとりあえず先に進むしかないと判断し、そのままひんやりとした洞窟の中をを進んでいった。先に進むことで別の出口があると信じて。

リーリエが少し歩くと、再び周囲の気温が下がっていくのを感じた。リーリエは再び不気味な羽音を聞き、岩陰に身を潜めた。
フリーザーが付近を飛んでいる。どうやら縄張りに入ったリーリエを探しているようだ。

私を探している…

リーリエはフリーザーに見つからないよう姿勢を低く保ち、進んでいく。フリーザーは時折リーリエにかなり近い場所を飛び、そのときリーリエは息を潜めてフリーザーが去るのを待った。呼吸すらも許さぬようなフリーザーのプレッシャーを感じ、リーリエはとにかく見つからずにこの島から出られるようにと願った。フリーザーがリーリエの側を離れると、リーリエは進路の先にフリーザーから完全に身を隠せる岩場を見つけた。

…ここはフリーザーの気を反らして一気にあそこまで進みましょう…

リーリエは近くに転がっていた石を掴むと、それを崖下の海へ向かって放った。
その石はドボンと大きな音を立て、フリーザーは何事かとそちらへ向かっていく。

よし…!

リーリエは立ち上がり、岩場へと滑り込んだ。

「…はぁ…」

リーリエはようやく一息つくことができた。この岩場ならフリーザーに見つかることはないだろう。と、ここでリーリエはその岩場であるものを見つけた。
 ▼ 333 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/27 13:33:11 ID:7ruU.f.E [4/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…氷の石…!」

岩場の壁から氷の石の原石が露出していた。取り出して持ち帰ることは不可能だろうが、ロコンにそのエネルギーを吸収させることはできそうだった。リーリエはロコンをボールから出し、石に近づくよう言った。

「ロコン、氷の石に近づいてください」

「…コン…」

ロコンは氷の石の原石に魅せられ、それに吸い寄せられるようにゆっくりと近づいていく。そして、ロコンが氷の石の原石の前で動きを止めると、氷の石からロコンへエネルギーが注がれた。ロコンは進化の光に包まれ、姿が変化していく。尻尾は9本に増え、柔らかな白い体毛が伸びる。

「…キュウコン…」

リーリエは進化したキュウコンの姿にしばし見とれていた。だが…

バサッ!

羽音とともにフリーザーが岩場に入ってきた。

「…!!」

フリーザーは岩場から漏れていた進化の光に気づいていたのだ。フリーザーはキュウコンとリーリエに一歩一歩迫ってくる。どうやら一戦交えねばならないようだった。

「…キュウコン…。やってくれますか?」

リーリエに尋ねられ、キュウコンは小さく頷いた。

「コン!!」

キュウコンが鳴き声をあげて戦闘モードに入ると、周囲に霰が降り始める。その霰に光が反射し、まるでダイヤモンドダストのような幻想的な光景を生み出していた。
 ▼ 334 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/27 13:34:16 ID:7ruU.f.E [5/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「クォォ!!」

フリーザーが冷凍ビームを放とうとしたそのとき、リーリエは口を開いた。

「オーロラベール!」

「コン!!」

キュウコンはオーロラベールを張って冷凍ビームのダメージを軽減する。そして、リーリエはすかさず反撃に出た。

「キュウコン、吹雪!」

キュウコンは猛烈な吹雪を起こしてフリーザーを吹き飛ばす。リーリエはフリーザーとの距離が離れると、すぐに戦闘を中断して逃走を図った。

「キュウコン、行きますよ!」

リーリエはキュウコンを回収し、走り出す。しかし、フリーザーは執拗にリーリエを追ってきた。

「クォォ!」

フリーザーはリーリエめがけて暴風を起こす。リーリエは飛ばされぬよう身をかがめた。

「くっ…!暴風まで…!」

リーリエのいる場所の下は海水が激流となって流れる水路になっており、フリーザーの縄張り近くということもあり水温もかなり低そうだった。

…水路に落ちたら助からない…

リーリエはサナギラスをボールから出し、その重い体に抱き枕を抱くようにしがみついた。

「サナギラス!ガスを噴射してあの穴まで行けませんか?」

「ギラ…」

サナギラスはリーリエの指差す方向を確認する。その方向には洞穴があり、そこまで行けば確かにフリーザーの追撃を振り切れそうだった。そして、サナギラスはちらりとリーリエを見た。このままガスを噴射してリーリエを引きずれば、リーリエにも怪我をさせることになるだろう。
 ▼ 335 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/27 13:35:01 ID:7ruU.f.E [6/7] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「サナギラス!迷ってる時間はありません!服が破れても、少々の怪我を負ってもここを脱出しなければ!」

「…ギラ!」

サナギラスはリーリエの言う通りだと考え、ガスを噴射して洞穴に向かう。

「くっ…!」

地面との摩擦で服が擦れ、洞穴に飛び込んだところでリーリエはサナギラスから腕を離した。リーリエは岩の上を転がり、仰向けに倒れた状態で止まった。

「…はぁっ…、はぁ……。助かった……」

リーリエは仰向けに倒れた状態のまま動けなかった。洞窟か出なければ真に助かったとは言えないのに、一気に疲労が押し寄せ体が動かなかった。


「…おいおい、昼寝するならもうちょい場所を選んだほうがいいぜ?」

若い男性の声が聞こえたが、リーリエは疲労で意識が朦朧としており、その男性の姿を認識できなかった。サナギラスがその男性を睨み付けたが、その男性は全く意に介さなかった。

「…フリーザーの生態調査に来たつもりが、仕方ねえな…。カイリキー、この子を運び出すぞ」

「リキッ!」

男性はモンスターボールからカイリキーを繰り出した。

「…そこのサナギラスはこの子のポケモンか?ご主人を助けたくないなら俺に攻撃してくるといい。その瞬間、おまえもただじゃすまねえがな」

男性はニヤリと余裕の表情を見せる。サナギラスはこの男性にリーリエと自分達の命運を握られていることを悟り、攻撃の態勢を解いた。

「…いい子だな。ついてこい」

男性のカイリキーがリーリエを抱き上げ、男性とともに洞窟の出口へと向かっていく。サナギラスも必死にその男性のあとについていった。
 ▼ 336 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/27 13:36:06 ID:7ruU.f.E [7/7] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第35話はここまでです。
次回はヒノヤコマの進化のお話にしようと思います。
それではまた。
 ▼ 337 タージャ@イーブイZ 20/12/27 14:38:46 ID:xU5sZX6Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
カイリキー持ってるトレーナー……
グリーン?
 ▼ 338 ャラドス@ルビー 20/12/27 18:38:10 ID:8E5YEhv. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
若いし口調からしてもシバではないな
支援
 ▼ 339 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:09:06 ID:9Em2gDSU [1/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第36話ができましたので投稿します。
 ▼ 340 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:09:54 ID:9Em2gDSU [2/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 36 ポケモントレーナー グリーン


「グリーン?随分早かったのう」

「よう、じいさん。ちょいと洞窟の中拾い物をしてな」

グリーンと呼ばれた男性は自分の後ろをついてくるカイリキーに抱かれた少女をくいっと親指で差す。擦りきれた防寒着を着た金髪の少女がカイリキーの腕の中でぐったりとしている。そして、そのさらにあとから一匹のサナギラスがついてきた。

「…もしやフリーザーの縄張りに足を踏み入れたのか?」

「だろうな。とりあえずお茶でも飲ませて様子を見ようぜ。カイリキー、そこにそいつを下ろしてくれ」

カイリキーはグリーンの指示でリーリエを地面に寝かせる。そして、彼の祖父と思われる老人は温かいお茶を入れたカップを持ってきた。

「う…」

老人は優しくリーリエの口元へカップを持っていく。温かいお茶がリーリエの喉に流れ込み、リーリエはふぅと小さく息をついた。

「…ありがとう…ございました…」

リーリエは老人と青年に礼を述べる。整った顔立ちで、跳ねた茶髪の青年がリーリエを見下ろしていた。

「…君、名前は?」

「…リーリエ…と申します」

青年はやれやれとため息をついた。
 ▼ 341 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:10:51 ID:9Em2gDSU [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「フリーザーの縄張りに足を踏み入れたな?勇気は認めてやるが、その様子だとだいぶ危険な目に遭っただろ?」

「…はい…」

「仮にも伝説のポケモンの一匹だ。ま、自分の運の良さを誇れ。俺が通りかからなかったら本当にくたばってたかもしれねーぞ?」

と、そこに双子洞窟からフリーザーが姿を現した。

「お?」

「フリーザー!?追ってきたのか?」

驚く老人に対し、青年は落ち着いた様子だった。いや、微塵にも動じることはない、と言った方が正確か。

「…じいさん。悪いが正当防衛だ。バトらせてもらうぜ」

青年はそう言うと、モンスターボールからピジョットを繰り出した。

「ま、伝説のポケモンなら準備運動くらいにはなるだろ。ピジョット、軽く相手してやれ」

「ピジョッ!!」

リーリエはピジョットでフリーザーに挑もうとするこの青年が無謀に思えた。タイプ相性で不利なポケモン、ましてや相手は伝説のポケモンなのに。

「クォォ!」

フリーザーはピジョットめがけて冷凍ビームを放つ。しかし、ピジョットは翼をはばたかせてその射線から一瞬で逃れた。

「ピジョッ!」

ピジョットはフリーザーに一気に接近すると、強烈なキックを見舞う。フリーザーは一旦距離を取り、再び冷凍ビームを放とうとした。しかし、ピジョットは一瞬で空中で宙返りし、フリーザーの背後からタックルをかました。
 ▼ 342 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:11:26 ID:9Em2gDSU [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…おいおい、技を出すまでもなく終わるなんてジョークはやめてくれよ?」

リーリエはすっかり意識を取り戻し、青年のポケモンの強さに見入っていた。リーリエの見立てが正しければ、恐らくあのレッドにもひけを取らないだろう。

「ま、あんまり情けない姿を晒させるのもかわいそうだな。ピジョット、暴風だ」

「ピジョッ!!」

ピジョットが暴風を起こすと、フリーザーはその中に飲み込まれた。そして、フリーザーは風に巻かれたまま海に落下した。

「あっ…!」

リーリエはフリーザーが死ぬのではないかと一瞬思ったが、青年は落ち着いていた。

「その辺でいいだろう。ピジョット、戻ってこい」

ピジョットが青年のもとへと戻ろうとすると、フリーザーは海から飛び出していずこかへと姿を消した。

「…ま、こんなもんか。退屈しのぎにもなりゃしねえ。なあ?」

青年は戻ってきたピジョットの首を撫で、ニヤリと笑った。

「今度はこちらの自己紹介の番だな。俺はグリーン。ポケモン研究者とポケモントレーナーの二足のわらじで頑張ってる好青年だ。よろしくな」

「やれやれ…。自分でそれを言うかのう。わしはオーキドじゃ。グリーンの祖父でカントーじゃちょ〜っと名の通った研究者じゃ。よろしくな」

リーリエは老人の顔を見てはっとする。オーキド・ユキナリ。カントー地方、マサラタウン出身のポケモン博士で、ポケモン研究者の中ではその名を知らぬ者はいないであろう人物だ。

「…オーキド…博士…!…ナリヤ博士に本当にそっくり…」

オーキドはナリヤの名が出てきたことで、リーリエがどこから来たのかおおよそ予想がついた。
 ▼ 343 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:12:11 ID:9Em2gDSU [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「おや?ナリヤを知っているということは、君はアローラから来たのかね?」

「は…はい…」

リーリエの答えを聞き、グリーンも食いついてくる。

「へー、随分遠くから来たんだな。でも、なんでカントーに来たんだ?武者修行か?」

「…話せば長くなりますが、そんなところです」

グリーンはリーリエがカントーに来た理由にはそれ以上興味はないようで、オーキドに話を振った。

「じいさん、フリーザーの生態調査は出直した方がよさそうだぜ?だいぶ警戒心を強めてるだろうからな」

「…そうじゃな…。一旦船着き場の近くに戻るか」

こうしてリーリエたちは船着き場近くの町に向かうことになった。



一夜明け、リーリエは船着き場近くのポケモンセンターから出てきた。昨日はオーキドとグリーンに連れられてここへやって来て、ポケモンを預けて宿泊の手続きをしたらそのままベッドの上に倒れ込んでしまったのだ。リーリエがポケモンセンターから出ると、そこにはグリーンがいた。

「あっ…。グリーン…さん…」

「よっ」

グリーンは軽く右手を上げて挨拶する。リーリエは深く頭を下げて昨日の礼を述べた。
 ▼ 344 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:12:53 ID:9Em2gDSU [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「昨日は本当にありがとうございました」

「ああ。まあ、無事でよかったよ。けど、フリーザーの縄張りに近づかなきゃならねえ何かがあったのか?あの様子だと君のポケモンたちはフリーザーを相手に戦える感じじゃなさそうだが」

リーリエはそう言うと、モンスターボールからキュウコンを出した。グリーンは初めて生で見るアローラの姿のキュウコンに興味を示した。

「キュウコン…。ナリヤのじいさんの写真で見たことはあったが…」

「アローラでは、ロコン、キュウコンは氷タイプなんです。進化するには氷の石が必要で…」

「なるほど。氷の石が欲しくてフリーザーの縄張り近くをうろついてたわけか」

グリーンはやれやれと首を横に振り、その後リーリエに尋ねた。

「トレーナー修行してるんだったよな?ジムにも挑んでるのか?」

「はい…。今は5つバッジを持ってます」

「ふーん…」

グリーンはアローラのポケモンと一度バトルしてみたいと考え始めていた。そして、リーリエにバトルを持ちかけた。

「礼と言っちゃなんだが、時間あるか?一度アローラのポケモンとバトルしてみたい。こんな機会なかなかねえからな」

リーリエは驚く。グリーンのポケモンに勝てるわけがないと思っていたからだ。
 ▼ 345 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:13:32 ID:9Em2gDSU [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「えっ…。でも、私のポケモンじゃグリーンさんのポケモンには絶対敵わない…」

それはその通りだろうとグリーンも思っていたが、グリーンはリーリエに安心するよう言った。

「その点は心配すんな。俺はこう見えてもトキワシティでジムリーダーをやってたこともあるんだ。バッジ5つレベルのバトルがどんなもんかも大体はわかってるよ」

「…元ジムリーダー…」

リーリエはそれを聞き、少し安心した。それなら、エリカに挑む前のトレーニングとしてグリーンに相手をしてもらうのも悪い選択肢ではない。

「…わかりました。よろしくお願いします」

「…決まりだな。んじゃ、場所を移すか」

リーリエはグリーンの背中をじっと見つめる。彼は恐らくレッドにも匹敵する実力者だ。そんな彼を相手に自分がどこまで戦えるか。リーリエの手は緊張で力が入り、時折小刻みに震えていた。
 ▼ 346 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 20/12/29 19:14:05 ID:9Em2gDSU [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第36話はここまでです。
次回はリーリエVSグリーンです。
それではまた。
 ▼ 347 チリス@きせきのみ 20/12/29 21:19:13 ID:G.n2Pf4Y NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
やっぱグリーンだったか
しえん
 ▼ 348 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:45:31 ID:7AQs0.ns [1/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
第37話ができましたので投稿します。
 ▼ 349 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:46:13 ID:7AQs0.ns [2/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 37 宿敵の影


「そんじゃ、始めるか。本気で来てくれていいぜ」

グリーンは余裕の表情でリーリエと対峙する。リーリエはきゅっと唇を結んでグリーンを見つめていた。

「…それなら…、フルバトルで挑んでもいいですか?」

グリーンは少し意外そうな顔をしたが、すぐに自信に満ちた顔に戻る。

「OKだ。んじゃ、いくぜ!」

グリーンはリーリエがポケモンを繰り出す前に最初のポケモンを出してきた。

「リキッ!」

「…カイリキー…。それなら!」

「キュワッ!」

リーリエが投げたボールからキュワワーが飛び出す。グリーンは初めて対峙するアローラのポケモンにニヤリと口角を上げた。

「キュワワー…っつったか。アローラのポケモンだな…。先攻はそっちからでいいぜ」

グリーンがそう言うと、リーリエはならばと技を指示した。

「キュワワー、宿り木の種!」

「キュワッ!」

キュワワーの宿り木の種がカイリキーに命中する。どうやら宿り木の種の回復を交えて粘り込みを図るつもりのようだ。グリーンはそれを許すまいと攻撃を仕掛けた。
 ▼ 350 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:47:01 ID:7AQs0.ns [3/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「カイリキー、炎のパンチ!」

「リキ!」

カイリキーは拳に炎をまとわせ、キュワワーを殴りつける。しかし、キュワワーをノックアウトするには至らなかった。

「…!草タイプじゃねえのか?」

「キュワワー、瞑想!」

リーリエはすかさずキュワワーの能力アップを図る。そして、グリーンは今度はカイリキーに大技を指示した。

「カイリキー、爆裂パンチ!」

「リキッ!!」

カイリキーが拳を振り上げたその瞬間、キュワワーの反撃が始まった。

「ドレインキッス!」

「!!」

キュワワーはカイリキーが拳を突き出すよりも早くカイリキーの首に蔓を巻き付け背後を取った。そして、そのままドレインキッスでカイリキーから体力を奪い取る。

「リキッ…!?」

カイリキーも驚いているようだった。自分の攻撃よりも早くキュワワーが動くなどと思っていなかったのだろう。キュワワーが攻撃を終えて一旦距離を取ろうとしたところでカイリキーは苦し紛れに爆裂パンチを見舞う。キュワワーはその攻撃も耐え、荒く息をつきながらカイリキーに対峙した。

「………」

ここで宿り木の種がカイリキーの体力を奪う。カイリキーは自分よりもはるかに小さなキュワワーに苦戦を強いられていることが信じられないという顔をしていた。
 ▼ 351 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:47:39 ID:7AQs0.ns [4/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「カイリキー、バレットパンチ!」

グリーンは今度は先制攻撃を狙ってきた。だが、ここもキュワワーの方が早く動いた。

「ドレインキッス!」

キュワワーは混乱の中カイリキーにドレインキッスを決める。そして、カイリキーはついに立っていられなくなる。グリーンからすれば信じられない光景だった。確かに相手に先攻を譲り、かつ自分が先にポケモンを出した後にリーリエにポケモンをださせたのでリーリエの方が有利ではある。だが、それでも先に一本取るのは自分だとグリーンは信じて疑っていなかった。

「…こりゃ並のバッジ5つレベルだと考えねえ方がいいかもな…」

グリーンはポツリと呟くと、次のポケモンを繰り出した。

「ガウッ!」

「…ウインディ…」

リーリエはウインディを見てどうすべきか考える。そして、ここは交代させるべきだろうと判断した。

「ウインディ、一気に決めるぞ!フレアドライブ!」

「キュワワー、交代です!ヌオー、頼みますよ!」

ウインディのフレアドライブに合わせてリーリエはポケモンを交代する。代わりに現れたヌオーはウインディの一撃にもものともしていなかった。

「ヌオーか…。ちっ、分が悪いな。こっちも交代だ!」

グリーンはここでふと気づいた。ポケモン一匹一匹の強さは間違いなく自分の方が上のはずなのに、なぜ力でねじ伏せる戦い方を避けたのだろう。確かにウインディはヌオーを相手にするのは分が悪いが、全く相手にできないということもないはずだ。

「………」

「…グリーンさん?」

リーリエは動きを止めたグリーンを心配そうに見つめる。グリーンはその声にハッと我に帰った。

「…ああ、悪いな。次はこいつでいくぜ!」

「ナッシ!」

グリーンはヌオーに対して圧倒的に有利なナッシーを繰り出した。
 ▼ 352 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:48:51 ID:7AQs0.ns [5/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…グリーンの奴、何をしているのかと思えば…」

グリーンの戻りが遅いと気になっていたオーキドはグリーンとリーリエのバトルを目撃する。しかし、バトルに熱中している二人はオーキドがやって来たことに気づいていなかった。

「…彼女のポケモンはヌオー…。確かにウインディは不利ではあるが…」

オーキドは先ほどグリーンがウインディを引っ込めるところを見ていた。自身の孫のことを言うのもなんだが、グリーンはかつて四天王を下し、今もその実力にはなんら陰りはないトレーナーである。それゆえか、彼は常に自信に満ちており、どんなトレーナーが相手でも臆することはないし、また自信に満ちた笑みを隠そうともしない。ただ一人の宿敵を除いて。
そんな彼が、トレーナー修行中で発展途上のリーリエを相手にまるでかの宿敵を前にしているかのような表情を浮かべている。オーキドにとってそれが不思議であると同時に、このバトルがどうなるのかを見てみたいという衝動に駆られる。

「ヌオー、交代です!チルタリス、頼みますよ!」

「チルッ!」

草、エスパータイプのナッシーを相手にリーリエはドラゴン、飛行タイプのチルタリスを繰り出した。この隙をグリーンは逃さず、一気にリードを広げようとした。

「ナッシー、トリックルーム!」

「ナッシ!」

「!!」

ナッシーは空間を歪めていく。リーリエはここからグリーンの猛攻撃が始まると覚悟した。しかし、ここはナッシーにできるだけダメージを与えておきたかった。

「チルタリス、燕返し!」

「ナッシー、大爆発!!」

チルタリスがナッシーに襲いかかろうとしたそのとき、強烈な爆風がチルタリスを飲み込んだ。

「チルタリス!」

チルタリスは地上に落ちて荒く息をついているが、リーリエの声になんとかその身を起こした。
 ▼ 353 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:49:46 ID:7AQs0.ns [6/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…まだ耐えてたか…。意外とタフだな」

グリーンはナッシーを回収し、次のボールを構える。

…俺は何をやってるんだ…。相手はたかだかバッジ5つ。対する俺はかつて四天王を倒し、チャンピオンクラスの奴でも俺に敵う奴なんてそうはいねえはずだ。なのに…

なぜ俺はこんな女の子相手にマジになってるんだ…?

グリーンはリーリエの目を見つめた。緊張しているのだろうが、自分を倒すためにどうするかを真剣に考えている目。まるであのときの自分の宿敵のように。

「…ドサイドン、行け!」

「グオォ!!」

グリーンはボールを投げ、ドサイドンを繰り出した。ドサイドンは地響きを立てて地面に降り立ち、チルタリスめがけて咆哮を上げる。

「ストーンエッジだ!」

「グォォ!」

ドサイドンの放つ岩の刃がチルタリスを捉える。チルタリスが倒れ、リーリエはチルタリスをボールに戻した。

「…トリックルーム…。それなら…!ヌオー、もう一度頼みます!」

「ヌオ!」

リーリエは再びヌオーを繰り出す。ドサイドンよりも素早さの低いヌオーなら相手のトリックルームを利用して手痛い一撃を浴びせられるはずだ。

「アクアテール!」

ヌオーは通常ではあり得ない速さでドサイドンに迫る。そして、水をまとった尾の一撃をドサイドンに見舞う。ドサイドンは咄嗟に腕でガードしたが、それでもかなりのダメージを負っているようだった。
 ▼ 354 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:50:57 ID:7AQs0.ns [7/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ドサイドン、反撃だ!地震!」

「グォ!」

グリーンの指示でドサイドンは強烈な地震を起こす。ドサイドンの攻撃力から放たれるその衝撃は、タフなヌオーをも一気に吹き飛ばした。

「ヌオー!」

「…ヌォ…っ…」

ヌオーもどうやらこれ以上戦闘を続けるのは難しそうだった。リーリエは圧倒的な攻撃力を見せるドサイドンに気圧されそうになる。しかし、リーリエにはまだ勝算があった。リーリエは 再びキュワワーを戦場に送る。

「キュワワー、もう一度行ってください!」

グリーンは再び現れたキュワワーを警戒するが、ここはドサイドンでできるだけ攻撃しておきたかった。

「この技ならどうだ?ドサイドン、毒突き!」

ドサイドンは角に毒をまとわせ、キュワワーに迫った。ドサイドンの体力は残りわずかだが、それゆえ鬼気迫る勢いでの突撃を敢行する。

「キュワワー、ドレインキッス!」

「キュワッ!!」

グリーンは信じがたい光景を目にした。トリックルームの中では、ドサイドンは非常に素早く動けるポケモンである。なのに、先に攻撃を決めたのはキュワワーだった。
ドサイドンが崩れ落ち、リーリエはもちろんだがキュワワーも安堵の表情を浮かべていた。

「はぁ…、はぁ…。キュワワー…よくやってくれました…!」

リーリエは大きく深呼吸をして緊張をほぐす。ここでトリックルームの効果が切れた。
これでグリーンはドサイドンを倒され、残りの手持ちは3体となった。対するリーリエはキュワワーを含めて手持ちを4体残している。手持ちの数ではリーリエの方が一歩リードした形となった。
 ▼ 355 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:51:15 ID:7AQs0.ns [8/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…リーリエ…。君はいいトレーナーだな。…でも…」

グリーンはまだまだ勝負はこれからだぜ、と言いかけたが、その言葉を飲み込んだ。リーリエは誉められたことを喜ぶよりも、グリーンの声の雰囲気から緊張感が高まった。

「行くぞ、ギャラドス!」

「ギャオオッ!」

グリーンはここでギャラドスを繰り出す。ギャラドスは出てくるやキュワワーを威嚇した。そして、グリーンはここから一気にリーリエの戦線を崩そうと攻撃体勢を整えようとした。

「竜の舞!」

「ギャオオッ!」

リーリエとキュワワーの目の前でギャラドスは体をうねらせて舞を踊る。攻撃力と素早さをアップさせたギャラドスがリーリエとキュワワーを見下ろしていた。
 ▼ 356 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 09:56:09 ID:7AQs0.ns [9/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
第37話はここまでです。
第一章の途中で令和2年を迎え、そしてこの章で令和三年を迎えることができました。
正直読んでくださっている皆さんの中には、途中で投げ出すだろう、と思っていた方もいらっしゃるのではないかと思います。私も投げずに書き切ることにあまり自信はありませんでした。
続けていられるのも応援してくださっている皆さんのおかげだと思っています。
長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございます。

次回がリーリエVSグリーンの決着となります。
それではまた。

 ▼ 357 ォレトス@だいちのプレート 21/01/01 10:01:28 ID:fBaMUgdc NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あけましておめしえん
 ▼ 358 クーダ@もののけプレート 21/01/01 15:23:37 ID:yYls1eio [1/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
あけおめ支援
 ▼ 359 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:35:35 ID:7AQs0.ns [10/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第38話ができましたので投稿します。
 ▼ 360 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:36:49 ID:7AQs0.ns [11/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 38 奇策


「くっ…」

リーリエとキュワワーを竜の舞によって能力をアップさせたギャラドスが見下ろす。リーリエはヌオーが倒れていなければなんとかなったと思うが、残りの手持ちでは分が悪いことはわかっていた。とにかくここは後続のために少しでもギャラドスを削ること、そしてそのための場を整えることだ。

「キュワワー、宿木の種!」

「キュワッ!!」

キュワワーは宿木の種をギャラドスに植え付ける。グリーンはこれまでのバトルからキュワワーは少なくとも草タイプではないと気づいていたため、ここはギャラドスの得意技で攻撃を仕掛けることにした。

「ギャラドス、滝登り!」

「ギャオオ!」

ギャラドスが全身に水をまとって突撃してくる。キュワワーは吹き飛ばされるが、それでもまだ耐えていた。

「意外と耐えるもんだな…。でも次は耐えられねえだろ。ギャラドス、もう一発いけ!」

「光合成!」

キュワワーはギャラドスの攻撃が当たるよりも早く体力を回復する。そこにギャラドスが突っ込み、再びキュワワーは弾き飛ばされた。そうしている間に、ギャラドスの体力を宿木の種がじわりじわりと奪い取っていった。

「…なんだこいつ…。回復効果のある技はやたら発生が早いような…」

グリーンはなんとなくキュワワーの特性を理解し始めていた。おそらく、直接的に回復効果のある技の発生が早くなる特性を持っているのだ。光合成、ドレインキッスの発生がやたらと早いのはそのためだろう。粘り込みを図るにはいい特性である。
 ▼ 361 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:38:04 ID:7AQs0.ns [12/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…一気に勝負を決めてやるか…」

グリーンはポケットに手を突っ込む。が、グリーンはハッとしてそれをやめた。

…俺は何をしているんだ…。相手は誰だ?大人げないにもほどがあるだろ…

「ギャラドス!もう一発だ!」

ギャラドスはよろめきながらも立ち上がるキュワワーに再び狙いを定める。リーリエはこれ以上キュワワーがギャラドスの攻撃を耐えられないことをわかっていた。だからキュワワーには酷だが、打って出るように指示した。

「キュワワー、ドレインキッス!」

キュワワーはドレインキッスでギャラドスを攻撃する。ギャラドスから体力を奪い、少し元気を取り戻したのも束の間、ギャラドスは尾を振るってキュワワーを弾き飛ばした。

「…キュワ…」

キュワワーは粘ったが、グリーンのギャラドスの前についに力尽きる。リーリエはここからが正念場だと気合を入れ直した。グリーンの残りの手持ちはこのギャラドスと先ほど交代したウインディ、そして可能性として高そうなのは昨日見たピジョットだろうか。そうなると、サナギラスを温存した状態でこのギャラドスを倒せればまだ勝ち目はある。

「キュウコン、出番ですよ!」

「コンッ!!」

リーリエは昨日進化したばかりのキュウコンを繰り出した。そして、キュウコンが戦場に降り立つと天候が荒れ始め、灰色の雲から霰が降り注いだ。

「雪降らし…」

グリーンは氷ポケモンにとって有利な天候となったことに少し警戒心を強めるも、冷静に考えれば竜の舞で能力をアップさせたギャラドスが負けるはずがない。
 ▼ 362 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:38:53 ID:7AQs0.ns [13/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ギャラドス、一気に決めろ!滝登り!」

「ギャオオ!」

ギャラドスが咆哮とともにキュウコンに襲い掛かる。咆哮から攻撃のタイミングをキュウコンはギャラドスの攻撃をかわした。しかし、反撃しようにもギャラドスのまとった水がはじけ、キュウコンを寄せ付けない。

「くっ…。反撃はできませんか…!」

キュウコンが濡れた身体から水を振り払う間もなく、ギャラドスは再び攻撃体勢を整えた。
ギャラドスは再び身体に水をまとい、キュウコンへ突撃しようとする。リーリエはここで一か八かの賭けに出た。

「キュウコン、身体に着いた水を凍らせて!」

「コンッ!!」

ギャラドスが突撃しようとしたその時、キュウコンはギャラドスから被った水を凍らせ、それを鎧のようにまとった。そして、ギャラドスの攻撃に合わせてリーリエもキュウコンに突撃を指示する。

「キュウコン、ギャラドスに突撃です!」

「コンッ!!」

これにはギャラドスも驚いたのか、反射的に口を開き、そこにキュウコンを捕まえる。身動きの取れないキュウコンはギャラドスの口に捕まったままじたばたともがくが、後ろ足が宙を蹴るばかりだった。

「っと、ちょっとびびったが奇策は通じないぜ」

グリーンはそのままキュウコンを投げ飛ばし、その後とどめを刺すつもりでいた。リーリエの奇策が成功していると気づくこともなく。

「…すでに奇策は成功していますよ」

「!!」

ギャラドスは自身の口の中の温度が急速に下がり、かつ渇いていくのを感じた。
 ▼ 363 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:39:40 ID:7AQs0.ns [14/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「フリーズドライ!」

「しまッ…」

口内でフリーズドライをくらい、ギャラドスが崩れ落ちる。キュウコンも落下によってダメージを受けたが、ギャラドスを倒せたことで一安心していた。

「…コーンッ!!!」

キュウコンは倒れたギャラドスの口から這い出すと、自分の力を誇示するように霰の降る空へ咆哮を上げた。キュウコンは落下時に後ろ足を少し傷めたようで、少しふらついている。

「やるな…。ウインディ、頼むぜ!」

「ガウアッ!!」

「フレアドライブ!」

ウインディは出るやいなやフレアドライブでキュウコンを攻撃する。キュウコンが吹き飛んでノックアウトされる。あとはヒノヤコマとサナギラスに賭けるしかない。

「ヒノヤコマ、ここは頼みますよ!」

「コマッ!!」

リーリエはヒノヤコマを繰り出す。疾風の翼を活かした飛行技でウインディに先制攻撃を放とうという算段だった。

「ヒノヤコマ、燕返し!」

「コマ!」

ヒノヤコマは翼を広げ、ウインディに襲いかかろうとする。しかし、ここでウインディから手痛い反撃を受けることになった。

「ウインディ、神速!」

フッ…

突如ヒノヤコマはウインディの姿を見失う。そして、いつの間にか上を取っていたウインディの前足からパンチを見舞われた。
 ▼ 364 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:40:11 ID:7AQs0.ns [15/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「コマッ…!?」

ヒノヤコマがウインディの一撃を受けて、地面に落ちると、ウインディも地面に降りてヒノヤコマをじっと見据えた。

「ウインディ、ヒノヤコマにとどめを刺せ!雷の牙だ!」

「ガウッ!」

ウインディの牙が電光を放ち、そのままウインディはヒノヤコマへ向かってくる。このままヒノヤコマはノックアウトされるかと思いきや、ヒノヤコマは自分の内から力が湧いてくるのを感じた。素早くその場から飛び立ち、ウインディの攻撃をかわす。そして、ヒノヤコマは空中で進化の光に包まれた。

「ヒノヤコマ…!」

リーリエはヒノヤコマの最終進化を目の当たりにし、興奮を隠せなかった。

「アロ!」

ヒノヤコマの赤い翼が一回り大きくなり、羽ばたきとともに炎が散る。

「ファイアローか…。面白えな…。ウインディ、神速だ!」

「ガウッ!」

再びウインディは神速でファイアローを攻撃する。ファイアローはウインディから一撃をもらうが、進化したことで耐久力も上がっており、まだ倒れなかった。

「ファイアロー、反撃です!ブレイブバード!!」

「アローッ!!」

ファイアローは甲高い鳴き声を上げたかと思うと、ウインディの神速に負けず劣らずの勢いで突撃する。一度急降下し、ウインディの顎下をかちあげた。ウインディは仰け反り、そのまま崩れ落ちる。しかし、ファイアローもブレイブバードの反動ダメージで力尽きた。
 ▼ 365 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:41:02 ID:7AQs0.ns [16/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ウインディ…」

「…ファイアロー…。ありがとうございます。これで最後のポケモンまで繋ぐことができました…!」

リーリエはファイアローを労いながらボールに戻す。リーリエは最後のポケモン、サナギラスを繰り出す。リーリエはグリーンの最後のポケモンはピジョットだと思っていたが、グリーンは違うポケモンを繰り出してきた。

「フーディン、最後はおまえだ!」

「フーッ!」

「…!フーディン…!」

リーリエはこれはまずいと思った。しかし、ここまで来たら戦い抜くしかない。

「サナギラス、地震です!」

「ギラ!」

サナギラスは地震を起こそうとエネルギーを溜める。その隙をグリーンとフーディンは逃さなかった。

「フーディン、エナジーボール!」

「フッ!」

サナギラスが地震を発動するよりも早く、フーディンはスプーンを振るってエナジーボールを放つ。サナギラスは極端に苦手とする草技を受け、あえなく倒れてしまった。リーリエはそれを見て悔しそうな顔をしたが、今の自分がグリーンに敵うはずがないと最初からわかっていたはずだと心の中で言い聞かせた。そのとき、ぱちぱちと拍手の音が聞こえた。

「ナイスバトルじゃな。リーリエちゃん」

「…じいさん?いつからそこに…」

グリーンはオーキドに気づかぬほどにリーリエとのバトルにのめり込んでいたのだと今さらながら気づく。オーキドはグリーンの考えを読んでいるかのように言葉を続けた。
 ▼ 366 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:41:22 ID:7AQs0.ns [17/18] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「なんじゃ?わしが見ていたことに気づいとらんとは。それほど熱中しとったということか?」

「………」

グリーンは少しばつの悪そうな顔をした。そして、オーキドはグリーンを追い込むようにさらに続けた。

「…グリーン…。ギャラドスをメガシンカさせようとしたな?」

「…!」

リーリエはその言葉に思わずグリーンの顔を見た。オーキドの言うことが本当なら、なぜギャラドスをメガシンカさせなかったのだろう?

「…んなわけねえだろ。バッジ5つのトレーナー相手にメガシンカを使うなんて、どんだけ大人げねえんだよ。…ちょっとポケットがズボンの中でねじれてたから気になっただけだ」

どうやらあのときポケットに手を突っ込んだのは、メガストーンを取り出そうとしてのことだったらしい。グリーンはフーディンを回収すると、その場を立ち去ろうとする。

「とりあえず俺はポケモンセンターに行くぜ」

グリーンがポケモンセンターへ向かうのを見て、リーリエもポケモンセンターへと向かおうとする。

「あっ、グリーンさん、私も…」

と、ここでリーリエをオーキドが引き止めた。

「ちょっと待ってくれんか?…応急手当てはわしがするから…。君と少し話したくてな」

「…?」

彼の意図がわからずきょとんとするリーリエに、オーキドはにかっと笑いかけた。
 ▼ 367 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/01 21:42:39 ID:7AQs0.ns [18/18] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第38話はここまでです。
それではまた。
 ▼ 368 ャワーズ@フーディナイト 21/01/01 22:48:05 ID:yYls1eio [2/2] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
これでサナギラスが進化すればリーリエのパーティもいよいよ完成形ですね
メガ枠はチルタリスなら、今では実現不可能なドラゴン/フェアリー複合も唯一性があって懐かしいですね
支援
 ▼ 369 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:25:40 ID:aKvgmHS6 [1/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第39話ができましたので投稿します。
 ▼ 370 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:26:38 ID:aKvgmHS6 [2/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 39 力の源


「ふーむ…。なかなかいいポケモンたちじゃのう」

オーキドはリーリエのポケモンの応急手当てをしながら言った。

「グリーンのポケモンたちを相手にあそこまで戦えるんじゃ。自信を持つといい」

「コン…」

「おっと、少し染みたか?すまんな」

キュウコンの声を聞き、オーキドはキュウコンを落ち着かせようと頬を撫でる。リーリエはその様子を見ながらオーキドに尋ねた。

「オーキド博士…。私と話したいことというのは…」

「ああ…」

オーキドはぽんぽんとキュウコンの首を叩くと、言葉を選ぶようにふーむと唸った。

「ふーむ、そうじゃな…。グリーンがあんなに真剣な様子でバトルをしているのを久しぶりに見たなと思ってな…。今君はバッジ5つじゃったか…。祖父のわしが言うのもアレじゃが、あいつは強いからのう。それこそ四天王や地方のチャンピオンにも引けなど全く取らんくらいにな。それをあそこまで追い込むんじゃ。あいつが知らないポケモンも使っていたとはいえ、それでも…と思ってな」

リーリエはグリーンが強いトレーナーであることはわかっていたので、驚きはしなかった。おそらく、四天王や地方のリーグチャンピオンに引けを取らないであろうことも。

「やっぱり…」

「ん?」

「いえ…。フリーザーをピジョットで一蹴したりして、グリーンさんはそれくらい強いんだろうなというのは、なんとなくわかっていたので…」

リーリエがそう言うと、オーキドは次のポケモンの手当てに向かった。
 ▼ 371 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:27:16 ID:aKvgmHS6 [3/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ほう…。なんとなくでも見抜いておったのか…」

「…はい…。多分、レッドさんにも…」

オーキドはふとリーリエがこぼしたレッドという名を聞き逃さなかった。

「レッドのことを知っておるのか?」

「え?…はい…」

「あいつとライバル関係にあるということもか?」

リーリエはそこまでは知らなかったため、首を横に振った。

「そうなんですか?レッドさんにはカントーへ来てからあまり経っていないときに会ったんですけど、グリーンさんとの関係は知りませんでした」

オーキドはそれを聞き、くくっと笑った。

「そうか…。ポケモンセンターにまだグリーンがいるなら、レッドのことを聞いてみるといい。あいつよりレッドのことを知っている人物はいないじゃろうからな。よし、応急処置はこんなところかのう」

オーキドはリーリエのポケモンたちの応急処置を終え、リーリエにポケモンたちを返した。


リーリエがポケモンセンターに行くと、そこにはまだグリーンの姿があった。グリーンはリーリエが入ってきたことに気づくと、声をかけてきた。

「よっ。遅かったな。もしかしてじいさんが呼び止めたのか?」

グリーンが尋ねると、リーリエはこくりと首を縦に振った。

「はい…」

「そうか…。なんか話してたか?」

リーリエはポケモンセンターの受付にポケモンを預けると、グリーンに向かって切り出した。

「…レッドさんとグリーンさんはライバル関係にあるって…」

「ああ、その話か…。まったく、おしゃべりなじじいだぜ」

グリーンが呆れたようにそう言うと、リーリエはレッドのことを知りたくなってグリーンに質問を続けた。
 ▼ 372 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:28:16 ID:aKvgmHS6 [4/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「私、カントーに来て間もない頃にレッドさんにお世話になったんです。グリーンさん、レッドさんのこと、教えていただけませんか?」

リーリエにそう言われ、グリーンはレッドと自分のことを話そうと決めた。

「まあ、いいだろ。カフェスペースに行くか」

グリーンはリーリエをカフェスペースに連れて行った。


「さて、初めから順を追って話すと1日2日なんてあっという間に経っちまう。何を聞きたい?」

グリーンはリーリエとテーブルに向かい合って座ると、リーリエに尋ねた。リーリエは何を聞けばいいのかわからなかった。

「…えっと…」

リーリエが悩んでいると、グリーンはリーリエに向かって言った。

「そんじゃ、俺の質問に先に答えてもらってもいいか?」

グリーンがそう言うので、リーリエはこくりと頷く。グリーンは質問を続けた。

「リーリエ、君は並みのバッジ5つレベルじゃねえな。バッジ5つ相手のジム戦も何度もやったことがあるが、正直その中でもかなり上位の強さだと思うぜ」

「…ありがとうございます…」

グリーンに褒められ、リーリエははにかんだ。グリーンはさらに続けた。

「何がそこまで君を駆り立てるんだ?特に俺のギャラドスを倒したときの気迫は、俺も一瞬怯みかけたよ。強くなることにすごく強いこだわりを持っているように見えた」

グリーンにそう言われ、リーリエはアローラでヨウ、ミヅキ、ハウと共に島巡りをしたことを話す。そして、母の療養のためにカントーへやってきて、彼らに追いつきたいと願いトレーナー修行をしていることも。グリーンはそれを聞き、ふっとため息をついた。

「なるほど…。君の力の源は憧れ…ってわけか」

「…おかしいですか?」

「いや。そんなことねえさ」

グリーンは自分のグランブルマウンテンを飲み進める。そして、ほっと息をついて窓の外を見つめた。
 ▼ 373 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:28:50 ID:aKvgmHS6 [5/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「…グリーンさんには、憧れる人とかいるんですか?」

リーリエが尋ねると、グリーンは首を横に振った。

「俺にそんな奴がいると思うか?」

グリーンは自信に満ちた目でリーリエを見つめる。しかし、グリーンはその後、その言葉を半ば否定するようなことを言い出した。

「憧れ…とは少し違うかもしれねえが、俺の力の源はやっぱりライバルの存在…だろうな」

「…それがレッドさん…」

「ああ…」

グリーンはリーリエの言葉を否定しなかった。

「俺とレッドは同じ日にトレーナーとして旅立った。当時は俺の方が常にあいつよりも一歩先を進んでいたよ。でも、俺が四天王を倒し、チャンピオンの座についた少し後にあいつがやってきた。あいつが来るだろうってのは俺もわかってたが、そこで負けて三日天下で終わっちまったのはやっぱ悔しかったぜ。その後は俺もあいつをぎゃふんと言わせてやろうといろんなポケモンを鍛え、いろんな戦術を練った。けど、あいつにはなかなか勝ち越せないままだ」

グリーンは懐かしそうに当時の話をした。悔しい思い出と言いながらも、それを話すグリーンはどこか楽しそうにも見えた。と、ここでグリーンはリーリエに尋ねた。

「リーリエはバッジを8つ集めたらどうする気なんだ?セキエイリーグに挑戦するのか?」

「いえ、私はアローラのリーグに挑戦しようと思っています。…そこで、憧れの人たちとバトルしてみたいんです」

リーリエの答えを聞き、グリーンは少し意地悪な質問をした。

「…勝ちたいかい?その憧れの人に」

ニヤリと笑うグリーンを見て、リーリエは言葉に詰まった。
 ▼ 374 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:29:45 ID:aKvgmHS6 [6/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「えっと…、でも、その人はすごく強いし…」

「いいじゃねえか。夢を抱くのに謙虚さなんかいらねえさ」

グリーンはくくっと笑った。きっとリーリエが言葉に詰まるのがわかっていたのだろう。

「きっと夢じゃなくなると思うぜ?このグリーン様のお墨付きだ」

グリーンはグランブマウンテンを飲み干すと、さらに続けた。

「もうトキワジムには挑戦したのか?」

「いえ、それはまだです」

グリーンはそれを聞き、ある提案をした。

「そうか…。トキワジムには是非最後に行ってみてほしいねえ。俺の後任のジムリーダーがいるんだが、そいつも強い相手とのバトルを望んでる奴でな。そいつも俺と同じように、ある宿敵を超えようとしてる。そいつとマジのバトルをやってみてほしい。そんでもし君が勝ったら、マサラタウンに俺を訪ねてきてくれ。俺からアローラリーグへ挑む君への餞別を用意しておくよ」

リーリエはそれを聞き、グリーンと別れた。グリーンの餞別とは何なのだろう?しかし、それよりも今はタマムシジムでエリカを倒すことが先決だった。戦力はだいぶ整ってきている。キュウコン、ファイアローがパーティーに加わったことでエリカとはかなり有利に戦えるはずだ。リーリエは回復したポケモンたちのボールを腰のベルトにつけると、ポケモンセンターを後にした。


その日の夜、マサラタウンの自宅に戻ったグリーンは自室から電話をかけていた。

「もしもし?ああ、俺だ」

「…グリーン?珍しいな。おまえからかけてくるなんて」

電話の相手が意外そうな声を出すと、グリーンは面白そうに笑った。

「せっかく同期が電話したんだから、少しは嬉しそうな声出せよな。まあいいや。おまえに世話になったっていうアローラのトレーナーとバトルした。まだ発展途上だが、ありゃそう時間をかけずに四天王レベルになるだろう」

「…リーリエのことか?」

グリーンの電話の相手、レッドはそのトレーナーの名を言い当てた。そして、レッドはある考えをグリーンに話し始める。
 ▼ 375 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:31:35 ID:aKvgmHS6 [7/8] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「グリーン、俺は近いうちにアローラへ行ってみようと思ってる。実はリーリエちゃんの兄さんがこっちに来てて、そのときバトルした。面白い戦い方をするトレーナーだったよ。見たこともない技で俺のメガリザードンを倒したりしてな」

グリーンはレッドの声の雰囲気から、そのバトルが本当に楽しいものだったのだろうと容易に想像できた。

「へえ、おまえのメガリザードンを倒すとは、すげえじゃねえか。俺も興味がわいてきた。…行くか?アローラ」

「一緒にか?」

「連れないこと言うなよ。血が騒ぐのさ。強い奴とバトルするとな」

「わかった。でもどうする?ワタルからエキシビジョンマッチのチケットをもらったんだが、そいつを見てからにするか?」

「…そうしよう。じゃ、またな」

グリーンはそう言って電話を切った。そして、ポケットからギャラドスナイトを取り出した。

「…危うく使うところだったぜ。バッジ5つのトレーナー相手にな…」

グリーンはそう言って自室にある棚に目を向ける。そこには今までグリーンが集めたメガストーンが飾られていた。グリーンはそのまま自身の所持するメガストーンを見つめる。グリーンは自身の所持するポケモンに対応するメガストーンは全て所持しているが、中にはポケモンは所持していないがメガストーンだけはあるというものもあった。その中で、ある一つをグリーンはしばしの間注視した。そのメガストーンはチルタリスナイト。グリーンはそれを手に取り、指の間で転がす。

「ま、俺が持っていても宝の持ち腐れか…。こんな貴重品をくれてやろうなんて、俺はなんて心が広いんだろうな」

グリーンはこれを手にした彼女がどんな戦いを見せるのか興味が尽きなかった。

「…ちゃんと勝ち上がって来いよ」

グリーンのその声が彼女に届くことはない。だが、グリーンはなぜか彼女が再び自分の前に現れることを心のどこかで確信していた。
 ▼ 376 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/02 15:38:30 ID:aKvgmHS6 [8/8] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第39話はここまでです。
エリカとの再戦までは1〜2話のつもりだったんですが、結局6話使っちゃいましたね。
話の構成がへたくそで申し訳ないです。

次回はタマムシジムでの再戦となります。
その後はセキエイリーグVSアローラリーグ、そしてニビジム、トキワジムという順序で進めていきたいと思っています。
この章もようやく終わりが見えてきたかなというところですね。
それではまた。

 ▼ 377 ドームシ@レッドカード 21/01/02 15:44:36 ID:q1i.cUJI NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
チルタリスナイトキタ━(゚∀゚)━!
リーリエの成長は見ていて楽しいけど、その分後でヨウのことを知る時がこわいな…
支援
 ▼ 378 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 17:57:52 ID:22iYW4IA [1/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。
第40話ができましたので投稿します。
 ▼ 379 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:01:21 ID:22iYW4IA [2/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
Episode 40 再戦!タマムシジム


リーリエは双子島からタマムシシティへと戻ってきていた。一度敗れたエリカにリベンジするためだ。その日の朝、リーリエはタマムシシティのポケモンセンターの前でポケモンたちに食事を与えていた。皆バトル前とあってかもりもりとポケモンフーズを食べており、特にキュウコンはそれが顕著だった。

「キュウコン、進化したばかりでお腹が空きますか?今日はあなたにも戦ってもらうつもりなので、たくさん食べてエネルギーを蓄えてください」

「コンッ!!」

キュウコンは尻尾を振りながら元気いっぱいだとアピールする。エリカは強敵だが、ロコン、ヒノヤコマの進化によって強化されたパーティーならきっと大丈夫だろう。
そして、タマムシジムを再び訪れたリーリエをエリカが迎えた。

「しっかり再戦の準備は整えてきたようですね。ルールは前回と同様、シングルバトルの4対4。交代はチャレンジャーのみと致しましょうか」

「はい。よろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ」

エリカはリーリエを連れてジム内の森の中のバトル場へと向かう。そして、前回と同様に位置についた。リーリエは大きく深呼吸して一つ目のボールを手に取る。その様子を見たエリカは、今度はリーリエが冷静に戦えるだろうと判断した。

「前回とは随分様子が違いますね。私も楽しみです。さあ、行きますよ!」

エリカとリーリエは同時にボールを投げる。エリカの1番手は前回と同様キノガッサ、対するリーリエはファイアローであった。

「ファイアローですか…。キノガッサ、きのこの胞子!」

リーリエの読み通り、エリカはきのこの胞子を指示してきた。

「させません!挑発!」

「アロ!」

ファイアローはキノガッサを挑発し、補助技を使わせない。エリカはきちんとバトルの組み立てをしてきたリーリエを見て感心していた。
 ▼ 380 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:06:28 ID:22iYW4IA [3/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「挑発…。キノガッサ、ならば打って出ますよ!マッハパンチ!」

「ガッサ!」

キノガッサがパンチを放とうとしたその瞬間、リーリエとファイアローはキノガッサに手痛い一撃をくらわせる。

「ブレイブバード!」

「アロ!!」

特性、疾風の翼によりファイアローはキノガッサに先制して強烈な特攻を仕掛ける。キノガッサは吹き飛ばされ、バトル場の周りの木に叩きつけられた。

「ガッサ…ッ…!」

キノガッサはなんとか立ち上がる。やはり気合いの襷を持たせていたようだ。

「キノガッサ…。マッハパンチです!」

「ガッサ!」

キノガッサの腕が伸び、ファイアローはマッハパンチをくらう。しかし、ファイアローはまだ倒れなかった。

「ファイアロー、とんぼ返り!」

「アロ!」

今度はファイアローはとんぼ返りでキノガッサにとどめを刺しながら撤退する。エリカは非常に丁寧なリーリエの戦いに思わずうなった。

「キノガッサ…よく戦いました。リーリエさん、今度はしゃにむに突っ込んではきませんね」

エリカにそう言われ、リーリエは落ち着いた様子で答えた。

「…はい。エリカさんに勝つために私は私のバトルに徹します。キュウコン、頼みますよ!」

「コンッ!!」

リーリエはファイアローと入れ替わりにキュウコンを繰り出す。キュウコンが戦場に出ると、バトル場には霰が降り始める。その霰は光を反射し、キュウコンの幻想的な雰囲気と相まってなんとも言えない美しさであった。
 ▼ 381 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:07:55 ID:22iYW4IA [4/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「キュウコンですか…。ワタッコ、ここは頼みますよ!」

「ワタッ!」

エリカの2番手はワタッコ。多くの搦め手を駆使してくるポケモンである。エリカは降り注ぐ霰を見ながら少しうっとりするようなため息を漏らした。

「…幻想的で美しいですね…。私、寒いのは苦手な方なんですけど…」

「…コン…」

キュウコンは少し左後ろ足を気にするような仕草を見せた。リーリエは少しキュウコンの様子がおかしいと思ったが、ここは自分たちのバトルに徹することにした。まずは自分たちの場を整え、一気に攻め込む。リーリエはそのためにある技を指示した。

「キュウコン、オーロラベール!!」

「コンッ!!」

キュウコンが天へ向かって吠え、リーリエのポケモンたちを守るオーロラが発生する。

…はずだった。

「ワタッコ、日本晴れ!!」

「ワタッ!!」

「!!」

発生しかけたオーロラが消えていく。そして、その代わりにまばゆい日差しが差し込んできた。

「くっ…!キュウコン、フリーズドライ!」

「させません!アンコール!」

エリカはキュウコンの繰り出す技を読んでいたかのように行動を縛る。これではリーリエもキュウコンを下げざるを得なかった。
 ▼ 382 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:09:08 ID:22iYW4IA [5/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「読まれている…!キュウコン、交代です!ファイアロー!」

「アロッ!」

「ワタッコ、とんぼ返り!」

「ワタッ!」

交代したファイアローにワタッコが突っ込み、そのまま撤退する。エリカはリーリエを翻弄していた。

「行きますよ、モジャンボ!」

「モジャ!」

リーリエは入れ替わりにモジャンボを繰り出す。モジャンボは蔓に覆われた体の奥から鋭い目でファイアローを見据えた。

「ファイアロー、この天候を利用しますよ!フレアドライブ!」

「アロ!」

日本晴れの日差しの下では炎技のダメージがアップする。リーリエはそれを利用し、モジャンボに一気に大ダメージを与えようとした。だが、モジャンボはその巨体に見合わぬ速さで攻撃を仕掛けてきた。

「モジャンボ、岩石封じ!」

「モジャ!」

ファイアローの最も苦手とする岩技が降り注ぐ。ファイアローはその一撃に地面に落下した。

「ファイアロー!」

リーリエは信じられないという顔でモジャンボを見つめた。

「特性、葉緑素ですよ。炎技が強化されようと、それよりも早く相手を倒してしまえばよいだけのこと」

エリカはあくまで穏やかに言った。だが、その言葉の奥には彼女の勝負に対する冷徹さも見え隠れしていた。
 ▼ 383 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:10:16 ID:22iYW4IA [6/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
やっぱりこの人は強い…。穏やかに見えて、勝負にはあくまで冷徹…。これがエリカさんの戦い方なんだ…

リーリエはファイアローをボールに戻し、次のボールを構える。ここはもう一度天候を奪って立て直しを図ろう。

「キュウコン、もう一度頼みますよ!」

「コンッ!」

再びキュウコンが現れ、天候が霰に変わる。エリカはポケモンの交代ができないため、ここはモジャンボで再び攻撃を仕掛けた。

「モジャンボ、岩石封じ」

「キュウコン、吹雪!」

キュウコンは霰の吹きすさぶ中吹雪を放つ。モジャンボが倒れ、エリカはモジャンボをボールに戻した。

「打って出てきましたか…」

エリカはモジャンボをボールに戻し、次のボールを構える。

「…あくまで勝ちにいってますから」

リーリエはモジャンボを倒したものの、まだ油断はできないと気を引き締める。残るはワタッコともう一体のポケモン。恐らくエリカの最後の一体は強力なアタッカーである可能性が高い。

「ワタッコ、もう一度頼みますよ!」

「ワタッ!」

リーリエの考え通り、エリカはワタッコを再び戦場に送る。ここはまた日本晴れを使ってくるはずだ。ワタッコは非常に素早いため、こちらが先制して技を繰り出すのは難しい。ここは天候を変えられることを承知で攻撃するしかない。

「ワタッコ、日本晴れ!!」

「ワタッ!」

ワタッコは再び日本晴れを使い、天候を変える。霰は止んだものの、ここでリーリエは打って出る。

「フリーズドライ!!」

「コンッ!!」

キュウコンは強烈な冷気をワタッコに浴びせる。ワタッコは草、飛行タイプであるため氷技は大打撃となる。ワタッコが最後の仕事を終えたところで、エリカは最後のボールを取り出した。
 ▼ 384 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:11:14 ID:22iYW4IA [7/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「ワタッコ、よくがんばりました。あとは仲間に任せましょう」

倒れたワタッコを回収し、エリカは最後の最後のポケモンを繰り出す。現れたのは黒い体に、赤い大きな花を頭につけたポケモン、ラフレシアだった。

「ラフッ!!」

「ラフレシア、最後はあなたに託しますよ」

強い日差しの下でキュウコンとラフレシアが対峙する。キュウコンはその日差しがやはり暑いのか、少し息苦しそうに見えた。

…恐らくラフレシアの特性も葉緑素…。ここは一度キュウコンを下げるべきですか…

「キュウコン、一旦下がりましょう!チルタリス、頼みます!」

「チルッ!」

リーリエはキュウコンを一旦下げ、再び天候を取ろうと考える。だが、エリカはそれすらも読んでいた。

「ラフレシア、眠り粉」

「なっ…!」

「読んでいますよ、それくらいは」

チルタリスは出てきたところにラフレシアは眠り粉をまく。チルタリスの特性は自然回復なので、一旦交代させれば眠りから目を覚ますことはできる。しかし、リーリエなぜかそれは悪手のように感じていた。
勝てるのか?読みに長けるこのジムリーダーに。

「チルタリス…。すみません、ここはこのままお願いします…!」

「チル…!」

チルタリスが睡魔で意識が朦朧とする中、ラフレシアが攻め込んでくる。

「ラフレシア、ヘドロ爆弾!」

「ラフッ!!」

ラフレシアはヘドロ爆弾を放つ。リーリエはそれを見て安易にチルタリスを交代せずによかったと考える。チルタリスは未だに睡魔から抜け出せそうにはないが、果たしてこのまま戦わせるべきなのか。ラフレシアがヘドロ爆弾を撃ってきたということは、氷、フェアリータイプのキュウコンは弱点を突かれることになる。恐らくエリカは交代の可能性も考えており、かつアローラのキュウコンがフェアリータイプであることも知っている。チルタリスはもう一発くらいはヘドロ爆弾を耐えられそうだった。
 ▼ 385 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:12:09 ID:22iYW4IA [8/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「チル…」

エリカはチルタリスとリーリエの様子をじっと見つめる。どうやら交代はなさそうだ。ならばとエリカは隠し玉を指示した。

「ラフレシア、ムーンフォース!」

「ラフッ!!」

ラフレシアがエネルギーを溜めると、淡い光が宙に集まる。そして、チルタリス目掛けて光線が降り注いだ。

「チルタリス!」

「チ…チル…!」

チルタリスはこの攻撃には耐えられなかった。リーリエの最後のポケモンはキュウコンだが、果たしてラフレシアを倒せるのか。リーリエはチルタリスをボールに戻し、キュウコンのボールを握る。ラフレシアに有利な天候を上書きできると言えど、油断は禁物だった。

「…キュウコン…。最後はあなたに託します!」

「コン!!」

キュウコンが再び霰を降らせ、ラフレシアも決着の時が近いことを悟り、目付きが鋭くなる。

「さあ、互いに最後のポケモンですね。リーリエさん、勝負です!」

「キュウコン、吹雪!」

「コンッ!!」

ラフレシアへキュウコンの渾身の一撃が飛んでいく。エリカも思わず着物の袖で目を覆った。ラフレシアに吹雪が直撃したものの、ラフレシアはギリギリのところで耐えていた。

「ラフレシア、ヘドロ爆弾!」

「ラフッ!!」

ラフレシアからヘドロ爆弾が放たれる。キュウコンはそれをかわそうとした。が、キュウコンはしっかりと地面を蹴ることができず、ラフレシアの攻撃の直撃を受けた。
 ▼ 386 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:13:18 ID:22iYW4IA [9/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「キュウコン!…あなた…!」

ポケモンセンターを後にしたときは気づかなかったが、恐らくグリーンのギャラドスと戦ったときに足を傷めていたのが完治していないのだ。

「…どこかで足を傷めたのですか?」

エリカはキュウコンの足の状態について見抜いていた。キュウコンは震える脚で立ち上がり、エリカとラフレシアへ向かってうなり声を上げる。リーリエはこのままキュウコンを戦わせるべきか考える。ラフレシアは霰のダメージを受けながらも次の攻撃に備えていた。次の一撃は何であろうと耐えられない。

「…キュウコン…」

キュウコンは戦闘体勢を解くことはなかった。あと一歩で自分が勝つのだ。リーリエはキュウコンを最後まで信じることにした。

「キュウコン…、あなたを信じます。負けないで…!」

「コンッ!!」

キュウコンは甲高い咆哮を上げた。その瞬間、エリカとラフレシアは最後の攻撃に出た。

「ラフレシア!とどめです!ヘドロ爆弾!」

「キュウコン、氷の礫!」

キュウコンは氷の礫を発射する。ラフレシアからもヘドロ爆弾が放たれ、キュウコンに再び直撃した。

「キュウコン!」

「…コン……」

キュウコンは弱点を突かれ、霰の降る地面に力なく横たわっている。ラフレシアもヘドロ爆弾がキュウコンに当たる前、コンマ数秒の差であろうが、氷の礫の一撃により地面に倒れ伏していた。どうやら相手も戦闘を続行できる状態ではなさそうだ。

「…相打ち…」

リーリエは悔しそうに唇を結んだ。だが、エリカは首を横に振った。

「いいえ。先に攻撃を当て、ラフレシアにとどめを刺したのはあなたです」

確かにコンマ数秒の差とはいえ、ラフレシアに攻撃を先に当てたのはキュウコンだつった。だが、これは勝利と言っていいのだろうか。
 ▼ 387 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:13:44 ID:22iYW4IA [10/11] NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
「エリカさん…。でも…」

エリカはここでリーリエに尋ねた。

「…リーリエさん。キュウコンの様子がおかしいとは思いませんでしたか?もし思っていたなら、それはいつからですか?」

「…それは…このバトルで初めてキュウコンを出したときです」

リーリエはエリカとの再戦で初めてキュウコンを出したときのことを思い出す。エリカはゆっくりと頷いた。

「…なるほど…。脚が痛いはずなのに、隠していたわけですか…」

エリカはキュウコンに近づき、傷薬でキュウコンの体力を回復させた。そして、キュウコンの頬を優しく撫でる。

「リーリエさん、ジムリーダーはトレーナーの戦術やポケモンの強さだけを量っているわけではありません。もうひとつ、一番大切なものがあります。これは何番目のジムであろうと変わりません」

「…?」

リーリエはエリカの言っていることがわからなかった。

「それはポケモンとの絆。キュウコンは脚の痛みを隠してまであなたのために戦い抜こうとした。そして、あなたはそれに応え、かつラフレシアに先制できる技を的確に選んだ。この結果を引き分けだと考える人ももちろんいるでしょう。しかし、私はそうは思いません」

エリカはそう言うと、虹色に輝く花のようなバッジを取り出す。

「タマムシは虹色、夢の色。あなたの夢が叶いますように」

「…エリカさん…」

なぜかリーリエは泣き出しそうになっていた。エリカはそんなリーリエの肩をポンポンと叩き、その手にバッジを握らせた。
 ▼ 388 ルーラJr◆D7AV4ilbZg 21/01/03 18:14:54 ID:22iYW4IA [11/11] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
第40話はここまでです。
次回からセキエイリーグVSアローラリーグ編の開始です。
それではまた。
 ▼ 389 ゴーム@リニアパス 21/01/03 18:16:40 ID:HQawS9rI NGネーム登録 NGID登録 [s] wf 報告
いつも楽しませてもらってます。
支援
 ▼ 390 ジロック@レインボーパス 21/01/03 21:58:36 ID:6ulMJmuM NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
エリカ再戦がとても良かったです。
支援
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