醒めかけの意識に雨の音が聴こえていた。眼を開け ると、部屋の中はうす暗く、二階の窓からは、オボ ンの木の先だけが見えて、伸びた葉が濡れて光って いる。背中が汗をかいて、蒲団まてが湿っぽい。 起きて窓から僕は首を出すと、僕の干した二枚の 下着が重そうに雨に打たれている。干竿からは雨 滴が溜まっては落ちていた。スイクンも、気がつ かないのかわざとなのか、とりこんでくれていな い。時計を見ると三時を過ぎている。僕はまだは っきりしない頭でチェスセットを広げた。今朝、 睡ったのが八時だった。チェスの研究に没頭して いたが結論がに達せず、労力で損をしたような気 持で、ぼんやりポーンを進めていたが、後頭部に は睡気がこびりついていた。風呂へでも入ろうと 、手洗いと石鹸をつつんで陛下のスイクンの下に 降りた。
濡れている干しものを横 目で見ながら、雨の中を外に出た。傘の骨がまた 一本はずれてぶらぶらしていた。湯につかってい ると、幾分か頭がはっきりしてきた。窓から射す 光線が薄いので、浴槽の中は昏れかけたように暗 い。僕は、サーナイトのところへ出かけようと考 えたが、もう四時に近いから多分バトルスポット に出勤して留守だろうと気づき、あとでサーナイ トに電話をしようと思い直した。久しぶりに女の 子に会いに行くのはいいが、この間からメガスト ーンを用意してくれと頼まれていたから、今夜は 絆をより深めていかなければなるまい。それから 絆を深めるアテを考えた。さし当って、今朝の分 のチェス研究資料を惜しみながらもサーナイトに 公開する以外にいい知恵は浮ばない。関係を保つた めにはそれしかないのだ。
鏡の前にしゃがんで僕は髪を整えかけていたが、外 の雨で昏く、電燈もつけないので、顔が黒く映って よく分らなかった。それでもポーンを進める指先だ けは鈍い逆光にひどく芸術的に光った。
濡れている干しものを横 目で見ながら、雨の中を外に出た。傘の骨がまた 一本はずれてぶらぶらしていた。湯につかってい ると、幾分か頭がはっきりしてきた。窓から射す 光線が薄いので、浴槽の中は昏れかけたように暗 い。僕は、サーナイトのところへ出かけようと考 えたが、もう四時に近いから多分バトルスポット に出勤して留守だろうと気づき、あとでサーナイ トに電話をしようと思い直した。久しぶりに女の 子に会いに行くのはいいが、この間からメガスト ーンを用意してくれと頼まれていたから、今夜は 絆をより深めていかなければなるまい。それから 絆を深めるアテを考えた。さし当って、今朝の分 のチェス研究資料を惜しみながらもサーナイトに 公開する以外にいい知恵は浮ばない。関係を保つた めにはそれしかないのだ。
鏡の前にしゃがんで僕は髪を整えかけていたが、外 の雨で昏く、電燈もつけないので、顔が黒く映って よく分らなかった。それでもポーンを進める指先だ けは鈍い逆光にひどく芸術的に光った。
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