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【SS】ルリ「キョウヘイくんのせいだよ」

 ▼ 1 ーフィ@ソニアのほん 21/01/23 13:47:11 ID:rTnwiHW2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
10月31日



今日はハロウィン。街中は仮装に身を包んだ人々で賑わっている。

普段は仕事や学業に縛られ内に秘めた自我を解放し、羽を伸ばす絶好の機会だ。今日という日を待ち望んでいた人も多いことだろう。

しかし皆が皆そうではない。誰かが楽しむためには別の誰かが苦労しなければならない。

休日に遊園地で遊べるのは遊園地で働いているスタッフのおかげ。友人や親戚から年賀状を受け取れるのは配達してくれる人がいるから。

皆が休んだり遊んでいる時に活躍する仕事だってたくさんある。例えばポケドルだってその一つだ。



マネージャー「お疲れ様!後でもう一本収録あるから、それまで休憩ね」

ルリ「はい!」



だから不幸だなんて思ったことはないけれど。好きな仕事だし。

自分が頑張ることで誰かが楽しんだり笑顔になってくれる。忙しいけど…ポケドルはすごく遣り甲斐のある仕事だ。

仕事の合間の息抜きだってある。ライブキャスターで人と話すこと。

ライブキャスターを開発した人は天才だと思う。遠く離れた場所にいる人とも、まるで目の前で対面しているかのように会話し喜怒哀楽を共有できる。

こっちに越してきたのは最近で通話相手が少ないのはちょっと悲しい。

弟にでも掛けてみようかな?……ウザいって言われそう。



ルリ「…あれ?」



ない。ライブキャスターがない。

どこかに置いて忘れてきた?落とした?

そんな…これから私はどうやって生きていけば…

 ▼ 367 ガース@たわわこやし 21/02/02 18:02:17 ID:SgUEePOk [1/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「ならばこの速度にはついて来られるか!?ラスターカノン!!」

キュレム「りゅうのはどう!!げんしのちから!!」



ギュピピピピピピピ!!!ゴアアアアアアアアッ!!!



グズマ「みがわり!」

マッシブーン「FAKE!!」シャッ

キュレム「!?」



マスキートの分身が出現。分身に連続攻撃が命中するが、もちろん本体へのダメージはない。

その隙にマスキートはキュレムの側方へ移動する。



グズマ「きゅうけつ!!」

マッシブーン「CHU!!」ギュン



バチュッ!!



キュレム「…小癪な!!」ギュギュギュ



『みがわり』で攻撃を回避し失った体力を『きゅうけつ』で補填。

このループを延々と繰り返すつもりか…!!
 ▼ 368 ガアブソル@みずべのハーブ 21/02/02 18:02:32 ID:SgUEePOk [2/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「シャドーボール!!ハイパーボイ…」

アデク「むしのさざめき!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいいっ!!」ギュア



ズギャギャギャギャギャギャ!!!



キュレム「があああッ…!」メキメキメキ

アデク「我等のことも忘れるでないぞ!ウルガモスはまだまだ戦える!」



グズマとアデク、マスキートとウルガモス。両者の連携が噛み合い始めた。

息の合った二人の連携攻撃が…キュレムを追い詰めていく。
 ▼ 369 ロリーム@ライボルトナイト 21/02/02 18:03:04 ID:SgUEePOk [3/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「どうなっているのだ…!?」



この男…先刻まで初心者同然だったはず…!

だというのに…今のこいつの力は元チャンピオンであるアデクと遜色ない!



キュレム「何故だ!何が起こればここまで急激に強くなれる!?」

グズマ「……ふふっ」

グズマ「ははははははははははは!!!」

キュレム「…何がおかしい!!」

アデク「グズマ…」



グズマは笑う。しかしその笑みは…相手を嘲る類のものではない。

昂ぶる鼓動。溢れる力。己の進化…グズマは自分自身の変化を楽しんでいた。
 ▼ 370 ロンダ@スーパーボール 21/02/02 18:03:45 ID:SgUEePOk [4/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グズマ(…ごめん。代表)



助けられなくてごめん。

あの後…代表はどうなったのだろうか。無事に逃げ延びられたのだろうか。

逃げ延びたとしても…アローラからは光が失われたことだろう。

ああ見えて代表は責任感が強い。ネクロズマを止められなかったこと、今でも後悔しているだろう。

そしてオレが帰って来なかったことにも責任を感じている。

スカル団…プルメリやあいつらにも謝らなきゃならない。オレがいなくなったらスカル団は事実上の壊滅だ。

面倒見切れなくてごめん。ネクロズマを…倒すべき相手を倒せなくてごめん。



グズマ「クククク…」



もう二度と…お前らの顔を、声を、思い出を…記憶を失くすことなんてない。

どれだけ離れていてもお前らとオレはいつも繋がっている。

申し訳ないと思っている。早く帰って謝りたいと思う。

でも今は…今だけは忘れさせてくれ。



グズマ「ははははははははは……!!」



アデクとの修行で身についた基礎。そしてスカル団ボスとしての本来の実力が融合する。

『型破り』は型があって初めて真価を発揮するんだ。

頭の中に次々と戦術が浮かんでくる。有効か有効でないかも瞬時に判断できる。

破壊衝動に破壊するための方法が伴う。衝動に手段が伴い、壊したいものを自由自在に破壊できる。

今はただ…ポケモン勝負が、生きていることそのものが…

…楽しい!!
 ▼ 371 ゲチック@けいけんアメS 21/02/02 18:04:21 ID:SgUEePOk [5/5] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「……末恐ろしいな」



今のグズマはフロー状態だ。何がきっかけかは知らぬが…凄まじい集中力で戦いを楽しんでいる。

この状態なら指示を誤ることはないだろう。儂とウルガモスはグズマ、マスキートを全力でサポートする!



アデク「いいぞグズマ!マスキート!」

アデク「これが若者の素晴らしさだ…自由に暴れるといい!」

アデク「足りない部分は儂とウルガモスが補ってみせる!」

ウルガモス「ぷひいいいいいっ!!」
 ▼ 372 ンゴロ@ポフィンケース 21/02/02 20:11:44 ID:Om6.Ca8. NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ポケマスの正月イベでキョウヘイとグズマ並べて使ってたの思い出した
 ▼ 373 シギダネ@メガラペルピン 21/02/02 20:47:13 ID:N.kw1gn6 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ここで伏線回収とは…
 ▼ 374 ンシカイオーガ@ぼうけんノート 21/02/03 12:36:32 ID:F5D.X9uA [1/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「シャドーボール!!ストーンエッジ!!」

アデク「だいもんじで相殺!!」

ウルガモス「ぷひーーーーッ!!」ボッ



ドゴオオオオオオオオオッ!!!



火力で勝るウルガモスがキュレムの技を迎撃。すかさずマスキートが攻撃を入れる…という流れだ。



グズマ「突っ込めマスキート!懐に入りこめ!!」

マッシブーン「マッシ!!」ギュン

キュレム「調子に乗るな!はかいこうせん!!」ボッ



ギュババババババババババ!!!!



グズマ「滑り込め!!」

キュレム「何っ!?」

マッシブーン「ブーーーン!!」ズシャアア



マスキートは非常に体が大きく、攻撃を当てようとすると相当上側を狙うことになる。

それ故はかいこうせんと地面との間に大きな隙間ができ、その隙間をスライディングで潜り抜けたのだ。

そして懐に入り込む。眼前には無防備なキュレム…



グズマ「とびかかる!!」

マッシブーン「マッシ!!」バッ



バコッ!!!



キュレム「ぐっ…!」ギシッ

キュレム「ちょこまかと…!苛々させる…!!」
 ▼ 375 ルリア@けいけんアメL 21/02/03 12:37:10 ID:F5D.X9uA [2/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「地面スレスレを抜ける…か。キョウヘイが使っていた戦法だ」

アデク「他者の戦いからもきっちり学んでいるようだな!天晴れだ!」

グズマ「偶々だ!師匠面するんじゃねえ!」

キュレム「………!」

キュレム「お前たちがどれだけ足掻こうと…私は倒れない」

キュレム「はねやすめ!!」キュイイイイ

グズマ「あっ!?」

アデク「回復技…やはり覚えていたか!」



どれだけ削りを入れようと、『はねやすめ』を使えば瞬く間に回復してしまう。

泥沼だ。これではいつまで経っても倒すことは叶わない。



アデク「回復技を覚えている相手。ダメージを与えてもすぐに元通り」

アデク「こんな時はどうする?グズマ」

グズマ「回復するより早く削り落とすだけだ!!」

アデク「わはは!そうだな!」

アデク「もう一踏ん張りだ!気張っていくぞ!」
 ▼ 376 ツベイ@スペシャルガード 21/02/03 12:37:40 ID:F5D.X9uA [3/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
イッシュ地方・とある近空



「………」

「この空気…懐かしいな」



空は青く、海は凪。

『平穏』という言葉を体現したかのような大自然だ。

しかしイッシュ地方は平穏とは程遠い。遠く離れていても、この子が感じ取っている。



「もう少しでイッシュ地方だ。きっとみんな戦っている」

「僕たちも急ごう。手遅れになる前に…!」

「ギャオッ!!」
 ▼ 377 チゴラス@メカニカルメール 21/02/03 12:39:49 ID:F5D.X9uA [4/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「サイコキネシス!!ラスターカノン!!」

マッシブーン「マッシ…!」ミシミシミシ

グズマ「くっ…!マスキート!!」

アデク「いかん…!」



グズマの調子が乱れ始めた。

当然と言えば当然だ。先刻までのグズマは絶好調中の絶好調。ある意味奇跡のような状態だったのだ。

しかし欲を言えばもう少し保ってほしい。これでは回復速度を上回る攻撃などできない。



キュレム「どうした屑魔!?ブッ壊してやるのではなかったのか!?」

グズマ「オレさまの名前はグズマさまだ!!二度と間違えるな!!」

アデク「集中しろグズマ!今のお前さんならできる!!」



ウルガモスも限界が近い。ここで共闘者が弱体化するのは危険だ。

頼む…もっと戦力を!戦力の増強が必要だ!
 ▼ 378 クシオ@ぎんのナナのみ 21/02/03 12:40:53 ID:F5D.X9uA [5/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リョウ「とうっ!!」ピョン

キュレム「!?」

アデク「お前は…!」

グズマ「誰だ!!」

リョウ「ハーイ!遅れてごめんね!」

リョウ「シンオウ地方四天王のリョウです!ヨロシク!」



ここでリョウが参戦。キョウヘイがSOSを発信した最後の一人だ。



キュレム「四天王だと!?しかもむし使い…!」

キュレム「何故よりによってこんな時に!強豪のむし使いがイッシュに集結しているのだ!?」

リョウ「むしポケモンはパーフェクトですから!イッシュ地方の危機を予感して集まってくれたのです!」

リョウ「さあビークイン!君の力を見せてあげよう!」

ビークイン「ジジジ…!」
 ▼ 379 レフワン@きれいなぬけがら 21/02/03 12:41:19 ID:F5D.X9uA [6/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リョウ「こうげきしれい!!」

ビークイン「ジジッ…!」シャッ



ギュオオオオオ……!!



ビークインが指令を出した瞬間、無数の僕たちが束になって襲い掛かる。



ズギャギャギャギャギャッ!!!



キュレム「ぐああああッ!?」ミシミシミシ

キュレム「ぐぬうっ…何だこの痛みは!?」

リョウ「痛いですか?急所に当たったようですね!」

リョウ「そう!『こうげきしれい』は急所に当たりやすい技なのです!」

リョウ「もちろん急所に当たらなくとも素で十分な火力!」

リョウ「ね?むしポケモンってすごいでしょ!?」
 ▼ 380 ホミル@サメハダナイト 21/02/03 12:42:55 ID:F5D.X9uA [7/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グズマ「オレさまを忘れてもらっちゃ困るぜ!」

アデク「ああ…三人ならいける!」

アデク「ウルガモス!むしのさざめき!!」

グズマ「マスキート!きゅうけつ!」



ギャリリリリリリリリリ!!!!

ドチュッ!!!



リョウ「もう一度こうげきしれい!」

ビークイン「ジジッ!!」バッ



ズギャギャギャギャギャ!!!



キュレム「ぐああああっ!!」メキメキメキ



相手が三人に増え、攻撃の数が上昇。

先刻までとは比べものにならないペースで体力が減少していく。



キュレム「この虫ケラどもめ!振り払っても振り払っても集り寄る…!!」



ウルガモスは体力が残り僅か。マスキートなるポケモンの対処にも慣れてきた。

最も厄介なのはビークインだ。遠距離から僕たちを操って攻撃するため、カウンターのしようがない。

『こうげきしれい』の痛みのせいで…ウルガモスとマスキートの迎撃に集中できない!
 ▼ 381 クロッグ@ライボルトナイト 21/02/03 12:43:42 ID:F5D.X9uA [8/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「サイコキネシス!!」カッ

ビークイン「……ッ!?」ギチッ

キュレム「げんしのちから!!」ボッ



ゴシャッ!!!!



ビークイン「ジジッ…」ギシッ

リョウ「ビークイン!」

アデク「しまった!」

グズマ「…チッ!」



『サイコキネシス』で動きを封じ、『げんしのちから』で仕留める。ウルガモスほどの素早さを持たないビークインならこれで攻撃を命中させられる。

いわタイプの技はむしタイプにもひこうタイプにもこうかばつぐん。

ウルガモスとマスキートを放っておいてでも…今はこいつを倒さねば。



リョウ「かいふくしれい!!」

キュレム「なっ!?」

ビークイン「ジジッ!!」キュアアア



倒れていない!?何という頑丈さ!

いや…まさかこれは!



リョウ「『ぼうぎょしれい』です。攻撃が当たる直前に使っておきました」



『こうげきしれい』で体力を削り、他二人を補助。

被弾時には『ぼうぎょしれい』『かいふくしれい』で持ち直す。

最後の参戦者は…キュレムにとって最も戦いにくく厄介なポケモントレーナーだった。
 ▼ 382 ンゲラー@きゅうこん 21/02/03 12:44:11 ID:F5D.X9uA [9/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「はあっ…はあっ…」

ツタージャ「タージャ…」



私は相変わらず氷の粉砕作業に勤しんでいる。

腕が上がらない。足腰も軋むように痛い。

こんなに肉体を酷使したのは久し振りだ。テニスの時ですら…ここまでハードなトレーニングは行ったことがない。



ルリ「明日は筋肉痛かな…」

ルリ「ワンピース着た女の子がやることじゃないよね…」



ふと我に返って虚しくなる。こんな作業に意味なんてあるのだろうか?

キョウヘイくん…私もう疲れたよ…

早く…早く目を覚まして。



ルリ「…やらなきゃ」

ルリ「三人とも…頑張ってくれているんだから」

ルリ「私は私にできることを…」ガンッガンッ



キュレムが追い詰められているのが素人目にもわかる。

希望を捨ててはいけない。キュレムは倒せるし、キョウヘイくんも助かる。

そう信じて戦わなければ。
 ▼ 383 チフサグマ@ガオガエンZ 21/02/03 12:49:08 ID:pk1260ms NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
支援
 ▼ 384 キジカ@むらさきのミツ 21/02/03 13:12:53 ID:KS0MNdn2 NGネーム登録 NGID登録 報告
スレタイで香水かと思った
 ▼ 385 ャヒート@エネコのしっぽ 21/02/03 18:25:35 ID:F5D.X9uA [10/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「があああああああああ!!!!」ドウッ



ズギャギャギャギャギャギャギャ!!!!!



『ハイパーボイス』と『りゅうのはどう』を併用し、全方位に衝撃波を放出。

凄まじい風圧だ。



グズマ「ぐあっ…」

リョウ「わあ!すごい威力…!」

アデク「見た目の派手さに気を取られるな!精度が格段に落ちた…こんな攻撃はヤケクソ同然!」

アデク「あやつも焦っているということだ!」



グズマの覚醒に加えてリョウも参戦。計三人となり、キュレムの攻撃と注意が分散する。

これは好機だ。あの技を使う余裕ができた!



アデク「ウルガモス!ちょうのまい!」

ウルガモス「ぷひいいいいいいっ!!」ギュイイイン



ウルガモスの切り札『ちょうのまい』。強力無比なウルガモスの攻撃力に更なる磨きがかかる。
 ▼ 386 リミアン@ハーバーメール 21/02/03 18:25:58 ID:F5D.X9uA [11/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「好きにはさせんぞ!サイコキネシス!」



シュウウ…



キュレム「!! 技が出ない!?」

リョウ「ビークインの『プレッシャー』が効いていますね。ビークインに対して技を使えば…通常の倍の速度でppが減少していく」

リョウ「『サイコキネシス』は便利で厄介な技」

リョウ「ですが…これまでだ!」

アデク「むしのさざめき!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいっぷ!!」ギュア



ギャリリリリリリリリリリッ!!!!



キュレム「ぐううううっ…」メキメキメキ
 ▼ 387 ンメル@おくびょうミント 21/02/03 18:26:48 ID:F5D.X9uA [12/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「今だお前たち!!ここで決めるぞ!!」

アデク「むしのさざめき!!」

グズマ「とびかかる!!」

リョウ「こうげきしれい!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいいっ!!」

マッシブーン「マッシ!!」

ビークイン「ジジジ…!!」



弱り果てたキュレムの元へ…勝負を決するべく、三体のポケモンたちが襲い掛かる。



キュレム「………」

キュレム「こごえるせかい」
 ▼ 388 バニー@すいせいのかけら 21/02/03 18:27:51 ID:F5D.X9uA [13/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジ ャ キ イ イ イ ッ ! ! ! !



ルリ「………!?」



物音がしなくなった。今の今まで、技の応酬ですごい音が鳴り響いていたのに。

何かが凍るような音と共に、耳が消し飛んだんじゃないかと錯覚するほど静かになった。

その音には聞き覚えがある。非常に忌々しい…悲しみに満ちた音だ。



キュレム「結局…この技に頼ることになるとはな」

キュレム「三体が一斉に距離を詰める瞬間を待っていた。確実に仕留めるためにな」

キュレム「馬鹿な奴等だ。誘いこまれているとも知らずに」

キュレム「体が冷えて仕方ないが…この静寂は堪らなく心地良い」



三人と三体は、纏めて氷漬けにされていた。キョウヘイくんと同じように。

誰一人として動かない。即ち…全滅。

私たちの負けだ。
 ▼ 389 ャスパー@ポケじゃらし 21/02/03 18:28:22 ID:F5D.X9uA [14/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「おい娘。そこをどけ」

キュレム「どうせもう生きてはいないだろうが…念のため止めを刺す」

ルリ「…違う!」

ルリ「キョウヘイくんは生きている!」

キュレム「冷静に考えろ。これだけ長時間氷漬けにされていたんだぞ?どうせ凍死している」

ルリ「念のため、って言ったよね?まだ生きている可能性はあるって…そう考えているんでしょ?」

キュレム「揚げ足取りが上手だな。言い返すつもりはないが…お前も現実を見た方がいい」



私は足が震えていた。

恐怖だろうか。怒りだろうか。悲しみだろうか。それとも…憎しみ?

キョウヘイくんの優しい笑顔が脳裏を過り、目頭が熱くなる。
 ▼ 390 ガヤドラン@こないれ 21/02/03 18:29:14 ID:F5D.X9uA [15/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「『りゅうのはどう』でいいだろう。これを撃ち込めば奴は終わる」ギュイイイ

キュレム「時間をかけてエネルギーを溜めた上で撃ち込む最大火力の『りゅうのはどう』だ。奴の体は粉々になる」

キュレム「娘よ。私は疲れた…もうお前のことはどうでもいい」

キュレム「避けた方がいいぞ。その位置だと巻き添えを喰らう」

ルリ「………」

キュレム「まあ…巻き添えになったところで私は構わないが」

キュレム「命は大切にした方がいい」

ルリ「…どの口が言っているの!!」

キュレム「怒るな怒るな。わかった…運命を共にするのだな?」

キュレム「では…さらば」
 ▼ 391 ロトック@ゴッドストーン 21/02/03 18:30:21 ID:F5D.X9uA [16/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「待てい!!」



キュレム「!?」

ルリ「…アデクさん!?」



氷漬けになったはずのアデクが、口を動かしてこちらに話し掛けている。



アデク「キュレム…いや、ダークトリニティ!!」

キュレム「何故動ける?とはいえ口しか動かせないようだが」

キュレム「…成程。ウルガモスの『ほのおのからだ』か」



ウルガモスの熱が籠った肉体。ウルガモスの近くにいたアデクは、その熱により…他の者より早く融解が進行しているのだ。

ウルガモスも僅かに動いている。意識はあるようだ。



キュレム「何の用だ老い耄れ。そのまま安静にしていれば助かるかもしれんぞ」

アデク「ダークトリニティ!!攻撃するならまず儂を狙え!!」

キュレム「ふん。予想通りの返答だな」

キュレム「断る。まずはゲーチス様の仇を始末する」

アデク「お前と戦っているのは儂だ!まず儂との決着をつけるのだ!」

キュレム「なぜ律儀にそんなこと…そもそも最初に戦っていたのはこの小僧だぞ」

アデク「ここで儂を見過ごせば…儂は必ずお前の首を獲りに向かう!」

キュレム「安心しろ。後でお前たちもしっかり始末してやる」

キュレム「どのみち一週間の命だ。優先順位は守らなければな」



キュレムは聞く耳を持たない。時間稼ぎ…こちらの考えは見透かされているのだろう。
 ▼ 392 イノーズ@あやしいパッチ 21/02/03 18:31:19 ID:F5D.X9uA [17/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「ウルガモス!!まだなのか!?」

ウルガモス「ぷひい…」ジュウウウ



『むしのさざめき』『だいもんじ』。衝撃波にも炎にも、発動するためには空気が要る。

ウルガモスの体は氷でガチガチに固められており、そのせいで上手く技が出せないのだ。

『サイコキネシス』はppが切れた。『ほのおのからだ』で解凍を早める以外の術はない。

だから儂自身が…ウルガモスに頼らず時間を稼がなければならない。



アデク「思い出せ…修行の日々を!」



あの修行で成長したのはキョウヘイとグズマだけではない。逆に儂が…あの二人から学ぶこともあったはずだ。

師が弟子に教えるのと同じく、師も弟子から多くを学んでいる。

何かないか?奴を怒らせる方法。こちらに注意を向ける方法。

例えば…キョウヘイが仕掛けた悪戯…
 ▼ 393 ルーグ@のうてんきミント 21/02/03 18:32:23 ID:F5D.X9uA [18/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*****



キョウヘイ「グズマさん!クイズを考えたので答えてみてください!」

グズマ「何なんだ藪から棒に」

キョウヘイ「では問題です!今から僕が言う台詞は誰の台詞でしょうか!?」

キョウヘイ「『……』」

キョウヘイ「『……!』」

グズマ「……レッドだろ?」

キョウヘイ「ブッブ〜!違いまーす!」

キョウヘイ「正解は…『ジムリーダーたちがプラズマ団の城へ乗り込み七賢人と対峙した際にハチクさんが言い放った台詞』でした〜!」

グズマ「………」

キョウヘイ「驚きました?」

グズマ「今のクイズで驚かすつもりだったのかよ!?」

キョウヘイ「はい驚きましたね。大成功〜!」

グズマ「汚ねえ!」

キョウヘイ「一回は一回です」

グズマ「クソッ…もう同じ手には引っ掛からねえぞ」
 ▼ 394 ラオラ@フラットコール 21/02/03 18:33:09 ID:F5D.X9uA [19/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
*****



キョウヘイ「はーい!今からテンマくんの物真似しまーす!」

グズマ「誰だよ」

キョウヘイ「一部の層に大人気のポケドルですよ。知らないの?」

キョウヘイ「気を取り直して…物真似しまーす!」

キョウヘイ『みんなサイコー!いくぞー!』

キョウヘイ『キミにクイックボール!!』

グズマ「…それを俺に見せてどうしたいんだ?」

キョウヘイ「驚きました?」

グズマ「驚かねえよ!」

キョウヘイ「え〜?驚くと思ったのに」

グズマ「そいつのこと知らねえしピンと来ないんだわ」

キョウヘイ「相変わらず世間知らずだなあ…テンマくんを知らないなんて」

キョウヘイ「ほら。この雑誌に載ってる…この人」

グズマ「ほお…中々整った顔してるじゃん。流石アイドルだな」

グズマ「で?何したんだよそいつ」

キョウヘイ「エレキブルで(自主規制)して炎上したポケドルです」

グズマ「キモッ!!どういうこと!?」

キョウヘイ「驚きました?」

グズマ「驚いたわ!詳細が知りたい!」



*****



アデク「…これだ!!」
 ▼ 395 グマッグ@スターアメざいく 21/02/03 18:34:21 ID:F5D.X9uA [20/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「言いたいことはそれだけか。では復讐の続きを…」

アデク「待て!ダークトリニティ!」

キュレム「くだらん時間稼ぎは止めろ。見苦しい」

アデク「最後に一つだけ…どうしても伝えたいことがあるのだ!」

キュレム「………」

アデク「後生の頼みだ!聞いてくれい!」

キュレム「…何だ。言ってみろ」

アデク「おほん。では…僭越ながら…」

アデク「はーい!今からゲーチスの物真似しまーす!」

キュレム「!?」

アデク「さあかかってきなさい!ワタクシはアナタの絶望する瞬間の顔が見たいのだ!」

アデク「それぐらい計算済みですとも!」

アデク「ワタクシの目論見が!世界の完全支配がっ!!」

キュレム「………」



アデクは必死にゲーチスの台詞を復唱している。

声色まで真似る、正しく迫真の演技だった。



アデク「このワタクシはプラズマ団を作り上げた完全な男なんだぞ!」

アデク「世界を変える完全な支配者だぞッ!?」

アデク「心など…不完全なのです!!」

キュレム「そんな台詞は言っていない!!りゅうのはどう!!」ボッ

アデク「ぶっ…」ゴシャッ

ルリ「アデクさん!!」



キュレムは怒りのままにアデクを攻撃する。

アデクは顔面に衝撃を受け、そのまま気絶した。



キュレム「…不愉快だ!少し寝ていろ!」
 ▼ 396 ブキジカ@どくけしのみ 21/02/03 18:46:34 ID:F5D.X9uA [21/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「待たせたな小僧。思わぬ邪魔が入った」

キュレム「アデクに撃ったそれとは規模が違うぞ。跡形もなく消し飛ばしてやる」カッ



ギュイイイイイイイイイ……!!!



キュレムは口元にエネルギーを集めていく。

一点集中させたエネルギーを衝撃波に変換し、キョウヘイくんを撃ち抜くつもりなのだ。

その時は…キョウヘイくんの目の前にいる私も巻き添えだ。



キュレム「はははは!!遂にこの時が来たのだ!!」

キュレム「ゲーチス様の無念を晴らす時が!!」

ルリ「………」ザッ



ツタージャはボールへ戻した。本人はまだ戦うつもりでいたけど…これ以上は命が危ない。

私はキョウヘイくんを守るように立ちはだかった。

私の体を盾にすれば…緩衝材となって、キョウヘイくんは辛うじて助かるかもしれない。
 ▼ 397 ュゴン@1ごうしつのカギ 21/02/03 18:47:16 ID:F5D.X9uA [22/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「キョウヘイくん」

ルリ「貴方と出会えてよかった」

ルリ「…大好きだよ」



これが私の遺言となるだろう。

私の人生を変えてくれた恩人、世界で一番大好きな男の子へ向けた告白の言葉。生きているうちにどうしても伝えたかった。

キョウヘイくんは自分から告白することに拘っていた。だから私は彼との約束を反故にしたことになる。

ごめん…キョウヘイくん。

どうか貴方だけでも無事でいて…

マネージャーさん。お父さん。お母さん。みんな。

ごめんね…



キュレム「これで終わりだ!!りゅうのはどう!!」カッ



キュレムの放つ最大火力の『りゅうのはどう』。

眩い光を放ち、私とキョウヘイくんに襲い掛かる。
 ▼ 398 ラサリス@ムーンボール 21/02/03 18:49:39 ID:F5D.X9uA [23/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
























「レシラム!クロスフレイム!!」


























 ▼ 399 ャロップ@ヤドランナイト 21/02/03 18:50:16 ID:F5D.X9uA [24/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴアアアアアアアアアアアアッ!!!!!



キュレム「ぐあああああッ!!?」ジュウウウ



空から叩き込まれた巨大な火球…『クロスフレイム』が、キュレムを焼き尽くす。

そして…キョウヘイくんに向けた攻撃は中断された。



ルリ「何が起こったの…?」



突如炎に包まれたキュレム。私は困惑していた。



トウヤ「久し振りだな。キュレム」

トウヤ「いや…ダークトリニティ!!」

キュレム「…トウヤ!!何故貴様がここに!!」



トウヤさん。キョウヘイくんが話していた…プラズマ団を退けた英雄だ。

じゃああのポケモンが…伝説のポケモン、レシラム!?



レシラム「ンバーニンガガッ!」

トウヤ「レシラムが教えてくれたんだ。イッシュが危ないと…」

トウヤ「僕にはレシラムの言葉はわからない。だけど考えていることくらいは何となくわかってしまう」

トウヤ「今のレシラムは僕と同じ気持ちでいる」

トウヤ「僕とレシラムは!ポケモンを苦しめる身勝手な人を許さない!」
 ▼ 400 リムー@ルームサービス 21/02/03 18:51:10 ID:F5D.X9uA [25/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤ「レシラム!あおいほのお!!」

レシラム「モエルーワッ!!」ゴオッ

キュレム「くっ…」

ルリ「わっ…!」



ジュワアアアアアアア……



爛々と光り輝く蒼炎が、私たちを取り囲むように広がる。

キュレムの攻撃で凍り付いた大地がみるみるうちに融解されていく。



アデク「………」ゴトン

グズマ「ぐあっ!」ズシャ

リョウ「…あれ?」バタッ



凄まじい炎の威力だ。凍結されていた人たちが一瞬で解放された。

そして…キョウヘイくんも融解され解放される。



キョウヘイ「………」ズシャッ

ルリ「キョウヘイくん!!」ダダダ



私はキョウヘイくんの元へ駆け寄った。

私が何もできず、ウルガモスでさえ溶かしきれなかった氷を一瞬で融かすなんて。

これが…伝説のドラゴンポケモンの力!!
 ▼ 401 クフーン@だっしゅつパック 21/02/03 18:51:35 ID:F5D.X9uA [26/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「…この私にほのお技でダメージを与えるとは」

キュレム「『ターボブレイズ』か。レシラムの炎は…特性すらも焼き尽くす!」

アデク「トウヤ…!レシラム!よく来てくれた!」

アデク「奴にはむしタイプの技以外効かぬ!だがお前さんのレシラムなら関係なくダメージを与えられる!」

トウヤ「わかりました」

グズマ「アデク。お前…頭から血出まくってるけど。大丈夫か?」

アデク「今動けているということは…大丈夫なのだろう!」

リョウ「よし!みんなの力を合わせて…キュレムにむしポケモンの素晴らしさを教えてあげましょう!」

リョウ「一週間しか生きられないんだもんね?生きているうちにむしポケモンのことたくさん知ってもらわないと!」

トウヤ「この人ってサイコパスなんですか?」

アデク「うむ!だが味方だ!」

キュレム「どいつもこいつも…ベラベラと」

キュレム「耳障りだ!!すぐにまた氷漬けにしてやる!!」
 ▼ 402 シェード@ねむけざまし 21/02/03 18:52:49 ID:F5D.X9uA [27/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「一人増えたところで同じこと!纏めて始末するのみ」

トウヤ「舐められたものだな。僕とレシラムは眼中にないと?」

キュレム「いいや?寧ろ一番気にしている」バチチッ

トウヤ「…何をするつもりだ?」

キュレム「はあっ!!」ビイイイイイ

トウヤ「レシラム!避けろ!」

レシラム「バニッ!!」サッ



キュレムは怪しげな光線を照射する。トウヤとレシラムは身の危険を感じ、回避に専念した。
 ▼ 403 ツロイド@ドラゴンZ 21/02/03 18:53:21 ID:F5D.X9uA [28/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「トウヤ!キュレムはレシラムとゼクロムを吸収することができる!」

アデク「奴の狙いは恐らくそれだ!」

トウヤ「滅茶苦茶だな。確かにそいつは脅威だ」

キュレム「余計な口を挟むな老い耄れ!大人しく寝ていればよかったものを!」

キュレム「顔面に『りゅうのはどう』を受けてなお動けるとは…!本当に人間か貴様!?」

グズマ「マスキート!とびかかる!!」

リョウ「ビークイン!こうげきしれい!!」

マッシブーン「マッシ!!」シャッ

ビークイン「ジジジ…!」ビッ

キュレム「くっ…」



マスキート、ビークインが攻撃。キュレムを妨害する。



グズマ「吸収なんてさせるかよ!」

リョウ「ボクたちがいる限り好きにはさせませんよ!」

キュレム「虫ケラ共め…!!」



レシラムを吸収すれば私の力は更に跳ね上がる。相手が四人だろうと関係ない。

吸収さえ、吸収さえ成功すれば私の勝ちだ…!



レシラムを吸収したいキュレムとそれを阻止したい四名。

吸収が成功するのが先か、キュレムの体力が尽きるのが先か…最後の死闘が開幕した。
 ▼ 404 ガディアンシー@おこづかいポン 21/02/03 18:54:19 ID:F5D.X9uA [29/29] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイくんは動かない。顔色は灰色に近く、唇は紫色に変色していた。

体温の低下とそれに伴う身体機能の損傷だ。このままでは命が危ない。

そもそも…まだ生きているのだろうか?



ルリ「キョウヘイくん!!しっかりして!!」

キョウヘイ「………」

ルリ「キョウヘイくんっ!!」



私は恐る恐る、脈拍と呼吸の有無をチェックした。



ルリ「…動いている!息は…ある!!」



キョウヘイくんは生きてくれていた。

これだけ長時間氷漬けにされていたのに…すごい生命力だ。

感心している場合じゃない!早く…何とかして体温を上げさせないと。



ルリ「ツタージャは…ほのおタイプの技を使えない」

ルリ「私がやるしかない…!」ギュッ



私はキョウヘイくんを抱きしめた。体温を分け与えるのが狙いだ。



ルリ(冷たい…!)



人間の温度じゃない。まるで人形だ。

何もしてあげられなくてごめんね。こんなに苦しい思いをしていたのに。

苦しみながらも、必死にもがいて生きていてくれていたのに。



キョウヘイ「………」

ルリ「お願い…キョウヘイくん」

ルリ「早く戻ってきて…!」
 ▼ 405 クラビス@いかりまんじゅう 21/02/04 13:07:51 ID:mf8MWehs [1/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「はあっ!!」バチチチチ



ギュピピピピピピ……!!



アデク「ウルガモス!だいもんじ!!」

グズマ「マスキート!ドレインパンチ!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいい!!」ボッ

マッシブーン「マッシ!!」ギュン



バチッ!!!



キュレム「おのれ…!!」



キュレムが放つ光線を、ウルガモス、マスキート、ビークインの三体が連携して消し飛ばす。



トウヤ「クロスフレイム!!」

レシラム「モエルーワッ!!」カッ



ジュワアアアアアアアアアアッ!!!!



キュレム「ギャアアアアアッ!!」ジジジジジ



そしてレシラムは攻撃に専念。圧倒的な火力を以て、キュレムの回復速度を上回るペースでダメージを与え続けている。



キュレム「くそ…くそっ…!」

キュレム(せめてあの三体のうち一体だけでも潰せれば…!)



吸収の妨害を行う三体のむしポケモン。

その中で最も体力の限界が近いのは…ウルガモスだ。『ちょうのまい』により火力も上昇しており、排除が優先される。

トラップを仕掛け…奴から先に潰す!
 ▼ 406 ジドラゴ@でんきだま 21/02/04 13:08:30 ID:mf8MWehs [2/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「ハイパーボイス!!シャドーボール!!ラスターカノン!!」



ギャルルルルルルルルルルルル!!!



グズマ「また…!ヤケクソ連続攻撃かよ!」

トウヤ「………」



キュレムの攻撃速度は厄介だが、四人がかりで的を分散させれば大した脅威ではなくなった。

目下最大の懸念は…やはりレシラムの吸収だろう。

そもそも…ダークトリニティと融合した状態で、更にレシラムを取り込むなんて可能なのか?



キュレム「はあっ!!」バチチチチ



来た。稲妻のような光線の攻撃。

あれに触れれば吸収される。対処しなくては。



アデク「むしのさざめき!!」

リョウ「こうげきしれい!!」



ウルガモスとビークインがレシラムの援護に回る。

しかしそれは…キュレムの狙い通りだった。



キュレム「そこだ!ストーンエッジ!!」ズッ

アデク「なっ!?」



ウルガモスが前に出たところへ、キュレムが吸収光線を中断してストーンエッジを放つ。



アデク(まずい…回避が間に合わん!!)
 ▼ 407 キカブリ@げんきのかたまり 21/02/04 13:09:18 ID:mf8MWehs [3/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ズギャッ!!!!



ウルガモス「……ぷひっ!?」

キュレム「何だと!?」

アデク「リョウ…!!」

リョウ「ぐううっ…!」ブシャッ



リョウがウルガモスを突き飛ばし、身代わりとなって『ストーンエッジ』を受けた。

横腹が裂け、鮮血が飛び散る。



グズマ「何てことしやがる…」

リョウ「…大丈夫です。体を捻って、深手は避けました」

リョウ「今ここで…ウルガモスを倒されるわけにはいかない!!」

キュレム「正気か貴様。庇うならポケモンにやらせればよかっただろうに」

リョウ「愛するむしポケモンに対してそんな指示はできませんよ」

キュレム「…異常者め!!」
 ▼ 408 レキブル@よごれたハンカチ 21/02/04 13:10:17 ID:mf8MWehs [4/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「ウルガモス!むしのさざめき!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいっぷ!!」ギュア



ギャリリリリリリリリリリリリリッ!!!!



キュレム「があああっ!!!」ミシミシミシ



すかさず、ウルガモス渾身の一撃がキュレムに突き刺さった。



アデク「リョウ…感謝する!」

アデク「ウルガモスよ!必ずこの恩に報いようぞ!」

アデク「最後まで誇り高く戦い抜く!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいいっぷ!!」

キュレム「………!!」



あんな…二流アイドルみたいな優男にこれほどの覚悟が備わっていたとは。

勝機を失った。同じ手は通用しない。

奴等にはまだ控えのポケモンも残っている。このまま戦い続ければ…先に力尽きるのは私の方だ。



キュレム(一度退き体を休める)

キュレム(…撤退だ!!)
 ▼ 409 ングドラ@ルームキー 21/02/04 13:11:10 ID:mf8MWehs [5/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
お母さんの声が聞こえる。

僕を待ってくれているのかな。僕も…早く会いたいよ。

会って、ちゃんとごめんなさいを伝えたい。ありがとうも伝えたい。

だから…今そっちに行くよ。お母さん。



ルリ「キョウヘイくん!!」

キョウヘイ「!!」カッ



僕はルリちゃんの腕の中で目を覚ました。

僕を呼んでいたのはルリちゃんだった。天国ではなく、現世に呼び戻そうとしてくれていたのだ。

彼女の熱が、感触が、落ちていく僕の意識を復活させた。



ルリ「キョウヘイくん…大丈夫?」

ルリ「私…もう…」

ルリ「駄目なんじゃないかって…諦めかけて…」

ルリ「ごめんね…」



どうして泣いているの?どうして謝るの?

僕を必死に呼び戻そうとしてくれていたのに。



キョウヘイ「…状況は?」

ルリ「え…?」



口が上手く動かせない。小さな声しか出ない。

言いたいことは諸々あるが今はそんな状況ではない。

僕が今になって目覚めたということは…まだ決着がついていないのだ。
 ▼ 410 ココ@ブロムヘキシン 21/02/04 13:11:59 ID:mf8MWehs [6/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「みんな来てくれているな…」



SOSを出したむし使いのトレーナーたちが集結している。本当に有り難い。

更にトウヤさんまで。レシラムならキュレムと互角に戦える…!

駄目元でアーティさんにも連絡してもらったけど…流石に来られないか。

氷漬けにされ、僕は上手く呼吸ができなくなった。そしてそこからの記憶がない。

今生きているのは…ウルガモスが氷を溶かしてくれたのかな。僅かだけど氷が融け、十分な呼吸ができるようになったのだろう。

もしくは…ルリちゃんが頑張ってくれたのか。足元にスコップが落ちている。



キョウヘイ「ルリちゃん…ありがとう」

ルリ「…お礼を言うのは私の方だよ」

ルリ「生きていてくれて…ありがとう」
 ▼ 411 ガヤンマ@ノメルのみ 21/02/04 13:12:30 ID:mf8MWehs [7/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「キョウヘイくん。ここから離れよう」

ルリ「早く病院に…でないと危ないよ」



確かに…僕の体が危険な状態なのはよくわかる。

氷結の寸前に腕で顔を覆い、眼球を保護したおかげで失明は避けられた。しかし…代わりに両腕を激しく損傷してしまった。

凍傷だらけで体中が痛いし、痛み以外の感覚が飛んでいる。



キョウヘイ(手は…動く!)



これならポケモンを出すくらいできるだろう。



キョウヘイ「レシラム…トウヤさんがいる時点で、もう僕たちが負けることはない」

キョウヘイ「だから次に警戒すべきは…キュレムの逃走だ」



あいつはこの場で必ず倒す。これ以上被害を拡大させるわけにはいかない。



ルリ「無理しちゃ駄目だよキョウヘイくん!」

ルリ「せっかく助かったのに…」

キョウヘイ「…ごめん」

キョウヘイ「でも…大丈夫だから」



僕は無理やり笑顔を作り、ルリちゃんに語り掛けた。顔面も傷だらけのため笑うだけで鋭い痛みが走る。

僕の体はもうボロボロだ。体温の低下に加え、凍傷の痛みで全身が悲鳴を上げている。

それでも…想い人から貰った『熱』が、微弱だが強大な熱が…満身創痍の体を限界を超えて押し動かす。

僕はまだ…戦える!!



キョウヘイ「ルリちゃんは先に避難してて」

キョウヘイ「僕にはまだやることが残っている」
 ▼ 412 ョロモ@ソニアのほん 21/02/04 13:25:56 ID:mf8MWehs [8/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤ「あおいほのお!!」

レシラム「ンバーニンガガッ!!」ゴオッ



ゴアアアアアアアアアア……!!



キュレム「ぐう……ッ!!」ジュウウウ



ダメージが回復速度を上回っている…!

こんな化物の相手などしていられない。今すぐ…今すぐにこの場を離れなくては。



キュレム(『はねやすめ』の回復で時間を稼ぐ)

キュレム(隙を見て撤退だ…!)



いくら強力な攻撃を受けようと、『はねやすめ』のppが残っている限り倒れることはない。

このまま…このまま耐え凌げ。

どこかで必ず…逃走のチャンスはやってくる…!
 ▼ 413 ーバーン@サファリボール 21/02/04 13:26:38 ID:mf8MWehs [9/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「ラティオス!かいふくふうじ!!」

ボルトロス「しゅわん!!」カッ



バチッ!!!!!



キュレム「なっ!?」

キュレム「キョウヘイ…!?何故生きている!!」



『かいふくふうじ』により回復技が一切使えなくなる。

これでもう持久戦は不可能。



キョウヘイ「…囲めっ!!」

アデク「よし!」バッ

グズマ「応!」バッ



僕の要求にいち早く反応したのはアデクさんとグズマさんだった。

一瞬遅れてリョウさんとトウヤさんも反応する。

全方位から囲み、逃げ場を封じる。全員で一斉攻撃を仕掛けてキュレムを倒すのだ。



キュレム「………ッ!!」

キョウヘイ「絶対に…ここから逃がすな」

キョウヘイ「この場でこいつを仕留める…!」
 ▼ 414 ッフロン@かたいいし 21/02/04 13:27:48 ID:e2QYKeO6 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ラティオス(ボルトロス)
 ▼ 415 キタンザン@ハイパーボール 21/02/04 13:28:03 ID:mf8MWehs [10/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」ビリビリビリビリ!!

キョウヘイ「!!」

トウヤ「!?」



キュレムが凄まじい雄叫びを上げた。

空気が震えるような、圧倒的な音エネルギー。



アデク「気圧されるなっ!!全員で攻撃するぞ!!」

グズマ「わかってる!!」

リョウ「やりましょう!!」



五体全員の一斉攻撃。これでキュレムを倒せる。

だが…ここに来てキュレムに異変。



キュレム「オオオオオオ……」パキパキパキパキ



キュレムに冷気が集中し、禍々しいエネルギーを放っている。

まさか…この場面であの技を撃つつもりなのか!?



アデク「いかん…!」

トウヤ「レシラム!あおいほのお!!」

レシラム「ギャオオオーーーッ!!」ギュアッ

キュレム「こごえるせかい!!」



ジ ャ キ イ イ イ ッ ! ! ! ! !
 ▼ 416 ランテス@ロトムじてんしゃ 21/02/04 13:29:50 ID:mf8MWehs [11/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ジュワアアア……



トウヤ「………」



これまでで最大威力の『こごえるせかい』。超低温の凍てつく冷気が五人と五体に襲い掛かった。

だが『あおいほのお』が冷気を和らげ、誰一人として氷漬けには至らず。



アデク「…お前たち。無事か?」

グズマ「ああ…!」

リョウ「平気ですよ!」

キュレム「ち、ちくしょう…」

キュレム「そんなバカな…!『こごえるせかい』すらも…!」



相殺しきれなかったものの、表皮が多少凍る程度の軽い氷結。ダメージにはならないだろう。

ただ一人を除いて。



キョウヘイ「………っ」ドサッ

リョウ「キョウヘイくん!?」



疾うに限界を超えていたキョウヘイの体。

僅かな冷気、僅かな体温低下でも…致命傷となってしまったのだ。



キュレム「……ククッ」



ドンッ!!!



アデク「何ッ!?」

グズマ「あいつ…!」



キョウヘイが倒れた隙を突き、キュレムは一目散に逃げだした。
 ▼ 417 ラーミィ@アップグレード 21/02/04 13:30:43 ID:mf8MWehs [12/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「はあ……はあ…っ」ダダダ

キュレム「やった…やった!」ダダダ



既に小僧の体は満身創痍だった。動けているのが不思議なほどの。

そこに二度目の氷結…威力は大したことないが、奴を潰すには十分。

あいつはもう…助からない!



グズマ「あの野郎…!」

アデク「リョウ!キョウヘイの手当てをしてくれ!」

アデク「まだ…まだ助かるかもしれぬ!」

リョウ「はい!」

アデク「グズマ!トウヤ!キュレムを追うぞ!!」

アデク「キョウヘイが繋いだ希望…絶対に無駄にするな!!」
 ▼ 418 ウワウ@ねらいのまと 21/02/04 13:31:56 ID:mf8MWehs [13/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リョウ「キョウヘイくん!しっかりするんだ!」

キョウヘイ「…リョウさん」



意識はある!でも…脈拍が小さくなっていく。

呼吸も弱々しい。近いうちに命が尽きる!



リョウ「大丈夫!キュレムのことは任せてください」



ビークインの力ですぐに治療を始める。

ビークインは他者を治癒するのが不得手だけど…やるしかない。

キョウヘイくんは瞼を閉じて喋らなくなった。でもこれで終わりにはしない。



リョウ「ビークイン!かいふくしれい!!」

ビークイン「ジジジ…!」バッ



キョウヘイくん。君とは必ずもう一度戦う。

今度はPWTの舞台で。むしポケモンの素晴らしさを見せてあげたいんだ。

だから…死なせない!
 ▼ 419 ガミュウツーX@マメかん 21/02/04 19:03:57 ID:mf8MWehs [14/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「ククッ、復讐は成功だ…!!」ダダダ

キュレム「後は迷いの森に潜み…奴等をやり過ごす…!」ダダダ



キュレム…ダークトリニティは勝利を確信していた。

ゲーチスの仇は取った。自分もこのまま逃げられる…と。



グズマ「グソクムシャ!であいがしら!!」



ザシュッ!!!!!



キュレム「!? ギャアアアアアアッ!!」メキメキメキメキ

グソクムシャ「ムシャアアアア!!」



グソクムシャの『であいがしら』が炸裂。

初速に優れた先制技で…いち早くキュレムに追いついたのだ。



グズマ「逃げてんじゃねえぞ!!クソ野郎が!!」

グズマ「キョウヘイを…イッシュの街も滅茶苦茶にしやがって!!」

グズマ「許さねえ…絶対許さねえ!!」

グズマ「ブッ壊してやる!!」
 ▼ 420 スモウム@あかいいと 21/02/04 19:05:17 ID:mf8MWehs [15/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
グズマ「グソクムシャ!シザークロ…」

キュレム「邪魔だ!!」ブン

グソクムシャ「ムシャッ…」バチッ

グズマ「!!」



キュレムはグソクムシャを振り払い、ぐんぐん先へ進む。



アデク「むしのさざめき!!」

トウヤ「りゅうのはどう!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいっぷ!!」ゴア

レシラム「モエルーワッ!!」ドムッ



ギャリリリリリリ!!!ドギュルオオオオッ!!!



キュレム「ぐっ…!」ミシミシミシ



キュレムには命中したが、距離が遠過ぎて十分なダメージを与えられない。



トウヤ「もう少し…もう少しのはずなんだ!」

トウヤ「あいつはもう回復できない!あと一押し!強力な一撃を与えられれば…!」



しかし無情にも…キュレムの足は速く、どんどん距離が離れていく。
 ▼ 421 トライク@わすれもの 21/02/04 19:07:04 ID:mf8MWehs [16/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リョウ「くそっ!まだ足りないのか…!」

ビークイン「ジジ…」



ビークインはよく頑張ってくれた。凍傷の治療、治癒は大方完了したのだ。

だが体温と身体機能の損傷はどうにもならない。傷の処置は終わっているのに…脈拍も呼吸も次第に弱くなっていく。

ボクたちにできるのは、ビークインの力でエネルギーを与え続けること。ポケモンたちの手を借りて体温を分け与えること。

でもそんなの気休めでしかない。キュレムのせいでライモンシティ全土の気温が急激に低下している中、彼の体温を上げるためには炎タイプのポケモンが必要だった。

ウルガモスかレシラムがいてくれたら体温を上げることもできるのに。しかし両者を欠けばキュレムに逃げられてしまう。



リョウ「奇跡でも神変でも何でもいい…!」

リョウ「神様…どうかキョウヘイくんを助けてください…!」



できることをやり尽くし、最後は神頼み。

どうにもならない現実を前に、リョウは無力感に苛まれていた。
 ▼ 422 リゲイツ@オレンのみ 21/02/04 19:09:03 ID:mf8MWehs [17/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「逃がさぬ!!貴様だけは絶対に!!」

グズマ「待ちやがれ!!逃げるな!!」

トウヤ「ここで逃がせば…あいつは更に人とポケモンを傷つけて回る」

トウヤ「そんなこと絶対にさせない!!」



キュレムは脇目も振らずに逃げる。

三名が罵倒、恨み言を飛ばし続けても…一切足を止めることは無い。



キュレム「何とでも言え。私は復讐を果たせればそれでいい」

キュレム「体を癒やしたら…次は小僧の友人から始末して回る」

キュレム「それが終わったらお前たちだ。首を洗って待っていろ」

キュレム「はははは!どうだ小僧!お前のせいで…罪もない人間達が傷つき倒れていく!」

キュレム「私の勝ちだ!ゲーチス様の無念は晴らされたのだ!」

ルリ「させない!!」ザザッ

ツタージャ「タジャ!!」バッ

キュレム「!?」
 ▼ 423 レフワン@おっとりミント 21/02/04 19:11:06 ID:mf8MWehs [18/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリとツタージャが飛び出してきた。茂みの陰に隠れていたのだろう。

走ってキュレムに追いつけるはずがない。キュレムの逃走経路を予測し、待ち伏せていたようだ。



キュレム「何をしている娘…!?」

キュレム「お前なんぞに構っている暇はない!」

ルリ「…いくよ。ツタージャ」

ツタージャ「タジャ!」



*****



キョウヘイ「ルリちゃんは先に避難してて」

キョウヘイ「僕にはまだやることが残っている」
 ▼ 424 メンカ@グランドコート 21/02/04 19:13:04 ID:mf8MWehs [19/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「やることって…?」

キョウヘイ「『かいふくふうじ』で奴の回復技を封じる」

キョウヘイ「キュレムが次に取る行動は逃走だ。勝てないなら逃げるしかない」

キョウヘイ「この近くだと…恐らく迷いの森を目指すだろう。あそこに隠れれば簡単には見つからない」

キョウヘイ「だから早急に仕留めなければならない。そのために回復を封じるんだ」

キョウヘイ「わかった?ルリちゃんはここから離れて」

キョウヘイ「今の弱ったキュレムではもう範囲攻撃は出せないから…距離さえ取れば安全だよ」

キョウヘイ「今回の事件は隠せないし公になる。君がこの場にいたとバレたら今後の活動にも支障が出るからね」



*****



ルリ(ごめん。キョウヘイくん)

ルリ(キョウヘイくんの予想は当たっていたよ。キュレムは迷いの森に向かう)

ルリ(だから待ち伏せることができた)



自分の方が危険なのに…私の心配をするなんて。

相変わらず頭の回転が速いし、変なところで優しい。

いや…不器用なだけなのかな。



ルリ「…ツタージャ!!」



でも戦うよ。私にもできることがあるから。この技なら通用するはず。

大好きなイッシュの街を、キョウヘイくんを、みんなを傷つけたこの人が許せない。



ルリ「『いえき』!!」

ツタージャ「タジャッ!!」ベッ



ビシャッ!!!
 ▼ 425 ュウツー@ソニアのほん 21/02/04 19:15:14 ID:mf8MWehs [20/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「………」

キュレム「待ち伏せてまで使う技が…まさか『いえき』とはな」



私の特性は消失した。もう『ふしぎなまもり』等による無効化はできない。

だが今更それが何だというのか。もっと早く使っておけば良かっただろうに。

まあ…こんな雑魚では不意打ちで使うぐらいでしか命中させることは不可能か。



キュレム「気は済んだか?」

キュレム「お前に用はない。さっさと…」



ドクンッ…



キュレム「!? ……ぐうううっ!!」



何だ?何が起こった?

特性を消失しただけだぞ。攻撃を受けたわけではない。

特性……特性?



キュレム「『のろい』か…!!」

キュレム「『マジックガード』が消失したために…!」



キョウヘイとゲンガーが撃ち込んでいた『のろい』。

『マジックガード』に堰き止められていた力が…再び動き出したのだ。
 ▼ 426 ースト@ヨロギのみ 21/02/04 19:17:05 ID:mf8MWehs [21/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「貴様…よくも…!」

キュレム「力のない雑魚の分際で…!!」

ルリ「………!」

ツタージャ「タージャ!」



キュレムは憎しみの籠った目でルリを睨み付ける。

回復不能状態のところに再び動き出した『のろい』。キュレムの敗北は確定した。



キュレム「吹き飛ばしてやる…!!」キュイイイイイ



最後の足掻きのつもりなのか、キュレムは攻撃準備を開始する。



キュレム「りゅうのはどう!!」



スカッ…



キュレム「!? 技が出ない…!?」



どういうことだ。
まさか…『プレッシャー』によるpp切れ!?



アデク「むしのさざめき!!」

グズマ「シザークロス!!」

ウルガモス「ぷひいいいいいっぷ!!」ドウッ

グソクムシャ「ムシャーーーーッ!!」ヒュガッ



ギャリリリリリリリリリ!!!ザシュッ!!!



キュレム「ぐあああああああ……!!」メキメキメキ



そして遂に…キュレムは膝をついて倒れた。
 ▼ 427 ルノズク@ふしぎのプレート 21/02/04 19:19:06 ID:mf8MWehs [22/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
アデク「ありがとう。君のお蔭でキュレムを倒すことができた」

アデク「後は任せておけ。早くキョウヘイのところへ」

ルリ「…はい!」タタッ

アデク「トウヤ。こいつをどうする?」

トウヤ「まだ分離できていない。止めは僕が刺します」

グズマ「でもこいつ…後一週間で」

アデク「今分離させることができれば、恐らくキュレムは助かるだろう」

アデク「だがダークトリニティは…」

トウヤ「………」

トウヤ「いいんです。僕たちにやらせてください」

トウヤ「僕とレシラムの手で…けじめを付ける」
 ▼ 428 カタンク@ミクルのみ 21/02/04 19:21:06 ID:mf8MWehs [23/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「キョウヘイくん!!」タタッ



私はキョウヘイくんの元へ駆け寄った。リョウさんも一緒にいる。



リョウ「………」

ルリ「…キョウヘイくん?」



リョウさんは涙を流していた。キョウヘイくんに縋りつき、子供のように泣きじゃくっている。

その様子を見て…私はすべてを理解した。



リョウ「…ごめん」

リョウ「ボクは…」

リョウ「もう…できることはやり尽したんだ。だけど…」

リョウ「ごめん…ごめん…!」

ルリ「…謝らないでください。ありがとうございました」

ルリ「リョウさんも…ご自身の手当てをしてください」

リョウ「………ッ!」



リョウさんも怪我をしている。決して軽い怪我じゃない。

そんな状態で…キョウヘイくんのために尽くしてくれた。感謝してもしきれない。

リョウさんだって辛いはずなのに…この人もすごく優しい人なんだ。



リョウ「ボクは…向こうにいるよ」

ルリ「はい…」



気を遣ってくれたのだろう。リョウさんは私とキョウヘイくんを二人きりにしてくれた。
 ▼ 429 ハコモリ@きんのたま 21/02/04 19:23:05 ID:mf8MWehs [24/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
リョウさんとビークインが治療を行ってくれた。

ビークインの『かいふくしれい』は自分自身の治癒しかできない。他者の…それも人間となれば完全に専門外だったはず。

それでも僕の凍傷は殆ど修復された。四天王のリョウさんとビークインにしかできない前人未到の離れ業だ。

この究極のオペの被術者が僕だったという事実だけでも大変な名誉だと思う。

ありがとうリョウさん。ビークイン。

お母さんに逢えたら…まず最初にリョウさんのことを自慢するよ。



ルリ「キョウヘイくん」

キョウヘイ「…ルリちゃん」



目を覚ますと、ルリちゃんが傍に居た。

僕は本当に目を覚ましているのだろうか?視界が不明瞭だ。よく見えない。

体が死ぬ準備を始めているのか。



ルリ「キョウヘイくん。しっかりして」

ルリ「逝かないで…」ギュッ



ルリちゃんが僕を抱きしめる。先刻と同じく、体温を分け与えるつもりなのだろう。

でも無理なんだ。僕はもうすぐに死ぬ。

僕も彼女を抱きしめたいけれど、手も足も動かない。

とうとう目を開けていることもできなくなり、僕は瞼を下した。



ルリ「……!!駄目だよキョウヘイくん!!」

ルリ「目を開けて!!閉じたら…戻れなくなる!!」



そういう問題じゃないよ…

今際の際にいる人って…こんな気持ちなんだな。
 ▼ 430 オスバメ@かたいいし 21/02/04 19:25:10 ID:mf8MWehs [25/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「嫌…」

ルリ「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!」

ルリ「私を置いて行かないで…!!」

キョウヘイ「………」



…口くらいは動くか?

遺言を残さなければ。一言二言が限界かな。
 ▼ 431 デッポウ@とけないこおり 21/02/04 19:27:07 ID:mf8MWehs [26/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「…ルリちゃん」

ルリ「!! 何?キョウヘイくん」



一番伝えなきゃいけないことはわかっている。だけど今それを伝える必要はない。

では他に何を言い残せばいいのか…じっくり考えたいけど時間がない。

なので…一番最初に頭に浮かんだ言葉、心の底から思う願いを言い残すことにした。



キョウヘイ「長生き…してね…」

ルリ「え…?」



ルリちゃんの言葉は正しかった。旅立つ人は…残された人の幸福だけを願っている。

僕や母のようにはならないでくれ。

どうか…誰を恨むことも、誰に憎まれることもない人生を送ってほしい。
 ▼ 432 クジキング@あくのジュエル 21/02/04 19:29:20 ID:mf8MWehs [27/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「キョウヘイくん…待ってよ…」

ルリ「私…まだ…」

ルリ「………」



キョウヘイは瞼を閉じ、口も閉じ、微動だにしない。



ルリ「……ううっ」

ルリ「ぐすっ、ひぐっ…」

ルリ「あああああああ……!!」



愛する人の無事を願う言葉。その言葉を最後に…キョウヘイは事切れた。

動かない想い人を前に、ルリは声を上げて泣き崩れた。
 ▼ 433 タッコ@ダイキノコ 21/02/04 19:31:06 ID:mf8MWehs [28/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キュレム「………」

トウヤ「これまでだ。ダークトリニティ」

キュレム「…ふん」

トウヤ「今からお前を倒し、キュレムの肉体と完全に分離させる」

キュレム「そんなことをしていいのか?」

トウヤ「何がだ」

キュレム「私は自身の命を燃やしてこの力を得た」

キュレム「ここで強引に分離すれば…私は人の姿を保てず消滅する」

トウヤ「………」

キュレム「お前は私の命を奪うことになるのだ。罪を背負って生きていくことになる」

トウヤ「もういいよ。その覚悟は決めた」

トウヤ「レシラム。クロスフレイム」

レシラム「モエルーワッ!!」クワッ



ギュオオオオオオオ……!!



レシラムの頭上に燃え盛るオーラが集中し、巨大な火球が生成される。

善の心を持たぬ者を裁く真実の炎だ。
 ▼ 434 ブカス@ぎんのこな 21/02/04 19:33:06 ID:mf8MWehs [29/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤ「最後に聞いておきたいことがある」

キュレム「…何だ?」

トウヤ「お前たちが僕に渡した『こんごうだま』、『しらたま』、『はっきんだま』…」

トウヤ「ゲーチスの指示だと言っていたな。何の意図があって僕に渡したんだ?」

キュレム「知らない。ゲーチス様の考えは私たちにもよくわからないからな」

キュレム「そう。よくわからなくとも、善か悪かわからずとも…私たちはあの御方についていく」

キュレム「それだけが私たちの生きる意味」

キュレム「ゲーチス様がいなくなれば…私たちの生きる意味も失われてしまう」

キュレム「だから…復讐のために命を投げ出すことができた」

トウヤ「…そうか」
 ▼ 435 リーパー@あかいかけら 21/02/04 19:35:08 ID:mf8MWehs [30/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤ「何か他に言い残すことはあるか」

キュレム「我等ダークトリニティは…今までも今もこれからも、ゲーチス様の忠実な部下」

キュレム「ゲーチス様のために戦うこと。それだけが私たちの存在意義」

キュレム「この命尽きようとも…私たちは貴様等を憎み続ける」

キュレム「ゲーチス様のために…!」

トウヤ「…やれ!」

レシラム「ンバーニンガガッ!!」ギュオッ



ズドオオオオオオオオオン!!!!!



キュレム「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!」ジュウウウウウウ
 ▼ 436 トカゲ@ホロキャスター 21/02/04 19:37:10 ID:mf8MWehs [31/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ゴアアアアアアアアアアアア………!!!!!



キュレム「ゲーチス…さま…」

キュレム「今…」

キュレム「そち…ら」

キュレム「へ…」



『クロスフレイム』が炸裂し、キュレムとダークトリニティが分離。

ダークトリニティは消滅した。
 ▼ 437 きりーな◆OC.9l830sc 21/02/04 19:37:54 ID:Y32.yIjs [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
キョウヘイが死んじゃった……だと……?
 ▼ 438 ガイアス@まんぷくおこう 21/02/04 19:39:07 ID:mf8MWehs [32/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ピコン。



ルリ「!」



突然、私の元へメールが届いた。



ルリ「…なんで?」



キョウヘイくんからだ。キョウヘイくんからのメールが届いた。



ルリ「どうして…キョウヘイくんはここにいるのに」

ルリ「じゃあ…時間指定…?」



キリの良い時刻に届いたため、やはり時間指定の送信予約をしていたのだろう。

私は気になって本文に目を通す。



ルリ「!!」

ルリ「……ううっ…!」



そこに記載されていたのはたった一言。

『大好きです』の五文字。
 ▼ 439 マガル@メタグロスナイト 21/02/04 19:41:07 ID:mf8MWehs [33/33] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
ルリ「キョウヘイくん…何を企んでいたの…?」

ルリ「これ…サプライズか何かで使うつもりだったんでしょ?」

ルリ「普通に伝えて欲しかったんだけど…」

ルリ「……ふふっ」



実にキョウヘイくんらしい。一体どのようなサプライズを企んでいたのだろうか。

涙を流しながらも、私は思わず笑みを零す。



ルリ「あはは…可笑しい」

ルリ「やっと…キョウヘイくんの気持ちを聞くことができたね」

ルリ「嬉しいよ。ありがとう…」



私も…彼の気持ちに答えなければ。



ルリ「私もね、キョウヘイくんのことが大好きなの」

ルリ「両想いなんだよ…私たち」

ルリ「両想い…」

ルリ「………」

ルリ「…何か言ってよ。答えてよ」

ルリ「サプライズ大成功でしょ?ねえ?」

ルリ「………」

ルリ「うううっ…」



キョウヘイくんは私に『必ず想いを伝える』と約束していた。

死してなお…彼はその約束を果たしたのだった。
 ▼ 440 ルペコ@ルガルガンZ 21/02/04 19:58:37 ID:aF1cQUP2 NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
えっ……………………
涙止まらん………
もうすでにスタンディングオベーション
支援
 ▼ 441 イゼル@アクセサリーいれ 21/02/04 20:22:17 ID:gkr6I8wc NGネーム登録 NGID登録 報告
おいおいおいおいおいおい
 ▼ 442 クラビス@しんかいのキバ 21/02/04 20:26:14 ID:e2QYKeO6 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
未完結だけどまとまるべき名作
 ▼ 443 きりーな◆OC.9l830sc 21/02/04 20:41:50 ID:Y32.yIjs [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
これってルリが生涯を独身で通したのが「キョウヘイくんのせいだよ」って事?
 ▼ 444 モネギ@けいけんアメL 21/02/05 00:22:13 ID:PHQQptkE NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そんな…
 ▼ 445 ニゴーン@あおいバンダナ 21/02/05 04:20:48 ID:UwS6yjFo NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
嘘やろ.......

支援
 ▼ 446 きりーな◆OC.9l830sc 21/02/05 13:56:41 ID:DtxErtKE NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
これって他者を回復できるアブリボン、キュワワーを持ってるリーリエと冷え切った体を温めるほのおポケモンがいたらキョウヘイは助かったかもしれない可能性が……
 ▼ 447 リーセン@スパイスセット 21/02/05 15:53:51 ID:E456cElk NGネーム登録 NGID登録 報告
さようなら ありがとう 声の限り

ダークトリニティはイカ臭いおっさん運ぶだけにしといてくれ
いやまじで
 ▼ 448 ンベアー@ハガネZ 21/02/05 17:07:52 ID:zBIUBfgo NGネーム登録 NGID登録 報告
>>446
つまりアデクのじいさんが馬鹿丸出しでキュレムに行かずウルガモスで暖めたら大丈夫だった可能性が
 ▼ 449 きりーな◆OC.9l830sc 21/02/05 18:25:51 ID:5QrElGXo NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告
>>448
そうかもね……、それと他者を回復出来る技をポケモンを持ったトレーナーがいれば……
 ▼ 450 ンヤンマ@カムラのみ 21/02/05 19:01:06 ID:PbugPlDk [1/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
N「キョウヘイ!!」ダダダ



Nがやってきた。体中に包帯を巻いている。



トウヤ「N!?」

N「トウヤ!どうしてここに!?」

N「…いや、ボクと同じか」

N「レシラムが連れてきてくれたんだね。イッシュが危ないと察知して…」

N「話したいことは多いけど…今はそれどころじゃない!」

N「キョウヘイ!キョウヘイは何処にいる!?」

トウヤ「…あそこだよ」



Nはトウヤが指さした方を見る。

そこには…動かなくなったキョウヘイと泣き縋る少女。



N「……!そんな…」

N「間に合わなかったか…!」



Nは瞳を閉じ、唇を噛み締めた。

あと少し早く来ていれば…友の命を助けられたかもしれない。そう考えると非常に遣る瀬無い。
 ▼ 451 ッウ@ヨロギのみ 21/02/05 19:03:07 ID:PbugPlDk [2/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤ「どうしてそんな怪我をしているんだ?」

N「隕石に巻き込まれてね。街の被害は抑えられたけど…ボクは間近にいたから」



ヒウンシティは壊滅を逃れていたようだ。

救急、消防車のサイレンは聞こえるが…高層ビル群は健在で、いつも通りに灯りが灯っているのが遠目にもわかる。



N「さて…少し話を聞きたいトモダチがいるんだ」

N「ゼクロム!目は覚めているんだろう?出ておいで!」

ルリ「わあっ!?」シュポッ



ギュアアアアアアアアア……!!!



Nの呼び声に反応し、キョウヘイのバッグからダークストーンが飛び出した。

そして周囲のオーラを吸収。強烈なパワーに変換し…解き放つ。



ゼクロム「ババリバリッシュ!!」ズン

ルリ「…ゼクロム!?」
 ▼ 452 イボルト@じめんのジュエル 21/02/05 19:06:50 ID:PbugPlDk [3/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
N「ゼクロム。やはり目覚めていたんだね」

ゼクロム「………」

N「キョウヘイは素晴らしい理想を胸に抱いていた。キミはそれを感じ取っていたはずだ」

N「どうしてカレに力を貸してあげなかったんだい?」

ゼクロム「…バリリ」

N「成程。キュレムに吸収されるのを警戒していたんだね」

N「キミは一度吸収を経験している…その判断は確かに正しい」

N「でも…キミが力を貸していれば、キョウヘイは助かったかもしれないんだ」

ゼクロム「………」
 ▼ 453 ズレイド@ルガルガンZ 21/02/05 19:09:04 ID:PbugPlDk [4/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤ「君。少しだけ彼から離れてくれないか?」

ルリ「え?どうして…」

トウヤ「彼を…キョウヘイを蘇生させる」

ルリ「!!」



トウヤは衝撃的な言葉を放った。その場にいた誰もが息を飲む。



ルリ「そんなこと…できるんですか?」

トウヤ「わからない。でもやらないわけにはいかない」

トウヤ「キョウヘイはイッシュを救った英雄だ。ここで喪っていい人間じゃない」
 ▼ 454 コザル@タマゴふかポン 21/02/05 19:11:01 ID:PbugPlDk [5/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
トウヤ「レシラム。頼んだよ」

レシラム「モエルーワッ!!」ボッ



ギュアアアアアアアア……



レシラムから橙色の炎が伸び、キョウヘイの遺骸に注ぎ込まれていく。

生命エネルギーと熱を蓄えた光の束だ。冷え切って限界を迎えたキョウヘイの肉体を、包み込むように温めていく。

細胞の化学反応に必要な熱を供給し、生命活動再開への準備を整える。

緻密な熱操作を可能にする技量と、膨大なエネルギー量を併せ持つレシラムにしか成し得ない芸当。正に神業だ。

キョウヘイの体は橙色の光が灯り、眩く輝いている。



トウヤ「…レシラムにできるのはここまでだ」

トウヤ「凍傷の方は…ビークインが治療してくれたんだよね」

トウヤ「よし。後は任せたよ」
 ▼ 455 ルロック@ひかりのいし 21/02/05 19:13:04 ID:PbugPlDk [6/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
N「さあゼクロム。キミの出番だ」

N「復活に必要な力はレシラムが与えてくれた。後は低体温症で停止した臓器が動き出せば蘇生できる」

N「キミの電撃が必要だ。キミなら…電気操作による心肺蘇生も可能なはず」

N「キミがカレを英雄と認めるならば、カレと共に歩みたいと思うならば…カレを助けてやってほしい」

ゼクロム「………」

ルリ「お願い。ゼクロム…!」



ゼクロムは静かにキョウヘイを見つめている。

キョウヘイの運命はゼクロムに託された。

英雄となれるのか、胸に抱く理想を実現できるのか。すべての運命がここで決まる。
 ▼ 456 ガハッサム@クイックボール 21/02/05 19:15:03 ID:PbugPlDk [7/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
僕は薄暗い闇の世界を歩いている。

あの世へ繋がる一本道。いや、天国と地獄があるなら…二本道か?

周りはよく見えないけれど、正しい方角くらいは判断できる。

こっちへ進めば進むほど暗くなっているから…この方向に進めばあの世へ行ける。

僕って天国行き?それとも地獄行き?

天国がいいな。お母さんに会いたいし…お父さんにも会ってみたい。



『馬鹿なことを言うな。お前は地獄へ行くのだ』

『ゲーチス様の前で跪き、地に額を擦り付けて謝罪しろ』



キョウヘイ「…それを決めるのはお前じゃない」



閻魔大王だか何だか知らないけど、死者の行き先を決める偉い人がいるはずだ。

その人の審判に従おう。

…ゲーチスとかいうオチは止めてよ?
 ▼ 457 クシオ@ゆれないおまもり 21/02/05 19:17:03 ID:PbugPlDk [8/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「……ん?」



分かれ道だ。よく見えないけどすぐにわかった。

一方の道は温かく、もう一方は凍えるように冷たい。

ここが…天国と地獄の分かれ道なのか。



キョウヘイ「もう寒いのは嫌だな…」

キョウヘイ「自分で選んでいいんだよね?こっち行こっと」



『逆だ。お前はそちらへは行けない』

『こちらへ来い。ゲーチス様がお待ちだ』



キョウヘイ「うっさいバーカ!ゲーチスゲーチスしつこいんだよ!」

キョウヘイ「そんなに好きならゲーチスのアレでもしゃぶってろ!」ダダダ



捨て台詞を吐き、僕は天国への道へ走り出した。
 ▼ 458 ヌギダマ@はかせのふくめん 21/02/05 19:19:10 ID:PbugPlDk [9/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
先へ進むにつれ、まるで湯舟に浸かっているかのような浮遊感と温かさを感じるようになった。

足元には無数の彼岸花が咲き誇っている。



キョウヘイ「あったけえ…生き返るわ〜」

キョウヘイ「今なんかすごい可笑しなこと言ったよな…」



『キョウヘイ』



キョウヘイ「!! この声は…」



キョウヘイの耳に、聞き慣れた懐かしい声が響く。

幼少期から聞いていた、今となっては帰らぬ声。



キョウヘイ「お母さん!そこにいるのか!?」



『キョウヘイ。ここにいるよ』



キョウヘイ「よかった…今から僕もそっちに行くよ」

キョウヘイ「会って言わなければならないことがたくさんあるんだ」
 ▼ 459 タッコ@じしゃく 21/02/05 19:21:03 ID:PbugPlDk [10/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『戻りなさい』



キョウヘイ「…え?」



『こちらに来ては駄目。戻りなさい』



キョウヘイ「な、なんで…」



『あなたのことを待っている人がたくさんいるでしょう』



キョウヘイ「!!」



『ちゃんと生きて。生きて…みんなを笑顔にしてあげて』



キョウヘイ「……!」

キョウヘイ「そうか…わかったよ」

キョウヘイ「じゃあ…戻るわ」

キョウヘイ「またなお母さん!俺…ちゃんと頑張るから!」ダダダ
 ▼ 460 ケッチャ@イトケのみ 21/02/05 19:23:03 ID:PbugPlDk [11/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『…キョウヘイ』



あなたには…たくさん辛い思いさせちゃったね。

物心つく前にお父さんを亡くして、父親の顔も知らない。

それを気にしていることも知っていた。

親として一生懸命に育てたつもりだけど、それでも不自由することはあったと思う。

なのに…あなたはたくさん努力して、チャンピオンにまで登り詰めて見せた。



キョウヘイ。あなたはお母さんの誇りなんだよ。

あなたに出会えて本当によかった。あなたの母親になれて幸せだった。

だからどうか自分を責めないで。あなたが辛いとお母さんまで辛くなるから。

もう傍には居られないけれど、お母さんはいつもあなたを見守っているから。

今はただ…友達のところへ。大好きな人のところへ。



『いってらっしゃい。気を付けてね』
 ▼ 461 ハコモリ@マメかん 21/02/05 19:25:03 ID:PbugPlDk [12/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「はあ…はあ…」ダダダダ

キョウヘイ「そうだ…僕が馬鹿だった!」

キョウヘイ「僕が帰らなかったらヒュウとメイはどうなる!?」

キョウヘイ「また何もできなかったって…一生悔み続けることになるんだぞ!」

キョウヘイ「それからルリ…ルリちゃんもだ!」

キョウヘイ「『長生きしてね』とだけ言い残して置き去りなんて身勝手極まりない!」

キョウヘイ「想いを託すとか言えば聞こえは良いけど…彼女にとってその言葉は呪いになり得る!」

キョウヘイ「誓ったはずだ。みんなのことも…自分のことも幸せにする!」

キョウヘイ「それが僕の理想だ!」

キョウヘイ「ここで絶命したらその理想も露と消える!」
 ▼ 462 ノムッチ@のろいのおふだ 21/02/05 19:27:02 ID:PbugPlDk [13/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
『!! 戻ってきた!?』

『理解したか!お前の行き先はこっちだ!』



キョウヘイ「僕は現世に帰る!」



『馬鹿を言え!お前の肉体はもう死んでいる』

『帰ることなど不可能だ!』



キョウヘイ「………」



『わかったな?では早くこちらへ』




ゴシャッ




『ぐわああああああああああ!!??』



僕は奴の股間を力一杯蹴り上げた。

暗くてよく見えないがとても痛そうだ。



キョウヘイ「健康には気を付けろよ!元気でな!」



『待っ…』



キョウヘイ「バイビー!サヨナラ…!アローラ!」ダダダダ
 ▼ 463 クーン@ひかりごけ 21/02/05 19:29:07 ID:PbugPlDk [14/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
バチッ!!!



キョウヘイ「!!」

キョウヘイ「これってまさか…ゼクロムの!?」



突如、暗闇の中で青い稲妻が走った。

稲妻は空間をヒビ割るように流れていき、ヒビが拡大して巨大な裂け目が発生した。



キョウヘイ「…間違いない!」

キョウヘイ「あの裂け目を通れば…現世に帰れる!」



早く戻りたい。あの美しい世界へ。

豊かな自然と目を見張る大都市が共存するイッシュ地方へ。

大好きなポケモンたちの元へ。大好きな友達の元へ。

尊敬する先輩の元へ。優しい師匠の元へ。愉快なお兄さんの元へ。

ちょっと特別なあの子の元へ。



キョウヘイ「僕は生きる!みんなのために!僕自身のために!」

キョウヘイ「己の理想を叶えるために!!」

キョウヘイ「おらあああああああああっ!!!!」ダンッ



心の内を叫びながら、僕は裂け目に飛び込んだ。
 ▼ 464 ングマ@デンキZ 21/02/05 19:31:27 ID:PbugPlDk [15/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
____

______________

____________________________






ルリ「キョウヘイくん!!」

キョウヘイ「!!」カッ



僕は目を開けた。息をしている…空気が美味しい。頬を撫でる風は心地良い。

目の前にはルリちゃんがいた。彼女の美しく輝く瞳と目が合う。



キョウヘイ「ルリちゃん…」

キョウヘイ「睫毛…長いね?」

ルリ「……え?」



思ったことが口をついて出た。ルリちゃんは困惑の表情を見せる。



ルリ「いっ、今そんなことどうだっていいでしょ!?」

キョウヘイ「何だよ…せっかく褒めたのに」



周りにはみんながいて、僕の無事を知り安堵している。リョウさんが号泣しているのがちょっと面白かった。



ルリ「よかった…」

ルリ「もう…本当によかった…」

ルリ「ぐすっ…うううっ…」

キョウヘイ「………」

キョウヘイ「…泣くなって。大丈夫」

キョウヘイ「僕はもう…君を置いて行ったりしないから」



そう言って、僕は彼女に微笑んだ。
 ▼ 465 オガラス@タウンマップ 21/02/05 19:33:06 ID:PbugPlDk [16/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「僕を蘇生させてくれたのは…レシラムとゼクロムかな?」

キョウヘイ「どうもありがとう」

トウヤ「はは。聞いていた通りだ…随分と頭の回転が速いね」

トウヤ「Nと張るかもしれない。面白い子だ」

N「キョウヘイ。ゼクロムは目覚めた…他ならぬキミのために」

N「キミこそが次の英雄だ。今からゼクロムと戦い、仲間にするんだ」

ゼクロム「バリバリダー!!」

キョウヘイ「マジかよ。超疲れたんだけど」

トウヤ「レシラムが与えたエネルギーを使えば少しは動けるはずだ。早く済ませて」

キョウヘイ「何でみんな僕に厳しいの?」

ルリ「無理はしないでね。キョウヘイくん」

キョウヘイ「ありがとう。でもルリちゃんの『無理しないで』は『絶対押すなよ!』みたいなもんだから…」

ルリ「えっ」
 ▼ 466 ョンチー@ペアチケット 21/02/05 19:35:03 ID:PbugPlDk [17/17] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
キョウヘイ「さあやるぞ!」

ウォーグル「ギャオオオッ!!」

ルリ「相性最悪だけど大丈夫?」

キョウヘイ「そうなんだけどね。でもゼクロムと戦えるなんてすっごいチャンスだろ?」

キョウヘイ「やはりここは僕の相棒で行きたいのさ」

キョウヘイ「ウォーグルと一緒だからここまで来れたんだ。重要局面はいつもこの子に任せている」

ゼクロム「バリリッ!!」

N「ゼクロムが何と言っているか教えてあげるよ」

N「『お尻が痒い。早く済ませよう』」

キョウヘイ「内容に応じて教えるか教えないか柔軟な対応をお願いします」

キョウヘイ「どいつもこいつも早く済ませようとしやがって…」

キョウヘイ「いっそ長引かせてやるわ!覚悟しろゼクロム!」

ゼクロム「ババリバリッシュ!!」



伝説ポケモンの力は甘くはなく、ウォーグルは倒されてしまった。

それでも最終的にゼクロムは僕の仲間になってくれた。

これで僕もようやく自分を許し、認めることができる。

これからよろしくなゼクロム。理想の実現のため…共に歩んでいこう。
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