ソニア「最高のバレンタインデーに乾杯!」:ポケモンBBS(掲示板) ソニア「最高のバレンタインデーに乾杯!」:ポケモンBBS

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ソニア「最高のバレンタインデーに乾杯!」

 ▼ 1 WZienuer1k 21/02/01 14:20:56 ID:EU1ElnaI [1/14] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「スコッチ、ウォッカ、ワイン、エール、シードル……ふふ」

ワンパチ「…………」

ソニア「それに……バレンタインデー限定のチョコレートリキュール!どんなカクテルにしようかな?」

背中のリュックから 酒瓶が擦れる幸せな音が聞こえる……▼

ソニア「いやあ、ワンパチ!今年もバレンタインデーが楽しみで仕方がないね!」

ワンパチ「ヌワ……」

ソニア「何よその目は……もしかしてあたしの肝臓を心配してくれてるの?」

ワンパチ「イヌヌワ!」

ソニア「うわあ!何で吠えるのさ!」

ワンパチ「ガルルルル……」

ソニア「あー……そういうことね!大丈夫だって安心してよー!平気平気、あたしとおばあさまにかかればこんな量大したことないからさ」

ワンパチ「ハァ……」

ソニア「ほんと、おばあさまって最高よね!独り者にうるさいシルバー世代が多い中、我らがクイーン・マグノリアは恋より酒を楽しめって笑ってくれるんだから!」

ワンパチ「……?」

ソニア「さて、お酒は決まったけど、おつまみは何かな?去年はおじいさまが用意してくれたトリュフチョコだったけど、今年はしょっぱい系のものが……」

ワンパチ「ヌワ!」カシカシ

ソニア「……って、ワンパチ?」

ワンパチ「ヌワ!ヌワワッ!!」タタタッ

ワンパチは広場の方へ一目散に駆け出していった!▼

ソニア「あっ!ちょっと!どこ行くのよーっ!」
 ▼ 2 WZienuer1k 21/02/01 14:23:46 ID:EU1ElnaI [2/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


──2月1日──


 ▼ 3 WZienuer1k 21/02/01 14:25:35 ID:EU1ElnaI [3/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

【ブラッシータウン】

ソニア「ちょっとワンパチ……いきなりどうしたの、って!」

??「…………」

フードを深く被った男性が ベンチに座ったままキャリーケースに突っ伏している……▼

ワンパチ「ヌワ……!」

ソニア「ちょ、あの、大丈夫ですか……?」

??「……あ」

ソニア「……えっ」

フードの下から 見覚えのある顔が覗く……▼

ソニア「ネズ……さん?」

ネズ「マリ……ィ、じゃない、って……何であなたがここに……」

ソニア「それはこっちのセリフですよ!ネズさんこそ……どうしてここに?」

ネズ「…………」

ネズは 今にも死にそうだ……▼

ソニア「救急車……呼んだ方がいいかな」

ネズ「待って、大丈夫……ちょっと、熱、出してしまって……あー……キッツ……」

ソニア「めっちゃ辛そうじゃないですか……!」

 ▼ 4 WZienuer1k 21/02/01 14:27:59 ID:EU1ElnaI [4/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ワンパチ「ヌワ……」

ソニア「……ワンパチ、ネズさんのこと、教えてくれてありがとう」

ワンパチ「イヌヌワ」

ネズ「とにかく……その、おれは大丈夫だから……ほっといてください」

ソニア「いやいや!どう見たって大丈夫じゃないでしょ。あたしが支えるんで、今から近くの病院に……」

ネズ「だから、平気だって……第一、おれは一人じゃ……」

ワンパチ「?」

ネズ「……ああ、噂をすれば」

ソニア「えっ?」

マリィ「アニキ、おいしいみず買ってきた……って、ソニアさん!?」

ソニア「マリィ!ネズさん死にかけてるけど……どうしちゃったの?」

マリィ「えっと……ちょっと待ってね。アニキ、ほら」

ネズ「ありがとうございます……」

ネズは おいしいみず を手に入れた!▼

ネズ「ハァ……」

ソニア「本当に大丈夫ですか……?」

マリィ「アニキ、朝から身動き取れなかったらしくて……変な病気とかじゃなくて、寒さと疲労で風邪を拗らせただけらしいんだけど」

ソニア「そっか……病院には行った?」

マリィ「行ったというか、朝一でホテルから搬送されたんだよ。それで診察されて、点滴受けて、動けるようになったなら帰りなさいって言われたの」

ソニア「それマジ?症状の割に扱いが雑すぎるだろ……」

 ▼ 5 WZienuer1k 21/02/01 14:29:29 ID:EU1ElnaI [5/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

マリィ「まあ、病院なんてどこも似たようなもんでしょ。で、タクシー乗り場に行く途中でダウンしてもうて……これからどうしようか悩んどったの」

ソニア「なるほど……」

ネズ「おれは、平気だ……少し休めば、また歩け、ますよ……」

マリィ「……って、本人は言っとるけどさ。こんなんじゃタクシーの揺れに耐えられそうにもないし、列車の方がよかかなって。ソニアさんはどう思う?」

ソニア「うーん……確か二人の家ってスパイクタウンでしょ?距離がある分、タクシーでも駅でもかなり負担かかるよね」

ネズ「…………」

マリィ「全く……アニキもアニキだよね!ただでさえ色々拗らせてるのに、風邪まで拗らせるなよ」

ネズ「しぇからしか……」

強がっているものの ネズの顔色はいつにも増して悪い……▼

ソニア「…………」

ネズ「……何、みてるんですか」

ソニア「あの……ネズさん。体調が落ち着くまで、うちの研究所で休んでいきますか?」


ネズ「……?」


マリィ「えっ?」

 ▼ 6 WZienuer1k 21/02/01 14:33:54 ID:EU1ElnaI [6/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ソニア「無理に長距離を移動して、風邪が悪化したら逆に大変でしょ?ちょうど仮眠室が余ってるし、ネズさんが落ち着くまであたしが看病するよ」

ネズ「それは……」

マリィ「う、うん。流石にそこまでしてもらうわけには……」

ソニア「あー、遠慮しないで!ほら、ネズさんにはシーソーコンビの件でお世話になってるからさ。恩返しってわけじゃないけど、困ってるなら見逃せなくて」

マリィ「……ほ、本当に、アニキを任せてもよかと?」

ネズ「マリィ……!」

ソニア「もちろん!マリィもジムの仕事があるでしょ?ここはあたしにどーんと任せて頂戴!」

マリィ「う……じゃあ!アニキのこと、よろしくお願いします!」

ソニア「そうこなくっちゃ!さて……ネズさんの荷物はこれだけでいいんだよね」

ソニアは キャリーケース を手に入れた!▼

ネズ「……っ、ソニア、はかせ」

マリィ「貴重品とお薬はマリィが持っとるよ」

ソニア「了解!あとは……ネズさん、立てます?」

ネズ「……っ、ま、何とか……ああっ!?」

フラついたネズを ソニアが受け止めた!▼

ソニア「ちょ……!大丈夫ですか!?」

ネズ「う、ご、ごめ……ごめ、なさ……!」

ネズはソニアにもたれかかったまま ぐったりとしている……▼

ソニア「どわっ……ね、ネズさん、見た目より重……!」

ワンパチ「ヌワ……」

 ▼ 7 WZienuer1k 21/02/01 14:35:39 ID:EU1ElnaI [7/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

マリィ「わ、ソニアさん!ちょっと待ってね……出てきてオーロンゲ!」

マリィは オーロンゲをくり出した!▼

オーロンゲ「グアァ!」

マリィ「オーロンゲ、アニキを研究所まで運んでくれる?」

オーロンゲ「フッ!」

オーロンゲは ネズを軽々と背負い込んだ▼

ネズ「う……」

マリィ「これでよし……」

ソニア「ふぅ……じゃあ、研究所まで案内するね」

マリィ「うん!」

ワンパチ「ヌワン!」

ネズ「あー……くそ……」

ネズは オーロンゲの背中で ぐったりしている……▼

オーロンゲ「フン……」

ネズ「…………」

 ▼ 8 WZienuer1k 21/02/01 14:38:31 ID:EU1ElnaI [8/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



【ポケモン研究所】

ネズ「…………」

ネズはベッドの上で ぐったりと 眠り込んでいる……▼

ソニア「しんどそう……」

マリィ「アニキ、見た目は弱そうだけどさ、滅多に風邪引かないんだよ」

ソニア「そうなの?」

マリィ「うん。マリィでさえ、ここまでやられてるアニキを見るのは初めてだったけん……ソニアさんが来てくれて本当に助かったよ」

ソニア「お礼ならあたしじゃなくてワンパチに言ってあげて。ネズさんに気付いたのはこの子だったから」

マリィ「そうなの?ありがとワンパチ」

ワンパチ「ヌワ!」

マリィ「それより……本当に任せてよかと?ソニアさんもお仕事大変でしょ」

ソニア「気にしないで。今の時期は落ち着いているし、時間の融通は利くから」

ネズ「……だいじょうぶ、少し寝れば、良くなりますんで。すぐ……」

ソニア「あの……本当に気にしなくていいから。まずは回復することだけを考えて下さいね」

マリィ「そうだよアニキ、せっかくソニアさんが親切にしてくれてるんだし、ちゃんと休まなきゃ」

ネズ「…………」

ソニア「…………」

ネズさん……本当にきつそうだ▼

健康な成人男性がここまで弱るとは 相当重くきちゃったんだな……▼

 ▼ 9 WZienuer1k 21/02/01 14:40:48 ID:EU1ElnaI [9/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

マリィ「アニキ……」

ソニア「……よいしょ」

ソニアは ネズのブランケットを掛け直した▼

ネズ「ん……」

ソニア「……マリィ、続きは外で話そっか」

マリィ「うん……」

 ▼ 10 WZienuer1k 21/02/01 14:43:48 ID:EU1ElnaI [10/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



【ポケモン研究所】

ソニア「さて……」

テーブルには 薬の入った紙袋が幾つか置かれている▼

ソニア「着替えはキャリーケースに入ってて……あと、食べ物のアレルギーや好き嫌いは特になんだよね」

マリィ「アニキは基本的に何でも食べるよ、なんならポケモンフードで大丈夫やけん」

ソニア「病人にポケモンフードはまずいでしょ!まあ、いい感じに栄養のあるもの食べさせとくね」

マリィ「至れり尽くせりやなあ……」

ソニア「それで……お迎えの話なんだけどさ」

マリィ「っ、はい」

ソニア「ネズさんは早く帰りたがってるけど、あの様子じゃ明日明後日で移動できるまでに回復できないと思うんだよね」

マリィ「それは……」

ソニア「急ぎの予定がないなら、後日改めて連絡取ってから決めない?その方がマリィも安心できると思うんだけど」

取リィ「……ソニアさんが大丈夫なら、お願いします」

ソニア「大丈夫に決まってるでしょ!こっちとしても元気になるまで無理させたくないからさ」

マリィ「うう、ありがとう、本当に頭が上がらん……!」

ソニア「しかし……どうしてあんなに風邪を拗らせるかな。何か聞いてる?」

マリィ「実はマリィも詳しいことは知らんの。最近忙しくて顔見なかったし……寝不足、的なことは言うとったけど、あんな様子だから何も聞けなくて」

ソニア「そっか……ネズさんも困った人だね。大事な妹さんを困らせるなんてさ」

マリィ「元あくジムリーダーだからね、人を困らせても不思議じゃないよ」

ソニア「ふふ、なにそれ」

 ▼ 11 WZienuer1k 21/02/01 14:45:32 ID:EU1ElnaI [11/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ホップ「ソニアー、ユニバーシティから頼まれた資料取ってきた……って!なんでマリィがここに?」

ソニア「ホップ静かに。仮眠室でネズさんが寝てるから」

ホップ「……何かあったのか?」

マリィ「アニキが仕事帰りに熱出して帰れそうにないから、研究所で休ませて貰うことになったの」

ホップ「ネズさんが……?えっ、大丈夫なのかよ」

マリィ「しんどそうだったけど、死にはしないでしょ。ああ見えて身体は丈夫な方だし」

ソニア「一応数日は様子見でいるつもりでいるから。あんたも協力よろしくね」

ホップ「おう、当たり前なんだぞ!ソニアに任せっきりは色々心配だからな」

ソニア「は?どういう意味よ」

マリィ「ふふ……」

ホップ「それよりマリィ、仕事は平気なのか?」

マリィ「一応大丈夫。ジムのことはエール団に任せとるから、ある程度時間に余裕はあるよ」

ソニア「でも……ここからスパイクタウンって距離あるし、そろそろ電車なりタクシーなり乗った方がいいんじゃない?」

ホップ「そうそう!ネズさんのことはオレらに任せて、マリィは安心して家に帰るんだぞ」

マリィ「うっ……ホップもありがと。頼りにしてるけんね」

ホップ「おう!」

マリィ「そうだ、何かあったらいつでもスパイクジムに連絡してね。マリィがいなくてもエール団がすぐに駆けつけるから」

ソニア「うん!必ず連絡するね」

マリィ「じゃあ……またね!今回のことは絶対お礼はするけんね」

ソニア「じゃあね!」

ホップ「気をつけて帰るんだぞー!」

マリィは 去っていった……▼

ソニア「……さて」

ホップ「ソニア、何か用必要なものとかあるか?買い出し手伝うぞ」

ソニア「お、気が利くね。じゃ、早速お願いしようかな?」

 ▼ 12 WZienuer1k 21/02/01 14:46:31 ID:EU1ElnaI [12/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告


〜夕方〜


 ▼ 13 WZienuer1k 21/02/01 14:48:13 ID:EU1ElnaI [13/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告



【仮眠室】

ソニア「……ネズさん、失礼しまーす」

ネズ「…………」

ネズは ブランケットに包まったまま 微動だにしない▼

ソニア「あの……起きてます?」

ネズ「……はい、一応」

ソニア「うわああっ!?」

ネズ「そんなに驚きますか……?」

ソニア「ご、ごめんなさい……ドア開けても微動だにしなかったから、一瞬死んでるのかと」

ネズ「生きてますよ……!」

ソニア「で、ですよね!えっと……さっきより楽になりました?」

ネズ「ほんの少し……でも、あなたの判断が正しかった、ですね。当分動けそうにないです……」

ソニア「やっぱりね……で、そろそろご飯の時間なので様子見に来たんですけど。何か食べられそうですか?」

ネズ「……ちょっとよく分からんですね」

ソニア「何か食べた方がいいとは思うんですけど……とりあえずこれ、飲んでみてください」

ネズ「ん……」

ネズは ゆっくりと起き上がった▼

ソニア「はい」

ネズは モルドワイン を手に入れた!▼

ネズ「これは……何ですか、白ワイン?」

ソニア「そう、おばあさま直伝のモルドワインです。お口に合うかどうかはわからないけど……何も食べないより良いかなって」

ネズ「…………」

ネズは モルドワインに口をつけた▼

当たり前だが 酒精は全く感じない……▼

さわやかな甘みと スパイスやきのみの複雑な風味の中に ジンジャーが仄かに香っている……▼

寒気のする身体に 温かい飲み物が染み渡った!▼

 ▼ 14 WZienuer1k 21/02/01 14:51:07 ID:EU1ElnaI [14/14] NGネーム登録 NGID登録 [s] 報告

ネズ「あー……」

ソニア「……大丈夫ですか?」

ネズ「いえ、とても飲みやすいです。ありがとうございます……」

ソニア「よかった……その様子じゃ、他にも何か食べられそうかな?一応バニラアイスやスープもありますけど」

ネズ「…………」

ソニア「……ダメっぽいですか?」

ネズ「い、いえ……なんか……申し訳なくて。おれ、本当に、駄目なやつだなって……」

ソニア「そんな凹まなくても……」

ネズ「ほんと、すみません……迷惑かけて……」

ソニア「……もう!凹むくらいなら、きちんと食べて早く治るように努めてください!」

ネズ「!」

ソニア「で……どうします?何なら食べられそうですか?」

ネズ「……スープをお願いします。固形物はちょっと、キツそうなんで、具なしで……」

ソニア「そう!それでよし。今作ってくるんで待っててくださいね」

ネズ「…………」

ソニアは 部屋を後にした▼

ネズ「…………」

ワンパチがデザインされたマグカップの中で モルドワインが湯気を立てている……▼

ネズ「…………」

ネズ「……フッ」

 ▼ 15 WZienuer1k 21/02/02 22:06:47 ID:BRhEjGBU [1/13] NGネーム登録 NGID登録 報告


──2月2日──


 ▼ 16 WZienuer1k 21/02/02 22:09:07 ID:BRhEjGBU [2/13] NGネーム登録 NGID登録 報告



【ポケモン研究所】

ソニア「よし……これで全部か」

テーブルには 畳まれた衣類が山積みになっている▼

ホップ「ソニア、おはようなんだぞ」

ソニア「おはようホップ!こんな早い時間にどうかしたの?」

ホップ「ちょっと……ネズさんのことが気になって。あの後ちゃんとメシ食ったのか?」

ソニア「なんとか。スープとモルドワインは飲んでくれたけど、食は進まないみたい」

ホップ「そっか。早く良くなるといいな……ところで、この服の山はどうしんだ?」

ソニア「ネズさんの服だよ。あの様子じゃ数日は動けなさそうだし、キャリーケースの中に入ってた衣類を全部洗濯しといたんだ」

ホップ「へー、ソニアってそういうところはキチンとしてるよな!」

ソニア「ホップ……あたしに喧嘩を売りたいならもう少し分かりやすく言ってくれる?」

ホップ「げっ!ま、まあ……ネズさんの着る服がちゃんとあって安心したぞ!実はアニキの服を持ってこようかって聞こうと思ってたんだ」

ソニア「おっ、相変わらず気が効くね!でもダンデくんの服は今のところ要らないかな?服は3日分あったから、洗濯のタイミングに気をつければ凌そうなんだよね」

ホップ「なるほど。そういやあのキャリーケース、でっかかったもんな!でもソニア、もし足りないものがあったら遠慮なくオレを頼るんだぞ!お金はキチンと請求するけどな」

ソニア「全く……生意気なんだか頼りになるんだか。でもありがと!何かあったら遠慮なくこき使ってやるからね!」

ホップ「おう!困ってる人のためならいくらでも働くぞ!」

ソニア「さて……そろそろネズさんに朝ごはんを食べさせなきゃだ。様子見てくるね」

ホップ「わかった。何か手伝えることはあるか?」

ソニア「大丈夫!とりあえず昨日の続きで、資料の整理をやっといてくれる?」

ホップ「おうよ!」

ソニア「さて……」

ソニアは きがえのやま を手に入れた!▼


ソニア「少しは良くなっているかな……?」

 ▼ 17 WZienuer1k 21/02/02 22:11:23 ID:BRhEjGBU [3/13] NGネーム登録 NGID登録 報告



【仮眠室】

ソニア「ネズさん、起きて……って!」

ネズ「……ああ、ソニア博士。おれのコート、知りませんか?」

ネズは ふらつきながら身支度を整えている……▼

ソニア「ちょ、ネズさん……まだ休んでなきゃまずいんじゃ」

ネズ「大丈夫です、昨日よりマシに……あっ」フラッ

ふらついたネズを ソニアが受け止めた!▼

ソニア「ちょ……!」

ネズ「あ……」

ソニア「う、重……!」

ネズ「ヒッ……!は、ご、ごめ、ごめんなさい……!」

ソニア「お、落ち着いて!とりあえずベッドに座ってください!」

ネズ「はっ……ハヒッ……」ドサッ

ネズは ベッドに勢いよく倒れた……▼

ネズ「えっ……?」

ソニア「ちょっと!全然良くなってないじゃん!」

ネズ「う、こんな、はずじゃ……?」

ソニア「あの……普通に重症だよね?本当にただの風邪なんですか?」

ネズ「そうらしい……ですよ。咳も、喉の痛みもないし……ただ、身体が重く……ウッ、あたま、あタまガ……?」

ソニア「ちょ、ネズさん無理しないで!」
 ▼ 18 WZienuer1k 21/02/02 22:13:24 ID:BRhEjGBU [4/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ネズ「っは!?俺の風邪、寝ても治らないのか……!?」

ソニア「それだけ拗らせたってことでしょ!ほら、今日も一日ゆっくり休んでください。それで、朝ごはんなんですけど」

ネズ「いやです帰ります……」

ソニア「ネズさん!」

ネズ「帰らなきゃ……これ以上、あなたに、迷惑かける……わけには……!」

ソニア「ちょ、そんな状態で帰ったらホントに死んじゃいますよ!?」

ネズ「止めるんじゃねぇぞ……!身体の前に……おれの心が!心が死にます!」

ソニア「こら!めんどくさいこと言うんじゃありません!」

ネズ「……っ、ごめんなさい」

ソニア「それでよし……で、胃の調子はどうですか?」

ネズ「…………」

ソニア「ネズさん、食べられる時に食べないと身も心もしんどくなりますよ」

ネズ「……朝、食べるより……その、もう少し、寝かせてください」

ソニア「食欲……湧かないんですか?」

ネズ「というか……眠くて、メシを食う、気力が……」

ソニア「さっき荒ぶったせいで体力使い果たしたんじゃ……」

ネズ「みたいですね……申し訳ない……」
 ▼ 19 WZienuer1k 21/02/02 22:14:52 ID:BRhEjGBU [5/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「まあ、気にしないでください。ただ水分補給くらいはしといた方がいいかもですよ、汗かいてるし」

ソニアはタオルで ネズの額の汗を拭った▼

ネズ「……!?」ビクッ

ソニア「はいこれ、追加のおいしいみずです。ここに置いときますね」

ネズ「……っ、は、ハイ……」

ソニア「あと、着替えもテーブルに置いておくんで。余力があればどうぞ」

ネズ「…………」

ソニア「じゃあ、お昼頃にもう一度様子見に来ますね……」

ネズ「…………」

ソニア「……って、ネズさん、起きてます?」

ネズ「……ソニアさん」

ソニア「は、はい」

ネズ「あまり、おれに優しくしないでください……」

ソニア「いや、優しくって……あたしはただ、病人に対して当然のことをしたまでですよ」

ネズ「…………」

ソニア「とにかく!ネズさんは余計なことを考えずに食べて寝て休む!以上!」

ネズ「……ふふ」

ソニア「な、何がおかしいんですか……」

ネズ「いえ、あなたは、お人好しだなと……そう思っただけです」

ソニア「別にお人好しってほどじゃ……それより、ホップも心配していますから、痩せ我慢しないでくださいね」

ネズ「分かりましたよ……じゃあ、もう少し、寝かせてください……」

ソニア「お昼頃にまた来ますから、ちゃんと寝てくださいね」

ネズ「……はい」

ネズは ブランケットに包まった……▼

ソニア「…………」

ネズさん……見た目の割に常識人だと思ってたけど▼

結構 わかり辛いというか 癖があるというか 面倒くさいな……▼

 ▼ 20 WZienuer1k 21/02/02 22:17:24 ID:BRhEjGBU [6/13] NGネーム登録 NGID登録 報告



【ポケモン研究所】

ソニア「…………」

ホップ「……お、どうだった?」

ソニア「すごくめんどくさかった……」

ホップ「ちょっと聞こえてたけど……なんか、ソニアに気遣ってるみたいだったな」

ソニア「ねー、体壊して大変なんだしさ。遠慮しなくていいのにね」

ホップ「いや……普通遠慮するだろ。未婚の異性と一つ屋根の下だぜ?誰だって身構えるぞ」

ソニア「そんな大袈裟な。ここは職場だよ?家に連れ込んだんじゃないんだからさ」

ホップ「でもソニア、昨日は家に帰ってないんだろ?職場でネズさんと一夜を共に過ごしたワケだよな……」

ソニア「な、なんつー言い方するのよ!ネズさんは病人!死にかけなんだからね!?一夜だの何だの気にしてる場合じゃないでしょ」

ホップ「まあ、ソニアの言う通りだけど……ネズさんが心配なのはわかるが、あんまり優しくし過ぎるのはよくないと思うぞ」

ソニア「別に優しくしてるワケじゃない……人として当然のことをしているだけ。てか、あんたまでネズさんと同じこと言わないでよ」

ホップ「へぇ……」



ホップ「ネズさんにも同じこと言われたのか」



 ▼ 21 WZienuer1k 21/02/02 22:19:03 ID:BRhEjGBU [7/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「……ホップ、言いたいことがあるならはっきり言ってくれる?」

ホップ「……分かった!言ってやる!」

ソニア「お、おう!」

ホップ「ソニア!男は単純な生き物なんだぞ!」

ソニア「おう……?」

ホップ「大抵の男は!女に優しくされたら大体惚れる!少なくとも意識はする!それが弱っている時なら尚更なんだぞ!」

ソニア「えっと、吊り橋効果ってやつ……?」

ホップ「全く、ソニアは男をわかってないな!」

ソニア「はぁ!?なんであんたにそんなことを言われなきゃならないのよ」

ホップ「いいかソニア!アニキは例外なんだぞ。男ってのは基本的に、ちょっと優しくされただけで『脈アリなんじゃないか』って思うように出来てるんだ!ソニアにそのつもりはなくても、相手はそのつもりになるんだからな!」

 ▼ 22 WZienuer1k 21/02/02 22:26:08 ID:BRhEjGBU [8/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「うーん……それ、あんたの話でしょ?思春期の少年と大人の男性を一緒にされてもちょっとな」

ホップ「もう!だからソニアはわかっていないんだよ。大人になったら隠すのがうまくなるだけで、根っこは変わらないんだぞ!?」

ソニア「まあまあ、あんたも大人になれば変わるって。だから自分の単純な部分を知ったからって卑屈になっちゃだめだよ?あんたは十分いいやつなんだからさ!」

ホップ「だーかーらー!ソニア!男はソニアが思っているより単純なの!みんな紳士のフリしてるだけなんだぞ!?言っとくけどヤローさんでさえ好みの女性ファンにちょっと優しくされてバタフリーみたいに舞い上がってたんだからな!ここはそういう世界なんだぞ!!」

ソニア「はいはい、分かりましたよホップくん。これから気を付けまーす」

ホップ「……なあ、ソニアってボーイフレンドいたことあるのか?」

ソニア「おっと。それ以上深入りするつもりなら、冷蔵庫のプディング、ネズさんの昼食にするわよ」

ホップ「げっ!?それはダメだ!アレ買うの滅茶苦茶大変だったんだからな!?マジでやめろよ!」

ソニア「ほら、くだらない話はこの辺にして作業再開するよ!」

ホップ「くだらなくないし……!さっきの話は全部本当なんだからな!気をつけないと……」

ソニア「わかったよ!ほら、さっさと行く!」

ホップは 本棚へ向かっていった▼

 ▼ 23 WZienuer1k 21/02/02 22:29:43 ID:BRhEjGBU [9/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「…………」

ワンパチ「イヌヌワ?」

ソニア「聞いてよワンパチ、ホップが急に男を語りだしてさ……うけるよね」

ワンパチ「ヌヌワ!」

ソニア「……しかし」

分かんないなあ▼

普通 異性がそばにいるってだけで 意識するもんなの?▼

近くにいて 優しくされるだけで 好きになれるほど人間は単純じゃないでしょ……▼

恋に生きる人ならまだしも 男という大きすぎる括りで 人を警戒のはちょっと▼

ソニア「考えすぎだっての……ね、ワンパチ」

ワンパチ「ヌワ?」

ソニア「それよりネズさん、早く元気になるといいよね」

ワンパチ「イヌヌワ!」
 ▼ 24 WZienuer1k 21/02/02 22:30:23 ID:BRhEjGBU [10/13] NGネーム登録 NGID登録 報告


──数時間後──


 ▼ 25 WZienuer1k 21/02/02 22:32:23 ID:BRhEjGBU [11/13] NGネーム登録 NGID登録 報告



【仮眠室】

ホップ「入るぞー……って、何だ。起きてるのか?」

ネズは ベッドに腰掛け 項垂れている……▼

ネズ「……ホップか」

ホップ「おい、露骨に凹むなよ!オレもネズさんのこと心配してたんだからな」

ネズ「凹んでないし……いや、ほんと、迷惑かけますね……」

ホップ「……ネズさん、思ったよりしんどそうだぞ。横になってた方がいいんじゃないか?」

ネズ「いや……横になるのが、しんどくて……あー、キッツ……」

ホップ「あ、でも昼飯はちゃんと食べられたんだな。偉いぞネズさん」

テーブルには 空になったティーカップが二つ置かれている▼

ネズ「どうも……」

ホップ「……でもさ、足りなくないか?」

ネズ「足りない……けど、入らないんですよ……あたまいたい……」

 ▼ 26 WZienuer1k 21/02/02 22:33:36 ID:BRhEjGBU [12/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ホップ「…………」

ネズ「……まだ、何か?」

ホップ「プティングは……いけそうか?」

ネズ「プティング……ですか」

ホップ「カスタードプティングだ。卵とモーモーミルクだし、足しになるんじゃないかって」

ネズ「…………」

ホップ「これなんだけどさ」

ネズは プティング を手に入れた▼

ホップ「朝、食べられなかったんだろ?いけそうなら食べた方がいいぞ」

ネズ「……そう、ですね。では……お言葉に甘えますか」

ネズは 食が進まないようだ……▼

ホップ「うまいか?」

ネズ「甘い、ですね……ん……よくわからないです」

ホップ「おいおい、味覚もやられてるのかよ」

ネズ「ほんと、最悪だ……ただでさえ、最悪な時期なのに……ハハ……この世は地獄……」

ホップ「ネズさん!気をしっかり持つんだぞ」

ネズ「わかってます……あまり、ソニアさんに、迷惑かけたくないし」

ホップ「…………」

ネズ「……なんですか」

ホップ「言っとくけどそのプディング、中々買えないヤツだからな。元気になったら同じの買ってくるんだぞ」

 ▼ 27 WZienuer1k 21/02/02 22:35:29 ID:BRhEjGBU [13/13] NGネーム登録 NGID登録 報告

ネズ「マジか……食わなきゃよかった……」

ホップ「ちなみに、平日に3時間並んでやっと買えた」

ネズ「嘘だろ……」

ホップ「絶対買ってくれよ。これはリクエストだからな」

ネズ「仕方ない……リクエスト、受け付けますよ。借りは返す、主義なんでね」

ホップ「おう!借りを返すためにも、まずは早く元気にならなきゃな」

ネズ「…………」

ホップ「じゃ、これ持ってくから」

ホップは 食器を回収した!▼

ホップ「あ、そうだ。夜はソニアが来ると思うから、お利口にするんだぞ」

ネズ「……はいはい」

ホップはネズを一瞥すると そのまま部屋を後にした……▼

ネズ「…………」

スプーンの持ち手の端が ワンパチの尻尾と同じ形をしている……▼

ネズ「…………」

ネズ「……また、ワンパチか」

 ▼ 28 ンテレオン@おきがえトランク 21/02/03 22:57:17 ID:PkWEMOzE NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ
 ▼ 29 WZienuer1k 21/02/06 21:37:23 ID:Kq6.Dmgk [1/35] NGネーム登録 NGID登録 報告


──2月3日──


 ▼ 30 WZienuer1k 21/02/06 21:38:48 ID:Kq6.Dmgk [2/35] NGネーム登録 NGID登録 報告



ワンパチ「ヌワ……」

ソニア「……ん?」

ワンパチ「イヌヌワ!ヌワッ!」カシカシ

ソニア「ぬわっ!?何!?何事……あっ」

時計の針は 朝の時刻を指している▼

ソニア「そうだ……ネズさん、起きてるかな」

ネズ「起きてますよ」

ソニア「あ、起きて……って!?ネズさん!?」

ネズが テーブルに突っ伏しながら こちらをじっと見つめている……▼

まだ体調は悪そうだが 昨日よりは 少し余裕がありそうだ▼

ネズ「そんなに驚きますか……?」

ソニア「驚きますよ!寝落ちして起きたら目の前にいるんだから……いや、それより、体調は平気なんですか?」

ネズ「まだ……身体は十分に動かせませんが、昨日より大分マシです。薬が効いてるのかな?頭痛が大分良くなりました……」

ソニア「おっ!それはいいね」

ネズ「……あと、ごめんなさい。シャワー勝手にお借りしました」

ソニア「いえいえ、それは大丈夫ですけど……シャワーで風邪、悪化しないかな」

ネズ「一瞬悩みましたけど……流石にやばかったんで。なんとか、まあ……はい。そういうことです」

ネズは 怠そうに 頭を抱えている……▼

ソニア「お、おう……」

ワンパチ「ヌワ……」

 ▼ 31 WZienuer1k 21/02/06 21:39:45 ID:Kq6.Dmgk [3/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「ああそうだ。朝食、昨日より食べられそうですか?」

ネズ「はい……その、食欲も大分回復しまして。わりといけそうなのです」

ソニア「おっ、いいね。その調子で栄養つけて、もっと元気になっちゃいましょう。何食べますか?」

ネズ「えっと、お気持ちはうれしいのですが……身体も昨日より楽なので、帰ろうかなと」

ソニア「いや……まだ無理でしょ」

ネズ「ご心配なく、シャワーを浴びれるだけ回復したので……多分なんとか……」

窓の外で 雪が吹き荒んでいる……▼

ネズ「……タクシーは無理そうですかね」

ソニア「えっと……」

ソニアはスマホロトムを取り出した▼

ソニア「あちゃー、ここからは飛んでないみたいですね。電車は動いてるみたいだけど……」

ネズ「…………」

ソニア「まだ本調子じゃないんでしょ?ナックルシティからスパイクタウンまでも距離あるし、無理しない方がいいんじゃ……」

ネズ「いや……流石にこれ以上は……」

ワンパチ「ヌワ……」

ネズ「…………」

ワンパチ「イヌヌワン!」カシカシ

ワンパチは ネズを叱っているようだ▼

ネズ「おまえ……」

 ▼ 32 WZienuer1k 21/02/06 21:41:02 ID:Kq6.Dmgk [4/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「まだ顔色も優れないし、もう少し休んだ方がいいんじゃないんですか?」

ネズ「ソニアさん、おれの顔色がいいことなんてありませんよ」

ソニア「こら!強がらないの。無理に移動してまたぶり返したら、余計マリィを困らせますよ」

ネズ「…………」

ダンデ「ソニアの言う通りだぜ!」

ワンパチ「イヌヌワ!」

ソニア「ね!ダンデくんとワンパチもこう言って……って!ダンデくん……に、ユウリまで!?」

ネズ「……は?」

ダンデとユウリ が現れた!▼

二人とも 雪を被ったのか コートが濡れてしまっている……▼

ユウリ「ソニアさん!外、凄い雪なんです。少しだけ雨宿り……じゃなくて雪宿り!させてくれませんか?」

ソニア「それは全然構わないけど……えっ、二人揃ってどうしたの?」

ダンデ「ユウリがお母さんに会いに行くということだから、オレも家に帰ることに決めたんだよ。しかしタイミングが悪かったようだ!駅から降りたところで雪に降られてしまってな」

ネズ「そんなに……外、ひどいんですか」

ユウリ「はい。ネズさん、確か風邪拗らせたんですよね?今外に出たらもっと悪化しちゃいますよ」

 ▼ 33 WZienuer1k 21/02/06 21:42:37 ID:Kq6.Dmgk [5/35] NGネーム登録 NGID登録 報告
ネズ「…………」

ソニア「……あたしたち、これから朝ごはん食べるところだったんだけど。あんた達も少し食べてく?」

ダンデ「いいのか?」

ソニア「うん。昨日、ホップがパンを間違えて大量購入してさ」

ネズ「…………」

ソニア「手伝ってくれるとこっちとしては助かるんだけど」

ダンデ「いや、むしろオレたちのほうが助かるぜ!朝はブラッシータウンのカフェで食べるつもりだったからな」

ユウリ「え、本当にいいんですか?」

ソニア「いいのいいの!その代わり作るの手伝ってくれる?」

ユウリ「もちろんです!」

ダンデ「任せろ!レッツ・クッキングタイムだ!」

ワンパチ「イヌヌワ!」

ダンデとユウリは コートを脱ぎながら キッチンへ駆け出した!▼

ソニア「ということなので……ネズさんは大人しく待っててくださいね」

ネズ「はい……」

ワンパチ「ヌワワン!」

ネズ「…………」

丈夫な窓はびくともしないが 外の景色は完全にホワイトアウトしている……▼

ネズ「……はぁ」


ネズは 机にぐったりと伏した▼


 ▼ 34 WZienuer1k 21/02/06 21:43:06 ID:Kq6.Dmgk [6/35] NGネーム登録 NGID登録 報告


──数分後──


 ▼ 35 WZienuer1k 21/02/06 21:44:24 ID:Kq6.Dmgk [7/35] NGネーム登録 NGID登録 報告



ユウリ「これでよし……と」

テーブルには いろとりどりのジャムやバター クリームが並んでいる▼

人数分のカップからは モルドワインが湯気を立てている!▼

ソニア「やっぱ3人で作ると早いね……早速食べますか!」

ユウリ「いただきます!」

ダンデ「ネズもしっかり食べるんだぜ!」

ネズ「…………」

ネズの皿にも こんがりと焼けたトーストが 盛られている▼

ソニア「ちょっと多かったですか?」

ネズ「あ、いや……丁度いいです。ありがとうございます」

ソニア「そ、そっか……ならよかった」

ダンデ「パンはまだある!足りないなら遠慮せず言ってくれ」

ネズ「ありがとうございます……」

ネズは トーストを かじった!▼

ネズ「……おいしいです、とても」

ソニア「よかった!ジャムやナッツバターも沢山あるから、遠慮せず使ってくださいね」

ネズ「涙が出るほどうめぇ……!」

ダンデ「な、なあ、そんなに感動するほどか?パンを機械で軽く焼いただけだぜ、店で出されるものより大分劣ると思うが……」

ソニア「は?」

ネズ「…………」

ネズの どろぼう!▼

ダンデ「あっ!?」

ネズは ダンデの トーストを 3枚奪った!▼

ネズ「んふ……!」

 ▼ 36 WZienuer1k 21/02/06 21:44:59 ID:Kq6.Dmgk [8/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「ネズ!それはオレのトーストだぜ」

ネズ「ノイジーな野郎ですね……店より劣るなら、おれに食わせてくださいよ」

ユウリ「あの、ソニアさん!トーストすごく美味しいです!トーストは手作りが一番ですよ!」

ソニア「ありがと!お店のも美味しいけど、あたしはでき立てが好きなんだよね」

ユウリ「わたしも出来立てが好きです!」

ネズ「おれもです。パンは焼きたてが一番だ」

ネズは トーストに ナッツバターを塗っている……▼

ダンデ「おっと!オレが悪者になるのも珍しいな」

 ▼ 37 ンドロス@Zリング 21/02/06 21:45:25 ID:fMk.Cmkg NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 38 WZienuer1k 21/02/06 21:46:36 ID:Kq6.Dmgk [9/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ユウリ「そういえば……ネズさんってどうして風邪を拗らせたんですか?」

ソニア「そうだ。あたしも気になってたんだよね」

ネズ「…………」

ソニア「あー、話したくないなら無理に聞きませんが」

ネズ「……いや、ここまでお世話になったからには、流石に話しますよ」



ネズ「実は……1月下旬から生活習慣が乱れていて。創作意欲が止まらず、寝食を犠牲にして作詞作曲に勤しんでいたのです」

ソニア「シンガーらしい理由だな……」

ネズ「実際、しがないシンガーですから。ちなみに、倒れる前の5日間は、コーヒーと酒とエナジードリンクしか摂取していませんでした」

ダンデ「は?」

ユウリ「どうしてネズさんは生きてるんですか……?」

ネズ「こう見えて身体は丈夫なんでね。とにかく、そうやって身体を酷使し続ける中、ブラッシータウンで打ち合わせすることが決まりまして。あまり行く機会がない場所ですので、リフレッシュも兼ねて先回りしようと電車に乗り込んだのですが……」

ネズは モルドワインの入ったマグカップを置いた▼

ネズ「おれの、前の席にですね」




ネズ「……カップルが座っておりまして」




ユウリ「カップル……?」


 ▼ 39 WZienuer1k 21/02/06 21:48:44 ID:Kq6.Dmgk [10/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「あっ……」

ネズ「そいつらが……随分とマナーがよろしくて……おれ、イヤホンしてんのに『好きだよ』とか『早く二人きりになりたい』とか……!ア゛ッ……フほッ……!く、クソ、クソみたいに!バカみてーに!イギッ!?いっ、いちゃついててよ……!クソだ!」

ソニア「えぇ……?」

ネズ「さらに!あのザコ列車、豪雪で止まりやがって!」ゴッッ

ネズは 机に頭を打ちつけた!▼

ネズ「ハァ……ハァ……クソが!クソだ!う……便所の落書き!ションベンのシミ……!」ブルブル

ダンデ「お、おいネズ……大丈夫か?まだ本調子じゃ……」

ネズ「おれはね!」

ネズは 勢いよく起き上がった!▼

ネズ「おれは!小一時間、目の前でクソバカップルがイチャついてる"濃密な二人の時間"を気持ち悪くなるほど見せつけられて……!ハァ……ハァ……ッ!?ね、熱が……!?」

ソニア「ちょ、ネズさん落ち着いて!」

ユウリ「ネズさん!早まらないで!?」

ダンデ「と、とにかく……気の毒だったな!」

ネズ「そう!だから!おれはワイルドエリア駅で降り、荷物をロッカーにぶち込んで!打ち合わせの前日ギリッギリまでダイマックス狩りに興じたのです……!」

ソニア「えっ、ま、待って。つまり……ロクにご飯食べてない状態でワイルドエリアを探索したってことですか!?」

ネズ「当たり前だ!メシなんて……食ってられるか!クソが……!クソ……!」

ソニア「こら!それじゃあ身体壊して当然だよ!」

ユウリ「そうですよ!ネズさんって馬鹿なんですか!?」

ネズ「う、非常に不本意ですが、返す言葉がありませんね……」

 ▼ 40 WZienuer1k 21/02/06 21:49:42 ID:Kq6.Dmgk [11/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「つまりネズは、マナーの悪いカップルへの怒りによって、自分の首を絞めてしまったんだな!」

ネズ「分かりやすく言えばそうなりますね」

ユウリ「そんなあ……全然同情できないよ!」

ネズ「ユウリよ、おれより苦労してなさそうなくせに幸せそうにしてるヤツらはガラル地方の悪性腫瘍なのです」

ワンパチ「ヌゥ……」

ソニア「あの……気持ちはわかるけど、身体は大事にしなきゃですよ。ネズさんを慕ってる人は沢山いるんだから」

ネズ「…………」

ネズは俯きながら トーストをゆっくり齧っている……▼

ソニア「まあ、そこまでハジけられるのがネズさんの魅力んだろうけど……」

ネズ「…………」

ユウリ「でも、ハジけすぎてマリィが悲しむのも違うと思います」

ネズ「反省してます……」

ダンデ「しかし他人事じゃないな。オレも食事を抜くことはよくあるし、栄養の足りない状態で無茶するのは避けるようにしなければ」

ユウリ「もう!ダンデさんとちゃんとご飯食べなきゃですよ!」

 ▼ 41 WZienuer1k 21/02/06 21:50:50 ID:Kq6.Dmgk [12/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ネズ「ん……」

ネズは トーストに チョコペーストとホイップクリームを塗りたくっている▼

ソニア「ところで……ネズさん、そんなに食べて、お腹驚きませんか?」

ネズ「むしろ、食べ始めたらお腹が喜んで仕方がないんですよ……おいダンデ、腕が邪魔です」

ダンデ「すまない……って!だから自分の皿からトーストを……えっ?」

ネズの皿には なにもない……▼

ダンデ「えぇ……?」

ユウリ「いつの間に食べちゃったんですか!?」

ネズ「一枚が薄かったからね、思いの外足りなかったみたいです」

ソニア「あ、じゃあ追加で焼かなきゃだな」

ネズ「ほらダンデ、あと1斤は入るのでよろしくお願いします」

ソニア「1斤!?」

ダンデ「よし!オレに任せろ!」

ソニア「いや、あたしが行きます!ダンデくんだと焦がしちゃうから……」

ネズ「えぇ……?」

ユウリ「じゃあ、ダンデさんの代わりにあたしも手伝ってきますね!」

ソニアとユウリは キッチンへ向かっていった……▼

 ▼ 42 WZienuer1k 21/02/06 21:51:39 ID:Kq6.Dmgk [13/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「ははは!相変わらず騒がしいな」

ネズ「…………」

ダンデ「あんな様子じゃネズもゆっくり休めないんじゃ……ネズ?」

ネズ「……すみませんね」

ダンデ「な、何で謝るんだ?」

ネズ「……病人とはいえ、おれも男ですから。あまりいい気はしないでしょうに」

ダンデ「えっ?別に大丈夫じゃないか?ソニアは裏表のあるやつじゃないし、安心して休んでいいと思うぜ」

ネズ「そうじゃなくて……おまえは、気にならないのですか?」

ダンデ「いや、特には。なぜそんなことを聞……っ、ああ、なるほど!そういうことか!」

ネズ「…………」

ダンデ「もしきみの存在を危惧する男がいるとしたら、少なくともオレじゃないことは確かだぜ」

ネズ「……おまえとソニアさんの間には何もない、ということですか」

ダンデ「ああ!ソニアとは付き合いが長いだけだからな。彼女について知りたいことがあるなら、ホップやルリナを尋ねた方がいいぜ」

ネズ「ホップはわかりますが……ルリナ?」

ダンデ「二人はジムチャレンジ以来の友人らしいんだ!ルリナならホップより情報を持っているんじゃないか?」

ネズ「ふぅん……」

 ▼ 43 WZienuer1k 21/02/06 21:52:47 ID:Kq6.Dmgk [14/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「……悪いな。オレも、彼女の小さい頃の話なら知っているつもりだが、大人になってからはそこまで踏み込んだ話をしなくなって」

ネズ「幼馴染なんて、そんなものでしょう」

ダンデ「ただ、オレの知る限り、彼女はフリーなはずだ!あいつは恋愛よりもポケモンの方が好きだって、マグノリア博士……彼女のおばあさまも仰っていたからな!」

ネズ「……なるほど」

ダンデ「何か、参考になればいいんだが……」

ネズ「そう、ですね。参考にはなりましたよ」

ダンデ「…………」

ネズ「……?」

ダンデは ネズをじっと見つめている……▼

ネズ「まだ何か?」

ダンテ「いや……」

ネズ「…………」

キッチンでは ソニアとユウリの 賑やかな声が聞こえるさ▼


ダンデ「……なるほど!」


 ▼ 44 WZienuer1k 21/02/06 21:53:07 ID:Kq6.Dmgk [15/35] NGネーム登録 NGID登録 報告





ダンデ「ソニアとネズ!面白そうな組み合わせだな」





 ▼ 45 WZienuer1k 21/02/06 22:22:18 ID:Kq6.Dmgk [16/35] NGネーム登録 NGID登録 報告


──2月4日──


 ▼ 46 WZienuer1k 21/02/06 22:23:36 ID:Kq6.Dmgk [17/35] NGネーム登録 NGID登録 報告


【仮眠室】

マリィ『しぇからしか!!!』

スマホから スパイク訛りの檄が飛び スピーカーが 音割れを起こした!▼

ネズ「っ!」

マリィ『どうしてそんな無茶したのさ!いくら丈夫なアニキとはいえ、そんな栄養状態で無茶したらボロボロになるじゃん!アニキ……馬鹿じゃないの!?』

ネズ「返す言葉がありません……」

マリィ『もういいよ。それで、体調は?』

ネズ「だいぶ良くなりましたよ。少しだるいですが……ほぼ普段通りになったので、帰ろうかと」

マリィ『そっか……声、元気そうだけど一人で帰れそう?』

ネズ「ええ、おかげさまで」

マリィ『アニキも人騒がせだよね!ソニアさんへのお礼、何にするか考えないと……』

ネズ「そうですね……何がいいかな?探りを入れておきますよ」

マリィ『とにかく、気をつけて帰ってくるんだよ。帰ったらお説教やけんね』

ネズ「はいはい、覚悟しておきますよ」

マリィ『じゃ』

通話が 切れた……▼

ネズ「…………」

ワンパチ「ヌワ」

ネズ「うわっ……って、何だ。ワンパチか」

ワンパチ「イヌヌワ!」

ワンパチは とってもゴキゲンだ!▼

ネズ「おれのことが気になるんです?」

ワンパチ「イヌヌワン」

ネズ「……いい毛並みだ。おまえ、相当愛されてますね」

ワンパチ「ヌワン」

ワンパチは ネズに撫でられて うっとりとしている……▼

ネズ「全く……」

ネズ「トレーナー共々お人好しで、嫌になるな」

 ▼ 47 WZienuer1k 21/02/06 22:24:36 ID:Kq6.Dmgk [18/35] NGネーム登録 NGID登録 報告



【ポケモン研究所】

ソニア「…………」

スマホロトムには 何件か 連絡が届いている▼

どうやら ホップは今日も 家の都合で来れないらしい▼

昨日の雪の影響で 納屋の壁が傷付いたらしく ダンデくんと一緒に直すとか▼

ソニア「相変わらず仲良いな」

ネズさんとマリィもそうだけど 年が離れていると 逆に仲良くなるのかな?▼

ソニア「…………」

……ネズさんといえば▼

食欲は戻ったみたいだけど まだ起きているのが辛そうだったな▼

食事をとっては 寝込む の繰り返しだったし▼

うーん 昨日より元気になってるといいんだけど……▼

ソニア「って!」

ワンパチ「ヌワ!」

ネズ「おはようございます」

ネズは 膝に乗ったワンパチを 優しく撫でている▼

表情にも余裕があり 体調はだいぶ回復したみたいだ▼

ソニア「おはようございます、昨日より大分良さそうですね」

ネズ「ええ、おかげさまで。寝たら熱も下がったみたいだし……」

窓の外は スッキリと晴れ渡っている!▼

ネズ「コンディションはほぼ元通りになりましたね」

ソニア「おっ、いいですね!」

ネズ「だから……そろそろ帰ろうと思いまして」

テーブルの横には キャリーケースが置いてある……▼

 ▼ 48 WZienuer1k 21/02/06 22:25:33 ID:Kq6.Dmgk [19/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「……本当に大丈夫なんですか?」

ネズ「ええ。流石に家が恋しいし……マリィに預けたポケモンのことも心配ですからね」

ソニア「わかりました。くれぐれも気をつけてくださいね」

ネズ「ありがとうございます、何から何まで……今回のお礼は必ずしますから」

ソニア「お礼なんていいですよ。そうだ!時間に余裕があるなら、朝食食べていきませんか?」

ネズ「それは……」

ソニア「スパイクタウンまで時間もかかるし、病み上がりだからしっかり食べた方がいいですよ」

ネズ「…………」

ソニア「……ネズさん?」

ネズ「本当に……あなたはお人好しですね」

ソニア「もー!だから、あたしは人として当然のことをしているだけですから!ネズさん
だって、スパイクタウンでホップが倒れたら同じようにするでしょう?」

ネズ「…………」

ネズは こちらを まっすぐと見つめている……▼

ソニア「…………」

ネズ「……わかりました」

ソニア「よし!そうこなくっちゃ!」

ネズ「ただ、食事の支度くらいは、手伝わせてください」

ソニア「えっ?」

ネズ「じっとしてるのもだるいんで。それに……」

ワンパチ「ヌワ!」

ワンパチは ネズの膝から飛び降りた!▼


ネズ「あのモルドワインのレシピ、おれも知りたいんですよ」


 ▼ 49 WZienuer1k 21/02/06 22:26:00 ID:Kq6.Dmgk [20/35] NGネーム登録 NGID登録 報告


──数十分後──


 ▼ 50 WZienuer1k 21/02/06 22:27:16 ID:Kq6.Dmgk [21/35] NGネーム登録 NGID登録 報告



ネズ「白ワインは冷やすと美味しいイメージがありましたが、煮るのも悪くないんだな……」

テーブルには 皿に盛られたトーストと ジャムの瓶が置かれている▼

ソニア「でしょ?モルドワインといえば赤ワインだけど、スパイスによっては白ワインでも美味しくなるんです」

ネズ「ジンジャーとの相性も、赤ワインより良さそうですしね。これならマリィも喜んで飲んでくれそうだ」

ソニア「ふふ、相変わらず妹思いだなあ……」

ネズ「歳が離れてますからね、どうしても世話を焼いてしまうのです。ところで……」

ソニア「……どうかしました?」

ネズ「すみません。後ろのデスクに大量の酒瓶が並んでますけど……」

デスクには 書類の束と酒瓶が乱雑に置かれている……▼

ソニア「あ……見苦しかったですか?」

ネズ「いや、そうじゃなくて。上等な酒が並んでますし、パーティでもするのかなと……」

ソニア「やだ、そんな大層なことはしませんよ。バレンタインデーに、祖父母と一緒に飲むやつです」

ネズ「へえ。お酒、好きなんですか?」

ソニア「もちろん!一家揃ってお酒好きだから、記念日は出費が痛くて……」

ネズ「わかります。おれ自身飲みますし、エール団も酒好きが多いんですけど……酒代ってバカになりませんよね」

ソニア「ほんと……でも、バレンタインデーなんてお酒以外にお金かかることないし」

テーブルに並んだ酒瓶は 窓から漏れた光で煌めいている▼

ソニア「うちは特に気にしてないですね」

ネズ「……おれも似たようなものです。浮き足立った街の雰囲気に孤独が深まり、酒で埋め合わせしてばかりだ」

ソニア「こ、孤独かどうかはさておき、パートナーがいないとそうなっちゃいますよね」

ネズ「…………」

 ▼ 51 WZienuer1k 21/02/06 22:28:31 ID:Kq6.Dmgk [22/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「…………」

ネズ「でも……意外だな」

ソニア「な、何が?」

ネズ「あなたは見たところ社交的だし、こういうイベントを楽しむ人だと思っていました」

ソニア「記念日自体は好きですよ。でもバレンタインデーは……この時期に一人って、色々気まずいじゃないですか」

ネズ「…………」

ソニア「だから、バレンタインデーはあまり楽しめてないかな?ボーイフレンドがいたら、また違ってくるんだろうけど……」

酒瓶の置かれたデスクで ピンクのバインダーが一つだけ目立っている▼

ソニア「今年も、調べ物以外で出歩く予定はないですね……」

ネズ「……なるほど」

ソニア「ネズさん?」

ネズ「そういうことなら……調べ物の前後でも構いません。来週にでも、おれとバレンタインデーの街を楽しみませんか?」

ソニア「…………」



ソニア「……えっ?」



 ▼ 52 WZienuer1k 21/02/06 22:30:15 ID:Kq6.Dmgk [23/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「ど、どういうことですか?」

ネズ「この三日間のお礼として、食品や酒類を贈るのがいいと思っていましたが……せっかくなら、この時期にしか出来ないお礼をしたいので」

ソニア「だから、お礼なんていいのに……ネズさんには十分お世話になってるんだし」

ネズ「あなたの気持ちはわかりますが、こっちは三日三晩世話になってるんだ。お返しナシじゃ流石におれの立場がありませんよ」

ソニア「うーん……」

ネズ「ソニアさんだって、三日間もお世話になったら、特別なお礼をしたいと思うでしょう?」

ソニア「そ、そう言われると弱るなあ……ていうか!ネズさんってバレンタインデーが嫌いなんじゃないんですか?」

ネズ「おれが嫌いなのはマナーの悪いカップルであって、バレンタインデーそのものに恨みはないのです」

ソニア「あー……」

ネズ「かといって積極的に楽しむこともありませんでしたが……ただ、2月はリーグの方も閑散期だからぶっちゃけ暇なのです。何なら調べ物も手伝いますよ」

ソニア「えっ!?本当ですか!?!?」

ネズ「っ、ククク……そこに食いつくんですか。まあ、おれに出来る範囲のことになりますが……荷物運びとか、車の運転とか」

ソニア「運転してくれるんですか!!それメッチャ助かる……って、駄目駄目!ネズさんは病み上がりなんだから、安静にしてなきゃですよ!」

ネズ「それは心配のし過ぎですって……むしろ、多少体を動かした方がリハビリになるんで、その辺は気にしなくていいですよ」

ソニア「リハビリか……」

ネズ「どうです?調べ物をしつつ、バレンタインデーをエンジョイする……あなたにとっても、悪くないデートコースだと思いますが」

ソニア「…………」


ネズさん……思ったより回復が早いし 病み上がりで ウォーミングアップしたくなる気持ちも わかるっちゃわかる▼

 ▼ 53 WZienuer1k 21/02/06 22:31:34 ID:Kq6.Dmgk [24/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

どうなんだろう 調べ物も フィールドワークってほど ハードじゃないから 付き合わせても大丈夫 なのかな?▼

ネズ「…………」

ソニア「……じゃあ、お言葉に甘えてもいいですか?」

ネズ「ふふ……そうこなくては。リクエスト、受け付けましたよ。楽しいバレンタインデーにしてみせますから」

ソニア「気持ちは嬉しいけど……無理しちゃ駄目ですからね!せっかく良くなったのにまた身体壊されたら、元も子もないんだから」

ネズ「全く……」

食器が カチャリと 音を立てる▼

ネズ「あなたはどこまでもお人好しというか、調子狂いますね」

ソニア「別に、あたしはお人好しってガラじゃないですって……」

ネズ「いや、あなたはお人好しですよ」

雲が上空を通りかかったのか 室内がワントーン 暗くなった▼


ネズ「……心配になるほどにね」


 ▼ 54 WZienuer1k 21/02/06 22:32:37 ID:Kq6.Dmgk [25/35] NGネーム登録 NGID登録 報告



【ブラッシータウン駅前】

ソニア「ネズさん、約束は嬉しいですけど……まずは体調を優先してくださいね」

ネズ「ご安心を。くたばっといて何を言うかと思われるかもしれませんが、こう見えておれは生粋の健康児ですから。慢心せずに休めばすぐに回復しますよ」

ソニア「言っときますけど!本調子じゃなかったら約束はナシですからね」

ネズ「ふふっ……じゃあ、なおさら体調管理には気をつけなければ」

ワンパチ「イヌヌワ!」

ネズ「ワンパチよ、分かってます。おれも本調子にならなきゃ……おまえのトレーナーとデートできませんからね」

ソニア「本当に気をつけてくださいね。何かあったらみんなが心配するんだから」

ネズ「…………」

ネズは こちらをじっと見つめている……▼

ソニア「……どうしましたか?」

ネズ「あなたこそ、本当にいいんですか」

ソニア「な、何が?」

ネズ「おれとの約束ですよ。お礼を兼ねたものとはいえ……実質、デートみたいなものですからね」

ソニア「へ?いや、あたしは大丈夫ですよ。そういうの、あまり気にしない方なので」

 ▼ 55 WZienuer1k 21/02/06 22:33:29 ID:Kq6.Dmgk [26/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ネズ「…………」

ソニア「ネズさん……?」

ネズ「……だからあなたはお人好しなんですよ」

ソニア「えっ」

ネズ「分からず屋め、よく今まで無事に生きられたものだ」

ソニア「は、はぁ!?」

ネズ「ソニア」

ソニア「ッ!?」

ネズは ソニアの手を つかまえた!▼

ネズ「この際言っておきますが……おれは、気のない女性と出掛けられるほど図太くありません」

ソニア「は……」





ネズ「おれは、あなたが気になるのですよ」





 ▼ 56 WZienuer1k 21/02/06 22:34:25 ID:Kq6.Dmgk [27/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ネズの手に 力が篭る▼

ソニア「……どういう、ことですか」

ネズ「友人としてではなく、一人の男として、あなたと距離を縮めたいと思っています」

ソニア「…………」

ネズ「……その顔、やっぱり気付いてなかったんだな」

ソニア「い、いや!気付くも何も……えっ、ええっ!?そんな!いきなり言われても!!」

ネズ「おれに懸想されるのは、嫌ですか?」

ソニア「へっ!?い、嫌というか……う、嫌ではないけど、その、ごめんなさい。よくわからないです」

ネズ「そうですか……」

ソニア「はい……」



ネズ「……まあ、嫌じゃないってことは」



ネズの両手が ソニアの手を優しく包み込む▼



ネズ「検討の余地はあるってことだよね?」





ソニア「はい……?」





 ▼ 57 WZienuer1k 21/02/06 22:35:07 ID:Kq6.Dmgk [28/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ネズ「とにかく、そういうことですので」

ソニア「は、はい……」

ネズ「来週は楽しい時間を過ごしましょうね。では」


ネズは キャリーケースを取り 立ち去っていった……▼

 ▼ 58 WZienuer1k 21/02/06 22:35:46 ID:Kq6.Dmgk [29/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ソニア「…………」

ワンパチ「…………」

ソニア「ねえ、ワンパチ」

ワンパチ「ヌワ?」

ソニア「あたし……」




ソニア「ネズさんに、口説かれてたりする?」


ワンパチ「…………」




ワンパチ「……イヌヌワ!」



 ▼ 59 WZienuer1k 21/02/06 23:41:39 ID:Kq6.Dmgk [30/35] NGネーム登録 NGID登録 報告


──2月5日──



 ▼ 60 WZienuer1k 21/02/06 23:43:52 ID:Kq6.Dmgk [31/35] NGネーム登録 NGID登録 報告




【ポケモン研究所】

ソニア「…………」

窓の外は 曇り空 時々雪がちらついついる▼

ネズさんは ちゃんと家で 休んでいるだろうか▼

ダンデ「ソニア!」

ソニア「…………」

ダンデ「おい、ソニア!返事をしろ!応答せよソニア!ソニア准尉!!」

ソニア「はっ!?はい……って、なんでダンデくんがここに?」

ダンデ「ホップのお使いだぜ!これを」

ソニアは ルペルカーリアの資料 を手に入れた!▼

ソニア「あ、ありがとう……」

ダンデ「……どうした?ネズの風邪でも移されたか?」

ソニア「いや……そうじゃないけど……」

ダンデ「そうか……ならいいんだが」

ソニア「……あのさ、ダンデくん」

ダンデ「何だ?」

ソニア「ネズさんって……どんな人?」

 ▼ 61 WZienuer1k 21/02/06 23:44:22 ID:Kq6.Dmgk [32/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「ネズ?そうだな……ダイマックスを使わない分、緻密な立ち回りをするトレーナ
ーだ。キバナほどの読みにくさはないが、冷静に対処しないと……」

ソニア「いや、そうじゃなくて!ネズという人物について知りたいんだけど」

ダンデ「人物?えっと……歌がうまいぜ!」

ソニア「他には?」

ダンデ「妹と仲が良い!」

ソニア「……あとは?」

ダンデ「以上だ!」

ソニア「ダンデくんって友達いるの?」

ダンデ「ソニア、心配無用だぜ。オレも自分の人となりが客観視できないほど子供じゃない。人間の友達はとっくの昔に諦めているんだ」

ソニア「虚しい気付きだ……」

 ▼ 62 WZienuer1k 21/02/06 23:45:09 ID:Kq6.Dmgk [33/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「まあ……そうだな。ネズについては、ホップの方が詳しいかもだぜ」

ソニア「付き合いはダンデくんの方が長いのにね……」

ダンデ「実は意外と話したことがないんだよ。オレもあいつもおしゃべりな方じゃないからな……」

ソニア「ほんと、愛想いい割に付き合い悪いよね。キバナさんともプライベートの付き合いはほとんどないんでしょ?」

ダンデ「まあな。でも最近は交流が増えてきたぞ!毎回じゃないが、ガラルスタートーナメントの帰りに飲みに行くようになったんだ」

ソニア「へー、やるじゃん!」

ダンデ「それで……ネズの話に戻るが。オレとしては、ネズは自分の感情に決して嘘はつかない人物だと思っている!」

ソニア「……なるほど?」

ダンデ「ジムチャレンジの開会式もストライキしたり、意地でもダイマックスを使わなかったり、自己主張は単純明快でストレートだ!ひねくれ者ではあるが、回りくどいことはしないんだぜ」

ソニア「確かに、ネズさんって面倒くさい割に潔いところあるよね」

ダンデ「ああ。そういう意味では誠実な男だぜ、ネズは」

ソニア「……誠実かあ」

ダンデ「少なくとも、人を弄ぶために嘘をつくヤツじゃない」

ソニア「…………」

ダンデ「マリィやエール団にも信頼されているからな。それ相応の人物だと思う」

ソニア「そっか……」

 ▼ 63 WZienuer1k 21/02/06 23:46:18 ID:Kq6.Dmgk [34/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「どうした?ネズに何か……言われたのか?」

ソニア「いや、そういうのじゃないから。ネズさんはあんたより全然まともだし、心配されるようなことはないよ」

ダンデ「お、オレがネズよりマトモじゃないと思われるのは不本意だが……まあ、トラブルがないに越したことはないぜ!」

ソニア「…………」

ダンデ「……なあ、ソニア」

ソニア「ん?」

ダンデ「ここだけの話だが……オレが初めて負けた日、ユウリと戦う時、少し怖かったんだ」

ソニア「そう……だったの?」

ダンデ「ユウリだけじゃない!キミを倒し続け、無敵のダンデと言われるまでになったオレだが……初めて戦う相手には、それなりに恐怖心を感じるんだぜ」

ソニア「…………」

ダンデ「でも、不安になったり、怖がったりしてばかりじゃ面白くないだろ!もちろん、得体の知れない危険な相手じゃ即座に引くべきだが……ネズはそんなヤツじゃない」

ソニア「……うん」

 ▼ 64 WZienuer1k 21/02/06 23:47:22 ID:Kq6.Dmgk [35/35] NGネーム登録 NGID登録 報告

ダンデ「万が一、何かあっても……キミにはオレやホップ、ユウリがいる!遠慮なく頼ってくれよな!」

ソニア「いや……そこまで心配しなくていいから。ただ、あたしが……今までそういうの、疎かにしてきたのが悪いんだし」

ダンデ「へぇ……なるほど!」

ソニア「な、なによ……」

ダンデ「やっぱりネズと何か、あったんだな!」

ソニア「……ダンデくんには関係ない!」

ダンデ「そうだな!オレには何の関係もないぜ!」

ソニア「ほら、用が済んだならさっさと帰る!」

ダンデ「分かってる!無駄に長居してもネズに嫉妬されるからな!」

ソニア「…………」

ダンデ「ソニア、きみも人生をエンジョイするんだぜ!」

ダンデは 立ち去っていった……▼

ソニア「言われなくても……」

手元のファイルには 活字で『ルペルカーリア祭について』 と印刷されている▼

ソニア「…………」




ソニア「……楽しむさ」



ソニア「あたしだって、不幸になるために生まれたわけじゃないからね」



 ▼ 65 WZienuer1k 21/02/08 01:12:10 ID:kNjo5d6w [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告


──2月6日──


 ▼ 66 WZienuer1k 21/02/08 01:12:56 ID:kNjo5d6w [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告





ああ 嫌だな▼



この部屋は 世界で一番寛げる場所だったはずなのに▼



昨日から 秒針の刻む音が 耳障りで仕方ない▼



……彼女は今日も トーストを焼いているのだろうか▼





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