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ヒバニー「私から僕に変わるまでの日々」

 ▼ 1 .SzrgrKQ4A 21/02/18 19:29:09 ID:qXgkggpg [1/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
私が生れたとき、そばに親はいなかった。
そこは薄暗くて、食べ物だって満足に食べられない場所。

「このクソガキ!俺の獲物食ってんじゃねぇ!」

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

泣いても、誰も助けてくれなかった。
誰もが、自分が生きるために必死だった。
だから私は頑張った。
たくさん努力した。
たくさん戦って、たくさん奪って、たくさん殺した。
たった独りで、生きてきんだ。
 ▼ 2 .SzrgrKQ4A 21/02/18 19:47:34 ID:qXgkggpg [2/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
そうこうして、私はヒバニーからラビフットになった。

「今日も大量大量♪」

奪った木の実とお金を抱えて、私は初めて街に行ってみた。
たまに奪うだけじゃなく何か買ってみよう、なんて思ったからだ。

「ママー今日のご飯はー?」

「あなたの大好きなナナの実カレーよ」

「わーい!ママ大好き!」

「…………」

もう夕方間近。
辺りにいるポケモンは皆、小さなポケモンと手を握りながら歩いていた。
あれが親子か……

「……バカみたい」

皆、誰もが笑っている。
苦労なんて知らさそうに朗らかに、幸せそうに笑っている。
どうして私ばかり、辛い目に合っているんだろう。
……妬ましい。
そんな感情を初めて抱いた。
そこにいたくなくて、誰もいない路地裏に逃げ込んだ。
やっぱり私は、陽が当たる場所になんていられないんだ。

別の日、ある家に侵入した。
私は所謂泥棒、お尋ね者という奴だ。

「……!……!!」

「……?」

しまった、誰かいる。
怒鳴り声、何かを殴る音、呻き声。
逃げればよかったのに、私は音がする場所を覗いてしまっていた。

「おら!もっと酒持ってこいや!」

「お父さ、やめ、やめてよ!」

「うるせぇこの役立たずが!」

そこは、前に見た幸せそうな家庭なんかじゃなかった。
地獄だった。
親が子を殴っている。
踏みつけている。
それも、理不尽な理由で。

「やめなよ!」

さっさと立ち去ればよかったのに、何故か放っておけなくて、私はその父親に二度蹴りを放っていた。
 ▼ 3 .SzrgrKQ4A 21/02/18 20:03:04 ID:qXgkggpg [3/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「いってぇ……なんだこのガキ!泥棒とはいい度胸だなぁ!」

「くっ……あっ……離せ、この!」

足を掴まれて逆さになった私を見ながらそいつは下卑た笑顔を浮かべた。

「ちょうどいい、こいつ気絶しちまったみたいだからな、変わりにテメェでストレス発散してやる」

「っ……あんたら、家族なんだろ!何であんなこと、出来るんだよ!」

「ああ?テメェには関係ねぇだろ!」

「がっ……!!」

私はそのまま何度も殴られ、床に叩き付けられた。

「ガキは親の言うことおとなしく聞いてりゃあいいんだよ!」

「…………」

……どうしてこんな屑が親になんてなれるんだろう。
私を捨てた、顔も知らない両親のようで、むかっ腹が立った。
こんな奴、生かす価値もない。

「おらぁ、死ね泥棒ガキ!」

「っ!!」

私は屑目掛けてばくれつのタネをいくつも投げ付けた。

「ぎゃあああああああああああっ!!」

屑の身体の一部が吹っ飛んだ。
かまいやしない、どうせ殺すんだ。
……結局私は、家族という幻想を抱いていただけだった。

「ふ……ふふ……」

屑の身体を蹴りつける。

「うああああああああっ!!いでぇえええええ!!」

「ふふ……あはっ……!」

何か悲鳴を上げてるけど関係ない。
私はひたすら屑の蹴りつけ、踏みにじった。

「あがああああああああっ!!」

「あはっ、はははははははっ、はははははははっ!」

笑いながらそんな事を繰り返して、どれ程経っただろうか。

「も……ゆるし……」

屑が突然弱気な態度でこちらを見てきた。
今までよく見た、命乞いする目だ。
 ▼ 4 .SzrgrKQ4A 21/02/18 20:17:29 ID:qXgkggpg [4/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「…………」

今まで何度も見てきたものだった。
そのはずなのに、この気持ちは何だろう。
興奮?快感?

「……ふふ」

ああ、そうか。
今までは生きるために必死だったから気付けなかっただけだ。

「いいねぇおじさん、その顔」

「……え……」

「もっといい声出してよ」

傷口に手を突っ込み、グリグリと動かす。

「あっぎゃあああっ!!」

「はぁ……いいねぇ……」

今までにない最高の気分だ。
今私は……いいや、僕は相手の命を手中に握っている。
簡単に殺すことか出来てしまう立場にいる。
そんな僕に相手は悲鳴を上げて、必死に助かろうと求めてくる。
そんな表情が……そんな声が……

僕に歓喜を抱かせる!もっと見せてほしいと要求したくなる!
ああ、僕は何て悪い奴なんだろう。
元々悪だったけど、こんな趣向があっただなんて。
こんな屑でも、僕に役に立つだなんて。

「じゃあ次は……」

「ひっ……ひあああああああああっ!!」

「おいおい、さっきまでの威勢はどうしたのさ?だらしないなぁ……僕を殺すんじゃないの?」

「も、……ころし……」

「やーだよ、簡単に殺しちゃったらつまんないじゃない、もっと楽しませてよ」

僕の宴は、そこに乗り込んできた2匹のポケモンがやって来るまで続いた。
ゲッコウガとジャローダの二人組だった。

「あらあら、もうターゲットが悲惨な目にあっていますわ」

「…………」

「……誰あんたら」

「これはあなたの仕業ですの?」

「だったら何さ、邪魔するならあんた達も」

次の瞬間、ゲッコウガが僕の視界から消えた。
 ▼ 5 .SzrgrKQ4A 21/02/18 20:30:03 ID:qXgkggpg [5/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
「ぐっ……!?」

僕はあっという間に取り押さえれた。
ろくな抵抗も出来やしなかった。
こいつ、僕より強い……!

「……貴様、どこの者だ」

「は?何が!」

「何故我々の依頼の標的に手を出した?」

「そんなの知らないよ!僕は泥棒に入って、そこにいたから痛め付けていただけさ!」

「嘘だな、貴様は先程から楽しそうに凌辱していた、ただの泥棒とは思えん」

「く……」

「いいじゃありませんの、離して上げなさいな」

「だが我々の姿を見られた以上、生かすわけには」

「こんな惨状を繰り広げたのですよ、それもその子が一人で……とてもただの子供とは思えませんわ、それにその目」

「……っ」

「ギラギラしていていいですわ、アウトローの素質ありです、生かして私達の一員に加えましょうよ」

「……また気紛れか」

「依頼の障害になるようなことはありませんわ、それにもうとっくに死んでしまってますし、このままその子を我々の一員に迎え入れれば依頼は達成になりますわ」

「…………」

ゲッコウガが僕の拘束を解いた。

「……あんたら、いったいなんなの?」

「私達はデンコウセッカ、非合法の探検隊です……我々はあなたを歓迎いたしますわ」

それが、僕がデンコウセッカの一員になった瞬間だった。
 ▼ 6 .SzrgrKQ4A 21/02/18 20:56:02 ID:qXgkggpg [6/6] NGネーム登録 NGID登録 wf 報告
それから色んな依頼をこなして、自分の趣味を楽しみつつ、エースバーンへと進化して少し経った後、僕はある出会いを果たす。

エイヴンナイツのリーダー、バシャーモ。
僕にどれだけ痛め付けられても、絶対に諦めようとしなかった唯一のポケモン。
命乞いすらしないで、こちらを睨み付ける目に、僕は興味を抱いていた。

ウインディ「エイヴンナイツのリーダーの情報?」

エースバーン「そう、君情報屋で色んな情報持ってるでしょ?」

ウインディ「そりゃあそうだが、何分個人の情報だ、それなりの値がねぇと……」

エースバーン「ほい」

ウインディ「まいどありぃ♪」

情報屋からバシャーモの情報を得た。
これであいつの事は丸裸も同然だ。
絶対に僕の物にして、壊れるまで遊んでやりたい。
そんな気持ちがいつしか、変化していく事を……この時はまだ知らなかった。


おわり
 ▼ 7 リキザン@ばんのうごな 21/02/18 21:19:05 ID:lyJwlhws NGネーム登録 NGID登録 報告
乙!続編期待!
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