【安価SS】フジ老人のシオンタウン改造計画:ポケモンBBS(掲示板) 【安価SS】フジ老人のシオンタウン改造計画:ポケモンBBS

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【安価SS】フジ老人のシオンタウン改造計画

 ▼ 1 マクロー@シャラサブレ 15/08/14 12:27:11 ID:GtAPakDI [1/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 『マサラタウン出身の若きトレーナー、チャンピオンの座に輝く』
 そんなニュースが、昼夜を問わずひっきりなしに報道されていた頃のこと。

 シオンタウンという閑静な町に住むフジ老人は、普段と変わりなくのんきに雑誌を読んでいた。
 毎月楽しみにしている懸賞のクイズを解き終わり、残りのページをパラパラとめくりながら目を通していたのだが…

フジ「何じゃ、このランキングは?」

 新企画ページでフジ老人は手を止め、まるで吸い寄せられたかのようにページに釘付けとなる。
 どうやら、読者の投票で選ばれた町を順位付けして紹介するコーナーのようだ。

フジ「若者に人気のある街は1位タマムシシティ、2位がミアレで3位ライモンか。まあそんな感じじゃろうな」

フジ「ポケモン厳選マニアに人気なのはズイタウンとコボクタウンが同票1位か。何となくそんな気がしておったわい」

フジ「おお!シオンタウンも1位にランクインしているようじゃの!」

 『住みたくない町No.1 シオンタウン』

フジ「…ありゃ、わしの見間違いかのう?」

 フジ老人は自分の目を疑ったが、何度まばたきしようともその素敵な文字の並びが変化することはない。
 現実は非情である。
 ▼ 2 ポポタス@ぎんいろのはね 15/08/14 12:28:17 ID:GtAPakDI [2/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 フジ老人はシオンタウンが大好きだ。
 これまでシオンタウンがどんなに酷評されても、どんなに過疎化が進んでも、住めば都だと言い続けてきた。
 だが老人が熱弁を振るったところで、世間の若者達とシオンタウンの魅力を分かち合うことはできなかった。
 住んでみなければ、住んでみたいと思われなければ、いつまでたっても都にはなれないのだ。

フジ「こうなったらわしがシオンタウンを改革して、住みたくなる町No.1に輝かせてやるぞ!」

 だが、改革するといっても具体的なアイデアがあるわけではない。
 そこでフジ老人は町の若者達にインタビューをして、シオンタウンの問題点とその改善案を聞いてみることにした。
 これからの未来を担う若者の意見を取り入れれば、シオンも魅力的に生まれ変わるに違いない…そう信じながら。

フジ「まずは、あの子にインタビューしてみるとするかのう」
 ▼ 3 シャーナ@げんきのかけら 15/08/14 12:29:29 ID:GtAPakDI [3/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 フジ老人が最初に注目したのは、ベンチに座ってGBプレイヤーで音楽を聴いているミニスカート。
 いかにも今風の若者といった雰囲気だ。

ミニスカート「はーい、なんでしょうかあ?」

フジ「突然じゃが、シオンタウンのどこが問題だと思うか教えてくれんかのう?」

 ミニスカートはヘッドホンを頭から外し、指先でクルクル回しながら答えた。

ミニスカート「えっとー、やっぱり音楽が問題だと思いまーす」

 シオンタウンの音楽は割とよく挙がる問題点だ。
 町の音楽とは思えないほど不気味な旋律はこれまでに何千、何万という旅人にあくむを見せてきた。
 その手口はというと、じてんしゃに乗ってイワヤマトンネルを抜けてきた満身創痍のトレーナーを
 ポケモンセンターにおびき寄せ、安堵の表情で出てきたところにふいうちを食らわせるのだ。

ミニスカート「てかま、なんていうかヤバイよね。友達の間でもとりあえずスゴイヤバイ、みたいなー」

 音楽が好きな若者らしくミニスカートはタネマシンガントークを続けるが、若者言葉に慣れていないフジ老人にはチンプンカンプン。
 そこで、質問のしかたを変えてみることにした。

フジ「ならば、お前さんはどんな曲ならいいと思うんじゃ?」

ミニスカート「やっぱ、シオンには>>5(ポケモンのBGMか主題歌)が似合うんじゃない?」
 ▼ 4 ンブオー@あやしいパッチ 15/08/14 12:31:03 ID:6tNcJA.w NGネーム登録 NGID登録 m 報告
タケシのパラダイス
 ▼ 5 ンテール@せいれいプレート 15/08/14 12:31:28 ID:riueJBug [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ポルカオドルカ
 ▼ 6 星◆vIW4NZzpSc 15/08/14 12:31:36 ID:ReuhVTFA [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 7 ゲキ@マスターボール 15/08/14 12:43:20 ID:GtAPakDI [4/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ミニスカート「やっぱ、シオンにはポルカオドルカが似合うんじゃない?」

ミニスカート「だって最近あたしの周りではこれが流行ってるし、みたいなー」

 ポルカオドルカ、それはご存知アップテンポで踊り出したくなるほどにぎやかな曲だ。
 静かでしんみりとしたシオンタウンとは正反対のイメージだが、果たして…

ミニスカート「はっきり言うよ、今の音楽って聞いてると気が滅入るじゃん?」

フジ「…!」

 そう思われても仕方ないのは知っているが、ここまではっきり言われると少しショックだ。

ミニスカート「だからこうして耳元で別の音楽流さなきゃやってられない、みたいなー」

 ちょっと想像してみよう。
 シオンタウンの人間は、あの音楽を24時間聴き続けているという事実を。
 だから町民のほとんどはイヤホンやヘッドホンを装備して、大音量で別の音楽を流している。
 シオンタウンの音楽に長年慣れ親しみ、無の境地に辿り着いてしまったフジ老人には無縁ななやみのタネなのだが
 町を発展させるには思い切って音楽を変え、流行に順応するべきなのかもしれない。

フジ「…とはいえ、決して悪い曲ではないのう」

フジ「ポルカオドルカを聴くと何だか元気になれるようじゃ。若返ったような気さえするのう」

ミニスカート「でしょー!」
 ▼ 8 ェイミ@きいろのバンダナ 15/08/14 12:45:14 ID:GtAPakDI [5/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「シオンでもたまには違う音楽を流すべし。ポルカオドルカに一票…ふむふむ」

 ミニスカートと別れると、フジ老人はポケットからメモ帳を取り出して書き残しておくことにした。

フジ「(…わしは いま! シオンタウン改革への だいいっぽを ふみだした!)」

 メモ帳にペンを走らせながら、フジ老人は悦に浸る。
 シオンが魅力的な町にへんしんした暁には…と、足りない想像力をしぼって夢を見ている。

 ブオン、ブルルン…

 そんな彼の背後から徐々に迫り来るのは、大型バイクが放つばくおんぱ。
 だがそれは脳内で流れるポルカオドルカのメロディに阻まれ、のうてんきな老人の耳に届くはずもない。
 急ブレーキの音に驚いて振り向いた時には、フジ老人のすぐ後ろで横転しているバイクとその持ち主がいた。

ぼうそうぞく「…いてて」

フジ「(しまった!ぼうそうぞくか…!?)」

 こわいかおの若者と視線が合い、背筋がぜったいれいどになるフジ老人。
 若者は起き上がり、無言のまま老人のほうへと歩み寄ってきた。
 ▼ 9 ッキー@スペシャルガード 15/08/14 12:47:41 ID:GtAPakDI [6/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぼうそうぞく「じいさん、怪我はないか?」

フジ「えっ?」

 予想に反して若者が見せた心配そうな表情に、フジ老人のきんちょうかんは音を立てて崩れる。

フジ「わ、わしは大丈夫じゃが、お前さんこそ怪我はないかい?」

ぼうそうぞく「ああ、おどろかせてすまねえ。ちょっと考え事しててな」

フジ「考え事?」

ぼうそうぞく「雑誌のランキングのことだよ。シオンが住みたくない町No.1なんだってな」

フジ「ああ、そのことかい。わしも見たぞ」

 この若者もまた、シオンの現状をナゲキ悲しんでいた。
 若い人はシオンタウンに無関心なのではないかと心配していたフジ老人だったが、世の中捨てたものではないようだ。
 ▼ 10 ガバクーダ@りゅうのプレート 15/08/14 12:49:33 ID:GtAPakDI [7/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぼうそうぞく「じいさん、観光客を引きつけるにはやっぱり食い物だと思うんだ」

フジ「というと?」

ぼうそうぞく「例えばキンセツチャンポン。あれが有名になって以来、キンセツの食堂はいつも大行列らしい」

フジ「ああ、わしも知り合いからキンセツ土産のレトルトチャンポンを貰ったことがあるぞ」

ぼうそうぞく「俺も食べたことあるぜ、そりゃもう遠い昔にな…」

 ぼうそうぞくはキンセツチャンポンにまつわる思い出話を始めた。
 家族と一緒に一時間近く並んだこと、通りすがりの老人トレーナーが席を譲ってくれたこと、父親がスープの塩加減を絶賛していたこと。
 お子様チャンポンのおまけで貰ったコイルのペーパークラフトは今でも彼の宝物だ。

ぼうそうぞく「料理は食べたらなくなるけど、心のアルバムには残るものなんだよ」
 ▼ 11 ガルカリオ@イアのみ 15/08/14 12:50:54 ID:GtAPakDI [8/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぼうそうぞく「さて、シオンの北にはイワヤマトンネル、南にはつりのめいしょがある。これなら山の幸にも海の幸にも困らねえはずだ」

フジ「ごもっとも。じゃが、誰が料理を作るんじゃ?」

 ぼうそうぞくは何か考えこんでいるようにしばらく黙っていたが、深呼吸して小さくうなずくと
 するどいめをまっすぐ老人に向け、ふくつのこころを示すのであった。

ぼうそうぞく「誰もやらないなら、俺が作るつもりだ」

フジ「…おお!」

 何というきょううんだろうか、二度目のインタビューにして心強い助っ人に巡り会えるなんて。
 フジ老人の心拍数はかそくする一方だ。

フジ「それで、それで、お前さんはどんな料理を作りたいんじゃ?」

フジ「和風?洋風?中華?イッシュ風?カロス風?それとも…」

 つぶらなひとみを輝かせて迫る老人に少し呆れながら、ぼうぞうぞくの若者は答えた。

ぼうそうぞく「やっぱり>>13(料理の種類、料理名)かなあ」
 ▼ 12 ルネアス@はつでんしょキー 15/08/14 12:55:48 ID:Di5baBy6 NGネーム登録 NGID登録 報告
カモネギ鍋
 ▼ 13 星◆vIW4NZzpSc 15/08/14 12:56:14 ID:ReuhVTFA [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ステーキ
 ▼ 14 ジュマル@1ごうしつのカギ 15/08/14 12:59:31 ID:vf/dwE66 NGネーム登録 NGID登録 報告
お悩み相談とかの人?
支援
 ▼ 15 ャモメ@メカニカルメール 15/08/14 13:08:26 ID:GtAPakDI [9/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぼうそうぞく「やっぱりステーキかなあ」

 ステーキ、それはいつの時代も若者を魅了する肉料理。
 くいしんぼうな人ならば、鉄板の上でジュージューと焼ける音や匂いを想像しただけでお腹が鳴ってしまう。
 ポケモン世界で何の肉を使用するのかは…聞かないでおこう。

フジ「じゃがお前さん、料理は得意なのかい?」

ぼうそうぞく「得意っていうか、今ちょうどヤマブキのステーキ屋でバイトしてるんだが…」

ぼうそうぞく「ここだけの話、あの職場かなりのブラッキーだからそろそろ転職したいと思っていた頃なんだ」

フジ「世知辛い世の中じゃのう…」

ぼうそうぞく「だから、辞めるまでに沢山どろぼうしてきてやる。料理の技術をな!」

フジ「そうかい、そうかい!そりゃ心強い!」

 独立して自分の店を構えるチャンスを待ちわびていたぼうそうぞくは、イワヤマトンネルを照らすフラッシュよりも眩しい笑顔で語り続ける。
 肉より魚料理が好きなフジ老人だったが、シオンの改革がかかっているともなれば話は別。
 キョウミシンシン イキヨウヨウとして、相槌を打ちながら話を聞くのであった。
 ▼ 16 バルオン@GBプレイヤー 15/08/14 13:12:05 ID:GtAPakDI [10/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「…さて、お前さんはどんな店にしたいのかい?」

ぼうそうぞく「まず何より味が大事だろうな。いくら有名になっても、まずかったら客足も遠のくというもんだ」

フジ「ふむ、重要なポイントじゃな」

ぼうそうぞく「だが、いくら美味いステーキを作っても知名度ではヤマブキの店にかなわない。何せあっちはチェーン店だからな」

フジ「そうかい…」

ぼうそうぞく「それでも、誰よりシオンを愛するじいさんと…一緒ならば、諦めるのは早いぜ!」

 そう言って、ぼうそうぞくの若者はじしん満々に顔を上げる。
 だが、老人としては個人経営の小さな店がチェーン店に対抗できるのかどうか正直不安だ。

フジ「どうやって太刀打ちするつもりじゃ?」

ぼうそうぞく「俺は形から入るタイプだ。店名を工夫して、ギガインパクトのある第一印象を植え付けるのが大事だな」

フジ「なるほど、なるほど。店名候補はあるのかい?」

ぼうそうぞく「『>>18』、一度聞いたら忘れられないだろう?」
 ▼ 17 ターミー@ヤタピのみ 15/08/14 13:53:06 ID:2Q5j6lko NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ニクシオン
 ▼ 18 クシー@すごいキズぐすり 15/08/14 13:54:17 ID:AoCyA0CQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
見にくくて醜い肉屋ァ
 ▼ 19 ーダル@シュカのみ 15/08/14 14:26:10 ID:GtAPakDI [11/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぼうそうぞく「『見にくくて醜い肉屋ァ』、一度聞いたら忘れられないだろう?」

 ぼうそうぞくの口から飛び出してきたのは、衝撃的キマワリ…極まりない店名。
 今までカントーのどこを探してもなかったタイプの、かたやぶりな響きだ。

フジ「じゃが、『醜い』と言ってしまうのはいかがなものか。自虐ネタかい?」

 若者のセンスについていけずに困惑しているフジ老人。
 その様子を見て、「ただの自虐じゃないぜ」とぼうそうぞくはゆびをふる。

ぼうそうぞく「俺の店は、あのチェーン店よりも見つけにくい辺鄙な場所にあって、店内も小奇麗じゃないかもしれない」

ぼうそうぞく「それでも、俺は自分にしか出来ない等身大のステーキを作りたいんだ!」

フジ「なるほど!そう考えると深い店名じゃな!」

 シオンを活気づかせたい老人と、自分のステーキ屋を持ちたい若者。
 夢を見ることに年齢は関係ない。

ぼうそうぞく「…お、そろそろバイトが始まる時間だ。行ってくるぜ」

フジ「行っておいで。がんばるんじゃぞ」

ぼうそうぞく「大変な仕事だが、これも夢のためだと思えば何だかやるきが湧いてくるぜ!」

 ぼうそうぞくはガッツポーズを決め、バイクにまたがって仕事場へと出かけていった。
 残されたフジ老人はメモ帳にペンを走らせながら、一人つぶやくのであった。

フジ「『見にくくて醜い肉屋ァ』でステーキを食べられる日が待ち遠しいのう」

 このまま出店者が増えれば、シオンもいつかはイッシュのジョインアベニューみたいに賑わう日が来るかもしれない。
 ▼ 20 蝣竜◆tLVuNBhIJA 15/08/14 14:28:47 ID:dMSfoeGE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
シオンタウンの音楽が好きな奴て上げろwwwww
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 ▼ 21 ザンドラ@ハガネールナイト 15/08/14 14:39:35 ID:GtAPakDI [12/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 次にインタビューを受けたのは、イワヤマトンネルから帰ってきたばかりのキャンプボーイ。
 彼の父親は元ボーイスカウトで、母親は元ガールスカウト。
 両親譲りの好奇心とまじめなせいかくが自慢の少年だ。

ボーイ「ゴクッ、ぷはー。えーとですね…」

 行きと比べてすっかり軽くなった水筒を逆さにひっくりかえし、おいしいみずの最後の一口をのみこんでから老人の質問に答えた。

ボーイ「やっぱりお土産じゃないでしょうか?」

ボーイ「この町にも、いかりまんじゅうみたいな限定商品があったらいいなー、って思うんです」

 いかりまんじゅうというのは、ジョウト地方のチョウジタウンで売られている代表的なお土産だ。
 シャラサブレやミアレガレットと比較するとカロリーひかえめで、ダイエット中の女性にも大人気。
 かの四天王シバもこのお菓子が大好きで、たびたび買いに行っているそうだ。

ボーイ「ウー、ハーッ!」

 シバのファンらしく、キャンプボーイはものまねをしてみせる。

ボーイ「シオンにもシバさんが遊びに来てくれたらいいのになあ」
 ▼ 22 ニラン@さざなみのおこう 15/08/14 14:55:03 ID:GtAPakDI [13/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「なるほど、シオンにもそういう限定商品があれば話題になりそうじゃな」

ボーイ「あとお菓子以外にも、このキーホルダーとか…」

 そう呟いて少年が取り出したのは、観覧車の形をした小さなキーホルダー。
 裏側に彫られた文字を見るに、ライモンシティの土産と思われる。

フジ「(観覧車というと何やら物騒な噂もあるようじゃがのう)」

 と言いかけた老人だが、少年のいたいけな夢にはかいこうせんを撃つのは気が引けたので黙っていた。

ボーイ「イッシュ地方に引っ越していった友達から送ってもらったんです」

フジ「うむ、いい友達を持っているのう」

ボーイ「シオンにも、おみやげとして友達にあげられるようなものがあればいいですよね」

フジ「そうじゃな、あればいいのう…」

ボーイ「……」

 老人も少年もシオン土産になりそうな品を何一つ思いつくことができないまま、気まずい沈黙だけが流れていく。
 この空気をオーラブレイクすべく、先に口を開いたのは少年のほうだった。

ボーイ「こうなったら、シオン土産を新しく作ってしまいましょう」

フジ「ほう!どんな土産じゃ?」

ボーイ「シオン>>24(お菓子や雑貨など)なんてどうです?」
 ▼ 23 ゴラス@つきのいし 15/08/14 15:07:14 ID:0.qxSSDg [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
グミ
 ▼ 24 ルディオ@ゼニガメじょうろ 15/08/14 15:07:51 ID:YzM03S6M NGネーム登録 NGID登録 m 報告
いちおく
 ▼ 25 ヌギダマ@ボーマンダナイト 15/08/14 15:27:28 ID:GtAPakDI [14/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボーイ「シオンいちおくなんてどうです?」

 キャンプボーイが口にしたのは「いちおく」という謎の単語。
 若者の間では常識なのかもしれないが、フジ老人にはそれが何を指すのか分かるはずもない。

フジ「シオンはまだ分かるが…いちおくとは何じゃ?」

ボーイ「ジーランスのことですよ。1億年前から姿が変わっていないということで、こういうあだ名がついてるんです」

 1億年前の化石から復元されたポケモンは数多くいるけれども、1億年間存在し続けているのはジーランスだけ。
 そういう理由で最近注目され始めたジーランスだが、幸か不幸か「いちおく」というあだ名をつけられてしまったそうだ。

フジ「(やっぱり最近の若者文化は理解しがたいのう)」
 ▼ 26 童ヒカル◆eU4CTs6PGQ 15/08/14 15:30:10 ID:rfBXt7RU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
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 ▼ 27 ガガルーラ@ダイゴへのてがみ 15/08/14 15:31:26 ID:riueJBug [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 28 ゲキ@ナナのみ 15/08/14 15:44:52 ID:GtAPakDI [15/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「じゃが、シオンタウンとジーランスに一体何の関係が?」

ボーイ「実はですね、最近12番道路のつりのめいしょにもジーランスが現れたんですよ!」

フジ「…本当かい?」

 ホウエンの深海魚であるジーランスがこの周辺に出没したと言われても、すぐには信じられない。
 半信半疑のフジ老人だが、少年はひるまずに話し続ける。

ボーイ「なお、第一発見者は僕。ホウエン風の音楽を聞きながら釣り糸を垂らしていたら、釣れちゃったんです!」

フジ「いきなりそんな事を言われてものう…」

ボーイ「まあまあ。百聞は一見に如かず、ですよ」

 どこで覚えたのか難しい言葉をつぶやきながら、少年はモンスターボールを取り出した。
 出てきたのは「いちおく」というニックネームのジーランス。
 モンスターボールにインプットされたデータを見ると、そこには確かに「12番道路で出会った」の文字が。

(※ HGSSでは条件を満たせば実際に出現します。)

フジ「何と!こりゃタマゲタケ!」

ボーイ「そういうわけで、今話題のポケモンなんですよ!」
 ▼ 29 ラサリス@ポケトレ 15/08/14 15:53:29 ID:GtAPakDI [16/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボーイ「そんなジーランスをモデルにしたお菓子『シオンいちおく』は絶対に売れるはず!」

 これにはフジ老人も納得せざるを得ない。
 心なしかジーランスの顔が自分に似ているような気がして、親近感さえわいててきた。

フジ「…そ、そうじゃな!」

ボーイ「この際、シオンのご当地キャラもジーランスにしちゃっていいんじゃないですか?」

フジ「そ、そうじゃそうじゃ。それがいいかもしれんのう!」

 何だかうまく丸め込まれてしまったような気もするが、それでシオンがにぎやかになるならば構わない。
 老人はキャンプボーイの少年に感謝の言葉を告げ、忘れないうちに書き残しておこうとメモ帳とペンを構えるのであった。

フジ「シオンのお土産といえば『シオンいちおく』。後にカントーという枠を超えて世界的に有名になる銘菓である…」

フジ「一億年間変わらない姿で存在し続けるジーランスにあやかって、長寿とシオンの末永き繁栄への願いが込められており…」

フジ「…できたぞ。あとはこの案を近所のパン屋さんに持ち込んで交渉してみるとするか」
 ▼ 30 ャルマー@みずのいし 15/08/14 15:55:19 ID:AoCyA0CQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
いちおくからジーランスに繋げたイッチすげぇ
 ▼ 31 イロス@きのみぶくろ 15/08/14 16:30:24 ID:0.qxSSDg [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 32 キワラシ@ポケモンのふえ 15/08/14 16:59:28 ID:GtAPakDI [17/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 それから数週間が過ぎた。
 今日はステーキ屋「見にくくて醜い肉屋ァ」の開店と、銘菓シオンいちおくの発売が同時に始まる日ということもあり
 あさのひざしも冷めやらぬうちからシオンタウンは大賑わいだ。
 町のスピーカーからも既に「ポルカオドルカ」の元気なリズムが流れ始めている。

おねえさん「…はあ」

 そんなおいわいムードの中、一人浮かない顔で溜息をついている若者がいる。
 シオンで生まれシオンで育った彼女も、今ではおとなのおねえさんだ。

おねえさん「アイドルのオーディション、また落ちちゃった」

おねえさん「10代ならまだしもこの歳だときついのかな…」

 このように色んな意味でそんざいかんをはなつ彼女を、フジ老人が見逃すはずもない。

フジ「おお、誰かと思えばお前さんか。久しぶりじゃな」

おねえさん「わわ!フ、フジのおじいちゃん…」

フジ「お前さんのような若者がしょんぼりしているのは放っとけなくての、つい声をかけてしもうた」

おねえさん「若者?どうせもうすぐおばさんよ」

フジ「なに、年寄りから見ればお前さんもうきわガールもやまおとこもみーんな若者じゃ」

おねえさん「は、はあ。そうですか…」
 ▼ 33 ュレム@こだわりスカーフ 15/08/14 17:20:15 ID:GtAPakDI [18/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「まあまあ、元気を出しなされ」

フジ「今日はこのシオンタウンが生まれ変わる日じゃからな。お前さんもお祭りムードを楽しむといい」

おねえさん「と言われても、今はそんな気分じゃ…」

 おねえさんは長い金髪を耳にかけ、首を横に振る。
 老人は何とか彼女の気を引けそうな話題はないものかと考えを巡らせるが、あいにくステーキにもジーランスのお菓子にも興味がないようだ。

フジ「(やはり、シオンタウンには若者が好む物がまだ足りないということか…)」

 いや、足りないなら新しく作ればいいだけのことだ。
 老人は先程おねえさんがつぶやいていたひとりごとを思い出し、こんな話を持ちかけてみた。

フジ「そうじゃ、このシオンタウンのご当地アイドルになってみないかい?」

おねえさん「!?」

 こうかは ばつぐんだ!
 「アイドル」という単語に反応し、おねえさんの目はニャースのように輝いた。

おねえさん「そ、それは確かに魅力的な話だけど。私なんかに務まるのかなあ、って思って」

フジ「まあ焦るでないぞ。お前さん、特技は何かあるかい?」

おねえさん「特技?一応>>35ですけど…?」
 ▼ 34 マタマ@きかいのぶひん 15/08/14 17:26:15 ID:OmNHv8UI [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
お菓子作り
 ▼ 35 リーパー@ヘルガナイト 15/08/14 17:27:00 ID:PxC9AXzs NGネーム登録 NGID登録 報告
シンオウ地方を消し飛ばすぐらい
 ▼ 36 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/14 17:29:10 ID:Ggs07qgM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援 安価なら下
 ▼ 37 ンリュウ@ヨクアタール 15/08/14 17:47:54 ID:GtAPakDI [19/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
おねえさん「特技?一応シンオウ地方を消し飛ばすぐらいですけど…?」

 真顔のまま、何やら物騒なことを言い出すおねえさん。
 ぱっと見、彼女がシンオウ地方を消し飛ばすほどの力を持っているようには見えないが、もしそれが本当なら
 その力がシオンタウンで暴発でもした日には、町おこし計画も台無しになるどころではない。

フジ「たのむ! シオンタウンを消し飛ばす それだけはしないでくれっ!」

 さっきまでの落ち着きはどこへやら、ブルブル震えながら慌てふためくフジ老人。
 その様子を見て、おねえさんは半ば申し訳無さそうに笑った。

おねえさん「あー、やっぱりこれ通じないか…」

フジ「…はい?」

おねえさん「文字通りじゃなくて『シンオウ地方[のアイドルの存在感]を消し飛ばすぐらい[有名になってやるからお前ら覚悟しろ]』って意味なんだけど…」

おねえさん「これをオーディションで言ったら落とされちゃいました。てへへ!」

 彼女としては渾身のネタなのだろうが、若者の流行に疎いフジ老人の反応はいまひとつ。
 だが、ネタがすべっても気にせず笑顔を見せ続ける彼女から、少なくともふくつのこころを感じ取ることはできた。

フジ「ま、まあ要するに野心家でがんばりやな性格が自慢です、ってことじゃな?」

おねえさん「そういうこと!」
 ▼ 38 ノプス@パワーアンクル 15/08/14 18:03:23 ID:GtAPakDI [20/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「なるほど。お前さんならシオンのアイドルにぴったりかもしれんな」

 それを聞いて、おねえさんは今までになくむじゃきな笑顔を浮かべた。
 自分の居場所はタマムシではなくここなのだ、という希望をかみしめているようにも見える。

フジ「さあ、このシオンタウンを一緒に盛り上げて、必ずや魅力的な町にへんしんさせようぞ!」

おねえさん「そしてシンオウ地方の存在感を消し飛ばしましょ!」

フジ「それはちょっと…」

おねえさん「あはは、冗談よ冗談!」

 彼女がなぜここまでシンオウに対抗意識を燃やすのかは不明だ。
 恐らく、あちらには公式に「アイドル」という肩書のトレーナー…つまり自他ともにアイドルと認められている人々が数多くいるせいかもしれない。

フジ「さて、お前さんはアイドルになってどんな事をするんじゃ?」

おねえさん「当然、私の新曲を披露するのよ」

おねえさん「曲のタイトルは『>>39』、これをシオンタウンの代名詞にしてみせる!」
 ▼ 39 ルキモノ@トレジャーメール 15/08/14 18:04:30 ID:OmNHv8UI [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
みかんの皮
 ▼ 40 ロバット@ほしのすな 15/08/14 18:08:11 ID:V28LitwQ NGネーム登録 NGID登録 報告
まともな安価がないのに続けられる>>1すげえ
 ▼ 41 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/14 18:20:42 ID:Ggs07qgM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
安価は絶対を守る1すげえ
 ▼ 42 331 15/08/14 18:24:52 ID:BSbehL7. NGネーム登録 NGID登録 報告
アデクネタww
 ▼ 43 ロアーク@きれいなぬけがら 15/08/14 18:35:05 ID:GtAPakDI [21/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
おねえさん「曲のタイトルは『みかんの皮』、これをシオンタウンの代名詞にしてみせる!」

フジ「(また微妙な曲名じゃな…)」

フジ「で、それはどんな歌なんじゃ?」

おねえさん「捨てられる運命にあったみかんの皮がリサイクルされて、入浴剤や漢方薬にへんしんするという感動的なストーリーよ」

フジ「そうかい、そうかい」

 口や態度には出すまいと努めているが、フジ老人の反応はいまひとつのようだ。
 だがおねえさんが発した次の一言で、空気の流れも老人の顔色もガラリとへんしょくする。

おねえさん「そして何と、動画サイトPikatubeにアップしたら再生回数いちおく回達成しましたー!」

フジ「何と!動画サイトとやらはよく分からんが凄いことじゃな!」

おねえさん「ま、ジョウトの人気ジムリーダーの名前で釣って再生数稼いだだけなんだけどね」

フジ「……」

 だが、考えてみて欲しい。
 たとえタイトルで釣った結果だとしても、再生回数いちおく回を達成するということはタダ事ではない。
 このことをオーディションでアピールしていれば間違いなく合格していたはずなのに…運命とは実に数奇である。
 シオンタウンは何やらとんでもない逸材を手にしてしまったようだ。
 ▼ 44 ンムー@スターのみ 15/08/14 18:36:25 ID:F5g3VmAI NGネーム登録 NGID登録 報告
たつじんの人か
 ▼ 45 ンドール@きいろいバンダナ 15/08/14 18:38:33 ID:0.qxSSDg [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>1が有能すぎる
 ▼ 46 ーランド@たんけんセット 15/08/14 21:04:15 ID:Sztk2c4Q [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
どんな安価でも対応できて、ポケモン関連の語が文面に混ざる作風は、まさかたつじんssの…。
 ▼ 47 ーボ@うみなりのスズ 15/08/14 21:27:35 ID:GtAPakDI [22/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 昼夜を問わず、シオンタウンの改造に尽力するフジ老人。
 そんな彼の噂を聞きつけ、自らすすんでインタビューを受けに来た若者がいる。

きとうし「どうやら、わらわのてだすけが必要な時が来たようじゃな」

フジ「ありゃ?きとうしって若者に入るのかのう?」

きとうし「失敬な!FRLGのグラフィックだと巫女さんみたいで結構可愛いぞっ!」

 きとうしは不満そうな表情を露わにしたが、すぐにれいせいになって話を続けた。

きとうし「少々話がそれたが本題に入るぞ。わらわは昨夜奇妙な夢を見てな…」

フジ「どんな夢じゃ?」

きとうし「何と、あのポケモンタワーがラジオ塔に建て替えられておったのじゃ!」

フジ「そうかい、そうかい。そりゃフシギダネ」

きとうし「フシギダネ、では済まされないぞ。これは由々しき事態じゃ!」

 ウソハチかまことか知らないが、彼女のよちむはよく当たるらしい。
 先週タマムシの池がベトベターだらけになるという夢を見たそうだが、それはまさに今朝のニュースの内容そのままだ。
 また、ヤマブキのモノマネむすめが引っ越しを余儀なくされたという話も、彼女が既に予知していたことらしい。
 みらいよちというものに無縁なフジ老人は、半信半疑のまま話を聞き続けるしかできなかった。

フジ「で、お前さんは結局ポケモンタワーをどうしたいんじゃ?」

きとうし「わらわが思うに、ポケモンタワーは>>49(施設)になるべきじゃな」
 ▼ 48 蝣竜◆tLVuNBhIJA 15/08/14 21:29:14 ID:MuFU2i/c NGネーム登録 NGID登録 報告
良ssってこれ?
 ▼ 49 ーマルド@ポケモンのふえ 15/08/14 21:29:46 ID:OmNHv8UI [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
スカイツリー風観光
 ▼ 50 コリータ@メガバングル 15/08/14 21:29:47 ID:ReuhVTFA [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
野球場
 ▼ 51 ーブイ@あおいビードロ 15/08/14 21:46:37 ID:GtAPakDI [23/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
きとうし「わらわが思うに、ポケモンタワーはスカイツリー風観光になるべきじゃな」

フジ「すかい…つりー?」

 どこかで聞いたような響きじゃが…とフジ老人は首をかしげる。

フジ「そうか、思い出したぞ!イッシュ地方にあるグネグネした木のことじゃな!」

きとうし「それはハイルツリー」

フジ「ならばあれじゃな!ホウエンにある高い塔で、てっぺんにレックウザが降りてくる所じゃろう?」

きとうし「それはSky Pillar(そらのはしら)」

きとうし「スカイツリーというのは、ホウエンやイッシュよりも遠く離れた場所にある有名な観光スポットじゃ。例に漏れず若者に大人気じゃぞ」

 なるほど、その若者に人気のあるスカイツリーとやらをパク…まねっこすれば、シオンも若者に愛される町になるかもしれない。
 夜にはライトアップされて綺麗なので、照明の種類を工夫すれば例年行われてきた慰霊祭にも対応できる。

きとうし「ラジオ塔なんて地味すぎる。スカイツリー風観光こそ、これから爆誕する新シオンに似つかわしい!」

フジ「はあ…そういうものなのかのう?」

きとうし「それに、スカイツリー風の観光スポットができればお客が増えて経済効果が上がるばかりでなく、他にもいいことが沢山あるぞ」

フジ「ほう。どんないいことがあるのかい?」

きとうし「例えば、>>53
 ▼ 52 ーケオス@なぞのすいしょう 15/08/14 21:49:59 ID:Sztk2c4Q [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 53 ローゼル@くろいビードロ 15/08/14 21:50:27 ID:Sztk2c4Q [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
伝説ポケモンが大量にお出ましする。
 ▼ 54 オスタの悲しみ 15/08/14 22:06:21 ID:S.T3IkXo NGネーム登録 NGID登録 報告
シオンガフーパに・・・こわっ
 ▼ 55 カンプー@ハートスイーツ 15/08/14 22:21:07 ID:GtAPakDI [24/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
きとうし「例えば、伝説ポケモンが大量にお出ましする。」

 真新しい観光スポットに惹かれるのは何も人間だけではなく、ポケモンとて同じ。
 特に伝説のポケモンは、強いトレーナーや優しいトレーナーを求めて人が多く集まる場所を欠かさずチェックするのだそうだ。
 だが、伝説のポケモンは普段姿を消しているものが多く、実際に姿を見ることができるかどうかは完全に運次第だという。

フジ「意外じゃな。伝説のポケモンといえば洞窟の奥深くでじっと待っているイメージがあったからのう」

きとうし「それから…そうじゃな。幻のポケモン、ミュウにも会えるかもしれぬぞ」

フジ「!?」

 何を思ったか、きとうしの口から突如飛び出してきたミュウの名前。
 それを耳にするやいなやフジ老人の心臓はあばれるように波打ち、目の前もチカチカと点滅し始める。

フジ「(何故じゃ?目の前の若者は、昔の事など知っているはずもないのに…)」

 懐かしいような、悲しいような、それでいて暖かいような…不思議な感覚が老人の全身を駆け巡る。
 頭痛が和らいでいったところでようやく目を開けると、きとうしの娘がいたずらごころっぽく笑っているのが見えた。

きとうし「…なんてな。もしそなたがラッキーなら会えるかも、というだけの話じゃ」
 ▼ 56 ルジーナ@デンリュウナイト 15/08/14 22:44:03 ID:GtAPakDI [25/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「(ミュウの名前が出たのはタマタマじゃろうか?それともわざとか?)」

フジ「(やはりこの娘には本当に霊感があるのかもしれん。いや、まさかな…)」

 かつて科学者という職についていただけあって非科学的なものはあまり信じないフジ老人だったが
 そもそもこの世界に非科学の象徴たるエスパータイプやゴーストタイプが普通に存在している時点で
 物事を「科学的」と「非科学的」に完全に分けることは難しいのかもしれない。

フジ「(…とまあ年甲斐もなくカッコつけて難解そうなことを言ってみたが、要はあまり深く考えないほうがいいようじゃな)」

 そんな老人の思考などよそに、きとうしはマイペースに話を続ける。

きとうし「あ、それと…」

フジ「何じゃ?」

きとうし「一昨日はグレンの火山がふんかする夢を見た。近いうちに現実になるかもしれぬから、避難の準備だけでもするように伝えておいてたもれ」

フジ「ああ、よちむのことか。それならわしよりもグレンのジムリーダーに直接伝えてくれた方が話は早…」

きとうし「じゃが、そなたとカツラ殿は旧友なのじゃろう?」

フジ「!?」

 つい先程「深く考えないようにしよう」と決めたフジ老人だが、どうやらそうは問屋がおろさぬようだ。
 ▼ 57 ッチール@スペシャルガード 15/08/14 23:20:39 ID:GtAPakDI [26/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 さて、次にインタビューを受けたりかけいのおとこは少々かわりもの。
 名門タマムシ大学の大学院生だが、周囲の学生と違ってシオン出身であるということに少々コンプレックスを感じているようだ。
 裏を返せば、シオンタウンが誰もがうらやむような素晴らしい街に生まれ変わることを彼もまた望んでいるということになる。
 タブンネ。

りかけい「んんwww最近のシオンのメガシンカぶりにはめざめるパワーよりもめざましいものがありますなwww」

フジ「うむ、わしもそう思うぞ。これも町の若者達のおかげじゃ」

りかけい「しかし我が考えるに、シオンはまだまだ発展の余地を大いに残していますぞwww」

りかけい「例えばポケモンタワーをスカイツリー風観光に改造した後、元々そこにあった墓地はどこへ行くのか?」

フジ「おお、確かにそれは問題…」

 だが、りかけいのおとこの勢いは止まらない。
 老人の話をさえぎってしまったことにさえ気付かないまま、ニトロチャージよりも熱く熱弁を振るっている。

りかけい「これはもう専用の施設を作って移転させるしかありませんな。名前は『ソウルフル・レジデンス』など如何であろうか?」

りかけい「いや、それでは普通すぎますぞ。やはり『安息を求めし者が帰還せし聖地』か、あるいは…」

フジ「……」

フジ「(肯定的に考えれば、この若者は並々ならぬ熱意をシオンの改革へ向けていることになるのじゃが…)」
 ▼ 58 ガヤドラン@ラッキーパンチ 15/08/14 23:24:58 ID:Sztk2c4Q [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
このりかけいのおとこは論者か?ムックか?
いずれにしても支援。
 ▼ 59 ターミー@きんのいれば 15/08/14 23:25:24 ID:GtAPakDI [27/27] NGネーム登録 NGID登録 報告
 なお、件の施設は後に「たましいのいえ」と呼ばれるようになるのだが、この時の彼らには知るよしもない。

りかけい「だが問題は他にも山積みですぞ。第一に移転工事のための資金調達における問題点というのが…」

りかけい「それから、海外から訪れる観光客への言語サービス。現在のところやはりイッシュ語の話者が過半数を占めている一方、カロス語も3割弱という…」

 研究室で流行しているのか、難解な話し方をするりかけいのおとこ。
 その上早口でまくし立ててくるので、普通の老人であればたやすく圧倒されてしまうレベルだ。
 若者と話すことに少々慣れてきたフジ老人であっても、会話の内容を何となく理解するのが精一杯だった。

りかけい「…だが、それらを全て実現するのは予算上ありえない。そこで重要なのが取捨選択ですぞwww」

フジ「要するに、今のシオンに一番必要なものは…?」

りかけい「>>61さえあれば、シオンの明るい未来は必然というものですなwww」
 ▼ 60 ルーグ@ピッピにんぎょう 15/08/14 23:26:51 ID:/.PR1wC. [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
age
 ▼ 61 ンチャム@にじいろのはね 15/08/14 23:27:11 ID:/.PR1wC. [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
人類メスポケ化装置
 ▼ 62 イホーン@しんかいのキバ 15/08/14 23:27:14 ID:Sztk2c4Q [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
Tweedia
 ▼ 63 ューラ@ホイップポップ 15/08/14 23:27:32 ID:/.PR1wC. [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
人類メスポケ化装置
 ▼ 64 ンテイ@シーヤのみ 15/08/15 08:49:01 ID:o57iWV0. [1/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
りかけい「人類メスポケ化装置さえあれば、シオンの明るい未来は必然というものですなwww」

フジ「…何じゃそりゃ?」

 待ってましたとばかりに、りかけいのおとこはおしゃべりを再開。
 こだわりメガネをぎらりと光らせ、早口でまくし立て始めた。

りかけい「んんwwwならば我が導く以外ありえないwww」

 マニアの間では今、メスのポケモンを愛でることが流行しているらしい。
 この周辺で言えばタマムシの外れにマニアの聖地があり、そこにはフラエッテやドレディアといった定番から
 ルージュラのようなちょっと変わった子に至るまで、オールスターが勢揃いしている。

りかけい「オスよりもメスの方が好まれる理由は、単に長生きだから。それ以外のいかがわしい理由などありえないwww」

フジ「(本当じゃろうか?)」

 当然、メスのポケモンにへんしんしたいと考える奇抜な思考のマニアも出てくる。
 そこで彼らが着目したのが、以前ニュースにもなった岬の小屋での一件。
 ポケモンマニアのマサキ氏が、ポケモン転送システムのエラーでポケモン化するという事があったのだが
 あれに似た現象を意図的に起こせないものかと、タマムシの大学院生達は日夜研究しているそうだ。

フジ「(わしに言えたことではないが、やってることはマッドサイエンティストそのものじゃな)」

りかけい「だが、いくら研究しても人間の男がメスのポケモンになるなどありえなかった…」
 ▼ 65 ッフロン@チーゴのみ 15/08/15 08:51:18 ID:o57iWV0. [2/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
りかけい「かくなる上は、やることはただ一つ」

フジ「ほう、それは…?」

りかけい「我が『人類メスポケ化装置』というアニメを作って全世界のメスポケマニアにアピールする以外ありえないwww」

いわゆるマニア文化の発信というものだ。
もちろん、この手のアニメに苦手意識を抱いて敬遠する層は今でもある一定数は存在するだろう。
だが、実際のところ萌えアニメを介してその知名度をぐーんとあげた町も少なくはない。
アニメのファンがゆかりの地を訪ね歩くこと、いわば聖地巡礼による経済効果向上も狙えるので、町おこしの定番と言っても過言ではない。

フジ「じゃが、一体どういうストーリーなのか見当もつかんわい」

りかけい「シナリオなら、我が脳内でほぼ完成していますなwww」

フジ「ほほう?」

りかけい「まず、主人公の冴えない学生が>>67に出会うところから話は始まりますぞwww」
 ▼ 66 ォッコ@ノワキのみ 15/08/15 09:04:59 ID:iaShIHIE NGネーム登録 NGID登録 報告
阿部さん
 ▼ 67 ュリネ@グラシデアのはな 15/08/15 09:11:48 ID:CIYHAGhU NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ラティアス
 ▼ 68 ーナイト@みどりのかけら 15/08/15 13:51:51 ID:o57iWV0. [3/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
りかけい「まず、主人公の冴えない学生がラティアスに出会うところから話は始まりますぞwww」

………

学生「ラティアス!?どうしてこんな都会のど真ん中に…」

学生「…え?こっちに向かってくる?」

ラティアス「ひゅああん!」

学生「どうしよう俺強いポケモン持ってない戦っても勝てるわけないし種族値の暴力でみかんの皮みたいにズタボロになってシンオウ地方が消し飛んでしまう!」

 ラティアスは頭を抱える学生に近づき、むじゃきそうに笑いながら手を引っ張る。
 まるで「あなたのことが気に入った。一緒に遊ぼうよ」とでも言いたげに。

学生「ラティアス…」

ラティアス「ひゅあ?」

学生「よく見ると可愛いな…」

 意味が分かっているのかいないのか、ラティアスはひゅひゅひゅと笑う。
 そこへ慌ててしんそくで飛んできたのは妹を案じたラティオス。
 学生とラティアスの間に割って入り「妹に触るな」と言わんばかりににらみつけた後
 遥か彼方海の向こうへラティアスと一緒に飛び去ってしまった。
 ▼ 69 ュプトル@こだいのツボ 15/08/15 13:57:16 ID:o57iWV0. [4/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
学生「やっぱり俺には恋なんていちおく光年早かったのだろうか?」

 だが、学生とてこんじょう無しではない。
 ラティアスに再び近づける方法は必ずあるはずと信じて、自室にコモルーやいなや
 何やら怪しい研究に取りかかり始めた。
 そして数カ月後…

学生「できたぞ!『人類メスポケ化装置』だ!」

学生「この見にくくて醜い肉体を捨て、メスのポケモンになってからラティアスに近づく。完璧な作戦だろう?」

………

りかけい「とまあ、これが第一話のストーリーですなwww」

フジ「ふむ。よくあるラブコメっぽいが主人公へんしん後の展開がちょっと楽しみじゃな」

りかけい「そう、このアニメは主人公がメスの>>71(ポケモン)になってからが本番ですぞwww」
 ▼ 70 ルビート@まんたんのくすり 15/08/15 13:57:57 ID:I6gDYthg [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 71 ンバル@ベリブのみ 15/08/15 13:58:17 ID:I6gDYthg [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ベイリーフ
 ▼ 72 ーバー@じてんしゃ 15/08/15 13:58:28 ID:jJvSiZ3Y [1/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ピカチュウ
 ▼ 73 ガフシギバナ@おまもりこばん 15/08/15 14:26:15 ID:o57iWV0. [5/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
りかけい「そう、このアニメは主人公がメスのベイリーフになってからが本番ですぞwww」

 ベイリーフ、それはチコリータが進化した姿。
 チコリータよりも体が大きくなり力も強くなっているが、可愛さはまだまだ健在。
 首の周りにある葉っぱからはスパイシーな香りが漂い、嗅ぐと元気になれるそうだ。
 しかし、何故ベイリーフに白羽の矢が立ったのだろうか?

りかけい「んんwwwベイリーフの凄いところは何も可愛さだけではありませんぞwww」

りかけい「貴殿、ベイリーフと同名のハーブが実在するのを知ってますかな?」

フジ「名前だけなら聞いたことがあるのじゃが…」

りかけい「ハーブの方のベイリーフは香りが強い植物。ローリエ、ローレルとも呼ばれていますぞwww」

りかけい「そして主な用途は肉料理の風味付け。このシオンで肉といえば…」

フジ「まさか…」

りかけい「『見にくくて醜い肉屋ァ』以外ありえないwww」

 何ということでしょう。
 主人公にベイリーフを選択したのは、ステーキ店「見にくくて醜い肉屋ァ」とのタイアップのためだったのだ。
 レストランとアニメという全く異なる業種の、相互宣伝効果を狙った作戦以外ありえない。

りかけい「アニメでポケモン達がステーキをおいしそうに食べれば、視聴者もステーキが食べたくなる。ステルスロックマーケティングですなwww」

 もちろん、何の肉かは秘密だ。
 ▼ 74 ルビル@はいぶくろ 15/08/15 14:28:47 ID:jJvSiZ3Y [2/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ベイリーフと見にくくて醜い肉屋ァを繋げるとは…スゴい
 ▼ 75 イコウオ@おしえテレビ 15/08/15 15:02:28 ID:I6gDYthg [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ぽけりんにとてつもないSS書きが現れたな・・・
 ▼ 76 ツハニー@うみなりのスズ 15/08/15 15:11:14 ID:I5cWqhjs NGネーム登録 NGID登録 報告
すげぇwwwwww
神SSやwwwwww

支援!!
 ▼ 77 リアドス@ヘラクロスナイト 15/08/15 15:45:02 ID:o57iWV0. [6/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 それからヒトツキばかりが過ぎた。
 ポケモンタワーをスカイツリー風観光にするための工事が始まり、シオンご当地アイドルの歌「みかんの皮」がシンオウを消し飛ばす勢いで流行し
 深夜になるとローカル放送でアニメ「人類メスポケ化計画」が放映されてベイリーフが大活躍し…シオンタウンは確実に活気づいていった。
 だが、フジ老人はまだまだ満足していない。

フジ「住みたくなる街No.1になるにはまだ何かが足りないようじゃ…」

 そう考えながら、新しく購入した雑誌のページをパラパラとめくる。

フジ「おっ!また別の人気投票があったようじゃな!」

 フジ老人の視線を釘付けにしたのは、前回同様ランキングのページ。
 今度は各地方のジムリーダーの人気投票が行われたようだ。

フジ「ふむ…分析してみると男性票は美人ジムリーダーに、そして女性票はいわゆるイケメン系に集まっておるようじゃな」

フジ「そして…」

 フジ老人の目線の先には、男性票・女性票合わせて最も得票数が多かったジムリーダーの名前と写真がでかでかと掲載されている。

フジ「気になる総合1位は>>79(ジムリーダー)…じゃと!?」
 ▼ 78 マタマ@フレンドボール 15/08/15 15:50:59 ID:jJvSiZ3Y [3/3] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ksk

安価ならフウロ
 ▼ 79 ポポタス@ロメのみ 15/08/15 15:51:12 ID:1UO93ers NGネーム登録 NGID登録 m 報告
タケシ
 ▼ 80 Homika//VQ 15/08/15 16:00:44 ID:ZVH8SQOE NGネーム登録 NGID登録 報告
これは神
支援
 ▼ 81 ロストロトム@すくすくこやし 15/08/15 16:35:19 ID:96PmaAuw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
サカキ
 ▼ 82 ープルフレイム◆mL2ZRk1cK. 15/08/15 16:42:54 ID:AVhYsUno NGネーム登録 NGID登録 m 報告
たつじんの人か
支援
 ▼ 83 オル@きれいなウロコ 15/08/15 17:18:13 ID:o57iWV0. [7/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「気になる総合1位はタケシ…じゃと!?」

 タケシとは、カントー地方の北西部に位置するニビシティが輩出した人気ジムリーダーである。
 岩タイプのポケモンをこよなく愛し、彼らの魅力を誰よりもよく知っているといわれる。
 俳優としてテレビドラマに出演していた事もあり、その時に発した一言「お前ら人間じゃねえ」は今でも語り継がれる迷演技だ。

フジ「人気の秘密は何じゃろうか?とりあえず投票者のコメントを読んでみようかの」

 『タケシさん強いしかっこいいし最高!』
 『自分の本名もタケシなので何となく投票してみました』
 『それはおじさんの一票!有効に活用してくれ!おじさんの一票だからね!』
 『オオウ 一緒に観覧車に乗りたいぞ…』
 『タケシさんみたいになりたくて岩タイプを育て始めました!最近の流行はメガディアンシーで3タテです』
 『オウホウ!オレッチとマックスタギろうぜぇ!』
 『実力者なのに変に気取っていないところがいい』
 『タケシとエンゲイジしたい…M様の次に好き…』
 『…ぐふぐふぐふ!』

フジ「何やら怪しいメッセージも混入しているようじゃが、タケシこそ今一番人気のあるジムリーダーと言っても過言ではないじゃろう」

フジ「彼のように強くて魅力あふれるトレーナーがシオンタウンにもいてくれたらいいんじゃがのう…」
 ▼ 84 ピアー@リンドのみ 15/08/15 17:25:06 ID:qMt6TTzo [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>83
きんのたまおじさん
やまおとこのナツミ
ウシオ
とばす
カガリ
チラーミィ
 ▼ 85 コン@きょうせいギプス 15/08/15 17:34:18 ID:o57iWV0. [8/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 その時、ポケモンハウスの中に一人の少女が飛び込んできた。
 最初にインタビューを受け、町の音楽にポルカオドルカをお勧めしてくれたミニスカートだ。

ミニスカート「あ、あの!紙とペン貸してもらえませんか?今すぐに!」

フジ「別に構わんが…一体何に使うんじゃ?」

ミニスカート「サインしてもらうんです!」

フジ「そうかい、そうかい。まあそうせっかちになるでない」

ミニスカート「だってあのタケシさんがシオンに来てるんだもの!」

フジ「…何じゃと!?」

 フジ老人がポケモンハウスの窓から外を見ると、広場にはとんでもない人だかりができていた。
 耳を澄ますと、人々のさわぐ声が聞こえてくる。

 『タケシさん!一緒に写真撮って下さい!』

 『ドラマ見ました!お前ら人間じゃねえ、って言ってみて下さい!』

 『やったー、握手してもらえた!』

フジ「あの写真にそっくり…いや本人かもしれぬな」

ミニスカート「だから本人なんですよー!おじいちゃんも早く行かないとチャンスを逃してしまいますよー」
 ▼ 86 ーダイル@リザードナイトY 15/08/15 18:08:13 ID:o57iWV0. [9/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 窓から様子を眺めているだけでは寂しいので、フジ老人とミニスカートははやあしで広場へと繰り出していった。

ミニスカート「…あれ?」

 だが、広場にはもうタケシの姿はなく、ヒトカゲもまばらになっている。
 どうやら既にどこかへ行ってしまったようだ。

ミニスカート「あーあ、ショック…」

フジ「わしもタケシにインタビューしてみたかったんじゃがのう」

ミニスカート「マーイーカ、後で友達に写真送ってもらお」

………

 その夜…

フジ「結局、どんなに探してもタケシに関する有力情報は得られなかった。何だかマフォクシーにつままれたようじゃ」

フジ「いや、可能性は低いとは思うが…タケシは初めからシオンに来ていなかった、とか?」

フジ「ひょっとすると…まさか…」

 ここはシオンタウン。
 最近町おこしが始まって明るい雰囲気になりつつあるとはいえ、少し前までポケモンタワーにゆうれいが出ていたことも事実。
 一陣のこごえるかぜがフジ老人の背筋を音もなく走り抜けていく。
 ▼ 87 ンドパン@いんせきのかけら 15/08/15 18:18:01 ID:o57iWV0. [10/10] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ガチャリ。

フジ「ひゃっ!」

 突然、ポケモンハウスのドアが開けられた。
 中へ入ってきたのは…雑誌に載っていたタケシの写真そっくりな若者。

フジ「た、タケシか。おどろかすでないぞ…!」

 フジ老人が恐る恐る手を伸ばして握手すると、差し出された手から温もりが伝わってくる。
 相手がゆうれいではないことを確信し、老人のきんちょうかんはどこかへテレポートしていった。

タケシ「突然押しかけてすみません。玄関のベルを押してもドアをノックしても反応がなかったので…」

若者「フジさん、あなたの噂は聞いています。今日は突然シオンタウンをこんらんさせてしまってごめんなさい」

フジ「い、いやいや。お前さんは有名人じゃから、町中を歩くだけでもこのゆびとまれ状態になるのは仕方あるまい」

若者「そのことなんですが、実は僕はタケシではないんです」

フジ「…はい?今、何と?」

若者「タケシの双子の弟、>>89です」
 ▼ 88 イタラン@アゴのカセキ 15/08/15 18:21:37 ID:71qRaSFA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 89 ュレム@かみなりのいし 15/08/15 18:22:10 ID:71qRaSFA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ
 ▼ 90 ワンテ@ダートじてんしゃ 15/08/15 19:23:36 ID:zqQVFMsM NGネーム登録 NGID登録 報告
こいつ天才かよ
応援してるぞ
 ▼ 91 ガミミロップ@ひかりのいし 15/08/15 19:34:50 ID:4KU6DRiw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 92 グレー@うみなりのスズ 15/08/15 19:37:50 ID:qMt6TTzo [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ヤムチャ…
 ▼ 93 ビルドン@むげんのふえ 15/08/15 20:25:41 ID:5QHsmKfY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
おもしろいな・・・字の文があるSSとして素晴らしい出来だ

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 ▼ 95 ィアンシー@たんけんセット 15/08/16 17:15:43 ID:yWbqw38U [1/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
若者「タケシの双子の弟、ヤムチャです」

フジ「ヤ、ヤ…ヤンチャム?」

ヤムチャ「ヤムチャです!確かに似ていますが…」

フジ「おお、すまんのう」

フジ「しかし驚いたものじゃな、まさかタケシに双子の弟がいたとは」

 ジムリーダーの家族構成は本人が公表しない限り、誰も知らないことが多い。
 タケシの場合、かつてドラマで大家族の長男を演じたために妹や弟が何人もいるイメージがついて回っているが
 実際の家族構成は長年謎のままだった上、本人も特に語ろうとしなかった。

ヤムチャ「いやー、まさか僕も兄さんに間違えられるとは思いませんでしたよ」

 幼い頃から優秀な兄と比べられ、まるで噛ませデルビルのような扱いを受けてきたヤムチャ。
 兄とは違う自分の可能性を探すため、少し前に故郷のニビシティにサヨナラバイバイしてイワヤマトンネルで修行を始めたそうだ。
 昼はポケモンバトルに明け暮れ、夜はクレーターの中でまるくなってねむる日々が続いた。
 ▼ 96 ルキモノ@しろいビードロ 15/08/16 17:22:45 ID:yWbqw38U [2/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 とはいえ、どれ程つよくて かたい いしを持っていても積もる疲労には勝てない。
 修行の疲れをいやすために下山したところ、シオンタウン町民に兄と間違えられて四方八方から声援のダイヤストームを浴びせられてしまったのだ。

ヤムチャ「いやー、あんなにチヤホヤされたのは初めてだから、つい兄さんになりきってサインや記念撮影に応じてしまって…」

ヤムチャ「最初のうちは楽しかったのですがそのうち収拾がつかなくなってきて、隙を見て逃げ出して今まで隠れていたんです」

フジ「そうじゃったのか…」

ヤムチャ「とはいえ、いつかは『タケシ』じゃなくて『ヤムチャ』と呼ばれてみたいですね」

フジ「そうじゃな。いくら顔が似ていても、お前さんとタケシは別の人間じゃからな」

ヤムチャ「そうですよね。僕はタケシにはなれない…」

 ヤムチャは下を向いて何やら考え込み始め、その間に気まずい沈黙がくろいきりのように立ち込める。
 このままではまずいと、この淀んだ空気にばくれつパンチを叩き込んだのは老人だった。

フジ「ところで、お前さんは何のために修行を?」

ヤムチャ「いえ、特にこれといった目標というものは。がむしゃらに修行すれば何か見つかるかと思って…」

 本心はというと、きっとニビシティにいるのが苦痛で仕方がなかったのだろう。
 ▼ 97 ラーミィ@ロゼルのみ 15/08/16 17:29:59 ID:yWbqw38U [3/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「お前さん、シオンのジムリーダーになってみんか?」

ヤムチャ「えっ?」

 最近、トキワのジムが廃業になった。
 ニュースでは原因の詳細は伏せられているが、ジムリーダーがロケット団騒動と何らかの関わりがあったのではと世間で噂されている。
 そこで現在、ポケモンリーグは代わりに8人目のジムリーダーとなる人物を募集しているのだ。

ヤムチャ「そんな、やぶからボーマンダに…」

フジ「見たところ、お前さんはまじめでがんばりやじゃな。そういう人物こそ、ジムリーダーにふさわしいのじゃ」

 ヤムチャはしばらくコダックのように考え込んでいたが、顔を上げて老人の顔を見つめた。
 細い目の奥に、あふれんばかりのとうそうしんを感じる。

ヤムチャ「…やります!」

フジ「おお!そう来なくてはな!」

 そうと決まれば、どんなジムを作るのか計画を練らなければならない。
 使用タイプにジムの仕掛け、それから…決めるべきことはオツキミ山ほどある。

フジ「さて、ヤムチャよ。お前さんのパートナーと呼べるポケモンは?」

 ヤムチャは静かに頷き、モンスターボールから>>99(ポケモン)を繰り出した。
 ▼ 98 マワリ@パワーリスト 15/08/16 18:06:33 ID:FYRdNRFw [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
あげ
 ▼ 99 ェークル@あなぬけのヒモ 15/08/16 18:07:08 ID:FYRdNRFw [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
キリキザン
 ▼ 100 ーマンダ@りゅうのプレート 15/08/16 18:07:18 ID:3HFad3as NGネーム登録 NGID登録 m 報告
名前欄
 ▼ 101 ロバット@せいなるはい 15/08/16 18:11:21 ID:FYRdNRFw [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
あくタイプのジムリーダーでよろしくおねがいします(あくタイプのジムリーダーがいないから)
 ▼ 102 ーテリー@ポイントマックス 15/08/16 19:30:32 ID:yWbqw38U [4/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ヤムチャは静かに頷き、モンスターボールからキリキザンを繰り出した。

フジ「ほほう!悪・鋼タイプのポケモンじゃな!」

ヤムチャ「はい。格闘タイプはちょっと苦手ですが、耐性が多くて頼りになるパートナーです」

ヤムチャ「そして一番の魅力は何と言ってもこの黄金の角!燃える真紅のボディとの対比はなんとワンダフル!にくらしいほどエレガント!だけどとっても…」

フジ「わかった、わかった!お前さんは本当にキリキザンが大好きなんじゃな」

ヤムチャ「はい!コマタナ時代からの相棒です!」

 育てたことのある人は知っているだろうが、コマタナがキリキザンに進化するのは一筋縄ではいかない。
 幾度となく戦い、長い下積み時代を耐えぬいたものだけがキリキザンに進化できるのだ。

フジ「ということは、やはりジムのタイプは鋼か悪かい?」

 さて、次はジムの使用タイプを決めなければならない。
 現在のところ、カントー地方のジムには鋼タイプも悪タイプもないが、果たしてヤムチャの選択は…

ヤムチャ「やはり>>104タイプがいいですね」
 ▼ 103 クオング@だいちのプレート 15/08/16 19:32:43 ID:Azqe6kxU [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 104 ナフィ@ひのたまプレート 15/08/16 19:41:53 ID:TYKvAEis [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
フェアリー
 ▼ 105 リゴン@ピーピーエイダー 15/08/16 19:44:14 ID:UdKaX2bM [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告


オカルトの人でもあるな。この人の安価の拾いっぷりはガチで神だと思う
 ▼ 106 ギアル@カシブのみ 15/08/16 19:51:03 ID:aimnkmjs NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 107 ラセクト@すくすくこやし 15/08/16 19:55:58 ID:yWbqw38U [5/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「やはりフェアリータイプがいいですね」

フジ「…何じゃと?」

ヤムチャ「だってほら、タケシ兄さんは巷で『岩の妖精』とか呼ばれているそうじゃないですか。だから僕も対抗したいな、って思って」

フジ「はあ、そんな理由でかい?」

 それだけじゃありません、とヤムチャは首を横に振る。

ヤムチャ「世界にはジムのタイプと実際使うポケモンのタイプが一致していないケースもあるそうですね。電気のジムでオクタンやエテボースが出てきたりとか」

フジ「それは確かにそうじゃが…」

ヤムチャ「でもオクタンもエテボースも、チャージビームやでんげきはといった電気タイプの技が得意だそうですね」

ヤムチャ「要はそのジムの『タイプの技』を使えばいいってことになるんですよ!」

 さっきまで「僕なんかがジムリーダーになれるのだろうか?」と言わんばかりによわきな態度をとっていたヤムチャだが
 なんだかんだでジムリーダーに詳しいところを見ると、本当は昔からこの道を目指していたのかもしれない。

フジ「しかし、キリキザンはフェアリータイプの技を一切覚えなかったような…」

ヤムチャ「その点はダイジョーブです」

ヤムチャ「だって僕のキリキザン、めざめるパワーのタイプがフェアリーなんですから」

(※ めざめるパワーがフェアリータイプになることはありません。飽くまでも演出です)
 ▼ 108 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/16 19:58:10 ID:38/MRcgA NGネーム登録 NGID登録 報告
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 ▼ 109 ース@たつじんのおび 15/08/16 20:03:28 ID:yWbqw38U [6/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「というわけで、いつかは『妖精の妖精』と呼ばれるように頑張りたいと思います!」

 と意気込むヤムチャだったが、時計を見ればもう良い子はねむる時間。
 どうやらおしゃべりがオーバーヒートしすぎて、時間が経つのを忘れていたようだ。

フジ「今日はもう遅い。本格的な特訓は明日から始めるとするかのう」

ヤムチャ「はい!よろしくお願いします!」

 老人と若者はお互いに別れを告げ、帰路についた。
 その胸の中に、それぞれの夢と希望を抱きながら…

ヤムチャ「(ニビでは文字通り灰色の人生だったが、ここで名を上げればあいつを見返せるかもしれない。待っていろ、タケシ!)」

フジ「(タケシそっくりな人物がシオンにいるとなれば、宣伝効果はばつぐんじゃ!)」

 本音と建前が入り乱れ、シオンタウンの夜は静かに更けていく。
 ▼ 110 ンベ@サンのみ 15/08/16 21:53:20 ID:yWbqw38U [7/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「おはようございまーす!」

 朝も早くから発せられたハイパーボイスが、フジ老人の耳にめざましビンタをぶちかます。
 はやおきは嫌いではないのだが、いきなり枕元で大声を出されると嫌でもびっくりするというものだ。

フジ「お、おお!おどろかすでないぞ!」

ヤムチャ「すみません。ジムリーダーを目指すにあたって、どうしても気になったことがあって…」

フジ「んー、まあよい。今日から特訓を始めると約束したのじゃからな」

 ヤムチャは姿勢を正し、フジ老人の方へ向き直った。

ヤムチャ「雑誌の調査によると、シオンタウンを訪れるトレーナーはバッジを3つ持っていることが圧倒的に多いそうですね」

フジ「そうじゃな。現チャンピオンのあの若者がここに初めて来た時もバッジ3つじゃった」

ヤムチャ「そんなトレーナーに対してキリキザンをぶつけるのはちょっと…って思うんですよね」

 メタな話になるが、コマタナがキリキザンに進化するには少なくともレベルを52まで上げなければならない。
 対して、シオンタウンを訪れるトレーナーが持つポケモンのレベル平均は20代にとどまっている。
 彼らに対し、2倍近いレベルのキリキザンでダメおしするようではジムリーダーとしての素質が疑われてしまう。
 ▼ 111 リーパー@シルクのスカーフ 15/08/16 22:09:58 ID:yWbqw38U [8/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「なので初心者トレーナーの力試しにふさわしいポケモンを探しているんですが、どのポケモンにしたらいいのか…」

 少なくともフェアリー技を覚えられるなら他タイプでもかまわないが、フェアリータイプであることが一番望ましい。
 だがこのカントーではピッピ系、プリン系、バリヤードの5種類しか見つかっておらず、選択の幅がかなり限られてくる。

フジ「こうなったら、ナナシマへ行ってみないかい?」

ヤムチャ「ナナシマ…ですか?」

フジ「この辺りでは珍しいポケモンが続々見つかっているそうじゃ。クチバから船に乗れば1時間もかからんぞ」

ヤムチャ「い、行きます!絶対行きます!」

 こうしてフジ老人とタケシの双子の弟、ヤムチャはナナシマへ行くことを決意。
 身支度を済ませてクチバシティに向かい、フェザーダンスのように踊る心を抑えつつ急ぎ足でフェリーに乗り込み
 待ちに待ったナナシマへの上陸のはず、なのだが…

フジ「ありゃ?ここはどの島じゃ?」

ヤムチャ「8のしま…って書いてありますよ」

フジ「何ということじゃ!急ぎすぎて乗るフェリーを間違えてしもうた!」
 ▼ 112 シャーモ@カシブのみ 15/08/16 22:22:21 ID:yWbqw38U [9/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 はやおきは三文の徳だが、せっかちは得なしどころかむしろ損。
 8のしまで異様な雰囲気を放つ謎の遺跡を前に足がすくみ、フジ老人はフェリーに戻ろうとしている。

ヤムチャ「…いいえ、僕は進みますよ」

フジ「何と!」

ヤムチャ「見たところ人間が入り込んだ形跡もない。こういうところには珍しいポケモンがいる可能性が高いってもんですよ」

フジ「おお、ゆうかんなのは良い事じゃが気をつけるんじゃぞ」

 と言いながら、連れ歩きのごとくヤムチャの後ろにぴったりついていくフジ老人。
 このさみしがりな老人は、曇天の下で揺れるフェリーに一人取り残されるなんてとても耐えられないのだ。

ヤムチャ「あっ!何かいるようですよ」

 突如、草むらががさりと揺れる。
 揺れた場所をにらみつけながら身構えるヤムチャ、びびって体を縮こめる老人。

ヤムチャ「あ!やせいの>>114が とびだしてきた!」
 ▼ 113 狐ふぉこ◆Bu8RG51meE 15/08/16 22:25:19 ID:DqjRashE NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ゼルネアス
 ▼ 114 ウマージ@あさせのしお 15/08/16 22:25:54 ID:TYKvAEis [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
シナモロール
 ▼ 115 ソハチ@ダークボール 15/08/16 22:30:03 ID:/s0Kmx.g [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
このssでもオリポケありなのか…?
 ▼ 116 シャーモ@ペアチケット 15/08/16 22:44:00 ID:yWbqw38U [10/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「あ!やせいのシナモロールが とびだしてきた!」

 フジ老人が顔を上げると、そこには「シナモロール」と呼ばれた謎の生物がいた。
 体は白くふわふわした毛で覆われ、マリルリのように長い耳は垂れ、ピッピのようにクルクルしたしっぽも確認できるのだが
 あのようなポケモンは見たことも聞いたこともない。

フジ「あれはポケモンなのかい?」

ヤムチャ「最近発見された新種です。まだ誰も捕獲に成功したことがなく、ポケモンかどうかもはっきり分かっていません」

フジ「なら、捕獲すれば謎が少しは解けるということかのう?」

ヤムチャ「そういうことになりますね。見た感じフェアリータイプっぽいし、僕としても興味深いです」

 見たところ、相手の強さはまあまあといった具合だ。
 言い換えれば、キリキザンの一撃では強すぎて倒してしまうかもしれない。

ヤムチャ「問題ありません。削りはキリキザンではなく、こいつに任せますから」

フジ「おお、他にもポケモンを持っていたんじゃな!」

 ヤムチャはじしん有りげにうなずき、モンスターボールからポケモンを出した。

ヤムチャ「いでよ、>>117(ポケモン)!」
 ▼ 117 無しのきらめき◆n3yv.Upsa. 15/08/16 22:44:34 ID:uLzN5eug NGネーム登録 NGID登録 報告
ときはなフーパ
 ▼ 118 ゴラス@プラスパワー 15/08/16 23:02:58 ID:/s0Kmx.g [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
フーパ持ってるとかヤムチャすごいな…。
オリポケがありなら自分も安価踏むときやってみたいと思います。
もしシナモロールがフェアリータイプじゃなかったら…。
 ▼ 119 リボーグ@タウンマップ 15/08/16 23:03:10 ID:yWbqw38U [11/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「いでよ、ときはなフーパ!」

 何ということでしょう。
 ヤムチャが繰り出したのは、幻とさえ呼ばれるフーパだった。
 その上、いわゆる「ときはなたれし」姿であり、キリキザンと同等…いやそれ以上に強そうだ。
 果たして、このようなポケモンでシナモロールの捕獲などできるのだろうか?

ヤムチャ「フーパ、わるだくみだ!」

 ヤムチャの指示通り、フーパはわるだくみで特攻をぐーんと上げている。
 ただでさえ高い破壊力をこれ以上上げてどうするのだろうか。

フジ「どうするつもりじゃ?シナモロールをシンオウ地方もろとも消し飛ばすつもりかい?」

ヤムチャ「まあ見てて下さい。フーパ、まだまだわるだくみ!」

 だが、フーパの特攻はもう上がらない。
 それでもヤムチャは、わるだくみの指示を出し続けている。
 その間もフーパはシナモロールから攻撃されているのだが、全くと言っていいほど効いていないようだ。
 ニョロトノの面にみずでっぽうとはこのことだ。
 ▼ 120 カタンク@ヨクアタール 15/08/16 23:06:29 ID:d0TpXhb. NGネーム登録 NGID登録 報告
オーバーキルもいいとこだぞ
 ▼ 121 カンプー@ダークストーン 15/08/16 23:11:39 ID:yWbqw38U [12/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「お、そろそろ相手のPPが切れる頃ですね!」

 シナモロールの わるあがき! はんどうによる ダメージを うけた!
 知っているかもしれないが、わるあがきは他に出せる技がなくなった時の最後の手段。
 タイプ相性を無視する効果があるが、反動ダメージも大きいので使い所は難しい。

ヤムチャ「よおし、今だ。モンスターボール!」

 彼が投げたモンスターボールは宙で大きく弧を描き、反動で弱ったシナモロールの耳に命中。
 不運な生き物はそのまま中へ吸い込まれ、やがてボールの揺れがおさまった。

ヤムチャ「やったー! シナモロールを つかまえたぞ!」

フジ「まさか、まさか本当に捕まえるとは…」

ヤムチャ「キリキザンだったら、攻撃してきたシナモロールを刃で傷つけていたかもしれない。この大役はフーパにしかできなかったんです」

フジ「なるほど、よく考えておるのう」

ヤムチャ「上手く行けば、シナモロールがフーパのお腹の穴にはまって抜けなくなるかもしれないとか考えていたんですが…やはりそう甘くはなかったですね」

フジ「そ、そうじゃな…」

 こうして8のしまで見事シナモロールを捕獲した二人は、フェリーに乗ってカントー地方へ戻ることに。
 クチバに着くまで手持ち無沙汰なので、シナモロールのデータを調べて時間をつぶすことにした。

ヤムチャ「なるほど、シナモロールはフェアリー・>>122の複合タイプか」
 ▼ 122 ネブー@でんきのジュエル 15/08/16 23:13:01 ID:/s0Kmx.g [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
あく
 ▼ 123 リリ@きよめのおふだ 15/08/16 23:13:04 ID:Azqe6kxU [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 124 ンペルト@メタグロスナイト 15/08/16 23:13:10 ID:UdKaX2bM [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
地面
 ▼ 125 マザラシ@メガバングル 15/08/16 23:13:19 ID:TYKvAEis [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>122
>>123
クッソワロタw
 ▼ 126 クケイル@ネコブのみ 15/08/16 23:16:05 ID:/s0Kmx.g [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>125
自分でもびっくり。
 ▼ 127 ンメン@ピーピーエイダー 15/08/17 07:40:59 ID:oCsl4M2M [1/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「なるほど、シナモロールはフェアリー・あくの複合タイプか」

ヤムチャ「見かけに似合わず腹黒なところがあるようだ…と図鑑にも書かれているな」

フジ「…むむ?」

 ここで一旦、ヤムチャの手持ちを整理してみよう。
 キリキザンは鋼・悪タイプ、ときはなたれしフーパはエスパー・悪タイプ、そしてシナモロールはフェアリー・悪。
 何の偶然か、運命のいたずらごころか、悪タイプがきっちり揃ってしまっている。

フジ「お前さん、いっそ悪タイプのジムリーダーを目指してはどうじゃ?」

 もしこれが実現すれば、世界初の悪ジムがシオンに誕生するということになる。
 話題性はばつぐん、経済効果も狙えて悪くない話だ。

ヤムチャ「…嫌です!僕はどうしてもフェアリーがいいんです!」

フジ「何故じゃ?そんなにいじっぱりにならんでも…」

 ヤムチャは顔をクリムガンのように赤くし、吹き付ける潮風をふきとばす勢いで叫んだ。

ヤムチャ「僕はカリンさんよりマーシュさん派なんです!」

フジ「なっ…!?」

ヤムチャ「あんな素敵な人、世界のどこを探しても他にいません!」
 ▼ 128 ンシカイオーガ@エネコのシッポ 15/08/17 07:54:51 ID:oCsl4M2M [2/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「同タイプのジムリーダー同士は意気投合しやすい。それが男女であればなおさら、恋愛関係や結婚に至ることも決して珍しくないんですよ!」

フジ「なるほど。セキチクのキョウの奥さんは別地方の毒ジムリーダーだった、という話をどこかで聞いたことがあるな」

ヤムチャ「まあ、それも僕が夢を叶えられれば…の話ですけれどね」

 顔を上げ、遥か彼方海の向こうの地平線を見つめるヤムチャ。
 彼がこころのめで見つめる方角の先には、憧れのクノエシティがあるのかもしれない。

フジ「さて、ヤムチャよ。ジムリーダーになるにはまだまだ準備が必要じゃぞ」

ヤムチャ「はい。今度は何ですか?」

フジ「通り名を決めるのじゃ」

 通り名というのは、ジムの前の看板に書いてあるジムリーダーの説明のこと。
 例えばタケシなら「つよくて かたい いしの おとこ」、カスミなら「おてんば にんぎょ」といった具合に
 ジムの使用タイプをからめた説明文にするのが一般的だ。
 もちろん自称でもかまわないのだが、説明が豪華絢爛すぎるとジムリーダー本人が名前負けするし、自虐的すぎてもバカにされる。
 簡単そうで、実は難しいのだ。

ヤムチャ「それなら、もう決めてあります」

フジ「おお!準備がいいのう!」

ヤムチャ「『>>130』、これ徹夜で考えたんですよ!」
 ▼ 129 イホーン@ミミロップナイト 15/08/17 08:55:31 ID:Ce.zgtfo NGネーム登録 NGID登録 報告
強くて 柔い 妖精の 男
 ▼ 130 ロッパフ@せいしんのハネ 15/08/17 08:56:51 ID:qE5utAPk NGネーム登録 NGID登録 報告
「きえろ ぶっとばされんうちにな」
 ▼ 131 リル@ダークストーン 15/08/17 09:46:21 ID:/LXNLtl2 NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャア
 ▼ 132 ープルフレイム◆ztIW65Z4RA 15/08/17 17:52:30 ID:1PRSJ0Cs NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>130
くっそワロタwwwwww
 ▼ 133 クーダ@あくのジュエル 15/08/17 19:06:32 ID:oCsl4M2M [3/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「『きえろ ぶっとばされんうちにな』、これ徹夜で考えたんですよ!」

フジ「これ、一体どういう意味じゃ?何だか物騒じゃが…」

ヤムチャ「いやー、印象的な文面を考えていたら自然とこうなってしまいました!」

 ヤムチャの口から飛び出してきた文面は、とても通り名とは思えない代物。
 宿題のレポートでもラブレターでも徹夜で考えると大抵ロクなことにならないのだが、果たして彼の真意はいかに?

ヤムチャ「あのですね、僕って何をやっても結局はタケシ兄さんの劣化なんですよ」

 今度は、今までのがんばりやなヤムチャからは考えられないほどのマイナス思考が飛び出してきた。
 老骨につるのムチを打ってナナシマまでついてきたフジ老人としては、とても堪ったものではない。

フジ「な、何を言っておる!せっかくここまで一緒に頑張ってシナモロールもゲットしたのに…」

 いかりのつぼを突かれて老人の眉間のシワはさらに増え、自ずとこわいかおになっていくる。
 だが、ヤムチャは顔色ひとつへんしょくさせずに話を続けた。

ヤムチャ「現時点での世間の評価が、ってことです。兄さんの方が有名だし、ジムリーダーとしてのキャリアも長いし」

フジ「……」

ヤムチャ「そんな中、両親だけが僕達兄弟にわけへだてなく接してくれました」

フジ「…!」

ヤムチャ「僕にヤムチャと名付けたのも、きっと何か考えがあったからでしょう」

ヤムチャ「だから僕、僕にしか出来ないジムの看板で勝負します!」
 ▼ 134 ラマネロ@ゴスのみ 15/08/17 19:37:05 ID:oCsl4M2M [4/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「…そうじゃったのか。ちゃんと考えがあったんじゃな」

ヤムチャ「もちろんですよ!」

フジ「とはいえ、『きえろ ぶっとばされんうちにな』はお前さんのイメージに合っていないような気がするのじゃが…」

 言われてみれば、容姿こそタケシにそっくりとはいえ、おだやかで礼儀正しく少しオドオドしたところのあるこの若者には
 『きえろ ぶっとばされんうちにな』等というちょうはつ的な文句は似合わないかもしれない。

ヤムチャ「いやー、こうでもしなければ挑戦者をいかくできないと思いまして」

ヤムチャ「特性のいかくで相手の攻撃を下げるように、ジムリーダーがつよきな態度を取れば相手は圧倒されるというものです」

フジ「…はあ、そんなものなのかのう?」

ヤムチャ「タケシ兄さんだって『負けると分かってて戦うか!』なんて威勢のいいこと言ってましたよね」

ヤムチャ「けど、実はあの時足がガクガク震えてたんですよ!」

フジ「……」
 ▼ 135 レキブル@ダウジングマシン 15/08/17 19:56:29 ID:oCsl4M2M [5/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「そういうわけで、本番きんちょうかんに押されがちな僕はジムの看板にいかくメッセージを書いておきたいんです」

フジ「ジムの看板を読んだら『きえろ ぶっとばされんうちにな』と書いてあるわけかい…」

ヤムチャ「それだけでもう効果はばつぐんですよ!」

フジ「(…本当かのう?)」

 とにかく、これで看板のメッセージは決まった。
 紋切り型で面白みに欠けるジムリーダーの自己主張激しいメッセージばかりが増える中、あえて予想の斜め上をとびはねるような
 かたやぶりな文面を選んだヤムチャのセンスは賞賛に値するかもしれない。

フジ「さて、次はバッジについて決めねばのう」

フジ「ヤムチャよ、この世界にはどんなジムバッジがあるか知っているかい?」

ヤムチャ「はい!タケシ兄さんのグレーバッジに、マーシュさんのフェアリーバッジ。それから、おじぞうバッヂにはやぶさバッヂに…」

フジ「…まあ、知っているなら話は早い」

 バッジの名称は重要だ。
 色やジムの使用タイプと関係ある名前が望ましく、そうでなければリーグ挑戦者のこんらん状態を招いてしまう。
 また、既にある他のジムバッジと名前が被っている場合は登録できない(再安価)という厳しいルールがあるのだ。

ヤムチャ「それももう決めてますよ。>>137バッジなんてどうです?」
 ▼ 136 ネコ@シールいれ 15/08/17 19:57:15 ID:e3z8Inj2 [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
おじぞう
 ▼ 137 ギアル@びっくりこやし 15/08/17 19:57:41 ID:XBM5aUPU [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ダーク
 ▼ 138 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/17 19:57:42 ID:pTmo9cbQ NGネーム登録 NGID登録 報告
おじぞう
 ▼ 139 ガバンギラス@こうてつプレート 15/08/17 20:17:02 ID:oCsl4M2M [6/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「それももう決めてますよ。ダークバッジなんてどうです?」

 フェアリータイプのジムを制覇すると貰えるのは、まさかのダークバッジ。
 これだけ聞くと悪タイプにしか思えないのだが、一体どうしてこの名前を選択したのか。

ヤムチャ「あのですね、妖精とダークな面は表裏一体。切っても切り離せないんです」

ヤムチャ「僕もこれまで何人ものメルヘンしょうじょに会ってきましたけれど、総じてダークホールより深い闇を抱えてるんですよね、彼女たち」

 実際にカロスやホウエンを巡ったことがある者なら知っているだろうが、メルヘンしょうじょは年端もいかない女の子の容姿でありながら
 結構アブナイ台詞を吐くことで有名だ。
 それは無邪気ゆえの残酷さから来るものなのか、あるいは…

ヤムチャ「ま、僕はフェアリーのそういうところが好きなんですけどね!」

フジ「では、フェアリータイプは何故悪タイプに強いんじゃ?」

ヤムチャ「あー、あれはいわゆる同族嫌悪ですね。フェアリーの中にも派閥があって、その派閥争いに敗れたものがいわゆる悪タイプなんです」

フジ「(そんな話、初めて聞いたのう)」

ヤムチャ「で、さっきゲットしたフェアリー・悪タイプのシナモロールは、その中間にいるポケモンということになりますね。実に興味深いです」

ヤムチャ「ま、僕は悪タイプも含めてフェアリーが好きですけどね!」

 悪タイプとフェアリータイプを白黒分ける世間の定説に対し、ヤムチャ理論では両者はもともと同タイプなのだという。
 この件に関しては、まだまだ議論の余地がありそうだ…と後にオーキド博士は語ったそうな。

フジ「…さて、そのダークバッジとやらはどんなデザインにするつもりかのう?」

ヤムチャ「もちろん>>141みたいな形状にしますよ」
 ▼ 140 イリーフ@ノーマルジュエル 15/08/17 20:17:18 ID:aBi9Uifc [1/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>137
完全にあくタイプジムですね…。
 ▼ 141 ッスルウィザード 15/08/17 20:18:04 ID:LbGdCmL6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
腹筋
 ▼ 142 リキザン@あまいミツ 15/08/17 20:23:01 ID:aBi9Uifc [2/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>141
ここに来てかくとうタイプチック!?
 ▼ 143 ーブシン@きゅうこん 15/08/17 20:24:12 ID:XBM5aUPU [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>140
正直狙った

ってか腹筋?!
 ▼ 144 ンチュラ@そうこのカギ 15/08/17 20:27:41 ID:aBi9Uifc [3/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>143
やはりでしたか(笑)

あくタイプとかくとうタイプ…、どちらもフェアリータイプの餌食…。
 ▼ 145 ルジーナ@あかいビードロ 15/08/17 20:31:36 ID:XIuvJQm2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 146 クフーン@シルクのスカーフ 15/08/17 20:36:35 ID:oCsl4M2M [7/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「もちろん腹筋みたいな形状にしますよ」

フジ「腹筋!?それなんかもう格闘タイプっぽさバリバリなんじゃが…」

 自分に質問しておきながらもれなく横槍を入れてくるフジ老人に、ヤムチャはチッチッとゆびをふりながら
 じしんかじょう気味に答えるのであった。

ヤムチャ「あのですね、フェアリーたるものナヨナヨ、フニャフニャしていては務まらないんです」

ヤムチャ「筋肉を誰よりもよく知り、そして支配している。だからこそフェアリーは格闘に強いんです」

 そして、何を思ったかヤムチャの顔がまたねつぼうそうして赤くなる。
 こうなる時に、彼が考えていることはただひとつ。

ヤムチャ「それに、マーシュさんの衣装って15キロあるそうじゃないですか。ということは服の下には…」

 一体何を想像しているのか、ヤムチャの鼻息はぼうふうのように荒くなる一方だ。

ヤムチャ「たくましくビルドアップした腹筋が!」

フジ「…いや、『マーシュは筋肉も脂肪もないモデル体型』とポケモンジャーナルに書いてあったぞ」

ヤムチャ「えっ?」

 その日、若くいたいけな青年の夢がひとつ壊れた。
 ▼ 147 ォレトス@りゅうのプレート 15/08/17 20:38:12 ID:XBM5aUPU [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
まあマリルリクチート……後はわかるな?
 ▼ 148 タージャ@しんかいのウロコ 15/08/17 20:48:41 ID:oCsl4M2M [8/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
【シオン名物 まとめ】 []内は安価で決定しました

・町中のスピーカーから流れるようきな[ポルカオドルカ] 提案:ミニスカート

・[ステーキ]店の[見にくくて醜い肉屋ァ!] 店主:ぼうそうぞく

・銘菓・シオン[いちおく](1億年姿が変わらないジーランスをモデルにしたお菓子) 提案:キャンプボーイ

・[シンオウ地方を消し飛ばすくらい]かちきな性格が自慢のご当地アイドルが歌うヒットソング[みかんの皮] アイドル:元おとなのおねえさん

・ポケモンタワーは[スカイツリー風観光]に改造され、そのうち[伝説ポケモンが大量におでましする]予定 元凶:きとうし

・アニメ[人類メスポケ化装置] [ラティアス]に出会った主人公がメスの[ベイリーフ]になる話で、肉屋ともタイアップ! 制作:りかけいのおとこ

・ジム候補
 リーダー:[タケシ]の双子の弟、[ヤムチャ]
 ポケモン1:パートナー[キリキザン]
 ポケモン2:[ときはなフーパ]
 ポケモン3:新ポケモン[シナモロール] フェアリー・[悪]タイプ(ナナシマ・8のしまでゲット)
 ジムのタイプ:[フェアリー] 理由はマーシュが好きだから
 ジム前看板のメッセージ:[きえろ ぶっとばされんうちにな]
 ジムのバッジ名:[ダーク]バッジ
 バッジのデザイン:[腹筋]
 ▼ 149 ンファン@れいかいのぬの 15/08/17 20:49:22 ID:e3z8Inj2 [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>148
カオスw
 ▼ 150 チルゼル@こだわりハチマキ 15/08/17 21:24:57 ID:oCsl4M2M [9/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
 それから数週間が過ぎていった。
 お風呂屋「39度」、カレー屋「中辛」、布団屋「羽毛」といった店舗がシオンタウンのメインストリート沿いに続々新規オープンし
 町は以前にも増してにぎやかになっていった。
 ヤムチャはというと、強いトレーナーを求めてシオンタウンの周辺を歩き回って修行に明け暮れ、
 フジ老人も暇な時には付き添っていた。

 …だが、そんな平和な時間も長くは続かない。
 ポケモンハウスでおちゃを飲みながらテレビを眺めていたフジ老人の目に、「それ」は突如飛び込んできた。

フジ「臨時ニュース、じゃと?」

 『元リーグチャンピオンのグリーン、トキワシティのジムリーダーに立候補』

フジ「何…じゃと…」

 それはフジ老人にとって、そしてシオンタウンの全町民にとって、絶望的な知らせ以外の何物でもなかった。
 確かに、シオンジムリーダー候補のヤムチャはここ数週間でメキメキと腕を上げた。
 だが、リーグチャンピオンレベルの相手と戦って勝てるほど強いかというと…結果は目に見えている。
 ▼ 151 クケイル@とうめいなスズ 15/08/17 21:33:13 ID:oCsl4M2M [10/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「それでも、僕はあきらめませんよ!」

 おたけびとともにポケモンハウスのドアが勢いよく開けられ、シオンタウンではもうすっかりお馴染みとなった期待の新星が入ってきた。
 この町では、もはや彼をタケシと間違える者は誰ひとりとしていない。

ヤムチャ「相手が強ければ強いほど、とうそうしんが燃えるってものです」

フジ「じゃが、相手は元リーグチャンピオンじゃぞ?」

 このまま行けば、ヤムチャとグリーンのバトルは避けられない。
 一体、どうやって太刀打ちするつもりなのだろうか?

ヤムチャ「…どうやら、ニビの一族に伝わるあの修行を始める時が来たようですね」

フジ「あの修行?」

ヤムチャ「あれはかなりきついから正直敬遠していたんですけれど、仕方がありません」

フジ「だからどんな修行なのかと聞いているんじゃが…」

ヤムチャ「>>153
 ▼ 152 チュー@せいれいプレート 15/08/17 21:36:37 ID:XBM5aUPU [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
フーパの力で世界中飛び回り武者修行
 ▼ 153 ーケオス@ポケモンのふえ 15/08/17 21:36:58 ID:aBi9Uifc [4/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ウシオ祭
 ▼ 154 クバード@うみなりのスズ 15/08/17 22:31:24 ID:oCsl4M2M [11/12] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「ウシオ祭」

 そう言って、「ウシオ祭」と書かれた怪しげなDVDを取り出した。
 表紙には、ニビとは一見無関係なウシオの写真がでかでかと掲載されている。

フジ「はて、ニビシティといえば超内陸部じゃったな。これのどこがニビに伝わる…」

ヤムチャ「あのですね、ウシオさんって幼い頃ニビに住んでいたことがあるそうですよ。あまり知られていませんけどね」

フジ「(やれやれ、本当かのう?)」

 フジ老人が疑いの目を受けている間に、ヤムチャはポケモンハウスのDVDプレイヤーを勝手にいじって準備を進めている。
 気が付けば、画面には既に上半身裸のウシオの姿が。
 一体、これから何が始まるというのか…

 ウシオ『オウホウ!オレッチとオメエとポケモンと!みんなでマックスタギろうゼェッ!』

 ウシオの掛け声と共に音楽が流れ始め、ヤムチャもそれに合わせて踊り始めた。
 いや、踊るというよりはむしろ筋トレに近いかもしれない。

 ウシオ『そうダ!そのまま上腕二頭筋をたっぷりアイしてやろうゼェ!』

 息を上げながらも、ウシオの動きに辛うじてついていくヤムチャ。
 対してフジ老人はというと老骨にパワーウィップを打ってまでまねっこをする気にもならず、ただ見ているしかできなかった。
 ▼ 155 ブラン@タウリン 15/08/17 22:35:43 ID:oCsl4M2M [12/12] NGネーム登録 NGID登録 報告

フジ「で、この『ウシオ祭』の運動をするとどうなるんじゃ?」

ヤムチャ「ゼエゼエ…もちろん筋力が、つきます!」

フジ「それは分かるが、お前さんが筋力を上げたところでグリーンとの戦いに何か役立つのかい?」

 これまでにも何人もの候補者がジムリーダーの座を巡って争ってきたが、その手段はポケモンバトル以外ありえなかった。
 ジムリーダーという職はポケモンの強さと弱さを知っていなければ務まらないので、当然と言えば当然である。
 後にも先にも、ジムリーダー候補本人が殴りあって決着をつけたケースなど一度もない。

ヤムチャ「それだけじゃない、ですよ…ゼエゼエ。他にも、いいことが…ゼエゼエ」

フジ「ほう、例えば?」

ヤムチャ「>>158
 ▼ 156 ガエルレイド@りゅうのウロコ 15/08/17 22:46:08 ID:aBi9Uifc [5/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 157 ンリュウ@マゴのみ 15/08/17 22:46:39 ID:aBi9Uifc [6/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 158 ルレイド@こううんのおこう 15/08/17 22:47:04 ID:aBi9Uifc [7/7] NGネーム登録 NGID登録 報告
カイオーガをお出ましできる。
 ▼ 159 トモシ@ラティオスナイト 15/08/18 00:42:26 ID:4j5YxOfc NGネーム登録 NGID登録 報告
>>158
まともに見える不思議
 ▼ 160 メハダー@リザードナイトY 15/08/18 17:03:54 ID:wVkT1Gl. [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「カイオーガをお出ましできる」

フジ「(本当かのう?)」

 ウシオ『これでラストスパート!チカラ尽きハテるまで、ヤリあおうゼッッ!』

 そうこうしているうちに、じごくぐるまよりも激しい「ウシオ祭」のダンスはフィニッシュを迎え
 それと同時にヤムチャは力尽きて床に倒れ込んだ。

ヤムチャ「ゼエゼエ…やりまし、たよ…!」

 フジ老人は窓から外を見てみたが、シオンの空はいつも通り薄曇りをキープしている。
 カイオーガが現れる気配など、バチュルのまつげほどもない。

フジ「これで本当にカイオーガをお出ましできるのかい?」

ヤムチャ「どう、でしょうか。今までに…ゼエゼエ、この踊りを最初から最後まで踊った人なんて…ゼエゼエ、誰一人いなかったから…」

あのウシオでさえ、DVD撮影時は何日にも分けて休み休み撮影した程ハードな踊り。
今回の偉業を記録媒体にさえ残していればギネスブックに殿堂入りレベルだったのだが、実に惜しいことをした…とヤムチャは苦笑いした。

フジ「…おや、また臨時ニュースか。今日は多いのう」

 そんな一時の安息に、付けっぱなしのテレビから流れてくる臨時ニュースの不穏なサイレンがサイコブレイクを叩き込む。

 『>>161(ポケモン世界の町 シオン以外ならどの地方でも可)に大雨・洪水警報』
 ▼ 161 ラッキー@タウンマップ 15/08/18 17:05:59 ID:SNiXPoLU NGネーム登録 NGID登録 報告
トキワ
 ▼ 162 レッグル@ていきけん 15/08/18 18:00:08 ID:wVkT1Gl. [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
 『トキワに大雨・洪水警報』

フジ「何じゃと!?」

 ここでトキワシティのレポーターと中継が繋がったようだ。
 カメラに絶え間なくたたきつけられる雨粒を見ていると、トキワから遠く離れたこのシオンにもきんちょうかんが伝わってくる。

 『住民の話によると、巨大な雨雲がトキワシティ上空に突如発生したとのことです!ザザー』

 『ご覧のとおり…ザザー…とんでもない雨です!とても耐えららららら…』

 そこで中継は途切れて、画面に残ったのはすなあらしだけ。
 今回の豪雨がどれほどのものかテレビの前にいても大体分かるが、実際の被害は計り知れないだろう。
 そんな中、疲れて寝っころがっていたヤムチャのまぶたがぴくりと動く。

ヤムチャ「ゼエゼエ…僕がトキワに行って、カイオーガを止めてきます!」

フジ「お前さん、ヤムチャ…いや、ムチャするな!」

ヤムチャ「元はといえば、僕がカイオーガを呼び出してしまったせい。これは僕の責任です」

 瞳にせいぎのこころをたたえ、静かに立ち上がるヤムチャ。
 だが、次の瞬間…

ヤムチャ「ヴっ!あ、足が、腕が…」

 痛みに耐え切れず、元のようにまるくなって倒れてしまった。
 いくらがんじょうな精神を持っていても、全身の筋肉痛には敵わないのだ。
 ▼ 163 メグマ@ねばねばこやし 15/08/18 18:20:37 ID:wVkT1Gl. [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
 フジ老人は驚いたのなんの、倒れたヤムチャにでんこうせっかで駆け寄った。
 ほどなくして静かな寝息とねごとが聞こえてきたので、ほっと胸をなでおろす。

ヤムチャ「うう…マ…シュさん…」

フジ「どうやら疲れているだけじゃな」

 ヤムチャがねむり状態になり、ポケモンハウスの部屋全体が静けさを取り戻したその時
 窓の外から何やらさわぐ声が聞こえてきた。

 「この雨でトキワジムがめちゃくちゃになれば…」

 「グリーンはジムリーダー決定戦に出られなくなって、不戦勝でシオンジム確定!」

 「ヤムチャじゃ絶対に勝てないからな。やっぱりこいつは恵みの雨だ」

 トキワシティが大雨に襲われることは、絶対的な力を持つライバルに危機が訪れたことを意味する。
 だが、それはシオン側の人間の心をどれほど愚かにするものだろうか。
 老人の瞳はいかりに燃え、気がつくと靴も履かないまま外に飛び出していた。

フジ「ぶぁっかもーーーん!それでもシオンの人間か!?」

フジ「お前さん達、シオンが好きじゃなかったのかい?シオンが賑やかになって、喜んでいたんじゃなかったかい?」

 「いや、そうだけどさ。だから当然シオンに勝って欲しいし…」

フジ「だったら何故、シオンの名にどろかけする?」

 他の町を貶めなければ、シオンの魅力を主張できないのか?
 そしてそんな事をすれば、シオン全体のイメージがフリーフォールすることくらい想像できないのか?
 のうてんきなポルカオドルカのメロディをふきとばす勢いで、老人はハイパーボイスを荒げた。
 ▼ 164 ャモメ@どくのジュエル 15/08/18 19:22:24 ID:wVkT1Gl. [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
 さっきまで大声でさわいでいた町人達はすっかりおとなしくなり、皆してフジ老人の方を向き直って
 申し訳無さそうな表情を浮かべ始めた。

フジ「分かればよろしい。お前さん達もきっとシオンが好きすぎる故に、つい言い過ぎてしまっただけじゃろう」

 だが、一番の問題は一歩たりとも解決に近づいていない。
 トキワシティがある西の方角に目を向ければ、そこには黒い雲がカビゴンのようにどっしりと居座っている。

フジ「あれをどうにかしなければ、いずれシオンも…」

 りかけいのおとこなら詳しく知っているが、カントー地方の天気は風の流れの影響で西から東へと動く。
 つまり、現在トキワの上空にある雨雲がいずれシオンにもやってくることを意味する。

フジ「(あの雨雲の中には恐らくカイオーガがいる。バトルで退ければ、雨雲も消えるじゃろう)」

フジ「(じゃが相手は伝説のポケモン、恐ろしく強いじゃろう。このシオンタウンにカイオーガと互角に戦えるポケモンなど…)」
 ▼ 165 ポエラー@エネコのしっぽ 15/08/18 19:33:08 ID:wVkT1Gl. [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
 その時、群衆の中に潜んでいたきとうしと偶然視線が重なった。

きとうし「…!」

 フジ老人の脳裏にでんきショックが走る。
 すっかりドわすれしていた記憶がじこさいせいのように蘇り、彼女が以前言った言葉が耳の中で反響し始めた。

 きとうし『例えば、伝説ポケモンが大量にお出ましする』…

フジ「(そうじゃ!あの娘が言うとおりスカイツリー風観光タワーに伝説ポケモンが現れれば、ひょっとしたら…)」

 フジ老人はスカイツリー風観光と化した元ポケモンタワーに祈りを捧げ、奇跡が起きるのを願った。
 伝説ポケモンに会えるのはそう簡単なことではない、そんなことはいちおくも承知だ。
 それでも、何か大きくて強い存在にすがらずにはいられなかった。

きとうし「(…お、おお!?)」

 その瞬間、確かに何かが起こった。

りかけい「ありえない…いや、ありえるかもだと?」

 スカイツリー風観光タワーの頂上が突然パッと明るくなり、マジカルシャインよりも強い光を四方八方に放ち始めた。
 何も知らない群衆がうろたえる中、光はゆっくりとフジ老人の目の前まで降りてきてポケモンの形となった。

きとうし「おお…おでましじゃ!ついにおでましの時が来たのじゃ!」

ボーイ「>>167(ポケモン)のおでましだー!」
 ▼ 166 ンパッパ@あさせのかいがら 15/08/18 19:34:51 ID:/4Fvh7jI [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
やべえよこの安価回収

名前欄
 ▼ 167 クタス@パークボール 15/08/18 19:35:21 ID:QglwR1O6 NGネーム登録 NGID登録 報告
ほい
 ▼ 168 ルレイド@すごそうないし 15/08/18 20:10:47 ID:v6BZGOrY NGネーム登録 NGID登録 報告
>>167
微妙なのお出まししたな
 ▼ 169 シツブテ@ボイスチェッカー 15/08/18 20:11:44 ID:/4Fvh7jI [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>168
でもカイオーガに有利な草+ヤムチャのコンセプト(笑)の悪複合じゃん(震え声)
 ▼ 170 マルス@GBプレイヤー 15/08/18 20:22:07 ID:TaaDbzsg NGネーム登録 NGID登録 報告
>>167
くさタイプの技をれいとうビームが来る前に撃ちまくれば勝てるか…?
 ▼ 171 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/18 20:23:07 ID:vYi.RnO2 NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 172 ンヤンマ@ソクノのみ 15/08/19 20:23:40 ID:oqhs2dAY [1/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
ボーイ「ノクタスのおでましだー!」

フジ「おお、ノクタスか…」

 フジ老人はノクタスに近づき、顔をじっと見つめた。
 ノクタスといえば砂漠で倒れた旅人を喰らうという噂があるようだが、この優しい表情を見ていると
 そんな話はただの「伝説」に過ぎない、とさえ思えてくるようだ。
 いずれにしても、このノクタスはきっと普通のノクタスではない、特別なノクタスなのだろう。

ミニスカート「フジおじいちゃん!」

 騒ぎを聞きつけて、顔なじみの若者達もいつの間にか集まってきていた。
 突然のことに驚きと不安を隠せない彼らに対し、フジ老人はまじめな声色で語りかける。

フジ「いいかい、わしは今からノクタスと一緒にトキワへ行く。あの大雨を止めるのじゃ」

ミニスカート「え、嘘でしょ…?」

ぼうそうぞく「じいさん、正気か?」

 若者達は必死になってフジ老人を止めようとする。
 だが、どんなに説得を試みても老人のふくつのこころは変わらない。

フジ「わしは老い先短い。しかし…だからこそ、若いお前さん達にシオンの未来を託す。それだけのことじゃよ」

おねえさん「ちょっと!どういうこと?」

フジ「頼んだぞ…!」
 ▼ 173 ストダス@ハガネールナイト 15/08/19 20:25:33 ID:oqhs2dAY [2/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 若者達が困惑の声を上げるのも気にせず、フジ老人はくるりと群衆に背を向ける。
 その時、一人の少年が前に進み出て何か小さなものを差し出そうとした。

ボーイ「分かりました。その代わり…僕のトロピウスに乗っていって下さい!」

 キャンプボーイの少年が差し出したのは、相棒のトロピウスが入ったモンスターボール。
 これから戦地同然の場所へと赴く老人に、大切なポケモンを託すつもりなのだ。

ボーイ「僕のトロピウスは、はっきり言って戦いが苦手。けれどフジおじいさんとノクタスを乗せて飛ぶことなら立派にやれます!」

ミニスカート「(大体、シオンからトキワまで歩いて行くだなんて無謀よ。そんなの一万光年かかるし)」

りかけい「(一万光年は時間じゃない、距離ですぞ…)」

ボーイ「だからトロピウスと一緒にトキワまで行って、そして必ず帰ってきて下さい。約束ですよ!」

フジ「…ああ、約束じゃ!」

 老人とノクタスを乗せたトロピウスはつむじ風と共に天高く舞い上がり、やがて曇り空の彼方へと消えていった。
 ▼ 174 ッキー@エルレイドナイト 15/08/19 20:27:25 ID:oqhs2dAY [3/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
………

 ここは トキワシティ。
 トキワはみどり えいえんのいろ…と言いたいところだが、現在は豪雨の影響でどこもかしこも泥まみれ。
 川に満ちただくりゅうの水位は秒ごとに上がり、氾濫するのも時間の問題だ。

フジ「想像していたよりも深刻じゃな…」

 どうやら町の住民は既に避難したようだ。
 人っ子一人いなくなった町をトロピウスの背から見下ろしながら、フジ老人はぽつりとつぶやく。
 同乗しているノクタスも、頭上に広がる黒い雨雲を心配そうな面持ちで見つめている。

フジ「む、あれは…」

 突如雨雲が真っ二つに割れ、中から大きな何かが姿を表した。
 そう、カイオーガである。

フジ「(そもそもあのカイオーガはヤムチャがうっかり呼び出してしまったもの…)」

 「弟子の後始末はわしがせねば」と、気合を入れるフジ老人。
 だが不運にも、老人が顔を上げた途端カイオーガと目線が合ってしまった。

フジ「ま、まずい!見つかった…!」

 トロピウス目がけて、カイオーガのれいとうビームが飛んでくる。
 フジ老人はトロピウスを託してくれた少年の笑顔を思い出しながら、タイミングを見計らって合図を送った。

>>175の投稿時間の秒が奇数[1.3.5.7.9]なら回避成功、偶数[0.2.4.6.8]なら失敗)
 ▼ 175 タング@プレシャスボール 15/08/19 20:29:09 ID:jnXBZfks [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
頼む!
 ▼ 176 オスタの悲しみ 15/08/19 20:30:02 ID:YFGEF0.Q NGネーム登録 NGID登録 報告
がんんばれ
 ▼ 177 ビット@カムラのみ 15/08/19 20:33:58 ID:jnXBZfks [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>175
やった!
 ▼ 178 っふもふのレシラムさん 15/08/19 20:36:40 ID:nVqhhnJA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>175
おおっ
 ▼ 179 ドクイン@まんたんのくすり 15/08/19 20:43:52 ID:oqhs2dAY [4/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 フジ老人の叫びを聞き届けたトロピウスは急旋回し、氷漬けを免れた。
 だが、普通に考えればれいとうビームは命中率がとても高い技。そう簡単に避けることなどできるのだろうか?

フジ「果たして本当に…はっ?」

 すぐ後ろに気配を感じて振り返ると、そこにはルナトーンが悠々とふゆうしていた。
 満月かと見まごうほど、全身をまばゆくはっこうさせている。

フジ「これは…そうか!フラッシュの効果でカイオーガの目がくらんで技を避けやすくなったのじゃな!」

フジ「すまんのう、ルナトーンよ。助かったぞ!」

フジ「(…ところでお前さん、誰のポケモンじゃ?)」

 だが、カイオーガは一度技を外した程度で諦めてくれるほど甘くはない。
 この伝説ポケモンがほえる声に反応したかのように雨はいっそう激しくなり、トキワシティの地盤を容赦なく削る。
 ねをはっていた地面が流され、礎を失った老木がフジ老人目がけて倒れてくる!

 ―バシュッ!
 突然横から飛び込んできた音と共に老木の幹はきりさかれ、文字通り木端微塵に。
 フジ老人が恐る恐る目を開けて見れば、得意のいあいぎりを披露して自慢気な顔のカモネギが飛んでいた。

フジ「おお、ありがたい!助かったぞ!」

フジ「(このポケモンは?避難する時にトレーナーとはぐれたのじゃろうか?)」
 ▼ 180 ッフロン@するどいくちばし 15/08/19 20:46:18 ID:oqhs2dAY [5/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ほっとしたのもつかの間、今度はだくりゅうの高波が背後からこうそくいどうで迫ってくる!
 スピードが速すぎて うまく にげきれない…

 ―ピキーン!
 フジ老人が目を開けると、すぐ後ろでカチカチに凍ってしまった泥の柱が突っ立っている。
 そしてその横には、こおりのいぶきがうまくきまってガッツポーズを決めるデリバード。

フジ「おお、恩に着るぞ!」

フジ「(いや、今のトキワにトレーナーの姿は見えない。野生のポケモンじゃろうか?)」

 カイオーガが放つれいとうビームの嵐をかいくぐりながら、トロピウスはフジ老人とノクタスを乗せて縦横無尽に飛び回る。
 老人は必死でトロピウスにしがみついていたが、風圧に耐え切れずバランスを崩して落ちてしまった!

 ―シュルシュル!
 どこかから伸びてきた太い糸がフジ老人に巻きつけられ、徐々に巻き上げられていく。
 上を見れば、いとをはいて老人の体を支えるアゲハントの勇姿があった。

フジ「おお!ありがたや、ありがたや!」

フジ「(だとしたら、野生のポケモンが何故…?)」
 ▼ 181 クシオ@ねばりのかぎづめ 15/08/19 20:48:16 ID:oqhs2dAY [6/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 さっきからポケモン達が自分を支援してくれているが、彼らは一体何を考えてそうするのだろうか?
 フジ老人は考えたが、それを妨害するかのような大量の水しぶきを浴びて我に返る。
 カイオーガが突如轟音を上げて、だくりゅうと共にとっしんしてきたのだ。

フジ「ま、まずい…!」

 まさにその瞬間、視界の端から飛び込んできた茶色の物体…オニドリルのドリルくちばしがカイオーガに炸裂。
 これには流石の伝説のポケモンでも怯まざるをえない。
 その隙を見計らってオニドリルは老人の方へ向かって飛んできたのだが、よく見ると首からポケギアを提げている…

 『…さん…じいさん、聞こえるか?』

 ポケギアを通して届けられたのは、聞き覚えのある声。
 紛れも無くシオンタウンの若者達だ。

フジ「聞こえるぞ!わしの耳はまだまだ現役じゃ」

 『聞こえるということは、空からの増援が無事到着したってことね!』

 『ポケギアを通して音声を聞いてたから、そっちで何があったかは大体分かってるよー』

 『どうやら我らが育てたポケモンは役割を持てたようですな!』
 ▼ 182 ニスズメ@むしのジュエル 15/08/19 20:50:04 ID:oqhs2dAY [7/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 そこでようやく、フジ老人は事態を把握した。
 これまでにカイオーガの猛攻からまもってくれたポケモン達は、トキワシティのトレーナーのものでも野生でもなく
 シオンを愛する若者達の想いを乗せて、遠路はるばる応援に駆けつけたもの達だったのだ。

フジ「いやー、本当に助かったぞ!」

フジ「しかしお前さん達、あんな頼りになるポケモンを一体どこで…」

 『どこでって…昔フジおじいさんが僕達に預けてくれたポケモンですよ?』

 『皆、シオンのポケモンハウスにいた元・捨てポケモンじゃぞ。そなたが今乗っているトロピウスも含めてな』

フジ「…!?」

 『だからあいつらは皆、フジのじいさんが大好きなんだ。そしてシオンタウンも大好きなんだよ』

 『もちろん私達もね!』
 ▼ 183 リバード@するどいくちばし 15/08/19 20:54:25 ID:oqhs2dAY [8/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「お、おお!お前さん、た…ち…!」

 そう言いかけたところで雨音が耳をつんざくように激しくなり、ポケギアからの音声をかき消して最早会話もできない。
 ひるんでいたカイオーガが早くも体制を立て直し、いかりのまなざしで老人を見つめている。

フジ「…まずい!」

 フジ老人はトロピウスに合図を送り、カイオーガの一撃を避けるべくそらたかくとびあがろうとした。
 だが、同乗しているノクタスはバランスを崩し…

フジ「の、ノクタスーっ!」

 そのまま落ちてだくりゅうの中へ。
 咄嗟にいとをはいたが間に合わず、アゲハントも悲痛な表情を浮かべている。

フジ「ノクタス…!わしは、わしは…!」

 …おや?
 ノクタスが落下した水面に大量のあわが発生し、パチパチと音を立てて弾け始めたかと思えば
 次の瞬間、ノクタスが何食わぬ顔で浮かび上がってきた!

フジ「…そうか!特性の『ちょすい』でだくりゅうを無効化したんじゃな!」

(※ちょすい…水タイプの技を無効化&受けると体力を回復する特性。ノクタスの隠れ特性でもある)

 心なしか、さっきよりもノクタスのお肌がスベスベしているようにも見える。
 ノクタスはそのままカイオーガに急接近し、技の構えに入る…

フジ「あれは…>>185(ノクタスの技)!?」
 ▼ 184 キメノコ@イアのみ 15/08/19 20:56:06 ID:jnXBZfks [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 185 カブ@パワフルハーブ 15/08/19 20:56:34 ID:jnXBZfks [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
にほんばれ
 ▼ 186 ングラー@ずがいのカセキ 15/08/19 20:58:00 ID:XIa6rp.k [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
すげえ

安価回収すげえ
 ▼ 187 ヘッド@ミュウツナイトY 15/08/19 20:59:37 ID:AgQHVOu. [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>175
ナイス
 ▼ 188 ロアーク@たつじんのおび 15/08/19 21:02:19 ID:AgQHVOu. [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>185
はじまりのうみってにほんばれじゃ戻せなくね?
 ▼ 189 ンペルト@ギャラドスナイト 15/08/19 21:04:11 ID:XIa6rp.k [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>188
ゲンシなんて言ってた?
 ▼ 190 なグラ◆bx30JbqxUc 15/08/19 21:04:19 ID:/..KzhHo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 191 ウワウ@エスパージュエル 15/08/19 21:05:26 ID:AgQHVOu. [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>189
すまん
 ▼ 192 グカルゴ@ボロのつりざお 15/08/19 21:28:40 ID:AQoAkE4w NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>188
気にしたら負けそれにゲンシカイキしてない
 ▼ 193 ィオネ@モモンのみ 15/08/19 21:44:28 ID:oqhs2dAY [9/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「あれは…にほんばれ!?」

 ノクタスが天を仰ぐと、太陽の光が雨雲を押しのけてトキワシティに降り注ぎ始めた。
 ついさっきまで荒々しく氾濫していた川の水位はみるみるうちに下がっていき、それに比例して
 猛り狂っていたカイオーガの表情も徐々におだやかになっていく。

フジ「そういえば遠い昔、わしもじいさんからこんな話を聞いたことがあるのう…」

 知っての通り、カイオーガが現れた場所には大雨が降る。
 時にはその大雨が災害を引き起こして人やポケモンを苦しめる。

フジ「じゃが、カイオーガとて意味もなく町を破壊して楽しむようなポケモンではない…」

 雨が降りすぎて水害を引き起こせば、水の化身たるカイオーガ自身も傷つくのだ。
 それが降り始めであれば自分の理性次第で雨量を調節したり、時には雨を降り止ませたりもできるだろうが
 周辺一帯がみずびたしになる頃には、たいていカイオーガ自身も平常心を失ってパニックになっている。
 そうなると、もはや自力で雨を止めることができなくなる。
 水害が起きればカイオーガは涙を流し、そしてその涙がまた雨となり…悪循環が引き起こされる。

フジ「きっとカイオーガ自身も、自分の力を制御しきれずに苦しんでいたのじゃろう」

 そんな相手をバトルで倒しておしおきというのは、少し気が引ける。
 結果としてカイオーガに「バトルで勝つ」ことはできなかったが、これでいいのだとフジ老人は納得して何度も頷くのであった。
 ▼ 194 シラム@きせきのタネ 15/08/19 22:00:58 ID:Ln7ACy8s NGネーム登録 NGID登録 報告
天才がSSを書いていると聞いて
 ▼ 195 イパム@パークボール 15/08/19 22:03:50 ID:FinEYHSs NGネーム登録 NGID登録 報告
いい話だ…
 ▼ 196 マンボウ@かくとうジュエル 15/08/19 22:08:53 ID:oqhs2dAY [10/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
 空の彼方へと飛んで行くカイオーガを見送ると、フジ老人は何やら不敵な笑みを浮かべてわるだくみ。

フジ「…さて。これからトキワの町に降りて、わしらの偉業をアピールするとしようか!」

 偉業も何もカイオーガがトキワにおでましした原因はシオンタウンにあるのだが、そんな事はお構いナッシー。
 実際、黙っていれば誰にも分からないほどの事ではあるのだが…この老人とヤムチャ以外には。

フジ「これでシオンはより一層有名になり、観光客も増えて宣伝効果もばつぐん!」

フジ「…ん?」

 トキワ上空でわるだくみを続ける老人の目に留まったのは、この町の住人とジムリーダー候補・グリーン。
 ほうきやちりとりを手に、ぬかるみだらけの町を忙しく動き回っている。

 「すまないねえ、グリーンさん。掃除まで手伝ってもらっちゃって…」

グリーン「いいんですよ。俺はこの町の緑色が大好きですから、泥を落とすのは当然です」

 「殊勝なことだ。あんたみたいな若者がジムリーダーになってくれれば、トキワも安泰だな」

 泥で汚れた緑の町をきれいにするグリーンと、彼を慕う町の人々の姿。
 やはり、ジムリーダーはこうであるべきなのかもしれない。

フジ「…美味しいところを全部持っていかれてしもうた」

 どうやら、フジ老人の居場所はここではないようだ。
 逆に言えばフジ老人はシオンタウンにいてこそ輝けるし、彼の力でシオンタウンも輝けるということ。
 トロピウスに乗ったまま、ノクタスやシオンのポケモン達と一緒に東の方角へと帰っていくのであった。
 ▼ 197 シャーナ@あまいミツ 15/08/19 22:44:28 ID:oqhs2dAY [11/11] NGネーム登録 NGID登録 報告
【ここまでのまとめ】 []内は安価で決定しました

 若者達のアドバイスで徐々に発展していくシオンタウン。
 ヤムチャという名のジムリーダー候補も現れ、町の明るい未来は約束されたかのように見えた。
 だが、元リーグチャンピオンのグリーンがトキワのジムリーダーに立候補。ヤムチャの強力なライバルとなる。
 負ければ当然、シオンジムの夢はつりのめいしょのあわとなって消えてしまう…

 絶対的な実力を持つグリーンに対抗すべく、ヤムチャが始めたのはニビに伝わる修行[ウシオ祭]。
 DVDに合わせてハードな踊りをすると筋力がつくだけでなく、[カイオーガをお出ましできる]という。
 持ち前のこんじょうで最後までやりきったヤムチャだが、あろうことかカイオーガはシオンではなく[トキワ]にお出まし。
 天気は西から東へ動くので「このままではいずれシオンも大雨の被害に遭う」と危機感をおぼえたフジ老人は
 伝説ポケモンがお出ましすることを願って、スカイツリー風観光タワーに祈りを捧げる。
 現れた[ノクタス]、そして町の少年のトロピウスと共にトキワへ向かうのであった。

 既にみずびたし状態となったトキワでカイオーガに遭遇。
 撃たれたれいとうビームを何とか[回避]し、シオンから増援で来たポケモン達のてだすけを借りて数々の危機を乗り切るが
 カイオーガの一撃を避けようとした時にノクタスが転落し、だくりゅうに飲み込まれてしまう。
 だが、特性ちょすいのおかげで無傷で生還。
 [にほんばれ]を使って川の水位を元通りにし、カイオーガの気持ちもなだめた。
 トキワの住民から慕われるグリーンの姿を見てから、フジ老人はシオンへ帰っていった。
 ▼ 198 オスタの悲しみ 15/08/20 12:48:35 ID:R1I3nrkA [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
何もしてないのに良い事言って
慕われるグリーンwww
 ▼ 199 オスタの悲しみ 15/08/20 12:51:48 ID:R1I3nrkA [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
カイオーガ倒してトキワ
救ったフジ老人
差が激しいのに・・・
 ▼ 200 サイハナ@パイルのみ 15/08/20 18:22:19 ID:C8gjNMlM [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 トキワの大雨騒動から2週間あまりが経過し、ついに「その日」がやってきた。
 フジ老人にとっても、シオンの改革を支えてきた市民にとっても、そして「彼」にとっても非常に重要な日だ。

ヤムチャ「行ってきます!」

 町中からわき上がる声援にばくはつスマイルで応え、若きジムリーダー候補はシオンを後にする。
 だが、心の中ではプレッシャーとバトルすることで精一杯だ。

ヤムチャ「(決定戦はテレビで生放送される。無様な負け方をするわけにはいかない!)」

 丁度その頃、もう一人のジムリーダー候補も決戦の地に向けて出発しようとしていた。
 美しく緑をたたえるその町で、半月前には川の氾濫があったとは誰も信じられないだろう。

グリーン「行ってきます!」

 彼ら二人が目指すのはタマムシシティ、ジムリーダー決定戦が行われる地だ。
 観客は勝っても負けてもお祭り騒ぎだが、選手の背中には町民の期待ときんちょうかんが容赦なくのしかかる。
 この勝負を制するのは、果たしてどちらのジムリーダー候補なのか…?
 ▼ 201 ガヤンマ@みどりのかけら 15/08/20 18:57:55 ID:C8gjNMlM [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ここは タマムシシティ。
 タマムシ にじいろ ゆめのいろ…そのようなフレーズで知られるこの大都会を舞台に、
 ジムリーダーを目指す若者の夢が間もなく叶えられ、そして…その栄光の影で、現実へと引き戻される者がいる。
 会場で、そして生中継を通して、カントー内外からいちおく人以上の観客が見守る中、二人の選手達は開会の時を静かに待っていた。

ヤムチャ「(出来る限りのことはした…)」

グリーン「(後は全力を尽くすだけだ…)」

 別々の控室にいながら、ほぼ同じ時間に目を閉じてめいそうにふける二人。
 ちょうどその時、会場中に設置されたスピーカーから開会を告げる司会者の声が響いてきた。

司会「…えー。皆さん、ポケモーニング!」

 ポケモーニング、と観客席からもオウムがえし。
 彼らはこのジムリーダー決定戦を心から楽しみにしていたようだ。

司会「本日はジムリーダー決定戦の応援にお越しいただき、誠にありがとうございます」

司会「なお、会場内は全席禁煙です。ルール・マナーを守って、楽しく観戦して下さいね」

司会「…紹介が遅れましたが、本日司会を務めさせていただく>>203(ポケモンの登場人物。ヤムチャとグリーン以外)です」
 ▼ 202 なグラ◆bx30JbqxUc 15/08/20 19:02:46 ID:1sR9vvVw NGネーム登録 NGID登録 報告
マサキ
 ▼ 203 トデマン@ゴールドスプレー 15/08/20 19:10:59 ID:76r/q.iM NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ老人
 ▼ 204 ングマ@たつじんのおび 15/08/20 19:24:15 ID:C8gjNMlM [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
司会「…紹介が遅れたが、本日司会を務めさせていただくフジじゃよ」

ヤムチャ「えっ?フジさん…!?」

 フジ老人に司会としての白羽の矢が立ったのは、ヤムチャがシオンを出発してから5分も経たないうちだった。
 なお指名者はグレンのカツラ、カントーのジムリーダーの中では一番の古株である。

グリーン「(ということはヤムチャを応援するつもりか?そりゃないぜ!)」

フジ「いやいや。今日は飽くまでも公平にコメントするように努めるので、よろしく頼むぞ」

 自作のハッピまで用意してシオンを応援するつもり満々だった老人は、最初こそ司会のお誘いに戸惑っていたが
 自分がこの大切な試合の司会を全力でやりきれば、たとえヤムチャが負けたとしてもシオンの宣伝に一役買うと考えて引き受けたのだ。
 もちろん、決してヤムチャの実力を低く評価しているわけではないのだが。

フジ「では、両選手の入場じゃ。盛大な拍手でお迎えくだされ!」

 割れんばかりの拍手の中、ヤムチャとグリーンはスタジアムの中央に進み出た。
 正々堂々と勝負することを誓って握手し、元の立ち位置へと戻っていく。
 ▼ 205 リーラ@あかいかけら 15/08/20 19:39:41 ID:C8gjNMlM [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「それでは、お待ちかねのポケモン勝負…」

フジ「と、いきたいところじゃが。ジムリーダーに求められるのはポケモンの強さだけではないぞ」

グリーン「(なに、ポケモン勝負じゃないのか?)」

フジ「委員会の報告書によると、えーと…」

 かつてポケモンバトルの腕だけを判断基準にした結果、あろうことかロケット団のボスをジムリーダーに任命してしまうという不祥事が起こった。
 言うまでもなく元トキワジムリーダー、サカキのことだ。
 委員会はこの反省を踏まえ、今回よりジムリーダー決定戦の種目をいくつかの候補の中からルーレットで選択することにした。

フジ「…とのことじゃ」

 巨大なルーレット盤がスタジアム正面に掲げられた。
 その中には「筆記試験」「将棋」「マラソン」といった定番から、「激辛マトマのみ大食い競争」のような変なものに至るまで様々な競技名が書かれている。

ヤムチャ「(ルーレット、だと…?)」

 観客と選手がまじめな面持ちで見守る中、ルーレットは静かに回り始めた。
 ▼ 206 イコウ@するどいキバ 15/08/20 19:52:17 ID:C8gjNMlM [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「(腕相撲なら勝てそうだ)」

グリーン「(ダーツなら負ける気がしないぜ)」

ヤムチャ「(カラオケなら得意なんだが…)」

グリーン「(ジグソーパズルならじしんがあるんだが…)」

ヤムチャ「(しりとりは嫌いじゃないが「ル」が何度も回って来た時が怖いな)」

グリーン「(なるほど、ジムリーダーにはボキャブラリーの豊富さが不可欠ということか)」

ヤムチャ「(うわあ、ババ抜きとか完全に運じゃないか!)」

グリーン「(なるほど、ジムリーダーにはきょううんも必要ってことか…って、あれ?)」

 両者の聞こえざる心の声が交錯する中、ルーレットは回転速度を次第にゆるめていく。
 そして観客のさわぐ声が収まるのとほぼ同時に静止し、その針が示した先には…

フジ「競技種目は…>>208に決定じゃー!」
 ▼ 207 ブネーク@ハイパーボール 15/08/20 19:52:58 ID:1wSQJqic [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
大食い対決
 ▼ 208 リリ@ドリのみ 15/08/20 19:53:25 ID:O0cr2TmA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ちんちん切る
 ▼ 209 ウマージ@こないれ 15/08/20 19:54:20 ID:1wSQJqic [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>208
ファッ
 ▼ 210 ズパス@たいようのいし 15/08/20 20:19:31 ID:C8gjNMlM [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「競技種目は…『ちんちん切る』に決定じゃー!」

ヤムチャ「えっ?」

グリーン「えっ?」

 先刻の沈黙の反動なのか、一気にどよめきをかそくさせる会場。
 何を想像したのか女性の悲鳴さえ聞こえてくる。

フジ「…なんじゃ、最近の若者は『ちんちん』を知らんのか?」

 グリーンもヤムチャも質問にどう答えていいか分からず、困惑したような顔で突っ立っているばかり。
 そこでフジ老人はスタジアムのスクリーンに司会席を映して、勝手に説明を始めてしまった。

フジ「ここに電車の写真があるじゃろう?」

フジ「これは『ちんちん電車』と呼ばれるもので、わしらの世代にとっては懐かしい乗り物じゃよ」

フジ「今から目の前にある紙をはさみで切って、この『ちんちん電車』を作ってもらうぞ」

ヤムチャ「(なんだ…想像したのとまるっきり違っていて少しほっとしたぞ)」

グリーン「(言ってしまえば普通の切り絵だが…『ちんちん切る』という言葉のギガインパクトがでかすぎるぜ)」

フジ「わしの持っているやすらぎのすずが『ちんちん』と鳴るまでに、上手に切ることができた方が勝ち。判定は観客の投票で行うぞ」

(※やすらぎのすず…持たせたポケモンをなつかせる道具。FRLGではフジ老人と関係のある場所に落ちているようだ)
 ▼ 211 イティオ@ぼんぐりケース 15/08/20 20:24:21 ID:Ll2A2wp6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
下品なネタを下品じゃない方に持っていくとは…、やりおる…。
 ▼ 212 メラルド 15/08/20 20:43:36 ID:2OM0sCMQ [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
うまく繋げたな
その、いろいろな意味で
 ▼ 213 ルロック@メトロノーム 15/08/20 20:44:31 ID:C8gjNMlM [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ジムリーダーたるもの、手先がぶきようでは務まらない。
 ジムの仕掛けを作るのも、ジムの壁面にそうしょくを施すのも、全てジムリーダーのセンスと器用さにかかっている。
 だからこそ、候補者のテクニシャン度を試す『ちんちん切る』という競技が採用されたのだろう。
 タブンネ。

フジ「それでは、開始!」

 合図と同時に二人のジムリーダー候補は作業に取り掛かり始めた。
 ヤムチャはフィーリングを頼りに豪快にはさみを入れ、対するグリーンはチマチマとピンセットを駆使している。
 相反する二人の性格は、果たして作品にどのような影響を与えるのだろうか…?

………

フジ「はい、そこまでじゃ!」

 やすらぎのすすがちんちんと鳴り、二人の選手ははさみを机に置いた。
 額から流れる汗をタオルで拭いながら、完成した作品がスクリーンに映し出されるのを見送っていた。

フジ「では、両選手の力作のお披露目じゃ。スクリーンをご覧くだされ!」

 スクリーンに映し出されたのは、紙でできた2台のちんちん電車。
 一方は立体的で迫力あふれる車体が印象的な電車、そしてもう一方は細部にまでこだわった切り絵の電車。
 紙製でありながら、今にもスクリーンを突き破って走り出さんばかりの作品が競演している。
 どちらが勝ってもおかしくない、甲乙つけがたい出来だ。
 ▼ 214 ディアン@あいいろのたま 15/08/20 21:06:21 ID:C8gjNMlM [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 「あれどうやって作ったの?すごくない?」

 「やべーよ!もう芸術の領域だな」

 「あんなの俺でも作れるし…多分」

 「ママー!あのちんちん、ほしいー!」

 「それをいうなら電車でしょ。で・ん・しゃ」

 会場は再びわき上がり、目を閉じると四方八方から驚きの声が飛んでくる。
 はさみを握り続けて疲れた手の痛みなど、最早気にならない。
 ヤムチャとグリーンはおだやかな顔で、しかし心の中でははじけるほのおを燃やしながら
 ただ静かに判定の時を待っていた。

フジ「えー、どうやら集計が終わったようじゃな。これより結果発表に移るぞ」

フジ「観客総勢720人の投票の結果、勝者は…」

(安価先の名前欄に出たポケモンの全国図鑑ナンバーで勝者を判定します。
 図鑑ナンバーが大きい方が勝ちですが、けつばんが出た場合999として扱います。
 ヤムチャ…>>215 グリーン…>>217
 ▼ 215 メラルド 15/08/20 21:07:30 ID:2OM0sCMQ [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
シエンネ
 ▼ 216 ナギラス@ジュカインナイト 15/08/20 21:07:44 ID:Ll2A2wp6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ勝て!
 ▼ 217 ゲハント@にじいろのはね 15/08/20 21:08:09 ID:2OM0sCMQ [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>215
すみません コテとり忘れました
 ▼ 218 ルビート@プレミアボール 15/08/20 21:08:18 ID:Ll2A2wp6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
もう一回!
 ▼ 219 ーベム@スーパーボール 15/08/20 21:08:49 ID:Ll2A2wp6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
どうするんだこれ・・・?
 ▼ 220 ンドロス@フーディナイト 15/08/20 21:29:05 ID:C8gjNMlM [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「おっ!両者の点数が出揃ったようじゃな」

 会場中の視線がスクリーンにこのゆびとまれ。
 テレビの前の観衆含めて誰もが息を呑み、まばたき一つせずにただ見守っていた。

フジ「グリーン選手…267点!」

 ヒューヒューという口笛の音が会場のあちこちから飛び交う。
 何点満点中の267点なのかは誰も知らないが、グリーンを応援していたらしき観客達の反応を見るに、結構良い点数なのかもしれない。

グリーン「(…だが、まだ勝負はついたわけじゃない!)」

 もちろん、ここからが本当の勝負。
 ヤムチャの点数が分からない限り、喜ぶことも悲しむこともできない。

フジ「続いてヤムチャ選手の点数じゃが…ありゃ?」

フジ「…画面がバグっておるのう」

 重大発表を目前にしてバグにとおせんぼうされ、会場から湧き上がるのは困惑や不満の声ばかり。
 幸い観客の中にでんきやのおやじがいたらしく、休日を返上して修理に取り掛かってくれた。

フジ「すまんのう、助かったぞ」

でんきや「いいんですよ。僕だってこのジムリーダー決定戦をずっと楽しみにしていたんですから」

 どうやら修理が終わったようだ。
 今度こそ、泣いても笑っても結果発表だ!

(ヤムチャのみ>>222に再安価します。
 名前欄のポケモンの全国図鑑ナンバーが267より大きければ、ヤムチャの勝ちです。)
 ▼ 221 ガイドス@じゅうでんち 15/08/20 21:29:55 ID:1wSQJqic [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
こい!
 ▼ 222 ンドロス@こだいのおまもり 15/08/20 21:34:21 ID:Ll2A2wp6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
頼む!
 ▼ 223 ガヤンマ@ひみつのカギ 15/08/20 21:45:07 ID:Ll2A2wp6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
>>222
ヤムチャに豊穣の神のご加護が!
 ▼ 224 タチマル@ふっかつそう 15/08/21 00:45:43 ID:Wqw3iD5o NGネーム登録 NGID登録 報告
>>222
グリーンには申し訳ないがナイス
 ▼ 225 イリーフ@ふしぎのプレート 15/08/22 09:47:20 ID:rc2yioC. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 観客も選手もまばたき一つせず、かたずをのんでスクリーンを見つめる。

フジ「結果は…」

 やがて映しだされたヤムチャの点数に、会場中のエキサイトがマックスになる!

フジ「勝者 ヤムチャ選手!」

 どちらも甲乙つけがたい出来であったし、実際に点数としてはほんの僅差だった。
 それでも勝ちは勝ち、負けは負け。
 会場中から喜びの声、残念がる声、そして祝福の声…様々な声があふれだす。

 「ちょっと待った!」

 一人の観客がひときわ目立つばくおんぱを放ち、素早く立ち上がる。
 グリーンを応援していたエリートトレーナーだ。

エリート「こんなの納得できません!」

エリート「司会者のフジさん、あなたはシオン側の人ですよね。本当に不正はありませんか?」

 険しい顔でフジ老人をキッとにらみつけ、疑いのまなざしを向けている。

フジ「不正も何もわしはただの司会者じゃから投票はしてないし、票数を数える権限もわしには…」

エリート「だったら証拠を見せて下さい。話はそれからです」

 いかりに燃える彼の耳には、尊敬しているグリーンの声さえ最早届かない。

グリーン「ちょ、ちょっと待てよ。とりあえず落ち着…」
 ▼ 226 レセリア@するどいくちばし 15/08/22 10:00:23 ID:rc2yioC. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「(証拠と言われても…のう)」

 この義憤に燃えているエリートな若者を説得するには、自分が不正をしていない証拠を差し出さなければならない。
 だが、そのような証拠など一体どこにあるのだろうか?
 どんな証拠を示せば、彼は納得してくれるだろうか?

???「ちょっと待った!」

 その時、観客席の反対側からもう一つ声が上がった。
 ハイパーボイスを発して立ち上がったその人物の顔は…誰もが一度は見たことのある顔だ。
 観客は驚きの表情を隠せず、口々にないしょばなしを始める。

 「ねえ、あの人って…」

 「絶対、本人だよな。だってどう見ても…」

 「マジ、スッゲー、ヤッベーヨ!」

 「どうしよう?これ一大事じゃない?」

ヤムチャ「(えっ?あの人ってまさか…)」

グリーン「(何で今まで気付かなかったんだ…)」

 「まさか>>228(ポケモンの登場人物)さんが観戦に来ていたなんて…」
 ▼ 227 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/22 10:16:27 ID:b5ivkGt. NGネーム登録 NGID登録 報告
サカキ
 ▼ 228 ルフォン@ネットボール 15/08/22 10:18:43 ID:iwKkZgr6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
タケシ
 ▼ 229 ガルデ@ピントレンズ 15/08/22 11:51:52 ID:D/KA4Rg2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 230 なグラ◆bx30JbqxUc 15/08/22 11:59:35 ID:haCj7D82 NGネーム登録 NGID登録 報告
!?
 ▼ 231 チエナ@マックスアップ 15/08/23 21:05:11 ID:WYbK8KNo [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 「まさかタケシさんが観戦に来ていたなんて…」

 会場中の全視線のねらいのまとになったのは、ニビシティのジムリーダーであるタケシ。
 一番人気のあるジムリーダーとしてカントーの若い女性を中心にメロメロにしている彼だが、ジムリーダーとしての実力も本物だ。
 会場スタッフからマイクを受け取ると、れいせいな声色で話し始めた。

タケシ「皆さん、落ち着いて聞いて下さい」

タケシ「ジムリーダー決定戦で不正があったとしたら、それは由々しきこと。困ったもんだの大問題です」

エリート「そうですよ!タケシさん含めて、ジムリーダー全体の威信がフリーフォールしかねません!」

 エリートトレーナーの若者が感情的にまくしたてる一方、タケシは淡々と、そしておだやかに対応する。

タケシ「『ちんちん切る』の説明をする時、この会場のスクリーンにフジさんの司会席が映し出されましたよね」

エリート「それが…何か?」

タケシ「実はあのカメラ、最初にフジさんが自己紹介した時からずーっと回っていたんです!」
 ▼ 232 テッコツ@しんぴのしずく 15/08/23 21:06:17 ID:WYbK8KNo [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「えっ?」

 自分の気付かぬ所でカメラが回っていたと知り、老人は驚きを隠せない。
 つまりそのカメラを調べれば、フジ老人がイカサマをしていたかどうかが明らかになるということだ。

タケシ「では、実際に録画された映像をこれからスクリーンで再生してみましょう」

タケシ「なに、恐れることはありません。やましいことをしていなければ、ね」

フジ「……」

 タケシは先程バグの修理に携わったでんきやのオヤジと共に、音響室へと入っていった。
 しばらくして、司会席での一部始終が会場の巨大スクリーンに映しだされる…!

フジ「…!」

 そこに映し出されたのは、睡魔とバトルしながら大あくびをするフジ老人。
 こらえきれずにコックリコックリとサントアンヌ号を漕ぐフジ老人。
 最終的には、机に突っ伏して居ねむりを始めてしまったフジ老人。

フジ「(これは…)」

 結果発表3分前になってスタッフに起こされるまで、気持ち良さそうにドリームワールドに入り浸っている様子が
 会場中に、そしてテレビの前のサポーターに向けて晒されてしまった。
 ▼ 233 テッコツ@4ごうしつのカギ 15/08/23 21:07:30 ID:WYbK8KNo [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
グリーン「(おいおい、何てこった…)」

ヤムチャ「(そういえば昨夜徹夜したとか言ってたなあ。ムチャしないでくださいよ、フジさん…)」

 「何あれ?チョーウケルんですけど!」

 「てか寝過ぎじゃね?」

 「ケーシィも裸足でテレポートして逃げるレベルだな、こりゃ」

 決戦の日だというのに、きんちょうかんの欠片もない老人の様子を見た観客がさわぎだす。
 その様子を見たタケシは、再びマイクを受け取って前に進み出る。

タケシ「…とにかく、これでフジさんが何をしていたかよく分かったと思います」

 今朝になって何の前触れもなく急に司会に抜擢されたとはいえ、まさかこのような場で居眠りをしてしまうとは何たる失態か。
 フジ老人は顔がオーバーヒートするのを感じながら、下を向いていた。
 …だが、顔面がクリムガンのように赤くなっているのは老人だけではなく、この若者とて同じ。

エリート「ということは、フジさんは…!」

タケシ「はい。あの状態で、票数を操作することなんてできませんでした」
 ▼ 234 ォーグル@きいろビードロ 15/08/23 21:09:44 ID:WYbK8KNo [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 恥ずかしいやらきまりが悪いやらで、エリートトレーナーの若者はその場に膝から崩れ落ちる。
 側にいた会場スタッフからマイクを受け取り、嗚咽混じりに話し始めた。

エリート「フジさん、疑ってごめんなさい」

エリート「あなたがシオンの人だから、という理由だけで疑ってしまいました。不正をしたという根拠も何もないのに…」

 ここでフジ老人も顔を上げ、マイクを受け取って返答する。

フジ「まあ、何はともあれ分かってもらえて良かった。わしが言うのも何じゃが、これからは気をつけるんじゃぞ」

エリート「…はい!」

フジ「それにしても…お前さんは本当にトキワシティが好きなんじゃな」

エリート「!?」

フジ「わしもな、昨晩まではシオンを応援する気満々じゃった。徹夜でシオン応援ハッピも作った…って、これは居眠りの言い訳にしかならんかのう?」

 会場中のあちこちで笑い声が発生し、しばらくしてあわのように消えていった。

フジ「じゃが、今日ここに来てみてトキワの魅力に気付かされた。グリーンがどれほど慕われているのかも知ることができた」

エリート「…!」

グリーン「…!」

フジ「今のわしには、どちらにも投票できん。トキワかシオンどちらかなんて選べんのじゃ」
 ▼ 235 ルディオ@ピントレンズ 15/08/23 21:12:44 ID:WYbK8KNo [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「今日は司会者という中立的な立場から観戦できて、わしは本当にラッキーじゃった」

 そこで会場中から盛大な拍手が起こる。
 先程の居眠り事案をふきとばさんばかりの、明るい空気に包まれた。

フジ「なんての。少しカッコつけすぎたかのう?」

 もしもトキワが勝っていたとしても同じことを言えたじゃろうか、と後にフジ老人は考えてみもしたが
 いくられいせいになっても答えは出てこないので、考えるのを諦めてしまった。
 今はただ、とにかくシオンとトキワの更なる発展を祈るばかりだ。
 シオンジム設立が決定したとなれば、明日からもっと忙しくなるだろう。

………

タケシ「ヤムチャ、ジムリーダー就任おめでとう」

ヤムチャ「ありがとう、兄さん!」

フジ「そうじゃ、タケシよ。お前さんのおかげで疑いが晴れて、今日は本当に助かったぞ」

タケシ「いえいえ、何も大したことはしていませんよ。ただちょっと…あれは意外でしたけどね」

フジ「そ、それは言わぬ約束じゃろう!?」

ヤムチャ「ふふふ、フジさんもお疲れ様ですからねえ」

 晴れてジムリーダーに就任したとはいえ、まだまだ右も左も分からないことばかり。
 これからは兄としてではなく、センパイとして相談することも沢山あるだろう。
 ニビシティの方角へと帰っていく兄の背中を、いつまでも見つめているヤムチャなのであった。
 ▼ 236 フキムシ@ヤチェのみ 15/08/23 21:41:32 ID:WYbK8KNo [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 次の日。
 ジムリーダー決定戦の生放送を見られなかった人のために、特集番組が放送された。
 編集技術という名のかがくのちからを駆使した分かりやすい解説付きで、非常に素晴らしい出来だった。
 一つだけ、納得いかない点がある以外は。

フジ「何故、わしの居眠り特集になっているんじゃ!?」

 ジムリーダー決定戦なのに、その主役たるべきジムリーダー候補よりも目立ってしまったフジ老人。
 選手達が戦いのスパークを散らす中、司会席でのんきにねむる老人という絵面のギガインパクトが凄まじかったのだろう。

フジ「ということは、こっちも…」

 フジ老人が手に取ったのは、買ったばかりでまだ使い慣れないホロキャスター。
 とびはねる心臓を押さえながら恐る恐る自分の名前で検索してみると、このような予測変換が飛び出してきた。

 『フジ老人がゲンガーにゆめくいされている画像下さい!』

 『フジ老人がカビゴンだった頃の画像下さい!』

 『フジ老人が酔っ払ってトキワシティで寝ている時の画像下さい!』

 昨日のジムリーダー決定戦で司会を中立的に務め、「トキワもシオンも魅力的」とコメントしたフジ老人。
 皮肉にも、このような形でトキワシティとの夢の共演が実現してしまった。
 そして極めつけに、この素敵な文字の並び。

 『フジ老人が>>238(動作や状態)画像下さい!』
 ▼ 237 ーディ@ディアンシナイト 15/08/23 21:48:58 ID:66TljZuc [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 238 ガヤドラン@たべのこし 15/08/23 21:49:22 ID:66TljZuc [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
安いぞとバトルしてる
 ▼ 239 トモシ@むげんのふえ 15/08/23 21:50:48 ID:FjnRXklY NGネーム登録 NGID登録 m 報告
おはよウナギの花だった頃の
 ▼ 240 ンナ@ミクルのみ 15/08/24 09:27:46 ID:nlTIpK2A NGネーム登録 NGID登録 報告
っwwww
 ▼ 241 ャンデラ@こうらのカセキ 15/08/24 10:22:49 ID:ABwZRVNk NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 242 ノムー@ジャポのみ 15/08/24 20:31:23 ID:51wI1jbY [1/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
 『フジ老人が安いぞとバトルしてる画像下さい!』

フジ「はて、安いぞとは…?」

 フジ老人が興味津々で画面をスクロールさせると、そこにはどこかで見たような顔があった。
 その「安いぞ」なる人物は以前シオンに来ていたかもしれないし、あるいはジムリーダー決定戦の会場で出会ったかもしれない。
 どこで遭遇したかはあいにくドわすれしてしまったが、確かに見覚えがある顔だった。

フジ「じゃが…」

 それ以上にめのまえでそんざいかんをはなっているのは、フジ老人の寝顔の方。
 だがそこには、大事な大会の司会を任されながらねむり状態になってしまったフジ老人を責めるような空気はなく
 むしろこのマイペースな老人に親しみをもって画像を加工しているようにも見えた。
 この歳にして良くも悪くも一躍有名人となってしまった老人は、やれやれと溜息をつくのであった。
 ▼ 243 ガヤミラミ@ふるびたかいず 15/08/24 20:39:52 ID:51wI1jbY [2/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「フジさん!」

 そこへ飛び込んできたのは、タケシの双子の弟であり改めてシオンのジムリーダーとなったヤムチャ。

フジ「なんだ、ヤムチャか。おどろかすでないぞ…」

ヤムチャ「聞いて下さい。今、ジムの内装を考えているところなんです」

フジ「ほう。そういえばそんな仕事も残っていたのう」

ヤムチャ「内装だけに、リーダー自らが一から考えて設計しないといけナイソウです」

 冬はまだ先だというのに、シオンタウンをこごえるかぜが吹き抜けていく。
 だが、持ち前の情熱とシオン愛をねっぷうを如く渦巻かせているフジ老人にはこうかがない。

ヤムチャ「他のジムのパクりではいけない。百歩譲って一部参考にするとしても、ただのまねっこではなく適度に手を加えて別物にする…」

ヤムチャ「って、以前マーシュさんがインタビューで答えていました」

 クノエジムの構造がヤマブキジムと似通っている、というのはよく言われることだ。
 ワープパネルという同じツールを用いれば、嫌でも似たような仕掛けになってしまうのだ。
 だが、クノエジムは和洋折衷のドールハウスという今までにないモチーフを全面に押し出すことにより
エスパータイプのテレポートをイメージしたヤマブキジムとの差別化に成功したという。
 タブンネ。

フジ「さて、お前さんのジムはフェアリータイプじゃったな。どんな内装にするかもう決めたのかい?」

ヤムチャ「もちろん、>>245をイメージした内装にしたいです!」
 ▼ 244 ッポウオ@おおきなしんじゅ 15/08/24 20:50:06 ID:badXrddM [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 245 ブトプス@ジュカインナイト 15/08/24 20:50:32 ID:badXrddM [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
プラズマフリゲート
 ▼ 246 ソハチ@GBプレイヤー 15/08/24 23:16:25 ID:51wI1jbY [3/3] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「もちろん、プラズマフリゲートをイメージした内装にしたいです!」

フジ「…なに?」

ヤムチャ「いやー、あれはかっこいいですよね。一目見てメロメロになりました!」

 渡された設計図を一読したフジ老人は、まるでカゴのみを食べたかのように渋い顔になる。
 ヤムチャの提案にフェアリーっぽさがないのはいつものことなので最早どうでもいいが
 近未来的な帆船をイメージしたその内装は、どこからどう見てもプラズマフリゲートそのものにしか見えない。

フジ「これ、訴えられたら相当プラズマズイんじゃないのかい?」

 パク…まねっこ元の相手は怪しい組織とはいえ、訴訟大国イッシュの一員。
 万一みやぶられて訴えられでもしたら、プラズマフリゲートそのまんまの今のデザインではまず勝ち目がない。

ヤムチャ「大丈夫ですよ。そう言われるだろうと思ってきりふだを考えてきました」

フジ「きりふだ…かい?」

ヤムチャ「内装のここにちょっと手を加えて、>>248っぽくするんです」
 ▼ 247 グザグマ@いわのジュエル 15/08/24 23:21:55 ID:badXrddM [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 248 オル@スピードパウダー 15/08/24 23:22:30 ID:badXrddM [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
デセルシティ
 ▼ 249 マルス@てんかいのふえ 15/08/25 17:12:49 ID:HG2wkeJo [1/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヤムチャ「内装のここにちょっと手を加えて、デセルシティっぽくするんです」

 なるほど、内装の至る所に砂漠の雰囲気を醸し出す小物がちりばめられている。
 海を連想させる帆船でありながら、海とは無縁な砂漠のモチーフを取り入れたかたやぶりなデザインだ。

ヤムチャ「どうです?フーパが出てきそうでしょう?」

フジ「出てきそうも何も、お前さんはフーパを持っていたじゃないか」

ヤムチャ「持っているにはいるんですが…あいつはフェアリータイプの技を覚えないんでジム戦では使えないんですよ」

 それ以前に、中堅トレーナーを相手にすることの多い4番目のジムで幻のポケモンを使うこと自体が大問題なのだが。
 もっとも過去には最初のジムでフリーザーと戦ったなどという事例も発生しているそうだが、物証に乏しく信憑性はいまひとつのようだ。

ヤムチャ「ま、フーパはこのジムのマスコットキャラみたいなものですね」

フジ「ふむ。それだけ悪タイプにこだわるなら、いっそこのジムも…」

ヤムチャ「嫌です!どうしてもフェアリーがいいんです!」

フジ「じゃが、悪…と時々格闘ではそのフェアリーに蹂躙される未来しか見えんぞ」

ヤムチャ「マーシュさんになら蹂躙されてもいい!というかむしろして下さい!」

フジ「……」

 顔をねつぼうそうさせながら何やらねごとを言い始めたヤムチャを見て、老人は溜息をつくのであった。
 もうかのごとき彼の恋心がシオンジムの、ひいてはシオンタウン全体の発展をかそくさせることを祈るばかりだ。
 ▼ 250 ッスグマ@メガストーン 15/08/25 17:28:44 ID:HG2wkeJo [2/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
【ここまでのまとめ】 []内は安価で決定しました

 ついにジムリーダー決定戦の日がやってきた。
 強敵グリーンとの決戦を控え、ヤムチャのきんちょうかんはマックスタギるばかり。
 [フジ老人]は大会の司会に抜擢され、飽くまでも中立的な立場からコメントをすることに。

 いよいよポケモンバトルかと身構えるジムリーダー候補達だったが、委員会の判断で今回からはバトル以外の競技で競うことに。
 バトルの強さだけを重視した結果、ロケット団のボスをジムリーダーに任命してしまったことへの反省からである。
 ルーレットを回して、競技種目は[ちんちん切る]に決定。

 湧き上がる会場のどまんなか、紙をはさみで切ってちんちん電車を作るヤムチャとグリーン。
 観客による投票の結果、勝者は[ヤムチャ]に決定した。
 だが、グリーンを応援していたエリートトレーナーが「フジ老人がシオン側について票数をいじったのでは?」と異議を申し立てる。
 この危機を救ったのは[タケシ]。
 司会席のカメラに映っていた映像を確認した所、フジ老人は不正などしていない…代わりに居眠りをしていた!
 大会の最後にかっこつけて良さげな事を言ったのもむなしく、暇な若者達のおもちゃにされてしまい
 「フジ老人が[安いぞとバトルしてる]画像ください!」とまで言われる始末。

 同じ頃、晴れてシオンのジムリーダーとなったヤムチャはジムの内装を考えていた。
 帆船[プラズマフリゲート]をイメージし、かつ砂漠の[デセルシティ]っぽい内装をデザインしたが
 やれフェアリーっぽくないだの、やれ剽窃で訴えられそうだのとフジ老人からダメ出しされる。
 それでもめげずに前へとっしんし続けるヤムチャの心には、マーシュへの恋心がもうかの如く燃えているのであった。
 ▼ 251 ーボック@シルバースプレー 15/08/25 17:46:23 ID:HG2wkeJo [3/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「…まあ、シオンジムはヤムチャ一人で何とかなるじゃろう」

 シオンの未来を想うからこそ、若者の一挙手一投足についつい口が出すぎてしまうフジ老人。
 だが、いつまでも古臭い価値観を押し付けていてはシオンタウンに進化はない。
 時には若者を信じ、そして時代の流れに身を委ねてみるのも悪くはないだろう。
 そう自分に言い聞かせながら、老人はのんきに散歩に出かけるのであった。

フジ「たまにはこうして町をぶらぶらしてみるのも悪くはないのう」

 ここ数ヶ月の間に、シオンの空気は目まぐるしく変化した。
 雰囲気は以前と比べ物にならないほど明るくなり、通りに店が増えてにぎわいは日ごとに増し、
 それから…他の町から訪れる観光客も増えたような気がする。

フジ「おや、あの人は…?」

 老人の視線の先にいるのは、ツアーきゃくらしき一人の若者。
 困ったような顔で、辺りをせわしなくキョロキョロと見回している。

フジ「何かお困りかい?」

 気が付けば、フジ老人の足は困っているツアーきゃくの元へと向かっていた。
 相手は一瞬おどろかされたような顔をしたが、しばらくしてこう答えた。

ツアーきゃく「>>253
 ▼ 252 ャロップ@しあわせタマゴ 15/08/25 17:56:07 ID:K42b0RO6 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
ksk
 ▼ 253 ベルタル@かたいいし 15/08/25 17:58:00 ID:RWSSBVsY NGネーム登録 NGID登録 報告
「ワタクシだけが ポケモンを 使えれば いいんです!」
 ▼ 254 ネブー@タンガのみ 15/08/25 18:18:57 ID:HG2wkeJo [4/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ツアーきゃく「ワタクシだけが ポケモンを 使えれば いいんです!」

フジ「…!?」

ツアーきゃく「いやー、すみませんね」

ツアーきゃく「ワタクシ、セキチクでもうじゅうつかいをやってまして…」

フジ「(…何じゃ。イッシュ地方在住のあの人が、プラズマフリゲート風のシオンジムを訴えに来たのかと思ったぞ)」

 もうじゅうつかいというのは、ポケモンを手懐けて「使う」必要がある。
 つまり、ポケモンを友達やパートナーとして扱うのではなく、厳格な主従関係を結ばなければならない。
 そして彼らが「使う」ポケモンのパワーは人間のそれを上回る。
 下手をすればポケモンに「使われ」てしまいかねない、そんなハイリスクな職業なのだ。

ツアーきゃく「先輩に言われたんですけど、ワタクシはどうも威厳が足りないようでして」

ツアーきゃく「ハの字型の眉毛を全部剃り落として上がり眉に描き直したのですが、それでもまだまだ足りないようです」

 彼らは最終的には知恵でポケモンを「使う」のだが、そもそも見た目が弱そうなら即したでなめられてしまう。
 もうじゅうつかいの道はチャンピオンロードにも劣らぬほど険しいのだ。
 ▼ 255 ザードン@マグマのしるし 15/08/25 18:27:54 ID:HG2wkeJo [5/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ツアーきゃく「そこで、ワタクシだけが強そうになれるお店、あるいはグッズを求めてシオンまでやって来たのでして」

フジ「ふむ、お前さんの言いたいことは大体分かった」

 フジ老人は脳みそをこうそくスピンさせて考えた。
 最近シオンにオープンした店舗の中に、彼が強そうになれるものを扱っている所はなかっただろうか?

フジ「そうじゃな、>>257(店の種類、グッズ等)なんてどうじゃろうか?」
 ▼ 256 ールナー@タブンネナイト 15/08/25 18:38:56 ID:Vpww1JhY NGネーム登録 NGID登録 報告
くろいメガネ
 ▼ 257 サキント@トレジャーメール 15/08/25 18:40:18 ID:yypA7crE NGネーム登録 NGID登録 報告
あかいくさり
 ▼ 258 クケイル@ちりょくのハネ 15/08/25 22:12:01 ID:HG2wkeJo [6/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「そうじゃな、あかいくさりなんてどうじゃろうか?」

 あかいくさり、それはかつてシンオウ地方の神話に登場する人知を超えた道具…のレプリカ。
 これがシオンで売られるようになったきっかけは、つい先月の出来事。

フジ「(思い返せば奇妙な出来事じゃったのう…)」

 知っての通り、スカイツリー風観光タワー(旧ポケモンタワー)には伝説ポケモンが大量におでましすると言われている。
 以前トキワに大雨洪水警報が出た時には、タワーから突如ノクタスが現れ、特技のにほんばれで
 カイオーガのいかりを鎮めたことは記憶に新しい。

フジ「(じゃが、スカイツリー風観光タワーの伝説はこれだけでは終わらなかった!)」

 そして先週、運命の時は突如やって来た。
 誰もが寝静まる真夜中、スカイツリー風観光タワーの頂上が激しくはっこうしたかと思うと
 ユクシー・エムリット・アグノムという3体の伝説ポケモンが一挙におでましした。

フジ「(…らしい)」

 目撃者はシオンの若者たった1人。
 話を聞く限りでは胡散臭いことこの上なく、当初は彼が寝ぼけていて何かと見間違えただけだと思われていたが
 シオンを少しでも宣伝したいフジ老人がこの話を逃すわけがない。

フジ「(まあ、実際にこれで宣伝効果があったのじゃからな。伝説のちからってすげーのう)」

 それをきっかけに、「あかいくさり」なるものがシオンのおみやげ屋で売られるようになった。
 言ってしまえばただのアクセサリーだが、見た目に反して意外に重い。
 ▼ 259 ズレイド@りゅうのキバ 15/08/25 22:22:33 ID:hwLx6aEo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 260 ガサーナイト@ザロクのみ 15/08/25 22:27:08 ID:U4AHpbKg [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ギンガ団襲来の危機はなさそうなので安心しました。
 ▼ 261 ルダック@ヘラクロスナイト 15/08/25 22:33:17 ID:HG2wkeJo [7/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
 レプリカとはいえ、あかいくさりとそれにまつわる伝説を聞いたツアーきゃくは大興奮。
 待っていましたとばかりに、フジ老人はその若者をおみやげ屋に案内するのであった。

フジ「ほれ、これがあかいくさりじゃ」

 あかいくさりを手に取り、しんちょうに眺めるツアーきゃく。
 ずしりとしたじゅうりょくが彼の両手にのしかかり、程よい負荷を与える。

ツアーきゃく「ふむふむ。手に程よく馴染み、値段も悪くありませんね」

フジ「そうじゃろう!」

ツアーきゃく「…で、これを使うとどうなるんですか?」

 そう聞かれて、フジ老人はコマタナという顔になってしまった。
 シオンに今流れている噂の通り「ユクシー、エムリット、アグノムに会える」とでも言いたいところだが
 この道具自体はただのレプリカに過ぎず、これを持っていたからといって伝説ポケモンに会える保証はどこにもないけど…

フジ「(そりゃそうじゃ)」

 にも関わらず「伝説ポケモンに会える」という触れ込みで売れば、それはウソハチということになる。
 万一詐欺罪で訴えられでもしたら、シオンに勝ち目はない。

フジ「(どうする?無難に筋トレの道具とでも言うべきか?)」

ツアーきゃく「あっ、分かりました!>>262に使えばいいんですね」
 ▼ 262 ルチャイ@おしえテレビ 15/08/25 22:36:17 ID:U4AHpbKg [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ディアルガになる
 ▼ 263 ラピオン@はねのカセキ 15/08/25 22:49:03 ID:HG2wkeJo [8/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
ツアーきゃく「あっ、分かりました!ディアルガになるのに使えばいいんですね」

フジ「…はい?」

ツアーきゃく「伝説ポケモンであるディアルガに扮して、さらにこの鎖を付ければ、きっとワタクシもポケモンから敬われるはず!」

 ツアーきゃくは鎖の隣に置いてあったディアルガの着ぐるみも一緒に購入し、その場で装着し始めた。
 そして着ぐるみの上から、仕上げにあかいくさりをぐるりと巻きつける。
 あかいくさりは本来ディアルガを縛り付けるためのものだが、シンオウ神話をよく知らないツアーきゃくはそんな事などお構いなしに
 何となくかっこいいからという理由で、あかいくさりをジャラジャラと響かせてご機嫌だ。

ツアーきゃく「形から入ればよかったんですね。どうしてこんな簡単なことに気付かなかったんでしょう?」

 これでポケモンを服従させられるのかどうかは謎だが、少なくとも通行人の視線を独占するには十分すぎるほど衝撃的だ。
 恐れ多いと感じているのか、この若者の進路を妨げる者は誰もいない。

ツアーきゃく「グギュグバァ!グギュグバァ!」

 ディアルガになりきったまま、ツアーきゃくは満足気な足取りでどこかへと去っていった。
 この若者はもうじゅうつかいよりも、かいじゅうマニアになるべきだと密かに思うフジ老人であった。
 ▼ 264 サイドン@デボンスコープ 15/08/25 23:11:53 ID:HG2wkeJo [9/9] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「行ってしもうたか…」

 さて、お次の観光客はアロマなおねえさん。
 シオンタウン周辺ではあまり見かけないタイプの服を着ているので、恐らくナナシマか他の地方からやって来たのだろう。
 ガイドブックをにらみつけ、首を横に振り、またにらみつけ…その一連の動作を延々と繰り返している。

フジ「さて、何かお困りですかな?」

アロマ「最近疲れ気味で、何もやるきが起きないの」

アロマ「何かこう、この近くにゆったりリラックスできる場所ってないかしら?」

フジ「(そんな事言われても、のう…)」

 この数カ月の間に、シオンタウンは急激にせいちょうした。
 だが、それは同時にシオンが本来持っていた心安らぐ要素ががくっと下がったことを意味する。
 今となってはすっかり忙しなくなってしまったこの町の周辺に、果たしてそのような場所があっただろうか?

フジ「(そうじゃな。こういう時は目を閉じて、若者達との会話を思い出すのじゃ…)」

 フジ老人は目を閉じ、めいそうに耽った。
 町で出会った多くの若者達の話が頭の中をしんそくで通り抜けては、あわとなって消えていく。
 その中で一際目立つものがチカチカと光を放ちながら、フジ老人の記憶の片隅に留まった。

フジ「(そうじゃ、あれがあったぞ!)」

フジ「(このシオン周辺で心安らぐ場所、それは>>266じゃ!)」
 ▼ 265 ドラ@あさせのかいがら 15/08/25 23:13:03 ID:U4AHpbKg [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ksk
 ▼ 266 ンペルト@リュガのみ 15/08/25 23:13:28 ID:U4AHpbKg [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
ジェフザキラーの家
 ▼ 267 なグラ◆bx30JbqxUc 15/08/25 23:16:13 ID:s7qqp.RE NGネーム登録 NGID登録 報告
オカルトの悪夢
 ▼ 268 ヒダルマ@チャーレムナイト 15/08/26 21:50:03 ID:v0amJFPo NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 269 ンバル@はつでんしょキー 15/08/26 22:22:36 ID:HZOSbqM6 [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「(このシオン周辺で心安らぐ場所、それはジェフザキラーの家じゃ!)」

 ジェフザキラーの家というのは、いわばお化け屋敷のようなもの。
 オカルトマニア達にとってシオンはホラースポットとして一定の需要があり、彼女らの要望に応える形で爆誕した。
 一歩足を踏み入れたが最後、白塗り風メイクをしたスタッフが丁重におもてなししてくれる。
 つい先日も一組のきんこんしきがこの家に入っていったが、叫びすぎて疲れたのかその晩はぐっすり安眠できたそうだ。

フジ「(おかげで次の日は二人ともしゃっきりした顔つきじゃった。まるで若返ったかのようにな)」

 一見、安らぎとは正反対のスリリングなイメージがまとわりついているジェフザキラーの家。
 しかしフジ老人の理論では、ジェフザキラーの家に入って怖い思いをし、肉体的にも精神的にも疲れ果てれば
 よく眠れて次の日の目覚めはすっきり、おまけにストレス解消効果もあるということだ。

アロマ「なんかこういうのは私のキャラじゃないんだけど…」

フジ「まあまあ。若いうちはチャレンジャー!!になるもんじゃぞ」

アロマ「…やってみようかしら」

 フジ老人の説得が通じたのか、アロマなおねえさんの足はジェフザキラーの家へと向かっていく。
 勧められたからには行くっきゃない、やるっきゃない。
 そんなかくごのすがたが、真新しいハイヒールを履いた彼女の足取りから感じられた。
 ▼ 270 ランセル@ポイントマックス 15/08/26 22:39:16 ID:HZOSbqM6 [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
アロマ「…うーん、入ってみたはいいけれどやっぱり暗いわね」

 疲労とやるき不足に悩み、安らぎを求めてシオンタウンに辿り着いたアロマなおねえさん。
 意を決してジェフザキラーの家に入ってみたはいいが、開始早々不安で足がすくむ。

アロマ「…!?」

 おや、何か物音が聞こえたようだ。
 暗闇の中、彼女が恐る恐る顔を上げると…そこには白い顔と大きく見開かれた目、そして耳元まで裂けた真っ赤な口があった。

アロマ「きゃああ!」

 にげあしをとっさに踏もうとするが、恐怖と履き慣れないハイヒールのせいで立っているのもやっとだ。
 その間にも白い顔の男は一歩、また一歩と近づいてくる。

アロマ「…ひっ、ひい!」

 アロマなおねえさんは小さく悲鳴を上げ、ヒールをカンカンと響かせて逃げ出した。
 その歩調たるやまるで生まれたてのシキジカのようだが、彼女はこうそくいどうで逃げているつもりだった。

アロマ「(…?)」

 ヒールの鳴る音と一緒に、不思議な感覚が耳を通って彼女の脳内に流れ込んでくる。
 この上なく恐ろしいはずなのに、どこか懐かしいような…

アロマ「(そうか、これは…)」
 ▼ 271 ガガルーラ@ガブリアスナイト 15/08/26 22:52:38 ID:HZOSbqM6 [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
アロマ「(…思い出した!)」

 このアロマのおねえさんは以前、オカルトマニアだった。
 ほんの数カ月前までのことなので忘れるはずもないのだが、今日までの彼女にとって過去は永久にふういんすべき歴史であった。

アロマ「(そう、私は…)」

 この春の大学デビューを機に、地味な自分を捨てて生まれ変わろうと決意した彼女。
 アロマなおねえさん風の服を着て、アロマなおねえさん風のメイクを研究して、物腰もアロマなおねえさんっぽく優雅になれるように努力を重ねた。
 だが、それらがもたらしたのは異性からの憧れなどではなく、苦難の日々だけだった。

アロマ「(この数カ月間、私は無理してきたのかもしれない)」

 慣れないことをコツコツと続けるのは容易いことではない。
 それが大好きならばどんな努力も苦にならないが、そうでない場合は余程のがんばりやでなければ耐えられない。
 疲れ果てた彼女の顔色は悪くなり、目の下には濃いくまができ、当初目指していたアロマなおねえさん像からかけ離れていき
 鏡でその現実を確認する度に、くろいきりのように渦巻く負の感情とのバトルを強いられてきた。

アロマ「(よし、決めた。明日から私は…)」
 ▼ 272 ンバル@そうこのカギ 15/08/26 23:24:13 ID:HZOSbqM6 [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「…遅いのう」

 お化け屋敷・ジェフザキラーの家の前で、首をキリンリキのようにして若者の帰還を待っていたフジ老人。
 ホラー耐性が低すぎて中で気絶していたらどうしよう、等と考えながら…

 「キャーッ!」

フジ「…!?」

 家の中からとびきり大きな悲鳴が聞こえたかと思うと、そのハイパーボイスの主…アロマなおねえさんが
 出会った当初とはうってかわって清々しい表情で飛び出してきた。

アロマ「シオンのおじいちゃん、素敵な場所を紹介してくれてありがとう!」

フジ「お、お前さん。一体どうしたんじゃ?」

アロマ「あのね、私…やっぱりひ・み・つ!」

 アロマなおねえさんの胸につかえていたなやみのタネは、このジェフザキラーの家で弾けてどこかへ飛んでいった。
 だが、何があったか知らないフジ老人はあまりのイリュージョンぶりにこんらん状態。
 叫んでストレスを解消したにしても、不自然なほどプラス思考になっているのだから。

フジ「一体、この家の中で何が…」

 フジ老人が何度尋ねても、アロマなおねえさんは微笑むばかりで語ろうとしない。
 まるで「自分探しモードおしまいっと」とでも言いたげに、ばくはつスマイルを輝かせている。

フジ「(よく分からんが、満足してもらえたようで良かったぞ)」

 ストリートの石畳でハイヒールのかかとを小気味よく鳴らしながら、アロマなおねえさんは帰っていった。
 オカルトマニアにゲンシカイキした彼女がこのシオンに戻ってくるのは、そう遠い未来のことではないかもしれない。
 ▼ 273 ガハガネール@あおいバンダナ 15/08/26 23:46:15 ID:HZOSbqM6 [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 次にシオンを訪れたのは、青白い顔の若者。
 ヤマブキジムによく入り浸っているサイキッカーのような格好をしているが、この辺りでは見たことのない顔だ。

サイキッカー「実は僕、みらいよちが出来るんです」

フジ「そうかい、そうかい」

 唐突に謎の告白をされたが、フジ老人はかげぶんしんの如くかわした。
 実際、自称超能力者はこのカントー中にスターミーの数ほどいる。
 多くはウソッキーで、飽くまでもマジシャンとして何らかのトリックを使っているだけに過ぎない。
 だが、ヤマブキジムのナツメを始めとしてごく小数「本物」がいるというのもまた事実。

フジ「本当に予知能力があるなら、テストで常に満点をとるのも夢ではないのじゃろう?羨ましいことじゃ」

サイキッカー「それが、そんなに都合のいいものではないんですよ」

 彼が言うには、超能力も万能ではない。
 みらいよちの能力を持っていたとしても、本当に知りたいことはどんなにほしがっても予言できず
 逆に知りたくないことばかり分かってしまうのだという。
 ▼ 274 ルッグ@こだいのおうかん 15/08/26 23:51:59 ID:HZOSbqM6 [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
サイキッカー「ペットを飼い始めた瞬間いつ死ぬのかが分かり、彼女が出来た途端いつ別れるのかを知る」

フジ「それは…嫌じゃのう」

サイキッカー「そうですよ!出来ることならこの能力を捨てたいです!」

 彼の話によると、何らかの修行によって新しい超能力を身に付ければ、現在の能力に上書きされるのだという。
 だが、超能力のプロであるナツメですら対処法に困ってまがったスプーンを投げたほどの事例。
 このシオンに、彼に適した修行などあるだろうか?

サイキッカー「どんなに厳しい修行でも構いません。たとえこの肉体が滅んでも、せいしんりょくで絶対耐えてみせます!」

フジ「(本当に大丈夫かのう?)」

 いつも通り、目を閉じて若者達の会話を思い出すフジ老人。
 このサイキッカーの青年はマダツボミのようにヒョロヒョロとしていてひ弱そうだが、果たして彼にもできそうな修行とは…

フジ「>>275なんてどうじゃろうか?」
 ▼ 275 イオーガ@ホズのみ 15/08/27 00:06:33 ID:HBxqJoTA NGネーム登録 NGID登録 報告
けん玉
 ▼ 276 リムガン@ミュウツナイトY 15/08/27 21:35:03 ID:PRxnC6Js [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「けん玉なんてどうじゃろうか?」

 フジ老人が提案したのは、修行と呼べるのかどうかも怪しい昔の遊び。
 これで新たな超能力に目覚めるのかどうかは不明だが、はねやすめ…ならぬ気休め程度にはなりそうだ。

フジ「わしらの世代にとっては懐かしい遊びでな、白黒のゲームボーイがまだ無かった頃は皆これで遊んでいたのじゃよ」

サイキッカー「えっ、そうなんですか?」

フジ「『ケン』ホロウもアー『ケン』も、けん玉のケンが名前の由来。なぜなら、どちらも頭が赤いじゃろう?」

 …事の真偽はさておき、フジ老人には別の意図があった。
 もしこの若者が本当に超能力者でみらいよちが可能だったとすれば、彼の能力はシオンの経済活性化のおいかぜとなるだろう。
 例えば今シオンで流行しているものがいつ頃廃れるのかが分かれば、間違いなく経済的ダゲキを減らすことができる。
 何事も引き際が肝心なのだ。

フジ「(じゃから、彼の予知能力をレポートのごとく上書きするのはあまりにもったいない!)」

 そんなわけで、フジ老人は「ウシオ祭」を始めとして数ある修行の中から敢えてけん玉を選択したのだ。
 けん玉で遊ぶ程度なら能力の上書きはされないだろう、そんなわるだくみを笑顔の裏に秘めながら、おだやかな表情で見守っていた。
 ▼ 277 ロスター@きゅうこん 15/08/27 22:07:00 ID:PRxnC6Js [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 それから半刻ばかりが過ぎた。
 これまでの人生をほとんど予知能力に頼ってきたせいで、運動能力は低く手先もぶきようだったサイキッカーだが
 けん玉を1時間近く集中して続ければ否が応でも上達するというもの。
 ポケモンが戦闘を繰り返すことによって経験を積み、強くなっていくのと同じ原理だ。

フジ「おお、何だか上手くなってきたようじゃな」

サイキッカー「あ、はい。ありがとうございま…って、ああー!」

フジ「ほらほら、油断するでないぞ」

 そうしているうちに光陰はファイアローの如く通り過ぎていく。
 2分、2分、また2分…
 レジアイスが鎮座するおふれのせきしつのふういんが30回ほど解けた頃、サイキッカーはついにあの大技に挑み始める。

フジ「…おお、『とめけん』か!」

 とめけんというのは、けん玉の先端にある針に玉を通す技。
 玉の穴の位置が下側に来るように考慮しながら動かさねばならず、この技をマスターするのは至難の業だ。
 ▼ 278 トム@クラボのみ 15/08/27 22:10:51 ID:PRxnC6Js [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
サイキッカー「では、いきますよ…」

 フジ老人は息を呑み、若者が握りしめているけん玉をじっと見つめる。
 空中に投げ出された赤い玉はじゅうりょくに逆らってゆっくりと上へ動き、やがて…けん玉の針に収まった。

サイキッカー「…できた!」

 とめけんが見事成功し、サイキッカーは小さく歓喜の声を上げる。
 それと同時に、遠くの方で何やら奇妙な音がした。

フジ「おや?今の音は…?」

 彼が最初に言っていた通り、けん玉修行によって何らかの新しい能力を得てしまったのか、それとも…
 フジ老人の胸はむしのさざめきのように騒がしくなり、昔の遊びをやり込んだこの若者においわいの言葉をかけるどころではなくなった。

サイキッカー「何てこった!どうやら>>280ようです」
 ▼ 279 ボネア@サーナイトナイト 15/08/27 22:16:46 ID:u.KCpa9U [1/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
デデンネが大量発生した
 ▼ 280 マシュン@インドメタシン 15/08/27 22:20:40 ID:jSIeYDW6 NGネーム登録 NGID登録 報告
プラズマフリゲートをパクったのがバレた
 ▼ 281 ドリーノ@ひみつのカギ 15/08/27 22:47:24 ID:PRxnC6Js [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
サイキッカー「何てこった!どうやらプラズマフリゲートをパクったのがバレたようです」

フジ「…はて?」

サイキッカー「決まっているでしょう、このシオンにあるジムのことですよ!」
 
 フジ老人はしらばっくれてみたが、焼け石にみずでっぽう。
 ここに来る観光客でシオンジムの内装を知らないものは誰もいないほど、色んな意味で有名になってしまったのだから。

フジ「(やはりあの時、ヤムチャを止めるべきじゃったか…)」

 このサイキッカーの若者が1・2のポカン!で新しく習得した能力は、どうやら秘密をばらすことだったようだ。
 だが彼の反応を見るに、誰の秘密を誰にばらすのかは完全に運次第。
 もちろん本人に悪気はないのだが、とめけんを成功させる度にあのようなことが起こるのは勘弁して欲しい。

サイキッカー「もっとも、あれだけすなおにまねっこしていれば遅かれ早かれモロバレルだったでしょうけれど。僕が能力を使わなくてもね」

フジ「むう。そこまで言われるとぐうの音も出ん…」

サイキッカー「そして…これは飽くまでも予感なのですが、もうすぐプラズマ団の人達がここに来るでしょう」

フジ「わ、わしらシオン市民は一体どうすれば…!?」

 シオンジムの内装をヤムチャの独断に任せた以上、ヤムチャ一人をスケープゴーゴートとして差し出すこともできなくはない。
 だが、ジムリーダーになる前から弟子のように見守ってきた彼を、ジムリーダーとしてシオンタウンを愛している彼を切り捨てるのは心が痛む。
 ヤムチャをみがわりにして逃げるか、それとも彼らと一緒に対策を練るか…フジ老人は板挟みになりながら考えを巡らせた。
 ▼ 282 ッポウオ@イナズマカセット 15/08/27 23:06:29 ID:PRxnC6Js [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
サイキッカー「まあ、僕も出来る限りの協力はしますよ。もう予知能力は使えませんが、頭の回転は悪くない方だと思います」

フジ「ほ、本当かい!?」

サイキッカー「ここで会ったのも何かの縁。それに元はといえば僕のめざめるパワーの暴発が原因ですし…」

 果たしてこの若者がどれほどの知恵者かは分からないが、それでもフジ老人にとっては
 シオンの味方が一人でも増えるのは心強いことこの上ない。
 すぐにシオン中に町内放送をかけ、ジムリーダーのヤムチャをはじめとする若者達を招集して作戦会議を始めるのであった。

………

 数十分後、黒い服を着た集団がシオンタウンの入り口に押し寄せる。
 彼らがイッシュのプラズマ団だということは一目瞭然だ。
 プラズマ団はフジ老人達の前まで歩いてきて、何やら紙のようなものを差し出した。

フジ「(何じゃ、これは?)」

 だが、イッシュ語で書かれていて読めない。
 文書の意味が分からずまごまごしている老人を見て、団員達は徐々にいらだちを募らせる。
 ▼ 283 リンク@キトサン 15/08/27 23:26:35 ID:PRxnC6Js [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 その時、一人の若者がフジ老人に近づいて紙をよこどりする。
 驚いて若者の方を見ると、そこには以前タマムシで開催されたジムリーダー決定戦で見かけた顔があった。

エリート「これはイッシュ語ですね。訳しましょうか?」

フジ「お、お前さんは…」

エリート「タマタマ観光に来ていただけですよ」

 このエリートトレーナーはグリーンを尊敬し、トキワシティに惜しみない愛を注ぐ若者。
 時にその情熱がオーバーヒートしてしまうこともあるのだが、それも若さゆえのこと。

エリート「よく見たらあなたがイッシュ語をにらみつけながら、コマタナという顔をしていた」

フジ「それで、わざわざてだすけに来てくれたのかい?年寄り思いの若者じゃな」

エリート「まあ、イッシュ語を現在進行形で学んでいる以上、語学力を試したいと思うのは当然のことですから」

フジ「(すなおじゃないのう…)」

 今のシオンに文書を辞書無しで訳せそうな者は彼以外いない。
 フジ老人は意を決して、このエリートな若者にプラズマ団の文書を、そしてシオンの未来を委ねてみることにした。

エリート「…ふむふむ」

フジ「何と書いてあるのじゃ?」

エリート「彼らの要求はデザイン料の支払い、もしくは>>285のようです」
 ▼ 284 マケロ@レンブのみ 15/08/27 23:28:08 ID:KRs13OMk NGネーム登録 NGID登録 報告
ポケモンの解放
 ▼ 285 ッチール@じめじめこやし 15/08/27 23:30:49 ID:u.KCpa9U [2/2] NGネーム登録 NGID登録 m 報告
フジ老人がプラズマ団員だった頃の画像
 ▼ 286 ャノビー@ダイブボール 15/08/28 23:53:03 ID:eMgMSeDQ NGネーム登録 NGID登録 報告
エリート「彼らの要求はデザイン料の支払い、もしくはフジ老人がプラズマ団員だった頃の画像のようです」

フジ「はい?」

 突如飛び出した謎の要求に、老人はコダックのごとく首をかしげる。
 デザイン料はまだ分かるのだが、彼らは一体何故どこにでもいそうな老人の画像など要求するのだろうか?

エリート「それについては、全文くまなく読んでみた僕から大まかに説明させて頂きます」

フジ「おお、助かるのう」

エリート「全文訳が面倒だとか、途中分からない単語があったから端折るとかそういうのじゃないですよ。分かりやすいようにかみくだいて説明するだけですよ!」

 エリートトレーナーはプラズマ団員に向かって、ジェスチャーをしながら何かを伝える。
 恐らく「彼らはイッシュ語が分からないからちょっと待って」というような事を言っているのだろう。
 それから紙を持ち上げて、プラズマ団の要求を簡潔に要約し始めた。

エリート「シオンジム内装の件については、無理に変更しろとは言わない」

エリート「一目見れば、ヤムチャ氏がプラズマフリゲートを深くリスペクトしていることがよく分かるからだ」

フジ「ふむふむ」

エリート「だからデザイン料さえ払ってもらえれば問題ない。要求額はいちおく…円ではなくてドルで、だ」

フジ「…何と!」
 ▼ 287 グマラシ@しめつけバンド 15/08/29 00:14:15 ID:vaynsvwM [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
エリート「…もしくはフジ氏の画像」

フジ「そうじゃ、問題はここからじゃ!彼らは何故わしの画像なんか…」

エリート「世界的に有名なフジ氏が我々プラズマ団の衣装を着ているとなれば、これは大きな宣伝効果がある」

 「世界的に有名」というのは、恐らく以前のジムリーダー決定戦での出来事が発端だろう。
 あの後大量の編集画像が作られ、フジ老人の姿はカントーという枠を超えて世界に広がってしまった。
 その影響が、まさかこのような形でシオンに返ってくるとは…

エリート「…こんなところです」

 エリートトレーナーが話し終えるのとほぼ同時に、シオンの小さな広場に若者達の議論が響き始める。
 普段は政治や経済に無関心だというのに、こういう事があって初めて真剣になれるというのは何と皮肉なことか。

りかけい「いちおくドル、約120億円だって?そんなの払えるわけがありませんぞ!」

おねえさん「ヒット曲『みかんの皮』のブームも長くは続かない。やっぱり画像を差し出すしかないの?」

ぼうそうぞく「でもここで画像を出せば、プラズマ団の宣伝効果…つまり活動資金や団員の増加をかそくさせることになるぞ」

ミニスカート「友達の友達から聞いたんだけどプラズマ団って怪しい組織なんでしょ。大丈夫なの?」

ボーイ「ポケモンの開放が目的っていうし、悪い人ばかりじゃないと思うけど…」

きとうし「スカイツリー風観光タワーからいちおくドルがお出ましすればいいのじゃがのう」

 長きにわたる話し合いの結果、多数決で>>288(デザイン料を払う/フジ老人の画像を差し出す)ことが選ばれた。
 ▼ 288 プラス@あおいバンダナ 15/08/29 00:48:19 ID:3wU3LbKI NGネーム登録 NGID登録 報告
払う
 ▼ 289 メラ@あかいいと 15/08/29 07:39:48 ID:vaynsvwM [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
 長きにわたる話し合いの結果、多数決で払うことが選ばれた。
 やはり、フジ老人の画像が公にプラズマ団の手に渡るのはプラズマズイと考えたのだろう。

フジ「じゃが、いちおくドルなんて大金はどうやって工面すれば…」

 …おや?
 若者達が議論に燃えるかたわら、サイキッカーはのうてんきにけん玉を振り回しているようだ。

サイキッカー「うー、またダメだった…」

フジ「お、お前さん。何してるんじゃ?」

サイキッカー「さっきから『とめけん』を10回くらい成功させているんですが…」

フジ「そうか!お前さんには秘密をばらす能力があったのう!」
 
 だが傍受できたのは「どこかのじゅくがえりが24点のテストを捨てた」だの「物好きなおじさんが座布団の下にへそくりを隠している」だの
 一般人の取るに足りない秘密しかない。
 セレブか有名人の秘密でも分かれば、それなりの口止め料をせしめられそうなのだが…

フジ「(ちょっとブラッキーな方法じゃが、シオンのためにもがまんするしかないのじゃ)」

 その時、サイキッカーが小さく声を上げてフジ老人に手招きした。
 何か重大な秘密を傍受したのかもしれない…そんな期待をほのかに抱きながら、老人は若者に歩み寄るのであった。

サイキッカー「ついに来ましたよ!>>291(ポケモンの登場人物)の秘密です!」
 ▼ 290 ガアブソル@ゴールドスプレー 15/08/29 07:58:03 ID:8u6KmZmE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ウラヤマ
 ▼ 292 オー@たまむしプレート 15/08/29 08:56:03 ID:vaynsvwM [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
サイキッカー「ついに来ましたよ!アクロマさんの秘密です!」

フジ「…ほう」

 何やら凄そうな名前が、サイキッカーの若者からフジ老人へとないしょばなしで伝わる。
 このアクロマという人物はプラズマ団が抱える凄腕の研究者であり、現在論争の渦中にあるプラズマフリゲートの責任者ともいわれている。
 海洋調査にも携わっているらしく、最近ではホウエンの博物館に彼の映像が展示されているとかいないとか。

サイキッカー「アクロマさんの秘密を握っているとなれば、プラズマ団との交渉で有利になるかもしれません」

フジ「ほう!で、それはどんな秘密なのじゃ?」

サイキッカー「あのですね…アクロマさんって実は>>294なんですって」
 ▼ 293 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/29 09:00:10 ID:Y5AN..5o [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲイ
 ▼ 294 ョロトノ@ゴージャスボール 15/08/29 09:01:00 ID:8u6KmZmE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 295 ウマージ@ナゾのみ 15/08/29 09:20:17 ID:vaynsvwM [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
サイキッカー「あのですね…アクロマさんって実は女なんですって」

フジ「な、何じゃと…!」

サイキッカー「詳しいことは僕にも分かりませんが、どうやら本当のようです。ただ…」

フジ「ただ…?」

 ここでよく思い出してみて欲しい。
 この若者の新しい能力は秘密を傍受することだけではなく、誰かの秘密を他の誰かにばらしてしまうことだと。
 つまりアクロマの秘密は、今この瞬間他の誰かの手にも渡ってしまったということだ。

サイキッカー「今シオンにいるプラズマ団員達も、このことを知ってしまいました」

フジ「何と!それじゃ口止め料は意味が…」

 そう言いかけた時、プラズマ団員達がフジ老人に向かって一斉にとっしんしてきた。
 老人は抵抗する間もなく捕獲され、そのままどこかへ連れて行かれそうになる!
 何をするのか尋ねようにも、フジ老人はイッシュ語が分からない。

エリート「フジさーん!『ちょっとイッシュまで来てアクロマさんと話をして欲しい』ってことだそうでーす!」

フジ「通訳はありがたいが、いきなり『ちょっとイッシュまで』と言われても困るのじゃー!」

 なすすべもなく、イッシュへと連れて行かれるフジ老人。
 果たして、彼は再びシオンの土を踏むことができるのだろうか?
 ▼ 296 ーリキー@こうかくレンズ 15/08/29 09:45:46 ID:vaynsvwM [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
【ここまでのまとめ】 []内は安価で決定しました

 シオンジムのことはリーダーであるヤムチャの一存に任せ、フジ老人は観光客の案内をすることになった。

 まずやってきたのはツアーきゃく。
 「[ワタクシだけが ポケモンを 使えれば いいんです!]」と述べた彼の仕事はもうじゅうつかい。
 ポケモンを使うために威厳が欲しいと言われたので、フジ老人はおみやげ屋にある[あかいくさり]をおすすめした。
 当初は何に使うか分からず戸惑っていた彼だが、[ディアルガ]になるのに使えばいいと納得したらしく
 ディアルガの着ぐるみをまとってあかいくさりを巻き、伝説ポケモンになりきって町を後にした。

 次にやってきたのはアロマなおねえさん。
 最近疲れ気味でやるきもでない、安らぎが欲しいと言われたので[ジェフザキラーの家]を紹介する。
 そんな彼女は元オカルトマニア。無理をしてアロマなおねえさんを演じ、疲れ切っている自分に気付いた彼女は
 ありのままの自分にゲンシカイキすることを誓い、清々しい顔つきでシオンタウンを去っていった。

 その次にやってきたのはサイキッカー。
 みらいよちができるために知りたくないことを知ってしまい、能力を上書きするために新しい修行をしたいと言う。
 そこでフジ老人は[けん玉]を提案。こんな事でどうせ上書きされるわけがないと高をくくっていたが
 この若者が「とめけん」を成功させた途端、シオンジムの内装が[プラズマフリゲートをパクったのがバレた]!
 ▼ 297 チュル@ひかりのねんど 15/08/29 09:50:35 ID:vaynsvwM [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
 (続き)

 大勢のプラズマ団員達がシオンに押し寄せ、デザイン料の支払いか[フジ老人がプラズマ団員だった頃の画像]を要求。
 ジムリーダー決定戦での一件で世界的に有名になったフジ老人を、プラズマ団の宣伝に使おうとしているようだ。
 シオンの若者達が相談した結果、多数決でデザイン料を[払う]ことに決定。
 だが、いちおくドルという大金をどうやって工面すればいいのか?

 その時、シオンの若者達が議論しているすぐ横で孤独な戦いに明け暮れる者がいた。
 あのサイキッカーである。
 彼は自分の能力で「運良く有名人の秘密を傍受できれば口止め料をゲットできる」と考え、けん玉を振り回す。
 その結果、[アクロマ]が実は[女]だという重大情報を入手する。
 だが、そのことは同時にシオンに来ているプラズマ団員達にも伝わってしまった!
 プラズマ団員に連れて行かれるフジ老人の運命やいかに…!?
 ▼ 298 なグラ◆bx30JbqxUc 15/08/29 09:52:31 ID:HAXYfXYc NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 299 ンギラス@アクアスーツ 15/08/29 10:07:43 ID:vaynsvwM [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ………

 フジ老人が目を覚ますと、そこは研究所のような場所だった。
 ぐるりと見回せば、壁のポスターや本の背表紙にはもれなくイッシュ語らしき文字が並んでいる。
 ここはイッシュ地方…のどこなのか。一体どのくらいの距離を移動しただろうか。
 もしもシオンから一万光年も離れているような場所だったら、どうやって帰ればいいのか。

????「…気が付きましたか」

フジ「お、お前さんは!」

 フジ老人が顔を上げると、不思議な髪型の若者と視線が合う。
 その人こそ、噂のアクロマに間違いない。

アクロマ「シオンタウンでは失礼しました。どうしてもあなたとお話したかったのですが、私は立場上ここを離れるわけにはいかず…」

フジ「ということは、カントー語が分かるのかい?」

アクロマ「主人公がメスのベイリーフになるアニメがあるでしょう、あれで勉強したんですよ」

フジ「ああ、『人類メスポケ化装置』のことか」

アクロマ「そう、それです!毎週楽しみにしているんですよ!」

 シオンタウンで生まれたアニメの話題に、まさかイッシュで遭遇するとは。
 運命とは実にフシギダネ。
 ▼ 300 シズマイ@ふしぎなアメ 15/08/29 10:36:35 ID:vaynsvwM [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「ところで、お前さんが女だというのは本当かい?」

アクロマ「本当ですよ。証拠もありますが確認してみますか?」

フジ「い、いや。証拠は別にいい」

アクロマ「まあ、折角だからそう遠慮せずに」

 アクロマは慌てふためくフジ老人の手首を掴み、そっと自分の方へと引き寄せた。
 年甲斐もなく顔からひのこが出そうになる老人に対し、彼…いや彼女は平然とした顔のままで。

アクロマ「ほら、ここ触ってみて下さい…」

 言われるままに、フジ老人は顔を下に向けたまま震える手で撫でてみる。
 すると、そこには確かに男にはあるはずのものが無かった。

アクロマ「ね、無いでしょう…喉仏が」

 クリムガン色だったフジ老人の顔は、みるみるうちに元通り。
 急にれいせいな顔つきになって突っ立っている様子を見ながら、アクロマはいたずらごころ丸出しでおかしそうに笑う。

アクロマ「…という茶番はさておき、私が女であるという事実はそこまで重大ではありません」

アクロマ「最初は、団員達がこの秘密を知ればマズいと考えていました。けれど実際、私が女だからといって誰も態度を変えなかった」

フジ「うむ。いい部下に恵まれているのう!」

アクロマ「そう、問題はここではなく>>302(イッシュ地方の町やダンジョン)にあります!」
 ▼ 301 ーフィア@ギャラドスナイト 15/08/29 12:13:24 ID:UdhjPtbE NGネーム登録 NGID登録 報告
イッシュの難関
 ▼ 302 ガゴルダック◆KyUpmG9.1. 15/08/29 12:14:30 ID:Y5AN..5o [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
ヒウンシティ
 ▼ 303 ーデリア@じてんしゃ 15/08/31 10:14:33 ID:JomKUeRY [1/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
アクロマ「そう、問題はここではなくヒウンシティにあります!」

 ヒウンシティ、それはイッシュ地方で一、二を争う規模の大都会。
 ストリートではビジネスマンが昼夜を問わず行き来し、ふみんの街とも呼ばれているが
 一歩路地裏に入ればそこは別世界、懐かしい気持ちを呼び起こす音楽が自慢のカフェもある。
 また名物ヒウンアイスは絶品で、これを味わうために遠方からも観光客が訪れている。

フジ「それで、ヒウンシティの問題とは一体?」

アクロマ「丸いやつ細いやつ尖ったやつ毛深いやつ…説明難しいやつなので、とにかくこれをご覧ください」

 アクロマが機器のボタンを「ポチッとな」と押せば、研究室はきんぞくおんを立ててへんしんし始めた。
 研究室の電気がフェードアウトするのと同時に天井から大型のモニターが下りてきて、問題の映像を写し出す。
 そこにあったのは…一見、至って普通のヒウンシティ。

フジ「はて?何も変わったところはないが…」

アクロマ「ここです。ここに>>304が映り込んでいるでしょう?」
 ▼ 304 マシュン@タポルのみ 15/08/31 10:52:28 ID:XEPqnSrY NGネーム登録 NGID登録 報告
レシラム
 ▼ 305 ンシグラードン@オーキドのてがみ 15/08/31 12:55:01 ID:JomKUeRY [2/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
アクロマ「ここです。ここにレシラムが映り込んでいるでしょう?」

 アクロマが指さした先を視線で追いかけると、そこには確かにレシラムが。
 ヒウンシティで一番高いビルの頂上に堂々と居座り、地上を歩く人々の足取りを目で追っている。

アクロマ「このレシラムは人間によって『開放』されたものと思われます」

フジ「開放?」

アクロマ「プラズマ団の以前のスローガンですよ。こんな事をするのは元プラズマ団員、あるいはそれに感化された者でしょう」

 つまり、アクロマの推測では何者かがヒウンにレシラムを逃がしたということだ。
 それを聞いて、日頃からシオンで捨てポケモンを保護しているフジ老人は心配になってきたようだ。

フジ「そんな。むやみにポケモンを逃がせば生態系が崩れるじゃろう!」

アクロマ「ええ、ですがレシラムは伝説のポケモン。むやみに生態系を破壊するような真似はしませんよ」

フジ「そうかい。賢いポケモンで良かったぞ」

アクロマ「まあ、そんなことをしたとなれば伝説仲間のジガルデが黙っていないでしょうけれどね」

 相性の面を考えると、炎タイプのレシラムは地面タイプのジガルデに不利。
 賢い伝説のポケモンなら、相性関係なくモラルはわきまえていると信じたいものだが。
 ▼ 306 ロアーク@ディフェンダー 15/08/31 13:16:00 ID:JomKUeRY [3/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
アクロマ「話が脱線しましたが、問題は生態系とは別のところにあります」

フジ「…というと?」

アクロマ「とにかく次の映像を見て下さい」

 アクロマはフジ老人の方を向いたまま、器用に片手で機器を操作して映像を切り替えた。
 今回画面に映し出されたのは、ヒウンシティに暮らす人々の様子のようだ。

………

じゅくがえり「ヒト模試の結果はDハンテールだった。どうせ受からないだろうから、志望校のレベルをがくっと落とそう」

ビジネスマン「この前おじょうさまとお見合いしたけど、どうせ俺には高嶺のキレイハナ。釣り合わないだろうから諦めよう」

ドクター「現代のいがくのちからをもってしてもあの病気の治療は難しい。患者さんには悪いが、手術に挑戦する気にはなれないな」

………

アクロマ「そう!真実を司るレシラムが現れたことによって、ヒウンの人々はいつも以上に『真実』に目を向けざるを得なくなった!」

フジ「真実というか…現実じゃのう」

 現実をわきまえて身の丈にあった幸せを享受できればいいが、知ることによってヒウンの人々はどんどんマイナス思考になっていく。
 これは何たる悲運だろうか。

アクロマ「私が思うに、この状況を打開するには>>308が不可欠なのです」
 ▼ 307 イリキー@タウリン 15/08/31 13:28:18 ID:MZ6C98YY [1/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
理想
 ▼ 308 メラルド◆tPSKNxdevg 15/08/31 13:29:58 ID:TFGDJAEw [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
空気を読んでゼクロム
 ▼ 309 ビルドン@くろいてっきゅう 15/08/31 13:51:00 ID:JomKUeRY [4/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
アクロマ「私が思うに、この状況を打開するには空気を読んでゼクロムが不可欠なのです」

フジ「おお!『理想』の力を持つゼクロムを呼んで、真実…というか『現実』の強くなりすぎた世界を中和するんじゃな!」

アクロマ「理解が早いですね。ただ…」

フジ「ただ?」

アクロマ「問題はゼクロムが空気を読んでくれるかどうかです」

 知っての通り、伝説のポケモンは非常にきまぐれな存在。
 人間の都合などどこ吹く風で、自由気ままに飛び回ったり洞窟の奥深くに引きこもったりしているのが普通だ。

フジ「伝説のポケモンじゃからの。こればかりは…」

アクロマ「もしゼクロムを呼ぶことができたら、シオンジムのデザイン料もあなたがプラズマ団だった頃の画像も必要ありません」

 アクロマが放ったこの一言は、いとも簡単にフジ老人の心を揺さぶる。
 だが、よく考えてみるとシオンジムがプラズマフリゲートをまねっこしたのは事実だし、活動のためにも資金が必要ではなかったのか?

アクロマ「お金さえあればゼクロムを呼べる、今まではそう考えていました」

アクロマ「だからシオンジムの内装にかこつけて資金を調達しようとしたのですが、調査を進めてみるとゼクロムは金品には興味がないようで…」

 そりゃそうじゃ、とフジ老人は密かに納得した。
 金を使うのは人間だけで、ポケモンにとっては文字通り「ネコにこばん」あるいは「バネブーにしんじゅ」なのだから。
 ▼ 310 リムー@しめったいわ 15/08/31 14:05:52 ID:JomKUeRY [5/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
アクロマ「ただ一言『プラズマフリゲートを参考にしました』の一文さえあれば、シオンジムは今のままで結構です」

フジ「う、うむ…」

アクロマ「だからお願いです、ゼクロムをヒウンに連れてきて下さい!」

 とは言われたもののフジ老人はゼクロムを見たことすらなく、まして呼び方など分かるはずもない。
 シオンのスカイツリー風観光タワー(元ポケモンタワー)にお出ましするのを待つという手も考えてはみたが
 それこそ何十年、何百年かかるか分からず、その間にヒウンが文字通りゴーストタウンと化してしまいかねない。

フジ「(一体どうすれば…)」

 脳みそをギアソーサーの如く高速回転させ、フジ老人はシオンにいる若者達の会話を思い出す。
 色んな人々に支えられて発展してきたシオンを守るため、そしてヒウンで困っている人々を助けるため
 老人は考えを巡らせ、ついに一つの可能性に辿り着いた。

フジ「(こうなったら、いちかばちか>>311を試してみるか…)」
 ▼ 311 ザードン@でんきのジュエル 15/08/31 14:10:24 ID:MZ6C98YY [2/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
おでまし
 ▼ 312 ェドゥパ ◆9wYw8MRZMM 15/08/31 14:10:43 ID:1wEANkd2 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
塾帰りを生け贄に捧げる
 ▼ 313 ゲハント@ペアチケット 15/08/31 14:28:29 ID:JomKUeRY [6/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「(こうなったら、いちかばちかおでましを試してみるか…)」

フジ「(人間でも、伝説のポケモンを確実におでましできる方法がある。それはもう彼が証明済みじゃ)」

 フジ老人の記憶の片隅には、シオンで待つ新人ジムリーダー・ヤムチャの姿があった。
 フェアリータイプのジムなのに悪タイプばかり集めたり、トキワにカイオーガを呼び出したり、プラズマフリゲートをパクったりと
 何かとトラブルメーカーな彼だが、それでも老人にとっては憎めない存在であった。

フジ「(彼がやり遂げた『ウシオ祭』。これをやれば…)」

 カイオーガの雨雲に乗ってゼクロムがやって来るかもしれない、そう考えたのだ。
 だが「ウシオ祭」は、筋肉を愛するヤムチャですら数日は動けなかったほどハードなエクササイズ。
 果たして、この老人に可能なのだろうか?

フジ「わしが理想を持たずして、若者に理想を抱けとは言えんじゃろう?」

 …等とかっこつけているが、実際のところ生きて帰れる保証はない。
 実際「ウシオ祭」のパッケージにも「乳幼児や高齢者、妊娠中の方、体力にじしんのない方は行わないで下さい」という注意書きがある。

フジ「それでも、やるしかないんじゃ!」

 フジ老人は「ウシオ祭」のDVDを研究室のプレイヤーに押し込み、軽く準備運動をしながら
 始まりの時を静かに待つのであった。
 ▼ 314 レキブル@ていこうのハネ 15/08/31 14:45:43 ID:JomKUeRY [7/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ウシオ『オウホウ!オレッチとオメエとポケモンと!みんなでマックスタギろうゼェッ!』

 ウシオの掛け声と共に音楽が流れ始め、フジ老人もそれに合わせて踊り始めた。
 いや、踊るというよりはむしろのたうち回っているだけに近いかもしれない。
 若い頃は元気だった人でも、歳を重ねるにつれて体が思うように動かなくなっていくものなのだ。

アクロマ「フジさん!無理しないで下さい。これが駄目でもきっと他の方法が…」

フジ「無理なんか…ゼエ…しておらんぞ…ゼエゼエ」

 心配したアクロマは老人を止めようとしたが、乗りかかったサントアンヌ号から降りることはできない。
 老人の背中からふくつのこころを感じ取ったアクロマは、一歩前に歩み出る。

アクロマ「こうなったら私もやりますよ、その『ウシオ祭』とやらを!」

フジ「ゼエゼエ…お、お前さん…!」

アクロマ「女だからってナメないで下さい。それに…ゼエゼエ…」

 フジ老人が後ろに気配を感じて振り向くと、既に十数人の屈強なプラズマ団員達が一緒に踊り始めていた。
 仲間がいるということは、どうしてこうも心強いものなのか。
 アクロマと団員達から勇気をギフトパスしてもらったフジ老人は、手足や腰の痛みを押して踊り続けた。
 そして…

アクロマ「ついに、ゼエゼエ…ついにやりました!」

 ウシオ祭はフィニッシュを迎え、カイオーガおでましの時が来たようだ。
 だが、どこにおでましするのかはカイオーガの気分次第…

>>316の名前欄のポケモンで、何地方におでまししたのかを判定します。
 イッシュのポケモン No.494 ビクティニ〜No.649 ゲノセクト が出れば成功です)
 ▼ 315 オタチ@がんせきプレート 15/08/31 14:49:09 ID:TFGDJAEw [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 316 ェリム@ポイントアップ 15/08/31 14:49:58 ID:MZ6C98YY [3/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
来い!
 ▼ 317 ロトーガ@ハッサムナイト 15/08/31 15:29:42 ID:JomKUeRY [8/8] NGネーム登録 NGID登録 報告
(名前欄がチェリムなので、シンオウ地方におでましします)

 カイオーガがおでまししたのは…シンオウ地方、やりのはしら上空だった。
 やりのはしらに降り注いだ大雨は、上空にうずまく冷気で冷やされてあられとなる。

ツアーきゃく「グギュグバァ!グギュグバァ!」

 丁度その時そこにいたのは、以前シオンを訪れたツアーきゃく。
 腰には、あの時おみやげ屋で購入したあかいくさりが巻きつけられている。
 もうじゅうつかいとしての威厳を手に入れるため、ディアルガになりきったままやりのはしらで修行をしていたのだ。
 あわよくば本物のディアルガに会えるかもしれない、そんなマイペースなことを考えながら。

ツアーきゃく「グギュグ…ん?」

 落ちてきたあられの粒が、ディアルガに扮する彼の頭をかすめる。
 驚いて上を見ると、そこには黒い雷雲に乗ったカイオーガの姿があった。
 あまりの気迫に足がすくんで逃げ出せず、うかつにやりのはしらへ来たことを後悔する彼だったが
 そこへ突如不思議な白い光が差し込み、この地の主の片割れが颯爽と登場。

ツアーきゃく「あれは…パルキア!」

 知っての通り、パルキアは空間を司る神と呼ばれるポケモン。
 その気になれば空間を操って移動したり、相手を飛ばしたりすることも朝ポフィン前だ。

ツアーきゃく「…うおっ!何だ何だ!?」

 パルキアが「お前達の行くべき場所はここではない」と言いたげな表情で、カイオーガに向かって猛々しくほえると
 次の瞬間あら不思議、カイオーガと雷雲は空間の渦にのみこまれてどこかへと消え去ってしまった。
 残されたツアーきゃくは、伝説ポケモンの力の大きさにただおどろかされるばかりであった。

>>319の投稿時間の秒が奇数ならカイオーガと雷雲はイッシュに到着、偶数なら失敗)
 ▼ 318 ルッグ@こないれ 15/08/31 16:33:36 ID:MZ6C98YY [4/4] NGネーム登録 NGID登録 報告
謎展開ワロタ

頼むぞ
 ▼ 319 ルチャイ@ねばりのかぎづめ 15/08/31 16:38:02 ID:6msIrUiA NGネーム登録 NGID登録 m 報告
どうだ!
 ▼ 320 フーパ@きのみぶくろ 15/08/31 19:06:43 ID:IVxsspCI NGネーム登録 NGID登録 報告
>>319
ああああああああああ!!
 ▼ 321 メテテ@きんりょくのハネ 15/09/02 21:28:56 ID:rI6.xKk. [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 フジ老人らがイッシュで踊った「ウシオ祭」の影響で、カイオーガと雷雲が遥か彼方海の向こうのシンオウ地方に突如おでまし。
 やりのはしらでパルキアに出くわして一触即発、シンオウ地方を消し飛ばすくらいの大惨事が起きるかと思われたが
 この地に住まう真珠色の神はその空間を歪める力を遺憾なく発揮し、豪雨の化身を何処かへとふきとばしてしまった。
 そんな不運なカイオーガがどこへテレポートしていったのかというと…

ヤムチャ「ん?あれは…?」

 そう、皆大好きシオンタウン。
 黒服の集団に連れ去られたフジ老人を心配していた若者達の視線が、タワーの頂上にこのゆびとまれ。

りかけい「またしてもスカイツリー風観光タワーが光っていますな!」

きとうし「ということは、再びおでましの時が来たというのか…!?」

 いきなり降り出した大雨に晒されて髪の毛や服が濡れるのも気にせず、ニャスパーのように目を大きく見開いたまま
 スカイツリー風観光タワーの噂通り、伝説のポケモンがおでましするのを見つめていた。

ぼうそうぞく「まさか本当にカイオーガがおでましするとはな…」

おねえさん「以前トキワにも現れたそうじゃないの。それが一体どうして…」
 ▼ 322 ァイヤー@こだわりスカーフ 15/09/02 21:47:50 ID:rI6.xKk. [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 感嘆の声をがまんしきれない群衆に横スピアーを入れたのは、シオンに住む小さな現実主義者。
 「いちおく」という名のジーランスが入ったボールをにぎりしめ、不安そうな表情を見せている。

ボーイ「ねえ皆さん。感動するのはいいんだけど、カイオーガがずっとここにいたらシオンはみずびたしになりますよね?」

 一同はハッとしてお互いに顔を見合わせる。
 カイオーガの美しさにムチュールになるあまり気付かなかったが、言われてみるとこの少年が言うとおりだ。
 以前トキワシティを救ったあのノクタスも、あの後どこかへ逃げたらしくシオンにはいない。

ミニスカート「そんな!それじゃ折角賑やかになったシオンも洪水で流されて終わりってこと?」

 群衆が慌てふためく中、れいせいさを保っている若者がもう一人。
 言わずと知れたシオンの新ジムリーダー、ヤムチャだ。
 シオン住民が止めるのも気にせず、彼はカイオーガにそっと歩み寄ってボールからポケモンを出した。

ヤムチャ「頼むぞ、ときはなフーパ」

 繰り出された幻のポケモンはたかさ6.5メートルという超大型、カイオーガをゆうに超えるとくだいサイズだ。
 珍しいポケモンを一日のうちに二体も目撃できて興奮沸き上がるシオン住民をよそに、ヤムチャはフーパに何やら指示を出す。
 するとあら素敵、カイオーガは雷雲もろともフーパのリングの中に吸い込まれていった。

ヤムチャ「さあ、カイオーガをしかるべき所へ送ってやってくれ!」
 ▼ 323 リムガン@ホズのみ 15/09/03 21:38:17 ID:Qlgcnv92 NGネーム登録 NGID登録 m 報告
支援
 ▼ 324 イーガ@カシブのみ 15/09/04 00:55:05 ID:VMYFc0pA NGネーム登録 NGID登録 報告
毎回ポケモン愛を感じるSSをありがとうございます
心より支援
 ▼ 325 ィオネ@きんのいれば 15/09/05 21:06:01 ID:JE7Xl7LE [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 タマタマ飛び出たやりのはしらでパルキアに遭遇し、シオンタウンに飛ばされてしまったカイオーガは
 ジムリーダーのヤムチャが繰り出したフーパの大型リングに吸い込まれ、またしても次元の狭間へと旅立つ羽目になってしまった。
 その後セキエイこうげんでケーシィのテレポートに巻き込まれたり、うずまき島のうずしおで目を回したり、サントアンヌ号のトラックに積み込まれそうになったり…
 長きに渡るタライ回し、いや世界一周旅行の果てにようやくヒウンシティに辿り着いた。

フジ「ううっ…まだ痛くて動けんのじゃ」

アクロマ「ゼエゼエ…はっ、あれは!」

 それはフジ老人とアクロマらが「ウシオ祭」をフィニッシュしてから約5時間後のことだった。
 時間経過とともに激しさを増す筋肉痛と各々マルチバトルしながら顔を上げると、ヒウンの空では炎の英雄と水の化身、2体の伝説ポケモンの共演が実現していた。

アクロマ「ゼエゼエ、やはり『ウシオ祭』の効果はばつぐんでしたね!」

フジ「じゃが、ゼクロムはまだ…恐らくあの雷雲の中にいると思うのじゃ」

アクロマ「そうでしょうね。どうにかして出てきてもらわないとヒウンは…」

 間違いなく『理想が 足りないよ』な街No.1に選ばれてしまうだろう。
 そう言おうとしたアクロマだが、ウシオ祭のハードさに息切れしてしまって思うように声が出ない。
 今の彼らには理想よりも糖分が足りていないのだ。

アクロマ「…そうだ、糖分といえば冷蔵庫にとっておきのアレがあったはず」

 その時アクロマの脳裏に浮かんだのは、冷蔵庫の奥に隠しておいた大好物。
 一日頑張った後にいやしのはどうを提供してくれるアレを差し出すのは惜しいが、ゼクロムを呼び出すためならば仕方がない。
 アクロマは冷蔵庫まで這って進み、中から>>327を取り出した。
 ▼ 326 メラルド◆tPSKNxdevg 15/09/05 21:12:11 ID:8BidBRCs NGネーム登録 NGID登録 報告
精力増強ウシオミンA
 ▼ 327 ワルン@こだいのツボ 15/09/05 21:20:23 ID:XZ5OWfOc NGネーム登録 NGID登録 報告
ゲーチスの首
 ▼ 328 ラチーノ@ロゼルのみ 15/09/05 21:45:09 ID:JE7Xl7LE [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
 アクロマは冷蔵庫まで這って進み、中からゲーチスの首を取り出した。

アクロマ「……」

 冷蔵庫を開けてどっきり、唖然とするアクロマ。
 大好物の代わりに入っていたのは、元プラズマ団のリーダーであるゲーチスの首…の模型。
 出来の良い作り物なのだが、遠目では本物にしか見えないので心臓に悪い。

アクロマ「…いたずらごころを発揮した人、すなおに前に出なさい」

 顔つきはれいせいなままでも、心の中ではいかりが渦巻いているようだ。
 筋肉痛よりも食べ物のうらみの方が恐ろしい…そう感じ始めたフジ老人の目の前で、一人のゆうかんなプラズマ団員が手を上げる。

アクロマ「これは一体どういうことですか?」

団員「あの、本当にすみません。冷蔵庫を開けたら今話題のシオンいちおくがあって、食べだしたら手が止まらなくなって…」

 アクロマは「正直でよろしい」とおだやかに答えたが、眼鏡の奥の目は笑っていない。

アクロマ「それより、この模型。冷蔵庫を開けたら首が出てきて…それで私や仲間の団員をおどろかそうとでも?」

団員「あー。息子の夏休みの工作に対抗して作ったはいいが捨てるわけにもいかず、シオンいちおくの代わりに入れておきました。物々交換ってことで」

アクロマ「そんな交換嫌ですよ!GTSでマメパトやミネズミ出して伝説交換してくれというえんじと何ら変わりませんよ!」

 釣り合っていない交換を押し付けようとする者は古今東西、いつでもどこでもいるものだ。
 もっともイッシュ地方のGTSは1年以上前に使えなくなってしまって、それも今となってはいい思い出なのだが。

団員「でもこれ、本当は凄いんですよ?ゲーチスの首を回したら>>330するんですよ」
 ▼ 329 シャーナ@ゴーストジュエル 15/09/05 21:46:10 ID:M.NOuRAk NGネーム登録 NGID登録 報告
ゼクロムのコントローラーと化す
 ▼ 330 無しのきらめき◆n3yv.Upsa. 15/09/05 21:49:50 ID:9T099/dU NGネーム登録 NGID登録 報告
タピオカまみれになった状態のホワイトキュレムが出る
 ▼ 331 ラッキー@シュカのみ 15/09/08 16:32:02 ID:OeuNhcWw NGネーム登録 NGID登録 m 報告
>>330wwww
 ▼ 332 ンフィア@イバンのみ 15/09/08 21:08:34 ID:OskkKqlY [1/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
団員「でもこれ、本当は凄いんですよ?ゲーチスの首を回したらタピオカまみれになった状態のホワイトキュレムが出るんですよ」

アクロマ「…タピオカ?」

 フォッコにつままれたような顔を見て、待ってましたとばかりにスクリーンの前に躍り出る団員。
 大好きなタピオカの話となれば、筋肉痛でさえ一瞬でしぜんかいふくするようだ。

団員「いい質問ですねー!まずタピオカというのはキャッサバという植物から作られるプルプルした食品であり…」

 口を開けば出てくる出てくる、タピオカに関するタネマシンガントーク。
 明日にでも役立ちそうな豆知識から比較的どうでもいいトリビア、嘘か真か分からぬ噂話まで色とりどりだ。

フジ「で、そのタピオカってのはどういうところが凄いのかのう?」

 首をかしげるフジ老人に、筋肉痛とかくとうしながら必死で通訳するアクロマ。
 彼らを前に、プラズマ団員が出した答えはこうだった。

団員「あのですね、タピオカって黒いのと白いのがあるんですよ。つまり…」

アクロマ「…つまり?」

 ブラック&ホワイト。

団員「だから、レシラムとゼクロムを仲直りさせるにはもってこいなんですよ!」
 ▼ 333 ビワラー@ガブリアスナイト 15/09/08 21:47:27 ID:OskkKqlY [2/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
団員「というわけで『善は急げ』、さっさとゲーチスの首を回してタピオカキュレム出しちゃいましょう!」

 アクロマが制止するのも聞かず、ぼうおん状態でゲーチスの首を激しくこうそくスピンさせる団員。
 間もなくヒウンの上空の雲行きが怪しくなり、カイオーガと雷雲を押しのけて巨大な冷気の塊が現れた。
 春だというのにストリートにはこごえるかぜが吹き付け、あられまで降り始める始末。

アクロマ「ま、まさか本当にキュレムがおでまししたというのですか!?」

 冷気の塊がまっぷたつに割れ、中からホワイトキュレムが出てきた。
 だがその体は白黒二色のタピオカまみれ、これでは伝説ポケモンの威厳もがくっとさがるというもの。
 フジ老人もアクロマも、その場にいる誰もがそう危惧したのだが…

フジ「…おや?」

 まずレシラムがキュレムに歩み寄り、体についたタピオカをおいしそうに食べ始めた。
 その様子を雷雲の中からそっと見ていたゼクロムは、最初は顔だけ出して様子をうかがっていたのだが
 居ても立ってもいられなくなって遂に飛び出してきた。
 そしてイッシュの黒き英雄はそのまましんそくでキュレムに近寄り、タピオカをギガドレインのように吸い込み出した。
 時折むせてレシラムに心配されるその様子を見ると、彼らがかつて世界を分かつほどの戦いを巻き起こしたとは到底信じられない。

団員「どうやら一件落着、仲直りできたようですね」

アクロマ「さっきから仲直り、仲直りと言っていますが、そもそも彼らが仲悪いのって伝説の中だけの話ですよね?」

 アクロマの疑いに満ちた発言を受けて、そうでもありませんよと団員は首を横に振る。

団員「どうやら彼らは実際に喧嘩していたようです。>>335が原因でね」
 ▼ 334 バルドン@しんかいのキバ 15/09/08 21:49:49 ID:xioWabsQ [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
age
 ▼ 335 ロトック@きよめのおこう 15/09/08 21:50:09 ID:xioWabsQ [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
メスポケ化
 ▼ 336 ティアス@とくせいカプセル 15/09/08 22:15:29 ID:OskkKqlY [3/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
団員「どうやら彼らは実際に喧嘩していたようです。メスポケ化が原因でね」

 「メスポケ化」という言葉を聞いて、少し考える間でもなくアクロマは即答。

アクロマ「ああ、今話題のアニメですね。確かに第17話の脚本は賛否両論ですが…」

団員「甘い!甘いですよアクロマさん!」

 いきなり隣でハイパーボイスを出され、おどろかされるアクロマ。
 団員はなりふり構わず、タピオカトークにも劣らぬアニメトークをだいもんじよりも熱く語り始めた。
 こうなってしまえばもう負けっこない、止まらない、最後まで。

団員「レシラムやゼクロムには元々性別がないからメスポケになれないって、そうナゲキ悲しんでいるんですよ」

 理想を追求するゼクロムは「自分達でもメスポケになれる」と主張し、真実…もとい現実を知るレシラムは「そんなの無理だ」と反論。
 それが原因で喧嘩になり、追われたレシラムがヒウンに陣取る形となってしまったのだそうだ。

フジ「そんなこと言われてものう…」

 シオンで生まれたアニメの展開にいちゃもんをつけられ、フジ老人は困り果ててしまった。
 だが逆に言えば、「人類メスポケ化装置」というアニメがそれだけ世界規模で有名になったことを意味する。
 この批判はいわゆる有名税なのだと考えれば、少しは気が紛れるかもしれない。

アクロマ「ところで、何故レシラムとゼクロムの喧嘩の原因なんて分かるんですか?」

団員「実はこのゲーチスの首、使うとポケモンの言葉が分かるんですよ。これもN様が制作に協力してくれたおかげです」

アクロマ「!?」

 何はともあれ、これでフジ老人も晴れてプラズマ団から開放されることになった。
 「かがくのちからってすげー!」と謎の感慨深さを噛み締めながら、イッシュを後にする老人なのであった。
 ▼ 337 ンテール@ボスゴドラナイト 15/09/08 22:28:04 ID:OskkKqlY [4/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
【ここまでのまとめ】 []内は安価で決定しました

 フジ老人はプラズマ団に連行され、気が付くとアクロマの研究室にいた。
 「実は女である」と秘密がモロバレルしたアクロマだが、そんな事などどこ吹くかぜおこし。
 一番の問題は[ヒウン]に[レシラム]が出現し、街中が真実…もとい現実に直面するようになり
 人類が希望を失いかけていることであった。
 この状況を打開するには[空気を読んでゼクロム]が必要だが、果たしてゼクロムは空気を読んでくれるのか?

 ゼクロムを呼び出すために、フジ老人は[おでまし]の手段としてウシオ祭を試すことに。
 カイオーガを呼び出せば、ゼクロムが雷雲という形でついてくるかもしれないと考えたのだが
 知っての通りこの踊りは過酷キマワリない。
 それでも老人が踊りを終えられたのは、アクロマやプラズマ団員達が一緒に踊ってくれたからに他ならない。

 ウシオ祭を終えたことで、カイオーガがおでまし。
 だがカイオーガはまず[シンオウ地方]に現れ、その後もテレポートに[失敗]しながら各地を転々とし、5時間後ようやくヒウンに到着。
 カイオーガが乗っている雲からゼクロムを呼び出すべく、アクロマは冷蔵庫に入っていた好物を捧げようと試みるが
 そこには代わりにプラズマ団したっぱがいたずらごころで作った[ゲーチスの首]が入っていた。

 だがこのゲーチスの首、回せば[タピオカまみれになった状態のホワイトキュレムが出る]というすぐれもの。
 白と黒のタピオカを食べながら、レシラムとゼクロムは仲直りした。
 なお、彼らの喧嘩の原因はシオンが誇るアニメ[メスポケ化](人類メスポケ化装置)。
 シオンの知名度向上とかがくのちからの凄さをひしひしと感じ、開放されたフジ老人は本来居るべき場所へと帰っていくのであった。
 ▼ 338 ンバット@じめんのジュエル 15/09/08 22:43:08 ID:OskkKqlY [5/5] NGネーム登録 NGID登録 報告
 ここは シオンタウン。
 シオンは むらさき とうとい いろ。

フジ「…思えば変わったもんじゃな」

 町をぐるりと見回せば、以前の物悲しさはすっかり影を潜めてようきな雰囲気とバトンタッチ。
 町をメインストリートを行く若者達の笑顔からも、この町への愛が溢れだしている。

フジ「しばらく見ないうちに、フレンドリィショップも無駄に大きくなったのう」

フジ「これではあの雑誌を探すのも一苦労…おお、あったぞ!」

 フジ老人が手に取ったのは、以前から購読している懸賞付きのあの雑誌。
 彼の関心のねらいのまとはもちろん、あの企画ページだ。

フジ「そうじゃ、他でもなくランキングじゃ」

 彼としては、この町がかつて与えられた「住みたくない町No.1」という不名誉な称号を返上できたのかどうかが気になるところ。
 気になって気になって気になり過ぎて、昨晩はふみん状態に陥ったほどだ。

フジ「(じしんが半分、半分は不安かも…しれんのう)」

 町中に流れるポルカオドルカのリズムに合わせて踊る心をこらえながら、家に帰って買った雑誌を開封する。
 唾をゴクリンとのみこみながら、老人の震える指が恐る恐るランキングページを開く。
 ついに、審判の時がやってきた。

フジ「さて、シオンタウンは…」

 『>>340町No.1 シオンタウン』
 ▼ 339 ムパルド@こだいのおうかん 15/09/08 22:43:57 ID:A0UEpofw NGネーム登録 NGID登録 報告
楽しい(いろんな意味で)
 ▼ 340 ッタ@つめたいいわ 15/09/08 23:12:35 ID:os7rAnLI NGネーム登録 NGID登録 報告
住みたくない
 ▼ 341 GLAYシア◆UQvW2LeovY 15/09/09 06:20:56 ID:dG06Nqlk NGネーム登録 NGID登録 m 報告
!?
 ▼ 342 ミカラス@エスパージュエル 15/09/09 11:35:50 ID:Z.OPUEno [1/2] NGネーム登録 NGID登録 報告
観光する分にはいいが住むのはやはり嫌なのか…。
 ▼ 343 ドシシ@そうこのカギ 15/09/09 18:14:04 ID:ry9V8p8I [1/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 『住みたくない町No.1 シオンタウン』

 フジ老人はまたしても目を疑った。
 あの時と同じ素敵な文字の並びが、まるであくむのようにどっしりと横たわっている。

フジ「一体何がいけなかったのじゃろうか…」

 だが、くよくよしていても仕方がない。
 老人は投票者のコメントに目を向け、そこから問題点を導き出そうと試みるのであった。

 『やっぱ、ここ最近になって地価がぐーんと上がっているからっすね。
  うちにはピカチュウがいるから百歩譲って光熱費は浮くとしても、今のバイト代から家賃を差っ引いたら
  アイドルのライブに行く費用はどうやって捻出しろというんすか?
  俺だって名曲「みかんの皮」を生で聴きたいのに、そんなのアーボの生ひんし状態っすよ!
  ヨシノシティ在住 でんきグループ』

 『とにかく観光客が多すぎて、町の人は大変そうだからです。
  この前修学旅行で行ったのですが、ホテルからスカイツリー風観光タワーに行くだけの間に15回も道を聞かれました。私もツアーきゃくなのに…
  それでも町の人達はこわいかおひとつしないで笑顔で受け答えしていたので、すごいなーと思いました。
  クロガネシティ在住 ピクニックガール』

 『出張でシオンに来た時、噂の「見にくくて醜い肉屋ァ」のステーキを朝昼晩食っておかわりもしていたら
  お腹周りにあついしぼうが付いちまったぜ。
  たった2週間の滞在だからまだ良かったが、あれを365日食える環境があると思ったら…ああ恐ろしい!
  カイナシティ在住 スキンヘッズ』
 ▼ 344 イクン@コンテストパス 15/09/09 18:38:16 ID:ry9V8p8I [2/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「うーむ。これは褒められているのかのう?」

フジ「…一応褒められている、ということにしておこうか。シオンの更なる発展のためにはプラス思考が必要じゃからの」

 その時、ポケモンハウスの中に一人の少女が飛び込んできた。
 ヤムチャが初めてシオンにやってきた日、彼をタケシと間違えてサインを求めようとしたミニスカートだ。

ミニスカート「あ、あの!紙とペン貸してもらえませんか?今すぐに!」

フジ「何じゃ?またサインでもしてもらうのかい?」

ミニスカート「どうして分かったんですか!」

 彼女が言うにはポケモンリーグの新チャンピオンが来ていて、現在はジムリーダーのヤムチャに挑戦しているまっさいチュウなのだという。
 そこでジムから出てくるのを待ち伏せして、今度こそサインを貰うつもりなのだ。

フジ「で、その新チャンピオンというのはどんな人なのかい?」

ミニスカート「えっ、今日のニュース見てないんですか?」

フジ「うむ。ランキングのことで頭がいっぱいでのう…」

ミニスカート「じゃあ教えてあげますね。新チャンピオンはワカバタウンから来た>>345だそうですよ」

(安価先の投稿時間の秒が奇数なら男の子、偶数なら女の子になります)
 ▼ 345 クラビス@おうじゃのしるし 15/09/09 18:45:44 ID:1UatDN2A NGネーム登録 NGID登録 報告
支援
 ▼ 346 ウマージ@ゴーストジュエル 15/09/09 19:44:04 ID:ry9V8p8I [3/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
(秒は44→偶数なので女の子になります)

ミニスカート「じゃあ教えてあげますね。新チャンピオンはワカバタウンから来た女の子だそうですよ」

ミニスカート「なんでもその子、まだ若いのに3年前のリーグチャンピオンに勝るとも劣らない天才らしくって…」

 ふとカレンダーの日付を見れば、フジ老人がシオンの改革を思い立った日からもう3年近く経っている。
 マサラタウン出身の凄腕トレーナーがチャンピオンになったのも、ちょうどその頃のことだった。

フジ「(あれから3年…シオンも、他の町も様変わりしたのう)」

 きとうしのよちむ通りグレンの火山がふんかしたり、タマムシの池にベトベターが出現したり
 オツキミ山でいわなだれが起こって不思議な空間が発見されたり、グリーンがトキワで切り絵教室を始めたり…
 たった3年の間に様々なことが起き、カントー地方は目まぐるしく変化した。

フジ「……」

ミニスカート「おじいちゃん、早く早く!紙とペン貸してっ!」

フジ「おお、そうじゃった!」

 フジ老人が紙とペンを渡すと、ミニスカートはアクアジェットのように飛び出していった。
 慌ただしく走り去る少女の背中を見送ると、老人は目を閉じて再び思い出にふけるのであった。
 ▼ 347 ガカイロス@プロテクター 15/09/09 19:45:54 ID:ry9V8p8I [4/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
 その日の午後。
 普段と変わりなく、たましいのいえを訪れて掃除をしていたフジ老人。
 彼の呼びかけが功を奏したのか、最近は霊園内のゴミのポイ捨ても減ってきたようだ。

フジ「…おや?」

 まだお参りの時間ではないというのに、たましいのいえに突如飛び込んできた足音に気付いてフジ老人は掃除の手を止める。
 顔を上げると、白い帽子を被って茶髪を二つに結んだ少女がそこにいた。

フジ「おお、よく来なすった。お前さん、若いのにお墓参りかい?」

 少女は質問に答えず、たましいのいえの窓に張り付いて恐る恐る外を眺めていた。
 人の群れが何やら大声でさわぎながら外を通り過ぎていったのを見届けてから、ほっと溜息をついて話し始めた。

少女「あ、すみません。特にお墓参りとか、そういうわけじゃないんですが…」

フジ「よい、よい。ここに来るということは、きっと心優しい人間じゃからの。殊勝なことじゃ」

 その時、少女の後ろからポケモンらしき長い尻尾がちらりと覗いたのを老人は見逃さなかった。
 今度は顔を出して、おくびょうそうな顔つきで辺りをキョロキョロと見回している。
 一瞬だけ老人と目が合ったが、すぐに顔を引っ込めてしまった。
 その眼差しは、遠い昔にどこかで見たような気がする…そんな懐かしい気持ちを老人にもたらすものだった。
 ▼ 348 ガクチート@バトルレコーダー 15/09/09 19:54:40 ID:ry9V8p8I [5/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
フジ「おや、そこにいるのはミュウじゃな?お前さんが捕まえたのかい?」

 まさかタマムシデパートで釣ったのかい?と口から出そうになったが、老人はぐっとのみこんだ。
 この小さな少女とポケモンの仲良さそうな様子を見れば、その友情にかわらわりを叩き込むのは気が引ける。

少女「いえ、本当はお姉ちゃ…姉のポケモンなんです。私はただ預かって、こうして連れ歩いているだけです」

少女「姉は『強いトレーナーになる』と言って旅に出てしまって、今はどこにいるのかも分かりません」

フジ「そうかい…」

少女「でも、私がこうして旅を続けていればいつか会えるかもしれないって、そう思うんです!」

 老人は何も言わずに、ただ相槌を打ちながら話を聞いていた。
 ミュウと仲良くなれたということは、この少女の姉もきっと優しい人間なのだろう。
 そう考えると、何だか心がポカポカと温かくなるようだった。

少女「あ、そういえば姉がこのミュウと出会った場所には不思議な立て札があったそうです」

フジ「ほう、どんなことが書いてあったのかい?」

 少女は目を閉じてめいそうし、姉が教えてくれたメッセージを思い出そうとした。
 それから深く深呼吸をして、静かにこう言ったのであった。

 『…がつ6か ここに たちいる にんげ…が
  ふたたび …らわれるとすれば 
  こころ やさし…で あらんことを
  …こに そのねがいを しるし この …を あとにする
  …ジ』
 ▼ 349 メール@トロピカルメール 15/09/09 19:56:34 ID:ry9V8p8I [6/6] NGネーム登録 NGID登録 報告
これにて終了です。
安価コメント、支援ありがとうございました。
 ▼ 350 リヤード@かたいいし 15/09/09 19:57:32 ID:WiwDgYVQ NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 351 レセリア@とつげきチョッキ 15/09/09 20:00:47 ID:JtTP2SK2 NGネーム登録 NGID登録 報告
 ▼ 352 ァイアロー@メタルコート 15/09/09 20:21:03 ID:Z.OPUEno [2/2] NGネーム登録 NGID登録 報告

何か不思議な終わり方でしたね…。
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